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貴音「らぁめん、にんにく、時々響」
26
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:28:54 ID:xZlJxlZo
――5日後――
貴音「ア、アァ……」ゲッソリ
P「響、貴音のやつ流石に何か食わせてやれよ。日に日にやつれてるじゃないか。断食は酷だぞ?」
響「三食きっちり草食わせてるぞ」
P「貴音ェ……」
27
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:29:32 ID:xZlJxlZo
――6日後――
貴音「ふぅ」ツヤツヤ
響「――あっ、テメッ、ラーメン食ったな?」
貴音「果て? 麺妖な事を仰いますね」
響「見りゃ分かんだよ!!」オラッ
貴音「ひぃぃっ」
28
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:30:16 ID:xZlJxlZo
――11日後――
貴音「ア、アァ……」ゲッソリ
P「この光景どっかで見たな。デジャヴか?」
響「自分はほぼ毎日見てる」
貴音「響、らぁめんを作る許可を……」
響「あ? 駄目に決まってるぞ」ギロッ
貴音「ち、違います。食すためではありません。らぁめんに命を捧げ、共に生きると誓った身。食さずともらぁめんと共に在りたいのです」
響「……誰が食べるんだ?」
貴音「ゆくゆくはお店を開きたいと考えています。まずは響にお客になって欲しいのです」
響「アイドルが本業だからね? 覚えてる?」
29
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:31:11 ID:xZlJxlZo
――12日後――
貴音「ふぅ」ツヤツヤ
P「――あっ、貴音、ラーメン食ったな?」
貴音「いえ。私は食べてはおりません」
響「食べたのは自分だぞ」モワァ
P「……響から香ばしい匂いがする」クンクン
貴音「私はらぁめんをただただ拝みたい。それだけで良いのだと気づいてしまいました」
響「自分は改めてニンニクが嫌いだと思い知ったよ」モワァ
30
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:31:50 ID:xZlJxlZo
――響がラーメンを食わされてから、1日後――
響「お腹空いたな……」
貴音「らぁめんを頂きましょう。らぁめんは完全食なのです」
響「自分、絶対らぁめん教は信仰しないから。絶対にだぞ」
貴音「その減らず口がどこまで続くか見ものですね」アーハッハッハ
響「」ピキピキ
31
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:32:21 ID:xZlJxlZo
――2日後――
響「お、お腹いっぱいだぞ……」
貴音「まだ今日は1回しか食べてませんよ?」
響「何回食わせる気だ!?」
貴音「何度でも……です!」
響「炭水化物以外が欲しい……」
貴音「ほう、気づきましたか。モヤシの有用性に」
響「……」
32
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:33:01 ID:xZlJxlZo
――3日後――
響「もうらぁめんヤダ……」
貴音「……」
33
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:33:46 ID:xZlJxlZo
――4日後――
響「もう我慢の限界……」
貴音「ふぁいとです、響」
34
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:34:42 ID:xZlJxlZo
――5日後――
響「う、うぅ……」テカテカ
P「貴音、響に流石に野菜を食わせてやれよ。日に日に脂ぎって来てるじゃないか。偏食は毒だぞ?」
貴音「三食きっちりモヤシを食べております故」
P「……響ぃ……死ぬなよ」
35
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:35:20 ID:xZlJxlZo
――6日後――
響「ふぅ」ツヤツヤ
貴音「――あっ、響ッ! 作り置きのラーメンをいぬ美に食べさせましたね!?」
響「さぁ? 誰かが美味しく食べれば、粗末にはしてないから大丈夫だぞ!」
貴音「響に食べて欲しいのです!!」オラッ
響「ひぃぃっ」
36
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:36:28 ID:xZlJxlZo
――11日後――
響「う、うぅ……」テカテカ
P「この光景どっかで見たな。デジャヴか?」
貴音「最近は毎日こうですから」
響「貴音ぇ……ラーメン作るのやめて……」
貴音「駄目に決まっています」ギロッ
響「ち、違うんだぞ! ニンニクが! ニンニクが無理なんだ! 最近、『アイドルのくせに臭い』ってネットで悪口が止まらないんだぞ!」
貴音「元からです」
響「うがー! 無理無理無理無理」ダダダダッ
貴音「あっ、コラ! 響! 待つのです!」
37
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:37:26 ID:xZlJxlZo
――12日後――
響「ふぅ」ギラギラ
P「――あっ、響。何か今日は元気だな? ラーメンからは解放されたのか?」
貴音「いえ。らぁめん刑は継続中です」キリッ
P「自分で刑言うとるやん」
響「にんにくこそ世界」モワァ
P「響からヤバい匂いがする」ウワァ
響「自分は臭いのが大好きだ。匂いが無いのは個性が無いのと同じだからな」ウンウン
貴音「私は今宵ようやく真の意味で響と通じ合うことが出来ました」ウルウル
P「大丈夫かなぁウチの事務所」
38
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:40:41 ID:xZlJxlZo
――臭。即ち惹かれ合うこと。
古来、”臭い”と"魅力"とは切っても切り離すことのできない関係にあったんだぞ。
一般的に言われてるのは、遺伝子的に遠くて相性の合う人の臭いは不快に感じないという事。つまり、臭いによって性質を把握し、その違いから自分に必要な物を取捨選択していたんだ。
でも、現代ではその関係性が薄れつつある。臭い物に蓋をする世の中になってしまったからだぞ。現代は水と富に溢れ、毎日お風呂に入ることが当たり前になった。
”清潔”になるとどうなるか。清潔に慣れた人々は、臭いの強い物を忌み嫌いようになったんだぞ。つまり香水に代表されるような、所謂良い香り――偽りの香りだけを身に纏い、自分に嘘をついて生きているんだ。
でもそれで本当にいいのか。臭いはありのままの自分を映し出す鏡だ。偽りの自分を好きになってもらうことが本当に正しい事なのか。自分はそうは思わない。
これは食べ物にも当てはまる事だぞ。ポピュラーな物で例を挙げるとすればチーズや納豆。マイナーな物だとくさややドリアン、臭豆腐とかもあるぞ。臭いの個性が強いせいで好む人が分かれる食材たち。でも、ひとたびその臭いの相性が合えば、これ以上ない快感へと変貌する。
臭いだけじゃなくて味の個性が強いものでも例えるならば、牡蠣あたりだろうか。好きな人は凄く好きだし、嫌いな人は絶対食べたくないぐらいのレベルの食べ物だろう。
また、中でもにんにくは神に等しい存在なんだ。強烈な臭いは料理の香りをにんにく一色にマスクしてしまう。だがその料理は非常に食欲をそそるだけでなく、味を高め合うんだ。面白いよね? 極限まで高められた臭いの個性は他者を潰すのでなく、むしろ際立たせる。その神々しいコラボレーションを体感するためなら次の日の悪臭なんて些細な問題さ。自分レベルになると次の日のにんにく臭さえ愛しいよ。
これで”臭い”がどういう物か皆にも分かってもらえたと思うぞ。
無臭が正義とされる時代は既に過去となりつつある。海外では1週間着たTシャツを嗅ぎ合う合コンも存在しているくらいだからね。
臭いとは自分たちの人生をより良い物にするエッセンスなんだ。
――にんにく。即ち生きる快楽を追究すること。
記 我那覇響
39
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/12/22(日) 21:41:42 ID:xZlJxlZo
春香「何このエッセイ。これ書いたの響ですよね?」
P「意外と好評なんだよな。反響も大きいみたいだぞ」
春香「最近なんか様子が変だと思ったら……一体全体なにがあったんですか?」
P「……知らない方が身のためだぞ」
春香「?」
おわり
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