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善子「猫の恩返し」

16 ◆XksB4AwhxU:2019/04/24(水) 12:54:52 ID:VmS9V0jI
♢♢♢

「善子ちゃん、今日も来ないね」

教室での騒動から10日以上が経ち、1年の教室に刻まれた空席は一向に埋まる気配が無い。
いつも通りな教室に刺した暗い影。

「うん.......ルビィちゃんは連絡は取れた?」

「全然」と元気なく首を横に振り、項垂れた赤い髪から覗く瞳から胸に抱えた痛みが零れ落ちそうなほど潤み、スカートに悔しさで皺が握られた拳の形に巻き込まれる。

「家に行っても会えないもんね.......」

親御さんが帰ってくる時間帯なら──と狙ったものの「ごめんなさい」と美人だった顔は見るも無残にやつれた母親に追い返されてしまう。
きっと善子は無事ではない──嫌でも突きつけられた現実に打つ手がない事実にルビィと花丸の心も少しずつ焦燥感に燃やされ、

「ルビィちゃん。ダイヤさんから聞いたけど最近.......ちゃんと笑ってる?」

いつしか笑顔が消えてることに気づけなかった。
携帯の真っ暗な画面に写るのはアイドルに到底相応しくない顔だった。アイドルは見る人を笑顔にさせる仕事なのに。

「.......ごめんね」

「謝らなくてもいいよ。まるもだから」

あの日、善子には何かが見えていた。
自分達には見えない何かが。
彼女を苦しめ、孤独に追い込んだ元凶。
それはルビィや花丸だけではなく周囲の笑顔さえも奪い去ってしまった。


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