したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

【ぼく勉】成幸 「キスと呼べない何か」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/07(水) 21:10:57 ID:nfKWg1KI
………………昼休み 一ノ瀬学園 3-B教室

大森 「なぁなぁ、一学期に唯我がキスしただの何だのって話あったじゃん?」

成幸 「………………」

成幸 (……こいつほんっっっとロクでもねーことしか言わないな!!)

成幸 「……そういえばそんなこともあったな。どうでも良すぎて忘れてたが」

大森 「結局噂もなくなっちゃって、俺としては不完全燃焼というかなんというか」

成幸 「っていうかお前が廊下で大声上げて走り回ったせいで噂になったんだけどな!?」

大森 「でもキスはしたんだろ?」

成幸 「………………」

プイッ

成幸 「……黙秘権を行使する」

小林 (それもう自白してるようなもんだけどね、成ちゃん)

855以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:10:22 ID:QUrQhu/g
あすみ 「でもまぁ、お前たちが来てくれてちょうどよかったよ」

あすみ 「これ、勢いで頼んじまったけど、どう考えてもふたりじゃ食べきらないからさ」

紗和子 「このパフェ、四人でもギリギリじゃないかしら……」

文乃 「? やだなぁ、先輩も紗和子ちゃんも。これくらいならふたりいれば余裕じゃないですか」

あすみ&紗和子 「「!?」」

文乃 「でもせっかくだし、お言葉に甘えていただきまーすっ」 ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

文乃 「んーっ♪ 甘くておいしーい!」

成幸 (まぁ、古橋はその気になればあのパフェひとりで食い切るしな……) ゲッソリ

成幸 「俺、ちょっと飲み物とりにいってきますね」

文乃 「あ、わたしも行くよ。甘い物にはお茶が必要だよね」

あすみ 「んー、じゃ、アタシもなんか取りに行こうかな」

紗和子 「じゃあ、私は待ってるわ。いってらっしゃい」

あすみ 「おう、頼むなー」

ピラッ…………

紗和子 「ん……?」 (なんか、紙が落ちた……?)

856以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:10:52 ID:QUrQhu/g
ヒョイッ

紗和子 「……!?」

紗和子 (こ、これは、プリクラ……。せ、先輩と、唯我成幸の、ツーショット……)

紗和子 (きっ……キスしてるプリクラまであるじゃない……!!)

紗和子 (こんなこと、さっきの説明では言ってなかったわよね!?)

紗和子 (まさかあの先輩、本当に唯我成幸のことを……!?)

紗和子 「………………」

ガタガタガタ

紗和子 「とっ……とんでもないものを見てしまったわ……!!」

※その後、誤解は解けました。

おわり

857以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:12:46 ID:QUrQhu/g
………………幕間1 「小美浪家」


―――― 『……先輩って、年下好きなんですか?』

―――― 『まったく、先輩は欲しがりサンですねーっ。お口とお口のチューがいいなんて』

―――― 『……ふふん。じゃ、先輩っ。はい、あーん』


あすみ 「……っ」 ボフッ!!!!! (よ、よくよく思い返してみると、今日のアタシはほんとどうかしてるぞ!)

あすみ (恥ずかしいとかそういうレベルじゃない! 制服を着た程度であんなにはしゃぎ回るなんて……)

あすみ (は、恥っず……)

ピラッ

あすみ (……まぁ、でも、後輩と制服でデートして、プリクラも撮れたのは、少し、嬉しいかな、なんて)

あすみ 「えへへ……」

………………ドアの外

小美浪父 (高校の制服で帰宅したときは度肝を抜かれたが、本当に唯我くんと制服デートをしたのだな……)

小美浪父 (今日のデートのことを思いだしながらニヤニヤするとは……。あの子にあんな乙女な一面があるとはな)

858以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:13:25 ID:QUrQhu/g
………………幕間2 「唯我家」

成幸 (はぁ、今日は疲れたな……)

成幸 「ただいまー」

水希 「おかえりなさい、お兄ちゃんっ!」

成幸 「ああ――……って、なんだその格好は」

水希 「あっ、そうだ。間違えた……えっと……」

水希 「……おかえりなさい、せんぱいっ」

成幸 「……うん。とりあえずその一ノ瀬の制服は盗品じゃないよな?」

水希 「卒業生の人にもらったんだ。えへへ。似合う?」

成幸 「ならよし」

花枝 (高校の制服でお出迎えだとかせんぱい呼びだとかはスルーなのね……)

おわり

859以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:13:58 ID:QUrQhu/g
………………幕間3 「古橋家」

文乃 「よ、四人で……」

文乃 「四人でわけっこしたはずなのに……」

ガーーーーン!!!!

文乃 「何でこんなに体重が増えてるの!?」

おわり

860以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 21:20:22 ID:QUrQhu/g
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

どうでもいい話ですが、今のところ
理珠さんメイン 6つ
文乃さんメイン 13つ
うるかさんメイン 5つ
真冬先生メイン 8つ
あすみさんメイン 11つ
その他 11つ(内紗和子さんメイン4つ)
という数のSSを書いたようです。

理珠さんとうるかさんのSSはなかなかむつかしいですが、もっと書きたいと思います。

また投下します。また読んでくれたら嬉しいです。

861以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 22:37:06 ID:agL9V37M
おつおつ

862以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:17:14 ID:hgNnmgHA
>>1です。
書き上がってしまったので投下します。


【ぼく勉】 理珠 「あの日、手を貸してくれたのは」 紗和子 「あの時、背中を押してくれたのは」

863以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:18:06 ID:hgNnmgHA
………………休日

理珠 「……うぅ」

ゼェゼェゼェ……

理珠 「う、うどん屋はまだですか……」

紗和子 「マップによるとあと2キロね」

理珠 「うぅ……。なぜこんな山道にうどん屋を作るのか、理解に苦しみます……」

紗和子 (山道だからこそドライブインが必要なんだと思うんだけど……)

紗和子 (というかこの店、徒歩で向かう店ではないと思うけど……)


―――― 理珠 『関城さん、次の休日にうどん屋巡りに行くのですが一緒にどうですか?』

―――― 紗和子 『デートのお誘い!? 行くわ行くわ行くわー!!』


紗和子 (……安易に飛びつくものではないわね。まったく。こんなの軽い登山だわ)

理珠 「まったく……」 ブツブツブツ

紗和子 「……ふふ」 (まぁ、緒方理珠と一緒なら、何でも楽しいのだけれどね)

864以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:18:46 ID:hgNnmgHA
理珠 「……これもうどんを楽しむためうどんを楽しむため……」 ブツブツブツ

紗和子 「本当にうどんが好きねぇ」 クスクス

紗和子 「そういえば、一年の最初の登山でも、山頂の鍋焼きうどんのためにがんばってたわね」

理珠 「え?」

理珠 「……? 私、あのとき、鍋焼きうどんのこと、誰にも話してないような……」

紗和子 「へ?」 ハッ 「……あっ」

理珠 「……ん、でも、たしか、ひとりだけその話をした相手がいたような……」

理珠 (……あれは、そうです。二年前、まだ入学した頃のオリエンテーリングのとき、)

理珠 (私は、誰かとうどんの話をした……)

理珠 (……そう。あの登山で、私は……)

理珠 (誰かに、助けてもらって……)

………………

……………………

…………………………

865以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:19:23 ID:hgNnmgHA
…………………………

……………………

………………二年前 春 緒方家

理珠 (明日は一ノ瀬学園入学直後のオリエンテーリングで山登り……)

ハァ

理珠 (正直、とても憂鬱です。休みたいくらいですが……)

理珠 (学校行事を休むと内申点にも響きますし、進路のことを考えると参加するしかないでしょうか)

理珠 (はぁ、本当に憂鬱です……)

親父さん 「あっ、リズたま! 明日は山登りだろう? がんばってな!」

理珠 「お父さん……」 (人の気もしらないで、まったく……)

親父さん 「明日登るのは鍋○山だろう? あそこの山頂で食べられる鍋焼きうどんは絶品だからぜひ食べておいで」

理珠 「……!? うどんが食べられるのですか!?」

理珠 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

理珠 (……俄然やる気が湧いてきました!)

866以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:20:00 ID:hgNnmgHA
………………関城家

紗和子 (明日はオリエンテーリングで登山……)

紗和子 (友達を作るためのイベントなんでしょうけど、私は……)

紗和子 (どうせ、中学のときと同じ。うまく友達なんか作れるわけもないし)

紗和子 (休みたい。休みたい、けど……)


―――― 『終わりました』

―――― 『おそらく全問合ってると思いますので 帰ってもいいですか』

―――― 『私 あの人と同じ高校に行く!』


紗和子 (……ひょっとしたら、あの子と友達になれるかもしれない)

紗和子 (なら……)

グッ

紗和子 「……行くしか、ないじゃない」

867以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:20:44 ID:hgNnmgHA
………………オリエンテーリング当日 麓

先生 「じゃあ、今から本格的な登山道に入るぞー」

先生 「事前に伝えた通り、このオリエンテーリングは水の運び上げの奉仕活動も兼ねている」

先生 「各自、ここで最低2Lペットボトル一本以上は運び上げるように」

先生 「体調不良やケガ、その他不測の事態があった場合はすぐに教員に伝えること。以上だ」

先生 「では、楽しい登山にしよう。出発するぞ」

理珠 「………………」 (冗談でしょう?)

理珠 (駅からここまでのハイキングコースだけでもうヘトヘトだと言うのに……)

理珠 (この後に水を2Lも運ばなければならないなんて……)


―――― 『あそこの山頂で食べられる鍋焼きうどんは絶品だからぜひ食べておいで』


理珠 「っ……」 (でも、負けるわけにはいきません……!)

理珠 (鍋焼きうどんが待っているのですから!!!)

868以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:22:25 ID:hgNnmgHA
………………

「でさー……」  「えーっ、わかるー!」  「……ねぇねぇ、メッセ交換しよ?」

紗和子 「………………」 (周囲では着々と仲良しグループができはじめている……)

紗和子 (そんな輪の中に、もちろん私が易々と入れるわけもない……)

グスッ

紗和子 (……やっぱり、こなければよかっ――――)


理珠 「――……んっ……んんんん……!!!」


紗和子 「あっ……」 (緒方理珠、さん……?)

紗和子 (顔を真っ赤にして、リュックを背負い直しているけど……)

紗和子 (ああ、ペットボトルを積んだのね。重そうだわ)

紗和子 (……っていうか、あの体格で2kgの重量増はきついんじゃ……)

紗和子 「………………」

紗和子 (……負けてられないわ。あの子があんなにがんばっているのだから)

紗和子 (私も、がんばらないと……!!)

869以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:23:08 ID:hgNnmgHA
………………

理珠 「………………」

ゼェゼェゼェゼェ……

理珠 (つ、つらい、です……)

理珠 (リュックがとても重たいですし、山道は想像以上にデコボコです……)

理珠 (何度も何度もこけそうになって……――)

――――カツッ

理珠 「はうあっ……!!」

理珠 (あ、危ない……! またこけるところでした……!)


………………物陰

紗和子 (だ、大丈夫かしら、緒方理珠さん……) ハラハラハラ (こけて山道をころげ落ちたりしないかしら……)

紗和子 (本当に体力がないのね。心配で目が離せないわ……)

870以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:23:39 ID:hgNnmgHA
………………

理珠 「………………」

クタァ……

理珠 (も、もう動けません……)

理珠 (少しの休憩のつもりが、もう足が動かない、です……)

理珠 (……でも)

理珠 (鍋焼きうどんの、ために……) スッ……

フラッ……

理珠 「あっ……」

ドシャアアアッ!!

理珠 「痛っ……」

理珠 (うぅ……足に全然力が入りませんでした……)

理珠 (とにかく、立ち上がらないと……ん? あれ……?)

ハッ

理珠 (め、めがねがない!?)

871以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:24:13 ID:hgNnmgHA
………………物陰

紗和子 「あっ……」

紗和子 (緒方理珠さん、派手にこけてしまったわ……)

紗和子 (近くに先生はいないし、生徒の姿もないわ……)

紗和子 (ど、どどど、どうしたら……)

紗和子 「………………」

紗和子 (わ、私が……出て行っても、いいのかしら……?)

紗和子 (あの人の……緒方理珠さんに手を貸してあげても、いいのかしら……?)

紗和子 (できるのかしら。私に、そんなことが……)


―――― 『空気を読むとはどういうことですか?』

―――― 『できたのにできないフリをしろということですか? どうなのですか?』


ギリッ

紗和子 (……行かなきゃ)

紗和子 (あのとき背中を押してくれたあの人のために、行かなくちゃ……!)

872以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:24:53 ID:hgNnmgHA
………………

理珠 (困りました……) ズーン (メガネが見当たりません)

理珠 (メガネがないと、鍋焼きうどんどころの話ではありません。下山もままならないですね……)

理珠 (さて、どうしたものか……――)

?? 「――これ、あなたのメガネでしょう?」

理珠 「へ……?」 (人……? クラスメイトでしょうか?)

理珠 (メガネがないから、顔も何も見えませんが……)

?? 「とりあえず、へたり込んだままじゃ何だから、立ち上がりなさい。ほら」

スッ

理珠 「あっ……ありがとうございます」

?? 「はい、メガネ」

理珠 「助かりました。これがないと何も見えないので……」

?? 「あっ、メガネをかけるのはちょっと待ってちょうだい」

?? 「まだ面と向かって話すのは恥ずかしいから……」

理珠 「……?」

873以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:25:30 ID:hgNnmgHA
?? 「私は、実は、あなたのことを中学のときから知っているの」

?? 「……そして、私はあなたに、とても感謝しているの。だから……」


?? 「……あのとき、背中を押してくれて、ありがとう」


理珠 「……? すみません、顔も見えないので、あなたのことを思い出せないのですが……」

?? 「当然だわ。あなたは私のことを知らないでしょうから」

?? 「……それだけよ。時間を取らせて悪かったわね」

?? 「あと少しで頂上みたいだから、がんばりなさい」

理珠 「本当ですか!? ということは、あとすこしで鍋焼きうどんですね!!」

?? 「……ふふっ、あなたうどんが好きなのね。覚えておくわ」

理珠 「はい、家がうどん屋なのでうどんは大好きです。それから、この山の頂上の鍋焼きうどんも絶品だそうですよ?」

?? 「へぇ、そうなのね。じゃあ、私も後でいただこうかしら」

?? 「それじゃ、先に頂上で待っているわ。もうメガネをかけてもいいわよ」

理珠 「……?」 スッ 「あれ……?」

理珠 「誰もいない……?」

874以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:26:26 ID:hgNnmgHA
理珠 (……一体、今の方はどなただったのでしょう?)

理珠 (一方的にお礼だけ言って去ってしまいましたが……)

理珠 (正直、改めてお礼を言いたいのはこちらなのですが……)

理珠 「………………」

ギュッ

理珠 (……温かい手と、温かい言葉)

クスッ

理珠 「……ヘンな人です。でも……」

理珠 「きっと、すごく良い人なんでしょうね」

………………

……………………

…………………………

875以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:26:56 ID:hgNnmgHA
…………………………

……………………

………………現在

理珠 「………………」

紗和子 「………………」 ダラダラダラ……

理珠 「……関城さんだったんですね」

紗和子 「な、何の話かしら? 全然分からないわねー?」

理珠 「………………」 クスッ 「……今思い返してみれば、声もそっくりです。シルエットも」

理珠 「髪も今日みたいなお団子でしたね」

紗和子 「……し、知らないわっ」

紗和子 (……は、恥ずかしくて、今さら 『実は私でした』 なんて言えないわよ!)

理珠 「そうですか……」 クスッ 「じゃあ、これならいいですか?」

スッ

紗和子 「へ……? めがね、どうして外して……?」

876以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:27:41 ID:hgNnmgHA
理珠 「今は何も見えません。目の前のあなたの顔も、見えません。だから、聞いてくれますよね?」


理珠 「……あの日、手を貸してくれてありがとうございました」


紗和子 「あっ……」

カァアアアア……

紗和子 「……どっ……どういたし、まして……」

理珠 「はい」

理珠 「……では、今日も手を貸してもらえますか?」

紗和子 「?」

理珠 「手、引いてください。疲れちゃいました」

紗和子 「っ……」 ボフッ 「しっ、仕方ないわね……!!///」

ギュッ

紗和子 (お、緒方理珠と、手を繋いでいる……///)

理珠 (……あのときと同じ、温かい手。私の想像通りでした)

理珠 (やっぱり、すごく良い人でした)

877以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:28:27 ID:hgNnmgHA
理珠 (……あの日、この人が手を貸してくれたから、私は山頂のうどんを味わえました)

紗和子 (……あの時、この子が私の背中を押してくれたから、私は今ここにいられるわ)

理珠 (そして今も、私の手を引いてくれています)

紗和子 (今だって、あなたがいるから、私はこうやって笑うことができるのよ)

理珠&紗和子 ((だから……))

理珠 「……なっ、なんですか。関城さん。顔がニヤけてますよ?」

紗和子 「そういう緒方理珠こそ。ちょっと顔が赤いんじゃないかしら?」

紗和子 「ほら、あと1キロよ! あと1キロで念願のうどんよ!」

理珠 「自動車がないから諦めていたドライブインの激うまうどん……! 楽しみです!」

理珠 (……だから、これからもどうか、ずっと、友達でいてくださいね)

紗和子 (だから、これからも、この子の友達でいられたら、私は満足だわ)

おわり

878以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:29:12 ID:hgNnmgHA
………………幕間 「問103の大判写真についての考察」

先生 「おお、緒方もしっかりと水を運んでくれたんだな。ご苦労ご苦労」

理珠 「……はい。がんばりました」 ズルズルズルズル……

先生 (すごい勢いで名物の鍋焼きうどんをすすっている……)

先生 「そうだ。緒方、あんまり写真に写ってなかっただろう?」

先生 「販売用の写真を撮るから、うどん食べながらでいいからこっちに目線をくれないか?」

理珠 「……わかりました」 ズルズルズル……

先生 「じゃあ、撮るぞー? 3,2,1……」

紗和子 「………………」 ピース

カシャッ

先生 「ん……?」 (奥の木立から突然女子生徒が現われてピースサインをしたが……)

先生 (……まぁ、いいか)

おわり

879以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 00:31:35 ID:hgNnmgHA
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

実は鍋割山の鍋焼きうどんネタは一度やりたかったのですが、
問103で遠足と覚しき写真が出てきたことで、勝手に頭の中ですべてが繋がりました。

久しぶりに気持ち良くお話が書けた気がしますが、ラブコメ漫画のSSだというのに
ラブコメのラの字もないのはどうかと思います。申し訳ないことです。

自分語りが長くなりました。
申し訳ないことです。

また投下します。

880以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 07:55:54 ID:G7mSOgZU
乙やで

881以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 12:09:33 ID:tRAL6jPo
やっぱり先輩なんだよなぁ

882以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/03(水) 21:20:54 ID:SfbK2b9Q
おつ!

883以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:53:15 ID:MOT0E4vs
>>1です。投下します。
>>715さんのお題です。ご期待に沿えているかどうか未知数ですが。

【ぼく勉】 真冬 「彼は教え子につき」

884以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:53:54 ID:MOT0E4vs
………………週休日 水泳部 部室

うるか 「さー、今日は息抜きがてら、久々に泳ぐぞーっ!」

智波 「あはは、元気だねー、うるか」

あゆ子 「少しわけてもらいたいくらいだよ、まったく」

池田 「あ、先輩! こんにちは!」

池田 「今日は先輩たちも練習に参加してくれるんですか?」

うるか 「うん! 池田っちたちの邪魔にならないようにするからレーン貸してねっ」

池田 「邪魔だなんてそんな! 来てくれて嬉しいです!」

池田 「皆さんに久しぶりにフォーム見てもらいたいです!」

智波 「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいね」

あゆ子 「ほんとに可愛い後輩だなぁ、池田はー」

池田 「可愛いだなんて、そんな……っ」

885以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:54:25 ID:MOT0E4vs
うるか 「あっ、そうだ。池田っち、これ貸してくれてありがとね」

池田 「あっ! 先輩、カレエゴ一巻読み終わったんですね!」

うるか 「めっちゃ面白かったよ! 続きが気になるよ〜!」

あゆ子 「? なんだそれ? 漫画?」

うるか 「うん。池田っちが貸してくれたんだ。めっちゃ面白かったよ」

あゆ子 「池田ー? うるかはただでさえおバカなんだから、漫画なんか貸すんじゃないよ」

あゆ子 「せっかく最近まぁまぁになってきた英語がまたぱっぱらぱーになっちゃうだろ」

池田 「うっ……。たしかに、先輩たち受験生ですもんね……」

うるか 「ちょっと、川っち! ぱっぱらぱーってなにー!」

あゆ子 「そのまんまでしょうが。まったくもう……」

智波 「まぁ、息抜きも大事だよね。でも、続きは受験が終わったらにしたら?」

うるか 「うぅ……。海っちの正論が心に刺さるよぅ……」

池田 「あ……じゃあ、受験が終わったら、二巻以降も貸しますね!」

うるか 「うん! 早く借りられるようにがんばるね!」

886以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:54:59 ID:MOT0E4vs
あゆ子 「そんなに面白いのか、その漫画……」

あゆ子 「………………」

コソッ

あゆ子 「なぁ、池田。それ、私が借りてもいいか?」

池田 「!? もちろんです! どうぞ!」

あゆ子 「ん、ありがとう。読ませてもらうな」

池田 「いえいえ、カレエゴファンが増えてすごく嬉しいですから!」

池田 (……あっ、そういえば、)


―――― 『とりあえず10巻まで……』


池田 (桐須先生、カレエゴ買ってたよね……)

池田 (ひょっとして、先生もカレエゴファンになってたりなんて……)

池田 「………………」

クスッ

池田 (まさか、そんなわけないよね)

887以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:55:53 ID:MOT0E4vs
………………真冬の家

真冬 「………………」

バーン!!!

真冬 (……驚愕。まさか私の家に漫画本が並ぶことになるとは)

真冬 (結局最新刊まで買いそろえて読み込んでしまったわ……)

真冬 (まぁ、これは学校現場の物語なのだから、これからの仕事に役立たないこともないでしょう)

ペラッ……ペラッ……

真冬 (……中身は、荒唐無稽としか言いようのないようなシチュエーションばかりだけれど)

真冬 (でも、どこかリアリティを感じてしまうのは、私が似たような経験をしているからかしら)


―――― 『たいした傷じゃないですし もう……』

―――― 『だめよ! 化膿でもしたら……』


真冬 「っ……」

888以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:57:25 ID:MOT0E4vs
真冬 (……まったく、本当に、)


―――― 『先生危ない!』

―――― ((ここで唯我君に受け止められてしまったら……))


真冬 (私は、彼の前だとどうしても、醜態ばかり晒してしまう……)


―――― 『先生 目つぶって……』

―――― 『だ……っ だだ だめよ唯我君……! 私とあなたは教師と生徒!!』

―――― 『でも……っ』


真冬 (……それが、この作品と重なることが多いのね)

真冬 (この作品の主人公、クリスも生徒の結人に助けられることが多いし……)

真冬 (……いえ、もちろん私はこんな生徒にときめくようなダメ教員ではないけれど)

889以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:58:29 ID:MOT0E4vs
真冬 (でも、そんなダメなところばかりのクリスの働きかけで、結人はどんどん成長している……)

真冬 (……実際、これだけリアリティのある描写を描くためにかなりの取材をしたのではないかしら)
※真冬先生個人の感想です。

真冬 (だとすれば、この本を参考にすれば、生徒の教育の一助になる可能性もある……?)

真冬 「………………」

ピンポーン

真冬 (? 新聞の勧誘? それとも通販でも頼んでいたかしら?)

ガチャッ

成幸 「こんばんは、先生」

真冬 「あら、唯我くん。こんばんは。何か用かしら?」

成幸 「おでん作り過ぎちゃって。もしよかったらもらってくれませんか?

成幸 「あと、ついでに……」 ニコッ 「そろそろ掃除が必要かな、と」

890以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:59:11 ID:MOT0E4vs
………………少し前 唯我家

葉月 「ねー兄ちゃん、遊んで遊んでー」

和樹 「遊んでー!」

成幸 「だー! 後で遊んであげるから、今は勉強させてくれー!」

葉月 「だってー! 母ちゃんも姉ちゃんもお台所で忙しそうなんだもん!」

和樹 「兄ちゃんが一番暇そうだもん!」

成幸 「ひどい言い草だなお前たち……」

水希 「こら、葉月、和樹。お兄ちゃんを困らせないの」

水希 「そろそろご飯だから居間においで。お兄ちゃんも、区切りがいいところで来てね」

成幸 「ああ、ちょうどいいから行くよ」

成幸 「……ん、今日の晩ご飯はおでんかな?」

水希 「うん! 大根練り物こんにゃくたまごも特売だったから、たくさんあるよ!」

成幸 「おお、そりゃ楽しみだ」

891以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 17:59:46 ID:MOT0E4vs
花枝 「……とはいえ、」

ドーーーーーン!!!

花枝 「いくら何でも作りすぎたわね」

成幸 「お、おお……」 (大きめの鍋ふたつにおでんタネがてんこもりだ……)

葉月&和樹 「「山盛りおでんだー!!!」」 キラキラキラ……!!!

花枝 「この分じゃ、丸三日はおでんね。もちろんお弁当もおでんよ」

成幸 「そ、それはちょっときつそうだな……」

花枝 「ま、さすがにそれは冗談よ。あとでご近所さんにでもお裾分けするわ」

成幸 「ん……」 (お裾分け、か……)


―――― 『不覚……! 家にエプロンがないんだったわ……!!』

―――― 『不味…… 何かしらコレ 圧倒的に苦くて硬くてしょっぱいわ……』


成幸 (先生、またろくなもの食べてないだろうし、持って行ってあげようかな。ついでに掃除とか……)

892以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:00:27 ID:MOT0E4vs
成幸 (……って、俺とは生徒と教師。あんまりこういうのはよくないよな)


 『それでは、次の特集です。テーマは「若者の孤独死」です』

 『近年、若くして孤独死をするひとり暮らしの若者が増えています』

 『中には、ゴミ屋敷のような部屋でゴミに埋もれて栄養失調で亡くなるようなケースもあるようです』


花枝 「……あら、暗い話題の特集ね。でも、うちとは縁遠い話ね、成幸」

成幸 「………………」

花枝 「……成幸?」

成幸 (……ま、まずい)

ダラダラダラ……

成幸 (桐須先生がそうなる未来が容易に想像できる……!)

893以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:01:56 ID:MOT0E4vs
成幸 (やっぱり今日、様子見がてらおでんをお裾分けに行こう。ついでに掃除もしてあげよう……)

成幸 (でも俺も来年には高校を卒業するわけだし、いつまでも先生のお世話をできるわけじゃない)

成幸 (先生には、最低限の自活ができるようにしておいてもらわないと……)

成幸 (最悪、栄養失調で死ぬことはないとしても、入院なんてことはありえるもんな……)

成幸 「………………」

グッ

成幸 (よし! 決めた! 俺が卒業するまでの間に、先生に家事のノウハウをたたき込むぞ!)

成幸 (俺がいなくなっても、家事で困らないように!!)

成幸 (とりあえず今日は掃除からだな! よーし!)

894以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:02:46 ID:MOT0E4vs
………………現在

成幸 「……まぁ、わかっていましたけど、こうなりますよね」

グッチャアアアァアアアア……

真冬 「……きれいな方だと思っていたのだけれど」

成幸 (先生の場合は、まずこの常人とかけ離れた感覚を矯正する必要があるな)

成幸 (よし。ここは心を鬼にして……)

成幸 「先生。失礼かもしれませんが、ひとつ言わせてください」

真冬 「い、いきなり何かしら?」

成幸 「これできれいと思えるその感覚は、どうにかしたほうがいいと思います」

真冬 「し、辛辣……。もう少し歯に衣着せてほしいわ……」 シュン

成幸 (あっ……し、しまった。今日は厳しく行こうと思ってたけど、さすがに言いすぎか……?)

成幸 (……いや、でも、このままじゃ先生がダメダメな大人になってしまう)

成幸 (最悪、ゴミに埋もれて栄養失調でしんでしまうかもしれない!!)

成幸 (ここは心を鬼にしなければ……!!)

895以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:03:38 ID:MOT0E4vs
成幸 「先生だって言って聞かない生徒には言葉を厳しくしたりするでしょう?」

真冬 「それはそうだけど……」

成幸 「ほら、先生。晩ご飯の前にまず掃除ですよ。今日は先生にもしっかりやってもらいますからね」

ガサゴソガサゴソ……

真冬 (なんだか、今日は唯我くんが刺々しい気がするわ)

ハッ

真冬 (こ、これはカレエゴ5巻で、結人がクリスに反抗するシーンに似てる……!)

真冬 (言葉もどこか刺々しい気がするし、このままでは……)

真冬 (良い子で優しい唯我くんが不良になってしまうかもしれない……)


―――― 成幸 『勉強なんかやってられっかよー! やめだやめだー!』

―――― 成幸 『酒と煙草もってこーい!』


真冬 (なんてこと……!!)

896以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:06:05 ID:MOT0E4vs
真冬 (だっ、だめよ! 良い子の彼がそんな風になるなんて、考えたくもないわ!)

ハッ

真冬 (そういえば、カレエゴでも……)


―――― クリス 『結人君、きみはどうしていつもそう……』

―――― 結人 『うるせーな。あんたには関係ないだろ』


真冬 (そんな風にクリスに心を開こうとしなかった結人に対して……)


―――― クリス 『彼が何を考えているのか分からない。でも、放っておくわけにも……』

―――― クリス 『彼の抱える孤独、悩み……すべて知りたい……』

―――― クリス 『そっか……。私の方から心を開かない限り、彼の心の中なんて分かるはずもないんだわ』

―――― クリス 『なら、彼が私に心を開いてくれるまで……私は彼に、心を開いて声をかけ続けるだけよ』


真冬 (クリスは彼を気にかけ続けた……)

897以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:07:08 ID:MOT0E4vs
真冬 (そして……)

―――― クリス 『ダメよ! ケガをしているじゃない!』

―――― 結人 『だから、うるせーって言ってんだよ! あんたには関係ないだろ!』

―――― クリス 『関係なくなんてないわ! 私はあなたの先生だもの!』

―――― 結人 『先生……』


真冬 (結人はクリスのことを信頼するようになったのだったわね……)

真冬 「………………」

真冬 (……私にもできるかしら)

真冬 (クリスのように、素直に、生徒のために、心を開いて……)

成幸 「……?」 (先生、ボーッとしてどうしたんだろ?)


―――― 『これできれいと思えるその感覚は、どうにかしたほうがいいと思います』


成幸 (ひょっとして、さっき言い過ぎちゃったせいかな……。謝らないと)

898以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:07:48 ID:MOT0E4vs
成幸 「あの、先生」

真冬 (大丈夫。私は教師だもの。できるはずよ)

真冬 (彼に道を誤らせてしまったら、“あの人” に申し訳が立たないわ)

真冬 (素直に。変に強がらず。見栄を張らず。虚飾を排して)

真冬 (できるかどうかじゃないわ。やらなければならないのよ。唯我くんのために!)

成幸 「先生?」

真冬 「………………」

ニコッ

真冬 「……あら? どうしたの、唯我くん?」

成幸 「……!?」 ビクッ

成幸 (なっ……何が起きているんだ、一体……)

真冬 「ん?」 ニコニコニコ

成幸 (あの “氷の女王” 桐須先生が、未だかつて見たことのないような笑顔を浮かべている!?)

899以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:09:08 ID:MOT0E4vs
成幸 「あ……えっと、あの……」

真冬 「ふふ、変な唯我くん。一体どうしたというの?」

スッ

成幸 (うおっ!? ち、近っ!?)

成幸 「な……ななな、なんでもありません! 掃除を始めましょう!」

真冬 「あっ……」

真冬 (やはり、そうすぐにはいかないわね……)

真冬 (焦ってはダメね。ゆっくり、少しずつ進めていくことにしましょう)

900以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:09:56 ID:MOT0E4vs
………………

成幸 「ということで、今日は掃除の基礎をひとつひとつ教えていきます」

真冬 「まぁ、本当に?」 ニコニコ 「助かるわ。ありがとう」

成幸 「っ……」 (調子狂うなぁ……)

真冬 (やっぱり様子が変ね。非行の前兆かしら……) ハラハラ

成幸 「まず、水回りをきれいに保つのは基本です。食器をため込むのをやめてください」

成幸 「キッチンを使ったらすぐに食器を洗う癖をつけてください」

真冬 (キッチンを使ったらすぐ……!? なかなか大変なことを言ってくれるわね……)

真冬 (忙しいとついつい洗い物をためてしまうのだけれど……)

成幸 (心を鬼にして心を鬼にして……) ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

真冬 (……そんなことを言える状況ではないわね。これも唯我くんのためよ、真冬)

真冬 「わかったわ。これからはそうするって、約束するわ」 ニコッ

成幸 (っ……) ドキッ (聞き分けがいいのは助かるけど……)

真冬 「では、早速食器を洗ってしまうわね」

成幸 (拗ねたような顔もしないし、まるでまともな大人みたいだぞ!? 一体どうしたんだ!?)

901以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:10:44 ID:MOT0E4vs
………………トイレ

成幸 「次はトイレです! ここも汚れがちですから、少なくとも一月に一回は掃除しましょう!」

真冬 「分かったわ。掃除の仕方も教えてくれると助かるのだけど……」

成幸 「わ、分かりました。今から一緒に掃除しましょう」

真冬 「ありがとう。本当に助かるわ」

成幸 (桐須先生が自分から掃除を教えてくれと言い出すとは……)

………………浴室

成幸 「あー、もう。せっかくきれいなおフロにまたピンクカビが……」

真冬 「ごめんなさい……。水が流れていればきれいになると思ってしまって……」

成幸 「流れがあるうちはいいですけどね、残った水に汚れがつくんですよ」

成幸 「おフロの後に、軽くスポンジで水気を取るだけできれいが長続きしますよ」

真冬 (ちょっと……いえ、かなり面倒だけど……これも、唯我くんのため……)

真冬 「……こっ、これからはそうするわ。約束します」 ニコッ

成幸 (素直すぎて怖い……!!)

902以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:11:39 ID:MOT0E4vs
………………リビング

成幸 「で、やっと部屋の掃除に入れるわけですが……」

グチャア……

成幸 「まず、掃除の基礎とかそういう話の前に、ゴミは定期的に出してください」

成幸 「うちの地区は週に二回は燃えるゴミの収集があるんですから、せめてどちらかだけでも出すようにしてください」

真冬 (ゴミ出し、ついつい面倒になってまた今度、また今度とため込んでしまうのだけど……)

真冬 (まったくもって唯我くんの言うとおりだわ。しっかりしないと……)

成幸 「それから、床に物を放置しないでください。それを徹底するだけで部屋は汚れませんよ」

真冬 (……床に物を放置しない!? そんな生活ができるの!?) ※できます

真冬 (うっ、でも……)

成幸 「………………」 ジーーーッ

真冬 「……わ、わかったわ。約束するわ。物はできるだけ床に置きません」

成幸 (できるだけ、っていうのが不安だけど……)

成幸 (素直に約束してくれてるんだから、信じてあげた方がいいよな)

903以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:12:21 ID:MOT0E4vs
成幸 「それから、使った物はすぐに片付けるくせをつけましょう」

真冬 「わかったわ」

成幸 「週に一度は掃除機をかける癖をつけてください」

成幸 「そうすればホコリもたまらないし、物を片付ける癖もつきますから」

真冬 「……うっ、ぜ、善処するわ」

成幸 「……?」 (色々言いすぎたからかな。段々いつもの桐須先生っぽくなってきたな)

成幸 (よかった。一時は何が起きたのかってくらい別人だったけど)

成幸 (笑顔もいいけど、やっぱりいつもの桐須先生の方が落ち着くな) クスッ

真冬 「あっ……」 (唯我くん、やっと笑ってくれたわ)

真冬 (今日は妙に刺々しくて戸惑ったけど、『カレエゴ』 を参考にしたおかげで元の彼に戻ったみたいだわ)

成幸 「……さ、じゃあ、実際に片付けをやっていきましょう。今日は先生中心ですからね」

真冬 「わ、わかっているわ。しっかりとやってみせるわ」

904以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:13:07 ID:MOT0E4vs
………………

成幸 「あらかた終わりましたね」

真冬 「ええ。いつも本当にありがとう。あなたのおかげで助かっているわ」

ニコッ

真冬 「今日あなたに教わったことをしっかりと実践していくように、がんばるわね」

成幸 「あ……は、はいっ」

成幸 (うぅ……。また笑顔だ……。今日の先生は妙に素直で、緊張するなぁ……)


―――― 『中には、ゴミ屋敷のような部屋でゴミに埋もれて栄養失調で亡くなるようなケースもあるようです』


成幸 (はっ! い、いかん! 緊張している場合じゃない! 厳しく、心を鬼にして……)

成幸 「で、でも、まだまだですからね! 先生は他の家事もダメダメなんですから!」

成幸 「掃除だけじゃなくて、家事全般、しっかりできるようになってもらいますからね!」

真冬 「………………」

成幸 「……あ」 ハッ (しまった。さすがに言いすぎだろうか……)

成幸 (これ、絶対怒られるやつだ……) ガタガタブルブル (とんでもなく失礼なことを言ってしまった)

905以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:13:42 ID:MOT0E4vs
真冬 「………………」

真冬 (唯我くん、また刺々しい感じだわ……。やはりこれは、非行の兆候かしら……)

真冬 (唯我くんがどうして刺々しいのか、まったく分からないわ……) シュン


―――― 『なら、彼が私に心を開いてくれるまで……私は彼に、心を開いて声をかけ続けるだけよ』


真冬 (……そう。そうよね、クリス。私には、彼に心を開いて、接することしかできないわね)

成幸 「あ、あの、先生? す、すみません。さすがに言いすぎ……――」

真冬 「――……ごめんなさい。私、まだまだよね。いつも君に迷惑をかけてばかりだわ」

成幸 「!?」 (あ……あれだけ言ったのに!? 先生がむくれてもいない!?)

成幸 (それどころか、しおらしい顔をしている!?)

真冬 (素直に。本当に、思っていることを……)

真冬 「君がいなかったらどうしようもなかったことも、今まで何度もあったわね」

真冬 「虫が出たときとか、海でのこととか、美春のことだって……」

真冬 「今だって、こうやって私に掃除を教えてくれたし……」

真冬 「だから、本当に君には感謝しているのよ」

906以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:14:32 ID:MOT0E4vs
成幸 (い、一体何が起きているんだ……)

真冬 (恥ずかしい、けど……)

真冬 (決して、嫌な気持ちではない……)

真冬 「……厚かましいお願いだとは思うけど、君がいいのなら、今後もよろしくお願いします」

真冬 「私に、色々と教えてくれると助かるわ」

真冬 (……そう。素直に。心の中で思っていることを、そのまま、)


真冬 「……これからも、ずっと。私のそばにいて、私が知らない色んなことを、教えて」


成幸 「っ……///」

成幸 「ず、ずっと、ですか……?」

成幸 (あっ……でも、そっか……)

成幸 (俺が、高校を卒業してもずっと先生のそばにいて、先生の代わりに家事をしてあげれば、全部解決じゃないか?)

ハッ

成幸 (い、いやいやいや……/// 何考えてるんだ、俺……)

907以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:15:12 ID:MOT0E4vs
成幸 「だ、ダメですよ、先生。俺がずっと先生のそばにいられるわけじゃないんですから」

成幸 「先生が自分で家事を覚えないと……」

真冬 「ダメ……」 シュン 「そうよね。あなたは、私のそばにはいたくないわよね……」

真冬 「こんなダメダメな私なんかのそばには……」

成幸 (なんでそんな悲しそうな顔をするんだー!?)

成幸 「いや、そういう問題じゃなくて……っていうか、そもそも先生が嫌でしょう?」

成幸 「俺が、高校を卒業した後もずっと、先生の家にお邪魔することになるんですよ?」

真冬 「私は全然構わないわ。むしろ……それは、とても嬉しいと思うもの」

成幸 「っ……」

真冬 (素直に……素直に……)

真冬 「あなたみたいな素敵な男の子に助けてもらえるって、とても幸せなことだと思うの」

成幸 「あっ……/// い、いや、俺は……その……」

成幸 (な、なんだ? 今日の桐須先生はやっぱりヘンだぞ? で、でも……)

成幸 「……お、俺は……俺も……――――」

――――prrrrrr!!!!!

908以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:15:57 ID:MOT0E4vs
成幸&真冬 「「!?」」 ビクッ

成幸 「あっ……で、電話……。すみません、出ます……」 ピッ

成幸 「もしもし? 水希? あ、ああ、もう帰るよ」

成幸 「ごめんごめん、ちょっと話し込んじゃってさ……。すぐ帰るよ」

成幸 「……ん、悪かったって。じゃ、切るな」 ピッ

成幸 「……すみません」

真冬 「……べつに」

成幸 「………………」 (……改めて冷静になると、)

真冬 「………………」 (なっ、何を……)


―――― 『あなたみたいな素敵な男の子に助けてもらえるって、とても幸せなことだと思うの』

―――― 『……お、俺は……俺も……――――』


真冬 (一体何を口走っていたのかしら私はーーーー!?)

成幸 (一体何を口走ろうとしていたんだ俺はーーーー!?)

909以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:16:43 ID:MOT0E4vs
………………

成幸 「な、なるほど。俺が刺々しいからグレたのかと思って……」

成幸 「それで、優しくすれば元の俺に戻るのかと思った、と?」

真冬 「あなたは、私がゴミに埋もれて孤独死を遂げるのではないかと心配になり……」

真冬 「私に家事を習慣づけさせるために厳しく接した、と……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

真冬 「へぇ……なるほどね……?」

成幸 (あ、完全にいつもの桐須先生だ)

成幸 「失礼なことを考えてしまったのは、本当にすみません。でも……」

成幸 「心配だったんです……」

真冬 「……はぁ。分かっているわよ、そんなこと」

真冬 「あなたが善意しか持ち合わせていないことなんて、ずっと前から知っていますからね」

真冬 「私の普段の生活が、あなたにそれを想起させるに足るだけのものだということでしょう?」

真冬 「それは私の責任だわ」

910以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:17:31 ID:MOT0E4vs
真冬 「ごめんなさい、受験生に無為に時間を使わせてしまったわね」

真冬 「さっきの電話、ご家族からでしょう? もう遅いし、早く帰りなさい」

成幸 「そうですね。そうします。長々と居座ってしまってごめんなさい」

真冬 「私の部屋の掃除に付き合わせてしまったのだから、謝る必要はないわ。ありがとう」

成幸 「あっ……」 クスッ 「ふふ……」

真冬 「? 何か可笑しなことを言ったかしら?」

成幸 「あ、すみません。そうじゃなくて……」

成幸 「さっきの先生を思い出してしまって、つい……」

真冬 「っ……」 カァアアアア…… 「わ、忘れなさい。あんな姿……」

成幸 「でも、お世辞って分かってても嬉しかったですよ? 先生が褒めてくれて、俺はとても」

真冬 「……べつに、お世辞ではないわ。全部本心よ」

真冬 「普段なら絶対に言わないけれど、君に助けられているのは事実ですからね」

成幸 「えっ……」 ボフッ 「あっ……そ、そうですか……///」

真冬 「?」

911以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:18:52 ID:MOT0E4vs
成幸 (全部、本心……? ってことは……)


―――― 『……厚かましいお願いだとは思うけど、君がいいのなら、今後もよろしくお願いします』

―――― 『……これからも、ずっと。私のそばにいて、私が知らない色んなことを、教えて』

―――― 『そうよね。あなたは、私のそばにはいたくないわよね……』

―――― 『私は全然構わないわ。むしろ……それは、とても嬉しいと思うもの』


成幸 (あれも、本心ってことか……?)

成幸 (“ずっと私のそばにいて” って言葉も……?)

成幸 (い、いやいや、そんなわけない。あれはさすがに、本心じゃないはずだ)

成幸 (……それに、俺も人のことは言えないよな。だって、)

真冬 「?」


―――― ((俺が、高校を卒業してもずっと先生のそばにいて、先生の代わりに家事をしてあげれば、全部解決じゃないか?))


成幸 (……それもアリかな、なんて思っているんだから)

おわり

912以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:19:47 ID:MOT0E4vs
………………幕間1 「彼女は妹につき」

水希 「………………」 (お兄ちゃん、帰ってくるの遅いなぁ……)

ピキューン!!!!

水希 「はっ!? お兄ちゃんが大人の女性にプロポーズされた気がする!?」

葉月 「和樹」

和樹 「ほいさ」

913以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:20:22 ID:MOT0E4vs
………………幕間2 「彼女はミーハーにつき」

池田 (川瀬先輩、『カレエゴ』 気に入ってくれたかな……)

池田 (まぁ、先輩も受験生で忙しいだろうし、まだ読んでないかな)

あゆ子 「あ、いたいた。池田ー!」

池田 「川瀬先輩……?」

あゆ子 「これ面白かったよ! 二巻貸してくれ! 頼む!」

池田 「もう読んだんですか!?」

池田 (……まぁ、川瀬先輩結構ミーハーなところあるからなぁ)

914以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:20:59 ID:MOT0E4vs
………………幕間3 「彼は律儀につき」

成幸 (……いや、でもよくよく考えてみたら、)

うるか 「ん? どったの、成幸?」 ←勉強と部活の頑張りすぎでぶっ倒れた奴

理珠 「成幸さん?」 ←うどんばっかり食べていて将来生活習慣病になりそうな奴

文乃 (成幸くんまたろくでもないこと考えてるね) ←超料理下手で食べるの大好きな奴

成幸 「………………」

成幸 (……桐須先生に限らず、こいつら全員のマネジメントをする必要があるな)

おわり

915以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 18:22:09 ID:MOT0E4vs
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

要素を増やしすぎて話がとっちらかってしまった気がします。
ツギハギのあとが見えてしまうかもしれません。
申し訳ないことです。

また投下します。

916以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 20:25:03 ID:G2BsidGg
おつです。
リクエストの話、ありがとうございました!。
先生からのプロポーズもありだな!

917以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/04(木) 20:41:30 ID:8RN6x6aE
乙です

918以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/05(金) 00:00:26 ID:kmfpT3V.
相変わらず早えわ

919以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/05(金) 12:58:53 ID:F2hru5As
>>824
このssすき

920以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 01:48:46 ID:to7lUyVg
先生ぐうかわ

921以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:11:06 ID:0O24lWYM
>>1です。投下します。


【ぼく勉】 あすみ 「キスは催眠術の後で」

922以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:12:10 ID:0O24lWYM
………………

あすみ 「はー……」 ノビー

あすみ (今日は捗ったな……。我ながらがんばったぞ)

あすみ (この前の模試の結果もなかなかだし、最近調子いいぞ。にしし……)

あすみ (この調子で、国立医学部確実に合格してやるからな、見てろよ親父)

あすみ 「………………」

あすみ (……もし、もしも)

あすみ (合格できたら……いや、できなくても、)

あすみ (後輩に、なんかお礼してやらないとな)

あすみ (そんときは、もっと素直に、しっかりとお礼を言わないとな……)

グゥゥ……

あすみ 「ん……しかし腹減ったな」

あすみ 「……寒いし、なんか温かいモンでも食ってから帰るか」

923以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:14:25 ID:0O24lWYM
………………緒方うどん

理珠 「……まったく、私には理解できないことです」

成幸 「いや、うん。まぁ、気持ちは分かるけどさ」

成幸 「そうやって意固地になってると、心情理解なんかできないぞ?」

理珠 「この物語はできなくていい気がします……」

理珠 「なぜこの少女は、意中の相手をからかって遊ぶのです?」

理珠 「その心情が理解できるのですか、成幸さんは」

成幸 「……うん。緒方の気持ちはわかるぞ? でも、そうじゃなくてだな……」

理珠 「恋愛とは、相手をからかって遊ぶのが主目的なのでしょうか……」

理珠 「好きなら好きとはっきり言うべきです。相手をからかっていたら、嫌われてしまうと思います」

成幸 (まずい。緒方の思考が受験勉強とはかけ離れたところに行きつつある……)

成幸 (どうしたものか……) ハァ

理珠 「……!?」

理珠 (成幸さんがため息を……!? まさかまた、何か、進路について悩み事が……?)

理珠 (こういうときはやはり……) スッ

924以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:15:04 ID:0O24lWYM
成幸 「……おい、緒方。それは何だ?」

理珠 「? それ、とは何ですか?」

成幸 「五円玉を糸で吊したそれだよ」

理珠 「成幸さんは何も気にしなくていいんです。ただ、この五円玉を見つめていてもらえれば」 フンスフンス

成幸 「鼻息荒くソレを構えるな! やめろ! ぶらぶら揺らすんじゃない!」

理珠 「む……」

ブスゥ

理珠 「なぜ邪魔をするのですか。私は成幸さんのためを思ってしているというのに」

成幸 「俺のためを思ってなぜ俺に催眠術をかけようとするんだ!?」

ガラッ

あすみ 「こんちゃーす。緒方いるかー?」

あすみ 「……って、何してんだお前ら?」

成幸 「あ、先輩……」

925以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:16:00 ID:0O24lWYM
………………

あすみ 「……はぁ? 催眠術だぁ?」 ズルズルズル……

成幸 「はい。実は以前、緒方の催眠術にかかってすごいことになりまして……」


―――― 『ええと…… 私が頭をなでると あなたはだんだん心地よくなって どんどん私に甘えたくなっていきます』

―――― 『よしよしよしよしよしよし いい子いい子です』 ぼたゅん

―――― 『今 ものすごく…… 成幸さんに甘えたい…… です』

―――― 『ひざまくらしてください』 『いい子いい子してください』 『あーんしてください』

―――― 『名前で呼んでください』


理珠 「はうっ……///」

成幸 「っ……///」

あすみ 「……あん? すごいことってなんだ?」

成幸 「い、いや、それは、その、大したことじゃ……」

あすみ 「ふーん。でも眉唾だなぁ。催眠術なんてそう簡単にかかるもんじゃねーぞ?」

理珠 「む……」 プクゥ 「疑われるとは心外です」

926以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:18:03 ID:0O24lWYM
あすみ 「そう怒るなよ。こちとら医学部目指してがんばってるんだ」

あすみ 「医学界でも精神療法で催眠術を用いる場面はままあるが、テレビみたいな催眠術ってのはなぁ……」

理珠 「………………」 スッ

成幸 「緒方? おい、緒方? 五円玉を構えてどうするつもりだ!?」

理珠 「先輩。なら、試しにやってみますか?」

あすみ 「お、面白そうじゃん。アタシはそんなの絶対かかんねーからな」

理珠 「わかりました……。じゃあ、やらせてもらいます」

成幸 「いや、まずいですって先輩。本当に、絶対ろくでもないことに……」

あすみ 「何心配してんだ後輩。アタシが催眠術なんかにかかるように見えるかよ」

成幸 「……んー、まぁ確かに、先輩が催眠術にかかってる姿は想像できないですね」

あすみ 「だろ?」

成幸 (……ま、先輩のことだし。大丈夫だろう。俺は絶対あの五円玉を見ないようにしないと)

理珠 「では、始めます。小美浪先輩。五円玉をよく見つめてください」

あすみ 「はいはい、っと……」

927以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:18:41 ID:0O24lWYM
理珠 (さて、どういう暗示をかけましょうかね。以前成幸さんには “甘える” という暗示をかけましたが……)


―――― 『なぜこの少女は、意中の相手をからかって遊ぶのです?』


理珠 (そういえば、小美浪先輩もよく成幸さんをからかって遊んでいますね)

理珠 (……小美浪先輩はややあまのじゃくですからね。“素直になる” という暗示はどうでしょうか)

理珠 「小美浪あすみさん」

あすみ 「はいよー」

理珠 「あなたは、この五円玉を見つめていると、だんだんとボーッと心地よい気分になっていきます」

あすみ 「ふんふん」

理珠 「そして、あなたはだんだんと、意識が遠のいていきます」

理珠 「次に目が覚めたとき、あなたはとても素直になっています」

あすみ 「……ふーん」

理珠 「心地よくなってきましたね。意識が浮かんでいきます。少しずつ、身体が浮かぶような気持ちで……」

あすみ 「………………」

………………

928以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:19:36 ID:0O24lWYM
………………

あすみ 「………………」 ポーーーーー

成幸 「………………」

成幸 (……ほんとにかかっちゃったじゃないかー!)

理珠 「ふふふ、成功です。やはり私の催眠術の腕は確かなようですね!」

成幸 「言ってる場合か! どうするんだよ、これ!」

理珠 「安心してください。ちゃんと解き方も勉強してありますから」 ドヤッ

理珠 「……まぁ、その前に一度目覚めてもらわないといけないですね」

パン!!!

あすみ 「んっ……あれ、アタシ……」

成幸 「あ、先輩、どうですか? 気分は悪くないですか?」

あすみ 「こう、はい……?」

ギュッ

あすみ 「後輩だぁーっ♪」

成幸&理珠 「「!?」」

929以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:20:31 ID:0O24lWYM
あすみ 「えへへっ、こうはいっ、こうはいっ」 ムギューーーッ

成幸 「先輩!? な、なんでくっつくんですか!?」

あすみ 「何でって、そんなの決まってるだろー?」

あすみ 「後輩にぃ、くっつきたいからだー!」 ムギュムギュムギュッ

成幸 「っ……///」 (せ、先輩の……色々なブブンが、めっちゃ当たって……///)

理珠 「むぅ……」 プクゥ 「……随分と嬉しそうですね、成幸さん?」

成幸 「何でお前が怒ってんだ!? いいから早く催眠を解いてくれよ!」

理珠 「あっ、そ、そうですね」 オホン 「では、小美浪先輩、こっちを向いてください」

あすみ 「やっ」 プイッ

理珠 「……いや、“やっ” ではなく……」

あすみ 「やっ!」 プイプイッ 「後輩をたぶらかすGカップは、やっ!」

理珠 「じ、Gカップって……! 私が胸だけみたいなこと言うのはやめてください!」

あすみ 「やーん、Gカップが怒った。こうはーい、怖いよー」 ムギュゥッ

成幸 (ほぼ抱きつかれてるような姿勢になってるぞ!?)

930以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:21:34 ID:0O24lWYM
理珠 「むぅ……」

理珠 「いいから、こっちを向いてください! いい子ですから!」

あすみ 「アタシいい子じゃないしー」 プイッ

理珠 「ムキー!!」

理珠 「………………」

成幸 「……お、おい、緒方?」

理珠 「……先輩がこっちを向いてくれない限り、私にはどうすることもできません」

成幸 「へ?」

あすみ 「……えへへ、こうはーい♪」

理珠 「まぁ、催眠術は数時間で解けますから」 ムスッ

理珠 「先輩は、成幸さんが責任を持ってお家に届けてあげてください」 ムスムスッ

成幸 「ちょっと待て! 本当に何でお前が怒ってるんだ!?」

931以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:22:23 ID:0O24lWYM
………………帰路

あすみ 「わーい、後輩のおんぶーっ♪ ラクチン〜!」

成幸 「わ、わかりましたから、あんまり騒がないでください、先輩」 フラフラフラ……

成幸 (いつもの先輩からは想像できない姿だ……)

あすみ 「えへー、ありがとなー、こうはいっ!」

ハムッ

成幸 「はうあっ!?」 ビクッ

成幸 「みっ、耳をはみはみしないでください……! あっ……ダメですって!」

あすみ 「お礼なのに……」 シューン

成幸 (こ、このままじゃ身が保たない……。早く家に送り届けないと……)

932以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:23:10 ID:0O24lWYM
………………小美浪家

成幸 「ごめんくださーい! 小美浪さん、いらっしゃいますかー?」

シーーーン

成幸 「あれ……?」

成幸 「先輩、お父さんは……?」

あすみ 「親父? 親父は今日は往診なんだ」

成幸 「……ってことは、家にはいないんですか?」

あすみ 「ん! だからふたりっきりだぜ、成くん?」 ムギュッ

成幸 「……!? な、成くんって……」

あすみ 「えへへー、今考えたんだ! ほら、アタシたち恋人同士だろ?」

成幸 「えっ」

あすみ 「なのにいつまでも先輩後輩呼びは変だろ。だから、成くん」

成幸 「い、いやいやいや、恋人同士って、それはあくまでお父さんを誤魔化すためのフリで……」

あすみ 「………………」 ウルッ

成幸 「!?」

933以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:24:01 ID:0O24lWYM
あすみ 「……成くんは、アタシが恋人じゃ、イヤってことか?」 ウルウルウル

成幸 「えっ!? いや、そういう問題じゃ……っていうか、何で泣きそうになってるんです!?」

成幸 (っていうか、これが素直な先輩って……) ボフッ (これじゃまるで、先輩が俺のこと好きみたいじゃないか……)

成幸 (いや、いやいや……いくらなんでもそれは自意識過剰すぎるな)

成幸 (先輩はきっと、俺への感謝の気持ちを “素直に” 表現してるだけだ。うん。絶対そうだ……)

あすみ 「だって……だってぇ……」 ブワッ 「成くんにフラれる〜〜〜〜!!!」

成幸 「わーー! 泣き出さないでください! ごめんなさい! 俺が悪かったですから!」

成幸 「嫌じゃないです! 先輩の恋人になれてすごく嬉しいですから!」

あすみ 「………………」 ピタッ 「……えへ〜」 ニコッ

成幸 (めっちゃすぐ泣き止んだ。このあたりはいつもの先輩と一緒だ……)

あすみ 「じゃあ、成くんは、アタシのことなんて呼んでくれるんだ?」

成幸 「え……!? えっと……あー……」

成幸 (……いつもの先輩に知られたらめちゃくちゃ怒られそうだけど)

成幸 (また泣かせるわけにもいかないし……)

934以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:24:40 ID:0O24lWYM
成幸 「あっ……」 カァアアアア…… 「“あーちゃん” ……とか?」

あすみ 「………………」

成幸 (……し、しまった。気に入らなかったか?)

ニヘラ

あすみ 「……えへっ。すごくいい。ね、呼んでみてくれよ、成くん」

成幸 「あ、はい……。えっと……あーちゃん?」

あすみ 「うん。成くん。えへへ……」 ギュッ

成幸 「……っ///」 (うー、恥ずかしい、けど……)

あすみ 「?」

成幸 (やっぱり素直な先輩はめちゃくちゃ可愛い……)

ハッ

成幸 (って、何考えてんだ俺は! 催眠術にかかってる相手にそんな……)

あすみ 「ほら、成くん! アタシの部屋行って勉強しよ!」 ギュッ

成幸 「わっ、せ、先輩……じゃなくて、あーちゃん! 引っ張らないでくださいよー!」

935以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:26:05 ID:0O24lWYM
………………あすみの部屋

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

カリカリカリ……

成幸 (ほっ。幸い、部屋についた途端、勉強モードに入ってくれた)

成幸 (先輩は根がまじめだもんな。“勉強したい” って気持ちも素直のうちなんだろ)

あすみ 「ねー、成くん。一問解けた! 解けたよ!」

成幸 「あ、はい。よくできましたね」

ナデナデナデ

あすみ 「えへへー♪」

成幸 (……まぁ、問題を解くたびに色々と要求されるけど、これくらいで済むならいいよな)

あすみ 「次の問題解けたらひざまくらしてくれるか?」

成幸 「……いや、それじゃ勉強できないじゃないですか」

あすみ 「……だめ?」 ウルウルウル

成幸 (こうやって感情に揺さぶりをかけてくるあたりはいつもの先輩と一緒だ……)

936以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:26:45 ID:0O24lWYM
成幸 「……じゃあ、一分だけですよ?」

あすみ 「! わかった!」

成幸 (……うん。まぁ、これくらいで済んで僥倖と言うべきだろう)

成幸 (緒方のときは最終的に永久機関ができあがったからな……)

成幸 (……いかんいかん。俺も勉強に集中しないと)

あすみ 「………………」

カリカリカリカリカリカリカリ……

あすみ 「……できた!」

あすみ 「えーい!」 ゴローン

成幸 「わっ……ととと……」

成幸 「もう、あーちゃん? いきなり寝転んでこないでくださいよ」

あすみ 「だって早く成くんに膝枕してもらいたかったんだもん!」

成幸 「まったく……。一分だけですからね?」

あすみ 「はーい」

937以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:27:31 ID:0O24lWYM
成幸 「………………」

カリカリカリ……

あすみ 「………………」 (……真剣な顔して勉強してる成くん、かっこいいなぁ)

あすみ (こんないい人の恋人になれて、アタシは幸せ者だなぁ……)

あすみ (……もっと、成くんと距離を縮めたいな)

成幸 「……ん。そろそろ一分ですよ、先輩。勉強を再開してください」

あすみ 「……んー、もうちょっとー!」

成幸 「約束を破るのはダメですよ。ほら、起き上がってください」 スッ……

あすみ 「はうっ……!?」

成幸 「あっ……///」

成幸 「す、すみません。先輩を起こそうと思ったけど、近づきすぎました……」

あすみ (きっ……) ボフッ (キスされるかと思った……///)

あすみ (……ん、キス?)

あすみ (キス……かぁ)

938以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:28:10 ID:0O24lWYM
成幸 「? あーちゃん?」

あすみ 「……ねえ、成くん。今から小テストやるから、終わったら採点お願いしてもいい?」

成幸 「もちろんです。がんばってくださいね、先輩」

あすみ 「………………」 ジーーーッ

成幸 「あっ……。あーちゃん……」

あすみ 「……うん!」 パァアアアアアア……!!

あすみ 「ねえねえ成くん。もうひとつお願いがあるんだけど、」

成幸 「何です?」

あすみ 「この小テスト、満点取れたらゴホービちょうだい?」

成幸 「ご褒美? また膝枕ですか?」

あすみ 「ううん。今度は……その……、……ゥ、して、ほしい……」

成幸 「?」

あすみ 「……だから……チューして、ほしい」

成幸 「へ……?」

成幸 「……い、いやいやいや! それはさすがにまずいでしょう!?」

939以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:29:04 ID:0O24lWYM
あすみ 「まずいって、どうして?」

成幸 「いや、だって、あーちゃんはいま、催眠術にかかって……」

あすみ 「催眠術にかかってると、チューしちゃいけないのか?」

成幸 「そ、そりゃそうですよ。前後不覚の女性に、そんなこと……」

あすみ 「……むぅ。そんなにアタシとチューするのイヤかよ」

成幸 「むくれてもダメですよ。さすがに、こればっかりは……」

あすみ 「……イヤなんだ」

成幸 「嫌とかそういう問題じゃなくて……」

あすみ 「成くんがイヤじゃないならいいだろ? アタシがしたいって言ってるんだぞ?」

成幸 「………………」

ハァ

成幸 「……分かりました。満点取れたらですからね」

あすみ 「!」 パァアアアアアア……!!! 「うん、がんばる!」

成幸 (……まぁ、大丈夫だろ。先輩がいまやってる問題集、かなり難しいやつだし)

940以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:29:50 ID:0O24lWYM
………………

成幸 「……!?」 (ま、満点……!?)

あすみ 「よっしゃー! 全問正解!」

成幸 「す、すごい。先輩、着実に基礎が身についてるってことですよ!」

成幸 「国立医学部、かなり現実味を帯びてきたんじゃないですか!?」

あすみ 「えへへ。ありがとな、後輩」

あすみ 「……ってことで、ゴホービ、だよな?」

成幸 「あっ……」 (わ、忘れてた……)

成幸 「いや、えっと、その……」 テヘッ 「ご褒美って何でしたっけ?」

あすみ 「あん? それでごまかせると思ってるのか、お前は?」

成幸 「……ですよね」

成幸 「いや、でも、やっぱりキスは……」

あすみ 「………………」 プクゥ 「……やっぱり、アタシとキスすんのイヤなだけじゃねーか」

成幸 「そうは言ってないですけど……」

941以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:30:26 ID:0O24lWYM
あすみ 「ならいいじゃねーか」

スッ……

成幸 「あ、あーちゃん……」

成幸 (目を閉じて、唇を尖らせて……これって……)

成幸 (俺のキスを、待ってるってこと、だよな……)

ドキドキドキドキ……

成幸 (キス……)

成幸 「………………」 グッ 「……先輩」

あすみ 「こう、はい……?」


成幸 「――……やっぱり、ダメです」


あすみ 「……っ」 プイッ 「そんなに、イヤかよ。アタシとキスするの……」

成幸 「違います。いま、先輩は催眠術にかかってるんです。だから、そんな先輩にキスをするのは、卑怯なんです」

成幸 「だから、ダメなんです。分かってください。先輩……いや、あーちゃん」

あすみ 「………………」

942以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:30:59 ID:0O24lWYM
あすみ 「……なぁ、こうは――成くん?」

あすみ 「でも、さっき言ってたよな? 約束を破るのはダメだって」

成幸 「ん……」


―――― 『約束を破るのはダメですよ。ほら、起き上がってください』


成幸 「まぁ、確かに言いましたけど……」

成幸 「でも、やっぱり……」

あすみ 「……それに、さっきの言い回しだと、アタシの催眠術が解けたら、チューしてもいいってことだな?」

成幸 「へ? いや、そういうことじゃ……なくは、ないのかな?」

成幸 「で、でも、催眠術が解けたら、そもそも先輩はべつに俺とキスなんか……――」

――ギュッ……スッ……

成幸 「へ……――」


――――――チュッ……


成幸 「……!?」

943以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:31:46 ID:0O24lWYM
あすみ 「………………」

成幸 「………………」

ッ……

あすみ 「……約束は、約束だからな。恨むなよ」

成幸 「……は? えっ? いや……えっ」

あすみ 「……お茶でもいれてくる」

トトトト……バタン

成幸 「………………」

カァアアアア……

成幸 「い、いま……き、キス……? 口に? えっ? ええっ!?」

成幸 (い、いやいやいやいやいやいやいや、お、おおおお落ち着け、俺)

成幸 (先輩は、催眠術にかかってたんだ。だから、べつに、他意はなくて、そんな大したことじゃ……)

成幸 「………………」

成幸 (……大したことじゃないわけあるかーーーー!!!)

成幸 (せ、先輩にどんな顔して会えばいいんだ? ど、どど、どうしたら……///)

944以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:32:35 ID:0O24lWYM
………………ドアの外

あすみ 「………………」

スッ……

あすみ (……チューって、結構ドキドキするもんなんだな)

あすみ (唇が熱い……気がする)


―――― 『……それに、さっきの言い回しだと、アタシの催眠術が解けたら、チューしてもいいってことだな?』

―――― 『へ? いや、そういうことじゃ……なくは、ないのかな?』


あすみ 「……おまえが悪いんだぞ、後輩」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「催眠術が解けているなら、キスしてもいいって、言ったのはお前なんだから」

おわり

945以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:35:28 ID:0O24lWYM
………………幕間1 「あきらめた」

水希 「………………」

ピキューン!!!

水希 「お兄ちゃんがまた女とキスした気がする!!」

花枝 「………………」

和樹 「? 母ちゃん何か言わないの?」

花枝 「もうあきらめたわ」

946以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:36:06 ID:0O24lWYM
………………幕間2 「また」

文乃 「また相談したいことがあるって……何かあったの?」

クスッ

文乃 (……なんて、どうせりっちゃんかうるかちゃんのことだろうけど)

成幸 「……うん。実は、これはあくまで友達の話なんだけど……」

文乃 「うんうん」

成幸 「その友達が、知り合いの女の先輩とキスしちゃってさ……」

文乃 「うんう――うん?」

成幸 「……どうしたらいいかな?」

文乃 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

成幸 「……? 古橋?」

文乃 (この男……)

文乃 (またゆきずりの女とフラグを……!!!)

おわり

947以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 15:36:53 ID:0O24lWYM
>>1です。読んでくださった方、ありがとうございました。

このスレにあと一つくらい投下できると思います。
また投下します。

948以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 19:04:08 ID:gGGRcViI
先輩の話甘いわ
それがいいんだけどな!!

949以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 21:44:58 ID:0O24lWYM
>>1です。投下します。

【ぼく勉】 成幸 「結局あの後、緒方の家に泊まることになってさ」 文乃 「ちょっと待って」

950以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 21:45:42 ID:0O24lWYM
………………問36後 夜 ラーメンうめえん

ズルズルズル……

うるか 「んーっ! やっぱりこの時間のラーメンは最高だね、文乃っち」

文乃 「ほんとだねぇ……」 ズルズルズル……

文乃 (うぅ……また太っちゃう……)

文乃 (でも美味しいよぅ……)

文乃 「あ、すみません。替え玉お願いします」

店員 「かしこまりましたー!」

文乃 (ああもう、太っちゃうなぁ……困るなぁ……)

うるか 「でも、リズりんほんとにダイジョーブだったの?」

文乃 「えっ……あ、う、うん。大丈夫。問題なかったよ」

951以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 21:46:12 ID:0O24lWYM
うるか 「ふーん、そっか。“タスケテ” なんてメール送ってきたから心配しちゃったね」

文乃 「あはは……」


―――― [えっと唯我君…… これは一体全体どういうことなのか 説明してくれるかなこの野郎]

―――― [ち 違う! これはかくかくしかじかで……]

―――― [ホラー映画? ああ…… たしかにりっちゃん苦手だもんねぇ……]

―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]

―――― [……もう しょうがないなぁ…… これは貸しにしておくからね!]


文乃 (……まぁ、唯我くんのことだから全部本当のことだろうし、大丈夫だよね)

文乃 「そんなことより、夜はこれからだよ、うるかちゃん」 ズルズルズル……

うるか 「? 夜はこれから?」

文乃 「あ、すみません! チャーハン大盛り追加お願いします!」

店員 「かしこまりましたー!」

うるか 「ほへー、たくさん食べるねぇ、文乃っち。よーし、あたしも負けないよー!」

952以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 21:46:54 ID:0O24lWYM
………………翌日 夏期講習 昼休み

文乃 「うぅ……」

ボロボロ

文乃 「今日の講習も散々だったよ。進むのが早いよぅ……」

成幸 「まぁ、しょうがない。寝なかっただけ偉いぞ、古橋」

成幸 「さて、じゃあ今日の範囲の復習からだな。お昼食べながらやるぞ」

文乃 「はーい……」

ジーーーッ

文乃 (……特に何も言ってこないから、わたしの方から聞くのもはばかられるけど)

文乃 (昨日は結局、あの後どうなったんだろう)

953以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 21:47:33 ID:0O24lWYM
文乃 (りっちゃんのことだから一晩中怖かっただろうし、ヘタしたら唯我くんにずっとそばにいてもらったりして……)

クスッ

文乃 (……なんて、そんなわけないか。唯我くんは紳士だし、りっちゃんもその辺はわきまえてるもんね)

成幸 「あ、そういやさ、昨日の話だけど、」

文乃 「うん? あの後のこと?」

成幸 「うん。まったく、ひどい目にあったよ」



成幸 「結局あの後、緒方の家に泊まることになってさ」



文乃 「ちょっと待って」

954以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/06(土) 21:48:33 ID:0O24lWYM
成幸 「? どうかしたか?」

文乃 「いや、“どうかしたか?” じゃないよ!?」

文乃 「何 “コンビニ行ってきた” みたいな軽い感じでとんでもないこと言ってるの!?」

文乃 「泊まったの!? りっちゃん家に!?」

成幸 「いや、まぁ……泊まったって言っても一晩中起きてたし……」

成幸 「何も問題はないと思うけど」

文乃 「むしろ余計に問題が増えたんだけど!? ずっと起きてたの!?」

成幸 「なんで起きてたら問題なんだ?」

文乃 「むしろそれで問題ないと思っている方が疑問なんだけど!?」




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板