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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

1Mii:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。

遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。





パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。

     ・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
      勝ち越せない程度の実力しかありません。
      戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
      むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
      読むようにしてください(最重要)。

     ・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
      白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
      別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
      
     パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」

638Mii:2020/02/23(日) 09:17:35 ID:1UjKuxiM
ゼルダ「受け止められるなら――受け止めて、みなさいっ!!」クルッ!



光の弓矢が、ただ走る。

――何もない、空間へと、一直線に。



デイジー「――――無茶、言うなっ!」

私と90°もずらした方向に撃った光の弓矢など、触れられるかっ!!


こいつ、かんっぜんに回収前提で光の弓矢を放つとは。
光の弓矢使いが荒いなっ!ハイラル王国の先祖たちが泣くぞ!



ゼルダ「さあロゼッタ!今度こそ、しっかり――光の弓矢を回収してしまうのです!!」

腰を落として、ガッツポーズまでしてくれる。

639Mii:2020/02/23(日) 09:22:32 ID:1UjKuxiM
そちらがそこまで割り切るのならば、こちらもさっさと割り切ろう。

光の弓矢をとにかく打ち止めにしてしまうために、ゼルダの残機をさっさと0にする。
ゼルダ→ ロゼッタorヒルダ → ゼルダ、これでルールには抵触しない。

ヒルダが風前の灯なので、ヒルダ狙いが賢い…と言いたいとこだが、
ここはロゼッタを狙っておきたい。というのも、残機が減れば自動的に、ストック分の魔法が消滅するからだ。
いつまでも寝首を掻かれ得る状況は御免被りたい。







そう、思ったところで――

何かが、上から、降ってきた。



ゼルダ「ロ、ロゼッタッ!?」





――ロゼッタ?…本当だ。
――どういう訳か、上の方からドシャァと落ちてくる。

640Mii:2020/02/23(日) 09:25:45 ID:1UjKuxiM
ダアァァン!!



ロゼッタ「――――ぐぅっ…………ふ、不覚っ……!」ヨロッ

ド派手に叩きつけられ、空気を吐き――よろよろと立ち上がるロゼッタ。
腕が、やたら血塗れている。さっきまでとは比べるべくもない。
せっかくの美しい蒼いドレスが台無しだ。

要塞法衣のおかげで、なんとか致命傷を免れたものの。
一気に、黄色ゲージあたりまで体力を持って行かれたらしい。



――光の弓矢は、どこかへ消えて行ったというのに。
――赤く染まるその手の甲には、何も光ってはいなかった。



ハッと青ざめ、手を袖に隠そうとするが、あまりに遅いぞ、ロゼッタ。
だいいち、その行動自体が、語るに落ちている。
それが意味するのは、唯一つ。大勢が決した、残酷な事実。



――ロゼッタの魔法行使が負荷目一杯、閉店ガラガラさようなら、ということだ。

641Mii:2020/02/23(日) 14:59:29 ID:1UjKuxiM
苦労と工夫を積み重ねて、大きな犠牲を払って、魔法の回収が不発に終わった。
これは3人にとっては、痛手も痛手、ゲームセットのようなものだろう。その無念さは容易に想像できる。



ロゼッタ「……あはは、大変な、ことに、なっちゃいました、ねえ」ドクドク


作戦は完全に瓦解。光の弓矢の使用者が完全にゼルダのみとなった。
ポンポンと魔法を使い続け、FPも消費し続けるから、そういうことになる。
ならば、作戦は変えなくてよいだろう。より効果が期待できる。

――ゼルダから潰すのが最適というわけ。



両腕を広げてヤレヤレと呟いて、一瞬目を閉じて。
目を開けたなら、ゼルダに向かって猛突進。



ロゼッタ「――ヒルダ、姫っ!
     ゼルダ、姫を、守って、あげてくださいっ!!」

ヒルダ「――そ、そんなっ……!」ブルブル

これから起ころうとすることに目を背けてしまったのか、
ヒルダは却って硬直するばかり。本当に――どうしようもない。
…いや、あそこまで激しいダメージで、それをやれと言うロゼッタの方が酷いか。
まだヒルダ、起き上がることもできていないんだぞ?

642Mii:2020/02/23(日) 15:17:45 ID:1UjKuxiM
勢いを大いに削がれたゼルダは、抵抗が完全に遅れた。
形だけのガードを見てから、まあ折角だから付き合ってやろうということで
正面突破は勘弁してやり、横薙ぎに蹴りつける。

一撃目。必死の形相で、身をよじったゼルダが蹴りを躱す。

右脚を振り切ってバランスを崩し隙を晒す…ようにみせかけて、
地面を手に取り上下反転。ゼルダが息を呑むのが分かる。
既に持っていた慣性力と手の捻りを最大限に活用し、カポエイラの要領で…
遠心力を味方につけた追撃の左脚がゼルダに向かって飛んでいく。

二撃目。更に容赦なくパーソナルスペースに突進してきた脚を防ぐこと叶わず、
顎を打ち砕かれ斜め後ろに吹き飛ぶゼルダ。

三撃目。伸び切った脚の勢いを糧に、ダンッと足の裏を確かに地面に叩きつけ、
再び起き上がった私は――頭蓋骨を砕かんばかりに、フルスロットルの踵落としを――



……するのは、最近の私としては「幸いにして」かなり抵抗があるので、
腹部に留めておいた。これで多少はマシな死に方をするだろう。

643Mii:2020/02/23(日) 15:20:22 ID:1UjKuxiM
ヒルダ「ファ、ファイアロッドッ!」

ファントム・ユガ「GAAAAAAAAAAA!」ブンッ





全て片付いてしまってから、まるで間に合っていないヒルダの援護射撃が、
いまさら私に降ってくる。集中できておらず、碌に威力がこもっていない。

平然と炎の雨の中を歩いて抜けて、うぅんと背伸び1回。





ゼルダ「――――――――――う、あ゙」





ほどなくして、ゼルダが、瞳孔を硬直させたまま、ぴくりともしなくなる。
そろそろ、終劇が近いようだ。



ゼルダ残機・・・残り『1』

644Mii:2020/02/23(日) 15:22:29 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「…………………………………………」



たらり、と嫌な汗。
現状、まったくもって安心できません。
…というより、絶賛不利な状態です。うわぁい。



ゼルダ姫もヒルダ姫も余裕なんてなく、私だってこの通り魔法行使の限界が近い。
私の予定外の残機消費が本当に響いていますっ…!!

えっと。作戦を元の軌道に修正するには――



最後に倒されたのが、ゼルダ姫で…。

ゼルダ姫が残機1、ヒルダ姫が実質残機1同然といえど残機2なので…。

デイジー姫にばれないように細心の注意を払うことを想定し――

ゼルダ姫に、なんとしてでもあと1発、光の弓矢を撃ってもらうには――!

645Mii:2020/02/23(日) 15:24:53 ID:1UjKuxiM





ロゼッタ(……あ。勝算や成功率はともかく、むしろ、計算はしやすく、なった?)





…ならば、その解答を目指して、突き進むだけの事。ふらつく足を叱咤激励。
私たち4人を駒とした、詰将棋の始まりです!

…あれ、ショウギってなんでしょう。チェスなら知っているのですが。
キノコ城でピーチ姫やデイジー姫とすこし嗜んだ経験があります。

さすが頭脳明晰、ピーチ姫には歯が立ちませんでした。
デイジー姫は、基本私より上手なのですが…
肝心なところでポカミスをして私が勝ちを拾うというか、なんというか。
あ、でも今のデイジー姫は、きっとお強いんでしょうね。



――話がそれました。忘れましょう。

646Mii:2020/02/23(日) 15:27:31 ID:1UjKuxiM
ロゼッタ「ゼルダ姫っ!私かヒルダ姫が残機を犠牲にしてでも時間を稼ぎますっ!
     ワンパターンと言われようと、もう一度――もう一度、光の弓矢をっ!
     勝つためにはなんだってやりますよ!」

ゼルダ「――――――――」ユラリ

ゼルダ姫が、光と共に起き上がります。
顔は青ざめていますし、すぐに口に手をやりましたが、まだ…
闘志は消えていません。その意気です!

デイジー「…ん?今、なんだってやる、と言ったか?
     その、なんだってやるための代償と、光の弓矢回収の期待値、
     そして…運よく賭けに勝って回収できたとして、その有効性。
     ますます魔法の幅は狭まり、体力は限界を早める。
     天秤が釣り合っているのか、今一度考えてみたらどうだ?」

ロゼッタ「考えた結果が、それなんですよーだ!」

想像の中だけでもアッカンべーをしてみて、気を紛らわせます。
もちろん実際にはやりません。デイジー姫を逆なでしたくない…というよりは、
純粋に体力の問題です。これ以上、余計な体力はびた一文払いたくありません!

私が虚勢を張る間に。ゼルダ姫が、ふらついて、ふらついて、それでも。
…光の弓矢を、撃つ態勢に入ります。
ゼルダ姫自身の精神力も、FPも、限界に近付いてきているのは確かでしょう。
無駄撃ちになんて…させません!

647Mii:2020/02/23(日) 17:59:47 ID:1UjKuxiM
突然に、迷うことなく、デイジー姫が私目がけて走ります。



…私も、目がかすんできました。
あと数分も、持たないでしょう。



ぎりぎりまで引きつけて、ワープ。
行き先は、倒れている同然で、柱にもたれ掛かるところまではなんとか持ち直したヒルダ姫の横。

デイジー姫が、それ見た事かと、すぐさま反転し迫り来る。
彼女からしてみれば、私だろうとヒルダ姫だろうと、どちらかの残機を削れば
プラスになります。そんな2人が、同じ方向に居てくれる。
彼女にとって、こんなに好都合なことはありません。



デイジー「どうしたゼルダ?撃ちたかったら、いつでも撃ってこいっ!」ダダダッ

ゼルダ「……………………舐めて、くれます、ねっ!!
    後悔、することに、なるんです、からっ!!」キュイィ―ン!!

一瞬だけ後ろを振り返って挑発をぶつけるデイジー姫に怒りながらも、なんとか平静を保ち――
光り輝き始める、ゼルダ姫の懐。これで、何度目でしょうか。

648Mii:2020/02/24(月) 23:05:47 ID:dj8ZNMfA
ヒルダ姫を、ちらりと見ます。
怯えた表情は、残ったまま。震えて、こちらを見返します。

ロゼッタ「ヒルダ姫、手を――――」

ヒルダ「…ううん、駄目です!今の、私じゃ、魔法は、まともに――」ブンブン

大きく、情けなさそうに首を振るヒルダ姫。





ロゼッタ「――――ごめんなさい」





ヒルダ姫の手を、それでも掴んだ私は、「相互演算」を使ってヒルダ姫のサポートを――
…するのではなく。これでもかというくらい、引き寄せて。





突進してくるデイジー姫の拳目掛けて、非情にも突き出して、
狙われていた私の、身代わりにしたのでした。

649Mii:2020/02/24(月) 23:20:52 ID:dj8ZNMfA
時が、止まる。



ヒルダ「――――――――ど、うして――――」ポタポタ

ポタポタと散る鮮血。小刻みに震える、ヒルダ姫の唇。
あえて心を狂鬼にして、ヒルダ姫に諭します。



ロゼッタ「このくらいは、さっきの失態の罪滅ぼしでしょう?今の状況、ヒルダ姫の残機が減る方が――
    私の残機が減るよりも被害が小さいのは…火を見るよりも明らかですよ?
    さあ、尽きかけていた命で、10秒稼ぐことができました。ユガさんは私が責任をもってお助けしておきます」

固まる2人を尻目に、なけなしのFPを送ってファントム・ユガさんの消滅を防ぎましょう。
打算主義でスタコラサッサです。



デイジー「――――そこまで、するか。
     勝ちたいとはいえ――あって無いような勝算のために、ここまで豹変するとは。私のことを笑えんぞ」

くたりと頭を垂れ、命を細らせていくヒルダ姫を前に…デイジー姫が唖然としています。
拳を振りほどいてみれば、体の内側からズタズタに破壊され限界の叫びが来たのか、
血の海にそのまま沈むヒルダ姫の姿がありました。



ヒルダ残機・・・残り『1』

650以下、名無しが深夜にお送りします:2020/02/24(月) 23:34:46 ID:PeTrKoUA
miiさん
新しいファイター考えていますか?

651以下、名無しが深夜にお送りします:2020/02/24(月) 23:34:55 ID:PeTrKoUA
miiさん
新しいファイター考えていますか?

652Mii:2020/02/25(火) 00:33:32 ID:cwPyF3J.
ゼルダ姫が、着々と、光の弓矢を、溜めて、溜めて――!

ゼルダ「ヒルダ姫の、仇、絶対に取らせて頂きますからね――」グズッ



……それ、デイジー姫に対して言ったんですよね?ね?
私に言ったりしていませんよね!?自業自得な面は確かにありますけどっ!

ヒルダ姫が、2度目の復活。
しかし、うつ伏せのまま、なにかうわ言を耳に届かせるばかりで、
起き上がる様子がありません。

所在なさげに、召喚された魔物が佇みます。






ロゼッタ「――――本当に、ごめんなさい」



物言わぬ状態になったヒルダ姫が、一瞬、ぶるっと震えた、気がしました。

653Mii:2020/02/25(火) 00:49:49 ID:cwPyF3J.
…これまで築きあげてきた友情、親愛…ぶち壊しにしかねない策略。
ロゼッタの異常な思考に唖然としつつ、一方で戦局判断は確か。

――何か、こちらが策に嵌っている…なんてことが、あるのか?

…いや、何度考えても、ないだろう。
すこしでも全体としての生存時間を伸ばす、というやり方は、
私が身を以て伝え鍛えてきたことだから、間違っちゃいない。

単に、それに律儀に従い続けているだけ、なのか?



あと残っているのは、残機最後のゼルダヒルダに、魔法が底を尽きかけたロゼッタ。
おそらく、次の光の弓矢をロゼッタが回収しそこねたら、完全に「詰み」だ。



ゼルダ「光の―――――――」パアアアアアァァァァ

ゼルダの一縋りの想いがこもり、ひときわ強く輝いた気がする、光の弓矢。

さあ、撃ちたければ撃ってこい。
変にタイミングをずらしても、ヒルダがもたらした猶予時間を浪費するだけだろう?



一瞬目を瞑ってから…ゼルダが、最後の、弓矢を放つ――

654Mii:2020/02/25(火) 01:13:05 ID:cwPyF3J.
デイジー「――――は」



――得体の知れない緊迫感に気付けたのは、偶然か。天空が、キラリと、光った。
――なにかが、衝撃波を纏い、凄まじい勢いで、落下してくる…!?





ロゼッタ「――――――――――――――――――――――――



     ―――Chiko Meteor《 キ ラ キ ラ 落 と し 》、最・大・出・力ぅ――――っ!!!」パアアアァァァッ!



チコ「「「「「「「「わああああああああぁぁぁぁ――――!!!!!!」」」」」」」」



ロゼッタ「私の残りのFP、ぜーんぶ、持っていきなさい、みんなっ!!」パアアアアァァ

デイジー「…!?」

655Mii:2020/02/25(火) 01:41:16 ID:cwPyF3J.
可愛い顔したチコたちが、いつの間に、フィールドの上空に待機していたのか。
全部で、たしか、8人。…数え方は「人」でいいんだよな?

だが、爆炎を上げながらのその速度、尋常でない。とても、あんな速度でチコたちが動けるとは思えない。
というより、ロゼッタは「最大出力」と言ったな?…原動力は、ロゼッタ?



――――まさか、選択的な、一種の…重力制御っ!



ロゼッタ「光の弓矢ほどじゃないですけど、当たると痛いですよーっ!
     チコの頑丈さは、折り紙付きですからねーっ!!」グググググッ!

デイジー「…がっ!?」ズギャンッ!

おそらく、動転していなければなんとか避けられていたであろう先陣の1発目が、脳天に、直撃。



チュドオオオオオォォォォォ―――ン!!



その、威力。かなりの痛みをもたらした後、逸れて行って、フィールドの地面に深々と突き刺さる。
その瞬間、ズゴォッと割れる地面、半径10メートルのクレーター。
当たり判定こそごく小さいが、ヒルダのナイスハンマーに勝るの威力じゃないかっ!
これを最初からどうして使わなかった…!?

656Mii:2020/02/25(火) 07:02:54 ID:cwPyF3J.

ロゼッタの 特攻が がくっと 下がった!▼


デイジー「…ん?」

ロゼッタ「どんどん、行って――っ!」ハァッ!


チュドオオオォォォ――ン!

デイジー「…………あれ?」ヒラリッ

ロゼッタの 特攻が がくっと 下がった!▼


ロゼッタ「ど、どん、どん、おねが、い……」ゼェゼェ

チュドオォ―ン!

デイジー「…………」ヒラリッ

ロゼッタの 特攻が がくっと 下がった!▼


デイジー「…………威力、下がってないか。
     いや、ぶっちゃけると技名が間違ってないか」

ロゼッタ「ままま、まっさかぁー?」アタフタ

657Mii:2020/02/25(火) 07:25:35 ID:cwPyF3J.
ゴオオオオオオオオオオオオォォォォォォッ――――!



デイジー「――――っ!!!!」


――ぬかった。
――思わずツッコミを入れてしまったところに、忘れ物。
――ここまで計算していたというのなら、ロゼッタも相当な策士だ。

――――絡繰りもハッタリも、なにもない。
――――忘れたころに、今度は普通に私を狙う、素朴で素直な、一射。

――――光の弓矢、颯爽と迫り来る。



ゼルダ「――――終わり、ですっ!!」

ゼルダの最後の雄叫びが耳障り。だが……。

――――ここまで来てこの集中力、惚れ惚れする。
――――挟撃に見事に嵌って…これは、よけられ、ない。

――――だが、急所を庇えないほどではない。
――――諦めて、腕の貫通くらいは覚悟しようと割り切って、ずいっと腕を動かす。

658Mii:2020/02/25(火) 19:51:48 ID:cwPyF3J.







が…幸いなことに。

私には、届かなかった。













3人の最後の希望を乗せて迫り来るその矢は、私の3メートルばかり手前で、
力の限界を迎えて――フッと、消えてしまったのだから。

659Mii:2020/02/25(火) 20:00:35 ID:cwPyF3J.
ゼルダ「――――そ、そん、な」ガクッ



この世の終わり、と叫びたい感じのゼルダが、唖然として、力なく、崩れ落ちる。
俯き膝を付いて、動けない。…なるほど、これで、ゼルダもFP切れ…いや、魔力切れ、ということか。

デイジー「――――終わったな」

ゼルダ「……」ピクッ

ゼルダ「……ま、だです」グッ



…おや。



ゼルダ「――――やあああああああああああああ―――っ!!!」ダッ!



私のつぶやきに激昂したのか――途端に、完全な、やけっぱち。
満身創痍のまま一心不乱に、無謀すぎる接近戦を挑んでくる。

渾身のゼルダのパンチも、カッターも、私はぞんざいな手の振りでパシパシと。
目の前に拳を突き出して――――

660Mii:2020/02/25(火) 20:02:07 ID:cwPyF3J.





ゼルダ「――――あ」





一瞬達観したかにみえたのは、気のせいか。





よくやった、と心の中では褒めながら。
ラストの一撃で、フィールドの彼方まで、殴り飛ばしてみせた。





デイジー「…悪いが、スマブラには…顔面セーフとか、ないんでな」


ゼルダ残機・・・残り『0』
ゼルダは 戦線離脱と なった!▼

661Mii:2020/02/25(火) 20:07:20 ID:cwPyF3J.
ヒルダ「ひっ……さ、サンドロッドっ!サンド、ロッドっ!!
    サンドロッドっ!サンドロッドっ!!サンドロッドっ!!
    ―――――――――――サンド、ロッドォ――――!!!」ガクガクブルブル



次は、自分か。絶望の直感が、ヒルダに襲い来る。
恐怖心で出鱈目に、ヒルダがサンドロッドを指示。
あちこちに砂柱が立つが、障害にもならない出鱈目な位置に、出ては崩れることを繰り返す。



もはやロゼッタもヒルダも脅威ではないが、まだ魔法のストックがあるヒルダから先に片付けるか。
その後、ロゼッタを二連続で倒す。これで行こう。



さあ、猶予のカウントダウンを、始めよう。



ゼルダが、起き上がって…ため息付いて。いそいそと、フィールドの外に出て行く。
思う存分、最期を観戦してやるといい。



チコ「…ねえねえ、ママたち、勝てるかなあ?」

ゼルダ「もうすぐ、わかるわ。…大丈夫よ、きっと。あの2人…いえ、私たち3人なら」

662Mii:2020/02/25(火) 20:11:39 ID:cwPyF3J.
――9、8、7。


ヒルダ「サンド、ロッド!」グズッ



回避にしても食らうにしても、まだまだ余裕。


―――6、5、4。


ヒルダ「サンド、ロッドッ!」グズッ!


―――3、2、1。


ヒルダ「サンド、ロッドォ――――ッ!」グズッ!!





デイジー「…ゼロ、だぁ―――っ!!」

私の、怒涛の、進撃。最早、止める物など、何もない。

663Mii:2020/02/25(火) 20:15:44 ID:cwPyF3J.



ロゼッタ「――――お返し、です」ザクッ!!





デイジー「――――――――」

ヒルダ「ロゼ、ッタ?」

ヒルダの、涙声がする。



ロゼッタ「――は、はは。
     私ごときに間に入られるだなんて、デイジー姫も、抜けています、ね」ドクドク

デイジー「…今度は、自分から、身代わりに、か――徹底的な打算、貫き通しているのだな」



ぬっと、割って入られた。…そう、ロゼッタに。
…いや、私も好きでロゼッタの心臓を貫いているわけじゃ、ないんだが。
正確には、今更勢いが止められないタイミングで、自分からワープで身代わりに入られた。
これは流石に、どうしようもない。ドンピシャな防御策…なのか、な?

664Mii:2020/02/25(火) 20:19:13 ID:cwPyF3J.
ロゼッタが、心臓を貫かれたまま、苦しそうにしながらも、微笑んでいる。
…へんなスイッチが入っていたりしないよな?全く。



デイジー「…なけなしと言っておきながら、最後の最後のために…FP、残しておいたのか」

ロゼッタ「は、はい。――デイジー姫を、引っ掛ける、ことができて――
     私も、満足、ですっ――ご、ほっ」ガハッ!

口の中を真っ赤にしながらも、満足気。
目を閉じて、そのまま四肢をだらんとさせる。

これで、ロゼッタもヒルダも、残機1だ。
自動的に、ヒルダ、ロゼッタの順で倒すことになる。




ロゼッタが――光に包まれ、息を、吹き返す。


ロゼッタ「…では」スクッ

…さあ、最後のあがきを、見せてもらおうじゃないか。

665Mii:2020/02/25(火) 20:23:52 ID:cwPyF3J.
まずは、体に付いた汚れをパン、と払い。サササッと…私から、離れていく。

ロゼッタ「あがっ……い、いたぃ、です、ね…!!
     しばらくは体、まともに、動きません、よぉ…!しくしく…」



そして。



ゼルダ「お疲れさまです、ロゼッタ」

ロゼッタ「はい、やっぱり中々…上手く、行きませんね。デイジー姫、強すぎます。
     眩暈も吐き気も、酷い、です、し。助けて、ください、よ」

ゼルダ「そんな余裕、私にあるわけないでしょう。どれだけ光の弓矢を乱発したと」



デイジー「――――おい、ロゼッタ」

ロゼッタ「――は、い?ど、どうしましたか、デイジー、姫」ゼェゼェ



思わず、プッと笑ってしまう。完全にグロッキー状態だ。
ここまで、精根尽き果てるまで戦っていた、というのは嬉しい限りだが。

666Mii:2020/02/25(火) 20:27:14 ID:cwPyF3J.
デイジー「どうしたもこうしたもないだろうが。

     お前、残機をよくカウントしてみろ。まだ1機残ってるぞ。
     とっととフィールドに戻ってこい」

ロゼッタ「――――え――――――――」



ロゼッタが目を白黒させる。

デイジー「そんな事にも気付かないとは、お間抜けだな。
     私としては、遮二無二の本気度が伺えて最高に嬉しいが。
     どんな時も冷静沈着で在れ。なあ、ロゼッタ」ニヤッ

ロゼッタ「――――あっ―――――――――――――――――
     うっかりしていました、も、申し訳、ございま、せん……」



ロゼッタが、再び向こうを向いてしまう。
まあ、ショックなのは分からなくもない。恥ずかしいよな。

デイジー「いい、構わん。待ってやるから、とっとと降りてこい――」



するとロゼッタが、首だけこちらに向けてきた。
折角復活したのに、地べたならぬ「血べた」に倒れていたせいで、
ところどころ赤くなっている背中、そして顔。

667Mii:2020/02/25(火) 20:29:40 ID:cwPyF3J.
だが、その顔は――――
















ロゼッタ「うっかり、伝えそびれていました。



     ――――私の残機…確かにさっき、『0』になりましたよ?」フフッ



――――身の毛もよだつほどの、「してやったり」の顔だった。

668Mii:2020/02/25(火) 20:32:19 ID:cwPyF3J.
頭が一気に冷たくなる。



残機が、尽きた?いつ?そんな馬鹿な。



…いや。今は、それは後回しにしなければおかしい。



得てして、作戦のネタ晴らしをするタイミングというのは。



ひとつ。調子に乗った、傲慢になった者が口を滑らせる場合。



そうでなければ、もうひとつ…相手に知られても最早ひっくり返ることのない状態を
己の手の内に呼び込んだ後の、勝利の余韻の場合なのだから。



だが、そうは言っても…後ろに控えているのは、生気を失った、戦力には程遠いヒルダのみで―――

669Mii:2020/02/25(火) 20:45:04 ID:cwPyF3J.
後ろを、振り返り、始めた。



ロゼッタ(デイジー姫。あなたの敗因は、大きく分けて…えーっと、4つ、ですか。割とありますね。
      どれか一つでも気付けていれば、私たちの負けでした。

      ひとつは、『相互演算』がその言葉通り、『私が2人のチカラを借り受けることもできる』という
      事実を知らなかったこと。…まあ、言っていませんしね。
      ゼルダ姫に手伝ってもらって、私の処理限界をAランクにまで上げました)

     

ヒルダ「――――――――――」

出鱈目に立ち上っていた砂の柱が、視界に入ってくる。
その中に、不自然に崩れている柱が、ある。
多分、横からの衝撃で、崩されたのだろう。そう、思えた。

670Mii:2020/02/25(火) 20:50:21 ID:cwPyF3J.
もうすこし、振り返っていた。



ロゼッタ(2つ目としては、私の無茶振り、思い切り。
     ゲイルアタックの時にもありましたが…直後に残機減らすこと覚悟なら、
     HPをゴッソリバッサリ削って、さらに処理限界を一段階上げられます。

     …もちろん、こんどは生命力を削らないように細心の注意を払いましたけどねっ!
     ゼルダ姫やヒルダ姫にも確認していただきました!それはもちろんっ!

     というわけで…一回こっきりですが、Sランクの魔法が使える状態にまでなっていたんですよね)



ヒルダ「――――Tri――」

同じような柱が、更に、2本。全部で、3本。
意味は分からないが、あんなことができる魔法、あっただろうか。それも、音もなく。
だが、どうしても胸騒ぎが収まらない。

671Mii:2020/02/25(火) 20:58:40 ID:cwPyF3J.
更に、振り返っていた。



ロゼッタ(3つ目としては…その…あれです。
     Sランクの魔法を繰り出した後、それを最高に活かせる秘密兵器的な魔法を、
     実はヒルダ姫が使えるようになったということですね。
     ゼルダ姫が『ユガができるならファントム・ユガだってできるはず』とおっしゃっていましたが…
     今更になって考えると、説得力があるようなないような…まあ、できたのだからよしとしましょう。
     不意打ちとか初見殺しとか思っちゃいけませんよ!)



ヒルダ「―――――――――dent――」

あの魔物が、何かをぶん投げた格好をしている。
ヒルダが、それに合わせて、魔法の力を込めた手を左から右へ振り、何かを発動させようとしている。

私の目前に、何かが飛来する。



――ブーメラン?



回転を続けながら迫るそれは、速さこそあれど重量的には、別に大した脅威などではない、はず。

ただ――なぜかそいつは、私を狙う鮮やかな軌道を描きつつ。
砂の柱に隠していたであろうヘンテコな四角い物を3つ、巻き込んでいた。

672Mii:2020/02/25(火) 21:22:30 ID:cwPyF3J.
共通しているのは――それぞれの四角の中に。
一風変わった青いドレスで金髪碧眼の女性の絵が、描かれている、らしい、こと――っ!?

ロゼッタ(そして、なによりも、4つ目。その秘密兵器が、来たるべき時に備えて…
     『陰でこそこそ光の弓矢を回収していく』のを、しっかり雲隠れさせてしまう程度には――)

それと、しっかり判断できた、のは。
ボンっと白煙を上げて、絵から「彼女」たちが、一斉に飛び出し、目の前に肉薄してから、で。

デイジー(…!?ヒルダ、どうして笑って――)



ロゼッタ(分身1)「――――っ!」ブワッ!

ロゼッタ(分身2)「――――っ!」ゴウッ!

ロゼッタ(分身3)「――――チェック、メイトッ!」バンッ!



ロゼッタ(―――――――ヒルダ姫の『演技』が抜群に冴えていた、ということですよ!)



ヒルダ「――――――――Arrow《三叉光戟(さんさこうげき)》――っ!!!」キラッ!!

私の行動のまえに、3人の右手が、私の腹すぐ手前に、グイッと持ってこられていて。
3人の手の甲には、どういうわけか、どれもこれも光る弓矢の紋章が浮き上がっていて。
1本の血を浴びた赤い弓。2本の白く輝く弓。たちどころに、私の胴へ、突き刺さったの、だった。

673Mii:2020/03/01(日) 03:54:40 ID:1YedFqgQ
ダアァン!!



デイジー「ふ、ぐっ…!」グラッ



束になった、神々しい3本の光の矢。

放った3人のロゼッタの分身どもは、継続ダメージが祟ったか、ほどなくして消えていく。
ついでに、あのファントム・ユガまでも、役割を全うしたのか消え失せる。

…あの図体の真意は、分身体たちを影にし、取り込んでおくこと、かっ!
本体のロゼッタが回収失敗するのを見せつけつつ、1本1本しっかり回収して…!
能天気な私にも、ようやく事態が呑み込めた。



だが、そんなことは一旦忘れて。
とりあえず、無防備な懐を狙われ吹っ飛ばされ、特大ダメージを受け。
腹部から大量に出血している、この状況を、どうにかしなければ…!

…ほんっ、とうっに!キツイな、これ、はっ!
一瞬背中を付けた、ところ、からは、少しばかり、起き上がれた、がっ!
だが、まだ負けては、いない!

ユガを残す魔力すらなくなったということは、もはや魔法は飛んでこない、はず!
とっとと立ち上がって、HPを失わないうちにヒルダにトドメを――

674Mii:2020/03/01(日) 04:00:32 ID:1YedFqgQ



ヒルダ「――」ダダダッ!

低体勢から、ヒルダが――突っ込んでくる?



ヒルダ「ゼルダ姫直伝――――――――」

立ち上がり切っていない私の懐に、脇目も振らず突っ込んでくる。
…こんな攻撃、私に効くはずがない。
ヒルダの基礎体力のモヤシっぷりを馬鹿にしてはいけない。



――それが、「2か月前のヒルダ」であった、なら。
――目の前に決死の覚悟で向かってきているのは、「私に苛め抜かれたヒルダ」なのだ。
――精神ズタボロになりながらも、涙の跡残しながらも、1戦士として向かってくる。





ヒルダ「――――――――――――『疾風』――――っ!!」ズバァン!
基礎体力レベル:Lv25

デイジー「―――――――っ!」グラッ

675Mii:2020/03/01(日) 04:04:34 ID:1YedFqgQ
深い手負いの私からすると十分に力強くなってしまっている、切り裂き攻撃。
切り裂きついでというか、ヒルダの自愛しない全力疾走、もといタックルに…
起き上がろうとしていた私の背中が、また再び地面に叩きつけられる。



ヒルダ「ハァッ――!」

仰向けの私の体の上にダイブで乗っかって、汗だくで顔を俯かせて、私以上に満身創痍。
…今の残機としては肉体ダメージはほぼないはずだが…魔力枯渇と精神摩耗が
相当に堪えているらしい。私の攻撃を受け止めることなどできまい。風前の灯火だ。



私としても、まだ負けを認めるわけにはいかない。パンチ1発、当てればいい。
ヒルダ姫がバッと顔を上げたところで、さあ、とっとと起き上がって――











ヒルダ「一番やり込んだゲームはなんですかっ!」クワッ!

デイジー「…!?」

676Mii:2020/03/01(日) 04:07:02 ID:1YedFqgQ
――それはもちろん、王道の対戦育成ゲームだろう。
――ゲーム内のプレイ時間表示ですら悉くカンストしている、
――その後のプレイングやリセットで消えて行った時間を含めれば更に…。



――いや、やりこみ度を時間だけで議論するのは早計というもの。



――アイテムコンプや低レベル縛りを引っ提げて挑むRPG系。

――全弾必中、全撃墜を目標に飛翔し続けたシューティング系。

――的確なライン取りでミリ秒を競い続けるレース系。

――1フレームの狭間に涙し、研鑽に邁進した格闘系。

――慣れぬ知恵熱を覚悟して、理論構築したパズル・シミュレーション系。

――スローライフ系も味があって長続きするし、
――クイズ系は出題問題を粗方頭に叩き込んだうえでボタンがお釈迦になるまで先読み早押しに励んだし、
――クリエイト系は不定期に閃いた時に怒涛の時間と気力を注ぎ込める。
――どんなゲームもやり込んできた、一概にいちジャンルを決めることは困難。
――ましてや、ひとつのソフトに絞り込むことなど……

677Mii:2020/03/01(日) 04:09:33 ID:1YedFqgQ
ヒルダ「…あのー。それって、そんなに悩むことなんですか?よくわかりません。
    こんな奇策が効くなんて、聴いた時には半信半疑だったんですが」

デイジー「何を言ってる、お前が問いかけてk――――」



ぴしり。何かが固まった音がした。





ロゼッタ「――――――――デイジー姫」

目を見開いて、後ろを見やる。え、ちょっと、待ってほしい。







ロゼッタ「―――――――とっくに、3秒経ってます」Vサイン

デイジー「」



ゼルダ「――――――――はあぁぁぁぁ……」

678Mii:2020/03/01(日) 04:12:38 ID:1YedFqgQ
〜キノコ城 城下町〜

ブラックピット「…………通算、4人中の2位以上が2割ってとこか…チッ。
        この俺がこの成績とは、腹立たしいことこのうえないな…
        このままで終わりたくはないぜ…」イライラ

賑やかな夜の街を、俺はブツブツ、苛立ちながら歩いている。



あのバカは、

「ハハハ、こんなもんでしょ、お互い。
そもそも、『真実の魔鏡から生まれた=初期ステを僕と対等のところまで優遇』っていう温情の奇跡がなかったら、
このスレ内でのブラピさんは2位以上なんて1割…いや『1分』切っても全くおかしくないんだよー?

ま、僕は飛翔能力で負けてる分、通常戦闘力をブラピよりちょっと高く設定されてるらしいから、
僅かながら僕のほうが勝率いいですけれどねフッフーン!」

などと、訳の分からない供述をしていたが。
…ああ、ムシャクシャする。酒でも一杯ひっかけたい気分だ。



ブラックピット「…そういえば、選手カードを提示することで安く酒が飲める店、
        割とあるみたいだな…」

所持金は決して多くないが…パンフレット片手に、少し当たってみるか。
居酒屋というよりは、洒落た店がいい。

679Mii:2020/03/01(日) 04:15:22 ID:1YedFqgQ
あれこれ歩いて選んで、ようやく納得のいくバーを探り当てた。
ああ、クールな俺にふさわしいアンティーク調に整えられた内観だ。
インテリアもグラスも、中々のものじゃないか。

会釈を受けながら、カウンターに座った。さあ、お手並み拝見だ。



マスター「いらっしゃい。お客さん、当店は初めてかい?」


ブラックピット「ああ。アルコール強め…いや、明日を考えて弱めで。
        軽くほろ酔いできるくらいの、甘ったるくないカクテルを頼む。
        …店の雰囲気の割に、割とフランクな接客なんだな」

マスター「そりゃあね。この時期、たっくさん観光客が来るでしょう?
     どうやってその人たちを呼び込むかって言ったら…」

ブラックピット「…なるほど、気兼ねなく入って貰える、
        プライドを感じさせない店の方が繁盛するってわけか」

マスター「これはお厳しい。ですが、どんちゃん騒ぎで周囲に迷惑…とかでなければ、
     この店は誰でもウエルカムですよ。それに、腕に自信はありますよ」ハハハ

周りを見渡せば、テーブル席には家族連れまで割といる。
子供が、新鮮なジュースを飲んで満面の笑顔になっている。
…間違えて酒とか飲ますなよ?まあ、無用な心配か。
子供も行儀よく、大声で騒いだりしない。しつけが行き届いているな。

680Mii:2020/03/01(日) 04:19:01 ID:1YedFqgQ
マスター「あ、今の時間帯、ラジオ放送を流しているんです。
     スマブラ開催期間限定の放送をやっておりまして。
     『意味は分からないが面白い』と皆さんから好評なんですよ。

     …カウンター席は音量が大きいですが、気になりませんかね?」

ブラックピット「本当にバーらしくないな。まあ、構わないぞ?この位の音量なら」

そう言えば、さっきから…心躍るようなBGMが流れていて、皆聴き入っている。
リスナーリクエストの音楽でも掛かっているのだろう。



それにしても…意味が分からないが面白い?どういうことだ?
この王国に集う者たちの思考はよくわからん。



マスターが出来上がったカクテルを持ってきた。
ほう、俺に合わせて、黒を基調とした色にしてくれたのか。
中々サービスがいいじゃないか。

ざっくりとカクテルの説明を受けて、知識はそれほどないが相槌を打って。
一口飲んで…これは、いける。ニヤニヤしているマスターには悔しいが…いい腕だ。
店選びに成功していたことに満足して、さらにもう一口――――

681Mii:2020/03/01(日) 04:22:24 ID:1YedFqgQ











パルテナ「はいっ!新・光神話 パルテナの鏡より、『星賊船』をお送りしましたー!
     やっぱりいい曲ですねー!」

ピット「ですねー!」



ブラックピット「ブッフゥ――――ッ!?」

マスター「お客さん!?」



子供「うわ、マナーの欠片も無い人だなあ」ヒソヒソ

親「ホントにね。あんな人になっちゃいけませんよ?」ヒソヒソ

子供「はーい!」ヒソヒソ

682Mii:2020/03/01(日) 04:26:08 ID:1YedFqgQ
周囲の注目浴びる中、マスターに謝罪して布巾を借りつつ、噴き出したカクテルを拭く。
…あのバカはともかく、何やってるんだ…!?あのバカはともかくっ!?



パルテナ「ラジオネーム『しぜんの ちからって すげー!』さん、
     リクエストありがとうございました!記念品を贈呈しておきますね!」

ブラックピット(もうひとり馬鹿がいた…!)



パルテナ「さてさて、スマブラ大会も、とっくに折り返し地点を過ぎ…
     いよいよ大詰めですね、ピットさん!
     優勝目指して止まない者、現状の順位を確固たるものにしようとする者、
     誰かを落とし込めようと画策する者…複雑なドラマが化学反応を起こしそう!」

ピット「その通りですね、パルテナさん!どういうわけか僕たち、
   街角でスカウトされたのを皮切りに固定枠までもらっちゃいましたけど!
   期間限定とはいえ、大抜擢ですよ!最後までやりきってみせましょう!」

パルテナ「さーて、それでは…!
     お待ちかね、『パルテナの何でも相談室』のコーナーでーす!
     ピットさん、初めて聴く方もいるかもしれないから、
     今一度分かりやすく説明してあげてくれませんか?」

ピット「合点承知!このコーナーは、主にこちらのパルテナさんが、ときたま私ピットが!
   いろんな人たちの疑問点や悩みに、鋭く際どく回答していくコーナーです!
   リスナーはもちろんのこと、ファイターやファイター候補が電撃来訪することもありますよ!」

683Mii:2020/03/01(日) 04:30:04 ID:1YedFqgQ
パルテナ「さっそく始めて参りましょう!えっと…
     『パルテナさん、ピットさん、こんばんは!毎晩楽しく聴かせてもらってます!
     もう、お二人の天界漫才…いえ夫婦漫才がないと生きていられません!』」

ピット「わあ、ありがとうございます!…め、夫婦漫才だなんて、照れるなあ…」テレテレ

パルテナ「……でも、ここだけの話、ピットさんって…見られていないのをいいことに、
     放送中に私の胸とかをガン見してくるんですよ?酷いと思いませんか?」

ピット「濡れ衣!?」

パルテナ「それだけではありません…実は私たちの間には、権力・神格、身分的に大きな隔たりがあるのですが…
     それをいいことに、私に対して口では言えないほどの破廉恥な命令を――
     ああ、私はただ従い耐えるしかありません…ぐずっ…自由が、欲しい…!」

ピット「すっごい逆!百歩譲って起こりうるとしても真逆っ!」

パルテナ「ピットさんが素直に『青春を持て余してすいません』と謝るのなら。
     寛大な私の心で、水に流してあげても…構いませんよ?」

ピット「やだなあ、開幕早々マリオのポンプに流されたのはパルテナさんじゃないですかー」ハハハ

パルテナ「うまいっ!座布団1枚差し上げます!…要りますか?」

ピット「わーい!やったー!有難く頂きます!」

パルテナ「喜んでもらってよかったです。
     …ふう、今年のクリスマスプレゼントは安上がりで済みました」

ピット「要るかこんなもん!」ポイッ

684Mii:2020/03/01(日) 04:33:04 ID:1YedFqgQ
パルテナ「ピットさん、話が逸れてますよ?軌道修正しましょうか」

ピット「誰が逸らしたんですか…あ、す、すいません。平常心、平常心っと。
   …はい、リスナーさんの手紙、続けてくださいパルテナさん」





パルテナ「…『ところで以前から思っていたんですけど。人間ミサイルが使えるピットさんって天使じゃ』
     ――おっと、検閲に引っ掛かっていた手紙を読み上げてしまいました。
     これは没ですね、失礼いたしました。次に行きましょう」

ピット「うおおぉーい!!?」





ブラックピット「」

685Mii:2020/03/01(日) 04:37:01 ID:1YedFqgQ
ピット「違うんだよ…ポケモンのタマゴグループに『ひとがた』があるのと同じで
   あくまで『人間型ミサイル』ってだけなんだよ…きっと…」ブツブツ





パルテナ「落ち込んでいるピットさんは安静にしておいて、次でーす。
     『パルテナさん、遅くなりましたが、今回は出場おめでとうございます!』
     はい、ありがとうございます!

     『ところで、パルテナさんと同じく初参戦のロゼッタさんっていらっしゃいますよね?
     それに、前回から引き続き参戦のゼルダさんも!
     あと、ゼルダさんのそっくりさんも参戦されているみたいで…。

     彼女たちはいつごろ試合に出られるのでしょうか!まだ1戦もされていなくて、気になっているのです』

     …うーん。そうですね。こればっかりはなんとも言えませんねー。
     まずは閉ざされた空間から出てきてもらわないと…ゲフンゲフン。

     『それに加えて、もうひとつ。単刀直入に伺います!
     ロゼッタさんは何時頃マリオカートに戻られるのですか?
     マリオカートWiiの時の素人ぶり、失望させっぷりから、
     否定的な意見を言う人も大勢いるみたいですが、私は出てほしいです!』

     ――おおう、本当に単刀直入ですね。スマブラに直接関係ないのに」

ピット「…やっと持ち直しましたよ、パルテナさん。…答えにくい、厄介な質問ですね。
   いくらこのラジオ番組が、『ファイターたちに情報を伝えようとすると抑止力が働くフシギ仕様』とはいえ」

686Mii:2020/03/01(日) 04:43:09 ID:1YedFqgQ
パルテナ「ですよねえ。まず3人…いえ4人が部屋から無事脱出できて、私たちと合流。
     タブーと大がかりな攻防戦、大乱闘。大会の残り消化に、しっかりオチまで用意して――」

ピット「うーん、どう考えても、それだけでこのスレの残りを全部使っちゃいますよねー。
   いやむしろ、このスレだけで終わらせられたら御の字なのかな…?
   >>650さんみたいに、もっと多くのファイターのことを描いて、
   マンネリ化を防いでくれ!と忠告してくれる人だっているっていうのに…。

   で、できるだけ頑張ります!収拾がつく程度に、風呂敷を拡げ過ぎない程度に!」アワワ

パルテナ「だいたい、スマブラ編が終わったら終わったらで、
     3Dワールド編もようやく中盤に入ったところですし…。
     まあ、あっちの方はステージを飛ばしていけば割と速いですけどね」

ピット「それでも、それなりに時間は食いそうですねぇ」

パルテナ「次のスレには『ルキナ救済編』が数百レス分、待っていますしねぇ…
     まあ、今言えるのはこの位ですね、次に参りましょうー」

ピット「うーん…いろいろと難しいなあ…次はどんな――――

    …………あれ?今、サラッと爆弾発言が聴こえたぞ?」

パルテナ「…むしろそちらの話ばかり構想・構成が捗ったそうです」

ピット「本編書けよコノヤロウ!いや、それも一応将来的には本編になるんだろうけどっ!?」



ブラックピット「」

687Mii:2020/03/01(日) 04:48:22 ID:1YedFqgQ
パルテナ「気を取り直しましてー。
     『こんにちは!いきなりですが、無知な私に教えてください、女神様!
     魔力回路と魔術回路と魔法回路って、何が違うんですか!?
     細かい定義が知りたくて、気になり過ぎて、1日8時間しか眠れません!』

     まあまあ、それはお可哀想に」

ピット「不眠症ですね。鬱に繋がることもあるので、2週間続くようならお近くの病院へ!」

パルテナ「ああ、それで。この3つの言葉の意味の違いですが…。

     FPや魔力の通り道となっているのが『魔力回路』。
     術式を発動させるためのラインが『魔術回路』。
     これら2つを並走あるいは合流させ、魔法の形として取り出す機構全体が『魔法回路』。

     水道に喩えると、魔力回路に水を流し、魔術回路に電気やガスを流し、
     魔法回路として最終的に熱湯を取り出す……。
     おなじ『魔法が使えなくなった』という症状でも、
     どこにトラブルが発生したかで、緊急性や治療法がまるで変わってくる――」

ピット「うおぉ…な、なんだか真面目っぽいぞ…!」



パルテナ「――――っていうのはどうでしょう!」ドーン!

ピット「分かってましたよ!唯のブレ表記、統一してなかっただけですよねっ!」

パルテナ「なし崩しでやってきていましたが…今後は統一させます…」ショボン

688Mii:2020/03/01(日) 04:52:04 ID:1YedFqgQ
ピット「…あ!だったら、お姫様方の『姫』の有無も表記ブレですね!リンクの台詞が気になってました!
   ゼルダのことは『ゼルダ姫』なのに、ヒルダのことは『ヒルダ』なのはおかしいと思ってたんですよ!」

パルテナ「いえ、それは仕様です」

ピット「…え?」

パルテナ「実際には打ち間違いでブレ表記は有ったりするのですが、基本的なスタンスとしては――

     ロゼッタ→お姫様方
     生粋の腰の低さから、感情が高ぶって『敢えて』呼ばないかぎり『姫』付き。

     キノピオ→ピーチ
     意志としては常に『姫』付き。選手紹介などで逆にピーチから説教されることも。

     ルフレなど→お姫様方
     新参者の礼儀として、『姫』付き。
     同様に、知り合って間もない関係の段階では『姫』付き。

     ゼルダ←→ヒルダ
     ゲームに準じて、互いに『姫』付き。(付けない場面もちょっとある)

     リンク→ゼルダ
     『幼馴染関係で既に名前呼び』の伝説の中を除き、『姫』付き。

     それ以外のケース
     『姫』は付けないことが多い。
 
    …こんな感じみたいですねー」

689Mii:2020/03/01(日) 04:54:55 ID:1YedFqgQ
ピット「…あの、パルテナさん。
   リンクが、『ゼルダ姫』および『ヒルダ』って区別して呼ぶ理由が、
   ……………………ま、まだ分からないんですけど。分かりたく、ないんですけど」

パルテナ「断っておきますと、スレ主はゼルダというキャラはもちろん好きですよ?
     




     ただ、このスレにおいてはイベントにあまりにも恵まれないせいで、
     ゼルダに対するリンクの好感度がヒルダ以上に低――」

ピット「わああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!」



ブツッ……。



スタッフ「放送が乱れております。しばらくお待ちください」



ブラックピット「」

690Mii:2020/03/01(日) 04:59:09 ID:1YedFqgQ



ブラックピット「…マス、ター。カクテル、オイシカッタ。

        …………勘定ヲ、タノム」ワナワナ



マスター「…ど、どうしましたか?急に顔色が…。
     申し訳ありません、あまりおもてなしできず。

     それにしても、いやあ、この破天荒な放送、癖になりませんか?
     意味はあんまり分からないんですが、不思議と笑顔になるんですよ。
   
     …おや?そういえば、今更で申し訳ありませんが、
     お客さんってもしかして、ブラックピットさんじゃ――」







ブラックピット「俺はあんな奴らの同類なんかじゃなあああああぁぁぁ―――い!!」ダダダダダッ!!

マスター「」

客「」

691以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/01(日) 12:53:07 ID:dSa8PcWY


692Mii:2020/03/07(土) 23:31:42 ID:vEDS9nbc
〜閉ざされたフィールド〜



とく、とく、とく。



4本のグラスに、桃色のアルコールが、静かに静かに注がれていく。



1本目。20mlくらい。

2本目。40mlくらい。

3本目。60mlくらい。

そして、4本目――――





「…………な、な、なななな――――」ブルブル

震える声が、聞こえてきます。

693Mii:2020/03/07(土) 23:34:57 ID:vEDS9nbc
デイジー「まあ、しゃーない。一番の功労賞は間違いなくヒルダだし。
     お酒強いからしっかり堪能してもらえそうだし。…くっ、無意識に私の腕が拒絶するけど。

     …それにしても、私が飲んじゃって、いいの?
     一応、契約上は…所有権は3人に譲ったはずなんだけど」トクトク

ゼルダ「羨ましい(まあ、そうですよね。当然の帰結です)。
    …あ、デイジーもぜひご賞味ください、一人だけ除け者になど出来ません」ギリッ

ロゼッタ「ゼルダ姫、本音と逆です逆」

デイジー「――ありがとうね。そのかわり、一番少ないのでいいや。
     んー、3回に分けて飲み切るとしたら、こんなもんかな」





――――ざっと、150mlくらい。





ヒルダ「――――――――なーーーーーーーーーーーーーっ!?」

694Mii:2020/03/07(土) 23:36:23 ID:vEDS9nbc
デイジー「いやいや、驚きすぎですよヒルダさん。
     みんなが良いって言ってるんだから、気が変わらないうちに頂いとこうよ。
     飲みたいと思った時が、お酒を飲むタイミングだよー?」

ヒルダ「おおおおおおお驚くに決まってるじゃないですか!?
    これだけで、ロウラル王国の年間予算、超えかねませんよね!?
    ななな、何か裏でも、あるのですかっ!?

    一生分の運を使い果たしそうなのですがっ!?
    ――――わ、私が頂いて、よろしいのですかっ!?」



ゼルダ「――――まあ、支障なしですね」フッ

デイジー「残機一つ分の運かー。大したことないじゃん」

ヒルダ「そういう意味じゃありませんっ!」

ロゼッタ「…と、ところで、私(40ml)とゼルダ姫(60ml)の差はなんですか?」

デイジー「私の気分」

ロゼッタ「酷いっ!?」

695Mii:2020/03/07(土) 23:40:01 ID:vEDS9nbc
〜回想〜

デイジー「ふっ……………………頑張ったな、ヒルダ」スッ・・・

ヒルダ「――――あ」

デイジー「…………本当に、よく、頑張った。
     師として――いや。親友、として。嬉しい、んだと思う。

     ――あー。あまり『今の状態』だと勝手が分からない、が。
     …こんな、感じで――いいだろう、か」ナデナデ

ヒルダ「――――――――――――――――っ!――――――――っ!!」ガバッ

デイジー「おいおい、抱き着くな。今度は、嘘泣きではないと、信じたいものだが」

ヒルダ「――――ぐずっ…あたり、まえじゃ、ないです、かぁ……………っ!!
    やく、そく。おぼえてて、くれたんですね。
    うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――」ポロポロ

ゼルダ「――――いい、話ですね……涙腺が、ゆるみ、ます――――」グズッ・・・







ロゼッタ「絶賛踏みつけられ中でなければ、私もそう思えたんですが――っ!?」グチャッ

696Mii:2020/03/07(土) 23:42:06 ID:vEDS9nbc



デイジー「何か言ったか?」ミシィィッ!



ロゼッタ「があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!?…ゲホッ!?
     折れまじだ!今確実に肋骨が何本か逝ぎまじだっ!?
     普通に血も吐いでるんでずげどぉ!

     …しかも中途半端に止めないで!いっそ殺してくださいよ!」ドクドク

デイジー「知らん。好きなだけ海老反りしとけ」ダンッ!!



ロゼッタ「」ジタバタ

ロゼッタ「」ジタ・・・バタ・・・

ロゼッタ「」・・・・・・・・



ロゼッタ「り、ふ…じ…ん――」チーン

697Mii:2020/03/07(土) 23:45:07 ID:vEDS9nbc
ロゼッタ「…生かさず殺さずの状態で何十分も、さっきは酷い状態でした――
    精神が病んだらどうしてくれるのですか――」




デイジー「…え?あの程度で――」

ゼルダ「ロゼッタが――病む?」

ヒルダ「そんなことが有り得るのですか?」

ロゼッタ「…………………………………それにしても、さっきは酷い状態でした――
    精神が病んだらどうしてくれるのですか――」

デイジー「拗ねて繰り返しちゃったよ」

ゼルダ「……」

ヒルダ「……」

扱いが凄く雑になっています!心外ですっ!

デイジー「あ、あは、あはは。ごめん、ごめん。なんか、ロゼッタの図太さを信じ切ってる感じ?
     心臓に毛が生えてそうっていうか」

……その心臓、拳やら弓矢やら足やら、色んなものに貫かれてるんですが…。
そういえば、以前に自分でナイフを突き刺したこともありましたっけ…。
頑張ってください、心臓さん。私、まだまだ生き永らえたいので。
全力で応援させていただきます。扱いはすこぶる悪いですが。

698Mii:2020/03/07(土) 23:49:39 ID:vEDS9nbc
デイジー「じゃあ…皆の勝利を祝して――かんぱーい!」

お疲れ様です、私含めて。



皆、思い思いに、これまでを振り返りながら――飲んで、語って、飲んで、食べる。



デイジー「序盤からロゼッタの調子がどうにもぎこちなかったのは、
     初期の初期に大分無茶をしていたことの副作用だったんだね。
     そのあたりを気付いておけば、負けなかったかもしれないのに…。
     くそぅ、私もまだまだ状況判断がぬるいなあ。

    それを含めて、作戦の根幹はロゼッタが割と噛んでたっぽいね」

ロゼッタ「まあ、その通りですね。最後の騙しは万が一の場合に備えてのとっておきでした。
     一緒に過ごしている間に、デイジー姫のゲーマー魂が黙っていないと思いましてですね――」

デイジー「むぐぅ、言い返せない。だからって、あんな作戦立てるなんて…むぐぐ……」



ヒルダ「……ああ、お酒は美味しいし、無事に強くなれましたし、
    ここまでやってきた甲斐が…ありました。
    …この強さ、絶対に無駄なんかにはなりません」ホワホワ

デイジー「――――殊勝なことだね。ヒルダが笑ってくれてると、
    私としても――間違ってなかったんだって、思えるよ」シミジミ

699Mii:2020/03/07(土) 23:52:12 ID:vEDS9nbc
ゼルダ「…私も、見識が暗く狭かった、と痛感しています。
    …今の私なら、リンクに呆れられることも…きっとないでしょうか。
    ハイラルでも、なにか、皆で切磋琢磨できることを考案していきたい」

デイジー「ゼルダはゼルダで、いいところは一杯あると思うよ?
     あんまり私に感化されて、舵を切り過ぎることはないさ。
     気になったところから、ちょびっとずつ変えて行ったらいいんじゃない?
     キノコ王国とハイラル王国じゃ、勝手も色々違うだろうし」

ゼルダ「ふふっ…参考にしておきます」



デイジー「それにしても、みんながここまで成長しているなんて――

     …まあ、冷静にれいせーいに振り返ってみると、
     『初見殺しのオンパレードで事故っただけなんじゃ…』とも愚痴を零したくはなるけど」

ロゼッタ「え、得てして強敵に打ち勝つ時というのはそういうものですよ」

デイジー「…その強敵が、ストーリー的に1回倒せば舞台から退く悪役なら、
     それでもいい…というか、それを狙ってしかるべきだけど。
     今後も私の特訓を受けて、勝負して、いつか勝ってやろう…って思うなら、
     お互い知ってる手の内の範囲でポイントを主張していかないと、ね?」

それは強者だからこその主張、考え方ではないでしょうか…。
なかなか、そこまでは強気な姿勢では望めません。スペックオーバーもいいところです。

700Mii:2020/03/07(土) 23:56:56 ID:vEDS9nbc
ゼルダ姫が、目をぱちくり。

ゼルダ「……大会が終わっても、特訓、していただけるのですか?」

デイジー「…どうしたの、急に。ま、私もみんなも、暇な時ならね。
     スマブラ会場までご足労は願うけど。残機が無いと流石に不慮の事故が怖い」

ゼルダ「……そうですね。では、時々、お願いしましょうか。
    とりあえず――吐き気を催さなくなるくらいになるまでは」



その願いに、デイジー姫は、面倒そうな顔をしながらも、とてもうれしそう。
ひとつ、また認められた証拠でもあるのですよね、デイジー姫にとって。



デイジー「ははは、いい意気込み。でも、果たしてゼルダにできるかなー?」

ロゼッタ「大丈夫ですよ、ゼルダ姫なら!私でも出来たのですから!」

ヒルダ「…結局、ロゼッタのその精神力はどのように培われたのでしょうか…?」

ゼルダ「ああ、それは私も気になっていました。純粋な戦闘力では私の方が高いのに」

ロゼッタ「どのように、と申しましても…」



ロゼッタ「…………」ポワン ポワン

701Mii:2020/03/07(土) 23:59:47 ID:vEDS9nbc
〜回想〜

ピーチ「崖に突き落とす!マグマにダイブしなさい!ドッスンに潰されなさーい!」ドスッ

ワリオ「頭が吹っ飛ばなかっただけマシと思えよー」

マスター オブ ギャラクシー「空中散歩しようぜ!お前、残機1な!」

ディメーン「嫌だなあ、僕は刺してませんよ?彼女が勝手にトチ狂って自身を刺したんです」

ファイナル! チャンピオンシップロード「宇宙散策しようぜ!とりあえず1107回くたばれ!」
    
スーパーベルの丘「タイムアップの笛吹くの飽きたんですけど」

パックン「マミった?マミった?」

水「3D出身者は軟弱だのう」

プンプン「手裏剣投げたところに額がちょうどあるのよ」

デイジー「死ぬ気で覚えろ。さもなくば死ね」





ロゼッタ「……………………ハッ」トオイメ

デイジー「!!?」ゾクッ

702Mii:2020/03/08(日) 00:03:02 ID:VE7VmNe6
ロゼッタ「むしゃくしゃしてきました。
     もっと食べましょう。食べて元気を付けましょう」パクパク

チコ「ボクもー」

チコ「ボクもー」

チコ「食べる―!」

デイジー「しょ、食欲旺盛だねぇ。いいことだよ、うん」

ヒルダ「うわぁ…ロゼッタったらよく食べますね。私たちはまだまだ吐き気のせいで
   及び腰になっているというのに。ねえ、ゼルダ姫」チラッ



ゼルダ「………………………………」

ゼルダ(お酒がなくなってしまいました…もっと欲しいです…)

ヒルダ「…………駄目な人です」ジトー

703Mii:2020/03/08(日) 00:07:54 ID:VE7VmNe6
〜キノコ城 城下町〜

ブラックピット「…………スゥー、ハァー。…………スゥー、ハァー。

        ……………………よし、深呼吸終わり。今度こそ、まともに酒を飲むぞ――――」

俺はまた、大会参加帰りに、あのバーにやってきた。
他の飲み処に移ることもチラッと考えたが、やはり、あの味は捨てがたい。
価格テーブル的にも、選択肢は有ってないようなものだ。

ブラックピット「前回は飲み残して逃げ去る恥を晒したからな…!
        リベンジ、してやる、からな――――!」

そう…これは、リベンジだ。
リベンジであるから、忌々しいあのラジオ放送の時間帯からずらして来店、
なんてことは一切検討しない。まるで負けを恐れているようじゃないか。
俺があのバカに屈するだと!そんなこと、あってはならない。
正々堂々――正面から打ち破ってみせる。

――ここまで仰々しく考える時点で、若干負けている気がしなくもない。
――ええい、余計なことを考えるなっ!

悠々と席について、カクテルを2、3注文して味わって、マスターと歓談して…
あくまで優雅に、クールに、その場を後にするのだ。
多少は料理も出せるらしいからな。それ味わってみるのもいいだろう。
あのマスターのことだ、格別な味わいを繰り出してくるに違いない。

ピット「ブラピさーん、一級フラグ建築士の資格に応募してみなよ」

…なんだか幻聴が聴こえた。

704Mii:2020/03/08(日) 00:14:05 ID:VE7VmNe6
さあ、扉の前で最後の深呼吸をして――
カランカラン、というベルとともに、いざ、参る!



マスター「あ、ぶ、ブラックピットさん!?
     え、えっと。前回は、どうもすいませんでした」

ブラックピット「畏まるな、悪いのは勝手に自爆して逃げた俺だ。
        さっそくだが、1杯目に前回と同じ奴を頼む。これで仕切り直したい」

マスター「あ、はい!すぐお作りしますね!レシピはバッチリですよ」タタタッ

…う、うん。あまりつっつかれても気が滅入るだけの話だ。
深く聞かず、なかったことにしてくれると一番ありがたい。
さあ、同じようにカウンターに座ろう。 逃 げ ち ゃ 駄 目 だ。

ちらほら、前回に見かけた顔の奴らがいて…
こちらを指差しつつヒソヒソ話しているが。今は無視だ、無視。
今日こそは俺の完璧な飲み方を目の当たりにして、平伏すがいい。



おっと、今日は…BGMではなく、歌が流れているようだ。
やはり、前回同様に皆が聴き入っている。

…これは。いわゆる、アニソンというやつか。

705Mii:2020/03/08(日) 00:18:24 ID:VE7VmNe6



抱き締めた命のかたち――

その夢に目覚めたとき――



――――ああ、この…曲は。
――――アニソンに疎い俺でも知っている、有名な歌だ。
――――アニメ業界に革命をもたらした作品の、オープニングじゃないか。
――――これは、聴き入ってしまうのも納得だ。

俺も、思わず耳を傾ける。



誰よりも光を放つ――

少年よ、神話になれ――





……いい曲だ。だが、ちょっと待て。
この声。なんだか、違和感があるというか、なんというか…
というより、どこかで聞いた…いや、つい最近耳にした声色のような…?

706Mii:2020/03/08(日) 00:22:30 ID:VE7VmNe6



パルテナ「ピットはハートを貢ぎながら  ホンキ度決める――

      女神なのに憑かれたまま  私は生きるぅぅぅぅ――――――――!!」

ブラックピット「…………!?」



パルテナ「残酷な天使のブラピ  魔鏡からやがて飛び立つ――

     ネタ走る熱いハデスで  エンディングをう・ら・ぎ・る・なぁらぁ――!

     この宇宙を抱いて輝く  少年よ、(光)神話になぁれぇぇ――――――――っ!」



客「うおおおおおおおぉぉぉぉ――――!!!」

客「パルテナさん、かっけぇ――――――――――――――――!!
  ラジオパーソナリティだけじゃなくて声優や歌手まで兼ねてるなんて!」

客「むしろそっちの方が本業だったりしてな!」

客「あはは、本業は女神だろー!」

ブラックピット「」

707Mii:2020/03/08(日) 00:26:08 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ふぅ、歌い切りましたー!」

ピット「以上、ラジオネーム『カイロスマッギョ』さんのリクエストで、パルテナさんの熱唱による
   『残酷な天使のブラピ【新世紀 光神話・パルテナの鏡(概)】』でした――!
   最後の少年って私のことですよね、かっこいい歌詞だなあ!」



マスター「みなさーん、お静かに頼みますよー」

客「「「はーい、すいませんでしたー!!!」」」ペコリ





ブラックピット「」

ブラックピット(勝手に人の名前使うなとか。
        客のヤツらは前回俺を散々睨んでおいてこの騒ぎようか、とか…。
        ツッコミどころもいろいろあるが……

        まだ口に酒を含んでなくて、ほんっとうに良かったぜ…!!)ブルブル

708Mii:2020/03/08(日) 00:30:30 ID:VE7VmNe6
パルテナ「ふう、ちょっと化粧直ししてきますね」タタタ



ピット「わかりました!しばし、この私に任せてくださいパルテナさん!
   ――さて、それではお待ちかね、『パルテナの何でも相談室』のコーナーです!
   パルテナさんいなくなっちゃいましたけど!

   本日は、なんと!ファイターの1人にお越しいただきました!
   今のうちに紹介しておきましょう!

   はるかぜとともにプププランドへやってきた旅の若者、
   何でも吸い込む食いしん坊、コピー&ペースト…じゃなかった、コピー&変身!
   ピンクの悪魔こと、カービィさんです!どうぞ!」

カービィ「ハーイ!」

ピット「…とまあ、紹介はしたものの。
   今のままじゃ、さすがにお話を聞くもなにも、あったもんじゃないよねー。
   パルテナさんが戻ってきたら『翻訳の奇跡』を掛けてくれるから、
   ちょっとお菓子でも食べておいてね」

カービィ「――――ハーイ!」ギュルルルル ゴックン

709Mii:2020/03/08(日) 00:33:48 ID:VE7VmNe6
パルテナ「…お待たせしました!申し訳ありませんー」



カービィ「大丈夫だよ、お菓子食べて時間を潰してたから」

パルテナ「それはよかった…って、まあ!
     カービィさん、普通にしゃべれるようになっていたんですね!
     奇跡を施す手間が省けました!

     …あれ?ピットさんはどちらに?入れ違いですか?」

カービィ「お菓子を食べてたら、急に目の前からいなくなったよ」

パルテナ「不思議ですね…まあ、時間も有限ですし、このまま始めてしまいましょう。
     『パルテナの何でも相談室』のコーナーです!

     早速ですが、カービィさんの悩みってなんですか?」





カービィ「ボク、スレ内で露出が少なくない?」

パルテナ「…カービィさんって基本裸ですよね?
     変身で装備や帽子を纏うことはありますが」

カービィ「出番が少なくない?ってことだよ!任天堂の主要キャラの一角でしょ!
     スマブラにだってずっと出演してるし!」

710Mii:2020/03/08(日) 00:36:30 ID:VE7VmNe6
パルテナ「それは…」

カービィ「スマブラのストーリーモードでも目立つ役回りだし、
     もっと出番があってもいいと思うんだ。なのに、デデデ大王の方が出番が多い…」

パルテナ「そうしてあげたいのは、やまやま、なんですが…………」

カービィ「…??」

パルテナ「実は…………スレ主。



     カービィシリーズは、パズルゲームの『きらきらきっず』しか
     プレイしたことがないんですよおぉぉぉ――――っ!!
     そっちは割と極めたんですけどねぇっ!」

カービィ「」

パルテナ「最近までワドルディとワドルドゥをごっちゃにしてました!」

カービィ「!?」

711Mii:2020/03/08(日) 00:39:54 ID:VE7VmNe6
カービィ「……まさか、スーパーデラックスすら、やったこと、ないの?」ブルブル

パルテナ「…あ!そういえば、やってましたね!これは失礼しました。
     2019年12月からですけど……。
     あと、カービィハンターズもやってましたか」
     
カービィ「きらきらきっず以外は全部未来の話のうえに無料プレイできる物しかやってない!?」

パルテナ「そのかわりカービィハンターズは3DS版もSWITCH版もしっかりこなしましたよ!
     どんな敵が相手だろうと、画面端から的確にビームばしばし撃って、時間を止めるだけの簡単な仕事でした!」

カービィ「唯の作業だよそれ!暇人なだけだよ!?」

パルテナ「だってアクション苦手だとこれが一番強いんですもん…
     2Dマリオの動きにしか適応不可なんですもん…」

カービィ「『もん…』って言われても…嘆きたいのはこっちなんだけど」

パルテナ「…ま、まあ。そんなわけで、キャラの理解が不十分といいますか…。
     掛け声も『ハーイ』が9割だし、ちょーっと扱い難い、といいますか…そのー」

カービィ「…スレ内のラスボスを吸い込んで一瞬で終わらせようかな。
     スマブラの順位見る限り、実力は評価してもらってるっぽいし、
     少なくとも巨大キノコとの組み合わせなら可能だと思うんだ」

パルテナ「やめてください話が壊れます」ガクブル

712Mii:2020/03/08(日) 00:43:42 ID:VE7VmNe6
カービィ「――――問題が解決しないことがわかったので帰りまーす」ガチャッ

パルテナ「…ま、またのお越しをー」

カービィ「…………ハーイ!」



ピット「」ベチャァ



パルテナ「…ピットさん?どうしてそんなところで寝ているのですか?」

ピット「…………涎まみれの指輪にでもなった気分だ…………」

ブラックピット「」



パルテナ「…あら?スタッフさん?どうかしましたか?……ふむふむ。
     ピットさん、今日はもう少し時間があるそうなので、
     あと一人の相談も受けてみるそうです。まだ行けますか?」

ピット「…ええ、なんとか。でも、急にそんな事決めても、来訪者の都合が付きますかね?」

パルテナ「それが…本当に気が気でない悩み事を抱えていらっしゃるそうで。
     放送は明日の予定だったのが、既にいらしているそうです」

ピット「むっ!それは、なんとしても助けて差し上げたいですね!喜んで!」

713Mii:2020/03/08(日) 00:48:53 ID:VE7VmNe6
パルテナ「それでは…『パルテナのお悩み相談室』、本日2回目!
     『ファイアーエムブレムif』の主人公、カムイ(女)さんです!」




カムイ「…………お願い、します」ドヨーン




ピット「…え、なにこの重苦しい雰囲気」

カムイ「…私、運命の分岐点で選択を迫られて、必死に悩んだ挙句に…
   天から聴こえてきた選択肢…『大乱闘に参戦する』を選んだんです。

   自分に降りかかる難題を一時放り出してまで、歴戦のファイターたちと戦い、
   より強くなって舞い戻るため、に…。

   ですが、やってきてみたら、おかしいんです。
   結局、DLC組の運命として、大会に出られなかったのは…
   肩透かしを食らって残念ですが、いいんです。納得、しています。

   でも、同じFE組の方々にお会いした時、どの方も愛想笑いをして…
   まともに、心の壁を取り払った会話をしてくれないんです。
   あの英雄王マルスですら、ぎこちなく、一歩引いているんです…!
   ましてや、練習試合など言い出せる雰囲気ではありません…。

   私、一体、何をしてしまったのでしょうか…!
   知らないうちに、取り返しのつかない失礼をしてしまったのでしょうか…!」ウルウル

714Mii:2020/03/08(日) 00:52:38 ID:VE7VmNe6
パルテナ「…………あー」

ピット「…………あー」

カムイ「…!?何か、ご存知なのですか!教えてください!
    この王国ならではの作法?しきたり?それともやっぱり、実力!?
    頑張って直しますからっ!どうか、お願いしますっ!
    何の成果もなしに戻るなど、恥ずかしすぎます!きょうだいたちに顔向けできません!」ペコリ

パルテナ「大丈夫ですよ、貴方は全く悪くありません」

ピット「ある意味、全く大丈夫じゃないですけどねぇ…」

カムイ「それは、どういう…」

パルテナ「落ち着いて、どうか落ち着いて聞いてください。
     スレ主は、FEシリーズは、実は覚醒までしかやったことがありません」

カムイ「……?」

パルテナ「そして、ちょっと前に、無料トライアルでFE無双をプレイしたのですが。
     無双ものは初めてだったことも災いし、13章で乱心した貴方に殺されまくりました」

ピット「拠点なんて気にせず逃げて、正気に戻るまで相手をしちゃいけないのに、
   『ちょっと能力が高いくらいで、頑張ったら倒せるんじゃね?』と考えて
   突っ込んでいったのが浅はかでしたね」

カムイ「…………そ、それでとばっちり気味に嫌われてしまったということですか!?」

715Mii:2020/03/08(日) 00:57:24 ID:VE7VmNe6
パルテナ「いえ、そういうわけではないのですが…。
     というか、それならばまだ救いがあったのですが…」

ピット「実はスレ主は、スマブラforはDLCなんて利用せず、ネット対戦もせず。
    ほぼオフラインでだけ楽しんで終わりました。
    いやあ、ライトプレイ極まりないですね。買っておいて損してますね。

    参戦告知動画にも、対戦動画にも、一切触れてきませんでした」

カムイ「…………話が、見えてきません!はっきり言ってください!
    何を聞かされようとも、覚悟はできています!」

パルテナ「…わかりました。現実は非情で残酷ですよ…?
   
      色々な事柄が、奇跡的に絡み合った結果――――








     貴方が、鈴を転がすような声色で、可愛い系のキャラだなんてこと、
     2020年になって初めて知ったんですよ!
     おまけに、極端すぎて完全にキャラが固定されちゃったんですよ!」

カムイ「」

716Mii:2020/03/08(日) 01:00:01 ID:VE7VmNe6
ピット「それは、決して悪いことじゃありません。
   作り声でもなければ、むしろ大多数の女性にとっては褒め言葉でしょう。

   しかし…しかしっ!このスレにとっては、致命的っ……!」

パルテナ「剣を頭上に掲げて『皆、私に付いてきなさい!』とか言いそうな、
     リーダーシップ溢れる、リンに似たキャラとして動いてもらう予定だったのに!
     もちろんスレ内では弱キャラの部類には入りますが、活発に動かせそうで、
     中盤終盤でルキナと組ませたり、ルフレと裏事情で絡ませたりできたのに!

     座禅して5秒で足首がもげてしまいそう、とか言う子を、
     今更どう扱えばよいというのですか!難易度ルナティックですよ!
     座禅素人の一般人でも確実に1分は平然としてますよ!」

カムイ「い、いえ、絆会話の間の時間経過は普段通りではないといいますか…
    …って、う、裏事情!?むしろどうしてそちら側を先に知ったのですか!?」



パルテナ「設定資料って読み漁るの面白いですよね。ネットに流されまくりですけど」

ピット「世界観以外にも、威力計算とか成長限界とか。
   買ってもいないゲームの、最高ダメージを計算して遊んだりね」

カムイ「」

717Mii:2020/03/08(日) 01:05:35 ID:VE7VmNe6
カムイ「」プルプル

カムイ「もう、許しません!流石の私も…堪忍袋の緒が切れちゃいました!」ゴゴゴ

ピット「ちょ、ちょっと、カムイさん!乱心しないで!何度目!?
   こちらとしても押さえつけるなんてことはできればしたくないんです!
   ラジオ局にもすごく迷惑が掛かりますし!おまけにそれ、唯の八つ当たり!」

カムイ「そんなに乱心した記憶、ありませんよ!お覚悟をっ!」



バサッ!!!





カムイ(竜)「――――――――激流咆―っ!!」ゴオオオオッ!





パルテナ「奇跡で機材諸々を守って、と。ピット、抑えてください!

     残念ながら、カムイさん…ピットとはただでさえ実力差があるうえに――」ピカーッ

718Mii:2020/03/08(日) 01:10:17 ID:VE7VmNe6
ピット「えいっ」パシッ



パルテナ「このスレ内の、特にキノコ王国内では。
     フェアリータイプのピットにドラゴン技は効きません。貴方の天敵ですね」

ピット「なんか最近効かなくなったんですよね」

カムイ「」ポンッ

ピット「すいません。ほんと、すいません。当初から相性関係をそう描写しちゃってるんで。
   竜に変身しなければ、水技っていう言い訳もまだ立ったんですけど――
   パルテナ様…じゃなかった、パルテナさん。ちょっと連れて行きますね」ガシッ

パルテナ「いえ、こちらもついつい戦闘モードに入っていました」

カムイ「いやあぁぁ――」ズルズル



カービィ(物影)「……………………」

カービィ(彼女よりはマシかぁ…)



ブラックピット「」

――――ブラックピット、2敗目。

719Mii:2020/03/19(木) 00:13:15 ID:NXmrz8H2
〜キノコ城 執務室〜

コン、コン。



マリオ「ピーチ、ちょっといいかー?」ガチャッ



ピーチ「…………あー、マリオ?どうし…たのー?」グデー

マリオ「…机に突っ伏して、ここまで絶不調とは思わなかった。
    無理せずベッドで寝とけばいいのに…」

ピーチ「…………何もせずとも仕事は湧いてくるのよ…。
   おまけにスマブラ大会が問題抱えまくりの状況だし…しんどい…
   キノピオ達も『今こそ姫様のお役に立つ時!』って意気込んでくれてるんだけどね…」グデー

マリオ「ほう、そりゃあよかったなあ!」





ピーチ「…慣れないことやったせいで失敗が多くて、却ってチェックの手間を増やしてるけど」ガクッ

マリオ(知ってた。思いっきり知ってた。まるで成長していない)

720Mii:2020/03/19(木) 00:15:29 ID:NXmrz8H2
ピーチ「はやくこのストレスから解放されたいぃ…」ウルウル

マリオ「弱気にも程があるな、雨どころか槍でも降りそうなレアっぷりだぞ。
   まあ、職業病だから今更変えられないか。口出しはしない。
   …ただ、本格的にぶっ倒れるのだけはやめてくれよ?分かってるとは思うけど」

ピーチ「…はーい」ヒラヒラ

マリオ「とりあえず、スッキリドリンクとフレッシュジュース、お待ちどう。
   あとキャシーデラックス作って貰ってきたぞ。少しは体調も良くなるだろ」サッ

ピーチ「――――頂くわ!」ガバッ







ピーチ「ごちそうさまでした。…うん、少し持ち直したわ、ありがとう!」

マリオ「お粗末様でしたっと。じゃあ、頼みがあるんだけど。
   ちょっくら、俺の手のひらに思いっきりパンチかましてみろ。
   それで元気度を確かめるぞ」スッ

ピーチ「何よ、それ…別に良いけど。怪我するんじゃないわよ――――はあぁぁっ!!」

721Mii:2020/03/19(木) 00:17:37 ID:NXmrz8H2
バシイィ――ン!!



マリオ「……ふむ、まあそこそこ元気にはなってるか。
   そういうことなら、改めてお願いがあるんだが。無理言って済まないな」ヒリヒリ

ピーチ「あら、何かしら?」

マリオ「事態が事態だからな、念のため、備えに備えて…助っ人を呼びたいんだけどさ。
   …デイジーにメールで連絡とってくれないか?というか、もっと早く気付けばよかった」

ピーチ「…そんなの、とっくにやってるわよ。
   どこをほっつき歩いてるのか、電源切られたままで、一向に捕まらないけど」

マリオ「…あ、そうなんだ。一応、個人のメールだけじゃなくて、
   サラサ・ランドの王室向けにも送ったんだよな?」

ピーチ「…………あっ」

マリオ「おいおい…大臣の誰かが行き先をほのめかしてくれるかもしれないぞ?」

ピーチ「ひ、日頃は直接連絡が取れてばっかりだったから…!
    わ、わかった!すぐに連絡を取ってみるわ!」

マリオ「頼んだぞー」ガチャッ

722Mii:2020/03/19(木) 00:19:23 ID:NXmrz8H2
マリオ「…ううむ、本当に気付くのが遅かったな…
   今からだと、間に合ってくれるかどうか。俺も、テンパってるのか?
   …まあ、悔やむのは後にしよう。さてと、あとは…」



トゥルルル・・・



ルイージ『あ、兄さん!とりあえず、1UPキノコは順調に回収できてるよ!
     今で大体100個くらい!』

マリオ「全然足らん。冗談抜きに、その10倍は持ってこい」

ルイージ『ええっ!?そんなに要るの!?』

マリオ「…と、言いたいとこだが。
   まあ、集めることに躍起になり過ぎて、敵さんの仕掛けを見過ごすのは
   本末転倒だからな。回収数に関わらず、3日後には帰還してくれ」

ルイージ『了解!その時にはちゃーんとネタ晴らししてよね!
     兄さんのことだから、理由はあるんだろうけど、はは』

マリオ「悪いな、助かるよ」

723Mii:2020/03/19(木) 00:22:11 ID:NXmrz8H2
プツッ。


マリオ「……ピーチもルイージも、すり替わってる可能性は低いな。たぶん。
   『外見ゼルダ』が一向に参戦したがらなかったところを考えると、おそらく大した戦闘力は持ってない。
   …というか、『ロゼッタ自身の強さ』までが限界なんだろうな。

   確実に戦闘力がロゼッタより高い奴なら安全、か。
   …逆に言うと、市民に化けてる可能性は残ってるのかぁ、はぁ。

   偽者になれる条件は何だ?不明確過ぎて動きにくいったらありゃしない。
   空間魔法についてもっと勉強しておいたらよかったな。

   人や物の流れに大きな変化は…なさそうか?
   ファイター以外の盗難被害は…特に、出てないな。本当かな?
   非常事態宣言のマニュアルってどうなってるんだっけ…?

   …やばいな、ピーチにおんぶにだっこ状態で、キノピオ達を笑ってられないぞ?
   ピーチが戦線離脱したタイミングで仕掛けられたら…ゾッとするな。

   もうちょいピーチの体力がマシな瞬間に、流石に事情を伝えておくか…?
   そんでもって、偽ロゼッタをとっとと成敗した方がいいのかな…」ウーン

724Mii:2020/03/19(木) 00:24:16 ID:NXmrz8H2
八百屋「お、リンクじゃねえか!最近は怒涛の勢いで追い上げてるな!
    応援してるぜ、頑張んな!ほれ、リンゴ持ってけ」ポイッ

リンク「サンキュー、有難く頂いとくよ。優勝なら任せとけ!

   …しっかし、前々から思ってたんだが、俺ってハイラル王国出身だぞ?
   キノコ王国民なら何の勝負であれ、マリオに勝ってほしいもんじゃないのか?」

主婦「馬鹿ねー、頑張って戦うファイターを応援するのに、出身なんて関係ないわよ。
  うちの家は全員、リンクさんの大ファンなのよ?」

子供「そーなの!勇者は絶対負けないの!マリオなんてドカーンなの!
  吹き飛ばして、壁に叩きつけちゃうんだから!」

リンク「いやいや、流石に言いすぎだぞー。どこのジーノだよ」ポンッ

子供「ふみゅう」

リンク「まあ、応援してくれるのは嬉しいよ。大会終了まで、熱い声援をよろしくな!
   裏切らない活躍、させてもらうから!」

子供「…!!うん!」パアアア

725Mii:2020/03/19(木) 00:29:52 ID:NXmrz8H2
リンク「(ガブッ)…うん、今日もオッチャンのとこのリンゴは最高だね!
   甘い蜜!こぼれる果汁!これがたったの1個3コイン!」チャリン

八百屋「おお、毎度……………って、そのリンゴはお前にやったんだよ!」

リンク「またまたー、実はちゃっかり払ってもらう予定調和だったんだろー?」

子供「…八百屋さん、悪い人?」

リンク「そうだぞ、このオッチャンは悪い人なんだ。
   並べられた果物や野菜はみずみずしいし、奥さんは美人だし、従業員の給料も高いんだ。
   ……ほら、何か裏がありそうだろ?30分以内に誰かが命を失いそうな不自然さだ」

子供「ほ、本当だ…妙だね…!」ゴクリ

八百屋「ちっがーう!リンクもふざけるのはやめろぉ!」

リンク「おまけに、ここだけの話…少し前に、このオッチャンは風邪で休んでたんだ。
   その間は、奥さんがメインで店を開いてたんだけど。

   なんと、ミカン1個買いにきただけで2時間捕まって惚気話に付き合わされた。
   このオッチャンは極悪人と言えるのではなかろうか」

子供「…極悪人だね――!」キラキラ

八百屋「いい加減にしろー!」カアァ

リンク「はっはっは、またなー!」

726Mii:2020/03/19(木) 00:33:49 ID:NXmrz8H2
子供「リンクー、大会中だからって、最近付き合い悪いぞー。今日こそ遊ぼうぜ!
  かくれんぼでも、鬼ごっこでもいいからさ!俺、すぐに仲間集めるよ!」

リンク「悪い、忙しいんでまた今度なー。大会終わったら嫌っちゅうほど遊んでやるから!
   不貞腐れて、いたずらしすぎるなよー!」ヒラヒラ



老婦「おやおや、リンクじゃないか。この前は、荷物持ってもらって、本当に助かったよ。
  ほら、そのときのお駄賃だよ」

リンク「何十キロもある風呂敷包みを背負うなんて無茶、もうしないでくれよ。
   よろけてた所を目にしたときは肝が冷えたぜ…。よく街はずれまで行こうと思ったな。
   ま、俺にとっちゃ50トンくらいまでなら持ちっぱなしでも平気だから。お金だなんてとんでもない!」

老婦「ふふ、リンクなら…そう言うと思ってさ、これをあげようとおもってねえ」



リンク「――――紙袋のなかには?



    ――――ぱんぱかぱーん! 赤 い マ フ ラ ー !



    …………って、完成度たかっ!これは流石に対価がデカすぎじゃないか!?
    おまけにこれ、すっげー手間掛かってるだろ!?駄目だろ、こんなに簡単に手放しちゃ!」

727Mii:2020/03/19(木) 00:37:17 ID:NXmrz8H2
老婦「元々趣味で作り貯めしておいて、眠ってたのを持ってきただけさね。
  どうか貰っておいておくれ、せっかくあげたいと思ったんだから。

  それとも、いつでも渡せるようにずーっと手提げの中に入れていた…
  老い先短い、しがない老人の気持ちを無駄にするのかい?」

リンク「…それは卑怯っすよ、ううう…。俺にはクリティカルヒットだよ…。
   老い先短いとか冗談でも言わないでくれよ…。  

   …あー、婆ちゃん、編み物大好きだからなー。家の中、完成品で埋もれてたよね。
   そういうことなら、有難く貰っておきまーす。これから寒くなるから嬉しいや。
   返却要請は受け付けられないので、ご了承くださーい。どうも、それじゃ!」

老婦「傷んで来たら、また作ってあげるからねー」ヒラヒラ

リンク「傷む前提かい!…いやまあ、巻きながら剣を振ったりしたら
   速攻で傷みそうではあるけれど。むしろ何かの拍子にバッサリ行きそうだけど。

   できる限り大事に使わせて頂きまーす!」ビシッ



リンク「……………………あったかいな」ポカポカ

728Mii:2020/03/19(木) 00:40:19 ID:NXmrz8H2
パン屋「り、リンクさん!」

リンク「んー?」クルリ

パン屋「あの!その!…………し、新作のパンが焼けたんです!
    おひとつ、持って行ってください!焼き立てです!」

リンク「おー、美味しそうだな!でもそれ、売り物…………」

パン屋「持って行ってください!」ズイッ

リンク「だからそれ、売り物…………」

パン屋「持って行ってください!!」ズイズイッ

リンク「俺だけ贔屓してもらうってのも…………」

パン屋「持って行ってください!!!」ズイズイズイッ

リンク「え、これって『貰う』って言わないとループするタイプの選択肢?」

パン屋「う、ううう……………」

リンク「わ、わかったわかった、貰う貰う」ヒョイ

パン屋「…………!」パアアアア

パン屋「か、感想お待ちしてますね!――――キャーッ!」タタタッ

リンク「お、おう…?」

729Mii:2020/03/19(木) 00:45:06 ID:NXmrz8H2
男「リンク…ここを通るたびに看板娘といちゃつきやがって。リア充め、爆発しろ」

男「そうだそうだ!俺たちのオアシスにズカズカ踏み込んでくるんじゃねぇ。
 姫様方とキャッキャウフフしとけよ!」

リンク「って、またお前らかよ、懲りないなあ。何がしたいんだよ。
   お姫様と相思相愛?…どこの勇者の話をしているんだお前は。

   あの子は店主なんだから看板娘ってのはおかしいって前から言ってるだろ?
   ついでに、爆弾ならしょっちゅう爆発させてるとも言ってるぞ!

   それに、いちゃついてるとか何を言ってるのかわからないけど、
   パンをこうやって貰ったのは初めてだぞ」

男「なん……だと……」

男「…………一歩前進してしまった、だと…!
 俺たちがどれだけ勇気を振り絞ってあの子に話しかけているのか、知りもしないで…!
 ええい、その性根、今日という今日こそ叩き斬ってやる」ビシッ

男「頑張ってください兄貴!」





リンク「…木剣突き付けて俺に喧嘩を売る方が百万倍勇気が要ると思うんだけどなぁ」

730Mii:2020/03/19(木) 00:48:38 ID:NXmrz8H2
男「ぐだぐだ抜かすな!さあ、そこの広場で勝負だ!まさか逃げはしないよな!」

リンク「うわー、こわーい。逃げよーっと。お前の勝ちでいーよー」テクテク

男「えっ」

男「えっ」

リンク「これでお前の初勝利じゃん、よかったなー。
   百連敗くらい?したけど、終わりよければすべてよしだなー」

男「そそそ、そりゃないぜリンク!いやリンクさん!
 そのうち回転切り教えてくれるって約束だったじゃねーか!」

リンク「そういうことはしっかり覚えてるのな。
   でも、ちょっとマジで忙しくてですね。構ってられないんですよ…。また今度な!悪い!」タタタッ

男「……」ショボーン

男「……イテッ!?…な、なんだあ?…小冊子?」コツン



――初心者でもわかる回転切りの操作法――

リンク「簡単なマニュアル作っといた!ちょっとそれ読んで独学でやってみてくれ!
   ただしケガだけはするなよー!剣を握る時は、周囲の人や物にぶつからないことを確認だ!」タタタッ

男「うおおお、流石だぜ!ありがとな!!……でも、なんで『操作法』?」

731Mii:2020/03/19(木) 00:51:24 ID:NXmrz8H2




リンク「はっはっは、あんなに喜んでもらえるなんて、単純だなー。











    さってと。一切合財、俺たちで守ってみせますか!
    そのために、俺たちは今、ここにいるんだから――――」

732Mii:2020/03/19(木) 00:56:17 ID:NXmrz8H2
ウェンディ「へー、このアクセサリ、中々イカスじゃない。…どうかしら?」

ロイ「うーん、僕もこういった装飾品には疎いけど…よく似合ってると思うよ。
  あ、でも効果の方はまかせて。しっかり情報は集めてるから。

  えーっと、『セーフティーリング』…
  『防御・魔防・素早さの微強化と属性ダメージ無効化、状態異常・即死効果を受けない』だね。
  すごいよ!さすがウェンディ、お目が高い!いい選択なんじゃないかな!」

ウェンディ「いい事言ってくれるじゃないの!」

イギー「そうかぁ?アクセサリが可哀想じゃない?――イデッ!?」

ウェンディ「何かほざいた?」

イギー「なんでもありません」プシュー

ルドウィッグ「ふむ、それにしても、どの店も良いアイテムが揃っているな。
       いい加減、城の皆に土産として何を買ってやるか決めないといかんな…。
       できるだけ動きを束縛されずに、手頃な価格で良効果のものを…」

ロイ「だったら、ルドウィッグ。このリストが役立ったら嬉しいな。
  僕なりに、キノコ王国の装備品を、同系統の戦闘効果でグループ分けしてみたんだ」バサッ

ルドウィッグ「…うおぉ!?こいつは分かりやすいな!
       性能比較に、稀少性ランキングに、費用対効果!
      販売店舗の詳細や値崩れ状況まで載っているではないか!
      よ、よく調べ上げたな…!」ペラッ ペラッ

733Mii:2020/03/19(木) 01:04:37 ID:NXmrz8H2
ロイ「特に在庫状況と価格変動は気にするべきかな。
  大会期間も間もなく終了するから、売り抜けたい各店舗の思惑が絡み合って
  大きく価格変動が起きるはずだよ。目的のものを安く買い叩くチャンスだ。

  ただ、目がくらんで法外な価格で外れ品や劣化品を買わされる可能性もあるから、
  情報網を駆使しつつ…必要な物だけを必要な数だけ買う計画を事前に立てた方がいい」

レミー「最近のロイってマジで戦略面で冴えてるなー!見習いたいよ。
   
   ところで、ロイはどの装備に興味を惹かれた?
   オレはバトルのたびに6回までダメージを無効化してくれる
   ガードシェルDXが超欲しいんだけど…2,400,000コインか。
   一瞬2,400コインに見えちゃったけど、気のせいか。たっかいなあ、やっぱり」

ロイ「そんな異常性能なら激安だと思うけれどね…そうだね、僕が気になってるのは…
  1日1万歩歩くだけでとんでもない威力を発揮するようになる『テクテクブーツ』かな。

  …いやほんと、なんだよこれ…。どういう原理?たったの1万歩で?えええ…。
  僕の知り得る神器たちより踏みつけの威力が出るみたいなんだけど…
  世界は広いなあ…………キノコ王国の技術?は凄いなあ…」フゥ



モートン「…………?ジンギ?何ソレ?」

ラリー「尊いものさ、きっと」

734Mii:2020/03/19(木) 01:07:55 ID:NXmrz8H2
クッパJr.「ねえパパ、もう面倒だから、店の商品全部買い取って、後で分配決めようよ。
     時間がいくらあっても足りないよ」

クッパ「それでは駄目だぞ、Jr.よ。やりくりはとても大事なのだ。
   
   それはもちろん、ワガハイのお金があればできないことではない。
   だがそれだと、使われず仕舞いのアイテムが大量に出る。
   そんな浪費ばかりではクッパ軍もじきに立ち行かなくなるのだ」

クッパJr.「この程度のお金で大げさじゃない?それにお店の人は商品が完売すれば大喜びでしょ?」

クッパ「塵も積もればなんとやら、なのだ。それに、我が帝国の懐が痛むだけではないぞ?

   品質の良し悪しを気にせず物が売れていくと、粗悪な商品が淘汰されなくなる。
   職人のモチベーションが下がって良質な物が生まれにくくなるし、
   販売者は性能と価格との関連性を読み解けなくなって仕入れの質が悪くなる。
   つまり、良質な物に出会える機会自体が減る。

   その結果、業界自体の縮小を招くのだ。回り回って、将来的に全員が損をするのだ。
   何百年先かわからんがワガハイの跡を継ぐのなら、こういったことは少しずつでも理解していかなければならん」

クッパJr.「ふーん、そんなもんなんだ。…店主のおじさん、失礼なこと言ってゴメンな」

店主「あはは、大丈夫ですよ。
   しっかし、まあ。クッパ大魔王たちに何食わぬ顔で戦闘用アクセサリを勧めるとか、
   平和な時代になったものですねー。改めて思いますよ」

クッパ「何食わぬ顔て」

735Mii:2020/03/19(木) 01:11:45 ID:NXmrz8H2
店主「それにしても、クッパさんとこの技術班なら、店売りに負けない装備品とか、
   らくらく作れそうなんですけど。気のせいですか?」

クッパ「…作れないことはないが、割とマッドな技術者集団だからな…。
   効果と引き換えに精神を侵食されるとか、副作用ありきの闇の装備が多いのだ」

店主「なにそれ怖いです」

クッパ「それに、実力を底上げしすぎる装備品を買い与えたところで、碌な事にならん。
   自分のチカラを過信して努力を怠って、しまいには弱っちい兵士を生み出すだけだ。
   そんな稀少な装備品は製作費ばかり掛かって、全員に配るのもままならんしな。

   ちょこっと底上げして、『あと少し強ければこんなことができるんだ』と知って
   ますます修業に邁進できる、くらいでなければいけないのである」

店主「ごもっともですね。今後も、末永くお付き合いしていきたいものであります」

クッパ「…うむ!実にキノコ王国の民は呑気で楽観的で――愉快な性格をしている!
   ワガハイにも、こんなに門戸を開放しているのだからな!」

店主「はははははははは」



ピュウウウウウ――――

店主「でも無理やり通ろうとして破壊した入口の扉は弁償してくださいね。
  思いっきり風が入ってきて寒いですし」

クッパ「間もなく修復作業係のトゲノコたちが到着しますハイ」

736Mii:2020/03/19(木) 01:14:50 ID:NXmrz8H2
〜キノコ城 執務室〜

マリオ「……………………え?なんだって、ピーチ?」

ピーチ「難聴主人公か。だから、サラサ・ランドから返信があったんだってば。

   『どうやらデイジー様はキノコ王国に向かわれた模様です。
   大会の間居座って、観戦三昧のことでしょう。
   我々を出し抜いてほくそ笑む様子が、ありありと浮かび上がりました。

   ピーチ様は、あの方に絆されて匿われているのでしょうか?
   あの方の為にもなりませんので、ここは心を鬼にして…
   むしろ、はやくこちらまで突き返してください。政務が山積みです。
   それだけが私どもの切なる願いです』

   っていう恨みがましい返信がね。大臣も相当まいってるわね…。

   これ、どういうことかしら。もしかして、隠れて観戦してる?
   ちっとも気付かなかったわ…!」

マリオ「…………」

マリオ「……………………」

マリオ「…………………………………………」

マリオ「………………………………………………………………………………っ!?」ハッ

737Mii:2020/03/19(木) 01:16:50 ID:NXmrz8H2
マリオ「…………」ワナワナ

ピーチ「…………どうしたの?」



マリオ「…な、なあ、ピーチ。これまで、グースカ寝ていた、とかを除いて…
   デイジーに電話が繋がらなかったことって、ほぼないんだよ、な?」

ピーチ「ないわよ?というより、電源が切られていた事自体が、記憶にないわ。
   それがどうし――」





マリオ「ちょおっと用事を思い出したぁ――――っ!!じゃあなーっ!!」ダダダダダダッ!!

ピーチ「」

ピーチ「去っていった……」


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