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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですね、是非!」

1Mii:2019/03/31(日) 10:37:38 ID:iLEqj1bw
このスレは

 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

を前スレとする続編となります。
前スレをご覧になられていない方はそちらを先にどうぞ。

遅い進行のスレですが引き続き頑張っていきたいと思います。
よろしくお願いします。





パルテナ「そのほか、いくつか注意点があります。

     ・スレ主のスマブラfor経験は、CPU(Lv.9)とのタイマンで
      勝ち越せない程度の実力しかありません。
      戦闘描写に過度な期待をすると酷いことになります。
      むしろ、『うわあ、この描写ニワカだな』と粗探しするくらいの気持ちで
      読むようにしてください(最重要)。

     ・前スレ同様、いろいろとパロデイ、メタ発言が散りばめられています。
      キャラが自分たちの背景情報を活用する…みたいなご都合主義は
      白ける方もいらっしゃると思います。そんな時は…
      別のスレに移って、このスレのことは忘れましょう。
      
     パルテナお姉さんとのお約束ですよ♪うふふふふ」

117Mii:2019/05/06(月) 04:13:51 ID:GkZ4yLvE
ルキナ「――いたっ……!」

ただの、パンチ。とんでもない、威力。
病室の反対側の壁まで吹き飛んだ剣は壁にグサリと突き刺さり、
持っていた腕も慣性を完全には無効化すること叶わず、強く後ろ側に反らされる。
――よくて脱臼、もしかしたら骨折しているかもしれません。

リンク「おい、ルキナっ!お前、今、なんてことしようとしたんだ!
    必死に命を助けたルフレやピーチ。
    散々心配してくれた、マルスやアイク…ついでに俺!
    その他、大勢の人たちに対する冒涜、侮辱行為だぞ、分かってるのか!?」

ルキナ「……………………」

リンク「まったく、俺が第六感で駆け付けなかったら確実に死んでたぞ…。
    おー、今更ながら…ガラスが何枚か突き刺さってるな、いってぇ。
    そんなに簡単に命を捨てるな!足掻ける間は足掻いてみろよ!」



ルキナ「あなたに……なにが、わかると、いうのですか」



リンク「…なんだって?」

ルキナ「…あなたに、何が分かるというのですかっ!私は、世界を…実質!二度も!滅ぼしたっ!
     こんな疫病神のどこに、生きている価値があるというのですかっ!」ボロボロ

118Mii:2019/05/06(月) 04:15:35 ID:GkZ4yLvE
リンク「だから、別にルキナのせいで世界が滅んだわけじゃないって。
    そこんところ、勘違いしないでほしいなあ。
    つーか、滅んだって言い方、やめようぜ。挽回が効かないって決まったわけじゃ」

ルキナ「決まっていますっ!
     味方は全員亡き者となり、
     ギムレーは益々勢力を強固たるものとし、
     人々は生きる気力を完全に失っているっ!」

リンク「…………」

ルキナ「私、は…っ!
     これ以上、自分だけのうのうと生き永らえることに、耐えられません…!
     後生です…もう、放っておいて…くだ、さい……」ポロポロ



――なにもかもが、どうでもいい。
――床に座り込んで俯いたまま、ひたすら女々しく泣いている。
――そんな自分が、ますます一層、嫌になる。

119Mii:2019/05/06(月) 04:17:33 ID:GkZ4yLvE



リンク「……………………ははっ、懐かしいなあ」ククッ



――えっ。



突然の笑い声に、思わずキョトンとなって、顔を上げる。

リンク「ああ、悪い悪い。
    俺もさ、かなり昔の話になるけれど、ルキナみたいに
    自暴自棄になってた時期があったなーって、ふと思ってさ」



ルキナ「…あなたが?」

リンク「おうよ。今や三強と呼ばれるまでになった俺でも、な。
    自分の境遇を恨んで、自分の実力の無さに泣けてきて…
    そんなときが、確かにあったんだぞ?
    ま、それも…俺がルキナをほっとけない理由の一つかな」



――信じられない。マルス様すら、実力負けを認めるというこの男が。

120Mii:2019/05/06(月) 04:19:50 ID:GkZ4yLvE
リンク「…で、放っておいてほしい、とは言うけれど。
    ルキナは…このまま、境遇から逃げるのか?

    ぶっちゃけると、昔の俺も似たような考えに陥ろうとしたのは事実だから
    全くもって強く言える立場じゃないかもしれないけど…
    それって、要するにただの現実逃避だよな?」

ルキナ「…………っ!」

唇を、血が滲むほど強く噛む。

リンク「自分では為す術なくなったから自ら命を絶つ、だあ?
    責任を取るといえば聞こえがいいけれど、
    ルキナを救ってきた人たちの想い、一切合切踏みにじってるよな?
    想いを無駄なものにしてしまう…それこそ大恥だと思わないか?
    
    そんなことするくらいなら、もう一度、死に物狂いで戦おうぜ。
    いきなり挑むことが余りにも無謀っていうのなら、
    希望の目が見えるまでいくらでも修行すりゃあいい。
    幸い、キノコ王国は環境が整いまくっていることだし。
    なんせ、生きた証人がここにいるしな」

121Mii:2019/05/06(月) 04:21:47 ID:GkZ4yLvE
ルキナ「…………無理、です。
    私は、そんなことができる才能も、甲斐性も、持ち合わせていないようですから。
    王家の血筋でありながら、このありさま…失望していただいてかまいません。
    …私1人、地獄の世界に舞い戻ったところで…何も、成し遂げられない」

リンク「…………へえ?」

ルキナ「…いま、このキノコ王国で催されている大会のこと…少し、伺いました。
    かつての英雄のマルス様や、アイク様と話をすることができたことは、
    とても光栄でした。…とても、暖かい人たちでした。

    …この大会が終われば、みなさん、元の世界に、
    元の時代にお帰りになられてしまう。

    ルフレさんに付いていくことも、私には考えられない。
    彼には…彼の、彼らの守り上げた世界がある。
    それを私が享受することなど、絶対に許されません。

    今の私には結局…絶望のままここで命を絶つか、
    足掻こうとしてみて無残に魔物たちに惨殺されるか、の二択しか残されていない。
    だったら――」



――はっと、する。
――私を厳しい目で睨んでいた彼が、とても穏やかな表情であったから。

122Mii:2019/05/06(月) 04:24:48 ID:GkZ4yLvE
リンク「なるほど。纏めると――」

――一旦、彼は、思案顔となり。



リンク「ルキナは…自分の置かれた絶望感に押し潰されるほど、ヤワな戦士じゃない。
    ただ…誰にも頼れない、頼っちゃいけないっていう孤独に耐えられないんだな。
    いやあ、俺にもかつてあった心情のはずなのに、気付くのが遅くなって申し訳ないっ!」ピコーン

ルキナ「えっ…?」

何かに合点がいったのか、人差し指をピン、と突き立てる姿に、目を見開く。
何を…言っているのでしょう。

リンク「わかる、わかるぞその気持ち!
    俺も、マリオやピーチの存在にどれだけ救われたことやら!」ウンウン

私の理解し切れない状況のまま――。



リンク「……よし、決めた。
    そんなに一人が怖いっていうんなら、俺がタッグ、組んでやるよ。
    魔物がなんだ!邪竜がなんだってんだ!
    みんなまとめて成敗して、ルキナの世界にも平和を取り戻そうじゃないか、なっ!」



――私は、固まることしかできませんでした。

123Mii:2019/05/06(月) 04:27:19 ID:GkZ4yLvE
リンク「というわけで、ルフレには悪いけれども…
    ルキナを鍛えることが最優先事項となりましたーっと。
    …あ、今の精神状態からすると、いきなりは無理っぽいか。
    まずは、ルキナが普通に笑えるくらいまで励ますことにするか。



    という訳で、抱えている不安や愚痴があったら、いつでも俺にぶつけろよー。
    変な遠慮、躊躇はお呼びじゃありません。ただの迷惑ですから。
    吐き出した分だけ、ルキナの心は絶対に軽くなるからな。
    まあ、専門知識持ってるDr.マリオやピーチにも色々尋ねてみるといい」



――景色が、歪む。

124Mii:2019/05/06(月) 04:30:04 ID:GkZ4yLvE
リンク「俺なんかが想像もできないくらい、辛いこと、悲しいこと、あったんだよな。
    歯痒くて、夢にまで出て、だけどどうにもならなくて。
    ルキナの性格だから、表の顔では必死に堪えて、陰で散々泣いてきたんだろ?

    …よくここまで、一人で――たった一人で、頑張ってきたな。お疲れさん。
    だけど、今後は…俺や、他の人を頼っても、いいんだ。むしろ頼れ。
    そうすりゃきっと……希望だって見えてくるはずさ」



――ポン、と頭に手を置かれる。
――限界、でした。





ルキナ「うわあああああああああああああああああぁぁぁ――――……」



――堰を切ったように感情が、爆発して、彼に抱き着いて。
――月灯りの元で、嗚咽を漏らしながら泣き叫ぶこととなったのでした。

125Mii:2019/05/06(月) 04:32:58 ID:GkZ4yLvE
リンク(…………俺、勇者リンク。

    昔、女性に抱き着かれたことがあったようななかったような気もするけれど、
    それほど慣れているプレイボーイじゃないんですけれどもっ!
    さすがに引き剥がすのはルキナが傷つくだろうからしないけれど、
    ファイ、これ浮気じゃナイカラネ!?そこんとこヨロシクッ!)ダラダラ









〜とある一室〜

ファイ「…ふむ。私は子を生せませんし、マスターに人間の伴侶が居ても…
    それはそれでよいと思うのですが。分け隔てなく接してくださるでしょうし。
    マスターの子供の才能が楽しみです」

任天堂スタッフ「…いきなりどうしたんですか、ファイさん?」

ファイ「…申し訳ございません、電波をダウジング…いえ受信してしまったもので。
    ……それで、この区画をこのように開発してですね…」ピッ

任天堂スタッフ「ほほう、これは中々思い切った改造を…」

126Mii:2019/05/06(月) 04:34:37 ID:GkZ4yLvE
〜病室〜

ルキナ「……見苦しいところを、お見せしました」カァァ

リンク「は、はは。大丈夫、当たってはなかったから」

ルキナ「なくはないですっ!!!」

リンク「…はい?なんのことだ?」

ルキナ「……ななななんでもありません!」

リンク「お、おう」

ルキナ「…………」

リンク「うん、よかった。だいぶ、元気は出たみたいだな」

ルキナ「……私の自覚としては、まだまだ絶望の中にいるつもりなのですが」

リンク「…いや、そんなことはないぞ?なんとかなるかもしれないっていう心が、
    目に光を宿らせることになってる。…もう自殺未遂なんてやめてくれよ?」

ルキナ「……はい」コク

127Mii:2019/05/06(月) 04:36:04 ID:GkZ4yLvE
――――でも、やっぱり。
――――視線は再び、下を向く。

ルキナ「ここまでしていただいて、本当に情けない話なのですが。
    すこし考えてみれば、あなた1人が加わったところで。
    …いくら、あなたが素晴らしい戦士だった、ところで。
    
    …状況が大きく変わることなど、ありえない。
    そう、自覚して…冷め切ってしまう自分が、いるのです」

――敵は、あまりにも強大。
――取り返しのつかないところまで、成長してしまった。





リンク「…………言ったな?」





ゾワッ…。



ビクッと一瞬恐怖して、動転して、何事かと顔を見上げて。
…彼の全身から迸る威圧であることに気付きました。

128Mii:2019/05/06(月) 04:37:16 ID:GkZ4yLvE
リンク「…じゃ、証明してやるとしますか。
    俺の力があれば、きっと問題を綺麗さっぱり解決できるって…
    ルキナが認めざるを得なくなるまで」

ルキナ「…そ、それは、どういう…」

リンク「じきにわかるさ。
    …身体面としては、もうどこも悪くないんだよな?
    今日は、出かける準備をしておけよ。
    明日も、明後日も、明々後日もだ」



彼が、部屋から出て行こうとします。

――よく、わかりません。
――でも、なにか…とんでもないことを、私のためにやってくれる…
――そんな気がして、なりません。



ルキナ「あなたは…どうして、私のために、そこまで…!」



私の投げかけに、彼は振り向きはせず、ただ少し立ち止まり――。

129Mii:2019/05/06(月) 04:38:45 ID:GkZ4yLvE
リンク「俺さー。正直、勇者って肩書き、好きじゃないんだよね。
    色々と苦難の道を強引に歩まされてきたからさ。
 
    まあ、それでも。
    勇者ってなんだろう、自分は何ができるんだろうって、
    最近は考える余裕も出てきた。
    
    …で、アバウトながら俺が出した結論がある。




    勇者ってのは、溢れんばかりの勇気を持って冒険する奴…ではあってほしくない」



ルキナ「…えっ!?」



私の驚きなど気にも留めず、背中を向けたまま。
背中の盾をビシッと親指で示してみせる。

130Mii:2019/05/06(月) 04:40:25 ID:GkZ4yLvE
リンク「俺が目指す勇者ってのは…

    どんなにカッコ悪くたっていい。時には怖気づいたっていい。








    『誰かに勇気を与えて、冒険したくさせる奴』だからな!!」






ルキナ「――――っ」



息を、飲む。
今度こそ、彼は…病室を出て行った。

131Mii:2019/05/06(月) 04:45:16 ID:GkZ4yLvE
リンク「おっ?ピーチじゃないか。見回りか?」

ピーチ「ごきげんよう。ルキナを助けてくれて、ありがとうね。よっ、この色男!」

リンク「色男は余計だ」



小悪魔的笑いを浮かべるピーチの横を、訝しみながら通り過ぎる。



ピーチ「それで?ここから、大逆転優勝でも狙うつもり?
    いくらなんでも、マリオとクッパを舐めていないかしら?
    いくら同情したくなるからって、手加減する2人じゃないわよ?」

振り返りもせず、ピーチは語り掛けてきているのだろう。
横目で悪戯っぽく様子を伺うピーチが容易に想像できた。

リンク「舐めてなんかいないさ、2人の強さは十分すぎるくらい知ってる。
    …だからこそ、だ。

    実力が拮抗しているからこそ――
    勇気を与える使命に燃えた勇者を舐めてると…
    痛い目に遭うからな?」ニヤリ

ピーチ「わあ、怖い。じゃあ、そんなリンクに…去る前に、ひとつ、言っておくことがあるわ」

リンク「へえ?」

132Mii:2019/05/06(月) 04:48:57 ID:GkZ4yLvE
ピーチ「ルキナに請求する訳にもいかないから…







     壊した壁代とガラス代、後で請求書出しておくからね?
     特に意匠が施されたガラスは…高くつくわよ?」




リンク「………………………………………………………
    …………………………保険とか効かない?」タラリ

ピーチ「効きません」シレッ

133Mii:2019/08/17(土) 20:30:37 ID:u/po2OBc
〜翌日…観客席〜



ルキナ「えっと…Qの101、Qの101…」キョロキョロ



チケットに記載されている座席番号だけを頼りに、
人波をかき分けて、あちらへフラフラ、こちらへフラフラ。
体調が芳しくないわけではなく――単純に、人が多すぎます。

…ああ、ようやく、手を振っているルフレさんが見つかりました。
よかった。間に合わないかと思いました…。



ルフレ「ルキナ―、こっちこっち!」

ルキナ「お待たせして申し訳ありません、ルフレさん。
    
     …これが、試合会場ですか。改めて、圧倒される広さですね。
     それにしても…このエリアって…初見の私でもわかるのですが、
     相当な特等席なのではないですか?」

そう呟くと、同じことを思っていたらしいルフレさんが、非常にばつの悪そうな顔をします。



ルフレ「そ、それがさ…」

134Mii:2019/08/17(土) 20:33:52 ID:u/po2OBc

・・
・・・

リンク「すいません、S級席ってまだ空席ありますか?
    1つ…いや、2つほど確保したいんですが」

受付「申し訳ございません、全て完売しておりまして…
   …って、リンクさんですか?一体どうされたのですか?」

リンク「急遽、ちょっと招待したい人たちができてですね…そこをなんとか!
    席の増築とか、できませんかね!このとーり!」テヲ アワセル

受付「い、いきなりそう言われましても…。
    と、とりあえず本日分のキャンセル待ちということで…」





リンク「あ、大会終了までの残り2カ月分、固定席が欲しいです」

受付「」

135Mii:2019/08/17(土) 20:35:34 ID:u/po2OBc
リンク「とりあえず、前金でこれだけ支払っておきますから。
    確保してくれたら更に同額払います」





大金ルピー×100「」ドドン

受付「」





・・・
・・


ルフレ「…という感じだったらしい」

ルキナ「…………そ、そうなのですか。
    …あ、確かに座席が急ごしらえっぽい感じです」

ルフレ「ぼ、僕たちのお尻の下に、
    数年は豪遊して暮らせるお金が眠っている…」ガタガタガタガタ

ルキナ「み、身の毛もよだつようなことを言わないでください!」ブルッ

136Mii:2019/08/17(土) 20:38:07 ID:u/po2OBc
――来ました。来てしまいました、リンクさん。
――指示されるまま会場に来てしまい、ルフレさんと共に縮こまりながら…
――会場の中央を、ぼんやりと眺めます。

――試合が始まるのを、待っています。




マスターハンド「さあさあ!今日も絶好の試合日和!
         いつも以上に晴れ晴れと――試合開始のカウントダウンですっ!」



リンクVSマルスVSトゥーンリンクVSブラックピット



ブー!ブー!
リンク、イイカゲン、マジメニヤレェー!!コラー!



ブラックピット「フンッ!絶不調の今なら、リンクといえど恐るるに足らず!
         徹底的にボコってやるか、クックック…!腕が鳴るぜ!」シュッ シュッ



ピット「おーいブラピさん!ご都合主義な地獄耳ってことで忠告しておくけどっ!
    お前今、変なフラグ立てたぞ!立てちゃったぞぉ!」

137Mii:2019/08/17(土) 20:40:54 ID:u/po2OBc
マリオ(控え室)「…こ、こいつは――」

クッパ(控え室)「…どうなっている」





マルス「…………」ジッ

トゥーンリンク「あ、わ、わわわわわ…」ガタガタ

マルス「…君も、感じるんだね?トゥーンリンク?」

トゥーンリンク「あ、あれの、ことだよね、うん。
        マルスさんの戦士としての直感というよりは、
        同じ『リンク』としての共鳴のおかげなんだけど、ね。

        も、もともと『本体』と『分身』の差があるから、
        勝てるとはさらさら、思ってなかった、けど……」

マルス「なるほど、『リンク』だけに共鳴ってことか、うまいなあ!」

トゥーンリンク「そ、そんなネタで笑っている暇じゃないよう…」チラッ

138Mii:2019/08/17(土) 20:45:29 ID:u/po2OBc



リンク「スゥ―…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



リンクは 闘志を 燃やしている!
リンクの やる気は 満 タ ン だ!▼



ブラックピット「んー?なーにをお目々を瞑ったまま剣を突き立てて、
        微動だにしないのかなー?リンクさーん!
        もしかして、俺にビビった?ビビったかなー?」ケラケラ

トゥーンリンク「ブ、ブラックピットさーん…
        本体さんを煽ってないで…早く逃げた方が…いいよー?」コゴエ

マルス「いやまあ、しかし…不謹慎かもしれないけど、僕は幸せ者だな。
    最高のコンディションの…最強の相手の先鋒を任されるなんて。
    ぼろ負けすると分かっていても、武者震いで疼きが止まらないよ。

    ああ、アイクの羨ましそうな顔がありありと浮かんでくるよ」ゾクゾクッ

トゥーンリンク「…マルスさんも、たいがい思考が戦闘狂寄りにひん曲がってないかな…?」

139Mii:2019/08/17(土) 20:51:52 ID:u/po2OBc
マルス「ははは、何を言っているんだい。僕は何時だって戦闘狂だよ?
    相手が強ければ強いほど、ね。伊達に長生きしてないし。
    …あ、生きてるって表現は微妙に間違っているのかな?」ゾクゾクッ

トゥーンリンク「うう…そうこう言ってるうちにも、本体の覇気に、飲まれそう…
         っていうか、既にガブリと飲み込まれ噛み砕かれてるぅ…!」ガタガタ



観客「ファイブ!」

観客「フォー!」

観客「スリー!」

観客「ツー!」

観客「ワン!」

パアアアァァン!!

実況「――――さあ、バトル開始です――!」

ブラックピット「ボーっとしてるなら遠慮しないぜ!食らいやがれ!」ダダッ




リンク「……………………20秒」カッ

140Mii:2019/08/17(土) 20:53:36 ID:u/po2OBc
私には、何が起こっているのか、わかりません。
目の前で起きたことが、頭で理解できません。

…ああ、どうやら、その感想は少し、間違っていたようです。
「私には」では、ありませんでした。

手にしていた「そふとくりーむ」とやらをポトリと下に落として、
口をあんぐりと開けたままの隣に座っていたルフレさんも。

周りの…いえ、会場全体に詰めかけている観客の皆さんも。
実況解説の人…人?たちでさえも。
しぃんと、静まり返っています。理解を放棄しています。

そして、10秒ほど経ったころ。





――ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァ!!!!!!!



たちまち、会場は…爆発的な歓声に包まれました。
これでも、称賛には控えめと思わされます――!

141Mii:2019/08/17(土) 20:57:43 ID:u/po2OBc
マスターハンド「じゅ、じゅ、17秒!?…これ、は、夢ではありませんっ!
          試合開始からわずか17秒です、信じられますでしょうか!?

         リンク選手、突進体勢のブラックピット選手を小ジャンプからの神速の強弓で返り討ち!
         衝撃波を纏いながら、なんと、開始2秒で奈落の底へ!

         間隔も空けずブーメラン投擲、トゥーンリンク選手とマルス選手、辛うじて回避!…したつもりが、なんとしたことだ!
         投擲直前に繰り出されていたと思われるバクダンが括り付けられており背後で爆発ぅ!

         あまりの早業にたたらを踏んだ両選手に、今度は怒涛の勢いで正面強攻!
         トゥーンリンク選手は2合で、マルス選手すら4合で斬り伏せられたぁ!!
         最後は威風堂々、迫力満点の大回転斬りで締めましたぁーーーーっ!!

         た、たった今入った、お知らせですっ!
         初代スマブラ――マリオ選手によってもたらされた、『28秒』が1試合の最短記録でしたがっ!!
         今回、それを大幅に更新する奇跡の1戦となりましたぁ!!」バクバク



マルス「ぐふっ…………剣先鍔迫り合いなんて狙う暇すら…なかった………」チーン

トゥーンリンク「集団虐められ、はんたーい……」チーン

ブラックピット「」チーン

観客「」

142Mii:2019/08/17(土) 21:01:49 ID:u/po2OBc
ルフレ「す、すごい……!!なんて、強さだ…!」

ルキナ「…………!!」

強い、なんて表現では足りなすぎます。
…これが、勇者の、底力…!!

何か、私の心に、確かに灯るものが、有る気がします――。



ここ最近は、リンクさんの戦績がよろしくなかったようです。
…主に私のせいであるということを知り、申し訳ない気持ちで一杯です。

ま、まあ。そのこともあってか、
突然の復活に、会場のどよめきは収まることを知りません。
彼の名を連呼し続ける、観客のみなさん。
会場全体の雰囲気が、天を駆ける龍のように、躍動しています。

143Mii:2019/08/17(土) 21:07:07 ID:u/po2OBc
……さらに、リンクさんは、己を、私を、奮い立たせる行動に出ました。



マスターハンド「…あのー、リンク選手?控室に戻られないのですか?」

リンク「あー、次の試合を待っているだけの俺のことは気にしないで。
    フィールド整えたいならどうぞどうぞ、邪魔はしないから」

マスターハンド「ま、まさか休憩を取らず連戦されるつもりですか?
        リンク選手といえど、明らかに不利になってしまいますが?」

リンク「このまま気持ちを途切れさせず、テンションを維持することによるメリットの方が
    デカいと勝手に考えてるので、お構いなくー」ググッ

リンクは まだまだ はりきっている!▼


        
マスターハンド「なんと!?素晴らしい気合いの入りようであります!
          ……では、そのようにさせていただきます!」

ウオオオオオオオオオオオォォォォォ――――!!!

リンクさんの挑戦的な意志に、会場は一層沸き立ちます…!



リンク「…さあ――俺と戦いたい奴、不調に付け込もうと思ってた奴。
    いくらでも、掛かってこいやぁ!!」ドンッ!

144Mii:2019/08/17(土) 21:11:58 ID:u/po2OBc
〜夕方、控え室〜

リンク「どっはーぁぁぁ…………ち、ちかれた……。
    よ、よーし、今日はこのくらいにしておくかー。
    いわゆる、勇気と無謀は違うって状況だよな、うん!

    …お、マリオにクッパ!どうよ、俺の活躍見てくれたかー?
    ここ最近で最高に最強だったと我ながら思ってるんだけど」ゼェゼェ

マリオ「…滅茶苦茶なブーストが掛かってたな。
    1000ポイント以上差が開いて、もはやリンクは優勝圏外かと思ってたが。
    今日だけでポイント荒稼ぎして、100ポイント縮めやがった」ゴクリ

クッパ「あれだけ圧勝試合を繰り返したからな。…これはまだまだ油断ならんな。
    だが、リンク。別にお前が強くなったわけではない。
    一時的なテンションの高まりで戦闘力が底上げされているだけなのだ」

リンク「それで結構。理解してるし、気にしないよ。
    現に、今はこうして反動でグロッキー状態だ、しな…。

    でも、だからこそ、だ。分かっているからこそ――この底上げのおかげで――
    今回の大会、俺が、ぜぇったいに、勝ぁつっ!
    勝利に、ただひたすら、貪欲に!行ける所まで突き進んでやるっ!」ビシィッ!

145Mii:2019/08/17(土) 21:15:50 ID:u/po2OBc
マリオ「言ったな、リンク!」ゴゴゴゴゴゴ

クッパ「生意気な!その言葉、のし付けて返してやる!!」ゴゴゴゴゴゴ

リンク「なんの、それこそ返り討ちってもんよ!」ゴゴゴゴゴゴ



受付「」ブクブク

ディディーコング「」ガクブル

ルイージ「怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない
     怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない怖くない」

ピーチ「3人とも!さっさと覇気を鎮めなさいよ!
    強烈すぎて受付どころか他の選手まで失神者が続出してるんだけど!」

パルテナ「うう…まともに…立って、いられま…せん。
     キャプテンファルコンさんは、よく仁王立ちしていられます…ね…?」フラッ

キャプテンファルコン「」

パルテナ「……??」チョン

キャプテンファルコン「」バターン

パルテナ「……………………あ、あれ?立ったまま気絶してた?
      もしもし?もしもーし?」ユサユサ

146Mii:2019/08/17(土) 21:18:39 ID:u/po2OBc


特に取りこぼしらしい取りこぼしもなく、先を行くマリオ、クッパ。



日程の3分の1が過ぎた頃にようやく、猛追を始めたリンク。



まだまだ大勢控える、歴戦の戦士たち。



さて、栄冠は誰の手に――――

147Mii:2019/08/17(土) 21:21:49 ID:u/po2OBc
マスターハンド「相変わらず、雨知らずの天気っ!晴男でもいるのでしょうか!?
          満員御礼も相変わらずなのは大変うれしいことです、ありがとうございます!
          それでは、今一度、気を引き締めて――試合開始のカウントダウンですっ!」



クッパVSリザードンVSワリオVS Wii Fit トレーナー

ワー!ワー!
クッパ、オウエン シトイテヤルゾー!



クッパ「フンッ、生意気な声援を浴びせる市民どもだ。身の程をわきまえろ」

ワリオ「と言いつつ、内心嬉しいクッパさんでありましたとさ」

クッパ「……そこ、うるさい」

ワリオ「でもよ、俺は納得いかねーのよ。お前に対する声援の方が大きいってのがよー。
    俺様がお前に劣ってるってか?そんな評価、糞くらえってんだ」

クッパ「ほほう、ならば実力を以って知らしめれば良かろう、単純な話なのだ」

ワリオ「まー、そーゆーこったな、分かってるじゃねーか」

148Mii:2019/08/17(土) 21:25:13 ID:u/po2OBc
リザードン「グルルル…」

クッパ「おっと、リザードン。お前も、もちろん強者であることを忘れてはいないのだ。
    ぶっちゃけると、ワガハイとマリオとリンクは別格だが…
    その少し後ろから…淡々と着実に迫ってきている…くらいの実力は、しっかり認めているのだからな。
    パワータイプであったり、炎を吐いたりという共通点もあることだし」

リザードン(グッ)

ワリオ「俺より評価高くね?それ。ムカつくんだが。
    悪気はねーが、リザードンなんて所詮は…
    数多のポケモンのうちのとある1体に過ぎないじゃねーか。

    言ってみれば『通行人A』みたいなもんだぜ?
    選ばれし戦士でも、ラスボスでもないんだぞ?いやまあ赤版の顔ではあるけど」

リザードン「……」イラッ

149Mii:2019/08/17(土) 21:28:27 ID:u/po2OBc
クッパ「ワリオ、口が過ぎるぞ」

ワリオ「悪い悪い…そりゃ、俺もこいつの強さは認めてるけどよー。
    というか、なんでこいつ、こんなに強いわけ?おかしくねぇ?」

クッパ「強いものは強いでよいではないか、本人たちの努力の結果なのだ」








パルテナ(観客席)「リザードンは…というか初代ポケモン勢は、その――

            バージョン違いの本編ソフトが各世代、
            外伝ソフトも割とあり、果てにはポケスタ系統にバトレボと
            それこそキノコ王国メンツに劣らないくらい、
            プレイアブルとして出まくってますよね…」

ピット(観客席)「え、赤版とファイアレッド版以外もカウントされるんですか!?
          さすがにアーケードは含んでいないことを祈りますよ!?」

150Mii:2019/08/17(土) 21:32:21 ID:u/po2OBc
クッパ「で」

ワリオ「だ」



Wii Fit トレーナー(女性)「今日も 一日 頑張りましょう!」ビシッ



クッパ「…どちら様?」

ワリオ「表情が読めん」



観客「ファイブ!」

観客「フォー!」

観客「スリー!」

観客「ツー!」

観客「ワン!」

パアアアァァン!!

実況「――――さあ、試合開始――!戦いの幕が…切って落とされたー!」

151Mii:2019/08/17(土) 21:35:41 ID:u/po2OBc
Wii Fit トレーナー「……」スゥゥゥゥゥ

クッパ(よく分からんが、精神統一を始めたな。ヨガの類か?
    まあ、すぐに動かないというなら、彼女は放置でいいだろう)

クッパ「よし、リザードン!まずは一発景気づけに、
    灼熱ブレス対決と行こうではないか!怖気づくなら無理強いはせんがな!」ボオオオォォォォ!!

リザードン「ガオオォォォ!」ブオオオオオオォォォォ!!

リザードンの かえんほうしゃ!▼



ワリオ「うおっと、退散退散っと!バイビー!」スタコラサッサ

マスターハンド「フィールドど真ん中でブレスと火炎放射のいきなりのぶつかり合い!
          これは会場の熱気以上に、熱い熱い戦いになりそ――」ゴクリ

152Mii:2019/08/17(土) 21:42:20 ID:u/po2OBc





ワリオ「そこ、試合開始前からせっせと溜めてた――
    超可燃性ブレンドの透かしワリオっぺ(威力MAX)あるぞ」





ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

実況「大爆発が決まったぁ――――――――っ!!!!!」

クッパ「」

リザードン「」

Wii Fit トレーナー「」ガフッ

153Mii:2019/08/17(土) 21:52:08 ID:u/po2OBc
マスターハンド「一目散に退避したワリオ選手を除き、不意の大爆発で、
          全員…壁や足場に叩きつけられましたぁっ!!」

ワリオ「ガハハ…ざまあみやがれ。続けて…ニンニクの息っ!!」ムハーッ



クッパは 毒を 浴びた!▼

リザードンは そらたかく とびあがった!▼

Wii Fit トレーナーは 猛毒を 浴びた!
代謝が 良すぎて 毒の巡りが 早い!▼



実況「いきなりの激しい攻防で、状態異常の選手が続出ですっ!
    いきなりの大乱戦となりましたっ!」

クッパ「ぬおお!!ワリオ、流石に卑怯だぞ!!」ボロッ

ワリオ「いやあ照れるぜ」

クッパ「褒めてない!…うぐ、不快すぎる臭いまで充満して…」

リザードン「フッ!!」アセリ

クッパ「くそっ…そうだなリザードン。
    もうこれ以上、下品な攻撃は食らっていられないのだ!」

154Mii:2019/08/17(土) 21:59:08 ID:u/po2OBc
クッパJr.「パパ、頑張れー!そんな、いろんな意味で汚いやつなんか、
      けちょんけちょんにしちゃえー!」

ラリー「オイラ達の偉大なるクッパ様がお前なんかに負けるかー!」

ロイ「まあまあ。強者同士の対決、暖かく見守ろうよ。どっちも頑張れ!
   …あ。その前に、体操のお姉さんが…あまりにも強烈なニンニクの匂いに
   顔を一層白くして痙攣しだしてるけど…あれ、大丈夫かなあ……」

ウェンディ「ねぇイギー、ロイってこんなに身長高かったかしら?
      こんな立派な剣も持ってなかった気がするんだけど」ヒソヒソ

イギー「ん〜…………イメチェン?……強そうだからまあいいんじゃない?」ヒソヒソ

モートン「オラ…あのワリオってヤツ、嫌い。ナマイキ」

レミー「クッパ様が本気を出したらオマエなんてかーんたんに吹き飛ぶぞ!」

ルドウィッグ「皆、そんなに騒ぎおって…。我々は、ただ悠然と構えて
        約束された勝利を目に焼き付ければいいだけだ」シレッ

155Mii:2019/08/17(土) 22:02:14 ID:u/po2OBc
ピーチ「あーあ、クッパが激怒しちゃってる。知らないわよ…?
    …それにしても、ゼルダもヒルダもロゼッタも付き合い悪いわね、
    ちょっとくらい観戦に付き合いなさいよー。

    というより、せめてゼルダはとっとと1戦くらい戦いなさいよ、
    なーにを日和ってるのかしら」ブツブツ

マリオ「八つ当たり気味に借り出された俺がいるけどな。
    …よし、次はどのドリンクバーを混ぜてくるかなー」

ピーチ「子供かっ!」ビシィッ

マリオ「いやいや、残さないから問題ないし。
    このくらいの糖分なら、1分足らずでらくらく消費できるしな。
 
    …それに、俺は至極真面目に挑戦してるぞ?
    HPやFPを回復する画期的な組み合わせが見つかった例もあるからな」

ピーチ「なにそれもっと聞きたい!」ワクテカ

マリオ「…また今度な」

156Mii:2019/08/17(土) 22:05:21 ID:u/po2OBc
キノピオ「ひ ひ ひ 姫様――!
     た た た 大変です――!」ダダダダダッ



マリオ「…………げげっ」

ピーチ「…………また来たぁ」ガクーン

キノピオ「すすすすいません!なんとお詫び申し上げればよいか!」

ピーチ「…………………………………………で、今度は、なぁに?
    できれば、悪いお知らせでないといいんだけれど」

キノピオ「…………」

キノピオ「えっとぉ、そのぉ。それが…」オドオド

ピーチ「……………………で、どんな悪いお知らせかしら?」

マリオ「どうせまた、ろくでもないことが起こったんだろ…?」ヤレヤレ

157Mii:2019/08/17(土) 22:07:55 ID:u/po2OBc
キノピオ「な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      なんと…
      Mr.ゲーム&ウォッチさんのハンマーが――何者かによって持ち去られてしまった模様で、
      悲しみのあまりオイルパニックになったMr.ゲーム&ウォッチさんのせいで
      修羅場になったんですよ!……はぁっ!言えたあ!」

ピーチ「また窃盗事件ですって――!?いい加減にしなさいよ!」ウガーッ!!

158Mii:2019/08/17(土) 22:10:07 ID:u/po2OBc
Mr.ゲーム&ウォッチ「」ズウウゥゥン



ピーチ「うわ、すさまじいしょげ方をしているわ。
    …しょげているのよね?間違ってない?
    表情じゃあ、ちょっとわからないんだけど」

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」ハッ

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」ピコッ ピコッ

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」ピコッ ピコッ ババーン

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」ピコッ デンッ ピコッ ピロロロロロ

ピーチ「本当にごめんなさい、言葉もちょっとわからない!
    この控室に通訳できる方いらっしゃらないかしら!?」

サムス「そもそもどうやって招集できているのか疑問なんですけど」

ピーチ「サムス、だまらっしゃい。…あれ?そういえばキノピオ?
    そもそも…ハンマーが盗まれたって情報、どうやって把握したのよ、キノピオ」

キノピオ「ああ、それなら。偶然通りがかった……」

159Mii:2019/08/17(土) 22:13:14 ID:u/po2OBc

・・
・・・

ポケモントレーナー「……?」ピタッ

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」ピコッ ピコッ

ポケモントレーナー「……」

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」ピコッ ピコッ

ポケモントレーナー「………………!」フムフム

Mr.ゲーム&ウォッチ「……」パアアアアア

・・・
・・


キノピオ「といった具合です。あとはニャースさんが通訳を」

ピーチ「そ、そう……ポケモントレーナー、あいかわらず一体何者…」

キノピオ「『万が一見つからないようなら、次の大会には
      自動乱数調整でジャッジ9しか出ないチートハンマーを
      新調してくるから覚えておいてよ』とも愚痴っているそうです」

ピーチ「それはやばいわねはやくみつけてあげないと」ガタガタ

160Mii:2019/08/17(土) 22:15:17 ID:u/po2OBc



むらびと「ぼくじゃないよ、あれから周囲はよく観察するようにしてるし」ムスッ



ピーチ「う、疑ってないわよ」

むらびと「呼び出しておいて?」

ピーチ「…ごめんなさいちょっと疑ってました」

むらびと「むー…まあ、いいけどさ。事故とはいえ悪いことをしちゃったのは事実だし。
     ほかに、ハンマーを盗めそうなスキルやアイテムを持ってる人はいないの?
     というより、ロゼッタお姉ちゃんにもう一度、調査してもらった方が早くない?」

ピーチ「まあねぇ。でもロゼッタったら、ゼルダやヒルダを誘って…
     観光やら修業やらに勤しんでいるみたいで。あんまり邪魔をするというのもねえ。
     今日は自分に合った戦闘用アクセサリーを探してみます、とか言ってたわ」

むらびと「う、それはちょっと…確かに頼みにくいなあ」

161Mii:2019/08/17(土) 22:20:02 ID:u/po2OBc
Mr.ゲーム&ウォッチ「」ズウウゥゥン

Mr.ビデオゲーム「とりあえず、俺の『ウルトラハンマー』貸しておくよ。
           最近使ってやれてないし、フル活用しちゃってくれ。…使い方、教えておこうか?」ジャジャーン

Mr.ゲーム&ウォッチ「」ワーイ




〜フィールド〜

Wii Fit トレーナー
「――腹式呼吸!  ――腹式呼吸っ!!  ――腹式呼吸っ!!!
 だ…大地よ 海よ そして会場に詰めかけているすべてのMii ファイター………
 このわたしに ほんのちょっとずつだけ 運動貯金を 分けてくれ―っ!!」ゴオオオ!!

格闘タイプMii「うおおおおお!」10プンカンブン!

剣士タイプMii「でやああああ!」30プンカンブン!

射撃タイプMii「まかせろおお!」1ジカンブン!

Wii Fit トレーナー「…ああ、感じます!みんなの、元気の力っ!!」ブウウウウウゥゥン!

ワリオ「」

リザードン「」

クッパ「回復しつつ攻撃力を複利計算で高めるなあぁー!!物言いだ物言い!」

162Mii:2019/08/17(土) 22:23:14 ID:u/po2OBc
ピーチ「ねえねえ、正直に答えてほしいの。
     彼のハンマー盗んだの、貴方だったりしないかしら?」スッ・・・





ソニック「ないない。なんでそんなことする必要があるのさ。
     そりゃあ、オレの自慢の快速なら――特殊能力なくても奪えないことはないけどな!」



デデデ「ないわー。愛用のハンマー裏切るとかないわー」ヘッ



ドンキーコング「ハンマーなど邪道、己の体で勝負だろ」ハア?



ロボット「…………」

へんけいアームに くみこめたら たのしそうだなと
ロボットは ちゅうにごころから ちょっと ほしそうにしている▼

ゲッコウガ「ゲコゲコ(変幻自在ウッドハンマー欲しいでござる)」ニンッ

ニャース「草結びで我慢しろ…というかそっちのほうがいいだろと言いたいにゃ」

163Mii:2019/08/17(土) 22:26:21 ID:u/po2OBc
ピーチ「事情聴取も無駄骨だったかあ…
    なんか、一部参考にならない供述をしてくれちゃってるけれど。
    ああ、由緒正しき大会で二度も窃盗事件とか…あたまいたい」ガックリ


Mr.ビデオゲーム「よしっ!教えたとおりにやってみろ!
           タイミングよくボタンを離せ――じゃなかった、
           地面に振り下ろせよ……せーの!」



Mr.ゲーム&ウォッチ「…………!!」ピコッ・・・ ピコッ・・・ ピコッ・・・ パーン!

ピーチ「え、ちょ、ちょっと待って、ここ控え室なんだけd」





Mr.ゲーム&ウォッチの ウルトラジシーン!▼

ピーチ「!?」

164Mii:2019/08/17(土) 22:28:49 ID:u/po2OBc



ジャッジ判定……………………マグニチュード、9!▼



ドッシイイイイイイイイイイィィィィン!

ピーチ「私はセーーッフ!!でも威力ひゃくじゅうぅぅー!?」フユウデ アタラナイ!

Mr.ビデオゲーム「でぇじょうぶだ、この建物頑丈なうえに免震機能完備だから」



ルカリオ「あばばばばばばば」グラグラグラグラ

ピカチュウ「チャァー!?」グラグラグラグラ

プリン「……ぷり?」ジブンガ フウセンデ ウイテイル!

リザードン「…………」コウカハ ナイヨウダ・・・

ゲッコウガ「…………ケロッ」ツバメガエシ マニアッタデゴザル

ポケモントレーナー「…………」ハイケイ セーフ!

ピーチ「部屋内で一部もろに食らってる選手がいるわよ」

165Mii:2019/08/17(土) 22:31:52 ID:u/po2OBc
――緊急地震速報です。
――本日午後19時02分ごろ、強い地震が発生しました。
――震源地はスマブラ試合会場付近、マグニチュードは推定9.0、
――震源の深さは地上…地上?15メートルとされます…。
――この地震による津波の心配はありません…。

――え、震度が2しかないから緊急地震速報で流す必要がない?
――た、大変失礼いたしました!誤報です!
――引き続き、スマブラの大会をお楽しみください!



ルカリオ「おいマリオふざけるな」ボカボカ

ピカチュウ「チャァ!(怒)」ポカポカ

マリオ「あ、はい調子のりましたすいません。
    彼の素質が中々の物だったもんでついついイタタタタ」

Mr.ゲーム&ウォッチ「…………!」\アラーム/

ピーチ「そして貴方は二度とやらないで」

166Mii:2019/08/20(火) 21:24:20 ID:Unt4Zq0c
ピーチ「ほんと、御免なさいね。折角の買い物の途中に呼び出して…
    それではロゼッタ師匠、どうかよろしくお願いいたします」

若干おどけながら、ロゼッタにバトンを渡す。
…結局、頼ることになっちゃったわね。
我ながら、他人任せとは恥ずかしい。主催サイドとして失格ね…。

ロゼッタ「い、いえいえ、お構いなく。
      ゼルダ姫とヒルダ姫のアドバイスもあって、買い物も順調に済みましたから。
      …えっと、また犯人探し…ですか。わかりました。お任せください!
      探索の参考とする類似アイテムとして…マリオのウルトラハンマーをお借りしますね。

     Mr.ゲーム&ウォッチさん、貴方のハンマーと…十分近しいですか?」

Mr.ゲーム&ウォッチ「」ポーン

ロゼッタ「…ポーン?…えっと。それでは、微力ながら頑張らさせていただきます!
     むむむむむ…………えいっ!」ポワーン

ロゼッタが…杖を片手に目を瞑り、再び行われる、詠唱。
二回目ともなれば、皆、落ち着いて観ていられる。

…そういえば、最近、ロゼッタの周りにチコたちがいないわね。
嫌に珍しい。一体全体、どうしたのかしら。

167Mii:2019/08/20(火) 21:31:53 ID:Unt4Zq0c
ロゼッタ「……」

ロゼッタ「…………みつかりました」ホッ

おおおおお、という驚嘆が、控え室を包み込む。

むらびと「すごいや!こんなに簡単に見つけ出すなんて!
      ロゼッタお姉ちゃんがいれば、探偵はいらないね!」

ピット「ハックションッ!……あれ、風邪かな?」

ファルコ「見事なもんだな、まったく」

ロゼッタ「あ、あはは。まあ、本当に見つかるまでは疑心暗鬼でいきましょう、ね?」

ピーチ「さすがね!よっ、人気者!…それで、場所はどちらかしら!?」



正直、若干の焦りがあるわ。さっさと解決してしまいたい。



ロゼッタ「どうやら、あっちみたいですね。ちょっと歩きますよ…………」

まあ、ロゼッタが見つけたというなら、確実ね。
さあ、みんなで安心して付いていきましょう。
問題は、誰がまんまと盗んでのけたのか、に尽きるのだけど…!

168Mii:2019/08/20(火) 21:35:57 ID:Unt4Zq0c


辿り着いた場所…は、意外にも程がある場所だった。



ピーチ「…………ほんと、頭が痛いわ…」コメカミ オサエ

ファルコ「……野次馬の俺だからこそ他人事で言えるが、こりゃ酷ぇな。
     自覚無しに盗みましたパート2ってか。怒るに怒れなくてなお酷ぇ」

ロゼッタ「……そうみたい、ですね」ウーン



Mr.ゲーム&ウォッチのハンマー…で合ってる、はず。
あんなに真っ黒なハンマーだし。うん、間違いない。



ピーチ「動物の本能じゃ、仕方ない…と、言いたいとこだけど。
    悪いけど、私、機嫌が悪いの。すさまじく。2時間ほどお説教ね。
    …自分でも知らずにいつの間にか拾い集めてたとか……」ジロッ

ダックハント「クウゥン……」ショボーン

――会場からちょっと離れた公園に、いつの間にやら設置された…
――犬小屋の中に積まれたガラクタの中に、紛れ込んでいた。
――え、なに?主催者の私をからかうにもほどがあるんじゃないかしら。
――神様、私のこと嫌い?

169Mii:2019/08/20(火) 21:39:39 ID:Unt4Zq0c
ピーチ「というか、ちゃんとした部屋を用意してあげるから!
     そこで期間中過ごしなさいよ!わかった!?ここ、公共の場所!
     どっからこの犬小屋持ってきたのよ!?…え、自作した?やるわね!」

ダックハント「クゥウン…」ションボリ

ピーチ「『ガンマンのための人用の宿泊施設がいい』ですって?
    そこまで気づかいできるなら人の物盗まないでよ!ああもうっ!」イライラ

ダックハント「クワァ!?」ビクッ

ファルコ「俺が言えた義理じゃねーが、落ち着けよピーチ」アセアセ

ピーチ「いい加減ストレス溜まってきてるのよこっちはぁーーーっ!!
    選手の間で『次は自分の所持品が無くなるんじゃないか』って雰囲気が
    漂い始めているの!神経尖らせすぎにもなるわよ!」

ピット「それより僕は、ピーチが犬の言葉を理解できてることの方が驚きだよ」

ピーチ「ピットだって、フォックスやファルコの言葉理解できるでしょ?」

ファルコ「よし、その喧嘩買った」

170Mii:2019/08/20(火) 21:47:28 ID:Unt4Zq0c
ピーチ「冗談よ。無口勢や不思議存在勢に比べれば…
    犬の言葉を何となく把握するくらい、たやすいものよ」イライラ

パルテナ「なんだか、ストレスで倒れそうですね…
      無責任かもしれませんが、落ち着いて深呼吸なさってください」

ピーチ「……………………そう、ね。やっぱり、そう見えるわよね。はぁ…。
    いつもはこんなときは、デイジーに助けられてたんだけど、ね」ボソッ

パルテナ「デイジー…ですか?うーん、たしか…サラサ・ランドのお姫様ですね?
     ピーチ姫と親交が深いという」

ピーチ「基本的にダメダメお嬢様で、なんともしがたい、お茶らけた人間だけど。
    絶妙なタイミングでデイジーがボケて、私がツッコミ入れて。あるいはその逆で。
    周りの人のストレスを機敏に読んで、ほどほどに発散させるのが、得意な子なの。
    それこそ、時には自分から貧乏くじ引いてまで…周りを元気にしてくれる。

    天然である可能性もあるけどね。元気はつらつな起爆剤であり続けるいい子よ」

パルテナ「わあ、本人が聞いたら照れくささに身悶えしそうな高評価ですね」

ピーチ(むしろ聞いてても許すから助けてほしいくらいだけど…
    ほんと、今回の大会に参加してくれていないこと、悔やまれるわ……)ハァ





デイジー「クシュンッ。……風邪か?――まあ、どうでもいいや。
      さあ、続けて、行ってみようか…!」ニヤリ

171Mii:2019/08/20(火) 22:02:49 ID:Unt4Zq0c
ピーチ「しっかし、こんな距離でも捜査可能だなんて。本当にロゼッタの空間魔法は有能ね!」

ロゼッタ「まあ得意分野ですから♪」ニヘラ

ゼルダ「…………」

ヒルダ「…………」



マリオ「…………ん〜?これで一応、めでたしめでたし、なんだよなあ…?
    …うーん?」

ルカリオ「めでたくない、めでたくないぞマリオ!
     おかげで明日まで療養が必要になった、私やピカチュウの身にもなれ!
     メガ進化からのつるまい適応力インファを食らいたいようだな!」

マリオ「俺が反省しなきゃならないってのは置いておけば、だ!これでいいだろ!?」

ルイージ「この際、しっかりとしたセキュリティシステムで持ち物を預かった方がよくない?」

クッパ「心配せんでも、ルイージの持ち物は取る価値のないような物ばかりだから大丈夫なのだ」

ルイージ「そっか、それなら安心だね…ってちょっと待ってよ!」

ギャーギャー……

ピーチ(もう、みんな呑気なんだから…羨ましい。
    …………お説教終わったら…………そうね、久しぶりに……
    ゆっくりお風呂に入って、美味しい料理でも食べて…さっさと寝ましょう…)

172Mii:2019/08/20(火) 22:08:47 ID:Unt4Zq0c
〜夜、情報管理室〜

ピーチ「あ゛あ゛〜」ブオオオォォ



リンク「…ワイン片手に、風呂上がりっぽい艶っぽさで、簡易着のまま…
    扇風機に『ワレワレハウチュウジンダ』宣言をしようとする5秒前の王国元首とか。
    こいつは珍しいものを見た。天変地異の前触れ?」

ピーチ「きゃあああっ!?…なんだ、リンクね。驚かさないでよ!」

リンク「んで、この部屋、何?スクリーンがいくつも並んでごっちゃごちゃだけど。
    ちなみに俺はルキナの体調報告ついでに司令部っぽい不思議部屋の探索に来た!
    明日は休養日にする予定だから、息抜きみたいなもんだな!」

ピーチ「よしきた不法侵入、逮捕よ逮捕。…まあ、冗談はおいといて。
     一応、大会を運営すべき立場として、一日の最後のお仕事よ。
    各位置に設置した監視カメラの簡易確認と、集計された報告やデータの解析。
    今はちょっと…疲れて魔が差したというか。忘れなさい。…よし、作業再開」カタカタ

リンク「うへえ、お疲れさん。なになに、どんなことが分かるんだ?
    こういう光景見ると、無性にワクワクするよな!」

ピーチ「純真すぎる勇者ね…」

173Mii:2019/08/20(火) 22:13:21 ID:Unt4Zq0c
ピーチ「…まあいいわ、説明してあげる。説明しつくすまで帰ってくれそうにないし」
   カタカタカタカタッ

リンク「…………タイピング速すぎない?手元、残像が見えるんですけど」

ピーチ「月で鍛えたわ」フフン

リンク「なるほどわからん」

ピーチ「まずは当然、不審者や不審物の確認。必要ならば排除を検討するわね。

    いざこざが起こったら、周囲の状況を十分に吟味して…

    フラストレーションの適度な散逸と捉えて黙認するのか、
    あるいは介入するのか決めたり」カタカタカタカタッ

リンク「なるへそ、なんでもかんでも法で裁くぞーってわけには行かないのか」

ピーチ「その通りよ。王国民にしても観光客にしても、生活しにくくなるじゃない。

    迷子の誘導や警備の巡回経路決め。

    大会に影ながら貢献をしてくれた商店があったら、
    それとなく口コミ、掲示板で紹介してあげたり。

    物、人の動きの統計を取ることで流通を操作したり、ね。

    ああ、やることが一杯よ!」カタカタカタカタッ

リンク「それ絶対1人でやることじゃないよな」

174Mii:2019/08/26(月) 21:22:27 ID:OHcTC85.
リンク「それにしても…すごいな、マジで。
    ありとあらゆる情報網も駆使して、大会運営を支えているんだな!
    とても真似できないな…



    でもマリオに聞いたんだけど、ピーチが1人で頑張りすぎると
    キノピオたちが全く成長できないんじゃ――」



ピーチ「…………」ピタッ

リンク「…………」



ピーチ「…………気のせいよ」メソラシ

リンク「…………キノセイカー、ナラシカタナイナー」

175Mii:2019/08/26(月) 21:32:22 ID:OHcTC85.
ピーチ「ほ、ほかにもね!このボタン、押してみて?」サッ サッ

リンク「……これか?」ポチッ



ババババババッ!!



リンク「…うおうっ!?画面中に…履歴がびっしりと!」

ピーチ「これは、10日前の私の行動記録ねー。

    選手カードをいろんなところにかざして、特典が得られたことがあるでしょ?
    ゲートを通過できるだけじゃなく、食事が無料になったり、
    商品が安くなったり、要管理の特殊アイテムを扱えたり…。

    それらの履歴が、全部、カードの中にしっかり残っているのよ。
    これを調べれば、各選手が求めていることを整理して
    次回以降にしっかりと活かすことができるわ!」

リンク「――へぇ」

176Mii:2019/08/26(月) 21:40:30 ID:OHcTC85.



ふむ、と俺は一思案。



選手カードがそこまでハイテクだとは、思ってもいなかった。
いや、キノコ王国の技術なら、このくらいお茶の子さいさいか。
もっと前の大会の時からある、ピーチご自慢のシステムなのかもしれない。



――もしかしたら、使えるかも。…いやいや、素人の絵空事か?



リンク「……………………」フム

ピーチ「…………どうしたの?それとも、凄すぎて声も出ないかしら?」フフッ

リンク「あ、いや。素人発想のツマラナイことだから気にしないで」

ピーチ「そう言われると気になるわよ…試しに言ってみなさいよ、ほらほら!
    私だからこそ気付かない盲点を、第三者のリンクがあっさり見つけてくれたのなら…
    それこそ万々歳ってものよ、ね?」

そうピーチはおどけて、ウインクして見せる。――ええい、ままよ。

177Mii:2019/08/26(月) 21:50:54 ID:OHcTC85.
リンク「それじゃ、言うけど。

    今までの所、盗難騒ぎが2回あったよな?
    あいにく、俺はゴタゴタしてて、あんまり関与できなかったけど」

ピーチ「うぐぅ…改めて、不甲斐ないわね、私…そ、それで?」

リンク「使用した特典の記録だけと言わずさぁ。
    いっそのこと、最低限のプライバシー保護を施したうえで、
    移動履歴まで分かれば楽だったのになーって。
    今は非常事態だし、文句言う奴はそうはいないぞ。
    GPS機能くらい…ついてないの?

    ある2人の移動履歴が同時刻に重なってたら、
    一緒に行動していたか接触があったんだな…なんてこともわかるじゃないか。
    まあ、選手がカードを常に携帯していることが前提だけど」
    
ピーチ「……………………」

ピーチ姫が、目をパチクリと瞬かせる。
…あれれ、本当に盲点だったのか?

178Mii:2019/08/26(月) 21:58:33 ID:OHcTC85.
リンク「……………………ピーチさん?おーい?」



ピーチ「……………………それよ!!!
    リンク、あなたって天才!?その手があったわ!!」ガバッ



のわっ!?…ビックリした。
がばぁっと上半身を乗り出したせいで寝間着が肌蹴かけたが、気にした様子はないようだ。
はしたないぞ、お姫様。

リンク「ま、まあ…今更って感じがあるけどな」

ピーチ「そんなことないわ!というより、GPS機能ならとっくの昔に機能中よ!
    データは全て本部…つまりここのデータベースに今でも送られてきているはず!」

リンク「そーなの?」

ピーチ「追跡するつもりはなかったから、機能をデフォルトOFFにしているけれど!
     1時間もあれば、ちょちょいとプログラム作成して全員の経路表示くらいやってみせられるわよ!!
    燃えてきたわーっ!!」ゴオオオオ

リンク「へえ、そりゃあ…。
    ……って、今から!?今から1人で取り掛かるのか!?
    抱え込みすぎだろそれ!?社畜か!?」

179Mii:2019/08/26(月) 22:06:53 ID:OHcTC85.
〜1時間後〜



ピーチ「ZZZZZ……」クカー

ピーチは ちからつきた▼



リンク「…というわけです」

マリオ「…ったくー。まあでも、ほんとお疲れってところだな。
    おけおけ、メイドの1人か2人呼んで、キノコ城の寝室に放り込んでもらうよ。
    リンクもサンキューな」ピポパ

リンク「そうしてもらえると助かる…」





リンク「…え、キノコ城にメイドっているの?」

マリオ「そりゃあ…いるけど?数は少ないけどな。何をそんなに驚く」

リンク(雑用含めてピーチが全部1人でこなすから知らんかった…!)

180Mii:2019/08/26(月) 22:16:31 ID:OHcTC85.
ドドドドドドドド――――!



メイド「ししし、仕事ですかぁ――――!?
    お仕事、ですかぁ――マリオ様っ!!」ドドドドドドドドド



マリオ「あ、え、うん」

メイド「広い広いキノコ城に、たった5人しか雇われなかったから!
    どれだけっ!どれだけっ!キツイ毎日になるかと思ったらっ!
    毎日毎日毎日毎日っ!1時間の水やりと、2時間の掃除をやるだけっ!

    大抵の仕事は技術班が製作したロボットや機械がやってくれるっ!
    ちょっとした応用事は、姫様御自ら…あっさりと片付けてしまわれるっ!
    気を使われているとしか思えない雑談にちょっと付き合ってっ!
    あとは寝ているだけで、美味しい料理が勝手に出てきて、高給取りっ!

    大変失礼ながらっ!!姫様は――

    私どもを、不甲斐なさと申し訳なさに苛みながら憤死させるお積りですかぁ!
    どうやら今は、デイジー様やロゼッタ様のような、気を許せるご婦人方もいらっしゃらないようで!

    1年半ぶり…いえ2年ぶりくらい?のまともなお仕事だひゃっほーい!!
    誠心誠意、丁重にキノコ城の寝室までお運びすればよろしいのですねっ!!」

マリオ「」

181Mii:2019/08/26(月) 22:23:21 ID:OHcTC85.
メイド2「その役割、譲るわけにはまいりませんっ!!」ダダッ

メイド3「私こそが、もっともっと苦労すべき堕落者なのでございますっ!!
     どうかその役目、お譲りください!」フンッ!

メイド4「倒してでも 奪い取る!」ズサァッ

メイド1「よし、では正々堂々…じゃんけんで!」

メイド2「異議なし!」



――じゃーんけーん……



メイド5「こうやってバカ騒ぎして、肝心の姫様を放置する…漫画的ノリが一番ダメ。
     というわけで、冷静沈着な私は勝手な決めごとを無視して
     姫様をさっさと運ばせていただきます。好きなだけジャンケンしておいてください」ヨイショ

ピーチ「ZZZ……」



マリオ「…なんだこのコントは」

リンク「やっぱり俺の感覚の方が合ってたじゃないかマリオさんや」

182Mii:2019/08/26(月) 22:31:35 ID:OHcTC85.
〜深夜〜

カタッ カタッ カタタッ…。



リンク「さってと…見よう見まねで、解析解析ぃっと。
    マリオに断ったうえで、今回迷惑をかけた罪滅ぼしも兼ねて
    ひとりぽつんと黙々と、解析を進めてるリンクさんでしたー。
    明日は休みだしなー!

    さっすがピーチ、初心者の俺でも簡単に推測できるところまで
    操作方法を落とし込んでいてくれてるぜ!助かる!
    キノコ王国が誇る頭脳とはこのことだな!」カタッ カタッ

リンク「試しに200時間くらいは、みんなの足取りを地図上で追ってみて…
    実用性を確かめてみるかあ!まずは俺の選手カードのデータから!」バッ



リンク「ここで、食事を摂ってるな…」

リンク「…あー、これは会場で暴れまくってた状態か。光点が動かないや、はは…」



リンク「ここで残機が減ってるな…っておいぃ!変な叫び声の効果音とかやめぃ!
    …シーカーストーン機能?なんだよそれは!」ウガー

183Mii:2019/08/26(月) 22:40:47 ID:OHcTC85.
〜1時間後〜



リンク「ようやく終わった…って、もう1時間経ってるのか。
    しみじみと思い出しながらだったから時間食ったなあ。
    次からはテキパキ確認していくか。さあ、2人目っと!」



〜更に1時間後〜



リンク「なるほど、マリオもクッパも、中々試合会場に入り浸ってたんだな…
    優勝条件が厳しいってのは変わらないな、気を引き締めないと。
    さあさあ、どんどん行くぞ!」



〜更に2時間後〜



リンク「……ふわぁ…えっと…やべっ、ちょっと寝落ちしてたか…。
    ちょっと巻き戻して、経路を追い直すか…眠くなってきた…」

184Mii:2019/08/26(月) 22:49:22 ID:OHcTC85.
〜更に2時間後〜

リンク「…眠い…眠すぎる…でも中途半端にやめたくない…。
    寝るな、寝るなよ、俺。こんなにすぐ寝るから、
    いっつも寝ぼけているところから冒険がスタートするんだぞ…くう…。

    えーっと、次は…ダックハントの移動がぁ……………
    なんだよコイツ、絶対このあたり、人の家の敷地か地下水路通ってるだろ…
    自由奔放すぎる奴だな………ふわぁ…」

リンク「…………あれ、また寝落ちかよ、巻き戻し巻き戻し…………
    あ、そういや…休養日では、あるけど。
    ルフレを修行してやる、約束、してたっけ……」パタリ








〜明朝〜

マリオ「おーいリンク、おはようさん。調子はどうだ…………」ガチャッ

リンク「ZZZZZ・・・」

マリオ「おい」

ピーチ「あらまあ」

185Mii:2019/08/26(月) 22:56:12 ID:OHcTC85.
リンク「いやー、引き受けておいて自分が途中で眠るとは面目ない。ふわぁ…
    朝食まで持ってきてもらえるなんて、至れり尽くせりだな」モグモグ

ピーチ「まったく…まあ、有難うね。本当は私の役目なのに手伝ってくれて」

マリオ「でもさ、使い勝手はチェックしたんだから十分じゃないのか?
    あとでピーチと情報共有しておけよ」

リンク「そのつもりだ…と、言いたいとこだったんだが。
    …せっかくだから、先に全員分の行動履歴を見ておきたい。
    ま、引き続き作業したいってことで、いいかなピーチ?」

ピーチ「まあ…好きにしていいけど?興味がわいたっていうんなら」

リンク「よしきた!…さてと、今日も一日頑張りますか!ルフレの特訓はあるけど!」ウーン



リンク(ちょーっと、気になることができたんだよなー…)

186Mii:2019/08/26(月) 23:04:27 ID:OHcTC85.
キノピオ「ひ ひ ひ 姫様――!
      た た た 大変です――!」ダダダダダッ



ピーチ「…………きゃああああああああああぁぁぁ!!!
    マリオ、バトンタァァァーッチッ!」ズサァァッ!

マリオ「混乱状態を引き継ぐから嫌です。
    とんぼ返りかボルトチェンジにしてください」

ピーチ「ボケてる場合じゃなーい!もう嫌なのっ!!
    私の精神摩耗がマッハなのよっ!」ウルウル

キノピオ「ににに逃げないでください姫様!
      正真正銘の一大事ですっ!!」

ピーチ「無茶を言わないでー!」ダダッ



マリオ「…………今度は」ヤレヤレ

リンク「…………何さ?」アキレ

キノピオ「あの、ええとっ!!!」マッサオ

187Mii:2019/08/26(月) 23:13:24 ID:OHcTC85.
キノピオ「な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      な
      なんと…早朝からの大、大、大事件ですっ!!
      キノコ城の一区画が突如、何者かによって襲撃を受けて…
      宿泊されていたロゼッタさん、ゼルダさん、ヒルダさんが危険な状態ですっ!
      …はぁっ!言えたあ!」

3人「「「!?」」」

188Mii:2019/09/10(火) 06:05:57 ID:.pV0z6vc


――キノコ城の一画は、異様な光景に包まれていた。
――モクモクと、黒煙が無情にも立ち上る。


――構造物があちこち崩れ、モニュメントが原型を留めず消し飛んでおり…
――まるで、戦争が、あったかのよう。



――ロゼッタの後ろ姿が、見えた。
――一刻も早く駆け付けたいと、走る、走る。



――酷いくらい血まみれで這いつくばって、なおも手を伸ばしてもがく彼女の姿があった。


――手を向ける先には、立ちすくむことしかできていない、ゼルダとヒルダ。
――彼女たちも、ロゼッタ同様…満身創痍であることが見て取れる。
――位置関係からして、ロゼッタを…庇った?

189Mii:2019/09/10(火) 06:08:17 ID:.pV0z6vc
――そして。

ピーチ「…なに、あれ」ゾッ

リンク「…ブラック、ホール?いや違う、時空の…ハザマ?」

直径30メートルはあろうかという、光と闇が混ぜこぜになった謎の円盤が…
ごうごうと重低音を立てて鈍く回転しながら、こちらに面を向けている。
力なく立ちすくむ2人との距離は――





たったの、1メートルくらいしか残されていなかった。





じり、じりと吸い込まれていく。

ヒルダ「―――――――」

ゼルダ「…こん、なのに。負けてやるもの、ですか。
    …ヒルダっ!死にたくなかったら足掻きなさい!早く!」

激しい陰圧に、対抗し続けていたらしいゼルダ。
しかし、離れること、叶わない。動かないよう踏ん張ることすら、限界が来たみたい。
踏ん張る足元が震え、摩擦の跡を激しく残しつつ――ずる、ずると下がっていく。

190Mii:2019/09/10(火) 06:11:30 ID:.pV0z6vc
ロゼッタ「ああっ!マリオ、ピーチ姫っ!お二方を…どうかお二方を、
     助けてあげてくださいっ!私ではどうすることもっ!!」ポロポロ

ロゼッタがこちらにようやく気づき、必死の訴えを行う。
声を張り上げることすら、辛くてたまらないはずなのに。

ピーチ「…っ!よし、後は任せてロゼッタ!
    マリオにリンク、無責任で悪いけど分析なしに突っ込んで!
    回復は私がなんとかしてみせる!」

マリオ「了解っ!」

リンク「任せろ!」ザッ!







――そして、絶望的に、救出には時間が足りなかった。

191Mii:2019/09/10(火) 06:15:06 ID:.pV0z6vc
「――あ」

その放心の声は、一体誰の声だっただろうか。



ヒルダの体が。
そして、間もなく、ヒルダを必死に引っ張ろうとしていた、ゼルダの体が。
吸引に、とうとう捉えられた。

ヒルダ「…い、や。死にたく、な――」ウツロ

ゼルダ「…なんとか、生き永らえてみせます、か――」ギリッ

2人の体が、円盤の中に、消えていく。
体が、光の粒になって、溶けて、いく。

ものの3秒で、完全に――消え去った。

カッと、一瞬だけ、一際眩しく光り輝いたかと思うと…
謎の回転体は――緩やかに動きを遅くしていき…
ぴしり、と音を立てたと同時にひび割れ。ぱりんと、割れた。

そこに、ゼルダとヒルダの姿は…残って、いない。



ロゼッタ「嫌あああああああああああああああぁぁっ!!!!」

192Mii:2019/09/10(火) 06:18:14 ID:.pV0z6vc
病室は、あまりにも重苦しい空気が立ち込めている。

ロゼッタの治療そのものは割とすぐに終わったものの、
彼女はただひたすら泣くばかりで。己の無力さを呪う言葉を吐くばかりで。
誰も、声をかけることができない。そんなこと、おいそれと、できようがない。

むらびとが、あまりにも不安だったのか、私のドレスをクイクイっと引っ張った。

ルキナが、自分の境遇に重ねてしまったのか、既に涙目になっている。

なんとか慰めてあげてほしい、ということらしい。…わかってる、わかってる、けど…。



ロゼッタ「わ、私が…もっと強ければっ!こんなことには、ならなかった、のに…!!」ポロポロ



――私は、この王国のトップ。今回の大会の、主催者。
――感情のまま、立ち往生してはいられない。必要なのは客観的な即断力。

――城の一画の修復作業は絶賛開始中。ただ、大会中の完了は絶望的。
――事態の収拾に向けて、今ここにいるロゼッタ警護役以外の選手たちは…
   すでにグループに分けてパトロールに向かわせた。



――未だ、ゼルダとヒルダは、見つからない。
――それでも、やらなければならないことは、あるらしい。

193Mii:2019/10/07(月) 05:11:44 ID:1o4lZnlk
マリオ「精神摩耗の激しいピーチにばっかり、頼ってられないな。
    ここは俺に任せとけ」ズイッ

ピーチ「…悪いわね、私自身も…一杯で」

眩暈も結構ある感じ。心も体も調子が悪すぎる、はぁ…。



マリオは小さく「気にするな」とだけ答えて、ロゼッタの傍に立つ。



マリオ「ロゼッタ、2人が何処かに囚われたのは…断じて、
    ロゼッタのせいなんかじゃない。ロゼッタは最善を尽くしてくれた。
    ロゼッタを恨む奴は…それこそ、ハイラル代表のリンク含めて、誰もいない」

リンク「ああ、その通りだぞ、ロゼッタ。
    むしろ、2人のことをそこまで想ってくれて、本当にうれしいよ」ニコッ

ロゼッタ「で、ですが――――!」ポロポロ



視線を彷徨わせながら、ロゼッタは蚊の鳴くような声で呟く。
ホント、損な性分をしているんだから。

194Mii:2019/10/07(月) 05:13:39 ID:1o4lZnlk
マリオ「いいか、聞いてくれ、ロゼッタ。
    キノコ王国の、そして俺たちの威信にかけて。
    いなくなった2人は、なんとしてでも取り返す。
    だから、元気を出してくれ」ポンッ

ロゼッタ「…ふ、ふたりが、生きている保証なんて、ど、こにも――」ポロポロ

マリオ「それがあるんだよ、実は」フフン

ロゼッタ「――――――――――ほ、ほんとう、ですか!!」



一瞬固まって目を見開いた後、涙顔のロゼッタが、ようやくまともに顔を上げる。
…ロゼッタの体格が大きいせいで。ベッドに寝た状態とか関係なく。
ロゼッタの目線の高さ>マリオの目線の高さなのは気にしない。



マリオ「ほい、ピーチ解説」

……あ、ここで唐突に振ってくるの?ごめん、分かってないんだけど。
一拍遅れて、ブンブンと首を振る。

195Mii:2019/10/07(月) 05:15:07 ID:1o4lZnlk
マリオ「あー…ピーチがそこまでポンコツ化しているとは重症だな…。
    いや、別に大したことじゃない。

    『あの不可思議なチカラに、ロゼッタが捉えられなかった』という事実。
    これが全てを物語っているんだ。

    どういう戦いがあったかは知らないが、ロゼッタ。
    お前も、2人と同様に攻撃を受けたんだろう?」

ロゼッタ「…は、はい!その通りです!
      朝起きて、3人で朝食を摂っているさなかに、いきなり激しい爆発音が。
      何事かと駆けつけてみれば、城のあちこちが酷いありさま。

      慌ててピーチ姫に連絡を取りに行こうとしましたが、
      その場を動くことも叶わない怒涛の攻撃と引力を身に受けて、
      あ、あのような…状態に――!」



より発言の自信を増したとばかりに、マリオが腕を組んで頷いた。

196Mii:2019/10/07(月) 05:16:30 ID:1o4lZnlk
マリオ「そんなところか。…でもそれ、よく考えるとおかしいんだ。

    キノピオが気付いて、一目散に俺たちを呼びに来るまでの時間。
    俺たちがキノピオの一報を聞きつけて向かうまでの時間。
    正直、かなりの時間だけ後手を引いちまってる。それなのにだ。

    言っちゃ悪いが、ヒルダはともかく、ゼルダが太刀打ちできない攻撃に…
    ロゼッタがあそこまで対抗できるはずがないんだよ。
    ゼルダはどっちかというとヒルダを庇うのに専念してたみたいだし」

リンク「…確かに。強さ的にはゼルダ姫>>ロゼッタ>>ヒルダ で合ってるよな?」

クッパ「…ふむ」



…い、言われてみれば。でも…それって、どういうこと?
――――まさか。



マリオ「暗躍する者――何者か未だに分からんが――
    やろうと思えば、ロゼッタだって難なく亡き者にできたはずだ。
    ロゼッタ自身が思い切り白旗を上げていたしな。

    それが、満身創痍とはいえ助かった。
    これは、『あえて助けた』という考え方をするべきだ」


ざわっ…と、限られた人数しかいない病室が騒がしくなる。

197Mii:2019/10/07(月) 05:18:30 ID:1o4lZnlk
むらびと「そそそ、それって、どういうこと!?」

マリオ「つまり、犯人の目的は、恨みで選手の命を奪うこと…とかじゃない。
    どっちかというと、慌てふためく俺たちをみて愉しみたいっていう愉快犯だな。
    
    都合よく、これまで事故が小刻みに起きてきただろう?
    その情報を何らかの方法で入手して、便乗してやろうとか考えたんだぜ、きっと。
    犯人の思惑通り、今の俺たちのテンションはズタボロだ」

むらびと「最悪じゃん、そんなの!」カッ

マリオ「…だが、逆に言えば、命を奪うことに執着をしているわけではない、と言える。
    いつぞやのディメーンよろしく、むしろ生かして交渉材料に使った方が
    犯人サイドとしても動きやすいからな。

    結論として、生きている可能性も割と高いと言える」



しぃんと病室が静まり返る。
各々が、マリオの言葉を一語一句、頭の中で噛みしめている。

198Mii:2019/10/07(月) 05:20:15 ID:1o4lZnlk
ピーチ「…でも、今のマリオの推測自体に、わりと多分に希望が混ざってるわよね。
    確実に真綿で締めるように命を奪っていくことに悦を感じる…
    猟奇的な犯人だったらどうするの?」

マリオ「……そんな谷底に付き落とすような発言しないでほしいんですが。
    それを言われると『後の祭です、どうしようもありません』と無慈悲に返すしかないじゃん」


 
…それも、そうか。



でも、周りの皆は、マリオの意見に同調しようとしている。
ゼルダとヒルダの生存を、信じようとしている。

なら、私もそう動くだけ。



マリオ「やれやれ、ピーチの横槍が入っちゃって話の締め方が難しいけど…
    ともかく、ロゼッタ。繰り返すが…2人は、絶対、助けて見せる。
    俺に、俺たちに、任せとけ!!」

ロゼッタは、マリオを見つめる。
更に更に、大粒の涙を流し始める。
そうよね、心配しないで、ロゼッタ。なんとしてでも、彼女たちは――!

199Mii:2019/10/07(月) 05:22:30 ID:1o4lZnlk
ロゼッタ「――――――――っ!!お願い、いたし、ます――っ!!」ガバッ

マリオ「へぶっ」



感極まってしまったのか。
上半身をガバッと動かしたロゼッタが、反応が遅れたマリオに――
マリオの頭を抱え込む形で、思い切り抱き着いて一層激しく泣き出した。








ピーチ「…………」



ピーチ「……………………」



ピーチ「…………………………………………
    ちょっと待ったああああああああぁぁぁぁぁ――――――――っ!!」

200Mii:2019/10/07(月) 05:24:27 ID:1o4lZnlk
ロゼッタ「…はい?」ナミダメ

なぜ急に叫ばれたのかがわからないのか、顔だけこちらに向ける、涙目のロゼッタ。



マリオ「」

何気に成長してきた胸を押し付けられて、完全に石と化したマリオ。



リンク(あ、なんかデジャブ)

ルキナ(あ、あ、ああああ…)カァッ

おいそこ、なにがあった。ああ、あの夜の邂逅か。
…って、そうじゃなーい!



ピーチ「感動したのは分かったから、とっととマリオから離れなさいよゴラァ!
    マリオもさっさと引きはがしなさーい!!!」グイッ

マリオ「」



マリオは こおってしまって うごかない!▼

201Mii:2019/10/07(月) 05:26:02 ID:1o4lZnlk
むらびと「よし帰ろう」クルッ

ファルコ「賛成」クルッ

クッパ「おっと持病の仮病が」クルッ

リンク「管理室で解析の続きしよーっと。あとはヒーローのマリオに任せよう」クルッ

ルキナ「あ、ええと、ええと。私も、お暇させていただきます」クルッ



ロゼッタ「ピーチ姫、痛いです!強く引っ張らないでくださいっ!」ギューッ

マリオ「」

ピーチ「抱きしめる力強くするなぁ――!
     ああもう、なまじ病人相手だから力加減が難しいっ!?
     アンタたちも手伝いなさいよぉ薄情者――!!!」



…結局、ひっぺがすのに5分程度費やしました。
益々、体がふら付いてきた気がする…。

202Mii:2019/10/07(月) 05:27:50 ID:1o4lZnlk
マリオ「…………」ハッ

ピーチ「よし、とっとと退散するわよ、こんなとこ!」

ロゼッタ「そう、ですか…」ショボン



ようやく、マリオが正気に戻ったし…やってられないわ…。
名残惜しそうにするロゼッタを一切振り返さずにマリオと一緒に病室を出る。
無自覚とはいえ、ロゼッタ、恐ろしい子…!





マリオ「…………」



マリオ「…………」



マリオ「…………」



マリオ「…………………………………………やれやれ」ハァ

203Mii:2019/10/07(月) 05:31:12 ID:1o4lZnlk
〜情報管理室〜

リンク「…………」ジーッ

……やっぱり、寝ぼけての勘違いとかじゃなかった。おっかしいなー?
うーん?何故に?どして?



コンコン。



リンク「どうぞー?」

マリオ「お、やってるやってる。どんな感じだ、リンク?」ガチャッ

リンク「お、色男のおでましだ。お疲れさまっしたー」ケラケラ

マリオ「お前だけには言われたくない」

リンク「…なんでさー。
    え、調べてきた内容?あ、マリオも聞いてくれよ。
    みんなの行動履歴を紐解いて行ってるんだけど、なんか腑に落ちないんだ」

マリオ「ほほう?どんな具合に?」

リンク「百聞は一見に如かず、だな。…ちょっとこいつを見てくれ」カタッ カタッ

204Mii:2019/10/07(月) 05:33:23 ID:1o4lZnlk
パッ!!

リンク「これ、ダックハントの行動記録ね。
    道なき道を、すっげー縦横無尽に動いているのが呆れるけれど。
    選手カードをほっぽり出したりしていなくて助かった」

マリオ「うわ、あちこちで無料食事イベントに有り付いてやがる。
    食欲に忠実だなあ、ははは。…会話とかどうしたんだろ」

リンク「そんでもって……ほいっと」カタッ カタッ



パパパッ!



マリオ「あ、履歴の線が1本増えたな。これ、誰のだ?」

リンク「Mr. ゲーム&ウォッチのだよ。まあ、ダックハントに比べれば
    ずっと行動範囲は狭いな。大して施設利用履歴もないし」

マリオ「あのなりで一般施設に入ったらギョッとされるから自重してるのかな。
    だとしたら悪いことをしたな…。
    
    で、いろんなところで線が交差してるな。
    このどこかで、Mr. ゲーム&ウォッチがハンマーを落として、
    他の人に気付かれる猶予さえなくダックハントがつい拾っちゃったと」

205Mii:2019/10/07(月) 05:35:30 ID:1o4lZnlk


リンク「いや、それ、違う」



マリオ「…違う?」



リンク「線だけ見ると重なってるけど、どの交点も時間帯がずれてばっかりだ。
    最低でも1時間は…ずれてる。





    ほぼ同時刻に2選手が同地点にいた形跡、なんてものは…………
    この2選手間には――存在しない」




マリオ「…………なんだって?」

リンク「あんな目立つハンマーなのに、通りかかった人が悉く無視するなんて、
    有り得るのか…?まあ気味悪がられ続けた可能性が0とは言えないけど…」

マリオ「……!!」

206Mii:2019/10/07(月) 05:38:19 ID:1o4lZnlk
リンク「あ、ついでにさ。その後で、むらびととファルコの相互関係についても、
    なんか気になって調べてみたんだよ。

    むらびとは…『シロ』だ。

    さっきと同じく、同時刻同地点の状況がなかった。
    こっちについては、どう言い訳しようが『ぶつからないと』
    アイテムの移動が起こり得ないんだっけ。訳が分からなくなってきてるよ…」

マリオ「……サンキューな、リンク。
    おかげで、ほっそいほっそい俺の仮説が信憑性を増してきたぞ」

リンク「は?なんだよそれ?」ハァ?

マリオ「ときにリンク。もう、全員分の行動履歴を調べ上げたのか?」

リンク「あ、いや。プライバシーのことも考えて、とりあえず女性陣は後回しにしてた。
    ピーチに止められたらそこで素直に止めておくか…って感じで。
    まあ、ようやく男性陣および性別不明陣の解析が終わったから、
    そろそろ申し訳ないが女性1人目のサムスについて調べ始めようと…」

マリオ「そりゃあ、ちょうどいい。
    …順番変更だ。ゼルダとヒルダについて追跡を開始してくれ。
    とりあえず急ぎだから、現在の位置だけでいい」

リンク「…………!!!あ、そりゃあ、最初からそうすべきだったな、迂闊っ!!
    早速やってみるぜ!現在の2人の位置…どうぞっ!」カタッ カタッ

207Mii:2019/10/07(月) 05:41:58 ID:1o4lZnlk


パッ!!パッ!!



リンク「…ああっ!!」

表示は…………なんと、大会会場を示している!



リンク「と、とりあえず、会場にいる…というか、
    どこかのフィールドに幽閉でもされているのか!?
    くそっ、さすがにこれ以上拡大はできないか…!」カチッ カチッ

マリオ「実は2人とも既に命はなくて、
    俺たちを誘導するために選手カードだけ罠設置されている、
    とかでなければな」

リンク「おっそろしいこと言うなよ…
    よ、よし!急ぎ、みんなで捜索に…!」

マリオ「いや、そのまえに、あと1つ…いや、2つだけ」

リンク「ど、どうしてだよ!急いだ方がいいだろ?」

マリオ「いいから、頼む」

208Mii:2019/10/07(月) 05:44:44 ID:1o4lZnlk
リンク「……わかったよ。そこまで真剣な顔をされたら断れないよ。
    で、なにをすればいい?」フッ

マリオ「その2人の履歴、なんだが。
    ちょっと時間は掛かるけれど、今の光点の位置が動き始めるまで、
    どんどん履歴を遡っていってくれないか?」

リンク「…は?別に、いいけど。
    昨日までは普通に、ロゼッタとあちこち見て回ってただろ…?」

マリオ「いいからいいから」

リンク「無駄なことが好きだな…じゃあ、いくぞ?」カタッ カタッ



【1時間前 動きなし】

リンク「こんなの見て、なにか分かるのか…?」フゥ



【2時間前 動きなし】

リンク「…………」

209Mii:2019/10/07(月) 05:46:33 ID:1o4lZnlk
【4時間前 動きなし】

リンク「…………あり?そろそろ動いてもいい頃、だよな…?」



【24時間前 動きなし】

リンク「…………え、なにこれ、おかしいだろ?壊れてるのか?ここまで見させておいて」





【1週間前 動きなし】

リンク「はああああああああ!?」






【1か月前   動 き な し 】

リンク「」

マリオ「はあああああぁぁぁ……………」タメイキ

210Mii:2019/10/07(月) 05:51:40 ID:1o4lZnlk
リンク「なんだよなんだよ、なんだってんだよ、これ?
    何がどうなってるんだ!?」



訳がまるでわからない。
普通にいたよ!ゼルダ姫とヒルダ、ふっつーにいたよ!?



リンク「…ハッ!?ま、まさかその頃から、
    選手カードを会場に落としてたとか、か?
    おっちょこちょいすぎるだろ」

マリオ「ちゃうちゃう」

マリオは満足と呆れが混ざったような…不思議な顔をしている。
何か合点がいったらしい。幸か不幸か。

マリオ「混乱しているところ悪いが、2つ目のお願いだ。
    …………ロゼッタの履歴、同じように追跡してほしいんだけど」

リンク「お、おう…………わ、わかった…」



それが、マリオの仮説とやらを信じる助けになるのなら。

211Mii:2019/10/07(月) 05:54:02 ID:1o4lZnlk
〜数日後、とあるフィールド〜

ロゼッタ「あ、あのう。怪我は完治しましたが、一体どうして私は、
     こちらに連れて来られたのですか?おまけに…」



リンク「それは、俺もマリオに聞きたい」

クッパ「全くなのだ、忙しいというのに」

マリオ「まーまー。ごねるピーチをなんとかかんとか躱して、
    ようやくロゼッタを連れ出せたんだから。

    一応一命を取り止めたとはいえ、現状で一番…
    命を狙われる可能性があるのは、間違いなくロゼッタだ。
    力の弱さを完全に理解されてしまったからな。
  
    というわけで、ちょっと俺たち『3強』が、一夜漬けででも――
    ロゼッタを鍛えてあげた方がいいと考えたまでだ」

212Mii:2019/10/07(月) 05:55:55 ID:1o4lZnlk
ロゼッタ「……ええっ!?あなた方を相手に、特訓、ですか!?
     私などではとても耐えきれませんよ!?」

マリオ「なに、心配するな。思いっきり手は抜くから。
    それに、3人のうちロゼッタの相手をするのは1人だけ、と決めておく。
    残り2人は、ロゼッタの戦術・身のこなしをじっくり観察して、
    あとでアドバイスする、というスタイルを取ろうと思う」

ロゼッタ「無茶ですよね!ね!」チラッ



リンク「…まあ、3強全員が時間を奪われるなら、優勝争いに不公平は無し、か。
    いいぜ、やってみよう」

クッパ「…やれやれ、なのだ。やるからには徹底的に、なのだ」

ロゼッタ「」

213Mii:2019/10/07(月) 05:58:20 ID:1o4lZnlk
マリオ「判断がおそーい!バックステップが甘―い!」ドンッ

ロゼッタ「あいたっ!…あ、でもなんとか…耐えられる」ドンッ

マリオ「手加減はするって言っただろ?でも余所見はするなよ、
    うんざりする位の攻撃は繰り返すぞ、反撃してみろ!」ダッ

ロゼッタ「わわわっ…や、やってみますっ!」

マリオ「どうしたどうした、そんなんじゃあ
    キノコ王国の平和は任せられないぞー!」ズガガガ

ロゼッタ「そのような大役、任された覚え有りませんよ!?」





リンク「…………」メモメモ

クッパ「…………」メモメモ

214Mii:2019/10/07(月) 05:59:38 ID:1o4lZnlk
リンク「当たり前のことを言わせてもらうけど、
    避ける実力も十分にないのに、剣に対して正面から突っ込むなよー!
    冗談抜きで真っ二つになるぞー!俺、みねうちは得意じゃないんだ」ブンッ

ロゼッタ「ひいいいいぃぃっ!手加減の文字はどこに!?」




クッパ「…………」メモメモ

マリオ「…………」メモメモ



クッパ「炎こそが最強!全てを焼き尽くせば解決なのだ!
    ロゼッタの実力だと、掠っただけで全身に火が回るかもしれんぞ!
    服だけ燃えて裸になるとかは気にしなくていい!体ごと燃え尽きるからな!」ゴオォ

ロゼッタ「きゃあああああああああ――――っ!!
     逃げるしかないじゃないですか――!!」タタタッ





マリオ「…………」メモメモ

リンク「…………」メモメモ

215Mii:2019/10/07(月) 06:01:20 ID:1o4lZnlk




マリオ「これにて特訓、しゅーりょー!!いやあ、よく頑張ったな」



ロゼッタ「はぁ、はぁ、はぁ…………」チーン



マリオ「いやあ、寝そべってピクリとも動かない」

クッパ「全く、特訓と言えどやりすぎなのだ」

リンク「俺はマリオがピーチに天誅受けないか心配だぞー」

マリオ「それは考えない方針で」HAHAHA



ロゼッタ「…で、では。皆さん、お疲れさまでした。
     私は、戻ることに…致します」ヨロッ

216Mii:2019/10/07(月) 06:04:08 ID:1o4lZnlk
リンク「あ、そのまえに、ロゼッタ。
    最後の保険として、俺からこいつを、大会期間中、貸しておくよ。
    マリオからしつこく頼まれたもんでね」



キラーン!




ロゼッタ「……これは、なんですか?
     とても美しい、腕輪ですね。吸い込まれそうな…」

リンク「『いにしえのシルバーリング』って言っていう、激レア防具でな。
    手首に装着しているだけで、あらゆるダメージを10分の1程度にしてくれる
    失われたはずの国宝級産物だ。ゼルダ姫に激怒されそうではあるけどな。
    しっかり固定できるから、肌身離さず持っておけ…というか装着しておけよ?」

ロゼッタ「じゅ、10分の1!?反則級ではないですか!
      最初からこれをくださいよ!?」スチャッ


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