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『机上空論のアイディーアル』
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:
闇の名無しさん
:2015/03/29(日) 18:46:10 ID:???
差し込む日差しに目を瞬かせる。時計に目を移せば、今の時刻は午前9時を回ったところ
いい時間だ。このまま軽く顔を洗って、新しい一日を始める―――なんて、そんな気分には到底なれるはずもなかった
一晩経った後でも鮮明に思い返せる昨夜の記憶。私を恐れと悲しみを孕んだ瞳で見つめるサクヤの顔。
刻みつけられたのは表情だけではない。あの右目に付けられたキズもまた、私の記憶に根を下ろしているようで
夢ではないと、頬をつねって確認しながら。私は寝ぼける嗜好を奮い立たせて自室を足早に後にする。
―――――
食堂。皆は既に朝食を取り終えた後なのだろうか、いつも賑やかな食堂には厨房からの生活音だけが静かに響く。
こんな些細な変化ですら恐怖を覚えてしまう。この精神状態はとてもマズい、さっさと解消しないと―――
「よっ、今日は遅いんだな。昨日の痴話喧嘩で疲れちまったのか?」
と、かけられた声は聞き慣れたあの男の声。軽薄で無忠誠、しかし今となっては懐かしさすら覚える彼の声。
「別に……私だって寝坊するときくらいあるわ。それより執事こ――――そ……」
振り向いた時、私の身体に稲妻が落ちたかのような錯覚を覚えた。
立っていたのは執事ではなく、m2。あの冷静沈着で寡黙で、決して執事とは似ても似つかない口調の彼が
何故あんな軽い言葉を掛ける?それではまるで真逆じゃないか。そう、サクヤのキズみたいに、真逆。
執事と呼ばれた彼はしばしキョトンとした表情を浮かべるも、すぐにその軟派な笑みを浮かべなおして
姿がm2ということを除けば何一つ執事と変わりない彼を見て思わず私は
「っ……!」
「ちょっ……おいおい、吐き気を催すほど図星だったのか?」
拒絶感が湧き上がる。日常のすべてが反転したような。天地が逆転し、逆さ吊りにされているかのような感覚。
そうして椅子から転げ落ちる私を抱きかかえるようにして持ち上げるm2。ああ、ほんとうに、わけがわからない。
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