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男「本当にいいんだな?」女「は、はい」

183以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:15:33 ID:pdLtShs6
女「男くんのおかげで合格して、今こうして過ごすことができています。本当にありがとうございました」ペコ

男「合格したのは女の実力で俺は関係ないだろ」

女「いえ、そんなことないですよ?」

女「あの日、私は朝から緊張していて……電車を降りて改札へ向かう時、切符がないことに気付きました」

男「あー、だからあの時バッグの中を……」

女「はい。今でも鮮明に思い出せます」

女「あの時……」

184以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:17:34 ID:pdLtShs6
女『あれ?ココに仕舞ったはずなのに……』ガサガサ

女『なんでないの?』ゴソゴソ

ドンッ

女『きゃっ!』

ドサッ バサバサバサ

女(バッグの中身が“落ちた”)ガーン

通行人『ボーっと突っ立って邪魔なんだよっ!!』

女『すみません、すみません!』ペコペコ

185以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:19:07 ID:pdLtShs6
男『よいしょっと』サササ

女『!!』

男『大丈夫か?』

女『は、はい、大丈夫です』

男『これで全部……かな』

女『うぅ……すみません……』

男『あと、この切符はお前の?』

女『あっ!そうです!あぁ……本当にありがとうございます』ペコペコ

男『そっちも受験?』

女『は、はい』

男『…………』

女『??』

186以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:22:06 ID:pdLtShs6
男『そうか、じゃ気を付けて』

女『はい、ありがとうございました』

ドサッ バサバサバサ

男『あ、しまった。俺も手が滑ってバッグを落としてしまったー』

女『え……』

男『演技悪いなー』

女『……』

男『これは意地でも合格するしかないな、お互いに』

女『……!!』

女『は、はい!』

187以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:24:31 ID:pdLtShs6
女「男くんがバッグ落とした時のセリフが棒読みで思い返すと笑っちゃって。ふふふ」

男「今思い出すと……恥ずかしい事をしてるな、俺は」

女「そんなことないです!!そのおかげで緊張が解けてリラックスできたんです」

男「そうか」

女「本当に……本当にありがとうございました」ペコ

男「いやいや、そんな大袈裟な」

女「高校に入学して、私は真っ先に男くんのことを探しました」

女「合格して同じ高校にいるなら、どうしても直接お礼が言いたかったんです」

男「ああ」

188以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:26:41 ID:pdLtShs6
女「そして、わりとすぐ男くんのことを見つけることが出来ました」

男「そうなの?」

女「はい」

女「違うクラスでしたが、あの人も合格してたんだ!って凄く……嬉しかった」

男「うん」

女「お礼を言わなきゃ、でもどうやって話しかけよう……そう葛藤してるうちに自然と男くんの事を目で追うようになりました」

男「……」

女「毎日男くんの事を考えて、いつも目で追って、そしてある日私は気付いたんです」

男「……」

189以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:28:08 ID:pdLtShs6
女「男くん」

男「……ん?」

女「私……」

女「私は、男くんの事が好きです」

男「……」

女「助けてくれたあの日からずっと、ずっと好きでした」

男「女……」

女「えへへ、言っちゃった」

190以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:29:31 ID:pdLtShs6
女「2年生になった時、男くんと同じクラスになって驚きました。だけど嬉しいはずなのに少し不安もあったんです」

男「不安?」

女「はい、自分でもよくわかりませんけど……どうせ私なんかって気持ちが強かったんだと思います」

男「そうか……」

女「そして偶然後ろの席になりました。男くんの後ろ姿を見れるだけで毎日幸せで……」

女「お礼を言うタイミングは掴めないままでしたが、こうして近くにいれるだけでも嬉しくて」

男「面と向かって言われると恥ずかしいな……」

女「私も恥ずかしいです!赤裸々に告白しちゃってます!」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:31:51 ID:pdLtShs6
女「でも、美少女さんが男くんの元へやってきました」

男「……」

女「片想いでもいいと半ば諦めかけていたんですが、美少女さんの存在によって私の中にある感情が芽生えたんです」

男「感情?」

女「嫉妬と焦りです。でも美少女さんは同性の私から見てもすごく綺麗で可愛くて……」

男「……」

女「どうせ叶わない恋ならせめてお礼だけでも言おうと毎日タイミングを伺ってました」

男「……」

女「でも男くんほぼ毎日美少女さんといて、しかも男くんも嬉しそうで」

男「あの時は……うん」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:34:18 ID:pdLtShs6
女「そしてあの日です。私が初めてこのお部屋にきた日」

男「うん」

女「その日の放課後、男くんが一人で帰る事を知った私は男くんを追いかけました」

男「……」

女「実は男くんが美少女さん達の会話を偶然聞いてしまった時、私も近くにいたんです」

男「え!?」

女「男くんは気が動転してるようで私には気付いていない様子でしたが……私もあの時の会話を聞いてたんです」

男「そう……だったのか」

女「あの時の男くん、本当に辛そうで……しばらく色んなところをフラフラしてました」

男「え、フラフラって俺が?」

女「はい」

男「全く記憶にないんだが……」

女「それほどショックを受けてたんです、男くんは」

193以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:35:55 ID:pdLtShs6
女「そして校舎に人気が少なくなった頃、男くんは教室に戻って行きました」

男「……」

女「私も偶然を装って男くんのいる教室に行きました」

男「……そして俺は女に……」

194以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:37:22 ID:pdLtShs6
男『なんの用だ』

女『あの、忘れ物を取り……』

男『…………』

女『大丈夫ですか?』

男『あ?』

女『すごく辛そうな顔してます』

男『ほっとけ』

女『で、でも』

男『俺のことはいいから帰ってくれ!』

女『……嫌、です』

195以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:38:18 ID:pdLtShs6
男『なに、じゃあ慰めてくれんの?』

女『えっ?』

男『抱かせてくれんの?』

女『っ!!そんな……』

男『じゃあ俺のことは放っておいて帰れ、帰ってくれ、頼むから……』

女『…………』

男『一人にさせてくれ……』

女『嫌、です』

男『おま――』

女『私でよければ……いいですよ』

196以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:39:35 ID:pdLtShs6
女「男くん、酷いのは私の方なんですよ?」

女「男くんが傷付いてるのを知って、男くんに誘われて、私は今しかないと思ったんです」

男「……」

女「男くんを美少女さんから私に、振り向かせるチャンスは今しかない、って」

女「だから男くんが私に対して罪悪感を持つのは間違ってます」

男「それは違う!」

女「違わないです!私は全てを知った上で男くんに近付いたんです」

男「……」

197以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:41:48 ID:pdLtShs6
女「でも男くんは私を見てなかった。行為が終わっても男くんは私を見てくれなかった」

女「それが悲しかった。ここまでしても視界にすら入らない存在なんだって思い知らされたから」

男「あの時は……うん、そうだな」

女「その次の日に男くんに謝られそうになった時、慌てて口を塞いでしまったのは……『ごめん』で昨日のことを終わらせて欲しくなかったからなんです……」

女「私とのことを過ちにしてほしくなかったからなんです」

男「……」

女「その日の放課後、美少女さんから逃げ出した男くんを見て私はまた追いかけました」

女「あの時の会話覚えていますか?」

男「あの時の?」

198以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:44:18 ID:pdLtShs6
男『だからヤったら何か変わるのかな、吹っ切れるかなって思っていたけど』
女『ぁ……』
男『結局なんも変わらなかったし、ただ女を傷付けただけだ』
女『それは……でも!きっと変わります!!変わるキッカケになって、、ほしいです』
男『どうしてそこまで』

女「あの変わるキッカケって私自身に言い聞かせてたんですよ」

男「そうだったのか」

女「その後すぐビンタしちゃいましたけど」

男「あれは俺が悪かった」

女「本当です!デリカシーなさすぎです!」

男「す、すまん」

199以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:45:52 ID:pdLtShs6
女「でもそのおかげで、男くんが少しづつ私を見てくれるようになりました」

男「ああ。ビンタされて以降ずっと考えてたよ」

女「…………」

女「男くん、私ね」

女「私、あのとき男くんに抱かれてよかった」

男「!」

女「ちゃんと変わるキッカケになったよ?」

女「こうやってお話できるのも、受験のときのお礼を言えるのも、今こうして想いも告げられたのもあの日があったからなんだよ?」

女「ありがとう、男くん。大好き」

男「女……」

女「えへへ」

200以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:46:50 ID:pdLtShs6
女「あ、返事はいらないよ!今大変な時だし、いい返事がもらえるなんて、私そこまで自惚れてないから」

男「いつの間にか敬語じゃなくなってるのな」

女「え?あ、ほんとだ!えへへ、ずっと溜め込んでた想いを伝えられてスッキリしたからかな?」

男「これを機に敬語は卒業してくれ」

女「はい、わかりました!」

男「言ってるそばから……わざとか?」

女「あはは、すみません、この喋り方も染みついちゃって……」

男「まぁ話しやすい方でいいよ」

女「ふふ、そうさせてもらいますね!」

201以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:47:43 ID:pdLtShs6
男「でもなんだ、お礼を言うのはこっちの方だよ」

女「?」

男「女がいてくれたから、美少女のこと引き摺らずにいられた」

男「だからありがとう」

女「男くん……」

男「最初は罪悪感でいっぱいだった。それが負い目になってたけど、それを含めて毎日女のことを考えるようになったんだ」

女「!」

男「今ならハッキリ分かる。この気持ちは……」

男「俺は女のことが――」

女「わー!わー!わーー!」///

男「!!?」ビクッ

202以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:49:12 ID:pdLtShs6
女「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!!き、緊張して、こ、心の準備が……はー、ふー」

男「なんでお前の方が緊張してるんだよ……告白は平気でしてたくせに」

女「だって!まさか!そんな!ありえないと思ってたんです!だって男くんがまさか……はぅぅ」//

男「今の俺の気持ちを聞いてほしいんだ。他の誰でもない女に……ダメか?」

女「だ、だめ……じゃ、ないです……」ウル

男「俺も好きだよ」

女「う、う、うぅぅ……」ポロポロ

男「女のことが好きだ」ぎゅっ

女「わ、わたしも……ぐすっ……だ、いすき、です!」ぎゅぅぅ

203以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 16:54:33 ID:pdLtShs6
一旦休憩で、22時以降に再開します

204以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 22:52:47 ID:pdLtShs6
男「落ち着いたか?」

女「は、はい」//

男「なんていうか……照れ臭いな」

女「は、はい」//

男「抱きしめたいままだけど苦しくないか?」

女「は、はい」//

男「女」

女「は、はい?」

男「はい、以外なにか言ってくれ」

女「そう言われましても……」

男「とりあえず離れるか」

女「だ、だめです!今はまともに顔見れません!」

男「なんで?」

女「恥ずかしくて……」//

男「そっか」

205以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 22:58:49 ID:pdLtShs6
女「もう少しこのままでいさせて下さい」

男「ああ」

女「……」

男「はぁ……」

女「ため息、ですか?」

男「自分がちょっと軽薄な気がして嫌になる。この短期間で美少女と女に惚れることになるなんて」

女「それは、、結果オーライです」

男「それに女には色々と情けない姿を見せてきたなぁと思って」

女「普段気丈に振る舞ってますもんね、男くん」

男「あんな情けない姿見せたのはお前くらいだよ」

女「私だけ……ふふっ」

男「なんだよ」

女「ううん、そんな些細な事でも嬉しいなぁって」

男「……」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:01:19 ID:pdLtShs6
男「そういえば昨日美少女となにしてたんだ?」

女「あ!」バッ

男「急に離れてどうした?」

女「男くんこそ……昨日美少女さんとここでなにしてたんですか」ジト

男「なにって、修羅場になってた」

女「昨日の続きってなんのことですか?」ジト

男「そ、それはあいつが勝手に……」

女「」ジー

男「ただ話を聞いて解決方法を提示しただけだ」

女「それだけですか?」ジト

男「そのあとほっぺにキスされたくらいでそれ以上……あ」

女「!?」

207以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:02:47 ID:pdLtShs6
女「ほっぺにキス!?それがその“くらい”の事なんですか!?」

男「海外では挨拶として当たり前の行為だろ?」

女「どこの国ですか!?」

男「えと、イタリア……とか?」

女「ここは日本です!良くないと思います!」

男「そんなこと言ったら俺と女なんてどうなるんだよ。それ以上のことしてるぞ?」

女「そ、それは……でも!むー……」

男「……」

女「……」ムス

208以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:06:19 ID:pdLtShs6
男「あ、そうだ!俺も一つ女としたいことがあったんだ」ズイ

女「な、なんですか?」

男「少し、目を閉じてくれると……ありがたい」

女「え!?は、はいっ!!」キュッ

チュッ

女「!!」

男「なんか順番があべこべになったけど、キスはしてなかったなって思って」

女「あぅ……」///

男「俺はちゃんと女だけを見てるから、信じてほしい」

女「うぅ……ごめんなさい、自分がこんなに嫉妬深いなんて思いもしなかったです」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:11:04 ID:pdLtShs6
男「前にも言ったけど体を重ねたのはお前が初めてだ。もちろんキスも」

女「わ、私もです!」

女「キスしたのも、その、アレも、ビンタしたのも男くんが初めてです」

男「俺も異性にビンタされたのは初めての経験だったな、ははは」

女「ご、ごめんなさいっ!」

女「でもこれから色んな初めてを男くんと経験していけたら……嬉しいです」

男「他の初めて……え、マジか。女って意外と大胆なんだな」

女「違います!!デートとかそういうのです!!バカバカ!」ポコポコ

男「あははは、冗談だって」

女「もー……」

210以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:12:47 ID:pdLtShs6
男「全部片付いたら改めて俺の方から女に告白したい」

女「……」

男「それまで待っててくれるか?」

女「……嫌です」

男「へ?」

女「その前に美少女さんに告白するんですよね?」

男「あー…………でもそれは――」

女「わかってます。それならせめて安心させて下さい」

男「安心?」

女「はい」

男「ん……えーと」

女「……」ジー

211以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:16:58 ID:pdLtShs6
男「女のことが好きだ。だから待っててくれ」

女「ま、まだ足りません」

男「女……大好きだ」

女「はぅぅ」///

男「……」

女「こ、言葉だけじゃ、まだ足りません」

男「……あー」ポリポリ

チュッ

女「っ!」///

男「こ、これで安心できるか?」

女「ま、まだ、ぜ、全然安心できません……」

男「そうはいってもこれ以上は……」

女「……」

男「女……まさか……」

女「……」カァァァァ

212以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:19:00 ID:pdLtShs6
男「えと、つまり……そういう事……だよな?」

女「は、は、はい」///

男「あ、でも俺シャワーとかまだ……」

女「え、えと……その、男くんの匂い、好きです。だからそのままでも……」

男「女……」

女「あ、わ、私はおウチでシャワー浴びてからきたので!で、でも嫌ですよね?い、今から帰って――」

男「……」ぎゅぅぅ

女「はぅぅ……」///

ドサッ

女「っ!」

男「女……」

女「あっ……男、くん……」

213以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:20:50 ID:pdLtShs6
――――
――

女「お家まで送ってくれてありがとう、男くん」

男「ああ、こちらこそありがとうな」

女「えへへ……ちょっと名残惜しいです」

男「そうだな」

女「もっと一緒に居たいです」

男「うん、そうだな」

女「全部終わったら、いっぱい構って下さい」

男「ああ」コク

女「約束ですよ?」

男「もちろん」

女「デートもしましょうね」

男「ああ」

女「えへへ」

214以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:28:04 ID:pdLtShs6
女「全部終わるまで……我慢します」

男「ああ、待っててくれ」ポンポン

女「……」

男「じゃあ俺は帰るから」

女「はい……」

男「おやすみ」

女「……おやすみなさい」シュン

男「そんな顔されると帰り辛いんだが」

女「だって……うう……でも……ううう……」

男「まぁ明日は休みだしもう少し一緒にいても――」

女「いえ!もう十分幸せな時間を過ごせました!」

女「なので今のうちに帰って下さい!じゃなきゃ今日は帰しません!」

男「お、おう、またな」

女「はいっ!おやすみなさい」

215以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:30:54 ID:pdLtShs6
6/29(月)

男「おはよう」

友「おはよっ男!いよいよ明日だね」

男「そうだな」

友「俺の考えは土、日で伝えた通り!プランAで行こう!」

男「貴重な休日を俺のために使ってくれて悪いな。感謝してるよ」

友「水臭いなぁ、俺と男の仲じゃないか」

チョンチョン

男「ん?」

216以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:32:28 ID:pdLtShs6
女「お、おはよう、ございます」

男「ああ、おはよ」ニコ

女「はぅぅ」///

友「おはよ女さん……ってどうしたの!?顔真っ赤だよ!?」

女「いえ、これは、その、えっと」///

友「…………男」ポン

男「頼む、今は何も言わないでくれ」

友「わかった。でも後でたっぷり聞かせてもらうよ、いいね?」

男「あ、ああ」

217以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:34:24 ID:pdLtShs6
――昼休み 屋上前踊り場

美少女「男、明日の件DQNに伝えたよ」

男「おーご苦労さん」

美少女「ねーねー、本当に大丈夫なの?」

男「それはわからないが、出来る限りのことはしてみる」

美少女「なにか作戦があるの?」

友「ふっふっふ。それは美少女さんにも言えないな。まぁ目には目を歯には歯をってね!当日を楽しみにしててよ」

美少女「そんな上手くいくかなぁ」

男「なんとかなるだろ」

美少女「あっ!上手くいくと言えば!」

男「?」

218以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:35:47 ID:pdLtShs6
美少女「金曜の夜、私ナイスアシストだったでしょ」

男「さぁなんのことだ?俺には何言ってるのかさっぱりだ」

美少女「とぼけても無駄よ。一部始終全部聞き出したから」

男「……」チラッ

女「っ!」

美少女「まあほとんどは惚気話だったけど」

友「それは是非俺も聞きたいなぁ」

女「うぅ……」

219以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:37:31 ID:pdLtShs6
男「別に隠す気はないんだ。ただ友にはもっとちゃんとした形で報告したいと思って」

美少女「あー、もー面倒臭いわねー」

『好きです』『俺も好きだ』
『うふふ』 『女!』ガバッ
『きゃー♪』

美少女「って感じよ」

友「なるほど!わかりやすい!」

男「うぐ……。否定できないのが腹立つ……」

女「はぅ」///

友「じゃあ二人は晴れて恋人同士になったわけだね」

男「いや?なってないぞ」

友「え?なんで?」

220以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:42:13 ID:pdLtShs6
男「それは全部片付いたらって思ってて」

美少女「変なところで律儀よねぇ。最初からあんな事したくせに」

男「……女さん?」チラッ

女「す、すみません……うう」

男「はぁ……いや、俺がとやかく言う筋合いはない」

男「友」

友「なになに?」

男「俺が女に対して負い目を感じていた理由なんだけどな」

友「おっ!ついに!!」

男「俺が女に迫って肉体関係を持ったからなんだ」

友「えっ?ええぇぇ!!!??」

友「うわー、それは想像の斜め上だったなぁ……男に限ってそれはないと思ってたけど」

221以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:43:53 ID:pdLtShs6
男「あの時は自暴自棄になってたとはいえ、人として最低なことをした」

女「違います!私が望んで受け入れたことです!」

男「それでも――」

美少女「ね、こいつら面倒臭いでしょ?」

友「あはは!そうだね。それにしても驚いたなぁ。まさか男がそんなことしてたなんて」

男「……返す言葉もない」

美少女「二人してウジウジしてるもんだからこの前、女の背中を押してあげたのよ」

友「なるほどー」

美少女「きっかけも後押しも私!いわば二人のキューピット!もっと感謝しなさい」

男「……うーん?」

女「あ、ははは」

222以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:45:51 ID:pdLtShs6
――放課後

友「男!最後の大仕事があるんだ、悪いけど付き合ってくれる?」

男「ああアレか……もちろん手伝うぞ」

友「そんなわけで女さん、こいつ借りていくね」

女「あ、はい!」

美少女「私は何か手伝うことないのかしら?」

友「美少女さんは……特にないね」

美少女「そう?じゃあ女は私がもらっていくね」

女「うん、美少女ちゃん一緒に帰ろ」

友「二人ともいつの間にか仲良くなったんだね」

美少女「ふふ、女の子は色々あるのよ」

223以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:46:54 ID:pdLtShs6
友「いやぁ可愛い子が二人並ぶと絵になるなぁ。眼福だよ!」

美少女「でしょ?私はもちろんだけど、女も男には勿体ないくらい可愛いよね」

女「えぇぇぇ、私はそんな……」

美少女「男もそう思ってるんでしょ?ね?どうなのよ、ほらほら」

男「友、時間が惜しい。行こうか」

美少女「ぶーぶー、つまんない奴」

友「あはは!そういうわけでお二人さん、また明日ね」

224以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/18(木) 23:53:14 ID:pdLtShs6
本日はここまでになります
今日中に完結させたかったのですが力不足でした
明日には完結すると思いますのでお付き合い頂けたら幸いです
それでは

225以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:12:48 ID:tNx8jJ56
6/30(火)

――朝 教室

友「いよいよだね」

男「ああ」

友「ごめん男。プランAは……なかなか難しいかもしれない……。一応ギリギリまで粘ってはみるけど」

男「いや、もう一つの案でいこう。流石にもう時間が足りない」

女「?」

友「んー……。もう一つの案は多少強引な手段になるし男の負担がかかる可能性が高いからできれば避けたいんだけどなぁ」

女「えっ!?」

226以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:14:04 ID:tNx8jJ56
男「俺の事は……まぁなんとかなるだろ。上手くやるよ」

友「男はそれでいいの?」

男「ああ」

女「あ、あの!」

男「ん?」

友「どうしたの?女さん」

女「もしよければお話を聞かせてもらえますか!?」

男「え?」

友「え?」

女「お願いします!」

227以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:14:55 ID:tNx8jJ56
――昼休み

男「俺は反対だ!」

女「私も少しはお役に立ちたいんです!」

友「んー…………」

男「これ以上お前を巻き込みたくないんだ!」

女「ただ準備のお手伝いをするだけです!危険なことはしません!」

友「んー…………」

男「……いやでも……」

女「お願いします」

友「ねぇ男。この三人の中では女さんが適任だと思う。というか実際俺ら二人じゃ無理だったし……ここは任せてみるのはどうだろう?」

男「…………」

228以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:15:52 ID:tNx8jJ56
友「女さんの言うように危険はないよ。ちょっと無茶はしてもらうけど」

女「男くん、お願いします……」

男「……」

女「男くん……」

男「どちらにしろ時間が足りない」

友「このままじゃそうだね」

友「女さん、学校終わってからじゃ多分……いやきっと間に合わない。もし協力してくれるなら早退してもらうことになるけど」

女「はい。そのつもりです。間に合わせてみせます!」

男「はぁ……そこまでしなくても……本気なのか?」

女「男くんだけじゃない、美少女ちゃんにとってもきっといい方向に向かうと思うんです」

女「なので男くんが止めても私は行きます」

男「………………はぁ」

229以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:18:16 ID:tNx8jJ56
男「わかった。だけど女が関わるのは準備段階までだ。本番の放課後には関わらないでくれ」

女「はい。わかりました」

友「…………」

女「では失礼します!なんとか間に合わせてみせます!」

男「……すまん、頼んだ」

友「…………」

男「はぁ」

友「女さんって意外と意志が強いんだね、ちょっと驚いたよ」

男「むー」

友「あのさ男……いっその事……」

男「なんだ?」

友「いや、なんでもない」

男「??」

230以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:20:52 ID:tNx8jJ56
――放課後 教室

友「女さんと連絡は?」

男「ダメだ。電話もメッセージも気付いてない」

友「女さん間に合わなかったか……」

男「ああ。でも問題ない」

友「ちゃんとアレ持ってる?」

男「あるぞ」スッ

友「よし。男、確認だけど殴っちゃだめだよ。例え正当防衛でも」

男「わかってる。そんなつもりは一切ない」

友「そうか、ならいいんだ……頑張ってね」

男「友はまだ準備残ってるのか?」

友「んー、あとはマットを借りるくらいかな」

男「マット??」

友「念のための保険に……って、ほら時間がもうないよ!」

男「そうだな、さっさと済ませてくるか」

231以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:23:18 ID:tNx8jJ56
――校舎裏

男(お、美少女いた。DQN達ははあの辺に隠れてんのか?)

美少女「!」

男「よぉ美少女。元気か?」

美少女「ねぇ……大丈夫なの?」ボソ

男「ああ。ちゃんと告白するから遠慮せずにフッてくれ」ボソ

美少女「男……」

男「じゃあするぞ」ボソ

美少女「うん」ボソ

男「美少女、大事な話があるんだ」

美少女「……」

男「俺はお前のことがす――」

女「ちょ、ちょっと待って下さいっ!!はぁはぁ」

232以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:25:37 ID:tNx8jJ56
男「女!!?」

美少女「え…………!!!!?」

男「!!!」

美少女「な、んで……ど、うして、ここに……」ジワッ

女「はぁはぁ、ま、間に合いました〜」ブイッ

男「お前なぁ……ここには顔出すなって言ったよな?」

女「そうでしたっけ?えへ」

男「ったく……でも、まぁよくやった」

女「はい、頑張りましたっ」

美少女「う、う、うぅぅ」ボロボロ

男「こうやって顔合わせるのは初めてだな」

男「よく来てくれた、友子さん」

233以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:28:03 ID:tNx8jJ56
友子「うっ、ぐすっ……美少女……ごめ、ごめんね」

美少女「ぐすっ、ううん……やっと会えた……会い、たかった!」ポロポロ

友子「美少女っ!」ぎゅっ

美少女「うぅぅ……うわぁぁぁん」

ヤンキー「おい、こらぁぁ!!」ガサッ

ヤンキー「感動の再会か?マジでなにしてんのお前ら」

友子「っ!!」ビクッ

男「……」

ヤンキー「それともあの時の“続き”をしに戻ってくれたの?友子ちゃん」ニタァ

友子「ひっ」ビクビク

男「女、美少女と友子さんを連れて下がっててくれ」

女「は、はい」

234以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:29:29 ID:tNx8jJ56
ヤンキー「おめーが仕組んだのか?どーすんだこれ?」

男「だったらどうする?」

ヤンキー「こっちが聞いてんだ、答えろやボケ!!」

男「そうだ、俺が仕組んだ。もうあの二人を解放しろ」

ヤンキー「あっははは!バカだな!お前が告白してれば解放されてたっつーの!自分から破棄してんじゃザマァねぇな!」

男「本当に俺が大人しく告白していれば解放してたのか?」

ヤンキー「それが条件だからな。てかおめーどこまで知ってんだ?」

235以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:32:20 ID:tNx8jJ56
男「解放するために条件をつけている事くらいしか知らないが、どうせ美少女のこと解放するつもりなんて端からないんだろ?」

美少女「え……?」

ヤンキー「はははっ!ちゃんと約束は守るつもりだったぜ!でもこいつはDQNのお気に入りだからなぁ」

美少女「……何が言いたいのよ?」

ヤンキー「この二人以外なら関わっていいんだよなぁ?例えば美少女の妹ちゃんとか」ニヤァ

美少女「!!この、クズが……!!」

ヤンキー「あっははは!そうしたらお前からまた俺らのところに戻るだろ?もう諦めろよ!」

236以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:35:34 ID:tNx8jJ56
男「ははっ、本当救いようがないほどのクズだな」

ヤンキー「ああ?なにテメー喧嘩売ってんの?」

男「別に売ってるつもりはないが……そう聞こえてしまったなら謝るよ」

ヤンキー「人様に接するマナーがなってねぇんじゃねぇか!?おい!」

グイッ

男「胸倉掴むのが人様に対するマナーなのか?」

ギュゥゥゥゥ

ヤンキー「っってぇぇぇ!!指がっ!!てめぇ!!ブッコロす!!」

ブン

男「!!」ヒョイ


男「いきなり殴りかかってくるとは、穏やかじゃないな」

237以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:38:44 ID:tNx8jJ56
ヤンキー「おめーが吹っかけてきたんだろ!!死ねやごらぁぁ!!」

ブン ブン
ヒョイ ヒョイ

男「当てるつもりあるのか?」

ヤンキー「てんめぇぇ!!」

ジャリ バッ

男(ふーん目眩しで砂ね。で、すぐに大振りの右ストレート……)

男(面倒くさいな……少し黙らせるか)

ヤンキー「オラしねやぁぁぁぁ!」

ブンッッ
ガシッ

ヤンキー「なっ!!?」

男(相手の右を掴んで……カウンターでこいつの顔面に――)

ビュン ピタ

男「ってやるわけないだろ、寸止めだ」

ヤンキー「!!」ストン

238以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:40:28 ID:tNx8jJ56
美少女「……す、すごっ……」

女「お、男くん……」ハラハラ

ヤンキー「な、な、なんだよこいつ……はぁはぁ」

男「まだやるか?」

ヤンキー「て、てめぇぇ!!」

DQN「はははは、ヤンキー。そいつはお前にゃ無理だ、やめとけ」

ヤンキー「DQN!」

男「なんつー登場の仕方だよ……漫画の世界かここは」

DQN「よぉ男、会いたかったぜ」

男「初めまして、だよな?同じ学校なんだからいつでも会えただろ」

DQN「そうやって相手を挑発して自分のフィールドに持ち込む戦法だろ?姑息だねぇ」

男「いや、正直な感想なんだが」

239以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:42:13 ID:tNx8jJ56
ヤンキー「てめぇぇぇ!舐めてんのかごらぁぁ!!」

ブン
ヒョイ

男「てかこいつを黙らせてくれ、まともに話も出来ない」

ヤンキー「じゃあおめーの負けってことでいいんだよなぁぁ!!」

ブン
ヒョイ

DQN「ヤンキー、ちょっと黙ってろや」

ヤンキー「あぁ!?命令してんじゃねーよ」

DQN「二度目はないぞ」

ヤンキー「…………ちっ」

男(本当なんだよこのノリ……)

240以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:44:37 ID:tNx8jJ56
DQN「美少女、俺が提示した条件忘れてねぇよな?」

美少女「……」

DQN「賭けは俺の勝ちだ。約束通り卒業まで俺に服従してもらうぜ」

美少女「嫌よ」

DQN「はぁ?」

美少女「アンタなんかに服従するくらいなら死んだ方がマシ!」

DQN「嫌なら条件を満たせばよかっただろ?お前は失敗したんだよ。逆らう権利はない。家族を不幸にされたいなら話は別だが」

美少女「なによ条件って解放って……アンタ達が作った勝手なルールで私達を縛り付けないで!!」

美少女「そもそも最初に色々やってきたのはアンタ達でしょ!私は普通に暮らしてただけ!!」

美少女「そうよ!元を辿れば全部アンタ達が仕組んだことじゃない!なにが条件よ!理不尽にも程があるわ!!」

DQN「いいねぇ、その威勢の良さ」

美少女「は?」

241以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:46:21 ID:tNx8jJ56
DQN「人間って面白いよなぁ。そう思わないか男」

男(いきなり俺に振るなよ)

DQN「俺はよぉ、学校を舞台にした群像劇を特等席で見たいんだよ」

男(なんか語りだしてるし)

DQN「特に絶望した表情が好きでなぁ」

DQN「なんも苦労を知らねぇような幸せそうな奴によ、ちょっと手を加えてやるだけでこの有り様だぜ?」

男「……」

DQN「だけど俺も鬼じゃない。絶望した奴が俺に救いを求めて懇願してくるから、条件を提示して救ってやってる」

242以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:47:22 ID:tNx8jJ56
男「救ってやってるとは随分上から目線だな」

DQN「俺にはその力がある」

美少女「なにが力よ……全ての元凶なだけじゃない」

DQN「ちゃんとそいつに合った適切な条件を提示してるつもりだぜ?無理難題はふっかけてない」

美少女「……」

男「俺が美少女に告白してもどうせ解放する気はなかっただろ?さっきそこのバカがペラペラ喋ってたぞ」

ヤンキー「 ああ!??やんのかゴルァァ!!」

DQN「解放してやるとな、安堵な表情を浮かべるだよ。そこでまたちょっと手を加えてやるとどうなると思う?」

男「……」

DQN「前以上に絶望した表情が見られるってわけだ!ははは!たまんねぇよな!」

243以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:49:29 ID:tNx8jJ56
男「どちらにしろ美少女を解放する気はないんだな?」

DQN「お前が俺の条件を飲むなら解放してやってもいい、どうする?」

男「くだらない」

DQN「は?」

男「悪いが俺はお前のいう条件には乗らない。その上で言わせてもらう。美少女たちには二度と手を出すな」

男「いや、言い方が悪いな。こんな下らないこと二度とするな」

DQN「はははは!いいねぇ。俺が目を付けただけの事はある」

DQN「なんとなくわかるんだよな。脅しに屈しない奴って。そして俺はそんな奴の絶望した顔が見たい」

男「だから俺を狙ってたのか?」

DQN「ああ。だがもうこの遊びも飽きてきた事だし辞めてやってもいいぞ」

244以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:50:58 ID:tNx8jJ56
男「……」

DQN「元々お前で最後にするつもりだったんだ」

美少女「嘘よ!騙されないで男!」

DQN「ははは!それでどうする?お前が俺の条件を呑むならこんな事は二度としないと誓うが」

女「男くん……」

男「だーかーらー、俺は乗らない。でも辞めてもらう」

DQN「そりゃそうだよな。こんな簡単に乗ってくるような奴じゃないよな」

男「……」

DQN「実はよぉ、男が絶望するような事……正直なにも思いつかなくて参ってたんだぜ?」

男「……」

DQN「なにをエサにしたら男が釣れるか考えて美少女を送り込んだがそれも失敗」

美少女「!?」

男「……」

245以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:52:42 ID:tNx8jJ56
DQN「でもよ、お前最近ある女子と仲良くなってるんだってな?極上のエサがノコノコ自分から現れてくれて助かったぜ」ニタァ

男「……まさかっ!」

女「きゃっ!!」

ギャル「大人しくしてな」グイ

男「女っ!!」

DQN「はっはははは!!この顔、たまんねぇぇな!!」

DQN「へぇ結構上玉じゃねぇか。あいつらが好きそうな顔してるぜ」

ギャル「オヤジ受けも良さそうだし“バイト”させる??」

ヤンキー「へっへっへ、その前に味見させてくれよ」

DQN「ああ、お前らの好きにしていいぞ!」

246以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:56:40 ID:tNx8jJ56
男「おい、女には手を出すな」ギロ

DQN「ははははっ!お前が乗ってこないから代わりにこの女に頑張ってもらうだけだ!」

男「ああ、そうか分かった。お前らがその気なら俺も遠慮はしない」スッ

女「男くん!!?」

DQN「はははやる気か?いいぜ!おいヤンキー!俺が“一方的に暴行されてる”ところちゃんと撮影しとけよ?」

ヤンキー「りょーかい!」

DQN「さあ、こいよ男!!停学か退学か?俺が被害届けを出せば警察案件か?どちらにしろお前は終わりだ!お前のいない学校でこの女を好きにさせてもらう!!」

女「男くん!!ダメっ!!!」

男「……」

男「そうか」

男「なるほど……友の奴ここまで計算して」ボソ

247以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 15:57:43 ID:tNx8jJ56
男「おい」

DQN「あ?」

男「そうやって他の人たちも陥れていったのか?」

DQN「はははは!そうだ!!美少女だけじゃない、色んな奴をな!!」

男「いったいどれくらいの人を脅迫したんだ?」

DQN「お前は踏みつけた蟻を一々数えてるのか?数えねぇよな!ははは」

男「…………」

DQN「これこれ、これだよ……過去一番唆るぜ、お前の絶望したその表情がよぉ!!」

男「……」

DQN「だけどな、お前が俺の条件を呑むなら女を解放してやる」

DQN「二度と手を出さないことを誓う」

DQN「どうだ?お前が頷くだけで女は解放されるんだ」

248以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:03:06 ID:tNx8jJ56
男「一つ聞きたい」

DQN「なんだ?」

男「そんな絶望してるように見えるか?」

DQN「あ……?」

男「ちゃんと録れてるかな」ササッ ピッ

DQN「なんだそれは」

男「見たことないか?ボイスレコーダー」

DQN「……!」

男「おーい!もうこれくらいで十分だろ?友」

友「よいしょっと……」 ガサガサ

友「まぁ本人の自供もたっぷり撮れたしオッケーかな」

DQN「!?」

友「男、ご苦労様!女さんも巻き込んじゃってごめんね」

男「お前なぁ……こうなる事がわかってて女をこの場に送り込んだろ」

友「ごめんって!でもおかげで証拠映像はバッチリ撮れたよ!」

249以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:04:44 ID:tNx8jJ56
女「は、離して下さいっ」バッ

ギャル「あっ!?」

女「男くん!」タタタ

男「怪我はないか?」

女「はい!私は大丈夫です」

友「美少女さんたちもこっちに来て!」

美少女「うん!行こ、友子」

友子「う、うん」

DQN「それで、どういうつもりだ?」

男「お前らの脅迫現場を撮ることが目的だった」

DQN「へぇ……それで逆に俺たちを脅そうってか」

男「ああ。これが出回ったらどうなるかくらい想像できるだろ?」

DQN「……」

男「今回の証拠映像と音声データ。さらに過去の被害者たちの証言もこっちにはあるんだ。言い逃れは出来ない」

250以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:05:46 ID:tNx8jJ56
ギャル「ね、ねぇDQN、これってヤバいんじゃない!?」

ヤンキー「別にヤバくねーだろっ!こんなことくらいで!なぁDQN!」

DQN「……」

男「他にもあるけど聞きたいか?例えば……」

男「いや、こういうのはお前に任せる」ポン

友「任されましょう」

ヤンキー「ああん!?部外者は引っ込んでろ!!」

251以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:07:44 ID:tNx8jJ56
友「では、ゴホン」

友「ギャルさん」

ギャル「……なによ」

友「裏垢で身バレできるようなモノ載せるのは危険だよ?」

ギャル「なっ!!?」

友「承認欲求強いんだね。まさかあんな姿を……」

ギャル「うそ……なんで……」

友「そんなに身体を見られたいならさ」

ギャル「!!?」

友「全校生徒に見てもらう?」

ギャル「い、、いや……!!やめてっ!!」

友「それは今後のギャルさん次第かな」ニコッ

252以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:08:57 ID:tNx8jJ56
友「ヤンキーくん」

ヤンキー「な、なんだよ」

友「俺、ばあちゃん子なんだ。君と同じで」ニコ

ヤンキー「っ!!」

友「人は見かけによらないなぁ。いや、漫画のヤンキーキャラってこんな感じのイメージかも!」

ヤンキー「……」

友「ヤンキーくんのおばあちゃん、初対面なのに凄く良い人でさ」

ヤンキー「おま、会ったのか!?」

友「男と二人で訪ねたら快く招き入れてくれてね。俺はそんな良い人の悲しむ顔は見たくないなぁ」

ヤンキー「てめぇぇ!!脅しのつもりか!?」

友「脅しだよ。過去に君たちがしてきたモノと同じね」

ヤンキー「くっ……」

253以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:10:33 ID:tNx8jJ56
友「次は」チラッ

DQN「……」

友「この情報はあえて男には黙ってたんだけど」

友「男さ、昔大会でDQNくん会ってるんだけど覚えてない?」

男「どの大会?……空手?キック?」

友「違うよ、柔道の方」

男「あー……あぁ……うん?」

美少女「アンタどれだけやってんのよ……」

男「親父の趣味だ。高校までの約束だからもう辞めたけど」

友「DQNくんは二回戦で男と戦って負けてるんだよ」

友「しかもその試合の後すぐに男は残りの試合を棄権して帰っちゃって」

男「あー!そんな事もあったなぁ」

DQN「……」ピキピキ

友「その理由に納得できずに未だに根に持ってるんだよね?」ニコ

254以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:12:16 ID:tNx8jJ56
美少女「ねぇ、なんで棄権したの?」

男「見たいテレビ番組の録画を忘れてたんだ」

女「え……男くん……」

美少女「あー……そりゃ怒るわ」

友「あはは!親父さんもカンカンだったよね!」

男「イヤイヤやらされてたから反抗したかったのもあるな」

DQN「てめーら談笑してんじゃねぇよ!!」ガンッ

友「あ、ごめんごめん、ぷっくく」

DQN「人のことコソコソ嗅ぎ回って弱味握ったつもりか?」

友「あはは!そのセリフそっくりそのままお返しするよ」

255以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:13:30 ID:tNx8jJ56
DQN「あー、なんかもう面倒くせぇな……証拠、証言?それがどうした?今ここでお前らごとぶっ潰せば済む話だろ!!」

男「そんなことさせないが?」

DQN「ヤンキー、怖モテさんのところの仲間に連絡しろ」

ヤンキー「!!」

男「怖モテさん?」

友「」ニヤ

ヤンキー「名前くらい聞いたことあるだろ??お前らもう街歩けなくなるぜ」

DQN「ははは、まぁそういう事だ!美少女たちは巻き込まれちまうけどしょうがないよなぁ」

DQN「まぁお前らがその証拠を全部破棄するなら穏便に済ませてやってもいいが……どうする?」

256以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:14:34 ID:tNx8jJ56
友「連絡したらいいんじゃない?俺らも久しぶりに会いたいし。ね、男!」

男「やっぱりあの怖モテさんか!元気してるのかな」

ヤンキー「!?」

DQN「つまんねぇハッタリだ!もういい、怖モテさんに直接確認しろ!!」

ヤンキー「お、おう!」

ピッ

ヤンキー「もしもし、お久しぶりっす!ちと聞きてぇんすが、男ってやつ知ってます?」

ヤンキー「え?あ、いや、知り合いっていうか、ちょっと今、その男と揉めてまして……」

ヤンキー「え!?は、はい、すんません……分かりました。失礼しゃっす」

257以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:17:54 ID:tNx8jJ56
DQN「……怖モテさんはなんて?」

ヤンキー「……男のこと弟みたいなモンだから手を出すなって」

DQN「……」

友「ま、そういうこと。あとバックに怖モテさんが付いてるとか冗談でもやめてくれない?」

DQN「あ?」

友「面識があるのは確かだろうけど、君らがつるんでるのはその末端たちでしょ?」

DQN「……」

男「その事についてあとで怖モテさんに連絡して確認してみるかな」

友「あ、それは大丈夫!もう俺から怖モテさんに確認済みだし、対処するってさ」

男「お前……恐ろしいな……」

DQN「チッ、くそ……」ガンガンッ

友「俺の仕事はここまで。この後どうするかは男が決めてね」

258以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:19:37 ID:tNx8jJ56
男「そうだなぁ」

男「まぁ俺も鬼じゃない。条件を呑むならお前らを解放してやってもいいがどうする?」ニヤ

DQN「……」

ヤンキー「こいつ!!」

ギャル「ね、ねぇ条件って……私たちに何させる気!?」

男「何させる気かって?逆だ逆」

男「何もするな」

DQN「……」

ヤンキー「ああん?どういうことだ!?」

男「こんなバカな事は二度とするな。俺は一貫してそう言ってたはずだが」

259以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:26:37 ID:tNx8jJ56
ギャル「そ、それだけでいいの?」

男「ああ。でも言葉の揚げ足とりはやめろよ?」

男「暴力、脅迫、恐喝、強要。迷惑行為全般、それ等をしないと誓え」

男「もし誓えないなら、お前らには然るべき措置を講じる」

男「仮に誓ったとして今後お前らとその仲間たちが迷惑行為を行った場合も同様だ」

男「まぁ普通に学校生活を送れってことだ。そんな難しいことは要求してないつもりだが」

友「こちらの条件に従うなら誓約書にサインをお願いしまーす!」 ペラペラ

260以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:28:30 ID:tNx8jJ56
ギャル「ねぇヤンキー、DQN、こいつらの言う通りにした方がいいんじゃない?」

ヤンキー「……あぁ」

DQN「……」

男「あ、それと迷惑かけた奴にちゃんと謝罪しろよ。その場は設けてやるから」

DQN「――ざけやがって」

男「?」

DQN「ふざけやがって!!調子に乗ってんじゃねぇぇぇぇ!!」

男「!!」

ガシ

男「おい!!ここだと投げられた方はただじゃ済まないぞ!?」

DQN「うおぉぉぉぉぉ!!」

男「くっ!!」

261以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:33:48 ID:tNx8jJ56
女「男くんっっ!!!」

男「大丈夫だ!離れてろ!!」

DQN「ぶっ殺してやる!!おおぉぉぉ!!」

男「っ!!!」

男(ヤバい!こいつは経験者だ!このまま消耗戦に持ち込むか!?くそ、せめて投げられれば)

友「今だ!皆!持ってきて!!」

ザザザッ
サッ

美少女「え!?アンタたちはっ!!なんで!?」

男「マット!!友、お前って奴は!!」

友「ぶちかましちゃえ男!!」

DQN「おぉぉらぁぁ!!死ねぇぇぇ!!」

男「はぁぁ!!」

262以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:35:06 ID:tNx8jJ56
男「あぁ思い出したわ。お前のこと、試合のこと」

グイッ

DQN「!?」

男「この技で俺の勝ちだったよな!?ちゃんと受け身とれよ!!」

DQN「なっ!!」

男「ふん!!!」

ガッ
フワッ

DQN「!!!??」

ドンッ

DQN「くはっ!」

友「おお!!内股っ!!綺麗に決まったね!」

263以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:37:03 ID:tNx8jJ56
女「す、すごい……」

男「はぁはぁ……ふぅ……」

DQN「くそ、くそぉぉぉがぁぁぁ!!」ガンガン

男「もう諦めろ。大人しく過ごしてればこっちからは何もしない」

男「ただ、また悪さしてみろ……その時は遠慮なくいかせてもらう」

男「それが俺たちから出す条件だ。守れるなら解放してやる。どうだ?」

DQN「く、くそ…………」

264以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:41:39 ID:tNx8jJ56
美少女「てか、あんた達ここまで用意してたわけ!?」

友「あらゆる事態を想定してね。備えあれば憂いなしっていうし」

友「目には目を歯には歯を、だよ」ニコ

美少女「はぁ……あの時の言葉はそういう事だったのね」

友「他にも用意してたのあるけど知りたい??」

美少女「今はやめておくわ。それにしても……彼らまで呼んでたなんて……」

友「キモオタくん、ガリ勉くん、モブ男くん、成金くん、君に振られて被害に遭った人達だよ」

美少女「…………」

友「あ、大丈夫!事情は説明してあるし、彼らは美少女さんのことを恨んでるわけじゃないよ!」

スタスタスタ

美少女「ずっと謝りたいと思ってたの……みんな、あの、本当にごめんなさい」

265以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:46:42 ID:tNx8jJ56
――――
――

男「美少女は?」

友「友子さんと一緒に帰ったよ」

男「そうか……」

友「お疲れ様、男」ポン

男「ああ、疲れた」

友「とりあえず今できることは終わったね。後は今日いなかった仲間達にもこれを書かせれば解決かな」ヒラヒラ

女「誓約書まで作ってたんですね」

友「だってあいつら口約束だけじゃ信用できないしさ」

友「それに、友子さんが安心して学校生活を送れるようにならなきゃ意味ないじゃない?」

男「本当お前が味方で心強いよ。助かった、ありがとう。友」

友「何言ってんのさ、俺がしたのは補助だけ。男が行動しなかったらここまでの成果は上がらなかったよ」

266以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:48:49 ID:tNx8jJ56
男「女も怖い思いさせて悪かったな」

女「全然大丈夫です!」

友「それにしてもよく友子さんを連れ出してこれたね!」

男「俺ら二人じゃ門前払いだったからな」

女「ふふっ、いきなり知らない男の子が家にきたら誰だって警戒しますよ」

男「本当よくやった、女」ナデ

女「えへへ……あ、あれ?」ペタン

男「!?」

女「なんか気が抜けちゃって……あはは」

友「大丈夫?あんな場面に遭遇したし無理もないか」

男「ちょっといいか?」

女「はい?」

ヒョイ

女「え、あ、えぇぇぇ!!?」///

友「おー!お姫様抱っこ!!」

267以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:50:00 ID:tNx8jJ56
女「あ、あの!だ、大丈夫なので降ろして下さいっ」///

男「歩けるのか?」

女「そ、それは……」

男「なら家まで送っていくよ」

女「で、でも……その、重いですよね?それに周りに人が……」

男「全然重くない……むしろもうちょっと食べた方がいいんじゃないか?」

女「う〜!それってどういう意味ですか!?」

男「いや……」チラッ

女「!?」

男「……別に深い意味はない」

女「う〜〜〜!!今どこ見てました!?」ポコポコ

男「あはは、冗談だ冗談!」

カシャ

女「!?」

268以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:50:36 ID:tNx8jJ56
友「おお!これはいいショットが撮れたっ!後で男に送るね!」

男「それは是非頼む」

女「も〜〜!!」

友「でもすごいよこの写真!男がこんなに愛しそうに微笑むなんてレアだよ!超レア!!女さん、愛されてるねっ」

男「むっ……」

女「え?……お、男くん、あとで私にも送ってください……」

男「……嫌だ」

友「あっははは」

269以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:58:14 ID:tNx8jJ56
――帰り道 公園

男「ったく、友のやつ散々からかいやがって」

女「ふふっ……でもお二人は本当仲良いですよね。お互いを信頼し合ってるのが伝わってきます」

男「まぁ幼馴染だしな」

女「前に友さんと二人でお話しした時に、男くんの事を親友だって言ってましたよ?」

男「あいつは恥ずかしげも無くそういこというからな」

女「でも男くんも思ってますよね?」

男「はは、思ってるよ。わざわざ口に出して言わないが」

女「ふふふ」

270以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 16:58:53 ID:tNx8jJ56
男「それよりもう大丈夫なのか?」

女「はい!もう歩けると思います」

男「別にあのまま家まで送ってもよかったんだが」

女「わ、私がよくないです!」

男「そうか」

女「美少女ちゃん、友子ちゃんと仲直りできたかな?」

男「あの二人ならきっと大丈夫だ」

女「そうですね」

男「でも、どうしてあんな無茶をしてまで連れ出したんだ?」

271以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:00:16 ID:tNx8jJ56
女「それは……。友子ちゃんを解放したかったんです」

男「解放?」

女「友子ちゃんは……美少女ちゃんに対する罪悪感や、あの人達に対する恐怖心に縛られてしまっていて自力じゃ抜け出せなくなってたと思うんです」

女「もし私が同じ立場だったら……そうなっていたと思いますから……」

男「そうか……」

女「なので、友子ちゃんにはあの場で新しい一歩を踏み出して欲しかったんです」

男「そんなこと考えてたのか……俺は友子さんの気持ちまで頭が回らなかったな」

女「……というのは建前で……」

男「え?」

女「本当は……」

女「本当は嘘でも告白して欲しくなかったんです」

272以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:03:36 ID:tNx8jJ56
男「あ……」

女「ごめんなさい、幻滅しましたよね?」

男「……いや、そんなことないぞ」

女「え?」

男「なんで俺がDQN達と徹底的に争ったのか、わかるか?」

女「美少女ちゃんを解放する為……ですよね?」

男「ああ。それも理由の一つだ。だがもう一つの理由の方が俺にとって大きかった」

女「……」

男「女との関係を先に進める為に、女と平穏に過ごす為に、DQN達を徹底的に潰してやろうと思ったんだ」

女「……」

男「幻滅したか?」

女「……」ブンブン

273以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:04:55 ID:tNx8jJ56
男「だから……なんだ、その……随分遠回りした気がするが……」

女「……」

男「女の事が好きだ。俺と付き合ってくれ」

女「はいっ……こんな私でよろしければ」

ぎゅぅぅ

男「そんなお前がいいんだ」

女「はい……好きです男くん、大好きです!」

274以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:12:16 ID:tNx8jJ56
7/1(水)

――昼休み 踊り場

男「どういうことだ!?」

友「あははは」

男「お前の仕業か!?」

友「まさか!そんな事するわけないじゃないか」

美少女「別にいいじゃない、ちょっと有名になったくらい」

男「よくない!」

友「恐らく解放されたキモオタくん達が男の武勇伝を語り回ってるんだろうね」

男「勘弁してくれよ」

女「私も朝から友達に色々質問されて……」

友「あはは!なんたって女さんはこの学校の“番長”の“女”だからね」

女「うぅぅ……」

275以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:13:26 ID:tNx8jJ56
男「なんかすまん、女」

女「ううん、付き合ってる事を知られるのは全然いいの!むしろ嬉しいんだけど……ちょっと斜め上過ぎて……」

友「あっははは!」

美少女「あら?アンタもちょっとした有名人よ?」

友「俺?知ってる知ってる!“番長”の“右腕”だってね、くふふ」

男「随分楽しそうだな?」

友「いやぁ、噂って面白いよね!どんどん尾ひれがついてさ!美少女さんもそのうち“番長”の“愛人”とかになるんじゃない?」

美少女「ぷっ、それも悪くないわね」ニヤ

女「それは悪いです!否定すべきです!」プンプン

276以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:15:29 ID:tNx8jJ56
美少女「えー、正妻と妾で仲良くしようよ!男だって悪い気はしないでしょ?両手に華だよっ」ウデギュ

女「あーー!!ダメです!離れて下さいっ!!」

男「勘弁してくれ……」

友「ま、人の噂も七十五日っていうじゃない?飽きたらすぐ忘れられるよ」

男「……まぁそうだな」

友「じゃあ来たる夏休みの計画について話し合おうか!」

美少女「いいね!友子誘っていい?」

友「もちろんっ!」

美少女「じゃあさ――――」

友「――――」

美少女「――――」

男「……」スッ

277以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:17:34 ID:tNx8jJ56
女「男くん、どうかしました?」

男「いや……女がいて、友がいて、いつの間にか美少女もいて、こういう賑やかなのも悪くないなと思ってさ」

女「そうですね」

女「でも……浮気はダメですよ?」

男「するかっ!」

女「えへへ、冗談です」

278以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:18:15 ID:tNx8jJ56
男「女との始まりはあんな感じだったけど、俺は今幸せだよ」

女「あ……。私もです!中学生の頃からですからね!男くんとは年季が違いますよ!」

男「ははは、その差は埋められそうにないな」

女「はい。ずっと、埋められなくていいです。そのかわり――」

男「ああ。これからも宜しくな」

女「はいっ!!」

美少女「あー!そこ、イチャついてるーー!!」

友「しー!黙って見守らなきゃ」

男「別にイチャついてないぞ」

女「ふふふ」

おしまい。

279以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/19(金) 17:22:23 ID:tNx8jJ56
思った以上に長くなりましたが、なんとか終わらせることができてホッとしてます
ありがとうございました!

280以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/20(土) 18:49:41 ID:lHeDBTt.

楽しかったよ
友は美少女とくっつくのか?
続けもいいぞ

281以下、名無しが深夜にお送りします:2020/06/21(日) 22:44:29 ID:rekirH1M
>>280
ありがとうございます!
続きはありませんが、友と美少女はくっつかないと思います

282以下、名無しが深夜にお送りします:2020/07/04(土) 19:17:20 ID:YVNkZTso
ハッピーエンドはいいよね!


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