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夢日記スレ

4('A`)@15周年:2024/08/10(土) 02:17:39 ID:2B31NHa20
道端を歩いていると、道端に捨てられているチラシを見つける。興味を持ったので、拾いはしなかったが、立ち止まってチラシを見てみる。
文字は使われておらず、イラストだけが描かれている。新築物件の展示会のチラシとも、オープンしたばかりの飲食店のチラシとも見える。
レンガ造りの、赤い三角屋根の、やや古風な大きな家が描かれていて、パッと見はお洒落なパン屋さんといった雰囲気。建物はオレンジ色の暖かい光を放っている。
その家の前には石畳の道があり、通行人が何人か歩いている。
屋根に雪が積もっているのと、通行人が厚着をしているのを見るに、真冬の風景を描いているようだ。
幸せそうな笑顔で手を繋いで歩く母娘と、ポケットに手を入れて無表情で歩く、赤いマフラーの若い男性、白いマフラーを巻いた、ややしかめ面をした灰色スーツのサラリーマンなどが描かれている。
突然、私は凄まじい力でチラシの中に吸い込まれた。殆ど不意打ちに近い状態で、ネオジムの磁力みたいな強烈な力で引っ張られたので、私はなす術もなくチラシの中に引きずりこまれた。

レンガ造りの家の前の、石畳の上に着陸する。
周囲を見てみると、チラシに描かれていたのと同じ通行人が歩いているが、誰にも私のことは見えていないらしく、私には一瞥もくれずに普通に歩き続けている。
右のほうを見ると、チラシに描かれていた、手を繋いで歩く母娘が見えた。
2人とも、とても幸せそうな笑顔をしているが、よく見るとその表情は時が止まったように固定されていて、唇すらも動いていない。
親子揃って、満面の笑顔の表情を張り付けたまま、足だけを動かして機械的に歩いているという感じであり、私は恐怖を感じる。
よく見ると他の通行人も同じで、チラシに描かれていた赤いマフラーの若い男性も、サラリーマンも、時間が静止したように同じ表情のまま、足だけを動かして機械的に歩いている。
NPCというよりは、服を着たマネキンが、足だけは普通の人間と同じように動かして歩いているといった具合で、私は恐怖と混乱で動けなくなってしまう。

しばらく通行人を観察していると、
さっきの母娘が、来たときと同じ方向から歩いてくるのが見えた。やはり表情は全く変わらず、さっきとまったく同じ表情のまま機械的に歩いている。
その親子を目で追うと、視界から外れる距離まで歩き去ったあとは、来たときと同じ方向から、同じく手を繋いだまま現れて、全く変動しない表情と機械的な歩行で、また歩き去ったのと同じ方向に歩いていく。

(満面の笑顔の表情を張り付けた母娘が、右手の方向から歩いてきて、私の前を素通りして左手の方向まで歩いていき、
私の視界から外れた後、また右手の方向から、まったく同じ表情と動きで、親子で手を繋いだ姿勢のまま歩いてくる。これを延々と繰り返している。と言えば伝わるだろうか)

他の通行人も同じように、同じ方向から同じ姿勢と同じ表情のまま歩いてきては、建物の光が届かない場所まで消えていき、
そしてまた、なにひとつ変化しない表情を張り付けたまま同じ方向から歩いてきては、一直線に歩いて、光が届かない場所まで消えていき・・・を、延々と繰り返している。

私はふと、「ここは捨てられたチラシの中の世界で、チラシに描かれた通行人たちはこの世界の住人だ」
「しかし、彼らは描かれている通りの行動しかできないから、同じ表情のまま、この世界を永遠に歩き続けている。チラシに描かれていない範囲まで移動した後は、またチラシに描かれている範囲の中に現れて歩き続けているのだ。彼らは、永遠に同じ表情のまま同じ道を無限ループし続けるのだろう」という推察に至る。

私は恐怖と狂気で混乱してしまうが、同時に、
「現実世界で製作された、このようなチラシやマンガ本の中の世界では、同じ事態が起こっているのだろうか。無感動に捨てられた広告物や漫画本の中では、彼らのようなマネキンもどきが、描かれた通りの表情と動きを延々と繰り返しているのだろうか」
「商業的な目的で描かれたに過ぎない彼らを、それを製作した者たちや、ゴミとして無感動に捨てた者たちは、ほんの少しでも彼らを省みてみることはあるのだろうか」
「描かれたものに過ぎないとはいえ、この親子のような幸せも、無感情に大量に打ち捨てられて、省みられる事すらないだなんて」
という考えが頭に押し寄せてきて、堪えきれないほど悲しく切ない気持ちになり、胸がひどく傷んだ。
堪えきれなくなり、建物の中に逃げ込む。
建物の中は無人だが、粉パセリがかかったフランスパンが何本か売られているほか、オニオングラタンスープのようないい匂いがする。
窓ガラス越しに外を見ても、やはりマネキン達は無限ループを繰り返している。
スープとパンの匂いのお陰で、元気を取り戻した。このチラシの世界から出るために、店内を物色しているうちに目が覚めた。


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