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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。
518
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 18:58:29 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
北方 某海域
ザザザザザザザザ…
利根「…………」
利根「む……!」
利根(吾輩の電探に反応あり)
ピピー ガガッ
利根「利根より全艦娘へ達する」
利根「敵艦隊を補足」
519
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 18:59:21 ID:Wwx.GDpY
利根「予測海域よりやや東に展開しておる」
利根「これより艦隊の進路を変更する」
利根「左(ひだり)舷、20度転進せよ!」
ヨーソロー!
利根「…………」
利根「利根より筑摩へ」
ピピー ガガッ
筑摩『こちら筑摩。何でしょうか、利根姉さん?』
利根「吾輩の気のせいか……」
利根「どうも敵艦隊の動きが鈍い様に感じる」
利根「筑摩はどう思う?」
筑摩『…………』
筑摩『……大艦隊ゆえ、動きが悪いのではないでしょうか?』
520
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:00:08 ID:Wwx.GDpY
利根「一理あるが……どうにも気になる」
利根「十分警戒しておいてくれ」
筑摩『了解です、利根姉さん』
利根「利根、通信終了」
筑摩『筑摩、通信終了』
ブッ…
利根「…………」
ピピー ガガッ
金剛『こちら金剛ネー!』
金剛『利根サーン!聞こえマスかー?』
521
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:00:44 ID:Wwx.GDpY
利根「こちら利根。感度良好」
利根「どうした?」
金剛『比叡ともども目標の海峡前に到着したネー!』
金剛『いつでも殿(しんがり)を任せてくだサーイ!』
利根「……うむ」
利根「済まぬが……頼む」
金剛『了解!』
金剛『金剛、通信アウト!』
利根「利根、通信終了」
ブッ…
利根「…………」
利根「…………」
利根(……そろそろか)
522
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:01:38 ID:Wwx.GDpY
ピピー ガガッ
利根「こちら利根」
利根「全艦娘に達する」
利根「陣形、複縦陣」
ザザザザザザザザ…
利根「…………」
陣形 準備ヨシ!
砲弾、装填ヨシ!
利根「…………」
利根「目標……敵艦隊前衛、イ級!」
利根「一隻でも多くの敵艦を沈めよ!」
利根「全艦娘……攻撃開始!」
523
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:02:34 ID:Wwx.GDpY
ドォンッ ドォンッ!
ヒュウウウウウウウ……
ドォンッ! ドォンッ!
利根「…………」
利根(やはり、敵艦隊の動きが鈍い……)
利根(何の意図があるのじゃ?)
イ級 轟沈3!
同ジク イ級轟沈2!
利根(誘っておるのか?)
利根(じゃが、そういう事なら乗ってはやれん)
12時、敵機確認!
数、約60!
524
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:03:20 ID:Wwx.GDpY
ピピー ガガッ
利根「赤城、加賀」
利根「よろしく頼む」
赤城『赤城、了解』
加賀『加賀、了解』
ピピー ガガッ
利根「全艦娘に達する」
利根「あまり前へ出るな」
利根「なるべく現状海域に留まって攻撃せよ!」
了解!
利根「…………」
利根(……例の海域、どうなっておるかのう)
525
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:04:14 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
例の海域
ザザザザザザザザ…
名取「…………」
名取「!」
名取「この反応は……!」
ブロロロロロロ…
名取「3時に敵機……!」
ピピー ガガッ
名取「こちら名取! 敵機襲来!」
526
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:05:07 ID:Wwx.GDpY
名取「艦種……不明ながら空母級3!ル級いち!イ級2!」
ヒュウウウウウウウ……
ドォンッ ドォンッ!
名取「くっ!」
名取(襲撃があるかもと聞いてたけど……結構きつい!)
名取「対空戦闘!」
ダダダダダダダ!
名取「名取、現海域から離脱します!」
ピピー ガガッ!
大淀『了解。後はこちらにお任せください』
527
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:05:54 ID:Wwx.GDpY
ザザザザザザザザ…
大淀「…………」
大淀「…………」
大淀「あ……追撃をやめましたね」
鳥海「大淀さんが言った通り……この海域は敵にとって重要なのでしょうか」
大淀「その詮索は後にしましょう」
大淀「利根さんに打電」
―――――――――――
筑摩『大淀さんから例の海域で侵攻があったと連絡が来ました』
利根「……予測通り襲撃を受けたか」
利根「では、こちらも作戦を開始する!」
筑摩『はい』
利根「全艦娘に達する」
利根「中破以上の損傷をした艦娘は作戦通り後方の海峡に迎え!」
528
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:06:52 ID:Wwx.GDpY
了解!
利根(さて……ここからじゃ)
利根(敵はどう出るか……!)
利根「!」
利根「全艦娘に達する!」
利根「敵艦隊急速接近!」
利根(こちらの考えた通り……例の海域と連携しておったか!)
ザザザザザザザザ…
利根「くっ……!最初の鈍さはやはり誘いか!」
利根「全艦娘!後進一杯!」
利根「魚雷一斉射して敵を牽制せよ!」
529
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:07:54 ID:Wwx.GDpY
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ドォンッ! ドォンッ!
……敵艦隊の足、止まりません!
利根「分かっておったが……!」
利根「こちらも後進の足を止めるな!」
利根「例の海峡まで頑張るのじゃ!」
敵イ級、肉薄!
利根「うろたえるな!」
利根「こんなに接近しおったら、後方の敵もうかつには攻撃でき……」
ドォンッ! ドォンッ!
ドォンッ ドォンッ!
利根「何ッ!?」
530
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:08:37 ID:Wwx.GDpY
ドガッ! ドガアァァァンッ!
利根「み、味方ごと……撃ちおった!?」
キャアアアアアッ!
味方艦娘、被害拡大!
利根「くそっ!イケメン提督でも上に居るのか!こやつら!」
利根「この状況での反転は命とりじゃ!」
利根「後進一杯を続けつつ、迎撃!」
利根「海峡を越えるまでの辛抱じゃぞ!」
キャアアッ! 機関破損!
速度が……助けてぇっ!
利根「……っ!」
531
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:09:28 ID:Wwx.GDpY
利根「全艦娘に……達する!」
利根「脱落した艦娘は、艦娘は……!」
利根「構うな!」
!!?
利根「後進一杯を続けよ!」
待って! 置いてかないで!
キャアアアアアッ!!
ドガァンッ!
利根「……う……ううっ……」
利根「うああああああああっ!!」
ドォンッ! ドォンッ!
筑摩(利根姉さん……)
532
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:10:17 ID:Wwx.GDpY
金剛「……待ちくたびれマシタ」
金剛「後は、この金剛が敵のヘイトを集めるネ!」
金剛「増設バルジ、展開!」
ジャキン!
金剛「さあ……深海棲艦サーン」
金剛「ドンドン金剛を狙いなサーイ!」
利根「頼むぞ、金剛、比叡!」
比叡「お任せを」
比叡「早く海峡の向こうへ!」
利根「お主らも必ず来るのじゃぞ!」
ザザザザザザザザ…
533
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:11:10 ID:Wwx.GDpY
金剛「全砲塔を外してまで増設バルジ付けまくった」
金剛「この防御特化型金剛の殿(しんがり)」
金剛「そう簡単には抜かせないネー!」
比叡「そして金剛お姉さまを狙う敵は……」
比叡「この比叡の主砲で至近砲撃を喰らわせてやります!」
ピピー ガガッ
利根『何をしておる!』
利根『早う後進せい!』
利根『ル級が10は居るのじゃぞ!?』
金剛「利根サーン!了解ネー!」
金剛「金剛、後進一杯!」
比叡「比叡、後進一杯!」
534
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:11:56 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
例の海域
大淀「…………」
大淀「……では、こちらも攻撃を開始します」
大淀「艦隊、前進!」
ザザザザザザザザ…
大淀「!」
大淀「敵機襲来!」
大淀「瑞鶴さん、頼みます!」
瑞鶴「了解!」
535
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:12:53 ID:Wwx.GDpY
瑞鶴「まさか格納庫すべてに迎撃戦闘機を載せるなんてね」
瑞鶴「発艦!」
ブロロロロロロ…
大淀(これで制空権確保、とまではいかなくとも)
大淀(互角くらいには持って行けるはず)
大淀(そして撃ち漏らした敵機は……)
摩耶「ハッハー!」
摩耶「お客さんだぜ、鳥海!」
鳥海「対空戦闘、用意!」
大淀(対空特化型の彼女たちに任せ……)
夕立「敵艦、見ゆっぽーい!」
大淀「目標、単縦陣先頭のル級!」
536
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:13:27 ID:Wwx.GDpY
大淀(私と駆逐艦最強クラスの火力を持つ夕立さんで)
大淀(攻撃、殲滅する!)
大淀「魚雷、斉射ー!」
夕立「ぽーい!」
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ドォンッ! ドォンッ!
大淀「ル級、轟沈!」
夕立「次、イ級ぽい」
大淀「砲撃、てー!」
537
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:14:07 ID:Wwx.GDpY
ブロロロロロロ…
ヒュウウウウウウウ……
ドォンッ ドォンッ!
摩耶「ちいいっ!」
摩耶「さすがに数が多いぜ!」
鳥海「空母3隻分の攻撃機ですからね」
鳥海「瑞鶴さん、もう少し何とかなりませんか?」
瑞鶴「これでも精一杯やってるわよ!」
大淀「もうしばらく持ちこたえてください!」
大淀「護衛はあと少しで片づきます!」
摩耶「頼むぜ、大淀!」
大淀「お任せを!」
夕立「北方でも悪夢見せたげるっぽーい!」
538
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:14:56 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
北方 某海域 海峡出口付近
利根「筑摩!」
利根「艦隊陣形はどうじゃ!?」
筑摩「はい、利根姉さん」
筑摩「扇状陣形、もう間もなく完成します」
利根「よし……各艦娘へ達する!」
利根「もうすぐ金剛達が海峡を抜けてくる!」
利根「吾輩の合図とともに金剛達を追い、海峡を抜けて来た」
利根「深海棲艦艦隊へ、集中砲火を喰らわせるのじゃ!」
539
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:15:40 ID:Wwx.GDpY
利根(……敵に一杯食わされたふりをして)
利根(後方へ逃げを打ったかのように見せ)
利根(海峡という一種の隘路(あいろ:狭い道の意)へ誘い込み)
利根(海峡先にて扇状に展開した艦娘で出口に現れた敵を叩く!)
利根(……見事な策じゃが、どうしても陣形を整えるために)
利根(少しの時間がいる……!)
利根(金剛、比叡……)
利根(決して……やられるでないぞ!)
筑摩「利根姉さん」
筑摩「陣形準備、整いました」
利根「よし! 吾輩の合図を待て!」
利根「…………」
540
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:16:58 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
ドォンッ ドォンッ!
ドガァッ! ドガアァァンッ!
金剛「ぐっ……くうっ!」
比叡「このぉっ!」
ドォンッ! ドォンッ!
比叡「もう少し……もう少しですよ!」
比叡「金剛お姉さま!」
バキィィンッ!
金剛「うあああっ!!」
金剛(さ、最後の増設バルジがっ!)
541
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:17:33 ID:Wwx.GDpY
ドォンッ ドォンッ!
ドガァッ! ドガアァァンッ!
金剛「ひぎゃあああああっ!!」
比叡「金剛お姉さまぁぁぁっ!!」
比叡「このおぉぉぉぉっ!!」
ドォンッ! ドォンッ!
金剛「ぐっ……う……」
比叡「金剛お姉さま、しっかりしてください!」
金剛「比叡……」
金剛「私……置いて行くネ……」
比叡「っ!」
比叡「何をバカな……!」
542
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:18:33 ID:Wwx.GDpY
金剛「最後の……効いた……ネ……」
金剛「機関出力…………低下……」
金剛「…………」
比叡「金剛お姉さま!?」
比叡「……いいえ、いいえ!」
比叡「比叡は……比叡は!」
比叡「金剛お姉さまを見捨て……」
ドォンッ ドォンッ!
ドガァッ! ドガアァァンッ!
比叡「ぎっ……あああああああああああっ!!」
比叡「…………」
比叡「ま、まだ……動けます」
543
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:19:19 ID:Wwx.GDpY
比叡「さあ、金剛お姉さまも……諦めないで!」
金剛「…………」
比叡「金剛お姉さまあっ!!」
ブロロロロロロ…
ヒュウウウウウウウ……
ドォンッ ドォンッ!
比叡「!?」
ピピー ガガッ
加賀『こちら加賀』
加賀『最後の航空支援よ、長くはもたない』
加賀『急いで!』
比叡「……了解!!」
544
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:19:59 ID:Wwx.GDpY
筑摩「金剛さん達の予定地点通過を確認!」
利根「――全艦娘に達する」
利根「目標、海峡出口付近に現れる敵深海棲艦・艦隊!」
利根「全砲門……開け!!」
ドォンッ ドォンッ!
ドォンッ! ドォンッ!
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ドガアァァンッ!
利根「次弾装填!」
筑摩「敵艦隊の反撃、来ます!」
545
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:20:45 ID:Wwx.GDpY
利根「回避ー!」
ドォンッ! ドォンッ!
ドガアァァンッ!
利根「今度はこちらの番じゃ!」
利根「残った火力をすべて叩き込め!!」
了解!
熊野「一捻りで黙らせてやりますわ!」
熊野「てー!」
鈴谷「うりゃぁ!」
ドォンッ ドォンッ!
ドォンッ! ドォンッ!
利根「まだまだじゃ!撃ちまくれ!」
筑摩「また敵の反撃、来ます!」
546
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:21:34 ID:Wwx.GDpY
キャアアアアアッ!
損傷! 大破!
サガレ!
利根「こちらも反撃の手を緩めるでない!」
利根「撃って撃って撃ち尽くすのじゃ!」
ドォンッ ドォンッ!
筑摩「!」
筑摩「敵艦隊のイ級が何隻か抜けてきました!」
利根「近寄らせるな!」
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ドガアァァンッ!
筑摩「イ級殲滅!」
547
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:22:14 ID:Wwx.GDpY
利根「よし、敵艦隊の動きがあからさまに悪くなって来おった!」
利根「皆の衆、もう少しじゃぞ!」
利根「撃てー!」
ドォンッ ドォンッ!
ドォンッ! ドォンッ!
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ドガアァァンッ!
548
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:23:06 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
筑摩「利根姉さん、敵艦隊、撤退を始めました」
筑摩「追撃しますか?」
利根「そんな余力、微塵も無いわ」
筑摩「ですね」
筑摩「警戒監視を敷いておきます」
利根「頼む」
ピピー ガガッ
筑摩「あ……大淀さんから連絡があったそうです」
利根「何と言ってきた?」
筑摩「…………」
筑摩「侵入してきた敵艦隊を殲滅した、との事です」
利根「そうか」
利根「こちらも何とか勝てたと伝えてくれ」
549
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:23:53 ID:Wwx.GDpY
筑摩「分かりました、利根姉さん」
筑摩「ん?」
利根「どうした?」
筑摩「…………」
筑摩「近くなので、少し長良さんの捜索を行いたいと……」
利根「……大淀の好きにすれば良かろう」
筑摩「では、その様に伝えますね」
利根「ああ、任せる」
利根「鈴谷、熊野、点呼を取ってくれ。被害報告!」
550
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:24:37 ID:Wwx.GDpY
鈴谷「……小破2」
鈴谷「中破……12」
鈴谷「大破18」
鈴谷「轟沈……3」
利根「…………」
熊野「……あの数の劣勢を考えたら」
熊野「記録的な大戦果ですわ」
鈴谷「敵も7割は沈めたし……ほとんどイ級だけど」
利根「そうじゃな……大戦果じゃな」
鈴谷「…………」
利根「じゃが……吾輩はミスをした」
利根「そのミスを無くすため……脱落した仲間を見捨てた」
551
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:25:21 ID:Wwx.GDpY
鈴谷「…………」
熊野「…………」
利根「……結局、吾輩はイケメン提督と似た様な事を」
金剛「利根サーン……それを言い出したら」
金剛「私もイケメン提督と同じネ……」
利根「!」
利根「金剛……大丈夫なのか?」
金剛「疲労がポンッと回復するお菓子を食べてなかったら」
金剛「危なかったネ……」
利根「……あれを使っておったのか」
552
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:26:11 ID:Wwx.GDpY
金剛「それよりも……利根サン」
金剛「先の戦いで……私は第二戦隊を……見捨てマシた」
利根「じゃが、あれは……」
金剛「同じヨ……見捨てたことに代わりないネ……」
利根「…………」
比叡「利根さん……気に病むのは後にしましょう」
比叡「今は傷ついた艦娘を一刻も早く入渠させなければ」
利根「!」
利根「……そうじゃな」
利根「全艦娘に達する」
利根「警戒監視の艦娘を除いて、全艦娘」
利根「北方鎮守府へ帰還せよ!」
553
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:26:46 ID:Wwx.GDpY
―――――――――――
北方鎮守府 工廠
明石「…………」
明石「ふううっ……」
明石「これで後はテストして……と」
カチャ カチャ
ピッ
明石「…………」
明石「……ん?」
明石「…………」
明石「これって……何?」
554
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 19:27:57 ID:Wwx.GDpY
本日はここまでです。
555
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/06(火) 23:03:17 ID:cYHj6Mg6
乙、ブサ提督に料理上手説?
556
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/07(水) 19:37:25 ID:C6RmN7yo
乙ん乙ん
一方で交流を深めてもう一方で対立を深めてでコレどうなっちゃうんやろ
557
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:52:04 ID:2aUzpO4U
>>555
全部レトルト(保存食)を開けただけです。
第二次世界大戦当時には無かったものですが
艦これなのでご容赦を……
558
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:53:07 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
夜
西方海域 とある離島の砂浜
ザザーン… ザザーン…
ブサ督「…………」
ブサ督「…………」
ブサ督(……もう、迷っている時間は無い)
ブサ督(桜の様態は悪化の一途……)
ブサ督(とうとう首から上しか動かせない様に……)
ブサ督(…………)
559
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:54:07 ID:2aUzpO4U
テント内
ブサ督「……桜」
桜「ん……ブサイク提督」
ブサ督「…………」
ブサ督「話がある」
桜「なんだ?」
ブサ督「君を……」
ブサ督「我々の医療……生体部分メンテナンスを」
ブサ督「受けてみないか?」
桜「…………」
桜「…………」
560
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:55:04 ID:2aUzpO4U
ブサ督「桜」
桜「聞こえている」
ブサ督「…………」
桜「…………」
桜「一つ聞きたい」
ブサ督「なんだ?」
桜「こんな状況になってから提案するという事は……」
桜「何か……デメリットがあるのか?」
ブサ督「…………」
ブサ督「……感がいいな」
桜「そんな不安そうな顔をしていれば嫌でも分かる」
ブサ督「…………」
561
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:56:04 ID:2aUzpO4U
ブサ督「まず……桜の症状が良くなるかどうかは分からない」
桜「…………」
ブサ督「そして……」
ブサ督「君は深海棲艦の貴重なサンプルでもある」
桜「…………」
ブサ督「俺の権限では医療従事者の口まで塞げない」
ブサ督「桜の事を知った大本営は……おそらく君を……」
ブサ督「研究材料として実験動物にする可能性が高い」
桜「…………」
桜「実験動物……か」
桜「それは少し受け入れがたいな」
562
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:57:13 ID:2aUzpO4U
ブサ督「だが、生き延びられる可能性もある」
ブサ督「このままじゃ君は……君は……!」
桜「…………」
ザザーン… ザザーン…
桜「私は……このままでいい」
ブサ督「!」
桜「ブサイク提督は信じられないだろうが」
桜「気分も悪くないし、どこかが痛い訳でもない」
桜「正直……手足を動かせないのに何を言ってるんだと思うだろうが」
桜「死ぬ気がしないんだ」
ブサ督「桜……」
ブサ督「…………」
563
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:58:20 ID:2aUzpO4U
桜「……私自身、私の身に何が起きてるのか」
桜「まったくわからない」
桜「不安には思うが……体調としては悪い部分が見当たらない」
ブサ督「…………」
ブサ督「……そうか」
桜「…………」
桜「ブサイク提督は……私が死ぬのが嫌なのか?」
ブサ督「当たり前だろ」
桜「当たり前……か」
桜「私も……ブサイク提督が死ぬのは嫌だな」
ブサ督「…………」
564
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 19:59:18 ID:2aUzpO4U
ブサ督「桜……何かやりたい事は無いか?」
桜「やりたい事……」
ブサ督「何でもいい」
ブサ督「例えば……日本に行って旨い物を食べ歩くとか」
ブサ督「いろんな娯楽を見たり、やったりする、とか」
桜「それは楽しそうだな」
ブサ督「ああ。きっと楽しいぞ」
桜「…………」
桜「私は……自分の名前に使わせてもらった」
桜「桜の花を見たい」
ブサ督「いいな。 いいじゃないか」
桜「……ブサイク提督と二人で」
ブサ督「!」
565
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:00:24 ID:2aUzpO4U
桜「淡いピンクの花を樹木一杯に付けるという桜……」
桜「それを……ブサイク提督と二人で見たい」
ブサ督「…………」
ブサ督「ああ……必ず二人で見よう」
桜「ふふっ、楽しみだ」
ブサ督「ははは」
桜「…………」
ブサ督「…………」
桜「そろそろ……眠くなってきた」
桜「休ませてくれ」
ブサ督「ああ、お休み、桜」
桜「…………」
566
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:01:00 ID:2aUzpO4U
ザザーン… ザザーン…
桜(…………)
桜(……すまない)
桜(ブサイク提督……)
桜(…………)
桜(たぶん……私は、もう……)
桜(私で居られなくなる……)
桜(…………)
桜(私なりに抗ってみたのだが……)
桜(…………)
567
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:01:50 ID:2aUzpO4U
桜(…………)
桜(本当は……少し前から……)
桜(自分が自分で無くなる様な……)
桜(奇妙な感覚があった……)
桜(…………)
桜(この数日……本当に楽しかったな……)
桜(…………)
桜(自我を持つディルプとして生きて来た数か月より)
桜(何倍も……何十倍も素晴らしい体験をさせてもらった)
桜(…………)
568
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:02:51 ID:2aUzpO4U
桜(…………)
桜(心配ばかりかけて……)
桜(何も返せないのが心苦しいが……)
桜(…………)
桜(だが……身体的に苦しくないのも事実なんだ)
桜(…………)
桜(あなたに礼も言わずに消えてしまう事を)
桜(許してくれ……)
桜(…………)
桜(最後になってしまう事を……あなたが知って)
桜(悲しむ顔を……見たくなかった……)
桜(…………)
569
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:03:37 ID:2aUzpO4U
桜(…………)
桜(そして……願わくば……)
桜(…………)
桜(……誰か………私…の……)
桜(…………)
桜(……代わりに……となり……で……)
桜(…………)
桜(…………)
桜(…………笑顔……………すご…し……)
桜(…………)
570
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:04:22 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
ザザーン… ザザーン…
ブサ督「…………」
ブサ督「…………」
ブサ督「……ん」
ブサ督「…………」
ブサ督「朝……か」
ムクッ
ブサ督「ふあ〜……」
ブサ督「…………」 ムニャムニャ…
ブサ督「……桜、朝だぞ」
ブサ督「っ!?」
571
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:05:07 ID:2aUzpO4U
??「…………」 スー スー
ブサ督「…………」
ブサ督「……艦娘?」
ブサ督(しかもこの服装と艤装……金剛型?)
ブサ督(…………)
ブサ督(いや、それよりも桜だ!)
ブサ督(どこへ行ったんだ……)
―――――――――――
ブサ督(…………)
ブサ督(……どこにも居ない)
ブサ督(…………)
572
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:06:09 ID:2aUzpO4U
ブサ督(だいたい前の晩まで)
ブサ督(首から上しか動かせなかったんだ)
ブサ督(急に歩けるようになるのも不自然……)
ブサ督(となると……)
??「…………」 スー スー
ブサ督(…………)
ブサ督(この眠っている金剛型の艦娘……)
ブサ督(信じられないが……桜が変化して)
ブサ督(!!)
ブサ督(…………)
ブサ督(まさか……これは)
ブサ督(離島艦娘!?)
573
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:07:12 ID:2aUzpO4U
??「…………」 スー スー
ブサ督(……通常、艦娘は)
ブサ督(妖精さんに資材を渡して頼んで)
ブサ督(艤装を作る事から始まる)
??「…………」 スー スー
ブサ督(艤装が完成したら、それは)
ブサ督(日本国内のどこかに適正者が存在するという事で)
ブサ督(適正者の婦女子は、艤装から何らかの感覚があり)
ブサ督(大抵は自ら名乗り出て、艤装を受け取り、めでたく艦娘となる)
ブサ督(……だが)
574
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:08:08 ID:2aUzpO4U
??「…………」 スー スー
ブサ督(たまに例外がある)
ブサ督(それは離島で良く発見される事から)
ブサ督(離島艦娘と呼ばれるようになったが……)
ブサ督(出自の分からない艦娘が艤装ごと突然湧いてくる事がある)
ブサ督(特に深海棲艦の支配地域を奪取した時は)
ブサ督(割と多くあるのだが……)
??「…………」 スー スー
ブサ督(離島艦娘はどれだけ調べても)
ブサ督(通常の艦娘と差異は無く……)
ブサ督(いつしか、原因を探す者すら居なくなった)
ブサ督(……が)
575
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:08:48 ID:2aUzpO4U
??「…………」 スー スー
ブサ督(……今でも信じられないが)
ブサ督(離島艦娘は……離島艦娘は……)
ブサ督(深海棲艦が何らかの理由で変化したもの)
ブサ督(だったのか……!)
??「…………」 スー スー
ブサ督(…………)
ブサ督(桜……)
「正直……手足を動かせないのに何を言ってるんだと思うだろうが」
「死ぬ気がしないんだ」
ブサ督(もしかしたら君は……こうなる事が)
ブサ督(分かっていたのか?)
576
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:10:13 ID:2aUzpO4U
ブサ督(…………)
ブサ督(……知ったところで)
ブサ督(どうにかできる事じゃないけど)
ブサ督(こんな……こんな別れ方って……)
??「……ん……んん」
ブサ督「!」
??「…………」
ムクッ
ブサ督「…………」
??「…………」
??「えと……おはようございます」
577
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:10:56 ID:2aUzpO4U
ブサ督「お、おはよう」
??「あなたは……榛名の提督さん、ですか?」
ブサ督「そうなる……かな?」
ブサ督「君は榛名か」
榛名「えっ、どうして榛名の名前を?」
ブサ督「今しがた自分で言ったよ」
榛名「そうでしたか……では、改めまして」
榛名「榛名は、金剛型3番艦、榛名、と申します」
ブサ督「よろしく」
ブサ督「俺の名前はブサイク提督だ」
578
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:12:06 ID:2aUzpO4U
榛名「はい!」
榛名「榛名、ブサイク提督さんのお名前、覚えました!」
榛名「よろしくお願いします、ブサイク提督さん」
ブサ督「お、おう」
榛名「それで……ここはどこなのでしょう?」
榛名「どうしてブサイク提督さんと二人きりなのでしょう?」
ブサ督「…………」
ブサ督「桜」
榛名「はい?」
ブサ督「……桜、という名前に覚えは無いか?」
榛名「桜?……桜って、お花の桜、ですよね?」
ブサ督「……そうだな」
榛名「榛名……何か間違えました?」
ブサ督「いや、何でもない」
579
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:12:39 ID:2aUzpO4U
ブサ督「今のは忘れてくれ」
榛名「はあ……」
ブサ督「…………」
ブサ督「腹、減ってないか?」
榛名「そう言えば……榛名、お腹が空いてます」
ブサ督「じゃ……朝飯でも食いながら」
ブサ督「分かっている範囲で今の状況を説明しよう」
榛名「はい。ありがとうございます、ブサイク提督さん」
ブサ督「…………」
ブサ督(桜……)
ブサ督(…………)
580
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:13:36 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
北方鎮守府 軍港
ザザザザザザザザ…
大淀「…………」
利根「遅いぞ、大淀」
大淀「……すみません」
利根「その様子じゃと……」
利根「良い結果では無かった様じゃな……」
大淀「……長良さん他」
大淀「幾人かの艦娘の艤装の残骸を岩礁で発見しました」
581
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:14:37 ID:2aUzpO4U
利根「そうか……」
利根「とにかく、今は休む事じゃ」
利根「心身ともに疲れておったら」
利根「ロクな考えが浮かばぬ」
大淀「……利根さんの方こそ」
大淀「酷い顔をしていますよ」
利根「……寝付けなくての」
大淀「私も……気が張って怪しいですね」
利根「じゃがあれだけの大艦隊を退けたのじゃ」
利根「当分、彼奴らも大人しくするであろう」
大淀「朗報ですね」 クスッ…
582
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:15:30 ID:2aUzpO4U
大淀「鳥海さん、摩耶さん、夕立さん、瑞鶴さん」
大淀「お疲れさまでした」
大淀「どうか入渠して、休養してください」
摩耶「……大淀の方こそな」
鳥海「そうですよ、大淀さん」
夕立「休むっぽい!」
瑞鶴「これだけ疲れたのなら」
瑞鶴「ベッドに入って目つむれば嫌でも寝れるわよ」
大淀「ありがとうございます」
大淀「試してみますね」
ゾロ ゾロ ゾロ…
大淀「…………」
大淀「ふう……」
583
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:16:14 ID:2aUzpO4U
タッ タッ タッ…
明石「大淀」
大淀「あら、明石さん」
大淀「広域通信機、直ったのですか?」
明石「それはまだまだ掛かると思う……」
明石「だけど、ちょっと変な物見つけちゃって」
大淀「変な物?」
明石「疲れてるところ悪いんだけど」
明石「工廠まで来てくれないかな?」
大淀「分かりました」
584
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:17:22 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
北方鎮守府 工廠
大淀「それで……変な物とは?」
明石「順を追って説明します」
明石「広域通信機の心臓部なんですけど」
明石「わずかに破損してるだけですが、上手く動作するか」
明石「それは分かりませんでした」
大淀「…………」
明石「慎重に修理し、最後の総仕上げで動作確認を行ったところ」
明石「中の記憶回路や実行制御は問題なく起動したんです」
大淀「はあ……」
585
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:18:11 ID:2aUzpO4U
明石「問題はここからです」
明石「実行制御の記録を確認していた時」
明石「艦娘の何人かに緊急規制が掛けられている事に気が付きまして……」
大淀「緊急……規制?」
明石「簡単に言うと……」
明石「任意で艦娘の通信機能をオフにしていた」
明石「という事なんです」
大淀「…………」
大淀「……え?」
大淀「ちょっと待ってください……それは」
大淀「誰かが、艦娘の通信を出来なくしていた」
大淀「という事……ですか?」
586
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:19:24 ID:2aUzpO4U
明石「はい」
大淀「」
大淀「そ、それって……大ごとじゃないですか!?」
明石「いったい誰がこんな事をしたのか……」
明石「これは司令官権限でもないと出来ませんよ」
大淀「…………」
大淀「明石さん」
明石「はい?」
大淀「まず……緊急規制を掛けられた艦娘の名前は分かりますか?」
明石「分かりますよ」
明石「なんなら、いつやったのかも分かりますが?」
大淀「ぜひ、それらを文書にまとめてください!大至急!」
587
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:20:22 ID:2aUzpO4U
明石「わ、分かりました」
明石「1時間ほど時間をください」
大淀「お願いします!」
大淀「私は……出発の準備を整えてきます」
明石「出発?」
明石「どこへ行くんですか?」
大淀「大本営です!」
明石「」
タッ タッ タッ…
明石「ちょ、今から帝都にですか!?」
明石「……行っちゃった」
588
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:21:09 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
北方鎮守府 臨時執務室
利根「…………」
ドドドドドド
利根「む?」
利根「何事じゃ?」
バタン!
大淀「利根さん!」
利根「うおっ!?」
利根「お、大淀か……驚かすでないわ」
利根「それで、どうしたのじゃ?」
589
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:22:06 ID:2aUzpO4U
大淀「私、ちょっと大本営まで行ってきますので」
大淀「北方鎮守府の事は、しばらくお願いします!」
利根「はあ!?」
大淀「では!」
バタン!
利根「ちょ、大よ……!」
利根「……行ってしまいおった」
利根「何なのじゃいったい……」
利根「…………」
590
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:23:03 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
飛行場
ドッドッドッ…
搭乗員「……こういう事はこれっきりにしてくださいよ?」
搭乗員「ただでさえ広域通信不能で管制に支障を……」
大淀「事情があるんです」
搭乗員「……了解」
大淀「…………」
大淀(……この証拠があれば)
大淀(イケメン提督の暴走を止められるかもしれない)
大淀(天龍さんの事もあるし、一刻も早く大本営に伝えなくては……!)
大淀(…………)
591
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:24:42 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
翌日の朝
帝都 ホテルの一室
フツ督「ふあ〜あ……」
フツ督「朝か……」
フツ督「…………」
フツ督「……あれ?」
フツ督「龍田?」
フツ督「龍田、どこだ?」
フツ督「……居ないのか」
592
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:25:49 ID:2aUzpO4U
ガチャ
龍田「あ、起きた?」
フツ督「龍田、どこへ行ってたんだ?」
キィ パタン
龍田「新聞と朝食を取りに行ってたの」
龍田「食べる?」
フツ督「寝起きだからな……ちょっとキツイ」
フツ督「先に新聞を読ませてくれ」
龍田「はぁ〜い」
バサッ
フツ督「まずは4コマ漫画……っと」
フツ督「ぷっ……ククク」
593
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:26:30 ID:2aUzpO4U
フツ督「さて……」
フツ督「……!?」
南方方面戦線 大打撃か?
フツ督「…………」
フツ督(……イケメン提督により平定間近となっていた)
フツ督(南方戦線に異常発生か……)
フツ督(指揮官交代により戦線維持機能不全の疑い……)
フツ督(交代指揮官名ブサイク提督……)
フツ督(交代直後、異常な補給物資要求で惨状が……)
フツ督「クソッ!」
フツ督「あの野郎……やりやがったな!」
龍田「!?」
594
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:27:22 ID:2aUzpO4U
―――――――――――
イケ督「くっくっくっ……」
イケ督「元々は大将閣下がやろうとしてた事だがな」
イケ督「これで……ブサイク提督とやらの信用はガタ落ち」
イケ督「民衆はさらに英雄を、俺を求めるって訳だ」
イケ督「ハーハッハッハッ!」
イケ督「笑いが……笑いが止まらん!」
イケ督「ハハハハハハハハハハ!」
イケ督「これで……」
イケ督「俺もいよいよ大将だ」
イケ督「くっくっくっ……!」
595
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 20:28:10 ID:2aUzpO4U
本日はここまでです。
596
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/09(金) 22:34:18 ID:NhGY5av.
乙
桜の戦艦といえば・・・いや、野暮な事だな
597
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/11(日) 13:10:27 ID:X.1qpZ56
おつ
598
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:13:52 ID:jGZ2uc2.
―――――――――――
西方海域 とある離島の砂浜
ザザーン… ザザーン…
ブサ督「…………」
榛名「ブサイク提督さん」
ブサ督「ん?」
榛名「何をなさっているのですか?」
ブサ督「墓……とは、ちょっと違うか」
ブサ督「記念碑みたいなのを作ってる」
榛名「記念碑ですか」
ブサ督「まあ、便宜上【艦娘の墓】と似た様なもんだけどな」
榛名「【艦娘の墓】?」
599
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:14:34 ID:jGZ2uc2.
ブサ督「……艦娘って、まだまだ謎の多い部分があって」
ブサ督「駆逐艦だろうが、戦艦だろうが」
ブサ督「何故か存命中の同じ名前の艦娘は生まれて来ない」
榛名「という事は……榛名は榛名だけって事ですね?」
ブサ督「そう」
ブサ督「……でもそうなると少し困った事が起こる」
榛名「困った事?」
ブサ督「戦争をやっているからどうしても轟沈する……」
ブサ督「つまり、死んでしまう事もあるんだが」
ブサ督「墓にその名前を入れると、後から同じ名前の艦娘が生まれた時」
ブサ督「その艦娘は、自分の墓がすでにある事になる」
榛名「あ……」
600
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:15:36 ID:jGZ2uc2.
ブサ督「そこで出来たのが【艦娘の墓】」
ブサ督「どの艦娘が亡くなっても【艦娘の墓】に入れて」
ブサ督「故人を悼む対象にした、という訳さ」
榛名「…………」
榛名「では……榛名もいずれはそこへ入るんですね」
ブサ督「そうとも限らない」
榛名「え?」
ブサ督「艦娘の行く末は主に3つある」
ブサ督「一つは今、言った通り」
ブサ督「二つ目は艤装の経年劣化や損傷で動かなくなった時」
ブサ督「艦娘任務から解き放たれ、一般の婦女子として暮らしていく」
榛名「…………」
601
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:16:43 ID:jGZ2uc2.
ブサ督「三つ目は理由不明で艤装が艦娘を認識しなくなり」
ブサ督「艦娘として活動できなくなった場合」
ブサ督「これまた艦娘任務から解き放たれ」
ブサ督「一般の婦女子として暮らしていく事になる」
榛名「そんな道もあるんですね」
ブサ督「ああ」
ブサ督「理屈は全く分からんが、艦娘は最長で10年くらいの任務になり」
ブサ督「何故かその間、年は取らないし、人間の病気になる事も極めて稀」
ブサ督「そして解放後は艦娘手当という一時金も付いて来るから」
ブサ督「艦娘になれる事は割と名誉に思われてる」
榛名「そうなんですか」
602
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:17:40 ID:jGZ2uc2.
榛名「でも榛名は……お父さんとお母さんの記憶がありません」
ブサ督「さっきも言ったけど……榛名は離島艦娘だからな」
ブサ督「謎は残るが、普通に婦女子として暮らしている元離島艦娘も居る」
榛名「先輩が居るんですね!」
ブサ督「ああ」
榛名「榛名……安心しました」
ブサ督「良かったな」
榛名「それで……ブサイク提督さん」
榛名「その記念碑は……どなたの為のものなのですか?」
ブサ督「ん〜……」
ブサ督「一言では説明できないな」
榛名「恋人さん……とか?」
603
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:18:29 ID:jGZ2uc2.
ブサ督「恋人か……」
ブサ督「そういう気持ちが無いって言えばウソになるけど」
ブサ督「どちらかと言えば、妹とか、娘みたいに思ってたかも」
榛名「妹さんか娘さん、ですか」
ブサ督(……本人が聞たら怒るかな)
榛名「どんな人だったんですか?」
ブサ督「…………」
ブサ督「……とても綺麗な子だった」
榛名「…………」
ブサ督「ちょっと世間知らずで……最初はギクシャクしたけど」
ブサ督「俺もいろいろな事を彼女から学んだ」
榛名「…………」
604
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:19:31 ID:jGZ2uc2.
榛名「亡くなった……という訳ではないんですよね?」
ブサ督「ああ」
ブサ督「でも……もう二度と彼女には会えない」
ブサ督「どこへ行ったのかも分からない」
榛名「…………」
ブサ督「…………」
ブサ督「……よし、出来た」
ブサ督「不格好だけど……許してもらおう」
榛名「……灰色の髪の君?」
ブサ督「何か書いておかないと、普通の岩と間違えられそうだからな」
ブサ督「……まあ、またここへ来るのは俺だけだろうけど」
榛名「…………」
605
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:20:16 ID:jGZ2uc2.
ブサ督(……これは俺なりのけじめだ)
ブサ督(名前にしなかったのは、墓標みたいで嫌だし)
ブサ督(君は死んだわけじゃないと思うからだ)
ブサ督(…………)
ブサ督(桜……)
ブサ督(…………)
ブサ督(君と居た時間は……俺にとって、とても貴重で)
ブサ督(楽しいものだった……)
ブサ督(…………)
ブサ督(ありがとう)
ブサ督(桜……)
榛名「…………」
606
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:21:24 ID:jGZ2uc2.
ピピピ… ピピピ…
ブサ督「……ん?」
ブサ督「通信か」
ピピッ ガガッ
ブサ督「こちらブサイク提督」
電『あっブサイク提督さん』
ブサ督「どうした、電?」
電『その……新聞記者の方が何人か』
電『南方鎮守府に押し寄せてまして……』
ブサ督「え?」
電『一応、軍事機密に係るので、電たちでは答えられないし』
電『ブサイク提督さんも離島療養中で答えられないと、押し通してます』
ブサ督(……どういう事だ?)
607
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:22:21 ID:jGZ2uc2.
ブサ督「電、ブンヤは何の取材に来たんだ?」
電『…………』
電『……南方戦線は打撃を受けたのか?とか』
電『元大将との癒着はあったのか?とかです……』
ブサ督「!?」
電『いずれにしても詳しい事は分からないので』
電『このままで通しますが……』
電『ブサイク司令官さんのお耳にも入れておいた方が良いと思いまして』
ブサ督「そうか……ありがとう、電」
ブサ督「その対処でしばらく頼む」
電『分かりました』
電『南方鎮守府、通信終了』
ブサ督「ブサイク提督、通信終了」
608
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:23:14 ID:jGZ2uc2.
ブッ…
ブサ督「…………」
ブサ督(妙だな……フツメン提督がその辺は任せておけと)
ブサ督(言ってたはずだが……)
ブサ督(…………)
ブサ督(内地で何かあったか?)
ブサ督(…………)
榛名「ブサイク提督さん?」
ブサ督「!」
ブサ督「あ、すまない、榛名」
榛名「何かあったのですか?」
609
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:24:08 ID:jGZ2uc2.
ブサ督「そうみたいだが……」
ブサ督「こっちから動くのは悪手の様な気がする」
榛名「では……どうしますか?」
ブサ督「この件は任せてる奴がいるから」
ブサ督「そいつからの連絡を待つ」
ブサ督「今は、それしかないと思う」
榛名「分かりました」
榛名「榛名はブサイク提督さんに従います!」
ブサ督「…………」
ブサ督(……それにしても)
ブサ督(榛名は……俺の顔について何も言わないな)
ブサ督(ギョッ、としたりも無かったし……)
ブサ督(…………)
610
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:25:04 ID:jGZ2uc2.
―――――――――――
大本営 元帥の執務室
元帥「クソッ!」
元帥「これが奴の答えか!」
フツ督「……完全にやられました」
フツ督「この報道で世論は」
フツ督「一気にブサイク提督の糾弾へ向かう事になるでしょう」
元帥「そんな事は言われなくとも分かっている……」
元帥「そして奴の大将への要望が高くなる事もな……!」
龍田「…………」
611
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:26:17 ID:jGZ2uc2.
フツ督「もはや俺の根回しなんて意味を成しません」
フツ督「軍部もブサイク提督を庇う事は出来ない……」
フツ督「万事休す、ですね……」
元帥「記録の開示をしてしまえば楽なのだが」
元帥「それは海軍全体の信用の失墜を招く」
元帥「何か……何か良い策は無い物か……」
フツ督「…………」
龍田「…………」
龍田「あのぅ……」
元帥「!」
フツ督「!」
612
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:27:08 ID:jGZ2uc2.
元帥「何か……良い策があるのかね?」
龍田「いえ、そうではなくて……」
龍田「少し、休憩をなさってはいかがかなぁ〜」
龍田「と」
元帥「…………」
フツ督「…………」
元帥「……それもそうだな」
フツ督「頭を冷やすべき、か……」
龍田「何か、冷たい飲み物でも持って来ましょうか?」
元帥「そうだな」
フツ督「頼めるか?」
龍田「はい♪」
龍田「それでは、ちょっと失礼しまぁす」
613
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:27:52 ID:jGZ2uc2.
ガチャ キィ パタン
元帥「…………」
フツ督「…………」
フツ督(……もうこうなったら)
フツ督(龍田に【処理】を頼むほか……)
フツ督(…………)
フツ督(いや……)
フツ督(それは出来ればやらせたくない)
フツ督(…………)
614
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:29:28 ID:jGZ2uc2.
大本営 廊下付近
テク テク テク
龍田「ふふ〜ん♪」
龍田「冷たい物と言えば〜」
龍田「やっぱりラムネ〜」
ガヤ ガヤ
龍田「……ん?」
大淀「ですから!」
大淀「直接元帥閣下にお話ししたいんです!」
憲兵「何度も言うが、許可を受けてない者は通せない」
憲兵「まずは君の所属する上官に通してからが筋だ」
大淀「それでは意味が無いんです!」
.
615
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:30:15 ID:jGZ2uc2.
龍田(あれは……どこかで見た様な?)
龍田(…………)
龍田(まあいいか)
テク テク テク…
―――――――――――
龍田「お待たせしました〜」
元帥「うむ」
フツ督「ありがとう、龍田」
龍田「いえいえ」
スッ スッ
ゴク ゴク
フツ督「……ふう」
フツ督「人心地ついたな」
616
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:30:59 ID:jGZ2uc2.
龍田「うふふ〜」
龍田「やっぱりラムネはいいですよねぇ〜」
元帥「……そうだな」
元帥「これで現実の方もスッキリできれば良いのだが……」
フツ督「…………」
龍田「…………」
龍田「あ」
龍田「そういえば……」
フツ督「どうした?」
617
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/10/16(金) 20:32:27 ID:jGZ2uc2.
龍田「ラムネを持って来るとき見かけたんだけど」
龍田「元帥閣下に直接話がしたい〜とかって」
龍田「憲兵と揉めてる艦娘が居たのよね」
元帥「私と?」
フツ督「どこの所属の艦娘だ?」
龍田「ん〜……どこかで見た顔だと思うんだけど」
龍田「思い出せないのよね〜」
フツ督「君に面識があるのか……」
元帥「…………」
フツ督「…………」
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