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善子「猫の恩返し」

18 ◆XksB4AwhxU:2019/04/24(水) 12:56:54 ID:VmS9V0jI
♢♢♢

「もうこんな時間」

カーテンを締め切った部屋は昼間でも薄暗く、辛うじて差し込む光に照らされた手を見てようやく生を実感する。
あの日、教室での1件以来猫を街中で見かける度に事件がフラッシュバックし、本来いないはずの猫の幻覚さえも見えてしまっていた。

「.......なんで私が」

助けられなかったから?
命が消えたのに嘲笑う人達ではなくどうして自分が恐ろしい目に合うのか.......考えても気怠く重い身体は変わらず、壁にかけられた制服が視界の端に写り目頭が歪む。

「ずらまる.......ルビィ.......」

善子にとって大切な居場所でもある浦の星女学院とAqours。騒がしく何気ない日常だったけれど今となってはその日々を渇望し胸が苦しくなる。
今もきっと心配してるだろうから。

助けて──そう口にすればきっと皆は助けてくれる。でも猫の幻覚に苦しめられてることを信じてくれるのか?
家に引きこもってる間ずっと頭の中で渦を巻き、携帯の画面に表示された「黒澤ルビィ」「国木田花丸」の連絡先に何度も指を伸ばしては諦めていた。

「.......なにか食べよう」

食欲自体は無いけれど、ずっと精神的に不安定な自分を支えてご飯を作り置きしてくれる母親をこれ以上落ち込ませたくない。毎晩猫の夢で泣き叫び、鳴き声の幻聴にパニックを起こす自分を慰めてやつれていった母親を。


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