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天使「せんとう?」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/23(土) 01:44:13 ID:jyXYa69Q
天使「……という事情でこの家に来た。
ニンゲンよ、これから世話になる」

女 「はあ……まあ、そういう事情ですか。
はぁ、はァ、成る程……成る程……ハァ?」

天使「納得してくれたか?」

女「納得。うーん、ちょっと待ってくださいね。
まず前提から確認しましょう。貴方が天使? 本当に?」

天使「ああ。天使だ。翼もあろう。頭上の光の輪もその証だ」バッサバッサ

女「光の輪はともかく、翼が本物なのは認めましょう。
いっぱい触らせて貰いましたし」

2以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/23(土) 01:54:38 ID:jyXYa69Q
天使「愚鈍そうなニンゲンだが、ワタクシが本物の天使である事はもう分かったと思おう」

女「いや。でも、キリスト教徒じゃないですよ、私。むしろ無宗教だし」

天使「嘆かわしいな。目の前の奇跡に、天使の降臨に目を閉ざすのか、ニンゲン」

女「天使って、こんな築20年の1DKに降臨して良いの?」

3以下、名無しが深夜にお送りします:2019/11/23(土) 02:04:18 ID:jyXYa69Q
天使「神の息子も馬小屋にて高潔な魂としてこの世へ産まれいでた。天使がどこへ降臨しても不可思議な事はない。ただし、お前の魂はロバ以下の輝きだが」

女 「……ロバという動物を詳しく知らないからか、あんまりショックがない」

天使「しかし、ここが馬小屋のような場所だとして、いや、だからこそワタクシが降臨した意味がある」

女 「意味。やはり何か使命を帯びて降臨したのか、天使様は」

天使「そう、ワタクシを……」

女 「わたくしを、」

天使「癒してみよ」

4 ◆vX2ebKDQAc:2019/11/23(土) 02:12:19 ID:jyXYa69Q
女 「いやす?」

天使「そうだ」

女 「いやす……それをしないと、どうなるんですか?」

天使「ワタクシが、ここを去るだけだ」

女 「じゃあ、さようなら。ふわふわ、触らせて貰いありがとうございます」

天使「……本当にそれで良いのか?」

女 「それ、しないとどうなるんですか?」

天使「天へ、この世がやはり救われぬ場所だと、もう一度ノアの洪水を起こすに足り得る無意味さであると伝えるまでです」

5 ◆vX2ebKDQAc:2019/11/23(土) 02:25:31 ID:jyXYa69Q
女 「のあのこーずい」

天使「ああ、お知りでは無いですか。ノアの洪水とは……」

女 「何となくは知ってるかな。神様が世界の全部に怒って全部雨で流したやつ?」

天使「信徒では無い未開人のくせに、ある程度は知識としてあるようだな。
   またこの世を洗い流すべきか調査するため、神から遣わされたのがこのワタクシだ」

女 「ええー、私が世界の全てを握ってるって事? ここであなたを追い返したら世界滅亡?」

天使「自惚れるな。ワタクシは天界世界調査団200621ナンバーの天使だ。ワタクシだけではなく、大勢の天使があらゆる環境へ派遣されて調査し、今後のこの世の行先について神へ進言するのだ」

女 「そんだけいたら私だけヘマしても大丈夫な気がしてきたなあ……。他の立派な人が何とかしそうで安心したよ」

天使「な!?」

6 ◆vX2ebKDQAc:2019/11/23(土) 02:59:00 ID:jyXYa69Q
天使「な。な。な。なんて事を……」フルフル

女 「え、ちがう!?」

天使「違う! 違うに決まっているだろう!
  何のために天は、天界調査団は、大勢の天使を派遣したと思うのだ!? ニンゲン全ての考えを公平に見る為世界中に人種や宗教観に関わらずランダムに派遣されているのだよ! その意味がわからないのか!?」

女 「……それ、私みたいなテキトーな人もいても、大丈夫のように、たくさん派遣したんじゃないの?」

天使「ちがああう!」バサバサ

7 ◆vX2ebKDQAc:2019/11/23(土) 03:30:20 ID:jyXYa69Q
天使「ニンゲンは文明を手にしたその時から悠久とも言える永い間争い破壊を続け、世界はバランスを崩している! 世界を覆う大いなる魂に重大なヒビが入る前にどうすれば良いのか、解決方法の無い場合ノアの洪水を再現して全て洗い流すべきか調査しにきたのがワタクシたちだ」

天使「しかし、ワタクシたちは文明を手に入れたニンゲンが破壊だけではなく、人同士で協力しあい。慈しみ、愛しながら創造的な活動を行なって来たことも知っている。
  ニンゲンの中にある世界の平穏を願う心根も知っている。
  人と、人が愛しあい、労わる気持ちを地域や身分に関係なくランダムで果敢に調査に来るのがワタクシのような調査天使なのだ」

女 「あ、うん、へー。大変そう(なんか難しそうだから半分しか聴いてなかったよ)」

7
女 「うーん、それで、あなたを癒せっていうのは?」

天使「ふん。話をちゃんと聞いていたのかどうか。ニンゲンの文明は二面性を持つ。
   全てを破壊尽くす技術を作り続ける野獣の心と
   人間らしく人を慈しみ社会を発展させる心。
   その後者を、人を癒す技術を見せろということだ。……理解したか?」

女 「なんか難しい事言ってるなぁ、ってことはわかった」

女「癒すね、いやす、いやす……。……あ、そうだ、自転車乗れる?」

天使「じてんしゃ……?」

8 ◆vX2ebKDQAc:2019/11/23(土) 03:49:19 ID:jyXYa69Q
天使「自転車。情報では知ってましたが、実際荷台に腰を下ろして運ばれるのは初めてです。意外と速いものだ。ワタクシの翼には全く劣るがな」バサッ

女 「その大きい翼のせいで空気抵抗あるのかな? なんか、こぎにくいですねー」ギコギコギコ

天使「翼、ニンゲンに擬態する為しまう事もできるが?」

女 「できるの? それは、うれしいなー! やってもらって良いですか?」

天使「そのくらいなら構わない」シュ…ッ

女 「おお、急にペダルが軽いですね。天使様は軽いなぁ」

女 「あと、今から行くところはこういう風に翼を隠したままの方が堪能できると思いますよー」

天使「なあ、本当に連れてってくれるんだろうな」

天使「その、地上の楽園へ」

女 「まあ、地上の楽園は大袈裟ですし、ら私のすぐ天使様を連れて行ける文明の陽の部分、ていうとここしか無いかなーって感じの場所かなー」

天使(このような雑多で殺風景な住宅街の中にそのような場所があるのか? しかし、それを調査するのがワタクシの使命。もし期待外れでも、それを天に報告すれば良いだけだ…)

9 ◆vX2ebKDQAc:2019/11/23(土) 03:56:42 ID:jyXYa69Q
女 「着きましたよ。ここです」キキッ

『 スーパー銭湯 湯の楽園 』

天使「……」

女 「ここです。」

天使「……」

女 「ここが、今の私が案内できる楽園です」

天使「……」

天使「せんとう?」


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