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【艦これ】ブサ督「イケメンに限るって……真理だよな」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/08/22(土) 08:23:30 ID:Xw55B38o
※注意事項
自分は艦これ改しか知らない提督です。
話の都合上、艦娘の幾人かはゲスいです。
また割と艦娘が轟沈します。
気まぐれ投下。
これらが嫌な方はブラウザバックしてください。

190以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/05(土) 19:35:36 ID:1FY1/Z.A

大将『き、きき、貴様……!』

イケ督「はい?」

大将『本気で……本気でそう思っているのか……!?』

イケ督「はい。 いたって本気ですが?」

大将『…………』

大将『……もうよい』

大将『貴様の無能振りにはもう愛想が尽きた』

イケ督「…………」

大将『少々世間受けが良いから使ってやったのに増長しおって……!』

大将『もう我慢ならん。 貴様の艦隊司令官としての任を解く!』

イケ督「……ほう」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/05(土) 19:36:33 ID:1FY1/Z.A

大将『正式な辞令は数日後、書簡にて通知する』

大将『覚悟しておけ……!』

     ブッ…

イケ督「…………」

イケ督「やれやれ……」

イケ督「覚悟しておけ、か」

イケ督「…………」

イケ督「くくく……」

イケ督「はっはっはっ!」

イケ督「ふふふ……」

イケ督「…………」

イケ督「それは……あんたの方だ、大将閣下!」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/05(土) 19:40:04 ID:1FY1/Z.A
本日はここまでです。

193以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/05(土) 19:54:17 ID:QB9mTc1U
乙乙


あれ、天龍達は・・・?

194以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/05(土) 19:56:05 ID:lwomTUtg

ブサ提文章だけ見るとイケメンですね

195以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/06(日) 01:22:00 ID:RpkCA0S2
乙ん
ここの天龍と龍田は特に繋がりは無いんだろうか……それとも……

196以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/07(月) 08:19:18 ID:qyF0/VcE
これイケメンとブサメン逆にしても大して変わらんな

197以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:38:20 ID:w3PJMt.c

―――――――――――

 文月は…こんなとこじゃ…
  終わらないんだ… から……


     ドォンッ! ドォンッ!


    あ、あれ……なんだろう。
     海が……暗いよ? なにも見えない……
      どうして……

少しは…役に…
立てたのか…にゃ…


     ガガガガガガガッ!


    ブサイク司令官、本当はね…
     楽し…かった…よ…

 桜の丘で……
 会おう……

198以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:39:51 ID:w3PJMt.c

天龍「うああああっ!!」

天龍「はあっ、はあっ……」

天龍「はあっ……」

天龍「…………」

天龍「…………」

天龍「……くそっ」

天龍「…………」

天龍「……何で……俺は……」

天龍「生きてんだよ……」

天龍「…………」

天龍「…………」

199以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:40:50 ID:w3PJMt.c

天龍「文月……皐月……」

天龍「睦月……望月……菊月……」

天龍「…………」

天龍「敵(かたき)は……」

天龍「必ず取ってやるからな……!」

天龍「あの……クソ野郎……」

天龍「絶対に……」

天龍「絶対に……!」

天龍「絶ッッ対に!」

天龍「許……さねぇ……!」

天龍「必ず……この俺の手で……」

200以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:41:43 ID:w3PJMt.c










     ブ   チ   コ   ロ   ス  !!









.

201以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:42:32 ID:w3PJMt.c


―――――――――――


北方鎮守府 執務室


大淀「…………」

大淀「あの、イケメン提督」

イケ督「ん?」

イケ督「何かな、大淀?」

大淀「遠征に向かった天龍さんの部隊ですが」

大淀「帰投予定日を2日も超えています」

イケ督「……心配なところだな」

大淀「はい」

大淀「こんな事は初めてなので……ご指示をお願いします」

イケ督「…………」

202以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:44:30 ID:w3PJMt.c

イケ督「ふむ」

イケ督「ならば捜索隊を出すか?」

大淀「そ、そうですね」

大淀「それが良いかと思います」

イケ督「じゃあ、その件は大淀に一任しよう」

大淀「……えっ?」

大淀「私に……ですか?」

イケ督「何か問題か?」

大淀「いえ……そうではありませんが」

イケ督「うん。大淀なら安心して任せられる」

イケ督「頼んだよ」

大淀「は、はい」

203以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:45:38 ID:w3PJMt.c

大淀「それでは、さっそく利根さんと筑摩さんに連絡を……」

イケ督「待て」

イケ督「その二人は主戦力だ。捜索隊には使うな」

大淀「えっ」

大淀「し、しかし、彼女たち二人は最上の索敵能力を持っています」

大淀「捜索にこれ以上の適任は居ないかと……」

イケ督「何を言うんだ、大淀」

イケ督「だからこそ主力から外せない」

大淀「で、ですが!」

イケ督「彼女達ほどでないにしろ、索敵に長けた艦娘は他にも居るだろう?」

大淀「そ、それは……そうですが」

イケ督「なら問題は無い。そうだな?」

204以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:46:44 ID:w3PJMt.c

大淀「せ、せめて、どちらか一人だけでも……」

イケ督「大淀」

大淀「…………」

イケ督「私だってね、こんな事は言いたくないんだ」

イケ督「だが、戦況は常に絶えず変化している」

イケ督「そんな中、利根と筑摩がどれだけ重要な役割を担っているか」

イケ督「賢い大淀なら……分かるだろう?」

大淀「……はい」

イケ督「なら……心苦しいが」

イケ督「そういった事も考慮して、行動して欲しい」

大淀「…………」

大淀「分かり……ました」

205以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:49:04 ID:w3PJMt.c

イケ督「うん」

イケ督「大淀は理解があって助かるよ」

イケ督「では、改めて捜索の件は君に一任する」

大淀「…………」

大淀「了解です」

大淀「それでは……すぐ捜索隊を編成して出航させて来ます」

イケ督「ああ、ごゆっくり」

     ガチャ キィ パタン

イケ督「…………」

イケ督「よし、次の攻撃目標はここにしよう」

イケ督「今度こそ金剛達には頑張ってもらわないとな」

イケ督「損傷は高速修復材を使って直せばいいし、どんどん攻めて行こう」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:50:15 ID:w3PJMt.c


―――――――――――


北方鎮守府 廊下付近


     テク テク テク…

大淀「…………」

大淀(……ブサイク提督だったら)

大淀(どうするかな……?)

大淀(…………)

大淀(…………)

大淀(利根さんと筑摩さん……捜索に加えてくれたかな……?)

207以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:51:03 ID:w3PJMt.c

大淀(…………)

大淀(…………)

大淀「……ううん」

大淀「居ない人の事なんて考えてる場合じゃない」

大淀「イケメン提督の言ってる事は正しい……」

大淀「きっと……正しい」

大淀「…………」

大淀「早く捜索隊を編成して、天龍さん達を探さないと!」

     タッ タッ タッ…

208以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:52:22 ID:w3PJMt.c


―――――――――――


南方鎮守府 作戦室


川内『こちら川内』

電「はい、こちら作戦室」

川内『ちょうど10分、約30m、北西へ流された』

ブサ督「…………」 カキカキ…

ブサ督「……よし」

ブサ督「こんなものでいいだろう」

ブサ督「川内、ご苦労だった。これくらいでいい」

電「川内さん、ご苦労様です」

電「これくらいで良いそうです」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:54:03 ID:w3PJMt.c

川内『了解……ふう』

川内『それでこの後は?任務終了なら鎮守府へ帰投かい?』

ブサ督「電、代わってくれ」

電「はい」

ブサ督「川内、ご苦労だが近くの離島……そうだな」

ブサ督「その位置からだと真東にある島で停泊、待機しててくれ」

川内『待機か……艦娘使いが荒いね』

ブサ督「すまんな」

川内『別にいいけど……でもこんな海流調査に何の意味があるのさ?』

ブサ督「ようやく戦う準備ができた」

ブサ督「そう思っててくれ」

210以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:55:03 ID:w3PJMt.c

川内『戦う準備ね……了解』

川内『川内戦隊、ポイント〇〇△△の離島で待機する』

ブサ督「定時連絡は忘れるなよ」

川内『分かってる。通信終了』

ブサ督「通信終了」

     ブッ

ブサ督「ふう……」

電「お疲れ様です、ブサイク司令官さん」

ブサ督「ああ……出来れば休みたいところだが」

ブサ督「もう少しデータをまとめないといけなくてな……」

電「そ、そうなのですか……」

ブサ督「あー……甘いものが食いたい」

電「あればお渡しするのですが……」

211以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:56:04 ID:w3PJMt.c

ブサ督「無いものねだりだ。気にしないでくれ」

電「…………」

ブサ督(……あれから3日)

ブサ督(そろそろ敵に何らかの動きがあるはず)

ブサ督(…………)

ブサ督(…………)

ブサ督(……大本営からの補給は間に合うだろうか)

ブサ督(…………)

ブサ督(……データのまとめをするか)

     ピピー ガガッ

電「!」

212以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:57:11 ID:w3PJMt.c

     ガチャ

電「こちら作戦室」

暁『こちら暁……!』

暁『大変よ、電! ブサイク司令官に繋いで!』

ブサ督「ブサイク提督だ」

ブサ督「どうした?」

暁『40隻くらいの深海棲艦が、この前と似たルートで東進してるわ……!』

ブサ督「……!?」

ブサ督「40隻……本当か?」

暁『ええ』

ブサ督(……どういう事だ?)

ブサ督(…………)

ブサ督(いや、理由を考えてる場合じゃないな)

213以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:58:16 ID:w3PJMt.c

ブサ督「よし、暁」

ブサ督「その40隻の艦隊が過ぎ去った後」

ブサ督「西方方面艦隊鎮守府へ向かってくれ」

暁『……え!?』

ブサ督「そして鎮守府の司令官に南方海域で」

ブサ督「実弾演習を要請してもらいたい」

暁『実だ……へ? 演習!?』

ブサ督「そう言えば向こうは分かってくれる」

ブサ督「暁、ご苦労だった」

ブサ督「西方鎮守府に付いたら休養してくれ」

暁『待ちなさいよ、ブサイク司令官!』

暁『40隻なのよ!?40隻!!』

暁『南方鎮守府はどうなるの!?』

214以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 19:59:24 ID:w3PJMt.c

ブサ督「何とかなるさ」

暁『でも……40隻もの深海棲艦が相手なのよ!?』

暁『ひとたまりもないんじゃないの!?』

ブサ督「おちつけ、暁」

暁『!』

ブサ督「まあ……来たばかりの司令官だから信用ないのはしょうがないが」

ブサ督「暁に与えた任務は、かなり重要なんだ」

暁『……演習要請が?』

ブサ督「そうとも」

ブサ督「それも出来るだけ早くしてくれると助かる」

暁『…………』

215以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 20:00:54 ID:w3PJMt.c

暁『……分かったわ』

暁『ええと……南方海域で実弾演習を要請すればいいのね?』

ブサ督「ああ。あってるぞ」

暁『了解……ブサイク司令官』

暁『ヤバくなったら逃げるのよ?』

ブサ督「もちろん」

暁『暁、通信終了』

     ブッ…

電「…………」

電「あの……本当に何とかなるのですか?」

ブサ督「無理だな」

電「えっ……」

216以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 20:02:21 ID:w3PJMt.c

ブサ督「前にも言ったが」

ブサ督「恐れてた通り、大軍が猪突猛進して来たわけだから」

ブサ督「勝ち目なんてあるわけ無い」

電「…………」

電「……その割に何故かブサイク司令官さんには」

電「余裕がある様に電には見えるのですが……」

ブサ督「……ま、これで大まかな方針が決まったからな」

ブサ督「後は……運しだいの部分はあるが、希望もある」

ブサ督「電もそう思っててくれ」

電「はあ……」

217以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 20:03:58 ID:w3PJMt.c

ブサ督「それでは部隊編成を行う」

ブサ督「電も前線に出てもらう事になるが……大丈夫か?」

電「が、頑張ります!」

ブサ督「期待してる」

電「は、はい!」

ブサ督「ははは」

ブサ督「…………」

ブサ督(謎は残るが……何とかなる、か……)

ブサ督(…………)

ブサ督(さて、上手く行ってくれるといいが……)

218以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 20:06:45 ID:w3PJMt.c
本日はここまでです。

219以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 20:30:52 ID:58JvksU6
おつー

220以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/09(水) 23:24:01 ID:y/uM2TkI
乙乙
遠征部隊は天龍以外……なんとか生きて戻って欲しいけど、タイミング次第では色々と手遅れになるかもか

221以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/10(木) 04:52:57 ID:UhGBVauQ

イケメン提督は本当に大本営から湯水のように戦力・資源を提供されていないと戦線維持も出来ないレベルだったか

222以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/10(木) 09:11:10 ID:wSwGnIuI



ここまで遠慮無く戦力と使い潰すとは、逆に清々しい程の下衆である

223以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:18:59 ID:iXxKarrw


―――――――――――


大本営 大将の執務室


大将「ふう……これで後は」

     ワー ワー

大将「ん……?」

大将「何やら騒がしいな……」

大将「何事だ?」

     バタン!

中尉「た、大変です!大将閣下!」

大将「どうした中尉。いったい何事だ?」

224以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:21:35 ID:iXxKarrw

中尉「今朝の新聞、とんでもない事が書かれているんです!」

中尉「ご覧ください!」つ(新聞)

大将「とんでもない事?」つ(新聞)

     大将、横領疑惑。数年前から着手か?

大将「!?」

大将「な、何だこれは!?」

中尉「ともかく事実確認がしたい、とかで」

中尉「ブンヤどもが押し寄せているんです!」

大将「…………」

大将「……!」

大将(この……内容は!)

大将(あの、無能の仕業かぁぁぁっ!!)

225以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:22:26 ID:iXxKarrw

中尉「大将閣下、いかがしましょう?」

大将「!」

大将「そ、そうだな……」

大将「いずれ記者会見を開く、とでも言ってブンヤどもを下がらせろ」

大将「それに従わないなら今後の取材は一切受けんと言え!」

中尉「わ、分かりました」

中尉「その様にします。では!」

     パタン タッ タッ タッ…

大将「…………」

大将「やってくれたな、あの無能め……!」

大将「これまでの事が水泡に帰す事すら分からんのか!」

大将「とはいえ、どうするか……」

226以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:24:22 ID:iXxKarrw


―――――――――――


北方鎮守府 執務室


大淀「…………」

イケ督「いやはや……軍部の恥だね」

イケ督「国民の皆さんに申し訳ないよ」

大淀「…………」

イケ督「大淀?」

大淀「!」

大淀「は、はい、すみません、イケメン提督」

227以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:25:15 ID:iXxKarrw

イケ督「どうかしたのかい?」

大淀「いえ……大したことでは」

イケ督「まあそう言わずに。言ってごらん?」

大淀「…………」

大淀「……では、お言葉に甘えて」

イケ督「うん」

大淀「その……上手くは言えないのですが」

大淀「記事に書かれてる期日や時間がやたらと正確なので」

大淀「どこからこの様な話が出てきたのだろう……と」

大淀「気になりまして……」

イケ督「……なるほど」

イケ督「意外と高官が新聞に漏らしたのかな?」

大淀「…………」

228以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:26:08 ID:iXxKarrw

大淀(違う)

大淀(本質はそこじゃない)

大淀(私の記憶通りなら……横領の額が桁違いに多くなった時期と)

大淀(イケメン提督が新聞を賑わせる様になった時期が)

大淀(ちょうど同じくらいになる……!)


     「新聞報道はでたらめで、実際には相当の被害を受け」

     「それを覆い隠すため、世間受けのいい」

     「イケメン提督を前面に出しているんじゃないかと思う」


大淀「…………」

イケ督「大淀?」

大淀「!」

大淀「す、すみません!」

229以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:27:17 ID:iXxKarrw

イケ督「いや、いいんだ」

イケ督「調子が悪いなら休むといい」

大淀「……そうですね」

大淀「すみませんが、医務室でちょっと休んできます」

イケ督「ああ。お大事に」

大淀「では……失礼します」

イケ督「ああ」

     ガチャ キィ パタン

イケ督「…………」

イケ督「……ふん」

イケ督「大将もざまあないな……ククク」

230以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:28:16 ID:iXxKarrw


北方鎮守府 廊下付近


大淀「…………」

     ガヤ ガヤ

大淀「…………」

摩耶「でさー、やっぱりイケメン提督は違うよなー♪」

鳥海「これで私たちもようやく前線へ行けますね」

大淀「…………」

大淀「えっ?」

大淀「ちょ、鳥海さん、摩耶さん」

摩耶「ん?」

鳥海「あら、大淀さん。どうかしました?」

231以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:29:34 ID:iXxKarrw

大淀「あの……今、前線へ行くとか聞こえたのですが?」

鳥海「ええ。イケメン提督に言われまして」

大淀「そ、そんなまさか!?」

摩耶「まあ……沈んだ艦娘の代わりっつーのは」

摩耶「ちょっと引っかかるけどな」

鳥海「来たばかりで余り話す機会もありませんでしたが……」

鳥海「長門さん、翔鶴さんの抜けた穴を見事、埋めて見せます」

大淀「い、いえ、そういう事では無くて」

大淀「あなた方の防空能力は、北方鎮守府の最後の砦と……」

摩耶「んなのブサイク提督が勝手に言ってた事だろ?」

大淀「!!」

232以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:30:43 ID:iXxKarrw

鳥海「私も少々飼い殺しにされてる気がしてたので」

鳥海「今回の抜擢は嬉しく思ってます♪」

大淀「…………」

摩耶「話はそれだけか?」

大淀「…………」

大淀「……はい」

大淀「呼び止めてすみませんでした……」

摩耶「ん。別にいーぜ、こんくらい」

摩耶「じゃあなー」

鳥海「では、失礼しますね、大淀さん」

     テク テク テク…

大淀「…………」

233以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:31:16 ID:iXxKarrw

大淀「…………」

大淀(……本当に)

大淀(このままで……いいのかしら)

大淀(…………)

大淀(…………)

大淀(ブサイク提督……)

大淀(…………)

大淀(…………)

234以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:33:33 ID:iXxKarrw


―――――――――――


南方鎮守府 作戦室


ブサ督「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督「…………」

     ピピピ… ピピピ…

ブサ督「!」

     ガチャ

電『こちら電戦隊』

電『ブサイク司令官さん、聞こえますか?どうぞ』

ブサ督「こちらブサイク司令官」

ブサ督「良く聞こえるぞ、電。どうぞ」

235以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:34:29 ID:iXxKarrw

電『全艦娘、配置につきました』

電『いつでも作戦行動可能です』

ブサ督「よし」

     ピッ

ブサ督「こちらブサイク提督。全艦娘に次ぐ」

ブサ督「もう間もなく敵艦隊が現れると思われる」

ブサ督「現在の状況は絶望的だが、それは君達のせいじゃない」

ブサ督「すべては……我々司令部の無能のせいだ」


全艦娘『…………』


ブサ督「なので、今作戦は今、君らが持っている弾薬が尽きるか」

ブサ督「敵の勢いを殺せないと俺が判断した瞬間」

ブサ督「遺憾ながら南方鎮守府を放棄し、本土への撤退を持って」

ブサ督「作戦の終了とする」

236以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:36:14 ID:iXxKarrw

     ザワッ…

ブサ督「さっきも言ったが、これは君達に責任は無い」

ブサ督「すべての責任は俺を含めた司令部にある」

ブサ督「気にせず命令に従って、自分の命を第一に考えて欲しい」


全艦娘『…………』


ブサ督「では、確認作業に入る」

ブサ督「第一戦隊旗艦、川内。専用回線で応答せよ」

     ピピッ ブー

川内『こちら第一戦隊旗艦、川内。どうぞ』

ブサ督「よし。よく聞こえるぞ」

237以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:37:16 ID:iXxKarrw

ブサ督「続いてA島観測要員、専用回線で応答せよ」

     ピピッ ブー

伊良湖『は、はい。こちらA島観測要員の伊良湖です』

ブサ督「よし、良く聞こえるぞ、伊良湖」

ブサ督「任務内容を復唱せよ」

伊良湖『は、はい』

伊良湖『ええと……川内さんが相手にした深海棲艦の位置を逐一報告せよ』

伊良湖『です』

ブサ督「よし。難しい任務だが、一つ頼む」

伊良湖『頑張ります』

ブサ督「では第二戦隊旗艦、五十鈴。専用回線で応答せよ」

     ピピッ ブー

五十鈴『こちら第二戦隊旗艦、五十鈴。どうぞ』

238以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:38:07 ID:iXxKarrw

ブサ督「よし。問題無く聞こえる」

ブサ督「続いてB島観測要員、専用回線で応答せよ」

ブサ督「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督「……B島観測要員、専用回線で応答せよ」

ブサ督「…………」

ブサ督「…………」

ブサ督(くそっ)

     ピピッ ブー

ブサ督「!」

雷『こちらB島観測要員、雷(いかづち)。即応出来なくてごめ……済みません』

239以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:39:07 ID:iXxKarrw

ブサ督「聞こえるぞ」

ブサ督「何かあったのか?」

雷『問題はあったけど、解決したわ。以後、気を付ける』

ブサ督「よし」

ブサ督「任務内容を復唱せよ」

電『五十鈴戦隊が相手にした深海棲艦の位置を逐一報告せよ、よ』

ブサ督「うん、あってる」

ブサ督「頼むぞ、雷」

雷『了解。任せて』

ブサ督「それでは第三戦隊旗艦、由良。専用回線で応答せよ」

     ピピッ ブー

由良『こちら第三戦隊旗艦、由良。どうぞ』

ブサ督「よし、感度良好。続いてC島観測要員……」

240以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:39:56 ID:iXxKarrw


―――――――――――


     ザザザザザザザ…

暁「…………」

暁「……お腹空いたなぁ」

暁「って!」

暁「暁はレディなのよ!」

暁「お腹空いたなんて言わないっ!」

     ザザザザザザザ…

暁「…………」

暁「……ん?」

     ヒュルルルルル…

暁「何の音……?」

241以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:41:01 ID:iXxKarrw

     ドォンッ! ドォンッ!

暁「きゃああああ!」

暁「こ、この衝撃は……砲撃!?」

暁「」

暁「あれは……タ級!?」

暁「うそ、どうしてこんなところに戦艦級が!?」

     ドォンッ! ドォンッ!

暁「きゃあああああっ!!」

如月「応戦しましょう!」

暁「!」

暁「ダメ!こっちの装備じゃ歯が立たない!」

242以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:41:54 ID:iXxKarrw

暁「それよりも全速力でここを離脱するの!」

暁「相手は戦艦級、必ず振り切れるわ!」

如月「わ、分かった!」

     ドォンッ! ドォンッ!

如月「きゃあああああっ!」

暁「わああああああああっ!」

暁「だ、大丈夫!」

暁「とにかく回避しながら――」

     ドガァッンッ!

如月「ああああっ!!」

暁「如月!!」

243以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:42:43 ID:iXxKarrw

暁「ほら、捕まって!」

暁「如月!」

如月「うっ……うう……」

暁「っ……」

暁「見捨てない……見捨てないんだから!」

     ドォンッ! ドォンッ!

暁「きゃあああああっ!」

暁「はあっ……はあっ……」

暁「うっ……!?」

暁(今の至近弾で……損傷した!?)

暁(速度が……出ないっ)

暁「くっ……」

暁「…………」

244以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:43:28 ID:iXxKarrw

暁「……指揮権を三日月に移譲するわ。如月もお願い」

三日月「!?」

暁「口答えは無しよ!他のみんなを引き連れて西方鎮守府に向かいなさい!」

暁「早く!」

三日月「で、でも!」

暁「向こうに着いたらブサイク司令官の要請をお願いして」

暁「ついでに私の救出部隊も頼むわ」

三日月「……っ」

三日月「全艦……三日月に続いて!」

     ザザザザザザザザ…

暁「……頼んだわよ、三日月」

     ドォンッ! ドォンッ!

暁「ぐっ……!」

245以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:44:27 ID:iXxKarrw

暁「はあっはあっ」

暁「暁は……暁は!」

     ドォンッ! ドォンッ!

暁「……タダでは……終わらないんだからっ」

     ドガァッンッ!

暁「ぎっ……!!」

暁「…………」

暁「……うっ……」

暁「…………」

暁「ははは……やっぱり、無理……かぁ……」

暁「……でも……任務は……きっと……」

246以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:45:23 ID:iXxKarrw

     ブロロロロロロ…

暁「…………」

暁「……え?」

暁「…………」

暁「この……発動機音は……」

暁「友軍?」

     ドンッ ドドンッ ボボボンッ!

暁「……いったい、どこから」

三日月「暁!」

暁「三日月?」

三日月「大丈夫!?」

暁「うん……大破したけど……何とか」

247以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:46:24 ID:iXxKarrw

暁「それよりもこの友軍は……?」

     ピピッ ガガッ

フツ督『こちら西方方面艦隊司令官、フツメン提督』

フツ督『そちらの所属は?』

暁「!!」

暁「こ、こちら、南方方面艦隊所属艦娘、暁」

暁「救援、感謝します!」

フツ督『なぁに。間に合って良かった』

フツ督『それよりも状況を教えてくれないか?』

暁「は、はい。それについて、ですが」

暁「ブサイク司令官から言伝があります!」

フツ督『言伝……分かった、合流しだい聞くとしよう』

248以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:47:52 ID:iXxKarrw

     ブッ…

フツ督「…………」

龍田「どうしたの?」

フツ督「ん?」

フツ督「少し……不思議に思ってな」

龍田「タ級の事?」

フツ督「さすが龍田。見抜いてたか」

龍田「ここら辺は私たちの勢力圏内」

龍田「イ級くらいならともかく、タ級が、それも単独で居るなんて」

龍田「どうにも腑に落ちないわぁ」

フツ督「そうなんだよな……どうにも引っかかる」

フツ督「……ま、考えるのは後にするか」

フツ督「とにかく暁たちとの合流を急ごう」

龍田「はぁ〜い」

249以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:49:13 ID:iXxKarrw
本日はここまでです。

250以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 17:50:21 ID:2RzceVp.


251以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 18:11:15 ID:dX7QT/hM
イケメンの皮をかぶったクズ野郎だったか

252以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 18:44:51 ID:w1oTGm8o



クズなのは指揮ぶりからとっくに解ってたけど、コレはソレ以上のクズ

253以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/12(土) 20:56:55 ID:kDnwo3sI
乙んぽ

あまりにも利敵行為が過ぎるけど、これで寝返ってるとかそういうのじゃなかったらマジもんのやべー奴なんだよなぁ

254以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 02:22:51 ID:WjADsX/2
おつ

255以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/13(日) 04:35:14 ID:vmf.ECKc
悪役の格って本当に大事

256以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:47:43 ID:vnzcfz4M


―――――――――――


北方鎮守府 執務室


大淀「……また出撃ですか」

イケ督「ああ」

イケ督「ここで確実に止めを刺さないといけないからね」

大淀「…………」

大淀「あの……」

イケ督「うん?」

257以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:48:25 ID:vnzcfz4M

大淀「ここの所、出撃が頻繁に行われて」

大淀「主力艦娘の皆さんの疲労度が増しています」

大淀「出撃の重要性は分かりますが」

大淀「休養を取らせるべきかと……」

イケ督「…………」

イケ督「まあ……大淀の言いたい事は分かる」

イケ督「だが、これは北方海域平定の為に必要な出撃なんだ」

イケ督「金剛達にはすまないが……もうひと踏ん張りしてもらいたい」

大淀「…………」

大淀「……分かりました」

大淀「それでは、金剛さん達に命令を伝えてきます」

イケ督「よろしく頼む」

258以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:50:39 ID:vnzcfz4M


北方鎮守府 廊下付近


     テク テク テク…

大淀「あ……金剛さん」

金剛「……ん?」

金剛「大淀……」

大淀「…………」

金剛「出撃デスカー?」

大淀「……はい」

金剛「了解ネー」

金剛「イケメンテイトクの為に……金剛は頑張るヨー!」

大淀「…………」

259以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:51:39 ID:vnzcfz4M

大淀「これが……命令書になります」

金剛「OK!」

金剛「それじゃ、準備して行ってくるネー!」

     スタ スタ スタ…

大淀「…………」

―――――――――――

大淀「陸奥さん」

陸奥「……大淀か」

陸奥「出撃命令?」

大淀「……はい」

陸奥「了解した」

陸奥「命令書を」

大淀「…………」

260以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:52:34 ID:vnzcfz4M

陸奥「……大淀?」

大淀「あの!」

陸奥「……何?」

大淀「…………」

大淀「……イケメン提督の指揮に」

大淀「疑問を……感じた事はありますか?」

陸奥「!」

大淀「…………」

陸奥「…………」

陸奥「……それを聞いてどうするの?」

大淀「……分かりません」

261以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:53:34 ID:vnzcfz4M

大淀「ですが……ここの所の出撃頻度はさすがに異常です……!」

大淀「このままでは、疲労の抜けない艦娘に損害が……!」

陸奥「大淀……」

陸奥「…………」

陸奥「…………」

陸奥「……場所を変えましょう」

大淀「!」

大淀「は、はい!」

―――――――――――

大淀「この部屋は誰も使っていませんので」

大淀「大丈夫だと思います」

陸奥「そう……」

262以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:54:23 ID:vnzcfz4M

陸奥「それでさっきの話だけど……」

大淀「はい」

陸奥「イケメン提督の指揮に疑問なんてありまくりよ」

大淀「…………」

大淀「……やっぱり、そうですか」

陸奥「ええ」

陸奥「……でも驚いたわ」

大淀「え?」

陸奥「北方鎮守府に来た時、あれだけあのクズを歓迎してたから」

陸奥「半分くらい艦娘が死なないと気が付かないと思ってた」

大淀「なっ……いくら何でもそれは……」

263以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:55:42 ID:vnzcfz4M

陸奥「無いと言い切れるのなら謝るけど」

陸奥「南方に居た頃、新聞報道に洗脳された多くの艦娘が」

陸奥「疲れ切った体で笑いながら、あのクズの命令に従い散って逝ったわ」

陸奥「ちょうど……今の金剛達の様にね」

大淀「…………」

陸奥「でも……そんなこと言いながら」

陸奥「私たちもそうだった」

大淀「…………」

陸奥「勝っているハズなのに居なくなる仲間達」

陸奥「勝利してるのにどんどん激しくなる深海棲艦たちの攻撃」

陸奥「おかしいと気が付いた時には……もう半分くらいになってたのよ」

大淀「…………」

264以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:56:36 ID:vnzcfz4M

大淀「……ブサイク提督の……言う通りだったんですね」

陸奥「ブサイク提督?」

大淀「北方鎮守府の前の指揮官だった人です」

大淀「南方鎮守府と入れ代わりに……」

陸奥「ああ……」

大淀「イケメン提督の指揮には疑問があると」

大淀「新聞報道は虚偽である可能性が高いと……言ってました」

陸奥「へえ……それはすごい」

陸奥「きっと……優秀な指揮官なんだろうね」

大淀「…………」

陸奥「さて……状況の確認ができたのはいいけど」

陸奥「これからどうするつもりなの?」

265以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:58:22 ID:vnzcfz4M

大淀「…………」

大淀「……責任転嫁、だと承知して言いますが」

大淀「陸奥さん達は、どうしてこの事を私達に教えてくれなかったんですか?」

陸奥「……さっきも言ったけど」

陸奥「あのクズをあれだけ歓待して迎え入れたのを見て」

陸奥「無駄だと判断しただけ」

大淀「ですが!」

陸奥「じゃあさっきの……ブサイク提督?」

陸奥「そいつがあのクズを見抜いてたにもかかわらず」

陸奥「あなたはどうしたの?」

大淀「っ!!」

266以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 20:59:54 ID:vnzcfz4M


     「……すみませんが」

     「ちょっと信じがたい推測ですね」


大淀「…………」

陸奥「……それが答えよ」

陸奥「もういいかしら? 命令書を渡して」

大淀「…………」

大淀「……陸奥さん」つ(命令書)

陸奥「何?」

大淀「無駄かもしれません……が」

大淀「この作戦行動中、金剛さん達に今の事を」

大淀「説明してあげてくれませんか……?」

陸奥「…………」

267以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:00:43 ID:vnzcfz4M

陸奥「…………」

陸奥「……分かった」

大淀「…………」

陸奥「知ったところで……何ができる、という事でもないけどね」

大淀「…………」

大淀「……それでも」

大淀「それでも、お願いします……!」

陸奥「…………」つ(命令書)

陸奥「じゃ……行って来る」

大淀「……はい」

     ガチャ キィ パタン

大淀「…………」

268以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:08:12 ID:vnzcfz4M


―――――――――――


南方鎮守府近海 諸島群海域


雷「……!」

雷「来た……敵艦隊よ!」

     ザザザザザザ……

五十鈴「すごい数ね……見えてるだけで、ざっと30隻ってとこかしら」

五十鈴「こちら五十鈴」

五十鈴「作戦室、応答を」

     ピピー ガガッ

ブサ督『こちら作戦室』

ブサ督『どうぞ』

269以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:08:49 ID:vnzcfz4M

五十鈴「敵艦隊を補足」

五十鈴「距離、約5500」

五十鈴「速度、約20」

ブサ督『……各艦娘に次ぐ』

ブサ督『まず、敵艦隊からの航空攻撃を』

ブサ督『それぞれの担当離島を利用して、全力回避せよ』

五十鈴「……軽く言ってくれるわね」

五十鈴「五十鈴、了解!」

―――――――――――

川内「川内、了解!」

―――――――――――

由良「由良、了解!」

―――――――――――

270以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:10:00 ID:vnzcfz4M


南方鎮守府 作戦室


ブサ督「電、何度も言ってるが」

ブサ督「お前の戦隊は中破、大破した艦娘で構成されている」

ブサ督「絶対に前へ出るな」

ブサ督「指定されたポイント以外に向かってはダメだぞ」

電『分かっています』

電『ご指示をください』

ブサ督「よし。 魚雷装填」

電『魚雷装填……よし!』

ブサ督「目標、西南西方向」

271以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:10:48 ID:vnzcfz4M

電『西南西……え?』

電『あ、あの……深海棲艦は居ませんが?』

ブサ督「以後、口答えはするな」

電『は、はい』

ブサ督「秒読み……5,4,3,2,1」

電『…………』

ブサ督『魚雷発射』

電『魚雷発射!なのです!』

     シュボボボボボンッ

     シャアアアアア……

ブサ督「よし」

ブサ督「ポイント【ベータ】へ向かえ」

電『りょ、了解なのです』

272以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:12:29 ID:vnzcfz4M


―――――――――――


西方鎮守府 執務室


フツ督「……左様ですか」

フツ督「では、私もそちらへ向かいます」

フツ督「……はい……はい」

フツ督「ええ、その時はよろしくお願いします」

     チンッ

フツ督「やれやれだ……」

龍田「面倒ごと?」

フツ督「ああ。とびっきりのな」

273以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:13:29 ID:vnzcfz4M

フツ督「残念だが、しばらくここを空ける事になりそうだ」

フツ督「龍田。君にも来てもらう」

龍田「ここの運営はどうするの?」

フツ督「表向きは……そうだな、阿賀野に一任、としておくよ」

龍田「裏は?」

フツ督「あいつの為に骨を折ってやるんだ」

フツ督「ブサイク提督に任せる」

龍田「……どうやって連絡を取るの?」

フツ督「ま、そこは蛇の道は蛇」

フツ督「いろいろと手は打っておいた」

龍田「そういう根回し、あなた本当に好きよねぇ」

274以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:14:12 ID:vnzcfz4M

龍田「でも彼、今、大変なんじゃないの?」

フツ督「たぶん大丈夫だ」

フツ督「魚雷の魔術で翻弄してる頃だろう」

龍田「魚雷の魔術?」

     ガサゴソ ガサゴソ

フツ督「ええと……あの書類は……あ、あったあった」

龍田「ねえ、魚雷の魔術って?」

フツ督「……簡単に言うと、だな」

フツ督「魚雷が目標を狙うんだよ」

龍田「は……?」

龍田「意味が分からないんだけど?」

275以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:14:59 ID:vnzcfz4M

フツ督「……敵からするとな」

フツ督「あさっての方向に行ってるハズの魚雷が」

フツ督「何故かこっちへ向かって当たりに来るんだよ」

龍田「……ますます意味が分からないわね」

龍田「それはなに?」

龍田「つまり魚雷に意思があって追ってくるという事?」

フツ督「そうそう」

フツ督「そんな感じ」

龍田「どんな新技術なのよ」

フツ督「違う違う。そうじゃない」

フツ督「あくまで【そう思える】って事だよ」

龍田「……てことは」

龍田「何かタネがあるって事かしら?」

フツ督「正解」

276以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:16:14 ID:vnzcfz4M

フツ督「諸島群海域でしか使えないが」

フツ督「それなりの高さのある離島に観測員を置き」

フツ督「海上の艦娘と敵との相対距離やら速度やらの情報を元に」

フツ督「三角測量やら何やら使って、敵の行動予測して」

フツ督「後方からの遠距離魚雷攻撃を当ててくるんだよ」

龍田「…………」

龍田「……ちょっと待って」

龍田「それって複数の敵を相手にしたら不可能じゃない?」

龍田「観測員や艦娘だって数が増えたら」

龍田「とんでもない情報量になる」

龍田「それに海流も不確定要素に……」

フツ督「ところがだ」

フツ督「あいつはそれを……可能にしてるんだよ」

277以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:17:50 ID:vnzcfz4M

―――――――――――

五十鈴『新たな目標!ル級!1時方向!距離約4500!速度約20!』

雷『五十鈴、目標変更!南南西距離約6000!速度約20!』

川内『右舷……3時方向にイ級!距離約3400!速度20!』

伊良湖『あっ川内さん方向転換……えっと、南東……いえ、東南東方向』

伊良湖『距離……5600……ぐらい。速度は……20くらいです!』

由良『回避急いで!』

     ドォンッ! ドォンッ!

由良『えっ!?』

由良『目の前の深海棲艦に……魚雷が命中した模様!』

由良『ル級、ネ級轟沈!』

278以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:18:37 ID:vnzcfz4M

ブサ督「……由良、ポイント【デルタ】へ移動」

ブサ督「川内、魚雷装填。目標4時方向」

川内『装填完了!』

ブサ督「秒読み。5,4,3,2,1」

ブサ督「魚雷発射」

川内『てー!』

     シュボボボボボンッ

     シャアアアアア……

ブサ督「川内、ポイント【ガンマ】へ移動せよ」

川内『川内了解!』

279以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:19:50 ID:vnzcfz4M

     ドォンッ! ドォンッ!

五十鈴『えっ!?』

五十鈴『私たちを追ってた深海棲艦たちから爆発音!』

ブサ督「…………」

五十鈴『……空母級のヲ級、ヌ級轟沈!』

ブサ督「五十鈴戦隊、魚雷装填」

五十鈴『了解、魚雷装填!』

ブサ督「目標方向、6時」

ブサ督「秒読み……5,4,3,2,1」

ブサ督「発射!」

五十鈴『魚雷発射!』

     シュボボボボボンッ

     シャアアアアア……

ブサ督「五十鈴、ポイント【イオタ】へ移動せよ」

280以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:20:59 ID:vnzcfz4M

ブサ督(……くそ)

ブサ督(時間が無かったから仕方ないが……海流の誤差が結構ある)

ブサ督(このままじゃ、やはり尻尾巻いて逃げるしかなさそうだな)

ブサ督(せめて補給が間に合っていれば……)

ブサ督(…………)

ブサ督(いや、無いものねだりしても仕方ない)

ブサ督(問題はタイミング)

ブサ督(引き際を間違えない様にしないと)

281以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:22:14 ID:vnzcfz4M

―――――――――――

龍田「……そんなまねが出来るなんて」

龍田「聖徳太子も真っ青ね」

フツ督「ああ、同感だ」

フツ督「本人いわく」

     「こんなもの訓練すれば誰でも出来る」

フツ督「らしいが……俺は2部隊でも無理だった」

龍田「でしょうね」

フツ督「一度でも聞き間違ったり、計算ミスったりしただけで」

フツ督「立て直す暇もなく大混乱」

フツ督「あいつの頭の中身がどうなってるのか」

フツ督「本気で知りたくなった」

龍田「知っても理解できないでしょ」

フツ督「……まあその通りなんだけど酷いな」

282以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:23:31 ID:vnzcfz4M

龍田「それにしても」

龍田「まるで……ええと、ブサイク提督?」

龍田「その彼と戦った事があるみたいな口ぶりね?」

フツ督「あいつに頼まれて模擬戦やったんだ」

フツ督「……ところで俺のお気に入りのシャツ知らない?」

龍田「昨日洗濯に出して、今日干したままでしょ」

フツ督「うっ……そうだった」

龍田「生乾きでいいなら今から取ってくれば?」

フツ督「そこまで思い入れねーよ」

フツ督「仕方ない……今回は別ので我慢だ」

283以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:24:22 ID:vnzcfz4M

     ガサゴソ ガサゴソ

フツ督「ふう……こんなもんか」

龍田「それで? どんな模擬戦だったの?」

龍田「種明かしされた後は勝てたとか?」

フツ督「……そんな甘いもんじゃなかったよ」

龍田「あらら」

フツ督「駆逐級艦娘二人編成の変則艦隊構成で」

フツ督「あいつは3部隊、こっちは6部隊で行ったんだが」

フツ督「一度目はコテンパン」

フツ督「種明かしされてからもコテンパンだったよ」

龍田「目を潰せばいいじゃない」

フツ督「それは俺も真っ先に考えた」

フツ督「でもな……」

284以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:25:05 ID:vnzcfz4M

フツ督「どの島に観測員が居るか、瞬時に分かるか?」

龍田「あ……」

フツ督「それに」

フツ督「こっちが目を潰そうと躍起になってるのを」

フツ督「あいつが放っておくと思うか?」

龍田「…………」

フツ督「ま、あくまで駆逐級艦娘での話だからな」

フツ督「種明かしされて空母級が居れば」

フツ督「さすがに勝てたかもしれないが……」

フツ督「空母級無しだと、俺の腕じゃ5倍の戦力が無いと勝てる気がしない」

龍田「……でも」

龍田「深海棲艦相手だと、また違って来るんじゃないの?」

285以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:26:36 ID:vnzcfz4M

フツ督「それは俺も思った」

フツ督「深海棲艦はダメージを受けても沈まない限り」

フツ督「こちらへ向かって来る」

龍田「あれホント怖いわよねぇ」

フツ督「ところがだ」

フツ督「あいつは事も無げに」

     「そっちの方が読みやすい」

フツ督「と言い返して来た」

龍田「まあ一理あるけど……」

286以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:27:19 ID:vnzcfz4M

フツ督「模擬戦の時、どこから魚雷が飛んでくるか分からんから」

フツ督「艦娘の方が速度落としたり、回避行動したりで」

フツ督「魚雷は当てにくくなる」

龍田「そうよね」

フツ督「ところがそうなったら」

フツ督「相対してる艦娘部隊の砲撃のいい的になっちまう」

龍田「あらら……」

フツ督「どっちにも気を付けてられないし」

フツ督「どっちかに気を付けてたら、気を付けてない方でやられちまう」

フツ督「今思い出してもブルっちまうわ、あれ」

龍田「……すごい人なのね」

287以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:28:25 ID:vnzcfz4M

フツ督「そうとも」

フツ督「あいつの才能を埋もれさすのは」

フツ督「皇国にとって大きなマイナスでしかない」

龍田「……そこは大事な友とか」

龍田「綺麗ごと言っておいた方が良くない?」

フツ督「そういうの俺のキャラじゃないからなー」

フツ督「あくまで持ちつ持たれつ、さ」

龍田「はいはい。そういう事にしといてあげる」

フツ督「そいつはどうも」

フツ督「さて、俺の方は出発準備ができたが?」

龍田「私は少々の着替えと日用品があれば問題ないわ」

フツ督「そうかい」

フツ督「演習部隊もそろそろ始めてる頃だし……行くとするか」

288以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:29:47 ID:vnzcfz4M


―――――――――――


南方海域 西南部


     ザザザザザザザザ…

イタリア「…………」

ローマ「…………」

イタリア「ホントに大した敵が居ませんね」

ローマ「姉さん……油断大敵です」

イタリア「油断なんかしてませんよ……」

ローマ「私はまだ、フツメン提督を完全に信用してませんから」

ローマ「それに管轄外の地域に進出して演習なんて」

ローマ「規律に違反してないかヒヤヒヤしてます」

289以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/14(月) 21:30:40 ID:vnzcfz4M

西方鎮守府 演習艦隊

第一戦隊

イタリア(戦艦) ローマ(戦艦)
ポーラ(重巡) ザラ(重巡)
リベッチオ(駆逐) アクイラ(空母)

第二戦隊

ビスマルク(戦艦) プリンツ・オイゲン(重巡)
レーベレヒト・マース(駆逐) マックス・シュルツ(駆逐)
U‐511(潜水艦) グラーフ・ツェッペリン(空母)


イタリア「友軍のピンチなのだから」

イタリア「固いこと言わなくてもいいんじゃないかしら?」

ローマ「そういう問題ではありません」

ローマ「そもそも規律というのは……」


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