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ガルパン みほルートGOODエンド

125名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/05(土) 02:04:11 ID:cpE1rAhg
 
 とはいえ、こうした妻の振る舞いを、夫として最初からすべて受け入れられたわけではない。彼女は本当にこんな平凡な自分を好いてくれているのか、あるいはこの結婚さえも一時の気まぐれなのではないか―――と。
 こんな不安を妻の親友ふたりに相談したところ、こちらが大真面目に聞いているのにも関わらず彼女らは腹を抱えて大笑いしながら、

 『気まぐれ?あなたとの結婚をが?ありえないよ!だってあのミカだよ?ことあるごとに『彼に嫌われていないだろうか』だの『彼好みの女性になるにはどうればいいだろうか』だの私たちに聞いてくるミカだよ?それまで戦車道とカンテレと帽子のこと以外こだわりがなかった癖に、あなたのことに関しては必要以上に気にしまくるミカだよ?』

 『人が取ってきたものだろうと構わず食べるくせに、アンタと出会ってからは『コーヒーの美味しい淹れ方を教えて欲しい』とか言い出したんだよ?あのミカが!そんなの明らかに本気に決まってるじゃん!』

 とのアドバイス(?)をくれた。ついでにくれた情報は、ミカは時折母校である継続高校に現れ戦車道の後輩たちの指導をしているらしいが、ただでさえややこしい言い回しが、頻繁に、しかもそこだけ妙にストレートで分かりやすい旦那自慢が混ざるおかげで二割増でややこしくなっているとのこと。
 さらに、そもそも極度の人見知りであるミカが積極的に関わろうとする時点で平凡とは言えないので安心しろ、とも言われてしまった。
 我ながら単純だとは思うが、そんなふたりの言葉にすっかり励まされ、気持ちが楽になってしまった。ちなみにこの後、ミカ抜きで二人にあっていたことがバレ、妻からのチクチクとした追求と視線をいただいたことを付け加えておく。

 さて、と立ち上がり、窓の外に視線を向ける。雲ひとつない青空が広がり、ミカの言う通り素晴らしい朝だ。簡単に朝食を食べたら少し散歩でもしようか、と考えていると、

 「あぁ、そうそう」

 不意にミカが戻ってきて言う。

 「今日は一日家にいるんだろう?私も偶然にも今日は仕事をするつもりがなかったんだ。さっきも言ったけど、折角の休日なんだ。普段はできない二人での昼寝、なんてのもいいんじゃないかな?なんなら今からお昼までの睡眠も一緒にとっていいかもしれないね。もちろん無理強いはしないさ。でもそうしたスキンシップには夫婦にとって大切なことが詰まってると私は思うんだ」
 
 普段は口数の少ない彼女が、珍しく早口でまくし立てるように喋るということは、それだけ余裕がない―――言い換えれば本心からの言葉だということだろう。なんてことはない、要約すれば『一緒に寝たい』というだけだ。なるほど、確かにここ数日はなかなかそういう時間が取れていなかったのを思い出す。
 こちらの様子を伺うような妻のもとへ歩み寄り、その手を取って寝室に改めて向かう。

 「ふふっ。そうこないとね」

 嬉しそうに、これもまた彼女にしては珍しい無邪気な笑顔を浮かべた。さきほどのコーヒーもあって眠気は完全に失われているが、あるいはミカの柔らかな香りと体温を感じながらならばふたたび夢の世界へ旅立てるかもしれない。


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