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善子「影廊」ルビィ「夕暮れの迷宮から脱出」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/05(金) 10:40:05 ID:9xbPbDTk
ラブライブ!SS

これはホラーゲーム「影廊 -Shadow Corridor-」のパロディSSです。


ゲームは有料版と無料版があります。

リンクは貼りません。興味のある方は各自で検索してください。


ゲームに関する過度なネタバレはなるべく避けるようにします。


それでもネタバレが気になる場合はお戻りください。


また、SS内では設定の一部改変があります。



この物語はフィクションです。

371以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:11:11 ID:gdc9acus
K「この面ね、呪いのようなものよ……彼女に会えば、あなたたちもすぐに分かるわ」


ルビィ「彼女……?」


K「この世界から出る方法を知るとしたら、彼女だけでしょうね」


善子「その彼女って子に会えば出られるのね?」


K「ええ、普段は道が閉ざされていて会うことはできないけれど……」

K「あなたたちなら話は違うわ」

K「ついてきて」

372以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:11:47 ID:gdc9acus
Kについていくと、遠くに不思議な建物が見える場所に来た。

建物のまわりは水で囲まれている。

その建物には鳥居があり、まるで大きな神社のようだった。


K「そこで止まりなさい」

K「あそこよ」


どうやらあの建物に彼女とやらがいるらしい。


K「最奥の部屋で、彼女があなたたちを待っているわ」

K「直接出口を聞きに行くというのなら、止めはしないわ」

373以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:12:21 ID:gdc9acus
K「だけどね、1つ忠告しておくわ。あの子の口車には絶対に乗ってはダメよ」


善子「口車……?」

ルビィ「うゆ……」


K「あと、そこにある水晶玉も持って行きなさい」

K「私の力を閉じ込めてあるわ」


善子「力を閉じ込めてある……?」


K「危なくなったら使いなさい。水晶玉が割れると十数秒、時が止まるわ」

K「それとこれはさっき拾った大勾玉よ」

善子「大勾玉……回廊の2階で拾った何かが違う勾玉ね……これはいったい」

K「さあ、私にも分からないわ」

善子「K、あなたって一体……」

374以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:13:11 ID:gdc9acus
そのときだった……


オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!


ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「この声は……さっきの……」


K「あの面なしの怪物はあなたたちを追っているわ」

K「他の徘徊者とは一線を画している得体のしれない奴よ」

K「命が惜しいのなら、早く行きなさい」


善子「ありがとう、行くわよルビィ!!」

ルビィ「うゆ、Kしゃんありがとう!」

────
──

375以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:13:54 ID:gdc9acus
私とルビィはあの不思議な建物を目指して歩き出す。


善子「水がすごいわね」バシャバシャ

ルビィ「うゆ……」バチャバチャ


そして、赤い巨大な鳥居の前

つまり建物の前へと辿り着いた。


善子「おそらく中はまた迷宮になっているわ」

善子「ルビィ、あきらめないで行くわよ」

ルビィ「うゆ……」

376以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:14:46 ID:gdc9acus
Kは一体何者なのだろうか……

そして、「彼女」とは……


「出口を知るとしたら彼女だけだ」


良い予感などしなかったが、私とルビィはその言葉だけを頼りに

暗黒の回廊へと足を踏み入れた……

377以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:15:17 ID:gdc9acus
─???─


善子「またあの鈴の徘徊者とかがいるのかしら……」

ルビィ「うゆ……」

善子「中はまた広いわね……壁や床は木でできているのかしら……朱色に塗られているみたいだけど」


ギシ……ギシ……


善子「足音も鳴るわね……どんな徘徊者がいるか分からない以上、慎重に行きましょう」

ルビィ「うぅ……」

378以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:16:00 ID:gdc9acus
善子「おそらく今回も勾玉を5つ集めて祭壇に納めればいいはずよ」

善子「そして奥にいる彼女とかいう子に出口を聞けばいいんだわ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「どうしたの……ルビィ」

ルビィ「ライターの火が……」

善子「えっ……揺らめいてる……」

ルビィ「うゆ……」

善子「燃料切れかしら……いや違うわね……」

ルビィ「徘徊者しゃん?」

善子「おそらく……近くにいるわ……」

379以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:16:33 ID:gdc9acus
善子「でもおかしいわね……足音も鈴の音もしないわ」

ルビィ「よ、善子ちゃん……!!」

善子「ルビィ、大丈夫よ、落ち着いて隠れれば……」


ルビィ「後ろ……」

善子「ッ!?」


振り向くとそこには足音を立てずにゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者がいた。

顔とおぼしき場所には他の徘徊者と同じように能面がついている。

足が数本生えており、まるで蜘蛛のようだ。

380以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:17:40 ID:gdc9acus
善子「あんなところを歩いていたのね……」

ルビィ「怖いよ……」

善子「大丈夫、まだ気づかれていないわ」

善子「足音を立てずにそっちの台の裏に隠れましょう」

ルビィ「うゆ……」


徘徊者はゆっくりとゆっくりと私たちの目の前を通る……

381以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:18:15 ID:gdc9acus
善子「……」ドクン……ドクン……

ルビィ「……」ドクン……ドクン……


善子(……すごく遅いわね)

ルビィ(あれならもし追いかけられても大丈夫だね)

善子(違うわ……まずアレの接近に気づかずに近寄られたらおしまいよ)

善子(廊下や角でバッタリ出会うわけにはいかないから接近に気がついたら隠れるしかないわ)

善子(さらにあいつの足が遅いことで、私たちは隠れなきゃいけない時間が長くなる)

善子(そうなればジリ貧よ)

ルビィ(ぴぎぃ……そっか……他の徘徊者しゃんもいるんだもんね……)

善子(ええ、しかも追いかけられたら、他の徘徊者と出くわすリスクもあるわ……)

ルビィ(怖いよ……ずっと隠れてなきゃいけないなんて……)

382以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:18:50 ID:gdc9acus
善子「……」ドクン……ドクン……

ルビィ「……」ドクン……ドクン……


善子(足音がしないから近くにいるのか、遠くにいるのか分からないわ)

善子(確認するために顔を出せば見つかる可能性もある……)

ルビィ(はあッ……はあッ……)

善子(ルビィ、我慢して……)


ドクン……ドクン……

383以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:19:24 ID:gdc9acus
善子「……」

ルビィ「……」


善子(どこかに行ったかしら……それさえも分からないわ)

ルビィ(うゆ……あ、ろうそくの火がつきはじめてるよ)

善子(ということはどこかに行ってるみたいね……)


善子「もう大丈夫……とはいえないわね」

ルビィ「なんで?」

善子「移動速度が遅いということは、私たちがいそいで探索すればまた出くわす可能性があるということよ」

善子「ジリ貧の状況で、焦ったりすることも許されないのよ」

ルビィ「ひぃぃ……」

384以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:19:54 ID:gdc9acus
善子「とにかく先に進むわよ……」

ルビィ「うゆ……」

善子「コンパスはこっちを指しているわね」

ルビィ「さっきの徘徊者しゃんがどっちに行ったか分からないから、進むの怖いなあ……」

善子「そうね……あの徘徊者がいるだけでもプレッシャーね……」


善子「ここの棚も調べて……そっちのタンスには何かある?」

ルビィ「ううん……特にはないよ」

385以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:20:33 ID:gdc9acus
ルビィ「あ、見て善子ちゃん! あそこに勾玉があるよ!」

善子「本当ね……でも取らないほうがいいかもしれないわね」

ルビィ「え?」

善子「前にもあったでしょ、あれはおそらく罠よ」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「そう、あの勾玉を取ろうとして部屋に入ったら奥から何かが飛び出してくるわ」

善子「そうでなければあんなところに勾玉を置いたりしないわ」

善子「前と同じなら奥から鈴の徘徊者が出てくるはずよ」

ルビィ「そんなぁ……」

善子「もしやり過ごしても、この迷宮の中に鈴の徘徊者が1体追加されることになるわ」

ルビィ「うゆ……」

386以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:21:09 ID:gdc9acus
善子「ここの勾玉を取るなら隠れる場所を探さなきゃならないわね……」

ルビィ「でも徘徊者しゃん増えちゃうんだよね……」

善子「ええ、その分、脱出が難しくなるわ」

ルビィ「ひぃぃ……」

ルビィ「まだ勾玉1個も取ってないから、やめとこうよ」

善子「……そうね、後回しでもいいわね」

ルビィ「追いかけられずに済むよ……」

善子「あとで来るかもしれないけど」

ルビィ「ピギィ!?」

387以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:21:40 ID:gdc9acus
善子「ほかの勾玉を取りにいきましょう」

善子「これだけ広い回廊よ、他にも勾玉があるはずだわ」

ルビィ「うゆ……」

善子「コンパスはこっちを指してるから……」


ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ?


ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「ルビィ、静かにして」

善子「泣き声の主よ……耳がいいから気をつけて」


ドコニイルノ……ドコニイルノ……

388以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:22:12 ID:gdc9acus
善子「泣き声の主はろうそくの火が揺らめかないからどこにいるか分かりにくいわね」

ルビィ「うゆ……どこにいるんだろう?」


ドコ……ドコニイルノ……


ドコニイルノ?


善子「!? しまった!! 目の前にいるわ!! 廊下を歩いていたんだわ!!」

ルビィ「ぴぎゃぁ!? なんで普通に廊下を歩いてるの!?」

善子「暗くて見えなかった!! まさかここまで接近されているなんて!!」


ドコニイルノ!!

389以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:22:52 ID:gdc9acus
善子「見つかった!! 逃げるわよルビィ!!」

ルビィ「うゆ!!」


ドコニイルノ!!


善子「追ってくるわ!! すごく足が速いわね!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!」

善子「ルビィ!! そこの扉閉めて!!」

ルビィ「分かったよ!!」

390以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:23:27 ID:gdc9acus
ドコニイルノ!!


ダンッ!! ダンダンダンッ!! バァァァァァァァンンンン!!!!


善子「扉を蹴破ってきた!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! すごい力だよ!!」


善子「しかも待って!! 向こうに何かいる……あれは!!」

ルビィ「足音が鳴らない徘徊者しゃんだよ!!」

善子「まずい!! はさみうちされてしまうわ!!」


ドコニイルノ!!

391以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:24:00 ID:gdc9acus
善子「このままだとあの忍び寄る徘徊者にもバレるわ!!」


バレた────ッ!?


アヒャヒャヒャヒャヒャ!!


その異形の化け物は飛び跳ねながら追いかけてきた!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! あっちの徘徊者しゃんは笑いながら追いかけてくるよ!!」

善子「もうダメ!!」


そのとき私は Kから渡された水晶玉を無造作に投げた!

無駄だと分かっていても抵抗するつもりで振った手だった。

水晶玉は手から投げ出され、床に落ちて割れた!


パリィィィィィンンンン!!!!


キュキュキュキュキュキュ……

392以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:24:37 ID:gdc9acus
善子「はあ……はあ……時間が……止まった……!?」


見ると徘徊者たちは動かなくなっていた。


ルビィ「善子ちゃん!! 今のうちに逃げよう!!」

善子「そ、そうね! 今のうちに逃げるわよ!!」


私とルビィはその場から走り去った……


そして時は動き出す……

393以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:25:07 ID:gdc9acus
善子「はあ……はあ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

善子「なんとか撒いたわね」

ルビィ「うゆ……もうダメかと思ったよ……」

善子「Kのおかげで助かったわ……」

ルビィ「怖かったよ……」

善子「ここは前の回廊と違って接近に気づきにくい敵が多そうね……気をつけましょう」


私とルビィは再び廊下を進んでいく……

394以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:25:38 ID:gdc9acus
現状、2人が分かっている徘徊者の情報

・忍び寄る徘徊者
音もなく回廊をゆっくりと歩きまわる異形の姿をした徘徊者
顔とおぼしき場所には能面をつけている
接近に気づくのは難しく、どこにいるのか分かりにくい
探知方法は視覚と聴覚
2人の走る足音にも反応するようだ

395以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:26:10 ID:gdc9acus
ドタドタドタドタドタドタ……


善子「あいつもいるのね……走り廻る徘徊者……」

ルビィ「うゆぅ……」

善子「やり過ごして先に進みましょう」


ドタドタドタドタドタドタ……


善子「どこかに行ったわね……」

善子「こっちのタンスも探して……」

ルビィ「善子ちゃん、鍵も見つけたよ」

善子「ええ、ありがとうルビィ」

ルビィ「鍵のかかった部屋には勾玉があるかもしれないもんね」

善子「そうね、まだ勾玉が1つも集まっていないものね」

396以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:26:42 ID:gdc9acus
ガチャガチャ……


善子「ここが鍵がかかった部屋ね……」

ルビィ「鍵で開けるよ」

善子「ええ、頼むわね」


ガチャ……


ザァァァァ……


善子「あった、勾玉ゲットね」

ルビィ「やっと1つ手に入ったよ……」

397以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:27:14 ID:gdc9acus
善子「コンパスはこっちを指してる……だけど行き止まりだから引き返してあっちの道を……」

ルビィ「善子ちゃん、あそこにも勾玉があるよ」

善子「本当ね、取りにいきましょう」


ザァァァァ……


扉を開けたその瞬間だった!


バァァァァァァァンンンン!!!!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

 
奥の扉から神楽鈴の徘徊者が飛び出してきた!

 
善子「嘘でしょ!?」

ルビィ「ピギィ!!」

善子「罠部屋だったの!?」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

398以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:28:35 ID:gdc9acus
善子(まずい!! 逃げ遅れた!! 目の前まで来てる!!)

ルビィ「ぴぎぃ!!」


ルビィは咄嗟に手鏡を使った!


景色が別の場所へと変わる。


私たち2人は別の場所へと移動したようだ。


善子「ワープしたみたいね……ここがどこか分からないけど……助かったわ、ルビィ」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「……迂闊だったわ、罠だと気づけなかった」

ルビィ「ごめんね、善子ちゃん……ルビィのせいで大事な手鏡を使っちゃって、それに徘徊者しゃんも増えちゃった……」

善子「ルビィ……大丈夫よ、ルビィは悪くないわ……あのままだったら2人とも○されていたかもしれないわ。私だって罠だと気づけなかったし、水晶玉のことだって使ってしまったのは私だし」

ルビィ「……うぇぇぇぇんんんんごめんなさい……うぅ……」グスン

善子「泣かないで、大丈夫よ」

ルビィ「うぅ……」グスン

399以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:29:18 ID:gdc9acus
善子(ルビィも疲れているのね……)


善子(でもまずい状況になったのは事実……)

善子(いま身を守るものが何もなくなってしまった……)

善子(時を止める水晶玉、ワープできる手鏡、徘徊者を一時的に怯ませられるカメラ……)

善子(どれも使ってしまった……いま襲われれば助からないわ)

善子(さらに徘徊者が追加されてしまった)

善子(この状況で身を守るものを探しつつ、勾玉を探す……あと4つも)

善子(状況としてはかなりきびしいわね……)

400以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:29:51 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃぁ……」グスン

善子「大丈夫よ、ルビィ……私たちは今までだってAqoursとしてきびしい練習をしてきた、どんな問題だって乗り越えてきたわ」

善子「それに比べればたいしたことない、きっと無事に帰ってまたみんなに会えるわ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「だから泣かないで、先に進むわよ」

ルビィ「うん!」


私たちは暗闇の中を進んでいく……

401以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:30:22 ID:gdc9acus
善子「次は……ここも鍵のかかった部屋ね……」

ルビィ「ここは開けられないね」

善子「徘徊者に開けてもらう方法もあるけど……」


そこまで言いかけてやめる。

身を守るものがないから襲われたらひとたまりもない、徘徊者に開けてもらうのはやめましょう……

そんなことを言えば、優しいルビィはきっと傷つくわ……自分のせいでこうなったんだって……

誰も悪くない……こんな状況でも絶対あきらめない……


善子「……」

ルビィ「……善子ちゃん?」

善子「……鍵がかかってるなら鍵を探さなきゃダメね」

ルビィ「うん……?」


ルビィだってつらいはずよ……私がしっかりしなきゃ……

402以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:31:00 ID:gdc9acus
善子「……はあッ……はあッ」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「大丈夫よ、ちょっと疲れただけ」

ルビィ「うゆ……」

善子「鍵はどこかしら……」

ルビィ「ここの棚は……あっ、あったよ」

善子「ありがとうルビィ、戻って勾玉を探しましょう」

ルビィ「うゆ!」

403以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:31:30 ID:gdc9acus
善子「あった! 勾玉よ! これで2つ……」

ルビィ「ひかり石もあったよ」

善子「これも何かに使えそうね」


善子「コンパスはあっちを指してるわ……あっちに行ってみましょう」

ルビィ「うゆ!」


グスン……グスン……


善子「今度は泣き声の主ね……あそこの広い部屋にいるのかしら」

ルビィ「そうだね……今度は廊下を歩いていないよね」

善子「気をつけて確認しましょう……大丈夫そうね」

ルビィ「じゃあ、あそこに勾玉が……」

善子「あるかもしれないわね……気をつけて取るわよ」

404以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:32:07 ID:gdc9acus
善子「隠れる場所はある?」

ルビィ「あそこの裏とか……」

善子「大丈夫そうね……爆竹で誘導するわよ、えいっ」ヒョイ


……


パチパチパチパチパチ……


ドコ……ドコニイルノ……ドコニイルノ……


善子「気を引くことができてるわね、勾玉を取って……これで3つ」

ルビィ「次に行こう、善子ちゃん」

善子「ええ、脱出するわよ、ルビィ」

405以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:32:38 ID:gdc9acus
善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」

善子「ここは一本道なのかしら?」

ルビィ「……」


ガラガラガッシャーン!!!!


ルビィ「ピギィ!?」

善子「何!?」


振り返るといままで歩いていた道が塞がれていた

建物が崩れて、天井から木や土、棚が降ってきて道を塞いでしまったのだ


善子「これじゃ後ろに戻れないじゃない……」

ルビィ「うゆ……怖かった……巻き込まれなくてよかったね……」

善子「本当ね……建物が古いからところどころ崩れたりするみたいね」


私たちは先を進む。

406以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:33:26 ID:gdc9acus
善子「今度はこっちを行って……あら? 綺麗な場所に出たわね」

ルビィ「水が引いてあるね、灯籠も浮かんでるよ」

善子「ここの廊下をまっすぐ行って……」


善子「え……行き止まり?」

ルビィ「えっ?」


善子「待って、ここまで一本道……後ろは道が塞がっている……」

ルビィ「出られないってこと……?」

善子「嘘でしょ……」

ルビィ「うゆ……」


善子(この世界から出る前に、閉じ込められてこの場所から出られないなんて……)

407以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:33:59 ID:gdc9acus
ルビィ「あ、あそこに勾玉があるよ!」

善子「取りましょう……これで4つ……でも閉じ込められたから、祭壇まで行く方法がない……」

ルビィ「うゆ…………うゆ? 善子ちゃん!」

善子「どうしたのルビィ」

ルビィ「ここに手鏡が置いてあるよ!」

善子「!? 本当だわ……これでこの場所から脱出できる!!」

ルビィ「うゆ!」

善子「飛ぶわよ!!」


手鏡に触れると一瞬で景色が変わる。

どうやら別の部屋に移動できたようだ。

408以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:34:34 ID:gdc9acus
善子「ここは……ここって……」

ルビィ「罠部屋の前だよ! あとで来るかもって言って、取らなかった勾玉がある!」

善子「ここなのね……そしてまだ罠が残ってる……中には鈴の徘徊者がいる……」

ルビィ「うゆ……」

善子「……ルビィ、あれをやるわよ」

ルビィ「まさか……」

善子「前やったでしょ、ひかり石で道を作るのよ」

ルビィ「ぴぎぃ! また走るの!?」

善子「ええ、やるわよ、隠れる場所を探して」


私たちはひかり石を廊下に置いていき、隠れるための行李まで道しるべを作った。

409以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:35:15 ID:gdc9acus
善子「これでよし、徘徊者に追いかけられている間は明かりが消えてしまうわ」

善子「でもこの石の光は消えることがない」

善子「だから暗闇の中にひかり石で道を作ることで迷わず走ることができるわ」

ルビィ「うゆ……追いかけられるの怖いよ」

善子「大丈夫よ、ここで勾玉を取れば5つ揃うわ、そうしたらコンパスが指すほうに歩くだけだもの」

ルビィ「うゆ……頑張るよ……」


善子「部屋に入るわよ……」


バァァァァァァァンンンン!!!!

 
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


予想通り奥から神楽鈴の徘徊者が出てきた!

善子「来たわよ! ルビィ、走って!!」

ルビィ「ピギィ!!」

 
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

410以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:35:46 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


私たちは暗闇の中に光る道を走っていく!


善子「あった! つづら箱よ!! 中に隠れるわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」


私たちは2人で箱の中に隠れた!


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

411以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:36:17 ID:gdc9acus
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「……」

ルビィ「……」


善子「……見失ってくれたみたいね」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「しばらく待ってあの鈴の徘徊者がいなくなったら勾玉を取るわよ」

ルビィ「うゆ……」

────
──

412以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:36:49 ID:gdc9acus
善子「あった、勾玉よ」

ルビィ「うん、これで5つだね」


善子「……あら? 奥に部屋があるわ……」

善子「祭壇……そして鬼の面……」

ルビィ「前の回廊であった、大勾玉の祭壇と同じだね」

善子「ええ、これも持って行きましょう……これで大勾玉は3つよ」



善子「勾玉が5つそろった、あとは祭壇に行って勾玉を納めればいいだけ」

ルビィ「コンパスはあっちを指してるよ」

善子「そっちね、行きましょう」

────
──

413以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:37:21 ID:gdc9acus
私たちはなんとか祭壇に到着した。

その場所はまわりを湖に覆われていた。

そして湖には大きな赤い鳥居がある。


善子「地下に大きな湖があるなんてね」

ルビィ「うゆ、善子ちゃん、勾玉を納めようよ」

善子「ええ、そうね」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


私たちが勾玉を納めると湖の水が割れていき、その中から橋が出てきた!


ルビィ「わあ、すごい!」

善子「この橋を渡れってことね」

414以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:38:19 ID:gdc9acus
私とルビィは橋を渡る……


ルビィ「見て善子ちゃん、橋を渡った先、あそこに鏡があるよ」

善子「これで脱出できるのかしら……」

善子「だとしたら Kの言っていた 彼女って誰なのかしら」


橋を渡った先で鏡に触れた。

すると景色が一瞬で変わった。

どこかへと移動したようだ。

415以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:38:50 ID:gdc9acus
ルビィ「ここは、どこ?」

善子「ここは……部屋? 廊下?」


シャン……シャン……シャン……シャン……


そこには神楽鈴の徘徊者がいた。

襲いかかってくる様子はない。


ルビィ「徘徊者しゃんだ……怖いよ……」

善子「襲いかかってこない……まるで私たちを待っているみたいだわ」


善子「……近づいてみましょう」

ルビィ「うゆ…………え? ……ええッ!?」

416以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:39:20 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん! 危ないよ!」

善子「……」


私が近づくと神楽鈴の徘徊者は振り向いて廊下をまっすぐと歩きはじめる。


シャン……シャン……


善子「ついていくわよルビィ……彼女って子に会いに、ね」

ルビィ「ぴぎぃ……こわいよ……」


シャン……シャン……


善子「長い廊下ね……」

ルビィ「この奥にその子がいるのかな……」

417以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:39:50 ID:gdc9acus
シャン……シャン……


廊下の先にたどり着くと、徘徊者はそこで止まった。

そこには扉があった。


善子「この先ね……」

ルビィ「うゆ……」


私たちは扉をくぐる……扉は後ろでバタンっと閉まった。


ルビィ「ぴぎぃ!!」

善子「……ここが最奥ね」

418以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:40:20 ID:gdc9acus
水が滝のようになって下に流れ落ちている。

橋の先……そこには宙に浮かぶ巨大な結晶があった……


ルビィ「何ここ……それにあのクリスタルは……」

善子「私もゲームとかでしか見たことないわね……こんなもの」


善子「何かしら……これ」


???「やっぱりあなたたち、とても良い魂を持っているのね」


後ろから声がした。

振り向くと、そこには黒い着物を着た、黒髪の少女がいた。

419以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:40:59 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎゃぁぁ!!」

善子「…………あなたが、彼女ね……」


ルビィ「びっくりしたよ……」


謎の少女「みんな私を化け物と呼ぶけど……あなたもそう呼びたいなら好きにするといい」

謎の少女「実際、今の私は化け物みたいなものだし」


謎の少女「でも私に言わせれば、人間の方がよっぽど質が悪いわね」


善子「私たちはこの世界から出る方法を探しているの……何か知っていたら教えてちょうだい」

420以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:41:43 ID:gdc9acus
謎の少女「出口を探しているならあきらめなさい。私のような力ある者にしか開けないし、あなたたちをここから出すつもりもない」

ルビィ「そんな!!」

善子「……」

謎の少女「でも、良い話があるの」


少女が手をかざすと能面が現れた。徘徊者たちが被っているものと同じものだろうか。


謎の少女「永遠の命……いつの世も人間が渇望した力。あなたたちはその力にふさわしい魂を持っている」

謎の少女「この面を被れば、あなたたちはどんな病にも害されない。どんな猛獣でもねじ伏せることができるようになる」


善子「……」

ルビィ「……善子ちゃん?」


善子「……そんな口車には乗らないわよ」


ルビィ「えっ、口車……? あ、Kしゃんが言ってた!」

421以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:42:14 ID:gdc9acus
謎の少女「そう……」

謎の少女「じゃあ、言い方を変えましょう」


謎の少女「あなたの魂に用があるの。 細工をさせてもらうから、大人しくしていなさい」


善子「……ッ!?」

ルビィ「どういうこと!?」


シャン!!


謎の少女が手をかざすと能面が私たちのほうにとんでくる……


ルビィ「ピギィ!! このままじゃあの面を被らされちゃうよ!!」

善子「……ッ!!」

422以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:42:44 ID:gdc9acus
その時だった……


カランコロン……


どこからともなく勾玉が床に落下する。


バシュン……


突然、あたりは光に包まれた!

能面は消え去り、光の中から Kが現れた!!


善子「……K!! 助かったわ!!」

ルビィ「ぴぎぃ……怖かったよぉ……」

423以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:43:40 ID:gdc9acus
K「ギリギリだったわね。あなたたちのおかげで上手く忍び込めたわ」

謎の少女「ああ、あなた……」

K「ようやく会えたわね、ずっとこの時を待っていたわ」

K「あんたはここにずっと引きこもっている、そこの物体、クリスタルがあるここにね」

K「思うに、あんたにとってそのクリスタル、さぞかし大事な物なんでしょう? ……違わないわよね」


シャン……

謎の少女は Kに向かって手をかざす。


K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

Kは苦しみだし、地面に膝をついてしまう……


ルビィ「ピギィ!? 大丈夫!?」

善子「K!! しっかりして!!」

謎の少女「その面、自分から被ったんでしょ。 自業自得ね。 そこで大人しくしていなさい」

424以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:44:12 ID:gdc9acus
謎の少女は私たちのほうに近づいてくる。


ルビィ「ぴぎぃ!!」

善子「くっ!! このままじゃ……」 


K「はあッ……はあッ……」


Kは息を切らしながらよろよろと立ち上がる……

そして私たち2人を必死に守ろうとする……


謎の少女「あなた、それ以上無理すると、人ではいられないわよ。 どうしてそこまで……」

K「ふふっ……さあ、どうしてかしらね……」

425以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:44:43 ID:gdc9acus
善子「K!!」

ルビィ「Kしゃん!!」


K「あんたたち、私から離れていなさい……」

K「いままでギリギリで保ってきたけど……もう限界みたいね……私の意識が保っているうちに、早く逃げなさい!!」


K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


Kは苦しみ再び地に膝をついてしまう……


K「最後の悪あがきよ……あんたにもらったこの力……利用させてもらうわよ……ッ!!」

426以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:46:52 ID:gdc9acus
K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


Kの体は光だし、異形の化け物へと姿を変えた!!


そこにあったその姿は、能面をつけ、その下に大きな口を開く、宙へと浮かぶ巨大な化け物であった。


その異形は謎の少女に飛びかかる!!

少女は光に包まれ、どこかへと消え去った。

どうやら回避したようだ。


化け物となったKはクリスタルへと向かって飛んでいく!!


K「うわぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」


パリィィィィィィイイイイイインンンンンン!!!!!!


Kはクリスタルへと体当たりし、クリスタルを破壊する!!

427以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 11:47:23 ID:gdc9acus
善子「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」

ルビィ「ぴぎぃぃぃぃぃぃ!!!!」


その衝撃で地面は崩壊し、私たちは滝の下へと落ちていった……

────
──

428以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:10:24 ID:gdc9acus
私とルビィは水の中へと落ちた……


善子「はあッ……はあッ……ルビィ! 大丈夫!?」

ルビィ「うゆ……!!」


水から上がる……私もルビィも怪我はしていない……


ルビィ「ここは……」

善子「水路……かしら?」


この道には水が張り巡らされている……


しかし……


善子「……!?」

善子「ルビィ!! 上から来るわよ!! 気をつけて!!」


上からは異形の怪物と化した Kが降ってきていた!!

水路に落ち、バシャァァァァンンンン と水しぶきを立てる!!

429以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:11:29 ID:gdc9acus
善子「K!!」

ルビィ「Kしゃん!!」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


自我を失っているのだろうか。

化け物となったKは叫び声をあげながら、私たちのほうに迫ってくる!!


ルビィ「ピギィ!? Kしゃんが!! ルビィたちを守ってくれたKしゃんが!!」

善子「逃げるわよルビィ!! このままだと危険だわ!! 走って!!」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


叫び声をあげながら迫ってくるK……

私たちは水をバシャバシャとかき分けながら走る!!

430以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:12:03 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎぃぃ!! 走りにくいよ!!」

善子「走るのよルビィ!!」


ルビィ「Kしゃん!! Kしゃん、しっかりして!!」

善子「K!! 私たちのことが分からないの!?」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「ダメよルビィ!! なんとかして逃げ切るのよ!!」

ルビィ「ふええええええんんんん!!!!」


目の前を見ると水門があった。

巨大な木の板が上から落下して、水を止める仕掛けになっているようだ。

431以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:12:34 ID:gdc9acus
善子「あの水門まで逃げるわよルビィ!!」

善子「あの下にレバーがあるわ!! きっと水門のスイッチよ!!」

善子「あれを使って通せんぼするわ!!」

ルビィ「うゆ!! わかったよ!!」


私たちはなんとか水門の内側に逃げ込んだ!


善子「ルビィ!! レバーを引いて!!」

ルビィ「うゆ!!」


巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!!


善子「これでこっちまで追って来られないはずよ!」

ルビィ「はあッ……はあッ……助かったの……?」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!

432以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:13:04 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァンッ!!


次の瞬間、凄まじい音が鳴り響く!

どうやら化け物となったKが水門を破壊しようと体当たりしているみたいだ!


善子「ちょ、ちょっと……嘘でしょ……? まさか、壊れたりしないわよね……?」

ルビィ「うゆ……」

433以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:14:20 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


水門は木っ端みじんになってしまう!!

そしてKはその巨大な体でこちらに迫ってくる!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 突き破ってきたぁぁ!!」

善子「逃げるわよルビィ!! 水路の奥へ!!」


私とルビィは走って奥へと逃げ込む。

434以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:14:57 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「あった!! 水門よ!! 逃げ込みましょう!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! それで足止めするしか方法ないよね!?」


私は水門のレバーを引く!

巨大な板はザバァァァァンンンン と水しぶきを立てて下に落ち、道を塞いだ!


ルビィ「はあッ……はあッ……でも突き破ってくるよね!?」

善子「ええ、ちょっとの間しか足止めできないわ」

善子「でもね、足止めしてるこの時間に、次にどうするか考えるのよ」

ルビィ「ピギィ!? 追いかけられてるんだよ!! 考えてられないよ!!」

善子「次の水門まで走って!! 考えるわよ!!」

435以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:15:41 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!

ダァンッ!!

ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


水門は木っ端みじんになる!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!! 無理だよぉぉ!!」

善子「あきらめないでルビィ!!」



善子「ッ!? 見て!! あそこに鏡があるわ!!」

ルビィ「え!! 本当だ!! 台の上に鏡が置いてある!!」


善子「あの鏡に触れるわよ!!」

436以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:16:11 ID:gdc9acus
鏡に近づいたその時だった……


シャン……


ふふふっ……ふふふ……


鈴の音と少女の笑い声が聞こえる……

次の瞬間、鏡は消えてしまった……


それどころか行き止まりだったはずの場所が道に変わっていた。


善子「なんでよ!!」

ルビィ「もしかしてあの女の子が地形を操っているの!?」

善子「そうかもしれないわね!! だとするとまずいわ!! どこに逃げても無駄かもしれないわ」

ルビィ「ピギィ!? 無理だよそんなの!!」

善子「それでも逃げるのよ!!」


私とルビィは必死になって走る……

437以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:16:42 ID:gdc9acus
善子「次の水門……あった!! ってもう板が降りてるじゃない!!」

ルビィ「善子ちゃん!! このレバー引くよ!!」


水門の水を止める板はゆっくりと上にあがっていく……


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「はやく……追いつかれてしまうわ!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうすぐそこにいるよ!!」


善子「お願い!! はやくして!!」

ルビィ「ぴぎぃぃぃぃ……」


善子「くぐって!! 反対側にレバーがあるわ!!」

ルビィ「うゆ!!」

438以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:18:48 ID:gdc9acus
私とルビィは水門の内側に入り、再びレバーを引く。

巨大な板は再び下に落ち、道を塞いだ。


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァンッ!!


善子「まだ来るわね……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

善子「走るわよルビィ!!」

ルビィ「うゆぅ!!」

439以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:19:32 ID:gdc9acus
私たちが走っていると鈴の音とあの少女の笑い声が聞こえた。


シャン……


ふふふっ……ふふふ……


地形が反転している!!


善子「こうなったってことはまさか……」

ルビィ「ぴぎぃ!! Kしゃんが正面が来るよ!!」

善子「嘘でしょ!?」


後ろにいたはずのKが私たち2人の正面から迫ってくる!!

440以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:20:15 ID:gdc9acus
ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」


ふふふっ……ふふふ……


善子「ふふふ、じゃないわよ!!」


私とルビィは急いで引き返して逃げる!


善子「走ってルビィ!!」

ルビィ「ぴぎぃ!! 善子ちゃん!! こっちは真っ暗だよ!!」

善子「嘘でしょ!? 真っ暗だと水門の位置もレバーの場所も分からないわ!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!! もうダメぇぇぇぇ!!!!」

441以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:20:48 ID:gdc9acus
シャリン……


ルビィ「あ、あの猫しゃんの鈴の音……」

善子「猫の鈴の音……?」


見ると、光の球が 道の真ん中にふわふわと浮かんでいた。

その光はまるで道案内でもしているかのように次の水門の場所まで移動し、明るくレバーを照らしていた。


シャラララランキラリラリン……

442以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:21:56 ID:gdc9acus
ルビィ「善子ちゃん、あれはなんだろう? 猫しゃんの鈴の音がしたけど」

善子「分からないわ! でもついていくしかないわ!」

ルビィ「うゆ、信じるよ! 猫しゃん!!」

 
シャラララランキラリラリン……

 
私たちはその光の球についていくことにした。

照らされたレバーを引き、水門を閉じる。

443以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:22:31 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


ダァンッ!!

ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!!


バァァァァァァァンンンン!!!!


水門を破壊しながら、凄まじい勢いで Kはこちらに迫っている!!


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

444以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:23:02 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


善子「何がなんでもあの光についていくのよ!」

ルビィ「うゆ!!」


光についていくと鏡があった!


善子「あそこよ!! ようやく逃げ切れるわ!!」

ルビィ「今度こそだね!」


シャン……

ふふふっ……


またあの少女のしわざだろうか……鏡は消え去ってしまう。


善子「だから、ふふふ、じゃないわよ!」

ルビィ「ピギィ!! まだ逃げるの!?」


私たちは奥へと向かって走っていく……

445以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:23:33 ID:gdc9acus
ルビィ「!? 善子ちゃん!! 前が!!」

善子「!? 滝!?」


なんと目の前は滝になっていた。

これ以上、先へと逃げることはできない。


あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


後ろから Kが迫ってきている!


ルビィ「もう逃げられないよ!!」

善子「まだよ!! まだあきらめないで!!」


善子(そうは言っても、もう逃げ切れないわ……今度こそおしまいかもしれない……そんな……)

446以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:24:05 ID:gdc9acus
あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!!!


シャラララランキラリラリン……


光の球は、迫ってくるKに向かって飛んでいき、強い光を放つ!


Kは怯んでよろよろと壁に激突する!!


ルビィ「やったの……?」

善子「ルビィ!! 気をつけて!!」


Kが壁に激突した衝撃で天井が崩れ落ちてきていた!

このままだと私たちは崩落した天井の下敷きになってしまう!!


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!!」

善子「くっ!!!!」

447以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:25:24 ID:gdc9acus
すると、Kは私たちに覆い被さった……


ガラガラガッシャーン!!


────

──


そこには身を呈して私たちを守るKの姿があった……


善子「K……私たちを助けてくれたの……?」

ルビィ「Kしゃん……」

448以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:25:56 ID:gdc9acus
Kは苦しそうに話し出す。


K「あんたたち……無事かしら……」

善子「あなたが守ってくれたから2人とも怪我ひとつしてないわ」

ルビィ「Kしゃん……」

K「あんたたちを○そうだなんて……ごめんなさいね……」

ルビィ「Kしゃん……どうしてそこまでしてルビィたちを助けてくれるの……?」

K「そうね……あなたたち、スクールアイドルでしょ……? 見れば分かるわ」

ルビィ「えっ……ルビィたちはたしかにスクールアイドルだよ……」

K「やっぱりね……そんな気がしていたのよ……」


K「私もね……スクールアイドルなのよ……」

ルビィ「えっ……」

449以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:26:28 ID:gdc9acus
K「少し長い話になるわ……私はここに迷い込んだ時、病気でね……先が長くなかったの……」

K「それでも、向こうの世界に置いてきたみんなとまた一緒に、歌いたい、踊りたい、その一心で出口を探したの……」

善子「……」


K「そして、あの女の子と出会ったわ……」

K「彼女は永遠の命をくれると言った」

K「私は永遠の命などいらなかったけれど、もう一度みんなに会いたいと、藁にもすがる思いでこの面を被ったのよ」

ルビィ「Kしゃん……」


K「だけどね、その代償は大きかったわ……」

K「面を被った瞬間、とてつもなく大きな力が体の奥から湧いてきて、意識をぐちゃぐちゃにかきまわされた」

K「そして気がついたら……まわりのありとあらゆるものを破壊していたわ……」

K「それから私は、たった一人で機会をうかがっていたの……」

K「湧き上がる力を押さえつけながら……自我を失って、もしかしたら誰かを傷つけるのではないかと怯えていたの……」

K「でも、やっと……あの子に一矢報いてやることができたわ……あなたたちのおかげよ……」

450以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:27:21 ID:gdc9acus
善子「同じスクールアイドルだから……私たちを助けてくれたの……?」

K「違うわ……でもね、あなたたちに向こうの世界においてきたみんなの面影を見たの……」

K「スクールアイドルの先輩として、後輩の盾となるのは当然よ……若い芽は摘ませない……」

K「きっと、あなたたちの先輩も、私と同じことを言うわ……」

K「私は……あなたたちが歩む未来を信じる……」

K「あなたたちは……これからの未来を切り開いていく……希望の光なんだから……」

ルビィ「Kしゃん……」

451以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:27:54 ID:gdc9acus
K「そろそろ限界みたいね……今度自我を失えば、もう二度と自分を取り戻すことは出来ないでしょうね……」

K「あなたたちに会えてよかった……この面も悪いことばかりじゃなかったわね……」

K「絶対に生きてこの世界から出なさい……もう一度、みんなの元に戻るのよ……」


善子「K……」

ルビィ「Kしゃん……」


K「どんな困難が訪れようと、希望を捨てないで……」


K「次は……助けてあげられないから、ね……」


そう言い残すと Kは滝の底へと落ちていった……

────
──

452以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:28:30 ID:gdc9acus
ルビィ「……Kしゃん」グスン

善子「K……」


ルビィ「どうしたらいいの……どうしたらルビィたちは……Kしゃんの分まで……」

善子「ルビィ……生きてここから出ましょう……そしてKが出来なかった分まで、ちゃんとスクールアイドルをやるのよ……」

善子「それが、私たちの未来を信じてくれた Kに対して、私たちができる精一杯のことよ……」

ルビィ「……うん」


私とルビィは先に進むために道を探した……

どうやらすぐ近くに別の場所へと続く廊下があるようだ……

私たちはそこへ向かって歩き出した……

453以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:29:00 ID:gdc9acus
廊下を歩いていくと台の上にあの黒猫がいた……

口には鍵をくわえている。


ルビィ「猫しゃん……」

善子「……鍵を持ってるわね」


シャリン……


猫は鍵を置くと、どこかへと行ってしまった……


ルビィ「……」

善子「ルビィ、あの猫についていくわよ」

ルビィ「うゆ……」

454以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:29:51 ID:gdc9acus
猫についていくと船着き場のような場所に到着した。


善子「奥に扉があるわね……鍵がかかってるわ」ガチャガチャ

ルビィ「猫しゃんからもらった鍵で開けよう」

善子「そうね」カチャ


善子「鬼の面の祭壇……大勾玉ね……これで4つ」

ルビィ「大勾玉ってなんだろうね」

善子「分からないわ……あら? 猫ちゃんは?」


黒猫はとまっている舟の先頭……船首に乗るとそこに座った。


善子「舟に乗れってことかしら……」

ルビィ「うゆ……乗ろう善子ちゃん」

善子「ええ……」


私たちは舟に乗る。

すると誰も動かしていないのに舟はひとりでに動きはじめた……

455以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:31:12 ID:gdc9acus
ルビィ「舟はどこまで行くのかな……」

善子「分からないわね……またどこかへ誘導しているのかもしれないわね」


舟は大きな赤い鳥居をくぐり、地下の湖をゆったりと静かに進んでいく……

湖には灯籠も浮かんでいる……


善子「ちょっと疲れが……」

────
──

456以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:31:46 ID:gdc9acus
少しうたた寝していたのかもしれない……

気がつくと舟は地下の湖のどこかを進んでいた。


善子「寝てたのかしら……あ、ルビィ」


ルビィは私の肩に寄りかかって眠っていた……


善子「ルビィもだいぶ疲れているみたいね……少し休ませてあげましょう……」


静かな時間が流れる……

────
──

457以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 12:32:22 ID:gdc9acus
Kは命が尽きるまで、何度も私たちを守ってくれた

彼女に応えるためにも、私たちは絶対に元の世界に帰らなければならない


状況は悪くなる一方だが

そう決意すると勇気が湧いてきた


船は自分の行くべき場所を知っていたかのように

ひとりでに船着き場に流れ着き

いつの間にか猫は姿を消していた


そこには、今までとは明らかに違う異様な雰囲気が漂っていた……

458以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 13:00:41 ID:81ywHGMk
一区切りだね
乙乙

最後まで…頼むよ

459以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 13:06:53 ID:lJW7hKng
ラブライブ!板から来ました
続き期待

460以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/07(水) 20:09:39 ID:lM13Cpa6
期待

461以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:06:59 ID:0q8CGXTE
─???─


善子「ルビィ、起きて」

ルビィ「うゆ……」

善子「着いたわよ」

ルビィ「うゆ? ……ここは?」

善子「分からないわ……船着き場に着いたみたい……それと……」


善子「……また回廊への入り口があるわ」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

善子「しかも前の回廊より異様な雰囲気よ……なんていうか……不気味だわ」

ルビィ「うゆ…………あれ? 猫しゃんは?」

善子「分からないわ……船着き場に着いたらどこかに行っちゃったみたい……」

462以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:07:49 ID:0q8CGXTE
善子「今度の回廊も気を引き締めていくわよ、ルビィ」

ルビィ「うゆ……」


私たちは回廊へと入っていく……


ピチャ……ピチャ……


善子「中は……気味が悪いわね……歩くと水の音がピチャピチャと鳴るわね」

ルビィ「うう……ここ怖いよ……」

善子「ええ、不気味さは前の回廊の比ではないわ……」

463以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:08:19 ID:0q8CGXTE
善子「え……これって……」

ルビィ「善子ちゃん……」

善子「下の階がある……この回廊、上の階と下の階に分かれて複雑な構造になっているわ」

ルビィ「え……ということは……」

善子「今まで以上にきびしい探索になりそうね」

ルビィ「うゆ……」

善子「やることは同じはずよ……勾玉を5つ集めて祭壇に納める……」

ルビィ「うん……でも前の回廊よりも難しいよね……」

善子「……」

464以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:09:07 ID:0q8CGXTE
ルビィ「上と下、どっちに行くの?」

善子「下を見てみましょう……」


下の階を見るために階段を降りる……


善子「下の階には水が張っているわ……おそらく腰まで浸かるくらいの深さ……」

善子「これは歩くのも大変だわ……水が張っていて速く走れないから、下の階で徘徊者に襲われればまず逃げ切れないでしょうね……」

ルビィ「ぴぎぃ……」

善子「しかも奥まで複雑に回廊が続いている……ここを長時間探索するのは得策ではないわ……」

ルビィ「うゆ……」

善子「念のため水が張っていない上の階から調べていきましょう」

ルビィ「そうだね、そのほうが安全だよね」


私とルビィは上の階から調べることにした。

465以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:09:38 ID:0q8CGXTE
善子「とはいえ……上の階も複雑な構造をしているわね……」

ルビィ「うゆ……」

善子「タンスや棚を調べていきましょう」

善子「こっちには……カメラ、爆竹……」

ルビィ「こっちも調べるよ……ひかり石、それから……」

善子「鍵を見つけたわ」

ルビィ「うゆ、鍵があれば勾玉が取れるね」

善子「ええ、あと手鏡とかがあれば欲しいわね」

466以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:10:50 ID:0q8CGXTE
善子「こっちにはレバーがあるわ」

ルビィ「うゆ……何のレバーだろう?」

善子「引いてみるわね」ガチャ


ザッパァァァァァンンンン


その瞬間、下で水の音が鳴った。

どうやら水門の板が下に落ちた音のようだ。


善子「これでここが通れるようになるけど、下は通れなくなったわけね」

ルビィ「ということは……下を通りたい場合、上のレバーを引かなきゃいけないから……」

善子「かなり複雑な構造の上に、この仕掛けはきびしいわね」

善子「これまで以上に気を引き締めていくわよ」

ルビィ「うゆ……」

467以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:11:38 ID:0q8CGXTE
善子「それからこっちを通って……」


善子「えっ?」


ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」


善子「……もう1つ上の階がある」

ルビィ「え……」

善子「嘘でしょ……ここに来て複雑になりすぎじゃない……?」

ルビィ「うゆぅ……」

468以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:12:21 ID:0q8CGXTE
善子「しかも見て……階段が……」

ルビィ「うゆ? 階段……?」

善子「例えばあそこの階に上るにはあっちからまわっていって……階段を上ったあとそっちにある階段を……」

ルビィ「ええ……これじゃあどこにいるか分からなくなっちゃうよ」

善子「そうね、どっちに進んでいるのかも分からないわね……」

ルビィ「でもコンパスがあれば大丈夫でしょ?」

善子「そうだけど……あっちに行くには……」


そこまで言いかけて気がついた。


廊下の奥から何かが来ている!

469以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:12:53 ID:0q8CGXTE
善子「ルビィ、隠れるわよ……何かいる!」

ルビィ「うゆ!」


私とルビィは障子を閉めて小部屋に隠れた。

外の様子はところどころ破れた障子や格子窓から見える。


善子「何かしら? あれ……」


見ると、人の顔をした霊魂のようなものが浮遊している。

何かぶつぶつと囁いているのも聞こえてくる。

470以下、名無しが深夜にお送りします:2021/07/09(金) 04:13:41 ID:0q8CGXTE
善子「徘徊者かしら? でも能面を被っていないし……燭台のろうそくの反応もない……」

善子「でもここに隠れていれば大丈夫なはず……ルビィ、コンパスで方向を確認しましょう」

ルビィ「善子ちゃん、それが……」

善子「……どうしたの?」


ルビィ「コンパスの針がくるくるまわってて、祭壇がどっちなのか分からないよ」


善子「嘘でしょ……?」


そうしている間にも霊魂のような何かは浮遊しながら私たちの横を通っていった。


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