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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。

620以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:35:12 ID:jGZ2uc2.

フツ督「いざとなれば、この護衛の艦娘に相手をさせる」

龍田「…………」

憲兵「…………」

憲兵「……分かりました」

憲兵「この艦娘の身柄はフツメン提督にお願いします」

大淀「!」

大淀「あ、ありがとうございます!」

フツ督「いやいや」

フツ督「では……こっちへ来てくれ」

大淀「はい」

龍田「…………」

621以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:35:54 ID:jGZ2uc2.

―――――――――――

元帥「私が元帥だ」

大淀「は、はい」

大淀「まずは……お会いくださり」

大淀「ありがとうございます」

元帥「うむ」

大淀「それで……私は、北方方面艦隊鎮守府・所属の艦娘で」

大淀「秘書艦をやっております、大淀、と申します」

元帥「!」

フツ督「!」

龍田「あ……思い出した」

622以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:36:49 ID:jGZ2uc2.

龍田「去年の合同観艦式で天龍ちゃんと一緒だった娘ね?」

大淀「はい、そうです」

大淀「ええと……龍田さん、でしたっけ?」

龍田「正解〜♪」

大淀「……そういえば」

大淀「天龍さんと意気投合していましたね」

龍田「うん♪」

龍田「……天龍ちゃんの事は聞いたわ」

大淀「…………」

大淀「……これから話す事は」

大淀「もっと辛い事をあなたに知らせる事になるかもしれません」

龍田「……どういう事?」

623以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:37:42 ID:jGZ2uc2.

大淀「…………」

大淀「元帥閣下、並びにフツメン提督」

大淀「まずはこれをご覧ください」

     パサッ…

元帥「……この書類は?」

大淀「これは、広域通信機に記録されている」

大淀「艦娘の通信記録の一部です」

元帥「ふむ?」

大淀「この記録は……主に遠征に出た天龍さんの通信記録なのですが」

龍田「…………」

大淀「最後の通信の後……司令官権限で」

大淀「緊急通信規制処理されていたんです」

624以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:38:43 ID:jGZ2uc2.

元帥「!?」

フツ督「!?」

龍田「…………」

元帥「遠征で緊急規制……!?」

フツ督「……通常ではありえない処置ですね」

フツ督「どういった状況だったんだ?」

大淀「…………」

大淀「この時……イケメン提督の指揮の元」

大淀「二個戦隊をもって敵泊地へ攻撃をしていたのですが」

大淀「大規模な伏兵によって、両戦隊とも撤退を打診して来ました」

フツ督「…………」

フツ督「……まさか」

625以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:39:32 ID:jGZ2uc2.

大淀「……はい」

大淀「その後なんです」

大淀「天龍さんを含めた遠征部隊……全員に」

大淀「緊急規制が掛けられたのは……!」

元帥「…………」

フツ督「…………」

龍田「…………」

龍田「……ねえ」

龍田「それって……さ」

龍田「考えたくないんだけど……」

龍田「天龍ちゃんを」

626以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:40:27 ID:jGZ2uc2.

龍田「囮か何かにした……って事かしら?」

元帥「…………」

フツ督「…………」

大淀「…………」

龍田「……どうしてみんな黙るの?」

龍田「誰か……否定しないの?」

龍田「ねえ!!」

大淀「……まだあるんです」

元帥「!」

フツ督「!」

龍田「!」

龍田「……これ以上」

龍田「何があるのかしら?」

627以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:41:20 ID:jGZ2uc2.

フツ督「少し待ってくれ、大淀」

大淀「……はい」

フツ督「それは……天龍に関する事なのか?」

大淀「……はい」

フツ督「龍田」

フツ督「君は聞かない方が良い」

龍田「いいえ!」

龍田「絶対聞くわ!」

龍田「天龍ちゃんの事なんですもの!」

フツ督「……なら」

フツ督「約束してくれ」

フツ督「暴走しない、と」

龍田「…………」

628以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:41:58 ID:jGZ2uc2.

龍田「……考えておくわ」

フツ督「その答えじゃダメだ」

フツ督「イエスかノーの二択」

フツ督「それ以外認めない」

龍田「…………」

龍田「……意地悪」

フツ督「どっちなんだ?」

龍田「分かったわよ」

龍田「暴走しない」

龍田「これでいい?」

フツ督「……ああ」

629以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:42:55 ID:jGZ2uc2.

フツ督「すまない大淀、続けてくれ」

大淀「分かりました……」

大淀「…………」

大淀「あれは……ちょうど3日くらい前です」

大淀「北方鎮守府は……襲撃を受け」

大淀「広域通信機と電探を破壊されたんです」

元帥「何!?」

フツ督「待て。深海棲艦なら、警報が鳴るハズだろう?」

フツ督「故障でもしていたのか?」

大淀「いいえ」

大淀「正常に機能していました」

630以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:43:51 ID:jGZ2uc2.

フツ督「!」

フツ督「まさか……天龍がやったのか!?」

龍田「!」

大淀「……結論から言えばそうです」

元帥「囮に使われ、生き残ったのならば……分からないではないな」

大淀「ただ……その時の天龍さんは……天龍さんは!」

大淀「深海棲艦のチ級によく似た姿を……していたんです!」

元帥「」

フツ督「」

龍田「」

元帥「な、何だと!?」

フツ督「し……信じられん……」

大淀「ええ……ええ! 私だって信じたくありません!」

631以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:44:45 ID:jGZ2uc2.

大淀「ですが……私はこの目で見ました!」

大淀「そして、私の名前を呼んだんです!」

元帥「…………」

フツ督「…………」

     …ドサッ

龍田「」

フツ督「た、龍田ッ!!」

元帥「こりゃいかん……」

元帥「医務室へ連れて行くんだ」

フツ督「失礼します!」

     ガチャ キィ パタン

大淀「…………」

元帥「…………」

632以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:45:20 ID:jGZ2uc2.

元帥「……それにしても3日か」

元帥「なぜすぐに連絡しなかったのだ?」

大淀「その襲撃の後、すぐに」

大淀「深海棲艦の大艦隊が現れまして」

大淀「その対応に追われてしまったんです……」

元帥「……なんというタイミングの悪さだ」

元帥「イケメン提督は……ちょうどこちらへ向かっててすれ違いになったか」

元帥「あ奴が居ても頼りないが……」

元帥「指揮官不在で、よく対処できたな」

大淀「…………」

633以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:46:17 ID:jGZ2uc2.

大淀(……大本営は)

大淀(イケメン提督の実力を把握していたのね)

大淀(…………)

大淀「……私たちの功績ではありません」

大淀「ほとんどは……ブサイク提督が残してくれた」

大淀「戦術書のおかげなんです……」

元帥「ブサイク提督の?」

大淀「はい」

大淀「あれが無かったら……」

大淀「私たちは大損害を受けていたでしょう」

元帥「…………」

634以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:47:17 ID:jGZ2uc2.

―――――――――――

フツ督「お待たせしました」

元帥「龍田は大丈夫か?」

フツ督「はい」

フツ督「軍医の話では問題ないだろう、と」

フツ督「医務室のベッドで休ませてあります」

元帥「そうか。何よりだな」

フツ督「それで……天龍はその後、どうしたんだ?」

大淀「…………」

大淀「天龍さんは、不在だったイケメン提督の居場所を執拗に聞いてきました」

元帥「……さもありなん、か」

フツ督(悪運の強い奴め……)

635以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:47:55 ID:jGZ2uc2.

大淀「……申し訳ありません」

元帥「?」

元帥「なぜ謝罪するのだ?」

大淀「私は混乱して……うかつにも大本営へ行ったと」

大淀「天龍さんに漏らしてしまったんです……」

フツ督「!」

元帥「!」

大淀「金剛さんと比叡さんが捕まえようとしましたが」

大淀「逃げられてしまい……それっきり動向は知れません」

フツ督「なんてこった……」

636以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:48:48 ID:jGZ2uc2.

元帥「…………」

元帥「警戒態勢を敷くべきか?」

フツ督「…………」

フツ督「今の状況を考えると、難しい判断です……」

フツ督「ただでさえ海軍の信頼が揺らいでいる時期ですから」

元帥「だが、放っておく訳にもいくまい」

フツ督「……天龍の居場所は把握しておきたいですね」

フツ督「移動ルートを予測して、当該地域を探らせてみましょう」

元帥「ふむ……それが妥当か」

元帥「天龍が無辜の民に手を出さぬ内は、それで行こう」

フツ督「ありがとうございます」

大淀「…………」

637以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:49:40 ID:jGZ2uc2.

元帥「イケメン提督の事だけでも手一杯だというのに」

元帥「問題ばかり次々と起こってくれるな……」

大淀「…………」

フツ督「その事なんですが、元帥閣下」

フツ督「ひとつ思いついた事があります」

元帥「イケメン提督の事でか?」

フツ督「はい」

フツ督「ただ……まだ不確定要素がありますので」

フツ督「少し時間をください」

元帥「どれくらいだ?」

フツ督「長くても半日程度です」

638以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:51:25 ID:jGZ2uc2.

元帥「…………」

元帥「……よかろう」

元帥「そのくらいなら待てる。期待してるぞ」

フツ督「がっかりされない様に頑張ります」

フツ督「では……」

フツ督「大淀、君にも手伝って欲しい」

大淀「え?」

大淀「あ、はい。私に出来る事なら手伝います」

フツ督「頼む」

639以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:52:29 ID:jGZ2uc2.

フツ督「じゃあ、ついてきてくれ」

大淀「分かりました」

フツ督「それでは、失礼します」

大淀「失礼します、元帥閣下」

元帥「ああ」

     ガチャ キィ パタン

元帥「…………」

元帥「……やっと分かった気がする」

元帥「フツメン提督が、あれだけブサイク提督に」

元帥「入れ込む理由が……」

元帥「…………」

元帥「一度、酒の席にでも誘ってみるかな?」

640以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:53:05 ID:jGZ2uc2.


―――――――――――


大本営 屋上


フツ督「よし、ここならいいだろう」

大淀「こんなところで、いったい何を?」

フツ督「ブサイク提督と連絡を取る」

大淀「え!?」

大淀「負傷され、離島で療養中と聞きましたが……」

フツ督「それは表向きの話。色々あってな」

大淀「そう……だったんですね」

フツ督「……それと、通信する前に」

フツ督「君に龍田の事を話しておきたいと思って」

641以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:53:55 ID:jGZ2uc2.

大淀「龍田さんの?」

フツ督「ああ……」

大淀「…………」

フツ督「君から見ると……」

フツ督「龍田があれだけ天龍に入れ込むのは変に思うんじゃないか?」

大淀「……少し思いました」

大淀「去年の合同観艦式で仲良くなってたのは見ましたが」

大淀「それ以降、会ってないはずですし……」

フツ督「だよな……」

フツ督「…………」

642以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:54:48 ID:jGZ2uc2.

フツ督「実は……龍田は、前の天龍とかなり仲が良かったんだ」

大淀「前の……今の天龍さんの前、という事ですか?」

フツ督「そう」

フツ督「だが……ある日の戦闘で」

フツ督「前の天龍は龍田を庇い……」

フツ督「轟沈して【艦娘の墓】に居る」

大淀「!」

フツ督「……それ以降」

フツ督「龍田は自分を責め続けてな……」

フツ督「戦闘で自暴自棄になった事も一度や二度じゃなかった」

大淀「…………」

643以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:55:24 ID:jGZ2uc2.

フツ督「そんな時……北方鎮守府で」

フツ督「新たな天龍が着任した事を知った」

大淀「…………」

フツ督「俺はそれを利用した」

フツ督「龍田に天龍は生きていた、と言い」

フツ督「その代りケガの後遺症で記憶を失っている」

フツ督「という事にしたんだ」

大淀「…………」

フツ督「……それを伝えて」

フツ督「合同観艦式を終えた後」

フツ督「龍田は……無謀な行動を取らなくなった」

644以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:56:15 ID:jGZ2uc2.

大淀「……そうだったんですね」

フツ督「我ながら酷い男だと思うよ」

フツ督「何もかも全部……俺の我が儘での行動だ」

大淀「…………」

大淀「いいじゃないですか、それくらい」

フツ督「…………」

大淀「私の我が儘なんて……もっと酷い結果を招きました」

フツ督「…………」

フツ督「……興味はあるが、聞かないでおこう」

大淀「……そうしてくださると助かります」

645以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:56:53 ID:jGZ2uc2.

フツ督「ははは」

フツ督「……じゃ、連絡を取るか」

大淀「そんな小さな通信機で南方まで通信可能なんですか?」

フツ督「こいつは端末にすぎん」

フツ督「詳しい仕組みは俺も知らんが」

フツ督「この端末で広域通信機を経由して通信できるんだ」

大淀「……すごいですね」

フツ督(……たぶん)

フツ督(イケメン提督もこういう物を使ったんだろうな……)

646以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:57:31 ID:jGZ2uc2.


―――――――――――


ブサ督「こちらブサイク提督」

フツ督『……久しぶり』

フツ督『元気にしてたか?』

ブサ督「体調は問題ないが、いろいろとあった……」

ブサ督「それに、そっちでも何かあった様だな?」

フツ督『!』

ブサ督「電から新聞記者が押し寄せてると連絡があったんだ」

フツ督『……すまん』

ブサ督「謝る必要はない」

ブサ督「説明してくれ」

647以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:58:15 ID:jGZ2uc2.

―――――――――――

フツ督『……という訳だ』

ブサ督「…………」

ブサ督「……こりゃ参ったね」

フツ督『だが、まだ諦めるのは早い』

ブサ督「こんな状況で、まだ打てる手があるのか?」

フツ督『その為に』

フツ督『お前にもひと働きしてもらう』

ブサ督「……何をすればいい?」

フツ督『南方鎮守府に戻り』

フツ督『広域通信機の通信記録を調べてもらいたい』

ブサ督「広域通信機の?」

648以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:58:46 ID:jGZ2uc2.

フツ督『ああ』

フツ督『特に行方不明扱いになってる艦娘や』

フツ督『轟沈扱いの艦娘の通信記録を時系列で』

フツ督『俺に知らせて欲しいんだ』

ブサ督「……聞かない方が良い気もするが」

ブサ督「どういう事なんだ?」

フツ督『…………』

ブサ督「おい、フツメン提督」

大淀『ここからは私が説明します、ブサイク提督』

ブサ督「!?」

ブサ督「その声……大淀か?」

649以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:59:20 ID:jGZ2uc2.

大淀『……はい』

大淀『お久しぶりです、ブサイク提督』

ブサ督「お、おう……」

大淀『……イケメン提督が着任して以降』

大淀『ブサイク提督の偉大さが……良く分かりました』

ブサ督「…………」

大淀『すみません。謝罪やお礼とか山ほど言いたいのですが』

大淀『時間が無い様なので手短に説明します』

―――――――――――

大淀『……という事でして』

大淀『南方ではどの様だったのか、調べて欲しいんです』

ブサ督「…………」

ブサ督「……分かった」

650以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:00:06 ID:jGZ2uc2.

フツ督『俺だ』

フツ督『そういう訳だから急いでくれ』

ブサ督「任せてくれ」

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

フツ督『フツメン提督、通信終了』

     ブッ…

ブサ督(……天龍)

榛名「ブサイク提督さん?」

ブサ督「……ん?」

榛名「大丈夫ですか?」

ブサ督「大丈夫だ……榛名」

651以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:01:05 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「あ」

榛名「どうしました?」

ブサ督「…………」

ブサ督「……何でもない」

榛名「?」

ブサ督(榛名の事を伝え忘れていた)

ブサ督(ここは西方海域……本来、榛名の所有権は)

ブサ督(フツメン提督にある……)

ブサ督(…………)

ブサ督(後で頼むしかないな……)

ブサ督「よし、南方鎮守府に戻るぞ」

榛名「はい!」

652以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:02:04 ID:jGZ2uc2.

     ピピー ガガッ

ブサ督「こちらブサイク提督」

ブサ督「南方鎮守府、応答してくれ」

電『こちら南方鎮守府・執務室』

電『ブサイク司令官さん、いかがされましたか?』

ブサ督「バカンスは終わった」

ブサ督「やる事が出来てな……至急迎えを寄こして欲しい」

電『分かりました』

電『すぐに高雄さん達を向かわせます』

ブサ督「頼む」

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

電『南方鎮守府、通信終了』

     ブッ…

653以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:03:49 ID:jGZ2uc2.
本日はここまでです。
遅れてすみません。ちょっと体調を崩していました。

654以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/17(土) 12:58:14 ID:do/Iq9BQ
おつ
夜は冷えてきたしお大事に

655以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/17(土) 19:59:53 ID:W.qsjRN.
乙っん
物語の佳境が近づいてきた空気を感じる……さてどうなる

656以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/18(日) 00:02:05 ID:GKObYddY
乙です


イケメン提督は天龍田のツープラトン斬撃でバラバラになる最期が相応しい

657以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/22(木) 02:03:40 ID:fluMCSBY
追いついた
面白くて一気読みしちゃったわ

658以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:17:14 ID:XndiLEMk


―――――――――――


関東沿岸部 某所


フード女「…………」

     ガサゴソ…(ゴミ箱あさり)

フード女「…………」

フード女「……アッた」

     バサッ(新聞広げ)

フード女「…………」

フード女(……イケメン提督、責任を痛感……)

フード女(南方戦線疲弊……大本営完全に否定せず)

659以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:18:03 ID:XndiLEMk

フード女(…………)

フード女(…………)

フード女(……!)

フード女(イケメン提督、帝都ホテルで……)

フード女(よし……)

フード女(クソ野郎……まダ……)

フード女(帝都に居ル……!)

フード女(…………)

フード女(必ず……)

フード女(コロス……!)

フード女(…………)

660以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:18:41 ID:XndiLEMk


―――――――――――


南方鎮守府 軍港


     ザザザザザザザ…


電「ブサイク司令官さん、お帰りなさいなのです」

ブサ督「ただいま」

ブサ督「ブンヤどもは大丈夫か?」

電「監視下に置いて下がらせてます」

ブサ督「助かる」

ブサ督「高雄たちもご苦労だった」

高雄「いえ、お役に立てて光栄です」

661以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:19:31 ID:XndiLEMk

ブサ督「そうだ、良かったら榛名に」

ブサ督「南方鎮守府を案内してやってくれないか?」

榛名「え? 榛名は、ブサイク提督さんと一緒がいいです」

ブサ督「えっ」

電「えっ」

高雄「えっ」

愛宕「えっ」

飛龍「えっ」

鳳翔「えっ」

榛名「……?」

榛名「どうして皆さん、そんなに驚くのですか?」

662以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:20:37 ID:XndiLEMk

ブサ督「……ま、まあ、榛名がそう言うのなら」

榛名「はい♪」

ブサ督(調子狂うな……)

ブサ督「では……高雄たちは、ゆっくりしててくれ」

高雄「は、はい」

ブサ督「それじゃ、執務室に向かおう」

榛名「はい、ブサイク提督さん」

     スタ スタ スタ…

高雄「…………」

愛宕「…………」

飛龍「…………」

鳳翔「…………」

663以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:21:30 ID:XndiLEMk

高雄「……あれ、どう見ます?」

愛宕「う〜ん……控えめに言って」

愛宕「ベタ惚れ?」

飛龍「ここへ来る道中でも、やけに仲良さそうでしたけど……」

鳳翔「どちらかと言えば……」

鳳翔「ブサイク提督さんの方が戸惑ってましたよね?」

高雄「…………」

愛宕「…………」

飛龍「…………」

鳳翔「…………」

4人(尊敬はしてるけど……)

4人(恋愛感情は……さすがに……)

664以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:22:24 ID:XndiLEMk

南方鎮守府 執務室


ブサ督「ふう……帰って来たな」

ブサ督「さて、早速だが……技術主任を呼んできてくれ」

電「あの、ブサイク司令官さん」

ブサ督「ん?」

電「その前にですね、お手間は取らせませんので」

電「新たに補充された艦娘の着任を確認して欲しいのですが……」

ブサ督「補充か。それはありがたい」

ブサ督「すぐ呼べるのか?」

電「隣の作戦室に待機させてます」

665以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:23:18 ID:XndiLEMk

ブサ督「分かった、呼んでくれ」

電「了解なのです」

電「許可が下りました」

電「入室してください」

     ガチャ… ゾロ ゾロ

??「……っ」 ギョッ

??「……うわっ」

??「…………」 ギョッ

??「ひっ……」

ブサ督「…………」

榛名「…………」

電「……すみません、事前に話しておいたのですが」

ブサ督「……いいよ、別に」

666以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:24:17 ID:XndiLEMk

ブサ督「これからは写真でも前もって見せておけばいい事だ」

電「……えと」

電「ご挨拶してください」

??「……く、駆逐艦、朝潮です」

朝潮「勝負なら、いつでも受けて立つ覚悟です」

??「……なんでこんな……満潮よ」

満潮「力は尽くすわ」

??「く、駆逐艦、大潮で〜す」

大潮「小さな体に大きな魚雷! お任せください」

??「……霞よ」

霞「ガンガン行くわよ、ついてらっしゃい」

667以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:25:24 ID:XndiLEMk

ブサ督「なかなか元気があってよろしい」

ブサ督「着任を確認した」

ブサ督「ようこそ南方鎮守府へ。よろしく頼む」


朝潮型4人「はい」


ブサ督「では、後の処理は電に任せる」

ブサ督「彼女たちに部屋を用意してやってくれ」

電「了解なのです」

電「その帰りに技術主任さんをお連れしますね」

ブサ督「ああ、待ってるよ」

電「失礼します」

     ガチャ キィ

     ゾロ ゾロ… パタン

668以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:26:04 ID:XndiLEMk

ブサ督「ふう……」

榛名「…………」

榛名「……酷い」

ブサ督「ん?」

榛名「何なのですか、あの態度……」

榛名「いくら何でも失礼すぎです!」

ブサ督「…………」

ブサ督「……あれが普通なんだよ」

榛名「え……」

ブサ督「どちらかと言えば、榛名の方がおかしいんだ」

ブサ督「ああ、もちろん普通に接してくれるのは嬉しいんだが……」

榛名「…………」

669以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:29:05 ID:XndiLEMk

ブサ督「……榛名は、俺の顔が気持ち悪くないのか?」

榛名「微塵も思いません」

ブサ督(それはそれで心配になるな……)

ブサ督「そ、そうか」

ブサ督「ええと……」

     ガサゴソ ガサゴソ

ブサ督「あった」

榛名「?」

ブサ督「普通はな、こういう顔がモテ……好まれるんだ」つ(古新聞)

榛名「…………」

榛名「……榛名は、何とも思いません」

ブサ督「マジか……」

670以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:29:50 ID:XndiLEMk

ブサ督「じゃあ榛名」

榛名「はい」

ブサ督「あそこの壁に貼ってるポスターの一番下の文字」

ブサ督「そこから読めるか?」

榛名「ええと……」

榛名「我が皇国の科学力は世界いち……ですか?」

ブサ督「うん、視力も問題ないな」

榛名「…………」

ブサ督(これはやっぱ……)

ブサ督(刷り込み、みたいなアレか?)

671以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:30:51 ID:XndiLEMk

ブサ督「ともかく、だ」

ブサ督「俺がブ男ってのは分かってるし」

ブサ督「初対面では、嫌悪されるのもしょうがな――」

榛名「辛くは無いんですか?」

ブサ督「…………」

ブサ督「……もう慣れた」

ブサ督「物心ついた時から……こんな扱いさ」

榛名「ウソです」

榛名「こんな扱いをずっとされて……辛く無いなんて」

榛名「榛名には信じられません!」

ブサ督「…………」

ブサ督「無駄なんだよ」

榛名「……え?」

672以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:31:40 ID:XndiLEMk

ブサ督「いまさら……辛いとか、嫌だとか言っても」

ブサ督「俺がブ男である事に変わりはない」

ブサ督「いや……変える事は出来ないんだよ」

榛名「でも……」

ブサ督「変わらないと言ってるだろ!」

榛名「っ!」 ビクッ

ブサ督「今までずっとそうだったんだ!」

ブサ督「止めろと言っても嫌だと言っても!」

ブサ督「来る日も来る日も……!」

ブサ督「俺の顔をキモイだのブタ面だの、誰かに言われ続けて来たんだ!!」

榛名「…………」

ブサ督「はあ、はあ……」

673以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:32:31 ID:XndiLEMk

ブサ督「…………」

榛名「…………」

ブサ督「……怒鳴って……悪かった」

榛名「いいえ」

榛名「榛名、嬉しいです」

ブサ督「……何?」

榛名「ブサイク提督さんの正直なお気持ちを聞けました」

ブサ督「…………」 ポカーン

榛名「ブサイク提督さん」

ブサ督「お、おう」

榛名「榛名は、ずっとブサイク提督さんのお傍に居ます」

榛名「これからもどんどん正直なお気持ちを榛名にぶつけてください」

674以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:33:57 ID:XndiLEMk

ブサ督「…………」 ポカーン

榛名「うふふ♪」

ブサ督「…………」

ブサ督「……なあ、榛名」

榛名「はい」

ブサ督「君は……もしかして――」

     コンコン ガチャ

電「お待たせしました、ブサイク司令官さん」

電「技術主任さんをお連れしました」

ブサ督「っ!」 ビクッ!

電「……お取込み中でしたか?」

ブサ督「い、いや、大丈夫だ」

675以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:34:59 ID:XndiLEMk

ブサ督「こほん」

ブサ督「では、技術主任、作戦室へ来てくれ」

技術主任「了解です」

ブサ督「それと……榛名、電」

榛名「はい」

電「はい」

ブサ督「悪いんだが、しばらく執務室と作戦室は立ち入り禁止にする」

ブサ督「これは命令だ」

榛名「えっ……」

電「わかりました」

榛名「待ってください!榛名はブサイク提督さんと一緒に……」

ブサ督「……そういう問題じゃないんだ、榛名」

676以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:36:05 ID:XndiLEMk

電「榛名さん」

電「ブサイク司令官さんは『命令』と言ったのです」

電「どんなに親しい人でも……見せられない事が軍にはあるのです」

榛名「…………」

榛名「……榛名、分かりました」

ブサ督「電、榛名の事、よろしく頼む」

電「お任せください」

電「失礼します」

榛名「……失礼します」

     ガチャ キィ パタン

ブサ督「…………」

677以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:37:11 ID:XndiLEMk


―――――――――――


大本営 元帥の執務室


元帥「…………」

     コンコン

元帥「誰だ?」

フツ督「私です、元帥閣下」

元帥「入ってくれ」

     ガチャ キィ パタン

フツ督「失礼します」

元帥「時間にはまだ早いが、進展があったのか?」

フツ督「はい。それともう一つ」

678以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:38:42 ID:XndiLEMk

元帥「む?」

フツ督「まず……ブサイク提督との話で思い出したのですが」

フツ督「ある事について、元大将と連絡を取り」

フツ督「かなり使えそうなネタを入手しました」

元帥「ほう……」

フツ督「奴を挑発するのに持ってこいのネタです」

フツ督「これは期待していてください」

元帥「うむ」

フツ督「次に天龍の動向ですが……」

元帥「何か掴めたのか?」

679以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:39:34 ID:XndiLEMk

フツ督「北海道から東北にかけての」

フツ督「防衛網に異常が無いか調べましたが」

フツ督「ここ数日、特に変わった事は無いそうです」

元帥「そうか……」

フツ督「そこで沿岸部付近の街や村を調べてみたのですが」

フツ督「数件、ガソリン泥棒が発生していました」

元帥「なるほど……燃料狙いか」

フツ督「ガバガバとは思いたくありませんが」

フツ督「防衛網は天龍にとって大した障害では無かった模様です」

元帥「現在位置は分かるのかね?」

フツ督「おそらく……関東沿岸部付近に到達したくらいかと」

元帥「至急、関東沿岸部に注意喚起をせねばな」

680以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:40:21 ID:XndiLEMk

フツ督「…………」

フツ督「それなんですが、元帥閣下」

元帥「む?」

フツ督「あえて、放っておくのはどうでしょうか?」

元帥「何?」

フツ督「天龍の狙いはイケメン提督一人」

フツ督「このまま泳がせておけば、切り札として使えるかもしれません」

元帥「…………」

元帥「……フツメン提督」

フツ督「はい」

元帥「今のは聞かなかった事にしておこう」

フツ督「分かりました」

681以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:41:20 ID:XndiLEMk

元帥「関東沿岸地域に大本営直属の艦娘部隊を要所で待機」

元帥「連絡を受けたら急行出来るよう手配をしておけ」

フツ督「了解です」

元帥「もし忘れたりしたら」

元帥「今のやり取りを龍田に伝えるからな?」

フツ督「誠心誠意、やらせていただきます!」

元帥「よろしい。では、行ってよし」

ブツ督「失礼します」

     ガチャ キィ パタン

元帥「…………」

元帥「ふう……」

元帥「あやつの冗談は笑えん上に」

元帥「心臓に悪いな……」

682以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:42:12 ID:XndiLEMk


―――――――――――


南方鎮守府 談話室


     ガヤ ガヤ

電「で、ここが談話室になります」

榛名「……はい」

電「…………」

電「少し、休憩しましょうか?」

榛名「……そうですね」

電(……さっきから上の空なのです)

電「な、何か……飲み物でも持ってきますので」

電「そちらに座っててください」

榛名「……はい」

683以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:43:12 ID:XndiLEMk

榛名「…………」

榛名「…………」

川内「ねえ」

榛名「はい?」

川内「あんたかな?」

川内「ブサイク提督と一緒だった離島艦娘って」

榛名「はい。榛名の事です」

川内「ふうん」

川内「…………」

榛名「……あの、何でしょうか?」

684以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:44:24 ID:XndiLEMk

川内「いやね、仕方なかったとはいえ」

川内「あのブサイク提督としばらく一緒だったんでしょ?」

榛名「はい。それが何か?」

川内「何か、さ」

川内「やらしー事でもされなかった?」

榛名「…………」

榛名「どうしてそんな事を聞くんですか?」

川内「だってあの見た目でしょ?」

川内「どう考えたって、女の子に飢えて良からぬ事を……」

     ダンッ!!

川内「わっ!?」

榛名「…………」

685以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:45:32 ID:XndiLEMk

川内「な、なに机叩いて怒ってんのよ?」

榛名「……本当は」

榛名「あなたの顔面を叩きたかったのを我慢したんです」

川内「えっ」

榛名「ブサイク提督さんは……とてもお優しい方です」

榛名「少なくとも榛名は、一緒に居て不愉快だと思った事は」

榛名「一度もありませんでした」

川内「…………」

榛名「……それとも」

榛名「あなたは、ブサイク提督に何か嫌な事をされたんですか?」

川内「……そりゃ言われてみれば」

川内「無いけど……」

686以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:46:30 ID:XndiLEMk

榛名「あなたのお名前は?」

川内「……川内」

榛名「川内さん、ですね」

榛名「あなたは人を見た目で判断する嫌な人だと」

榛名「榛名は覚えました」

川内「なっ!?」

榛名「用がお済みなら、もう榛名に構わないでください」

川内「この……!」

電「川内さん?」

川内「!」

電「ど、どうかしたのですか?」

687以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:47:35 ID:XndiLEMk

川内「…………」

川内「……何でもない」

     スタ スタ スタ…

電「……?」

電「榛名さん、何かあったのですか?」

榛名「…………」 ポロポロ

電「あえっ!?」

電「な、何で泣いてるのですか!?」

榛名「……榛名にも分かりません」

榛名「どうして……こんなに悲しいのか……」

電「…………」

電「……良かったら話してください」

榛名「…………」

688以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:48:29 ID:XndiLEMk

榛名「上手く……話せるかどうか……」

電「少しずつでいいのです」

電「少しずつで……」

榛名「…………」

榛名「……ブサイク提督さんは」

榛名「自分がブ男である事実は変わらないと」

榛名「誰からそう言われても仕方ないと、これが普通なんだと」

榛名「言ってました」

電「…………」

榛名「でも榛名は知りました」

榛名「ブサイク提督さんは、心からそう思っている訳じゃないと」

電「…………」

689以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:49:26 ID:XndiLEMk

榛名「榛名は……」

榛名「そんなブサイク提督さんのお気持ちを考えてしまって」

榛名「目の前でそれを言って来る人に……怒りを覚えました」

電「…………」

榛名「……ブサイク提督さんは」

榛名「今までずっと……そしてこれからもずっと」

榛名「誰かに、あんな風に思われ続けるのかと思うと」

榛名「悲しくて……悲しくて……」

電「榛名さん……」

電「…………」

電「ごめんなさい、榛名さん」

榛名「えっ?」

690以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:50:25 ID:XndiLEMk

電「電も……少しそう思っている一人なのです」

榛名「…………」

電「もちろん、ブサイク司令官さんが酷い事をする人とは」

電「今はもう思っていません……でも」

榛名「でも?」

電「心のどこかで……見た目で判断してる部分があるのです」

榛名「…………」

電「ちょっとお聞きしたいのですが」

電「榛名さんは、どうしてそこまでブサイク司令官さんの事を」

電「信用できるのですか?」

榛名「え……」

榛名「…………」

691以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:51:21 ID:XndiLEMk

電「あっ、その……答えにくい質問だと思います」

電「きっと……榛名さんは」

電「電の知らないブサイク司令官さんのお顔を知っているからだと思います」

榛名「電さんの知らないブサイク提督さんのお顔……」

榛名「……そうですね」

榛名「榛名、少し気分が良くなりました」

電「……きっと川内さんも」

電「心の底からブサイク司令官さんの事を」

電「悪く思っている訳ではないと思います」

榛名「……そうだといいですね」

電「電が後で川内さんに榛名さんのお気持ちを話しておきます」

電「誤解は、きっと解けるのです」

692以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:52:10 ID:XndiLEMk

榛名「誤解、ですか……」

電「争いは誤解から始まるものも多いのです」

電「後で、どうしてこうなったのだろう?」

電「と、思う事も多いのです」

榛名「……そういうもの、ですか」

電「もちろん、何もかもがそう、という訳ではありませんが」

榛名「ふふふ」

電「あはは」

榛名「飲み物……もらってもいいですか?」

電「どうぞなのです」

榛名「いただきます」

693以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:53:03 ID:XndiLEMk


―――――――――――


南方鎮守府 作戦室


ブサ督「…………」

ブサ督「……よし」

ブサ督「これらの文書化を頼む」

技術主任「分かりました」

ブサ督「それと、これらの情報は一切口外してはならない」

ブサ督「家族にもだ。漏らした場合、処罰の対象になる」

技術主任「心得てます」

ブサ督「よろしい」

ブサ督「…………」

694以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:54:10 ID:XndiLEMk


―――――――――――


大本営 廊下付近


     ピピー ガガッ

フツ督「!」

フツ督「……こちらフツメン提督」

ブサ督『こちらブサイク提督』

ブサ督『今、大丈夫か?』

フツ督「……ちょっと場所が悪い」

フツ督「移動するから、少し待っててくれ」

ブサ督『了解』

695以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:55:04 ID:XndiLEMk


―――――――――――


大本営 屋上


フツ督「……待たせた」

フツ督「どうだった?」

ブサ督『……ビンゴだ』

フツ督「そうか……」

ブサ督『…………』

フツ督「これほど当たって嬉しくない事も珍しいな……」

ブサ督『同感だ』

フツ督「文書化はどれくらいかかる?」

ブサ督『もうすぐ終わる』

696以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:56:16 ID:XndiLEMk

フツ督「仕事が早くて助かる」

ブサ督『…………』

ブサ督『……これは公表して良い事なのか?』

フツ督「本来は良くない……が」

フツ督「イケメン提督を罪に問えて民衆の目を覚まさせられる」

フツ督「最大のチャンスなんだ」

ブサ督『…………』

ブサ督『……では』

ブサ督『俺からも提案がある』

フツ督「提案?」

697以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:57:08 ID:XndiLEMk

ブサ督『今、南方鎮守府にブンヤどもが来ていてな』

ブサ督『その取材を受けようと思う』

フツ督「……やめておけ」

フツ督「お前に対するイメージが下がるだけだぞ?」

ブサ督『だが……イケメン提督を油断させるのには』

ブサ督『最適だ』

フツ督「!」

フツ督「…………」

ブサ督『…………』

フツ督「……言っておくが」

フツ督「相当辛い事だぞ?」

ブサ督『一時的に土俵際へ追い込まれるだけだ』

ブサ督『堪えて見せる』

フツ督「…………」

698以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:58:20 ID:XndiLEMk

フツ督「……分かった」

フツ督「こっちにはいつ来れる?」

ブサ督『……明日の夕方くらいか』

ブサ督『遅くとも明日中には会えると思う』

フツ督「分かった」

フツ督「決戦は明後日に予定しておこう」

ブサ督『強行スケジュールだな……』

フツ督「仕方ないだろう」

フツ督「余り各方面鎮守府を指揮官不在にしたくないしな」

ブサ督『……それもそうか』

ブサ督『天龍の方はどうなっている?』

699以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:59:14 ID:XndiLEMk

フツ督「行方不明のままだ」

フツ督「一応、怪しい出来事は掴めたので」

フツ督「絞り込みをかけている」

ブサ督『……分かった』

ブサ督『詳しい事は直接会った時に』

フツ督「ああ、そうそう」

ブサ督『ん?』

フツ督「頭に包帯くらい巻いとけ」

ブサ督『……了解』

フツ督「それじゃ、大本営で待ってる」

ブサ督『ああ』

ブサ督『通信終了』

フツ督「通信終了」

700以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:00:09 ID:XndiLEMk

大本営 元帥の執務室


フツ督「……という感じです」

元帥「ふむ……」

フツ督「いかがでしょうか?」

元帥「…………」

元帥「……正直を言えば」

元帥「海軍が無傷で済む方法が良かったが」

元帥「やむを得まい」

フツ督「では、このまま進めます」

元帥「ああ」

701以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:00:56 ID:XndiLEMk

元帥「それにしてもブサイク提督には頭が下がるな」

フツ督「……元帥閣下から言われると恐縮するでしょうね」

元帥「ふん……私はそれほど賢い存在ではない」

元帥「議会工作ばかり上手くなってしまった」

フツ督「得手不得手は誰にでもありますよ」

元帥「…………」

元帥「そうか……」

元帥「では、そろそろ私は休むとしよう」

フツ督「はい。どうか、いい夢を」

元帥「うむ」

     ガチャ キィ パタン

元帥「…………」

702以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:02:13 ID:XndiLEMk


―――――――――――


翌日の朝

帝都 ホテル、ロビー付近の売店


     ガヤ ガヤ

イケ督「〇×新聞を」

     ハイ

イケ督「ありがとう」

イケ督「…………」

イケ督「んん?」

703以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:03:27 ID:XndiLEMk

     南方司令官 疲弊の事実認める!

イケ督(…………)

イケ督(……担当司令官・ブサイク提督は語る)

イケ督(南方戦線は非常に不安定……)

イケ督(その為の補給を要請)

イケ督(…………)

イケ督(イケメン提督の奪取した海域について語らず)

イケ督(本社記者の追及により、撤退の事実を一部認める……)

イケ督(くくく……)

イケ督(そうりゃそうだろうな……)

イケ督(ご苦労さん、ご苦労さん)

イケ督(すべての罪を被ってくれてありがとうよ)

704以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:04:05 ID:XndiLEMk

イケ督(…………)

イケ督(これでようやく俺も大将か)

イケ督(結構あっという間だった)

イケ督(…………)

イケ督(大将になったら、何をするかなぁ)

イケ督(くくく……)

イケ督(…………)

イケ督(あーもう……上手く行きすぎて)

イケ督(怖いくらいだぜ……!)

705以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:06:00 ID:XndiLEMk
本日はここまでです。遅れてすみませんでした。
(ソシャゲのハロウィンイベントにかまけてたなんて言えない……)

706以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 20:09:37 ID:jLxwq.oY
おつ
軍事とかそういうの詳しくないからうまいこと言えないんだけど楽しんで読ませてもらってる

707以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 22:31:37 ID:SI8MvE5A



とても残酷な話だけど、指揮官においては声の強さと美しさが割とガチで部下の服従率や命令納得感を左右するので、指揮官はボイトレ大事

708以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/03(火) 07:13:04 ID:kpOk4H.E
おつおつ

709以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/03(火) 14:46:50 ID:hZMiiu62


710以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/04(水) 02:42:15 ID:2gDPAnKs
おつんこ

>>707
確かに大事そうだね…
しかも声は元より誰が言っているかも当然重要なんだろうし
外見が悪いとか明確に嫌われる要素を持った人間はやっぱりあれだな

711以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:38:45 ID:TTdZ85hY
>>685修正↓

712以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:39:20 ID:TTdZ85hY

川内「な、なに机叩いて怒ってんのよ?」

榛名「……本当は」

榛名「あなたの顔を叩きたかったのを我慢したんです」

川内「えっ」

榛名「ブサイク提督さんは……とてもお優しい方です」

榛名「少なくとも榛名は、一緒に居て不愉快だと思った事は」

榛名「一度もありませんでした」

川内「…………」

榛名「……それとも」

榛名「あなたは、ブサイク提督さんに何か嫌な事をされたんですか?」

川内「……そりゃ言われてみれば」

川内「無いけど……」

713以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:40:07 ID:TTdZ85hY
続きを投下します。

714以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:40:58 ID:TTdZ85hY


―――――――――――


夕方

帝都 軍用空港エントランス付近


     ガヤガヤ

龍田「…………」

龍田「……あ、あの人かしら?」

     テク テク テク

龍田「わ……」

ブサ督「ん?」

榛名「…………」

龍田「……失礼しました」

715以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:41:59 ID:TTdZ85hY

龍田「ブサイク提督……ですね?」

ブサ督「そうだが?」

龍田「私はフツメン提督の秘書艦をやっております」

龍田「龍田、と申します」

龍田「以後、お見知りおきを」

ブサ督「君がフツメン提督の……それで」

ブサ督「肝心のフツメン提督はどこに?」

龍田「大本営で待ってます」

龍田「こちらの裏口に車を用意してますので、どうぞ」

ブサ督「……その車には榛名を頼む」

ブサ督「俺はこのまま空港玄関ロビーから車を拾うから不要だ」

716以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:42:55 ID:TTdZ85hY

榛名「!」

龍田「え……でも」

龍田「新聞記者が待ち構えてますよ?」

ブサ督「それも分かってる」

ブサ督「俺が到着時間を教えたからな」

龍田「なら、なおさら……」

ブサ督「あくまでイケメン提督の目を眩ませる為だ」

ブサ督「俺は囮にすぎん」

龍田「…………」

龍田「分かりました」

龍田「それじゃあ、榛名ちゃん?」

榛名「嫌です」

榛名「榛名は、ブサイク提督さんと一緒に……」

717以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:43:43 ID:TTdZ85hY

ブサ督「榛名」

ブサ督「俺を困らせないでくれ」

榛名「…………」

龍田「…………」

榛名「……分かりました」

ブサ督「うん……大本営でまた会おう」

榛名「はい」

ブサ督「それじゃ、龍田」

ブサ督「よろしく頼む」

龍田「了解です」

     スタ スタ スタ…

718以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:44:21 ID:TTdZ85hY


―――――――――――


帝都 軍用空港玄関ロビー付近


     ガヤ ガヤ

A「…………」

A「……あ!来たぞ!」

     ダダダダダダ…

A「〇×新聞のA記者です!」

A「南方海域の撤退責任はどう取るおつもりですか!?」

ブサ督「ノーコメントです」

B「□〇新聞のB記者です!」

B「犠牲になった艦娘はどのくらい居るのでしょうか!?」

ブサ督「…………」

719以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/08(日) 13:45:04 ID:TTdZ85hY

C「△△新聞のC記者です!」

C「皇国国民に対して」

C「何か言わなければならない事があるのではないでしょうか!?」

     ワー ワー

ブサ督「ノーコメント!」

ブサ督「ノーコメント!」


榛名「…………」 ギリッ…

龍田「榛名ちゃん……堪えようね」

榛名「……はい」

龍田「…………」


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