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考察★地震データを見守る/異常震域・深発地震◆合同避難所

47朝日新聞連載 人・脈・記/大地に聞く:2012/11/14(水) 19:03:04 HOST:SDDfb-02p2-243.ppp11.odn.ad.jp
【ニッポン人・脈・記:大地に聞く7 予知を楽観 いまは消え】朝日新聞夕刊 2012/11/08 東京3版1面

 VAN法という研究がある。地中に流れる電流を観測して地震の予知を目指す。地震学者の
中で有望視されているとは言い難い。
 東京大地震研究所の看板教授の一人だった上田誠也(うえだせいや・82)は東大の
定年退官を前に、この研究に取り組み始めた。米国在住の学者にからかわれた。
「アメリカではセイヤがクレージーになったと言っているよ」

 上田は、プレートテクトニクス、岩石磁気学、地球熱学の研究で世界的に知られる。地球の
ダイナミックな動きを読み解く岩波新書を3週間で書き上げた。「新しい地球観」。
1971年に出版されると、中高生を魅了し、翻訳されて海外でも読まれた。
 学術誌の編集を任されていた時、ギリシャの学者が書いた論文が目にとまる。VAN法との
出会いだった。「多くの偉い人たちが駄目だと言っていた。だがエッセンスは悪くないと思った」
 論文を掲載し、ギリシャに実験を見に行く。機器類は粗末だが、実験はまともだった。
真摯な研究者の姿勢にも感銘を受けた。

 プレートテクトニクスは、大事な部分の研究が終わっている。名声に頼って暮らすのも
悪くないが、直接、世の中の役に立つことをしてみよう。「音楽と音響学が違うように、
地震予知と地震学は違う」。それまでの日本の研究では、地震の予知は困難だと考えていた。

 東海大教授長尾年恭(ながおとしやす・57)は、地震研の上田研究室で博士課程を終えた。
上田がVAN法に傾いていくのを間近に見ていた。金沢大の研究者になってテーマを選ぶとき、
深海掘削にするか地震予知にするかで迷った。「深海掘削は通常の科学だから誰でも
それなりに成功する。面白いテーマに人生をかけたかった」。

  ****

 上田が東海大に移ると、長尾も続き、2人で研究を続けてきた。国からの支援は乏しく、
苦戦を強いられている。
 今年9月、大阪で地震予知研究国際フォーラムがあった。上田は「阪神大震災以降、
基礎研究重視の美名のもと予知が敵前逃亡的に放棄されてきた」と力説した。長尾は電磁気的な
地震予知研究を説明し「地震に先行する電磁気現象はある」と研究の必要性を訴えた。

 東日本大震災が起きる前、地震研究に関する国の予算は例年100億円ほどだった。
このうち予知は約4億円。目前の地震の予知となると、先数百万円に過ぎず、研究者も
わずかしかいない。ただ、東海地震だけは、気象庁が「可能性がある」と取り組む。

  ****

 茂木清夫(もぎきよお・82)は、東海地震の発生を見極める気象庁の判定会の
会長を務めた。上田とともに地震研の看板教授だった。岩石に力を加えて壊す地震を
模した実験で注目された。地下のマグマと地表の変化の関係を示す「茂木モデル」は
今も使われている。

 東海地震を前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)は78年に施行された。
この法律により、判定会が東海地震を予知すると、首相が警戒宣言を出し、交通機関や
産業活動がストップする。
 茂木は96年3月、判定会長を辞任した。前兆が観測できるかどうかも分からないのに、
地震が起きるか起きないか二者択一の決断を迫られる。納得できなかった。「警戒宣言は
まるで戒厳令。白か黒かだけでなく、灰色も必要だ」。国は注意信号に当たる「注意情報」を
2004年から始め、宣言の前に準備ができるようになった。

 大震法ができた当時、予知の実現は楽観視されていた。今、楽観論はまったく聞かれない。
東海地震だけでなく、西側の東南海地震、南海地震の同時発生も心配されている。
仮に警戒宣言を出せても、近畿や四国、九州はどう対応すればいいのか。予知を前提に
したツケが、のしかかっている。


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