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女神「異世界を救ってください」 男子「はあ?」

41以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:06:48 ID:ttCPBQUI
女神『だ、だって、だってぇ……ごひゃ、五百たお、したのに……来なくて……見捨て、られちゃったのかもってぇ……!』

男子「んな訳ねぇだろ。お前を見捨てたら俺も道連れだぞ」

女神『じゃ、じゃあなんで……もっとはやく……』

男子「あー悪い。手が滑った」

女神『……はぇ?』

男子「お前が五百体倒したくらいまで時間進めようと思ったら、間違えて進め過ぎた」

女神『……な……な……』

男子「いやあ、あれ結構微調整ムズいんだな。むしろこの程度で済んで幸運だったよ。うんうん」

女神『なんですかそれぇぇえええ!!!! 最低!! 最っっっ低です!! 人の気持ちも知らないで!!』

42以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:07:48 ID:ttCPBQUI
男子「だってあれ時間戻せないんだもん。どうしようもないでしょ」

女神『なら少しは申し訳なさそうにして下さい!! こっちは寂しさのあまり、スライムと会話出来るようになっちゃったんですよ!!』

男子「いやお前そんなことしてたのかよ」

女神『謝って!! 謝ってください!! このクズ人間!! 鬼畜悪魔の人でなし!!』

男子「謝るって、何に?」

女神『それは勿論、私をずーーっと放ったらかして、寂しくさせた事についてです!!』

男子「……なあ、女神」

女神『なんですか! 謝る気になりましたか!』

男子「お前、今すっごい恥ずかしい事言ってるの気付いてる?」

女神『何が……あっ』

43以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:08:53 ID:ttCPBQUI
男子「誰に放ったらかされて寂しかったって?」

女神『……いや、その、それは』

男子「……」

女神『何というか、えっと、あの……』

男子「うん。続けて?」

女神『…………ふぐぅぅぅうううっっ!!!』

男子「ハハハッ」

女神『何笑ってるんですかぁ!!』

男子「あーはいはい。そうだな。悪かった。俺が悪かったよ」

女神『そんな適当な……!』

44以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:09:56 ID:ttCPBQUI
男子「じゃあスライム五百体も倒した事だし、次の町へ向かうとするか。今の所持金は?」

女神『……銅貨百枚くらいです』

男子「……やけに少ないな? おい、女神」

女神『な、なんですか』

男子「お前、宿屋のランク上げただろ」

女神『……い、いいじゃないですか、それくらい!! 私、頑張ったんですよ!? 一人でずーっとスライムと戦って、ご飯も一日二回で!! お布団くらい、柔らかいのにしたって許されるはずです!!』

男子「いやまあ別に構わんけど……その手持ちだと、大した装備は買えねぇぞ?」

女神『ふーんだ。平気ですよ! レベルも上がりましたし、仲間も出来ましたから! ねー、スラちゃん?』

スラちゃん『ピギーッ!』

45以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:10:30 ID:ttCPBQUI
男子「……さっきから気になってたんだけど、なんでスライムなんだ?」

女神『えっ? 可愛いじゃないですか』

男子「いや、どうせ仲間にするなら普通の人間の方が」

女神『人間さん。私は、異世界管理専門の女神です』

男子「おう」

女神『会話する相手は先輩神と異世界救済する人間くらい。それもひと月に一回あるかないかです』

男子「うん」

女神『そんな私に、人間の仲間を見つけられるほどのコミュニケーション能力があると思いますか?』

男子「え、無いの?」

女神『ないです。だからスラちゃんとお話してました』

男子「むしろそっちの方がすげぇよ」

46以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:11:03 ID:ttCPBQUI
女神『人間の仲間なんて居なくても、私とスラちゃんさえいれば向かう所敵なしです! さあ行きましょう、スラちゃん!』

スラちゃん『ピギーッ!』

男子「……まあいいや。計画に支障はないだろうし」

女神『え、何か言いましたか?』

男子「何でもない。それじゃあ西の方角にある、誘魔の森の手前の町に向かえ。着いたらまた連絡する」

女神『了解です! 任せてください!』

男子「じゃーなー」

47以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:11:44 ID:ttCPBQUI
男子「……」


男子「……スライムを仲間に、か」


男子「魔物使いのチートを自力で習得するとは、さすがは女神……なのか?」


男子「何にせよ、世界の歪みに影響がないか注意しておく必要があるな……」

48以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:12:44 ID:ttCPBQUI
<誘魔の森>



女神「ここが誘魔の森ですか……なんというか、不思議な雰囲気ですね」

男子『お前にはここで、ゴブリンを倒して経験値を稼いでもらう。武器の準備はいいな?』

女神「もちろんです!……あっ」



ガサガサ……



ゴブリン「ギ、ギギギ」

49以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:13:36 ID:ttCPBQUI
男子『あいつがゴブリンだ。流石にスライムよりは強いが、油断しなきゃ倒せる。集団で囲まれないように注意しろ』

女神「分かりました! ……てやっ!」



ザシュッ



ゴブリン「ギギィィイイイッ!!」

女神「よしっ!」

男子『おい、しっかりトドメを刺せ! まだ死んでない!』

女神「えっ?」

ゴブリン「ギィィァァアア!!!」

女神「きゃぁあああっ!!?」

50以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:14:18 ID:ttCPBQUI


パシュッ! ジュゥゥ……



ゴブリン「ギャッ!?」

スライム「ピギィィイイッ!!」

女神「あ、ありがとうスラちゃん! せやっ!」



ザシュッ



ゴブリン「ギャォォオオオ……ッ」



ドサッ

51以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:14:52 ID:ttCPBQUI
女神「はぁ……はぁ……危ない所でした」

男子『だから言っただろ油断するなって』

女神「はい、すみません……でも、おかしいですね?」

男子『何が?』

女神「あれだけスライムを倒してレベルアップしたんですから、ゴブリンくらい余裕で倒せると思ったんですが……」

男子『ああ、なんだそんな事か』

女神「そんな事って……人間さん、何かご存知なんですか?」

男子『いや、ご存知も何も……お前の今のレベル、三だぞ?』

女神「え?」

52以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:15:35 ID:ttCPBQUI
男子『初期能力値も低いし、流石にレベル三でゴブリンを余裕は無理だろ。常識的に考えて』

女神「え……は? え? れべる、さん?」

男子『うん。レベル三』

女神「いや、おかしいですよね!!? なんでスライム五百体も倒してレベルがそれっぽっちしか上がってないんですか!?」

男子『だって俺がそう設定したし』

女神「はあ!?」

男子『言ったじゃん。世界の崩壊を早めない為に能力値を最弱に設定したって。お前は成長速度も最弱なんだよ』

53以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:16:27 ID:ttCPBQUI
女神「だ、だからって……これじゃあ魔王を倒すまで何年掛かるか分からないですよ!?」

男子『大丈夫。時間はいくらでも飛ばせるから』

女神「いやそれ人間さんだけの話ですよね!? 私の体感時間は変わらないんですよ!!」

男子『そうだな。まあ頑張れ』

女神「こ、このっ……鬼畜!」

男子『はいはい、じゃあその調子でゴブリン五百体倒してくれ』

女神「また五百体!?」

男子『倒し終わった頃にまた【神託】するから』

女神「あ、ちょ、ちょっと待ってください!」

54以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:16:57 ID:ttCPBQUI
男子『……何だよ』

女神「えっと、その。今度はもう放ったらかしにしたりしないですよね?」

男子『はあ?』

女神「っ……で、ですから! 今度はちゃんと、五百体倒したらすぐに来てくれますよね! そうですよね!」

男子『……あーうん。まあなるべく善処する』

女神「約束ですよ!? 私、待ってますからね!」

男子『はいはい、分かった分かった。じゃーな』

女神「あっ……!」

55以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:17:31 ID:ttCPBQUI
女神「……」


女神「……はあ、もう。仕方ないですね」


女神「あんまり期待しないようにして、さっさと終わらせてしまいましょう」



ガサガサ……



ゴブリン「ギ……」

56以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:18:01 ID:ttCPBQUI


ザシュッ



ゴブリン「ギギィッ!?」

女神「さあ行きますよ、スラちゃん! この森のゴブリンを、全て狩り尽くしてやるのです!」

スラちゃん「ピギィーーッ!」

57以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:18:50 ID:ttCPBQUI
<神界>



男子「ここをこうして、ああして……」


男子「うーむ、上手く行かないな。やっぱり借り物の力か……」


男子「さてと、女神の方は……」



ザシュッ ザシュッ ザシュッ



ゴブリン達『『『ギギギィィィイイイッ!!?』』』

女神『あと二百! まだまだ行きますよー!』

スラちゃん『ピギーッ!』



男子「あっ、やべぇ。あんまり森の奥に入らないようにって言うの忘れてた」

58以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:22:09 ID:ttCPBQUI
女神『おっ、あそこにでっかいゴブリンが居ますね! よーし!』

男子「つーか、あれホブゴブリンじゃねぇか。流石にそれは無理だろ……おい、女神」

女神『ひゃあっ! ……あれ? に、人間さん? まだ五百体倒してないですよ? あ、もしかして私の事心配してくれて』

男子「黙れ。そこから離れろ。あいつとは戦うな」

女神『なんか冷たい!?』

男子「あの大きいのはホブゴブリン。ゴブリンの上位種だ。お前が勝てる相手じゃない」

女神『そうなんですか?』

男子「当たり前だ。見れば分か……らないか。とにかく、あいつからは離れて別のゴブリンを探せ」

女神『えっ……でも、私あれ何体も倒しましたよ?』

男子「は? ……マジで?」

59以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:22:59 ID:ttCPBQUI
女神『本当ですー! あっ、もしかしてあのゴブリン、普通のゴブリン十体分の価値があったり……?』

男子「いや、ない。通常のゴブリンじゃないから別カウントだ」

女神『えぇええええ!! そんなぁ……』

男子「……まあいい。それと、あまり森の奥に入るなよ。森の深部にはゴブリンなんか目じゃない魔物が居るからな。死ぬぞ」

女神『うっ……分かりました』

男子「それじゃあ、五百体倒した頃にまた【神託】するから」

女神『あっ待って! もうちょっとお話を』

男子「じゃあな」

60以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:23:56 ID:ttCPBQUI

男子「……」


男子「……ホブゴブリンを倒した? 嘘だろ……」


男子「まあ、強くなってる分には問題ないっちゃあ問題ないけど……」


男子「まさか、また新しいチートを発現したとか?」


男子「うーむ……」


男子「とりあえず、時間を進めてみるか。今度は一週間飛ばして、そこから三日ずつくらいで」

61以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:24:42 ID:ttCPBQUI

女神『えいっ! やあっ! あと百八十!』


男子「次」


女神『よしっ! あと百二十!』


男子「次」


女神『あと五十! もうちょっとです!』


男子「次」

62以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:25:26 ID:ttCPBQUI


女神『はぁぁあああ!!!』



ザシュッ!!



ホブゴブリン『ギァァアアアアッッ!!?』


女神『よーし、これで……』

男子「ん? なんでホブゴブリン?」

女神『ホブゴブリン、五百体目です! やりました!』

男子「!?」

63以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:26:23 ID:ttCPBQUI
女神『あっ、しかも銀貨が落ちてる! やったー!』

男子「待て待て待て!! どうしてそうなった!?」

女神『え?……あ、人間さん! どうですか! 私やりましたよ!』

男子「いや、まあ。やったにはやったんだろうけど……」

女神『それにしても、こんなに早く来てくれるなんて……約束、守ってくれたんですね。嬉しいです!』

男子「それは偶然だ。どうでもいい」

女神『ひどい!?』

64以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:27:48 ID:ttCPBQUI
男子「それよりも、だ。なんでゴブリンじゃなくてホブゴブリンを倒してるんだ」

女神『え? でも、人間さん、ホブゴブリンを五百体倒してって言ってたじゃないですか』

男子「言ってねぇよ」

女神『ええっ!? で、でも、普通のゴブリンを五百体倒しても全然来てくれなかったですし、ホブゴブリンも倒さないとダメなのかなって……』

男子「は?」

65以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:28:27 ID:ttCPBQUI
女神『ほら。この前、途中で【神託】があったじゃないですか。あのときちょうどゴブリンとホブゴブリンを三百体ずつ倒した所だったんです。それで五百体倒した頃にまた【神託】するって言ってたから、てっきり……』

男子「……」

女神『……人間さん? あの、まさか』

男子「女神」

女神『はい』

男子「……紛らわしい事するお前が悪い。以上」

女神『はあああああああ!!? ちょっと流石にそれは聞き捨てなりませんよ!!』

男子「うっせぇ!! 俺だって予想外だよこんなの!!」

66以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:29:08 ID:ttCPBQUI
女神『わ、私、すっごく頑張ったのに!! 頑張ったのにぃ!! こんなのあんまりですよぅ!!』

男子「そうだな。頑張った事は認める」

女神『じゃあ!』

男子「だが方向性が間違ってた。残念だったな」

女神『ふぐぅぅぅうう……っ!!!!』

男子「というか、だ。こんなに早く倒し終わるなんて、また新しいスキルでも発現したのか?」

女神『あなたはいつもそうやって……! え、スキル?』

67以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:29:53 ID:ttCPBQUI
男子「ああ。ほら、この前スライムと話してたやつみたいな」

女神『スラちゃんです!!』

男子「はいはい、スラちゃんね。で、あんの?」

女神『……まあ、ありますけど? ありましたけどぉ? あなたに教える必要があるんですかぁ?』

男子「なんでそんな喧嘩腰なんだよ。めんどくせぇな」

女神『あ、あなたがそれを言いますか……?』

男子「いいからさっさと話せ。異世界救済に必要な事だ」

女神『分かりましたよ! 言えばいいんでしょう! 言えば! ……私が新しく出来るようになったのは、これです』

68以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:30:58 ID:ttCPBQUI



スゥゥ……



男子「む?」

女神『気配を消すスキルと、気配察知のスキルです! 森の中限定ですが、これのお陰でゴブリン狩りが随分と楽になったんですよ! すごいでしょう!』

男子「いや、すごいっていうか……それエルフ限定のチートスキルだぞ。分かってるのか?」

女神『え、そうなんですか! さっすが私! 天才ですね!』

男子「……まあ、うん。そういう事にしておくか」

69以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:31:32 ID:ttCPBQUI
女神『……なんですか。言いたい事があるならハッキリと言ってください』

男子「……いいや? 別に?」

女神『あー! 嘘です! その声は嘘をついてる声ですね!? 女神には分かるんです!』

男子「なんだよ、嘘をついてる声って」

女神『ほらほら、さっさと白状して下さい!』

男子「あーはいはい……分かったよ。じゃあ聞くけどさ」

女神『はい!』

男子「そもそも、管理専門の神って何だ?」

女神『……はい?』

70以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:32:15 ID:ttCPBQUI
男子「管理専門って事は、そうじゃない神も居るって事か? どうなんだ?」

女神『あの……どうしてそんな話を?』

男子「お前が聞けって言ったんだろうが」

女神『いや、そうですけど……あれぇ?』

男子「いいからさっさと答えろ。データベースにも載ってないんだよ」

女神『わ、分かりました……。その、管理専門の神というのは別世界から人間を送りこんで、異世界を救済する役目を持った神の事です』

男子「うん」

71以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:33:05 ID:ttCPBQUI
女神『それで、それよりも上位の神々は創世神と呼ばれます。たとえば以前話した先輩神などがそうです』

男子「その二つの神は出来る事に違いがあるのか?」

女神『それはもう! 例えば新たな世界を創造したり、新たなチートを生み出す、というのは創世神の専売特許です』

男子「ふーん?」

女神『一方で私みたいな管理専門の神は、既に出来上がっている世界を調整したり、人間を送りこんだりするくらいが精々です。私が人間に授けていたチートの力も、元は先輩神に譲って貰ったものなんですよ』

72以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:33:47 ID:ttCPBQUI
男子「分かった。じゃあもう一つ聞くが、なんでお前は異世界を救済しようとするんだ?」

女神『それはもちろん、異世界をたくさん救済した神は創世神に格上げされるからです!』

男子「……」

女神『あっ、でも……私は失敗続きですし、創世神なんて夢のまた夢ですけどね……あはは』

男子「……なるほどな、大体は理解した」

女神『そうですか? なら良かったです』

男子「そして悪いが────お前にはもう、【神託】はしてやれない」

女神『………………え?』

73以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:35:46 ID:ttCPBQUI
男子「……」

女神『え、あの……えっ? 人間さん? どういう事です? また何かの冗談ですか?』

男子「冗談じゃない。本当だ」

女神『待ってください!! 見捨てないって、私のこと見捨てないって言ったじゃないですかぁ!!』

男子「見捨てる訳じゃない。これはそういう問題じゃないんだよ」

女神『じゃあどうして!!』

74以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:36:20 ID:ttCPBQUI
男子「悠長に説明している時間はない。【神託】は切るが、お前は急いで魔王城へと向かい、魔王を討伐しろ。そして世界を救え」

女神『はあ!? 意味分かりませんよ!! 絶対に勝てませんって!! というかそもそもどうやって行くんですかぁ!?』

男子「大丈夫だ。今のお前なら出来る。ただ願え、魔王の城へ向かいたいと」

女神『そんな無茶苦茶な……!』

男子「安心しろ。お前はもう、神の力を取り戻している。大抵の事は何とかなるさ。じゃあな」

女神『えっ? ちょっと待っ────!!』

男子「……」

75以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:36:51 ID:ttCPBQUI

男子「……」


男子「……さて、と」



男子「居るんだろ、先輩神」

先輩神「……おや、気付いてたのかい?」

76以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:37:43 ID:ttCPBQUI
男子「いや別に。たぶん居るだろなってカマ掛けただけだ」

先輩神「はははっ! なるほど、大した度胸をお持ちのようだ」

男子「それで? ここに来たって事はつまり」

先輩神「ああ、そうだね……阻止させて貰うよ。君達の異世界救済を」

男子「……やっぱりか」

先輩神「正直、もっと早くに失敗すると思ったんだけどね……思いの外上手く行ってるようだから、手を加える事にしたのさ」

男子「そうか……一応聞いておくが、そこまでして異世界救済を失敗させようとする理由はなんだ?」

先輩神「ああ、それはね。────────────だよ」

男子「は?」

77以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:38:22 ID:ttCPBQUI
先輩神「……」

男子「お前、ふざけてるのか? そんな……」

先輩神「おやおや、ふざけてるとは心外だね。偉大なる創世神が伊達や酔狂でこんな事をすると思うのかい?」

男子「……ああ、そうかい。そうかよ。そんなくっだらねぇ目的に、俺は巻き込まれたって事か」

先輩神「ひどいなあ。僕はこれでも真剣に、────────って思ってるんだよ?」

男子「うっせぇ黙れ!!」

先輩神「あはは、怖い怖い」

78以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:38:57 ID:ttCPBQUI
男子「チッ! ……仕方ねぇ。こうなったら死んでもお前を足止めしてやる」

先輩神「へぇ……僕に勝てるつもりなのかい? 君のその力だって、元は僕の物だっていうのに」

男子「ハッ、んなこたぁ思っちゃいねぇよ。だがな、やる前から諦めるのは性に合わねぇ」

先輩神「そうかい。まあ、好きにすればいいよ」

男子「ああ、そうさせて貰おう────人間のしぶとさ、思い知るがいい!!」

79以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:39:35 ID:ttCPBQUI

<魔王城>



ヒュォオ……



女神「……ほ、本当に来てしまいました」


女神「【神託】が無いって事は、私一人で魔王と戦わなきゃいけないんですよね……」


女神「うぅ……怖いです。本当に勝てるんでしょうか」

80以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:40:23 ID:ttCPBQUI



プニッ



女神「ふぇっ?」

スラちゃん「ピギッ、ピギーッ!」

女神「スラちゃん……! そ、そうですね! 私にはスラちゃんが居ます! 一人じゃないです!」

スラちゃん「ピギッ!」

女神「よーし! スラちゃんと二人で、魔王討伐目指して頑張りますよ! えいえい、おー!」

スラちゃん「ピィーッ!」

81以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:41:11 ID:ttCPBQUI
女神「……それで、ここは一体何処なのでしょう。どうやらバルコニーのようですが、窓の向こう側は…………え?」



魔王「……」

女神「…………………え?」

82以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:42:14 ID:ttCPBQUI
女神「あれ? 見間違いでしょうか。何故か目の前にいきなり魔王が見えるような……」



魔王「……」

女神「…………見間違いじゃない!?」

83以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:43:18 ID:ttCPBQUI
女神「どっ、どどどどうしましょうスラちゃん!? 流石にこれは予想外です!!」

スラちゃん「ピィィ……」

女神「確かに魔王を討伐するとは言いましたけど! 言いましたけどぉ!! まだ心の準備がぁ!!」

魔王「……おい、そこの小娘」

女神「ぴゃいっ!」

魔王「そこで何を騒いでいる?」

女神「え、あ、はひっ! わ、私ですか!?」

魔王「他に誰がいるのだ」

女神「そ、そうですよねぇ!! あは、あはは……」

84以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:44:00 ID:ttCPBQUI
魔王「……」

女神「……」

魔王「……いつまでそこに居るつもりだ? 早く中に入って来い」

女神「えっ、入っていいんですか?」

魔王「そのままそこで騒がれる方が敵わん。早くしろ。殺されたいのか?」

女神「は、はいいいっ!! 入りますっ! 入りますぅ!!」



ガチャッ……キィィ



女神「し、失礼します……」

85以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:45:41 ID:ttCPBQUI
魔王「……」

女神「……」

魔王「……小娘」

女神「はいっ!?」

魔王「その魔物は、スライムか?」

女神「えっ……あ、はい! そうです! 私の仲間の、スラちゃんです!」

スラちゃん「ピ、ピギッ!」

86以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:46:25 ID:ttCPBQUI
魔王「ふむ? 見た事のない種だな……貴様は、魔に連なる者か?」

女神「え?」

魔王「我の配下かと聞いている」

女神「い、いえいえ違います!! 滅相もございません!!」

魔王「ふむ……なら人間の魔物使い、あるいは勇者か?」

女神「そ、それも違います……」

魔王「ではなんだと言うのだ」

女神「女神です」

魔王「……女神、だと?」

女神「はい」

87以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:47:47 ID:ttCPBQUI
魔王「……それで、女神が何故我の元に?」

女神「それは、その……ですね? 実は私、この世界の歪みを修正する為に色々頑張ってまして」

魔王「……」

女神「あなたのような魔王がいらっしゃると、世界の歪みがどんどん激しくなって最終的には崩壊してちゃうんです」

魔王「……」

女神「ですから、その、世界を救う為に……ちょっと、死んで頂けないかなぁって、あはは。ダメ……でしょうか?」

魔王「……ふむ。よく分かった」

女神「本当ですか!? じゃ、じゃあ……!」

魔王「ああ、望み通り死をくれてやろう────貴様のな!!」

88以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:48:32 ID:ttCPBQUI



ドゴォォオン!!



女神「いやぁああああああ!!! やっぱりぃぃいいい!!!」

魔王「む……避けたか。だが次は逃さんぞ!」

女神「無理ぃぃいい!! 死んじゃいますぅぅうう!!」



スゥゥ……



魔王「なっ……消えた!?」

89以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:49:25 ID:ttCPBQUI
女神「うわぁああああん!!!」



ザシュッ!



魔王「ぐっ! いつの間に……」

女神「ダ、ダメです……全然ダメージが通らない……!」

魔王「当然だ。小娘の短剣なぞ痛くも痒くもないわ」

90以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:50:24 ID:ttCPBQUI
女神「かくなる上は……スラちゃん!!」

スライム「ピギィィイイッ!!」



ペシャッ ジュゥウウ……



魔王「む?」

女神「剣で切れないなら、溶かすまでです! お願い、スラちゃん!」

スライム「ピ、ピギィィイイッ……!!」

91以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:51:03 ID:ttCPBQUI
魔王「……邪魔だ」



バシュッ!



スライム「ピギィィイイッ!!?」

女神「スラちゃぁあああああん!!!?」

魔王「む。今ので死なんか……しぶといスライムだな」

女神「ス、スラちゃん!! しっかりして! スラちゃん……!!」

92以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:51:47 ID:ttCPBQUI
スライム「ピ、ピィィ……」

女神「うぅ、ひどい……ひどいです……きゃぁああっ!!」



ドガァァアン……!!



魔王「殺し合いの最中に背を向けるとは余裕だな、小娘!!」

93以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:52:46 ID:ttCPBQUI
女神「……」

魔王「どうした? もう声も出んか」

女神「……」

魔王「ふん、他愛ない……次の一撃で消し炭にしてくれよう」

女神「……さない」

魔王「む?」

女神「許さない、許さない、許さない……よくもスラちゃんを……!!」

魔王「……まだ立ち上がるか。だが、無駄だ」



ガキィィインッ!!



魔王「なっ……!? 高位結界だと!?」

94以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:53:30 ID:ttCPBQUI
女神「スラちゃんは私の大切な仲間……たった一人のお友達です。それを傷付ける者は、たとえ魔王でなかろうとも絶対に許しません……!!」

魔王「馬鹿なッッ!! これはまさか、神の……!!」

女神「女神の名の下に宣告します────消え失せなさい、魔の王よ!!!」



パァァアアアッ……!!



魔王「グァァアアアッ!!! やめろぉぉおお!!! 我の、力がぁぁあああ!!!」

95以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:54:00 ID:ttCPBQUI



パァァアアアッ……!!



魔王「消える……消えてゆくぅぅううう!!! ウォォオオオオ……!!!」



パァァアアアッ……!!



魔王「ガァアアアアア……ッッッ!!!」



パァァアアアッ……!!



魔王「くそっ……こんな……こんな終わり方があってたまるかぁあああ!!!」

女神「あれ!? まだ消えないんですか!? これ結構しんどいんですけど!!?」

96以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:54:43 ID:ttCPBQUI

魔王「かくなる上は貴様も道連れにィィイイイ……!!!」

女神「いやぁぁああ!! ちょっ、早く、消えて!! 消えて下さいぃぃいいい!!!」

魔王「ォオオオ……ォ────!」



シュゥゥン……



女神「はぁーっ……はぁーっ……!」


女神「……」


女神「……た、倒した?」

97以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:55:19 ID:ttCPBQUI
スラちゃん「ピィィッ!」

女神「あ、スラちゃん! 無事だったんですね! 良かったぁ……」

スラちゃん「ピギッ!」

女神「……えへへ。スラちゃん、私、やりましたよ。ついにやりました! 魔王を、倒したんです! 初の異世界救済です!」

スラちゃん「ピィー?」

女神「嘘じゃないです。本当ですよ! ……ふふふ。これで私も一歩、創世神に近付きましたね!」

スラちゃん「ピッ!」

98以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:55:59 ID:ttCPBQUI
女神「それにしても……人間さんの言っていた通りでしたね。私、また神の力が使えるようになってました」

スラちゃん「ピィ」

女神「もしかして、先輩神が気を遣って力を返してくれたんでしょうか……うーん。でも、なんか今までの力とは違う感じがするんですよね」

スラちゃん「ピィ?」

女神「……まあ、いいです! それじゃあ、一度神界に帰還して……」



先輩神『困る。困るんだよなぁ、そういうの』



女神「えっ?」

99以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:56:52 ID:ttCPBQUI
先輩神『悪いけど、ハッピーエンドはお呼びじゃないんだ。この世界は予定通り、崩壊して貰うよ』

女神「この声……先輩神様!? 一体何が……」

先輩神『可愛い女神。君には異世界救済という甘美な蜜はまだ早い。今は須く、辛酸を舐め耐え忍ぶべき……そうだろう?』

女神「……はい? すみません、おっしゃってる意味がよく分からないのですが……」

先輩神『あははっ! つまりは────こういう事さ!』



ゴゴゴゴ……



女神「きゃぁあああっ!?」

先輩神『さあ、行け! チートまみれの人間君! この世界を滅びへと導くんだ!!』

100以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:57:51 ID:ttCPBQUI
女神「な、なななな……!? 救済されたはずの世界が、壊れ……えっ!?」

男子「……」

女神「人間さん!? どうしてここに!?」

男子「……悪い。しくじった」

女神「しくじったって……何を?」

男子「あいつだ。あのクソ先輩神が、諸悪の根源だったんだよ……ッ!!」

女神「……え?」

101以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:58:37 ID:ttCPBQUI
先輩神『あははっ! その人間には、ボクが譲渡できるだけのチートを付与してある! この世界の寿命はもってあと10分さ!』

女神「そんな……っ! どうしてですか、先輩神様!?」

先輩神『どうして? まだ気付かないんだね。本当に間抜けで……愛おしい女神だよ、君は』

女神「ま、間抜けって……!」

男子「あのクソ神はお前に異世界を救済して欲しくなかった……だから間違った常識を教え込んで、お前の異世界救済をずっと邪魔していたんだよ。今までも、今回もな」

女神「はあ!? え、それってまさか……」

先輩神『……』

女神「私の才能に、嫉妬してたって事ですかぁ!?」

先輩神『……うん?』

102以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 00:59:34 ID:ttCPBQUI
女神「そ、そうだったんですね!! だから、私は二兆五千八十億四千三百万と八十五回も異世界救済を失敗して……許せません!!」

男子「あー……いや、その。女神?」

女神「人間さん、私、あなたの事をちょっと酷い人だなって思ってましたけど……でも本当は私の事をずっと考えてくれてたんですね! 誤解して申し訳ありませんでした!」

男子「うん、うん。分かった。一回落ち着け、な?」

女神「そして、ありがとうございます! あなたのお陰で諸悪の根源を見つける事が出来ました!」

男子「いやだから、違うんだって」

女神「さあ一緒に、あの憎っくき先輩神を討伐しましょう! えい、えい、おー!!」

男子「あーもう! 一回黙れ!!」

女神「むぐぅぅうっ!!?」

103以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:00:51 ID:ttCPBQUI
男子「いいか? お前の予想は半分当たっていて、半分間違っている」

女神「む、むぐぐっ!?」

男子「確かに俺の見立ててでは、お前の神としての才能はクソ先輩神を遥かに凌ぐ。だが、あいつの目的はそこじゃなかったんだよ….…」

女神「ぷはっ! ……えっ、それじゃあ本当の目的って?」

男子「それは……」

先輩神『待って。そこから先は、僕が話そう』

104以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:01:25 ID:ttCPBQUI
女神「……先輩神」

先輩神『様、はもう付けてくれないのかな? 悲しいなぁ……でも仕方ないか』

女神「いいから、早く話してください」

先輩神『はいはい……そうだね。僕が君の、女神の異世界救済を悉く妨害し、失敗させてきた理由……それは』

女神「それは……?」







先輩神『女神のお尻を────ペンペンする為だよ!!』


女神「………………………………………………………………………………………………………………………はあ?」

105以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:02:36 ID:ttCPBQUI
先輩神『……』

女神「……えっ。いや、あの……えっ? おし、り?」

先輩神『ペンペン』

女神「……」

男子「……女神」

女神「……」



ポンッ



男子「諦めろ。これが真実だ」

女神「はっ…………はぁぁあああああああああああああああああああ!!!?!?!? お尻ペンペン!!? 何ですかそれ!!?? バッカじゃないんですかぁ!!?」

男子「俺もそう思う」

106以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:03:25 ID:ttCPBQUI
女神「そ、そんなっ、そんな事の為に!!? そんなくっっだらない理由で私は二兆五千八十億四千三百万と八十五回も異世界救済を失敗させられたんですかぁ!!?」

男子「残念ながらそうらしいな」

女神「ふ、ふざっ……ふざけっ……ぁあああああああッッ!!!!」

先輩神『ふざけてなんかいないさ。君のお尻は非常に叩き心地が良いんだ。そう、打てば響く太鼓のように……ね』

女神「黙りなさいッッ!! この変態セクハラゴミクズ産業廃棄物ッッ!!!」

先輩神『もはや神ですらない』

107以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:05:25 ID:ttCPBQUI
女神「許しません……絶っっっ対に許さない……!! 殺じでやるぅぅぅううう……ッッ!!!!」

男子「落ち着け。気持ちは分かるが、冷静にならんとこの状況は解決出来ないぞ」

女神「だっ、だって!! あいつが!! あのゴミクズがぁあああ……!!!」



ポフッ



女神「ひゃああっ!!?」

スラちゃん「ピィー!」

女神「あ、わわっ……スラちゃん?」

108以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:06:14 ID:ttCPBQUI
男子「ほら、そのスラ……ちゃんも言ってるぞ。落ち着けって」

女神「ス、スラちゃん……」

スラちゃん「ピッ、ピィッ!」

女神「うん……うん。そうですよね。私が、この世界を守らないと……!」

男子「その意気だ。それじゃあ、作戦を伝えるぞ」

女神「さすが人間さん! もう作戦を用意してあるんですね!」

男子「ああ、つってもほとんどお前頼みになるけどな」

女神「任せて下さい! 私に出来る事なら、なんだってしてみせますよ!」

109以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:07:02 ID:ttCPBQUI
男子「よし。じゃあまず、お前に創世神の力があるのは分かるな?」

女神「あ、はい。何となく……ですけど」

男子「その力を使って、滅びゆくこの世界を片っ端から修正していってくれ」

女神「えっ。でも、それだけじゃ……」

男子「いいから、さっさとしろ」

女神「わ、分かりました! ふぐぅぅうううう……っっ!!」

110以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:07:43 ID:ttCPBQUI



ゴゴゴゴ……



女神「〜〜〜〜〜〜ッ!! や、やっぱり無理ですぅ!! 抑えきれません!!」

先輩神『あははっ! 無駄だよ。そんな付け焼き刃じゃあ、崩壊は免れないさ!』

女神「ああああ!!! やっぱりムカつきますぅぅうううう!!! ふぐぅぅうううう!!!」

男子「お、いいぞ。その調子で、崩壊を出来るだけ遅らせてくれ」

111以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:08:50 ID:ttCPBQUI
女神「つ、次は!? 次はどうするんですかぁ!?」

男子「そうだな。次は……こいつの番だ」

スラちゃん「ピギィ?」

女神「え、す、スラちゃん!?」

男子「そうだ。こいつに崩壊の核である俺を包ませて、この世界の歪みそのものを吸収してもらう」

女神「いや、何言ってるんですか!!? いくらスラちゃんが可愛くてもそれは無理ですよ!?」

男子「出来るんだよ。何故ならこいつはただのスライムじゃない。女神の力を注がれた、神聖生物だからだ」

女神「え……はい? 神聖?」

112以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:09:27 ID:ttCPBQUI
男子「ああ。お前、ずっとこいつと一緒に行動してただろ? そのせいで、本来は歪みをもたらす魔物の性質が、歪みを吸収する性質に変化したんだよ」

女神「えーっと、つまり?」

男子「こいつは歪みに強いんだよ。魔王に殴られても死なないくらいにはな」

女神「ああ、なるほど!」

男子「という訳で、頼んだぞ。スラ……ちゃん」

スラちゃん「ピギィ!」

113以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:10:06 ID:ttCPBQUI



グニグニ……シュゥゥウ



女神「あ、崩壊が収ま……って、人間さん溶けてませんか!? 大丈夫ですか!?」

男子「俺の事はいいから気を抜くな!! まだ崩壊は続いてるぞ!!」

女神「わ、分かりました! ふぐぅぅうううう……っ!!」

スラちゃん「ピギィィイイ……ッ!!」

114以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:10:38 ID:ttCPBQUI



ゴゴ……ゴ……



女神「ふぐぅぅうううううううッッッ!!!!」

スラちゃん「ピギィィイイイイイッ!!!!」



ゴ…………



女神「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!! ぷはあっ!!」

スラちゃん「ピィッ!!」

115以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:11:21 ID:ttCPBQUI
女神「ど、どうですか? 収まりましたか!?」

男子「……ああ。完璧だ。良くやった」

女神「って、きゃああっ!! 人間さん、服が……!」

男子「落ち着け。服程度で済んだなら安いもんだろ」

女神「で、でも! その格好は流石に刺激が……!」

男子「……いや、そう思うなら早く服をくれよ。創世神の力使えるんだろ」

女神「はっ! そうでした! ……ど、どうぞ!」

116以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:11:55 ID:ttCPBQUI



パァァア…!



男子「貫頭衣……まあ無いよりはマシか」

女神「それにしても、やりましたね人間さん! 今度こそ、この世界を救済出来ましたよ!」

男子「あ? 何もう終わった気でいるんだよ」

女神「え?」

男子「まだひとつ、ビックイベントが残ってるだろうが。ほら」

117以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:13:03 ID:ttCPBQUI



先輩神『あはは、まさか崩壊を止めてしまうなんてね……流石にこれは、予想外かな』



女神「……ああ。そうでしたね。私とした事が、うっかりしてましたぁ……うふふふ」

男子「ククク……諸悪の根源をぶん殴ってこそ、ハッピーエンドってもんだよなぁ? クソ先輩神さんよぉ?」

先輩神『おお、怖い怖い。まさか僕に攻撃するつもりなのかい?』

男子「出来ねぇと思ってんのか?」

先輩神『ふふふ、怖いね。怖いから……今日の所はここまでにしておこうか』

女神「ああ!! あのゴミカス、逃げようとしています!!」

男子「大丈夫だ。【一連托生】」

118以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:13:50 ID:ttCPBQUI



ジャラララッ……ガキィンッ!



先輩神『……あっれぇ? この鎖は何かな?』

男子「神々の盟約第五条。救済を全うせずに、救済を行う人間を変えること能わず……だったか?」

先輩神『……まさか』

男子「随分と念入りにチートを注ぎ込んでくれたからなぁ? お陰で細工をする時間はいくらでもあったよ」

先輩神『……』

男子「そして、元々俺と女神は【一連托生】だ。……つまり」



男子「てめぇはもう────俺達から逃げられない」

119以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:14:56 ID:ttCPBQUI
先輩神『……あはは。参ったね、これは』

女神「人間さんっ! あなたってば、本当に最高です!!」

男子「まだまだこんなもんじゃねぇぞ。スラちゃん、解放準備」

スラちゃん「ピギッ……ピィイッ!!」

女神「わっ!? す、スラちゃんが光って……!」

男子「吸収した歪みは消えた訳じゃない。それをまとめてぶつけりゃあ、いくら神といえどもひとたまりもねぇだろ」

女神「な、なるほど……!」

先輩神『えっちょっと待って、それは流石に洒落にならないんだけど』

120以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:15:48 ID:ttCPBQUI
男子「うるせぇゴミが喋るな。……おい、女神」

女神「はい!」

男子「お前がやれ」

女神「えっ?」

男子「お前がその拳にスラちゃんの力を乗せて、あのゴミクズの顔面をぶん殴るんだ」

女神「……いいんですか? 人間さんも、あのゴミカスを殴りたいはずじゃ」

男子「ああ、そうしたいのは山々なんだけどな……俺がやる場合、殴る前に歪みに耐えきれずに死ぬ。そして世界が滅ぶ。だが創世神の力を持つお前なら出来るはずだ。それに……」

女神「……」

男子「二兆回の救済失敗の恨みを持つお前が殴る方がふさわしい。そう思っただけだよ」

女神「人間さん……!」

121以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:16:19 ID:ttCPBQUI
男子「頼んだぞ、女神。あいつの顔面をボコボコのグチャグチャにしてやってくれ」

女神「分かりました! 誠心誠意、滅します!!」



ピカーッ!!!



スラちゃん「ピィィイーーーーーッ!!!」

男子「お、準備が出来たみたいだな。それじゃあ引き摺り下ろすぞ……ふんッッ!!!」

122以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:17:26 ID:ttCPBQUI



ジャラララッ……ドサッ



先輩神「痛っ! ちょっ、髪が絡まって……イタタタッ!!」

男子「さあ、やれ。女神」

女神「分かりました。……おいで、スラちゃん」

スラちゃん「ピッ!」

123以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:19:50 ID:ttCPBQUI



ゴゴゴゴ…



女神「はぁぁああああ…………ッッ!!!」

先輩神「あ、待って待って。それなんか本当にヤバいって! そんなので殴られたらシンプルに死んじゃうから! やめて!!」

女神「黙りなさい……あなたに告げる言葉はたった一つのみ。すなわち────」



カッ!



女神「悔い改めなさい、この────ド変態ッッ!!!!」



ドガァァアアアン!!!



先輩神「ぎゃぁあああああああああッッッ────!!!」

124以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:20:33 ID:ttCPBQUI





ガキィン!





先輩神「────ああああッ!? えっ!?」

男子「よし、じゃあ二発目よーい」

女神「任せてください! 次はアッパーです!」

先輩神「えっ、ちょっ、あっ……待って!! 一発だけじゃないの!?」

125以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:21:08 ID:ttCPBQUI
男子「はあ? いつ誰がそんな事を言ったよ」

女神「【一連托生】の効果は世界の歪みが無くなるまで、です。その意味、分かりますよねぇ?」

先輩神「…………え? 嘘でしょ?」

男子「嘘じゃねぇよ。とりあえず、最低でも地面とコイツの区別が付かなくなるまでは磨り潰すからな」

先輩神「あ、あははは…………あの、土下座するんで許し」

女神「せいやぁぁああああああ────ッッ!!!!」




ドガァァアアアン!!!




先輩神「ギャァアアアアアアアアアアアア──────ッッッ!!!!」

126以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:22:08 ID:ttCPBQUI
<神界>



女神「ただいま戻りました……」

男子「おう。で、あのゴミカスはどうなった?」

女神「えっと……故意に異世界を滅ぼし続けた罪で、神界追放八千億年、かつ私との関わりを永久に断つ事になりました」

男子「なるほどな。まあそのくらいが落とし所か」

女神「私としては神界永久追放の刑が良かったのですが……うぅ」

男子「仕方ねぇだろ。そもそも二兆回も騙されるお前にも責任はある」

女神「だ、だって!! あんな酷いこと考える神が居るなんて、普通思わないじゃないですかぁ!!」

男子「ああ、うん。それに関しては同意するけど……」

127以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:22:45 ID:ttCPBQUI
女神「ぐぬぬ……納得行きません。こんな事なら、もっと沢山殴って置くべきでした!」

男子「いや、無理だろ。あれ以上どうやって殴るんだよ。ほとんど赤黒い砂になってたぞ」

女神「でも! でもぉ……!」

男子「ま、あんだけ細切れにすりゃ数億年は復活しねぇだろうからな。それで納得して、あのゴミカスの事はもう忘れろ」

女神「うぅ……分かりたくないですが、分かりました」

男子「おう」

128以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:23:28 ID:ttCPBQUI
女神「……あ、そう言えば」

男子「ん?」

女神「人間さん、いつから気付いてたんですか?」

男子「何がだよ」

女神「えっと、色々です。ほら、異世界救済が邪魔される事とか、私の創世神の力が目覚めていた事とか!」

男子「あー……なんつーか、どっちも疑い始めたのはスライムを五百体倒した辺りで、確信を持ったのはホブゴブリン倒した辺りだな」

女神「え? 最初から気付いてた訳じゃなかったんですか?」

男子「んな訳ねぇだろ。どんなエスパーだよ」

129以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:24:05 ID:ttCPBQUI
女神「じゃあ最初にスライム五百体倒させた理由って……?」

男子「あ? そんなもん、それ以外にお前のレベルを安全に上げる方法が無かったからに決まってんだろ」

女神「……つまり、私を心配してくれていたんですか?」

男子「ああ。ほっといたら全裸で魔王に突撃して死ぬ恐れがあったからな……」

女神「ひどい!? 流石にそこまでバカじゃないですよ!!」

男子「つっても事実、突撃しようとしてたじゃねぇか。初期レベルで」

女神「うっ……た、確かにそうですけど」

130以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:24:55 ID:ttCPBQUI
男子「まーそういう訳で、最初の計画は酷く地道で堅実なレベル上げ。だが、途中でお前の創世神の力が目覚めたから……」

女神「それを利用する計画に変更したんですね?」

男子「そうだ。そもそも神を異世界に送る時点でかなり無理があったからな。ゴミカスの妨害も相まって、あの世界が崩壊するのは時間の問題だったんだよ」

女神「はぁー……割と、ギリギリの戦いだったんですねぇ」

男子「他人事みたいに言うな。お前の働き次第で失敗する可能性もあったんだぞ」

女神「あっ、すみません……その、まだ実感湧かなくて」

男子「実感?」

131以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:25:58 ID:ttCPBQUI
女神「だ、だって、今までずーっと失敗してたのに、今回初めて救済出来たんですよ! だから今でも信じられないというか……ふわふわしていて、なんだか幸せな気分です。えへへ」

男子「……そうかい。そりゃー良かったな」

女神「はい! 良かったです!」

男子「……」

女神「……あ! それでですね! 実はまた救済が必要な異世界が発生しまして、その……また人間さんと一緒に救済に行きたいのですが」

男子「え? 嫌だけど」

女神「本当ですか! よろしくお願いします! ……って、え?」

132以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:26:58 ID:ttCPBQUI
男子「そもそも、異世界救済したら地球に戻す約束だったろうが。早く戻せよ」

女神「え……えええええええええええっ!!? 救ってくれないんですか!?」

男子「むしろなんでやると思ったんだよ」

女神「だ、だってぇ……今回すごく上手く行ったので、次もやってくれないかなーって」

男子「どんだけ都合の良い思考回路してんだよてめぇは」

女神「そ、そんなぁ……!」

男子「今回のは例外中の例外だ。ほら、分かったらさっさと地球に戻せ」

女神「…………無理です」

男子「は?」

133以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:27:46 ID:ttCPBQUI
女神「無理ですよぉ!! だ、だって、救済回数がまだ全然足りませんし……!」

男子「……おい、てめぇ。ふざけてんのか?」

女神「ひぃっ!?」

男子「お前言ったよなぁ? 異世界を救済したら、その力を使って地球に戻れるって。まさか嘘ついたのか!?」

女神「ひぃぃんっ!! ご、ごめんなさい!! 嘘じゃないですぅ!!」

男子「だったら無理無理言ってないでさっさと地球に戻せや!!」

134以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:30:09 ID:ttCPBQUI
女神「だ、だから! 足りないんです! 私、何回も救済を失敗してたから! 負の救済エネルギーが溜まっちゃっててぇ!!」

男子「……ああん? どういう意味だよ」

女神「今回の救済で得た力も、ほとんど相殺されちゃって残ってないんですぅ! だから地球には戻せません!」

男子「はあああああ!!!? ざっけんじゃねぇぞ!!」

女神「ごめんなさいいいいい!!!」

男子「じゃあ何だ!? まさかあと二兆回異世界を救えとでも言うつもりか!!?」

女神「そ、そこまでじゃないですけど……その」

男子「その?」

135以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:30:42 ID:ttCPBQUI
女神「最低でも、あと百回くらいは救済が必要かなーって……てへっ」

男子「……」



ゴッ!



女神「痛ぁぁあああ!!?」

男子「ざっけんなコラァァアア!!! なんじゃそりゃぁああああ!!!」

女神「ま、また殴りましたね!? せっかくたんこぶ治りかけてたのに!!」

男子「うっせぇ黙れ!! ぬか喜びさせやがってこの疫病女神!!」

女神「疫病女神!?」

136以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:31:26 ID:ttCPBQUI
男子「ああ、もう。最悪だ……こんなのどうしろってんだよ……」

女神「……あ、あのー。人間さん?」

男子「ああん!?」

女神「ひぃっ! ……そ、その。次の異世界救済の話なんですが」

男子「……」

女神「実は、今回の件が神界の議会でも認められまして……限定的ではありますが、人間さんに神の力をお貸し出来る事になったんです」

男子「……で?」

137以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:32:03 ID:ttCPBQUI
女神「つ、つまり! 私と人間さんがタッグを組めば、神の力は二倍! どんな異世界も救済出来ちゃうに違いありません!」

男子「……」

女神「……ですからその、これからも一緒に異世界を救ってくれませんか? そうしたらきっと、百回分の救済エネルギーもすぐに溜まるはずですから……ね?」

男子「……一応聞いておくが、断ったらどうなる?」

女神「その場合は、私が一人で百回分の救済を成功させるまで、神界で待っていて頂く事になります。……もっとも、それだといつまでかかるかは分かりませんが」

男子「…………………はぁぁあああああ」

女神「に、人間さん?」

138以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:32:48 ID:ttCPBQUI
男子「……仕方ねぇな」

女神「!」

男子「おい、女神。次の異世界の情報を寄越せ」

女神「じゃ、じゃあ……!」

男子「付き合ってやるよ……あと百回だけだ」

女神「あ……ありがとうございます! ありがとうございます、人間さん!!」

139以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:33:35 ID:ttCPBQUI
男子「いいか? 百回救済したら速攻で地球に戻るからな! 今度は嘘とは言わせねぇぞ!」

女神「はい、はいっ! もちろんです! よろしくお願いしますぅ!!」

男子「本当に分かってんのか……?」

女神「分かってますよ! 人間さんが居れば百神力です!」

男子「不安だ……」

女神「えへへー」

男子「……まあ、いいか。それじゃあ、めんどくさいけど……」



男子「さっさと異世界、救っちゃいますか」


-完-

140以下、名無しが深夜にお送りします:2019/10/24(木) 01:34:53 ID:ttCPBQUI
以上です。ありがとうございました。


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