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僕は僕だって

1以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/11(日) 21:31:52 ID:HI36PMJg
人は誰かになれる。

ガキの頃に兄貴がやってたゲームのキャッチコピーだ。当時は何となく聞き流していたけれど、今になると少し胸が痛む。

そんな気持ちになってしまうのは、数年ぶりにここでボールを蹴るからだろうか。

高校生の頃は土の市民運動グラウンドだったが、しばらく離れているうちに人工芝の立派なサッカー場になっていた。今までのサッカー人生でも、こんな芝でプレーした回数は限られていて少しテンションが上がる。

「おっ、来たな!」

高校時代の恩師、岩田さんがニヤニヤした笑みを浮かべながらこちらに近づいてきた。体つきは少し肉付きが増したけれど、その表情には変わりがない。

「お久しぶりです」

「お前、サッカーやってたか?」

「いやー、大学出て以来っす。お手柔らかに頼みます」

大学でやっていたのも、サークルで緩く市リーグに参加していたくらいだ。社会人になってからは、たまの運動に個人フットサルに参加するくらいしか運動していなかった。

転職で地元に戻ります、と岩田さんに連絡したところで、彼から「うちのチームに来い」と声をかけられた。

2以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/11(日) 22:41:02 ID:EgU5YQVo
何となく名前は知っていたチームだった。俺の中学とはライバルチームだったクラブのOBが主体で運営しているらしく、何となくアウェー感。

「とりあえず気持ちだけ出せよ、下手くそなんだから」

そんな煽り文句を残して、岩田さんはピッチに向かった。

スパイクに履き替えると、ポイントの突き上げてくるような感覚が何だか懐かしい。それもそのはずか、大学を出てからだから、もう三年ぶりだもんな。

ピッチに入ると集合がかけられた。円になると、岩田さんが仕切って話し始める。

「今日から俺の教え子が参加することになったから……リュウ! 自己紹介しろ」

「はい! えー、岩田さんに高校のときにサッカー教えて貰ってました、宮近龍弥です。サッカーは三年ぶりなんでしばらくは動かないと思いますが……よろしくお願いします」

まばらな拍手にやはりアウェー感を覚えつつ、そのまま練習が始まった。

3以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/11(日) 23:12:39 ID:EgU5YQVo
「うぇぇ……」

練習後にそんな悲鳴を漏らしてしまうほどには、体力が無くなっている。

いやほんと、思ったよりきついわこれ。チームのレベルが高い高い。高校生の頃の俺がいたとしても、たぶんついていくので精一杯。

「おう、お疲れ!」

声をかけてくれたのは……三枝勇人さん。同じセンターバックということで、練習中にもちょくちょく声をかけてくれた。

「お前、久しぶりに練習したらきついだろ。ゆっくり慣れていけよ」

「それにしても相変わらずの下手くそだったけどな!」

岩田さんが横から茶々を入れてきた。でも、そう言われても仕方ないようなプレーだから今日は甘んじて受けてやろう。

「練習来いよ! 鍛えてやるわ!」

「あっす! お疲れ様でした!」

岩田さん、三枝さん、それから他のチームメイトにも声をかけて、その場を後にした。

あー、これは明日の仕事に響くな。


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