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【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」

548以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/28(土) 00:51:46 ID:bivwmP6g
………………幕間 「におい」

葉月 「んー?」

成幸 「ん、どうした、葉月。兄ちゃんにそんなにべったりくっついて」

葉月 「なんか、兄ちゃんの服から良い匂いがするの。美味しそうな匂い……」

成幸 「あ、ああ。今日兄ちゃん、ごちそう食べて来ちゃったからな……」

成幸 「ごめんな、葉月。いつか兄ちゃんがお金稼げるようになったら、葉月にも食べさせてあげるからな」

水希 「………………」

ギラリ

水希 「……そうだね、葉月。お兄ちゃんから匂いがするね」

水希 「どこの誰か知らないけど、発情した年上のメスネコらしき匂いが……!」

和樹 「そっち!?」

おわり

549以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/28(土) 00:58:34 ID:bivwmP6g
>>1です。
読んでくださった方、ありがとうございました。
長らく間を開けてしまって申し訳ありません。

宣伝というわけではないですが、本日、某イベントに参加します。
夏はこの一連のスレで投下したSSを小説調に直して頒布というかなり手抜きな内容だったのですが、
今回はきちんとイベントのために書いた小説を頒布します。
恐らく明日ぼく勉で参加するのは私だけかと思いますので特定は簡単かもしれません。それが何だというわけではありませんが。
とりとめもない自分語りをしてしまいました。申し訳ないことです。


来年はできるだけ間を開けないようにこのスレにSSを投下し続けたいと思います。
本編も佳境に入ってきたような気がしますが、今後が非常に楽しみですね。明日のアニメもとても楽しみです。
このスレも、時々覗いていただければ幸いです。

本年、見ていただいた皆さん、レスをくださった皆さん、ありがとうございました。
また来年も見て頂ければ、レスをいただければ嬉しいです。

550以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/28(土) 03:49:05 ID:mybs7Tvg
おつ。来年もよろしく

551以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/28(土) 04:37:45 ID:6QT4AYjQ
乙です
久しぶりの投下ありがとうございます
来年も宜しくお願いします

552以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/29(日) 16:56:02 ID:FLk5IAt2
おおお!!


553以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/29(日) 23:33:11 ID:FLk5IAt2
遅れてアニメ見たら酷過ぎてビビったわ

554以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/30(月) 00:50:23 ID:GpJqPOZY
まあ、作者がうるかエンドにするって決めたんだからしゃあない
もう辛くて原作読めないが
このssスレだけ楽しみにしてます…

555以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/31(火) 03:21:53 ID:eMIy9H3g
アニメネタバレはしないでしょ(願望)
3期を完全に潰された方が辛いよ

556以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/01(水) 08:50:24 ID:.YtgyuNg
おつんこ!

コミケのタイミング悪いな
あのアニメと同日の開催て
うるか好き以外全滅したで

557以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/01(水) 09:28:23 ID:Pg.blAn6
まあ何はどうあれ>>1のssは神
今年も楽しみに待ってます…!!

558以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 18:17:43 ID:8j7WrGb.
後生だからコミケの本委託してくれ

559以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:00:59 ID:cJVSX9MM
>>1です。
投下します。


【ぼく勉】 理珠 「もう気づいてしまいましたから」

560以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:01:30 ID:cJVSX9MM
………………年末 七緒図書館

理珠 「うー……」

文乃 「むむむむ……」

うるか (リズりんと文乃っち、難問に当たってるみたいだなぁ)

うるか (クリスマスからずっと根詰めてるもんね。センター受ける組は大変だ)

うるか (でも最近険しい顔してることが多い気がするなぁ。うーん……)

ハッ

うるか 「……ねぇねぇ、リズりん、文乃っち」

理珠 「? なんですか、うるかさん?」

うるか 「大晦日の夜なんだけどさ、一緒に初詣に行かない?」

文乃 「へ? 初詣?」

うるか 「うん! 息抜きとゴーカクキガンも兼ねてさ! 最近ふたりとも根詰めすぎだかんね!」

文乃 「うるかちゃん……」

理珠 「うるかさん……」

561以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:02:26 ID:cJVSX9MM
文乃 「せっかくだし、行こっか、りっちゃん」

理珠 「そうですね。少しくらいならいいですよね」

うるか 「せっかくだし、みんなも誘っちゃおっか! あたし、海っちと川っちに声かけてみんね!」

文乃 「んー、じゃあわたしも鹿島さんたちに声かけてみようかな」

理珠 「では、私は関城さんに声をかけてみます」

うるか 「えへへ、なんか楽しみになってきたね! 屋台で色んなもの食べよーね!」

理珠 「まったく……。うるかさん、メインはお参りと合格祈願ですからね」

文乃 「ふふ、そんなこと言って、りっちゃんも屋台のうどんが楽しみなんじゃない?」

理珠 「む……。それは、否定しませんが……」 プイッ 「文乃はずるいです」

文乃 「えへへ、ごめんごめん。わたしも屋台の食べ物楽しみだよ」

文乃 「アメリカンドッグに焼き鳥に焼きそば……。あと牛串とか……」

うるか 「ふ、文乃っち。どんだけ食べるつもりなの……」

562以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:04:14 ID:cJVSX9MM
うるか 「……あっ、でさ、あのさ」

カァアアアア……

うるか 「べ、べつに他意はないけどさ。その……のけ者にするみたいで嫌だし……」

うるか 「なっ、なな、成幸もさ、その……誘って、みよっか、とか……///」

うるか 「べ、べつにヘンな意味はないからね!? と、友達として? 誘ってあげるだけで……」

理珠 「おお、それはいいですね。成幸さんこそ根を詰めすぎな気がします。いい気晴らしになると思います」

うるか 「そ、そうだよね!」 パァアアアアアア……!!! 「じゃあ、こばやんと大森っちに誘ってもらうね!」

文乃 (うるかちゃん乙女すぎるよ。色々とだだ漏れだよ……)

文乃 (ここにいるのがりっちゃんじゃなかったら色々とお察しされてるところだよ……)

理珠 「……成幸さんが、来る。成幸さんと一緒に、お参り……///」

理珠 「ふふふ。楽しみです……///」

文乃 (りっちゃんはりっちゃんで色々と漏れてるよ……)

文乃 (まったく。ふたりとも可愛いんだから) クスッ

文乃 「………………」

文乃 (……成幸くん、来るのかぁ)

563以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:04:57 ID:cJVSX9MM
文乃 (べつに、だからってわたしは、ふたりと違って何かあるわけじゃないけど……)


―――― 『ねーねーどうかなぁ唯我君? ゆ・か・た! 似合ってる?』

―――― 『ふ 2人とも似合ってるな』

―――― 『古橋なんてとくに板についてるというか…… 大和撫子って感じだよな』


文乃 「………………」

文乃 「……わたし、振り袖でも着てっちゃおうかな」 ボソッ

文乃 (そしたらまた、夏祭りの時みたいに褒めてくれるかな……)

ハッ

文乃 (わ、わたしってば、何バカなこと考えてるのかな。そんなの……)

うるか 「文乃っち……?」 理珠 「文乃……」 ジーーーーッ

文乃 「へ……? へぇ!?」

文乃 (ひ、ひょっとしてわたし、声に出してた!?)

うるか&理珠 「「………………」」 ジーーーーーーーーッ

文乃 (ま、まずいよ〜〜〜! 2人とも滅茶苦茶こっち見てくるよ〜〜〜〜!)

564以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:06:20 ID:cJVSX9MM
うるか 「いいね! 振り袖って着たことないけど着てみよっか!」

文乃 「へ……?」

理珠 「わたしも興味があります。和装は慣れていますが、振り袖は着た事がありません」

文乃 「あ……そ、そうだよね。ふたりも着てみたいよね!」

文乃 (せ、セーフ! 成幸くんに関してのところは声に出してなかったみたい!)


―――― ((そしたらまた、夏祭りの時みたいに褒めてくれるかな……))


文乃 「っ……」

文乃 (わたし……何考えてるんだろ。成幸くんはわたしの弟みたいなもので、りっちゃんとうるかちゃんの好きな人で……)

文乃 (でも……――)

うるか 「――でも、振り袖ってどうやって着るの? っていうか、家にあるかなー」

文乃 「へ!? あ、そ、そうだね。たぶん美容室とかでレンタルと着付けをしてもらうんだと思うけど……」

文乃 「……よく考えたら年の瀬の今からで間に合うかな。もうどこも予約で一杯かな」

うるか 「うーん……」

理珠 「美容室ですか……」

565以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:07:53 ID:cJVSX9MM
理珠 「………………」

文乃 「りっちゃん?」

うるか 「リズりん?」

理珠 「……ちょっと聞いてみないと分かりませんが」

理珠 「予約が空いているであろう美容室に心当たりがあります」

566以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:08:30 ID:cJVSX9MM
………………大晦日

文乃 「………………」


―――― 理珠 『電話をしてみたところ、快くオーケーをしてくれました』

―――― 理珠 『振り袖もたくさんあるから、好きなものを選んでもらって構わないとのことです』

―――― 理珠 『大晦日の夕方くらいに伺う予約を取ったので、待ち合わせて一緒に行きましょう』

―――― うるか 『さっすがリズりん! すごいね!』


文乃 (……水を差すようで嫌だったから何も言わなかったけど、怪しいよね)

文乃 (着付けまでしてくれる美容室って、この時期すごく忙しいんじゃないのかな……)

文乃 (しかも、ついこの前まで自分で髪を切ってたりっちゃんがそんな美容室をしってるなんて……)

文乃 (……変なお店だったら、わたしがりっちゃんとうるかちゃんを守らないと)

うるか 「あ、文乃っちー! こっちこっちー!」

文乃 「あっ、うるかちゃん、りっちゃん」

理珠 「全員揃いましたね。では――」

「――――きゃァーーーーーーッ!! すごい逸材揃いだわァ!?」

567以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:09:02 ID:cJVSX9MM
文乃 「!?」

ドドドドドド……!!!!

文乃 (変な女の人がすごい勢いでこっちに走ってくる!? 変質者!?)

理珠 「あちらの方が美容室の烏丸さんです」

文乃 「あれが!?」

烏丸 「は、はぁ、はぁ……」 ゴクリ 「ち、近くで見ると、改めてすごいわァ……!」

烏丸 「緒方さん、ご紹介ありがとう! あなたのお友達だけあって美人揃いねェ!」

烏丸 「ダイヤにルビーにサファイア……! 壮観な光景だわァ!!」

ツーーーー……

烏丸 「い、いけないわァ。興奮しすぎて鼻血が……」

文乃 (紗和子ちゃんといいこの人といい、りっちゃんはこの手のヘンタイに好かれるフェロモンでも出してるのかな!?)

うるか 「あはは、なんかすごい人だねぇ、文乃っち」

文乃 「あの人を笑って済ませられるあたりうるかちゃんも大物だよね……」

牧上 「……あっ、いた! ちょっと、店長! 勝手に店飛び出してどこかに行かないでくださいよ!!」

568以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:09:47 ID:cJVSX9MM
………………SALON'DE KARASUMA

牧上 「先ほどは店長が大変失礼致しました……」 ペコペコ

文乃 「い、いえ……」 (この店員さん、苦労してそうだなぁ)

牧上 「ヘンな人ですが、腕は確かなので安心してくださいね」

烏丸 「牧上さァん! 準備できたかしら!? 私もう我慢できないわァ!」

文乃 (そうは言っても不安だよ……)

烏丸 「ん……? んん!?」 ズズイ

文乃 「ひっ……!? な、なんですか?」 (近い! 近すぎだよこの人!)

うるか 「ほんとにすごい人だね、文乃っち」 クスクスクス

文乃 「笑ってられるうるかちゃんもなかなかだよ……」

烏丸 「この香りは……あなたたち、恋をしているわねェ?」

文乃&うるか 「「!?」」

文乃 「な、何を、いきなり、そんな……」

うるか 「こ、恋なんて、なんのことやら分からないかなぁ〜……?」

569以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:10:18 ID:cJVSX9MM
烏丸 「誤魔化してもダメよォ。この毛先から香る恋する乙女のフレグランスを見落とす私じゃないわァ」

烏丸 「し・か・も」

クスッ

烏丸 「この後、ひょっとしてその相手と会う予定があるんじゃないかしらァ?」

文乃&うるか 「「!!??」」 ギクギクッ

うるか 「な、何のことだか〜、わ、わかりませんなぁ〜」

アタフタアタフタ

うるか 「こ、恋とかフレグランスとか、身に覚えがないというかなんというか〜」

文乃 (誤魔化すうるかちゃんも可愛いなぁ……) ホッコリ

烏丸 「武元さんは認めてくれないようだけど、あなたはどうかしら? 古橋さん?」

文乃 「へ!? い、いやいや、わたしも何のことだか分かりませんけど!?」

570以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:11:22 ID:cJVSX9MM
烏丸 「あら、ほんとにィ?」

文乃 「本当ですよ! 恋とか、そんなの……」


―――― 『星のこと話してる古橋 俺は好きだけどな』

―――― 『起きてる』


文乃 「!?」

文乃 (わ、わたしのバカバカバカ! 何で成幸くんのことなんて思い浮かべてるのよー!)

文乃 (成幸くんはりっちゃんとうるかちゃんの好きな人なんだからー!)

文乃 (そういうのじゃないんだからー!)

ポカポカポカポカポカ!!!

うるか 「ふ、文乃っち大丈夫? 急に自分の頭たたき出してどうしたの……?」

烏丸 「フフフ、可愛い子たちねェ」

烏丸 「あら……?」

理珠 「………………」 ペラ……ペラ…… 「……ふむ、なるほど。こんな髪型もあるのですね……」

理珠 「毛染めは……受験に支障が出る可能性があるのでやめておいた方がいいですね」

571以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:12:18 ID:cJVSX9MM
烏丸 (一心不乱に女性向け雑誌を読んでいる……?)

理珠 「ふむふむ……」

烏丸 「………………」


―――― 『あ あの…… 美容室って初めてでよくわからないのですが……』

―――― 『そこまでするものなのですか……? 私あまりお金は……』


烏丸 (以前とは全然違うわね。すごくいいことだわ……)

烏丸 「……緒方さん、ちょっと待っていてちょうだいねェ。先に二人をやってしまうから」

理珠 「はい、わかりました。待ってます」

烏丸 「……さ、では始めましょうか、武元さん、古橋さん」

烏丸 「ふたりの魅力を振り袖で最大限引き出すヘアメイクをしてあげるわァ!」

うるか 「はーい! よろしくお願いしまーす!」 文乃 「あはは……よろしくお願いします」

烏丸 「さァ! ルビーとサファイアの原石をピッカピカに磨いていくわよォ!」

牧上 「店長! 採算のことは考えてくださいね!?」

572以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:19:15 ID:cJVSX9MM
………………

うるか 「………………」 文乃 「………………」

キラキラキラ……!!!!

うるか 「な、なんか、すごいね、文乃っち」

文乃 「う、うん。少し髪を整えてもらっただけなのに、なんか、綺麗になった気分……」

文乃 (腕は確かだったんだなぁ、あの人……)

烏丸 「フフ♪ お相手さんに褒めてもらえるといいわねェ」

うるか 「!? だ、だから、べつに相手なんて……」

うるか (でも、成幸が褒めてくれたら……えへへ……///)

文乃 (ふふ、いちいち可愛いなぁ、うるかちゃん)

文乃 (ダメダメ朴念成幸くんが褒めてくれるわけないけど、でも、もし褒めてくれたら……)

文乃 「……///」

牧上 (店長じゃないけど、このふたり可愛いな……)

牧上 「……では、着付けとメイクをしますので、こちらへどうぞ」

文乃&うるか 「「はーい!」」

573以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:19:45 ID:cJVSX9MM
烏丸 「……さて、お待たせしたわねェ、緒方さん」

スッ

烏丸 「前より髪が伸びたわねェ。どうする? 前みたいにエクステを使ってみる?」

理珠 「いえ、あれは重くて大変なので……」

理珠 「それに、今回は一時的なものではなく、その髪型をできるだけ維持したいと思っているので……」

烏丸 「あら? イメチェンしたいってことかしらァ」

烏丸 「なら、どんな髪型にしたいかしら?」

理珠 「それが……先ほどから雑誌を読んでいるのですが、よく分からなくて……」

理珠 「どんな髪型が有効なのか、まるで分からないのです」

烏丸 「有効……?」

理珠 「はい」

スッ……

理珠 「好きな相手が、どんな髪型が好きか。どんな私なら好きになってくれるか……」

理珠 「それが、まるで分からないのです」

烏丸 「!?」

574以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:20:45 ID:cJVSX9MM
烏丸 「お、緒方さん……?」

理珠 「? どうかしましたか?」

烏丸 (す、すごい変化だわァ! 進歩というべきかしらァ!?)

ドキドキドキドキドキドキドキドキ……

烏丸 (それにしても、とんでもなくストレートに感情を表す子ね……)

烏丸 (不覚だわァ。この私がこんなにドキドキさせられるなんて)

理珠 「……あの、烏丸さん。だから、お願いしたんです」

理珠 「烏丸さんにお任せします。私を、可愛く、綺麗に、魅力的に、してください」

理珠 「私はもう……」


―――― 『私は すこぶる ゲームに弱いのですね』

―――― 『好きになれました いいえ たぶん……』

―――― 『大好き です』


理珠 (……私はもう、気づいてしまいましたから)

575以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:21:20 ID:cJVSX9MM
理珠 「文乃も、うるかさんも、とても綺麗な人です。そんなふたりと一緒だからこそ……」

理珠 「私を、あのふたりと同じくらい……いえ、あのふたりより綺麗にしてください」

烏丸 「緒方さん……」

理珠 「……そんなことが不可能なのは分かっています。でも、私は……」


―――― 『ああ そうか』

―――― 『この人は 私のなりたい私だ』

―――― 『私の…… なれない私だ』


理珠「……好きになってほしい相手がいます。その人に振り向いてほしいから」

理珠 「私の好きな人に、私を好きになってもらいたいから」

理珠 「だから……」

烏丸 「……あなた、変わったわね。以前とは大違いだわ」

烏丸 「良い恋ね。本当に素敵な恋をしているのね」

烏丸 「……いいわァ、緒方さん。燃えてきたわよォ……!!」

576以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:21:52 ID:cJVSX9MM
烏丸 「全力でいくわ。いいえ、全力を超えていくつもりで……」

理珠 「……烏丸さん」


―――― 『はァ……』

―――― 『フゥ…… やる気が出ないわァ 牧上さん……』


烏丸 (やる気が出ず、無為に時間を過ごしていた私をたたき起こしてくれたこの子のために……)

烏丸 (……そして、この子なら)

烏丸 (いいえ、この子だからこそ、私ももっと高みを目指せる気がするわァ……!)

烏丸 「あなたというダイヤを、ピッカピカに磨き上げてあげるわァ!!」

烏丸 「そしてあなたの恋を、きっと成就させてみせるわァ!!!」

カッ!!!!!!

理珠 「は……はいっ!」

理珠 「よろしくお願いします!!」

577以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:23:04 ID:cJVSX9MM
………………

文乃 「いっえーい!」 パシャッ

うるか 「えへへ、なんか振り袖で自撮りって照れちゃうね。自分じゃないみたいだよ」

文乃 「あはは、でもうるかちゃんとっても似合ってるよ。可愛いよ」

うるか 「えへへ、ありがと、文乃っち。文乃っちもめっちゃ似合ってるよ」

うるか 「こーいうのなんて言うんだっけ? イタについてる、って感じ?」

文乃 「……ほう? 誰のどこが板だって?」 ズイッ

うるか 「ど、どしたん、文乃っち。なんか怖いよ」 アセアセ

うるか 「それにしても、リズりん遅いね。どうかしたのかな」

文乃 「そういえば、わたしたちより時間かかってるね。大丈夫かな」

うるか 「リズりんのおっぱいが収まる振り袖がないとかかなー? なんて……――」

文乃 「――ひょっとしてわたしに喧嘩を売るのが目的かな?」

うるか 「だからなんで怒ってるの文乃っち!?」

スッ……

牧上 「お待たせしました。緒方さんも着付けが終わりました」

578以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:23:52 ID:cJVSX9MM
うるか 「あ、文乃っち、終わったみたいだよ……って」

文乃 「うるかちゃん? ねぇ、同じことをわたしの胸を見ながらでも言えるの……って」

理珠 「あ、文乃、うるかさん。お待たせしてしまってすみません」

キラキラキラ……!!!!

うるか 「り、リズりん……?」

文乃 「りっちゃん……?」

理珠 「! ふたりとも、振り袖がよくお似合いですね! とても綺麗です!」

うるか 「へ? あ、う、うん。ありがと」

文乃 「ありがとう、りっちゃん……」

理珠 「? ふたりとも、どうしたのですか? 何か様子が変ですが……」

理珠 「……はっ!? ひ、ひょっとして、私何か変ですか!? 似合っていないですか!?」

理珠 「や、やはり、髪型をいじってもらうべきではなかったのでしょうか……」

うるか 「!? ち、違うよ? なんていうか、その……」

文乃 「似合ってないなんてことないよ! とっても綺麗だよ、りっちゃん! ただ……」

理珠 「!? その、なんですか、うるかさん! ただ、なんですか、文乃!」

579以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:24:49 ID:cJVSX9MM
うるか 「……キレイになりすぎじゃない、リズりん」

理珠 「……へ?」

文乃 「うん。なんていうか、雰囲気が大人っぽくなったっていうか……」

理珠 「き、綺麗……。大人……」

カァアアアア……

理珠 「お、お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます」

うるか 「お世辞なんかじゃないよ! リズりんめっちゃキレーだよー!」

文乃 「うんうん! ほんと、雰囲気が変わっちゃって一瞬誰だか分からなかったくらいだよ!」

理珠 「ふ、ふたりとも褒めすぎです……///」

理珠 (……でも、良かった。私は、少しでもふたりに近づけたでしょうか)

理珠 (成幸さんも……)

カァアアアア……

理珠 (……キレイと言ってくれるでしょうか)

文乃 「………………」 クスッ (……りっちゃん、本当に変わったな)

580以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:25:41 ID:cJVSX9MM
文乃 (……ねぇ、りっちゃん)


―――― 『好きになりたかったはずの自分が どんどん嫌いになる』

―――― 『私は文乃 ずっとあなたのようになりたかった けれど昔以上に 今はそれが遠く感じる』


文乃 (泣きそうな顔であんなことを言っていたりっちゃんは、もういないんだね)


―――― 『好きになれました いいえ たぶん……』

―――― 『大好き です』


文乃 (りっちゃん、がんばってね。うるかちゃんは強敵だよ)

文乃 (……ふふ、成幸くんったら、こんな美少女ふたりに好意を寄せられて、幸せ者だね)

ズキッ

文乃 (っ……)

文乃 (……痛くない。苦しくない。何も、ない)

文乃 (だってわたしは、りっちゃんとうるかちゃんの、友達なんだから……)

おわり

581以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:26:16 ID:cJVSX9MM
………………幕間1 「裏で」

智波 「ってことで、うるかに頼まれたんだけど、陽真くん、唯我くんのこと初詣に連れ出せる?」

陽真 「それくらいならお安いご用だよ。成ちゃんにも息抜きが必要だし」

智波 「でも、ごめんね、陽真くん。ふたりきりで初詣できなくなっちゃって……」

陽真 「気にしなくていいよ。俺は、友達を大事にする智波ちゃんが大好きだよ」

智波 「陽真くん……」

ギュッ

智波 「わたしも、そんな陽真くんが大好き……///」

あゆ子 「……うん、色々言いたいことはあるが、」

奏 「とりあえず俺らがいないみたいな空気で話を進めるのはヤメロ」

582以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:26:53 ID:cJVSX9MM
………………幕間2 「採算」

牧上 「でも店長、うちの店、振り袖三着セットもあったんですね。私見たことないですけど」

烏丸 「当然よォ。だって、緒方さんに三人分の着付けとレンタルをお願いされてから買ったんだもの」

牧上 「へ……?」

烏丸 「京都から取り寄せた最高級の振り袖よォ。ふふふ、それをしっかりと着こなすあの三人の行く末が怖いわァ……!」

牧上 「………………」

烏丸 「……? 牧上さん?」

牧上 「店長……」

クワッ

牧上 「久々のお客さんなのに、完全に赤字じゃないですかーーーーー!!」

牧上 「ただでさえ閑古鳥が鳴いてるのにーーー!! どうやって年を越すんですかもぉおおおおおおお!!!!」

おわり

583以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 20:29:00 ID:cJVSX9MM
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

年末に間に合えばよかったのですが無理でした。
今年も読んでもらえると嬉しいです。

また投下します。

584以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 21:22:26 ID:M8JcjeDk
乙です、次も期待しています

585以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/02(木) 22:49:40 ID:8j7WrGb.
おつぞ

586以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/03(金) 00:18:36 ID:0mZtDmLA
おつ

587以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:20:22 ID:i657rC06
>>1です。投下します。

>>474さんリク書きました。


【ぼく勉】 蝶野 「あなたが感謝してくれたから」

588以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:20:58 ID:i657rC06
………………三学期 蝶野家 朝

蝶野 「………………」

パチッ

蝶野 「………………」

リリリリリリリリリリ……!!!!

……カチャッ

蝶野 「………………」

蝶野 (……三学期、三年生は自由登校)

蝶野 (いつものくせで、目覚ましをかけてたみたいっスね)

蝶野 (目覚ましがなかったところで、結局その前に目が覚めてるんだから、習慣ってすごいっス……)

蝶野 「………………」

蝶野 (受験生としては、さっさと起きて勉強をするべきっスけど……)

蝶野 (……とりあえず、SNSでも見て、と……って、うわっ)

589以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:21:28 ID:i657rC06
………………タイムライン

「バタフライフィールドの占いが更新されなくなって早数日……」

「バタフライフィールドの占いがないと不安で会社に行くのが怖いです」

「お願いだから早く復活して!」

………………

蝶野 「あー……」

蝶野 「………………」

蝶野 (……見なかったことにして、ネットニュースでも、っと……わっ)

………………ネットニュース

【速報】バタフライフィールドのブログコメ欄、オーバーフロー

【悲報】テレビ局も困り果てた!? バタフライフィールドはどこへ!?

………………

蝶野 「………………」

蝶野 (……冬休みに入ったから更新お休みしてたらすごい騒ぎになってるっスね)

蝶野 (テキトーにやってるだけなのになぁ)

590以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:24:10 ID:i657rC06
蝶野 「………………」

ポチポチポチポチ……ピッ

蝶野 「……まぁ、これで文句はないっスかね……――」

――――ピロンピロンピロンピロンピロン!!!!!

蝶野 (こ、コメントがすごい勢いで増えているっス……)

蝶野 (こんなことで感謝感激されるとは、なんともはや……)

蝶野 「………………」

蝶野 (……まぁべつに、悪い気はしないっスけど)

蝶野 「………………」

蝶野 (目、覚めちゃったし……)

蝶野 (久しぶりに学校にでも行ってみるっスかね……)

591以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:26:00 ID:i657rC06
………………

 一年生の、晩秋の頃のことだっただろうか。

 『おはよ、蝶野さん』

 『おはようっス、古橋さん』

 その人は、百人中百人が認めるであろう、美しい女性だった。

 同級生で同性の自分すら――いや、きっとクラスメイト全員が見惚れるくらい、美しい女性だった。

 『今日も冷えるね。冷え性だから困っちゃうよ』

 『午後から雨みたいっスよ。だからもっと寒くなるかもしれないっスね』

 『ええっ!? 雨なの!? 天気予報で言ってなかったから傘持ってきてないや……』

 『あー……』

 いらないことを言ったと思った。

 私は、天気予報なんて見てはいない。なんとなく、分かるから言っただけだ。

 私にはなんとなく分かる。見える。午後、雨が降ることが。

 自分でも気味が悪いことだが、分かるのだ。

 自分でも気味悪く思えることを、どうして言ってしまったのだろう。

592以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:26:40 ID:i657rC06
 『雨、降るのかぁ……』

 『あ、いや、天気予報で降らないって言ってたなら、降らないかも……――』

 『――よしっ! いまのうちに職員室で傘を借りてこよう! 降り出してからじゃみんな殺到するもんね!』

 『へ……? いや、でも、天気予報では降らないって……』

 『信じるなら、天気予報なんかより友達の言葉でしょ』

 その人は、あっけらかんとそう言った。

 『じゃ、職員室行ってくるね、蝶野さん』

 『あ、は、はいっス……』

 その人は、職員室に向かう素振りを見せたかと思えば、パタリと立ち止まり。

 『あ、言い忘れることだった。

 その美しい顔で、咲った。

 『雨のこと教えてくれてありがとね、蝶野さん』

 その笑顔を、きっと、私は一生忘れないだろう。

 本当に本当に美しかったのだ。

593以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:27:27 ID:i657rC06
………………通学路

蝶野 「………………」

蝶野 (……二年以上も前のことっスね)

蝶野 (それから、かしまんといのぽんとも意気投合して、いばらの会を作ったんスよね)

蝶野 (あの人の笑顔を曇らせたくないから。あの人を、近くで見守るために)

蝶野 (でも、あの人は……)

蝶野 「………………」

蝶野 (……段々と、笑わなくなっていった)

594以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:28:15 ID:i657rC06
………………

 『おはよう、蝶野さん』

 『あ、おはよっス、古橋さん』

 それは表面的には何も変わらず訪れた、些細な変化だ。

 疲れるような、辛いような、苦しいような。

 そのどれとも違うような、複雑な何かが見えた。

 私には、猪森さんのように、超常的な何かを見る力はない。

 けれど、なんとなく、行く末が見える。

 なんとなく、雨が降る、だとか。なんとなく、よくないことが起こる、だとか。

 目の前に相対した人の、少し先が、漠然と見える。

 『……大丈夫っスか、古橋さん』

 『へ? 何が?』

 その人は、出会った頃と変わらない笑顔で、あっけらかんと言った。

 『大丈夫だよ。元気も私の取り柄の一つだからね!』

595以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:29:13 ID:i657rC06
 『っ……』

 その瞬間、見えた。

 見えてしまった。

 その人が――美しいその人が、苦悶の表情を浮かべ、涙する姿が。

 その人の将来に、良くないことが――とても良くないことが起こる、その未来が。

 『そ、そうっスか。なら、良かったっス……』

 けれど、私はそれ以上何も言えなかった。

 何を言っても、力になれないと思ったから。

 そのときから、そう。

 私は、ずっと。

  ((助けて))

 待ち続けていたのだろう。

  ((誰か、この美しい人を、助けて))

 彼女に手を差し伸べてくれる、王子様のような人が、現れるのを。

596以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:30:14 ID:i657rC06
………………通学路

蝶野 「………………」

蝶野 (……で、また、なんというか、タイミングが良いというか悪いというか……)

成幸 「……ん? あ、えっと、蝶野……で合ってるか?」

蝶野 「おはようっス。合ってるっスよ。古橋さんのクラスメイトの蝶野っス」

成幸 「おう、おはよ。自由登校なのに朝早くに登校とは感心だな」

蝶野 「そっちも同じじゃないっスか」

成幸 「せっかくだし学校まで一緒していいか?」

蝶野 「それはまぁ、構わないっスけど……」

蝶野 「大丈夫っスかね? 唯我ファンに刺されたりしないっスか?」

成幸 「ははっ、なんだそりゃ。俺のファンなんか俺の弟妹くらいだから安心していいぞ」

蝶野 (半分冗談半分本気だったっスけど、本当に無自覚っスね、この人……)

蝶野 (あなたの周りの女子、ほとんどあなたのファンっスよ)

蝶野 (……って言っても、信じないっスよね)

蝶野 (うちの姫も含めて、みんなあなたのファンっスよ。まったく……)

597以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:31:14 ID:i657rC06
………………

 三年生に上がってすぐのときだ。

 その人は、とある男子生徒と出会った。

 その人にかかっていた、暗い暗い何かが、少し晴れて見えた。

 少しずつ、本当に少しずつだけれど、暗い何かが減っていくのが分かった。

 それと同時に、その人の未来が、少しずつ変わっていくのが分かった。

 相変わらず暗い未来だったけれど、明確に変わった。

 その人が、ひとりきりではなくなった。

 どんなに苦しいことや辛いことがあっても、誰かが一緒にいてくれるような、そんな未来。

 そして、数ヶ月が経ったある日。

 それは、劇的に変化した。

 ピカピカと光り輝いて見えた。

 元々美しかったその人が、なお一層輝いて美しく見えた。

598以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:32:43 ID:i657rC06
 『何かいいことでもあったっスか?』

 私は、思わずそう聞いていた。

 『えっ? い、いいことって、べつに……』

 その人は、逡巡した後、こっそりと教えてくれた。

 『……実は、お父さんと仲直り……ってわけじゃないけど、なんていうか……』

 『少し、腹を割ってお話できたんだ。進路も認めてくれるって言ってくれて……』

 『あとは、成幸くんが……』

 『……って、これは絶対言っちゃダメな奴だ! 今のなし! なしだからね、蝶野さん!』

 ああ、もう結果なんてわざわざ言うまでもないだろうけれど。

 その人の未来は、決定的に変わっていた。

 私には、たしかな未来は見えない。はっきりとした何かは見て取れない。

 占いのようなものだ。不定形の、もやのようなカタチでしか分からない。

 けれど、その人の未来が、美しく切り替わったのだけは、分かった。

 きっと夢を叶え、多くの人に囲まれて、幸せに生きているであろう未来が、見えたのだ。

599以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:33:27 ID:i657rC06
………………通学路

蝶野 「唯我さんは、今日はどうして登校するんスか?」

成幸 「ん、ああ、今日は古橋と約束があるんだよ。センター前の最終確認だな」

成幸 「センターまで十余日。あんまり猶予はないけど、最後までできることはしてやりたいからな」

蝶野 「………………」 クスッ 「……まじめっスねぇ」

成幸 「悪かったな。俺はどうせ、ガリ勉しか能がないつまらない男だよ」

蝶野 「そんなこと言ってないっスよ」

ニコッ

蝶野 「唯我さんはカッコ良くて、頼りになるって思ってるっスよ。本当に」

成幸 「っ……」

成幸 「そ、そうかよ……」 プイッ

成幸 (お世辞でも同級生にカッコいいとか言われると、照れるな……)

蝶野 「………………」

蝶野 (……そう、本当に)

蝶野 (本当にそう思ってるっスよ、唯我さん)

600以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:34:35 ID:i657rC06
………………

 ―――― 『雨のこと教えてくれてありがとね、蝶野さん』

 あの日、あなたの笑顔が嬉しかったから、占いも始めた。

 ブログで発信したら、たくさんの人が喜んでくれて、良かったと思った。

 私にたくさんのものをくれたあなたのために、恩返しがしたいと思った。

 あなたが好きな――きっとあなたを救ってくれたのであろう、彼と。

 末長く結ばれてほしいと思った。

 でも、残念。

 私には、はっきりとした未来は見えない。

 だから、あなたの好きな彼の未来を占っても、やはり幸せそうな姿しか、見えない。

 その隣に立っている、誰かの正体までは、分からない。

 けれど、ああ、願わくは。

 彼の隣で立っている誰かが――彼の手を取る誰かが、あなたであることを。

 あなたが彼の隣で、幸せになることを。

 おわり

601以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:35:17 ID:i657rC06
………………幕間 「似た者父娘」

文乃 「………………」

ドキドキドキドキドキドキドキドキ……

文乃 「……!? バタフライフィールドのブログが更新された!?」

零侍 「何!? それは本当か、文乃!?」

文乃 「よ、良かったよぅ。最近これを見ないと少し不安だったから……」

零侍 「ああ、本当に良かった。私もこれがないと不安でな……」

 父娘そろってすっかりバタフライフィールドにハマってました。

おわり

602以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:39:35 ID:i657rC06
>>1です。

完全な妄想です。私の脳内で補完した内容が大変多いです。
不快に思われた方がいたら申し訳ないことだと思います。

3-Aの生徒ほぼ全員が古橋姫の見た目の美しさだけに心酔しているとは思えないので、
きっと皆何かしら古橋姫の内面の美しさに触れる機会があったのだろうなと思っています。
かしまんもいのぽんも、きっとそうだと思っています。


あとすみません、今回のSSと関係ないですが、ひとつ前の理珠さんの話ですが、
皆さんお分かりと思いますが原作123話の直前のつもりです。
理珠さんのイメチェンには、絶対に烏丸さんが関わってるだろうと踏んだ私の妄想です。


また投下します。

603以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 00:55:23 ID:bSUr.7/U
おつ

604以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 03:18:12 ID:70dsccVA
おつです

605以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/13(月) 10:59:55 ID:mnBZANRY
ええな

606以下、名無しが深夜にお送りします:2020/01/14(火) 02:06:38 ID:ot7Jjn3M
蝶野さんにこんな裏設定があってもいいよね

607以下、名無しが深夜にお送りします:2020/02/27(木) 18:51:33 ID:89TR1vm2
前々スレから全部読ませて頂きました、最高です
水希ちゃんをこんなにも天使に描いてくれて本当にありがとうございます

608以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/10(火) 00:11:49 ID:HnGnPGK6
今週の成幸の告白凄く良かった

マルチエンドには関城さんや美春も含まれてて欲しいな

609以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/10(火) 14:43:44 ID:4grvA.BE


610以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/10(火) 16:30:52 ID:HFd6/XeA
イッチの美春さん長編ほんとすこ
よくできた映画一本観たくらいの充実感ある

611以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/11(水) 01:33:09 ID:jh6ojSss
本編パラレルええな

612以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:04:35 ID:7Jz2yKsQ
>>1です。投下します。

数ある世界線の中でアニメ時空に一番近い世界線と思っていただければ幸いです。


【ぼく勉】 あすみ 「誕生日をあなたと」

613以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:05:49 ID:7Jz2yKsQ
>>1です。投下します。

数ある世界線の中でアニメ時空に一番近い世界線と思っていただければ幸いです。


【ぼく勉】 あすみ 「誕生日をあなたと」

614以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:06:55 ID:7Jz2yKsQ
………………大学 ガイダンス

 『――……えー、つまり、皆さんはまだ学生ではありますが、もう医者としての一歩を踏み出しているのです』

 『生半可な学生気分は己を殺します。そして、その先には患者を殺してしまう未来があります』

 『気を抜くことなく勉学に励みなさい。そうでないと、本当に将来患者を殺すことになりますよ』

あすみ 「………………」

あすみ (……さすが、国立医学部。言うことが厳しいな)

あすみ (教員だけじゃない。周りの新入生も皆まじめに話を聞いている)

あすみ (予備校とは全然雰囲気が違うな……)

あすみ 「………………」

あすみ (……アタシも頑張らねーとな)

615以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:07:54 ID:7Jz2yKsQ
………………帰り道

あすみ 「……はぁ」

あすみ (高いとは聞いてはいたけどな)

あすみ (まさかあんなにかかるとは。教科書代……)

あすみ (がんばって貯めたバイト代がかなり吹き飛んだな)

あすみ (……んー、勉強がんばるのは当然としても、)

あすみ (バイトも今まで以上にやらないと、こりゃ後期の学費と教科書代が怪しいぞ)

あすみ (受験なんか比じゃないくらい忙しくなりそうだな……)

あすみ 「………………」


―――― 『受験が終わったら……』


あすみ (……あんな風に言ってたのが遠い昔のことみてーだ)

あすみ (いかんいかん。せっかくやりたいことができるようになったんだ)

あすみ (勉強が忙しかろうと、バイトが忙しかろうと、アタシが望んだことなんだから)

あすみ (アタシががんばらねーとダメだろ)

616以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:08:35 ID:7Jz2yKsQ
あすみ (今日は、後輩が家に来る日)

あすみ (……たぶん、最後になるであろう後輩との時間)

あすみ (いつまでも後輩を頼りにするわけにはいかないし、)

あすみ (後輩に彼氏のフリをしてもらう必要も、もうない)

あすみ (……もう、ない)

あすみ 「………………」

あすみ 「……べつに、だから何だってわけじゃないけどさ」

あすみ 「……早く帰ろ」

617以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:10:47 ID:7Jz2yKsQ
………………小美浪家

かすみ 「はーい、唯我君。あーん」

成幸 「いや、あの、自分で食べられるんで……」

かすみ 「もーっ。彼女の母親にそんなに照れちゃって。可愛いなぁ」

かすみ 「そんなんじゃまたあすみちゃんにからかわれちゃうぞ〜?」

かすみ 「ってことで、はい、あーん……」

成幸 「いや、だから……って」 ハッ

あすみ 「………………」

成幸 「せ、先輩!?」

かすみ 「あら、あすみちゃん。おかえりなさーい!」

かすみ 「いま、唯我君と母子水入らずのスキンシップ中だったの」

かすみ 「あすみちゃんも混ざる?」

あすみ 「……混ざる? じゃねー! 何やってんだババアー!」

かすみ 「きゃーっ。あすみちゃんが怒った〜」

618以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:11:21 ID:7Jz2yKsQ
………………

あすみ 「……ったく、あのバカ親」 ブツブツブツ

成幸 「あ、あの、先輩……」

あすみ 「お前もお前だよ、まったく」 ブツブツブツブツ

あすみ 「人の母親にデレデレしやがって……」

成幸 「すみません。いや、デレデレしてるつもりはなかったんですが……」

あすみ 「………………」 ジロリ

成幸 「……人のお母さんにデレデレしてすみませんでした」 ドゲザー

あすみ 「……ふん」

あすみ 「………………」 (……これじゃダメだ。せっかく、最後なのに)

あすみ 「……そんなことより、お前、家に来るの随分早かったな」

あすみ 「約束の時間はまだだろ」

619以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:12:03 ID:7Jz2yKsQ
成幸 「……はい。ちょっと早めに来る必要があったので」

あすみ 「?」

成幸 「すみません、先輩。今日はガイダンス後の勉強計画立て……の予定でしたけど」

成幸 「実は少しウソついてました」

あすみ 「……ウソ?」

成幸 「すみません、先輩。とりあえず、何も聞かずについてきてもらえませんか?」

あすみ 「……?」

620以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:12:46 ID:7Jz2yKsQ
………………High Stage入り口

成幸 「………………」

あすみ 「お、おい、後輩。何も聞くなとは言うけどな……」

あすみ 「何でハイステージに来たんだ? 今日はバイト入ってねーだろ」

あすみ 「っていうか、今日は休店日だって店長が言ってたし……」

成幸 「……まぁ、休店日というよりは、貸し切りが正しいですかね」

あすみ 「後輩……?」

成幸 「じゃ、皆さん、入りますよー!」

ガチャッ

成幸 「……さ、どうぞ、先輩」

あすみ 「どうぞって、お前、一体……」

パン……パンパンパン!!!!


 『お誕生日おめでとーーーーー!!!!』


あすみ 「……!?」

621以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:13:31 ID:7Jz2yKsQ
あすみ 「へ? へ? へ?」

マチコ 「あしゅみー戸惑ってる。可愛いー!」

ヒムラ 「意外と想定外のことに弱いよね、あしゅみーって」

ミクニ 「ほら、あしゅみーこっち向いてこっち向いて」

パシャリ

ミクニ 「はい、あしゅみーの戸惑い顔チェキもらいましたー」

あすみ 「お、お前ら、何で……? って……」


――――あしゅみー誕生日おめでとう!!――――


あすみ 「何だあの横断幕ー!?」

あすみ 「……ん? 誕生日?」

あすみ 「………………」

ハッ

あすみ 「……そ、そうか。そういやアタシ、今日誕生日か。だから誕生日会か」

マチコ 「今さらー!?」

622以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:14:05 ID:7Jz2yKsQ
店員 「さ、さ、あしゅみーのアネゴ。こっちです」

店長 「お誕生日席はこっちだ、あしゅみー。唯我君、同伴ご苦労だったな。ありがとう」

成幸 「いえいえ。俺も先輩にはお世話になってますから」

あすみ 「お、おい、後輩。これ、どういうことだよ」

成幸 「すみません、先輩。サプライズだったので、結果的に嘘つくことになっちゃいましたけど」

成幸 「ハイステージの皆さんが、先輩を驚かせたいとがんばっていたので、協力しちゃいました」

理珠 「私たちもいますけどね」

文乃 「そうだよー、成幸くん! わたしたちも飾り付けとかお料理とか手伝ったよー!」

うるか 「文乃っちは早々にキッチン出禁になってたけどね」

あすみ 「のわっ!? お前らまで!?」

文乃 「成幸くんから先輩のサプライズ誕生日パーティをするって聞いたので」

うるか 「ならあたしたちも混ぜてもらわないとだよねー! って」

理珠 「はい。私たちも、先輩にたくさんお世話になりましたから」

あすみ 「お前ら……」

あすみ 「……ん?」

623以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:14:54 ID:7Jz2yKsQ
真冬 「………………」 コソコソコソ

あすみ 「……先生?」

真冬 「っ……」 ビクッ

あすみ 「何してるんですか、そんな隅っこで……」

あすみ 「……っていうか、何でメイド服着てるんですか」

真冬 「ふっ、不可! その質問は不許可よ、小美浪さん」

マチコ 「真冬ちゃんはねー、ふふふ〜♪」

マチコ 「たまたま店の前を通りかかったところを捕まえちゃいましたっ」

あすみ 「捕まえちゃいましたっ、じゃねーよ。えげつないことしやがって……」

あすみ 「すみません、先生。アタシの誕生日会になんかに巻き込んで……」

真冬 「……べつに、巻き込まれたとは思っていないわ」 プイッ

真冬 「……お誕生日おめでとう、小美浪さん」

あすみ 「あっ……」 クスッ 「ありがとうございます、真冬ちゃん」

真冬 「なっ……」 カァアアアア…… 「そ、その呼び方はやめなさいと何度も……!!」

624以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:16:03 ID:7Jz2yKsQ
マチコ 「さささー、それじゃこの辺で本日のメインイベント、いってみよー!」

ドーーーーン!!!!

ヒムラ 「みんなでがんばってこしらえて誕生日ケーキのろうそくに火をつけてー」 シュボボボ!!!

ミクニ 「電気を消してー!」 パチパチパチッ

あすみ 「ろうそくが二十本……。そっか、アタシももう二十歳か……」

〜♪

 『ハッピーバースデー♪ トゥ、あしゅみー♪』

あすみ 「ん……」

フゥ……

 『おめでとー!!!』

パチパチパチパチパチパチパチパチ……!!!!!

………………………………

………………

625以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:18:07 ID:7Jz2yKsQ
………………

マチコ 「はい、あしゅみー。これ、わたしたちからのプレゼント」

ミクニ 「図書カードだよ。これから色々入り用になるでしょ」

ヒムラ 「がんばって立派な女医になって、ハイステージに本物の女医として君臨してくれ」

あすみ 「はは……。ハイステで女医やれるかはわかんねーけど、ありがとな」

店長 「これは我々からだ」

あすみ 「……? これ、メイド服?」

店長 「新作だ。唯我君にも手伝ってもらってデザインした」

あすみ 「お、おぅ……」

店長 「これから勉強で忙しくなるとは思うが、たまにでいいから店に出てくれると助かる」

あすみ 「……はい、店長。アタシも、金は必要なんで、ぜひ」

626以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:18:46 ID:7Jz2yKsQ
うるか 「先輩、これはあたしからー!」

理珠 「私は、これを」

文乃 「お誕生日おめでとうございます、先輩」

あすみ 「お前らまで……。なんか悪いな。ありがとう」

真冬 「……私からも、つまらないものだけど」

あすみ 「先生まで!? ありがとうございます。今日の今日でよく準備できましたね……」

ワイワイワイ……

あすみ (……ったく。わざわざ誕生会なんて。アタシのガラじゃねーっての)

あすみ (みんな誕プレまで用意してくれて、なんか……)

クスッ

あすみ (……ちくしょう。嬉しいじゃねーか)

成幸 「……先輩」

あすみ 「ん? おう、後輩」

あすみ 「……ったく、何がサプライズだよ。騙しやがって」

成幸 「あはは、それはすみません。でも、嬉しかったみたいで良かったです」

627以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:19:22 ID:7Jz2yKsQ
あすみ 「なっ……」 カァアアアア……

あすみ 「……そりゃまぁ、こんな風に祝ってもらえりゃ嬉しいに決まってるだろ」

成幸 「まぁ、そうですよね」


―――― ((……たぶん、最後になるであろう後輩との時間))

―――― ((いつまでも後輩を頼りにするわけにはいかないし、))

―――― ((後輩に彼氏のフリをしてもらう必要も、もうない))


あすみ (……まぁ、残念でもあったけどな、なんて言えるわけもないよな)

成幸 「先輩、お誕生日おめでとうございます。これ、俺からのプレゼントです」

あすみ 「お前まで用意してくれたのか。悪いな……」

あすみ 「………………」

あすみ 「……開けてもいいか?」

成幸 「どうぞ」

あすみ 「ん……」

あすみ 「ノート……?」

628以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:20:05 ID:7Jz2yKsQ
成幸 「はい。先輩が苦手な部分をまとめました」

成幸 「センターで間違えたところとか、二次試験で間違えたところとか」

成幸 「さすがに医学部の範囲は俺には分からないので、これが限界ですけど」

成幸 「大学の授業が始まる前に、一度目を通してもらうといいかなと思って」

成幸 「……たぶん、俺がもう先輩に教えられるようなことはないので、これが最後だと思いますけど」

あすみ 「っ……」

あすみ (最後、か……)

あすみ 「……ああ、そうだな。ありがとよ」

成幸 「あ、それと……」

スッ

成幸 「これはタダでもらったものですから、プレゼントとは言えないでしょうけど、どうぞ」

あすみ 「へ? これって……チケット……?」

629以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:20:42 ID:7Jz2yKsQ
あすみ 「あっ……ど、ドハっちゃんランドのチケット!?」

あすみ 「あのときの……?」


―――― 『お…… 大当たりぃぃ!!!』

―――― 『一等の…… ドハっちゃんランド御招待券プレゼントー!!』

―――― 『先輩が使ってください 有効期限半年ありますし 受験が終わってからでも行けますから』


成幸 「結局あのとき渡せてなかったので」 クスッ 「ぜひ行ってください」

あすみ 「あ、ああ、ありがとう」

あすみ 「………………」


―――― 『……たぶん、俺がもう先輩に教えられるようなことはないので、これが最後だと思いますけど』


あすみ (最後……)

あすみ (……は、嫌、だな)

ギュッ……

成幸 「……? 先輩?」

630以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:21:20 ID:7Jz2yKsQ
あすみ 「……な、なぁ、後輩」

成幸 「はい?」

あすみ 「たしかにお前は教育学部で、アタシは医学部で、全然違うし……」

あすみ 「アタシも、これ以上色々なことでお前に迷惑をかけるのは忍びないと思うし……」

あすみ 「……だから、勉強に関しては、このノートがきっと最後、なんだと思う」

成幸 「……?」

あすみ 「……でも、アタシは、」

あすみ (アタシは……)


―――― 『今度こそチューしとくか?』

―――― 『な? 冗談冗談♪』


あすみ (……アタシは)

あすみ 「……アタシは、お前と最後なのは、嫌だ」

631以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:22:13 ID:7Jz2yKsQ
成幸 「先輩……?」

あすみ 「……だから、このチケットはいらない。お前が使えよ」

成幸 「へ? で、でも、先輩……――」

あすみ 「――……でも、ひとりで行くなよ。絶対……」

あすみ 「……絶対、アタシも誘えよ。一緒に、行くから……」

成幸 「あっ……」 カァアアアア…… 「は、はい。分かりました」

あすみ 「っ……」

カァアアアア……

あすみ (顔が、熱い。絶対真っ赤になってる。ああ、ちくしょう……)


―――― 『……アタシは、お前と最後なのは、嫌だ』


あすみ (な、何を恥ずかしい事を言ってんだ、アタシは……)

632以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:22:45 ID:7Jz2yKsQ
あすみ (……でも)

クスッ

あすみ (後輩に勉強を教えてもらうことが、これで最後でも……)

あすみ (後輩との時間が最後じゃないって、それだけで……)

あすみ 「……ああ、そうそう。ちなみに、後輩」

成幸 「? なんです?」

あすみ 「バカ親父は未だにアタシとお前の事ラブラブカップルだと思い込んでるからな」

成幸 「!? ま、まだ説明してなかったんですか!?」

あすみ 「えー? だってパパに説明して怒られるの怖いしー」 キャルーン

成幸 「あんたそんなキャラじゃないでしょ!?」

あすみ 「ま、ともあれ、だ」

ニコッ

あすみ 「だから、これからも恋人役、よろしくな、こーはい♪」

おわり

633以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:24:07 ID:7Jz2yKsQ
………………幕間 『バカ親父』

宗二朗 「!?」 キュピーンン

患者 「せ、先生!? どうかしましたか!?」

患者 「私のレントゲン写真、そんなに悪いですか!?」

宗二朗 「成幸君とあすみがイチャイチャしている波動を感じる!?」

患者 「へ……?」

かすみ 「はーい、宗二朗ちゃーん。今は診療中だからしっかりしましょうねー」

おわり

634以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:26:07 ID:7Jz2yKsQ
>>1です。
読んでくださった方ありがとうございました。

4月9日はあすみさんの誕生日なので、一応の完結を見たところで書きたいと思っていました。
ただ、冒頭で申し上げた通り、世界線はアニメが一番近いと思います。
うるかさんもしっかり日本にいます。

また投下します。

635以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/09(木) 23:52:38 ID:K/dvYsUQ
おつ

636以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/11(土) 01:36:21 ID:yzip6BFw
いつも応援しています!楽しみで仕方ありません!
がんばってください!

637以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:31:15 ID:tZaPmrsM
>>1です。投下します。

【ぼく勉】 文乃 「いつか君にお返しを」

638以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:39:13 ID:tZaPmrsM
………………古橋家

ガサガサガサ……

文乃 「……ふー」

文乃 「なんかまだまだ出てくる感じだね、お父さん」

零侍 「ああ。しばらく大掃除なんてしていなかったからな」

文乃 「家の収納に甘えてきたけど、そろそろ物が収まらなくなってきたし」

文乃 「せっかく今年は一緒に大掃除できるんだから、徹底的にいらないもの捨てちゃおうね、お父さん」

零侍 「……ん、ああ」


―――― 『……――だねっ、零侍くんっ』


零侍 「………………」 フッ 「……そうだな」

639以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:39:45 ID:tZaPmrsM
文乃 「それにしても……」

グチャァ……

文乃 「一度も見た事ないようなものまで出てくるのはなんなの……」

零侍 「ああ、その箱は昔私が買ってきたおもちゃだな」

文乃 「おもちゃ? じゃあ、これ私の……?」

零侍 「いや……」

パカッ

零侍 「……私は玩具に疎かったものでな。全部男児用だ」

零侍 「懐かしいな。静流にも呆れられたものだ……」

文乃 「……まぁ、旦那が一人娘のために買ってきたおもちゃがこれじゃ、ねぇ」

文乃 「これはロボット? こっちは戦隊物? これは……御面ライダー……?」

文乃 「まったくもう、お父さんはそそっかしいんだから……」


―――― 『まったくもう。零侍くんったらそそっかしいんだから』


零侍 「……ああ」

640以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:40:59 ID:tZaPmrsM
文乃 「……ふふ、でも」

零侍 「?」

文乃 「昔のわたしのために買ってきてくれたんだよね。ありがとう、お父さん」

零侍 「ん……あ、ああ……」

零侍 「……呆れ方からお礼の言い方まで、どんどん似ていくものだ」

文乃 「? なんか言った?」

零侍 「いや、なんでもない。作業に戻ろう」

零侍 「この収納から出てくるものはほとんどゴミでよさそうだな」

零侍 「む……。これは古着か。お前のものだな」

文乃 「わー、懐かしいー! これお気に入りだったワンピースだ!」

文乃 「えへへ。これ、お母さんと一緒に買ったやつだよ。お母さんとおそろいなの!」

文乃 「お母さんの方もある! 懐かしいな……」

零侍 「………………」

641以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:41:48 ID:tZaPmrsM
零侍 「……もうサイズ的に着られる服はなさそうだが、どうする?」

文乃 「? どうするって?」

零侍 「静流との思い出が残っているのだろう? 残しておくか?」

文乃 「………………」

フルフル

文乃 「……ううん。もう着られないものを残しておいても仕方ないよ」

文乃 「思い出は、頭の中に残ってるよ。だから、これはもういらないんだ」

零侍 「……ああ。そうだな」

文乃 「でも、まだきれいで着られるよね。捨てちゃうのももったいない気がするなぁ」

零侍 「む……。そうだな。知り合いに譲れるのなら、そうした方がいいかもしれんな」

零侍 「とはいえ、これくらいの子供がいる家庭に知り合いは……」

文乃 「うーん……」 ハッ 「あっ……」

クスッ

文乃 「……もらってくれる人、いるかも」

零侍 「……?」

642以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:42:23 ID:tZaPmrsM
………………唯我家

葉月 「きゃーーーーーー!!!」

葉月 「可愛いお洋服がたくさんーーーー!!!」

花枝 「なんか申し訳ないわねぇ、文ちゃん」

花枝 「本当にこんなにたくさんもらってしまっていいの?」

文乃 「はい! さすがにわたしはもう着られませんし、葉月ちゃんが着てくれるなら嬉しいですから」

葉月 「きゃー! お姫様みたいなお洋服も!」

葉月 「こっちはフルピュアみたい! かわいい!」

成幸 「良かったな、葉月。ほら、喜ぶのはいいけど、その前に何かしなくちゃな」

葉月 「!」 ピョコッ 「文ねーちゃん、ありがとう!」

文乃 「いえいえ、どういたしまして」 ニコッ

文乃 (ふふふ。葉月ちゃん、喜んでくれてよかった)

文乃 (でも……)

水希 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 (問題はあっちだよね……)

643以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:43:00 ID:tZaPmrsM
水希 「ふ、古橋さん! 葉月とお母さんは籠絡できても、私はそうはいきませんからね!」

水希 「葉月に取り入ってお兄ちゃんと近づこうって魂胆でしょうけど、そうはいきませんから!」

水希 「……でも葉月のためにわざわざお洋服を持ってきてくれてありがとうございます!」

文乃 「ど、どういたしまして……」

文乃 (ちゃんとお礼を言ってくれるあたり、根は本当に良い子なんだよね……)

和樹 「ふーん、だ」 ツーン

成幸 「ん? 和樹まで水希みたいになってどうした?」

和樹 「葉月はいいけど、俺のお洋服はないし」 ツーン

成幸 「いや、仕方ないだろ。古橋は女の子なんだから……」

文乃 「あ、そうそう。和樹くんにも色々持ってきたんだ」

ドサッ

和樹 「……!? おもちゃ!?」

文乃 「昔お父さんが私のために買ってきたおもちゃなんだって」

成幸 「お、親父さん、娘にこんな男の子が喜びそうなものを……?」

644以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:43:40 ID:tZaPmrsM
文乃 「お父さんったら、娘のわたしのために男の子用のおもちゃを買ってきちゃったみたいなの」

文乃 「そそっかしいよね」 クスクス

成幸 「ん、そうだな」

成幸 (……古橋がすごく楽しそうに親父さんの話をしてる)


―――― 『今日はお父さんが家にいるから…… あんまり 帰りたくなくて』


成幸 (なんか……) クスッ (俺も、嬉しくなってくるな)

和樹 「文ねーちゃん! これ、もらっていいの!?」 キラキラキラ……!!!!

文乃 「うん。ちょっと古いおもちゃだけど、まだまだ遊べると思うよ」

和樹 「やったー! ありがとー、文ねーちゃん!!」

成幸 「……ったく。現金な奴だな」

葉月 「きゃー! かわいい〜!」  和樹 「おー! この剣光るー!」 キャッキャ

成幸 「悪いな、古橋。おもちゃまで……」

文乃 「ううん。ほとんど使ってないおもちゃだから、使ってくれた方が嬉しいよ」

645以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:44:40 ID:tZaPmrsM
成幸 「で……」

水希 「ぐぬぬぬぬ……」 ギリリ 「葉月のみならず和樹までたぶらかして……」

水希 「でも和樹のおもちゃまですみません」 ペコリ 「本当にありがとうございます、古橋さん」

水希 「それはそれとしてぐぬぬぬ……」

成幸 「お前はまだそんな隅っこで……」

文乃 「あはは……」

文乃 「あ、そうそう。水希ちゃんにも持ってきたんだ」

水希 「!? へ、へー! 古橋さんのお古のお洋服でしょうか」

水希 「で、でも残念だなー! たぶんちょっとサイズが合わないんじゃないかなー!」

水希 「どこがとは言いませんけど、ちょっとサイズがなー!」

文乃 「……はは、うん。そうだね」

ズーーーーーン

文乃 「……だと思ったから、はい、これ。たぶん私には少し大きいから。どことは言わないけど」

水希 「へ……? これ、ワンピースですか……?」

646以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:45:13 ID:tZaPmrsM
文乃 「うん。これね、お母さんが着てた服なんだ」

水希 「!? 古橋さんのお母さんの……?」

文乃 「……って言っても、たぶん一回くらいしか着られてないんじゃないかな」

文乃 「葉月ちゃん。ちょっとこっち来て」

葉月 「? はーい」 トコトコトコ

文乃 「えっとね……あったあった。このワンピース」

文乃 「これとおそろいなんだ。昔、お母さんと一緒に買ったんだ」

葉月 「わー! じゃあこれふたりで着ると、水希ねーちゃんとペアルック!」

文乃 「うん。きっとかわいいと思うよ」

水希 「い、いいんですか? これ、いただいてしまって……」

文乃 「うん! ぜひもらってよ!」 ニコッ

文乃 「葉月ちゃんと水希ちゃんみたいな、仲良しの姉妹に着てもらえれば、きっとそのお洋服も嬉しいと思うから」

水希 「ん……」 カァアアアア……

水希 「あ、ありがとうございます、古橋さん。大切にします」

文乃 「うん! どういたしまして」

647以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:46:14 ID:tZaPmrsM
………………帰り道

文乃 「はー、今日はみっちり勉強できたねー、成幸くん」

成幸 「ああ、そうだな。テストの結果も良好だし、調子いいじゃないか」

文乃 「えへへ。成幸くんのおかげだよ。ありがと」

成幸 「俺は大したことはしてないよ。お前のがんばりが結果に出てるだけだろ」

文乃 「そう? じゃあ、そういうことにしておこうかな」

文乃 (……なんて、全部君のおかげで間違いないんだけどね)

文乃 「でもごめんね。晩ご飯までいただいて、遅くなったからって送ってもらっちゃって」

成幸 「気にすんなよ。適度な運動はこの後の集中にいいしさ」

成幸 (送ってかないと母さんがうるさいし……)

成幸 「それに水希も、ほら。お礼のつもりだったんだろ」

成幸 「今日の晩飯、いつもの倍以上は豪華だったぞ」

文乃 「へ? お礼……?」

成幸 「葉月と和樹がいろいろなものいただいたし、自分もワンピースをもらったからな」


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