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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

1Mii:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。

遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。





パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。

     ・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
      勝ち越せない程度の実力しかありません。
      戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
      むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
      読むようにしてください(最重要)。

     ・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
      白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
      別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
      
     パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」

508Mii:2020/01/26(日) 20:43:53 ID:WuB169qM



Wii fit トレーナー「はい、立木のポーズ!」

リンク「うへーい!」ビシッ

Wii fit トレーナー「いい感じです!」キラーン



マルス「みっつ。60秒ごとに30秒間、『立木のポーズ』を実行しなければならない。
        その間は構えることすらできず休まれ放題、斬られ放題、撃たれ放題」

ピット「ハンデというより敗北への片道切符じゃないかな、それ!?」
   
パルテナ「んー、でもリンクの方がちょっと押してますけどね」



ルフレ「ハアッ…ハアッ…どうして…曲がりなりにも攻撃を当て続けてるこっちが、
    先にフラフラになってきたんでしょうか…?」

ルキナ「…くっ、本当に…際限のない未曽有のスタミナですっ…!
    真剣で斬り続けているのに…!」

ピット「リンクすげえ!」

509Mii:2020/01/26(日) 20:49:22 ID:WuB169qM
ルフレ「……こ、降参します…………ハアッ、ハアッ、ハアッ…」バタン

ルキナ「…無念、です…」キュウ

肉体と精神の疲労、そして魔力切れで目を回して、座り込んでしまったルフレ。
地に突き刺した剣にしな垂れかかるようにして、動けなくなってしまったルキナ。
う、うん。2人とも、本当によく頑張ったと、思う。相手が悪かっただけで。

リンク「おおっ、なんだかバランス感覚が向上して体幹も強化された気がするぞ!」グイッ

Wii fit トレーナー「BEST率100%!素晴らしいです!」パチパチ

パルテナ「確かに、文句のない体捌きでしたね。
     もしもフィットネスで敵を倒すRPGとかがあったら、
     ラスボスでも瞬殺できそうな勢いでした」

リンク「どんな奇天烈RPGだよ、それ。駄作もいいとこだろ……
    あらかたワゴン行きになる光景が目に浮かぶぞ…」

Wii fit トレーナー「…………面白そうですね」ボソッ

リンク「え、なんだって?」

Wii fit トレーナー「気にしないでください。
           ちょっと従妹に提案してみようと思ったまでです」

リンク「ますます意味が分からない」

510Mii:2020/01/26(日) 20:53:08 ID:WuB169qM
観客「おう、色々ハンデは有ったみたいだが、
   お前たち、あのリンク相手によく頑張ったな!」

観客「活き活きとしてて、格好よかったわよー!
   そっちの男の人は参戦中だったわよね、応援してるわ!」

パチパチパチパチ……!



ルフレ「あ、あはは、どうも……」

ルキナ「こ、こんなに注目されていただなんて…は、恥ずかしいです…」カアァ



マルス「面白そうだから、今のルールで…是非、僕もやりたいな!
    人数は1対1でいいから!」ワクワク

リンク「おいやめろ!流石にマルスはシャレにならん!俺が剣の錆になる!」ビクッ

マルス「またまた、謙遜しなくてもいいじゃないかー」

リンク「マジだっつーに!
    というか、マルスはそれで勝ってうれしいのか!?」

511Mii:2020/01/26(日) 21:07:47 ID:WuB169qM
――ピンポンパンポーン。



拡声器「こちら、王国放送です。
     スマブラfor大会に参加されている選手の皆様方にお伝えいたします。
     大会進行に関する重要連絡がございますので、至急、大会控室にお集まりくださいー」



ピット「なんだ、なんだ?こんなの初めてだよ、事件かな?」

周りの市民の人たちも、珍しい放送らしく、熱心に聞き入っているみたいだ。

パルテナ「まあ、残念なことに事件なら割と頻繁に起こってしまっていますが…」

ピット「たしかに…残念ですね、本当に」

マルス「呼び出しとあらば仕方ない。リンク、また次の機会にしよう」タッタッタッ



リンク「そんな機会、あってたまるか……………………………………………
    ………………………………………………………………さて、と」

512Mii:2020/01/26(日) 21:14:36 ID:WuB169qM
〜選手控え室〜

マリオ「いや、集まって貰って申し訳ない、みんな」

ピーチ「一体どういうことよ、マリオ。私、こんな呼び出しなんて計画してなかったわよ?」

ザワザワと、落ち着かない様子の集まった選手たち。
どんな意図で招集をかけたのかと、要件を聞きたがっている。

マリオ「さっそくだが本題だ。みんな、いい加減、身の回りの事件に悩んでいると思う。
    その中でも、窃盗事件には辟易していることだろう。
    次はいつ、自分に降りかかるんだってな」

ファルコ「ちょっと待てよ。その件については、運の悪さというか不幸にげんなりするが、
     原因としては定かになった、解決済みの事件じゃねぇか」

マリオ「ファルコはまだ知らなかったかもしれないが、あの後もちらほら、窃盗事件は起きてるんだ。
    それも、相変わらず選手のみを狙ってな。
    その中には、まだ持ち主に返せていないものもある。
    それほど重要なアイテムでなかったのが幸いだが」

ルカリオ「…私のがんばリボンとコンテストリボンが…」

ドンキーコング「ネクタイが…許すまじ…!」ゴゴゴゴ

ロックマン「お守りのE缶が…」ガックリ

ネス「ヨーヨーが…」ショボン

513Mii:2020/01/26(日) 21:18:46 ID:WuB169qM
サムス「盗んだ奴が一番悪いのは当然だが、みんな、油断し過ぎじゃないか?
    選ばれし戦士として、もう少しどうにかならなかったのか?情けないぞ、まったく」フン



ガチャッ!

キノピオ「たたたた大変ですサムスさん!
     何者かが更衣室に忍び込んで、サムス選手のロッカーを荒らしたみたいです!
     スーツ一式がなくなっている模様だと報告がありました!
     ちょっと確認しに行ってもらえませんか、今すぐっ!」バターン

サムス「それはすごく重要なアイテムだから返してぇ!?」ダダダダダッ



ピーチ「ううっ…吐き気、が」フラッ

ファルコ「…何やってんだよ。マジで大丈夫かよ、この大会!
     防げるかどうか、の話じゃなくて、これじゃ大会に集中することすら…ろくにできないぜ?
     やっぱり…俺の最初の怒りは、間違ってなかったってことになっちまうのか?」

ピーチ姫の顔色が、目に見えて悪い。
相当ショックを受け続けているみたいだ。

514Mii:2020/01/26(日) 21:21:26 ID:WuB169qM
マリオ「そのことに、ついてなんだが。
    実は、クッパと協力して、対策を考えていたんだ」

ピーチ「…ちょっと。何よそれ、初耳よ」

マリオ「まあ、駄目元だったんでな。
    選手たちが不安がると、周りの市民や観客だって異常に気付いて、
    ますます大会に支障が出てしまう。
    一刻も早く対処したいと、藁でも縋る気持ちだったんだよ」

ピーチ「…駄目元、だった…ってことは、方策を見つけたのね?」

マリオ「ああ。それが…これだ。おーい、クッパ!用意はいいか?」

クッパ「任せておくのだ!」

…!?なんだ、ありゃ?
クッパが、漆黒のでっかい箱を頭の上に抱えて、ズシンズシンとやってきた。

クッパ「……ふんっ!」バッ



ドッズウウウゥゥ――ン!!!

515Mii:2020/01/26(日) 21:23:33 ID:WuB169qM
クッパが、軽く放り投げるようにして控室中央に置いて見せたのが…
1辺5メートルはあろうかという、巨大な――

フォックス「……金庫、か?」

クッパ「そうだ、人呼んで『大魔王の金庫』。もちろん、唯の金庫などではない。
    あらゆる衝撃に、魔法にビクともしない優れものなのだ。
    おまけにカメックの魔法のおかげで、外見以上の収容能力を持つ!

    さあお前ら、貴重品はとっととこの中に詰め込んでしまうのだ!
    試合中の者だけ、引き出しておけばよい。
    大会終了まで、無事を保証してやるぞ!ガッハッハ!」



でも、そんな高笑いにもすぐに納得はできず…
選手たちは、互いに目配せをし合って、動こうとしない。
突然の提案に、どうしたものかと悩んでいるみたい。

516Mii:2020/01/26(日) 21:28:00 ID:WuB169qM
ファルコ「…そいつは、信用できるのか?
     悪いが、その金庫の性能が本当に高いのかどうか、俺たちには分からねえ。
     もしそれでも無くなったり奪われたりしたら、一体どうしてくれるんだ」

マルス「僕も疑う訳じゃないが…そもそも、肌身離したくないようなものを
    人様の金庫に収める、ということ自体に、中々の抵抗があるしね」

リンク「そうだぞマリオ。無くなりました、じゃあ弁償します、じゃ済まされないぞ」

全体的に、胡散臭がる、拒絶しようとする雰囲気だ。当然だね。



マリオ「…まあ、普通の弁償限界だったらな」

ピーチ「どういうこと?」

マリオは周りの皆をゆっくりと見渡して、こう宣言した――



マリオ「俺とクッパが、この金庫に絶対的な自信があることを示そう。
    もしも俺たちを信じて預け入れてくれ、その結果何者かに奪われ、あるいは損失したならば。

    奪われた要因、損失の程度に関わらず。
    預け数1つごとに…問答無用で 10億コイン 渡そうじゃないか。
    更に、この『マリオ』の使用権を1年分渡そう。
    自国に連れ帰って、存分にこき使ってもらって構わないぞ」

ピーチ「はああっ!?」

517Mii:2020/01/26(日) 21:31:32 ID:WuB169qM
ザワザワザワ――ッ!!

控室が、にわかに騒がしくなった。なんてことを言い出すんだよ、マリオ!
ヒーローのマリオを1年間駒にできるとなれば、途轍もない利権には違いない。

ピーチ「マリオっ!そんなこと、勝手に決めないでよ!
    そこまで責任被ること、流石にないわ!」

マリオ「悪いが、ピーチは黙ってろ。
    これは、キノコ王国がどうの、という話じゃあ、ない。
    あくまで俺個人が、みんなと交わす取り決め、約束だ。
    支払いのコインだって、当然俺が全負担する」

ピーチ「そんなお金、ないでしょ!?」

マリオ「まあ…身の回りのアイテムや備品、色々売り払えば、なんとかなるだろ。
    そのくらい、俺は覚悟してるってことだ」



選手たちが、黙りこくる。



クッパ「…おーい。どうして誰も動こうとせんのだ。
    誰も使わないとかいう骨折り損のくたびれ儲けなオチはやめてほしいのだ」

518Mii:2020/01/26(日) 21:37:02 ID:WuB169qM
リンク「…しゃーないな、そこまで言うなら、この俺が信じてやるよ。
    もちろん、なーんの価値もないようなものを、からかいで入れるとかはしないぞ?
    俺はとりあえず、ネオ・マスターソードとハイリアの盾を預けておくぜ」

デデデ「!?リンク、正気か!?
    それらを失いでもしたら、永遠に取り返しのつかないことになるぞい!
    下手をすればハイラル王国の存亡に関わるぞい!」

リンク「それは盗まれたときだって同じことだろ?
    ルカリオやネスの裏を掻けるような奴の犯行なんだ、
    俺だって絶対に守る自信なんてないよ。
    だったら、せっかく用意してくれる万全なセキュリティに任せた方がいいさ。

    あ、そうだ、パルテナー。
    念のため、金庫の中にテレポートできないことを確かめてくれないか?」

パルテナ「あ、は、はい」スッ

519Mii:2020/01/26(日) 21:39:54 ID:WuB169qM
パルテナ様が、目を閉じてしばし。



パルテナ「きゃんっ!?」バチィ!

ピット「パルテナ様っ!?」

金庫が怪しく光を発したかと思ったら、テレポートを発動させ姿を消したパルテナ様が、
術式を強制解除されたのか…金庫の壁に予期せぬ出現をして、激しく吹き飛ばされた。

パルテナ「」ドクドク

ピット「うわあ!?あわわわわわわわわわ!!?」

ピーチ「か、回復回復っ!!」ポワアアアアン



パルテナ「う…いったたたた…ちょ、ちょっとクッパさん!?
     これ、何重に転移阻止の術式を展開しているのですか?
     大盤振る舞いにも程がありますよ!」

520Mii:2020/01/26(日) 21:44:30 ID:WuB169qM
クッパ「ふん、100人以上のカメック達に1週間がかり夜通しで、
    魔法を仕込ませておいたからな。この金庫に死角なしなのだ!
    なんだったら、ロゼッタも試してみるといい!」

ロゼッタ「え、ええ?わ、わかりました。
     ……せーのっ!」シュンッ


ロゼッタもパルテナ様と同じように姿を消し…、
同じように、激しく跳ね飛ばされる。
流血はしないものの、もんどりうって床を大きく滑らされた。

ピーチ「ちょ、ちょっと大丈夫、ロゼッタ!?
    …クッパ!ちょっとやりすぎよ!」

ロゼッタ「……うそ。凄いですね、これ!まさか跳ね返されるとは…!」

リンク「おおー、上々だな。ま、この金庫に入れたうえで、トドメに周囲を監視カメラで完全警護でもしておけば、
    流石に獲られはしないだろ。マリオ、クッパ、サンキュー!
    じゃ、ハイラルの大事な剣と盾、よろしくな!」ホイッ

マリオ「よっしゃ、確かに承ったぞ」ウケトリ

521名無しのベジータ:2020/01/30(木) 21:04:20 ID:5aDSRG.k
続きはよ

522Mii:2020/02/01(土) 16:44:35 ID:5ZK6q2P6
〜閉ざされたフィールド〜



ロゼッタ「…ぐぐ、まだまだ本調子じゃ…ありません…」ググッ



それでも汗の滴り落ちる中、必死に腕を、脚を、動かし続けます。

ようやくFPの流れも自力制御できるだけの回復を果たして、喜びたいところですが。
そんな暇など、ありません。なまった体を本調子へ、そしてその先へ進ませなければ。



ロゼッタ「…998、999、1000っ!!」



スクワット、腕立て伏せ、腹筋。1000回ずつ終わりました!
…それぞれ1時間も掛かってしまうだなんて。まだまだ短縮の余地がありますね。



自身を気休めに回復させて、ほっと一息。

523Mii:2020/02/01(土) 16:52:04 ID:5ZK6q2P6
ゼルダ「やっと終わりましたか、ロゼッタ」

ロゼッタ「…あ、す、すいません」

…おっと、ゼルダ姫をお待たせしていたのでした。

お一人で、魔法の特訓をひたすらしていたゼルダ姫。
なんでも、ゲイルアタック習得時にお見せした私の魔法レベルの高さに刺激を受けて、
居ても立ってもいられなくなったのだとか。…ちょっと照れます。

ゼルダ「もっと高みを目指したくはありますが、やはり簡単ではないですか…ふう。
     …さて、準備はよろしいですか?
     本当にできるかどうか気になりますが、やってみますよ?
     言い出したのは、貴方なのですから」

ロゼッタ「今更、机上の空論と罵倒されるのも嫌ですし……もちろんです!
      練習ではわりといい感じに仕上がっていましたから!」

524Mii:2020/02/01(土) 16:54:08 ID:5ZK6q2P6
目を瞑って、ちょっと集中。

ゆっくり目を開いて、両腕を横に伸ばします。

左手をグーに、右手をパーにして、パチンと打ち付けて。
FPを集積し、集約し、さあ展開していきましょう。



ロゼッタ「………………Barricade Robe《要塞法衣》――っ!!」



バキバキバキバキバキバキバキバキィ――――――――ッ!!

首を、両腕を、肩を、胸部を、腹部を、背中を――
上半身全体を、ある程度フレキシブルな隔壁が覆います。
肌やドレスに接触した瞬間、凝縮され薄膜となり、コンパクトに。

その上から、次の隔壁がやってきて、ペタリと接着。
焼き直しのように凝縮され薄膜となり、コンパクトに。
更に、その上から次の隔壁が――

一連の作業が、隔壁『12枚分』、生々しい打撃音と共に夥しい速度で進められていきます。
この枚数が、試行錯誤によって判明した…後々の柔軟性を担保できる、限界枚数。
10秒もしないうちに、全ての工程が完了しました―!

525Mii:2020/02/01(土) 17:00:55 ID:5ZK6q2P6
ロゼッタ「感触、問題ナシ……要塞法衣、完成っ!!」シャキーン



ロゼッタの 上半身の 攻撃力が  10%アップ!
ロゼッタの 上半身の 防御力が 300%アップ!
ロゼッタの 上半身の 素早さが  50%ダウン!▼



ゼルダ「……!」



私の新しい魔法、要塞法衣。
体を隔壁が覆うことで、ダメージを大きく抑えてくれる…天晴れな鎧です!
何重にも薄く張り付いた隔壁が、少しばかり金属じみた性質を獲得したためか、
うっすらと光を反射して輝いています。

…動くたびに体の周りからミシミシと音が立って耳障りなのは我慢、我慢っ!
流石に動きに制約があって、ちょっと動きが取りにくいのは…もっと我慢っ!

ついでにこの魔法、隔壁に多大な負担を強いるため、劣化防止でFPを垂れ流し。考え無しに使うと自分の首を絞めます。
更についでに言うと、視界や聴覚、嗅覚や呼吸なんかが愉快なことになるので顔に対しては発動できません。
もうひとつおまけに申し上げると、何もないところで頻繁に転びまくってしまうので下半身にも発動できません。
…と、何気に不便なところもあります。悲しいかな、全部経験談です、ええ。

526Mii:2020/02/01(土) 17:04:08 ID:5ZK6q2P6
鎧を纏って、改めてゼルダ姫を見やる。
少し驚いたように見えたゼルダ姫ですが、すぐに顔を引き締めています。

ふんわりとジャンプして、浮き上がって…。
ゼルダ姫を見上げる格好になりました。さて、いよいよですね。
ちょっと、わくわく。

ゼルダ「……コホン」



ゼルダ「光と影を統べる王に弓引く 愚か者よ…
    その身をもって 我が力に触れるがいい!!」クワッ



ロゼッタ「……え?」

ゼルダ姫が、左手を天に向かって掲げると。
途端に、眩く輝く光の球が現れました。
…ええ、それは伺っていた通り、の現象なのですが。
さっきの台詞は一体なんですか?

527Mii:2020/02/01(土) 17:09:11 ID:5ZK6q2P6
ゼルダ「ハッ!」ブンッ!

ゼルダ姫が、光の球を――私に向けて、放り投げます!

それを私は、避けるのでなく、食らうのでもなく…!



ロゼッタ「…せー、のっ!」ズンッ!



鎧状態の拳で、真正面から正拳突き!
バシイイィィン!と爽快な打撃音とともに…光の球を、ゼルダ姫に撃ち返しますっ!
目論見通り!大成功です!さあさあ鍛えて参りましょう!

…あ、けっこう反動あります。ビリビリします。軽い硬直状態になりますね。
こ、これは間隔開けずに繰り返しこなすのは、無謀ではないでしょうか。タイムを要求します。

私の心の叫びを知ってか知らずか。返された光の球に、ゼルダ姫は手をかざして、一振り。
それだけで、光の球は、ふたたび反転して私に襲い掛かります。

ゼルダ「ほう…問題なさそうですね。それでは、改めて宣言します。
    ――光の球ラリー、500往復、始めっ!」

ロゼッタ「あの、えと、もうちょっと小さい光の球から始めてほし…
     わ、わ、わわわっ!聞く耳持たず!?きゃあ!?」

528Mii:2020/02/01(土) 17:12:25 ID:5ZK6q2P6
それは確かに、私から提案してみた特訓方法ですけどねっ!?
覚えたての魔法の具合を確かめるには、ちょっと…図らずもハードルを上げ過ぎではないでしょうか!

ああもう…仕方がありません!このまま続行、ラリーを続けます!
開き直り、破れかぶれと人は呼びます!



ロゼッタ「いーち!」ドンッ!

ゼルダ「……」カンッ



ロゼッタ「次はビンタっぽく、にー!」ダンッ!

ゼルダ「……」カンッ



ロゼッタ「アッパー気味に、さーん!」カキーン!

ゼルダ「……」カンッ



ロゼッタ「受け止めて押し返す感じで、しー!」ドスッ!

529Mii:2020/02/01(土) 17:17:29 ID:5ZK6q2P6
ゼルダ「……ふふ」カンッ

ロゼッタ「流れに逆らわず、くるりと体ごと一回転させながら投げ返す感じで、ごー!」ブンッ

ゼルダ「…それっ」カンッ!

ロゼッタ「――ろ、ろくっ!…あれ?
     ちょ、ちょっとゼルダ姫!微妙に速度が上がって、上がってますよっ!」・・・ゴンッ!

ゼルダ「それが?」

ロゼッタ「いやあの!間違って顔面に当たったりすると即死する威力なのをお忘れで?
      割と今のスピードで一杯一杯なんですが!」

ゼルダ「頑張りなさい、不断の努力こそがロゼッタの強みでしょう」

ロゼッタ「無視されました!?」



ゼルダ(……………………)

530Mii:2020/02/01(土) 17:20:43 ID:5ZK6q2P6
〜回想〜



ゼルダ「光と影を統べる王に弓引く 愚か者よ…
     その身をもって 我が力に触れるがいい!!」フワッ



ブンッ!
ゴオオオオオッ!



ミドナ「憑依されているのか…!?魔法を放って来たぞリンク!
    剣でなんとか対処できるか!?」

リンク「よっしゃ、まかせとけ!…マスターソードォ――――!」

ズバアアアアアアァァン!!



光の球は 耐え切れずに 一撃で 消し飛んだ!!▼



リンク「あ」

ゼルダ「」

531Mii:2020/02/01(土) 17:22:23 ID:5ZK6q2P6
ゼルダ「…ひ、光と影を統べる王に弓引く 愚か者よ…
     その身をもって 我が力に触れるがいい!!」

ミドナ「…Take2?」



リンク「……ハイリアの盾ェ――!」

ゴチイイイィィン!



光の球は 耐え切れずに 一撃で 消し飛んだ!!▼



リンク「…おいガノン!ゼルダ姫の力、思いっきり呪縛かけてるだろ!
    ゼルダ姫の力、流石にここまでへっぽこにして差し上げるなよ!
    ゼルダ姫の評価を貶めようって腹か?悪役ながら酷い奴だな!」

ガノン(えっ)

ゼルダ「」グサグサッ

532Mii:2020/02/01(土) 17:24:48 ID:5ZK6q2P6
ミドナ「…そんなにラリーをやりたいんだったら、
    伝説の剣や盾使うのをやめておけばいいんじゃないか?よくわからんが」

リンク「まあ、そうなんだけど…恰好がつかないんだよなあ。
    …それでもお約束のラリーをする楽しさが優先か。
    じゃじゃーん!トアルの剣っ!」

ミドナ「優先なのか」アキレ

リンク「…って、もう光の球撃たれてる!?食らっても案外平気そうだけど、やばっ!」

ミドナ「それってどこがヤバイんだ?」



ズバッ!

光の球は 耐え切れずに 一撃で 消し飛んだ!!▼

ミドナ「……………………」

リンク「……………………」

ゼルダ「」

533Mii:2020/02/01(土) 17:27:26 ID:5ZK6q2P6
ミドナ「あ、そ、そうだ。そこに転がってる奴とかどうだ?」

リンク「え、これのこと?」ヒョイッ



ゼルダ「」カンッ!

リンク「てえぇい!」カキンッ!

ゼルダ「」カンッ!

リンク「まだまだっ!俺は、負けないっ!
    ……ミドナ、これ、すごいぞ!ラリーがちゃんと続くっ!
    サンキュー、助かったぜ!」

ミドナ「……あ、ああ。全然助けた気がしないが、どういたしまして」

リンク「俺とこの武器は一心同体だー!」





ミドナ「それ、崩れた城の一部から採取できた、何の変哲もない木切れだけどな」

ゼルダ「」

ゼルダ「」ダバーッ

534Mii:2020/02/01(土) 17:31:38 ID:5ZK6q2P6




ゼルダ(……………………)

ロゼッタ「あっ…いた、いたたっ!そろそろ限界…ああっ!」Miss!

ゼルダ「……ふふふふふふ、また最初からやり直しですね。
     ああ――楽しい、楽しいわ…!」

ロゼッタ「そ、そんな…せっかく35往復まで行ったのに…ハァッ…
      い、いえ、どのみち、序盤もいいところでしたね…。
      うぐ、隔壁修復が間に合わずにけっこう血が滲んで…」

ゼルダ「ああ…こんなに、こんなに光の球の応酬が、楽しい物だった、なんて…!
     グズッ…さあロゼッタ!まだまだ行きますよ!」ポロポロ

ロゼッタ「ちょっと治療の時間を頂いても…って、もう再スタートですか。
      …あ、あれ?なにゆえ泣いているのですか!?」

535Mii:2020/02/02(日) 00:02:08 ID:PXhC6pdY
まさかの「失敗したらカウントし直し」を宣告されてから、2時間。

必死に頑張っては見たものの、500往復だなんて土台無理な話で。
一度だけ100往復以上続けさせたところで、ようやく休憩となりました。
か、体が酸素を求めています。

妙にサッパリした顔つきのゼルダ姫が隣に来て、腰を下ろします。
流石に、基礎体力の差が出たのか、ちょっと汗をかいたくらいで余裕そうなゼルダ姫。

ちなみに、基礎体力レベルとしては
デイジー姫(裏)>>デイジー姫(表)>ゼルダ姫>>私>>ヒルダ姫。

一方の魔法レベルとしては
私(本気)>>ゼルダ姫>ヒルダ姫>私(低下)>>>デイジー姫。
…だいたいこんな感じです。たぶん。



2人して見やるのは、そう、ヒルダ姫。
何を隠そう、本日一番頑張っているのは、彼女なのです。



なにせ、私のお相手をゼルダ姫に委ねた流れから、消去法的に――
デイジー姫とのタイマン勝負を、何時間も続けているのですから。

536Mii:2020/02/02(日) 00:05:43 ID:PXhC6pdY
私、ロウラル王国のトップを務めさせていただいております、ヒルダです。

魔法それなり、運動能力からっきし。吹けば倒れると評判の、ヒルダです。

かつて、理を見失い、愚かにも目が曇り、
「あなたの、その……勇気のトライフォースを渡しなさい!」
とかなんとか、宣ったことのある、ヒルダです。

…ちなみに、リンクに
「勇気のトライフォースね!3つあれば十分かな?」
と笑って返され、固まってしまったのは内緒です。



そんな、私ですが。
何の因果か、いろいろあって心変わりして。
今しがた、デイジーという強大な壁に立ち向かっている最中です。

既に、ちょっと振り返るだけで、彼女に軽く500回以上残機を減らされています。
要するに、命を奪われています。

前半は、失望と絶望の真っただ中で。
そして後半は――

537Mii:2020/02/02(日) 00:09:39 ID:PXhC6pdY
デイジー「そらっ!」ダダッ!!

ヒルダ「――――っ!」

迫り来る高速の一撃。私程度では、避けられません。
……それで、諦めてしまうのは、簡単。実際、ほんの少し前の私が、そうでした。

何もできず、運命の過酷さを憂い…いえ、運命のせいだと全て責任を押し付けるのは、
何だかんだ言って、ただの逃げ。自暴自棄。役割放棄。
それでは、何も変わらない。変わらなきゃ、いけない。



たとえば。



ヒルダ「……サンド、ロッド――ッ!」

ファントム・ユガ「DAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」ブンッ!!



召喚した影の魔物の杖が振り下ろされるたび、
むき出しの地面から繰り出される、固められた、何本もの砂の柱。

デイジー姫は、そんなこと気にも留めず、むしろ体当たりで砕かんとする勢いです。

それでも。持ちうる最大火力の魔法をぶつければ、ちょっとは彼女の勢いを削げる。
あるいは、最短距離で接近されることを防いで、時間の余裕を生み出せる。

538Mii:2020/02/02(日) 00:11:37 ID:PXhC6pdY
そんな私の願いをあざ笑うかのように、大して時間と体力のロスもなく、デイジー姫が刻々と迫る…!



――別に、優雅に振る舞えなくても、いい。
――とにかく、残機を失うその瞬間を、少しでも遅らせるために。
――足掻き続けられたら、それで、いいはずなのです。



砂の柱をデイジー姫の目前に繰り出させ、視界を遮る。
私を見失わせたその瞬間に、自分の体に鞭打って、大きく大きく横っ飛び。
さしものデイジー姫といえど、スピードが乗った状態からの急な方向転換は…決して楽ではないはず。

デイジー姫に破砕された砂の柱。四方八方に激しく砂が舞い散ります。
横方向に、1メートル離れ、2メートル離れ、3メートル離れ――!?



デイジー「残念、だったなっ!」グッ ダンッ!

ヒルダ「――!?」

なんて、こと。
デイジー姫ときたら、私が居た箇所、たった一か所踏みしめるだけで。
猛スピードもなんのその、いともあっさり進行方向を90度転換。
私を見据えたまま、迷うことなく突き進んで、きますっ!

539Mii:2020/02/02(日) 00:15:54 ID:PXhC6pdY
デイジー「はあああぁ――!」ゴウッ!



風を纏いながら、ジャンプキック。

1秒後に、私の胴に届かんとする、デイジー姫。
1秒後に、胴を貫かれ、無残に残忍に絶命させられる――
後ろのデイジー姫に顔を向けてしまった、私。



こちらも負けじと方向転換?
…無理です、貧弱な脚力が咄嗟の行動を許してくれません。

もう一度、サンドロッドで食い止める?
…彼女の位置が大問題です。攻撃動作で浮いているため、
地面から立ち上らせる砂の柱がぎりぎり間に合いません。



デイジー「諦め――」







ヒルダ「……っ!ここに――っ!」

540Mii:2020/02/02(日) 00:21:38 ID:PXhC6pdY
痛みを覚悟する、一瞬。その直後。



ズゴゴゴゴゴゴッ…!

デイジー「…何っ」

ヒルダ「…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!…ハァッ!」



半ば、自分目掛けて撃ち抜く感じ、でっ!
一気に、何、メートルも、大きく自身、を、持ち上げますっ!

痛い、痛い、痛いっ!
背中を強く、あまりにも強く打ちのめす自爆行為。
肋骨が折れていますよと指摘されても納得してしまう痛みです。
涙目になりながら、砂の柱のてっぺんで激しく呼吸しながら。仰向けに転がります。

砂の柱は、じきに崩れる、あるいは崩されます。
でも、この行動は、決して、無駄じゃない。
ほら、今度こそ、砂の柱に意図せず突っ込んでしまって――
ざっと5秒…いえ10秒、時間を稼げました。

何もしなかったときに比べ、最低でも10秒ぶん。
――考える力を。戦う力を。経験値をかせげたということです。

この激しい痛みだって、即死に比べればよほどマシ、万々歳というものです。

541Mii:2020/02/02(日) 00:24:37 ID:PXhC6pdY
ヒルダ「…そもそも、砂が崩れるまでのほほんと待ってくださるとも…
     限りません、よ、ねえっ!」

一刻も早く、体勢を、整えなければ。
節々が痛む体を叱咤激励しつつ、砂の上で起き上がり、周囲の警戒を怠らずっ!
休む間もなく、ファントム・ユガに構えさせる装備を考えます。

私の大切な従者、ラヴィオによって集められた、数々の装備。
もともとはリンクに使ってもらう予定のレンタル品だったとのことでしたが、
リンクが「あんな感じ」なので、まるで使われることはなく。
そのままラヴィオに勧められるまま、私が預かることとなり。

僭越ながら勝手に使い手となってしまって、熟練度を軒並み上げた結果
ファントム・ユガの手にも具現化させるに成功、偉そうに使わせるに至っています。
誰とも知れない本来の使い手さん、本当に申し訳ありません。

フックショットで、足場から足場へ逃げていくか。
…まあ、逃げられるのは図体の大きなあの魔物だけなんですが。却下です。

速度だけなら、やはり弓矢を放たせるか。

自爆覚悟で、バクダンか。



…光の弓矢なんて特別製の代物は、ゼルダ姫か…リンクくらいしか扱えないんです。
私としては持っていない以前に流石に実力不足です。魔法回路が焼き切れます。

542Mii:2020/02/02(日) 00:28:04 ID:PXhC6pdY
ヒルダ「ハァッ…ハァッ…」

とりあえず威力重視でバクダンを持たせることにして、術式書換え、切換え。
次第に砂の柱がひしゃげていって…。

デイジー「……おお、頑張った頑張った、その調子」

ファントム・ユガ「GARUUUUUUUUU・・・・・」

ヒルダ「よゆう、しゃくしゃく、ですね……バクダン、連続投擲っ!!」サッ

ファントム・ユガ「DADADADADA!」ポポポポポポイッ



デイジー「…別に、猪突猛進だけが能では、ないぞ?…見るがいい」フフッ



5個、10個と、揺らめくバクダンを投げつける。
爆風が辺りに吹き荒れますが、それでもデイジー姫はひらりひらりとかわしていく。
エレガントに、それでいてアクロバティックに。まるで炎の舞を踊っているよう。
激情を醸し出しながらも、「表のデイジー」の片鱗が垣間見えます。

543Mii:2020/02/02(日) 00:29:58 ID:PXhC6pdY
がくん。



ヒルダ「――ご、ふ」

魔力を急激に召喚獣に持って行かれ、立ち眩みと小さい嘔吐。



デイジー「いいのか?碌に効かないまま、どんどんFPを消耗するぞ?」

対峙する相手は、そう言ってほくそ笑みますが。



ヒルダ「…いい、んです!
    FP…いえ魔力で数々の装備を繰り出せるのが、私の…私だけの、持ち味!
    それを1秒でも伸ばし育てるのが、私の使命、そうでしょう!?」

デイジー「…その意気や、よし。
      もっと踊れ、いや踊らせてやろうじゃないか。
      足掻いたうえで、絶望にぶち当たらないことを精々願っておくことだな」

ヒルダ「…………あたり、まえ、ですっ!
    今の私が目指して止まないものは――期待と希望、だけですからっ!」

口を拭って――まだまだ、足掻いてみせますっ!

544Mii:2020/02/02(日) 00:33:12 ID:PXhC6pdY
ゼルダ「…本当に、凄いですね」

ロゼッタ「ええ。本当の、本当に――2人とも、凄い、です」

ゼルダ「…え?凄いのは、ヒルダ姫だけでしょう?
     必死に戦う意志をとうとう己の物として、一気に成長の兆しが――」



…何を言っているんですか?そんなこと、あるわけないじゃないですか。



ゼルダ「…も、もちろんデイジーの強さは凄いと思いますが。
     それはもう、これまでで十分…分かりきっていたことでしょう?」

ロゼッタ「……いえ?私、改めて気付きましたよ。
      デイジー姫は、もしかしたら――天才なんじゃないかって。

      単純な戦闘力なら、今のデイジー姫よりも、マリオ達のほうが更に強いのでしょう。
      彼女自身が認めたように。それは真実かもしれません。

      でも。『成長促進』の素質というか、才覚については……
      世界で一番かもしれないって思った次第です。
      恐るべきは、『私たちを鍛え上げることに全精力』という暗示の絶大さ―!」

ゼルダ「…………?」

545Mii:2020/02/02(日) 00:37:13 ID:PXhC6pdY
ロゼッタ「……ねえ、ゼルダ姫。貴方は、気付いていますか?
      私は準備運動中やゼルダ姫とのラリー中にチラ見していたのですが…

      ヒルダ姫、残機が減る間隔が――どんどん、どんどん、長くなっています。
      それはもう、加速度的に」

ゼルダ「…で、ですから。それは、ヒルダ姫の努力の賜物でしょう?」

ロゼッタ「いくらヒルダ姫が成長芳しいと言っても、デイジー姫からしてみれば
     赤子の手を捻るような状態のままですよ。
     少なくとも、それだけで何倍も間隔が伸びるなんてことはあり得ません」

ゼルダ「では、手を抜いていると?」

ロゼッタ「…うーん、半分合っているけれど、絶対的に間違っている、と言いますか。
   
      …今日、デイジー姫が鍛えているのは、ヒルダ姫1人です。
      以前のように3人を順番に鍛えるのではない…
      つまり、長引かせても順番待ちが発生するようなことはありません。

      デイジー姫は、そこで――ヒルダ姫が最も成長するようなカリキュラムを、
      徹底して実行しているみたいなんです」

ゼルダ「勿体ぶらずに話してください!」



…できれば、自分で気付いた方が、より大きな感銘を受けられると思うのですが。

546Mii:2020/02/02(日) 00:43:11 ID:PXhC6pdY
ロゼッタ「…デイジー姫の駆け引きを、よく観察してほしいのですが。
      あと、ヒルダ姫が絶命する瞬間のデイジー姫の動きも、
      ひとつひとつ思い出して頂きたいのですが。

      デイジー姫は、ヒルダ姫の成長ぶりを超人的感覚で分析、フィードバックさせながら、
      今繰り出されているヒルダ姫の行動に潜む本気度を、限界値を読み取り続けています。

      そのうえで、デイジー姫の動き。
      ……ヒルダ姫が諦めずに実力限界を突破する一手を繰り出したとき『 だ け 』
      ぎりぎりのところで減速するように、追撃もしないように制御しているんですよ。
      逆に、諦めたり下を向いたりした瞬間、力も速度も倍化して介錯の一撃を繰り出しています」

ゼルダ「……………………………………………………………………………………………
     ……………………………………………………………………………………………
     ……………………………………………………………………………………………
     ……………………………………………………………………………………………
     そ、んな、馬鹿な」ブルブル

ロゼッタ「ところがどうしたことでしょう、本当、みたいです。
      つまり、ヒルダ姫は無自覚のうちに――
     
      気を抜くと一層の激昂のもと一瞬でねじ伏せられて絶命するのに、
      渾身の動きをすると何故か拍子抜けするくらい怪我をしない、という環境が与えられ。
      否応なしにフルスロットルで応対する癖が、構えが身に付き。
      …経験値を荒稼ぎしているというわけですね」ニコッ

547Mii:2020/02/02(日) 00:47:05 ID:PXhC6pdY
ゼルダ「有り得ない!有り得ないです、そんなこと!」

ロゼッタ「私も、何度そう思ったことか」

…これに、どれだけの細心の注意が、必要になることか。想像も尽きません。
デイジー姫本人に問い質したとしても、はぐらかされるでしょうけど。



デイジー姫の尽力もあり、ヒルダ姫は、もう、大丈夫。
頼もしすぎる、レベルアップの音が聞こえてくる気がします。

さあ、2人に勇気を貰ったところで。



ロゼッタ「さあゼルダ姫!
     私たちも、休んでいる暇はないみたいですよ!
     続きと参りましょう、続きと!」グッ

ゼルダ「…上等です!
    私も、まだまだ成長させてもらいますから!
    今度こそ、500往復、達成して御覧なさい!」



みんな、まだまだ、強くなれる気がします。
待っていてください、偽物さんたち。
後悔しても、もう遅いというものですよっ!

548Mii:2020/02/04(火) 01:31:27 ID:ax5KUpRI
〜大会会場〜

掲示板「現在の順位表デス!

     1st MARIO
     2nd KOOPA     -30pts.
     3rd LINK      -196pts.
     4th CHARIZARD -550pts.
     5th PIKACHU   -620pts.
     6th YOSHI    -783pts.
     7th KIRBY     -877pts.
     8th LUIGI     -1019pts.」デデン!

ピット「…………CHARIZARD?LIZARDON?…あれ?」ミアゲ

パルテナ「まー、このスレ内ではロゼッタも…
      ROSETTAではなくてROSALINAで通してきましたし」ミアゲ

ピット「なるほど…ってか、やっぱりキノコ王国勢と初代ポケモン勢、強いなあ…」

マリオ「…うげっ、一時は1000ポイント以上あったリンクとの差が、
     あれよあれよと、とうとう200ポイント切ったか…!
     残り1か月もないとはいえ、混戦になってきたな…!」

ルイージ「僕が…僕が、暫定8位だよっ、兄さんっ!うおーっ!」バンザーイ!

マリオ「…ビリかあ」ヤレヤレ

ルイージ「上位だよ!?」

549Mii:2020/02/04(火) 01:37:11 ID:ax5KUpRI
マリオ「…あんまり調子にのってると、またいつもの如く滑り落ちるぞー?
    だいたい、ピーチの不調がなけりゃ、ルイージの順位は下がってても
    全然おかしくないんだからな?」

キノピオ「姫様、多発する問題にすっかり意気消沈されて…
     本調子とは程遠いありさまです、おいたわしや…」ジワァ
      
ルイージ「うぐぅ…言えてる」

リンク「よし。…よしっ!マリオとクッパに、肉薄肉薄ぅ!
    まだまだ苦しいけど、逆転優勝の可能性も十分出てきたぜ!」オーッ

パルテナ「怒涛の追い上げですね…やはり歴戦の勇者の底力は恐ろしい。
     私など、フィールドで吐かないようにするので精一杯ですよ…」

ピット「パルテナ様っ!生々しい!すっごく生々しい!ちょっとは見栄を張りましょう!」

ルキナ「お疲れ様です、リンクさん!本当にお強いのですね!」

ルフレ「僕たちの面倒も見て頂きながら…凄いとしか、言いようがないですよ」

リンク「まーねー。…よし、じゃあまた、金庫にネオ・マスターソードとハイリアの盾預けてっと。
    特訓しようぜ特訓!ルキナ、ルフレ、鍛錬場にレッツゴーだ!」

ルフレ「休みなしですか…返す言葉もないですよ…。
    …はい、もう遠慮はしないことにしました。よろしくお願いします。
    ルキナ、せめて僕たちも全力疾走で試合の準備をしに行こう」タタッ

ルキナ「は、はいっ!」タタタッ

550Mii:2020/02/04(火) 01:42:07 ID:ax5KUpRI
ロゼッタ「お疲れ様です。皆さん、本当にお強いですね。
     私なんか、見ているだけでお腹いっぱいで…一体、何時になったら戦えるのやら…。
     …せめて、せめて。ゼルダ姫とヒルダ姫が、見つかってくれれば…」

パルテナ「ロゼッタ…………よしよし。元気を出して、くださいな」ナデナデ

ロゼッタ「あっ…………く、くすぐったいです…でも、ありがとうございます」ポワポワ

パルテナ「マリオが言っていたでしょう?きっと2人は大丈夫だって。
      ロゼッタは今のところは、問題解決を一旦他の方々にお任せして、
      大会を楽しみましょうよ。…酷な言い方かも、しれませんけれどね。
      気分転換に、いろいろ見て回るのも、いいかもしれませんよ?

      まあ、あんまり人気のない所に行かれると心配ですけど。ロゼッタの場合…」

ロゼッタ「……………………はい」ニコッ

リンク「ロゼッタ、元気出せよー。ロゼッタがしょぼくれてると、きっと戻ってきた2人も悲しむぞー。
    2人のことなら、俺やマリオやクッパに任せとけ!ちょっとずつ、あてを探っているところだからさ!」

ロゼッタ「それは、本当によかったです。お願い…致します」ペコリ

マリオ「…………おう、任された!」

クッパ「…………うむ。大船に乗ったつもりでいるのだ!」

551Mii:2020/02/04(火) 01:50:59 ID:ax5KUpRI
〜キノコ城 城下〜

ワイワイ、ガヤガヤ…。

ロゼッタ「…………」スタスタ

ロゼッタ「…………んー」キョロキョロ

ロゼッタ「気分転換に、いろいろ見て回る、ですか」ボソッ

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「…………既に、色々と、『回って』いるんでけどね」

ロゼッタ「…………」ピタッ

ロゼッタ「なんて、この王国は、平和で、笑顔が溢れて、活気があって――――――――











            こんなに、一寸先が闇とも知らず、呑気でいられるんでしょうね?」クスッ

552Mii:2020/02/04(火) 01:56:18 ID:ax5KUpRI
ロゼッタ「ここ。人通り、多いですねぇ。

      ――――とぉっても、おあつらえ向き。いいところ、見つけちゃいました」スッ・・・



ロゼッタ「――――――――」パアアアア

トンッ。…スウッ。



ロゼッタ「よし。…………ふふふ」





      『―――――――――――塩梅は』



ロゼッタ『――――――――――――――――――――――――
      上々ですよ、我が主。

      頂いたリモート爆弾、ムラなく満遍なく…
      最大限、効果的な殺戮と交通網の遮断を計算して…これで94個目。
      一斉に火を噴いたときの、絶叫と絶望が、目に浮かんでくるようです。

      そろそろ…派手に、行ってしまいますか?鶴の一声あれば、仰せのままに』ユラァ

553Mii:2020/02/04(火) 01:59:04 ID:ax5KUpRI
     『――――――――いや、まだだ。まだ、足りない。
      大会時間全て使って、念には念を入れよ。
      だが、あとはお前に任せれば、大丈夫のようだ。良きに計らえ』



ロゼッタ『ああ、勿体ないお言葉です――――――――』



     『――――――――その呼ばれ方は、少々詰まらない。
      万民が恐れおののくよう、脳裏に刻み込めるよう、
      彼奴らの付けた名前を、あえて名乗るのが興があってよいだろう』

ロゼッタ『お戯れを…ですが、承知いたしました。
      引き続き、私めになんなりとご命令を――――



      偉大なる異次元の支配者、タブー様――――』



ロゼッタ(ゼルダ、ヒルダの誘拐と私の負傷。
      芝居を打った甲斐があったというものです。ふ、ふ、ふふふ…!
      そろそろ私が疑われそうでしたからね、ざまあない。
      この王国、本丸から…血みどろに粉砕しつくして、あげますよ♪)

554Mii:2020/02/04(火) 02:02:56 ID:ax5KUpRI
ロゼッタ(……ん?あら、いけない)

ポケトレ「……」テクテク

ロゼッタ「…あ、あなたはえっと…ポケモントレーナー、さんでしたか?
      こんにちは。今日はお出かけですか?
      かくいう私も、元気のないところをパルテナさんに勧められて…
      こうして目的もなしに出歩いている身なんです」

ポケトレ「…………」

ロゼッタ「…うーん。あの、コミュニケーション、難しいですね。
      えっと、ニャースさん、でしたっけ。通訳の方はいらっしゃらないのですか?」

ポケトレ「……」フルフル

ロゼッタ「そうですか…すいません、私の力では、上手く会話ができません。
      …お、お邪魔しちゃ悪いので、また今度ということで!失礼いたしますね」

ポケトレ「……」テヲフル

ロゼッタ「気にしないで…ってことですか?ふふ、ありがとうございます。
      それでは、お互い、よい発見がありますように」ニコッ

ポケトレ「……」コクコク

ロゼッタ「…では」スタスタ

ポケトレ「……」バイバーイ

555Mii:2020/02/04(火) 02:05:49 ID:ax5KUpRI
ポケトレ「……」スタスタ







ポケトレ「……」ピタッ






ポケトレ「……」クルリ

ポケトレ「……」チャキッ

ポケトレ「……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………
      ……………………………………………………………………」

556Mii:2020/02/04(火) 02:14:51 ID:ax5KUpRI





おっ!
マシンが はんのう してるぞ!
ちかくに アイテムが うまってる!





ポケトレ「…………」ピコーン!



知り合いに 貰っていた デボンスコープを 装着した!
ポケモントレーナーは ステルス式の リモート爆弾を みつけた!
バッグの ポケットに 仕舞った! これで 80個目だ!▼



ポケトレ「………………………」ヒョイッ スッ・・・

ポケトレ「………………………」ヨイショ

ポケトレ「………………………」ストーカー ゾッコウ

ポケトレ「………………………」キラーン

557Mii:2020/02/08(土) 03:40:32 ID:uMdP2yZs
ピロリン!

マリオ「お、メールだ!…頑張ってくれてるな!
    かたじけないが、感謝と引き続きの捜索について返信っと!」

マリオ「…ポケトレ、相変わらず頑張ってくれてるぞ。
    怪しげなトラップ、というか爆弾の回収量、80個到達時のリュックの画像だ。
    スネークにも負けない隠形ぶりを見込んだ甲斐があった!」

リンク「考えたよなー。さっすがマリオ。
    アイツなら絶対に口を割らない、作戦漏れは起こさない。
    …ホントは大々的に、ロゼッタをみんなで監視したいんだけど」

クッパ「……というか、やはり…偽物とはっきりしたとはいえ、
    ロゼッタの姿でそのような悪行をされていることを突き付けられると、
    なかなか堪えるものがあるのだ…」

リンク「…全くだ、暗躍するタブーには反吐が出るぜ。
    用意周到な同情作戦まで使ってみんなを出し抜きやがって。
    でも、まだ、早いんだよな…?あのロゼッタをとっちめるのは…」

マリオ「ああ。ロゼッタを詰問するにしても倒すにしても、まだ早すぎる。
    『本物のロゼッタ、ゼルダ、ヒルダ』の安全が保証されるまでは、
    いつ何時、交渉材料に使われるか判ったもんじゃない。ディメーン戦で懲りてる。

    それこそ俺たちに掛かれば、始末するのは朝飯前だが――
    いましばらく、騙された振りを続けるしかないさ」

リンク「…面倒だなあ」

558Mii:2020/02/08(土) 03:44:17 ID:uMdP2yZs
クッパ「…だが、それにもリミットタイムがあるだろう?
    ポケトレも、全部の仕掛けを解除できているわけではあるまい」

マリオ「…ああ。問題はそこなんだ。
    油断させつつ、完全に尾行しきることは流石に無理だからな。
    探索漏れが出てしまうのは仕方がない。

    それが何個あるのか、はたまた何十個も残っているのか…。
    そしてそれらが、いつ発動されるのか…正直ビビりまくってるぞ。

    とりま、ポケトレには人命が関わる所を優先的に暴いてもらっているが…
    いざ決戦となったら、ある程度はドカンとやられて、建造物もろもろの物的損失は免れないだろうな。
    そこに不慮の事故がプラスされないことを祈るばかりだ…」

リンク「そんな、消極的な願い方しかないのかよ…!
    そりゃ、俺はハイラルの民だけどさ…!キノコ王国は第二の故郷みたいなもんなんだ。
    犠牲なんて1人たりとも出したくないぜ…俺は!



    …なあ。やっぱり、『ここ』、どうにかして突破しないか!?」クッ

マリオ「…俺だって、できるなら、そうしたい。そうしたいんだが…!」





フィールドに繋がる 開かずの扉が 目の前に 佇んでいる!▼

559Mii:2020/02/08(土) 03:49:11 ID:uMdP2yZs
マリオ「制御室から監視しておいて…全員集合させたときに、
    相も変わらず『乱闘中』表示だった、この先のフィールド…!

    よくよく確認してみれば、変な呪いだか結界だかが張られているみたいで、
    普通には開かない。完全にドンピシャ!白か黒かで言ったら、もう、まっ黒!
    強引にこじ開けて助けに行きたい、のはやまやまなんだが…!

    どうみてもこれ、ロゼッタの空間魔法に通ずる高度な仕掛けがある!
    下手に素人が扉を蹴破ったりすると、繋がりがどう破綻するか…わからん!
    それこそ、永遠に結び付きが失われる可能性だってある。
    中にいるだろうロゼッタ本人に何とかしてもらわないと、どうにもならない…!」

リンク「…いつになく、弱気だな……人のこと、俺も言えないけど…
    こう、扉を叩くことで、なにかしらのアクションを引き起こせたり、だな…!
    
    すうぅ――――…うぉりゃあ――!」ババッ



ドンッ! ドンッ! ドンッ!!!



マリオ「お、おい!無闇な刺激は、万が一伝わった時に中の『見張り』を刺激して逆効果だからやめとけ!
    ……気付かれなかっただろうな…!迂闊なことをするんじゃない、リンク!」ヒソヒソ

リンク「…………あ。わ、悪い…!つい、カッとなって…!」

560Mii:2020/02/08(土) 03:54:35 ID:uMdP2yZs
クッパ「…全く。一体、どんな敵が控えているというのだ。
    まさか人質監視に労力を割いてまで、タブー本人が律儀に見張っているとは考えにくいが…」

マリオ「…ああ、かといって唯のコケオドシというわけでもないだろう。
    少なくともゼルダ、ロゼッタ、ヒルダを纏めて相手にできる戦闘力はあるはずだからな。
    タブーの側近とかを務めている、俺たちにとって初見ながら凄腕の奴が、きっと――」チラッ

リンク「…未知の力なり特異体質なりを有してて、
    俺たちでもそれなりに倒すのに手間取るかもってことか――」チラッ

クッパ「いざ乗り込んでおいて手間取ったら、相手側に利がありすぎる。
    どうにも手詰まり感があるのだ――」チラッ



パネル表示「非公式乱闘中!観戦不可!
        乱闘人数   4 / 4   満員です!」パッ
 








〜閉ざされたフィールド〜

デイジー「へくちっ」クシュン

561Mii:2020/02/08(土) 04:01:30 ID:uMdP2yZs
デイジー「……ロ、ロ、ロゼッタ?私、何か変な物に憑りつかれてたりしない!?」

ロゼッタ「…いえ、特に異常はなさそうですが。さあ、そんなことより、参りますよ!勝負です!」

デイジー「そんなことよりって…。まあ、ロゼッタが太鼓判押してくれるなら。
      まあ勝負するのは別に、いいけど、不安だなあ…。よし、こい!

      いけっ!パルシェン!君に決めた!」



ロゼッタ「行ってください、レシラム!」モエルーワ!

デイジー「…………えっ」

デイジー(……………………………………………ま、いいか。ロゼッタだし)

ロゼッタ「みず・こおりタイプでしたっけ…十分耐えられますね、『きあいだま』です!」

レシラムの きあいだま!
相手の パルシェンには 当たらなかった!▼

パルシェンの からをやぶる!
パルシェンの 防御が 下がった!
パルシェンの 特防が 下がった!
パルシェンの 攻撃が ぐーんと上がった!
パルシェンの 特攻が ぐーんと上がった!
パルシェンの 素早さが ぐーんと上がった!▼

ロゼッタ「…………!?」

562Mii:2020/02/08(土) 04:04:09 ID:uMdP2yZs
デイジー「ロックブラストどーんwww」

レシラム「ぎゃああああ」

デイジー「つららばりウェーイwww」

ジャローダ「ひいいぃぃ」

デイジー「つららばりアンコ――――ル!」

サザンドラ「ぐわあああああ」



ロゼッタ「」ポロッ

デイジー「圧勝過ぎて一回りして勝った気がしないっ!」

デイジー「…ごめん。すっごく大人げなかったけど、あんまりロゼッタが
      『殿堂入りしたことですし、デイジー姫と対戦したいです!負けませんよ!』
      って捲し立てるものだから…

      あとロゼッタ、言い忘れてたけど。
      対人戦で伝説ポケモンは特殊ルール除いてマナー違反っす」

ロゼッタ「……気合玉が、当たって、いれば……!」ブルブル

デイジー(ごめん、ウチ…タスキ持たせてるねん)

563Mii:2020/02/08(土) 04:07:01 ID:uMdP2yZs



扉「――」・・・ドン ・・・ドン ・・・ドン



ロゼッタ「今度こそ、勝ちますっ!」

デイジー「まあ、いくらでも相手するけどさあ…

     バトンに天候、トリルにトリック。
     土産に宿みが、みがまも猫の手。
     流星ぶっぱに論者、麻痺撒き毒撒き火傷撒き。
     …ああ、多すぎてまだまだ言い切れないや。

     やっぱり経験の差はロゼッタの思う万倍効いてくると、思うよ…?」

ロゼッタ「呪文か何かですか?」



ロゼッタは ゲームに夢中で 外部からの干渉に 気付かなかった!▼

564Mii:2020/02/08(土) 04:10:21 ID:uMdP2yZs



1日、また1日と。きっと有意義な時間を過ごしながら。
私たちの「日常な非日常」は、過ぎていきます。



デイジー「…おっはよー!
     いやー、昨日はお疲れさまでしたー!
     まあ、私の14連勝目で終了したけどねー!」ガチャッ



ロゼッタ「…と、このあたりで、私の魔法でドンッとおふたりをサポートしてですね…」ツツー

ヒルダ「…それだとロゼッタの負担が大きすぎます。
    私がこう動いて、デイジーに雨霰と爆撃を行って、魔法発動時間を稼ぎます」トン トン トン

ゼルダ「…適材適所、と。私はこの経路で一気に躍り出て、なるべく出の早い魔法で
    仕上げに入ればよろしいのでしょうか。バックアップ、期待していますよ」スイーッ



デイジー姫の元気な挨拶は右から左へ聞き流されて。
手書きのフィールド図を中央に、私たちは喧々諤々、頭を寄せ合って。
なめらかに指を、朗らかに声を。縦横無尽に走らせ続けます。

565Mii:2020/02/08(土) 04:12:13 ID:uMdP2yZs
デイジー「…なんだか、最近、つまらないなー。
     ちょっと前まで、ヒルダもゼルダも、私が入室するたびにビクッと震えて
     ガタガタ震えてワタワタあたふたしてたのに…今や、平然と作戦会議…………」



ヒルダ「…………眼の光を失った方がいい、デスカ?」シンダメ

デイジー「冗談でもヤメテクダサイすいませんでした」ドゲザ

ヒルダ「…冗談デス。……ふっ、でも安心しました。
    デイジーからしても、成長できてるってことですよね、私たち」

ゼルダ「とても長い、長い道のりだった…気が、します」シミジミ

ロゼッタ「そして、その道のりも…ようやく、終わろうと、している」

デイジー「え、なになに?エンディングへ駆け足進め!な雰囲気ですか?
     混ぜて混ぜて!」

ゼルダ「…はあ。まあ、間違ってはいませんよ。
    ですが、デイジーを混ぜるわけには、いきませんね。

    ――――そろそろ、1勝もぎ取ろうと。
    本格的に、作戦を練りに練ろうとしているところです。
    残念ですが――デイジーの快進撃も、これで終わりですよ、本当に残念なことに」

566Mii:2020/02/08(土) 04:14:50 ID:uMdP2yZs
デイジー「…へえ、大きく出たねー。まだまだ、私に勝てるようには、思えないけど。
     似たようなこと、10戦目にも宣言してたの、忘れたの?」ニヤリ



まあ、そうかも、しれません。

ただの、自信過剰かも。大それたことを身の程知らずで言っているだけなのかも。

やっぱり、デイジー姫の前で膝を付いて屈する結果が、待っているのかも。



――でも、根拠とか後ろ盾とかがなくても。
――「これは行けるぞ」っていう直感が働いても、いいですよね。
――それが、何の巡り合わせか、3人同時に起こったのなら、なおのこと。



ゼルダ「切羽詰まる、俗物的な理由もありますよ。
    そろそろ、ここから脱出できる…いえ、脱出しなければならないタイミング。
    つまり――」

ロゼッタ「はやくしないと、あの果実酒を飲める機会を失う?」

ゼルダ「そう、そのとお――――なんていうのは、冗談さておき、ですね!
    
    デイジーに『このくらいのことはできるようになった』と示すことが、
    私たちの――精一杯の、お、恩返しだと、思うのです」

567Mii:2020/02/08(土) 04:16:48 ID:uMdP2yZs
デイジー「…………」ポカーン



ゼルダ「…………ちょ、ちょっとデイジー。
    は、恥ずかしくなってきたのですが!何か反応してください!」

デイジー「…………熱でもある?意趣返しの間違い、とかじゃない?」

ゼルダ「私の決死の想いに対して謝罪しなさいっ!」ムカッ!

ヒルダ「…本当は熱があるのでしょう?ゼルダ姫?」フフッ

ゼルダ「貴方までなんてことを言うのですか!まったくもう!まったくもう!!」



バンッと、机をたたく音。
もちろん、本気の怒りではなく、机が破壊されたり、紙とペンが吹き飛んだりはしません。

568Mii:2020/02/08(土) 04:18:40 ID:uMdP2yZs
ヒルダ「…でも、デイジー。

    ゼルダ姫も、ロゼッタも。――私も。
    恩返ししたいと思うくらい、感謝しているのは、本当ですよ?」



デイジー「――――」



デイジー姫が、虚を突かれて押し黙る。



ヒルダ「明日は、デイジーに教わった事、全部、ぶつけようと思います。
    そして、勝ってみせます。勝ちたいです。

    もし勝ったら、お酒の他に、そうですね…
    口を尖らせながらでも、ヤレヤレとため息つきながらでもいいですから。

    『裏の』貴方の状態で、『よく頑張った』って。私の頭、撫でてください。
    ――いい、でしょうか」

デイジー「――――――――っ!」

上目遣いのヒルダ姫のその言葉に、デイジー姫、途端に顔がくしゃくしゃに。
思う所、数多に及ぶのでしょう。それでも決して泣いたりせず、ブルブルと震えて堪えています。

569Mii:2020/02/08(土) 04:21:29 ID:uMdP2yZs
デイジー「…お、おう!まっかせなさい!幾らでも、撫でてあげるよっ!
     髪が摩擦で燃え出すかっていうくらい、わしゃわしゃと!」

ヒルダ「本当に燃えそうなのでやめてくださいっ!?」

ロゼッタ「あ、じゃあ私もお願いできますか!」

デイジー「背が高くて手が届きにくいから駄目――――

     嘘っす。ドンと来いっす。
     そんな絶望に駆られた顔をしないでください。

     ついでに、プライドの高そうなゼルダも撫でといてあげるー」

ゼルダ「ついでで撫でて頂かなくても結構です!」

デイジー「…じゃ、ちゃんと心を込めて撫でてあげるよ。
     ――――お疲れさま、よく頑張ったねって」







ゼルダ「……考えておいて、あげますよ」カアァ

570Mii:2020/02/08(土) 04:23:19 ID:uMdP2yZs
デイジー「やばっ、泣きそう――
     よし、じゃあ、私は朝食摂ったら、明日まで会わないでおこうかな。
     その方が、作戦会議も存分にできるでしょ?私、空気読める子!」

ロゼッタ「そこまで気を遣わなくても…でも、ありがたくその提案、受け入れます。
     明日を、楽しみにしておいて、くださいな!」



拳と拳を、軽く、ぶつける。

…なんだか、熱血と青春の香りがします。この際、年齢は気にしません。



ヒルダ「あ、待ってください!私も!」タタタ

ゼルダ「やれやれですね」



左からヒルダ姫が、右からはゼルダ姫が。
2人分の拳は4人分の拳となって、正々堂々、全身全霊の誓いを立てました。

571Mii:2020/02/08(土) 04:25:07 ID:uMdP2yZs
デイジー姫が、どばっと食料担いで、去った後。

ゼルダ姫と、ヒルダ姫と、私は、時間が経つのもすっかり忘れて。
作戦会議のまっさかり。次々と、線が紙に書き込まれて行きます。

…………冷静沈着に、でもしっかり意見は言い合って。
修正、修正、また修正。

見直すべき動き、手順、プロットはてんこ盛り。
珍しく体もほとんど動かさず、完全な頭脳モード。

体を動かしたときを敢えて挙げるなら…コンビネーション技の特訓、くらいでしょうか。
デイジー姫には悪いですが、退出していただいたこの機会。最大限に利用します。



ゼルダ「はい、では――このあたりにしておきましょうか」パチン

ヒルダ「そう、ですね……あれ、すごくお腹がすいています」

手を打ち合わせるゼルダ姫の合図で、お開き。うーんと背筋を伸ばします。
そういえば昼食すら、食べていませんでした。それくらい熱中していたのです。



夕食を摂って、お風呂に入って、寝間着に着替えて。
寝具に滑り込んで、しばらくぼーっとします。

天井が、妙に近い気がする。…何か、大きなことができそうな、気がします。

572Mii:2020/02/08(土) 04:27:59 ID:uMdP2yZs
チコ「片づけ、まかせてー!」セッセ

チコ「明日に向けて、すぐに寝ること―!」フヨフヨ

……いろいろ、お片づけを任せちゃいました。



ヒルダ「…ロゼッタ、起きていますか?」

ロゼッタ「起きていますよ。明日は頑張りましょうね」

ヒルダ「…デイジーにお礼を述べたことですし、ロゼッタにも。

    私、ロゼッタと友達になれて、本当によかったです。
    ありがとうございます」

ロゼッタ「…何をいまさら。私こそ、ありがとうございます。
     これまでも、これからも。きっと、ずっと、友達です」

ヒルダ「そうですよね、ふふ…」



もう、暗い表情のヒルダ姫なんて、どこにもいないのです。
それは、とてもとても、喜ばしいことだと、思いました。

573Mii:2020/02/08(土) 04:31:21 ID:uMdP2yZs
ゼルダ「……何を2人とも駄弁っているのです?
    明日に備えて、さっさと寝てください。

    それに、あえて苦言を言わせて頂きますが。
    結局負ける可能性だって…十分にあるのですよ?
    浮かれすぎず、その先、さらに先を考えておく癖をつけてはどうですか?」

ヒルダ「…………」クスッ

ロゼッタ「…………」クスッ



その言葉は、むしろ笑わせる効果しかありません。



ロゼッタ「ゼルダ姫?快進撃ストップ宣言をしでかした張本人が、
     そんなことでは駄目ではないですか。心にも思っていないでしょう?
     …勝つんですよ、絶対に」

ゼルダ「…はあ。私もヤキが回りましたか。ロゼッタにバレては形無しですね。
    私のこと、中々分かってきたのではないですか?」クスクス



寝過ごしなんて、まっぴら御免ですが。
もう少しだけ、この余韻に浸っていたいと思ってしまうのは、贅沢でしょうか。

…さて、真の強さを手に入れた3人で、打倒デイジー姫と参りましょう!

574Mii:2020/02/08(土) 04:33:38 ID:uMdP2yZs
〜翌日〜



ロゼッタ「いよいよですね!」ワクワク

ゼルダ「ロゼッタははしゃぎ過ぎですよ。
    今頃、大きく出過ぎたかと冷や汗たらたらの状態なのかもしれませんよ?」

ヒルダ「あは、それはちょっと見てみたいです…」



会話をしながら軽く身支度をして、さあ仮眠室を出よう…というところで。



がちゃり。



扉がぎいい、と開けられます。



デイジー姫が、妙に静かに――唐突に、部屋にやってきました。

575Mii:2020/02/08(土) 04:36:37 ID:uMdP2yZs
ロゼッタ「おはようございます、デイジー姫!
      えっと、まずは朝食にしましょうか――――」





デイジー「フィールドに、全員、集合。…………以上」ニヤッ












ゼルダ「――――望むところです」フッ

ヒルダ「が、頑張ります!」グッ

ロゼッタ「為さねば成らぬ、何事も…ですよね!」

576Mii:2020/02/08(土) 04:40:15 ID:uMdP2yZs
フィールドに向かってみると、既に到着しているデイジー姫。

――目を閉じ、腕を組み、柱の一つに背中を預けて、もたれ掛かっています。
――これぞ、デイジー姫の振る舞いだなあ、と一瞬思って……。







デイジー「では、耳にタコができるかもしれないが、改めて。

     …これより。
     私ことデイジーと、ゼルダ、ヒルダ、ロゼッタの3名1グループによる、
     模擬戦、第15戦を始める。位置に着くように」







流れるように、三者三様…いえ四者四様に、既定の位置まで歩を進めます。



ぴりぴりと張り詰めるこの雰囲気が、たまりません。

577Mii:2020/02/08(土) 04:45:07 ID:uMdP2yZs
デイジー「初期残機数は、デイジーが『1』、他の3名は『3』とする。
     どちらかの陣営の全ての残機数が『0』となったなら、
     その時点で残機を残した側を勝利とし、試合終了とする。
     また、特殊ルールとして、デイジーについては
     『初期配置の床・地面に対して、背を継続して3秒接地』
     が満たされた時点で敗北条件が満たされたものとする。

     デイジー側の陣営について。
     相手陣営の残機を奪う場合は、一方的な瞬殺を抑止するため…
     直前の残機削りから10秒以上の間隔を空けること。
     また、直前の残機削り対象者とは異なる選手を狙える状況であるかぎり、
     同一の相手から連続で残機を奪わないこと。
     これらに違反した場合、該当する分の残機削りについてはカウント無効とする。

     ゼルダ、ヒルダ、ロゼッタ側の陣営について。
     形式的に残機0となった者は、復活したとしても速やかに戦線から離脱し、フィールド外へ移動。
     試合への不干渉を遵守できる状態に移行しなければならない。
     ただし、既にその者によってフィールド上に仕掛けられた、
     行使が間に合って発動中ないし発動待機中の魔法等については、
     外野からの操作でもしない限り、改めて除去する必要はないものとする。
     外野からの助言等は禁止。単なる応援はこの限りでない。



     ――――不明点のある者は、前へ」



デイジー姫も分かっている通り、何度も何度も聞いた文言です。
私たち3人の反応は、神妙に「問題無し」と微動だにしないことのみ。

578Mii:2020/02/08(土) 04:50:15 ID:uMdP2yZs
デイジー「…では、ロゼッタ。いつもの開始合図、頼んだぞ」

ロゼッタ「はい!」

皆さん構えたところで、私だけ、違うポーズ。
右手の手のひらの少し上に赤々と作り出したるは、
私だけの炎魔法、パイロキネシス。



…間違えました。私だけの「空間魔法」、パイロキネシス。



見かけも効果もモロに炎属性ですが、物理法則で作った火種にFPを撒いているだけなので、
極端な例を挙げるなら「炎属性禁止スキル」を持った敵が現れたとしてもどこ吹く風で使えます。
逆に、空間魔法を禁止されたとしたら置物になるので、偽物の私には注意しなければ。



さてさて、これをどうするかと言いますと。



ロゼッタ「…そぉれっ!」ブンッ!

ほんのちょっとだけ前方の、はるか頭上目掛けて、ぶん投げます。
隔壁のバネの力で飛ばすのは、頃合いを見計らって止めにしています。
自分の腕を酷使して飛ばした方が、威力も精度も高いみたいです。

579Mii:2020/02/08(土) 04:53:11 ID:uMdP2yZs
ここで特訓する間にも…私の基礎体力、とてつもなく、伸びました。デイジー姫のおかげです。

ぐんぐんと伸びていき――やがてようやく上昇を止め――重力に従い、落ちてきます。
それが、ちょうど…私たちと、デイジー姫との中間あたりの位置の地面目掛けて――



ボンッ!!



――――ひょうきんな衝突音とともに、試合、開始ですっ!
――――こちらの、第一手は。







ロゼッタ「――――」

ヒルダ「ファントム・ヨガ、召喚――――っ!」

デイジー「相変わらず凝りもせず――何っ!?」



今までとは違う。
フィールド全体を覆い尽くさんとする、巨大な召喚獣の出現で、幕を上げました。

580Mii:2020/02/08(土) 17:05:25 ID:uMdP2yZs
<前レス訂正 ファントム・ヨガ → ファントム・ユガ>






――――でかい。



ぱっと見た感想が、それ。
これまでの召喚獣はせいぜい体長5メートルといったところだったが、今回は20メートルはありそうだ。
フィールドの足場の一番高い所まで、揺らめく頭が届いている。
もちろん3人の姿など、完全に隠れてしまった。
――そういえば、目くらましになる、とはいつぞや言わせてもらったか。



だが、その分、密度が小さくなって強度としては落ちたのか。
向こう側が透けて見えるとまでは行かなかったが、
いつもならすぐに魔法の杖やらを振り下ろしてくるところなのに、
今さらになってようやくアイスロッドを振り上げ始めた。その動きはあまりに鈍い。

それをわざわざ待ってやる私でもない。
召喚獣の体を突き破る心持で、突進。拳がうなりを上げる。

581Mii:2020/02/08(土) 17:09:57 ID:uMdP2yZs



ロゼッタ「…要塞法衣っ!」



防御力が高まっていくことを示す、ロゼッタの声がする。
ピキピキピキ、と特徴的すぎる金属音。

…ざっと、防御力4倍。ステータス補助としては破格の効果のように思う。
使えるなら使っておくのは当然な性能だ。それだけ頭に入れておき、なおも私は突進する。



キラッ!

ゼルダ「はああああああああああああ――――っ!!」ドンッ!!



――まさか、そちらから魔物の腹を突き破って突撃してくるとは思わなかった。
無茶をさせ、ゆらりとよろめく召喚獣。ただ、消え失せるほどではない様子。

魔物を貫いた副産物の、身を纏う靄と煙。
神々しい冠を光らせ、ゼルダが中々の…いや、中々すぎる速さでミサイルのように迫り来る。

魔物の体にぽっかりと空いた、大きな穴。
その向こうに、一瞬だけキラリと光る空間を、私は見逃さない。
鼻血を出して、ふらつきながら構えているロゼッタが、映っている。

582Mii:2020/02/08(土) 17:13:39 ID:uMdP2yZs
…なるほど。ゼルダの体そのものを、即席で…隔壁の空気砲で吹っ飛ばしたのか。
今の魔法レベルで、思い切ったことをする。相当酷使したみたいだがな。

種明かしが済んだところで、作戦に特段の変更、なし。
飛んでくるゼルダに、重い拳を炸裂させて――



しかし妙なことに。低空飛行するゼルダが、顔の前で腕を交差させ。
なりふり構わず突っ込む体勢だと?



ガッキイイイイイィィン!!



デイジー「――――そういう、ことかっ!」ビリッ

ゼルダ「――――ぐっ、これでも結構痛みますが…無問題、ですっ!」

ゼルダの 上半身の 攻撃力が  15%アップしている!
ゼルダの 上半身の 防御力が 300%アップしている!
ゼルダの 上半身の 素早さが  50%ダウンしている!▼

デイジー(…まさか、他人に行使できるように改良していたとはな、ロゼッタめ!)ジィィン

583Mii:2020/02/08(土) 17:20:04 ID:uMdP2yZs
なるほど、無謀に見えた突進は、ロゼッタの魔法を信頼してこそか。
つい迎撃で殴ってしまった右手を恨めし気に見る。
ゼルダの素の防御力と合わせると、馬鹿にできない耐久性。多少の痺れがある。

ロゼッタ「――まだまだっ!要塞法衣、ばら撒きますよっ!
     積み技の 重要性を 教えて差し上げますっ!」パアアアアアアアアッ

今度は様子がはっきりと伺えた。ヒルダの背に手を当てて、立て続けに術式発動。
ヒルダの体の見た目が、不可思議な屈折率を生み出している。

なるほど、流石に他人の体を遠隔で隔壁で覆うことはできないか。
さっきはそれで、ゼルダを私の視界から隠しておいたのだな。



ヒルダの 上半身の 攻撃力が  15%アップ!
ヒルダの 上半身の 防御力が 300%アップ!
ヒルダの 上半身の 素早さが  50%ダウン!▼



ヒルダ「ありがとうございます、ロゼッタ!」シュイィィン―― !

ロゼッタ「うっ…ははは、どういたしまして。さて、次は私自身が――」スッ

デイジー(これは、うざいな)ヒクッ

サポートキャラとしては壊れもいいところだ。
ヒルダの攻撃スタイルとしては直接の素早さダウンは有ってないような物。

584Mii:2020/02/08(土) 17:24:52 ID:uMdP2yZs
呆れて一瞬目を離した隙に、ゼルダは勢いそのままに、至近距離で魔法の構え。



ゼルダ「光の――――」パアアアアアッ!

――馬鹿か。チャージに時間が掛かり過ぎる。
――ロゼッタの魔法の副作用で腕の敏捷性が落ちているせいで、ますます遅い。
――5秒、10秒レベルで無防備。こんな距離から矢を番え始めて、間に合わせる訳、無いだろう!

怒涛の反撃体勢。
要は、堅固となっている胴部ではなく、下半身か頭部を撃ち据えてやればいい。

ヒルダ「ファントム・ユガ――ハンマーっ!!」サッ

ゼルダへの支援が飛んでくるのは読めている。
そうしておいて光の弓矢を撃つ機会を作るという方針なのだろう。
だが、この攻撃も、飽きるほど目にしてきた。

闇色に染まる、大きな具現化ハンマー。召喚獣が撃ち付けてくる、怒涛のモグラたたき。

ヒルダ「それっ、それっ、それ――っ!」

FP供給を必死に頑張り、何かを堪えている感じのヒルダ。
1発目は、手刀で斬って捨てる。2発目は、横にはたいて吹き飛ばす。3発目は蹴り上げる。

そう。ヒルダには悪いが、あいかわらず避けるほどでもない攻撃なのだ。
美しくかわすのも趣があるが、今は調子に乗ったゼルダを懲らしめることを優先。
時間稼ぎに付き合うつもりはない。最短距離でゼルダに向かう。

585Mii:2020/02/08(土) 17:30:46 ID:uMdP2yZs
――まだまだ、甘いっ!

光の弓矢の魔力充填を今さらやめるわけにもいかず。
ちょっとバックステップして身を翻し私から逃れようとするゼルダの悪あがき。
そんなゼルダの胸倉を、超加速で飛び込んで掴み上げる。
にぃっと笑う私に、目を見開くゼルダ。その隙まさに、命取り。

逃走を防ぐまでが、ワンアクション。鎧のない顔面に、体重の篭った、無慈悲かつ怒涛の肘突き――っ!



ゼルダ「が、はっ……あああああああっ!!」ゴボッ

血反吐を吐きながら吹き飛ばされながらも、ゼルダが吠えつつ、意地で、充填の終わった光の弓矢を解き放つ。
投げやりの叫びではなく、諦めない鋼の心。よく耐えた、と称賛してやりたいところだ。
ただ、狙いなど付けられず放たれたそれは、ゼルダの想いをバッサリ裏切って、
てんで方向違いのところに向かって飛んで行く。

残機のおかげで復活しても、体力と異なり、魔力/FPは回復しない。
つまり、完全に撃ち損。大量の魔力の無駄使い――





ロゼッタ「――――Tactics-Hold《留保戦術》っ!!」ギュッ!



――とはならないのが、最近のゼルダ・ロゼッタコンビの厄介な所なのだよな、全く。

586Mii:2020/02/08(土) 17:34:38 ID:uMdP2yZs
私の横を通り過ぎ、天を目指す光の弓矢が、霧散する前に…。

ロゼッタの腕が素早く的確にすぅっと向けられ、ぎゅっと握り拳を作られてみれば。
豪速の光の弓矢は、ギュイィンと激しく光ったかと思えば、シュパッと消えていく。
なんというか、あれだ。某忍者漫画の「カム○」みたいな奴だ。
…言っておくがDLCのFE勢の方ではない。



ロゼッタ「――ハァッ…T-ホールド、成功っ!ぐぐぐ…」ガシッ!

デイジー「チッ…」

血を指の隙間から垂れ流しつつ、握り締めた状態で固まっている、ロゼッタの右手。
それが、何を意味するか。最近の私は、知っている。

握り拳をほどくと、ほどなくロゼッタの手の甲が光り出す。
まるで英雄の紋章のように、弓矢らしき、光る絵が刻まれた。
トライフォース模様を光らせることがあるゼルダやヒルダとお揃いだな。

これで、ロゼッタが、何ができるようになったかと言うと。



発動を念じて、腕を振りかぶる、それだけで。
1発だけ、光の弓矢をポンと出現させ、もとの勢いのままぶちかませる。
つまり「『光の弓矢』ストック状態」、以上。

…さすがの私も、初めて見た時は開いた口が塞がらなかった。

587Mii:2020/02/08(土) 17:38:35 ID:uMdP2yZs
そりゃ、「魔法の奪い取り」が非常に便利だろうとは助言したが。
マスターする早さも、完成度も、異常な次元だろう…!



一度にストックできるのは魔法1つのみ。

コントラクト(魔術契約)を取り交わした味方の魔法しか回収できない。
魔法のことはまるでわからないが、以前、契約の為に魔法陣をサラサラ描いていた。
まるで魔法使いだ。…………忘れていた、大魔法使いだったな。
今の所、契約しているのは当然、ゼルダとヒルダのみ。

ストックから取り出した魔法を、再度回収することはできない。

更に、ストック状態では、取り込んだ魔法のランクと自分の実力との差に応じて
スリップダメージを強いられ続ける。



…とまあ、雁字搦めの制約があるらしいが。
これでロゼッタは、攻撃の幅が「ほぼ0」だった昔から恐ろしく拡がったことになる。

なんせ、外れて無駄になるはずの味方の魔法を見つけたら、
ギュッと握り締めて回収するだけで再利用。「はずれがでたのでもう1回」だ。
エコにも程がある。笑えて来る、と言ってもいい。

588Mii:2020/02/08(土) 17:45:01 ID:uMdP2yZs
将来のことを考えると、更に胸が躍る。

マリオやピーチなら諸手を挙げて、ロゼッタに協力してくれるだろう。
味方が必殺技を持っていれば、それだけ自分も強くなる。
光の弓矢をあっさり刈り取った…いや切り取ったことから分かる通り、
繊細な集中と視認追跡さえできていれば、魔法の規模、速度は今のところ制約なしだ。

…しかし。
  





  
       え?超高難易度じゃないかって?
       でもですね、『自軍識別』と『魔法エネルギー保存』を『空間転移』に組み合わせるだけですよ?
       一番難しい『魔法エネルギー保存』は自分のHP消費を対価としてBランクに落とし込んでいますし。
       『自軍識別』なんて、あらかじめの魔法陣で別工程タスクにしているおかげで行使中はCランクにもなりません。

      うーん、現に今の私が何とか使えていることからして、全体でB+ランクってところでしょう。
      実分身とかゲイルアタックとか亜空切断とかに比べれば遊戯みたいなものですよ?





……とりあえず、ムカついて残機を奪った当時の私は、絶対に悪くない。

589Mii:2020/02/08(土) 17:47:51 ID:uMdP2yZs
〜昨日〜

作戦会議も半ば、とあるタイミングで。



ロゼッタ「ぶっちゃけていいですか?」

ゼルダ姫と、ヒルダ姫が、振り向きます。



ロゼッタ「心の底ではデイジー姫に教えを乞うて満足していた今までと、
     打倒デイジー姫、大々前提で動く明日とでは、私たちの作戦は…
     大きく変えなければ、なりません。

     ぶっちゃけた話。
     勝つためのポイントは、突き詰めれば、至極単純。



     ――どれだけ、光の弓矢をデイジー姫に放ち、当てられるかです」

ゼルダ「……えっ」

ゼルダ姫が、目を白黒させています。
もっと己の魔法に自信を持ってくださいよ。

590Mii:2020/02/08(土) 17:51:28 ID:uMdP2yZs
ヒルダ「……やっぱり、そうですよね…
    他の魔法や物理攻撃に比べて――光の弓矢だけ、威力が段違い。
    …5倍か10倍くらい上回っていますから。やはり芸術的にまで完成された大魔法ですよね!

    他の魔法を100回かすらせるくらいなら、
    光の弓矢を1回クリンヒットさせた方がよほど効果があるのではないでしょうか」

ロゼッタ「同じ認識を持っていただいていて、嬉しいです」

ゼルダ「えっ…えっ、そのようなことは――」カアァ

ロゼッタ「続けますねー。
     そして、デイジー姫としての認識もそうなっているはずです。
     光の弓矢だけは、割と本気で対策・対処しようとするでしょう。

     そのほかの魔法は逆に、強引に突っ込まれる可能性がありすぎます。
     足止めできたと思い込んでいたら直進で斬り込まれることをうっかりしていた、
     っていうのが一番やってはいけない過ちですね。

     ……今まで嫌というほど犯してきた過ちですけど、ええ」

591Mii:2020/02/08(土) 17:54:55 ID:uMdP2yZs
ヒルダ「では、その……ゼルダ姫を徹底的にガードして温存して、
    その間にできるだけ光の弓矢を撃ってもらう、と」

ゼルダ「……………………それは、したくありません」

ロゼッタ「私も、それはしたくありません。全然、三位一体じゃありません。
     …というより、それだと勝てません、絶対。

     私たちがデイジー姫に散々鍛えられてきたのと同じく、
     光の弓矢を放つゼルダ姫を十二分に攻略できるだけの経験を、
     私たちはデイジー姫に与えてしまいましたから」

ヒルダ「では、どうしますか?その顔…無策ではないでしょう?
    声が弾んで聞こえますよ。話してみてください」



そう。悲しむのではなく、途方に暮れるのでもなく。
解決策を是が非でも探し出す原動力にしなければなりません。

592Mii:2020/02/08(土) 17:59:49 ID:uMdP2yZs
ロゼッタ「大事なことは、3つ。

     まず、やっぱり、ゼルダ姫に光の弓矢を撃ち続けてもらうこと。これが、ひとつ目。

     ただし、そのゼルダ姫には敢えて前線に出てもらい、
     一層侮られがちとなった他の魔法で意表を突いたダメージを与えること。これが、ふたつ目」

ヒルダ「確かに、一番の脅威となるはずの撃ち方のゼルダ姫が前に出れば、
    デイジーはそれを咎めるべく、他の魔法を多少強引に蹴散らしてでも
    最短の道筋で接近戦を仕掛けるべく動くでしょうね」 
 
ロゼッタ「そして3つ目は――――」







ゼルダ「――――すこし、待ってください」



ロゼッタ「…え?」

私の秘策を提示しようとしたところに、まさかの横槍。
不快では全くありません。ただただ驚いて、思わず、固まってしまいます。

593Mii:2020/02/08(土) 18:04:46 ID:uMdP2yZs
ゼルダ「――――ロゼッタの考えていること、分かっているつもりです。
    でも、それだと、まだデイジーの想定から抜け出せていない気がしてなりません。
    
    というわけで、私からの提案は、更なる役割の変更です」

ロゼッタ「…………なんと」

これは、思いがけない申し出です。



ヒルダ「…えっと。ロゼッタの考えとは、一体、なんだったのですか?」

ゼルダ「要するに、ロゼッタと私、2人の話を統合するとですね。





     『最後の切り札』は、ヒルダ姫。貴方になるということですよ」

ヒルダ「…………!!ま、まだ、理解が十分でないのですが…
    それで、よいのですか!?納得して頂けるのですか!?」



ゼルダ「ええ、もちろんですよ?」

ロゼッタ「…ゼルダ姫がそうおっしゃるのなら、私も反対することなどありません!
     して、ゼルダ姫の修正案とは、どのような――!?」

594Mii:2020/02/15(土) 15:11:58 ID:UXSYQ7yA
〜再び、戦いの最中〜

手に光る仮初の紋章。ぐさり、ぐさりと体を蝕んできます。
…痛い、痛いですねっ!やっぱり今の私にとっては光の弓矢のランクが高すぎますっ!



ロゼッタ「…あっ!ゼルダ姫、すぐに回復してさしあげ――」

ロゼッタは 留保戦術の副作用で ダメージを受けている!▼



頭から血を流しながら、デイジー姫を睨み、ゼルダ姫が小声で私を諫めてきます。

ゼルダ「…いい、大丈夫、です。FP温存に、努めておきなさい。
    貴方の魔法はただでさえ燃費がよろしくないのですから。
    作戦の大元が破綻するくらいなら、私の残機の方がよほど安上がりです」ドクドク

顔の右半分が血濡れで、心配でしょうがないのですが――
そうですか、気遣って頂きありがとうございます。私も心を鬼にします。

ヒルダ「ユガ、急ぎ修復しますからねっ!」パアア

ファントム・ユガ「GRUUUUUU・・・・」ピカーッ!

ファントム・ユガが、シュルシュルと縮んでいきます。
そうしてやらないと、修復の魔力も馬鹿になりません。

595Mii:2020/02/15(土) 15:17:48 ID:UXSYQ7yA
デイジー「強化タイムは終了か。折角の隠れ蓑を捨てていいのか?」

ヒルダ「……十分役目は果たしましたのでっ!」

捨て身のギミックとしても使った召喚獣。わざわざ修復するのは骨です。

かといって完全に消滅させてしまっては…まずいことになります。
存在が希薄になり、消滅までの時間も迫るので、一旦ヒルダ姫がメンテナンスに。

ロゼッタ「その間の支援はお任せくださいっ!」ボウッ!

フッと火の玉を浮き上がらせる私。…割と、超能力者っぽいサマになってきました。

ゼルダ「…ゴホッ…まだまだ、射て、さしあげます、よ――」パアアアア



デイジー「その、『2人いれば無防備な3人目を私相手に守り切れる』という浅はかな考え――

      気に、食わないなっ!」

ロゼッタ「――ふぇっ!?」



デイジー姫が大地を震わせて、駆ける。
い、いけない!反応し損ねましたっ!かろうじてゼルダ姫が対応に移ります!

一拍遅れて動作に入るも…余りに速くて、私のパイロキネシスごときは、
誰もいない空間を間抜けに通過していくのみ……!

596Mii:2020/02/15(土) 15:20:09 ID:UXSYQ7yA
口では「射貫く」と言っていても、流石に無謀と察したか、ゼルダ姫が身構えて格闘応戦。

ただし、攻撃してもダメ―ジなど碌に通らず、意味がありません。
後ろ向きではありますが、底上げされた防御力を少しでも活かし、時間稼ぎに徹せねば。



――そう考えていた、私たち。
――その考え、恐ろしく甘い見積もりでした。



デイジー姫は、ゼルダ姫の直前まで来ると、急停止し、ふっと笑って――





デイジー「右から来るぞ、気を付けろ」





ゼルダ「な、何を―――――――」



――――――――

597Mii:2020/02/15(土) 15:23:03 ID:UXSYQ7yA



ゼルダ「――――っ!」





ゼルダ姫が、反応できたのは、奇跡だったかもしれません。

ゼルダ姫は、咄嗟に、反射的に、自分の顔までの軌跡を両腕で遮ろうとし――
あろうことか、「咄嗟に顔の守りを捨てて」、下方向に急旋回。
鳩尾を、死に物狂いで、死守しました。

バリイイイィィン、と、耳をつんざくような爆音がこだます。
なにかが霧散していく、光の欠片と共に。



ゼルダ「……フーッ…フーッ…!!」ガクガク



デイジー姫の拳は、言葉面だけならゼルダ姫の「期待通り」、
限界を超えて突っ張って見せたゼルダ姫の手によって、バシィッ!!と取り押さえられました。

デイジー姫の拳から初めて流れた、何筋かの赤い血。
受け止めたゼルダ姫の手首からは、夥しい量の出血が。

598Mii:2020/02/15(土) 15:27:47 ID:UXSYQ7yA



ゼルダ「――――フーッ――――フーッ…!!」バクバク



…傍から見ていても分かるくらいの動揺、脂汗。血走った眼。定まらない呼吸。
ただ、ゼルダ姫は決して、激痛のせいで、あんなことになっているわけではありません。



一瞬見せた、デイジー姫の、本気の本気。
私の仕込んだ要塞法衣は…たった一発のパンチで、腕の周り…
そしてその後ろに控える腹部のものまで、絶望的に大きな風穴があき、もはや使い物になりません。

もしも、「どうせ顔に飛んでくるんだろう」と決めつけてガードしていたのなら、
減速させること叶わず腹部の鎧を貫き通して、絶命させていたこと、請け合いです。



デイジー姫はデイジー姫で、目を見開いています。

デイジー「…驚いたな、心の底から驚いた。
     まさか反応してくるとは、更には腕の制約があるというのに、
     それを跳ね除けて間一髪、間に合わせてみせるとは…っ!
     基礎体力レベルにして、Lv. 50の大台には乗ったんじゃないか?

     私は『胸が張り裂けるほど』嬉しい。敬意を以て――――――――」スッ

599Mii:2020/02/15(土) 15:33:39 ID:UXSYQ7yA
ゼルダ「ヒルダ姫っ!!自分に集中してっ!早く――っ!」

「ナニカ」を悟り、ゼルダ姫が絶叫します。



デイジー「――――――――――――全力で叩き潰そう」

ドゴオオオオオオオオオオオォォォッ!!



ゼルダ「――――――――なん、ども、いいま、すが。
    ほん、とうに、しゅ……み、わるい、で、す………………………ね」

ゼルダ姫が、ぐるんと1回転、したので、しょうか。
速過ぎて、よくわかりませんでした。……見ているだけしか、できませんでした。

…多分、なのですが、こう…一瞬のうちに、デイジー姫の手が再び自由の身となって。
しなやかに長い腕を差し込まれて。背負い投げをされたのだと、思います。
…クレーターを作りながら、背中から叩きつけられている最終状態を鑑みるに、そうとしか思えない、ので。はい。

…要塞法衣に敢えてちょっかいを出すのは、こちらの戦意を下げることを狙っているのでしょうか――

ゼルダ「――」ガクッ



ゼルダ残機・・・残り『2』
ゼルダを包む要塞法衣が 完全に 解けた!▼

600Mii:2020/02/15(土) 15:37:00 ID:UXSYQ7yA
光り輝くとともに、ゼルダ姫、復活。

ケガ完治、パチッと目を開け、手で口を押さえて…吐き気をグッと、堪えています。
ちなみに、ゼルダ姫もヒルダ姫も、それなりにショックには強くなってはきましたが…
復活後に吐き気が一切ないのは――私だけです。嬉しいような、悲しいような。

さて、ここからが。お互い、ますます重要になってきます。
連続した残機削りが禁止というルール上、ヒルダ姫か私が残機を減らすまで、
ゼルダ姫の残機が奪われることはありません。
もちろん無力化に専念して動かれる可能性は残っていますが、
ゼルダ姫の光の弓矢はなんだかんだ言って充填しやすくなるでしょう。

ただしこれは、デイジー姫がヒルダ姫と私の速やかな殺戮に躍起になる、
積極的になるということでも…当然あるのですから。



ヒルダ「アイス、ロッドッ!」バッ

少なくないFPを注ぎ込み、なんとか復活した召喚獣。いわゆる「いつもの大きさ」で。
デイジー姫を休ませまいと、なるべく時間を空けず、ヒルダ姫が動きます。
10秒は倒されないから…なんて悠長にしていると、たちまち取り返しが付かなくなってもおかしくありません。

601Mii:2020/02/15(土) 15:39:17 ID:UXSYQ7yA
彼女の魔法も、決して貧弱ではありません。威力も速度も、見事なもの。
術式の素早い切換えにより、持たせる武器も様変わり。
地力、そしてこれまでの努力の結晶により…そこいらの敵相手ならば、粉砕もたやすい。
乱れ飛ぶ激しい冷気の塊たちが、デイジー姫に襲い掛かります。



デイジー「…おっと。それにしても、ヒルダ、お前だけは中々火力が上がっていかないな。
     ロゼッタは割と、私に警鐘を鳴らせるようになったっていうのに」



…しかし、デイジー姫の基準からすると、なかなか及第点を貰えない。
飛ばす氷は、上体を逸らすだけで躱され、身を翻すだけで空振りし、
悉く無効化されて行きます。

ヒルダ「人が、気にしている、事を――っ!」

ヒルダ姫が悔しさをにじませていますが、
すでにデイジー姫は、視線をゼルダ姫に向けています。

ゼルダ姫が、光の弓矢を…デイジー姫からすれば「性懲りもなく」溜め始めます。
要塞法衣は消え去っているのが本当に気懸り。
もちろん、全員がこの衣に覆われ続けること、残機を削られるたびに張り直せること…
これらが達成されれば非常に心強くはありますが、時間的にもFP的にも余裕などありません。

…仮に余裕があったところで、デイジー姫にとって突破できないこともないというのが更に私を億劫にさせる、
という新たな懸念事項とエンカウントしましたが。

602Mii:2020/02/15(土) 15:42:40 ID:UXSYQ7yA
ヒルダ「アイスロッドッ!」



デイジー姫が、ヒルダ姫を半ば無視し――



ゼルダ「光の――――」パアアアア



ゼルダ姫が溜めるソレには、流石に目を光らせて――



デイジー「ゼルd――――――――――」ダダダダダ



――ぴくっ。





デイジー「――――――っとぉ!!!!」ズサァ―ッ!

デイジー姫が、何を思ったのか、突然自らバランスを崩す。
身を捩らせて、進路から大きく外れゴロゴロ転がって、最後は背中を地に滑らせる。

603Mii:2020/02/15(土) 15:45:23 ID:UXSYQ7yA
ロゼッタ「――――え、えええーっ!?」シュンッ!!  ザンッ!!

ヒルダ「そんな……!」

野生の勘、というものか。

進路通りに進んでいれば――斜め45度後方からデイジー姫目掛けて迷うことなく走る、
「私の」光の弓矢が、背中を背中を射止めていた、はずでした。
突如現れた私の腕の先から、これまた突如として現れた、一筋の閃光。
…狙撃対象を見失って、フィールドの遠くまで……むなしく飛んで、消えて行きました。

う、そ。今のが、読まれ、たのですか!?
とっておきの、初お披露目の、「ワープ即撃ち」光の弓矢だったのですが…!
腕を振り下ろした状態のまま、硬直を食らいつつ、心まで固まってしまいます。



デイジー「おっと、これで3秒取られるとかはギャグにもなら――」

ゼルダ「…ハッ!!!」バシュッ!

デイジー「――――っ!」



で、ですが。まだ、デイジー姫は安心できない。
時をほぼ同じくして、ゼルダ姫の光の弓矢も準備完了。デイジー姫をロックオン。
体勢が崩れているありさまで、この2射目を――切り抜けられますかっ!?

604Mii:2020/02/15(土) 15:48:45 ID:UXSYQ7yA



デイジー「ずああああああああぁぁぁっ!!」ズシャアッ!




ぽたり、ぽたり。



デイジー「……………………少々、無茶をしたかな」ポタポタ

私もヒルダ姫も――そして何より、ゼルダ姫が、唖然とする。
夢でも見ている気分です。

ゼルダ「――――ま、まさか。
    腕の一振りで、光の弓矢を――引き裂いた、ですって?」

デイジー「いや、そんなに簡単なことじゃなかったぞ?
     見ろ、今のだけで――右腕が、結構、外出血を起こしているようだ。
     ぽつぽつと赤く染まっているだろう?マリオやリンクなら、こんな症状すら起きていないと思うが。
     所詮、私の力などこれっぽっちということか。

     …そうだな、ここまでの時点で、これまでの14回の試合を差し置いて
     ベストスコアは叩き出せているだろう」スクッ

…そんなしょっぱい結果を求めて光の弓矢を撃ち続けたわけではないのですが。
ゆらりと立ち上がったデイジー姫が、まさに「越えられない壁」に見えてきます。

605Mii:2020/02/15(土) 15:51:32 ID:UXSYQ7yA
デイジー「…今のは、かなり良かった、掛け値なしに。
      ワープ後の動作に硬直ロスもほとんどなく、抜群のタイミング…
      すっかり技術を、物にしたんだな――!

      いや、ロゼッタだけではないぞ。ゼルダ、お前も。
      致命傷一つ狙いではなく、迂闊に起き上がれない位置関係を狙って
      敢えて照準をずらした、一瞬の判断で――だろう?
      あれがなく、欲張って仕留めようとしていれば、躱しきれていたというのに」



最近のデイジー姫は、吹っ切れた影響が徐々に好い方向に出ているのか、「裏の顔」でも…
褒めたいと思えば言葉でしっかり称え、冗談などにも即激怒はせず一旦流してくれる、といった変化が出ています。
このように褒めて頂けると、くすぐったい。

ですが、状況としては非常にまずいことになりました。
腕で無理やり払う選択をしたということは、もし胴体に到達していればよりダメージを与えられていた、
というのは間違いなさそうではありますが。

ここまで武勇を示されては、果たして有効ダメージを与えるのが、何時になることやら…!
もっともっと、致命的なスキを、好機を用意してやらなければならないようです。

606Mii:2020/02/15(土) 15:54:56 ID:UXSYQ7yA
私の手の甲の弓矢のマークは、ストックを失ったことで、今は跡形もありません。
ストックし直さなければ何も始まらないのですが、今のでゼルダ姫の心が折れていなければよいのですが――



ゼルダ「…………」ブルブル

ゼルダ「……………………」ハーッ

ゼルダ「…………その笑いを崩すのが、ますます楽しみに、なってきました、ね…!
    やってやろうでは、ありませんか!お覚悟をっ!」



――杞憂だったみたいです。武者震いでしたか。
――今のゼルダ姫、いえ私たち3人の心を折るのは、そう簡単ではないですよね。



むしろ問題は私です。
肩で息をしています。汗もびっしょり、腕には鈍痛。
光の弓矢の維持で、デイジー姫以上に痛手を負ってしまいました。

ロゼッタ「――――つ、強い」

デイジー「弱い姿など、見せた事ないだろう?」

ロゼッタ「わかっています、言葉の綾というか、再認識というか…そんなところ、です」

607Mii:2020/02/15(土) 15:58:31 ID:UXSYQ7yA
くつくつと笑ったあと――

デイジー「何だ?ボーっとしているのなら…こちらから行くぞ!」ダンッ!

ロゼッタ「―――っ!?」シュンッ!

地を蹴り、颯爽と、私に迫る。…まずい、予想はしていましたが、狙われました。

ヒルダ姫のもとへ、慌ててワープ。
なんということでしょう、無理が祟って、体がフラ付きます…!
読まれていたのか、デイジー姫は既に方向転換、またもや距離を縮めます。
私=ターゲット、の等式が成立してしまっているようです。

デイジー「ふんっ!」ブンッ!

ロゼッタ「ひやっ!?」ズルッ!

速度を緩められないまま、何かを投擲されました。
…砕けた足場の破片!?拾ったタイミングすらわかりません。

1投目のストレートを、ぎょっとしながらも大きく横に反ってヒヤヒヤと躱し、

2投目のフォーク…もとい上に浮く足場の裏側に跳ね返らせた荒れ球を、
思わず目を瞑りながらの交差する両腕で防ぐ。

…ものすっごい威力です。
ただの5cm程度の破片なのに、私に着弾すると同時に爆発し、もうもうと土煙。
あんなのを見せられると、私のジャイロファイアなんて、まだまだ序の口ですね。

それでもとりあえず、なんとか――


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