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ガルパン みほルートGOODエンド

124名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/05(土) 02:02:41 ID:cpE1rAhg

 【ミカルート GOODエンド】

 「やぁ、おはよう」

 ある日曜の朝。せっかくの休日だというのに早い時間に目が覚めてしまった。二度寝しようかとも思ったが、こういう時に限ってなかなか寝付けなくなるもので、仕方なく観念してリビングに向かった。すると珍しいことに、妻がコーヒーを淹れていた。昨晩寝室にいなかったのでてっきり入れ違いの形になったかと思ったのだが。

 「お察しの通り、これから寝るところだよ。でも、今朝の空気はとても澄んでいてね。こんな素晴らしい朝ならばキミと共有しない手はない、そう思ったのさ」

 理由を語りながらも手は止めず、テーブルに二人分のカップを用意し、そこに芳醇な香りを放つコーヒーを注いでく。

 「ミルクに角砂糖がふたつ、だったね」

 普段はこちらが淹れる立場であることが多いが、彼女はしっかりと好みを覚えていてくれた。上機嫌に鼻歌を交えながら自身も席に着く妻―――ミカは、彼女の言うところの素晴らしい朝がもたらす日差しに、徹夜明けのためか若干目を眩しそうに細めながら、こちらに微笑みかける。

 「では、この素敵な朝に―――乾杯」

 彼女との出会いは高校生の頃まで遡る。ふとどこからか聞き慣れない、だが心地よい音楽の演奏が聞こえてきて、その発生源を探していくうち、これまた見慣れない弦楽器―――カンテレを演奏する同年代と思しき少女に出会った。

 『風は音楽と―――そして出会いを運ぶ。今のキミのようにね』

 不意にこちらを見て、そんな詩的なこと言い微笑んだ彼女と結婚することになるなど、誰が予想できようか。

 「確かに一風変わった出会いだったね。でも、同時に必然でもあったのさ。今のこの穏やかな時間がそれを証明している」

 ミカはこうした独特の言い回しを好む。交際期間を含めればかれこれ10年近く一緒にいる自分や彼女の親友たちでさえも時折よく分からないことがあるが、今のは簡単だ。要するに『結婚してよかった』と言ってくれているのだ。
 1時間ほどそうして語り合っていると、そろそろ眠気が本格的に襲ってきたのか、ミカが小さくあくびをした。あまり素を見せることをしない彼女のこんな姿を見れるのは、夫の特権といっていいだろう。

 「さて、そろそろ私は休ませてもらおうかな。お昼頃には起きるよ。せっかくの休日だ、昼食も一緒に取りたいからね」

 そう言いながら寝室へと歩いていく。どうやら今日は一日家にいるつもりらしい。
 ミカは現在、いわゆるアーティストのような仕事をしている。絵画だったり、オブジェだったり、その独特の感性から生み出される一品は一部の層にかなり受けており、会社勤めをしている自分の給料と(多少の波があるとはいえ)遜色ない収入を得ている。ちなみにネットで販売するのみで、自身の素性は隠しての活動だそうだ。その辺りのミステリアスさも人気の秘訣なのかもしれない。
 そういった仕事柄、『勤務時間』は不定期であり、そのインスピレーションが湧くならば今日のように昼夜が逆転することも珍しくない。また、ふらりとカンテレ片手に外出することもあり、まさに気まぐれなミカには天職といえるだろう。


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