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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。

571以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:05:07 ID:2aUzpO4U

??「…………」 スー スー

ブサ督「…………」

ブサ督「……艦娘?」

ブサ督(しかもこの服装と艤装……金剛型?)

ブサ督(…………)

ブサ督(いや、それよりも桜だ!)

ブサ督(どこへ行ったんだ……)

―――――――――――

ブサ督(…………)

ブサ督(……どこにも居ない)

ブサ督(…………)

572以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:06:09 ID:2aUzpO4U

ブサ督(だいたい前の晩まで)

ブサ督(首から上しか動かせなかったんだ)

ブサ督(急に歩けるようになるのも不自然……)

ブサ督(となると……)

??「…………」 スー スー

ブサ督(…………)

ブサ督(この眠っている金剛型の艦娘……)

ブサ督(信じられないが……桜が変化して)

ブサ督(!!)

ブサ督(…………)

ブサ督(まさか……これは)

ブサ督(離島艦娘!?)

573以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:07:12 ID:2aUzpO4U

??「…………」 スー スー

ブサ督(……通常、艦娘は)

ブサ督(妖精さんに資材を渡して頼んで)

ブサ督(艤装を作る事から始まる)

??「…………」 スー スー

ブサ督(艤装が完成したら、それは)

ブサ督(日本国内のどこかに適正者が存在するという事で)

ブサ督(適正者の婦女子は、艤装から何らかの感覚があり)

ブサ督(大抵は自ら名乗り出て、艤装を受け取り、めでたく艦娘となる)

ブサ督(……だが)

574以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:08:08 ID:2aUzpO4U

??「…………」 スー スー

ブサ督(たまに例外がある)

ブサ督(それは離島で良く発見される事から)

ブサ督(離島艦娘と呼ばれるようになったが……)

ブサ督(出自の分からない艦娘が艤装ごと突然湧いてくる事がある)

ブサ督(特に深海棲艦の支配地域を奪取した時は)

ブサ督(割と多くあるのだが……)

??「…………」 スー スー

ブサ督(離島艦娘はどれだけ調べても)

ブサ督(通常の艦娘と差異は無く……)

ブサ督(いつしか、原因を探す者すら居なくなった)

ブサ督(……が)

575以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:08:48 ID:2aUzpO4U

??「…………」 スー スー

ブサ督(……今でも信じられないが)

ブサ督(離島艦娘は……離島艦娘は……)

ブサ督(深海棲艦が何らかの理由で変化したもの)

ブサ督(だったのか……!)

??「…………」 スー スー

ブサ督(…………)

ブサ督(桜……)


 「正直……手足を動かせないのに何を言ってるんだと思うだろうが」

 「死ぬ気がしないんだ」


ブサ督(もしかしたら君は……こうなる事が)

ブサ督(分かっていたのか?)

576以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:10:13 ID:2aUzpO4U

ブサ督(…………)

ブサ督(……知ったところで)

ブサ督(どうにかできる事じゃないけど)

ブサ督(こんな……こんな別れ方って……)

??「……ん……んん」

ブサ督「!」

??「…………」

     ムクッ

ブサ督「…………」

??「…………」

??「えと……おはようございます」

577以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:10:56 ID:2aUzpO4U

ブサ督「お、おはよう」

??「あなたは……榛名の提督さん、ですか?」

ブサ督「そうなる……かな?」

ブサ督「君は榛名か」

榛名「えっ、どうして榛名の名前を?」

ブサ督「今しがた自分で言ったよ」

榛名「そうでしたか……では、改めまして」

榛名「榛名は、金剛型3番艦、榛名、と申します」

ブサ督「よろしく」

ブサ督「俺の名前はブサイク提督だ」

578以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:12:06 ID:2aUzpO4U

榛名「はい!」

榛名「榛名、ブサイク提督さんのお名前、覚えました!」

榛名「よろしくお願いします、ブサイク提督さん」

ブサ督「お、おう」

榛名「それで……ここはどこなのでしょう?」

榛名「どうしてブサイク提督さんと二人きりなのでしょう?」

ブサ督「…………」

ブサ督「桜」

榛名「はい?」

ブサ督「……桜、という名前に覚えは無いか?」

榛名「桜?……桜って、お花の桜、ですよね?」

ブサ督「……そうだな」

榛名「榛名……何か間違えました?」

ブサ督「いや、何でもない」

579以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:12:39 ID:2aUzpO4U

ブサ督「今のは忘れてくれ」

榛名「はあ……」

ブサ督「…………」

ブサ督「腹、減ってないか?」

榛名「そう言えば……榛名、お腹が空いてます」

ブサ督「じゃ……朝飯でも食いながら」

ブサ督「分かっている範囲で今の状況を説明しよう」

榛名「はい。ありがとうございます、ブサイク提督さん」

ブサ督「…………」

ブサ督(桜……)

ブサ督(…………)

580以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:13:36 ID:2aUzpO4U


―――――――――――


北方鎮守府 軍港


     ザザザザザザザザ…


大淀「…………」

利根「遅いぞ、大淀」

大淀「……すみません」

利根「その様子じゃと……」

利根「良い結果では無かった様じゃな……」

大淀「……長良さん他」

大淀「幾人かの艦娘の艤装の残骸を岩礁で発見しました」

581以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:14:37 ID:2aUzpO4U

利根「そうか……」

利根「とにかく、今は休む事じゃ」

利根「心身ともに疲れておったら」

利根「ロクな考えが浮かばぬ」

大淀「……利根さんの方こそ」

大淀「酷い顔をしていますよ」

利根「……寝付けなくての」

大淀「私も……気が張って怪しいですね」

利根「じゃがあれだけの大艦隊を退けたのじゃ」

利根「当分、彼奴らも大人しくするであろう」

大淀「朗報ですね」 クスッ…

582以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:15:30 ID:2aUzpO4U

大淀「鳥海さん、摩耶さん、夕立さん、瑞鶴さん」

大淀「お疲れさまでした」

大淀「どうか入渠して、休養してください」

摩耶「……大淀の方こそな」

鳥海「そうですよ、大淀さん」

夕立「休むっぽい!」

瑞鶴「これだけ疲れたのなら」

瑞鶴「ベッドに入って目つむれば嫌でも寝れるわよ」

大淀「ありがとうございます」

大淀「試してみますね」

     ゾロ ゾロ ゾロ…

大淀「…………」

大淀「ふう……」

583以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:16:14 ID:2aUzpO4U

     タッ タッ タッ…

明石「大淀」

大淀「あら、明石さん」

大淀「広域通信機、直ったのですか?」

明石「それはまだまだ掛かると思う……」

明石「だけど、ちょっと変な物見つけちゃって」

大淀「変な物?」

明石「疲れてるところ悪いんだけど」

明石「工廠まで来てくれないかな?」

大淀「分かりました」

584以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:17:22 ID:2aUzpO4U


―――――――――――


北方鎮守府 工廠


大淀「それで……変な物とは?」

明石「順を追って説明します」

明石「広域通信機の心臓部なんですけど」

明石「わずかに破損してるだけですが、上手く動作するか」

明石「それは分かりませんでした」

大淀「…………」

明石「慎重に修理し、最後の総仕上げで動作確認を行ったところ」

明石「中の記憶回路や実行制御は問題なく起動したんです」

大淀「はあ……」

585以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:18:11 ID:2aUzpO4U

明石「問題はここからです」

明石「実行制御の記録を確認していた時」

明石「艦娘の何人かに緊急規制が掛けられている事に気が付きまして……」

大淀「緊急……規制?」

明石「簡単に言うと……」

明石「任意で艦娘の通信機能をオフにしていた」

明石「という事なんです」

大淀「…………」

大淀「……え?」

大淀「ちょっと待ってください……それは」

大淀「誰かが、艦娘の通信を出来なくしていた」

大淀「という事……ですか?」

586以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:19:24 ID:2aUzpO4U

明石「はい」

大淀「」

大淀「そ、それって……大ごとじゃないですか!?」

明石「いったい誰がこんな事をしたのか……」

明石「これは司令官権限でもないと出来ませんよ」

大淀「…………」

大淀「明石さん」

明石「はい?」

大淀「まず……緊急規制を掛けられた艦娘の名前は分かりますか?」

明石「分かりますよ」

明石「なんなら、いつやったのかも分かりますが?」

大淀「ぜひ、それらを文書にまとめてください!大至急!」

587以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:20:22 ID:2aUzpO4U

明石「わ、分かりました」

明石「1時間ほど時間をください」

大淀「お願いします!」

大淀「私は……出発の準備を整えてきます」

明石「出発?」

明石「どこへ行くんですか?」

大淀「大本営です!」

明石「」

     タッ タッ タッ…

明石「ちょ、今から帝都にですか!?」

明石「……行っちゃった」

588以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:21:09 ID:2aUzpO4U


―――――――――――


北方鎮守府 臨時執務室


利根「…………」

     ドドドドドド

利根「む?」

利根「何事じゃ?」

     バタン!

大淀「利根さん!」

利根「うおっ!?」

利根「お、大淀か……驚かすでないわ」

利根「それで、どうしたのじゃ?」

589以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:22:06 ID:2aUzpO4U

大淀「私、ちょっと大本営まで行ってきますので」

大淀「北方鎮守府の事は、しばらくお願いします!」

利根「はあ!?」

大淀「では!」

     バタン!

利根「ちょ、大よ……!」

利根「……行ってしまいおった」

利根「何なのじゃいったい……」

利根「…………」

590以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:23:03 ID:2aUzpO4U


―――――――――――


飛行場


     ドッドッドッ…

搭乗員「……こういう事はこれっきりにしてくださいよ?」

搭乗員「ただでさえ広域通信不能で管制に支障を……」

大淀「事情があるんです」

搭乗員「……了解」

大淀「…………」

大淀(……この証拠があれば)

大淀(イケメン提督の暴走を止められるかもしれない)

大淀(天龍さんの事もあるし、一刻も早く大本営に伝えなくては……!)

大淀(…………)

591以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:24:42 ID:2aUzpO4U


―――――――――――


翌日の朝

帝都 ホテルの一室


フツ督「ふあ〜あ……」

フツ督「朝か……」

フツ督「…………」

フツ督「……あれ?」

フツ督「龍田?」

フツ督「龍田、どこだ?」

フツ督「……居ないのか」

592以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:25:49 ID:2aUzpO4U

     ガチャ

龍田「あ、起きた?」

フツ督「龍田、どこへ行ってたんだ?」

     キィ パタン

龍田「新聞と朝食を取りに行ってたの」

龍田「食べる?」

フツ督「寝起きだからな……ちょっとキツイ」

フツ督「先に新聞を読ませてくれ」

龍田「はぁ〜い」

     バサッ

フツ督「まずは4コマ漫画……っと」

フツ督「ぷっ……ククク」

593以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:26:30 ID:2aUzpO4U

フツ督「さて……」

フツ督「……!?」

     南方方面戦線 大打撃か?

フツ督「…………」

フツ督(……イケメン提督により平定間近となっていた)

フツ督(南方戦線に異常発生か……)

フツ督(指揮官交代により戦線維持機能不全の疑い……)

フツ督(交代指揮官名ブサイク提督……)

フツ督(交代直後、異常な補給物資要求で惨状が……)

フツ督「クソッ!」

フツ督「あの野郎……やりやがったな!」

龍田「!?」

594以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:27:22 ID:2aUzpO4U


―――――――――――


イケ督「くっくっくっ……」

イケ督「元々は大将閣下がやろうとしてた事だがな」

イケ督「これで……ブサイク提督とやらの信用はガタ落ち」

イケ督「民衆はさらに英雄を、俺を求めるって訳だ」

イケ督「ハーハッハッハッ!」

イケ督「笑いが……笑いが止まらん!」

イケ督「ハハハハハハハハハハ!」

イケ督「これで……」

イケ督「俺もいよいよ大将だ」

イケ督「くっくっくっ……!」

595以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 20:28:10 ID:2aUzpO4U
本日はここまでです。

596以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/09(金) 22:34:18 ID:NhGY5av.



桜の戦艦といえば・・・いや、野暮な事だな

597以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/11(日) 13:10:27 ID:X.1qpZ56
おつ

598以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:13:52 ID:jGZ2uc2.


―――――――――――


西方海域 とある離島の砂浜


     ザザーン… ザザーン…


ブサ督「…………」

榛名「ブサイク提督さん」

ブサ督「ん?」

榛名「何をなさっているのですか?」

ブサ督「墓……とは、ちょっと違うか」

ブサ督「記念碑みたいなのを作ってる」

榛名「記念碑ですか」

ブサ督「まあ、便宜上【艦娘の墓】と似た様なもんだけどな」

榛名「【艦娘の墓】?」

599以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:14:34 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「……艦娘って、まだまだ謎の多い部分があって」

ブサ督「駆逐艦だろうが、戦艦だろうが」

ブサ督「何故か存命中の同じ名前の艦娘は生まれて来ない」

榛名「という事は……榛名は榛名だけって事ですね?」

ブサ督「そう」

ブサ督「……でもそうなると少し困った事が起こる」

榛名「困った事?」

ブサ督「戦争をやっているからどうしても轟沈する……」

ブサ督「つまり、死んでしまう事もあるんだが」

ブサ督「墓にその名前を入れると、後から同じ名前の艦娘が生まれた時」

ブサ督「その艦娘は、自分の墓がすでにある事になる」

榛名「あ……」

600以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:15:36 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「そこで出来たのが【艦娘の墓】」

ブサ督「どの艦娘が亡くなっても【艦娘の墓】に入れて」

ブサ督「故人を悼む対象にした、という訳さ」

榛名「…………」

榛名「では……榛名もいずれはそこへ入るんですね」

ブサ督「そうとも限らない」

榛名「え?」

ブサ督「艦娘の行く末は主に3つある」

ブサ督「一つは今、言った通り」

ブサ督「二つ目は艤装の経年劣化や損傷で動かなくなった時」

ブサ督「艦娘任務から解き放たれ、一般の婦女子として暮らしていく」

榛名「…………」

601以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:16:43 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「三つ目は理由不明で艤装が艦娘を認識しなくなり」

ブサ督「艦娘として活動できなくなった場合」

ブサ督「これまた艦娘任務から解き放たれ」

ブサ督「一般の婦女子として暮らしていく事になる」

榛名「そんな道もあるんですね」

ブサ督「ああ」

ブサ督「理屈は全く分からんが、艦娘は最長で10年くらいの任務になり」

ブサ督「何故かその間、年は取らないし、人間の病気になる事も極めて稀」

ブサ督「そして解放後は艦娘手当という一時金も付いて来るから」

ブサ督「艦娘になれる事は割と名誉に思われてる」

榛名「そうなんですか」

602以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:17:40 ID:jGZ2uc2.

榛名「でも榛名は……お父さんとお母さんの記憶がありません」

ブサ督「さっきも言ったけど……榛名は離島艦娘だからな」

ブサ督「謎は残るが、普通に婦女子として暮らしている元離島艦娘も居る」

榛名「先輩が居るんですね!」

ブサ督「ああ」

榛名「榛名……安心しました」

ブサ督「良かったな」

榛名「それで……ブサイク提督さん」

榛名「その記念碑は……どなたの為のものなのですか?」

ブサ督「ん〜……」

ブサ督「一言では説明できないな」

榛名「恋人さん……とか?」

603以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:18:29 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「恋人か……」

ブサ督「そういう気持ちが無いって言えばウソになるけど」

ブサ督「どちらかと言えば、妹とか、娘みたいに思ってたかも」

榛名「妹さんか娘さん、ですか」

ブサ督(……本人が聞たら怒るかな)

榛名「どんな人だったんですか?」

ブサ督「…………」

ブサ督「……とても綺麗な子だった」

榛名「…………」

ブサ督「ちょっと世間知らずで……最初はギクシャクしたけど」

ブサ督「俺もいろいろな事を彼女から学んだ」

榛名「…………」

604以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:19:31 ID:jGZ2uc2.

榛名「亡くなった……という訳ではないんですよね?」

ブサ督「ああ」

ブサ督「でも……もう二度と彼女には会えない」

ブサ督「どこへ行ったのかも分からない」

榛名「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督「……よし、出来た」

ブサ督「不格好だけど……許してもらおう」

榛名「……灰色の髪の君?」

ブサ督「何か書いておかないと、普通の岩と間違えられそうだからな」

ブサ督「……まあ、またここへ来るのは俺だけだろうけど」

榛名「…………」

605以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:20:16 ID:jGZ2uc2.

ブサ督(……これは俺なりのけじめだ)

ブサ督(名前にしなかったのは、墓標みたいで嫌だし)

ブサ督(君は死んだわけじゃないと思うからだ)

ブサ督(…………)

ブサ督(桜……)

ブサ督(…………)

ブサ督(君と居た時間は……俺にとって、とても貴重で)

ブサ督(楽しいものだった……)

ブサ督(…………)

ブサ督(ありがとう)

ブサ督(桜……)

榛名「…………」

606以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:21:24 ID:jGZ2uc2.

     ピピピ… ピピピ…

ブサ督「……ん?」

ブサ督「通信か」

     ピピッ ガガッ

ブサ督「こちらブサイク提督」

電『あっブサイク提督さん』

ブサ督「どうした、電?」

電『その……新聞記者の方が何人か』

電『南方鎮守府に押し寄せてまして……』

ブサ督「え?」

電『一応、軍事機密に係るので、電たちでは答えられないし』

電『ブサイク提督さんも離島療養中で答えられないと、押し通してます』

ブサ督(……どういう事だ?)

607以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:22:21 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「電、ブンヤは何の取材に来たんだ?」

電『…………』

電『……南方戦線は打撃を受けたのか?とか』

電『元大将との癒着はあったのか?とかです……』

ブサ督「!?」

電『いずれにしても詳しい事は分からないので』

電『このままで通しますが……』

電『ブサイク司令官さんのお耳にも入れておいた方が良いと思いまして』

ブサ督「そうか……ありがとう、電」

ブサ督「その対処でしばらく頼む」

電『分かりました』

電『南方鎮守府、通信終了』

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

608以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:23:14 ID:jGZ2uc2.

     ブッ…

ブサ督「…………」

ブサ督(妙だな……フツメン提督がその辺は任せておけと)

ブサ督(言ってたはずだが……)

ブサ督(…………)

ブサ督(内地で何かあったか?)

ブサ督(…………)

榛名「ブサイク提督さん?」

ブサ督「!」

ブサ督「あ、すまない、榛名」

榛名「何かあったのですか?」

609以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:24:08 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「そうみたいだが……」

ブサ督「こっちから動くのは悪手の様な気がする」

榛名「では……どうしますか?」

ブサ督「この件は任せてる奴がいるから」

ブサ督「そいつからの連絡を待つ」

ブサ督「今は、それしかないと思う」

榛名「分かりました」

榛名「榛名はブサイク提督さんに従います!」

ブサ督「…………」

ブサ督(……それにしても)

ブサ督(榛名は……俺の顔について何も言わないな)

ブサ督(ギョッ、としたりも無かったし……)

ブサ督(…………)

610以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:25:04 ID:jGZ2uc2.


―――――――――――


大本営 元帥の執務室


元帥「クソッ!」

元帥「これが奴の答えか!」

フツ督「……完全にやられました」

フツ督「この報道で世論は」

フツ督「一気にブサイク提督の糾弾へ向かう事になるでしょう」

元帥「そんな事は言われなくとも分かっている……」

元帥「そして奴の大将への要望が高くなる事もな……!」

龍田「…………」

611以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:26:17 ID:jGZ2uc2.

フツ督「もはや俺の根回しなんて意味を成しません」

フツ督「軍部もブサイク提督を庇う事は出来ない……」

フツ督「万事休す、ですね……」

元帥「記録の開示をしてしまえば楽なのだが」

元帥「それは海軍全体の信用の失墜を招く」

元帥「何か……何か良い策は無い物か……」

フツ督「…………」

龍田「…………」

龍田「あのぅ……」

元帥「!」

フツ督「!」

612以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:27:08 ID:jGZ2uc2.

元帥「何か……良い策があるのかね?」

龍田「いえ、そうではなくて……」

龍田「少し、休憩をなさってはいかがかなぁ〜」

龍田「と」

元帥「…………」

フツ督「…………」

元帥「……それもそうだな」

フツ督「頭を冷やすべき、か……」

龍田「何か、冷たい飲み物でも持って来ましょうか?」

元帥「そうだな」

フツ督「頼めるか?」

龍田「はい♪」

龍田「それでは、ちょっと失礼しまぁす」

613以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:27:52 ID:jGZ2uc2.

     ガチャ キィ パタン

元帥「…………」

フツ督「…………」

フツ督(……もうこうなったら)

フツ督(龍田に【処理】を頼むほか……)

フツ督(…………)

フツ督(いや……)

フツ督(それは出来ればやらせたくない)

フツ督(…………)

614以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:29:28 ID:jGZ2uc2.

大本営 廊下付近


     テク テク テク

龍田「ふふ〜ん♪」

龍田「冷たい物と言えば〜」

龍田「やっぱりラムネ〜」

    ガヤ ガヤ

龍田「……ん?」


大淀「ですから!」

大淀「直接元帥閣下にお話ししたいんです!」

憲兵「何度も言うが、許可を受けてない者は通せない」

憲兵「まずは君の所属する上官に通してからが筋だ」

大淀「それでは意味が無いんです!」

.

615以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:30:15 ID:jGZ2uc2.

龍田(あれは……どこかで見た様な?)

龍田(…………)

龍田(まあいいか)

     テク テク テク…

―――――――――――

龍田「お待たせしました〜」

元帥「うむ」

フツ督「ありがとう、龍田」

龍田「いえいえ」

     スッ スッ

     ゴク ゴク

フツ督「……ふう」

フツ督「人心地ついたな」

616以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:30:59 ID:jGZ2uc2.

龍田「うふふ〜」

龍田「やっぱりラムネはいいですよねぇ〜」

元帥「……そうだな」

元帥「これで現実の方もスッキリできれば良いのだが……」

フツ督「…………」

龍田「…………」

龍田「あ」

龍田「そういえば……」

フツ督「どうした?」

617以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:32:27 ID:jGZ2uc2.

龍田「ラムネを持って来るとき見かけたんだけど」

龍田「元帥閣下に直接話がしたい〜とかって」

龍田「憲兵と揉めてる艦娘が居たのよね」

元帥「私と?」

フツ督「どこの所属の艦娘だ?」

龍田「ん〜……どこかで見た顔だと思うんだけど」

龍田「思い出せないのよね〜」

フツ督「君に面識があるのか……」

元帥「…………」

フツ督「…………」

618以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:33:32 ID:jGZ2uc2.

フツ督「どうでしょう、元帥」

フツ督「行き詰っているところですし」

フツ督「その艦娘に会ってみませんか?」

元帥「ふむ」

元帥「それも一興か……」

元帥「では、その様にしよう」

フツ督「迎えに行ってきます」

元帥「頼む」

―――――――――――

フツ督「あー君君」

憲兵「はい?」

フツ督「私は西方方面艦隊鎮守府・司令官のフツメン提督だ」

619以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:34:22 ID:jGZ2uc2.

憲兵「!」

大淀「!」

フツ督「何でも元帥閣下と直接話がしたい艦娘が居るとか?」

大淀「は、はい!」

憲兵「しかし、本来の規定では」

憲兵「所属する部隊の司令官の許可が……」

フツ督「うん、君の意見は正しい」

フツ督「だが……そこの艦娘は見たところ損傷を直す暇(いとま)すら」

フツ督「押して来たみたいじゃないか」

大淀「…………」

フツ督「責任は私が取る」

フツ督「一つ、私の顔に免じて通してくれないか?」

憲兵「…………」

620以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:35:12 ID:jGZ2uc2.

フツ督「いざとなれば、この護衛の艦娘に相手をさせる」

龍田「…………」

憲兵「…………」

憲兵「……分かりました」

憲兵「この艦娘の身柄はフツメン提督にお願いします」

大淀「!」

大淀「あ、ありがとうございます!」

フツ督「いやいや」

フツ督「では……こっちへ来てくれ」

大淀「はい」

龍田「…………」

621以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:35:54 ID:jGZ2uc2.

―――――――――――

元帥「私が元帥だ」

大淀「は、はい」

大淀「まずは……お会いくださり」

大淀「ありがとうございます」

元帥「うむ」

大淀「それで……私は、北方方面艦隊鎮守府・所属の艦娘で」

大淀「秘書艦をやっております、大淀、と申します」

元帥「!」

フツ督「!」

龍田「あ……思い出した」

622以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:36:49 ID:jGZ2uc2.

龍田「去年の合同観艦式で天龍ちゃんと一緒だった娘ね?」

大淀「はい、そうです」

大淀「ええと……龍田さん、でしたっけ?」

龍田「正解〜♪」

大淀「……そういえば」

大淀「天龍さんと意気投合していましたね」

龍田「うん♪」

龍田「……天龍ちゃんの事は聞いたわ」

大淀「…………」

大淀「……これから話す事は」

大淀「もっと辛い事をあなたに知らせる事になるかもしれません」

龍田「……どういう事?」

623以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:37:42 ID:jGZ2uc2.

大淀「…………」

大淀「元帥閣下、並びにフツメン提督」

大淀「まずはこれをご覧ください」

     パサッ…

元帥「……この書類は?」

大淀「これは、広域通信機に記録されている」

大淀「艦娘の通信記録の一部です」

元帥「ふむ?」

大淀「この記録は……主に遠征に出た天龍さんの通信記録なのですが」

龍田「…………」

大淀「最後の通信の後……司令官権限で」

大淀「緊急通信規制処理されていたんです」

624以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:38:43 ID:jGZ2uc2.

元帥「!?」

フツ督「!?」

龍田「…………」

元帥「遠征で緊急規制……!?」

フツ督「……通常ではありえない処置ですね」

フツ督「どういった状況だったんだ?」

大淀「…………」

大淀「この時……イケメン提督の指揮の元」

大淀「二個戦隊をもって敵泊地へ攻撃をしていたのですが」

大淀「大規模な伏兵によって、両戦隊とも撤退を打診して来ました」

フツ督「…………」

フツ督「……まさか」

625以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:39:32 ID:jGZ2uc2.

大淀「……はい」

大淀「その後なんです」

大淀「天龍さんを含めた遠征部隊……全員に」

大淀「緊急規制が掛けられたのは……!」

元帥「…………」

フツ督「…………」

龍田「…………」

龍田「……ねえ」

龍田「それって……さ」

龍田「考えたくないんだけど……」

龍田「天龍ちゃんを」

626以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:40:27 ID:jGZ2uc2.

龍田「囮か何かにした……って事かしら?」

元帥「…………」

フツ督「…………」

大淀「…………」

龍田「……どうしてみんな黙るの?」

龍田「誰か……否定しないの?」

龍田「ねえ!!」

大淀「……まだあるんです」

元帥「!」

フツ督「!」

龍田「!」

龍田「……これ以上」

龍田「何があるのかしら?」

627以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:41:20 ID:jGZ2uc2.

フツ督「少し待ってくれ、大淀」

大淀「……はい」

フツ督「それは……天龍に関する事なのか?」

大淀「……はい」

フツ督「龍田」

フツ督「君は聞かない方が良い」

龍田「いいえ!」

龍田「絶対聞くわ!」

龍田「天龍ちゃんの事なんですもの!」

フツ督「……なら」

フツ督「約束してくれ」

フツ督「暴走しない、と」

龍田「…………」

628以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:41:58 ID:jGZ2uc2.

龍田「……考えておくわ」

フツ督「その答えじゃダメだ」

フツ督「イエスかノーの二択」

フツ督「それ以外認めない」

龍田「…………」

龍田「……意地悪」

フツ督「どっちなんだ?」

龍田「分かったわよ」

龍田「暴走しない」

龍田「これでいい?」

フツ督「……ああ」

629以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:42:55 ID:jGZ2uc2.

フツ督「すまない大淀、続けてくれ」

大淀「分かりました……」

大淀「…………」

大淀「あれは……ちょうど3日くらい前です」

大淀「北方鎮守府は……襲撃を受け」

大淀「広域通信機と電探を破壊されたんです」

元帥「何!?」

フツ督「待て。深海棲艦なら、警報が鳴るハズだろう?」

フツ督「故障でもしていたのか?」

大淀「いいえ」

大淀「正常に機能していました」

630以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:43:51 ID:jGZ2uc2.

フツ督「!」

フツ督「まさか……天龍がやったのか!?」

龍田「!」

大淀「……結論から言えばそうです」

元帥「囮に使われ、生き残ったのならば……分からないではないな」

大淀「ただ……その時の天龍さんは……天龍さんは!」

大淀「深海棲艦のチ級によく似た姿を……していたんです!」

元帥「」

フツ督「」

龍田「」

元帥「な、何だと!?」

フツ督「し……信じられん……」

大淀「ええ……ええ! 私だって信じたくありません!」

631以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:44:45 ID:jGZ2uc2.

大淀「ですが……私はこの目で見ました!」

大淀「そして、私の名前を呼んだんです!」

元帥「…………」

フツ督「…………」

     …ドサッ

龍田「」

フツ督「た、龍田ッ!!」

元帥「こりゃいかん……」

元帥「医務室へ連れて行くんだ」

フツ督「失礼します!」

     ガチャ キィ パタン

大淀「…………」

元帥「…………」

632以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:45:20 ID:jGZ2uc2.

元帥「……それにしても3日か」

元帥「なぜすぐに連絡しなかったのだ?」

大淀「その襲撃の後、すぐに」

大淀「深海棲艦の大艦隊が現れまして」

大淀「その対応に追われてしまったんです……」

元帥「……なんというタイミングの悪さだ」

元帥「イケメン提督は……ちょうどこちらへ向かっててすれ違いになったか」

元帥「あ奴が居ても頼りないが……」

元帥「指揮官不在で、よく対処できたな」

大淀「…………」

633以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:46:17 ID:jGZ2uc2.

大淀(……大本営は)

大淀(イケメン提督の実力を把握していたのね)

大淀(…………)

大淀「……私たちの功績ではありません」

大淀「ほとんどは……ブサイク提督が残してくれた」

大淀「戦術書のおかげなんです……」

元帥「ブサイク提督の?」

大淀「はい」

大淀「あれが無かったら……」

大淀「私たちは大損害を受けていたでしょう」

元帥「…………」

634以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:47:17 ID:jGZ2uc2.

―――――――――――

フツ督「お待たせしました」

元帥「龍田は大丈夫か?」

フツ督「はい」

フツ督「軍医の話では問題ないだろう、と」

フツ督「医務室のベッドで休ませてあります」

元帥「そうか。何よりだな」

フツ督「それで……天龍はその後、どうしたんだ?」

大淀「…………」

大淀「天龍さんは、不在だったイケメン提督の居場所を執拗に聞いてきました」

元帥「……さもありなん、か」

フツ督(悪運の強い奴め……)

635以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:47:55 ID:jGZ2uc2.

大淀「……申し訳ありません」

元帥「?」

元帥「なぜ謝罪するのだ?」

大淀「私は混乱して……うかつにも大本営へ行ったと」

大淀「天龍さんに漏らしてしまったんです……」

フツ督「!」

元帥「!」

大淀「金剛さんと比叡さんが捕まえようとしましたが」

大淀「逃げられてしまい……それっきり動向は知れません」

フツ督「なんてこった……」

636以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:48:48 ID:jGZ2uc2.

元帥「…………」

元帥「警戒態勢を敷くべきか?」

フツ督「…………」

フツ督「今の状況を考えると、難しい判断です……」

フツ督「ただでさえ海軍の信頼が揺らいでいる時期ですから」

元帥「だが、放っておく訳にもいくまい」

フツ督「……天龍の居場所は把握しておきたいですね」

フツ督「移動ルートを予測して、当該地域を探らせてみましょう」

元帥「ふむ……それが妥当か」

元帥「天龍が無辜の民に手を出さぬ内は、それで行こう」

フツ督「ありがとうございます」

大淀「…………」

637以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:49:40 ID:jGZ2uc2.

元帥「イケメン提督の事だけでも手一杯だというのに」

元帥「問題ばかり次々と起こってくれるな……」

大淀「…………」

フツ督「その事なんですが、元帥閣下」

フツ督「ひとつ思いついた事があります」

元帥「イケメン提督の事でか?」

フツ督「はい」

フツ督「ただ……まだ不確定要素がありますので」

フツ督「少し時間をください」

元帥「どれくらいだ?」

フツ督「長くても半日程度です」

638以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:51:25 ID:jGZ2uc2.

元帥「…………」

元帥「……よかろう」

元帥「そのくらいなら待てる。期待してるぞ」

フツ督「がっかりされない様に頑張ります」

フツ督「では……」

フツ督「大淀、君にも手伝って欲しい」

大淀「え?」

大淀「あ、はい。私に出来る事なら手伝います」

フツ督「頼む」

639以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:52:29 ID:jGZ2uc2.

フツ督「じゃあ、ついてきてくれ」

大淀「分かりました」

フツ督「それでは、失礼します」

大淀「失礼します、元帥閣下」

元帥「ああ」

     ガチャ キィ パタン

元帥「…………」

元帥「……やっと分かった気がする」

元帥「フツメン提督が、あれだけブサイク提督に」

元帥「入れ込む理由が……」

元帥「…………」

元帥「一度、酒の席にでも誘ってみるかな?」

640以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:53:05 ID:jGZ2uc2.


―――――――――――


大本営 屋上


フツ督「よし、ここならいいだろう」

大淀「こんなところで、いったい何を?」

フツ督「ブサイク提督と連絡を取る」

大淀「え!?」

大淀「負傷され、離島で療養中と聞きましたが……」

フツ督「それは表向きの話。色々あってな」

大淀「そう……だったんですね」

フツ督「……それと、通信する前に」

フツ督「君に龍田の事を話しておきたいと思って」

641以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:53:55 ID:jGZ2uc2.

大淀「龍田さんの?」

フツ督「ああ……」

大淀「…………」

フツ督「君から見ると……」

フツ督「龍田があれだけ天龍に入れ込むのは変に思うんじゃないか?」

大淀「……少し思いました」

大淀「去年の合同観艦式で仲良くなってたのは見ましたが」

大淀「それ以降、会ってないはずですし……」

フツ督「だよな……」

フツ督「…………」

642以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:54:48 ID:jGZ2uc2.

フツ督「実は……龍田は、前の天龍とかなり仲が良かったんだ」

大淀「前の……今の天龍さんの前、という事ですか?」

フツ督「そう」

フツ督「だが……ある日の戦闘で」

フツ督「前の天龍は龍田を庇い……」

フツ督「轟沈して【艦娘の墓】に居る」

大淀「!」

フツ督「……それ以降」

フツ督「龍田は自分を責め続けてな……」

フツ督「戦闘で自暴自棄になった事も一度や二度じゃなかった」

大淀「…………」

643以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:55:24 ID:jGZ2uc2.

フツ督「そんな時……北方鎮守府で」

フツ督「新たな天龍が着任した事を知った」

大淀「…………」

フツ督「俺はそれを利用した」

フツ督「龍田に天龍は生きていた、と言い」

フツ督「その代りケガの後遺症で記憶を失っている」

フツ督「という事にしたんだ」

大淀「…………」

フツ督「……それを伝えて」

フツ督「合同観艦式を終えた後」

フツ督「龍田は……無謀な行動を取らなくなった」

644以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:56:15 ID:jGZ2uc2.

大淀「……そうだったんですね」

フツ督「我ながら酷い男だと思うよ」

フツ督「何もかも全部……俺の我が儘での行動だ」

大淀「…………」

大淀「いいじゃないですか、それくらい」

フツ督「…………」

大淀「私の我が儘なんて……もっと酷い結果を招きました」

フツ督「…………」

フツ督「……興味はあるが、聞かないでおこう」

大淀「……そうしてくださると助かります」

645以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:56:53 ID:jGZ2uc2.

フツ督「ははは」

フツ督「……じゃ、連絡を取るか」

大淀「そんな小さな通信機で南方まで通信可能なんですか?」

フツ督「こいつは端末にすぎん」

フツ督「詳しい仕組みは俺も知らんが」

フツ督「この端末で広域通信機を経由して通信できるんだ」

大淀「……すごいですね」

フツ督(……たぶん)

フツ督(イケメン提督もこういう物を使ったんだろうな……)

646以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:57:31 ID:jGZ2uc2.


―――――――――――


ブサ督「こちらブサイク提督」

フツ督『……久しぶり』

フツ督『元気にしてたか?』

ブサ督「体調は問題ないが、いろいろとあった……」

ブサ督「それに、そっちでも何かあった様だな?」

フツ督『!』

ブサ督「電から新聞記者が押し寄せてると連絡があったんだ」

フツ督『……すまん』

ブサ督「謝る必要はない」

ブサ督「説明してくれ」

647以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:58:15 ID:jGZ2uc2.

―――――――――――

フツ督『……という訳だ』

ブサ督「…………」

ブサ督「……こりゃ参ったね」

フツ督『だが、まだ諦めるのは早い』

ブサ督「こんな状況で、まだ打てる手があるのか?」

フツ督『その為に』

フツ督『お前にもひと働きしてもらう』

ブサ督「……何をすればいい?」

フツ督『南方鎮守府に戻り』

フツ督『広域通信機の通信記録を調べてもらいたい』

ブサ督「広域通信機の?」

648以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:58:46 ID:jGZ2uc2.

フツ督『ああ』

フツ督『特に行方不明扱いになってる艦娘や』

フツ督『轟沈扱いの艦娘の通信記録を時系列で』

フツ督『俺に知らせて欲しいんだ』

ブサ督「……聞かない方が良い気もするが」

ブサ督「どういう事なんだ?」

フツ督『…………』

ブサ督「おい、フツメン提督」

大淀『ここからは私が説明します、ブサイク提督』

ブサ督「!?」

ブサ督「その声……大淀か?」

649以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 20:59:20 ID:jGZ2uc2.

大淀『……はい』

大淀『お久しぶりです、ブサイク提督』

ブサ督「お、おう……」

大淀『……イケメン提督が着任して以降』

大淀『ブサイク提督の偉大さが……良く分かりました』

ブサ督「…………」

大淀『すみません。謝罪やお礼とか山ほど言いたいのですが』

大淀『時間が無い様なので手短に説明します』

―――――――――――

大淀『……という事でして』

大淀『南方ではどの様だったのか、調べて欲しいんです』

ブサ督「…………」

ブサ督「……分かった」

650以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:00:06 ID:jGZ2uc2.

フツ督『俺だ』

フツ督『そういう訳だから急いでくれ』

ブサ督「任せてくれ」

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

フツ督『フツメン提督、通信終了』

     ブッ…

ブサ督(……天龍)

榛名「ブサイク提督さん?」

ブサ督「……ん?」

榛名「大丈夫ですか?」

ブサ督「大丈夫だ……榛名」

651以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:01:05 ID:jGZ2uc2.

ブサ督「あ」

榛名「どうしました?」

ブサ督「…………」

ブサ督「……何でもない」

榛名「?」

ブサ督(榛名の事を伝え忘れていた)

ブサ督(ここは西方海域……本来、榛名の所有権は)

ブサ督(フツメン提督にある……)

ブサ督(…………)

ブサ督(後で頼むしかないな……)

ブサ督「よし、南方鎮守府に戻るぞ」

榛名「はい!」

652以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:02:04 ID:jGZ2uc2.

     ピピー ガガッ

ブサ督「こちらブサイク提督」

ブサ督「南方鎮守府、応答してくれ」

電『こちら南方鎮守府・執務室』

電『ブサイク司令官さん、いかがされましたか?』

ブサ督「バカンスは終わった」

ブサ督「やる事が出来てな……至急迎えを寄こして欲しい」

電『分かりました』

電『すぐに高雄さん達を向かわせます』

ブサ督「頼む」

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

電『南方鎮守府、通信終了』

     ブッ…

653以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/16(金) 21:03:49 ID:jGZ2uc2.
本日はここまでです。
遅れてすみません。ちょっと体調を崩していました。

654以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/17(土) 12:58:14 ID:do/Iq9BQ
おつ
夜は冷えてきたしお大事に

655以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/17(土) 19:59:53 ID:W.qsjRN.
乙っん
物語の佳境が近づいてきた空気を感じる……さてどうなる

656以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/18(日) 00:02:05 ID:GKObYddY
乙です


イケメン提督は天龍田のツープラトン斬撃でバラバラになる最期が相応しい

657以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/22(木) 02:03:40 ID:fluMCSBY
追いついた
面白くて一気読みしちゃったわ

658以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:17:14 ID:XndiLEMk


―――――――――――


関東沿岸部 某所


フード女「…………」

     ガサゴソ…(ゴミ箱あさり)

フード女「…………」

フード女「……アッた」

     バサッ(新聞広げ)

フード女「…………」

フード女(……イケメン提督、責任を痛感……)

フード女(南方戦線疲弊……大本営完全に否定せず)

659以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:18:03 ID:XndiLEMk

フード女(…………)

フード女(…………)

フード女(……!)

フード女(イケメン提督、帝都ホテルで……)

フード女(よし……)

フード女(クソ野郎……まダ……)

フード女(帝都に居ル……!)

フード女(…………)

フード女(必ず……)

フード女(コロス……!)

フード女(…………)

660以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:18:41 ID:XndiLEMk


―――――――――――


南方鎮守府 軍港


     ザザザザザザザ…


電「ブサイク司令官さん、お帰りなさいなのです」

ブサ督「ただいま」

ブサ督「ブンヤどもは大丈夫か?」

電「監視下に置いて下がらせてます」

ブサ督「助かる」

ブサ督「高雄たちもご苦労だった」

高雄「いえ、お役に立てて光栄です」

661以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:19:31 ID:XndiLEMk

ブサ督「そうだ、良かったら榛名に」

ブサ督「南方鎮守府を案内してやってくれないか?」

榛名「え? 榛名は、ブサイク提督さんと一緒がいいです」

ブサ督「えっ」

電「えっ」

高雄「えっ」

愛宕「えっ」

飛龍「えっ」

鳳翔「えっ」

榛名「……?」

榛名「どうして皆さん、そんなに驚くのですか?」

662以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:20:37 ID:XndiLEMk

ブサ督「……ま、まあ、榛名がそう言うのなら」

榛名「はい♪」

ブサ督(調子狂うな……)

ブサ督「では……高雄たちは、ゆっくりしててくれ」

高雄「は、はい」

ブサ督「それじゃ、執務室に向かおう」

榛名「はい、ブサイク提督さん」

     スタ スタ スタ…

高雄「…………」

愛宕「…………」

飛龍「…………」

鳳翔「…………」

663以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:21:30 ID:XndiLEMk

高雄「……あれ、どう見ます?」

愛宕「う〜ん……控えめに言って」

愛宕「ベタ惚れ?」

飛龍「ここへ来る道中でも、やけに仲良さそうでしたけど……」

鳳翔「どちらかと言えば……」

鳳翔「ブサイク提督さんの方が戸惑ってましたよね?」

高雄「…………」

愛宕「…………」

飛龍「…………」

鳳翔「…………」

4人(尊敬はしてるけど……)

4人(恋愛感情は……さすがに……)

664以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:22:24 ID:XndiLEMk

南方鎮守府 執務室


ブサ督「ふう……帰って来たな」

ブサ督「さて、早速だが……技術主任を呼んできてくれ」

電「あの、ブサイク司令官さん」

ブサ督「ん?」

電「その前にですね、お手間は取らせませんので」

電「新たに補充された艦娘の着任を確認して欲しいのですが……」

ブサ督「補充か。それはありがたい」

ブサ督「すぐ呼べるのか?」

電「隣の作戦室に待機させてます」

665以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:23:18 ID:XndiLEMk

ブサ督「分かった、呼んでくれ」

電「了解なのです」

電「許可が下りました」

電「入室してください」

     ガチャ… ゾロ ゾロ

??「……っ」 ギョッ

??「……うわっ」

??「…………」 ギョッ

??「ひっ……」

ブサ督「…………」

榛名「…………」

電「……すみません、事前に話しておいたのですが」

ブサ督「……いいよ、別に」

666以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:24:17 ID:XndiLEMk

ブサ督「これからは写真でも前もって見せておけばいい事だ」

電「……えと」

電「ご挨拶してください」

??「……く、駆逐艦、朝潮です」

朝潮「勝負なら、いつでも受けて立つ覚悟です」

??「……なんでこんな……満潮よ」

満潮「力は尽くすわ」

??「く、駆逐艦、大潮で〜す」

大潮「小さな体に大きな魚雷! お任せください」

??「……霞よ」

霞「ガンガン行くわよ、ついてらっしゃい」

667以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:25:24 ID:XndiLEMk

ブサ督「なかなか元気があってよろしい」

ブサ督「着任を確認した」

ブサ督「ようこそ南方鎮守府へ。よろしく頼む」


朝潮型4人「はい」


ブサ督「では、後の処理は電に任せる」

ブサ督「彼女たちに部屋を用意してやってくれ」

電「了解なのです」

電「その帰りに技術主任さんをお連れしますね」

ブサ督「ああ、待ってるよ」

電「失礼します」

     ガチャ キィ

     ゾロ ゾロ… パタン

668以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:26:04 ID:XndiLEMk

ブサ督「ふう……」

榛名「…………」

榛名「……酷い」

ブサ督「ん?」

榛名「何なのですか、あの態度……」

榛名「いくら何でも失礼すぎです!」

ブサ督「…………」

ブサ督「……あれが普通なんだよ」

榛名「え……」

ブサ督「どちらかと言えば、榛名の方がおかしいんだ」

ブサ督「ああ、もちろん普通に接してくれるのは嬉しいんだが……」

榛名「…………」

669以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:29:05 ID:XndiLEMk

ブサ督「……榛名は、俺の顔が気持ち悪くないのか?」

榛名「微塵も思いません」

ブサ督(それはそれで心配になるな……)

ブサ督「そ、そうか」

ブサ督「ええと……」

     ガサゴソ ガサゴソ

ブサ督「あった」

榛名「?」

ブサ督「普通はな、こういう顔がモテ……好まれるんだ」つ(古新聞)

榛名「…………」

榛名「……榛名は、何とも思いません」

ブサ督「マジか……」

670以下、名無しが深夜にお送りします:2020/11/02(月) 19:29:50 ID:XndiLEMk

ブサ督「じゃあ榛名」

榛名「はい」

ブサ督「あそこの壁に貼ってるポスターの一番下の文字」

ブサ督「そこから読めるか?」

榛名「ええと……」

榛名「我が皇国の科学力は世界いち……ですか?」

ブサ督「うん、視力も問題ないな」

榛名「…………」

ブサ督(これはやっぱ……)

ブサ督(刷り込み、みたいなアレか?)


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