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みさえ「あなたやめて!」ひろし「うるせぇ不貞女!」ドカッバキッ

10以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 11:07:24 ID:zrI6cA6A
組長「この押入れか...?」

取手に手をかけるも、踏ん切りがつかない。
今すぐ逃げ出したいのが正直なところだが、園児を救いたいという思いが彼を左手を一挙に動かした。

ガララッッ!

組長「うっぐ.....やはりここみたいだな...」

ことさら一層濃い腐臭が中から広がる。内部には布団などもなくもぬけの殻のようだが、奥の方は何も見えなかった。
羽音は頭上から聞こえていた。

組長「天井裏に何かあるのか....?」

片足をかけ、押入れの段に乗り込む。内ポケットからオイルライターを取り出し、
ゆっくり、ゆっくりと天井裏を照らしてゆく。


組長「.....................
.....!」

組長「うわあぁぁっ!!!!」

思わず押入れから転げ落ちた。無理もない。
目が合ってしまった。合ってしまったのだ。

ゴミ袋に詰められ、全身を滅多斬りにされ冷たくなっているみさえの亡骸と。

11以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 11:09:11 ID:zrI6cA6A
組長「はぁっ.....!はぁっ.........!」


あばらが内から撓むほどに心臓がバクバクと拍動する。腰が抜けたが、ドアのヘリにしがみついてようやっとの思いで立つと転がるように階段を駆け下りた。
1秒も長くここに留まるべきではない。
しんのすけと、探し出せればその妹も連れ逃げ出すべきだ。
その後ひとまず幼稚園へ連れていき、警察に通報した上で然るべき人々に保護してもらい...、

組長「行こう!!しんちゃん!ここにいてはいけない!ひまわりちゃんは!?」

シワがつくことも気にせず椅子に掛けていたジャケットを乱暴に丸め、アクション仮面のおもちゃで遊んでいたしんのすけを抱え上げる。

組長「〜〜〜〜...!ここで待ってて!」
ピリリリリリリリ!

組長「!?」

もの言わぬしんのすけを玄関口に降ろし、ひまわりを探しに奥の部屋に向かおうとしたところで携帯が鳴った。

12以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 11:11:10 ID:zrI6cA6A
組長「....」ピッ

組長「.....もしもし...?」

???『あぁ....園長先生.........』


組長『...どなた、ですか?』

???『野原、ひろし............

みさえの、旦那です...........』

組長「あの.....今、そちらのお宅にお伺いしてましt」
ひろし『しんのすけのあとのことは....頼みますよ』
ひろし『今までずーっと俺が代わりに面倒見てきたんだ........そろそろ、交代の時間です』

組長「代わり...?交代ってあなた一体何言って...」

ひろし『ああ、そうそう、奥さん妊娠中でしたよね....』

組長「....?」

ひろし『「産まれました」よ、赤ちゃん』

13以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 11:13:17 ID:zrI6cA6A
ひろし「『これ』......女の子ですねぇ......!
クカカカカカッ!」バンバン

ひろしは公衆電話から園長の携帯にかけていた。
『これ』なる手のひら大の血だらけの肉塊を抱いて。

組長「.............!」

しばしの間を置き言葉の意味を理解した瞬間、園長は膝から崩れ落ちた。

組長「ぁ............そんな.........」

しんのすけ「........」トテトテ

その様子を見ていたしんのすけが歩み寄り、園長が取り落とした携帯を拾い上げ耳元にかざした。


しんのすけ「もしもし?かーちゃん?

うん..............うん..................

わかったぞ。」

14以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 11:20:29 ID:zrI6cA6A
オギャー..........!アーー..............!

組長「!?」

赤子の泣き声に園長は我に帰った。ひまわりが出てきたのか、と思い顔を上げると、

しんのすけ「オギャーーー!!!ギャーーー!!!!ァーーーー!!!!!!」

しんのすけだった。しんのすけが無表情で二階を見上げ、大きな口を開け本物の赤ん坊そっくりの声を上げていた。

組長「し、しんちゃん...?」

ア、ア、ア...................

組長「!?」

ア、ア......................................

『それ』は二階から聞こえた。間違いなく空耳ではない。連続した短いげっぷのような、呻き声のような、なんとも形容しがたい声だった。

続いてがさがさとビニール袋の擦れるような音が鳴り、どちゃっ、という音とともにそれが止んだかと思えばまたガサガサと二階からこちらに擦れ音が近づいてくる。


階段の突き当たりからこちらに顔をのぞかせたのは、


四つん這いで階段を降りる身体中が切り傷と血にまみれたみさえだった。

15以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 11:22:01 ID:zrI6cA6A
組長「ひ........ひぃっっ!!」

幾多の理不尽に揉まれ、もはや園長には自身の生存の是非しか考える余裕がなかった。

立ち上がることができないまま、眼前の怪異と目があったまま。玄関のドアへと後ろ向きのまま死に物狂いで後ずさり、やっとのことでドアノブに手をかける。

そのまま全体重をかけ、外へと脱出_____、


出来るはずだった。

組長「な、なんで....!」

ドアを開けた先は、外ではなかった。代わりに、『もう一つの野原家』としか形容しようのない、一軒家の廊下が広がっていた。

そして目の前には、もう一人のみさえが立っていた。

「たかくら、せんせい.........」



「オギャーーーーーーーーーーーーーー........」

16以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 20:19:09 ID:zrI6cA6A
半年後

ピンポーン......
風間「ごめんくださーい!」

ガチャ....
竹「.....誰?」

マサオ「あっあの、ぼくたちアクション幼稚園の園児で、その...」

風間「まつざか先生のお見舞いにきたんです。
近々このマンションも引き払って実家に帰るって聞いたものですから...あの、あなたは先生のお姉さんですか?」

竹「そうだけど.....でも今日は帰りなさいボク達。梅はもう...」

風間「そんなに具合が悪いんですか?心配なんです!一目だけでも...」

竹「梅には会えません!いいからもう帰りなさい!!」
ガチャンッ!!

17以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 20:40:25 ID:zrI6cA6A
風間「とりつく島がないよ....」
マサオ「無駄足だったね...」トボトボ

まつざか先生が期限未定の休養に入ったのは、一月ばかり前のことだった。彼ら二人を含めた園児達の印象に残っている彼女の最後の様子は、野原一家惨殺事件の詳細を躍起になって独自で調べようとしている姿だった。
みさえは自宅二階にて惨殺死体で、ひろしは路上で変死体で、加えて家庭訪問に来ていた園長の死体が玄関口で見つかったが、しんのすけと妹ひまわりは未だ行方不明のままだ。
この事件に関わった人員が次々に不可解な死を遂げることからなし崩しに捜査が打ち切られたが、まつざか先生としては教え子の安否が不明なまま捜索がお流れとなる方針に我慢ならなかったらしい。

マサオ「まつざか先生...やっぱりしんちゃん家のこと詮索しすぎたから...」

風間「バカ言うなよ!何を調べたら身体を壊すんだ!」

マサオ「それは...分かんないけど...あれっ」
風間「ん?」

マサオの視線の先を見やる風間。マサオが見つめる先は、今しがた二人が訪問したマンション1階のベランダだった。
そこにはベランダに腰掛けている人影が見える。

18以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 20:41:41 ID:zrI6cA6A
???「まぶしー.....だからあたかいのよね.........................

しってるわよそんくらい.................」

松坂梅だった。西日を浴び、阿呆のように口を半開きにしたままで何かぶつぶつとつぶやいている。


風間「あれ・・・まつざか先生だよね・・・?」

マサオ「誰と話してるんだろ・・・」


まつざか先生「!」
ベランダの柵越しに目があった。

マサオ「あ!」
風間「ちょっと!静かに....」

まつざか先生「・・・・・・・・・・・・」

風間&マサオ「「・・・。」」ゴクリ

19以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/10(火) 20:43:43 ID:zrI6cA6A
まつざか先生「・・・ぇぅうううぅぅぅぅうううああああああああぁぁぁぁぁぁああああ!!!!わあああああああああ!!!!!!!!!」

まつざか先生「えおぉっっ!!!ああぁぁぁあああああぁああはああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

風間&マサオ「「.........!!」」

唖然として固まる二人。無理もない。薔薇組担任のまつざか先生。嫌味っぽく見栄っ張りだが、その反面人一倍涙脆くお人好しなまつざか先生。
いざという時は園児の盾となり、自身の出世より園児たちの名誉を尊重するまつざか先生。
婚約者が不幸な事件に巻き込まれ他界し荒れていた時も自力で再生し、今日まで前を向いて生きてきたまつざか先生。

そんな彼女が明らかに発狂していた。あんなにも強かった女性は何者か、いや何かの手よって完膚なきまでに壊されてしまっていた。

20以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 02:02:25 ID:BpzU3.RY
見てる

21以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 10:33:34 ID:FR1nZVSg
まつざか先生「えぅぅっ!!あうううう!!!」

まるで何かに嬲られているかのようにベランダでのたうち回るまつざか先生を茫然と眺めていると、奥の部屋から姉の竹が慌ただしく登場した。
まつざか先生を必死でなだめ、屋内へと抱え入れていく。

竹「!」

竹「お願いだから帰って!!」

風間とマサオに気づくや否や、それだけ言い放ちベランダをぴしゃりと閉めてしまった。

それでもなお扉の奥から聞こえる彼女の奇声が途絶えることはなかった。

22以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 10:43:23 ID:FR1nZVSg
夕方
アクション公園

ねね「そう....まつざか先生はそんなことに...」

ねね「...ねぇみんな、今日しんちゃんの家行ってみない?」

マサオ「ひいぃっ!?」

風間「はぁ?」
ボーちゃん「ぼー....」

風間「ダメに決まってるだろ!?今は空き家なんだし...不法侵入で警察沙汰になっちゃうぞ!」

マサオ「そそそうだよ!風間くんの言う通りだよ、ね?だってあそこ.....」

ねね「なによ二人とも...チキンオニギリはともかく風間くんまでビビってるわけ?」

風間「そうじゃないよ!そうじゃない....けど...」

ボーちゃん「...行かない方が、いい」

ボーちゃん「しんちゃんち、引っ越した人、みんな死んでるか、行方不明になってるか、おかしくなってる。園長先生も、園長先生の奥さんも、死んだ。
しんちゃん家の近所の人も、ミッチーも、ヨシリンも、隣のおばさんも、みんな、行方不明。」

ボーちゃん「行かない方が、いい」

23以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 10:47:21 ID:FR1nZVSg
ねね「ボーちゃんまで....!
.......アンタたち悔しくないの!?」

風間「ん?」

ねね「アタシたちの友達が不幸な事件に巻き込まれて!突然行方不明になっちゃって!
しんちゃんがいなくなってからずっと毎日の空間に穴が空いたみたいだわ!
なのに...それなのにしんちゃんの家をどこの誰かも分からない奴らがお化け屋敷だの呪いの家だなんて言い出して!
死んでるかすら分かってないのに先生達までもうしんちゃん家の話はしないようにしましょうって!」

マサオ「でも...現にしんちゃん家の事件のこと調べすぎたまつざか先生が変になっちゃった訳だし...」

ねね「アタシ達で証明するのよ!しんちゃんは誰かを呪い殺すような子じゃないって!
アタシ達が家に入って!生きて帰って証明してやるのよ!じゃないと...しんちゃんが帰ってきたときに居場所がなくなっちゃうわ!」

24以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 10:52:25 ID:FR1nZVSg
ねね「風間くん!いつもみたいに気取った風に行ってよ!『お化けなんて存在する訳ないじゃないか』って!」

風間「.....そうかもしれないね、アイツへの恨みはそりゃいっぱいあるけど、恨まれる覚えなんてなんにもない。第一呪いなんて科学的に考えてありえないし、しんのすけが死んだかなんて分からない。いつかひょっこり帰ってくるかもしれない。」

風間「ボクも行くよネネちゃん!」

マサオ「か、風間君まで...!」

ねね「決まりね!これは肝試しなんかじゃない!しんちゃんがいつでも帰ってこれるために!そしてしんちゃんのママに対して好き勝手言わせないための弔い合戦よ!
カスカベ防衛隊、ファイヤー!!」
風間「ファイヤー!」

マサオ「ふぁ、ファイヤー....」

ボーちゃん「ボー....」







ァ、ァ、ァ、ァ.............


ワォーン..........

25以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 11:46:57 ID:aVqqtT1M
解説よろしく

26以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 12:32:36 ID:ad/2tJp2
呪怨見れ

27以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/12(木) 12:55:09 ID:fZaAT3oo
じゅおーん

28以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 09:46:16 ID:7ZpP3XzI
え?これで終わり?


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