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女「気になる貴方」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/18(木) 22:24:52 ID:fvi4nIJE
女「はぁ、はぁ……」

女「もう、無理」

女「お母さんゴメンね……私、薬を、見つけられ──」




??「大丈──か!?」

女「天国からのお迎え……?」

??「──!」

女(持ち上げられてる……ゴツゴツしてて痛い)

女(あっ、そっちはダメ……薬草が、とれな、い)

175以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:30:10 ID:dOa2X.wE
女母「それは……」

女「お母さん、少しだけ足を見せて」

女母「分かったわ」

女「……母の足を見てください」

町長「はい」

女「足の指先が硬くなり木で覆われて硬くなっています」

町長「変色もしていますね」

女「男さんは体の半分以上を木に侵食されています」

町長「半分以上!?」

女母「……」

町長「なるほど……それを女母さんの病と結び付け、原因は男さんという事になったのか」

女「お母さんを救えるのは男さんだけなんです……どうにかして町の人達を、狩人さんを止めないと!」

女母「女……」

町長「どうにかしてここを抜け出さなくては……ん? なんだか外が騒がしいな……まさか!?」

176以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:30:50 ID:dOa2X.wE
狩人「これは俺特製の矢だ」

狩人「矢じりに固めた油を挟んでいて矢を放っても火が消えることはない」

「なるほど」「これは凄い」「これで化け物を退治するんだ!」

狩人「何人かこの矢を持ってくれ、あまり数はないからよく狙って射て」

「狩人は何を使うんだ?」

狩人「俺はこの銃を持つ、鈍器にもなるしな」

元町長「……」

元町長(木の病を知っている者は皆怯えていた。あの事件をどうしても忘れられないのだろう……しかし、その原因を突き止めた)

元町長(たとえ嘘でも、これが町のためになるのなら、儂はこっちを選ぶ)



狩人「準備は整った! 今から森に入り化け物の住処に向かう、何人かはランタンや松明を持っているが後続は逸れないようしっかり前を見て歩け!」

狩人「行くぞー!」

177以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:32:08 ID:dOa2X.wE
女母「ちょっといいかしら?」

「女母さん?」

「駄目ですよ、しっかり店の中に居ないと」

女母「お茶を淹れたのだけど、二人もどうかしら?」

「えっ、いいんですか!?」

「おいっ、俺らは見張りだぞ!」

「別にいいじゃねぇか、狩人達は森に入ったし少しくらい休憩したってバレないよ」

「でもよぉ……」

女母「駄目……ですか?」

「女母さんもこう言ってるし、な?」

「……はぁ、じゃあ一杯もらいますね」

女母「ふふっ、嬉しいわ。じゃあカウンターに座って待っててくださいね」

「はいっ……やっぱり美人だよなぁ」

「……そうだな」

178以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:33:00 ID:dOa2X.wE
「ここで好感どっ」

「! おいどうしっ、た……」

町長「ふぅ……」

女「す、すごい」

町長「朝飯前ですよ」

女「朝飯前って……な、何かしてたんですか?」

町長「それは秘密」

女母「終わったかしら?」

町長「えぇ」

179以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:33:44 ID:dOa2X.wE
女母「流石ですね。 女、これを持って」

女「っと……これは?」

女母「救急箱ときれいな水が入っているわ」

女「!」

女母「行くんでしょう?」

女「お母さん……」

町長「女母さんの安全を確保したら私も後を追います」

女「町長さん……」



女母「さぁ、行きなさい」

女「……うん!」

180以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:35:09 ID:dOa2X.wE
女「はぁっ、はぁっ……」

女「ど、どうして、狩人さん達は私がいつも使っている道を進んでいるの……?」

女「も、もしかして」

女「私が、誰かに後をつけられて、それで……っ」

女「考えてる場合じゃない」

女「このまま進んだら見つかっちゃう、道を変えて男さんの家を目指さないと」

女「誰よりも速く男さんの所に行かなきゃ……私が、知らせなきゃ……!」

181以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:35:51 ID:dOa2X.wE
男「ふぁ……ようやく終わった」

男「簡単にだけど樹木化含め色んな薬の作り方をまとめたノートがあれば町の人も助かるだろう」

男「あっ、そうだ」

男「忘れない内に女母さんに渡す薬と、女さんに樹木化の症状が現れたとき用の薬、この2つを鞄に詰めておかなくちゃな」

男「後は……」


「男さん!!」


男「わっ!? お、女さん!こんな夜にどうしたんですか!?」

女「はぁっ、はぁっ……んっ、はぁっ……無事でよかった」

男「無事……? と、取り敢えず休みましょうか。お茶を……」

女「ま、待ってください……んくっ、はぁっ……はぁ……」

182以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 00:38:05 ID:dOa2X.wE
男「大丈夫ですか?」

女「はぁ……もう、大丈夫で……!お、男さん、体が!」

男「やっと見てくれましたか。そうなんです……ついに樹木化を治す薬が完成したんですよ!」

女「凄い……本当に凄いです!」




女「じゃない! 男さん、今すぐここから逃げる準備をしてください!」

男「え?」

183以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/08(土) 18:33:20 ID:KqEkZ5y2
早く逃げろ

184以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:29:10 ID:W0tRvgzQ
女「町の人たちがここに向かって来てるんです!」

男「どういう事ですか?」

女「それは……っ」

男「……あっ」

女「……っ」


「「ごめんなさい!」」

「「えっ」」


男「わ、私が森で迷っている人の前に姿を現したせいでここに来ているのでは?」

女「わ、私が誰かに後をつけられて男さんの姿を見られたから……だと思います」

男「うーん……」

女「な、悩んでいる場合じゃないんです! 町の人たちが男さんを退治しようとここに向かっています。早く準備を!」

男「そうですね……少し待っていてくだい」

185以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:29:45 ID:W0tRvgzQ
男「あらかじめ鞄に薬を詰めておいてよかった」

男「あとは実験ノートだ」

男「父さん達はどうするか……」

女「男さん!」

男「どうしました?」

女「家が……囲まれています」

男「!?」


「ここが化け物の住処……」「家の中が明るいってことは……起きてるのか?」「分からない」


狩人「出てこい化け物!」

186以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:30:53 ID:W0tRvgzQ
女「!?」

男「……」

狩人『起きているなら少し話し合おうじゃないか!』

狩人『俺たちは女母を助けるためにここに来た。お前が呪いを解いてくれると信じてここに来た!』

女「呪いだなんて、男さんは何もしてないのに……どうして」

男「しかし、話し合いで解決するなら今から外に出て……」

女「駄目です! あの人たちはここに火を放つと言っていました。何をされるか分かりません!」

狩人『女母へ掛けた呪いを解き、女を解放しろ!』

女「……っ、私がいきます」

男「女さん!?」

187以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:32:00 ID:W0tRvgzQ
女「男さんが外に出たら危険です。私が出て事情を説明し、なんとか町に戻ってもらいます」

男「ですが……」

女「人の体に戻っていると言っても男さんを退治しようとしている事には変わりません」

女「大丈夫、町の人たちは皆優しいですから、きっと信じてくれます……」

男「待って……」

女「行ってきます」

188以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:32:58 ID:W0tRvgzQ
「出てこないですね」「怯えてんじゃないか?」「さっさと出てこい化け物!」

狩人「チッ、出てこないなら火矢の準備をし……ん?」

「お、おい」「ど、どうしてここに……」「町に居るはずじゃないのか!?」

狩人「……」


女「……皆さん聞いてください!」


「女ちゃん、どうしてここに!」「ま、まさか拐われて」「くそっ、化け物め!」

女「私の話を聞いてください」

女「男さん……あなた方が化け物と呼んでいる人は、私や母に何もしていません!」

女「呪いを掛けたり、脅したり……すべて全くの嘘なんです!」

189以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:34:52 ID:W0tRvgzQ
狩人「じゃあお前は何故ここに通っていた? 森は危険だ、脅されでもしない限り一人で来る場所じゃない」

「そ、そうだ」「きっと化け物に言わされているんだ」「卑怯者め……!」

女「男さんは樹木化……木の病の研究をしています。そのお手伝いをするためにここに来ていました」

女「そして薬は完成しました。母の病気は治ります……助かるんです」

「治る……?」「な、何を言っているんだ」
「……っ、あれを見ろ!」

狩人「……ようやく出てきたか」

女「えっ……男さん! どうして出てきたんですか!」



男「皆さん、武器を下ろしてください」

190以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:35:26 ID:W0tRvgzQ
男「私は昨日まで体の半分を木に覆われていました」

男「女母さんの足にあらわれている木の病と同じ病気です。それが更に悪化した結果が木の化け物ような姿でした」

男「樹木化を研究し、諦めた事もありましたが女さんが私を助けてくれたお陰で無事に薬を完成させる事が出来たのです」

「お、おい」

「どうかしたのか?」

「お、男ってもしかして男父さんの子供の名前じゃないか?」

男「はい、男父とは私の父の名前です」

「!?」「男父さんの子供!?」

「男父さんや男母さんはどうしたんだ?」

男「私の家族は……」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:36:43 ID:W0tRvgzQ
狩人「黙れ化け物!」


男・女「「!?」」


「狩人さん銃を下ろしてくれ!」「女ちゃんや男くんに当たったらどうするんだ!」

狩人「お前たちは何を見ているんだ?」

狩人「女は町に居る、見張りをつけた店に閉じ込めているはずだ」

狩人「じゃあ目の前に居る女ちゃんはなんだ? そう、答えは簡単だ」

狩人「"偽物"だ」

女「!」

男「何言って……」

狩人「黙れ、こいつらを惑わせてたとしても俺は違う」

狩人「俺は話し合おうとしていた……しかし、あっちは俺たちを洗脳しようとしていたようだな」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:37:39 ID:W0tRvgzQ
狩人「けどお前たちが化け物に言いくるめられるほど馬鹿な集団だとは思わなかった」

「……っ」「け、けどあれは女ちゃんそっくりで」「しかし女ちゃんは町だ……じゃあ、あの女ちゃんは」

狩人「おい、火矢の準備は出来てるだろう」

「あ、あぁ」

狩人「矢を放て」

「!?」

狩人「どうした? 早くしろ……出来ないのか?」

「ち、違っ……」

狩人「はぁ……どいつもこいつも、貸せ!」

「あっ、待てっ!」「や、やめろ!」「馬鹿、あいつは偽物で……!」

狩人「偽物共々燃えちまえ……!」


女「……っ!」

男「危ない!」

193以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:38:54 ID:W0tRvgzQ
男「扉に矢が刺さっていますね……本当に間一髪でした」

女「男さん、扉に火が……!」

男「燃え広がるのも時間の問題ですかね」

女「ど、どうしましょう」

男「奥の部屋から窓を割って逃げましょう」

女「でも家の裏まで囲まれてたら……」

男「どうすれば……あっ!」


男「女さんは奥の部屋まで移動してて下さい。 私もすぐに向かいます!」

女「ど、どこに行くんですか」

男「大丈夫、すぐ向かいますから」

女「……はいっ!」

194以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:39:35 ID:W0tRvgzQ
女「男さん!」

男「お待たせしました」

女「覗いた感じ裏側には誰も居ないみたいです」

男「じゃあこれは使わなくて済みそうですね」

女「それは?」

男「失敗作の薬です。木になれば女さんが逃げる時間を稼げると思いまして」

女「……っ」

男「けど大丈夫そうなので使いません」

女「……一緒に、生きて逃げるんです。男さんにその薬は使わせません」

男「……はい、一緒に逃げましょう」



男「窓を割ります! 出たら森に向かって全力で走ってください!」

195以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:40:15 ID:W0tRvgzQ
女「誰も居ません」

男「森に入ればなんとかなります。 走りましょう!」

女「はいっ!」

男「離れないように私の手を握ってください」

女「絶対に離しません」

男「えぇ、このまま二人で逃げ切るんです──っ!?」

女「きゃっ!?」

男「がっ、ぐっ……あ、足がっ」



狩人「逃がさないぞ、次は頭を狙う」

196以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:41:23 ID:W0tRvgzQ
男「お、女さん、この鞄を持って逃げるんだ……ぐっ、」

女「はぁっ、はぁっ……あぁ、あ、あぁ……」

狩人「化け物が、いま弾を込めてるからそこ動くなよ……」

男「女さん、早くこれを持って逃げるんだ……これで、この薬で女母さんを助けるんだ!」

女「わ、私は……っ!」

男「何をしてるんだ!? 私の事は置いて逃げろ!」

女「もう、一人で逃げないって決めたんです……男さんを助けるって、そう心に決めたんです!」

男「しかし!」

197以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 01:42:28 ID:W0tRvgzQ
狩人「逃がすか……!」

「やめろ!」

狩人「邪魔をするなっ!」

「ぐっ……銃を、おろ、せ」

狩人「お前もあの化け物に洗脳されたか?」

「違う……町から報告が入った。あの女ちゃんは本物だ!」

狩人「……」

「だから狙う必要なんてない! 銃をおろしてっ──がはっ」

狩人「化け物の言葉を信じ洗脳された奴の言葉なんぞ信じるものか」

狩人「チッ、見失ったか。しかし流れた血は隠せない……すぐに追い付いて殺してやる」

198以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 05:44:53 ID:.8HB5LQg
狩人は動物の餌になれ

199以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:20:24 ID:xyDWBf6Q
女「こ、ここは……」

男「花畑に、出ましたね……っ」

女「足は大丈夫ですか?」

男「な、なんとか……」

女「も、もう少しだけ頑張って、狩人さんが私たちを見失うまでは……きゃっ!」

男「うぐっ」

女「はぁっ、はぁっ……ごめんなさい、何もない所で……」

男「転んじゃいましたね……やっぱり、私を置いて逃げたほうが……」

女「嫌です……私は、男さんを助けるって決めたんです……だからっ!」



「追い詰めたぞ……!」

200以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:21:46 ID:xyDWBf6Q
女「……っ!」

狩人「ようやく追い詰めたぞ……さぁ、女母さんに掛けた呪いを解いてもらおうか」

男「樹木化は、呪いなんかじゃない……原因不明の病気だ」

狩人「……」

男「しかし鞄に入っている薬を使えば治すことが──がっ!」

女「男さん!?」

狩人「チッ、足か……まぁいい」

女「狩人さんやめて! どうしてこんな事をするんですか……男さんは何もやってないのに!」

狩人「邪魔だ!」

女「きゃっ!?」

男「お、女さ……ぐっ」

201以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:23:30 ID:xyDWBf6Q
狩人「俺は町の奴らと違ってまともでな……お前の洗脳なんか効かないんだ」

男「洗脳なんかして……ない」

狩人「まぁ、最後にもう一度聞いてやる……女母に掛けた呪いを解け」

男「私は何もしていない!」

狩人「そうか、残念だ」

女「か、かはっ……ぐっ、お、男さんの言っていることは……本当です!」

狩人「……」

女「な、なに……っ」

狩人「おい偽物、お前うるさいぞ」


狩人「いい加減黙れ」


男「女さん、に、逃げて……っ、足が……」

202以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:25:00 ID:xyDWBf6Q
女「ひっ……!」

狩人「じゃあな、偽物……っ!」

男「女さんに、近付くな……!」

女「男さん!」

狩人「どいつもこいつも俺の邪魔ばかりしやがって……離せ化け物!」

女(男さんの手から何か落ちて……あれは!)

狩人「離れろ! くそっ、オラァッ!」

男「ぐっ……!」

女「いや……いやっ、だめ、やめて……」

狩人「っ! な、何を……化け物、何をしている──がはっ!」

男「──っ!」

203以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:26:03 ID:xyDWBf6Q
狩人「ぐふっ……なんだ、これ」

男「……っ、はぁっ、はぁっ」

狩人「これは……枝か?」

狩人「俺の体から枝が、出てるのか……がはっ」

女「あ、あぁ……あぁ……!」

狩人「けどな、俺はこれくらいで……体が穴だらけになったくらいで死ぬような男じゃあ、ない……んだっ」

男「はぁっ、はぁっ」

狩人「俺は、化け物を殺して……崇められて、それで……っ」

狩人「それで、それ、で……」

狩人「」

204以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:26:59 ID:xyDWBf6Q
男「い、いま、体から生えた枝を、ぐっ、折りますね……」

女「お、とこさん……」

男「……っ、ふ、ふぅ」

狩人「」

男「あ、あはは……狩人さんに組み付いたまま木に戻って拘束しようと、女さんが逃げる時間を稼ごうと思っていたのですが……これは、誤算でした」

女「血が、血が……!」

男「……それ以上、私に近付かないでください」

女「……あ、えっ」

男「飛び出した木が女さんに刺さったら……危険です、から」

女「……っ、もう喋らないで! きゅ、救急箱、救急箱は……!」

205以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:28:04 ID:xyDWBf6Q
男「私は、もう駄目みたいです」

女「そんな、そんなことない……っ」

男「体が穴だらけですから……ははっ」

女「どうして、笑ってるんですか……どうして」

男「最後に、伝えたい事がありまして」

女「最後なんかじゃ……今からでもまだ間に合うはずです!」

男「私は、女さんに出会えて……とても幸せでした」

女「いやっ、聞きたくないです! もう喋らないで……最後だなんて言わないで!」

男「私は……おんな、さ……愛してい──」

女「ぁ……」

男「」

女「あぁ……ぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁ!」

女「嫌、イヤ……いやぁぁぁぁぁ!」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:29:13 ID:xyDWBf6Q
女「お願い、目を開けて……お願い……っ」

女「か、体に触れただけで木が、飛び出して……」


「女ちゃーん! どこだー!」


女「町長さんの声……」

女「ぁ……男さんから貰ったブローチが落ちて……」

女「! 鉱石がある洞窟の最奥、あの魔法が掛かった湖」


「女ちゃーん! 無事なら返事をしてくれー!」


女「町長さん……お母さん、ごめんなさい」

207以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:29:47 ID:xyDWBf6Q
女「ぐっ、男さんに触れただけで枝が飛び出して……でも!」

女「男さんに比べればこんな痛み……!」

女「洞窟まで、男さんを連れていくんだ……っ!」

女「今度は私が、男さんを助けなきゃいけないんだ」

女「痛い、痛いけど湖に行けば……きっと」

女「待っててください……必ず、助けます」

208以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:31:18 ID:xyDWBf6Q
町長「こ、こんなところに花畑があったのか……ん?」

「どうかしましたか?」

町長「あれは……誰か倒れている!」

「なんだって!?」「誰か居たぞー!」「おいっ、人を呼んでこい!」

町長「大丈夫か!?」

町長「ここでなにが……っ」

「狩人さん……か?」「周りが血だらけだ」「身体中に穴が……」

町長「辺りを調べるんだ! 女ちゃんや男くんがまだ近くに居るかもしれない!」

「町長、これが近くに落ちてました」

町長「この瓶は……例の薬か?」

「恐らく、あとはノートと手紙が散らばっていました」

町長「手紙は……女母さん宛か、これは男くんの持ち物で間違いないだろう」

「私はこのまま辺りを調べてみます」

町長「ありがとう、任せた」

町長「二人はどこに行ったんだ……」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:33:15 ID:xyDWBf6Q
女「あ、あと、少し……で、湖に」

男「」

女「あぐっ……ダメ、意識が朦朧として……」

女「けど、ここを通れば……湖に」

女「はぁっ、はぁっ……やっと、着いた」

女「後は、水を汲んで男さんに……駄目だ」

女「もっと近くに、行かなきゃ……もっと、もっと」

女「湖の近くに……あっ、駄目、落ちっ──わぷっ」


女(あぁ、男さんが離れちゃう……)

女(いや、いかないで……)

女(男さん──)

210以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:34:14 ID:xyDWBf6Q
─────
───


211以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:34:48 ID:xyDWBf6Q
女母「よいしょっと」

「今日も森に入るんですか?」

女母「どうしても諦めたくないの」

「そうか……あっ、これ持っていってくれ」

女母「これは?」

「新しいランタンの燃料だそうだ」

女母「ふふっ、ありがとう」

「俺も諦められないからな……何か欲しいものがあったら言ってくれ」

女母「えぇ、そうするわ」

212以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:36:16 ID:xyDWBf6Q
女母「あれから1ヶ月……」

女母「女、どこに行ったの?」

女母「とりあえず今日はこの花畑からこっち方面に進んで……ん?」

女母「この石、何か書いてあるわね……」


「家で──ます」


女母「これは……!」

─────
───


女母「はぁっ、はぁっ、家……ってことは、ここかしら?」

女母「男さんの燃えてしまった家……!」

女母「女、そこに居るのよね……!」

213以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:36:51 ID:xyDWBf6Q
「もう日が暮れちゃいますね」

「帰りますか?」

「今日はもうちょっとだけここにいませんか?」

「いいですよ」

「あっ、でも帰りたかったら一人で帰ってもいいですよ?」

「離れられないんですから無茶言わないでください」

「ふふっ、ごめんなさい」

「まったく女さんは……あっ、んぐっ」

「んっ……ぷはっ」

「……これ止めませんか?」

「女って呼んでくれないのが悪いんです」

214以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:37:27 ID:xyDWBf6Q
男「……誰も来ませんね」

女「誰も来なかったら、私たちはこのまま手を繋いだまま過ごす事になるんですよね……?」

男「そうですね……薬を作ろうにも家の物は燃えて使い物になりませんし、例のノートも何処にあるか分かりません」

女「私は、最近このままでもいいかなと思い始めましたよ?」

男「体の右半分が木ですけど……いいんですか?」

女「男さんだって体の左半分が木じゃないですか」

男「けど、手を繋いだまま離れないのは……その、困りませんか?」

女「な、慣れましたから……」

男「私は慣れません」

215以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:38:02 ID:xyDWBf6Q
女「けど、本当に誰も来ないのなら……それはそれでいいと思っています」

男「……」

女「男さんと二人で、手を繋いだまま過ごすのもいいかなって……」

男「女さん……」

女「また、さん付けしましたね」

男「あっ……」

女「じゃあ抱き締めてください」

男「……はい」

女「私は今のままでも幸せですから……ね」

216以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:38:36 ID:xyDWBf6Q
女「……!」

男「この声は……女母さん?」

女「来てくれたんだ!」

男「行きますか」

女「……」

男「?」

女「この姿を町の人たちに見せたら……私たちはどうなるんでしょう」

男「女さん……」

女「あの時みたいに、私たちの言葉を信じてもらえなかったら……どうすればいいんでしょうか」

男「……」

女「ごめんなさい……でも、怖くて」

217以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:39:11 ID:xyDWBf6Q
男「じゃあ、その時は私と一緒に森で暮らしましょう」

女「……!」

男「女母さんに協力してもらって少しずつ研究室を整えてですね、ゆっくり時間を掛けて薬を作りましょう」

男「畑を作って、狩りをして、美味しいご飯を作るんです」

女「男さん……」

男「何があっても隣に居ますから」

女「……っ、本当に、傍に居てくれるんですか?」

男「はい、ずっと傍に居ます」

218以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:40:00 ID:xyDWBf6Q
「お願い、居るなら返事をして!」


男「ほら、女母さんが呼んでいますよ」

女「……男さん」

男「?」

女「大好きです」

男「……私もです」

女「ふふっ」



「お母さーん!」

219以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 00:55:34 ID:xyDWBf6Q
おしり

220以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 01:02:27 ID:xyDWBf6Q
酷い作品でしたが読んでいただき有り難うございました。

パッと思い付いた内容だったのですが、ろくに書き溜めしないままスレを立ててしまったため中盤〜後半とても大変で辛かったです。

男と女は手を繋いだままどうやって1ヶ月過ごしたのか、女母と一緒に町に向かった話、その後の話など書きたかったのですが書けない気がしたので終わらせる事にしました。

221以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 01:03:51 ID:xyDWBf6Q
またどこかで

222以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 01:23:33 ID:/DoPTjHU
おつ

223以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 22:39:22 ID:HTZH6GUs
乙だ

224以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/12(水) 15:13:57 ID:vyi2jz2s
乙乙


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