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【ぼく勉】 文乃 「今週末、天体観測に行くんだよ」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/03(金) 23:07:13 ID:9nEg0gUI
理珠 「ほう。天体観測ですか。どこかの天文台へ行くのですか?」

文乃 「ううん。バスツアーなんだけどね、車で二時間くらいの高原に行くんだよ」

文乃 「結構コアなツアーでね。参加者全員望遠鏡を自分で持って行って、思い思いにレンズを覗くんだ」 ワクワク

文乃 「深夜に駅を出て、数時間天体観測をしたら、早朝に駅に戻ってくるって感じのツアーだよ!」

うるか 「ほへー。そんなのがあるんだねぇ」

成幸 (……それはツアーで行く意味があるのか? とかそういうことは置いておくとして)

成幸 (受験も近いのに大層な余裕だな、というツッコミも置いておくとして)

成幸 「……お父さんと一緒に行くのか?」

文乃 「うんっ! お父さんがね、誘ってくれて……」

文乃 「“一緒に行かないか” って。えへへ……」

成幸 「そうか」 クスッ 「よかったな、古橋」

文乃 「うん! ありがと、成幸くん! 道中のバスではちゃんと勉強するから安心してね!」

成幸 (この寝ぼすけ眠り姫が深夜と明け方のバスで勉強するとは思えないが……)

成幸 (まぁ、たまの息抜きぐらい、問題ないだろうし、何より……)

成幸 (古橋とお父さんの関係が、少しずつ改善しているのが、嬉しい)

149以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 01:40:34 ID:A/pleFt.
アニメ見て改めて思ったがあれだよな
妹ぐうかわ

150以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 02:30:12 ID:ejYXBOmc
おつ

151以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/12(日) 21:13:54 ID:WeWBxLmg
あすみー先輩もっともっと読みたいな

152以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/13(月) 00:36:13 ID:IV/CI4Dg
向こうに書けなかったからこっちに乙
脳内再生余裕過ぎてビビる
母の日との相性最悪だと思ってたけど、そういうパターンがあるのね
流石だわ

153以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/21(火) 23:22:03 ID:fSGKTlJQ
おつやで

154以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/27(月) 00:19:52 ID:CjO02D7I
すまん、妹かわいすぎんか?

155以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:53:02 ID:AmFXmFmY
【ぼく勉】 真冬 「今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの」

156以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:53:37 ID:AmFXmFmY
成幸 「あ、はい、分かりました。何時に伺えばいいですか?」

真冬 「……?」 ジトッ 「……君は、私のことを何だと思っているのかしら」

成幸 「へ?」

真冬 「私は教員よ? これ以上、生徒に家事の手伝いをさせるわけにはいかないわ」

真冬 「当然、やるのは私ひとりで、よ。私の部屋なのだから当たり前ね」

成幸 「はぁ……? まぁ、自分で掃除するのはいいことだと思いますけど……」

成幸 「なぜそれを俺に……?」

真冬 「これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの」

真冬 「あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるのよ」

真冬 「……と、いうことで」

真冬 「覚悟しておきなさい、唯我くん。私はもう、きみに惨めな姿をさらすことはないのよ」

成幸 (何を覚悟しろというんだろう……?)

真冬 「今度、きれいになった部屋にご招待して差し上げるわ」

成幸 (あ、掃除の手伝い抜きで家に伺うのはありなんだ……)

157以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:54:14 ID:AmFXmFmY
………………週末 HighStage

成幸 「ありがとうございましたー! いってらっしゃいませー!」

成幸 「ふー……」 (今日は本当にお客さん多いな。急に呼ばれるわけだよ……)

あすみ 「よ、後輩。雨だってのに、忙しいからって急に呼んで悪かったな」

成幸 「いえ、気にしないでください。頼られるのは嬉しいですから」

成幸 「最近、緒方たちもできるだけ自分で勉強しようとして、なかなか頼ってくれなくて……」

成幸 「桐須先生も……」


―――― 『これは私なりの、あなたとに甘えることへの決別の決意表明なの』


あすみ 「あん? 真冬センセがどうかしたのか?」

成幸 「あ、いえ、なんでもないです」

成幸 「とにかく、最近頼られることが少なくて落ち着かなかったのでちょうど良かったです」

あすみ 「お、おう。そうか、そりゃ良かった……のか?」

あすみ (なんかこいつ、将来付き合う女を次から次へとダメ人間にしそうだな……)

あすみ (……し、仕方ねーなぁ。被害者を出さないためにも、アタシがこいつのこともらってやるしかねーか///)

158以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:55:11 ID:AmFXmFmY
成幸 「じゃあ、俺そろそろトイレ掃除入りますね!」

あすみ 「ん、おう。じゃあ頼むわ」

成幸 (危ない危ない。先生のことを話すところだった……)

成幸 (小美浪先輩に話したら、また先生がからかわれてしまう)

成幸 「………………」


―――― 『今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの』


成幸 (……先生、大丈夫かな。ちゃんとできてるかな)

成幸 (また部屋が嵐の後のようにならないといいんだけど……)

成幸 (って、人の心配してる場合じゃないな。急に呼ばれたとはいえ、バイト中なんだから)

成幸 (がんばらないと。よーし、トイレ掃除気合い入れてピッカピカにするぞ!)

159以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:56:11 ID:AmFXmFmY
………………閉店後

成幸 (結構雨降ってたけど、結局閉店まで店は混み合ったままだったな……)

ヘトヘト

成幸 (……つかれた)

マチコ 「ごめんね、唯我クン。せっかくのお休みなのに、ずっとバイト入ってもらっちゃって……」

マチコ 「受験生なのに、悪いことしちゃったよね……」

成幸 「いえ、気にしないでください。お役に立てたなら何よりです」

マチコ 「唯我クン……」 キューン 「本当にいい子だねぇ、唯我クンは。そういうところ、大好きっ」

成幸 「は、はい。ありがとうございます……」 ドキドキ (気軽に大好きとか言わないでほしいなぁ……)

マチコ 「今日の出勤分、特別手当も足しておくからね。進学費用の足しにしてね」

店長 「えっ!?」

成幸 「へ? いいんですか?」

マチコ 「もちろん!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!! 「いいですよね、店長?」

店長 「あ、ああ。もちろんだ。好きにつけてくれ……」 ガックリ

成幸 (マチコさん強い!!) キラキラキラ

160以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:56:41 ID:AmFXmFmY
マチコ 「店内もトイレも、忙しいのにピッカピカにしてくれたしね」

マチコ 「給料日楽しみにしててね、唯我クンっ」

成幸 「はい、ありがとうございます、マチコさん!」

成幸 (……ピッカピカ、かぁ)

成幸 (大丈夫かな、桐須先生。ちゃんと掃除できてるかな……)

あすみ 「ほら、受験生だなんだっていうなら、もう解放してやれよ、マチコ」

あすみ 「……っていうか、それ言うならアタシも受験生なんだけどな?」

マチコ 「やだなぁあしゅみー。ナンバーワンのあしゅみーの給料をこれ以上上げたら、うちの店潰れちゃうよ」

あすみ 「……調子いいこと言いやがって。ま、いいけどな」

あすみ 「で、後輩、どうだ? この後、どこかで一緒に勉強、とか……」

あすみ 「今日親父は学会で遅くまで帰ってこないから、うち来るか?」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「今日の詫びに晩飯も作るし、何だったら泊まってってくれてもいいし……」

マチコ (!? 今日のあしゅみー積極的! かわいい〜!)

161以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:57:31 ID:AmFXmFmY
成幸 「………………」 (心配だ。また部屋をグチャグチャにしてないだろうか……)

あすみ 「……? 後輩?」

成幸 「……へ?」 ハッ 「あ……すみません。少し考え事してて、聞いてませんでした」

成幸 「もう一回言ってもらってもいいですか?」

あすみ 「………………」

成幸 「……先輩?」

あすみ 「……ふん。知らねー」 スタスタスタスタ……

成幸 「へ? 先輩? どうしたんですか?」

あすみ 「知らねーって言ってるだろ。ついてくんな。また今度な!」 スタスタスタスタ……

成幸 「行っちゃった……なんだったんだろ……?」

ポン

成幸 「……? マチコさん?」

マチコ 「今のは唯我クンが悪いよ……」 シミジミ……

店長 「……うむ」 シミジミ……

成幸 「店長まで!?」

162以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:58:03 ID:AmFXmFmY
………………帰路

成幸 (あしゅみー先輩、何だったんだろ)

成幸 (俺が話を聞いてなかったせいで怒らせちゃったし、悪いことしちゃったな……)

成幸 (今度謝らないと……)

成幸 「………………」

テクテクテクテク……

成幸 「……ああ、もう」

成幸 (ここ通ったら家まで遠回りのはずなのに。雨も降ってるから、早く帰りたいってのに、何で俺は……)

成幸 (……まぁ、理由なんて分かりきってるけどさ)


―――― 『今週末、家を徹底的に掃除しようと思うの』


成幸 (この角を折れたら、マンションの入り口だ)

成幸 (もしあの人が困り果てていたら、きっと、入り口前に腰かけているはず……)

スッ………………

成幸 「………………」 (……いない、か。まぁ、雨だしな)

163以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:58:44 ID:AmFXmFmY
成幸 (……不思議な気持ちだ)

成幸 (ホッとしたような、肩すかしを食らったような……複雑な気分)


―――― 『私は教員よ? これ以上、生徒に家事の手伝いをさせるわけにはいかないわ』

―――― 『当然、やるのは私ひとりで、よ。私の部屋なのだから当たり前ね』

―――― 『これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの』

―――― 『あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるのよ』


成幸 (まぁ、あそこまで言っておいて、俺に頼るようなことはしないか……)

成幸 (……何やってんだ、俺は。早く帰ろ……)

成幸 「………………」 (でも、本当に大丈夫だろうか……)

トコトコトコトコ……

成幸 「………………」 (逆に、俺に頼ることができないから、余計とんでもないことになっているんじゃ……)

…………ピタッ

成幸 「……ちょっとだけ」

成幸 「ちょっとだけ、様子を見るだけだから……」

164以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 22:59:27 ID:AmFXmFmY
………………マンション二階廊下 201号室前

成幸 「………………」

成幸 (……いやいやいや!? 結局部屋の前まで来ちゃったぞ!?)


―――― 『違います誤解です!! 俺はここの住人の友人で……ッ!!』

―――― 『ストーカーはみんなそう言うんだよ!』


成幸 (いかん! 人の家の前で突っ立ってるなんて……)

成幸 (古橋のときみたいに、またいらん誤解を受けるかもしれない)

成幸 (もう帰ろう……)

成幸 「………………」

ボソッ

成幸 「……大丈夫、だよな」


 『キャーーーーーーーー!!』


成幸 「……へ?」

165以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:00:05 ID:AmFXmFmY
成幸 (先生の部屋から、悲鳴……?)

成幸 「………………」

成幸 「……いやいやいや! 迷ってる場合じゃない!!」

成幸 「先生!? 先生、大丈夫ですか!?」

ガチャッ!!

成幸 (あっ、鍵空いてる!!)

成幸 「すみません、先生! 入ります!!」

バン!!!!

成幸 「先生!」

真冬 「あ……唯我くん!!」

成幸 「……!?」

成幸 「せ……先生?」

カァアアアア……

成幸 「な、何で、バスタオル一枚なんで……――」

――――――タタタタタ……!!! ガバッ!!!! ムギュッ!!!

166以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:00:44 ID:AmFXmFmY
成幸 「うぺぇ!?」

真冬 「お……おおお、恐ろしいわ……」

ムギュッムギュッ!!!!

成幸 (れ、冷静に、今の状況を、分析すると……)

成幸 (バスタオル一枚を身体に巻き付けた、先生が……)

成幸 (俺の姿を認めるや否や、走り寄ってきて、抱きついて……)

成幸 (げ……玄関で、押し倒されて……いる……)

成幸 「………………」

成幸 (……なんだこの状況!?)

成幸 「きっ、桐須先生! 一体どうしたんですか!?」

成幸 「……っていうか、離れてください! 色々とマズいです!」

真冬 「む、無理……。腰が抜けてしまったわ……」

成幸 「な、なんかすごくデジャヴるんですが……まさか……」

カサカサカサカサカサカサ……

成幸 「……ああ、やっぱり出たんですね、G……」

167以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:01:31 ID:AmFXmFmY
成幸 「っていうか、それにしたって、何で裸なんですか!?」

真冬 「シャワーを浴びていたのよ! そうしたら排水溝から……」


―――― G『やぁ』


真冬 「って……」 ガタガタガタガタ

成幸 「ああ、あいつら水回り移動しますからね。マンションとかだと排水溝から出てくるらしいですね」

真冬 「戦慄! 恐ろしいことを言わないで!!」

ハラ……ハラハラリ……

成幸 「……!?」 (せ、先生のバスタオルの締めがゆるくなりつつある……)

成幸 (これはマズい! 色々な意味でまずい!)

成幸 (っていうか今まさにダイレクトに感じられる先生のやわらかい肌とか濡れた髪とかがヤバいのに!)

成幸 (その上バスタオルがはだけたりしたら……それ以前に、ないとは思うけどこんなところを誰かに見られたら……――)


美春 「――――――こんにちはー、姉さまー!! 美春がサプライズで参りましたよー!」 バーーーン!!!


成幸 「!?」

168以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:02:12 ID:AmFXmFmY
美春 「……へ?」

美春 「ね……姉、さま……? 唯我、成幸、さん……?」

ポワンポワンポワンポワン……


―――― 成幸 『せ、先生、ダメですよ。こんなところで……///』

―――― 真冬 『ふふ。ダメなことないわ、唯我くん。私、もうベッドまで我慢できないもの……』

―――― 成幸 『あっ……せ、先生……』

―――― 真冬 『ベッドではできない悪いコト、教えてアゲル……』


……ポワンポワンポワンポワン

美春 「………………」

成幸 「み、美春さん? 違います。これは、違うんですよ?」

美春 「………………」

成幸 「……あ、あの、美春さん?」

169以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:03:02 ID:AmFXmFmY
美春 「……うわぁああああああああああん!!! 美春の姉さまがーーーー!!」

美春 「すっかりイケない女教師になってしまいましたーーーーー!!!」

美春 「悪いコトってどんなコトですかーーーーーーー!?」

タタタタタタ……!!!

成幸 「えっ、ちょっ、待って!! 待ってください!! 美春さん!!」

成幸 「悪いコトって何の話ですかーーーー!!」

ムギュッ

成幸 「はうぁ!?」

真冬 「き、禁止! 何でもするから!! 私を置いていかないで!!」

成幸 (この人はこの人で何でもとか言い出したぞ!?)

成幸 (っていうか……///)

成幸 「せ、先生、どこも行かないですから、あんまりしがみつかないでください!!」

成幸 「い、色々と……!! 当たってますから!!」

170以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:03:39 ID:AmFXmFmY
カサカサカサカサカサカサ……

真冬 「ヒッ!? 音がするわ! 動いてるわね!? 動いてるのね!?」

ムギュムギュムギュムギュッ!!!!

成幸 「い、いやいや、変に動かないでください!! 当たってるんですってば!!」

真冬 「当たってる!? (Gが)当たっているの!?」

成幸 「はい! ですから当たってます!! (Eが)当たってるんですって!!」

真冬 「きゅうっ……」

……クタッ

成幸 「へ……? 先生!? ちょっと、しっかりしてください! 先生!?」

真冬 「………………」

成幸 「先生ーーーー!! しっかりしてください!!!」

171以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:04:25 ID:AmFXmFmY
………………

真冬 「………………」

成幸 「………………」

オホン

真冬 「さっきは取り乱してしまって申し訳なかったわね」

成幸 (身だしなみを整えて、今さら体裁を保とうとしている……)

成幸 (まぁ、ゴキは退治したし、もう大丈夫だとは思うけど……)

真冬 「虫が出て、少し動揺してしまったわね。もう大丈夫よ」

成幸 「いや、えっと……」

グッチャァァアアア……

成幸 「何も大丈夫じゃないと思うんですが……。あの、今日は掃除をしていたのでは……?」

真冬 「し、していたわ。していたけれど……」

真冬 「やっぱり、なかなかどうして、うまくいかなくて……」

成幸 「……いや、掃除終わってないのに何でシャワーを浴びようとしたんですか」

真冬 「!? それは、その……」

172以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:05:14 ID:AmFXmFmY
真冬 「そ、掃除中にバケツをひっくり返してしまって、水をかぶってしまったの」

真冬 「だから一度シャワーを浴びていたのよ」

成幸 「なるほど……」

成幸 (……いや、なるほどとか言ってるけどまったく理解はできないけど。本当に、器用に不器用な人だな……)

成幸 「………………」 ウズウズ (しっ……仕方ないなぁ……)

ニコニコニコニコ

成幸 「先生、俺、掃除手伝いますよ」

真冬 「えっ、いや、でも……」

成幸 「このままじゃ日をまたいでも終わらないですよ、掃除」

真冬 「うっ……」 モジモジ 「でも、今日こそ、あなたの手を借りずに……」

成幸 (まじめな人だもんなぁ。一度決めたことを曲げたくないんだよな……)

成幸 (その気持ちは汲んであげたいし、偉いと思うけど……)

成幸 (さすがに、この部屋の惨状をこのままにはできないし……)

173以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:05:55 ID:AmFXmFmY
成幸 「………………」

成幸 「……分かりました。では、」

真冬 「……?」

成幸 「俺が勝手に手伝います。先生は、嫌だって言ってるのに、俺が勝手に手伝うだけなら、いいでしょう?」

真冬 「へ? あ……えっと……」

成幸 「あっ、先生はいいと言ったらダメですね。俺が勝手にやるんだから」

成幸 「ってことで、勝手に掃除始めます。迷惑だと思いますけど、ごめんなさい」

イソイソイソイソ……

真冬 「あっ……」

真冬 「………………」

真冬 「……ごめんなさい。お願いするわ」

成幸 「いえいえ、謝ることじゃないです」 ニコニコニコニコ

真冬 「……?」 (唯我くん、どうしてあんなに嬉しそうなのかしら……?)

174以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:06:40 ID:AmFXmFmY
………………

真冬 「……おお」

ピカピカピカピカ……

成幸 「ふー。こんなもんですかね」

成幸 (なんとか日をまたぐ前には終わったな。良かった良かった……)

成幸 (一日中バイトしてからの掃除……結構ハードだったな……)

真冬 「……結局、今回もきみに頼ってしまったわね。唯我くん」

真冬 「生徒に――受験生にさせることじゃないわ。本当にごめんなさい……」

成幸 「いえ、気にしないでください。俺が好きでやったことですから」

真冬 「……そういうわけにはいかないわ」

成幸 「へ……?」

真冬 「私は教員で、あなたは生徒。そこは明確な線引きがなされなければならない」

真冬 「なのに私は、生徒であるあなたに、毎度毎度頼ってしまって……」

真冬 「……情けないわ」 ズーーン

175以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:07:40 ID:AmFXmFmY
成幸 (あー……)


―――― 『あっ、先生はいいとら言ったダメですね。俺が勝手にやるんだから』

―――― 『ってことで、勝手に掃除始めます。迷惑だと思いますけど、ごめんなさい』


成幸 (まさかこんなに気に病んでいたなんて、申し訳ないことしてしまったな……)

成幸 「……あの、ごめんなさい。先生がそんなことまで考えているとは思わなくて……」

成幸 「勝手にお手伝いをしてしまって……」

真冬 「!? ち、違うのよ? きみを責めているわけではないの」

真冬 「ただ、自分が情けないだけで……」

成幸 「いや、でも俺……最初から、先生のこと、手伝うつもりでここに来たので……」

真冬 「え……?」 ハッ


―――― 『先生!』

―――― 『あ……唯我くん!!』


真冬 「そういえば、どうして唯我くんはうちに……?」

176以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:08:10 ID:AmFXmFmY
成幸 「……すみません、先生。俺、先生のことが心配で、家まで来てしまったんです」

成幸 「俺、今日一日、先生のことが頭から離れなくて……」

成幸 「大丈夫かなって、何度も考えてしまって……」

成幸 「こんなこと言うと気持ち悪いと思われるかもしれませんけど、」

成幸 「……わざと遠回りして、このマンションの前を通って……」

成幸 「先生がいないから大丈夫だろうって思ったんですけど、気づいたら部屋の前まで行ってて……」

成幸 「悲鳴が聞こえたから中に入ったんです」

真冬 「………………」

成幸 (……いやいやいや!! 冷静に考えてみると、俺、ストーカーそのものじゃないか!?)

成幸 「す、すみません! 家まで押しかけちゃって……」

成幸 「先生はもう俺の手伝いはいらないって言ってたのに、迷惑ですよね……」 ペコリ 「本当に、ごめんなさい!!」

成幸 (こ、怖い……。先生、どんな顔をしているんだろう。きっと、軽蔑するような顔を……)

真冬 「………………」

真冬 「……顔を上げなさい、唯我くん」

177以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:08:49 ID:AmFXmFmY
成幸 (あれ……? 先生、怒ってないのかな……?)

真冬 「謝る必要はないわ、唯我くん。私も同じだもの」

成幸 「同じ……?」

真冬 「ええ。恥ずかしい話だけど、白状するわ。私がシャワーを浴びていた本当の理由」

真冬 「バケツをひっくり返したなんてウソよ。本当は、表で自動車に水を浴びせられたの」

成幸 「……? え、でも、何でそんなウソを……?」

真冬 「それは、その……」

真冬 「……――みを、…………って、いた、から……」

成幸 「え? すみません、よく聞こえないんですが……」

真冬 「だっ、だから……! 君を……待っていたから、って言ったのよ……」

成幸 「へっ?」

真冬 「……君が来てくれるんじゃないかと期待して、外で待っていて……」

真冬 「そのときに自動車に水を浴びせられて、そんなこととても君には言えないから……」

真冬 「だから、ウソをついたの。ごめんなさい……」

178以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:09:28 ID:AmFXmFmY
成幸 「い、いやいや、謝ることではないですよ。そんなの……」

成幸 (え……? でも、先生、俺を、待っていてくれた……?)

成幸 (俺を……///)

真冬 「恥ずかしいわ。私、教師だというのに、結局あなたを頼ろうとしてしまったわ」


―――― 『これは私なりの、あなたに甘えることへの決別の決意表明なの』

―――― 『あなたに宣言することで、これ以上あなたに甘えることがないように自分を戒めるの』


真冬 「あんなことまで言ったというのに、私は結局……」 ズーン

成幸 「………………」

成幸 「……えっと、あの、どう言ったらいいのか分からないので、思ったことをそのまま言いますね」

真冬 「……?」

成幸 「……すごく、嬉しいです」

真冬 「う、嬉しい……?」

成幸 「はい、さっきも言いましたけど、俺、先生のこと心配していたので……」

成幸 「先生が俺のことを頼ろうとしてくれたのが、とても嬉しいんです」

179以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:10:12 ID:AmFXmFmY
成幸 「……もちろん、俺と先生は生徒と教師で、線引きは必要でしょうけど、」

成幸 「でも、俺は、こうやって先生の部屋を片付けるの嫌いじゃないです。だから……」

成幸 「もし先生が嫌でないなら、これからもずっと先生の部屋の掃除をしたいです!」

真冬 「ずっ……ずっと……?」

成幸 「はい! むしろ、高校を卒業してからの方が健全ですよね!」

真冬 「そ、それはその通りだと思うけど……」

真冬 「君は、高校を卒業した後も、私の家に来て、掃除をしてくれるというの?」

成幸 「はい!」

真冬 「っ……」

真冬 (まっすぐ返事をしてくれるものだわ。まったく、こっちの気も知らないで……)


―――― 『最愛の息子が…… 親のいぬ間に半裸の年上女性を連れ込んで…… 私は一体どうしたら……』

―――― 『あぁぁやっぱりダメエェ!! そういうのはせめて!! せめてしっかり卒業してからに……』

―――― 『あ でもなんにせよそういうのはちゃんと卒業してからね』


真冬 (お母さんを心配させないように配慮したこっちの気も知らないで……まったく……)

180以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:11:04 ID:AmFXmFmY
真冬 (お母さんを不安にさせまいと、君を家から遠ざけようとしたというのに……)

成幸 (? 先生、黙り込んじゃってどうしたんだろ……?)

真冬 (あ、でも……)

真冬 (“卒業” してからなら、いいのかしら……?)

真冬 「………………」

ハッ

真冬 (教師である私が、一体何を考えているのかしら!?)

真冬 (でも、もし……もしも……)


―――― 『でも、俺は、こうやって先生の部屋を片付けるの嫌いじゃないです。だから……』

―――― 『もし先生が嫌でないなら、これからもずっと先生の部屋の掃除をしたいです!』


真冬 (卒業した後も、本当に彼が同じように言ってくれるなら……)

真冬 (……少し、お言葉に甘えても、いいのかしら)

おわり

181以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:11:54 ID:AmFXmFmY
………………幕間 『責任』

真冬 (!? でも、このまま受験生の彼の勉強の邪魔ばかりしていては……)


―――― 成幸 『うぅ……第一志望に落ちてしまった……』


真冬 「………………」 ワナワナワナ (それはまずいわ! 絶対ダメよ!)

真冬 (そんなことになったら、“先生” にも顔向けできないわ!)

真冬 (でも、もし、万が一そういうことになったら……)

成幸 「……? あの、先生? どうかしましたか?」

真冬 「………………」

ガシッ

成幸 「!? せ、先生……? ど、どうして手を……///」

真冬 「安心して、唯我くん!」

真冬 「万が一のことがあったら、私が責任を取ってあげるから!!」

成幸 「!?」

おわり

182以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:12:31 ID:AmFXmFmY
読んでくださった方ありがとうございました。

183以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:18:21 ID:AmFXmFmY
>>1です。
ちょっとやってみたいことがあるので、安価というほどのことではないですが、
少しお付き合いいただけたら嬉しいです。
タイトルだけ安価をさせてください。よろしくお願いします。
(メインヒロインでもサブヒロインでもいいですが、女子キャラだと助かります)


【ぼく勉】 成幸 「今週末は、>>186と出かける約束なんだ」

184以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:19:49 ID:AmFXmFmY
>>1です。連投申し訳ないです。
安価が踏まれてから書いて投下しますので、ラグがあると思います。

185以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 23:57:29 ID:XaFv5NuY
来てるやんけ!!

186以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 00:03:50 ID:Ca35RFNY
おつんこ
文乃が好きだから文乃で、
と思ったけど水希ちゃんでお願いします!

187以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 00:06:07 ID:iwhEGbg2
そういや乙な

>>186
スレ監視してそう

188以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 00:10:19 ID:Ca35RFNY
>>187
更新待ち遠しくて定期的に確認してるからね…

189以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 00:27:13 ID:WO/bOOK.
乙です

190以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:23:58 ID:cxG0DenQ
【ぼく勉】 成幸 「今週末は、水希と出かける約束なんだ」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:24:28 ID:cxG0DenQ
うるか 「ほへー、みずきんと?」

成幸 「ああ、買い物に付き合ってほしいらしいんだ」

成幸 「勉強もあるけど、最近あんまりあいつに構えてないしな」

成幸 「ま、たまの家族サービスかな」

理珠 「サラリーマンみたいなことを言いますね……」

文乃 (ふふ、成幸くん、微笑ましいなぁ。パパみたい)

ハッ

文乃 (……ん? 今週末?)

ペラッ……ペラッ……

文乃 「………………」

文乃 「……えっと、成幸くん、あの、水を差すようで悪いんだけど、」

成幸 「ん? どうした、古橋?」

文乃 「今週末、わたしの新しい問題集選びに付き合ってくれる約束をしていたような……」

成幸 「え……?」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:25:20 ID:cxG0DenQ
成幸 「!? そういやそんな約束してたような気がするぞ……」

ペラッ……ペラッ……

成幸 「で、でも、手帳の予定表には何も書いてないぞ。おかしいな……」

文乃 「えっと、その約束したとき、たしか成幸くんは、」

文乃 「……手帳じゃなくて、スマートフォンの方に予定を登録していたような……」

成幸 「へ……?」

スッ……

成幸 「うわっ、ほんとだ。しっかりカレンダーに予定登録してある……」

理珠 「……まったく。機械オンチなのに無理してスマホの機能を使うからです」

うるか 「あちゃー。完全にブッキングしちゃってるねぇ」

成幸 「ど、どうしよう。水希とは昨日約束してしまったし……」

成幸 「古橋とはもっと前から約束してるわけだし……」

オロオロオロオロ……

文乃 「………………」 ハァ 「……まったくもう、仕方ない弟だよ、君は」

文乃 「わたしのことは気にしなくていいよ。また別の日に付き合ってよ」

193以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:26:00 ID:cxG0DenQ
成幸 「いや、しかしな。お前の勉強を円滑に進めるために、できるだけ早く参考書は買っておきたいし……」

成幸 「何より、お前の方が先に約束をしていたんだから、そっちをなくすというのも道義的にな……」

文乃 「そ、そこまで深刻に考えなくても……」

成幸 「………………」

成幸 「よしっ、決めた! 古橋、週末はやっぱり一緒に参考書選びをしよう!」

文乃 「えっ、でも水希ちゃんは?」

成幸 「水希も一緒に買い物に行く! 三人で一緒に行けば全部解決だ!」

文乃 「………………」

文乃 (……さも名案を思いついたような顔で何を言い出すのかな!?)

うるか 「まぁ、そうすれば問題ないよね」 理珠 「ですね」

文乃 (君たちもどうしてしたり顔でうなずけるのかな!?)

文乃 (相手はあの水希ちゃんだよ!? お兄ちゃんとのデートにわたしが着いていったりしたら……)


―――― 水希 『……へぇ。お兄ちゃんと私のデートを邪魔するつもりですか。いい度胸ですね』 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!


文乃 (ってなるに決まってるじゃない!!)

194以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:26:37 ID:cxG0DenQ
成幸 「とりあえず帰ったら水希に聞いてみるから、またメッセージで伝えるな!」

文乃 「あっ、ちょっと、成幸くん!?」

成幸 「じゃあ、また明日な!」

ビューン!!!!

文乃 「……あー、もうっ。行っちゃったよ」

理珠 「? どうかしましたか、文乃?」

うるか 「文乃っち元気ない?」

文乃 「いや、うん、まぁ……大丈夫だよ……」

シュン……

文乃 「………………」

文乃 (……ふんだ。成幸くんの、バカ)

文乃 (参考書選びとはいえ、久々にふたりきりでのお出かけだって、楽しみにしてたのに)

文乃 (……楽しみに、してたのにな)

195以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:27:08 ID:cxG0DenQ
………………週末 デパート

成幸 「……あ、古橋。悪い、待たせたな」

文乃 「成幸くん。ううん、今来たトコだよ。大丈夫」

成幸 「そうか。ならよかった」

文乃 「えへへ……」

文乃 (……なんか、デートみたいな受け答えしちゃった)

文乃 (これで……)

水希 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

水希 「……どうも、こんにちは、古橋さん」

文乃 「こ、こんにちは、水希ちゃん」

文乃 (……圧たっぷりの水希ちゃんがいなければなぁ、なんて)

ハッ

文乃 (いけないいけない。今日のわたしは、兄妹水入らずを邪魔してしまっている立場なんだから)

文乃 (謙虚な気持ちを忘れないようにしないと……)

文乃 「水希ちゃん、今日はごめんね。せっかく兄妹でのお出かけなのに、邪魔しちゃって……」

196以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:27:41 ID:cxG0DenQ
水希 「ふふ、可笑しなことを言いますね、古橋さん」 ニコッ

文乃 (……? あれ、意外と怒ってないのかな……?)

水希 「しっかりと邪魔をしておいて、“ごめんね” なんて、ああ可笑しい……」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 (あ、うん。しっかり怒ってるね、これは)

成幸 「こ、こらこら、水希。悪いのは約束をブッキングさせてしまった俺なんだから、古橋を責めるなよ」

水希 「………………」

ニコッ

水希 「……そうだね、お兄ちゃん。ごめんなさい、古橋さん。変なこと言っちゃって」

文乃 「う、ううん。大丈夫だよ。邪魔しちゃってるのは事実だし……」

成幸 「邪魔なんかじゃないよ。ほら、まずは古橋の問題集選びだ。行こうぜ」

水希 「うん、お兄ちゃん♪」

文乃 「うん、成幸くん。よろしくね」

197以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:28:42 ID:cxG0DenQ
………………書店

成幸 「うーん、古橋もだいぶ応用がきくようになってきたからな」

成幸 「ちょっと難しい問題集にするべきか……」

成幸 「いやしかし、受験も近い。今から応用を鍛えるよりは、基礎を固めた方が堅実か……」

成幸 「うーむ……」

水希 「………………」

文乃 「………………」

文乃 (うー……。問題集選びを手伝ってもらうと言えば聞こえはいいけど、実質選ぶのは成幸くんだし……)

文乃 (水希ちゃんとふたりきりは、少し気まずいな……)

文乃 「そ、そういえば、水希ちゃんも高校受験だよね」

文乃 「どこを受けるのかな?」

水希 「……一応、水泳のスポーツ推薦を狙っているので、取ってくれるところなら、どこでも」

水希 「二ツ葉でも、一ノ瀬でも、どこでも……」

文乃 「スポーツ推薦かぁ。大変だね、それは」

198以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:29:25 ID:cxG0DenQ
水希 「大変でも、頑張らないと。武元先輩みたいになりたいですし、何より……」

文乃 「? 何より?」

水希 「……お兄ちゃんに、これ以上負担をかけられないから」

水希 「お兄ちゃんが、大学で伸び伸びと、がんばりたいことをがんばれるように……」

水希 「せめて私の高校の学費は、できる限り減らしたいから……」

文乃 「水希ちゃん……」

成幸 「……よし、決めた。この問題集がいいな!」

成幸 「おーい、古橋。ちょっと見てくれ。これがいいと思うんだけど、どうだー?」

文乃 「あ、うん! いま行くよ!」

文乃 (……そっか。そうだよね。成幸くんの家、裕福ってわけじゃないもんね)


―――― 『まぁそりゃ あなたの境遇には同情しますけど』


文乃 (……それなのに、あのとき……、あんな風に言ってくれたんだよね)

文乃 (本当に、優しくて良い子。成幸くんの妹って感じだよね……)

199以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:30:22 ID:cxG0DenQ
………………水着店

成幸 「………………」

文乃 「………………」

成幸 「……買いたいものって、水着?」

水希 「うん! 実は、そろそろ部活用の水着がきつくてね。どこがとは言わないけど!」 ジーーーーッ

文乃 (めっちゃ見てくる! めっちゃ見てくる!)

文乃 (くぅぅぅ!! 中学生のくせにぃ〜〜〜!!)

水希 「だから、新しい水着を買わなきゃなんだ。わたしひとりじゃ不安だから、お兄ちゃん、付き合って♪」

成幸 「不安も何も、サイズ合うの買うだけだろ!? しかも競泳用だろ!?」

水希 「いやぁ、ほら、間違えて古橋さんサイズのを買っちゃうとさ、」 ニコッ 「私には絶対入らないからさ」

文乃 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!! 「……うん、そうだね、水希ちゃん。間違えたら大変だね」

ガシッ

水希 「へ……?」

文乃 「じゃあ、お姉さんが一緒に見てあげようかな。間違いなくサイズが合う水着を……」 ニコッ

200以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:31:04 ID:cxG0DenQ
………………数分後

水希 「………………」 ズーーーーン 「……お兄ちゃんに、見てもらう予定が……」

文乃 「………………」 ズーーーーン 「で、でけえ、だよ……。一ノ瀬に入ったら間違いなくC組以上だよ……」

成幸 「お前ら、何で水着店に入っただけでそんな満身創痍なんだ……?」

水希 「やってくれましたね、古橋さん……」

文乃 「ふふふ……。無為に年上に喧嘩を売るからこうなるんだよ、水希ちゃん……」

成幸 (……まぁなんか楽しそうだからいいか)

成幸 「そろそろお昼だな。せっかくデパートまで来たんだから、何か食べて行こうぜ」

水希 「で、デパートでお昼!? 私、そんなお金持ってないよ」

成幸 「心配するなよ。今日のお詫びだ。ふたりとも俺が奢ってやるよ」

水希 「お兄ちゃん、そんなお金あるの……?」

成幸 「バイトで貯めたお金があるよ。それにこんなことするのは今日だけだし、大丈夫だよ」

文乃 「でも、わたしまでご馳走になるのは悪いよ」

成幸 「水希の水着選び手伝ってくれたんだろ? そのお礼もあるから気にするなよ」

201以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:31:41 ID:cxG0DenQ
文乃 「でも……」

水希 「………………」

水希 「……うん。じゃあ、ご馳走になろうかな」

水希 「もちろん、古橋さんも行きますよね?」

文乃 「へ……?」

文乃 「あ……えっと……」

文乃 「……じゃあ、わたしも、お言葉に甘えて……」

成幸 「決まりだな。じゃあ行こうぜ」

文乃 「……?」

文乃 (水希ちゃん、どうして……?)

202以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:32:16 ID:cxG0DenQ
………………

文乃 「ごちそうさまでした、成幸くん。美味しかったよ」

水希 「ごちそうさま、お兄ちゃん! ありがとね」

成幸 「いやいや、どういたしまして。ふたりとも、今日は悪かったな」

水希 「気にしてないよ。また今度、埋め合わせでデートしてくれればね」

成幸 「はは、さすがに受験が終わってからにしてくれよ……」

成幸 「……ん、ちょっとお手洗いに行ってくるな。待っててくれ」

水希 「はーい」

文乃 「いってらっしゃい、成幸くん」

水希 「………………」

水希 「……座って待ちましょうか」

文乃 「あ……うん」

203以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:32:52 ID:cxG0DenQ
水希 「………………」

水希 「……ふたりきりになれて良かったです。今日は、古橋さんとお話もしたかったので」

文乃 「ん……。だからお昼ご飯、わたしも一緒にって言ってくれたの?」

水希 「……それもあります」

文乃 「? それ “も” ?」

水希 「……気にしないでください。言葉の綾です」

オホン

水希 「そんなことより、お兄ちゃんが戻ってくる前に、聞きたいことがあるんです」

文乃 「……何かな?」

水希 「………………」

水希 「……古橋さんが家に泊まったとき、お風呂場で言っていた言葉は、本当ですか?」

文乃 「へ……?」


―――― 『わたしと…… お兄さんは 絶対そんな関係にはならないから』


文乃 「あっ……」 (あ、あのときの、あれか……)

204以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:33:25 ID:cxG0DenQ
水希 「………………」

文乃 「……えっと、その……」

文乃 「……もちろん、本当だよ。うそじゃないよ」

水希 「……本当ですか?」

水希 「本当に、兄のことを好きになったり、ましてや恋人になったりなんてこと、ないんですね?」

文乃 「………………」

文乃 「……うん。もちろん、そうだよ。わたしは……」


―――― 『天文学の前は…… 幸せなお嫁さんになるのも夢だったから!!』

―――― 『じゃあさ古橋…… 今からデートしないか』

―――― 『星のこと話してる古橋 俺は好きだけどな』

―――― 『お前が本当にやりたいこと 俺が 全力で応援してるからな』


文乃 「わ、わたし……は……」


―――― 『起きてる』

205以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:34:04 ID:cxG0DenQ
文乃 「………………」

水希 「……古橋さん?」

文乃 「………………」

スッ……

文乃 「……ごめん、水希ちゃん」

水希 「……?」

文乃 「わたし、うそついたね。うそに、なっちゃったんだね……」


文乃 「ごめん、水希ちゃん。わたし、お兄さんのこと……成幸くんのこと、好き」

文乃 「大好き、なの……」


水希 「………………」

文乃 「……だから、そういう関係になりたい。恋人になりたい。成幸くんの……」

文乃 「お嫁さんに、なりたいっ……!」

水希 「………………」

文乃 「………………」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:34:48 ID:cxG0DenQ
水希 「………………」

フゥ

水希 「……そう。そうですか」

水希 「そう、ですよね」

文乃 「へ……?」

文乃 「怒らないの……?」

水希 「はぁ?」 ジロリ 「怒って欲しいんですか?」

文乃 「い、いや、そういうわけじゃないけど……」

水希 「怒りませんよ。怒れるわけないじゃないですか。お兄ちゃんのこと、好きになったことを」

水希 「仕方ないです。お兄ちゃんは本当に魅力的な人ですから」

文乃 「そっか……」

水希 「わたしはただ、煮え切らない態度を取っているあなたに怒っていただけです」

水希 「あなたは、好きになることを遠慮しているような、ためらっているような……」

水希 「……そんな風に、見えたから」

文乃 「んっ……」

207以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:35:30 ID:cxG0DenQ
文乃 「……そうだね。そうかもしれない」

文乃 「でも、決めたよ。わたし、もう逃げない。わたしは、“起きてる” から」

文乃 「わたし、負けたくない。成幸くんのこと、大好きだから」

水希 「……そうですか」

水希 「………………」

ギリッ

水希 「……私は……――」


文乃 「――――だからわたしたち、今からライバルだね!!」


水希 「……へ?」

文乃 「え? だってそうでしょ? わたしは成幸くんのことが好き。水希ちゃんも成幸くんのことが好き」

文乃 「ってことは、ライバルでしょ?」

水希 「………………」

水希 「……へぇ!?」 カァアアアア……

水希 「わ、わたしは、べ、べべべべべべつに!? お兄ちゃんのことなんか好きじゃないですけど!?」

208以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:36:04 ID:cxG0DenQ
文乃 「………………」

文乃 「え、えぇぇええ〜〜……今さらツンデレ妹キャラ出しちゃう……?」

水希 「だ、だってそんな、わたし、妹だし……」

水希 「お兄ちゃんは、お兄ちゃんだし……そんなの……」

文乃 「? でも、水希ちゃん、お兄ちゃんのこと好きなんでしょ?」

水希 「……そ、それは、まぁ……その……」

コクリ

水希 「……好き、です、けど」 ボソッ

文乃 「じゃあわたしたちライバルだよ! 負けないからね!」

水希 「ら、ライバルって……古橋さんは、変だと思わないんですか?」

水希 「気持ち悪いって思わないんですか? 私のこと……」

文乃 「へぇ? 何で?」

水希 「何でって……実の、血の繋がった兄が好きって、変でしょう……?」

文乃 「んー……まぁ、一般的な社会通念的にはズレてるかな、とは思うけど」

文乃 「でも、成幸くんのこと好きなんでしょ?」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:36:57 ID:cxG0DenQ
水希 「す、好き……ですけど……」

文乃 「じゃあいいじゃない。マイノリティが尊重される時代だよ」

文乃 「妹がお兄ちゃんを好きでも、べつに問題ないじゃない。まぁ、遺伝子的にはちょっとアレかもしれないけど……」

グッ

文乃 「なんにせよ、がんばれ、水希ちゃん! 応援してるよ!」

水希 「………………」

クスッ

水希 「応援って……。それ、まずいんじゃないですか?」

文乃 「はっ!? そ、そういえば、わたしも成幸くんのこと好きなんだった!」

文乃 「い、今の取り消し! やっぱり応援はしない!」

文乃 「負けないからね、水希ちゃん!」

水希 「………………」 ニヤリ 「こちらこそ、です」

水希 「絶対負けませんからね、古橋さん!」

210以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:37:49 ID:cxG0DenQ
水希 「………………」

水希 (ああ、この人は、こういう人だ……)

水希 (だからわたしは、この人のことが、好きなんだ……)

水希 (お兄ちゃんから約束のブッキングのことを聞いて、悔しくて、でも……)

水希 (同時に、古橋さんと一緒に出かけられるのが、少し楽しみで……)

水希 (そう、わかってたんだ。この人は、優しくて、とてもいい人)

水希 (わたしの、お兄ちゃんへの、拙い愛情すら、肯定してくれる人


―――― 『……それもあります』

―――― 『? それ “も” ?』


水希 (ああ、もう。バレてないよね)

水希 (“あなたにだったら、お兄ちゃんを任せてもいいよ” って……)

水希 (思いかけてしまっていること、バレていないよね……)

おわり

211以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:38:38 ID:cxG0DenQ
………………幕間 『最強の敵』

水希 「それにしても、誰も彼も、お兄ちゃんのことを好きになりますね」

文乃 「ああ、りっちゃんたちのこと?」

水希 「そうです。緒方さんや、この前家に来ていた先輩と先生もです」

水希 「まったく。お兄ちゃんの魅力に気づくのはいいですが、虫みたいにたからないでほしいです」

文乃 「虫って……」

水希 「でも、大丈夫です。お兄ちゃんと私には、とてても心強い味方がいますから」

文乃 「味方?」

水希 「もちろん、武元先輩です!」

文乃 「えっ」

水希 「武元先輩は、いつもお兄ちゃんのことを気にかけてくれて、変化があるとすぐに教えてくれるんです!」

水希 「武元先輩だけは、私の味方なんです!」 キラキラキラキラ……

文乃 「あー……」

文乃 (……ごめん、水希ちゃん。うるかちゃんは多分、最強の敵だよ)

おわり

212以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:39:48 ID:cxG0DenQ
読んでくださった方ありがとうございました。
安価もありがとうございました。
文乃さんと迷われているようだったので余計なお世話とは思いつつ文乃さんも入れてしまいました。

213以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 02:45:27 ID:cxG0DenQ
すみません、もう少しだけお付き合いいただけると助かります。

【ぼく勉】 成幸 「今週末は、>>216>>217する約束なんだ」

文章繋がらなくても適当にタイトルにするので構いません
>>216キャラ名と>>217何かすることをお願いします。
同じ方が二つとも踏んでくれても構わないのですが、
別の方が踏んでくれるとわたしはとても楽しいです。たぶん。
よろしくお願いします。

214以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 14:06:48 ID:WO/bOOK.

美春

215以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 17:42:01 ID:/Jb6XPw.
せんせー

216以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 18:16:44 ID:szoPGfYA

智波ちゃん

217以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 18:22:43 ID:qv24418c
真冬先生

218以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 19:41:45 ID:s9TtTp0U
色々と早すぎてビビるわ?

219以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 20:03:23 ID:7hh4/SuM
おつつつつ

文乃お姉ちゃんだからね、そら妹ともセットになるよ(錯乱)

220以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 21:05:49 ID:0kLsBePI

妹と文系の関係好きよ

221以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/30(木) 22:30:19 ID:WO/bOOK.
サプライズ

222以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/31(金) 12:11:16 ID:dNyovOrg
誰得だよ

223以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/31(金) 22:02:39 ID:M0/tNEls
公式で姉妹してて草
https://i.imgur.com/BR6EOIo.jpg

224以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/01(土) 08:52:21 ID:doYRSdv6
>>223
この妹ちゃんの表情好き

225以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/02(日) 22:55:40 ID:.H2ShQb.
A組ですね…
https://i.imgur.com/JT0YSng.jpg

226以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 00:14:15 ID:Kp9YTYeQ
12巻記念で誰か先生SS書いてくれないかなぁ

227以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/05(水) 01:46:17 ID:1mj172Qg
シエンタ

228以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/06(木) 00:10:26 ID:35cU.sxE
1は小説版読んだのかな

229以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/23(日) 14:20:19 ID:JgZpUIGg
アニメの先輩くっそかわいいじゃん!

230以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/24(月) 00:22:21 ID:9bd34RUc
原作でもかわいいぞ

231以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/27(木) 21:03:17 ID:PuAMbG86
小説版の表紙すき
https://i.imgur.com/tGR3sAa.jpg

232以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/28(金) 17:58:07 ID:J6iebV6k
アニメ2期決定記念ssはよ

233以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/29(土) 20:45:38 ID:dBK094l2
すまん、智波ちゃんて誰や?

234以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/29(土) 22:57:53 ID:WpIDvgmM
>>233
水泳部の短髪の方って言えばいいかな?

235以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/30(日) 03:10:09 ID:Vo0o6zq2
アニメ終わったし再開してほしいな

236以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/05(金) 12:30:29 ID:90wSHPuQ
追いついた支援

237以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/07(日) 12:38:52 ID:hh8gsOaI
七夕ssはよはよ

238以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/11(木) 01:50:36 ID:KqXiYuIo
アニメ2期まであと3ヶ…

239以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/29(月) 01:02:14 ID:IdsuREVE
>>231
いい表情だなぁ…

240以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/01(木) 23:21:40 ID:GfAUGzic
花火大会やBBQといった夏の話書いてほしい

241以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/08(木) 12:29:26 ID:rM9R1Nd2
天の光はすべて星

242以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/13(火) 00:55:30 ID:XKR43jLw
読み返していて思ったが>>1の自己安価タイトル一挙できていいな

243以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/16(金) 04:13:38 ID:zmPo8FRw
前スレにあった面白かったssだけど
ポニーテールは振り向かないが最高でしたわ・・・

244以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/17(土) 13:31:03 ID:jBdNViHc
そういやC96をぼく勉でエントリーしたって言ってたな
やっぱ小説なのかね?

245以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/01(日) 20:07:59 ID:R3mdfaZw
3ヶ月か

246以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/01(日) 23:01:09 ID:rFmw/ZZ6
俺は待ち続けるぞ

247以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/04(水) 22:29:23 ID:x0BKGJhc
>>1です。
もし待っていてくださった方がいらっしゃったらありがとうございます。
申し訳ありませんでした。
とりあえず投下します。
>>213の安価からです。

書いていて楽しかったですが色々とくどいかもしれません。



【ぼく勉】 成幸 「桐須先生の補習に出たら週末に海原が家に来ることになった」

248以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/04(水) 22:30:03 ID:x0BKGJhc
………………一ノ瀬学園

成幸 「ふぁ……ぁあ……」

文乃 「? 成幸くん、すごいあくびだね。昨日夜遅くまで勉強でもしてたの?」

成幸 「あー……」

成幸 「……うん、まぁそんなとこかな」

文乃 「ふふ、仕方ないなぁ。でも次の授業は桐須先生だよ」

文乃 「居眠りなんかしたら大目玉だよ。気をつけてね」

成幸 「わ、わかってるよ。ビビらせるなよ……」

文乃 「ふふふ、ごめんごめん」

文乃 (……まったく。夜更かししちゃうなんて、仕方ないなぁ)

文乃 (もし成幸くんが居眠りしちゃったら、お姉ちゃんが起こしてあげるとしようかな)

文乃 (手のかかる弟だよ、まったく……)


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