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男「え?俺一年後に死ぬの?」天使「うん」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 22:31:03 ID:QziSCwdA
昔書いたやつの書き直し

2以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 22:47:47 ID:QziSCwdA


男「え?え?つーかここ人ん家」

天使「はい」

男「日本語わかる?」

天使「はい」

男「つか日本人じゃないよね?」

天使「神の使いと言いましょうか」

男「ップ」

天使「ッチ」キラン

男「ッッ!?うわぁ!!」

3以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 22:51:49 ID:QziSCwdA
男「うっ、浮いてる!?」

天使「天使ですから」

男「はぁ」ポカーン

天使「まあ無闇やたらに力を使いたくないんですが」

男「手品じゃないよね?」

天使「こうして宙で脚を組める手品が人間界にあるとでも?」

男「あわかった!テレビのドッキリだ!」

4以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 22:54:29 ID:QziSCwdA
天使「ッチ」キラン

男「うっ、うっわ!俺も浮いてる!?」

天使「ふん」キラッ

男「ぐえっ」ドサッ

天使「お分かりいただけました?」

男「あい……」

天使「さ、本題に戻りますが」

男「……痛てて、本題って……何だっけ?」

5以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 22:56:40 ID:QziSCwdA
天使「貴方が来年の今日死ぬ話です」

男「……はぁ」

天使「誕生日なんですよね」

男「まあ」

天使「誰も祝ってくれてないですが」

男「……」

天使「まあ仮に生きていたとしても生涯童貞孤独を貫いていたわけですし」

男「えぇー」

6以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 22:59:19 ID:tCj59ztQ
男「ていうかごめん、話についていけない」

天使「それで構いません」

男「えぇ」

天使「伝えにきただけですので」

男「何でわざわざ伝えに来たのさ」

天使「それは……その……」

男「あっ」

天使「?」

男「俺の事好きなんだ……!」

天使「ッ」キラン

男「あっ嘘!冗談です!浮かすのだめ!やーなの!!」

7以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:03:35 ID:QziSCwdA
天使「てっとり早く説明しましょう」

男「ッギャ!」ドスン!



ーーーー天界

神「死亡確認」「余命一年」「余命一年」「輪廻不可」ペタンペタンペタンペタン

神「あー忙し忙し」

天使「ねぇハゲ」

神「なんじゃい!」

天使「私のポイントってどのくらい貯まってる?」

神「390ポイントってとこじゃな」

天使「ひくっ!!」

神「お主素行悪いからの」

8以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:07:08 ID:QziSCwdA
天使「どこが悪いってんだハゲ!!」

神「そーゆとこ!」

天使「スケベな目で見てきやがって!」

神「見とるわけないじゃろ」

天使「390ポイントって何でよ!」

神「そらそうじゃろ……天界での仕事もサボるし、下界でもろくに人助けせんし」

天使「判子ポンポンしてるだけのハゲが何を偉そうに!」

神「お前ホントにワシの子?」

天使「だからこんなサボり癖なんでしょ」

9以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:10:50 ID:QziSCwdA
天使「私は10000ポイント貯めて人間界に転生するんだから!!」

神「10000ポイントって……」

天使「10000ポイント貯めれば私の望む通りの青春や結婚生活……忌野際まで大好きな旦那と寄り添い……」

天使「そんな生活が約束されるポイントなんだから!」

神「天使ちゃんさぁ……現実見ようよ」

天使「むっ」

神「天使ちゃんそもそも人間嫌いでしょ」

天使「好きではない」

神「この前も男の子の告白じゃましたよね」

天使「まあ気まぐれで」

10以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:15:04 ID:QziSCwdA
神「なんでそういうことすんの」

天使「だってあの男の子胸のことばかり考えてるの!出てくるハート交尾のことだらけ!!」

神「男の子はそういうもんなの!」

天使「10000ポイント貯めたらイケメン幼馴染の子と一緒に登校して……もう付き合う前から友達公認の夫婦でー」

神「ハァ」

天使「イケメン君狙いたいけどあんたがいるからなあ……みたいに言われてー」

神「390ポイント」

天使「黙れハゲ」

神「天使ちゃんこのままだと1000も危ないよ」

天使「ハァ!?何とかしてよ!神でしょ!?」

11以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:17:23 ID:QziSCwdA
神「そんなことしたら他の神達に怒られるわい」

天使「つっかえな……マジなんなんこのハゲ」

神「娘が反抗期で辛い」シクシク

天使「大体なに!?いつも判子押すだけとか!」

神「これもれきっとした仕事で」

天使「貸してよ!!」ガシッ

神「あ、こら!!」

天使「こんなん、これを!」ポン!

天使「ほら、こーするだけでしょ?」

12以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:22:23 ID:QziSCwdA
神「あわわわわ……」

天使「ん???」

神「余命一年判子……」

天使「なに?」

神「寿命120歳の奴に捺しちゃってる……」

天使「……えっ?」

神「え、え、えらいこっちゃぁ!!」

天使「な、なに?どうなんの……?」

神「この判子は取り消せない!!!!」

天使「っ」ビクッ

神「事の重大さをわかってんのか!!!!」

天使「っ、……ど、どーすればいいの」

13以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:24:42 ID:tCj59ztQ
神「どーもこうもない!!! 」

天使「別にそいつはイツ死ぬかなんて知らないんだし」

神「天使ちゃんのポイントマイナスぶっちぎっちゃうよこれ!!」

天使「えっ」

神「これマイナス50000とかだよ!?」

天使「どどどどどどうなっちゃうの???」

神「来世は……軍手かゴキブリだの……」

天使「……い、……いやぁぁぁあー!!!」

14以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:27:57 ID:tCj59ztQ
天使「どーにかなんないの!?」

神「無理じゃの」

天使「えぇーーーー!」

神「いや、まあ………ポイントに関しては無理ではない……」

天使「本当!?」

神「この男の幸せレベル次第ではマイナスは回避できるかもしれん」

天使「幸せレベル……」

神「さらにはプラスになってもおかしくない」

天使「善は急げ!ソイツのとこ行かなくちゃ!」

15以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:30:01 ID:QziSCwdA

ーーーー

天使「と、言うわけなんです」

男「人災じゃねーか!!」

天使「うるさい」

男「開き直ってるし!!」

天使「生きていたとしても、これなら100年120歳まで童貞孤独死のくせに」

男「ぐはっ」

天使「彼女いない歴で1世紀跨ぐくせに」

男「ごふっ」

16以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:31:51 ID:QziSCwdA
男「ちょっとまて俺の人生悲しすぎるだろ」

天使「そんなもんですよ」

男「クソッ他人事だな…」

天使「そうでもないですが」

男「あー?ポイントだっけ?」

天使「そそ、取り返すために下界にわざわざきてるんですから」

17以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/10(金) 23:33:31 ID:QziSCwdA
男「え……てか来年本当に俺死ぬの?」

天使「うん」

男「……マジか……」

天使「あ」

男「なに?」

天使「ハゲが呼んでるから戻ります」

男「は、はぁ」

天使「また後程」

18以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/11(土) 23:16:23 ID:3se.kplo





男「なんだったんだろ……」

男「夢か?」バチン!

男「痛い」

男「でも俺浮いてたよな?」

男「しかもさっきの子も光ったと思ったら消えたし」

男「…………」

男「寝るか!!!うん!!そうしよ!!!」

19以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/11(土) 23:18:34 ID:3se.kplo
夜中

男「zzz... zzz. . .」

天使「起きてくださいな」ドゴッ

男「ゴッフォ!?」

天使「うるさいですよ」

男「ゴヘッ ゴホッ!?」

天使「戻ってきました」

男「ハァハァ……夢じゃなかったんだ……」

天使「浮きますか?」

男「やめて」

20以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 00:07:37 ID:8EVARhJE
天使「まあなんですか、後一年頑張っていきましょう」グッ!

男「いや原辰徳みたいなガッツポされても」

天使「人間遅かれ早かれ死ぬわけですし」

男「いや大分早いよね」

天使「100年くらいじゃないですか」

男「100年だよ!? 1世紀!!」

天使「でも安心してください」

男「安心?」

21以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 00:10:49 ID:8EVARhJE
天使「その100年分の奇跡、願い事として起こせます」

男「……?」

天使「まあなんていうんですか、後一年で死ぬあなたにボーナスみたいなものです」

天使「どんな願い事も5回まで叶えることができます」

男「寿命戻して」

天使「それは無理です」

男「願い事100に増やして」

天使「無理です」

男「嘘つき!!」

天使「範疇はありますよ」

男「じゃーパンツ見せて!」

天使「はぁ?」ヒラッ

22以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 00:12:33 ID:8EVARhJE
男「!!?」

天使「?!!」

男「す、すごい……本当なんだ……」

天使「今死にますか?」

男「タンマタンマ!まさか本当になるなんて思ってなかったし!!」

天使「ハァ……ならこれで信じましたか?」

男「は……はい……」

23以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:09:54 ID:8EVARhJE
天使「ていうかアホですね」

男「え?天使は白い下着しか履かないなんて思ってないよ」

天使「違いますよ」キラン

男「ごめんナチュラルに浮かさないで」

天使「5回の願い事のうち1つをもう使ってしまうなんて」

男「!!」

天使「奇跡に相当する願い事なのに……」

男「まあそれはいいとして」

天使「(いいのかよ)」

24以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:18:37 ID:8EVARhJE
男「残り4回あるのか」

天使「死ぬまでですが」

男「ふーん でも死は回避できないの?」

天使「ええ 死んでください」

男「……」

天使「でもこの一年でとてつもなく幸せになってください」

男「それ自分の保身のためだよね」

天使「いやほら天使なんで」

男「一年後死ぬのわかってて幸せになれると思う?」

天使「あなたならできます!」

男「なんて無責任な棒読み」

25以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:21:28 ID:8EVARhJE
天使「つべこべ言ってないで幸せになりましょう!」

男「……」

天使「あ、ちなみになんですけどね」

男「?」

天使「これから一年、どんなことがあっても貴方は死なないので」

男「マジ?」

天使「これは常に発動する奇跡というか呪いと思ってくれて構いません」

男「一年間死の恐怖で怯えるのか」

天使「ま、そういう事です」

26以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:28:55 ID:.NBVFoac
男「君本当に天使?もうなんか悪魔にしか見えんのだが」

天使「失礼ですね……天界きっての美少女に対して……」

男「自分で言うなよ」

天使「事実なんで」

男「天界にもルックス云々あるんだ」

天使「天界にもいろいろありますが、私のいるところは人間界と変わらないです」

男「君のいるところは?」

天使「まあ私の地域は平和なので」

男「よくわからんが……」

27以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:33:29 ID:.NBVFoac
天使「でも不純異性行為なんてしようもんならポイントがっつり下がりますから」

男「下がると来世に影響出ると?」

天使「ええガッツリ」

男「キスなんてしたら?」

天使「一度聞いたことがあるのは男女の合体まで行った二人の天使の来世は蛇とオオサンショウオになったそうです」

男「なんてことだ……」

天使「まあ面白半分で仲良ししたらしく罰せられたそうですが」

男「ふーん」

天使「きちんとしていれば罰せられることはないはずです」

男「でも君来世は軍手なんでしょ?」

28以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:36:45 ID:8EVARhJE
天使「そうならないためにわざわざ下界に降りてきてるんですが」

男「(自分のせいじゃん)」

天使「さ、奇跡使いましょうよ」

男「えぇ……なんかまだ実感湧かないし」

天使「ハァ」

天使「ん?」

天使「あ、またハゲが呼んでるんで戻ります」

男「あ、はい」

天使「まあ信じるか信じないか」ファサッ

男「おぁっ!?羽!」

天使「聞くまでも無いんですけど」シュン

男「いや飛ばないで消えるんかい!」

29以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:39:10 ID:8EVARhJE

天界

天使「なーにハゲ」

神「上手くできそうかの?」

天使「いい持ち主と巡り会える軍手になりたい」

神「諦めるなて」

天使「ハァ……どーしてこうなったの……」

神「(自分のせいでしょうが……)」

天使「で、なに?」

神「一応最大限の努力はつくしてみたんでの」

30以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:44:18 ID:8EVARhJE
神「かくかくしかじか」

天使「ふーん100年分のラッキーね」

神「それと、彼の資料じゃ」

天使「アレの?」

神「うむ」

天使「まあ知っとかないと……」パラパラ

神「休んでる暇ないからの」

天使「うっさいなぁ」パラパラ

31以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:46:40 ID:8EVARhJE
翌日 夜

男「……ぃま」ガチャ

男母「あ、おかえり」

男「……」

男母「ご飯は……」

男「イラネ」バタン!

天使「よろしくないですね」

男「!?」

天使「母親にそういう当たりかた」

男「関係ないでしょ」

32以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:49:49 ID:8EVARhJE
男「というか不法侵入してるほうがよろしくないですが」

天使「人間界の法の話でしょう」

男「何しにきたんだよ」

天使「お知らせにきました」

男「悪い知らせだ」

天使「いい知らせですよ。さらにラッキーな話です」

男「はぁ?」

天使「これから一年で100年間分のラッキーがちらほら訪れます」

男「なにそれ」

天使「すごくないですか?100年分のラッキーですよ?」

男「いやだから現実味が」

33以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:52:40 ID:.NBVFoac
天使「現に今日あったはずです」

男「今日……?」

ーーー

男『お、自販機のジュース当たった』

男『電車乗るの遅れたと思ったら電車も遅れてきててラッキー』

男『え?道ですか?ここを右に……そうです。ていうか橋本環七さんですよね!?』

環七『ありがとうございましたー!』

男『うぉ!生橋本環七……!』



天使「ね?」

男「……うん」

34以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:55:21 ID:8EVARhJE
男「俺の100年ってもしかして相当幸薄い???」

天使「でしょーね」

男「生涯童貞だもんな」

天使「恋人はできてたみたいですよ」

男「マジ!?」

天使「まあ元気だしてください」

男「それ聞いてますます悲しくなった」

天使「めんどくさ……」

男「俺にも可愛い彼女がいればなぁ 」ビカッー

天使「!? 」

男「!?」

35以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:57:22 ID:8EVARhJE
男「な、なんだ今の感じ」

天使「にょ」

男「にょ?」

天使「ちょ、にょ、ちょっと……帰ります」

男「え?あ、うん」

天使「で、では……」ファサッ

男「消えた」

男「まあいいか」

36以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 12:59:08 ID:8EVARhJE
男「風呂入ろ」ガチャ

男母「誰か来てるの?」

男「……来てねーよ」

男母「でも話し声が……女の子の」

男「で?だったら?」

男母「ま、まあ彼女いたら紹介くらいしてね」

男「……」バタン!

37以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 13:02:14 ID:8EVARhJE
翌日

男「ファ……朝か」

男「話し声……???」


天使「というわけなんです」

男母「まあ……男にこんな美人な彼女がいたなんて……」

天使「いえいえ美人だなんて」

男母「天使ちゃん可愛いわねぇ」


男「なにしてんの?」

天使「あっ、男君おはよう」

男母「彼女さんが訪ねてきたのよ」

男「彼女……彼女……!?」

男「(昨日のあの一声!?)」

38以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 19:28:23 ID:8EVARhJE
男「あーー……あー……うん」

天使「もう男君ってば」

男「うわっ」

天使「あ?」

男母「天使ちゃんみたいな可愛い彼女いたなんて……」

男「ちょっと来い」グイッ

天使「きゃっ!?」

39以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 19:33:21 ID:8EVARhJE
男の部屋

男「まさかとは思うけど」

天使「こっちのセリフです」

男「え?なにこれ」

天使「この可愛い天使ちゃんが彼女になったという事ですよ」

男「えっと……天使さん?はそれでいいの?」

天使「さんなんてつけないでください……」

男「……」ゾワッ

天使「貴方の願いは残り3つになりました」

男「えぇ」

天使「天界No.1のこの私を彼女にできるなんて相当の奇跡ですよ」

男「天界の男たちは節穴だらけか?」

40以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 19:42:34 ID:8EVARhJE
天使「まあこれはこれで都合がいいです」

男「?」

天使「あなたの幸せバロメーターを上昇させることに尽力できますから」

男「絶対に恨んで死んでやる」

天使「させませんよ」

男「ハァ……てか本当なのかよこれ」

天使「えぇ、まだ信じてないんですか?」

男「うん」

天使「こんなに可愛い彼女が出来ても!?」

男「自分で言うなや」

天使「貴方、ひねくれてますよね」

男「うるせ」

41以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 20:20:04 ID:8EVARhJE
男「大体俺は彼女いない歴で1世紀跨ぐだの本当は恋人いたのだの」

天使「どちらにせよ童貞です」

男「くそっ……!!!」

天使「……」サッ

男「なんだよ」

天使「やらせませんよ」

男「はい幸せバロメーター激下がりー」

天使「ッチ」

42以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 20:49:40 ID:8EVARhJE
天使「こっちだって不純行為はポイント下がるんですけど」

男「しねーから」

天使「ふーん」

男「つーかさ」

天使「はい?」

男「何でそんな従順に彼女になんてなるわけ?」

天使「あなたの願いのせいでしょう」

男「えぇ」

天使「あなたを考えると胸がキュンキュンします」

男「うわ」

天使「真面目に」

男「なんかごめん」

天使「一年の辛抱と考えれば」

男「クソッ!」

43以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 20:52:51 ID:8EVARhJE
天使「にしても」

男「ん?」

天使「貴方の資料を見ましたが」

男「資料だぁ?」

天使「お母様と仲良くできていないようですね」

男「……プライベートまるみえかよ」

天使「参考までに調べさせてもらいました」

男「なら仲良くねえのわかるだろ」

天使「えぇ、まあ」

男「あのババアが不倫してたせいで俺の人生めちゃくちゃなんだからよ」

天使「120歳まで生きるくせに」

44以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 20:58:25 ID:8EVARhJE
男「種を残せずにな」

天使「残念ながら当然」

男「まあでも今なら彼女いるし」

天使「ふえっ?」

男「いやしねーよ」

天使「まあ……でも、……いいけど」

男「それ本心?」

天使「なんでしょう?この感じ」

男「なんか申し訳ない気してきたわ」

45以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:21:08 ID:8EVARhJE
天使「なぜ?」

男「俺が願い成立させたせいで」

天使「気にしないでください」

男「めっちゃ気にする」

天使「かえって都合いいんで」

男「えぇ……なんか悔しくなったりしないの?


天使「不思議と心地いいです」

男「そ、そっか」

46以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:24:27 ID:8EVARhJE


ある日


男「俺、本当に来年死ぬんだよね」

天使「何度も言ってるじゃないですか」

男「なら勉強しても意味ないか」

天使「フリーターが公務員の勉強ですか」

男「うるせ」

天使「ちなみに貴方は実際だと結局運送業に就職します」

男「あ、駄目だったんだ公務員」

天使「えぇまあ」

男「アホらし!勉強やーめた!!」

47以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:27:20 ID:8EVARhJE
男「バイト増やして金稼ぐか」

天使「宝くじでも買えばいいじゃないですか」

男「いや、やめておく」

天使「願いが残ってるのに?」

男「勿体ない気がする」

天使「ふーん」

男「腹減ったな……」

天使「私も減りました」

男「えぇ」

天使「あそこ行きたいです サイゼリア」

男「……」

48以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:38:13 ID:8EVARhJE

サイゼリア

天使「うまっ」

男「サイゼごときで満足するんか……」

天使「サイゼリアってなんかこう天使の絵無駄に飾ってあって心地いいって天使仲間から聞いたことあります」

男「確かに無駄に飾ってあるが」

天使「このエスカルゴ美味しい」

男「ひえっ……俺それ苦手」

天使「間違い探しあるじゃないですか」

男「勝負すっか?」

天使「いいでしょう」

49以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:40:43 ID:8EVARhJE



男「はい10個目」

天使「くっ……」

男「弱いな」

天使「でも楽しかったです」

男「まぁ、うん」

天使「私帰りにアレ飲みたいです、タピオカ」

男「あーはいはい」

50以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:42:49 ID:8EVARhJE
天使「うーんこれがタピオカドリンク」モチュモチュ

男「いや天使ちゃん下界に詳しいな」

天使「まあ次に転生狙ってる身ですから」モチュモチュ

男「できないかもなのに」

天使「っせーな」

男「ねぇ、俺本当に死ぬの?」

天使「毎日聞いてきますね、死にますよ」

男「まじか」

51以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:52:31 ID:8EVARhJE
天使「いやー男さんも大分幸せでしょう?」

男「毎日がブルーなんですが」

天使「こんなに可愛い彼女がいて?」

男「言うほど彼女してるか?」

天使「な、なに言いたいんですか」

男「いやなんでも」

天使「あれですよ、こちとら手繋ぐだけでもポイント下げられるかもなんですから」

男「あーはいはい」

天使「まあ反比例で貴方のバロメーターが上がる可能性も否めないジレンマはありますけどね」

52以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:54:29 ID:8EVARhJE
天使「それじゃ、私帰りますね」

男「あうんお疲れ様」

天使「なんですかそれは彼女に対して」

男「いやお仕事お疲れ様って意味」

天使「ッチ」

男「やっと一人になれるし」

天使「一人になってナニするんですか?」

男「ナニもしねーし」

天使「ふぅん」

53以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 21:58:01 ID:8EVARhJE



男「……」ガチャ

男母「あ、おかえり」

男「……だいま」

男母「お母さんこれから夜勤だから」

男「……」バタン!

男「……ふぅ」

天使「まったく貴方は」

男「!?」

天使「ただいまも言えないんですか?」

男「さっきのさっきで帰ったんじゃねーのかよ」

天使「暇なんで」

男「いきなり部屋にいるな」

天使「半沢直樹見せてください」

男「ったく」

54以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 22:06:28 ID:8EVARhJE
天使「お母さん、夜勤行きましたね」

男「看護師だからな」

天使「あんな当たりかたしなくてもいいんじゃないですか?」

男「別にいいだろ」

天使「……」

男「資料見たんだろ?」

天使「まあ、細かくは書いてないですが」

男「父親母親揃って別々に不倫してるんだから笑えるよな」

男「父親には邪魔者扱いされるし」

男「クラスじゃ居場所無くなるし」

55以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 22:10:08 ID:8EVARhJE
男「あのババア同級生の母親と不倫してんだもん」

男「そりゃ面白おかしくイジメられるわ」

男「まあ、もう死ぬからいいけど」

天使「うだうだ言ってたってしょうがないじゃないですか」

男「うるせぇな」

天使「あぅ」

男「あ、ご、ごめん……」

天使「いえ、こちらも少し不用意な発言でした」

男「まあとにかく溝というか、そういう家庭環境なんでね」

天使「でもいい人でした」

56以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 22:11:42 ID:8EVARhJE
男「どこがだよ」

天使「温和というか」

男「断れないだけだ」

天使「私と一緒ですね」

男「全然ちげえよ」

天使「……」

男「抱かせて」

天使「無理です」

男「ほら」

天使「ッチ」

57以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 22:16:06 ID:8EVARhJE
天使「貴方はどーしたら幸せのバロメーター上がるんですか?」

男「そりゃ橋本環七みたいに可愛い子が嫁になってくれて天寿を全う出来れば」

天使「フッ」

男「ていうか俺って死ぬの?」

天使「ええ」

男「必ず?」

天使「必ず」

男「不可避?」

天使「不可避」

58以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 22:19:22 ID:2nGmqH8Q
天使「毎回毎回しつこいですね」

男「……いや、ごめん」

天使「じゃ私は天界に戻りますね」

男「さっきも戻ってたじゃん」

天使「っさいなぁ」

男「また明日な」

天使「……ふん」ファサッ

男「天使……か……」

男「現実味わかねえなあ」

59以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 22:24:34 ID:8EVARhJE
天界

神「死の回避?」

天使「無いの?」

神「無い事はない」

天使「!?ほんと!?」

神「因果律のメカニズムをいじくる方法がある」

天使「……??なにそれ??」

神「早い話、彼に子供ができるなりすれば新たな生命の誕生が因果を狂わせることになる」

神「それが吉となるかは結果次第じゃが」

天使「子供!?」

神「うむ」チラッ

天使「他に無いの!?」

神「んー……無いのお」

天使「ハァ!?」

神「調べてはいるんだが」

60以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 23:01:51 ID:8EVARhJE
天使「こ、子供ってあれでしょ?あれがあーしての結果でしょ?」

神「うむ 養子では無理じゃの」

天使「…………」

神「?」

天使「ア、アホくさ」

神「天使ちゃん」

天使「……なに?」

神「私も不注意とは言え……君は一人の人生を壊してしまった」

天使「……知ってる」

神「……」

61以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 23:05:08 ID:8EVARhJE


ある日

男「いいよ洗濯物とか」

天使「お母様のためにも私がやります」

男「それに食事も作らなくっていいって」

天使「彼女なんで」

男「いや、うん、俺が作るよ」

天使「!?」

男「あの、控えめに言って料理下手すぎ」

天使「控えてない!」

男「洗濯物もね、柔軟剤入れすぎ」

天使「っく」

62以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 23:07:18 ID:8EVARhJE
男「気持ちはわかったから」

天使「このままでは天使としてのプライドが」

男「なんかできることないの?」

天使「できること……?」

男「うん」

天使「子作り?」

男「ぶっふぉ」

天使「下界の人間を孕むのはまさに地に堕ちるというものですが」

男「急にどーした」

63以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 23:09:41 ID:8EVARhJE
天使「実は運命を変えられる方法に」

かくかくしかじか

男「なるほどね」

天使「確証は無いですが」

男「いやしないよ」

天使「えっ?」

男「するわけないでしょ」

天使「大丈夫ですよ!今なら死ぬ日までに日数は」

男「気持ちだけですごく嬉しいから」

天使「でも……」

男「そんなことしたら君が駄目でしょ」

天使「……」

64以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/12(日) 23:13:02 ID:8EVARhJE
男「そんなんまでして変えたくないから」

天使「……」

男「ごめんね」

天使「はい……」

男「まあ最近結構楽しいよ」

天使「……」

男「俺の幸せバロメーターってわかんないの?」

天使「わかりません……少なくとも私には」

男「そっか」

65以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 00:12:19 ID:MUYpRNrI
男「それに俺の願いみたいな形で彼女になってるわけじゃん?」

天使「……まぁ」

男「それが一番ひっかかるし」

天使「でも私は悪い気してませんよ」

男「それが願いだからでしょ」

天使「なっちゃったもんはしょうがないです」

男「言ってもさあ」

天使「それに一度彼女になった以上、別れる選択肢だって私にはあります」

天使「貴方の願いはあくまで彼女が欲しい。つまりその願いは一度達成されている」

男「確かに」

天使「そのあともこうして付き合っているのは私の意思です」

男「うぅん……まあそういうなら」

66以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 00:15:33 ID:MUYpRNrI
天使「何が心にひっかかるというのかは別れますが」

男「いやべつに」

天使「グスン」

男「やめろ白々しい」

天使「まあ願いとは別に100年分の幸運もちらほら表れるはずです」

男「ていうか幸運だけなん?不幸とか来ないだろうな?」

天使「そこら辺は調節してるんで」

男「ならいいけどさ」

67以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 00:17:59 ID:nyF4oclY
天使「ご飯食べに行きましょーよ」

男「そうだな」

天使「お金持ってるんですね、案外」

男「一応来年か再来年に専門行こうと思ってて貯めてた」

天使「……ですか」

男「まあ今となっては仕方ない金だからな」

天使「……」

男「そんな暗い顔すんなよ」

天使「はい……」

男「彼女がそれだと幸せバロメーター下がるわー」

天使「……」

68以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 00:20:46 ID:MUYpRNrI
男「ほら、行くぞ」

天使「は、はいっ」


クラロー

天使「これが回転すし」

男「言うてタッチパネルから頼むんだけどさ」

天使「私寿司って食べたことないです」

男「マジ?天界ってそもそも何くってんの?」

天使「基本的に食欲ってあんまりないんですよね、天界にいると」

男「ふーん」

69以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 00:26:41 ID:MUYpRNrI
天使「食欲にしても下界は欲求の宝庫なので……気を付けないといけません」

男「もう5皿食べてる人が言っても説得力ねーな」

天使「っく」



帰り道

男「食ったな」

天使「もうしばらくお魚はいいです」

男「白子食いすぎじゃね?」

天使「あれ美味しいですね どこの部位なんでしょう」

男「精巣だよ精巣」

天使「ひえっ」

男「まあ白子食ったぐらいじゃポイント減らないつしょ」

70以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 07:53:27 ID:5gXrQOrQ
期待

71以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:25:31 ID:1OBbqwbw
おもろい

72以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:41:18 ID:MUYpRNrI
男「夜なのに暑いな」

天使「そうですね」

男「天界にも季節ってあるの?」

天使「ないですね」

男「そっか」

天使「まあでも下界のファッションは好きですよ。四季折々なのが」

男「ふーん」

73以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:44:32 ID:MUYpRNrI
男「あのさ」

天使「何ですか?」

男「俺ってさ、来年死ぬんだよね?」

天使「しつこいですね……死にますよ」

男「ごめんごめん」

天使「あんまりしつこいと怒りますよ?」

男「確認よ確認」

天使「……」

男「どーしても現実味わかないじゃん?」

天使「死にます」

男「あい」

74以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:46:41 ID:MUYpRNrI
男「死因は?」

天使「さぁ?」

男「老衰かな……」

天使「そこらへんは神のみぞ知ると言いますか」

男「天使だよね?」

天使「神の使いなので」

男「はぁ」

75以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:49:45 ID:MUYpRNrI
2ヶ月後

男「お疲れ様でしたー」

周り「お疲れっす!」

男「……」

男「(何呑気にバイトなんてしてんだろ)」

男「(どーせ死ぬのに)」

天使「男さん」

男「うごっ!?」

天使「考え事ですか?」

男「あ、え、うん……」

天使「可愛い彼女が目の前にいるのに素通りなんですもん」

男「ごめんごめん、考え事しててさ」

天使「そうですか」

76以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:56:54 ID:MUYpRNrI
男「あ100円落ちてる」

天使「ラッキーじゃないですか」

男「……ハァ」

天使「拾わないんですか?」

男「うん」

天使「せっかくの幸運なのに……」

男「虚しくなるからやめて」

天使「もう2ヶ月ちょっと経ちましたね…」

男「だね」

天使「あのっ」

男「お腹空いてない?」

77以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 19:58:54 ID:MUYpRNrI
天使「えっ、あっはい」

男「どっか食べに行こっか」

天使「……はい」





男「雪か……」

天使「外でないんですか?」

男「やだよ寒いし」

天使「私雪初めてなんです」

男「だからなんだよ」

天使「雪合戦したいです」

男「そーか 一人でしてこい」

78以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 20:00:38 ID:MUYpRNrI
天使「さ、しますよ!」

男「えぇー……」

天使「フフフ!それー!」

男「んぼっふ!?」

天使「っしゃ!」

男「てめぇ……!」





男「ハァハァ」

天使「ハァハァ……そんなにムキになって……」

男「ムキになってねーし」

天使「どーでしょう?」

79以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/13(月) 20:02:39 ID:MUYpRNrI
天使「でも次は負けませんよ」

男「もう今季は雪降らねえだろ」

天使「そうなんですか?」

男「あぁ、だから次はない」

天使「……」

男「もうすぐクリスマスだな」

天使「はい……」

男「天界にもそういう概念あるん?」

天使「無いですよ、サンタクロースって下界の住人ですし」

男「そっか」

80以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:11:45 ID:JhAn.7BM
天使「でも面白いですね、日本のクリスマス」

男「何で?」

天使「もともとはキリストの誕生日じゃないですか」

男「うん」

天使「それが今や色欲の夜というイベント」

男「それが日本人です」

天使「その一週間後には仏教にシフト」

男「そういうもんです」

天使「クリスマス前はキューピッド担当は激務ですからね」

81以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:13:34 ID:JhAn.7BM
男「キューピッド担当……」

天使「恋の担当ですよ」

男「なにすんの?」

天使「その成就を手助けするってだけです」

男「天使ちゃんもしてたの?それ」

天使「うっ」ギクッ

男「やってたなその顔」

天使「……まぁ」

男「やらかした顔じゃねーか」

天使「失礼ですね」

82以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:30:44 ID:JhAn.7BM
天使「大変なんですよキューピッドも」

男「ふぅん」

天使「ポイント貯まらないし!」

男「そういや天使ちゃんの今のポイントどうなってるん?」

天使「それが秘密にされてしまって…」

男「マジか」

天使「……」

男「……」

天使「まあこれも自分のしでかした事ですから」

83以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:34:11 ID:JhAn.7BM
男「そんな顔するなよ……ってもするよな」

天使「すいません」

男「…………俺、来年死ぬんだよね」

天使「……はい」

男「そうだよな、ならこうしちゃいられねえ」

天使「?」

男「1日1日精一杯生きるわ」

天使「なんです?それ?」

男「意気込み!」

天使「はぁ……?」

男「バイトももうやめる」

84以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:38:16 ID:JhAn.7BM
男「幸せバロメーター上げたるわ!!」

天使「なんか……ごめんなさい」

男「もうこれから謝るの禁止ね」

天使「でも」

男「どうせ無駄な100年過ごして120歳まで生きる人生だったわけで」

男「だったらそれを上回る濃い半年以上にすればいいだけよ」

男「見とけよ100年童貞野郎!」

85以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:40:33 ID:JhAn.7BM

男の家

男「……」ガチャン

男母「あら、お帰りなさい」

男「た、ただいま」

男母「!」

男「……」

男母「ご飯は?」

男「ま、まだ」

男母「じゃあ作るわね」

男「うん……ありがとう」

男母「!!」

86以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:45:22 ID:JhAn.7BM
天界

天使「(どうにかして男君の死を回避させてあげないと……)」パラパラ

神「お勉強かの?」

天使「何」ピタッ

神「死は回避できん」

天使「……」

神「死の因果律を変えるには新たな生命の誕生しか可能性は無い」

天使「それすら不確定なんだね……」

神「天使ちゃん……」

天使「ハァ……死って何なんだろ」

87以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:50:45 ID:JhAn.7BM
神「すべての生命に与えられた平等じゃよ」

天使「不平等じゃん」

神「終着は死。それは平等に与えられているからの」

天使「かたや戦争ですぐ死んじゃう子と平均寿命まで生きる人の死が平等だとは思わないけど」

神「その通りでもある。が、どんな人間にも死は必ず訪れる」

天使「……」

神「天使ちゃん、こんなこと言うのも……あれじゃが……今は自分のポイントのことだけ考えた方が……」

天使「神の発言とは思えないわね」

88以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 00:56:08 ID:JhAn.7BM
神「決まったものはしょうがない」

天使「……」

神「ましてや男君自身が覚悟を決めておる」

天使「知ってる、だからこうして」

神「私も最大限の手回しはする」

天使「……何よそれ」

神「天使ちゃん、一応は彼の恋人だからの」

天使「れきっとした恋人です」

神「うむ。じゃからある程度の行為に減算は起きないようにしてある」

天使「ある程度ってなによ」

89以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 01:00:37 ID:JhAn.7BM
神「それに、二人の愛が本物であれはどの程度であっても減算にあたらないものとしてある」

天使「どの程度って……」

神「合体じゃ!」

天使「死ねスケベジジイ」

神「手回ししてあげたのに……」

天使「まあ、そこはお礼言っておく」

90以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 01:46:40 ID:JhAn.7BM



男母「あら天使ちゃん、いらっしゃい」

天使「お邪魔します……って男君は?」

男母「あら?あの子出ていったきりだけど……一緒じゃなかったの?」

天使「いえ……」

男母「フフフ、まあいいわ!上がって上がって」

天使「はいっ」

91以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 01:52:48 ID:JhAn.7BM
男母「最近一緒にご飯を食べてくれるのよ」

天使「そうなんですか」

男母「私、男君にさんざん迷惑かけちゃったから……」

天使「そんなこと」

男「ただいま」 ガチャン

天使「あっ」

男母「おかえりなさい」

天使「遅かったですね」

男「ケーキ買ってきた」

天使「!!」

男母「まあ……クリスマスケーキね」

男「母さん明日から夜勤続きでしょ?今のうちにね」

天使「ケーキ好きです」

男「知ってる」

92以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 01:55:59 ID:JhAn.7BM
男母「フフフ、楽しいわね」

男「……」モグモグ

天使「楽しいです」モグモグ

男「まあ……せっかくのクリスマスだからな」

男母「まさか男君がケーキ買ってくるなんて思わなかったわ」

男「でしょうね」

天使「美味しいです」モグモグ

男「食うの早ぇーなお前」

男母「来年はちゃんと豪勢に料理作るからね?」

男「……うん」

天使「……」

93以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:00:54 ID:JhAn.7BM


クリスマス・イヴ

男「やっぱカップル多いな」

天使「私たちもその端くれですよ」

男「イルミネーションだのなんだのくだらねぇーって思ってたけど」

天使「?」

男「恋人がいるとこうも景色が違うんだな」

天使「……」

男「いつもは素通りというか視界に入れないようにするけどさ」

天使「まあ結構綺麗ですよね」

94以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:06:49 ID:JhAn.7BM
男「クリスマスかあ」

天使「……(もう、彼には来年のクリスマスは来ない)」

男「ここで毎年ペロペロキャンディー配ってる外人のオッサンいたんだけどさ」

天使「そうなんですか」

男「あ、いた」

ボブ「貰ッテケ」

男「な?」

天使「いかついですね」

95以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:09:33 ID:JhAn.7BM
ボブ「!!」

男「こっち見た」

天使「手招きしてますよ」

男「しゃーない貰ってやるか」

天使「行くんですか……」


ボブ「お二人さん、コレ」

男「あ、ありがとブラザー」

天使「……」ペコ

ボブ「……」ジーッ

男「? なんすか?」

ボブ「君達、運命って信ジル?」

96以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:13:02 ID:JhAn.7BM
男「ぶふっ、なんすか急に」

天使「……」

ボブ「お嬢サンは?」

天使「……まあ、あると思います」

ボブ「運命は、グルグル」

男「はぁ……?」

ボブ「君らの思っテル終わり、ソレは決して終わりジャナイ」

男「よくわかりませんが……まあ運命ってのはあるんでしょうね」

天使「……」

97以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:14:37 ID:JhAn.7BM
ボブ「仲良くシロヨ」

男「あい」

天使「はい」

ボブ「お二人サン」

二人「??」

ボブ「また、いつかな」

男「……来年から海外いるんで!」

ボブ「フッ」

98以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:35:37 ID:JhAn.7BM
男「面白い人だったな、宗教チックだったが」

天使「うん」

男「んでさ、天使、これ」

天使「ふぇっ?」

男「クリスマスだし……はい」

天使「あぅ、プレゼントですか」

男「大したもんじゃないけど」

天使「開けていいですか?」

男「うん」

天使「……イヤリング」

男「まさに天使の羽根の」

99以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:41:43 ID:JhAn.7BM
天使「左右非対称なんですね」

男「こっちの柄はアンモライトって石が使われてるんだ」

天使「アンモらいと?」

男「まあ宝石みたいなもんよ」

天使「でもこの柄、結構好きです」

男「それはよかった」

天使「さっそく着けていいですか?」

男「えぇ……なんか恥ずかしいな」

天使「フフフ」

男「うん、似合ってる」

100以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/14(火) 02:44:27 ID:JhAn.7BM
天使「クリスマスって……悪くないですね」

男「そうだな」

天使「……」

男「天使がいてくれてから、楽しいんだと思う」

天使「あのっ」

男「楽しいって感じる度に少し胸が苦しくなるけど」

天使「っ……」

男「それでもさ、なんていうか……ありがとう」

天使「男……君……」ギュッ

男「ッ!?おい手なんて握ったら」

天使「平気です」ギュッー


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