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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。

326以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:08:11 ID://0jZsIc

大将「敵である深海棲艦の動向は、非常に分かりづらく」

大将「神出鬼没で何が切っ掛けで戦闘を仕掛けてくるのかも不明確です」

大将「今回はたまたま南方方面が活発になった」

大将「現時点では、そうとしか説明できません」

B「…………」

中尉「はい、ありがとうございました」

中尉「それでは……はい、そこのあなた。どうぞ」

C「△△新聞のC記者です」

C「先ほどのお話の中で――」

327以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:09:14 ID://0jZsIc


―――――――――――


その日の夜

南方鎮守府 執務室


フツ督『――というわけで』

フツ督『我らが大将閣下殿は』

フツ督『電撃辞任する事になった』

ブサ督「…………」

ブサ督「……内地ではそんな事になってたのか」

ブサ督「しかし、権威主義の塊みたいなあの大将が」

ブサ督「よく辞任なんて道を選んだな」

328以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:10:30 ID://0jZsIc

フツ督『もう八方ふさがりだったんだろう』

フツ督『栄光ある皇国海軍艦娘艦隊の看板に傷をつけず』

フツ督『かつ、自分も守れてイケメン提督を辞めさせるにはどうしたらいいか?』

ブサ督「…………」

フツ督『今辞めれば残りの人生、楽に暮らして行ける年金は貰えるし』

フツ督『自分が泥を被る事で海軍の威光も傷つかず』

フツ督『世論的にも金を食いつぶした原因である』

フツ督『イケメン提督に不信感を与えられる、という算段じゃないかな』

ブサ督「……なるほど」

ブサ督「イケメン提督の首を切りやすくしたわけか」

フツ督『ところが……そこで誤算が二つ生じた』

ブサ督「誤算?」

329以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:11:46 ID://0jZsIc

フツ督『一つはイケメン提督の人気は想像以上に高く』

フツ督『新聞も大将の方ばかり批判している事』

ブサ督「…………」

フツ督『……もう一つはお前だ』

ブサ督「……は?」

フツ督『新聞ではほとんど取り上げられなかったが』

フツ督『軍部は、大将がお前からの補給要請を』

フツ督『第一級ですんなり受諾した事に不信感を抱いてるんだよ』

ブサ督「…………」

フツ督『もちろん状況は分かっているし』

フツ督『イケメン提督への不信感とは比べ物にならないくらい小さい』

フツ督『……が、どう転ぶかは、まだ分からん』

330以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:12:49 ID://0jZsIc

フツ督『そこでだ』

フツ督『しばらくの間、お前には負傷療養で姿をくらませて欲しい』

ブサ督「負傷療養か……」

フツ督『俺の伝手で何とか協力者を集めて』

フツ督『お前の立場を固める為の時間がどうしてもいる』

ブサ督「そうか……」

ブサ督「期間はどれくらいになる?」

フツ督『1週間……いや2週間あれば完璧だな』

ブサ督「2週間か……まあ長期休暇とでも思えばいいか」

ブサ督「先の防衛作戦で怪我して離島で療養している、と」

ブサ督「艦娘たちにしらばっくれてもらおう」

331以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:13:50 ID://0jZsIc

フツ督『ああ、そうしててくれ』

フツ督『それから俺が留守の間、西方鎮守府の防衛もよろしく』

ブサ督「へいへい」

フツ督『じゃ……そうだな、1週間後、中間報告を兼ねて必ず連絡を入れる』

フツ督『それまで静かにしていてくれ』

ブサ督「分かった」

フツ督『……あとな』

ブサ督「うん?」

フツ督『お前さんの事だ……』

フツ督『俺からの増援なんて無くても何とかしたんだろうが』

フツ督『どうするつもりだったんだ?』

ブサ督(あの増援……到着したタイミングは最悪だったけどな)

ブサ督「……普通に南方鎮守府を諦めるつもりでいた」

332以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:15:00 ID://0jZsIc

フツ督『俺が知りたいのはその後だ』

フツ督『タダで南方鎮守府をくれてやるつもりは無かったんだろう?』

ブサ督「……撤退後は」

ブサ督「とりあえず南方鎮守府に来る予定だった補給船団と合流し」

ブサ督「お前に頼んだ演習部隊迎撃の為に」

ブサ督「深海棲艦がどれだけ戦力を振り向けるか」

ブサ督「それを見て、判断するつもりだった」

フツ督『…………』

ブサ督「もちろん必要最低限しか残さないのなら」

ブサ督「せん滅するつもりではあった」

フツ督『……それを見込んでの演習要請か』

333以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:16:16 ID://0jZsIc

フツ督『お前の事だから何か考えがあるのだろうと思って』

フツ督『出せるだけ出したんだが、良かったよ』

ブサ督「その点はもちろん感謝してる」

ブサ督「……それとな」

フツ督『ん?』

ブサ督「今回の事もそうだが……高雄たちの事」

ブサ督「本当にありがとう」

フツ督『……元々大将閣下直々に要請されてた事だし』

フツ督『ついこの前偶然見つけて手当しただけの事さ』

フツ督『まあ気にするな……と言っても無理か』

ブサ督「俺にできる事で、何か礼をさせてくれ」

フツ督『…………』

334以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:17:13 ID://0jZsIc

フツ督『……じゃあ』

フツ督『今度、美味いダルマをご馳走してくれ』

ブサ督「そんなもんじゃ俺の気が済まない」

フツ督『なら二本だ』

フツ督『美味いダルマを二本、そして朝まで付き合え』

フツ督『それでどうだ?』

ブサ督「…………」

ブサ督「……分かった」

フツ督『美味いダルマ、楽しみにしてるぞ』

ブサ督「任せてくれ」

フツ督『通信終了』

ブサ督「通信終了」

     ブッ…

335以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:18:12 ID://0jZsIc


―――――――――――


翌日

北方海域 某所


     ザザザザザザザザ…

長良「…………」

長良「……そろそろ定時連絡しないと」

     ピピー ガガッ

長良「こちら天龍遠征隊・捜索班」

長良「北方鎮守府、応答願います」

大淀『こちら北方鎮守府、執務室』

大淀『どうぞ』

336以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:19:35 ID://0jZsIc

長良「残念だけど……今回も良い報告は出来ないわ」

長良「残骸すら発見出来ない」

大淀『……そうですか』

長良「それでね……大淀」

長良「これだけ広範囲を捜索して見つからないんじゃ……」

大淀『…………』

大淀『……最後にもう一度だけお願いしてもよろしいでしょうか?』

長良「…………」

長良「……分かった」

長良「最後にもう一度だけ探してみる」

大淀『ありがとうございます』

大淀『それが終わったら……帰途に就いてください』

337以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:21:10 ID://0jZsIc

長良「ええ……そうするわ」

長良「長良、通信終了」

     ブッ…

長良「みんな、ご苦労だけど」

長良「もう一度だけ捜索するわ」


艦娘「…………」


長良「今度は少し北寄りのルートで捜索してみよう」

長良「それで何も見つからなかったら……」

長良「捜索を打ち切って帰投するわ」

長良「もうひと踏ん張り、お願いね」

長良「…………」

338以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:21:58 ID://0jZsIc


―――――――――――


北方鎮守府 軍港


大淀「…………」

大淀「…………」

     ザザザザザザザザ…

大淀「……あ」

大淀「金剛さん!比叡さん!」

大淀「他の皆さんも……お帰りなさい!」

金剛「…………」

大淀「……お疲れさまでした」

大淀「入渠の準備はできてます」

大淀「高速修復材の用意もしてますよ」

339以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:22:56 ID://0jZsIc

金剛「…………」

大淀「……金剛……さん?」

金剛「…………」

大淀「……あれ?」

大淀「…………」

大淀「陸奥さん……は?」

金剛「…………」

金剛「……沈んだネ」

大淀「っ!!」

大淀「そ……そん…な……」

金剛「……イケメンテートクは?」

大淀「……今、新聞記者が大勢取材に来てて」

大淀「その対応に追われています」

金剛「そう……」

340以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:24:00 ID://0jZsIc

金剛「とりあえず……入渠して来マス」

金剛「その後で……話をシマショウ」

大淀「…………」

大淀「……はい」

―――――――――――

金剛「……以上が今回の任務報告ヨ」

金剛「何とか目的地の奪取には成功したネ」

大淀「はい」

金剛「…………」

金剛「それで……陸奥サンからイケメンテートクの評価を聞きマシタ」

341以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:25:01 ID://0jZsIc

大淀「……はい」

比叡「金剛お姉さまと同様……私も最初は信じられませんでした」

比叡「この戦いは確実に勝利に近づいていると」

比叡「いずれ南方と同じように平定できると思い」

比叡「戦ってきました」

大淀「…………」

利根「……いつかの戦闘よりはマシじゃったが」

利根「今回もけっこうな数の伏兵と遭遇してな」

利根「何とか力でねじ伏せ、撃滅には成功したが……」

大淀「…………」

342以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:26:25 ID://0jZsIc

加賀「……正直」

加賀「これが常勝と名高い人の戦略なのか?と」

加賀「薄々は……感じていました」

大淀「…………」

赤城「私は……今でも本当にそうなの?という疑いはありますが」

赤城「私を庇って沈みゆく陸奥さんの……」

赤城「最後の言葉が……忘れられそうにありません」


    「これが……あのクズを…信じてしまった……結果…よ」


大淀「…………」

利根「……のう、大淀」

利根「最近吾輩は……ブサイク提督が居った頃ばかり思い出す」

大淀「…………」

343以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:27:37 ID://0jZsIc

利根「何でじゃろうな……?」

利根「あの頃は勇ましく戦いたくて仕方無く」

利根「それをさせてくれぬブサイク提督が」

利根「憎くてしょうがなかったというのに……」

利根「あの頃頻繁にやらされていた哨戒任務が」

利根「今は懐かしくてしょうがないのじゃ……」

筑摩「利根姉さん……」

大淀「…………」

大淀「……大本営に相談してみましょう」


一同「!」


大淀「ずっと考えて来た事です」

大淀「何か……何か方法は無いものか、と」

344以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:28:53 ID://0jZsIc

利根「それで何かが変わるのか?」

大淀「分かりません……ですが」

大淀「内地では、大将閣下が横領していた事を認め」

大淀「電撃辞任した、という大きな変化があったんです」

利根「なんと……」

利根「あの新聞報道は事実じゃったのか……」

大淀「はい」

大淀「今、イケメン提督が記者に囲まれているのも」

大淀「その関係なんです」

利根「なんじゃ?」

利根「イケメン提督も横領しておったのか?」

345以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:29:50 ID://0jZsIc

大淀「いえ……そうではありません」

大淀「新聞は……空いた大将閣下のポストに」

大淀「常勝イケメン提督が行くのでは?と」

大淀「書き立てているんです……」

利根「……世も末じゃのう」

大淀「ですので、その辺りも含めて」

大淀「大本営に相談してみるのが一番いいのではないかと」

加賀「…………」

加賀「他にいい案はあるのかしら?」


一同「…………」


加賀「なら……決まりね」

346以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:31:04 ID://0jZsIc

大淀「ただ……大本営へのホットラインは」

大淀「執務室に限られてるのが厄介なところです」

利根「イケメン提督が邪魔になるか……」

利根「それならば吾輩らで奴を誘(おび)き出せばよいのでは?」

金剛「……その役」

金剛「私がスるヨ。きっと適役ネ」

大淀「では……お願いします」

大淀「他の皆さんもフォローをしていただければ……」

筑摩「言われるまでもありませんよ、大淀さん」

加賀「……顔に出ないかしら」

赤城「加賀さんなら大丈夫ですよ」

     ハハハ…

347以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:32:06 ID://0jZsIc


―――――――――――


天龍「はあっ……はあっ……」

天龍「……ぐっ……」

天龍「…………」

天龍「……死ねる…か……」

天龍「…………」

天龍「……こんな……ところで……」

天龍「死んで……たまるか……!」

天龍「……はあっ……はあっ……」

天龍「………………はあっ………」

天龍「…………はあっ…………はあっ…………」

天龍「…………」

348以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:32:56 ID://0jZsIc

     ド ク ンッ

天龍「ぐっ!?」

天龍「がっ……があああああああああっ!!」

天龍「あ……がっ……」

天龍「……っ」

天龍「…………」

天龍「…………」

天龍「…………」

天龍「…………」

天龍「………ロス」

天龍「コロス……」

349以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:33:46 ID://0jZsIc

天龍「コロス……コロス……」

天龍「コロス、コロス、コロス」

天龍「コロス、コロス、コロス、コロス、コロス」

天龍「コロス、コロス、コロス、コロス、コロス、コロス、コロス」

 コロス コロス コロス コロス コロス コロス…
    コロス  コロス コロス……    コロス
コロス… コロス コロス… コロス   コロス コロス 
    コロス コロス……
 コロス コロス   コロス……     コロス……
    コロス…  コロス   コロス… コロス…
 コロス コロス     コロス… コロス コロス コロス…
コロス コロス    コロス  コロス……
 コロス コロス    コロス……  コロス コロス コロス…
コロス コロス コロス コロス
         コロス コロス コロス コロス…

350以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:34:30 ID://0jZsIc








     アノ……クソヤロウ……

     コ  ロ  ス  …







.

351以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 17:41:01 ID://0jZsIc
本日はここまでです。
ジャイロコンパスなんて初めて知りました。
この頃の魚雷って純粋にまっすぐしか進めないものと思ってたんですけど
すごい技術があったんですね。
海流のこと無視かよm9(^Д^)プギャーされるかと思って
わざわざ入れたネタだったんですが、必要なかった……(´・ω・`)ショボーン
ちなみに元ネタは戦闘機の見越し射撃です。あれを魚雷でできないかなー
と思って考えた戦法でした……

352以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 18:27:52 ID:mJ7cbJ9E
天龍って名前かっこいいよな

353以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 19:27:58 ID:/AzlfbqY
乙っす

海流云々は、少なくともこのSSの中ではそうなんだよって事で気にしなくて良いのかなって
いまだにドロップ艦がどんな風にしてドロップしてるのかとかも細かく決まってないゆとりのあるコンテンツな訳ですし

354以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/17(木) 21:01:03 ID:kiq2xo96



むっちゃん・・・R.I.P.

355以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/18(金) 01:07:17 ID:ZLPKVq.o
おつ

356以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/20(日) 13:13:15 ID:VyLbwMt2
天龍源一郎の憎悪対象って…ゴメン何でもない

357以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:41:10 ID:705eIlN.


―――――――――――


西方海域 とある離島の砂浜


     ザザーン… ザザーン…


ブサ督「…………」

ブサ督「……どうしてこうなった」

ブサ督「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督(うん、確かに離島で療養とは言ったけど)

ブサ督(それはあくまで建前であって)

ブサ督(本当に離島で過ごしたいわけじゃ)

ブサ督(無いんだけど……)

358以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:42:16 ID:705eIlN.

ブサ督(…………)

ブサ督(……高雄に話したのがまずかったのかな)

ブサ督(…………)

ブサ督(そういう事でしたら私たちが使っていた島がお勧めです)

ブサ督(とか言い出して……)

ブサ督(あれよあれよ、という間にここへ連れて来られた)

ブサ督(…………)

ブサ督(いや……そこまでは良しとしよう)

ブサ督(問題は……)

ブサ督(何で俺は今ひとりなんだって事)

ブサ督(…………)

359以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:42:54 ID:705eIlN.

ブサ督(…………)

ブサ督(……高雄に話したのがまずかったのかな)

ブサ督(…………)

ブサ督(そういう事でしたら私たちが使っていた島がお勧めです)

ブサ督(とか言い出して……)

ブサ督(あれよあれよ、という間にここへ連れて来られた)

ブサ督(…………)

ブサ督(いや……そこまでは良しとしよう)

ブサ督(問題は……)

ブサ督(何で俺は今ひとりなんだって事)

ブサ督(…………)

360以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:43:58 ID:705eIlN.

ブサ督(…………)

ブサ督(……高雄に話したのがまずかったのかな)

ブサ督(…………)

ブサ督(そういう事でしたら私たちが使っていた島がお勧めです)

ブサ督(とか言い出して……)

ブサ督(あれよあれよ、という間にここへ連れて来られた)

ブサ督(…………)

ブサ督(いや……そこまでは良しとしよう)

ブサ督(問題は……)

ブサ督(何で俺は今ひとりなんだって事)

ブサ督(…………)

361以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:45:28 ID:705eIlN.
しもた二重投下してもうた。

362以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:46:42 ID:705eIlN.

ブサ督(確かにここは西方鎮守府のテリトリーだけど……)

ブサ督(俺、最弱のイ級にだって勝てないよ?)

ブサ督(たぶんワンパンだよ?)

ブサ督(……海にさえ入らなきゃいいんだけどさぁ……)

ブサ督(…………)

ブサ督(それでも誰か一人くらい)

ブサ督(護衛で来てくれても……いいんじゃないかなぁ……)

ブサ督(…………)

ブサ督「……はあ」

ブサ督「…………」

ブサ督「まあ……」

ブサ督「それを口にしなかった俺にも落ち度はあるか……」

ブサ督「はあ……」

363以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:47:41 ID:705eIlN.

ブサ督「…………」

ブサ督(とりあえず2週間とか言ってたが)

ブサ督(食料、飲料生成装置、医薬品、その他、電池などの雑貨も)

ブサ督(余裕をもって、ひと月分あるから)

ブサ督(サバイバルする必要はないけど……)

ブサ督(…………)

ブサ督(なんだかなぁ……)

ブサ督(…………)

ブサ督(……ほんと、ため息しか出ない)

ブサ督(…………)

364以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:48:52 ID:705eIlN.


―――――――――――


南方鎮守府 談話室


     ガヤ ガヤ

電「…………」

電「いまごろ……ブサイク司令官さんは」

電「どうしているのでしょうか……」

暁「極秘任務よ」

暁「それは私たちが考えても仕方ないわ」

暁「わざわざ高雄に向かって離島で療養なんて言い出すんだから」

暁「何らかの思慮遠謀があるのよ」

365以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:50:14 ID:705eIlN.

電「……ここを出る時、ブサイク司令官さんが」

電「とても悲しそうな顔をしていた様に思えたのですが」

暁「……信じるしかないわ」

暁「私に重要な任務を託した様に」

暁「きっと……何かブサイク司令官にしか出来ない事があるのよ」

電(……そういう意味ではないのです)

由良「……きっとそうね」

由良「あんな見事な魚雷戦術を駆使できるのだもの……」

由良「戦略上、重要な何かが……」

由良「ブサイク司令官の双肩にかかっているのよ」

暁「ええ……」

電(……本当にそうなのでしょうか)

366以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:51:13 ID:705eIlN.


―――――――――――


     ザザーン… ザザーン…


ブサ督「…………」

ブサ督「……もう夕方か」

ブサ督「うう〜ん……」 ノビー…

ブサ督「…………」

ブサ督「晩飯の用意でもするか……」

     ザッ… ザッ… ザッ…

ブサ督「……ん?」

タ級「…………」

ブサ督「」

ブサ督(せ……戦艦級の……タ級!?)

タ級「…………」

367以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:52:14 ID:705eIlN.

ブサ督「……う」

ブサ督「うわわわわわわわわわわわわわわっ!?」

タ級「…………」

ブサ督(……終わった)

ブサ督(俺の人生……)

ブサ督(予想通り……童貞のまま)

ブサ督(終わった……!)

タ級「…………」

ブサ督「…………」

タ級「…………」

ブサ督「…………」

368以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:53:11 ID:705eIlN.

ブサ督「……?」

タ級「…………」

ブサ督「…………」

タ級「…………」

ブサ督「……えと」

ブサ督「な、何か……用……なのか…な?」

タ級「…………」

タ級「……そういう訳ではない」

ブサ督(しゃ、しゃべった!?)

ブサ督「…………」

タ級「…………」

ブサ督「……とりあえず」

ブサ督「座らないか?」

369以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:54:19 ID:705eIlN.

タ級「…………」

     ストン

ブサ督(……向こうもこちらの言葉を理解してる)

ブサ督(驚いた……)

ブサ督(俺は、世界で初めて)

ブサ督(深海棲艦とコミュニケーションを取ったのかもしれない)

タ級「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督「……これから飯を食うんだが」

ブサ督「お前も食うか?」

タ級「メシ……とは何だ?」

ブサ督「え」

370以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:54:50 ID:705eIlN.

タ級「…………」

     ストン

ブサ督(……向こうもこちらの言葉を理解してる)

ブサ督(驚いた……)

ブサ督(俺は、世界で初めて)

ブサ督(深海棲艦とコミュニケーションを取ったのかもしれない)

タ級「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督「……これから飯を食うんだが」

ブサ督「お前も食うか?」

タ級「メシ……とは何だ?」

ブサ督「え」

371以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:57:48 ID:705eIlN.
また二重投下……PCの調子が悪いのか

372以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:58:45 ID:705eIlN.

ブサ督「食事……って分かるか?」

タ級「いや」

タ級「……栄養摂取作業……の事か?」

ブサ督「……そうだ」

タ級「もらおう」

タ級「グレッズが何を摂取しているのか興味がある」

ブサ督「……ぐれっず?」

タ級「お前たちの事だ」

タ級「我々ディルプはお前たちの事をグレッズと呼称している」

ブサ督「……ほう」

ブサ督(深海棲艦は自分たちをディルプと呼んでいるのか)

ブサ督「ま……話は食いながらしよう」

373以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 12:59:53 ID:705eIlN.

―――――――――――

ブサ督「……口に合うか分からんが」

タ級「……これは何だ?」

ブサ督「袋詰めのビーフシチュー……つっても分からんよな」

ブサ督「そういや、深海棲艦……いや、ディルプは」

ブサ督「普段どんなものを食っ……摂取してるんだ?」

タ級「主にプランクトンの死骸だ」

タ級「あれを凝縮して、ブロック状にしたものを摂取している」

ブサ督「プラ……ちょっと遠慮したくなるな」

タ級「そうか?」

タ級「このビーフ……何やらも何か生き物の死骸ではないのか?」

ブサ督「……言われてみれば確かにそうだ」

374以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:00:52 ID:705eIlN.

タ級「…………」

タ級「では……摂取する」

ブサ督「お、手づかみとはワイルド……」

ブサ督「あ、スプーンの使い方が分からないのか?」

タ級「む?」

ブサ督「これはこうやって使うんだ」

ブサ督「俺の真似をしてみるといい」

タ級「分かった」

タ級「では……今度こそ摂取する」

ブサ督「ああ。いただきます」

     モグ…

タ級「!」

375以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:01:58 ID:705eIlN.

     モグモグモグ ゴクン

タ級「な、なんだこれは!?」

ブサ督「口に合わなかったか?」

タ級「い、いや……どう言えばいいのか分からん」

タ級「分からんが!」

     モグモグ ゴクン

     モグモグ ゴクン

タ級「摂取が……止まらない!」

ブサ督「……その様子だと」

ブサ督「旨いみたいだな」

タ級「旨い?……この感覚は旨い、というものなのか?」

ブサ督「たぶん」

タ級「旨い……旨い!」

376以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:03:19 ID:705eIlN.

―――――――――――

タ級「ふう……」

ブサ督「お粗末様でした」

タ級「……グレッズは普段、こんな旨いものを摂取しているのか」

ブサ督「普段はもっと旨いものを摂取してるぞ」

タ級「な、なに!?」

ブサ督「これは袋詰め……んと、保存用に作られている物だからな」

ブサ督「偽物……とまでは言わないが旨さは控えめにしてある」

タ級「……信じられない」

ブサ督「あと……他の食い物もある」

タ級「他?」

377以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:04:39 ID:705eIlN.

タ級「ビーフ……何やら以外の生き物も摂取すると?」

ブサ督「それもそうだが……やり方次第で別の旨さがあるって事だ」

タ級「……違う旨いがある、という事か?」

ブサ督「そうなるな」

タ級「…………」

タ級「非常に興味がある」

ブサ督「気持ちは分かるんだけど、数に限りがあるんでな」

ブサ督「また飯時に……ええと、明日の朝、ご馳走しよう」

タ級「……そうか」

ブサ督(あからさまにがっかりしてる……)

タ級「…………」

378以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:06:06 ID:705eIlN.

タ級「……お前は他のグレッズとは違うな」

ブサ督「……まあ顔についてはそうだろうな」

タ級「違う。そうではない」

タ級「何と言うか……体形がかなり違う」

ブサ督「体形?……ああ艦娘とか?」

タ級「艦娘?」

ブサ督「戦っている戦闘員の事をそう呼んでいる」

タ級「そうだ。その艦娘というグレッズと、だいぶ体つきが違う」

ブサ督「それは男と女の違いだな……」

ブサ督「ん?……ディルプに男は居ないのか?」

タ級「少なくとも私はお前の様なものを見た事が無い」

ブサ督「……そうなのか」

ブサ督「じゃあ、深海……ディルプはどうやって増えるんだ?」

379以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:07:31 ID:705eIlN.

タ級「私には分からない」

タ級「上が言うには、勝手に生まれてくるとか言っていたが……」

ブサ督(上が居るのか……)

タ級「グレッズはどうやって増えるのだ?」

ブサ督「……へ?」

タ級「男……とか言ったな?」

タ級「つまり、お前のような存在がグレッズの増殖に必要という事か?」

ブサ督「そ」

ブサ督「そ、その、通りなんだが……相手の女と合意が……ごにょごにょ」

タ級「?」

ブサ督「そ、そう言えば!」

ブサ督「名前! 名前を聞いていなかったな!」

380以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:08:37 ID:705eIlN.

タ級「名前?」

ブサ督「ディルプみたいな種族とか全体を指すのではなく」

ブサ督「個人や個体の名称の事だ」

タ級「ああ……個体名の事か」

ブサ督「俺の名前はブサイク提督」

ブサ督「君は?」

タ級「私はディルプでスリーオブエイトと呼ばれていた」

ブサ督「スリーオブエイト?……数字で呼ばれていたのか」

タ級「私の様な自我を持つ個体はディルプでは珍しいからな」

タ級「ナンバーズとして区別されている」

ブサ督「珍しい?」

ブサ督「という事は……ディルプのほとんどは自我が無いのか?」

381以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:09:47 ID:705eIlN.

タ級「ああ」

ブサ督(……なるほど)

ブサ督(それでダメージを喰らっても構わず前進して来るのか)

ブサ督「……それにしても」

ブサ督「名前が数字、というのは味気ないな」

タ級「気に入らないのか?」

ブサ督「まあ……端的に言えば」

ブサ督「我々は普通、君みたいな綺麗な女の子には」

ブサ督「花の名前とか付けたりするんだ」

タ級「花……とは?」

ブサ督「植物が実を付け……いや、これじゃ分かりづらいな」

382以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:10:51 ID:705eIlN.

ブサ督「ええと……」

ブサ督「ああ、ほら。 そこにある黄色いやつ」

ブサ督「そういうのを総称して花と呼んでいる」

タ級「これか……」

タ級「この花の名前は何と言うのだ?」

ブサ督「すまん。ちょっと分からない」

タ級「そうか……」

タ級「では……お前が知っていて好きな花の名前は?」

ブサ督「…………」

ブサ督「桜だな」

タ級「桜……どんな花だ?」

383以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:12:05 ID:705eIlN.

ブサ督「春になると、樹木いっぱいに淡いピンク色の花をつける植物で」

ブサ督「一つ一つは、そこの花くらいの大きさだが」

ブサ督「それはもう見事で……とても綺麗なんだ」

タ級「…………」

タ級「では……私は桜、と名乗ろう」

ブサ督「え」

タ級「不満か?」

ブサ督「い、いや……そうじゃないが」

タ級「なら……別に構わないだろう?」

ブサ督「……ああ」

ブサ督「よろしく、桜」

桜「よろしく、ブサイク提督」

384以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:13:54 ID:705eIlN.


―――――――――――


大本営 元帥の執務室


     コン コン

元帥「む?」

フツ督「お久しぶりです元帥閣下」

フツ督「フツメン提督です」

元帥「おお、着いたのか」

元帥「どうぞ、入ってくれ」

フツ督「失礼します」

     ガチャ キィ パタン

元帥「長旅、ご苦労だった。そこのソファにでも掛けてくれ」

385以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:15:05 ID:705eIlN.

フツ督「ではお言葉に甘えて」

フツ督「龍田、君も座ると言いい」

龍田「はぁい。失礼します」

     ストン

フツ督「いやぁさすが内地、しかも帝都は違いますね」

フツ督「人込みで少々酔いました」

元帥「そうか」

フツ督「それでは、さっそく本題に入りますが……」

フツ督「ブサイク提督の件はどうなりました?」

元帥「そちらは貴様の根回しがあれば、おそらく問題ないだろう」

元帥「ただ、やはり一度、ブサイク提督には大本営に来てもらう必要がある」

元帥「南方鎮守府着任当時の状態を本人が文書付きで提示せねば」

元帥「納得できぬ者も多い」

386以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:18:00 ID:705eIlN.

フツ督「まあ……妥当なところですね」

元帥「問題はイケメン提督の方だ……」

元帥「これを見てくれ」

     バサ バサ…

フツ督「……イケメン提督、大将職へ意欲?」

フツ督「横領撲滅の急先鋒……」

フツ督「……何ですかこれ?」

元帥「見ての通りだ」

元帥「大将……いや元大将の毒が効きすぎて」

元帥「手が付けられん状況になっている」

387以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:19:51 ID:705eIlN.

フツ督「……民衆の人気が高いと聞いていましたが」

フツ督「新聞がそれに乗っかってる感じですか」

元帥「知り合いによると」

元帥「イケメン提督の話題は発行部数に多大なる影響があるそうだ」

フツ督「…………」

元帥「この状態で奴の首を切ってみろ……」

元帥「海軍への民意は一気に悪くなる」

元帥「かといって、奴のやらかした事を暴露しても結果は同じだ」

フツ督「……その場合は奴を道連れに出来ますけどね」

元帥「逆だ。海軍が奴に道連れにされるのだ!」

フツ督「…………」

388以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:21:19 ID:705eIlN.

元帥「……すまん」

元帥「少々声を荒げてしまったな」

フツ督「いえ」

龍田「…………」

フツ督「何とか奴の方から辞任する様もって行く事は出来ないですか?」

元帥「……実は」

元帥「その方向で海軍も検討を始めている」

フツ督「癪に障りますが……それが無難なところですね」

元帥「納得など到底無理だがな……」

元帥「だが奴の持つ海軍の機密事項がどれだけあるか」

元帥「あやつの行動を鑑みると、うかつに刺激すれば」

元帥「藪蛇になりそうでな……」

389以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:23:27 ID:705eIlN.

フツ督「やはり……新聞へ情報を提供したのは彼ですか」

元帥「……残念ながら証拠は掴めなかった」

元帥「元大将もさぞかし手を焼いた事だろう」

フツ督「飼い犬に手を噛まれるどころか」

フツ督「喉笛噛み切られてますからね」

元帥「今度は海軍そのものが食い散らかされそうだ……」

龍田「…………」

元帥「何かいい方法は無いだろうか?」

フツ督「考えてみますが……余り期待しないでください」

元帥「そうか……来たばかりで疲れているだろう」

元帥「とりあえず、用意したホテルで休養してゆっくり考えてくれ」

フツ督「ありがとうございます」

390以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:24:58 ID:705eIlN.


―――――――――――


帝都 大通り付近


     ガヤ ガヤ

龍田「……ねえ」

フツ督「ん?」

龍田「私を連れてきた理由って……処理かしら?」

フツ督「……まだそうと決まった訳じゃない」

龍田「やらされる可能性はあるのね」

フツ督「……残念ながらな」

龍田「そっか……」

フツ督「…………」

391以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:26:35 ID:705eIlN.


―――――――――――


北方鎮守府 執務室前


大淀「…………」

大淀(さて、金剛さん)

大淀(心の準備はいいですか?)

金剛(大丈夫ネ……)

金剛(いつも通り、元気ハツラツ金剛出来マース!)

大淀(では……ノックして扉を開けます)

金剛(了解ネー!)

392以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:27:40 ID:705eIlN.

     コン コン

大淀「入ります」

     ガチャ…

イケ督「ああ、大淀か」

イケ督「それと……金剛も一緒か」

イケ督「任務ご苦労」

金剛「ヘーイ! イケメンテートクゥ!」

金剛「任務達成した金剛にご褒美……」

金剛「へ?」

大淀「イケメン提督、その荷物は?」

イケ督「いやね」

イケ督「ちょっと大本営まで行かなきゃならなくてね」

大淀「出頭命令が出たので?」

393以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:29:54 ID:705eIlN.

イケ督「まあそんなとこかな」

イケ督「そんな訳で私はこれから出かけるから」

イケ督「北方鎮守府はしばらく大淀達に任せるよ」

大淀「はあ……」

イケ督「すまないね」

イケ督「金剛も悪いな」

イケ督「また今度埋め合わせをさせてもらうよ」

金剛「は、はい」

金剛「北方鎮守府は任せてくだサーイ!」

イケ督「それじゃ、またな」

     ガチャ キィ パタン

大淀「…………」

金剛「…………」

394以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:31:11 ID:705eIlN.

―――――――――――

利根「せっかく意気込んだというのに……」

利根「拍子抜けじゃのう」

大淀「ま、まあ、釈然とはしませんが……」

大淀「結果的に良かったと思いましょう」

大淀「それでは……」

     プルルルル… プルルルル…

     ガチャ

大淀「こちらは北方鎮守府、執務室」

大淀「秘書艦の大淀です」

大淀「艦娘艦隊の責任者の方をお願いします」

395以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:33:31 ID:705eIlN.

通信使『こちら大本営・艦娘艦隊窓口』

通信使『現在、総責任者の不在によりお繋ぎできません』

大淀「え」

大淀「で、では、どなたか……責任のあるお方で構いません」

大淀「お繋ぎ願えませんか?」

通信使『少々お待ちください』

大淀「…………」

大淀「…………」

通信使『お待たせしました』

通信使『現在、責任者不在であり、その他の方も多忙の為』

通信使『大変申し訳ないのですが』

通信使『お取次ぎする事が出来ません』

396以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:35:05 ID:705eIlN.

大淀「そ、そんな!」

大淀「…………」

大淀「で、では……南方鎮守府のブサイク提督はいかがでしょう?」

通信使『少々お待ちください』

大淀「…………」

大淀「…………」

通信使『お待たせしました』

通信使『ブサイク提督は先日、南方鎮守府防衛作戦で負傷され』

通信使『離島で療養中との事で、お取次ぎできません』

大淀「な……」

通信使『申し訳ありませんが、また日を改めてご連絡ください』

通信使『では……失礼します』

397以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:36:21 ID:705eIlN.

     ブッ…

大淀「え、ちょっと待っ」

大淀「……切れました」

利根「……色よい返事は聞けなかった様じゃの」

大淀「…………」

大淀「……それから」

大淀「ブサイク提督、南方鎮守府の防衛戦闘で負傷されたそうです」

利根「悪い事は重なるのう……」

大淀「参りました……もうお手上げです」

大淀「大本営も混乱状態なのかもしれません」

利根「…………」

398以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:37:21 ID:705eIlN.

利根「くよくよしても仕方ない」

利根「飯でも食って、たっぷり寝て」

利根「英気を養う事が、今の吾輩らに出来る事じゃろう」

大淀「…………」

大淀「……そうですね」

大淀「せっかくですから、羽を伸ばしましょう」

大淀「…………」


―――――――――――


北方鎮守府 食堂


利根「それにしても……ブサイク提督が防衛作戦で負傷とはの」

利根「それだけ南方は……酷い状況だった、という事か」

399以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:39:11 ID:705eIlN.

大淀「そう推測せざるを得ません……」

大淀「今後は……イケメン提督の命令に対し」

大淀「どう対処していけばいいのか……」

利根「頭の痛い問題じゃのう……」


     ドォンッ! ドォンッ!

     ドガアァァァァァンッ!!


大淀「!?」

利根「!?」

利根「何じゃ!? 今の爆発音は!?」

大淀「執務室の方向から聞こえてきました!」

400以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:40:35 ID:705eIlN.

―――――――――――

     タッ タッ タッ…

比叡「今の爆発、執務室ですか!?」

利根「分からぬ!」

利根「それを確かめに走っておるのじゃ!」

金剛「まさか……深海棲艦が攻めて来た!?」

大淀「この角を曲がれば……ああっ!?」

??「…………」

利根「あれは……チ級……?」

利根「いや、違う……」

??「……ドコダ」

大淀「えっ……!?」

大淀(深海棲艦が言葉を!?)

401以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:42:12 ID:705eIlN.

??「あの……クソヤロウ……」

??「ドコだ……?」

利根「クソ野郎……とは」

利根「イケメン提督の事か?」

??「ソウだ……トネ……」

利根「!?」

利根「な、なぜ、吾輩の名前を知っておる!?」

??「言エ……アノ……くそヤロウは……」

??「ドコダ……!!」

大淀「…………」

大淀「ま……まさか……」

大淀「て……天龍……さん?」

402以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:44:04 ID:705eIlN.

利根「!!」

比叡「!?」

金剛「!?」

利根「そうじゃ……あの顔、どこか見覚えがあると思ったが」

利根「天龍!」

利根「いったい……お主に何があったのじゃ!?」

天龍?「…………」

天龍?「あの……クソヤロウに……」

天龍?「深海棲艦泊地へ……イケと……命令……ぐっ……」

天龍?「がああああああああああっ!!」

利根「!?」

大淀「!?」

403以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:45:18 ID:705eIlN.

     ドンッ

大淀「ひっ!」

天龍?「言え……オオよド……」

天龍?「あの……クソヤロウは……ドコダ!!」

大淀「こ、ここには……居ませんっ」

大淀「大本営にっ……」

天龍?「…………」

     バッ!

利根「あっ!」

利根「ま、待つのじゃ! 天龍!」

金剛「追いかけるネー!」

比叡「私も行きます!」

     タッ タッ タッ…

404以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:47:00 ID:705eIlN.

利根「……なんという事じゃ」

利根「いかに恐ろしかったと言えど」

利根「イケメン提督の居場所を教えてしまうとは……」

大淀「……すみません」

利根「あの様子だと……何日かかろうとも」

利根「おそらく大本営へ向かうであろうな……」

利根(途中の防衛網に引っかかれば、間違いなく)

利根(深海棲艦として処理される……)

大淀「…………」

利根「……じゃが、この事は」

利根「大本営に報告せねばな」

405以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:48:06 ID:705eIlN.

大淀「え……」

利根「それが艦娘である吾輩らの責務じゃ」

利根「皇国国民に危害を加える可能性も否定できんしのう」

大淀「…………」

大淀「……わかり……ました」

大淀「執務室へ向かいましょう」


―――――――――――


北方鎮守府 執務室


利根「何たる事じゃ……」

大淀「やはり……あの時の爆発音はここだったんですね」

406以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:49:22 ID:705eIlN.

利根「……いや、もっと深刻じゃぞ」

大淀「え……」

利根「こっちを見てみよ」

大淀「…………」

大淀「!!」

大淀「そんな……作戦室まで!」

利根「しかもご丁寧に広域通信機も電探も破壊されておる」

利根「追跡を防ぐ為か……手際のよい事じゃ」

大淀「すぐに明石さんを呼んできます!」

     タッ タッ タッ…

利根「…………」

利根(これ以上……何事も起こらねば良いが……)

407以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:50:57 ID:705eIlN.

―――――――――――

     ザザザザザザザザ…

長良「メーデー!メーデー!」

長良「こちら天龍遠征隊・捜索班!」

長良「北方鎮守府、応答して!」

     ピピピー ガガー

長良「大淀! 返事して!」

     ガガガー ピー

長良「どうして……どうして!」

長良「メーデー!メーデー!」

長良「大規模な深海棲艦艦隊に追撃を受けてる!」

長良「誰か……誰か助けて!」

長良「誰かぁぁっ!!」

408以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 13:51:59 ID:705eIlN.
本日はここまでです。

409以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:02:03 ID:0LAFl0Z.



あれ、艤装を装着したら普通の艦娘同士で無線通信できるのでは?

410以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:02:41 ID:705eIlN.
それとディルプだのグレッズだのは
>>1の創作で公式でもなんでもありません。
あしからずです。

411以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:06:19 ID:705eIlN.
>>409
後で出てきますが艦娘同士では短距離通信しかできない設定です。

412以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 14:16:47 ID:djpvyS.s
美醜の概念が存在しない女がヒロインか

413以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 21:49:07 ID:xq5SkuHg
天龍はブサイクに逆恨み特攻するかと思いましたがイケメンにいきましたか

414以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/22(火) 23:48:14 ID:5FPhT8oc

色々とややこしい事になってきて先の展開が気になる

415以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:38:39 ID:JB5oSu/M


―――――――――――


西方海域 とある離島の砂浜


     ザザーン… ザザーン…

ブサ督「…………」

ブサ督「……平和だ」

桜「平和……世の中が安定している事」

桜「だったか?」

ブサ督「ああ」

桜「……戦いしか知らなかった私だが」

桜「こう……何もせず誰かと休養を取るのは」

桜「いいものだな……」

ブサ督「……そうだな」

416以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:40:04 ID:JB5oSu/M

ブサ督(まあ……そのおかげで)

ブサ督(俺としては別の戦いが生じてるんだけどな……)

ブサ督(特に夜だ)

ブサ督(他は余裕を持っていろいろあるが)

ブサ督(テントは一つしかない……)

ブサ督(おまけにマラリア等で虫刺されを気にしないといけないから)

ブサ督(外で寝るわけにもいかないし……)

ブサ督(おかげで自家発電が捗る捗る……)

ブサ督(…………)

ブサ督(……バレてない……よな?)

417以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:41:26 ID:JB5oSu/M

     ピピピ… ピピピ…

ブサ督「お?」

桜「…………」

     ピピッ ガガッ

ブサ督「こちらブサイク提督」

ブサ督「どうぞ」

阿賀野『こちら西方鎮守府・臨時秘書艦・阿賀野』

阿賀野『早速ですが、北緯△△□東経〇△□にて』

阿賀野『深海棲艦艦隊を発見しました』

阿賀野『規模は二個戦隊。中核は戦艦級のル級で構成されています』

ブサ督「ええと北緯△△□東経〇△□……」

ブサ督「空母級は? 居ないのか?」

418以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:42:55 ID:JB5oSu/M

阿賀野『確認していません』

ブサ督「了解……脳筋部隊か」

ブサ督「その艦隊の東に駐留している機動部隊と」

ブサ督「南に駐留している重巡の二個戦隊を最短で合流させ」

ブサ督「手厚く歓迎してやるといい」

ブサ督「念のため西方鎮守府の機動部隊を出動させ」

ブサ督「予備兵力として控えさせておけば大丈夫だろう」

桜「…………」

阿賀野『では、その様にします』

阿賀野『阿賀野、通信終了』

ブサ督「ブサイク提督、通信終了」

     ブッ…

419以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:44:01 ID:JB5oSu/M

ブサ督「ふう……」

桜「…………」

桜「……いいのか?」

ブサ督「ん?」

桜「今のは軍議だろう?」

桜「敵である私の前でするべき事じゃない」

ブサ督「……確かに」

ブサ督「でも桜がもしそのつもりなら」

ブサ督「俺を始末するか、拉致して情報を聞き出すかするだろう?」

桜「それは……そうだが」

ブサ督「それをやって来ないんだから」

ブサ督「俺は敵じゃないと思ってる」

420以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:46:16 ID:JB5oSu/M

桜「…………」

桜「……グレッズ……いや」

桜「人間、だったか」

桜「みな、お前みたいな考え方をするのか?」

ブサ督「残念ながら、そんなことは無い」

ブサ督「すぐ怒る奴もいるし、敵と判断したら襲い掛かる奴もいる」

ブサ督「人それぞれさ」

桜「…………」

桜「変わってるな、ブサイク提督は……」

桜「定時連絡でも私の存在を伝えないし」

桜「自分が言うのもおかしいが、利敵行為がすぎる」

ブサ督「……かもな」

421以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:47:20 ID:JB5oSu/M

ブサ督「でもそれを言うなら」

ブサ督「最初会った時、俺を殺さなかった」

ブサ督「桜も同じじゃないのかな」

桜「…………」

桜「……そうだな」

ブサ督「…………」

桜「…………」

桜「……聞かないのか?」

ブサ督「何を?」

桜「なぜ……私がここに居るのかを」

ブサ督「…………」

ブサ督「言いにくい事かと思って」

422以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:48:29 ID:JB5oSu/M

桜「…………」

ブサ督「…………」

     ザザーン… ザザーン…

桜「……私は」

桜「ブサイク提督の言う南方海域の……ディルプだった」

ブサ督「…………」

ブサ督「だった、か……」

桜「…………」

桜「数か月前……私は突如、自我が芽生え」

桜「ナンバーズになり、スリーオブエイトと名付けられた」

ブサ督「…………」

423以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:49:45 ID:JB5oSu/M

桜「憎きディルプの敵」

桜「グレッズどもをせん滅する事」

桜「それが……我々の使命だと教えられてきた」

ブサ督「…………」

桜「ある日、私はワンオブスリー……南方ディルプの最高責任者に」

桜「同海域のグレッズせん滅作戦を立案して承認され」

桜「大戦果を挙げた」

ブサ督(……やはり)

ブサ督(南方鎮守府は大ダメージを受けてたのか)

桜「私は意気揚々と拠点に戻ったが……」

桜「ワンオブスリーは喜んでいなかった」

ブサ督「…………」

424以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:52:24 ID:JB5oSu/M

桜「私は何が悪かったのか……考えてみたが分からず」

桜「その答えも分からぬまま、グレッズの攻撃が激化した」

ブサ督「…………」

桜「その攻撃はちぐはぐな物ばかりで」

桜「反撃には苦労しなかったが……たびたび来て」

桜「辟易した」

ブサ督(イケメン提督……敵からも散々な評価だ)

桜「だが……きちんと防衛してるにも関わらず」

桜「ワンオブスリーの機嫌は悪くなる一方……」

桜「理由は不明だ……」

ブサ督「…………」

ブサ督(ワンオブスリーって奴……もしかして桜に嫉妬してる?)

425以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/27(日) 15:54:03 ID:JB5oSu/M

桜「ある日……突然だった」

桜「グレッズの動きが急に変化した」

ブサ督「…………」

桜「忽然と消えたかと思えば要所で戦闘を仕掛け」

桜「私は……どう対処すべきか悩んだ」

ブサ督「…………」

桜「気が付けば多くの戦場でグレッズの姿が見えなくなり」

桜「これは撤退の手段だったのかと驚かされた……」

ブサ督「…………」

桜「私は……これだけ見事な撤退をする指揮官なのだから」

桜「どこかに伏兵を仕掛けていないか恐ろしかった」

ブサ督「…………」


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