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【閲覧注意】ガルムをいじめて料理【放サモ】

1以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:02:02 ID:urZ8xHc2
※本作は『東京放課後サモナーズ』の二次創作です。
※本作には同性愛、流血、拷問、カニバリズムなどの要素が含まれます。
※上記要素が苦手な方はBB推奨。

2以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:02:56 ID:urZ8xHc2
肩肉を深く食い千切られる。
こちらの刃に厚い胸板を削られながら躊躇なく踏み込んでの一撃。
首筋への致命傷を避けたところで、骨が露出するほどの傷口では左腕は上がらないし失血も酷い。

「ご主人様ーーーーっ!」

観戦していたガルムの悲鳴が飛ぶ。
戦いの興奮の中、自分の肉を恍惚の凶相で咀嚼するマガンを眺めながら、俺は降参を宣言した。


ーー
ーーーー
ーーーーーー

「ご主人様大丈夫!?」

「ありがとうガルム、アプリを切って傷も巻き戻ったし問題ないよ」

場所はバーサーカーズ地下闘技場控え室。
リングから降りた俺を迎えたガルムが忙しなく心配の声を重ねる。

「でもマガンのアレ、すごく痛い……ご主人様、ホントに大丈夫?」

ガルムも食らったことあったのか、と内心で独りごちる。
この調子だとバーサーカーズの戦力に挙げられる人たちみんなマガンに食べられたことあるんじゃないか?
アレを食らってでも毎日戦いに明け暮れるとは、流石のバーサーカーズである。

「んー、まあ痛いは痛いけどそんなに悪くないっていうか」

その一言に明らかにガルムが引いた。

3以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:03:42 ID:urZ8xHc2
「あー……いや、マガン相手の話ね?」
「ほら、マガンにとっては相手を食べるって相手を認めるって意味だし、実際食べられるとなんか深く繋がってる感じ?」
「俺もあれだけ強靭な牙とアゴがあれば、マガンの期待にも答えられるんだろうけど」

「ガルムよく分かんない……」

難しい話を聞かされたことと、マガンに熱を上げるような内容に若干の不機嫌さを見せる。

「俺なんかよりガルムの方がマガンの感覚に近いんじゃないかと思ってたんだけど」

その一言にすごい勢いで首を左右に振り否定するガルム。

「ご主人様食べる、ご主人様いなくなる!絶対ダメ!!」

「そっか……俺はガルムのこと食べちゃいたいくらい可愛いと思ってるのになあ」

「え?」

「まあマガンみたいな繋がり方って普通は無理だよね、うん」
「あー、なんとかマガンとちゃんと喰らい合えるようにできないかなぁ」

これまでの会話で燻っていたマガンに対する僅かな嫉妬心を焚きつける一言。
言葉の意味も深く考えず、ガルムは反射的に食いついてくる。

「ガルムご主人様大好き!ガルムがご主人様の一番!」
「だから食べるならガルム食べる!マガンはダメーーーーっ!!」


ここに合意は成った。

4以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:04:26 ID:urZ8xHc2
そのまま流れでガルムを連れ出し数時間後、俺たちは廃墟と化した実験施設の一角にいた。

「ご主人様、ここは……?」

「いろいろと便利なものが揃ってるからね、ほら」

ガルムの服を脱がしていく。
恥ずかしがるも無抵抗なまま、すぐにガルムは一糸纏わぬ姿となる。
そのまま口付け、ガルムの長い舌に自分の舌を絡めながら金属製の台へと優しく押し倒す。

「ご主人、様……」

期待に潤むガルムの瞳に笑顔を向けたまま、金属製の手枷を嵌めた。

「ご主人様?」

続いて足枷、ガルムは状況が飲み込めないのか無抵抗なままだった。
台座のパイプラインのコックを捻り、荒いフィルターを付けた排水槽へとルートを繋ぐ。
厚手のゴム手袋を装着し、給湯器へと繋がるバルブを開いた。
溢れ出す熱湯、温度確認ーー85度ーー問題なし。

「ありがとうガルム」
「美味しく食べてあげるからね」

5以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:06:13 ID:urZ8xHc2
ガルムの胸目掛けて、躊躇なく熱湯を掛ける。
耳を劈く悲鳴、だがこの実験室の分厚い壁がそれを外部に漏らさない。
熱湯を掛けながらガルムの胸の毛を掴む、ゴム手袋の断熱は十分のようだ。
力を入れると、熱で緩んだ毛根がブチブチと音を立て毛がごっそりと抜けた。
イノシシの剛毛を除去するのと同じ手順を踏んだが、有効だったようで安心する。
次々と毛を引き抜きながら、熱湯ごと流せばシンク状の台座に空いた穴から排水されて行く。

「ぎゃあああああ!?ご主人様!!どうして!!どうして!?」

激痛の中にあって困惑と不理解が勝るのか、懇願するような哀れっぽい声音でガルムが叫ぶ。
俺は微笑みで応え、大型ペンチを手にするとガルムの尻へと手を伸ばす。
根元から尻尾を掴むとペンチを宛てがい、握り手に力を込めた。
骨ごと切断する。
掠れた悲鳴。
嗚咽を漏らすガルムの体表の水気を軽く取ると、剃刀で払い残った毛を切りとばす。
更に残った産毛を、皮膚を焦がさないように注意しながらガスバーナーで焼き切って行く。
一連の作業を終えると、ガルムの体幹と肩、太腿の付け根までがすっかり丸裸になった。
火傷で赤みを帯び、所々血が滲む姿は少しだけ食材に近づいたように感じる。
手足は作業の必要がないので簡略、まだまだ先は長いのだから手を抜けるところで抜いて置かねば身体がもたない。

6以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:07:10 ID:urZ8xHc2
俺は次の道具、巨大なミートハンマーを手にとった。
この期に及んでまだ信じられないといった風情のガルムの表情が愛おしい。
無造作にガルムの右腕目掛けて振り下ろした。
骨を砕く感触。
何度目かももう分からぬ悲鳴を聞きながら、失敗に内心で舌を打つ。
鍛えられたガルムの肉体を過信したのか、喜び勇んで力み過ぎたか、骨が折れてしまった。
砕けた骨片を除去する手間が増えるのは好ましくない。
骨を折らぬよう、しかし筋繊維はしっかりと切断できるよう、力加減を調整してゆく。
ガルムの悲鳴が枯れ、右手全体が歪な形に成り果てた頃にはコツを掴んでいた。
右足の作業に移る。
毛皮越しでは痣も分からず内出血の様子も腫れから想像する他ないが、その分気持ち多めに叩けば問題なかろう。
左半身は肉を叩かず食べ比べしてみようと思う。
決して予想以上の疲労に諦めた訳じゃないよ?
そうして繰り返される一方的な加虐に、ガルムが反吐を吐き糞尿を漏らす。
次の作業までに中身が綺麗になってくれるなら都合がいい。
汚物を洗い流して一先ずは終了。
それから、パイプラインを排水から切り替えておくことも忘れない。
パイプの先にボトルをセットして次の準備は完了だ。

7以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:08:28 ID:urZ8xHc2
さて、と今度は鉈と木槌を手に取る。
それを見たガルムが、顔面から絞り出せるあらゆる体液でぐちゃぐちゃになった頭を左右に振る。
大丈夫だよ、と頭を優しく撫で、左肩と二の腕を分かつように鉈を振り下ろした。
肩口からにしないのは出血量がコントロールできずガルムを失血死させないため。
輸血でもしてやれば延命は可能だろうが、ガルム本来の味に他者の血の雑味が混じるのは避けたいため、大雑把に見えて慎重に作業を進める。
鉈の背を木槌で叩き骨を両断すると、すぐに断面の太い血管を止血する。
それでも流れ出た血は金属台の排水口を通ってボトルに溜まってゆく。
股間から出すものは先程出し切ったようで、汚物が血に混ざり汚染される心配もなさそうだ。
あくまで食材だからね。
そうして、完全に切り離された左腕をガルムに見せつける。
諦めを湛えた瞳に未だに困惑や哀願が見てとれるのが面白い。
本当にガルムは忠実なよい番犬だ。
左腕をワゴンの金属盆に載せると、次は右腕に鉈を振り下ろした。
肉を斬る感触では、肉を叩いた効果は実感できない。
まあ、小型の野鳥を窒息死させて血液を全身に巡らせ、旨味を引き出す手法の真似でもあるから食感は二の次で構わない。
内出血で肉に血を含ませるために生きたまま、四肢を切り離す前に調理してガルムに苦痛を増やしてしまったのは若干心苦しくはあるが……
ガルムを美味しく食べることが至上命題なのだから我慢してもらう他ない。
足も股関節の付け根ではなく、その少し下に鉈の刃を入れる。
発達した筋肉と太い大腿骨は簡単には切断できない。
筋肉に切れ目を入れて持ち上げ鉗子で固定、太い血管を止血し、骨は鋸で挽く。
ゴリゴリと骨を削る音に合わせてガルムの胸腔がリズミカルに上下するのが面白い。
腕の切断と比較してかなり苦労はしたが、なんとか両足ともに切断できた。
これでガルムを縛る枷ももう無いが、四肢を欠損し激痛に消耗した身体は完全に抵抗する力を失っている。
あれだけ元気だった『ご主人様!』と懇願する悲鳴も今では懐かしいものだ。

8以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:10:12 ID:urZ8xHc2
血液で満たされたボトルを回収し、パイプラインを排水に戻す。
そしてよく研いだナイフを手にとると、その切っ先を綺麗なピンク色のガルムの肛門に宛てがった。
ずぷり、と刃を沈め、切り上げる。
今までとは違う、特に弱い部位への激痛に、ガルムが枯れ果てた喉から掠れた悲鳴を絞り出す。
会陰を切開して切り広げた肛門にナイフを持つ拳を押し込み、内側で一周捻る。
内部から直腸を切断すると、その末端を握り生きたまま大腸を引きずり出す。
無論、腸自体が一本の筒ではあっても、それを腹腔に固定する多々の結合組織が付随するため簡単には抜き出せない。
更に会陰を大きく切り裂き、両腕を肛門だった穴から押し込んで作業を続ける。
奥まで突っ込んだ腕で腸間膜を切り裂き、そこに巡る血管を止血しながら、大きな金属盆の上にとぐろを巻いていく。
小腸の大半を引きずり出した頃には、ガルムの腹が中身を失い凹んでしまっていた。
再び腕を奥深くに、胃袋の上部を掴むと食道を切断。
念のため胃袋の中身が溢れぬよう慎重に抜き出せば、消化管全てが無事摘出された。
金属盆に山盛りの内臓を両手で支え、洗い場に移動する。
胃、小腸、大腸で切り分け、外側から扱くように、残っている内容物を洗い出す。
それだけでは消化物の臭気が抜けないため、流水に暫くさらして臭いをとる。
その間に次の作業を進める。

9以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:11:10 ID:urZ8xHc2
極論、脳さえ無事なら生命は繋げる。
脳と、脳を生かす血液を巡らせるための循環器系、即ち心臓と肺。
この三つさえあれば、一先ずは生命を繋げるのだ。
逆に言うと、短期的な視点ならば、他の臓器は摘出してしまって問題ない。
血管を結紮して腎臓、膀胱を摘出、次いで肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓をまとめて摘出する。
肺は二つあるが、片肺だけでは生命維持に必要な呼吸量を確保できないため片側だけ摘出という選択肢は捨てる。
また横隔膜も、胸腔の筋肉による運動だけでも呼吸は可能だが、ガルムの体力の消耗も鑑みて残すことにした。
大型犬一頭分の腑分けした臓物の並ぶ様はなかなかに壮観だ。
体温を奪わないよう人肌の微温湯で、空になった腹腔内をじゃぶじゃぶと洗っていく。
膀胱も先ほどの洗い場で洗って流水にさらしておこう。
そしてこの先の調理のために、耐火ジェルをたっぷりと含ませたガーゼで心肺を包んでおく。
さて、切断した四肢の下拵えに取り掛かろうか。

10以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:12:03 ID:urZ8xHc2
四肢は毛皮を剥ぎ、解体して骨と肉に分けていく。
肉は更にスネ肉やアキレス腱など硬い部分と、モモ肉やウデ肉など柔らかい部分に分ける。
柔らかい部位は切り離した場所の関係で少し量が少ないが、まあいい。
ついでに最初に切断した尻尾も毛皮を剥いで骨を取り出しておく。
寸胴鍋に水を入れ火にかける。
実験室にはガスバーナーなどを使うためのガスが通っているため、業務用ガスコンロを繋いで使えるのが嬉しい。
血管などを掃除して血を洗い流した骨と、硬いスジ肉部位、皮を剥いた玉ねぎ、生姜、白ネギを鍋に投入する。
やっと料理らしい工程に入り浮き足立っている自分を自覚する。
柔らかなモモ肉などはミンチマシーンで挽肉にしていく、食べ比べのため左右の肉を取り分けることを忘れない。
内臓は下処理をして荒微塵に刻むが……せっかくなのでその前に肝臓をいくつかスライスした。
胡麻油に塩を加えたタレをつけ、生のまま食す。
新鮮な生レバーの芳醇な血の香気が口腔に広がる至福。

11以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:13:04 ID:urZ8xHc2
「美味しい!美味しいよガルム!!」

満面の笑みでガルムの方向を振り向くが反応がない。
近づいて見れば目も開いているし呼吸もしている。
あれだけ丁寧にやって死んでしまったのかと心配したが杞憂だったようだ。

「ほら、これがガルムの肝臓だよ」

箸で摘み上げたそれをよく見えるように自分の舌に乗せ、目の前で咀嚼して見せる。
それを目の当たりにしたガルムの瞳に初めて浮かぶ、理解できない存在に対する名状しがたい恐怖。
正直ちょっと傷ついた。
こんなにガルムのことを愛してるのに、こんなに大事にしてるのに。
咀嚼した肝臓を舌に絡めたまま、ガルムに口付ける。
唇を吸い、長いイヌ科の舌をまさぐるが、唸り声とともに舌を引っ込められ拒絶される。
構わず舌を絡め、ガルム自身の肝臓の味を刷り込む。
ガルムの眦に新たな涙の輝き。
牙を抜いてもいないのに、ここで俺を嚙み殺そうなど一欠片も考え付かないガルムの忠義と優しさに自身の高まりを感じる。

「ぷはっ……ね、美味しいでしよ?」

だがまだ早い。
怯えるガルムを後に、俺は調理を再開した。

12以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:14:55 ID:urZ8xHc2
鍋の灰汁を掬い味見をした後、肉と内臓の仕上げにとりかかる。
ガルムのミンチにセージ、ナツメグ、イタリアンバジルなどのハーブ類、ブラックペッパーと塩を加えて混ぜる。
口金をセットした絞り袋に詰めて、良く洗った小腸に充填していく。
肉が詰まった小腸を摘み上げ、振るようにしてくるくると回して区切ってゆく。
そう、100%ガルムのソーセージだ。
同じ要領で、毛皮の裏から削ぎ落とした脂肪を混ぜ込んだ血を小腸に詰めたブラッドソーセージも作っておく。
また刻んだ内臓類は玉ねぎ、ハーブ類と合わせ、胃袋と膀胱に充填した。
詰まる所は悪名高いハギスであるが、新鮮な内臓と適切な味付けが揃えば非常に美味である……らしい。
こうしてできた加工肉を、ガルムの尻から投じていく。
加えてトマト、玉ねぎ、パプリカ、ズッキーニ、ヤングコーンなどの野菜類。
凹んでいたガルムの腹は見る見るうちに妊婦のように膨らんだ。
中身が飛び出ないよう会陰の傷と肛門を鉄串で閉じる。
準備ができたガルムの残った大腿部に巨大な鉤針を刺し、ハンガーラック状の装置に逆さ吊りにした。

13以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:16:09 ID:urZ8xHc2
ラックのキャスターをガラガラと鳴らしながら向かう先は焼却施設だ。
もちろんこれだけ丹精込めたガルムを灰にするつもりはない。
焼却機は上下の炎で一気に焼却する仕組みだが、下側の炎が出ないようにし、上火の火力は細かく調節できるよう改造してある。
つまりは巨大なオーブンだ。
ラックごと吊るしたガルムをオーブンにセットし、扉を閉める。
これから何をされるか理解したガルムが最後の力で暴れるが、深く刺した鉤針はその程度では外れない。
耐火ガラスで中の様子が観察できるのがまたいい。
瞬間、ガルムと視線が交わる。
着火。
オーブンの中で反響するガルムの悲鳴。
窒息しないよう、火勢が弱まらぬよう、オーブンの中には酸素を送りつけている。
そして熱は上に溜まるため、見た目に反して下方の温度は低い。
これで頭を下にしたガルムの脳を沸騰させることなく、身体をこんがり焼き上げられるはずだ。
鯉の頭部を生かしたまま身を油で揚げる調理法があるのだから、十分可能だと判断したのだが、さて。
自分の奥深くまで熱が伝わり調理される様はどんな気持ちなのだろうか?

14以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:17:27 ID:urZ8xHc2
寸胴鍋のガルムガラのスープが程よく仕上がった頃、最後の仕上げのために油を熱し、BBQセットに炭火を熾しておく。
オーブンの火を落とし、扉を開けると加熱された肉と野菜やハーブの香りが鼻腔をくすぐる。

「……かひゅ……ひん……は……は……」

目論見通り、この状態でもガルムはまだ生きていた。
オーブンの構造と心肺を保護する耐火ジェルは、しっかり期待した通りの仕事を果たしてくれた。
とはいえ頭部の毛もチリチリと焼け、眼球は白濁し、脳の深部以外は低温火傷の状態のハズだ。
ラックから下ろし金属台に寝かせ、頑張ったねと声をかけるが、聞こえただろうか?
仕上げを急ぐ。
まずは熱した油で皮をパリッと仕上げる。
火勢の強かった下半身は油通しなど不必要な仕上がりだっが、胸部と肩の焼き目はやはりイマイチであるため、入念に油を注ぐ。
それが終わると、ガルムの妊娠腹にナイフを突き立て、一気に割いた。
溢れ出す肉と野菜、オーブンを開いた時とは比較にならない、馥郁たる芳香。
それらをBBQセットに移し、焦げ目と香ばしさを足す。
野菜を切り分け深皿に盛ると、その上からスープを張り仕上げる。

「できた……」

この数時間の俺の作業と、ガルムの頑張りの結晶である。
疲労感を吹き飛ばすほどの一入の感慨。
はやる気持ちを抑え、まずはマナー通りに。

「いただきます」

15以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:18:32 ID:urZ8xHc2
ソーセージにかぶりつけば、パリッという小気味好い音とともに肉汁が溢れた。
こちらは肉を叩いていない左側の肉だが、硬さや食べにくさは特に感じない。
次いで右半身のミンチを使ったソーセージ。
……正直、差が分からない。
犬肉は生きてるうちに叩けば叩くほど旨くなるというのはどうやら迷信に過ぎないようだ、ガルムを無駄に傷つけてしまったと反省する。
だが不味くなっているわけでもない、炙って香ばしくなったソーセージはどんどんと腹に収まってゆく。
俺が未成年でなければ、ビールが欲しいとでも言っていたのだろうか?
そしてブラッドソーセージ。
……こちらは正直微妙だ、ガルム100%にこだわりつなぎを入れなかったのが問題だろうか?
なんとか固まってはいるものの、血液による増えすぎた水分量はソーセージという感じがしない。
加える脂身の量を増やし、刻んだ内臓類もプラスして、血にもコーンスターチなどを加えてやっとといったところか。
まあ失敗は成功の母だ、次の機会に生かそう。
今度はハギスもどき。
ブラッドソーセージの失敗もあり身構えたが……美味い!
肝臓はもちろんのこと、腎臓、膵臓、脾臓も美味い。
まあ腎臓はキドニーパイ、膵臓はシビレのフリッター、脾臓もメウサのパニーニ、日本人に馴染みがないだけでどれも食材価値は高い。
内臓独特のクセはあるが、それが渾然一体となって熟成されたハギスはなんとも言えない味わいがある。
ただこの絶妙なバランスは、内臓の質や鮮度が少しでも落ちた途端に、内臓のクセも相まって非常に食べ辛いものへ変化する事は予想に容易い。
ハギスの悪名高さはそういう理由なのだと得心する。

16以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:19:49 ID:urZ8xHc2
さて、ガルムの出汁はどうだろうか?
……下処理に抜かりは無かったはずだが、妙に獣臭い。
犬の骨自体が出汁に向いていない?
いや、この程度の臭みなら骨を予めグリルしておくなど工夫すれば十分抑えられる範疇だ。
理解はしていたが、あまりに時間をかけ過ぎてはガルムの消耗も致命的になってしまうため、今回は已む無し。
まあ他人に出すなら許せない雑味だが、自分しか食さないなら我慢しよう。
トロトロに煮込まれたスジ肉、腹の中でガルムの旨味を吸った野菜。
これらの具材は予想通りの美味さだった。
ふぅ、とここで一息入れる。
ここまでは前菜のようなものだ。

17以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:20:42 ID:urZ8xHc2
横たえたガルムの側に移動して、まずは胸部の皮を削ぐ。
簡略化してトルティーヤを使い、北京ダックスタイルで食す。
……美味いが、感動するほどではないか。
まあ水飴を塗ったわけでもなし、北京ダックほど洗練された調理法ではないから仕方あるまい。
次いでモモ肉にナイフを入れた。
尻側にまで刃を走らせ、ウェルダンに仕上がったそれを切り分ける。
皿に取り分け、塩のみで味付けし口に入れる。
……美味い、粗野ながらガルム本来の味がする。
本来肉は寝かせて熟成させ、アミノ酸を分解したほうが旨味が増すが、生きたまま焼いた今回の調理法はガルムに適しているように思えた。
今度は遠火でミディアムレアに仕上がった肩肉だ。
ピンク色の残る肉から溢れた肉汁が喉に絡み心地よい。
ステーキでも叩いた肉の良し悪しを食べ比べてみたが、やはり差はあまり感じられなかった。
食感の差すら、筋切りしていないためあまり効果が見られない。
労力も酷いしもう二度とやらないと心に誓う。

18以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:22:03 ID:urZ8xHc2
ふと視線が向いた先、そこには逆さ吊りにされたため強火に晒され哀れに焼け縮んでしまった『珍味』があった。
せっかくなので味を見ておこう。
表面は焼け焦げており、切り取るにも筋を断つような硬い感触。
ここまで火が通っては感覚など残っていないだろうに、切り離した瞬間ガルムの頭が震えた。
ごめんね、と独りごち、あまり期待せずに口に放り込んで咀嚼したが、予想通り硬い。
最初から食べるつもりなら、充血させて根元を縛るような工夫が必要だっただろうか?
断面から見える体内に根を張った部分を、鼠蹊部を割って抉り出してみる。
水分が飛んでいない分柔らかな食感だが、繊維質には変わりなく、こういう食べ方には向いていないと心底思った。
これは薄く削ぐか鱧の骨切り状に包丁を走らせてスープで煮込むべきかな?
少し残念に思いながら袋に残った臓器も味見しておく。
まだ湯気立つそれをハフハフと丸ごと一個口に放り込んで噛み締めた。
溢れ出す肉汁と獣臭。
表面は硬い膜だが、中身はトロリとして柔らかく、カキフライを想起させる。
やはりというべきか、部位が部位だけに獣臭というか、雄臭さが鮮烈に抜けるが、その後に残る魚の白子のような風味は悪くない。
膜部分が口の中で最後まで残ったので吐き捨てる、これは下処理で剥ぎ取ったほうがいいな。
臭みも下処理で軽減すればかなり美味いと思う、やはり内臓系の旨味は強い。

19以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:23:58 ID:urZ8xHc2
さて、最後のデザートといえばやはりこれだろう。
ガルムの頭皮にぐるっと一周刃を走らせて毛皮を剥ぎ、頭蓋骨を露出させる。
中身を傷つけぬよう、慎重に鑿とハンマーで頭蓋骨を割っていき、中身を露出させる。
髄膜を切り開けば、綺麗な生の脳がでてきた。
道具をスプーンに持ち替える。
デザートといったら、やっぱり生きた脳だよね。
躊躇なくスプーンを突き刺すと、白濁したガルムの眼球が滅茶苦茶に痙攣した。
水分を失った舌がだらし無く垂れ下がる。
スプーンを持ち上げると、ぷるんとした脳がすくい取れた。
口に含むと、肉のはずなのに噛みしめるまでもなく解けて行く。
舌に感じるタンパク質の甘み。
なるほどデザートだ、と独りごちる。
このために今までガルムを死なせないように努力してきたのだ。
生きたまま脳を食らう感動はなかなか得難いものだ。
夢中でスプーンを進める内に、触れてはいけない部分を抉ったようだ。
一際大きな末期の痙攣の後、ガルムの反応が消えた。
死んでしまった。
ここまで美味しく食べられるために頑張ってくれた生命に感謝である。

20以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 13:24:45 ID:urZ8xHc2
満腹になり、失敗を活かした次なる調理法も見えた。
この満腹感さえ巻き戻ることは悲しいが、アプリを切ってガルムを甦らそう。
アプリさえあれば君は生き返り、また君を料理できる。
そして何度でも、何度でもまた君を食べよう。
微笑みを浮かべて、スマホを手に取り……


あ、アプリ起動するの忘れてた。


…………一番の失敗を最後にやらかしてしまった。
いや一番最初にというべきか。
まあ、過ぎてしまったことは仕方ない。
元より料理は一皿一皿が一期一会。
そしてガルムは俺の血肉となって共に生き続ける。
ありがとうガルム、君のことは忘れないよ。

ごちそうさま。


(了)


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