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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。

398以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:37:21 ID:705eIlN.

利根「くよくよしても仕方ない」

利根「飯でも食って、たっぷり寝て」

利根「英気を養う事が、今の吾輩らに出来る事じゃろう」

大淀「…………」

大淀「……そうですね」

大淀「せっかくですから、羽を伸ばしましょう」

大淀「…………」


―――――――――――


北方鎮守府 食堂


利根「それにしても……ブサイク提督が防衛作戦で負傷とはの」

利根「それだけ南方は……酷い状況だった、という事か」

399以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:39:11 ID:705eIlN.

大淀「そう推測せざるを得ません……」

大淀「今後は……イケメン提督の命令に対し」

大淀「どう対処していけばいいのか……」

利根「頭の痛い問題じゃのう……」


     ドォンッ! ドォンッ!

     ドガアァァァァァンッ!!


大淀「!?」

利根「!?」

利根「何じゃ!? 今の爆発音は!?」

大淀「執務室の方向から聞こえてきました!」

400以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:40:35 ID:705eIlN.

―――――――――――

     タッ タッ タッ…

比叡「今の爆発、執務室ですか!?」

利根「分からぬ!」

利根「それを確かめに走っておるのじゃ!」

金剛「まさか……深海棲艦が攻めて来た!?」

大淀「この角を曲がれば……ああっ!?」

??「…………」

利根「あれは……チ級……?」

利根「いや、違う……」

??「……ドコダ」

大淀「えっ……!?」

大淀(深海棲艦が言葉を!?)

401以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:42:12 ID:705eIlN.

??「あの……クソヤロウ……」

??「ドコだ……?」

利根「クソ野郎……とは」

利根「イケメン提督の事か?」

??「ソウだ……トネ……」

利根「!?」

利根「な、なぜ、吾輩の名前を知っておる!?」

??「言エ……アノ……くそヤロウは……」

??「ドコダ……!!」

大淀「…………」

大淀「ま……まさか……」

大淀「て……天龍……さん?」

402以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:44:04 ID:705eIlN.

利根「!!」

比叡「!?」

金剛「!?」

利根「そうじゃ……あの顔、どこか見覚えがあると思ったが」

利根「天龍!」

利根「いったい……お主に何があったのじゃ!?」

天龍?「…………」

天龍?「あの……クソヤロウに……」

天龍?「深海棲艦泊地へ……イケと……命令……ぐっ……」

天龍?「がああああああああああっ!!」

利根「!?」

大淀「!?」

403以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:45:18 ID:705eIlN.

     ドンッ

大淀「ひっ!」

天龍?「言え……オオよド……」

天龍?「あの……クソヤロウは……ドコダ!!」

大淀「こ、ここには……居ませんっ」

大淀「大本営にっ……」

天龍?「…………」

     バッ!

利根「あっ!」

利根「ま、待つのじゃ! 天龍!」

金剛「追いかけるネー!」

比叡「私も行きます!」

     タッ タッ タッ…

404以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:47:00 ID:705eIlN.

利根「……なんという事じゃ」

利根「いかに恐ろしかったと言えど」

利根「イケメン提督の居場所を教えてしまうとは……」

大淀「……すみません」

利根「あの様子だと……何日かかろうとも」

利根「おそらく大本営へ向かうであろうな……」

利根(途中の防衛網に引っかかれば、間違いなく)

利根(深海棲艦として処理される……)

大淀「…………」

利根「……じゃが、この事は」

利根「大本営に報告せねばな」

405以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:48:06 ID:705eIlN.

大淀「え……」

利根「それが艦娘である吾輩らの責務じゃ」

利根「皇国国民に危害を加える可能性も否定できんしのう」

大淀「…………」

大淀「……わかり……ました」

大淀「執務室へ向かいましょう」


―――――――――――


北方鎮守府 執務室


利根「何たる事じゃ……」

大淀「やはり……あの時の爆発音はここだったんですね」

406以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:49:22 ID:705eIlN.

利根「……いや、もっと深刻じゃぞ」

大淀「え……」

利根「こっちを見てみよ」

大淀「…………」

大淀「!!」

大淀「そんな……作戦室まで!」

利根「しかもご丁寧に広域通信機も電探も破壊されておる」

利根「追跡を防ぐ為か……手際のよい事じゃ」

大淀「すぐに明石さんを呼んできます!」

     タッ タッ タッ…

利根「…………」

利根(これ以上……何事も起こらねば良いが……)

407以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:50:57 ID:705eIlN.

―――――――――――

     ザザザザザザザザ…

長良「メーデー!メーデー!」

長良「こちら天龍遠征隊・捜索班!」

長良「北方鎮守府、応答して!」

     ピピピー ガガー

長良「大淀! 返事して!」

     ガガガー ピー

長良「どうして……どうして!」

長良「メーデー!メーデー!」

長良「大規模な深海棲艦艦隊に追撃を受けてる!」

長良「誰か……誰か助けて!」

長良「誰かぁぁっ!!」

408以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:51:59 ID:705eIlN.
本日はここまでです。

409以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:02:03 ID:0LAFl0Z.



あれ、艤装を装着したら普通の艦娘同士で無線通信できるのでは?

410以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:02:41 ID:705eIlN.
それとディルプだのグレッズだのは
>>1の創作で公式でもなんでもありません。
あしからずです。

411以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:06:19 ID:705eIlN.
>>409
後で出てきますが艦娘同士では短距離通信しかできない設定です。

412以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:16:47 ID:djpvyS.s
美醜の概念が存在しない女がヒロインか

413以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 21:49:07 ID:xq5SkuHg
天龍はブサイクに逆恨み特攻するかと思いましたがイケメンにいきましたか

414以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 23:48:14 ID:5FPhT8oc

色々とややこしい事になってきて先の展開が気になる

415以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:38:39 ID:JB5oSu/M


―――――――――――


西方海域 とある離島の砂浜


     ザザーン… ザザーン…

ブサ督「…………」

ブサ督「……平和だ」

桜「平和……世の中が安定している事」

桜「だったか?」

ブサ督「ああ」

桜「……戦いしか知らなかった私だが」

桜「こう……何もせず誰かと休養を取るのは」

桜「いいものだな……」

ブサ督「……そうだな」

416以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:40:04 ID:JB5oSu/M

ブサ督(まあ……そのおかげで)

ブサ督(俺としては別の戦いが生じてるんだけどな……)

ブサ督(特に夜だ)

ブサ督(他は余裕を持っていろいろあるが)

ブサ督(テントは一つしかない……)

ブサ督(おまけにマラリア等で虫刺されを気にしないといけないから)

ブサ督(外で寝るわけにもいかないし……)

ブサ督(おかげで自家発電が捗る捗る……)

ブサ督(…………)

ブサ督(……バレてない……よな?)

417以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:41:26 ID:JB5oSu/M

     ピピピ… ピピピ…

ブサ督「お?」

桜「…………」

     ピピッ ガガッ

ブサ督「こちらブサイク提督」

ブサ督「どうぞ」

阿賀野『こちら西方鎮守府・臨時秘書艦・阿賀野』

阿賀野『早速ですが、北緯△△□東経〇△□にて』

阿賀野『深海棲艦艦隊を発見しました』

阿賀野『規模は二個戦隊。中核は戦艦級のル級で構成されています』

ブサ督「ええと北緯△△□東経〇△□……」

ブサ督「空母級は? 居ないのか?」

418以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:42:55 ID:JB5oSu/M

阿賀野『確認していません』

ブサ督「了解……脳筋部隊か」

ブサ督「その艦隊の東に駐留している機動部隊と」

ブサ督「南に駐留している重巡の二個戦隊を最短で合流させ」

ブサ督「手厚く歓迎してやるといい」

ブサ督「念のため西方鎮守府の機動部隊を出動させ」

ブサ督「予備兵力として控えさせておけば大丈夫だろう」

桜「…………」

阿賀野『では、その様にします』

阿賀野『阿賀野、通信終了』

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

     ブッ…

419以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:44:01 ID:JB5oSu/M

ブサ督「ふう……」

桜「…………」

桜「……いいのか?」

ブサ督「ん?」

桜「今のは軍議だろう?」

桜「敵である私の前でするべき事じゃない」

ブサ督「……確かに」

ブサ督「でも桜がもしそのつもりなら」

ブサ督「俺を始末するか、拉致して情報を聞き出すかするだろう?」

桜「それは……そうだが」

ブサ督「それをやって来ないんだから」

ブサ督「俺は敵じゃないと思ってる」

420以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:46:16 ID:JB5oSu/M

桜「…………」

桜「……グレッズ……いや」

桜「人間、だったか」

桜「みな、お前みたいな考え方をするのか?」

ブサ督「残念ながら、そんなことは無い」

ブサ督「すぐ怒る奴もいるし、敵と判断したら襲い掛かる奴もいる」

ブサ督「人それぞれさ」

桜「…………」

桜「変わってるな、ブサイク提督は……」

桜「定時連絡でも私の存在を伝えないし」

桜「自分が言うのもおかしいが、利敵行為がすぎる」

ブサ督「……かもな」

421以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:47:20 ID:JB5oSu/M

ブサ督「でもそれを言うなら」

ブサ督「最初会った時、俺を殺さなかった」

ブサ督「桜も同じじゃないのかな」

桜「…………」

桜「……そうだな」

ブサ督「…………」

桜「…………」

桜「……聞かないのか?」

ブサ督「何を?」

桜「なぜ……私がここに居るのかを」

ブサ督「…………」

ブサ督「言いにくい事かと思って」

422以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:48:29 ID:JB5oSu/M

桜「…………」

ブサ督「…………」

     ザザーン… ザザーン…

桜「……私は」

桜「ブサイク提督の言う南方海域の……ディルプだった」

ブサ督「…………」

ブサ督「だった、か……」

桜「…………」

桜「数か月前……私は突如、自我が芽生え」

桜「ナンバーズになり、スリーオブエイトと名付けられた」

ブサ督「…………」

423以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:49:45 ID:JB5oSu/M

桜「憎きディルプの敵」

桜「グレッズどもをせん滅する事」

桜「それが……我々の使命だと教えられてきた」

ブサ督「…………」

桜「ある日、私はワンオブスリー……南方ディルプの最高責任者に」

桜「同海域のグレッズせん滅作戦を立案して承認され」

桜「大戦果を挙げた」

ブサ督(……やはり)

ブサ督(南方鎮守府は大ダメージを受けてたのか)

桜「私は意気揚々と拠点に戻ったが……」

桜「ワンオブスリーは喜んでいなかった」

ブサ督「…………」

424以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:52:24 ID:JB5oSu/M

桜「私は何が悪かったのか……考えてみたが分からず」

桜「その答えも分からぬまま、グレッズの攻撃が激化した」

ブサ督「…………」

桜「その攻撃はちぐはぐな物ばかりで」

桜「反撃には苦労しなかったが……たびたび来て」

桜「辟易した」

ブサ督(イケメン提督……敵からも散々な評価だ)

桜「だが……きちんと防衛してるにも関わらず」

桜「ワンオブスリーの機嫌は悪くなる一方……」

桜「理由は不明だ……」

ブサ督「…………」

ブサ督(ワンオブスリーって奴……もしかして桜に嫉妬してる?)

425以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:54:03 ID:JB5oSu/M

桜「ある日……突然だった」

桜「グレッズの動きが急に変化した」

ブサ督「…………」

桜「忽然と消えたかと思えば要所で戦闘を仕掛け」

桜「私は……どう対処すべきか悩んだ」

ブサ督「…………」

桜「気が付けば多くの戦場でグレッズの姿が見えなくなり」

桜「これは撤退の手段だったのかと驚かされた……」

ブサ督「…………」

桜「私は……これだけ見事な撤退をする指揮官なのだから」

桜「どこかに伏兵を仕掛けていないか恐ろしかった」

ブサ督「…………」

426以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:55:49 ID:JB5oSu/M

桜「急に広がった支配海域の駐留に兵力を割かねばならず」

桜「この撤退をどう見るか考え、試す事を思いついた。が……」

ブサ督「…………」

桜「私は後悔した」

桜「実に中途半端な対応をされ、返って頭を痛める事になった」

ブサ督(……そりゃスマン)

桜「私は……初めてワンオブスリーに相談した」

桜「ワンオブスリーの回答は実に明快だった」

桜「この様な小細工を弄するのだから、敵の窮状は明らか」

桜「大艦隊で押しつぶせばいい、と言い放った」

ブサ督(なるほどね……)

ブサ督(あれはワンオブスリーさんの指揮だったか)

427以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:57:44 ID:JB5oSu/M

桜「ワンオブスリーの決定で戦力がかき集められ」

桜「一路、グレッズの拠点へ向かったのだが……」

桜「ある場所で、正体不明の部隊が西へ向かっていると報告が上がった」

ブサ督「!」

ブサ督(暁……発見されていたのか)

桜「私はそれを聞いて戦慄した」

桜「もし、その部隊がグレッズによるもので」

桜「西にあるグレッズの別拠点に救援を求めるものだったら」

桜「南方ディルプの拠点を攻略されるのではないか?」

桜「……そう考えた」

ブサ督「…………」

428以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:00:37 ID:JB5oSu/M

桜「私はワンオブスリーに今すぐ艦隊を引き返す許可を求めた」

桜「しかし……それは受け入れられず、指揮官の交代を命じられ」

桜「私に帰投するよう指示された」

ブサ督「…………」

桜「私は……初めて命令に背いた」

桜「西に進路を取り、私一人てでもその艦隊を沈めねばと」

桜「ディルプの為にと……行動した」

ブサ督「…………」

桜「…………」

桜「……私の命令違反は無駄に終わった」

桜「その部隊に追いつきはしたものの、グレッズの増援が現れ」

桜「私は……命からがら離脱する事になった」

ブサ督「…………」

429以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:01:53 ID:JB5oSu/M

桜「拠点に戻るとワンオブスリーは怒り狂っていた」

桜「理由を説明するも命令に背いた私を許すことは無く……」

桜「私は……傷ついたまま……」

桜「拠点から放り出され……帰る場所を無くした」

ブサ督「…………」

桜「どこをどう……移動したのか」

桜「ディルプに攻撃されることは無く……気が付けば」

桜「グレッズのテリトリーに入っていた」

ブサ督「…………」

ブサ督「……そして、今に至るって訳か」

桜「……ああ」

430以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:03:03 ID:JB5oSu/M


     ザザーン… ザザーン…


桜「私は……どうすれば良かったと思う?」

ブサ督「…………」

ブサ督「……それは俺も分からん」

桜「…………」

ブサ督「でもな……」

ブサ督「努力して、それが誰にも認められない辛さは」

ブサ督「俺にも分かる」

桜「!」

ブサ督「桜は……よく頑張った」

ブサ督「世界中の誰もが認めなくても」

ブサ督「俺はそう思うよ」

431以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:04:25 ID:JB5oSu/M

桜「…………」

桜「…………」 ポロッ

桜「……う…」 ポロポロ

桜「うううっ……」 ポロポロ

桜「うああああっ……」 ポロポロ…

ブサ督「…………」

ブサ督(……深海棲艦は化け物だと思っていたが)

ブサ督(彼女達には独特の社会性があり、我々と同じ様なしがらみや)

ブサ督(悩みや孤独感がある……) 

ブサ督(不思議なものだ……)

ブサ督(…………)

432以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:05:04 ID:JB5oSu/M


―――――――――――


     ザザーン… ザザーン…


桜「…………」

ブサ督「落ち着いたか?」

桜「ああ」

ブサ督「そろそろ……メシにするか」

桜「いいな」

ブサ督「今日は……何にするかな」

桜「…………」

桜「ブサイク提督」

ブサ督「ん?」

433以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:06:38 ID:JB5oSu/M

桜「お前は時々……私を綺麗だと言うな?」

ブサ督「……ああ」

桜「清潔である、という意味だと私は思っていたのだが」

桜「今の私の姿では該当しないと思う」

桜「他の意味があるのだろうか?」

ブサ督「……顔が整っている」

ブサ督「そんな意味が含まれている」

桜「では、夕日を見て綺麗と言うのは何故だ?」

ブサ督「……難しいこと聞くなぁ」

ブサ督「夕日は……見ていてホッとすると言うか」

ブサ督「心が落ち着くと言うか……そんな気持ちにさせてくれるから、かな」

桜「そうか」

434以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:07:34 ID:JB5oSu/M

桜「なら……ブサイク提督」

桜「お前は綺麗だ」

ブサ督「ぶっ!」

桜「……どうした?」

桜「おかしな使い方だったか?」

ブサ督「ちょ、ちょっとな……」

桜「私は……お前を見ていると心が落ち着くし」

桜「ホッとするのだが……」

ブサ督「!」

ブサ督(そんなこと初めて言われたよ)

ブサ督(やべっ……顔が熱い)///

435以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:09:10 ID:JB5oSu/M

桜「どんな言い方がいいのだ?」

ブサ督「…………」

ブサ督「と」

ブサ督「とりあえず……」

桜「とりあえず?」

ブサ督「飯を食いながら……」

ブサ督「考えてみよう」

桜「分かった」 クス

436以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:10:32 ID:JB5oSu/M


―――――――――――


北方鎮守府 軍港


大淀「現在、広域通信機が故障しているため」

大淀「艦娘同士の短距離通信しか使えません」

大淀「そこで」

大淀「艦娘による中継通信網を構築し」

大淀「各駐留海域と連絡を取ろうと思います」

大淀「こちらの勢力圏内なら、単艦でも大丈夫だと思いますが」

大淀「くれぐれも気を付けてください」

大淀「それでは……よろしくお願いします」

     ザザザザザザザザ…

大淀「…………」

437以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:11:40 ID:JB5oSu/M


―――――――――――


北方鎮守府 破壊された執務室


明石「…………」

大淀「明石さん」

明石「大淀……」

大淀「どんな感じでしょうか?」

明石「……これ」

明石「新しいの持ってきた方が早いです」

大淀「そこを何とか……」

明石「予備は無いんですか?」

大淀「予算の都合で……ありません」

438以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:13:07 ID:JB5oSu/M

明石「参りましたね……幸い心臓部は何とか直りそうですから」

明石「頑張ってみますけど……いつ直るかは断言できません」

大淀「そうですか……」

明石「広域通信機は妖精さん技術の塊で」

明石「これが無いと艦娘も短距離通信しか出来ませんし」

明石「重要度は分かっています」

明石「妖精さんにも手伝ってもらって最善を尽くしますよ」

大淀「お願いします」

     スタ スタ スタ

利根「どんな具合じゃ?」

大淀「あっ利根さん」

439以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:14:46 ID:JB5oSu/M

大淀「明石さんの話によりますと……」

大淀「広域通信機のすぐの復旧は難しいそうです」

利根「……まああの有様ではしょうがなかろう」

利根「吾輩は鎮守府内で何か変わった事が起きておらぬか」

利根「調べてみたのじゃが……」

利根「いくらかの携帯食料と、高速修復材が一つ消えておった」

大淀「!」

大淀「もしかしたら……天龍さんが……?」

利根「吾輩もその可能性が高いと見ておる」

     タッ タッ タッ…

比叡「ただいま戻りました……」

金剛「スミマセン……天龍に逃げられたネー」

利根「そうか……」

440以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:15:41 ID:JB5oSu/M

利根「さて、問題はこれからじゃ」

利根「大本営に一連の事を伝えたいが」

利根「広域通信機がやられて伝える事が出来ぬ」

利根「ましてや天龍の事は一大事」

利根「どうにかして大本営と連絡を取らねばのう……」

大淀「…………」

大淀「あの……利根さん」

利根「ん?」

大淀「ここに限らず鎮守府には」

大淀「深海棲艦を感知して警報が鳴るシステムがあるハズなんですが」

大淀「何故、作動しなかったと思いますか?」

441以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:17:05 ID:JB5oSu/M

利根「……何が言いたいのじゃ?」

大淀「つまり……あんな姿でしたが」

大淀「天龍さんは、天龍さんのままなのでは……」

利根「…………」

利根「……だからと言って」

利根「大本営に黙ってて良い事ではないぞ?」

大淀「…………」

利根「……気持ちは分かるがの」

金剛「そういえば……」

金剛「執務室を破壊した時、天龍は何と言ってマシタか?」

442以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:18:11 ID:JB5oSu/M

利根「確か……深海棲艦泊地がどうの」

利根「命令とか何とか言うておったが……」

利根「…………」

大淀「……待ってください」

大淀「天龍さんが行方不明になったのは……遠征に出ていた時です」

大淀「深海棲艦泊地へ出撃していたのは、金剛さん達だったはず」

金剛「Oh!確かにソウでした!」

金剛「……長門サンと翔鶴サンを失った苦い戦いでしたネー」

利根「…………」

利根「のう……金剛」

金剛「ホワイ?」

利根「あの時……敵は吾輩らを完全包囲してあと一歩、というところで」

利根「突然、泊地へ引き揚げよった。そうじゃな?」

金剛「イエース。 あれは不思議でしたネー」

443以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:20:09 ID:JB5oSu/M

利根「吾輩も不思議でしょうがなかった」

利根「何故……あの時、敵は引いたのじゃ?」

金剛「金剛に聞かれても……ワカリマセン」

大淀「…………」

大淀「……ま……まさか」

利根「……気づいたか、大淀」

大淀「い、いくら何でも……そんな事……」

利根「じゃが……吾輩がその立場なら」

利根「天龍がああなった気持ち……良う分かるわ」

大淀「…………」

金剛「……?」

444以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:21:37 ID:JB5oSu/M

利根「話を戻すぞ」

利根「とにかく、今は本土と連絡を取る事」

利根「それが最優先事項じゃ」

大淀「……現時点では」

大淀「艦娘が直接本土まで行って」

大淀「広域通信可能域まで出向くのが一番早いかと……」

利根「吾輩もそれを考えておった」

利根「航空機を使えば、半日くらいで到達するじゃろ」

大淀「では……その方向で」

     ピピー ガガッ

鳥海『大淀さん!緊急通信です!』

大淀「え、鳥海さん?」

445以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:22:40 ID:JB5oSu/M

利根「鳥海、聞こえておるぞ」

利根「どうしたのじゃ?」

鳥海『連絡によると……』

鳥海『長良さんから北緯□□〇東経△□□の辺りで』

鳥海『深海棲艦の大艦隊に追撃を受けていると』

鳥海『緊急通信を傍受したと……』

大淀「!?」

利根「な、何じゃと!?」

大淀「そ、それで、長良さんは!?」

446以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:24:02 ID:JB5oSu/M

鳥海『…………』

鳥海『……悲鳴混じりの爆発音とともに通信途絶したそうです』

大淀「ああ……なんてこと……」

     バサッ!(海図広げ)

利根「……北緯□□〇……東経△□□」

利根「!」

利根「ここは……吾輩がブサイク提督に」

利根「良く哨戒任務をやらされた場所の近くじゃ!」

利根(ブサイク提督は……こうなる可能性を)

利根(予測しておったのか……!)

大淀「…………」

利根「大淀!」

利根「至急この海域近くの駐留艦娘に連絡を!」

447以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:25:13 ID:JB5oSu/M

大淀「…………」

利根「大淀!」

利根「惚けてる場合か!」

     バシッ!

大淀「ぎっ……!」

利根「しっかりせい!大淀!」

大淀「ですが……ですが……!」

大淀「私が……余計な事を言わなければ長良さんは!」

利根「……その長良の最後の通信を無駄にする気か?」

大淀「っ!」

利根「……辛いのは分かる」

利根「じゃが悲しむのは後じゃ!」

448以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:26:17 ID:JB5oSu/M

大淀「……わ、分かりました」

大淀「すぐに駐留艦娘に連絡を入れます!」

利根「うむ」

利根「鳥海、聞こえるか?」

鳥海『はい。聞こえます』

利根「吾輩らは迎撃準備を整えるぞ」

利根「北方鎮守府の艦娘総動員する覚悟で準備するのじゃ!」

鳥海『分かりました!』

鳥海『鳥海、通信終了』

     ブッ…

利根「さて……威勢よく言うたが」

利根「どう迎撃したものかのう……」

449以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:27:40 ID:JB5oSu/M

金剛「…………」

比叡「…………」

利根「……何をしておる二人とも」

金剛「う、う〜ん……」

金剛「何かが……何かが、金剛の中で引っかかってるのデース」

比叡「金剛お姉さまもですか……」

比叡「実は私も何か……忘れている様な気がするんです」

利根「今はそれどころではないわ」

利根「吾輩、防衛作戦の妙案は無いか思案中……」

金剛「!」

比叡「!」

450以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:28:47 ID:JB5oSu/M

金剛「利根サン!それヨ!」

比叡「思い出しました!」

利根「?」

金剛「大淀ー!」

大淀「はい?」

比叡「実はブサイク提督がここを去る時」

比叡「防衛作戦がどうの、大淀さんに渡したとか何とか」

比叡「聞いてたんです!」

金剛「大淀、何か覚えてまセンかー?」

大淀「…………」

大淀「あ」

大淀「ああああ……」

大淀「あああああああああ!!」

451以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:29:57 ID:JB5oSu/M

金剛「ど、どうしたネー?」

大淀「確かに貰いました……ブサイク提督から」

大淀「イケメン提督の指揮に疑問を感じたなら使えと言われて」

大淀「防衛作戦の書類を!!」

利根「なんと!?」

利根「それはまことか!?」

金剛「やったネー!」

比叡「それで、どこにあるんですか?」

比叡「その書類は?」

大淀「…………」

大淀「……執務室の……私の机の引き出しの中です」

452以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:31:11 ID:JB5oSu/M

金剛「」

比叡「」

利根「」

大淀「…………」

金剛「こ、ここデスかー!?」

比叡「もう……お終いですね……あは、あははは……」

利根「あ、諦めるでないわ!」

利根「とにかく探せ! 探すのじゃ!」

大淀「は、はい!」

―――――――――――

大淀「あった!ありました!」

大淀「机自体は粉々でしたが、引き出し部分はひしゃげてただけでした!」

453以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:32:39 ID:JB5oSu/M

金剛「Oh!良かったデース!」

利根「火災が起きなかったのが幸いしたの」

比叡「これで……何とかなりますね!」

利根「それはまだ気が早い」

利根「場所を変えて、検討するのじゃ!」

―――――――――――

利根「…………」

     ピピー ガガッ

鳥海『こちら鳥海。大淀さん、応答願います』

大淀「こちら大淀」

大淀「どうされました?」

454以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:35:30 ID:JB5oSu/M

鳥海『深海棲艦・大艦隊のおおよその規模が判明しました』

鳥海『総数……約70隻』

利根「!?」

大淀「!?」

鳥海『北北西方向に侵攻し』

鳥海『こちらの支配海域に迫りつつある、との事です』

大淀「……艦隊構成は分かりますか?」

鳥海『少々お待ちを……』

大淀「…………」

鳥海『約6割が駆逐級のイ級』

鳥海『残りのほとんどは戦艦級のル級と重巡級のリ級で』

鳥海『空母級のヌ級がちらほら見えた程度との事です』

455以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:36:37 ID:JB5oSu/M

大淀「……分かりました」

大淀「引き続き、慎重に偵察を続けるよう伝えてください」

鳥海『了解です。鳥海、通信終了』

     ブッ…

大淀「……70隻」

利根「あやつら……どこにそんな戦力を隠しておったのやら」

利根「しかし、ほとんどがイ級で構成さておるのは朗報じゃ」

大淀「それでも30隻以上の戦艦級と重巡級、空母級が控えています」

大淀「大戦力なのは変わりありません」

利根「まともに戦えば勝ち目は無いのう」

大淀「そんな呑気な……」

456以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:37:49 ID:JB5oSu/M

利根「それにしても……北北西?」つ(海図)

利根「そちらには何もないが……」

大淀「確かに不可解ですね……」

大淀「ですが、放ってもおけません」

利根「分かっておる」

利根「ブサイク提督の防衛作戦に何か良いものが無いかのう……」

大淀「…………」

大淀「…………」

大淀「……!」

大淀「利根さん、これ……」

利根「ん?何じゃ?」

大淀「この部分……もしかしたら」

457以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:39:13 ID:JB5oSu/M

利根「何々……敵艦隊の行動に疑問が生じたら」

利根「陽動を疑うべし……」

利根「……70隻もの大艦隊を動員して陽動じゃと?」

利根「バカも休み休み言え」

大淀「……もう少し先も読んでください」

利根「……陽動だった場合」

利根「たいてい正反対の方向に本来の目的が……」

利根「…………」つ(海図)

利根「っ!!」

大淀「そうです」

大淀「先日、利根さん達が奪取した海域があるんです」

458以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:40:32 ID:JB5oSu/M

利根「ありえん……確かにあそこの抵抗は激しかったが」

利根「こんな大艦隊を陽動に使うほどの価値があるのか!?」

大淀「……奪取が目的では無いのかも」

利根「何?」

大淀「仮に……70隻の艦隊が陽動だとすると」

大淀「どこかに別動隊が存在するはず」

大淀「その別動隊はどこで何をするのでしょうか?」

利根「…………」

利根「しかし……イケメン提督が着任して以降」

利根「連戦を重ねてきておる」

利根「深海棲艦も70隻もの艦隊を用意して」

利根「さらに艦隊を繰り出せる余力があるのか?」

459以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:41:42 ID:JB5oSu/M

大淀「それは私にもわかりません……が」

大淀「少数精鋭ならば……あるいは」

利根「……少数精鋭か」

利根「…………」

利根「仮定に仮定を重ねるが」

利根「深海棲艦がこの前の海域を少数精鋭で奪取」

利根「あるいは、何らかの目的があるとして目指しておるのならば……」

利根「吾輩らはどう動くべきか」

大淀「…………」

大淀「……陽動の艦隊構成から考えると」

大淀「おそらく、空母級の精鋭で来る可能性が高いと考えます」

460以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:43:08 ID:JB5oSu/M

利根「理由は?」

大淀「陽動の方はほとんどが駆逐級のイ級」

大淀「残りが戦艦級のル級と重巡級のリ級、そしてわずかな空母級のみ」

大淀「先ほど利根さんのおっしゃった通り」

大淀「深海棲艦と言えど、余力を考えると……」

大淀「せいぜい一個戦隊が限界でしょう」

大淀「そうなると……」

利根「……駐留艦娘は、ほとんどが駆逐級艦娘」

利根「確実性は低くとも先制攻撃が容易な空母級は」

利根「確かに居りそうじゃな」

大淀「はい」

利根「ふむ……」

大淀「…………」

461以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:44:46 ID:JB5oSu/M

利根「……もし」

利根「吾輩らが70隻の艦隊に総がかりで相対した場合」

利根「あの海域を急襲されると……ちょうど背後を取られる形になる」

大淀「少数と言えど、北方鎮守府もほぼ無防備状態」

大淀「艦隊を引き返すにしても、いくらか迎撃に回すとしても」

大淀「敵に隙を見せる事になります」

利根「……敵の狙いはそれか」

利根「まともに大艦隊同士で殴り合うより」

利根「より味方の損害を少なく敵にダメージを与えられる……」

利根「最悪、例の海域だけは確実に確保、という算段か」

大淀「……厄介ですね」

利根「じゃが、敵もかなり無理をしておるのも想像に難くない」

462以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:46:10 ID:JB5oSu/M

大淀「ですが……こちらはすべての艦娘をかき集めても」

大淀「56人しか居ません」

大淀「ましてや今、広域通信が使えないため」

大淀「それを補うために艦娘を割いている状態です」

大淀「駐留艦娘を必要最低限残し、通信用の艦娘も省くと……」

大淀「動かせるのはせいぜい40人が限界でしょう」

利根「……頭の痛いところじゃのう」

利根「じゃがまあ……まともに戦わねば良いだけの事じゃ」

大淀「!」

大淀「ブサイク提督の防衛作戦に何かいいものが?」

利根「ああ……見つけた」

大淀「ど、どんな作戦なのでしょう?」

463以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:47:57 ID:JB5oSu/M

利根「問題点もある」

利根「この作戦に限らず、この書類すべての作戦は」

利根「広域通信できる前提で立てられておる事じゃ」

大淀「あ……」

利根「……さすがのブサイク提督も」

利根「こればっかりは予測できなかったようじゃの……」

大淀「…………」

利根「なに、今回の作戦は広域通信の心配はそれほどない」

利根「それよりも例の背後の海域」

利根「これにどれだけの戦力を振り向けるか」

大淀「…………」

464以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:49:07 ID:JB5oSu/M

大淀「それについては……私に考えがあります」

利根「ほう?」

大淀「最悪……予測が外れても」

大淀「北方鎮守府は死守してみせます」

利根「……そんな悲壮な覚悟は要らん」

利根「必要な戦力はどれだけじゃ?」

大淀「鳥海さんと摩耶さん、それと夕立さん」

大淀「あと瑞鶴さんの計4名です」

利根「正規空母一隻はちと痛いが、それだけで良いのか?」

大淀「戦闘は私も参加します」

利根「……良かろう」

利根「では……それ以外の動かせる艦娘はこちらで使わせてもらう」

利根「こちらも……上手く行くかは賭けになるがの……」

465以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:51:11 ID:JB5oSu/M
本日はここまでです。

466以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 16:53:49 ID:JB5oSu/M
広域通信について。
我々の概念で一番近いのは衛星通信です。
今回の話で出てきている広域通信機の破壊は
衛星通信の人工衛星が破壊された様なものだと
お考え下さい。

467以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 18:59:12 ID:8alRoJdQ



短波 - Wikipedia
 ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E6%B3%A2

艦娘が搭載してる技術レベルを勘案して、短波通信がちょうど近い感じになると思われ

468以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/28(月) 07:43:26 ID:C/aRaZcc
>大淀「鳥海さんと摩耶さん、それと夕立さん」
>大淀「あと瑞鶴さんの計4名です」
>大淀「戦闘は私も参加します」
火力高め……やはり火力(暴力)……火力(暴力)は全てを解決する!

469以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:05:24 ID:hXDa/yuQ


―――――――――――


西方海域 とある離島の砂浜


     ザザーン… ザザーン…


ブサ督「エンジ〜ン〜のお〜と〜」

ブサ督「ごぅお〜ごぅおぉぉ〜と〜」

ブサ督「ハヤブ〜サ〜は〜ゆぅぅ〜くぅ〜」

ブサ督「くぅ〜もぉ〜のぉ〜はぁ〜て〜」

桜「…………」

ブサ督「よぉ〜くぅに輝く日の丸とぉ〜」

ブサ督「むぅ〜ねに描き……ふおっ!?」

ブサ督「さ、桜か……いつからそこに?」

桜「ついさっきだ」

470以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:06:34 ID:hXDa/yuQ

桜「で、その妙な言い回しは何だ?」

ブサ督「……歌……というものだ」

桜「何の意味があるのだ?」

ブサ督「意味……というものは余り無いが」

ブサ督「音楽というジャンルの……娯楽の一つ」

ブサ督「かな……」

桜「ふむ……娯楽か」

桜「将棋やオセロ、双六や小説に漫画……」

桜「人間は娯楽が本当に好きだな」

ブサ督「まあ否定はしない」

ブサ督「娯楽はまだまだたくさんあるしな」

桜「そうか」

471以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:08:08 ID:hXDa/yuQ

ブサ督「むしろディルプの娯楽の無さに衝撃を受けるぞ」

桜「私は自我を持って間もない」

桜「ディルプにはディルプの娯楽があるのかもしれないぞ」

ブサ督「どんな娯楽なんだろうな……想像もつかん」

桜「それは私も同様に思う」

桜「それで?」

桜「歌……を言いながら、何を作っているんだ?」

ブサ督「トイレ……んと、排泄施設……とでも言うか」

桜「排泄か……」

桜「人間はやって当たり前の行為をなぜ隠したがるのか」

桜「私には理解できん」

ブサ督「…………」

472以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:09:59 ID:hXDa/yuQ

ブサ督(文化の違い、と言ってしまえばそれまでなんだが)

ブサ督(まさか立ちション覗かれるとは思わなかった……)

ブサ督(ち〇ち〇について根掘り葉掘り聞かれるし)

ブサ督(ディルプは排泄行為なんぞ海上で誰の目の前だろうがやっている)

ブサ督(という衝撃の事実を聞かされるし)

ブサ督(あれ?じゃあ艦娘は?)

ブサ督(などと考えちゃいけない事まで想像しちゃいましたよ……)

ブサ督(…………)

ブサ督(とにかく!)

ブサ督(桜に説明するのは大変だったが……)

ブサ督(これでもう覗かれる心配はない)

ブサ督(……って、普通逆だろ……こういう心配は)

473以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:11:48 ID:hXDa/yuQ

ブサ督「……はあ」

ブサ督「まあ無理に理解しなくていいけど」

ブサ督「俺は見られると嫌なんだから、配慮してくれ」

桜「…………」

ブサ督「…………」

桜「…………」

ブサ督「……桜?」

桜「…………」

ブサ督「桜!」

桜「!」

桜「あ、ああ、すまない」

桜「また意識が飛んだみたいだ」

474以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:12:47 ID:hXDa/yuQ

ブサ督「本当に大丈夫なのか?」

桜「ああ」

桜「気分が悪いとか、体調が思わしくないという事は無い」

桜「理由は……私にも分からないが」

ブサ督「…………」

ブサ督(時々……桜がぼうっとしている時があるのだが)

ブサ督(たまに、会話中でも突然こうなる)

ブサ督(本人に聞いても大丈夫だと言うばかりだし)

ブサ督(深海棲艦の生態に詳しいわけでもない……)

ブサ督(…………)

ブサ督(何事もなく治ってくれればいいのだが……)

ブサ督(…………)

475以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:13:49 ID:hXDa/yuQ

桜「…………」

桜「なあ、ブサイク提督」

ブサ督「ん?」

桜「お前に……触れてもいいか?」

ブサ督「え」

桜「ダメか?」

ブサ督「い、いや……ダメじゃ無いが」

桜「無いが?」

ブサ督「…………」

ブサ督「……そういう事を女の子に初めて言われたな」

ブサ督「って……思って」

桜「そうか。初めてか」

476以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:14:46 ID:hXDa/yuQ

     ギュッ

ブサ督「」

桜「……私も初めてだ」

桜「誰かに触れてみたい、と思ったのは……」

ブサ督「…………」

ブサ督(アカン……俺)

ブサ督(たぶん一生分の運を使ってるわ……)

ブサ督(…………)

ブサ督(……女の子って)

ブサ督(こんなに柔らかいんだなぁ……)

桜「♪」

477以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:15:40 ID:hXDa/yuQ


―――――――――――


翌日の昼頃

大本営 元帥の執務室


     コン コン

元帥「誰かな?」

イケ督「元帥閣下、イケメン提督であります」

イケ督「入室の許可を願います」

元帥「許可する。入ってくれ」

     ガチャ…

イケ督「失礼します」

     キィ パタン

478以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:17:13 ID:hXDa/yuQ

元帥「遠いところ、ご苦労だった」

元帥「そこのソファにでも掛けたまえ」

イケ督「はい」

     ストン

イケ督「…………」

元帥「では……話をする前に紹介をしておこう」

元帥「これは西方鎮守府の司令官をやっている」

元帥「フツメン提督だ」

フツ督「初めまして」

イケ督「初めまして」

元帥「そしてその傍らに居るのは秘書艦の龍田だ」

龍田「初めまして。以後、お見知りおきを」

イケ督「よろしく」

479以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:18:22 ID:hXDa/yuQ

元帥「それでは本題に入ろう」

元帥「イケメン提督」

イケ督「はい」

元帥「貴君の武勇は耳に入っておるし」

元帥「民衆の人気も大したものだ」

イケ督「恐れ入ります」

元帥「だが……いささか戦費の面での折り合いが悪い」

元帥「正直、海軍としても目玉が飛び出るほどだ」

元帥「この点について貴君はどう思っているのかね?」

イケ督「…………」

480以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:19:34 ID:hXDa/yuQ

イケ督「まず……軍人の本分は果たしていると自負しておりますが」

イケ督「深海棲艦との戦いは常に予測困難を極め」

イケ督「対処療法的な戦い方しかできず……」

イケ督「少々犠牲が多かったのは確かです」

フツ督「…………」

イケ督「しかしながら……その様な状況下でも」

イケ督「私の指揮により奪取した海域は確かに存在しており」

イケ督「その点も考慮していただければ……というのが」

イケ督「自分の正直な気持ちであります」

元帥「……そうか」

481以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:21:01 ID:hXDa/yuQ

元帥「では……これは提案だ」

イケ督「提案?」

元帥「現在、貴君は北方鎮守府司令官となっているが」

元帥「大本営直属の指揮官として栄転……という話はどうだろうか?」

イケ督「…………」

イケ督(……なるほど)

イケ督(俺に現場は任せられんから大本営で飼い殺しに)

イケ督(という事か……)

イケ督「……大変良いお話ですね」

元帥「であれば――」

イケ督「しかしながら」

イケ督「指揮官、というのも色々なものが存在します」

イケ督「その点についてのご説明はいただけるのでしょうか?」

482以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:22:18 ID:hXDa/yuQ

元帥「……フツメン提督」

元帥「例のものを」

フツ督「はい」

イケ督「……?」

フツ督「イケメン提督殿」

フツ督「これを見てくれ」

イケ督「海図……日本近海のものだが?」

フツ督「最近は内地付近の海にも深海棲艦は時々顔を見せる」

フツ督「その討伐が主任務の艦娘艦隊の指揮官」

フツ督「それが貴君に示された指揮官だ」

イケ督「…………」

483以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:23:47 ID:hXDa/yuQ

元帥「給料も現在の倍を提示しよう」

元帥「どうかね?」

イケ督「…………」

イケ督「……確かに魅力的な提案でありますな」

イケ督「ですが、それは栄転というよりも左遷ではないのですか?」

イケ督「第一、民衆がこれをどう思うか」

フツ督「その点は問題ない」

イケ督「……というと?」

フツ督「かの大英雄イケメン提督が」

フツ督「民衆の為、日本近海の深海棲艦討伐を行ってくれる」

フツ督「これほどの美談はありますまい」

フツ督「新聞もこぞって記事にする事でしょう」

イケ督「…………」

484以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:24:57 ID:hXDa/yuQ

元帥「どうだろうか?」

元帥「私としては、受け入れてくれる事を望むが」

イケ督「…………」

イケ督「……せっかくのありがたい申し出ですが」

イケ督「自分には受け入れがたい提案ですな」

元帥「…………」

フツ督「では、単刀直入に聞こう」

フツ督「何が足りない?」

イケ督「ふふ……足りないも何も」

イケ督「私が望むのは現在の民衆が望んでいる事ですよ」

フツ督「…………」

フツ督(こいつ……本気で大将職に就きたいと思っているのか)

元帥(周りに煽てられ、自分の実力を完全に見失っている……か)

485以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:27:56 ID:hXDa/yuQ

元帥「……イケメン提督」

元帥「貴君の気持ちと想いは良く分かった」

元帥「だが、すぐに返事は出来ない」

元帥「少々時間をくれ」

イケ督「分かりました」

イケ督「他に話はありますか?」

フツ督「私から少々……いいかな?」

イケ督「どうぞ」

フツ督「海軍としても、今の様な提案はそう何度も出来るものではない」

フツ督「気が変わるのなら……今の内だけだと思う」

フツ督「本当にその選択でいいのか?」

486以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:29:01 ID:hXDa/yuQ

イケ督「……それは脅しかな?」

フツ督「そういう事じゃない」

フツ督「いつまでも美味しいメシが出てくる訳ではない」

フツ督「それを認識しているのか、気になったまでさ」

イケ督「なら……さっきの提案には君が応じればいいのでは?」

イケ督「私は喜んで譲ろう」

フツ督「…………」

イケ督「他に話はありますか?」

龍田「あのう」

龍田「わたくし事なんですけどぉ」

龍田「いいですか?」

イケ督「……何かな?」

487以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:29:59 ID:hXDa/yuQ

龍田「北方鎮守府の天龍ちゃん、どうしてるかなー?」

龍田「と、思いまして」

イケ督「……君は天龍と知り合いなのか?」

龍田「はい」

龍田「姉妹艦ですので」

龍田「とぉ〜っても、仲良しだったんです」

イケ督「…………」

龍田「で?天龍ちゃんは元気ですか?」

イケ督「……残念だが」

イケ督「遠征任務中に行方不明になってそれっきりだ」

龍田「えっ」

イケ督「現在、大淀に任せて捜索を……」

488以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:30:49 ID:hXDa/yuQ

     ガバッ

イケ督「ぐっ!?」

龍田「……どういう事かしら?」

イケ督「な、何をする、貴様!」

フツ督「龍田!やめろ!」

龍田「…………」

     スッ…

イケ督「ぐっ……はあっ……ふう」

龍田「…………」

イケ督「……随分と乱暴な艦娘が居たものだ」

イケ督「しっかりと躾けておけ!」

フツ督「……謝罪しよう」

489以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:31:57 ID:hXDa/yuQ

イケ督「ふん……それで?」

イケ督「もう話は無いですかな?」

     …………

イケ督「では、私はこれで失礼させてもらいます」

元帥「ああ……時間を取らせたな」

元帥「下がってくれ」

イケ督「失礼する」

     ガチャ キィ パタン

フツ督「ふうう……」

フツ督「肝を冷やしたぞ……龍田」

龍田「……ごめんなさい」

490以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:32:48 ID:hXDa/yuQ

元帥「しかし……遠征任務で行方不明とな」

元帥「珍しい事もあるものだ」

フツ督「確かに珍しいですが、無い事ではありません」

フツ督「あ……すまない、龍田」

龍田「いいえ」

龍田「よくよく考えれば、まだ沈んだと決まった訳でもないし」

龍田「あの天龍ちゃんが簡単に……」

     ギュッ…

フツ督「…………」

龍田「……やめてよ」

龍田「元帥閣下が見てる」

フツ督「構うもんか」

491以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:33:57 ID:hXDa/yuQ

元帥「…………」

龍田「……うっ」

龍田「う、うあっ……」

龍田「うああああああああああ……」

龍田「うっ……うっ……」

龍田「ああああああああ……」

フツ督「…………」

フツ督(……くそっ)

フツ督(何か……何か手は無いのか?)

フツ督(何か……)

フツ督(…………)

492以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:37:19 ID:hXDa/yuQ


―――――――――――


大本営 廊下付近


     テク テク テク

イケ督(ふん……どうやら海軍は)

イケ督(どうあっても俺を大将にしたくない様だな)

イケ督(…………)

イケ督(……そっちがその気なら)

イケ督(仕方ない)

イケ督(こちらも……奥の手を使わせてもらおう)

イケ督(ククク……)

493以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:38:26 ID:hXDa/yuQ


―――――――――――


北方鎮守府 ブリーフィングルーム



利根「――以上が」

利根「吾輩の提案する作戦じゃ」

利根「現状、内地に連絡する人員も時間もない」

利根「他に何か提案があれば聞こう」

熊野「…………」

熊野「あの……利根さん、でしたっけ?」

利根「うむ。何かな?」

熊野「この作戦は、あなたがお考えになられたので?」

494以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:39:28 ID:hXDa/yuQ

利根「残念ながら吾輩ではない」

利根「ここの前の指揮官であった、ブサイク提督のものを引用した」

     ザワッ…

     エッ アノキモブタノ……?

     ウソッ… ヤダー…

利根「だから聞いておろう」

利根「他に何か提案があれば聞こう、と」

利根「お主らにこれ以上の作戦があるのなら、ぜひ提案して欲しい」

     …………

利根「……不安なのは吾輩も同じじゃ」

利根「だが、数の不利を覆す作戦はこれしかない」

利根「皆の衆、どうか従ってくれ」

495以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:40:10 ID:hXDa/yuQ

熊野「わたくしはむしろ、イケメン提督でない方がありがたいですわ」

鈴谷「鈴谷もそれに一票」

     …………

利根「では、この案で行動するぞ」

利根「解散!」

     バタ バタ バタ…

利根「……金剛」

金剛「ん?何ですカー?」

利根「本来はお主向きの役では無いのじゃが……」

利根「頼むぞ」

金剛「任せてネー!」

金剛「どんな役でも……金剛はキッチリ仕事シマース!」

金剛「増設バルジ、準備完了ネー!」

496以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:41:23 ID:hXDa/yuQ

利根「大淀の方も頼むぞ」

大淀「お任せを」

大淀「お互い、元気な姿で北方鎮守府に帰りましょう」

利根「必ず」

大淀「…………」

利根「…………」

     タッ タッ タッ…

利根(必ず……か)

利根(敵の数はこちらの倍)

利根(大半が駆逐級のイ級といえど……どの程度の犠牲で済むのか……)

利根(…………)

利根(ええい!弱気になるな!)

利根(ただの一人たりとも犠牲にしてたまるか!)

497以下、名無しが深夜にお送りします:2020/10/03(土) 20:42:57 ID:hXDa/yuQ
本日はここまでです。


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