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善子「影廊」ルビィ「夕暮れの迷宮から脱出」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/05(金) 10:40:05 ID:9xbPbDTk
ラブライブ!SS
これはホラーゲーム「影廊 -Shadow Corridor-」のパロディSSです。
ゲームは有料版と無料版があります。
リンクは貼りません。興味のある方は各自で検索してください。
ゲームに関する過度なネタバレはなるべく避けるようにします。
それでもネタバレが気になる場合はお戻りください。
また、SS内では設定の一部改変があります。
この物語はフィクションです。
426
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:46:52 ID:gdc9acus
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
Kの体は光だし、異形の化け物へと姿を変えた!!
そこにあったその姿は、能面をつけ、その下に大きな口を開く、宙へと浮かぶ巨大な化け物であった。
その異形は謎の少女に飛びかかる!!
少女は光に包まれ、どこかへと消え去った。
どうやら回避したようだ。
化け物となったKはクリスタルへと向かって飛んでいく!!
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
パリィィィィィィイイイイイインンンンンン!!!!!!
Kはクリスタルへと体当たりし、クリスタルを破壊する!!
427
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:47:23 ID:gdc9acus
善子「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ルビィ「ぴぎぃぃぃぃぃぃ!!!!」
その衝撃で地面は崩壊し、私たちは滝の下へと落ちていった……
────
──
428
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:10:24 ID:gdc9acus
私とルビィは水の中へと落ちた……
善子「はあッ……はあッ……ルビィ! 大丈夫!?」
ルビィ「うゆ……!!」
水から上がる……私もルビィも怪我はしていない……
ルビィ「ここは……」
善子「水路……かしら?」
この道には水が張り巡らされている……
しかし……
善子「……!?」
善子「ルビィ!! 上から来るわよ!! 気をつけて!!」
上からは異形の怪物と化した Kが降ってきていた!!
水路に落ち、バシャァァァァンンンン と水しぶきを立てる!!
429
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:11:29 ID:gdc9acus
善子「K!!」
ルビィ「Kしゃん!!」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
自我を失っているのだろうか。
化け物となったKは叫び声をあげながら、私たちのほうに迫ってくる!!
ルビィ「ピギィ!? Kしゃんが!! ルビィたちを守ってくれたKしゃんが!!」
善子「逃げるわよルビィ!! このままだと危険だわ!! 走って!!」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
叫び声をあげながら迫ってくるK……
私たちは水をバシャバシャとかき分けながら走る!!
430
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:12:03 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎぃぃ!! 走りにくいよ!!」
善子「走るのよルビィ!!」
ルビィ「Kしゃん!! Kしゃん、しっかりして!!」
善子「K!! 私たちのことが分からないの!?」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「ダメよルビィ!! なんとかして逃げ切るのよ!!」
ルビィ「ふええええええんんんん!!!!」
目の前を見ると水門があった。
巨大な木の板が上から落下して、水を止める仕掛けになっているようだ。
431
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:12:34 ID:gdc9acus
善子「あの水門まで逃げるわよルビィ!!」
善子「あの下にレバーがあるわ!! きっと水門のスイッチよ!!」
善子「あれを使って通せんぼするわ!!」
ルビィ「うゆ!! わかったよ!!」
私たちはなんとか水門の内側に逃げ込んだ!
善子「ルビィ!! レバーを引いて!!」
ルビィ「うゆ!!」
巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!!
善子「これでこっちまで追って来られないはずよ!」
ルビィ「はあッ……はあッ……助かったの……?」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
432
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:13:04 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
次の瞬間、凄まじい音が鳴り響く!
どうやら化け物となったKが水門を破壊しようと体当たりしているみたいだ!
善子「ちょ、ちょっと……嘘でしょ……? まさか、壊れたりしないわよね……?」
ルビィ「うゆ……」
433
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:14:20 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
水門は木っ端みじんになってしまう!!
そしてKはその巨大な体でこちらに迫ってくる!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 突き破ってきたぁぁ!!」
善子「逃げるわよルビィ!! 水路の奥へ!!」
私とルビィは走って奥へと逃げ込む。
434
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:14:57 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「あった!! 水門よ!! 逃げ込みましょう!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! それで足止めするしか方法ないよね!?」
私は水門のレバーを引く!
巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!
ルビィ「はあッ……はあッ……でも突き破ってくるよね!?」
善子「ええ、ちょっとの間しか足止めできないわ」
善子「でもね、足止めしてるこの時間に、次にどうするか考えるのよ」
ルビィ「ピギィ!? 追いかけられてるんだよ!! 考えてられないよ!!」
善子「次の水門まで走って!! 考えるわよ!!」
435
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:15:41 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
水門は木っ端みじんになる!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 無理だよぉぉ!!」
善子「あきらめないでルビィ!!」
善子「ッ!? 見て!! あそこに鏡があるわ!!」
ルビィ「え!! 本当だ!! 台の上に鏡が置いてある!!」
善子「あの鏡に触れるわよ!!」
436
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:16:11 ID:gdc9acus
鏡に近づいたその時だった……
シャン……
ふふふっ……ふふふ……
鈴の音と少女の笑い声が聞こえる……
次の瞬間、鏡は消えてしまった……
それどころか行き止まりだったはずの場所が道に変わっていた。
善子「なんでよ!!」
ルビィ「もしかしてあの女の子が地形を操っているの!?」
善子「そうかもしれないわね!! だとするとまずいわ!! どこに逃げても無駄かもしれないわ」
ルビィ「ピギィ!? 無理だよそんなの!!」
善子「それでも逃げるのよ!!」
私とルビィは必死になって走る……
437
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:16:42 ID:gdc9acus
善子「次の水門……あった!! ってもう板が降りてるじゃない!!」
ルビィ「善子ちゃん!! このレバー引くよ!!」
水門の水を止める板はゆっくりと上にあがっていく……
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「はやく……追いつかれてしまうわ!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうすぐそこにいるよ!!」
善子「お願い!! はやくして!!」
ルビィ「ぴぎぃぃぃぃ……」
善子「くぐって!! 反対側にレバーがあるわ!!」
ルビィ「うゆ!!」
438
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:18:48 ID:gdc9acus
私とルビィは水門の内側に入り、再びレバーを引く。
巨大な板は再び下に落ち、道を塞いだ。
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
善子「まだ来るわね……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
善子「走るわよルビィ!!」
ルビィ「うゆぅ!!」
439
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:19:32 ID:gdc9acus
私たちが走っていると鈴の音とあの少女の笑い声が聞こえた。
シャン……
ふふふっ……ふふふ……
地形が反転している!!
善子「こうなったってことはまさか……」
ルビィ「ぴぎぃ!! Kしゃんが正面が来るよ!!」
善子「嘘でしょ!?」
後ろにいたはずのKが私たち2人の正面から迫ってくる!!
440
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:20:15 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
ふふふっ……ふふふ……
善子「ふふふ、じゃないわよ!!」
私とルビィは急いで引き返して逃げる!
善子「走ってルビィ!!」
ルビィ「ぴぎぃ!! 善子ちゃん!! こっちは真っ暗だよ!!」
善子「嘘でしょ!? 真っ暗だと水門の位置もレバーの場所も分からないわ!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうダメぇぇぇぇ!!!!」
441
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:20:48 ID:gdc9acus
シャリン……
ルビィ「あ、あの猫しゃんの鈴の音……」
善子「猫の鈴の音……?」
見ると、光の球が 道の真ん中にふわふわと浮かんでいた。
その光はまるで道案内でもしているかのように次の水門の場所まで移動し、明るくレバーを照らしていた。
シャラララランキラリラリン……
442
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:21:56 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん、あれはなんだろう? 猫しゃんの鈴の音がしたけど」
善子「分からないわ! でもついていくしかないわ!」
ルビィ「うゆ、信じるよ! 猫しゃん!!」
シャラララランキラリラリン……
私たちはその光の球についていくことにした。
照らされたレバーを引き、水門を閉じる。
443
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:22:31 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
水門を破壊しながら、凄まじい勢いで Kはこちらに迫っている!!
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
444
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:23:02 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「何がなんでもあの光についていくのよ!」
ルビィ「うゆ!!」
光についていくと鏡があった!
善子「あそこよ!! ようやく逃げ切れるわ!!」
ルビィ「今度こそだね!」
シャン……
ふふふっ……
またあの少女のしわざだろうか……鏡は消え去ってしまう。
善子「だから、ふふふ、じゃないわよ!」
ルビィ「ピギィ!! まだ逃げるの!?」
私たちは奥へと向かって走っていく……
445
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:23:33 ID:gdc9acus
ルビィ「!? 善子ちゃん!! 前が!!」
善子「!? 滝!?」
なんと目の前は滝になっていた。
これ以上、先へと逃げることはできない。
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
後ろから Kが迫ってきている!
ルビィ「もう逃げられないよ!!」
善子「まだよ!! まだあきらめないで!!」
善子(そうは言っても、もう逃げ切れないわ……今度こそおしまいかもしれない……そんな……)
446
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:24:05 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
シャラララランキラリラリン……
光の球は、迫ってくるKに向かって飛んでいき、強い光を放つ!
Kは怯んでよろよろと壁に激突する!!
ルビィ「やったの……?」
善子「ルビィ!! 気をつけて!!」
Kが壁に激突した衝撃で天井が崩れ落ちてきていた!
このままだと私たちは崩落した天井の下敷きになってしまう!!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
善子「くっ!!!!」
447
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:25:24 ID:gdc9acus
すると、Kは私たちに覆い被さった……
ガラガラガッシャーン!!
────
──
そこには身を呈して私たちを守るKの姿があった……
善子「K……私たちを助けてくれたの……?」
ルビィ「Kしゃん……」
448
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:25:56 ID:gdc9acus
Kは苦しそうに話し出す。
K「あんたたち……無事かしら……」
善子「あなたが守ってくれたから2人とも怪我ひとつしてないわ」
ルビィ「Kしゃん……」
K「あんたたちを○そうだなんて……ごめんなさいね……」
ルビィ「Kしゃん……どうしてそこまでしてルビィたちを助けてくれるの……?」
K「そうね……あなたたち、スクールアイドルでしょ……? 見れば分かるわ」
ルビィ「えっ……ルビィたちはたしかにスクールアイドルだよ……」
K「やっぱりね……そんな気がしていたのよ……」
K「私もね……スクールアイドルなのよ……」
ルビィ「えっ……」
449
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:26:28 ID:gdc9acus
K「少し長い話になるわ……私はここに迷い込んだ時、病気でね……先が長くなかったの……」
K「それでも、向こうの世界に置いてきたみんなとまた一緒に、歌いたい、踊りたい、その一心で出口を探したの……」
善子「……」
K「そして、あの女の子と出会ったわ……」
K「彼女は永遠の命をくれると言った」
K「私は永遠の命などいらなかったけれど、もう一度みんなに会いたいと、藁にもすがる思いでこの面を被ったのよ」
ルビィ「Kしゃん……」
K「だけどね、その代償は大きかったわ……」
K「面を被った瞬間、とてつもなく大きな力が体の奥から湧いてきて、意識をぐちゃぐちゃにかきまわされた」
K「そして気がついたら……まわりのありとあらゆるものを破壊していたわ……」
K「それから私は、たった一人で機会をうかがっていたの……」
K「湧き上がる力を押さえつけながら……自我を失って、もしかしたら誰かを傷つけるのではないかと怯えていたの……」
K「でも、やっと……あの子に一矢報いてやることができたわ……あなたたちのおかげよ……」
450
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:27:21 ID:gdc9acus
善子「同じスクールアイドルだから……私たちを助けてくれたの……?」
K「違うわ……でもね、あなたたちに向こうの世界においてきたみんなの面影を見たの……」
K「スクールアイドルの先輩として、後輩の盾となるのは当然よ……若い芽は摘ませない……」
K「きっと、あなたたちの先輩も、私と同じことを言うわ……」
K「私は……あなたたちが歩む未来を信じる……」
K「あなたたちは……これからの未来を切り開いていく……希望の光なんだから……」
ルビィ「Kしゃん……」
451
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:27:54 ID:gdc9acus
K「そろそろ限界みたいね……今度自我を失えば、もう二度と自分を取り戻すことは出来ないでしょうね……」
K「あなたたちに会えてよかった……この面も悪いことばかりじゃなかったわね……」
K「絶対に生きてこの世界から出なさい……もう一度、みんなの元に戻るのよ……」
善子「K……」
ルビィ「Kしゃん……」
K「どんな困難が訪れようと、希望を捨てないで……」
K「次は……助けてあげられないから、ね……」
そう言い残すと Kは滝の底へと落ちていった……
────
──
452
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:28:30 ID:gdc9acus
ルビィ「……Kしゃん」グスン
善子「K……」
ルビィ「どうしたらいいの……どうしたらルビィたちは……Kしゃんの分まで……」
善子「ルビィ……生きてここから出ましょう……そしてKが出来なかった分まで、ちゃんとスクールアイドルをやるのよ……」
善子「それが、私たちの未来を信じてくれた Kに対して、私たちができる精一杯のことよ……」
ルビィ「……うん」
私とルビィは先に進むために道を探した……
どうやらすぐ近くに別の場所へと続く廊下があるようだ……
私たちはそこへ向かって歩き出した……
453
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:29:00 ID:gdc9acus
廊下を歩いていくと台の上にあの黒猫がいた……
口には鍵をくわえている。
ルビィ「猫しゃん……」
善子「……鍵を持ってるわね」
シャリン……
猫は鍵を置くと、どこかへと行ってしまった……
ルビィ「……」
善子「ルビィ、あの猫についていくわよ」
ルビィ「うゆ……」
454
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:29:51 ID:gdc9acus
猫についていくと船着き場のような場所に到着した。
善子「奥に扉があるわね……鍵がかかってるわ」ガチャガチャ
ルビィ「猫しゃんからもらった鍵で開けよう」
善子「そうね」カチャ
善子「鬼の面の祭壇……大勾玉ね……これで4つ」
ルビィ「大勾玉ってなんだろうね」
善子「分からないわ……あら? 猫ちゃんは?」
黒猫はとまっている舟の先頭……船首に乗るとそこに座った。
善子「舟に乗れってことかしら……」
ルビィ「うゆ……乗ろう善子ちゃん」
善子「ええ……」
私たちは舟に乗る。
すると誰も動かしていないのに舟はひとりでに動きはじめた……
455
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:31:12 ID:gdc9acus
ルビィ「舟はどこまで行くのかな……」
善子「分からないわね……またどこかへ誘導しているのかもしれないわね」
舟は大きな赤い鳥居をくぐり、地下の湖をゆったりと静かに進んでいく……
湖には灯籠も浮かんでいる……
善子「ちょっと疲れが……」
────
──
456
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:31:46 ID:gdc9acus
少しうたた寝していたのかもしれない……
気がつくと舟は地下の湖のどこかを進んでいた。
善子「寝てたのかしら……あ、ルビィ」
ルビィは私の肩に寄りかかって眠っていた……
善子「ルビィもだいぶ疲れているみたいね……少し休ませてあげましょう……」
静かな時間が流れる……
────
──
457
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:32:22 ID:gdc9acus
Kは命が尽きるまで、何度も私たちを守ってくれた
彼女に応えるためにも、私たちは絶対に元の世界に帰らなければならない
状況は悪くなる一方だが
そう決意すると勇気が湧いてきた
船は自分の行くべき場所を知っていたかのように
ひとりでに船着き場に流れ着き
いつの間にか猫は姿を消していた
そこには、今までとは明らかに違う異様な雰囲気が漂っていた……
458
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 13:00:41 ID:81ywHGMk
一区切りだね
乙乙
最後まで…頼むよ
459
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 13:06:53 ID:lJW7hKng
ラブライブ!板から来ました
続き期待
460
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 20:09:39 ID:lM13Cpa6
期待
461
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:06:59 ID:0q8CGXTE
─???─
善子「ルビィ、起きて」
ルビィ「うゆ……」
善子「着いたわよ」
ルビィ「うゆ? ……ここは?」
善子「分からないわ……船着き場に着いたみたい……それと……」
善子「……また回廊への入り口があるわ」
ルビィ「ぴぎぃ!?」
善子「しかも前の回廊より異様な雰囲気よ……なんていうか……不気味だわ」
ルビィ「うゆ…………あれ? 猫しゃんは?」
善子「分からないわ……船着き場に着いたらどこかに行っちゃったみたい……」
462
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:07:49 ID:0q8CGXTE
善子「今度の回廊も気を引き締めていくわよ、ルビィ」
ルビィ「うゆ……」
私たちは回廊へと入っていく……
ピチャ……ピチャ……
善子「中は……気味が悪いわね……歩くと水の音がピチャピチャと鳴るわね」
ルビィ「うう……ここ怖いよ……」
善子「ええ、不気味さは前の回廊の比ではないわ……」
463
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:08:19 ID:0q8CGXTE
善子「え……これって……」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「下の階がある……この回廊、上の階と下の階に分かれて複雑な構造になっているわ」
ルビィ「え……ということは……」
善子「今まで以上にきびしい探索になりそうね」
ルビィ「うゆ……」
善子「やることは同じはずよ……勾玉を5つ集めて祭壇に納める……」
ルビィ「うん……でも前の回廊よりも難しいよね……」
善子「……」
464
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:09:07 ID:0q8CGXTE
ルビィ「上と下、どっちに行くの?」
善子「下を見てみましょう……」
下の階を見るために階段を降りる……
善子「下の階には水が張っているわ……おそらく腰まで浸かるくらいの深さ……」
善子「これは歩くのも大変だわ……水が張っていて速く走れないから、下の階で徘徊者に襲われればまず逃げ切れないでしょうね……」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「しかも奥まで複雑に回廊が続いている……ここを長時間探索するのは得策ではないわ……」
ルビィ「うゆ……」
善子「念のため水が張っていない上の階から調べていきましょう」
ルビィ「そうだね、そのほうが安全だよね」
私とルビィは上の階から調べることにした。
465
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:09:38 ID:0q8CGXTE
善子「とはいえ……上の階も複雑な構造をしているわね……」
ルビィ「うゆ……」
善子「タンスや棚を調べていきましょう」
善子「こっちには……カメラ、爆竹……」
ルビィ「こっちも調べるよ……ひかり石、それから……」
善子「鍵を見つけたわ」
ルビィ「うゆ、鍵があれば勾玉が取れるね」
善子「ええ、あと手鏡とかがあれば欲しいわね」
466
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:10:50 ID:0q8CGXTE
善子「こっちにはレバーがあるわ」
ルビィ「うゆ……何のレバーだろう?」
善子「引いてみるわね」ガチャ
ザッパァァァァァンンンン
その瞬間、下で水の音が鳴った。
どうやら水門の板が下に落ちた音のようだ。
善子「これでここが通れるようになるけど、下は通れなくなったわけね」
ルビィ「ということは……下を通りたい場合、上のレバーを引かなきゃいけないから……」
善子「かなり複雑な構造の上に、この仕掛けはきびしいわね」
善子「これまで以上に気を引き締めていくわよ」
ルビィ「うゆ……」
467
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:11:38 ID:0q8CGXTE
善子「それからこっちを通って……」
善子「えっ?」
ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」
善子「……もう1つ上の階がある」
ルビィ「え……」
善子「嘘でしょ……ここに来て複雑になりすぎじゃない……?」
ルビィ「うゆぅ……」
468
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:12:21 ID:0q8CGXTE
善子「しかも見て……階段が……」
ルビィ「うゆ? 階段……?」
善子「例えばあそこの階に上るにはあっちからまわっていって……階段を上ったあとそっちにある階段を……」
ルビィ「ええ……これじゃあどこにいるか分からなくなっちゃうよ」
善子「そうね、どっちに進んでいるのかも分からないわね……」
ルビィ「でもコンパスがあれば大丈夫でしょ?」
善子「そうだけど……あっちに行くには……」
そこまで言いかけて気がついた。
廊下の奥から何かが来ている!
469
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:12:53 ID:0q8CGXTE
善子「ルビィ、隠れるわよ……何かいる!」
ルビィ「うゆ!」
私とルビィは障子を閉めて小部屋に隠れた。
外の様子はところどころ破れた障子や格子窓から見える。
善子「何かしら? あれ……」
見ると、人の顔をした霊魂のようなものが浮遊している。
何かぶつぶつと囁いているのも聞こえてくる。
470
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:13:41 ID:0q8CGXTE
善子「徘徊者かしら? でも能面を被っていないし……燭台のろうそくの反応もない……」
善子「でもここに隠れていれば大丈夫なはず……ルビィ、コンパスで方向を確認しましょう」
ルビィ「善子ちゃん、それが……」
善子「……どうしたの?」
ルビィ「コンパスの針がくるくるまわってて、祭壇がどっちなのか分からないよ」
善子「嘘でしょ……?」
そうしている間にも霊魂のような何かは浮遊しながら私たちの横を通っていった。
471
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:14:33 ID:0q8CGXTE
善子「とにかくアレに見つからずに済んだわ」
善子「もし見つかればどうなるか分からないもの」
ルビィ「うゆ……あれ?」
善子「どうしたのルビィ?」
ルビィ「あのお化けしゃんが通りすぎた後、コンパスのくるくるが止まったよ」
善子「え? ということは祭壇の方角を指しているのね」
ルビィ「うゆ」
善子「……なるほど、あのお化けが近くにいるとコンパスが狂ってしまうというわけね」
ルビィ「お化けしゃんが近くにいるとコンパスがおかしくなる……」
善子「ええ、いつ使い物にならなくなるか分からないからこまめに確認しましょう」
ルビィ「うゆ……」
私たちは先を進んでいく……
472
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:15:16 ID:0q8CGXTE
グスン……グスン……
善子「どこかに泣き声の主がいるわね……」
ルビィ「うゆ、下の階にいるみたいだね」
善子「勾玉があるってことね」
ルビィ「上と真ん中と下があるからどこに徘徊者しゃんがいるか分かりにくいね」
善子「階段があるわ、これで下に降りて勾玉を取りにいきましょう」
ルビィ「うゆ」
グスン……グスン……
善子「いたわ、勾玉が置かれた台の横にいる……爆竹で誘導して勾玉を取るわよ」
ルビィ「隠れられそうな場所は……」
善子「このあたりはなさそうね、もし襲われたらそっちに逃げましょう」
473
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:15:54 ID:0q8CGXTE
善子「爆竹を……えいっ」ヒョイ
……
パチパチパチパチパチ……
グスン……グスン……
善子「移動し始めたわ、誘導できているうちに慎重に勾玉を取るわよ」
ルビィ「うゆ」
私たちは台の上から勾玉を取ると、その場から立ち去った。
474
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:17:03 ID:0q8CGXTE
善子「なんとか1個目ゲットね」
ルビィ「うゆ、頑張ろう善子ちゃん」
善子「ええ、脱出するわよルビィ」
ドコニイルノ……
善子「待って、歩いてる泣き声の主もいるわ」
ルビィ「うゆ……」
善子「離れるまで慎重に移動するわよ」
ドコ……ドコニイルノ…………ドコニイルノ……
私とルビィは静かに移動する。
475
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:17:44 ID:0q8CGXTE
善子「ふう、これで大丈夫ね。 びっくりしたわ……」
ルビィ「うゆ……これだけ離れれば大丈夫だね」
そのときだった……
リーン……
どこからか鐘の音が聞こえてくる。
ルビィ「ぴぎぃ!? 何の音!?」
善子「落ち着いてルビィ……新しい徘徊者かしら……」
ルビィ「怖いよ善子ちゃん……」
鐘の音……それともただどこかで音がしただけ……?
善子「とにかくここから離れるわよ」
ルビィ「うん」
476
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:18:31 ID:0q8CGXTE
善子「ここまで来れば大丈夫かしら」
ルビィ「ねえ善子ちゃん」
善子「どうしたの?」
ルビィ「向こうから水たまりがすごいスピードで近づいてくるよ?」
善子「どういうこと?」
ピチャピチャ……
善子「本当ね……水たまりがこっちに来てる……そして私たちの足元で止まった」
チャポポポポポ……
ルビィ「水たまりの中からお年寄りの人が出てきたよ……」
善子「本当ね……じゃないわよ! 徘徊者じゃない!?」
ルビィ「ピギィ!?」
なんと水たまりの中から提灯と鐘を持つ老人の姿をした徘徊者が出てきた!
他の徘徊者と同様に顔には能面をつけている。
477
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:19:35 ID:0q8CGXTE
善子「逃げるわよルビィ! 完全に姿を現す前に!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちはその場から離れる!
善子「かなり距離を離したわ、これでなんとか……」
リンリンリンリン!!
ルビィ「見つかっちゃったよ!!」
老人の姿をした徘徊者は鐘を鳴らしながらゆっくりとこちらに向かってくる。
善子「鐘を鳴らしてるわね、足はそんなに速くないわ」
ルビィ「これなら逃げられるね」
善子「いえ、違うわ!! 走って!!」
ルビィ「違うってどういうこと!?」
私とルビィはそのまま走り続ける!
478
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:20:29 ID:0q8CGXTE
善子「いい? あの徘徊者は鐘の音を鳴らしながら追ってくるわ!」
善子「そして近くには泣き声の主がいる! あの子はすごく耳がいいわ!」
ルビィ「まさか……」
ドコニイルノ!!
予想通り泣き声の主が物凄い速さでこちらに走ってきていた!
善子「あの子は足が速い!! 振り切れないわ!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
ドコニイルノ!!
479
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:21:23 ID:0q8CGXTE
善子「走って!!」
ルビィ「もうダメぇ!! 追いつかれちゃう!!」
そのときだった!
ガラガラガッシャーン!!
天井が崩落して徘徊者と私たちの間の道が塞がれた!
廊下には棚や木材が落ちてきていて、徘徊者がこちらに来ることはできない。
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
善子「助かった……」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「あの老人の姿の徘徊者はまわりの徘徊者を呼び寄せるみたいね……」
ルビィ「怖いよ……」
480
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:22:11 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……はあ……さあ、先に進みましょう」
一歩踏み出したその時だった!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
目の前の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してくる!!
善子「嘘でしょ!? ここ罠部屋なの!?」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
善子「後ろには逃げられない!! 横の部屋に入るわよ!!」
ルビィ「ぴぎぃ!!」
私とルビィはすぐ横の部屋に入る!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
481
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:23:02 ID:0q8CGXTE
ルビィ「ぴぎぃ!? この部屋行き止まりだよ!!」
善子「嘘でしょ!?」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「待って!! あの台を見て!! 勾玉があるわ!!」
ルビィ「手鏡もあるよ!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「飛ぶわよ!! ルビィ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは2個目の勾玉を取るとすぐ横に置いてあった手鏡でワープした……
一瞬で景色が変わる。
どうやら上手く他の部屋に移動したみたいだ……
482
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:23:40 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「はあ……はあ……」
善子「何なのよ……本当に……」
ルビィ「うゆ……」
善子「今までの回廊の比ではないわ……複雑さだけでなく徘徊者も……」
ルビィ「ルビィ怖くなってきたよ……」
私たちは少し休んでから探索を続けることにした。
483
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:24:18 ID:0q8CGXTE
善子「台の上に何かの記事があるわ」
ルビィ「記事?」
善子「ちょっと読んでみるわね」
善子「……」
ルビィ「……」
善子「ふむふむ……」
ルビィ「どんな内容だったの?」
善子「向こうの世界で新聞を読んだじゃない?」
ルビィ「うゆ……神隠し事件の記事だったよね」
善子「これもその話みたい」
ルビィ「うゆ?」
484
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:24:48 ID:0q8CGXTE
善子「化け物が神隠し事件を起こした、と。 その詳細が載ってるわね」
ルビィ「うゆ……」
善子「要約するわよ。 千里眼の能力を持つ不思議な力を持った母親とその子供が村から離れた神社に住んでいたんだって」
ルビィ「千里眼……未来とか見えるんだよね」
善子「ええ、それで千里眼の能力を忌み嫌った村人はこの家族から距離を置いていたらしいの。 母親には冷たく接していたみたい」
ルビィ「…………」
善子「村人たちは、その子供もいつか本性を現し、母親をないがしろにした自分たちに復讐するのではないかと恐れていたらしいわ」
ルビィ「うゆ……」
485
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:25:21 ID:0q8CGXTE
善子「そして、そのときが来た……その子供が川に鉄砲水を起こして、その結果、村の子供たちは流されてしまったみたいね……」
ルビィ「そんな……」
善子「村人たちは村の子供たちが○されたと怒って、その母親と子供を○そうとしたらしいの」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「そのとき、その子供が光り輝いて、その光が森を飲み込んだ……まわりのものすべてが、はじめから何もなかったかのように消えていた」
善子「神社も人々も夕暮れのヒグラシの声も……という話らしいわ。 その昔、当事者の誰かにインタビューして、その人が答えたことをまとめた記事みたいね」
ルビィ「うゆ……千里眼……鉄砲水……神隠し事件……」
善子「でもなんでこんな記事がこの回廊にあるのかしら……」
ルビィ「うゆ……」
私とルビィは回廊の探索を続ける……
486
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:26:34 ID:0q8CGXTE
ルビィ「今度は開けた場所に出たね」
善子「ええ、真ん中にレバーと床は……」
見ると床は木でできており、格子状になっている。
ルビィ「まるで落とし穴だね……レバーを引いたら床が落ちたりして」
善子「そうね、これは落とし穴……だからレバーは引いちゃダメよ」」
ルビィ「うゆ、やっぱり落とし穴だよね……」
善子「そのレバーを引くとここの木の床が落ちるようになっているわね……」
ルビィ「なんでこんな分かりやすい罠があるのかな……」
善子「分からないわ……下が見えるわね……そんなに高くはない……おそらく落ちても怪我はしない……」
善子「あれは……?」
ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」
善子「部屋があるわ……」
487
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:27:09 ID:0q8CGXTE
ルビィ「部屋……?」
善子「ええ、落とし穴のすぐ下の壁、穴があるわ」
ルビィ「穴……本当だ、部屋かな? 行ってみる?」
善子「いえ、後にしましょう……祭壇と勾玉が優先よ」
ルビィ「うゆ、そうだね……」
私たちは落とし穴の部屋を後にする……
488
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:27:45 ID:0q8CGXTE
善子「とにかく複雑な構造ね……」
ルビィ「うゆ……ここはどこだろう……うゆ……? なんだろうこれ?」
見ると変わった模様の鈴が置いてあった。
善子「猫がつけてる鈴って感じね」
ルビィ「あの猫しゃんの鈴に似てるね……」
善子「これも何かに使えるかしら……? 分からないわ……」
ルビィ「かわいいから持っていっていい?」
善子「いいけど……他の使えるものが優先よ、カメラとか爆竹とか」
ルビィ「うゆ」
善子「それにしてもさっきの記事といい、なんでこんなものが置いてあるのかしら……」
私たちは先を進んでいく……
489
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:28:21 ID:0q8CGXTE
善子「下に勾玉があるわね」
ルビィ「でもあそこってどうやって行くんだろう?」
善子「分からないわ……」
善子「鍵を開けただけでは手に入らないようになっているわね」
善子「今までの回廊とまるで違うわ……」
ドタドタドタドタドタドタ……
善子「隠れなきゃ」
ルビィ「うゆ」
シャン……シャン……シャン……シャン……
490
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:28:54 ID:0q8CGXTE
善子「ここに隠れて……」
シャン……シャン……シャン……シャン……
ドタドタドタドタドタドタ……
ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……
リーン
シャン……シャン……シャン……シャン……
善子「すごい数ね……鈴の徘徊者なんて近くに2体もいるわ」
ルビィ「これじゃあ全然動けないね……」
491
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:29:44 ID:0q8CGXTE
ルビィ「ここに隠れて何分くらい経つんだろう」
善子「そもそもこの世界に時間の概念があるとは思えないけど……」
善子(複雑すぎる回廊……数が多すぎる徘徊者……祭壇の位置はコンパスがくるくるまわって分からない……)
善子(まるで地獄絵図だわ……身動き一つ取れないし……徘徊者が通るたびにプレッシャーがかかる……)
善子(見つかれば○される……どうすればいいのかしら……)
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「善子ちゃん……?」
善子「大丈夫、ちょっと疲れただけよ」
ルビィ「善子ちゃん……」ギュッ
ルビィは私を抱きしめてくれた。
善子「ルビィ……大丈夫よ」
ルビィ「無理しないで……ルビィも頑張るから」
善子「ええ、ありがとう……ルビィのおかげで落ち着いたわ。 一緒に脱出しましょう」
492
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:30:20 ID:0q8CGXTE
現状、2人が分かっている徘徊者の情報
・警鐘の徘徊者
提灯と鐘を持つ老人の姿をした徘徊者。
顔には能面をつけている。
水たまり状態で索敵し、高速で接近してくる。
実体化すると鐘を鳴らしてまわりの徘徊者を呼び寄せる。
493
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:31:25 ID:0q8CGXTE
善子「ここは鍵がかかってるわね」
ルビィ「鍵を開けるよ」ガチャ
善子「……何もない部屋ね」
ルビィ「レバーがあるよ」
善子「このレバーを引くと……」ガチャ
カラカラカラカラ……
善子「下の水門が開いたわね……」
ルビィ「あそこに勾玉があるよ」
善子「これであそこにある勾玉が取れるってわけね……やっぱり鍵を使うだけじゃ勾玉を入手できないようになっているわね……」
ルビィ「うゆ、あっちに行って勾玉を取ろうよ」
善子「ええ……」
私たちは下の階で3つ目の勾玉を入手した。
494
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:32:41 ID:0q8CGXTE
善子「ずいぶん近いところに4つ目の勾玉があるわね」
ルビィ「うゆ、真ん中においてあるね」
善子「それじゃあ取りにいくわよ」
ルビィ「うゆ」
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「嘘でしょ!? ここも罠部屋なの!?」
ルビィ「善子ちゃん!!」
ルビィは咄嗟にカメラのフラッシュを焚く!!
パシャ!!
凄まじい光で神楽鈴の徘徊者は怯んだ!
ルビィ「善子ちゃん、勾玉を取って逃げよう!」
善子「ありがとうルビィ! 助かったわ!!」
495
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:33:13 ID:0q8CGXTE
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「まだ追ってくるわよ!」
ルビィ「うゆ!」
善子「ここの扉を閉めて時間稼ぎするわ! 扉を蹴破ってる間に走って逃げて物陰に隠れるわよ!」
ガラガラ……
私は扉を閉めた!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
ダン! ダン!ダン!ダン! ダァァァァンン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャン!! ……シャン……シャン……シャン……シャン……
496
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:33:46 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……ッ はあ……ッ」
ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ」
善子「どうやら逃げ切ったみたいね……見失ったみたい」
ルビィ「うゆ……」
善子「でもこれで勾玉4つ……あと1つで脱出できるわ」
ルビィ「うん!」
私とルビィは暗闇の中を進む……
497
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:34:30 ID:0q8CGXTE
善子「それにしても暗いわね……下へ降りる階段がある……」
ルビィ「下は水が張り巡らされてるね……」
善子「ええ、襲われればひとたまりもないわ」
ルビィ「ここを通るしかないよね」
善子「ええ……」
善子「……」バシャバシャ
ルビィ「……」バシャバシャ
善子(かなり疲れてきている……)
善子(ここで襲われれば逃げ切れない……)
善子(はやく上に上がる階段を見つけなきゃ……)
ドタドタドタドタドタドタ……
498
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:35:08 ID:0q8CGXTE
ドタドタドタドタドタドタ……
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「大丈夫よ、上の階だわ……」
ルビィ「分かりにくいね……」
善子「ええ、下に降りてこないといいわね」
ルビィ「ぴぎぃ……」
霊魂のような存在も何かをつぶやきながら近くを通っているようだ……
ボソボソという声が移動しているのが聞こえてくる……
善子「コンパスが狂うわね……勾玉が4つあるから、5つ目は祭壇の近くで取りたいわ」
ルビィ「祭壇に向かいたいのにコンパスが使えないと移動しにくいね……」
499
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:35:48 ID:0q8CGXTE
善子「上にのぼる階段……ようやくね」
ルビィ「うゆ……」
私とルビィは階段をのぼり、先に進む……
ルビィ「善子ちゃん、あの開けたところに勾玉があるよ!」
善子「また罠かしら……慎重に近づくわよ……」
私とルビィは勾玉を取りに近づく……
善子「……」
ルビィ「……」
善子「何も起こらないわね……」
ルビィ「うゆ……」
500
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:36:20 ID:0q8CGXTE
善子「じゃあ5つ目の勾玉を取るわよ、祭壇に向かいましょう」
ルビィ「うゆ!」
勾玉を取ったその時だった!
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!
どこからかあの化け物の叫び声が聞こえてくる!!
憎悪を振りまく影がいる!
ルビィ「善子ちゃん……ッ!!」
善子「嘘でしょ……」
おぞましい○気が近づいてくる……
501
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:36:53 ID:0q8CGXTE
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
その叫び声はこちらに向かってきている!
善子「あの時……前の回廊でも5つ目の勾玉を取ったときあの化け物は現れたわ」
善子「今回も現れるなんて……」
ルビィ「善子ちゃん……!!」
善子(完全に油断していた……あれだけ注意を払ったつもりだったのに……)
善子(しかも今回はまずい……まだ祭壇の位置を把握していない……コンパスも使い物にならない……)
善子(祭壇に向かえばいいはずだけど……どっちに逃げればいいのか分からないわ……)
ルビィ「善子ちゃん……ッ!!」
善子「ルビィ! カメラの用意をして!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
502
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:37:24 ID:0q8CGXTE
善子「カメラはあと何回使える!?」
ルビィ「あと1回だよ!」
善子「1回……そのうちに祭壇を見つけるの……ッ!?」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ルビィ「ぴぎぃ!! 善子ちゃん!! もう来てるよ!!」
善子「ルビィ、走って!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
503
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:37:57 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……ッ はあ……ッ」
ルビィ「はあ……ッ はあ……ッ」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ルビィ「もう追いつかれちゃうよ!!」
善子「待って!! あの棚に手鏡がある!! あれでワープするわよ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは手鏡を拾うとすぐにワープする!!
一瞬で景色がどこかの部屋へと変わる。
どうやら別の場所に移動できたようだ。
504
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:38:44 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……ッ はあ……ッ」
ルビィ「はあ……はあ……これで大丈夫?」
善子「いいえ、あいつはどこまでも追いかけてくる……ここに来るのも時間の問題よ!」
ルビィ「ぴぎぃ!! どうするの!!」
善子「コンパスはまだ使えない?」
ルビィ「うゆ、まだダメだよ」
善子「身を守れるものは……あとカメラ1回だけ……そしてコンパスは使えない……これで祭壇まで行く……」
ルビィ「無理だよそんなの!!」
善子「やるしかないのよルビィ! やらなければ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
505
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:39:56 ID:0q8CGXTE
ルビィは持っていた猫の鈴を握りしめ、祈るように言う……
ルビィ「お願い、猫しゃん……ルビィたちを助けて……」
善子「ルビィ……」
そのときだった……
シャリン……
私たちの目の前に光の球が現れた!
善子「これは……あの時の光……私たちを助けてくれたあの光だわ」
ルビィ「猫しゃん……」
宙に浮かぶ光の球はどこかへと移動しはじめる……
善子「私たちを導いてくれるの……?」
ルビィ「ついて行こう善子ちゃん!!」
善子「ええ、今はそれしかないわ!」
私とルビィはその光についていく……
506
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:40:27 ID:0q8CGXTE
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
善子「来てるわね」
ルビィ「うゆ……」
善子「カメラを用意して!」
ルビィ「できてるよ!」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
507
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:41:23 ID:0q8CGXTE
善子「来たわ!! カメラを使って!! 今よ!!」
ルビィ「えい!!」
パシャ!!
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!
凄まじい光に化け物は叫び声を上げて怯んだ!
善子「今のうちにあの光の球についていくわ!」
ルビィ「うゆ!!」
508
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:42:04 ID:0q8CGXTE
光は暗闇を照らしながら進む……
すると祭壇のような場所へと辿り着いて消えた……
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああああああ゛ッ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
善子「着いたわ!! あいつが来てる!! はやく勾玉を納めるわよ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは集めた5つの勾玉を祭壇に納めた!
おぞましい○気はどこかへと消え去った……
そして目の前の扉が開いた……
509
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:42:36 ID:0q8CGXTE
善子「とにかく中に入りましょう」
ルビィ「うゆ!」
私とルビィは走って奥へ行く。
すると……
バタン!!
後ろで扉が閉まった……それと同時に!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
目の前の扉を蹴破って神楽鈴の徘徊者が飛び出してきた!!
510
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:44:26 ID:0q8CGXTE
善子「嘘でしょ!? 後ろの扉は閉まってるし逃げられる場所なんてないわよ!?」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
シュィィィィィンン
突然、神楽鈴の徘徊者は謎の光に包まれる!
そして神楽鈴の徘徊者は倒れて動かなくなった……
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「はあ……はあ……怖かった……」
善子「何が起きているのかしら……」
私たちは奥へと進んでいく……
511
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:45:03 ID:0q8CGXTE
奥へ行くと祭壇のような場所に出た……
そしてそこには畳と布団があり、誰かが布団に横になっている……
ルビィ「誰だろう……」
善子「眠っているのかしら……?」
そのとき、後ろから声が聞こえた。
???「私のお母さんよ」
振り向くとそこにはあのときの謎の少女がいた……
512
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:45:38 ID:0q8CGXTE
善子「あなた……」
ルビィ「この人、あなたのお母さんなんだね」
謎の少女「もうずっと長い間眠ったまま。その魂は体を離れ、底知れぬ憎悪に苛まれながら、今もこの世界を彷徨い続けている」
謎の少女「何とか体は維持していたけど……あの子が器を壊してしまった」
善子「Kのことね……」
謎の少女「もう時間がない、今すぐ生き返らせなければ……」
善子「どういうこと……?」
謎の少女「魂と体を一体化させるためには、途方もない力が必要なの。あの器で普通の魂を集めても、お母さんの体を維持するのでやっと」
謎の少女「だから、これを被せた」
少女が手をかざすとあの能面が現れた。
謎の少女「この面を被れば、魂の力が何倍にも増幅される。元となる魂が強ければ強いほどね」
謎の少女「その力の大きさゆえに大抵は自我を失い、人ならざる者へと変異する。でも、そういう者達は普通の魂を集めるのに役に立った」
謎の少女「あの子は素晴らしい魂を持っていた。あんなに自我を保っていられるなんて、正直驚いたわ」
ルビィ「Kしゃん……」
513
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:46:12 ID:0q8CGXTE
謎の少女「本当は、増幅した魂を収穫したかったけど……分かるでしょ、もう時間がないの」
謎の少女「あなたたちには、今○んでもらうわ……」
善子「……ッ!?」
ルビィ「ぴぎぃ!?」
謎の少女はそう言って手をかざす……
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!」
善子「ここまでなの……ッ!!」
しかし何を思ったのか、少女はその手を下ろした……
謎の少女「……」
善子「……?」
謎の少女「……まあいいわ……素の魂なんて、足しにもならない」
ルビィ「……え? 助かったの……?」
謎の少女「そこで見てるといい」
514
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:46:57 ID:0q8CGXTE
善子「何をするつもり……」
少女は横たわる彼女の母親の前に進み、力を使う……
緑色のエネルギーのような光が母親に注がれていく……
母親を蘇らせようというのだろうか……
しかし……
オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!
その光の中から異形の姿をした怪物が飛び出してきた!
善子「なに……ッ!?」
ルビィ「ぴぎぃ……」
謎の少女「なんで……!? こんなはずじゃない!! 待って、お母さん!!」
515
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:47:41 ID:0q8CGXTE
善子「なんだったの……」
見ると目の前から少女と母親はいなくなっていた……
あたりは崩壊し、岩が落ち、ところどころ炎が上がっている……
???「遅かった……」
振り返ると、そこにはあの黒猫がいた。
首には勾玉の首飾りをつけている。
ルビィ「猫しゃん、あなたが話したの……?」
猫「やっと私の声が届きましたね」
善子「猫がしゃべってる……」
猫「事態は一刻を争うので、手短に話します。私のことは、ひとまず置いておいてください」
猫「彼女は、復活に不足していた力をこの世界を構成する力で補填したようです」
猫「お陰で私の声が届くようになりましたが……この世界はまもなく崩壊するでしょう」
516
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:48:20 ID:0q8CGXTE
猫「復活のために集められた魂はどれも苦痛や憎悪によって歪んでいた」
猫「それがあの人を変えてしまいました」
猫「今のあの人は、もはや人ではありません。底なしの憎しみに呑み込まれた怪物。憎悪そのものです」
ルビィ「そんな……」
猫「あの怪物は、やがてあなたの世界に現れることになります。人の魂を食らい、さらにその力を増し、とてつもない災厄になる……」
善子「なんですって……」
猫「まだ力が弱いうちに、こちらの世界で対処しなければなりません」
ルビィ「どうやって?」
猫「この世界の礎となった27の人柱、その魂が燻っている場所があります。今なら、私でもその封印を解けるでしょう」
猫「27の人柱は膨大な力を蓄えている。とても制御はできませんが、真っ先にあの怪物に向かっていくはずです」
猫「あとは、彼らが足止めしてくれます。時間が稼げれば、あの怪物もこの世界と共に消え去るでしょう」
猫「あなたたちは、その場所まで怪物を誘導してください。道中は、私が力を貸します」
517
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:48:50 ID:0q8CGXTE
猫「上手くいけば、あなたたちを元の世界に返しましょう。 それでいいですね?」
善子「……」
猫「この首飾りを持って行ってください。あなたの身を守ってくれます。封印を解くためにも必要ですので、くれぐれも無くさないように」
そう言って猫は勾玉の首飾りを私たちの足元に置いた。
猫「私は先回りしています。また後で会いましょう」
そう言い残して猫はどこかへと行ってしまった。
ルビィ「……大変なことになっちゃったね」
善子「……ええ」
518
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:49:20 ID:0q8CGXTE
善子「話をまとめましょう……あの子のお母さんは怪物へと姿を変えた……」
ルビィ「そのお母さんはルビィたちの世界にやって来ちゃうんだよね」
善子「そうならないためにも今ここで足止めをする……」
善子「……ええ…………」
ルビィ「うゆ……ルビィたちに出来るかな……」
善子「やらなければならないわ……絶対に……」
ルビィ「うゆ……」
私たちは歩みを進める……
祭壇の奥にあった鏡から別の場所へと移動した……
────
──
519
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:49:50 ID:0q8CGXTE
復活した少女の母は
少女が望んでいた、かつての母の姿ではなかった
強大な力を得て肥大化した憎悪は
今、全ての命を食らい尽くさんとしている
いずれこの世界は消滅する
私たちが生き残るためにも
あの怪物を止めなければならない
520
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 12:59:07 ID:PdR/OAs.
世界観に引き込まれる
最後まで頼む
521
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/10(土) 04:22:15 ID:1///zhAs
─???─
善子「ここは……」
ルビィ「綺麗なところ……」
荒廃した世界は夕陽に照らされ橙色に染まっていた。
建物は崩壊し、岩や鳥居は宙を浮いている。
広い荒野の地面が続いている……
善子「歩いていきましょう……」
ルビィ「うゆ……」
私たちはこの荒廃した美しい世界を進んでいく……
522
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/10(土) 04:23:04 ID:1///zhAs
橋を渡っていくと、崖の前にあの謎の少女がいる……
善子「近づいてみましょう」
ルビィ「うゆ」
謎の少女「私は昔……人間として生きようとした」
謎の少女「でも……大切なものは全て人間が奪っていった」
謎の少女「私は、人間であることを捨て、心を捨てた。そして、数えきれない人間を殺した」
謎の少女「全ては、もう一度お母さんに会うため……そのためだけに……」
謎の少女「これで終わらせない……もう、あの時の私とは違う……」
謎の少女「今度こそ……絶対にお母さんを助ける……!」
少女の手は震えていた……そしてその震える手を握りしめる……
善子「……」
ルビィ「……」
523
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/10(土) 04:23:49 ID:1///zhAs
オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!
肥大化した憎悪がその姿を現した!
少女の母は醜い化け物へと姿を変えていた。
その姿は、浮遊する巨大な金魚のようであった……
おぞましい叫び声、魚のような外見、するどく巨大な牙……
激しい憎悪によって歪んでしまったその姿は、あの猫の言う通り、まさしく憎悪そのものだった。
善子「あれが……あの子のお母さん……」
ルビィ「そんな……こんなひどいことが……」
524
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/10(土) 04:24:26 ID:1///zhAs
憎悪の化け物は少女に向けて金魚型の追尾弾を発射する!
ゆらゆらと揺れながら少女めがけて飛んでいく金魚型の追尾弾……
シャン!!
少女は手をかざす。
金魚たちは少女の目の前で爆発する。
着弾する前に打ち落としたようだ。
少女は鳥居の上に瞬間移動する! 彼岸花のような光が飛び散る。
しかし……
オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!
憎悪の化け物は鳥居ごと食い散らかし、すべてを破壊する!!
少女はたまらず崖の下へと落下していった……
525
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/10(土) 04:25:24 ID:1///zhAs
ルビィ「ああ!! あの子が!!」
善子「ルビィ! 私たちも行くわよ!! 人柱が封印されている場所へ、アレを誘導するの!!」
ルビィ「うゆ……ッ!!」
後ろから巨大な金魚の化け物が私たちを追いかけてくる。 私とルビィは走り出した!
化け物は、地面も建物も、何もかもを食らい尽くしながら迫ってくる!!
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!
ガラガラガッシャーン!!
善子「とんでもなくやばいわね! 追いつかれたらそれこそ終わりよ!!」
ルビィ「ぴぎぃ!!」
オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオォォォォォォォ!!!!!!
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