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騎士「これが……私?」仕立屋「よくお似合いです姫さま」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/18(日) 19:03:59 ID:eu05HRPo
以前、途中でやめてしまったSSの再投稿+続きです。
よろしければお読みください。
98
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:06:10 ID:s6xquYIQ
赤太子「そなたにも世話になったな、感謝する!」
仕立屋「は、は、もったいないお言葉…」
赤太子「では……さらばだ!」
赤太子「なあ」
執事「はい」
赤太子「あの仕立屋…うちに来ないかな」
赤太子「実に…実にいい腕をしている…」
執事「……」
赤太子「陰ながら、師匠と呼ばせてもらうぞ……」
99
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:06:56 ID:s6xquYIQ
--- 帰路 ---
仕立屋「姫さま」
騎士「うん?」
仕立屋「どう、どうでしたか? 赤太子と何か進展はありましたか?」
騎士「ええ、そんな、別にないよ」
騎士「それに、赤太子は私というよりドレスを凝視していたような……」
仕立屋「……ぐふっ」
仕立屋(ああ、これは、やり過ぎってやつですか!? 悪目立ちしちゃいましたか!? ああ、千載一遇の好機に、私はなんてことをー!)
王子「なにやら随分と項垂れているね!」
騎士「はは、疲れたんでしょう…」
仕立屋「あああああ」ジタジタ
100
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:09:09 ID:s6xquYIQ
--- 数日後、城下町 ---
仕立屋「うう…結局あれからなにも進展せず…」
仕立屋「ああ、もう、私は本当に…なにをやって」
仕立屋「旦那様、奥方様に頼まれたのに…」
仕立屋「…? 邸宅の前に誰かいる?」
仕立屋「あの、どちら様ですか?」
101
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:09:43 ID:s6xquYIQ
--- 数日後、城下町 ---
仕立屋「うう…結局あれからなにも進展せず…」
仕立屋「ああ、もう、私は本当に…なにをやって」
仕立屋「旦那様、奥方様に頼まれたのに…」
仕立屋「…? 邸宅の前に誰かいる?」
仕立屋「あの、どちら様ですか?」
102
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:11:23 ID:s6xquYIQ
使いA「おお! あなたが仕立屋殿ですね!」
使いB「ですね!」
仕立屋「は、はあ、騎士様にご用ですか? 今はお城に行っていますが…」
使いA「いいええ! 我々が探していたのは貴女です、ええ!」
使いB「おさがししてました!」
仕立屋「わ、私?」
103
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:12:45 ID:s6xquYIQ
…………
使いA「かくかくしかじか」
仕立屋「ちょ、ちょおーっとお待ちください!」
使いA「失礼! 何かお気に障るところが…!」
使いB「あああ、しんでおわびを!」
仕立屋「待って」
104
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:13:17 ID:s6xquYIQ
仕立屋「わ、私はただのお針子ですよ?」
仕立屋「それを、王の戴冠式で皆様の装いの仕立てをする、だなんて…」
使いA「王子からの推薦なのです」
使いB「ごしゅーしょーさまです!」
仕立屋「あながち間違った意味じゃなさそうなのがあれですが…、いや、しかし」
使いA「こほん! それに戴冠式に出席される各国の来賓の方々からもたっての希望が」
仕立屋「は、はああ?」
105
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:14:55 ID:s6xquYIQ
……
使いA「それでは良いお返事をお待ちしております!」
使いB「おとといきやがれ!」
ポツン
仕立屋「え、えええ?」
仕立屋「い、いや断らないと……私にはそんな大それたこと……」
コンコン
仕立屋「…どなたですか? 申しわけありませんが今少したてこんでおりまし…て…」
仕立屋「……?」
美丈夫「……話は窓の外で聞いていたよ!」
美丈夫「僕にできることがあれば何でも言っておくれ!」
美丈夫「一肌だって、ふた肌だって脱ぐさ!」
仕立屋「……とりあえず、お引き取りを」ガクッ
106
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:56:17 ID:s6xquYIQ
騎士「ただいまー」
仕立屋「ひーめーさーまー!」
騎士「や、やだなあ怖い顔して」
仕立屋「聞きましたよ、そして問いただしますよ!」
仕立屋「戴冠式での仕立て! 姫さまも賛同したそうじゃないですか!」
「あ、もう知らせが来たの? あ、ははは、いやー、話の流れで」
仕立屋「な・が・れ」
仕立屋「うう、なんて軽い響き……」
仕立屋「反して荷が、荷が重すぎます、なんて場に引きずり出したんですか…」
仕立屋「うう、断ったら極刑でしょうか?」
107
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:58:58 ID:s6xquYIQ
騎士「あ、あのさ仕立屋」
仕立屋「うう、何でしょう」
騎士「私からもひとつお願いがありまして」
仕立屋「!」
仕立屋「ええ! ええ! お任せめされ!」
仕立屋「戴冠式での衣装ですね!」
仕立屋「姫さまのことでしたら、不肖私めに何なりと!」
仕立屋「今度はどうしましょうか、ギャップ狙いでぷりてぃーなど!?」
108
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 21:59:30 ID:s6xquYIQ
騎士「ええと…これを仕立て直して欲しいんだ」
仕立屋「これは……」
仕立屋「旦那様の、…公爵の礼装、ですね」
騎士「うん、…お願い、できるかな?」
仕立屋「…ええ、ええ! お任せください!」
騎士「ありがとう」
109
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:00:11 ID:s6xquYIQ
-- 数日後の夜 ---
仕立屋「……」
仕立屋「……ふう」
仕立屋「はっ、いけませんね」フルフル
仕立屋「何だか手が進みません」
仕立屋「公爵の、礼装……」
110
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:00:45 ID:s6xquYIQ
仕立屋「……姫さまは、立派になられました」
仕立屋「私などいなくてもとうに……」
仕立屋「……旦那様探しなど、余計なお世話でしたかね……」
仕立屋「……あいた!」
仕立屋「ああ、切りすぎてしまいました」
111
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:01:19 ID:s6xquYIQ
仕立屋「でもこれくらいなら…、ええとこの色の糸はどこにしまってましたか」
ゴソゴソ
仕立屋「あ、あったあった」
ドサササ!
仕立屋「ぐえ!」
仕立屋「い、いったあ…な、なにが落ちてきたのか」
仕立屋「……箱? ……これは、姫さまの?」
112
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:01:54 ID:s6xquYIQ
仕立屋「これ、は……姫さまにはじめて着て頂いたドレス……」
仕立屋「姫さま、ずっと持っていてくださった……?」
仕立屋「……これははじめてお贈りしたワンピース」
仕立屋「……これも、これも」
仕立屋「……これ、は」
仕立屋「……なんという恥のデパート……!」ワナワナ
113
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:02:28 ID:s6xquYIQ
仕立屋「この、ほつれ! 裁断の甘さ! 縫製の粗さ! センスの……なさ!」
仕立屋「ほんとへタッくそ……なのに」
仕立屋「ずっと持っていてくださったんですね……」
仕立屋「……グスッ」
仕立屋「……」
チクチクヌイヌイ
チクチクヌイヌイ
114
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:03:16 ID:s6xquYIQ
…………
コンコン
…………
コンコン
仕立屋「……間に合っております」
「え!?」
「ええ? いや、困ったな」
仕立屋「? 声が違う、どなた…でしょうか?」
115
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:03:51 ID:s6xquYIQ
王子「やあ、良かった、どうも」
仕立屋「お、お、王子!?」
仕立屋「し、しかも、なんですか、そんなに汚れて!」
王子「ええっと、戴冠式の準備で缶詰にされててね」
王子「色々とお願いしておきながら、全然挨拶にも来れず悪かったね」
王子「何とか城を抜けてきたんだけど、暗い中何度か転んで……」
116
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:09:13 ID:s6xquYIQ
仕立屋「ああ!? こんないい生地のマントに穴がー!」
仕立屋「いい仕事しているブーツが千切れてー!」
仕立屋「ぎゃー!ボタンが全部取れているー!?」
王子「え、ええ?」
仕立屋「王子!ちょっとこちらへ!グイグイ」
王子「し、仕立屋殿?」
…………
117
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:09:43 ID:s6xquYIQ
ザー
王子「……ふう、さっぱりした」
王子「すっかり身包みはがされてしまったな……」
王子「昨今の追い剥ぎだってここまでしないだろうに……」
王子「……ぶぇくしっ!」
仕立屋「……王子ー……そこにある服を着てあがってきてくださいー……」
王子「これだろうか」
王子「ふう、なんとも肌触りのいい服だね」
118
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:10:18 ID:s6xquYIQ
王子「仕立屋殿」
仕立屋「ああ、お上がりになられましたか」
仕立屋「すみません、つい仕立屋としての血が騒ぎ」
王子「いやいや、こちらこそどうも」
仕立屋「……」
王子「……」
王子「はは」
仕立屋「どうかされましたか?」
119
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:11:57 ID:s6xquYIQ
王子「いや、仕立屋殿の顔を初めてちゃんと見たなあと」
王子「いつも帽子を目深にかぶっていたから」
仕立屋「こ、こんな夜更けに訪ねてこられたので…油断を!」
王子「ふふ」
王子「改めて、今回はありがとう」
王子「そしてこの前の旅に同行してくれたことも重ねて礼を言わせてもらうよ」
120
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:17:28 ID:s6xquYIQ
王子「いや、ホント各国の太子たち、貴族たちにも好評でね」
王子「騎士殿も公爵としてするっと受け入れられて」
王子「目論見通り、まるっと骨抜きにできたよ」
仕立屋「はい?」
王子「いやいやこちらの話」
121
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:18:03 ID:s6xquYIQ
王子「さ、十分迷惑をかけたけど、これ以上かけないようにもう帰ろうかな」
王子「大臣たちもうるさいだろうし」
王子「夜も遅くに申し訳なかったね、もう失礼するよ」
仕立屋「え、こ、これだけの為に?」
王子「うん? そうだよ? あ、そうだ、お礼をしなきゃね、なにがいいか考えておいて」
仕立屋「あ…」
仕立屋「あの、それでは私からひとつだけ」
王子「なんだい?」
仕立屋「ひとつだけ、たわいのない小話を聞いては頂けないでしょうか」
王子「…どうぞ?」
122
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:18:37 ID:s6xquYIQ
仕立屋「……私と、姫さまはいわゆる乳姉妹というやつでして」
仕立屋「私は、孤児だったところを乳母に拾われました」
仕立屋「私の方が、少し、年が上なのですが」
仕立屋「姫さまは可愛い妹のようで、幼い頃から、ずっとご一緒させて頂いていました」
仕立屋「姫さまは、それはもう可愛らしく、ご聡明で、少しご趣味が変わって、らして…」
123
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:19:11 ID:s6xquYIQ
$〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜$
仕立屋「姫さま!」
騎士「どーしたの?」
仕立屋「これ、感謝祭の贈り物です!」
騎士「わあ! なんて、可愛い、フリルのハンカチ……」
仕立屋「どうですか!?この、編み込みがね、また可愛くて、よく似合うかなって!」
騎士「う、うん!」
124
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:19:43 ID:s6xquYIQ
騎士「そうだ、仕立屋にもプレゼント!」
仕立屋「わあ! なんて……、禍々しい、ナイフ」
騎士「どうかなどうかな!?この刃紋!うっとりするよね!」
仕立屋「は、はい!」
仕立屋「うっふっふ!」
騎士「えっへっへ!」
$〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜$
125
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:20:36 ID:s6xquYIQ
仕立屋「……いま思えばなんという平行線を繰り返して来たんでしょう」
王子「どうしたんだい、遠い目をして」
仕立屋「いえ、なんでも」
仕立屋「姫さまは絶対に私がお幸せにするんだと、子どもながら思っていました」
仕立屋「いや、はは、とは言ってもお針子しか取り柄もないのですが」
仕立屋「姫さまは騎士になられて、隣国へ留学されて」
仕立屋「その折に、流行病で皆様が亡くなられて」
126
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:22:04 ID:s6xquYIQ
仕立屋「…皆様にお願いされたんです、姫さまを助けてやってくれと」
仕立屋「私には、服を仕立てることでしか、お役に立てないのに」
仕立屋「お幸せにするといいながら、私が幸せを頂いていたんです」
仕立屋「何もない私に、生きがいを与えてくれたのは姫さまだったので」
仕立屋「姫さまがご立派になられるのが、誇らしくて、でも、寂しくて」
127
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:22:44 ID:s6xquYIQ
王子「……十分」
仕立屋「え?」
王子「君は、十分助けになってると思うよ」
仕立屋「そう、そうでしょうか」
王子「それ、今縫ってるそれは公爵の礼装だね」
仕立屋「はい」
王子「大切なものだからこそ、騎士殿は仕立屋殿に頼んだんだと思うよ」
仕立屋「はい、ありがとう、ございます」
仕立屋「……」
128
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:23:42 ID:s6xquYIQ
王子「…ああ! 危ない、忘れるところだった! 」
仕立屋「は!? え?」
王子「だーいじな用だ、ああ、くそ、私の阿呆め」
王子「これとこれと…ええとまだあるな」ドサドサ
仕立屋「な、何ですかこれは」
王子「ドレスの注文書さ」
王子「さっき言ったろう?」
王子「各国から好評だったって」
129
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:24:49 ID:s6xquYIQ
王子「質問、我が国の特産品は?」
仕立屋「え…絹、綿、布…でしょうか?」
王子「そう、そうなんだよ」
王子「でもね、これ、もっと売りたいんだ」
王子「その為には、素材だけではなく、付加価値を付けないといけないと思うんだ」
王子「だから、ね、君には是非、私のびじねすぱーとなーに…」
仕立屋「ええ!? 大事な話って、お金儲けの話ですか!?」
130
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:26:50 ID:s6xquYIQ
王子「…そう! お金は大事だよ!」
王子「王位は兄上が無事に継ぐし、私は自由だ!」
王子「この前はびじねすの話を隣国の商家に持って行ったら、いつの間にか縁談の話になっていて焦ったけど、いい経験になったよ」
王子「今度こそ成功させてみせる!」
王子「ふっふっふ、戴冠式、ここが好機!」
王子「広く我が国のぶらんどを知らしめるんだ!」
王子「さあ、ともに握ろうじゃあないか、大陸の覇権を!」
仕立屋「 」
131
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:27:20 ID:s6xquYIQ
--- 戴冠式当日 ---
仕立屋「ああ、ハラハラします」
仕立屋「本当に私などで良かったのでしょうか…」
緑太子「……おう、そなたはあの時の」
仕立屋「は、緑太子!」
緑太子「おお、何やら雰囲気が違うので人違いかと思ったぞ」
仕立屋「あ、あわわ、ぼ、帽子は……持ってきていないんでした」
132
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:27:53 ID:s6xquYIQ
緑太子「? はっは、今回は無理を言ってすまなかったなあ!」
緑太子「儂の娘たちもどうしてもと煩くてかなわんでの」
緑太子「そなたが作ってくれると聞いて、まあはしゃいでおったわ」
仕立屋「いい、え、そんな恐れ多い…」
仕立屋「でも」
仕立屋「喜んで頂けたようで、何よりです」
緑太子「はっは! では、後でな」
133
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:28:25 ID:s6xquYIQ
仕立屋「ああ、幾分か楽になったような…」
ドンッ
青太子「っと」
仕立屋「し、失礼しました!」
青太子「あれ、あんたは……」
仕立屋「あ、青太子……」
青太子「あの時の侍女か……、いや、仕立屋殿といったか」
青太子「……」キョロキョロ
134
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:28:55 ID:s6xquYIQ
仕立屋「どうされました?」
青太子「いや、騎士殿は一緒ではないのだな」
仕立屋「姫さまは、聖堂の方に…お呼びしましょうか?」
青太子「い、いや、いい! まだ心の準備が……」
青太子「……あの時は随分と驚かされたな」
青太子「今日は……お手柔らかに、頼む」
青太子「騎士殿の装い、いや、他も色々と、楽しみにしている」
仕立屋「は、はい!」
135
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:30:20 ID:s6xquYIQ
仕立屋「うう、そろそろ準備に取り掛かりませんとね…」
仕立屋「ええと、まずあれをして、これをして…」
赤太子「……お師匠!」
仕立屋「……?」
赤太子「は、いや、間違えた、仕立屋…殿!」
仕立屋「赤太子…、いま何と?」
赤太子「いや、ははは!」
136
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:31:17 ID:s6xquYIQ
赤太子「うーむ、うん」
赤太子「よし、私も腹を決めたぞ!」
赤太子「仕立屋殿! …私を貴女の……弟子にしてくれ!」
仕立屋「ははあ、弟子ですか……って、何ですって!?」
赤太子「私はな、ずっと、……服飾に興味があったのだ」
赤太子「しかし、なかなか周りには言えなくてな……」
赤太子「だが、やはり尊敬できる貴女の元で学ばせて頂きたい!」
仕立屋「な、ななな……」
137
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:32:01 ID:s6xquYIQ
使いA「仕立屋殿〜〜そろそろお時間です〜〜〜」
仕立屋「ああ、もう時間ですか!」
赤太子「おお!早速お手伝いしますよ、師匠!」
赤太子「さあ行きましょう!」
仕立屋「ちょ、ちょ、私はまだ何も返事してませんよ〜!」
138
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:32:53 ID:s6xquYIQ
--- 控え室 ---
仕立屋「……姫さま」
騎士「ん」
仕立屋「さ、もういいですよ、目をお開けください」
仕立屋「鏡をどうぞ」
騎士「……おお! いいね!」
仕立屋「よくお似合いです、姫さま……いいえ、公爵さま」
仕立屋「うっう、もうドレス姿は見れないかと思うと」
騎士「ま、まだ諦めていないのね」
139
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:34:08 ID:s6xquYIQ
騎士「着る、着るよ、……気の向いた時に」
仕立屋「ほ、本当ですか!?」
仕立屋「じ、実は今回もご用意しているのです!」
騎士「ええ!?」
騎士「き、気の向いた時にね!」
仕立屋「そんな、殺生な!」
仕立屋「後生ですから、生殺しですか!?」
騎士「うーん、じゃあひとつ教えてくれたら考えてあげる」
仕立屋「な、何でしょうか?」
140
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:35:38 ID:s6xquYIQ
騎士「私が留学していた頃、姉様方から仕立屋の噂を聞いたんだけど」
騎士「仕立屋には、……いい仲の人がいたとかいないとか」
仕立屋「!!!」
仕立屋「だ、だれがそれを」
騎士「いやー、もう、姉様方、そういう噂とか大好きだったからなあ」
騎士「実は結婚も考えてたりしたけど、流行病の件でうやむやになって」
騎士「そのあとは私の為に一緒にいてくれたんでしょ?」
仕立屋「う、うう」
141
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:36:29 ID:s6xquYIQ
騎士「結構、気になってたんだよね」
騎士「それに、この前も誰が一体家具を動かしたり手伝ってくれたのかなーって」
騎士「噂では確か……」
仕立屋「わー! わー! 姫さま! もうそれ以上は!」
仕立屋「さ、さ、それはさておき、時間ですよ! 行きましょう!」
騎士「ええ? しょうがないなあ」
騎士「じゃあまた後でね……」
142
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:37:00 ID:s6xquYIQ
--- しばらくして ---
仕立屋「………」
仕立屋「…………」
赤太子「………さ、もういいですよ、目を開けてください」
仕立屋「………これが、私?」
騎士「………よく似合ってるよ、仕立屋」
仕立屋「うう、姫、さま……」
仕立屋「姫さまの為に仕立て直したこのウェディングドレスも、結局また私用になってしまいましたね……」
143
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:37:32 ID:s6xquYIQ
赤太子「いかがですか師匠、修行の成果がいま!」
仕立屋「ここのところの縫製が少し甘いような…」
赤太子「な、なんですと!? すぐ直します!」
仕立屋「はは、お願いします」
騎士「さ、お相手が首を長くして待ってるよ」
騎士「お手をどうぞ、一緒に行こうか」
仕立屋「ええ、ええ、姫さま」
144
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:39:00 ID:s6xquYIQ
「………おお、待っていたよ! なんて美しいんだ!」
「………え? なに言ってるんだい、今日はお引き取りなどさせないでくれよ!」
…
………
………………
ある国の町外れ
王子や公爵がこっそり通う工房があるとか、ないとか
騎士「これが……私?」仕立屋「よくお似合いです姫さま」
おしまい
145
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/19(月) 22:39:50 ID:s6xquYIQ
以上になります。
なんとか供養ができました。
お目汚し失礼致しました。
146
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/08/20(火) 00:59:01 ID:4uoKKl36
本当は騎士は男で仕立屋に正装でプロポーズをすると思ってたのに
147
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/09/05(木) 02:01:10 ID:vhUqcybU
シンプルだけど好き
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