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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。
222
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/10(木) 09:11:10 ID:wSwGnIuI
乙
ここまで遠慮無く戦力と使い潰すとは、逆に清々しい程の下衆である
223
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:18:59 ID:iXxKarrw
―――――――――――
大本営 大将の執務室
大将「ふう……これで後は」
ワー ワー
大将「ん……?」
大将「何やら騒がしいな……」
大将「何事だ?」
バタン!
中尉「た、大変です!大将閣下!」
大将「どうした中尉。いったい何事だ?」
224
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:21:35 ID:iXxKarrw
中尉「今朝の新聞、とんでもない事が書かれているんです!」
中尉「ご覧ください!」つ(新聞)
大将「とんでもない事?」つ(新聞)
大将、横領疑惑。数年前から着手か?
大将「!?」
大将「な、何だこれは!?」
中尉「ともかく事実確認がしたい、とかで」
中尉「ブンヤどもが押し寄せているんです!」
大将「…………」
大将「……!」
大将(この……内容は!)
大将(あの、無能の仕業かぁぁぁっ!!)
225
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:22:26 ID:iXxKarrw
中尉「大将閣下、いかがしましょう?」
大将「!」
大将「そ、そうだな……」
大将「いずれ記者会見を開く、とでも言ってブンヤどもを下がらせろ」
大将「それに従わないなら今後の取材は一切受けんと言え!」
中尉「わ、分かりました」
中尉「その様にします。では!」
パタン タッ タッ タッ…
大将「…………」
大将「やってくれたな、あの無能め……!」
大将「これまでの事が水泡に帰す事すら分からんのか!」
大将「とはいえ、どうするか……」
226
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:24:22 ID:iXxKarrw
―――――――――――
北方鎮守府 執務室
大淀「…………」
イケ督「いやはや……軍部の恥だね」
イケ督「国民の皆さんに申し訳ないよ」
大淀「…………」
イケ督「大淀?」
大淀「!」
大淀「は、はい、すみません、イケメン提督」
227
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:25:15 ID:iXxKarrw
イケ督「どうかしたのかい?」
大淀「いえ……大したことでは」
イケ督「まあそう言わずに。言ってごらん?」
大淀「…………」
大淀「……では、お言葉に甘えて」
イケ督「うん」
大淀「その……上手くは言えないのですが」
大淀「記事に書かれてる期日や時間がやたらと正確なので」
大淀「どこからこの様な話が出てきたのだろう……と」
大淀「気になりまして……」
イケ督「……なるほど」
イケ督「意外と高官が新聞に漏らしたのかな?」
大淀「…………」
228
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:26:08 ID:iXxKarrw
大淀(違う)
大淀(本質はそこじゃない)
大淀(私の記憶通りなら……横領の額が桁違いに多くなった時期と)
大淀(イケメン提督が新聞を賑わせる様になった時期が)
大淀(ちょうど同じくらいになる……!)
「新聞報道はでたらめで、実際には相当の被害を受け」
「それを覆い隠すため、世間受けのいい」
「イケメン提督を前面に出しているんじゃないかと思う」
大淀「…………」
イケ督「大淀?」
大淀「!」
大淀「す、すみません!」
229
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:27:17 ID:iXxKarrw
イケ督「いや、いいんだ」
イケ督「調子が悪いなら休むといい」
大淀「……そうですね」
大淀「すみませんが、医務室でちょっと休んできます」
イケ督「ああ。お大事に」
大淀「では……失礼します」
イケ督「ああ」
ガチャ キィ パタン
イケ督「…………」
イケ督「……ふん」
イケ督「大将もざまあないな……ククク」
230
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:28:16 ID:iXxKarrw
北方鎮守府 廊下付近
大淀「…………」
ガヤ ガヤ
大淀「…………」
摩耶「でさー、やっぱりイケメン提督は違うよなー♪」
鳥海「これで私たちもようやく前線へ行けますね」
大淀「…………」
大淀「えっ?」
大淀「ちょ、鳥海さん、摩耶さん」
摩耶「ん?」
鳥海「あら、大淀さん。どうかしました?」
231
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:29:34 ID:iXxKarrw
大淀「あの……今、前線へ行くとか聞こえたのですが?」
鳥海「ええ。イケメン提督に言われまして」
大淀「そ、そんなまさか!?」
摩耶「まあ……沈んだ艦娘の代わりっつーのは」
摩耶「ちょっと引っかかるけどな」
鳥海「来たばかりで余り話す機会もありませんでしたが……」
鳥海「長門さん、翔鶴さんの抜けた穴を見事、埋めて見せます」
大淀「い、いえ、そういう事では無くて」
大淀「あなた方の防空能力は、北方鎮守府の最後の砦と……」
摩耶「んなのブサイク提督が勝手に言ってた事だろ?」
大淀「!!」
232
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:30:43 ID:iXxKarrw
鳥海「私も少々飼い殺しにされてる気がしてたので」
鳥海「今回の抜擢は嬉しく思ってます♪」
大淀「…………」
摩耶「話はそれだけか?」
大淀「…………」
大淀「……はい」
大淀「呼び止めてすみませんでした……」
摩耶「ん。別にいーぜ、こんくらい」
摩耶「じゃあなー」
鳥海「では、失礼しますね、大淀さん」
テク テク テク…
大淀「…………」
233
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:31:16 ID:iXxKarrw
大淀「…………」
大淀(……本当に)
大淀(このままで……いいのかしら)
大淀(…………)
大淀(…………)
大淀(ブサイク提督……)
大淀(…………)
大淀(…………)
234
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:33:33 ID:iXxKarrw
―――――――――――
南方鎮守府 作戦室
ブサ督「…………」
ブサ督「…………」
ブサ督「…………」
ピピピ… ピピピ…
ブサ督「!」
ガチャ
電『こちら電戦隊』
電『ブサイク司令官さん、聞こえますか?どうぞ』
ブサ督「こちらブサイク司令官」
ブサ督「良く聞こえるぞ、電。どうぞ」
235
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:34:29 ID:iXxKarrw
電『全艦娘、配置につきました』
電『いつでも作戦行動可能です』
ブサ督「よし」
ピッ
ブサ督「こちらブサイク提督。全艦娘に次ぐ」
ブサ督「もう間もなく敵艦隊が現れると思われる」
ブサ督「現在の状況は絶望的だが、それは君達のせいじゃない」
ブサ督「すべては……我々司令部の無能のせいだ」
全艦娘『…………』
ブサ督「なので、今作戦は今、君らが持っている弾薬が尽きるか」
ブサ督「敵の勢いを殺せないと俺が判断した瞬間」
ブサ督「遺憾ながら南方鎮守府を放棄し、本土への撤退を持って」
ブサ督「作戦の終了とする」
236
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:36:14 ID:iXxKarrw
ザワッ…
ブサ督「さっきも言ったが、これは君達に責任は無い」
ブサ督「すべての責任は俺を含めた司令部にある」
ブサ督「気にせず命令に従って、自分の命を第一に考えて欲しい」
全艦娘『…………』
ブサ督「では、確認作業に入る」
ブサ督「第一戦隊旗艦、川内。専用回線で応答せよ」
ピピッ ブー
川内『こちら第一戦隊旗艦、川内。どうぞ』
ブサ督「よし。よく聞こえるぞ」
237
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:37:16 ID:iXxKarrw
ブサ督「続いてA島観測要員、専用回線で応答せよ」
ピピッ ブー
伊良湖『は、はい。こちらA島観測要員の伊良湖です』
ブサ督「よし、良く聞こえるぞ、伊良湖」
ブサ督「任務内容を復唱せよ」
伊良湖『は、はい』
伊良湖『ええと……川内さんが相手にした深海棲艦の位置を逐一報告せよ』
伊良湖『です』
ブサ督「よし。難しい任務だが、一つ頼む」
伊良湖『頑張ります』
ブサ督「では第二戦隊旗艦、五十鈴。専用回線で応答せよ」
ピピッ ブー
五十鈴『こちら第二戦隊旗艦、五十鈴。どうぞ』
238
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:38:07 ID:iXxKarrw
ブサ督「よし。問題無く聞こえる」
ブサ督「続いてB島観測要員、専用回線で応答せよ」
ブサ督「…………」
ブサ督「…………」
ブサ督「……B島観測要員、専用回線で応答せよ」
ブサ督「…………」
ブサ督「…………」
ブサ督(くそっ)
ピピッ ブー
ブサ督「!」
雷『こちらB島観測要員、雷(いかづち)。即応出来なくてごめ……済みません』
239
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:39:07 ID:iXxKarrw
ブサ督「聞こえるぞ」
ブサ督「何かあったのか?」
雷『問題はあったけど、解決したわ。以後、気を付ける』
ブサ督「よし」
ブサ督「任務内容を復唱せよ」
電『五十鈴戦隊が相手にした深海棲艦の位置を逐一報告せよ、よ』
ブサ督「うん、あってる」
ブサ督「頼むぞ、雷」
雷『了解。任せて』
ブサ督「それでは第三戦隊旗艦、由良。専用回線で応答せよ」
ピピッ ブー
由良『こちら第三戦隊旗艦、由良。どうぞ』
ブサ督「よし、感度良好。続いてC島観測要員……」
240
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:39:56 ID:iXxKarrw
―――――――――――
ザザザザザザザ…
暁「…………」
暁「……お腹空いたなぁ」
暁「って!」
暁「暁はレディなのよ!」
暁「お腹空いたなんて言わないっ!」
ザザザザザザザ…
暁「…………」
暁「……ん?」
ヒュルルルルル…
暁「何の音……?」
241
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:41:01 ID:iXxKarrw
ドォンッ! ドォンッ!
暁「きゃああああ!」
暁「こ、この衝撃は……砲撃!?」
暁「」
暁「あれは……タ級!?」
暁「うそ、どうしてこんなところに戦艦級が!?」
ドォンッ! ドォンッ!
暁「きゃあああああっ!!」
如月「応戦しましょう!」
暁「!」
暁「ダメ!こっちの装備じゃ歯が立たない!」
242
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:41:54 ID:iXxKarrw
暁「それよりも全速力でここを離脱するの!」
暁「相手は戦艦級、必ず振り切れるわ!」
如月「わ、分かった!」
ドォンッ! ドォンッ!
如月「きゃあああああっ!」
暁「わああああああああっ!」
暁「だ、大丈夫!」
暁「とにかく回避しながら――」
ドガァッンッ!
如月「ああああっ!!」
暁「如月!!」
243
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:42:43 ID:iXxKarrw
暁「ほら、捕まって!」
暁「如月!」
如月「うっ……うう……」
暁「っ……」
暁「見捨てない……見捨てないんだから!」
ドォンッ! ドォンッ!
暁「きゃあああああっ!」
暁「はあっ……はあっ……」
暁「うっ……!?」
暁(今の至近弾で……損傷した!?)
暁(速度が……出ないっ)
暁「くっ……」
暁「…………」
244
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:43:28 ID:iXxKarrw
暁「……指揮権を三日月に移譲するわ。如月もお願い」
三日月「!?」
暁「口答えは無しよ!他のみんなを引き連れて西方鎮守府に向かいなさい!」
暁「早く!」
三日月「で、でも!」
暁「向こうに着いたらブサイク司令官の要請をお願いして」
暁「ついでに私の救出部隊も頼むわ」
三日月「……っ」
三日月「全艦……三日月に続いて!」
ザザザザザザザザ…
暁「……頼んだわよ、三日月」
ドォンッ! ドォンッ!
暁「ぐっ……!」
245
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:44:27 ID:iXxKarrw
暁「はあっはあっ」
暁「暁は……暁は!」
ドォンッ! ドォンッ!
暁「……タダでは……終わらないんだからっ」
ドガァッンッ!
暁「ぎっ……!!」
暁「…………」
暁「……うっ……」
暁「…………」
暁「ははは……やっぱり、無理……かぁ……」
暁「……でも……任務は……きっと……」
246
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:45:23 ID:iXxKarrw
ブロロロロロロ…
暁「…………」
暁「……え?」
暁「…………」
暁「この……発動機音は……」
暁「友軍?」
ドンッ ドドンッ ボボボンッ!
暁「……いったい、どこから」
三日月「暁!」
暁「三日月?」
三日月「大丈夫!?」
暁「うん……大破したけど……何とか」
247
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:46:24 ID:iXxKarrw
暁「それよりもこの友軍は……?」
ピピッ ガガッ
フツ督『こちら西方方面艦隊司令官、フツメン提督』
フツ督『そちらの所属は?』
暁「!!」
暁「こ、こちら、南方方面艦隊所属艦娘、暁」
暁「救援、感謝します!」
フツ督『なぁに。間に合って良かった』
フツ督『それよりも状況を教えてくれないか?』
暁「は、はい。それについて、ですが」
暁「ブサイク司令官から言伝があります!」
フツ督『言伝……分かった、合流しだい聞くとしよう』
248
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:47:52 ID:iXxKarrw
ブッ…
フツ督「…………」
龍田「どうしたの?」
フツ督「ん?」
フツ督「少し……不思議に思ってな」
龍田「タ級の事?」
フツ督「さすが龍田。見抜いてたか」
龍田「ここら辺は私たちの勢力圏内」
龍田「イ級くらいならともかく、タ級が、それも単独で居るなんて」
龍田「どうにも腑に落ちないわぁ」
フツ督「そうなんだよな……どうにも引っかかる」
フツ督「……ま、考えるのは後にするか」
フツ督「とにかく暁たちとの合流を急ごう」
龍田「はぁ〜い」
249
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:49:13 ID:iXxKarrw
本日はここまでです。
250
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 17:50:21 ID:2RzceVp.
乙
251
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 18:11:15 ID:dX7QT/hM
イケメンの皮をかぶったクズ野郎だったか
252
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 18:44:51 ID:w1oTGm8o
乙
クズなのは指揮ぶりからとっくに解ってたけど、コレはソレ以上のクズ
253
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/12(土) 20:56:55 ID:kDnwo3sI
乙んぽ
あまりにも利敵行為が過ぎるけど、これで寝返ってるとかそういうのじゃなかったらマジもんのやべー奴なんだよなぁ
254
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/13(日) 02:22:51 ID:WjADsX/2
おつ
255
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/13(日) 04:35:14 ID:vmf.ECKc
悪役の格って本当に大事
256
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:47:43 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
北方鎮守府 執務室
大淀「……また出撃ですか」
イケ督「ああ」
イケ督「ここで確実に止めを刺さないといけないからね」
大淀「…………」
大淀「あの……」
イケ督「うん?」
257
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:48:25 ID:vnzcfz4M
大淀「ここの所、出撃が頻繁に行われて」
大淀「主力艦娘の皆さんの疲労度が増しています」
大淀「出撃の重要性は分かりますが」
大淀「休養を取らせるべきかと……」
イケ督「…………」
イケ督「まあ……大淀の言いたい事は分かる」
イケ督「だが、これは北方海域平定の為に必要な出撃なんだ」
イケ督「金剛達にはすまないが……もうひと踏ん張りしてもらいたい」
大淀「…………」
大淀「……分かりました」
大淀「それでは、金剛さん達に命令を伝えてきます」
イケ督「よろしく頼む」
258
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:50:39 ID:vnzcfz4M
北方鎮守府 廊下付近
テク テク テク…
大淀「あ……金剛さん」
金剛「……ん?」
金剛「大淀……」
大淀「…………」
金剛「出撃デスカー?」
大淀「……はい」
金剛「了解ネー」
金剛「イケメンテイトクの為に……金剛は頑張るヨー!」
大淀「…………」
259
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:51:39 ID:vnzcfz4M
大淀「これが……命令書になります」
金剛「OK!」
金剛「それじゃ、準備して行ってくるネー!」
スタ スタ スタ…
大淀「…………」
―――――――――――
大淀「陸奥さん」
陸奥「……大淀か」
陸奥「出撃命令?」
大淀「……はい」
陸奥「了解した」
陸奥「命令書を」
大淀「…………」
260
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:52:34 ID:vnzcfz4M
陸奥「……大淀?」
大淀「あの!」
陸奥「……何?」
大淀「…………」
大淀「……イケメン提督の指揮に」
大淀「疑問を……感じた事はありますか?」
陸奥「!」
大淀「…………」
陸奥「…………」
陸奥「……それを聞いてどうするの?」
大淀「……分かりません」
261
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:53:34 ID:vnzcfz4M
大淀「ですが……ここの所の出撃頻度はさすがに異常です……!」
大淀「このままでは、疲労の抜けない艦娘に損害が……!」
陸奥「大淀……」
陸奥「…………」
陸奥「…………」
陸奥「……場所を変えましょう」
大淀「!」
大淀「は、はい!」
―――――――――――
大淀「この部屋は誰も使っていませんので」
大淀「大丈夫だと思います」
陸奥「そう……」
262
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:54:23 ID:vnzcfz4M
陸奥「それでさっきの話だけど……」
大淀「はい」
陸奥「イケメン提督の指揮に疑問なんてありまくりよ」
大淀「…………」
大淀「……やっぱり、そうですか」
陸奥「ええ」
陸奥「……でも驚いたわ」
大淀「え?」
陸奥「北方鎮守府に来た時、あれだけあのクズを歓迎してたから」
陸奥「半分くらい艦娘が死なないと気が付かないと思ってた」
大淀「なっ……いくら何でもそれは……」
263
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:55:42 ID:vnzcfz4M
陸奥「無いと言い切れるのなら謝るけど」
陸奥「南方に居た頃、新聞報道に洗脳された多くの艦娘が」
陸奥「疲れ切った体で笑いながら、あのクズの命令に従い散って逝ったわ」
陸奥「ちょうど……今の金剛達の様にね」
大淀「…………」
陸奥「でも……そんなこと言いながら」
陸奥「私たちもそうだった」
大淀「…………」
陸奥「勝っているハズなのに居なくなる仲間達」
陸奥「勝利してるのにどんどん激しくなる深海棲艦たちの攻撃」
陸奥「おかしいと気が付いた時には……もう半分くらいになってたのよ」
大淀「…………」
264
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:56:36 ID:vnzcfz4M
大淀「……ブサイク提督の……言う通りだったんですね」
陸奥「ブサイク提督?」
大淀「北方鎮守府の前の指揮官だった人です」
大淀「南方鎮守府と入れ代わりに……」
陸奥「ああ……」
大淀「イケメン提督の指揮には疑問があると」
大淀「新聞報道は虚偽である可能性が高いと……言ってました」
陸奥「へえ……それはすごい」
陸奥「きっと……優秀な指揮官なんだろうね」
大淀「…………」
陸奥「さて……状況の確認ができたのはいいけど」
陸奥「これからどうするつもりなの?」
265
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:58:22 ID:vnzcfz4M
大淀「…………」
大淀「……責任転嫁、だと承知して言いますが」
大淀「陸奥さん達は、どうしてこの事を私達に教えてくれなかったんですか?」
陸奥「……さっきも言ったけど」
陸奥「あのクズをあれだけ歓待して迎え入れたのを見て」
陸奥「無駄だと判断しただけ」
大淀「ですが!」
陸奥「じゃあさっきの……ブサイク提督?」
陸奥「そいつがあのクズを見抜いてたにもかかわらず」
陸奥「あなたはどうしたの?」
大淀「っ!!」
266
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 20:59:54 ID:vnzcfz4M
「……すみませんが」
「ちょっと信じがたい推測ですね」
大淀「…………」
陸奥「……それが答えよ」
陸奥「もういいかしら? 命令書を渡して」
大淀「…………」
大淀「……陸奥さん」つ(命令書)
陸奥「何?」
大淀「無駄かもしれません……が」
大淀「この作戦行動中、金剛さん達に今の事を」
大淀「説明してあげてくれませんか……?」
陸奥「…………」
267
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:00:43 ID:vnzcfz4M
陸奥「…………」
陸奥「……分かった」
大淀「…………」
陸奥「知ったところで……何ができる、という事でもないけどね」
大淀「…………」
大淀「……それでも」
大淀「それでも、お願いします……!」
陸奥「…………」つ(命令書)
陸奥「じゃ……行って来る」
大淀「……はい」
ガチャ キィ パタン
大淀「…………」
268
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:08:12 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
南方鎮守府近海 諸島群海域
雷「……!」
雷「来た……敵艦隊よ!」
ザザザザザザ……
五十鈴「すごい数ね……見えてるだけで、ざっと30隻ってとこかしら」
五十鈴「こちら五十鈴」
五十鈴「作戦室、応答を」
ピピー ガガッ
ブサ督『こちら作戦室』
ブサ督『どうぞ』
269
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:08:49 ID:vnzcfz4M
五十鈴「敵艦隊を補足」
五十鈴「距離、約5500」
五十鈴「速度、約20」
ブサ督『……各艦娘に次ぐ』
ブサ督『まず、敵艦隊からの航空攻撃を』
ブサ督『それぞれの担当離島を利用して、全力回避せよ』
五十鈴「……軽く言ってくれるわね」
五十鈴「五十鈴、了解!」
―――――――――――
川内「川内、了解!」
―――――――――――
由良「由良、了解!」
―――――――――――
270
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:10:00 ID:vnzcfz4M
南方鎮守府 作戦室
ブサ督「電、何度も言ってるが」
ブサ督「お前の戦隊は中破、大破した艦娘で構成されている」
ブサ督「絶対に前へ出るな」
ブサ督「指定されたポイント以外に向かってはダメだぞ」
電『分かっています』
電『ご指示をください』
ブサ督「よし。 魚雷装填」
電『魚雷装填……よし!』
ブサ督「目標、西南西方向」
271
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:10:48 ID:vnzcfz4M
電『西南西……え?』
電『あ、あの……深海棲艦は居ませんが?』
ブサ督「以後、口答えはするな」
電『は、はい』
ブサ督「秒読み……5,4,3,2,1」
電『…………』
ブサ督『魚雷発射』
電『魚雷発射!なのです!』
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ブサ督「よし」
ブサ督「ポイント【ベータ】へ向かえ」
電『りょ、了解なのです』
272
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:12:29 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
西方鎮守府 執務室
フツ督「……左様ですか」
フツ督「では、私もそちらへ向かいます」
フツ督「……はい……はい」
フツ督「ええ、その時はよろしくお願いします」
チンッ
フツ督「やれやれだ……」
龍田「面倒ごと?」
フツ督「ああ。とびっきりのな」
273
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:13:29 ID:vnzcfz4M
フツ督「残念だが、しばらくここを空ける事になりそうだ」
フツ督「龍田。君にも来てもらう」
龍田「ここの運営はどうするの?」
フツ督「表向きは……そうだな、阿賀野に一任、としておくよ」
龍田「裏は?」
フツ督「あいつの為に骨を折ってやるんだ」
フツ督「ブサイク提督に任せる」
龍田「……どうやって連絡を取るの?」
フツ督「ま、そこは蛇の道は蛇」
フツ督「いろいろと手は打っておいた」
龍田「そういう根回し、あなた本当に好きよねぇ」
274
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:14:12 ID:vnzcfz4M
龍田「でも彼、今、大変なんじゃないの?」
フツ督「たぶん大丈夫だ」
フツ督「魚雷の魔術で翻弄してる頃だろう」
龍田「魚雷の魔術?」
ガサゴソ ガサゴソ
フツ督「ええと……あの書類は……あ、あったあった」
龍田「ねえ、魚雷の魔術って?」
フツ督「……簡単に言うと、だな」
フツ督「魚雷が目標を狙うんだよ」
龍田「は……?」
龍田「意味が分からないんだけど?」
275
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:14:59 ID:vnzcfz4M
フツ督「……敵からするとな」
フツ督「あさっての方向に行ってるハズの魚雷が」
フツ督「何故かこっちへ向かって当たりに来るんだよ」
龍田「……ますます意味が分からないわね」
龍田「それはなに?」
龍田「つまり魚雷に意思があって追ってくるという事?」
フツ督「そうそう」
フツ督「そんな感じ」
龍田「どんな新技術なのよ」
フツ督「違う違う。そうじゃない」
フツ督「あくまで【そう思える】って事だよ」
龍田「……てことは」
龍田「何かタネがあるって事かしら?」
フツ督「正解」
276
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:16:14 ID:vnzcfz4M
フツ督「諸島群海域でしか使えないが」
フツ督「それなりの高さのある離島に観測員を置き」
フツ督「海上の艦娘と敵との相対距離やら速度やらの情報を元に」
フツ督「三角測量やら何やら使って、敵の行動予測して」
フツ督「後方からの遠距離魚雷攻撃を当ててくるんだよ」
龍田「…………」
龍田「……ちょっと待って」
龍田「それって複数の敵を相手にしたら不可能じゃない?」
龍田「観測員や艦娘だって数が増えたら」
龍田「とんでもない情報量になる」
龍田「それに海流も不確定要素に……」
フツ督「ところがだ」
フツ督「あいつはそれを……可能にしてるんだよ」
277
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:17:50 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
五十鈴『新たな目標!ル級!1時方向!距離約4500!速度約20!』
雷『五十鈴、目標変更!南南西距離約6000!速度約20!』
川内『右舷……3時方向にイ級!距離約3400!速度20!』
伊良湖『あっ川内さん方向転換……えっと、南東……いえ、東南東方向』
伊良湖『距離……5600……ぐらい。速度は……20くらいです!』
由良『回避急いで!』
ドォンッ! ドォンッ!
由良『えっ!?』
由良『目の前の深海棲艦に……魚雷が命中した模様!』
由良『ル級、ネ級轟沈!』
278
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:18:37 ID:vnzcfz4M
ブサ督「……由良、ポイント【デルタ】へ移動」
ブサ督「川内、魚雷装填。目標4時方向」
川内『装填完了!』
ブサ督「秒読み。5,4,3,2,1」
ブサ督「魚雷発射」
川内『てー!』
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ブサ督「川内、ポイント【ガンマ】へ移動せよ」
川内『川内了解!』
279
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:19:50 ID:vnzcfz4M
ドォンッ! ドォンッ!
五十鈴『えっ!?』
五十鈴『私たちを追ってた深海棲艦たちから爆発音!』
ブサ督「…………」
五十鈴『……空母級のヲ級、ヌ級轟沈!』
ブサ督「五十鈴戦隊、魚雷装填」
五十鈴『了解、魚雷装填!』
ブサ督「目標方向、6時」
ブサ督「秒読み……5,4,3,2,1」
ブサ督「発射!」
五十鈴『魚雷発射!』
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ブサ督「五十鈴、ポイント【イオタ】へ移動せよ」
280
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:20:59 ID:vnzcfz4M
ブサ督(……くそ)
ブサ督(時間が無かったから仕方ないが……海流の誤差が結構ある)
ブサ督(このままじゃ、やはり尻尾巻いて逃げるしかなさそうだな)
ブサ督(せめて補給が間に合っていれば……)
ブサ督(…………)
ブサ督(いや、無いものねだりしても仕方ない)
ブサ督(問題はタイミング)
ブサ督(引き際を間違えない様にしないと)
281
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:22:14 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
龍田「……そんなまねが出来るなんて」
龍田「聖徳太子も真っ青ね」
フツ督「ああ、同感だ」
フツ督「本人いわく」
「こんなもの訓練すれば誰でも出来る」
フツ督「らしいが……俺は2部隊でも無理だった」
龍田「でしょうね」
フツ督「一度でも聞き間違ったり、計算ミスったりしただけで」
フツ督「立て直す暇もなく大混乱」
フツ督「あいつの頭の中身がどうなってるのか」
フツ督「本気で知りたくなった」
龍田「知っても理解できないでしょ」
フツ督「……まあその通りなんだけど酷いな」
282
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:23:31 ID:vnzcfz4M
龍田「それにしても」
龍田「まるで……ええと、ブサイク提督?」
龍田「その彼と戦った事があるみたいな口ぶりね?」
フツ督「あいつに頼まれて模擬戦やったんだ」
フツ督「……ところで俺のお気に入りのシャツ知らない?」
龍田「昨日洗濯に出して、今日干したままでしょ」
フツ督「うっ……そうだった」
龍田「生乾きでいいなら今から取ってくれば?」
フツ督「そこまで思い入れねーよ」
フツ督「仕方ない……今回は別ので我慢だ」
283
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:24:22 ID:vnzcfz4M
ガサゴソ ガサゴソ
フツ督「ふう……こんなもんか」
龍田「それで? どんな模擬戦だったの?」
龍田「種明かしされた後は勝てたとか?」
フツ督「……そんな甘いもんじゃなかったよ」
龍田「あらら」
フツ督「駆逐級艦娘二人編成の変則艦隊構成で」
フツ督「あいつは3部隊、こっちは6部隊で行ったんだが」
フツ督「一度目はコテンパン」
フツ督「種明かしされてからもコテンパンだったよ」
龍田「目を潰せばいいじゃない」
フツ督「それは俺も真っ先に考えた」
フツ督「でもな……」
284
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:25:05 ID:vnzcfz4M
フツ督「どの島に観測員が居るか、瞬時に分かるか?」
龍田「あ……」
フツ督「それに」
フツ督「こっちが目を潰そうと躍起になってるのを」
フツ督「あいつが放っておくと思うか?」
龍田「…………」
フツ督「ま、あくまで駆逐級艦娘での話だからな」
フツ督「種明かしされて空母級が居れば」
フツ督「さすがに勝てたかもしれないが……」
フツ督「空母級無しだと、俺の腕じゃ5倍の戦力が無いと勝てる気がしない」
龍田「……でも」
龍田「深海棲艦相手だと、また違って来るんじゃないの?」
285
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:26:36 ID:vnzcfz4M
フツ督「それは俺も思った」
フツ督「深海棲艦はダメージを受けても沈まない限り」
フツ督「こちらへ向かって来る」
龍田「あれホント怖いわよねぇ」
フツ督「ところがだ」
フツ督「あいつは事も無げに」
「そっちの方が読みやすい」
フツ督「と言い返して来た」
龍田「まあ一理あるけど……」
286
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:27:19 ID:vnzcfz4M
フツ督「模擬戦の時、どこから魚雷が飛んでくるか分からんから」
フツ督「艦娘の方が速度落としたり、回避行動したりで」
フツ督「魚雷は当てにくくなる」
龍田「そうよね」
フツ督「ところがそうなったら」
フツ督「相対してる艦娘部隊の砲撃のいい的になっちまう」
龍田「あらら……」
フツ督「どっちにも気を付けてられないし」
フツ督「どっちかに気を付けてたら、気を付けてない方でやられちまう」
フツ督「今思い出してもブルっちまうわ、あれ」
龍田「……すごい人なのね」
287
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:28:25 ID:vnzcfz4M
フツ督「そうとも」
フツ督「あいつの才能を埋もれさすのは」
フツ督「皇国にとって大きなマイナスでしかない」
龍田「……そこは大事な友とか」
龍田「綺麗ごと言っておいた方が良くない?」
フツ督「そういうの俺のキャラじゃないからなー」
フツ督「あくまで持ちつ持たれつ、さ」
龍田「はいはい。そういう事にしといてあげる」
フツ督「そいつはどうも」
フツ督「さて、俺の方は出発準備ができたが?」
龍田「私は少々の着替えと日用品があれば問題ないわ」
フツ督「そうかい」
フツ督「演習部隊もそろそろ始めてる頃だし……行くとするか」
288
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:29:47 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
南方海域 西南部
ザザザザザザザザ…
イタリア「…………」
ローマ「…………」
イタリア「ホントに大した敵が居ませんね」
ローマ「姉さん……油断大敵です」
イタリア「油断なんかしてませんよ……」
ローマ「私はまだ、フツメン提督を完全に信用してませんから」
ローマ「それに管轄外の地域に進出して演習なんて」
ローマ「規律に違反してないかヒヤヒヤしてます」
289
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:30:40 ID:vnzcfz4M
西方鎮守府 演習艦隊
第一戦隊
イタリア(戦艦) ローマ(戦艦)
ポーラ(重巡) ザラ(重巡)
リベッチオ(駆逐) アクイラ(空母)
第二戦隊
ビスマルク(戦艦) プリンツ・オイゲン(重巡)
レーベレヒト・マース(駆逐) マックス・シュルツ(駆逐)
U‐511(潜水艦) グラーフ・ツェッペリン(空母)
イタリア「友軍のピンチなのだから」
イタリア「固いこと言わなくてもいいんじゃないかしら?」
ローマ「そういう問題ではありません」
ローマ「そもそも規律というのは……」
290
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:32:10 ID:vnzcfz4M
ビスマルク「二人とも、そのくらいに」
ビスマルク「今のところ情報通りに進めてるけど警戒して」
ビスマルク「ここは敵の勢力圏よ」
プリンツ・オイゲン「そうですよ」
プリンツ・オイゲン「実弾演習してて、うっかり南方海域に入っちゃって」
プリンツ・オイゲン「うっかり敵に遭遇しちゃったんですから♪」
ビスマルク「……そういうのは腹黒フツメン提督に任せればいい」
ビスマルク「とにかく、敵が総出で南方鎮守府に構っている今」
ビスマルク「我々が敵の横腹を突く」
ビスマルク「敵が引き返して来たら、こちらも撤退」
ビスマルク「うっかり退路を断たれる、なんて事の無い様に」
オオー!
291
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:32:58 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
ブサ督「発射!」
電『魚雷発射!なのです!』
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ブサ督「よし、ポイント【アルファ】へ移動せよ」
電『了解なのです!』
ブサ督(…………)
ブサ督(……電の戦隊の魚雷残弾は、あと3斉射)
ブサ督(敵の損害は約3割……)
ブサ督(他の部隊も残弾がそろそろ厳しいしダメージも蓄積している)
ブサ督(……潮時だな)
292
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:34:03 ID:vnzcfz4M
ブサ督「よし」
ブサ督「五十鈴戦隊、ポイント……」
雷『!!』
雷『深海棲艦艦隊の後方に新たな艦影!』
ブサ督「……チッ」
ブサ督(ここに来て新たな増援か……)
ブサ督(だが……これで……)
雷『待って! あれは……』
雷『天山艦攻!?』
雷『ブサイク司令官!友軍よ!!』
ブサ督「…………」
ブサ督「は……?」
293
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:35:00 ID:vnzcfz4M
ヒュウウウウウウウ……
ドォンッ ドォンッ!
五十鈴『えっ、何!? 艦攻!?』
川内『味方!? どこから!?』
由良『友軍が来てくれたの!?』
ピピー ガガッ
??『こちら元・北方方面艦隊所属艦、高雄』
ブサ督「!?」
高雄『説明は後でします』
高雄『高雄、愛宕、飛龍、鳳翔の4名』
高雄『ブサイク提督の指揮下に入る許可をお願いします』
ブサ督「……りょ、了解。許可する」
294
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:36:21 ID:vnzcfz4M
ブサ督「臨時で入った艦隊を以降、高雄戦隊と呼称する」
高雄『了解です』
ブサ督「高雄戦隊、そのまま前進し敵艦隊の背後を突け」
高雄『わかりました』
ブサ督(……くそったれ!)
ブサ督(フツメン提督からの増援だろうが、タイミングが最悪だ!)
ブサ督(完全に撤退の機運を逃した……)
ブサ督(もうこうなったら……腹を括るしかない!)
ブサ督「……五十鈴、川内、由良戦隊に次ぐ」
ブサ督「先の作戦は忘れて自由に戦ってくれ」
ブサ督「ただし、むやみに突っ込むな」
ブサ督「自分の身を第一に考えて行動せよ!」
295
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:37:27 ID:vnzcfz4M
五十鈴『了解!』
川内『了解!』
由良『了解!』
ブサ督「電の戦隊は……心苦しいだろうが、ポイント【アルファ】で待機」
電『了解なのです』
ブサ督「各離島観測員は状況を報告せよ」
伊良湖『状況!? えっと、あの……』
伊良湖『み、味方の戦闘機が、敵艦を攻撃してて……』
雷『不意を突かれた深海棲艦は大混乱を起こしてるわ!』
雷『あっ、ル級、ホ級、イ級、轟沈!』
雷『続いて空母級のヲ級二隻轟沈!』
296
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:38:31 ID:vnzcfz4M
ブサ督(くそっ……!)
ブサ督(この勢いはそう長く続かない!)
ブサ督(早く……早く撤退しろ!)
ブサ督(もう4割はやられたはずだ!)
ブサ督(そろそろ本拠地付近で異変が起こっている頃だろ!)
ブサ督(撤退してくれないと……こちらの弾薬が……!)
―――――――――――
川内「はあっはあっ……」
川内(まずい……もうすぐ砲弾が尽きる)
川内(魚雷もあと一斉射……!)
―――――――――――
五十鈴「このっ!」
五十鈴「てー!!」
297
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:39:34 ID:vnzcfz4M
―――――――――――
由良「はあっはあっ……」
由良「魚雷……斉射ー!」
シュボボボボボンッ
シャアアアアア……
ドォンッ! ドォンッ!
由良「よし!」
由良(……今ので打ち止めだけど)
―――――――――――
高雄「目標、右舷のル級!」
高雄「斉射!てー!」
ドォンッ ドォンッ!ドォンッ!
298
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:40:38 ID:vnzcfz4M
愛宕「パンパカパーン!」
ドォンッ ドォンッ!ドォンッ!
飛龍「友永隊!頼んだわよ!」
友永妖精「らじゃー」
ブロロロロロロッ……
鳳翔「制空権確保!」
鳳翔「第二次攻撃隊、発艦準備!」
ヒュウウウウウウウ……
ドォンッ ドォンッ!
―――――――――――
ブサ督(……まだか)
ブサ督(まだ、なのか……!)
299
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:41:49 ID:vnzcfz4M
雷『!!』
雷『ブサイク司令官!』
雷『敵が、南方向へ撤退し始めたわ!』
ブサ督「!!」
ブサ督「……よし」
ブサ督「高雄戦隊、そのまま追撃」
ブサ督「だが深追いはするな」
ブサ督「だいたい30分程度で切り上げろ」
高雄『高雄、了解』
ブサ督「他の戦隊は しばしその場で待機」
ブサ督「…………」
ブサ督「各戦隊……被害報告」
300
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:42:30 ID:vnzcfz4M
川内『こちら川内』
川内『大破1、中破3、小破2』
川内『轟沈無し』
―――――――――――
由良『こちら由良』
由良『大破無し、中破5、小破1』
由良『轟沈無し』
―――――――――――
五十鈴『こちら五十鈴』
五十鈴『大破3、中破3』
五十鈴『轟沈……無し!』
―――――――――――
301
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:43:50 ID:vnzcfz4M
ブサ督「……こちらブサイク提督」
ブサ督「各艦娘に次ぐ」
ブサ督「全戦隊、轟沈無し」
!!
ブサ督「繰り返す」
ブサ督「全戦隊、轟沈無し!」
ワアアアアアアアッ!
ブサ督「みんな……良くやってくれた」
ブサ督「B島観測要員である雷」
ブサ督「すまないが、あと6時間そこで警戒監視を続けてくれ」
ブサ督「時間が来たら交代要員を送る」
雷『分かったわ、ブサイク司令官』
302
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:45:13 ID:vnzcfz4M
ブサ督「それ以外は……」
ブサ督「速やかに南方鎮守府へ帰還せよ」
艦娘『了解!』
ブサ督「作戦室、通信終了」
ブッ…
ブサ督「…………」
ブサ督「ふううううううううっ……」
ブサ督「はあ……」
ブサ督「…………」
ブサ督「一つの戦いが……終わったな」
303
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 21:50:10 ID:vnzcfz4M
本日はここまでです。
304
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/14(月) 23:15:53 ID:AnStpKPc
乙、高雄ちゃん生きてたカワイイヤッター!
面倒な話でスマソけど、ちょっと一言
太平洋戦争時代の魚雷でも既にジャイロコンパスを積んでて、魚雷の進行方位がズレたら補正する機構になってる
だから、魚雷の設定方位そのものがある範囲よりも大きく急変するってことは、残念だが本来は無い
もし本気でソレをやろうとするなら、ジャイロの保針そのものを狂わせるような細工が必要で、
後は叩く等で多少の衝撃を与えてジャイロの設定方位にわざと誤差を発生させ、ソレを利用して曲げるくらいしかない
まぁコレだけのチート提督なんだから、きっと海流と波を読んだ上で波に魚雷のジャイロを叩かせて
設定方位を狙ったとおりに変えるくらいの技巧はあるかも知れない
顔面偏差値をCPマイナス最大まで削って、ソレを全部、知力底上げと魚雷運用の技能に回したレベルだろうけど
305
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/15(火) 00:40:26 ID:XzZf8N8o
この程度のSS書くだけでもこんな指摘受けなきゃいかんのか
大変だな
306
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/15(火) 02:25:28 ID:xqFgLf3.
>>304
お薬出しときますねー
307
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/15(火) 12:17:49 ID:9U2ULhgQ
乙っつぁんです!
指摘した後の結論が"何やかんやうまいことやってるんやろ"で〆てるんだしそこまで厄介扱いしてやるなし
そんな機能があるとか知らんかったけど、この世界の魚雷にその機能が有るかどうかは分からん訳だし
あったとして、個人的にはブサ提督が装備妖精さんに上手いこと言い含めてその手の機能をOFFにするよう前もって頼んだりしたんやろなって思った
308
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/15(火) 18:50:20 ID:Nfxo2qEw
>>304
きも
309
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/16(水) 12:43:49 ID:T0zK7yZg
乙
310
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:49:10 ID://0jZsIc
―――――――――――
南方鎮守府 執務室
ブサ督「高雄、愛宕、飛龍……」
ブサ督「よく生きていてくれた」
高雄「……そうですね」
愛宕「あの人の指揮下になって、良い事なんて一つもありませんでした」
飛龍「ブサイク提督がいかに優秀だったか……骨身に染みました」
ブサ督「君は……純粋にフツメン提督からの増援か」
鳳翔「そうなります」
鳳翔「よろしくお願いします、ブサイク提督」
311
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:50:40 ID://0jZsIc
高雄「それから、ここへ来る途中」
高雄「暁の部隊がタ級に襲われているのを発見し」
高雄「撃退しました」
ブサ督「何!?」
ブサ督(という事は……俺が西方へ連絡する事を予測した奴が)
ブサ督(深海棲艦に居る……!?)
ブサ督「……暁たちは無事なのか?」
高雄「暁と如月が大破してましたが」
高雄「今は西方鎮守府で手当てを受けていると思います」
高雄「おそらく一両日中にはこちらに向かって来るかと」
ブサ督「そうか……良かった」
ブサ督(危いところだった……ツキがあったな)
312
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:51:50 ID://0jZsIc
ブサ督「それにしてもどういった経緯で西方に?」
高雄「……酷い戦闘でした」
高雄「倒しても倒しても出てくる深海棲艦に」
高雄「私と愛宕は扶桑さんと山城さんに庇われて」
高雄「何とか戦闘海域から離脱できたんです」
ブサ督「……そうか」
飛龍「私も……似た様な状況です」
飛龍「妙高と足柄が庇ってくれたんですが……」
飛龍「それでも蒼龍が……」
ブサ督「…………」
高雄「……あの戦闘の後」
高雄「私たちは西方海域に行く事を決意しました」
313
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:53:22 ID://0jZsIc
高雄「南方鎮守府に戻っても……またあの男に使い潰されるだけ」
高雄「それならば、と」
高雄「西方海域の離島とかで一時的に身を潜める事にしたんです」
ブサ督「…………」
高雄「もうお分かりでしょうが」
高雄「私たちは程なくフツメン提督に見つかり」
高雄「彼の一存で艤装の修理と怪我の手当てを受け」
高雄「そして秘密裏に今まで滞在させてもらう事になったんです」
ブサ督「そうか……」
ブサ督「あいつに……大きな借りが出来たな」
高雄「あと、フツメン提督から伝言があります」
ブサ督「ん?」
314
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:55:01 ID://0jZsIc
高雄「まずはこれを」
ブサ督「これは……通信機と西方海域の海図か」
高雄「もしかしたらお前の頭脳が必要になるかもしれない」
高雄「その為の保険だ」
高雄「……との事です」
ブサ督「あいつらしいな……」
ブサ督「何故かこういう鼻は良く効く奴なんだよ」
高雄「そうなんですか」
ブサ督「ははは」
高雄「…………」
高雄「あのっ……ブサイク提督」
ブサ督「うん?」
315
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:55:56 ID://0jZsIc
高雄「今まで……失礼な態度を取ってすみませんでした」
愛宕「私からも謝ります。ごめんなさい」
飛龍「これまで……すみませんでした」
ブサ督「…………」
ブサ督「……顔を上げてくれ」
高雄「…………」
愛宕「…………」
飛龍「…………」
ブサ督「わだかまりが無い……と言えばウソになるが」
ブサ督「でも、そんなわだかまり以上にお前たちとまた会えた事が」
ブサ督「嬉しく思うよ」
高雄「ブサイク提督……」
316
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:56:50 ID://0jZsIc
ブサ督「それに変わりなく元気そうで良かった」
高雄「ブサイク提督は……少し痩せましたね」
高雄「日にも焼けてますし」
ブサ督「ここに来てから碌なもん食ってないからな……」
ブサ督「早く大本営からの補給が届いて欲しいよ」
コン コン
ブサ督「ん、入ってくれ」
ガチャ
電「失礼します」
キィ パタン
電「先ほど、大本営からの補給物資が届きました」
ブサ督「噂をすれば、ってやつか」
317
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:58:05 ID://0jZsIc
電「はい?」
ブサ督「何でもない」
ブサ督「続けてくれ」
電「は、はい」
電「えと……こちらが目録になります」つ(目録)
ブサ督「おう」つ(目録)
ブサ督「では各自、艦体の修理と補給を済ませておくように」
ブサ督「もちろん高速修復材の使用も許可する」
電「はい」
318
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 16:59:06 ID://0jZsIc
ブサ督「それと……彼女たちに部屋を用意してやってくれるか?」
電「了解なのです」
ブサ督「頼む」
ブサ督「それじゃ……また食事時にでも会おう」
高雄「はい」
愛宕「分かりました」
飛龍「了解です」
鳳翔「それでは、また」
ガチャ キィ パタン
ブサ督「…………」
ブサ督「ふう……」
ブサ督「…………」
319
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 17:00:23 ID://0jZsIc
―――――――――――
大本営 記者会見場
ガヤ ガヤ
中尉「……えー、新聞記者の皆さん」
中尉「ご静粛にお願いします」
…………
中尉「それでは、時間になりましたので記者会見を始めます」
中尉「質問などは後に受付けますので」
中尉「まずは、大将閣下のお話をお聞きください」
…………
中尉「それでは……大将閣下、どうぞ」
320
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 17:01:18 ID://0jZsIc
大将「……あー」
大将「先ほどご紹介にあずかりました、大将です」
大将「早速ですが……先日、大々的に報道された」
大将「横領疑惑報道の件でございますが」
大将「結論から言いますと……事実でございます」
ザワッ…!
大将「しかしながら、その経緯に至った理由に関して」
大将「新聞報道では説明が成されておりませんので」
大将「これからご説明させていただきます」
…………
321
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/09/17(木) 17:02:42 ID://0jZsIc
大将「まず……多大な額の横領となっておりますが」
大将「私的に流用したわけでなく」
大将「あくまで予算配分の都合上そうなってしまった面が強く」
大将「結果的に横領になってしまった、という側面がございます」
…………
大将「特に南方方面の戦費拡大は」
大将「今年の予算配分を大きく超えるものであり」
大将「追加予算を組むにしても時間が掛かりすぎてしまいます」
…………
大将「その様な煩雑な工程を踏んでいては」
大将「前線への補給や増援も遅れがちになってしまうため」
大将「この様な形を取り、それを新聞報道された」
大将「という経緯かと思われます」
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