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幼馴染「僕は君みたいな貧乏人には興味無いからね」

112以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:36:19 ID:jWVIZJO.
男「幼馴染の夢は玉の輿だもんな」

幼「はっきり言うと女性なら誰だって財力のある人間には目がいくものだよ」

男「ま、そりゃ立派なステータスだもんな」

幼「品定めしていく内に三十路を越えて売れ残りになってしまうからね」

男「売り手市場から一気に買い手市場だもんな」

幼「そういうことだね」

男「ていうか私立行けば良かったじゃんか」

113以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:36:52 ID:jWVIZJO.
幼「ボクは別にそこまでお金持ちと結ばれたいわけじゃないよ」

男「はいはい」

幼「むぅ」

男「まあ幼馴染なら苦労はしないだろうよ」

幼「どういうことかな?」

男「幼馴染ほどの外見なら金持ちの方から寄ってくるからな」

幼「ボクはきちんと中身を見てくれる人を選びたいね」

114以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:37:39 ID:jWVIZJO.
男「財力で選ぶ奴のセリフかそれ」

幼「うるさいなあ」

男「で、昨日のカラオケでは見つかったのか?」

幼「駄目だね」

男「駄目なのか」

幼「お金持ちの息子ってだけで教養も無いような人たちだったよ」

男「....お前、理想高いよな」

幼「そうかな?」

115以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:38:13 ID:jWVIZJO.
男「必ずダメ出しから入るし」

幼「それは否定できないかも」

男「ま、いい奴が見つかるといいな」

幼「........」

男「で、服はいいの見つかったのか?」

幼「えっ?えっ、と....」

116以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:38:43 ID:jWVIZJO.




男「さて、帰ったら勉強せんとな」

幼「君は勉強のことしか頭に無いのかい?」

男「センターに向けて対策練らないと」

幼「センター???まだ高校二年なのに?」

男「んー、うん」

幼「気が早いね」

117以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:39:23 ID:jWVIZJO.
男「んん........」

幼「どうかしたの?」

男「ま、俺には塾やら予備校やらに行く金も出せるかわからないラインなんだよ」

幼「それは残念だったね」

男「ああ」

幼「....あ、あのさ」

男「?」

幼「今日は、その、ご飯ありがとう....」

男「お礼言われる程のランチの質でもないぞ」

118以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:39:56 ID:jWVIZJO.
幼「そ、そのまあ腕を組んだだけじゃ対価にならないと思うんだ」

男「いや俺は別に対価とか」

幼「あ、あのその....ボクの部屋でよければいつでも勉強しにおいでよ」

男「へっ」

幼「連絡さえくれれば自習室として使ってくれてもいいよ」

男「いや、それは流石に申し訳ないと言うか」

119以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:40:29 ID:jWVIZJO.
幼「君は残念ながら勉強は人並み以上に出来るからね」

男「残念で悪かったな」

幼「宿題を中心に自習しにおいでよ」

男「でも幼馴染の親にも気を遣わせて悪いだろ」

幼「いやいやむしろもった気を遣わせてあげなよ」

男「はぁ??なんでだよ」

幼「なっ、何でもだよ....」

120以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:41:05 ID:jWVIZJO.
男「そりゃ冷房の効いた部屋で勉強できるのははっきり言ってすごい魅力的だからな」

幼「そうだろうね」

男「でも俺幼馴染の連絡先知らないし」

幼「!!! そ、そうだね 連絡先を交換しようよ」

男「そうだな」

幼「君は未だにガラケーなんだよね」

男「悪かったな」

121以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:41:44 ID:jWVIZJO.
幼「まったく....しょうがないからメールで相手してあげるよ」

男「なんかムカつく」 

幼「何故君なんかにボクの連絡先を教えてあげなければならないのかね」

男「えぇ....自分で提案しておいて....」

幼「それと!ボクのアドレスとか他人に教えないように」

男「あー 稀に聞かれるんだよな」

幼「そのたびに知らないと答えているのかい?」

122以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:42:14 ID:jWVIZJO.
男「あぁ まあそのたびに嘘だろ嘘だろ言われるけどな」

幼「ふぅん これからも教えないように頼むよ」

男「今まで通り 知らないって言っとけばいいわけだ」

幼「えっ、と....“知ってるけど教えない”でいいんじゃないかな?」

男「えぇ?知ってるって言ったら余計面倒だろ」

幼「むぅ」

男「俺押しに弱いし」

幼「そうだった 君は誘惑に弱い男だったね」

123以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:43:01 ID:jWVIZJO.
男「変な言い方にするなや」

幼「君だって安易に教えられたら嫌だろう?」

男「確かに」

幼「ボクだって同じさ だからボクにアポなんて取ろうとせずにきっぱり断ること いいね?」

男「はーい」

幼「....わかっているのかな?」

124以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:43:40 ID:jWVIZJO.
男「メアドとか手打ちでいいんだよな....?」

幼「これだからガラケー民は....」

男「あんまり交換とかしないからさ」

幼「他の男子とかは?」

男「友の奴が俺のメアド聞かれたら教えてるっぽくて、そいつから俺にメール来たらコッチが登録してる感じかな?」

幼「へぇ....そ、それは女子も一緒なのかい?」

男「んー?そうだな たまにメアド渡されたりしたけど」

125以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:44:39 ID:jWVIZJO.
幼「君が顔文字使ったりしているのを想像すると吐き気と頭痛が同時にくるね」

男「うるせえな 幼馴染はどうなんだよ」

幼「君には使わないであげるよ」

男「幼馴染の方が顔文字使いそうなイメージ無いけどなあ」

幼「失礼な」

男「えぇー幼馴染が(`・ω・´)とか(。・ω・。)とか使ってるって考えたら....ブフッ」

幼「君のメアドを片っ端からスパムに登録しておくよ」

男「すいませんでした」

幼「君が期待しているような可愛い顔文字も絵文字無いよ」

126以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:45:28 ID:jWVIZJO.




土曜日 昼 学校



教諭「はい!講習はこれにて終了!みんな土曜日なのにお疲れ様!」

生徒「起立 気を付けーおちんちーん」

男「ありがとうございまんこしたー」

「終わったー」 「帰りにラーメン行こうぜ!」

男「(さすがに午後は教室閉めるよな......)」

幼「午後は教室使えないよ」

男「ぬおっ!?」

幼「どうせ居残って勉強でもしようとしていたんじゃないのかい?」

男「......まあ」

幼「君の考えそうなことだね」

127以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:46:07 ID:jWVIZJO.
男「15時からバイトだから微妙に時間余っちゃうんだよな」

幼「バイト先に休憩室は無いのかい?」

男「そういや.....あるけど駄目だな まああるには、ある」

幼「?」

男「女先輩とかいたら勉強どころじゃないし」

幼「女先輩......?」ピクッ

男「2コ上の人でさ ○○女子大通ってるめっちゃ頭いい人なんだけどさ」

幼「ふぅぅん で、その学業優秀の先輩がいて何で駄目なんだい?」

男「いやもうマシンンガントークでね 話かけてきまくりなんだよ...」

128以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:46:40 ID:jWVIZJO.
幼「ふぅん.....あっそ...」

男「今日シフト被ってるんだよな...帰りに捕まるとこれまた話が長いんだよ」

幼「帰りって何時なんだい?」

男「今日は22時だ 長い長い一日だ」

幼「それは大変だね」

男「無理やり晩飯奢ってくるのし」

幼「...........」

男「面倒見はいいんだよな ちょっとお節介だけど」

幼「今日とか御馳走にでもなればいいじゃないか」

129以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:47:17 ID:jWVIZJO.
男「いやいや 与えられる事に慣れるのは男としてさ」

幼「と、言いつつ期待しているくせに」

男「期待も何も向こうが奢るって言ったら断っても聞かないんだよ」

幼「そんなお節介さんなのかい?」

男「やばいね」

幼「........」

男「先々週なんて断ったら『じゃあウチに食べに来い!』だぜ?流石に焦ったな」

幼「っ!?」

男「仮にもあんた一人暮らしだろって...」

130以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:47:50 ID:jWVIZJO.
幼「い、いかっ....」

男「イカ?」

幼「ぃぃ、行かなかったのかい?そそそ、その先輩の家とやらに」

男「流石に断るよ 気まずいし」

幼「ふぅぅぅん 君にしては意外な選択肢だったね」

男「なんで意外なんだよ」

幼「君のような野獣はてっきりその先輩も御馳走になるのかと」

男「んな真似するか 好きでもないし」

幼「っ、...そう」

131以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:49:12 ID:jWVIZJO.
──────夜 男のバイト先

男「ふぅ....(あと15分か)」

先輩「あぁーやっと暇になったね」

男「ですな」

先輩「お腹ペコペコのバッキバキだよー」

男「バッキバキて...」

先輩「まあ私腹筋割れてるし」

男「おぉ、流石陸上部!」

先輩「見る?」

男「えっ、遠慮しておきます」

先輩「フフフ 時に男君!夜ご飯はどこで食べるのかにゃ?」

男「家帰ってから食べます」

132以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:49:45 ID:jWVIZJO.
先輩「ええぇ?家帰るまでに餓死しちゃったらどうするの?」

男「どんな極限状態ですか」

先輩「明日休みでしょ?なら先輩が御馳走するよ!」

男「いやいや大丈夫ですって」

先輩「遠慮しないでよう」

男「してないですって あっ、ほらお客さッーー」

先輩「いらっしゃいませい!」

幼「ストレートティーください アイスで」

先輩「はい お待ちください」

男「(何でアイツが...)」

先輩「およよ?どしたの?」

133以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:50:18 ID:jWVIZJO.
男「あ、いや、知り合いなんです」

先輩「えっ?あのおっぱい大きい子?」

男「いや、まあ、はい......」

先輩「彼女か!!」

男「いや付き合ってるとかじゃないんですけどね」

先輩「ふぅん……見せつけてくれるね」

134以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:50:50 ID:jWVIZJO.
客席

男「ほいアイスティー こんな時間に何しに来たんだよ」

幼「ちょっと近くまで用事があってね」

男「用事?こんな時間に?」

幼「まだ九時台じゃないか」

男「まぁそれもそうだけどさ ここらへん夜になると真っ暗だし」

幼「そうだね」

男「とりあえず22時過ぎまで待ってろよ」

幼「む」ピクッ

男「もう用事は住んだんだろ?」

幼「う、うん」

男「じゃあ俺も一緒に帰るからさ 上がるまで待っててくれ」

幼「ッ、しょうがにゃいなあ...」

135以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:51:27 ID:jWVIZJO.
アップ後

先輩「えっ!?もう帰っちゃうのかい?」

男「あいつ待たせてるんで」

先輩「一緒に帰宅?それとも今夜は......おちょめちょめ!?」

男「おちょっ?いや、まあ家が近所なんですよ」

先輩「へえぇ いいなあ」

男「いいのか悪いのか」

先輩「男君が22時に上がるって知ってたの?」

男「まあ、多分」

先輩「ふぅん あぁっぁあ!羨ましいね!」

男「?」

136以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:52:03 ID:jWVIZJO.
男「?」

先輩「君も罪な男だねえ」

男「な、なんすか茶化さないでくださいよ」

先輩「フフフ 照れない照れない」

男「あぁもう!お疲れ様でしたっ!」

先輩「はいはいお疲れ様!そんでもって御馳走様!」

男「んじゃ!」

先輩「.....ハァ 羨ましい」

137以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:52:36 ID:jWVIZJO.
男「おう」

幼「ん」

男「帰ろうぜ」

幼「ん」

男「どうした?」

幼「あの先輩に晩御飯誘われてないのかい?」

男「ん?まあ毎回の事だし断ったけどさ」

幼「ボクなんかほっといて食べに行けばいいのに」

男「そういうわけにはいかないだろ」

幼「........」

男「ほらっ 帰ろうぜ」

幼「ん」

138以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:53:09 ID:jWVIZJO.
帰路

男「徒歩だったのか」

幼「ん」

男「用事ってなんだったんだ?」

幼「君には関係の無いことだよ」

男「教えてくれたっていいじゃんかよ」

幼「無いったら無いよ」

男「はいはい分かりました」

幼「にしても」

男「?」

幼「実に美人な先輩だったね」

139以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:53:39 ID:jWVIZJO.
男「ああ女先輩か」

幼「そして確かに壊れたラジオ感は出ていたね」

男「だろ?止まらないんだよ」

幼「あんな美人な先輩にご飯に誘われるんなんて......それを断るなんてね」

男「美人は別に関係無いけどな」

幼「勿体無いことするね」

男「奢ってもらうのって気が引けるだろ」

140以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:54:20 ID:jWVIZJO.
幼「おや?招待されたんじゃないのかい?先輩の部屋という花園に」

男「言い方おっさん臭っ!」

幼「食欲と有り余った性欲も満たされるはずだったのにね」

男「いちいち突っ込むのも面倒くせぇ」

幼「........オホン ま、ませっかく御馳走してもらえるチャンスだったのにボクのせいで潰れてしまったわけだね」

男「いや別にそんな風には」

幼「あ、あ、あれだね お詫びにボクの家が夜ご飯を出せばいいんじゃないのかな?」

男「?」

幼「ボクの家で食べていきなよ」

141以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:54:50 ID:jWVIZJO.
男「いやいやそれが一番気が引けるんだって」

幼「今お母さんに連絡するよ」

男「そんな急に」

幼「OKだそうだよ」

男「早ッ」

幼「LINEは早いんだよ」

男「そ、そうなのか」

幼「それで、食べて行くんだよね?」

男「でも.....」

幼「ボクの母親は君のためにもう夜ご飯を作っているだろうね...」

男「えぇ」

幼「その気持ちを無下にするなら別に」

男「わ、わかったよ御馳走になるよ」

幼「そう ついでに宿題もやろうね」

142以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:55:23 ID:jWVIZJO.
男「そっちがメインだったろお前」

幼「何を言うんだか......御馳走になっておいて」

男「まぁ明日休みだからいいけどさ」

幼「また寝る気だね」

男「今度は寝ねーよ」

幼「どうだか」

男「寝ないって」

143以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:57:40 ID:jWVIZJO.






幼母「遠慮しないでねっ!」

男「いつもスイマセン......」

幼父「男君の親父には俺が若いころにかなり世話になったからな!遠慮するな!」

男「は、はぁ(幼父さんかなり酔ってるな)」

幼父「今日はあれらろ!!泊まってくんだろ!?ん!?」

男「い、いやそういうワケでは....」

幼父「られー?幼馴染が今晩は男君が泊まッーんぐぉ!?」

144以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:58:13 ID:jWVIZJO.
幼「ほら、酔っ払いはとっとと死んで」

幼母「お父さん大分酔ってるみたいね」

幼「お母さん、この酔っ払いを部屋まで」

幼母「はいはい」

男「お前なぁ......お父さんにエルボーかますなよ」

幼「お酒入るとあることないこと喋るからね」


───────幼馴染の部屋

幼「は?」

男「だから俺はもうやってあるんだって」

幼「あ、あ、あの量の宿題を?」

145以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:58:45 ID:jWVIZJO.
男「結局バイトまでの時間と休憩中に終わっちまった」

幼「そ、そういうところは恐れ入るね」

男「下手に残しておくとプランたてにくいからさ」

幼「そう」

男「...」

幼「......」

幼「ッ、......強いて言うならココとココとココと他には」

男「めっちゃあるやん」

幼「教えてくれてもいいよ」

男「.......ハァ」

幼「ほら、隣来てよ」トントン

男「はいはい」

146以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:59:16 ID:jWVIZJO.




幼「うん、終了」

男「お前殆ど俺の写したしただけじゃねーか」

幼「減るもんじゃないし」

男「いいように利用しやがって」

幼「お詫びにお風呂を貸してあげるよ」

男「もう夜遅いしいいよ」

幼「せっかく君のために沸かしたのに?」

男「いや、でもですねえ」

幼「わざわざ沸かしたガス代......」

男「俺の断れないツボをグイグイ圧すな」

147以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 23:59:46 ID:jWVIZJO.
幼「ちょろいからね」

男「はい」

幼「遠慮されるような事ではないよ せっかく準備したんだし」

男「準備してから言われると断りにくい」

幼「知ってて準備してるんだよ」

男「ハァ...」

幼「はい早く行っておいで」

男「えぇ」

幼「はよ」

男「ハァ はいはい」

148以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:00:19 ID:.iShZW4M


男「ふああ」

幼「長いお湯だったね 遠慮しないタイプだったんだね」

男「お前が洗面所にいるから出られなかったんだろ...」

幼「おや?」

男「んなんだぁよ...」

幼「眠そうだね」

男「んん......帰らなければ........」

幼「あっ」

男「ん?」

149以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:00:52 ID:.iShZW4M
幼「君に渡すものがあるんだった」

男「はえ?」

幼「その前にお風呂に入ってくるから待っててね」

男「ええぇぇっぇ」

幼「今玄関とか窓開けるとセコム来るからね(大嘘)」

男「軽い軟禁じゃねぇか」

幼「寝ててもいいよ」

男「そういわけには...」

幼「っじゃ」

男「......眠い......」








150以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:01:22 ID:.iShZW4M
───────────────

小学生時代のお話


男「おはよう幼ちゃん!」

幼「おはよう男君」

.......男君のお父さんが居なくなったと聞いてから随分と時間が経った
��亡くなった��ではなくて、��居なくなった��という話はどこか引っかかっていたけど

男「昨日突き指したところすごい腫れちゃったよー」

幼「気をつけないと駄目だよ?」


いつも通り彼は元気だった

男君のお父さんが居なくなってから、彼と男母さんは隣のアパートに引越してきた」
元から親同士が仲良く、同じように仲の良かった私はとても嬉しかった
私一人だった登下校が彼との二人での登下校になった。二人だけの時間。男君も同じように嬉しく思っているんだろうと思った

151以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:01:53 ID:.iShZW4M

ある日 土曜日

男「あ、おはよう」

幼「おはよう」

男「.......」

幼「ねぇねぇ、たこ焼きマントマン見た?」

男「あっ、あっ、うーん......見てないや」

幼「そっかー ボクも途中までしか見てないけどね」

男「.......」

幼「元気無いね」

男「そんなことないよ」

幼「そう? 嫌だなぁ今日...」

男「......」

幼「授業参観だなんて...来なくていいのに.......」

152以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:02:24 ID:.iShZW4M
─────────学校

先生「はい!じゃぁ今日は作文をね!発表ね!してもらいます!」

生徒「ヤダヤダー」

先生「フフフフ 今年は誰に読んでもらうかはぶっつけ本番で指名しますからねぇ」

男「........」キョロ...

幼「嫌だなぁ」キョロキョロ

「ゲッ!俺のトーチャン!」「あ!○○のお母さんだ!」
「おぉ、△△の母ちゃんの着物だぞ!」「●●の母ちゃんってマジでマサイ族だったんだな!」

幼「あっ!」

男「!?」

幼母「チャオー」フリフリ

幼「うぅ....(何で来るかなぁぁ)」

男「.....」ガックリ

先生「はい!幼馴染さん!読んでくださーい!」

幼「っ!?」

153以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:03:00 ID:.iShZW4M
幼「------です。おわり」

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先生「いやはや本当に素晴らしい作文でした」

幼母「よっ!にっぽんいちー!」 \ドッ/

幼「あぅうぅぅ」

「ギャハハハ!幼の母ちゃん面白ぇー!」

先生「さあて次は」

「幼馴染読んだんだから次は男の番ー!」「そうだー!」

男「えっ えっ?」

先生「.......」

「ほら恥ずかしがってないで読めよ男ー!」「はーやく!はーやく!」

先生「と、言うわけで読め読めうるさいけど本当は自分が読みたくてしょうがない△△!」

「えぇ!?」「アハハ!△△だせー!」

先生「さ、読んでみよう!」

男「ホッ」

154以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:03:31 ID:.iShZW4M
-----授業終了

幼「もう!なんで来るの!?」

幼母「だってぇー授業参観だしぃー」

幼「ばかばかばか!」

幼母「オホホホ それじゃ、私は先に帰るわねっ」

幼「帰ってよもう」

男「......」

幼「変にお洒落までしてくるなんて......ああ恥ずかしい」

男「そうかな?」

幼「男君のお母さんは?」

男「仕事」

幼「仕事かぁ いいなぁ」

155以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:04:03 ID:.iShZW4M
男「なんで?」

幼「だって仕事だったら来ないでしょ?」

男「......うん、来ない」

幼「ボクなんて来ちゃった挙句に作文まで読まされたよ」

男「良かったよ?幼ちゃんの作文」

幼「良くないよっ 恥ずかしいだけだもん」

男「そう?かなぁ」

156以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:04:36 ID:.iShZW4M


運動会   お昼

男「...........」

「お弁当食べよう!」「うわぁ!△△ん家の弁当すげぇ!」「お父さん撮ってー!」「●●の父ちゃんシマウマの肉獲ってきてるぞ!!」

男「.............」

男「......」スタスタスタ


幼「......」キョロキョロ

幼母「どうしたの?」

幼父「男君はどこだ?」

幼「それが探してるんだけど...」

157以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:05:42 ID:.iShZW4M
幼父「んー?午前中は玉入れに出ていたんだよなあ?」

幼「誰かと食べているのかな?」

幼母「だといいけれど...」

幼「ボクもお腹空いた」

幼父「おう!パパもお腹空いたぞ!」

幼母「男君の分はあってもパパの分は無いわよ」

幼父「おうぅ」

158以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:06:14 ID:.iShZW4M


ーーーー校内 図書室

男「...........」ガサガサ

男「おにぎりじゃなくてパンにすればよかった」

男「...明太子にすればよかった......」

男「雨...降ればよかったのに...」


____午後

幼「どこに行ってたんだい?」

男「ん ちょっとね」

幼「お母さん来た?」

男「仕事」

幼「そっか」

男「ん」

159以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:06:44 ID:.iShZW4M
男「ん」

幼「あれ?じゃあお昼は誰と食べてたの?」

男「え、と、友達と...」

幼「そっか ならいいなだけど」

男「うん」

幼「.........」

160以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:07:32 ID:.iShZW4M
<<<小学校 六年生>>>

幼馴染の家

幼父「よっ!ほっ!」

男「えぃ!」

ゲームオーバー!

幼父「おっとと、また負けちゃったな!」

男「俺の勝ちー!」

幼父「強いなぁ男君は!」

男「えへへ」

幼「お父さんが弱いんだよ」

幼父「そういえば来週は運動会だな」

幼父「そうねえ」

幼「嫌だな」

男「......」

161以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:08:05 ID:.iShZW4M
幼父「親子参加種目は二人三脚と綱引きと......あとなんだっけか?」

幼「出なくていいよ」

幼父「どうだ男君!俺と二人三脚でないか!?」

幼「っ」ムスッ

男「えっ?」

幼父「男君足速いし優勝できると思うぞ!ガハハ!」

幼「(最近パパって男君に甘いよね)」
幼母「(仕方ないじゃない......)」
幼「(......)」

幼父「どうだ?」

男「えっ?い、いいのかな?」

162以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:08:40 ID:.iShZW4M
幼父「いいに決まってるだろう!俺と組めば優勝間違い無し!」

幼「むう」ムスッ

男「えへへ、じゃ、じゃあ」

幼「駄目」

男「っれ?」

幼父「っと、いいじゃないか別に」

幼「二人三脚はあくまで親子だもん」

幼母「いいじゃないの別に……」

幼父「そうだぞ 親子みたいなもんなんだし」

幼「むう!パパは私のお父さんでしょ!?」

幼母「ほらほら嫉妬しなーいの」

男「あ、あの......」

幼「駄目ったら駄目!」

幼父「ハッハッハ!嫉妬だなんてなー じゃあ幼二人三脚出るか!?」

幼「出るわけないじゃん」

163以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:09:13 ID:.iShZW4M
幼父「なら別に男君と出てもいいだろう」

幼「むう」

男「い、いいの?」

幼母「もちろんよ」

幼父「優勝するぞー!」

男「へへへ.....親子二人三脚.....」

幼「駄目!パパは私のお父さんなの!」

男「でも幼ちゃんのお父さんは」

幼「駄目に決まってるじゃん!男君のお父さんじゃないんだしっ!」

幼母「幼馴染ねぇ」

幼父「だいたい男君お父さんいないくせっ!!!」

男「ッ......」
幼父「!」
幼母「!!」

男「あっ、そ、そうだったー!俺お父さんいないんだったー!」

164以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:09:46 ID:.iShZW4M
幼「.........え、えっとその、あの、その.....」

男「だから駄目なんだった!ごめんね幼ちゃん!俺もう帰らなきゃ!」

幼「あ、あの」

男「お邪魔しましたー!」

幼母「ッ」バチーン!

幼父「ちょっ!?ビビビンタですか....」アワワ

幼「痛ッ!?」

今現在最初で最後の母の激怒。痛かったけど...だけどそれ以上に痛かったのは男なんだろう
自分の軽率な発言。そのあとの男の表情は一生忘れられない
授業参観の時も、運動会の時も、誰かを捜すように周りを見渡していた彼の心をしった
突きつけられる彼の現実を、彼の痛みを......どうして私はもっと早く気付いてあげられなかったのだろう

165以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:10:18 ID:.iShZW4M
運動会前日

TV「明日は快晴です!山下!金返せ!」

幼「.......」

幼母「運動会日和ねえ」

幼「ねえお母さん」

幼母「なあに?」

幼「あのね、明日のお弁当なんだけどさ......」

166以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:11:03 ID:.iShZW4M
────翌日運動会 お昼


男「.........」

「▽▽の家も一緒に食べよう!」「お父さん!綱引き出ようよ!」
「父ちゃん、二人三脚前に食いすぎないでよ」
「●●の母ちゃん50m4秒台らしいぞ」「やべえだろそれ」


男「........」スタスタ


─────校内図書室

男「(お昼、食べよう......)」

幼「図書室での飲食は禁止だよ」

男「ッ!?」ビクッ

幼「まったく....どこに行くのかと思えば」

167以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:11:36 ID:.iShZW4M
男「な、なんだ幼ちゃんか」

幼「トイレの時以外は校内に入っちゃダメって先生言ってたじゃんか」

男「.....俺は毎年入ってるし」

幼「毎年ねぇ」

男「で、どうしたの?みんな外にいるよ?」

幼「い、いや、その」

男「?」

幼「ボ、ボクもここでお昼を.....」

男「そっか」

幼「......」

男「......」

幼「と、言うワケだよ」

男「じゃあ一緒に食べようか」

幼「っ、うん」

168以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:12:55 ID:.iShZW4M
幼「そうだ」

男「?」

幼「おかずの交換っこをしようよ」

男「え?....でも俺コンビニのおにぎりだよ?」

幼「っっっとと、そ、そうだったね」

男「ごめん...」

幼「まあでもいいよ ボクの親はどうやらおかずてんこ盛りにしてしまったらしいんだ」

男「そっか」

幼「ほら、あげる」

男「えっ、いいの?」

幼「遠慮しないでよ はい」

169以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:13:43 ID:.iShZW4M
幼「これとかこれとかこれとか」

男「わぁ...」パァ

幼「おにぎりだけじゃパワー出ないからね」

男「いただきます」

幼「どうぞ」

男「モグモグ」

幼「.......毎年ここで一人で食べてたのかい?」

男「モグモグ......ん....」

幼「そう」

男「.........」

幼「.........」

男「.......結局、今年も来なかったんだ」

幼「お父さん?」

男「来るわけないのにね」

170以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:14:16 ID:.iShZW4M
幼「......」

男「ありがとう幼ちゃん」

幼「っ」

男「今年は楽しい運動会だったかも」

幼「まだ終わってないじゃないか」

男「それもそうだね」

171以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:14:58 ID:.iShZW4M








委員長「では!体育祭にむけての種目別エントリーを始めます!!」

委「内村君と荒波君は代表リレー」

委「石川君と梶谷君と筒香君と下園君は騎馬戦!」

委「多村君が怪我をしてしまったので欠場」

委「井納君はパン食い競争!」

委「男!」

男「あー、俺は玉入れがいいなー」

委「そんな種目は無い」

男「疲れないやつで」

委「安心しろ お前にはとっておきの種目がある。内定済みだし拒否権も無い」

男「んっ?え?」

172以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:15:29 ID:.iShZW4M
ちょっと前


幼「なんでボクが二人三脚なんかしなければならないんだい?」

委「そこをなんとか.....!!」

幼「.....」

委「ウチのクラスから一組出さなきゃいけないんだけど生憎出せるのが幼馴染さんとこだけなのよ...」

幼「どういう意味だい?」

委「で、でも男のほうは了承してくれてるんだよ!(嘘)」

幼「っ」ピクッ

委「とととりあえず相手はともかく男女二人三脚には出てくれるみたいでさ」

幼「別に彼が出ようがボクには関係ないけど」

委「そ.....そうだよな.....」

173以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:16:02 ID:.iShZW4M
幼「他をあたってみなよ ま、相手なんて見つからないだろうけど」

委「んー、まぁ男とペアならいいって子は何人かいるからそっち当たるかあ」

幼「ッッッ」キュピーン

委「ぴぇっ(なっーーなんだ??殺気っ!?)」

幼「そんな罰ゲームじみたことを引き受けてくれる人がいるとでも?」

委「へ?ま、まあ......」

幼「.....ふぅん」

委「ギャル子ちゃんとか『別に男っちとなら全然余裕っしょ!』みたいなノリだったし」

幼「それはやせ我慢だね」

委「えぇ!?そ、そんな風には見えなかったけど.....むしろノリノリだったような」

幼「ギャル子ちゃんはクラスのムードメーカーだから気負わせたくないものだね」

委「んんん、あ!でも」

地味子『うーーん....え?男君がペアなんですか?そ、それなら....』

委「って言っててくれてたし」

174以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:17:12 ID:.iShZW4M
幼「地味子ちゃんは断れない優しい子だからね」

委「えぇぇぇ....あ、で、でも留学生のユリアンちゃんは」

ユリアン「オレ....ツヨイヤツ.....モトメル....」

委「だったし!」

幼「あの子のポテンシャルに二人三脚は役者不足だね」

委「あ、でも影薄子ちゃんは!」

影薄子「..............」コクッ

委「って返事くれたし!」

幼「寝ていただけだよ」

委「それならあの子は!」

幼「ダメ」

委「あの子!」

幼「駄目」

委「あの子!」

幼「め」

175以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:17:56 ID:.iShZW4M
委「ハァハァ.....じゃ、じゃあどうしろと.....」

幼「しょうがないからボクが出るしかないね」

委「(最初からそう言ってよ....)」

幼「クラスのためだからね」

委「あ、ありがとう...」

176以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:18:33 ID:.iShZW4M
そんで


委「お前は二人三脚」

男「?」

委「幼馴染さんと」

男「は?」

委「確定事項につき拒否した場合は内申に影響するおそれもあるとかないとか」

男「選択の自由は?」

委「あと打ち上げについてなんだけど」

男「えぇー...」

177以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:19:04 ID:.iShZW4M

放課後練習

男「で、だな」

幼「最悪だね」

男「お前こそなんで断らなかったんだよ」

幼「仕方ないよ ボクも断腸の思いだったんだ」

男「.......」

幼「ま、こうなってしまった以上はクラスの皆に迷惑はかけれないからね」

男「まあな」

178以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:19:35 ID:.iShZW4M
幼「フム で、このハチマキを足に巻くわけだけど」

男「左右どっちがいいんだよ」

幼「......」

男「な、なんだよ急に黙るなよ」

幼「ボクにいい考えがあるんだ」

男「?」

幼「これを君の首に巻いて君が這いつくばる。それにボクが跨ってゴールを目指すっていう画期的な案なんだけど」

男「突っ込まんぞ」

179以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:20:19 ID:.iShZW4M
幼「冗談だよ こんなの君にとってはただのご褒美だからね」

男「ドMか俺はあんめ」

幼「まったく.....ふざけたこと言ってないで左右どっちか決めなよ」

男「俺は終始真面目だったぞ じゃあ俺が右 幼は左な」

幼「ん」

男「とりあえず.....実際に走ってみるか?」

180以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:21:11 ID:.iShZW4M
幼「その前に」

男「? どうした?」

幼「まず二人三脚とはボクの体には一切触れないこと」

男「え?それ無理じゃね?」

幼「汗をかかないこと 息もダメ こっちも見ないこと」

男「......」

幼「なんだいその目は?」

男「いや、なんていうか嫌なら嫌とはっきり言ってくれ」

幼「っ」

男「とりあえず委員長には俺のほうから言っておくよ 二人三脚って意外とハードみたいだし幼にはキツ」

幼「オホン」

181以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:21:43 ID:.iShZW4M
幼「わかったよ しょうがないなあ」

男「はえ?」

幼「委員長に迷惑かけれないし練習してあげるよ」

男「っても息もするし汗もかくし体だって密着すれば多少は触れるぞ」

幼「我慢するよ」

男「どうせ始めたらぶう垂れるくせに」

幼「君は失礼だね どうせ二人三脚に乗じて淫らなハプニングを期待していたんだろうに」

男「してないけど」

幼「どうだか」

男「ハァ あぁもうやるぞ」

182以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:22:16 ID:.iShZW4M



男「っよっと....(ギュ」

幼「きつい」

男「きついくらいが丁度いいんだって」

幼「近い」

男「仕方ないだろ」ガシッ

幼「んぇッ!?」

男「うわっ....お、お前変な声出すなよっ」

幼「きききき君が急に肩抱き寄せるから!」

男「え、だって二人三脚ったら肩組まないと走れないだろ?」

幼「しょ、しょーだけど....」

183以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 00:22:47 ID:.iShZW4M
男「痛かったか?」

幼「平気 気持ち悪かったけど」

男「すいませんね」

幼「迂闊だった 確かに二人三脚は肩組んでたね」

男「あとはシンクロですな」

幼「君は早漏だから先にテンポ取りそうで嫌だよ」

男「はぁ」

幼「早漏テンポテンツと改名するべきだね、うん」

男「突っ込まないからな」

幼「事実だと認めるんだね?」

男「違うわ!!」

184以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/15(火) 20:15:11 ID:LGXgIa0g
おつ

185以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:36:38 ID:AWASrtxQ
男「お前な、女子なら早漏とかいう言葉は控えろよ」

幼「焦らないでよ」

男「呆れているんだ とりあえず練習するぞ」

幼「はいはい」

男「んと 1 2 1 2 の掛け声で足出してけばいっか」

幼「君は手を出すが早いからゆっくりね」

男「なんの話だ」

186以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:37:09 ID:AWASrtxQ
男「とりあえず幼の右足の歩幅に俺が合わせる」

幼「はい」ヒョイ

男「こんなもんか」

幼「む」

男「なんだよ」

幼「肩の触り方がいやらしい」

男「いやらしくないだろ」

幼「なんか嘗め回すようにさわってくるから」

男「ソフトに触ってるんです」

幼「ソフトタッチというやつだね」

男「んん?んー、タッチではないだろ」

187以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:37:42 ID:AWASrtxQ
幼「ん」

男「時間も無いし練習しようぜ」

幼「走るのかい?」

男「まずはゆっくりな」

幼「あんまり興奮して早く腰動かさないでね?」

男「足な」

幼「っけ」

188以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:38:15 ID:AWASrtxQ
男「せーの」
幼「せーの」

男「いっち」ヒョイ

幼「に」ヒョイ

男「いっち」ヒョイ

幼「今えっちって言った?」ピタッ

男「いっーちょえ!?」ズザッー

幼「ちょちょちょ、転ばないでよ」

男「止まるなよっ!」

幼「だって今なんか卑猥な言葉が聞こえたから.....」

男「どんだけ思春期脳だよ ったく...」

幼「怪我しないでよね?」

男「あやうくしかけたわ」

189以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:39:01 ID:AWASrtxQ
周り「なにやってんだお前ら」

周り「相変わらず仲良いな 優勝頼むぜ」

男「.....予選突破も怪しい.......」

幼「まったくだよ」ハァ

男「とりあえず.......」

男子「いちに!いちに!いちに!」
女子「ああああああああああああ!!!」

男「あのペアくらいとは言わないけどそれなりに走れないと本番で大恥だからな」

幼「まったくだね 君のせいとは言え恥をかくのはボクもごめんだし」

男「おうテメェだったら真面目に練習しろや」

周り「頼むぜお前らー」
周り「男が羨ましいよ...」
周り「最低でも決勝行けよなー」

幼「ボク、あまり走るのとは不得手なんだけど」

男「知ってるよ」

190以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:39:34 ID:AWASrtxQ
男「まずは一緒に走ることから合わせようぜ」

幼「それが一番難しいんだよ」

男「まぁそうかもしれんが」

幼「........」

男「よしっ」ガシッ

幼「にょっ」

男「とりあえずあのラインまで走るぞ」

幼「ハイハイわかったよ」

男「せーっの」





放送「チンポンマンポーン 今日の練習時間はしゅーりょー早よ帰れ」

男「っげ、もうこんな時間か...」

幼「まったくだね」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:40:07 ID:AWASrtxQ
男「ふう....」

幼「なんだいその溜息は」

男「二人三脚でも結構疲れるもんだな」

幼「まるでボクとのペアが一番疲れるみたいじゃないか」

男「そうは言ってないだろ」

幼「........」ジーッ

男「な、なんだよ」

幼「ちょっとボクの胸とかに意識してたくせに」

男「んがっ!あ、あれは...!」

幼「おや?否定しないんだ」

男「いやちょっと待て待て待て」

幼「あれだけ体が密着してるのもおかしいと思ったんだよ」

男「不可抗力だって!密着してるのはしょうがないだろ!」

幼「ふぅん」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:40:39 ID:AWASrtxQ
男「そりゃちょっとくらい意識はするだろ!」

幼「まったくそんなにムキにならなくても」

男「お前が茶化してくるからだろ」

幼「幼馴染なのにそんなの意識しちゃうんだね」

男「当たり前だろ」

幼「えっ?」

男「いや、男と女なんだから意識するのは当たり前だろ.....幼馴染同士とか関係ねーし」

幼「.......そ、そうなんだ」

男「なんだよ今度は急にしおらしくなって」

幼「君もあれだね、あれ」

男「アレ?」

幼「ボクはもう着替えに行くから じゃっ」

男「あーハイハイ」

193以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:41:12 ID:AWASrtxQ
━━━━━更衣室

幼「...........」

女子「あれ?幼馴染ちゃんどったの?」

幼「へ?」

女子「いや、機嫌いいなあってね」

幼「そ、そう?」

女子「うん もしかして男君と何かあった?あったの!?」

幼「特には何も無かったけど....彼はやはりケモノだったね」

女子「.....?そ、そうなの?」

幼「うん」

女子「なんか男君に嬉しいことでも言われたのかと....」

『意識するのは当たり前だろ 幼馴染同士とか関係ねーし』

幼「......ないない」

女子「ムフフ どーだか?」

194以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:42:02 ID:AWASrtxQ

体育祭一週間くらい前 まぁ一週間くらい前だよだいたい

男「はい」

後輩「あ、ありがとうございます!」

男「そんなかしこまってお礼言われるほどの事じゃないけど.......」

後輩「いえいえ!男先輩は教えるの上手ですから!」

男「そう言われると調子乗るからやめて!」

後輩「フフフ あの、男先輩も二人三脚出るんですよね?」

男「ん、出るよ も ってことは後輩ちゃんも?」

後輩「はい!出ます!」

男「おー」

後輩「.........あ、あの先輩」

男「?」

195以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:42:35 ID:AWASrtxQ
後輩「私と勝負しませんか?」

男「勝負?」

後輩「そうです!二人三脚で!」

男「あー どっちが勝つかみたいな?」

後輩「はい!」

男「いいね けど俺のところは予選突破も怪しそうだわ」

後輩「そ、そうなんですか...?」

男「幼馴染の奴がなあ.....」

後輩「そ、それでですね先輩 もしよければこの勝負にちょっと条件をつけたいんです!」

男「条件?」

後輩「はい!」

男「え?え?条件とな?」

後輩「それは明快!勝ったほうの言うことを聞く!です!」

男「..........えぇ」

後輩「どうでしょう!?」

196以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:43:09 ID:AWASrtxQ
男「えぇえええぇぇっぇぇぇぇぇぇ」

後輩「先輩にとって悪い話ではないと思います!」

男「な、なんでさ」

後輩「例えば先輩が勝てばコレをあげます!」

男「そ、そ、それは食堂の食券!!?」

後輩「21枚あります....フフフ」

男「そ、それは魅力的すぎる...!」

後輩「別に私も無理難題の注文をするつもりじゃありませんよ?」

男「えぇ...でも....」

後輩「そのほうが楽しいし!」

男「むう....」

後輩「ね?(食券チラッー」

男「いやでも」

後輩「はい勝負成立です!では来週の本番は楽しみにしています!」

男「あっちょっー」

197以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:43:39 ID:AWASrtxQ




幼「そんなくだらない誘い文句を真に受けたと」

男「いやなんか勝手に話が進行してしまって」

幼「君もキッパリ断れないね」

男「別に食券に目が眩んだわけじゃないぞ」

幼「でもどうするんだい?言うこと聞くだなんて」

男「んー、まぁ後輩ちゃんの言うことだから宿題の手伝いとかかな?」

幼「.......」

198以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:44:12 ID:AWASrtxQ





幼「やあ」

後輩「! 幼馴染...先輩!」

幼「なにやら男に勝負を仕掛けたそうじゃないか」

後輩「はい!」

幼「何を考えてるか知らないけど」

後輩「フフフフ 本当に知らないんですか?」

幼「ッ」

後輩「体育祭本番 私が勝ったら男先輩貰いますから」

幼「は?」

後輩「聞こえなかったんですか?男先輩、私の彼氏にするから」

幼「ふうん」

199以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:44:44 ID:AWASrtxQ
後輩「約束は約束ですからね」

幼「『私の彼氏になって』とでも言うつもりかい?」

後輩「そこらへんは色々考えてます どうせ勝つのは私ですからね!」

幼「っ」ピキ

後輩「男先輩なら誠心誠意伝えれば断れないって信じてますし!」

幼「男に好意は無いかもよ?」

後輩「そんなの関係ないですよ 私の事好きにしてみせますから」

幼「っっ」ピキキ

後輩「フフフフ 楽しみです」

200以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:45:15 ID:AWASrtxQ
幼「そんな条件飲むわけないと思うけどね」

後輩「別に方法はいくらでもあります!ウチに呼んで既成事実作るって手段もアリですし!」

幼「っっっ」ピキピキキ

後輩「あぁぁ 早く体育祭来ないかなー」

幼「そうだね....」

後輩「あ、行っちゃうんですか?」

幼「これから練習があるんでね あとそれから」

後輩「?」

幼「二人三脚なんだ 勝ったらボクの言うことも聞いてもらうからね?」

後輩「.....望むところですよ」

幼「........ふん」

201以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:45:46 ID:AWASrtxQ
宣戦布告の夜 幼馴染の家

幼「........................」

幼「『私のこと好きにしてみせますから』」

幼「........」





翌日 放課後

男「練習しないのか?」

幼「うるさい」

男「えぇ...」

幼「ボクはちょっと考え事をしているんだよ」

男「そうか」

202以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:46:23 ID:AWASrtxQ
後輩「せーんぱい!」

男「うわっ!? びっくりした...」

後輩「フフフフ ちゃんと練習してますか?」

男「見ての通り!」

幼「む」

後輩「わお!仲の良いお二人には練習なんて必要ないんですね!」

男「そういうワケでは」

後輩「先輩、ちゃんと約束守ってくれるんですよね?」

男「え、えっとまぁその常識の範囲内だったらね」

幼「......」

203以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:46:54 ID:AWASrtxQ
後輩「私、勝ったら先輩の彼女にしてもらいます!」

幼「ッッッ!!」

男「かのッーー?ジョジョ?」

後輩「聞こえなかったんですか?先輩の恋人にしてもらいます!」

男「え、えぇぇぇっとそれは常識の範疇から逸脱しているような」

後輩「私じゃダメですか?」

男「いやダメとかそういう話じゃなくてさ」

後輩「嫌いなんですか?」

男「いや好き嫌いの話ではなくて」

後輩「言うこと聞いてくれるんですよね?」

男「あのですね後輩ちゃん」

後輩「では先輩!予選通過頑張ってくださーい!それではー」スタスタ

204以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:47:26 ID:AWASrtxQ
幼「おや?追わないのかい?」

男「参ったなマジで」

幼「来月には彼女になっているかもしれないのに」

男「いや、それはちょっと......」

幼「彼女では不服だと?」

男「いきなり付き合えとか言われてもなぁ......ハァ......」

幼「そんなに喜ぶと気味悪いよ」

男「うん喜んでるようには見えないよね?」

幼「脱童貞だー!みたいに張り切ってるようにしか」

男「どういう眼をしているんだ」

205以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:47:57 ID:AWASrtxQ
幼「後輩ちゃんはいい子だよ」

男「んん、それは知ってる」

幼「じゃあなんで?」

男「......なんでもだよ お前好きじゃないけどいい男に負けたら付き合えって言われたどうする?」

幼「家柄や将来性を吟味した上で結論を出すね」

男「......あっそ」

幼「でも君、わざと負けたりしないだろうね」

男「するかアホ」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:48:30 ID:AWASrtxQ



大分前

男『(確かウチの学校入学試験日今日なんだよな)』

男『(ま、図書館塔は開いてるみたいだしそこで勉強しよ)』

後輩『ッ.....ッッ........!!』

男『?』

後輩『(無い!無い.....!!!!!Suicaどころかパスケースごとない!!)』

男『....?ど、どうかしたの?』

後輩『ッ、あ、あっあっの.....』

207以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:49:04 ID:AWASrtxQ
男『(えっと、この駅で降りたってことはウチに受験するのかな?)』

後輩『(あ!こ、この制服...●●高校の人)』

男『なんか尋常じゃないくらい焦ってるから....』

後輩『え、ええっと...えっと.....グスッ....』

男『!? (え!?泣くの!?どうした!!?痴漢にでも遭ったのか!?)』

後輩『グスツ....じ、実は....かくかくしかじか』

男『あーなるほど、パスケースには受験票も入っていたと(説明口調)』

208以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:49:38 ID:AWASrtxQ
後輩『わ、わわたし受験もう...できない...』

男『とりあえず学校行こうよ 俺からもお願いしてみるから』

後輩『えっ。。。』

男『こんなところで泣いてなってしょうがないよ 駅員さんには俺から伝えるしとりあえず学校へ行こうよ 試験時間に間に合わんくなる』

後輩『で、でも私受験票が』

男『でもじゃない 行くぞ』

後輩『は、はい!』

209以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:50:09 ID:AWASrtxQ




幼「君も随分と人がいいね」

男「いや誰だってそれくらいはするだろ」

幼「いいや、しないとは思うけどね」

男「そうかな...」

幼「可愛い女の子が困っていればするだろうけどね」

男「まるで俺に下心があったみたいな言い方ヤメロや」

幼「あったくせに」

男「ねーよ」

幼「......」

210以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:50:39 ID:AWASrtxQ
体育祭二日前

男「ふう」

幼「大分私の足を引っ張らなくなってきたね」

男「俺が幼の歩幅に合わせてるんだろーが」

幼「それで、タイムはどうだったんだい?」

男「99秒だ」

幼「100秒切ったんだね」

男「まーなー」

幼「君の自家発電とどっちが早いかな?」

男「急に下ネタぶっこむのやめろ」

211以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 22:51:09 ID:AWASrtxQ
男「偵察部隊によると優勝候補は後輩ちゃんらも含めて95秒とからしい」

幼「毒でも盛ろうか」

男「二人三脚は男女ペアで出るから得点高いんだと......そりゃどのクラスも本気になりますわ」

幼「それで、このままで勝てるのかい?」

男「予選は突破できそうじゃないか?」

幼「あの子に勝てるのかい?」

男「も、もちろん勝ちますとも」


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