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善子「影廊」ルビィ「夕暮れの迷宮から脱出」
1
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/04/05(金) 10:40:05 ID:9xbPbDTk
ラブライブ!SS
これはホラーゲーム「影廊 -Shadow Corridor-」のパロディSSです。
ゲームは有料版と無料版があります。
リンクは貼りません。興味のある方は各自で検索してください。
ゲームに関する過度なネタバレはなるべく避けるようにします。
それでもネタバレが気になる場合はお戻りください。
また、SS内では設定の一部改変があります。
この物語はフィクションです。
393
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:25:07 ID:gdc9acus
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
善子「なんとか撒いたわね」
ルビィ「うゆ……もうダメかと思ったよ……」
善子「Kのおかげで助かったわ……」
ルビィ「怖かったよ……」
善子「ここは前の回廊と違って接近に気づきにくい敵が多そうね……気をつけましょう」
私とルビィは再び廊下を進んでいく……
394
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:25:38 ID:gdc9acus
現状、2人が分かっている徘徊者の情報
・忍び寄る徘徊者
音もなく回廊をゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者
顔とおぼしき場所には能面をつけている
接近に気づくのは難しく、どこにいるのか分かりにくい
探知方法は視覚と聴覚
2人の走る足音にも反応するようだ
395
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:26:10 ID:gdc9acus
ドタドタドタドタドタドタ……
善子「あいつもいるのね……走り廻る徘徊者……」
ルビィ「うゆぅ……」
善子「やり過ごして先に進みましょう」
ドタドタドタドタドタドタ……
善子「どこかに行ったわね……」
善子「こっちのタンスも探して……」
ルビィ「善子ちゃん、鍵も見つけたよ」
善子「ええ、ありがとうルビィ」
ルビィ「鍵のかかった部屋には勾玉があるかもしれないもんね」
善子「そうね、まだ勾玉が1つも集まっていないものね」
396
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:26:42 ID:gdc9acus
ガチャガチャ……
善子「ここが鍵がかかった部屋ね……」
ルビィ「鍵で開けるよ」
善子「ええ、頼むわね」
ガチャ……
ザァァァァ……
善子「あった、勾玉ゲットね」
ルビィ「やっと1つ手に入ったよ……」
397
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:27:14 ID:gdc9acus
善子「コンパスはこっちを指してる……だけど行き止まりだから引き返してあっちの道を……」
ルビィ「善子ちゃん、あそこにも勾玉があるよ」
善子「本当ね、取りにいきましょう」
ザァァァァ……
扉を開けたその瞬間だった!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
奥の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してきた!
善子「嘘でしょ!?」
ルビィ「ピギィ!!」
善子「罠部屋だったの!?」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
398
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:28:35 ID:gdc9acus
善子(まずい!! 逃げ遅れた!! 目の前まで来てる!!)
ルビィ「ぴぎぃ!!」
ルビィは咄嗟に手鏡を使った!
景色が別の場所へと変わる。
私たち2人は別の場所へと移動したようだ。
善子「ワープしたみたいね……ここがどこか分からないけど……助かったわ、ルビィ」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「……迂闊だったわ、罠だと気づけなかった」
ルビィ「ごめんね、善子ちゃん……ルビィのせいで大事な手鏡を使っちゃって、それに徘徊者しゃんも増えちゃった……」
善子「ルビィ……大丈夫よ、ルビィは悪くないわ……あのままだったら2人とも○されていたかもしれないわ。私だって罠だと気づけなかったし、水晶玉のことだって使ってしまったのは私だし」
ルビィ「……うぇぇぇぇんんんんごめんなさい……うぅ……」グスン
善子「泣かないで、大丈夫よ」
ルビィ「うぅ……」グスン
399
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:29:18 ID:gdc9acus
善子(ルビィも疲れているのね……)
善子(でもまずい状況になったのは事実……)
善子(いま身を守るものが何もなくなってしまった……)
善子(時を止める水晶玉、ワープできる手鏡、徘徊者を一時的に怯ませられるカメラ……)
善子(どれも使ってしまった……いま襲われれば助からないわ)
善子(さらに徘徊者が追加されてしまった)
善子(この状況で身を守るものを探しつつ、勾玉を探す……あと4つも)
善子(状況としてはかなりきびしいわね……)
400
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:29:51 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃぁ……」グスン
善子「大丈夫よ、ルビィ……私たちは今までだってAqoursとしてきびしい練習をしてきた、どんな問題だって乗り越えてきたわ」
善子「それに比べればたいしたことない、きっと無事に帰ってまたみんなに会えるわ」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「だから泣かないで、先に進むわよ」
ルビィ「うん!」
私たちは暗闇の中を進んでいく……
401
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:30:22 ID:gdc9acus
善子「次は……ここも鍵のかかった部屋ね……」
ルビィ「ここは開けられないね」
善子「徘徊者に開けてもらう方法もあるけど……」
そこまで言いかけてやめる。
身を守るものがないから襲われたらひとたまりもない、徘徊者に開けてもらうのはやめましょう……
そんなことを言えば、優しいルビィはきっと傷つくわ……自分のせいでこうなったんだって……
誰も悪くない……こんな状況でも絶対あきらめない……
善子「……」
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「……鍵がかかってるなら鍵を探さなきゃダメね」
ルビィ「うん……?」
ルビィだってつらいはずよ……私がしっかりしなきゃ……
402
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:31:00 ID:gdc9acus
善子「……はあッ……はあッ」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「大丈夫よ、ちょっと疲れただけ」
ルビィ「うゆ……」
善子「鍵はどこかしら……」
ルビィ「ここの棚は……あっ、あったよ」
善子「ありがとうルビィ、戻って勾玉を探しましょう」
ルビィ「うゆ!」
403
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:31:30 ID:gdc9acus
善子「あった! 勾玉よ! これで2つ……」
ルビィ「ひかり石もあったよ」
善子「これも何かに使えそうね」
善子「コンパスはあっちを指してるわ……あっちに行ってみましょう」
ルビィ「うゆ!」
グスン……グスン……
善子「今度は泣き声の主ね……あそこの広い部屋にいるのかしら」
ルビィ「そうだね……今度は廊下を歩いていないよね」
善子「気をつけて確認しましょう……大丈夫そうね」
ルビィ「じゃあ、あそこに勾玉が……」
善子「あるかもしれないわね……気をつけて取るわよ」
404
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:32:07 ID:gdc9acus
善子「隠れる場所はある?」
ルビィ「あそこの裏とか……」
善子「大丈夫そうね……爆竹で誘導するわよ、えいっ」ヒョイ
……
パチパチパチパチパチ……
ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……
善子「気を引くことができてるわね、勾玉を取って……これで3つ」
ルビィ「次に行こう、善子ちゃん」
善子「ええ、脱出するわよ、ルビィ」
405
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:32:38 ID:gdc9acus
善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」
善子「ここは一本道なのかしら?」
ルビィ「……」
ガラガラガッシャーン!!!!
ルビィ「ピギィ!?」
善子「何!?」
振り返るといままで歩いていた道が塞がれていた
建物が崩れて、天井から木や土、棚が降ってきて道を塞いでしまったのだ
善子「これじゃ後ろに戻れないじゃない……」
ルビィ「うゆ……怖かった……巻き込まれなくてよかったね……」
善子「本当ね……建物が古いからところどころ崩れたりするみたいね」
私たちは先を進む。
406
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:33:26 ID:gdc9acus
善子「今度はこっちを行って……あら? 綺麗な場所に出たわね」
ルビィ「水が引いてあるね、灯籠も浮かんでるよ」
善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」
善子「え……行き止まり?」
ルビィ「えっ?」
善子「待って、ここまで一本道……後ろは道が塞がっている……」
ルビィ「出られないってこと……?」
善子「嘘でしょ……」
ルビィ「うゆ……」
善子(この世界から出る前に、閉じ込められてこの場所から出られないなんて……)
407
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:33:59 ID:gdc9acus
ルビィ「あ、あそこに勾玉があるよ!」
善子「取りましょう……これで4つ……でも閉じ込められたから、祭壇まで行く方法がない……」
ルビィ「うゆ…………うゆ? 善子ちゃん!」
善子「どうしたのルビィ」
ルビィ「ここに手鏡が置いてあるよ!」
善子「!? 本当だわ……これでこの場所から脱出できる!!」
ルビィ「うゆ!」
善子「飛ぶわよ!!」
手鏡に触れると一瞬で景色が変わる。
どうやら別の部屋に移動できたようだ。
408
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:34:34 ID:gdc9acus
善子「ここは……ここって……」
ルビィ「罠部屋の前だよ! あとで来るかもって言って、取らなかった勾玉がある!」
善子「ここなのね……そしてまだ罠が残ってる……中には鈴の徘徊者がいる……」
ルビィ「うゆ……」
善子「……ルビィ、あれをやるわよ」
ルビィ「まさか……」
善子「前やったでしょ、ひかり石で道を作るのよ」
ルビィ「ぴぎぃ! また走るの!?」
善子「ええ、やるわよ、隠れる場所を探して」
私たちはひかり石を廊下に置いていき、隠れるための行李まで道しるべを作った。
409
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:35:15 ID:gdc9acus
善子「これでよし、徘徊者に追いかけられている間は明かりが消えてしまうわ」
善子「でもこの石の光は消えることがない」
善子「だから暗闇の中にひかり石で道を作ることで迷わず走ることができるわ」
ルビィ「うゆ……追いかけられるの怖いよ」
善子「大丈夫よ、ここで勾玉を取れば5つ揃うわ、そうしたらコンパスが指すほうに歩くだけだもの」
ルビィ「うゆ……頑張るよ……」
善子「部屋に入るわよ……」
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
予想通り奥から神楽鈴の徘徊者が出てきた!
善子「来たわよ! ルビィ、走って!!」
ルビィ「ピギィ!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
410
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:35:46 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
私たちは暗闇の中に光る道を走っていく!
善子「あった! つづら箱よ!! 中に隠れるわよ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは2人で箱の中に隠れた!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
411
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:36:17 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
シャン……
シャン……シャン……シャン……シャン……
シャン……シャン……シャン……シャン……
善子「……」
ルビィ「……」
善子「……見失ってくれたみたいね」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「しばらく待ってあの鈴の徘徊者がいなくなったら勾玉を取るわよ」
ルビィ「うゆ……」
────
──
412
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:36:49 ID:gdc9acus
善子「あった、勾玉よ」
ルビィ「うん、これで5つだね」
善子「……あら? 奥に部屋があるわ……」
善子「祭壇……そして鬼の面……」
ルビィ「前の回廊であった、大勾玉の祭壇と同じだね」
善子「ええ、これも持って行きましょう……これで大勾玉は3つよ」
善子「勾玉が5つそろった、あとは祭壇に行って勾玉を納めればいいだけ」
ルビィ「コンパスはあっちを指してるよ」
善子「そっちね、行きましょう」
────
──
413
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:37:21 ID:gdc9acus
私たちはなんとか祭壇に到着した。
その場所はまわりを湖に覆われていた。
そして湖には大きな赤い鳥居がある。
善子「地下に大きな湖があるなんてね」
ルビィ「うゆ、善子ちゃん、勾玉を納めようよ」
善子「ええ、そうね」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
私たちが勾玉を納めると湖の水が割れていき、その中から橋が出てきた!
ルビィ「わあ、すごい!」
善子「この橋を渡れってことね」
414
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:38:19 ID:gdc9acus
私とルビィは橋を渡る……
ルビィ「見て善子ちゃん、橋を渡った先、あそこに鏡があるよ」
善子「これで脱出できるのかしら……」
善子「だとしたら Kの言っていた 彼女って誰なのかしら」
橋を渡った先で鏡に触れた。
すると景色が一瞬で変わった。
どこかへと移動したようだ。
415
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:38:50 ID:gdc9acus
ルビィ「ここは、どこ?」
善子「ここは……部屋? 廊下?」
シャン……シャン……シャン……シャン……
そこには神楽鈴の徘徊者がいた。
襲いかかってくる様子はない。
ルビィ「徘徊者しゃんだ……怖いよ……」
善子「襲いかかってこない……まるで私たちを待っているみたいだわ」
善子「……近づいてみましょう」
ルビィ「うゆ…………え? ……ええッ!?」
416
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:39:20 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん! 危ないよ!」
善子「……」
私が近づくと神楽鈴の徘徊者は振り向いて廊下をまっすぐと歩きはじめる。
シャン……シャン……
善子「ついていくわよルビィ……彼女って子に会いに、ね」
ルビィ「ぴぎぃ……こわいよ……」
シャン……シャン……
善子「長い廊下ね……」
ルビィ「この奥にその子がいるのかな……」
417
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:39:50 ID:gdc9acus
シャン……シャン……
廊下の先にたどり着くと、徘徊者はそこで止まった。
そこには扉があった。
善子「この先ね……」
ルビィ「うゆ……」
私たちは扉をくぐる……扉は後ろでバタンっと閉まった。
ルビィ「ぴぎぃ!!」
善子「……ここが最奥ね」
418
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:40:20 ID:gdc9acus
水が滝のようになって下に流れ落ちている。
橋の先……そこには宙に浮かぶ巨大な結晶があった……
ルビィ「何ここ……それにあのクリスタルは……」
善子「私もゲームとかでしか見たことないわね……こんなもの」
善子「何かしら……これ」
???「やっぱりあなたたち、とても良い魂を持っているのね」
後ろから声がした。
振り向くと、そこには黒い着物を着た、黒髪の少女がいた。
419
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:40:59 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎゃぁぁ!!」
善子「…………あなたが、彼女ね……」
ルビィ「びっくりしたよ……」
謎の少女「みんな私を化け物と呼ぶけど……あなたもそう呼びたいなら好きにするといい」
謎の少女「実際、今の私は化け物みたいなものだし」
謎の少女「でも私に言わせれば、人間の方がよっぽど質が悪いわね」
善子「私たちはこの世界から出る方法を探しているの……何か知っていたら教えてちょうだい」
420
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:41:43 ID:gdc9acus
謎の少女「出口を探しているならあきらめなさい。私のような力ある者にしか開けないし、あなたたちをここから出すつもりもない」
ルビィ「そんな!!」
善子「……」
謎の少女「でも、良い話があるの」
少女が手をかざすと能面が現れた。徘徊者たちが被っているものと同じものだろうか。
謎の少女「永遠の命……いつの世も人間が渇望した力。あなたたちはその力にふさわしい魂を持っている」
謎の少女「この面を被れば、あなたたちはどんな病にも害されない。どんな猛獣でもねじ伏せることができるようになる」
善子「……」
ルビィ「……善子ちゃん?」
善子「……そんな口車には乗らないわよ」
ルビィ「えっ、口車……? あ、Kしゃんが言ってた!」
421
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:42:14 ID:gdc9acus
謎の少女「そう……」
謎の少女「じゃあ、言い方を変えましょう」
謎の少女「あなたの魂に用があるの。 細工をさせてもらうから、大人しくしていなさい」
善子「……ッ!?」
ルビィ「どういうこと!?」
シャン!!
謎の少女が手をかざすと能面が私たちのほうにとんでくる……
ルビィ「ピギィ!! このままじゃあの面を被らされちゃうよ!!」
善子「……ッ!!」
422
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:42:44 ID:gdc9acus
その時だった……
カランコロン……
どこからともなく勾玉が床に落下する。
バシュン……
突然、あたりは光に包まれた!
能面は消え去り、光の中から Kが現れた!!
善子「……K!! 助かったわ!!」
ルビィ「ぴぎぃ……怖かったよぉ……」
423
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:43:40 ID:gdc9acus
K「ギリギリだったわね。あなたたちのおかげで上手く忍び込めたわ」
謎の少女「ああ、あなた……」
K「ようやく会えたわね、ずっとこの時を待っていたわ」
K「あんたはここにずっと引きこもっている、そこの物体、クリスタルがあるここにね」
K「思うに、あんたにとってそのクリスタル、さぞかし大事な物なんでしょう? ……違わないわよね」
シャン……
謎の少女は Kに向かって手をかざす。
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
Kは苦しみだし、地面に膝をついてしまう……
ルビィ「ピギィ!? 大丈夫!?」
善子「K!! しっかりして!!」
謎の少女「その面、自分から被ったんでしょ。 自業自得ね。 そこで大人しくしていなさい」
424
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:44:12 ID:gdc9acus
謎の少女は私たちのほうに近づいてくる。
ルビィ「ぴぎぃ!!」
善子「くっ!! このままじゃ……」
K「はあッ……はあッ……」
Kは息を切らしながらよろよろと立ち上がる……
そして私たち2人を必死に守ろうとする……
謎の少女「あなた、それ以上無理すると、人ではいられないわよ。 どうしてそこまで……」
K「ふふっ……さあ、どうしてかしらね……」
425
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:44:43 ID:gdc9acus
善子「K!!」
ルビィ「Kしゃん!!」
K「あんたたち、私から離れていなさい……」
K「いままでギリギリで保ってきたけど……もう限界みたいね……私の意識が保っているうちに、早く逃げなさい!!」
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
Kは苦しみ再び地に膝をついてしまう……
K「最後の悪あがきよ……あんたにもらったこの力……利用させてもらうわよ……ッ!!」
426
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:46:52 ID:gdc9acus
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
Kの体は光だし、異形の化け物へと姿を変えた!!
そこにあったその姿は、能面をつけ、その下に大きな口を開く、宙へと浮かぶ巨大な化け物であった。
その異形は謎の少女に飛びかかる!!
少女は光に包まれ、どこかへと消え去った。
どうやら回避したようだ。
化け物となったKはクリスタルへと向かって飛んでいく!!
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
パリィィィィィィイイイイイインンンンンン!!!!!!
Kはクリスタルへと体当たりし、クリスタルを破壊する!!
427
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 11:47:23 ID:gdc9acus
善子「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」
ルビィ「ぴぎぃぃぃぃぃぃ!!!!」
その衝撃で地面は崩壊し、私たちは滝の下へと落ちていった……
────
──
428
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:10:24 ID:gdc9acus
私とルビィは水の中へと落ちた……
善子「はあッ……はあッ……ルビィ! 大丈夫!?」
ルビィ「うゆ……!!」
水から上がる……私もルビィも怪我はしていない……
ルビィ「ここは……」
善子「水路……かしら?」
この道には水が張り巡らされている……
しかし……
善子「……!?」
善子「ルビィ!! 上から来るわよ!! 気をつけて!!」
上からは異形の怪物と化した Kが降ってきていた!!
水路に落ち、バシャァァァァンンンン と水しぶきを立てる!!
429
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:11:29 ID:gdc9acus
善子「K!!」
ルビィ「Kしゃん!!」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
自我を失っているのだろうか。
化け物となったKは叫び声をあげながら、私たちのほうに迫ってくる!!
ルビィ「ピギィ!? Kしゃんが!! ルビィたちを守ってくれたKしゃんが!!」
善子「逃げるわよルビィ!! このままだと危険だわ!! 走って!!」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
叫び声をあげながら迫ってくるK……
私たちは水をバシャバシャとかき分けながら走る!!
430
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:12:03 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎぃぃ!! 走りにくいよ!!」
善子「走るのよルビィ!!」
ルビィ「Kしゃん!! Kしゃん、しっかりして!!」
善子「K!! 私たちのことが分からないの!?」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「ダメよルビィ!! なんとかして逃げ切るのよ!!」
ルビィ「ふええええええんんんん!!!!」
目の前を見ると水門があった。
巨大な木の板が上から落下して、水を止める仕掛けになっているようだ。
431
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:12:34 ID:gdc9acus
善子「あの水門まで逃げるわよルビィ!!」
善子「あの下にレバーがあるわ!! きっと水門のスイッチよ!!」
善子「あれを使って通せんぼするわ!!」
ルビィ「うゆ!! わかったよ!!」
私たちはなんとか水門の内側に逃げ込んだ!
善子「ルビィ!! レバーを引いて!!」
ルビィ「うゆ!!」
巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!!
善子「これでこっちまで追って来られないはずよ!」
ルビィ「はあッ……はあッ……助かったの……?」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
432
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:13:04 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
次の瞬間、凄まじい音が鳴り響く!
どうやら化け物となったKが水門を破壊しようと体当たりしているみたいだ!
善子「ちょ、ちょっと……嘘でしょ……? まさか、壊れたりしないわよね……?」
ルビィ「うゆ……」
433
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:14:20 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
水門は木っ端みじんになってしまう!!
そしてKはその巨大な体でこちらに迫ってくる!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 突き破ってきたぁぁ!!」
善子「逃げるわよルビィ!! 水路の奥へ!!」
私とルビィは走って奥へと逃げ込む。
434
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:14:57 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「あった!! 水門よ!! 逃げ込みましょう!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! それで足止めするしか方法ないよね!?」
私は水門のレバーを引く!
巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!
ルビィ「はあッ……はあッ……でも突き破ってくるよね!?」
善子「ええ、ちょっとの間しか足止めできないわ」
善子「でもね、足止めしてるこの時間に、次にどうするか考えるのよ」
ルビィ「ピギィ!? 追いかけられてるんだよ!! 考えてられないよ!!」
善子「次の水門まで走って!! 考えるわよ!!」
435
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:15:41 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
水門は木っ端みじんになる!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 無理だよぉぉ!!」
善子「あきらめないでルビィ!!」
善子「ッ!? 見て!! あそこに鏡があるわ!!」
ルビィ「え!! 本当だ!! 台の上に鏡が置いてある!!」
善子「あの鏡に触れるわよ!!」
436
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:16:11 ID:gdc9acus
鏡に近づいたその時だった……
シャン……
ふふふっ……ふふふ……
鈴の音と少女の笑い声が聞こえる……
次の瞬間、鏡は消えてしまった……
それどころか行き止まりだったはずの場所が道に変わっていた。
善子「なんでよ!!」
ルビィ「もしかしてあの女の子が地形を操っているの!?」
善子「そうかもしれないわね!! だとするとまずいわ!! どこに逃げても無駄かもしれないわ」
ルビィ「ピギィ!? 無理だよそんなの!!」
善子「それでも逃げるのよ!!」
私とルビィは必死になって走る……
437
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:16:42 ID:gdc9acus
善子「次の水門……あった!! ってもう板が降りてるじゃない!!」
ルビィ「善子ちゃん!! このレバー引くよ!!」
水門の水を止める板はゆっくりと上にあがっていく……
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「はやく……追いつかれてしまうわ!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうすぐそこにいるよ!!」
善子「お願い!! はやくして!!」
ルビィ「ぴぎぃぃぃぃ……」
善子「くぐって!! 反対側にレバーがあるわ!!」
ルビィ「うゆ!!」
438
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:18:48 ID:gdc9acus
私とルビィは水門の内側に入り、再びレバーを引く。
巨大な板は再び下に落ち、道を塞いだ。
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
善子「まだ来るわね……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
善子「走るわよルビィ!!」
ルビィ「うゆぅ!!」
439
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:19:32 ID:gdc9acus
私たちが走っていると鈴の音とあの少女の笑い声が聞こえた。
シャン……
ふふふっ……ふふふ……
地形が反転している!!
善子「こうなったってことはまさか……」
ルビィ「ぴぎぃ!! Kしゃんが正面が来るよ!!」
善子「嘘でしょ!?」
後ろにいたはずのKが私たち2人の正面から迫ってくる!!
440
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:20:15 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
ふふふっ……ふふふ……
善子「ふふふ、じゃないわよ!!」
私とルビィは急いで引き返して逃げる!
善子「走ってルビィ!!」
ルビィ「ぴぎぃ!! 善子ちゃん!! こっちは真っ暗だよ!!」
善子「嘘でしょ!? 真っ暗だと水門の位置もレバーの場所も分からないわ!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうダメぇぇぇぇ!!!!」
441
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:20:48 ID:gdc9acus
シャリン……
ルビィ「あ、あの猫しゃんの鈴の音……」
善子「猫の鈴の音……?」
見ると、光の球が 道の真ん中にふわふわと浮かんでいた。
その光はまるで道案内でもしているかのように次の水門の場所まで移動し、明るくレバーを照らしていた。
シャラララランキラリラリン……
442
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:21:56 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん、あれはなんだろう? 猫しゃんの鈴の音がしたけど」
善子「分からないわ! でもついていくしかないわ!」
ルビィ「うゆ、信じるよ! 猫しゃん!!」
シャラララランキラリラリン……
私たちはその光の球についていくことにした。
照らされたレバーを引き、水門を閉じる。
443
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:22:31 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
ダァンッ!!
ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!
バァァァァァァァンンンン!!!!
水門を破壊しながら、凄まじい勢いで Kはこちらに迫っている!!
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
444
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:23:02 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
善子「何がなんでもあの光についていくのよ!」
ルビィ「うゆ!!」
光についていくと鏡があった!
善子「あそこよ!! ようやく逃げ切れるわ!!」
ルビィ「今度こそだね!」
シャン……
ふふふっ……
またあの少女のしわざだろうか……鏡は消え去ってしまう。
善子「だから、ふふふ、じゃないわよ!」
ルビィ「ピギィ!! まだ逃げるの!?」
私たちは奥へと向かって走っていく……
445
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:23:33 ID:gdc9acus
ルビィ「!? 善子ちゃん!! 前が!!」
善子「!? 滝!?」
なんと目の前は滝になっていた。
これ以上、先へと逃げることはできない。
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
後ろから Kが迫ってきている!
ルビィ「もう逃げられないよ!!」
善子「まだよ!! まだあきらめないで!!」
善子(そうは言っても、もう逃げ切れないわ……今度こそおしまいかもしれない……そんな……)
446
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:24:05 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!
シャラララランキラリラリン……
光の球は、迫ってくるKに向かって飛んでいき、強い光を放つ!
Kは怯んでよろよろと壁に激突する!!
ルビィ「やったの……?」
善子「ルビィ!! 気をつけて!!」
Kが壁に激突した衝撃で天井が崩れ落ちてきていた!
このままだと私たちは崩落した天井の下敷きになってしまう!!
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
善子「くっ!!!!」
447
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:25:24 ID:gdc9acus
すると、Kは私たちに覆い被さった……
ガラガラガッシャーン!!
────
──
そこには身を呈して私たちを守るKの姿があった……
善子「K……私たちを助けてくれたの……?」
ルビィ「Kしゃん……」
448
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:25:56 ID:gdc9acus
Kは苦しそうに話し出す。
K「あんたたち……無事かしら……」
善子「あなたが守ってくれたから2人とも怪我ひとつしてないわ」
ルビィ「Kしゃん……」
K「あんたたちを○そうだなんて……ごめんなさいね……」
ルビィ「Kしゃん……どうしてそこまでしてルビィたちを助けてくれるの……?」
K「そうね……あなたたち、スクールアイドルでしょ……? 見れば分かるわ」
ルビィ「えっ……ルビィたちはたしかにスクールアイドルだよ……」
K「やっぱりね……そんな気がしていたのよ……」
K「私もね……スクールアイドルなのよ……」
ルビィ「えっ……」
449
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:26:28 ID:gdc9acus
K「少し長い話になるわ……私はここに迷い込んだ時、病気でね……先が長くなかったの……」
K「それでも、向こうの世界に置いてきたみんなとまた一緒に、歌いたい、踊りたい、その一心で出口を探したの……」
善子「……」
K「そして、あの女の子と出会ったわ……」
K「彼女は永遠の命をくれると言った」
K「私は永遠の命などいらなかったけれど、もう一度みんなに会いたいと、藁にもすがる思いでこの面を被ったのよ」
ルビィ「Kしゃん……」
K「だけどね、その代償は大きかったわ……」
K「面を被った瞬間、とてつもなく大きな力が体の奥から湧いてきて、意識をぐちゃぐちゃにかきまわされた」
K「そして気がついたら……まわりのありとあらゆるものを破壊していたわ……」
K「それから私は、たった一人で機会をうかがっていたの……」
K「湧き上がる力を押さえつけながら……自我を失って、もしかしたら誰かを傷つけるのではないかと怯えていたの……」
K「でも、やっと……あの子に一矢報いてやることができたわ……あなたたちのおかげよ……」
450
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:27:21 ID:gdc9acus
善子「同じスクールアイドルだから……私たちを助けてくれたの……?」
K「違うわ……でもね、あなたたちに向こうの世界においてきたみんなの面影を見たの……」
K「スクールアイドルの先輩として、後輩の盾となるのは当然よ……若い芽は摘ませない……」
K「きっと、あなたたちの先輩も、私と同じことを言うわ……」
K「私は……あなたたちが歩む未来を信じる……」
K「あなたたちは……これからの未来を切り開いていく……希望の光なんだから……」
ルビィ「Kしゃん……」
451
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:27:54 ID:gdc9acus
K「そろそろ限界みたいね……今度自我を失えば、もう二度と自分を取り戻すことは出来ないでしょうね……」
K「あなたたちに会えてよかった……この面も悪いことばかりじゃなかったわね……」
K「絶対に生きてこの世界から出なさい……もう一度、みんなの元に戻るのよ……」
善子「K……」
ルビィ「Kしゃん……」
K「どんな困難が訪れようと、希望を捨てないで……」
K「次は……助けてあげられないから、ね……」
そう言い残すと Kは滝の底へと落ちていった……
────
──
452
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:28:30 ID:gdc9acus
ルビィ「……Kしゃん」グスン
善子「K……」
ルビィ「どうしたらいいの……どうしたらルビィたちは……Kしゃんの分まで……」
善子「ルビィ……生きてここから出ましょう……そしてKが出来なかった分まで、ちゃんとスクールアイドルをやるのよ……」
善子「それが、私たちの未来を信じてくれた Kに対して、私たちができる精一杯のことよ……」
ルビィ「……うん」
私とルビィは先に進むために道を探した……
どうやらすぐ近くに別の場所へと続く廊下があるようだ……
私たちはそこへ向かって歩き出した……
453
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:29:00 ID:gdc9acus
廊下を歩いていくと台の上にあの黒猫がいた……
口には鍵をくわえている。
ルビィ「猫しゃん……」
善子「……鍵を持ってるわね」
シャリン……
猫は鍵を置くと、どこかへと行ってしまった……
ルビィ「……」
善子「ルビィ、あの猫についていくわよ」
ルビィ「うゆ……」
454
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:29:51 ID:gdc9acus
猫についていくと船着き場のような場所に到着した。
善子「奥に扉があるわね……鍵がかかってるわ」ガチャガチャ
ルビィ「猫しゃんからもらった鍵で開けよう」
善子「そうね」カチャ
善子「鬼の面の祭壇……大勾玉ね……これで4つ」
ルビィ「大勾玉ってなんだろうね」
善子「分からないわ……あら? 猫ちゃんは?」
黒猫はとまっている舟の先頭……船首に乗るとそこに座った。
善子「舟に乗れってことかしら……」
ルビィ「うゆ……乗ろう善子ちゃん」
善子「ええ……」
私たちは舟に乗る。
すると誰も動かしていないのに舟はひとりでに動きはじめた……
455
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:31:12 ID:gdc9acus
ルビィ「舟はどこまで行くのかな……」
善子「分からないわね……またどこかへ誘導しているのかもしれないわね」
舟は大きな赤い鳥居をくぐり、地下の湖をゆったりと静かに進んでいく……
湖には灯籠も浮かんでいる……
善子「ちょっと疲れが……」
────
──
456
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:31:46 ID:gdc9acus
少しうたた寝していたのかもしれない……
気がつくと舟は地下の湖のどこかを進んでいた。
善子「寝てたのかしら……あ、ルビィ」
ルビィは私の肩に寄りかかって眠っていた……
善子「ルビィもだいぶ疲れているみたいね……少し休ませてあげましょう……」
静かな時間が流れる……
────
──
457
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 12:32:22 ID:gdc9acus
Kは命が尽きるまで、何度も私たちを守ってくれた
彼女に応えるためにも、私たちは絶対に元の世界に帰らなければならない
状況は悪くなる一方だが
そう決意すると勇気が湧いてきた
船は自分の行くべき場所を知っていたかのように
ひとりでに船着き場に流れ着き
いつの間にか猫は姿を消していた
そこには、今までとは明らかに違う異様な雰囲気が漂っていた……
458
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 13:00:41 ID:81ywHGMk
一区切りだね
乙乙
最後まで…頼むよ
459
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 13:06:53 ID:lJW7hKng
ラブライブ!板から来ました
続き期待
460
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/07(水) 20:09:39 ID:lM13Cpa6
期待
461
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:06:59 ID:0q8CGXTE
─???─
善子「ルビィ、起きて」
ルビィ「うゆ……」
善子「着いたわよ」
ルビィ「うゆ? ……ここは?」
善子「分からないわ……船着き場に着いたみたい……それと……」
善子「……また回廊への入り口があるわ」
ルビィ「ぴぎぃ!?」
善子「しかも前の回廊より異様な雰囲気よ……なんていうか……不気味だわ」
ルビィ「うゆ…………あれ? 猫しゃんは?」
善子「分からないわ……船着き場に着いたらどこかに行っちゃったみたい……」
462
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:07:49 ID:0q8CGXTE
善子「今度の回廊も気を引き締めていくわよ、ルビィ」
ルビィ「うゆ……」
私たちは回廊へと入っていく……
ピチャ……ピチャ……
善子「中は……気味が悪いわね……歩くと水の音がピチャピチャと鳴るわね」
ルビィ「うう……ここ怖いよ……」
善子「ええ、不気味さは前の回廊の比ではないわ……」
463
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:08:19 ID:0q8CGXTE
善子「え……これって……」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「下の階がある……この回廊、上の階と下の階に分かれて複雑な構造になっているわ」
ルビィ「え……ということは……」
善子「今まで以上にきびしい探索になりそうね」
ルビィ「うゆ……」
善子「やることは同じはずよ……勾玉を5つ集めて祭壇に納める……」
ルビィ「うん……でも前の回廊よりも難しいよね……」
善子「……」
464
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:09:07 ID:0q8CGXTE
ルビィ「上と下、どっちに行くの?」
善子「下を見てみましょう……」
下の階を見るために階段を降りる……
善子「下の階には水が張っているわ……おそらく腰まで浸かるくらいの深さ……」
善子「これは歩くのも大変だわ……水が張っていて速く走れないから、下の階で徘徊者に襲われればまず逃げ切れないでしょうね……」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「しかも奥まで複雑に回廊が続いている……ここを長時間探索するのは得策ではないわ……」
ルビィ「うゆ……」
善子「念のため水が張っていない上の階から調べていきましょう」
ルビィ「そうだね、そのほうが安全だよね」
私とルビィは上の階から調べることにした。
465
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:09:38 ID:0q8CGXTE
善子「とはいえ……上の階も複雑な構造をしているわね……」
ルビィ「うゆ……」
善子「タンスや棚を調べていきましょう」
善子「こっちには……カメラ、爆竹……」
ルビィ「こっちも調べるよ……ひかり石、それから……」
善子「鍵を見つけたわ」
ルビィ「うゆ、鍵があれば勾玉が取れるね」
善子「ええ、あと手鏡とかがあれば欲しいわね」
466
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:10:50 ID:0q8CGXTE
善子「こっちにはレバーがあるわ」
ルビィ「うゆ……何のレバーだろう?」
善子「引いてみるわね」ガチャ
ザッパァァァァァンンンン
その瞬間、下で水の音が鳴った。
どうやら水門の板が下に落ちた音のようだ。
善子「これでここが通れるようになるけど、下は通れなくなったわけね」
ルビィ「ということは……下を通りたい場合、上のレバーを引かなきゃいけないから……」
善子「かなり複雑な構造の上に、この仕掛けはきびしいわね」
善子「これまで以上に気を引き締めていくわよ」
ルビィ「うゆ……」
467
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:11:38 ID:0q8CGXTE
善子「それからこっちを通って……」
善子「えっ?」
ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」
善子「……もう1つ上の階がある」
ルビィ「え……」
善子「嘘でしょ……ここに来て複雑になりすぎじゃない……?」
ルビィ「うゆぅ……」
468
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:12:21 ID:0q8CGXTE
善子「しかも見て……階段が……」
ルビィ「うゆ? 階段……?」
善子「例えばあそこの階に上るにはあっちからまわっていって……階段を上ったあとそっちにある階段を……」
ルビィ「ええ……これじゃあどこにいるか分からなくなっちゃうよ」
善子「そうね、どっちに進んでいるのかも分からないわね……」
ルビィ「でもコンパスがあれば大丈夫でしょ?」
善子「そうだけど……あっちに行くには……」
そこまで言いかけて気がついた。
廊下の奥から何かが来ている!
469
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:12:53 ID:0q8CGXTE
善子「ルビィ、隠れるわよ……何かいる!」
ルビィ「うゆ!」
私とルビィは障子を閉めて小部屋に隠れた。
外の様子はところどころ破れた障子や格子窓から見える。
善子「何かしら? あれ……」
見ると、人の顔をした霊魂のようなものが浮遊している。
何かぶつぶつと囁いているのも聞こえてくる。
470
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:13:41 ID:0q8CGXTE
善子「徘徊者かしら? でも能面を被っていないし……燭台のろうそくの反応もない……」
善子「でもここに隠れていれば大丈夫なはず……ルビィ、コンパスで方向を確認しましょう」
ルビィ「善子ちゃん、それが……」
善子「……どうしたの?」
ルビィ「コンパスの針がくるくるまわってて、祭壇がどっちなのか分からないよ」
善子「嘘でしょ……?」
そうしている間にも霊魂のような何かは浮遊しながら私たちの横を通っていった。
471
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:14:33 ID:0q8CGXTE
善子「とにかくアレに見つからずに済んだわ」
善子「もし見つかればどうなるか分からないもの」
ルビィ「うゆ……あれ?」
善子「どうしたのルビィ?」
ルビィ「あのお化けしゃんが通りすぎた後、コンパスのくるくるが止まったよ」
善子「え? ということは祭壇の方角を指しているのね」
ルビィ「うゆ」
善子「……なるほど、あのお化けが近くにいるとコンパスが狂ってしまうというわけね」
ルビィ「お化けしゃんが近くにいるとコンパスがおかしくなる……」
善子「ええ、いつ使い物にならなくなるか分からないからこまめに確認しましょう」
ルビィ「うゆ……」
私たちは先を進んでいく……
472
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:15:16 ID:0q8CGXTE
グスン……グスン……
善子「どこかに泣き声の主がいるわね……」
ルビィ「うゆ、下の階にいるみたいだね」
善子「勾玉があるってことね」
ルビィ「上と真ん中と下があるからどこに徘徊者しゃんがいるか分かりにくいね」
善子「階段があるわ、これで下に降りて勾玉を取りにいきましょう」
ルビィ「うゆ」
グスン……グスン……
善子「いたわ、勾玉が置かれた台の横にいる……爆竹で誘導して勾玉を取るわよ」
ルビィ「隠れられそうな場所は……」
善子「このあたりはなさそうね、もし襲われたらそっちに逃げましょう」
473
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:15:54 ID:0q8CGXTE
善子「爆竹を……えいっ」ヒョイ
……
パチパチパチパチパチ……
グスン……グスン……
善子「移動し始めたわ、誘導できているうちに慎重に勾玉を取るわよ」
ルビィ「うゆ」
私たちは台の上から勾玉を取ると、その場から立ち去った。
474
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:17:03 ID:0q8CGXTE
善子「なんとか1個目ゲットね」
ルビィ「うゆ、頑張ろう善子ちゃん」
善子「ええ、脱出するわよルビィ」
ドコニイルノ……
善子「待って、歩いてる泣き声の主もいるわ」
ルビィ「うゆ……」
善子「離れるまで慎重に移動するわよ」
ドコ……ドコニイルノ…………ドコニイルノ……
私とルビィは静かに移動する。
475
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:17:44 ID:0q8CGXTE
善子「ふう、これで大丈夫ね。 びっくりしたわ……」
ルビィ「うゆ……これだけ離れれば大丈夫だね」
そのときだった……
リーン……
どこからか鐘の音が聞こえてくる。
ルビィ「ぴぎぃ!? 何の音!?」
善子「落ち着いてルビィ……新しい徘徊者かしら……」
ルビィ「怖いよ善子ちゃん……」
鐘の音……それともただどこかで音がしただけ……?
善子「とにかくここから離れるわよ」
ルビィ「うん」
476
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:18:31 ID:0q8CGXTE
善子「ここまで来れば大丈夫かしら」
ルビィ「ねえ善子ちゃん」
善子「どうしたの?」
ルビィ「向こうから水たまりがすごいスピードで近づいてくるよ?」
善子「どういうこと?」
ピチャピチャ……
善子「本当ね……水たまりがこっちに来てる……そして私たちの足元で止まった」
チャポポポポポ……
ルビィ「水たまりの中からお年寄りの人が出てきたよ……」
善子「本当ね……じゃないわよ! 徘徊者じゃない!?」
ルビィ「ピギィ!?」
なんと水たまりの中から提灯と鐘を持つ老人の姿をした徘徊者が出てきた!
他の徘徊者と同様に顔には能面をつけている。
477
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:19:35 ID:0q8CGXTE
善子「逃げるわよルビィ! 完全に姿を現す前に!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちはその場から離れる!
善子「かなり距離を離したわ、これでなんとか……」
リンリンリンリン!!
ルビィ「見つかっちゃったよ!!」
老人の姿をした徘徊者は鐘を鳴らしながらゆっくりとこちらに向かってくる。
善子「鐘を鳴らしてるわね、足はそんなに速くないわ」
ルビィ「これなら逃げられるね」
善子「いえ、違うわ!! 走って!!」
ルビィ「違うってどういうこと!?」
私とルビィはそのまま走り続ける!
478
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:20:29 ID:0q8CGXTE
善子「いい? あの徘徊者は鐘の音を鳴らしながら追ってくるわ!」
善子「そして近くには泣き声の主がいる! あの子はすごく耳がいいわ!」
ルビィ「まさか……」
ドコニイルノ!!
予想通り泣き声の主が物凄い速さでこちらに走ってきていた!
善子「あの子は足が速い!! 振り切れないわ!!」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
ドコニイルノ!!
479
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:21:23 ID:0q8CGXTE
善子「走って!!」
ルビィ「もうダメぇ!! 追いつかれちゃう!!」
そのときだった!
ガラガラガッシャーン!!
天井が崩落して徘徊者と私たちの間の道が塞がれた!
廊下には棚や木材が落ちてきていて、徘徊者がこちらに来ることはできない。
善子「はあッ……はあッ……」
ルビィ「はあッ……はあッ……」
善子「助かった……」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「あの老人の姿の徘徊者はまわりの徘徊者を呼び寄せるみたいね……」
ルビィ「怖いよ……」
480
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:22:11 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……はあ……さあ、先に進みましょう」
一歩踏み出したその時だった!
バァァァァァァァンンンン!!!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
目の前の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してくる!!
善子「嘘でしょ!? ここ罠部屋なの!?」
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」
善子「後ろには逃げられない!! 横の部屋に入るわよ!!」
ルビィ「ぴぎぃ!!」
私とルビィはすぐ横の部屋に入る!
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
481
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:23:02 ID:0q8CGXTE
ルビィ「ぴぎぃ!? この部屋行き止まりだよ!!」
善子「嘘でしょ!?」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「待って!! あの台を見て!! 勾玉があるわ!!」
ルビィ「手鏡もあるよ!!」
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
善子「飛ぶわよ!! ルビィ!!」
ルビィ「うゆ!!」
私たちは2個目の勾玉を取るとすぐ横に置いてあった手鏡でワープした……
一瞬で景色が変わる。
どうやら上手く他の部屋に移動したみたいだ……
482
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:23:40 ID:0q8CGXTE
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「はあ……はあ……」
善子「何なのよ……本当に……」
ルビィ「うゆ……」
善子「今までの回廊の比ではないわ……複雑さだけでなく徘徊者も……」
ルビィ「ルビィ怖くなってきたよ……」
私たちは少し休んでから探索を続けることにした。
483
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:24:18 ID:0q8CGXTE
善子「台の上に何かの記事があるわ」
ルビィ「記事?」
善子「ちょっと読んでみるわね」
善子「……」
ルビィ「……」
善子「ふむふむ……」
ルビィ「どんな内容だったの?」
善子「向こうの世界で新聞を読んだじゃない?」
ルビィ「うゆ……神隠し事件の記事だったよね」
善子「これもその話みたい」
ルビィ「うゆ?」
484
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:24:48 ID:0q8CGXTE
善子「化け物が神隠し事件を起こした、と。 その詳細が載ってるわね」
ルビィ「うゆ……」
善子「要約するわよ。 千里眼の能力を持つ不思議な力を持った母親とその子供が村から離れた神社に住んでいたんだって」
ルビィ「千里眼……未来とか見えるんだよね」
善子「ええ、それで千里眼の能力を忌み嫌った村人はこの家族から距離を置いていたらしいの。 母親には冷たく接していたみたい」
ルビィ「…………」
善子「村人たちは、その子供もいつか本性を現し、母親をないがしろにした自分たちに復讐するのではないかと恐れていたらしいわ」
ルビィ「うゆ……」
485
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:25:21 ID:0q8CGXTE
善子「そして、そのときが来た……その子供が川に鉄砲水を起こして、その結果、村の子供たちは流されてしまったみたいね……」
ルビィ「そんな……」
善子「村人たちは村の子供たちが○されたと怒って、その母親と子供を○そうとしたらしいの」
ルビィ「ぴぎぃ……」
善子「そのとき、その子供が光り輝いて、その光が森を飲み込んだ……まわりのものすべてが、はじめから何もなかったかのように消えていた」
善子「神社も人々も夕暮れのヒグラシの声も……という話らしいわ。 その昔、当事者の誰かにインタビューして、その人が答えたことをまとめた記事みたいね」
ルビィ「うゆ……千里眼……鉄砲水……神隠し事件……」
善子「でもなんでこんな記事がこの回廊にあるのかしら……」
ルビィ「うゆ……」
私とルビィは回廊の探索を続ける……
486
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:26:34 ID:0q8CGXTE
ルビィ「今度は開けた場所に出たね」
善子「ええ、真ん中にレバーと床は……」
見ると床は木でできており、格子状になっている。
ルビィ「まるで落とし穴だね……レバーを引いたら床が落ちたりして」
善子「そうね、これは落とし穴……だからレバーは引いちゃダメよ」」
ルビィ「うゆ、やっぱり落とし穴だよね……」
善子「そのレバーを引くとここの木の床が落ちるようになっているわね……」
ルビィ「なんでこんな分かりやすい罠があるのかな……」
善子「分からないわ……下が見えるわね……そんなに高くはない……おそらく落ちても怪我はしない……」
善子「あれは……?」
ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」
善子「部屋があるわ……」
487
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:27:09 ID:0q8CGXTE
ルビィ「部屋……?」
善子「ええ、落とし穴のすぐ下の壁、穴があるわ」
ルビィ「穴……本当だ、部屋かな? 行ってみる?」
善子「いえ、後にしましょう……祭壇と勾玉が優先よ」
ルビィ「うゆ、そうだね……」
私たちは落とし穴の部屋を後にする……
488
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:27:45 ID:0q8CGXTE
善子「とにかく複雑な構造ね……」
ルビィ「うゆ……ここはどこだろう……うゆ……? なんだろうこれ?」
見ると変わった模様の鈴が置いてあった。
善子「猫がつけてる鈴って感じね」
ルビィ「あの猫しゃんの鈴に似てるね……」
善子「これも何かに使えるかしら……? 分からないわ……」
ルビィ「かわいいから持っていっていい?」
善子「いいけど……他の使えるものが優先よ、カメラとか爆竹とか」
ルビィ「うゆ」
善子「それにしてもさっきの記事といい、なんでこんなものが置いてあるのかしら……」
私たちは先を進んでいく……
489
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:28:21 ID:0q8CGXTE
善子「下に勾玉があるわね」
ルビィ「でもあそこってどうやって行くんだろう?」
善子「分からないわ……」
善子「鍵を開けただけでは手に入らないようになっているわね」
善子「今までの回廊とまるで違うわ……」
ドタドタドタドタドタドタ……
善子「隠れなきゃ」
ルビィ「うゆ」
シャン……シャン……シャン……シャン……
490
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:28:54 ID:0q8CGXTE
善子「ここに隠れて……」
シャン……シャン……シャン……シャン……
ドタドタドタドタドタドタ……
ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……
リーン
シャン……シャン……シャン……シャン……
善子「すごい数ね……鈴の徘徊者なんて近くに2体もいるわ」
ルビィ「これじゃあ全然動けないね……」
491
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:29:44 ID:0q8CGXTE
ルビィ「ここに隠れて何分くらい経つんだろう」
善子「そもそもこの世界に時間の概念があるとは思えないけど……」
善子(複雑すぎる回廊……数が多すぎる徘徊者……祭壇の位置はコンパスがくるくるまわって分からない……)
善子(まるで地獄絵図だわ……身動き一つ取れないし……徘徊者が通るたびにプレッシャーがかかる……)
善子(見つかれば○される……どうすればいいのかしら……)
善子「はあ……はあ……」
ルビィ「善子ちゃん……?」
善子「大丈夫、ちょっと疲れただけよ」
ルビィ「善子ちゃん……」ギュッ
ルビィは私を抱きしめてくれた。
善子「ルビィ……大丈夫よ」
ルビィ「無理しないで……ルビィも頑張るから」
善子「ええ、ありがとう……ルビィのおかげで落ち着いたわ。 一緒に脱出しましょう」
492
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2021/07/09(金) 04:30:20 ID:0q8CGXTE
現状、2人が分かっている徘徊者の情報
・警鐘の徘徊者
提灯と鐘を持つ老人の姿をした徘徊者。
顔には能面をつけている。
水たまり状態で索敵し、高速で接近してくる。
実体化すると鐘を鳴らしてまわりの徘徊者を呼び寄せる。
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