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モバP「雪美さんといっしょ」
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あと、割となんでもありです
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モバP「あけましておめでとうございます、佐城雪美さん」
雪美「あけまして……おめでとう」
モバP「今年もよろしくお願いします」ペコリ
雪美「……うん」
モバP「さて、皆にも渡していますが、はい――心ばかりのお年玉です」
雪美「……ありがとう……」
モバP「さて、目上的なことはここまで。おかえり雪美」
雪美「……」(つ゚-゚)つ
ヒョイ ポスン
モバP「定位置に戻ってきたな。これぞ実家のような安心感」
雪美「……重くなって……ない?」
モバP「ないよ。でも正月太りが心配なら後で一緒にトレーニングしようか」 ウン
ちひろ「ああ、日常に帰ってきたんだなって」
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92
モバP・雪美「……」 ←合体中
雪美「……P、……少し……姿勢を変えたい」
モバP「分かった」
ゴソゴソ モゾモゾ
雪美「……ここは……もう少し……こう」
モバP「あっ、そこはやめろくすぐったい」
雪美「……動かないで」
ゴソゴソ モゾモゾ
雪美「……できた」
\理想の座り心地/
雪美「……♪」スリスリ
ちひろ「寝床を整える猫みたいですね」
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モバP「雪美は初詣には行ったのか?」
雪美「うん……着物で……」
雪美「おみくじは……大吉」
モバP「それは良かったな。業界人たるもの、やっぱり行かないとな」
雪美「……行ってない……の?」
モバP「あああああああああ!! 忘れてたああああ!」
ちひろ「ええ……」
モバP「まあ、絶対に行かなくちゃいけないものでもないと思うんだ」
ちひろ「おいおい」
モバP「なので、行ったつもりになってこの梅ヶ枝餅でも食べましょうか」
雪美「おお……おいしそう……」
ちひろ「どちらに行ったつもりですかそれは。あ、温めましょうね。それとお茶も」
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――
雪美「おいしい……」モグモグ
ちひろ「熱いお茶請けに良いですね」
鈴帆『年始に大宰府天満宮に行ったけん、Pしゃんへのお土産たい』
モバP「って渡されましてね。ありがたいことです」
モバP「しかし大宰府みたいな大きい所に初詣、良かですなあ」
ちひろ「今から行けば良いじゃないですか。三が日は過ぎましたけど」
モバP「おみくじとかまだ買えるんですかね? 露店はもう無いだろうなあ」
雪美「……P……私……Pの分……持ってきた」ハイ
モバP「なんと! ありがとう……おっ、これは招き猫おみくじじゃないか。開けるぞ?」
雪美「……」コク
テレレレテレレレテレレレテレレレ ゴマダレー
モバP「おお、黒猫だ」
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モバP「黒は家内安全か。一人暮らし中ではあるが、大切なことだな」
雪美「私たちも……Pの……家族のつもりで……いる……」
モバP「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」ナデナデ
ちひろ「その家族には私も含まれているんですか?」
雪美「うん……」
ちひろ「……雪美ちゃんが言うなら仕方ないですね」
モバP「照れちゃってー。ちひろさん、雪美には甘いですよね」
ちひろ「あなたにも充分甘いつもりですよ? プロデューサーさん」
ハハハハ フフ
雪美「それにしても……Pは……黒猫に……好かれる……」
モバP「本当になあ。でもそれは多分、雪美に出会ってからだぞ?」
雪美「……あっ」
ちひろ「お二人の甘々な関係には今年も敵いそうにないですね」
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ペチャクチャ
茄子「あ、自動販売機ですね。何か飲んで帰りましょうか」
ほたる「そうですね……」
雪美・モバP「賛成」
茄子「私はなっちゃんにしまーす」チャリン ピッ ゴトッ
ピピピピピ オオアタリ! モウイッポンエランデネ
茄子「ナイスですね〜、雪美ちゃん選んで良いですよ♪」
雪美「ありがとう……。カルピス……」ピッ ゴトッ
モバP「良かったな雪美」 ウン
ほたる「さて、私は……お茶にしようかな」チャリン ポチッ
シーン
ほたる「…………えっ」
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ガチャ ガチャ シーン
モバP「釣りも出ない……飲まれたか。おのれウチのほたるを曇らせるな自販機めが」
ほたる「良いんです……このくらい」
モバP「このお茶が欲しかったんだな?」チャリン ピッ ゴトッ
モバP「はい。……コイツには後で俺からきつく言っておく、……なんてな」
ほたる「あ、ありがとう……ございます。……えへへ」パアッ
モバP「良い笑顔だぞ」
ゴクゴク
モバP「茄子は当たりを雪美にあげた、ほたるはお金を飲まれた、俺は代わりに一本買った」
モバP「これで三方一両損。大岡越前の名裁きと相成った訳だな。ハッハッハ」
茄子「でも、プロデューサーは飲まないんですか?」
雪美「はい……P」
モバP「てんきゅー」ゴクゴク
茄子・ほたる「何て自然な回し飲み……良いなぁ」
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奈緒「Pさんは年末年始は何をしていたんだ? 初詣に行かなかったとは聞いたが」
モバP「もう広まっているのか……年末は七海と一緒に南半球の海に泳ぎに行った」
奈緒「本当に行ったのか……」
モバP「時間が時間だけに強行日程だったがな」
七海「本当、何させてるんれすかね〜、この人は」
雪美「……照れてる?」
七海「……///」
モバP「後は仕事して、休みは実家に顔出して、しっかり食べて、寝て、楽しんで来たよ」
奈緒「七海に変なことしてないよな?」
モバP「甘やかしはしたな。二人きりだと結構デr」
七海「プロデューサー?」ツネリ
モバP「あう」
-
奈緒「……まあこの人なら大丈夫か。普段は雪美とベタベタだし、人外だし」
雪美「……人外……」ジー
モバP「公然と人外呼ばわりはやめてくださる?」
雪美「奈緒は……休みは、何をする……?」
奈緒「積みアニメの消化をな……」
モバP「忙しくても趣味に妥協をしない所はさすが奈緒だな」
奈緒「あたしは時間の使い方が上手すぎるPさんが羨ましいんだけどな!」
モバP「そりゃ人外だからな」
七海「自分では言うのか……」
雪美「……P……今度、奈緒にも……付き合ってあげて」
奈緒「いや、別にいいよ。一緒に見るのは恥ずかしいだろ?」
モバP「はたらく細胞にする? それともちおちゃんの通学路?」
奈緒「ガッツリ見る気だな!? いいってば!」
七海「……真に恐ろしいのは人外を手中に置く雪美ちゃんかもしれないれすね〜」
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礼「P君になぞなぞよ」
モバP「はい」
礼「Hになるほどかたくなるものは何だ」
モバP「鉛筆」
礼「男性が体の真ん中にぶら下げてるものは何だ」
モバP「ネクタイ」
礼「刺激を与えたりすると大きさが六倍になることもある体の器官は何だ」
モバP「瞳孔?」
礼「……こういうのは真顔で解答しちゃダメよ?」
モバP「アイドルがからかってくることも多いので、変に取り乱して墓穴を掘りたくないんです」
雪美「……P……パスポートの、性別・SEXがFって……どういう意味……?」
モバP「えっ/// えっと、その……」
礼「でも不意打ちには弱いのね」
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モバP「何だかんだあって成人式。雪美も大きくなったなあ」
モバP「大正浪漫な女子袴も良いが、やはり振袖よな」
雪美「……」キラキラ
モバP「はんなり京美人、よう似合うてはりますわ。あ、皮肉やあらしまへんよ」
雪美「……またそうやって、茶化すんだから……いけず」
モバP「しかし俺も十年も経てばすっかり中年のおっさん。歳は取りたくないもんだよ」
雪美「……ごめんね……Pと……結婚……できなくて」
モバP「そんな顔しない。楽しかったこれまでの時間を気まずい思い出にはしたくないだろ?」
雪美「うん……行ってくるね」 テクテク
――
モバP「うーん……雪美、幸せになれよぉ……zzz」
鈴帆「起きんしゃいPしゃん、鈴帆が来たばい?」ユサユサ
ちひろ「いや、そこに跨るのはまずいですよ鈴帆ちゃん……」
-
今日はここまで
行けるところまで
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雪美「P……」スッ
モバP「あっ」ピクッ
雪美「……耳……冷たい」
モバP「外歩いて来たからな。雪美はどうだ?」スッ
雪美「……」キョトン
モバP「おっと、こっちは猫耳か。自然過ぎて思わず間違えたよ」スッ
雪美「やっ……」ピクッ
モバP「お互い様だ。……雪美は全体的に温かいな」
雪美「……Pは……二回さわった……おかえし」ギシッ
モバP「近いよ雪美さん」
雪美「……耳……温めてあげる」ハー
ちひろ「私も拳を温めといた方が良いですかねえ?」
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モバP「レッスンが上手くこなせなかったか」
雪美「……うん」
モバP「そんな日もあるさ」
雪美「……」
モバP「前を向いて行こうぜ。きっと君なら乗り越えられる」
モバP「……と、無責任な言い草かもしれないな」
雪美「……そんなことは……ない」
モバP「技術的にあまり突っ込んだアドバイスはできないが、大切なのは失敗から目を背けないことだ」
モバP「何でもこなせて当たり前、ではないからな。目標ができたと思おう」
雪美「……うん。……目標……」
モバP「それを超えた先に、達成感があるはずだ」
ちひろ「良いことは言っている風でも膝の上に座らせていると絵面がね……」
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雪美「……」ジッ
モバP「……?」
雪美「……P……高い……」
モバP「それは何というか……ごめんなさい?」
ちひろ「何でもすぐ謝るのは良くないですよ」
モバP「はい」
雪美「……」
モバP「確かにこうして立って面と向かい合うと、俺は視線を下げ、雪美さんは見上げることになる」
モバP「……ならば、しゃがんでみる」ストン
オイデオイデ
ちひろ「犬を呼ぶ飼い主の図」
雪美「違う……そうじゃない……」
-
雪美「……Pと……入れ替わって……みたい……」
モバP「君の中に入ってその目から僕を覗いたらちょっとは物分かりが良くなるのかしら的な?」
ちひろ「今夜月の見える丘にかな?」
モバP「入れ替わることはできないが、代わりにこの脚立に乗ってみないか?」
ちひろ「それは年末の掃除に使ったやつですね」
トン トン トン
雪美「おお……高い」
モバP「今の雪美さんは俺より高いぞ。足元は気をつけてな」
雪美「うん……。……でも……P……来て」
モバP「ただいま参りまする。……ここで良いかな。……ん?」
ナデナデ
モバP「ああ……何と心地良い」
雪美「……Pのように……上から……こうしてみたかった……」
ちひろ「念の為に脚立を支える係やめても良いですかね?」
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101
モバP「クラリスさんじゃないですが、糸目の人って底知れない怖さがあるキャラにされがちですよね」
ちひろ「そんなこと言って良いんですか? クラリスさんがこっち見ていますけど」
モバP「えっ」
雪美「……?」
ちひろ「本気にしましたか?」
モバP「驚かさないでくださいよちひろさん」
ちひろ「まあ、そうやって勝手にイメージを膨らませて怖がったりからかったりするのは良くないのでは」
ちひろ「そういうの、風評被害って言うんですよ」
雪美「……ふうひょうひがい……ダメ……」
モバP「一理あるな。クラリスさんはクラリスさんだ」
ちひろ「でも、どうして糸目がそういうイメージになるのかは興味ありますよね」
モバP「下敷きとなるインパクトの強いキャラクターがどこかにいるんでしょうが」
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モバP「糸目にもカーブ系とまっすぐ系と釣り目系があって、怖いイメージを作るのは釣り目な気がします」
ちひろ「キツネ目ってやつですか。キツネは昔から人を化かす動物とされてきましたからね」
モバP「タヌキもそうなんですが、どうも見た目のせいか大らかなキャラクターにされがちと言いますか」
ちひろ「キツネはシャープですからね。更にはお稲荷さんとか九尾とか格の高そうな伝承が多いですし」
雪美「……私は……キツネと……タヌキ……どっちだと……思う?」
モバP「雪美さんは、強いて言うならキツネに近い動物なんじゃないかな」
ちひろ「動物言うなし」
モバP「でもキツネを擬人化すると大体金か、銀髪寄りになりますねえ。塩見の周子さんのような」
ちひろ「周子ちゃんがこっち見ていますよ」
モバP「二度も人を担ごうとしたってそうはいかねえや」
周子「お腹すいたーん♪」
モバP「今度は本当にいたよ」
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周子「なになに、何の話してるの?」
モバP「教えてあげるから、ちょいと薄く目を閉じて笑ってみて」
周子「何されるのかなー? はい、これでいい?」
モバP「ん、穏やかで優しい顔に見えるな」
少女説明され中……
周子「なるほどねー、糸目かー。……んー、シューコちゃんもと思ったけどダメ。前が見えねェ」
モバP「やろうと思ったら大変なんだよな糸目って」
ちひろ「クラリスさん、あれで普通にしているのはやっぱり凄いのかもしれませんね」
周子「……糸目とは違うけど、雪美ちゃんの目も、強く訴えかける力を持っているよね」
雪美「……」ジッ
周子「むむ……おやつ食べたい? あたしもなんだよねー。という訳でPさんどこか連れてって?」
モバP「君が食べたいだけなんとちゃいます?」
雪美「たいやき……食べたい……」 ホラ
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102
モバP「見よ、この筋肉美を」
雪美「……」(゚△゚)
モバP「栗みたいな口しやがって」
ちひろ「呆れているんですよ。というか事務所で服を脱ぐな」
モバP「いや、話の流れで見たいと頼まれたものですから」
ちひろ「自重してください」
雪美「……ちひろさん」
ちひろ「どうしましたか?」
雪美「……私も……あんな風に……なれる……?」
ちひろ「やめておいた方が良いですよ」
雪美「……いつか……Pを、肩車……してあげたい……」
ちひろ「雪美ちゃん。その志はともかく優しい心だけは捨てないでね」トオイメ
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103
比奈「プロデューサー。今ちょっとネタに詰まっていまして……何か会心のアイデアはないっスかね」
モバP「触手純愛なんてどうだい」
比奈「アイドルに何てものを描かせる気っスか」
モバP「いや、荒木先生はR指定系もいけないことはないのでしょう?」
比奈「割とダメです」
モバP「なら、純愛なんで健全ソフト路線でも良いのよ」
比奈「プロデューサー、そういう性癖をお持ちなんっスね……」
モバP「モンスターと心通わせる系のが好きなだけで他意はないよ?」
比奈「本当っスか……? 描くとしたらギャグっぽく、ですかねえ」
モバP「良いね。今時は女騎士とオークなんかもギャグに走ることが多いし」
比奈「ただ、そういうのは結局エグい本元をリスペクトした上での面白さではないかと」
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比奈「例えば触手とじゃれ合うにしてもどうするか、ですねえ」
モバP「まずは服を脱ぎます」
比奈「えっちぃのは嫌いです」
モバP「液でじわじわ溶かす触手くんは三下ですよ。服が勿体無いじゃないですか」
比奈「そういう問題ですか」
モバP「そしてお風呂で体を丁寧に洗ってあげましょう」
比奈「ペットか何かっスか」
モバP「あとはリラックスしてきたところにお酒でも勧めれば、気分よく絡んできてくれます」
比奈「絡み酒っスね」
モバP「……」
比奈「……もうちょっと真面目に考えてもらえませんかね」
雪美「みんな……仲良しが……一番」
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104
カチカチ
雪美「P……何を……調べているの?」
モバP「日本海側の天気と学力の関係」
ちひろ「また結構どうでも良いことを調べていますねえ」
モバP「特に北陸ですね。金沢では弁当忘れても傘忘れるな、なんて言うそうで」
ちひろ「天気が悪い日が多いとインドア活動が中心になって勉強に熱が入るのでは? ですか」
モバP「はい。石川県は学力テスト一位だそうで、ひょっとしたらそういう関連性も? ……と」
雪美「P……」
モバP「何ですか雪美さん」
雪美「真面目に……お仕事した方が……良いと思う……」
モバP「よし、やるぞ! まずはこの書類を片づけるんだ!」
ちひろ「雪美ちゃんが煽ってくれると素直なんですよねえ」
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105
モバP「雪が積もったので雪合戦でもしないか?」
ペロ「ニャー」
雪美「お断りします……」モゾ
モバP「しまった、そういえば雪美さんは猫属性だった。道理でコタツで丸くなる訳だよ」
モバP「……しんしんと舞い降る雪……美しい光景だな」
モバP「雨は地面に当たって音が出るが、それがない。静かだ」
雪美「雪……美しい……」
モバP「雪美……か」
モバP「小学校の宿題で自分の名前の由来を親に聞かされた記憶だけあるなあ」
モバP「その時に聞いたはずの肝心の由来はもう忘れてしまったが」
モバP「……ねーねー雪美、どうして雪美は雪美って名前なの?」
雪美「……秘密」
ちひろ「しかしペロちゃんは知っています」 ニャー
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今日はここまで
登坂車線ここまで
-
触手純愛とはいったいどういうジャンルなのか
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モバP「今日は給食に好きな物が出たのか」
雪美「うん……イチゴのムース……」
雪美「……Pにも……食べさせたかった……」
モバP「気持ちだけでも嬉しいよ。ありがとう」
モバP「デザート回は得した気分になれるんだよな。イチゴでもジャムだったら出現率は高いが」
雪美「あれも……ビュッフェのとは……違う……」
モバP「給食のは袋が透明だが、ビュッフェのはポーションタイプだな。あれはちょっとリッチな気分になる」
雪美「分かる……」
モバP「ああ、でも給食かぁ。また食べたいなあ」
モバP「でも、調べてみると今の給食は以前より相対的に質素になっているようだな」
雪美「……私には……ちょうどいい……量……」
モバP「君たちアイドルは な ぜ か 体重が軽すぎる子が多いので気になります」
ちひろ「タブーに触れちゃいかんよキミィ」
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モバP「雪美は落ち着いた、良い声だよな」
雪美「……どう聞こえるかは……人による……」
モバP「謙遜しているな」
モバP「例えば、深夜や早朝ラジオの独特の静けさの中で淡々と喋っていたら、俺が視聴者なら惹き込まれる」
モバP「勿論、現状その時間帯に仕事をさせる訳にはいかないんだがな」
雪美「……ラジオは……あまり……聴かない……」
雪美「……でも……朗読は……好き……」
モバP「ラジオドラマも良いが”朗読!”というのもオツだね」
雪美「……私でも……できる……?」
モバP「時間があるなら、お仕事ではないが、ボイスレッスンがてらちょっとやってみるか」
モバP「雪美の感覚でこの、銀河鉄道の夜を読んでもらおう」
――
ちひろ「その後、プロデューサーさんはトリップして倒れたそうです」
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雪美「いつもの……」
モバP「膝の上……」
モバP「はぁ〜、疲れている時はやっぱりユキミニウムの摂取が一番だ」
雪美「……私……吸い取られて、いる……?」
モバP「早く抜け出さないとカラカラに干からびてしまうかもなぁ〜?」
雪美「……!」
モバP「……!!」
雪美「……そんなわけ……ない……」ペシ
モバP「あろうはずがございませんわな」
モバP「まあ、あまりにも長くこの姿勢のままでいればエコノミークラス症候群にはなるかもな」
雪美「……じゃあ……降りる」ピョン
モバP「あらあら」
ちひろ「そりゃ人間は何時間も膝の上に誰かを乗せることを想定して作られていませんからね」
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幸子「プロデューサーさん!」
モバP「何だい幸子」
幸子「プロデューサーさんは女の子の扱いを分かっていませんね!」
モバP「そんなことはないぞ」
幸子「ほう、ではお手本を見せてもらいましょうか」
モバP「構わんぞ。――雪美さん」
雪美「うん……」 ヨジヨジ ポスン
モバP「よしよし」ナデナデ
雪美「……」(*゜-゜*)
幸子「ボクが言いたいのはそういうことじゃありません!」
雪美「……幸子も……座ってみる……?」
幸子「い、良いんですか?」
-
【交代タイム】
幸子「……ふ、フフーン。悪くないですね!」
モバP「幸子はいつも体を張って頑張っているのに、俺はこのくらいでしか労えないな」ナデナデ
幸子「プロデューサーさんは、いろいろボクたちを楽しませようとしてくれるじゃないですか」
幸子「自分を卑下しないでください? この、撫でる手でしか伝わらないこともあるんです」
モバP「男の子の扱いをよく分かっているようだな」
幸子「当然です! アナタはボクがどんな時でもカワイイを保つ為に欠かせない存在ですから、無下に扱えるはずがないでしょう?」
モバP「優しいな。とりあえず、無理はするなよ? 俺も無理をすることになるから」ナデナデ
幸子「んっ……分かりました」
モバP「しかし幸子も膝の上に乗るのに抵抗が無いんだなあ」
幸子「何ですか、いけませんか?」
モバP「育ちの良さが普段の所作で感じられるから、こういうのははしたないとか思わないのかなと」
幸子「……背徳感はないこともないです」
-
幸子「パパ以外の異性、それも年上の膝の上で落ち着けるって何でしょうね?」
モバP「落ち着くのか?」
幸子「普段の雪美さんの気持ちが分かります」
雪美「……幸子も……ひざ教に……入ろう」
幸子「怪しい宗教ですね! でも雪美さんが教祖様なら……いえ、冗談ですよ?」
幸子「……手が止まっていますよ? もっとなでてください」
モバP「分かりましてごぜーます」ナデナデ
幸子「あっ」ピクン
モバP「どうした」
幸子「そこはちょっと、敏感なので……優しくしてください///」
モバP「外ハネに神経が通っているのか君は」
幸子「……プロデューサーさん、女の子の体のことも知らないなんて可哀想ですね」ハァ
ちひろ「謎多き乙女の構造よ」
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モバP「想像すると怖いものってありますよね」
ちひろ「改まって何ですか? リアルには想像しなくても怖いものだらけですけど」
モバP「ちひろさんの怖いの基準がよく分からないですが」
モバP「例えば、偶然入ったカフェが何と男の娘カフェで、しかもその日は島風デーだったら」
ちひろ「耐性がない人への精神攻撃はやめようね」
雪美「……また、変な話……している?」
モバP「聞かれた?」
音葉「雪美さんの耳は、ヘッドホンで塞いでいたから大丈夫……」
モバP「気を利かせてくれてありがとう、音葉」
音葉「いえ……。Pさんの声、やはり直接が良いですね……」
モバP「やはりって、そのヘッドホンで何を聴かせているのかな?」
音葉「録音したPさんボイス、です……。ふふ……」
-
雪美「Pも……聴く……? これ……気持ちいい……」
モバP「いや、自分の録音された声を聴きたいとは特に思わないなあ」
音葉「心地良い波長……。そして、照れの感情が20%……」
モバP「人の声の成分分析するのか。いつか声を聴いてミックスジュースを作ったり曲を作ったりしないだろうな?」
雪美「……面白そう」
モバP「それはそうと、君たちは想像したら怖いものはあるかな?」
音葉「…………」モンモン
雪美「…………!」ピキーン
音葉・雪美「うう……」ブルブル
モバP「先にイメージしてしまったか。君たちは想像力豊かだから注意しないといけなかった」
音葉「手を握って、もらえますか……」
モバP「分かった。……雪美もな」ギュッ ギュッ
ちひろ「一体何をイメージしたんですかねえ」
-
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モバP「こういう仕事柄か、アイドルによくお土産を貰うんですよね」
ちひろ「プロデューサーさんがしてあげるから、みんなお返しをしてくれるだけですよ」
モバP「嬉しいことなんですが……という訳で、お菓子です」ドサ
ちひろ「ウチのお菓子のストック棚が盛況していますね」
モバP「ちょこちょこつまめるのは良いんですが、太らないか心配です」
ちひろ「私もです。あと、お菓子ばかりでなく、ドリンクも飲んでくださいよ」
モバP「野菜も食べなさいみたいに言いますね? 後ろ向きに検討します」
ちひろ「ケチー」
モバP「ドリンク、効くには効くんですが、こういうのは適度に頼らないと、耐性的なものが出来て効果が薄まるんですよ」
ちひろ「本当かなー?」
モバP「まあ薬なんかは欠かさず飲み続けないと効果がリセットされるとも言いますが」
ちひろ「それは本当でしょう」
-
ちひろ「それはそうと、ここにある巨大な箱は何なんですか?」
モバP「”開けてください”と書いてありますし、大方予想はつきますが」
ちひろ「開けてみましょうか。良いですよね?」 ハイ
ババーン!
雪美「……お菓子かと……思った? 残念……私でした……」
モバP「……」
ちひろ「……」
雪美「……?」
モバP「……! こんな所に居たのか雪美、会いたかったぞ!」ダキッ
雪美「P……苦しい……///」
ちひろ「さっきの間は何なんですか」
モバP「誰か入っているとは読めましたが、中身が意外過ぎて固まってしまいました」
ちひろ「予想していなかったのか……」
-
モバP「全く。雪美が幸子みたいな茶目っ気を見せるとは思わなんだよ」ギュー
雪美「……///」
ちひろ「いつまでやってるんですか」
モバP「おっとやりすぎた」パッ
雪美「……おどろいた?」
モバP「ああ、驚かされたぞ。そして、その衣装は黒猫の着ぐるみか」
雪美「似合う……?」キラキラ
モバP「似合う似合う、お似合いですよお嬢さん。またモフモフさせろ」
雪美「本音……出てる」
バタバタ キャー
ちひろ「あれ? もう一個、怪しげな容器がある」 パカッ
ペロ「ニャ!」
ちひろ「サザエさんかな?」
-
112
モバP「小学生の諸君、寒いと朝はお布団から出るのが辛くないか?」
晴「いや? 起きたばかりで布団にこもっていても何にもならねーし」
モバP「二度寝したいとかは思わない?」
晴「何だそれ? 大人ってそんなにダルいのか?」
モバP「わたくし、疲れた大人なのでしてー」
雪美「添い寝……したら……疲れ……取れる……?」
モバP「してくれたら安心してリラックスのデトックスで疲れも取れるだろうな」
晴「何する気だよ」
モバP「でも雪美は普段、ひょっとしてペロが布団の中に入ってきたりするのかな」
雪美「……うん、する」
晴「柔らかくて温かそうだなー。オレはさすがにサッカーボール抱いては寝られねーし」
ちひろ「においが付きそう、というのは野暮ですか」
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今日はここまで
メルモンここまて
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外ハネに神経が通ってると髪切る時にうっかり外ハネのところを切ろうとしたら激痛が走りそう
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113
雪美「……」パチッ
モバP「?」
雪美「……」パチパチッ
モバP「……うっふん」バチンッ
雪美「……ペロ」
ペロ「ニャー!」バッ
モバP「むごっ! ぐぐ、ふざけて悪かったから顔は堪忍してやあ」
雪美「……ふふ」パチッ
モバP「アイコンタクトも様々だが、今日は瞬きで来るか」
雪美「両目を……パチパチ、させると……猫は……リラックス……する……」
モバP「大島弓子の古い漫画に確かそんなことが描かれていたな」
雪美「Pも……リラックス……しよう……」
ちひろ「ひょっとしてプロデューサーさんって、ヒトととして認識されていないんですかね?」
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モバP「寝起きの雪美さんは夢現でいることがあるね」
雪美「……うん」
モバP「大抵は無反応無表情のクール分全開だが、たまに夢と勘違いしたような行動を取るから面白い」
雪美「……してる?」
モバP「してるとも。愛を囁いてきたり抱き着いてきたり、結構大胆不敵だ」
雪美「……覚えて……ない……」
モバP「よく考えればそんな状態やそもそも寝顔なんて、たくさん見ているんだな」
雪美「もう……。……私も……Pの寝顔……知ってる……」
モバP「一緒に仮眠とかするからなあ。俺の寝ている時ってだらしなかったりしていないか?」
雪美「ううん……。でも……手を握ると……うれしそうにする……」
モバP「その時の俺はきっと良い夢を見られているんだろうな」
雪美「Pと……楽しい夢……見たい……」
ちひろ「プロデューサーさんは割と常時夢現なところありますよね」
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モバP「本日の雪美さんは度なし眼鏡を付けているな」
雪美「大人の……変装」フンス
雪美「……これで……Pと……デート……し放題」
モバP「やったね!」
ちひろ「やらせません」
モバP「しかし、眼鏡をかけたくらいでは意外とバレないようでバレるんですよね」
ちひろ「経験がおありですか?」
モバP「休日にちょっと格好つけて歩いていたら道路向こうの遠目から美嘉に見破られました」
雪美「Pは……雰囲気が……出てるから……」
モバP「しかしウィッグ付けたり帽子被ったりすると結構判別が難しくなることはありますね」
モバP「雪美さん、こっち」オイデオイデ
雪美「……何?」トコトコ
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モバP「君にはこの帽子を被せてあげよう」
雪美「……お……」
モバP「もふもふパンダのニット帽です。今日のチェックと黒柄のレイヤードのコーディネートに似合うと思います」
雪美「……ちひろさん……どう?」キラキラ
ちひろ「可愛いです。頭に何か被るとまた雰囲気変わりますね。雪かきを思い出します」
モバP「よし、デート行こうか雪美」
ちひろ「プロデューサーさんは仕事中に遊びに行かないでください」
雪美「……!」ピコーン
雪美「……変装……Pは……私が……」
モバP「おっ、俺を変身させてくれるのか? いいやつで頼む」
【コーディネート中】
雪美「……できた」
ガチャ
馬マスクP「どうですかね? これじゃ目立って仕方なさそうですが」アッハッハ
ちひろ「アフォガードかな?」
-
116
雪美「P……宇宙人って……いるの……?」
モバP「おうどうした雪美さん」
雪美「学校……クラスで……議論……してる……」
雪美「私は……いると……思う……」
モバP「俺もいると思うぞ」
雪美「……本当?」
モバP「ああ。現にウサミン星人なんてのもいるしな」
雪美「………………うん……」
モバP「そうディレイのある反応をしないでくれ。言った自分が申し訳なくなった」
モバP「コホン……宇宙人はいると思う。これだけ宇宙が広そうなのだからな」
モバP「ただそれは我々人間に認識が可能なものであるかは分からない」
雪美「……認識」
-
雪美「……宇宙人は……見えない……の?」
モバP「普通の人は幽霊が見えないのと同じように、宇宙人も五感では分からないかもな」
モバP「基本違う次元にいて、何かの拍子でチャンネルが合ったりでもしない限り」
雪美「……今、ここに……隠れているかも……しれない……?」
モバP「しれないね。第一、水に覆われたちょっと寒めの青い星で酸素で生きている生物という存在だ」
モバP「これが宇宙全体からすると割とイレギュラーすぎて、規格に合わせられない気がする」
雪美「……」
モバP「生物は宇宙空間では生きていけない。なら宇宙人は生物形ではない別の何かとして存在しているのかもしれない」
モバP「……そんな風に一般のイメージとは違う方向で思いを巡らすのも面白いな」
雪美「……未知の世界……難しい」
モバP「専ら変な話ばかりして申し訳ないね。良かったらここに座るかい?」
雪美「……うん。……頭を……リフレッシュ……しよう」 ポスン
モバP「……まあ何を隠そう、俺こそ実は宇宙人なんだがね。自慢して良いぞ」 エー
ちひろ「もうちょっと真面目な宇宙人はいないものですかね」
-
117
雪美「P……徹夜……したの?」
モバP「気象関係でトラブルに見舞われてな。大変だったよ」
雪美「意識は、大丈夫……? ……眠くない? 何か……食べる……?」
モバP「世話を焼いてくれるのは嬉しいなあ」ナデナデ
モバP「だが大丈夫だ。今から仮眠室でゆっくり休むよ。あ、相手出来なくてごめんな。おやすみ〜」
雪美「……マイペース……」
――
モバP「……zzz」
雪美「眠くない……でも……Pと、一緒にいたい……」
モバP「……ん……う……」
雪美「……苦しい、の? ……スーツのまま……だから……」
雪美「……!」ピコーン
雪美「……脱がせて……あげよう……」
-
――
雪美「……」
雪美「……無理……。……緩める、くらいしか……できない……」
雪美「こんなに……重くなる……の……?」
モバP「……zzz」
雪美「……いつも……おつかれ……さま」ナデナデ
雪美「……」ジーッ
雪美「……目……開かない……?」
雪美「……」ソーッ
雪美「…………」
雪美「……///」
――
モバP「……!」パチリ
雪美「……すー、すー」 ア、アッタカイ
-
118
ズズズ プハー
モバP「熱い緑茶が美味しいですね」
雪美「……」 ←冷ましてる
ちひろ「今の子の多くは、茶柱が立つ、と言ってもピンと来ないらしいですね」
モバP「雪美はどう? 知っている?」
雪美「……知ってる……」
モバP「かしこい」
モバP「まあ、自分も現象としては知っていますが実際に見たことはありません」
ちひろ「注いだお茶に、その元になる茎が紛れ込むことが今はほとんど無いですからね」
ちひろ「ただ、必ず茶柱が立つお茶、というのが販売されているとは聞きますけど」
モバP「へぇ……でもそれは偶然立つからありがたいもののような気がしますよ」
ちひろ「でも一度は生で立った茶柱、見てみたくありませんか?」
モバP「そうですねえ」
-
ちひろ「ペットボトルやお湯を注ぐだけの粉末も良いですけど、やっぱり急須を使って淹れたいものです」
モバP「ですが若い時分は花より団子、趣より量、という感じでお茶はガブガブ飲みたい主義でした」
モバP「丸い茶椀に慎ましやかに注がれたくらいでは物足りなかったんですね」
ちひろ「男の子ですねえ」
雪美「……んっ…………ほのかな……苦味」
雪美「……ちひろさんの……お茶……好き」
ちひろ「ありがとう雪美ちゃん」
ちひろ「ちなみに私が雪美ちゃんくらいの時はジュースとか大好きでしたね」
モバP「家では家族行事の時でもないとジュースは無かったです」
ちひろ「健康志向で良いじゃないですか。若い内からお茶に慣れておきましょう」
モバP「ただ牛乳はあったのでお茶代わりにやはりガブガブと」
ちひろ「牛乳はあまりがぶ飲みには向かない飲み物だと思うんですけど……」
雪美「……だからPは……こんなに大きい……」フムフム
-
119
雪美「P……手を……貸して……」
モバP「何か手伝うのか? ……あ、本当に”手”を貸すのか」
雪美「Pの手……大きいから……塗りやすい」
モバP「保湿クリームだな……雪美の手の動きがマッサージみたいだ」
雪美「……終わり」
雪美「今度は……顔を……寄せて」
モバP「はい」
ヌリヌリ
雪美「……できた」
モバP「至れり尽くせりで俺はお坊ちゃまかな?」
モバP「リップクリームで唇も瑞々しくなったぞ。ありがとう」
雪美「お世話……楽しい……」
モバP「ああ……もし雪美さんが専属メイドになったら俺は温室育ちのダメ男になりそうだ」
-
モバP「しかし最近は乾燥しているから、保湿ケアはしないとな」
雪美「うん……」
モバP「寒い=天気が悪い=雪=湿気ありと思いやすいが冬場は乾燥しがちだ」
モバP「乾燥時ほど猛威を振るうインフルエンザにも注意が必要」
雪美「手洗い……うがい……欠かさずに」
モバP「そうだな。最近見かけるアイドルたちはマスクを着用している者も少なくない」
モバP「幸い、感染者はまだ出ていないが気を付けていても罹るものは罹るから怖い」
雪美「体を大事に……ね」
モバP「ああ。俺が倒れるとみんなが困ることになるからな」
雪美「うん……あなただけの……体じゃない……から」
モバP「よし。じゃあ行ってくるよ」
雪美「P……行ってらっしゃいの……キス……」
モバP「リップクリームを塗ったばかりでするのかい?」
雪美「……あっ」
ちひろ「……こんな時どんな顔をすればいいか分からないの」
-
120
モバP「体が冷えるこの時期、熱い湯に浸かりたいならやっぱり銭湯だなあ」チャプ
モバP「まだ時間の早い今は他に人がいないし、貸し切り状態だ」
モバP「ふー……」
モバP「普段、俺とコミュニケーションを取るのにいろいろと遠慮がないアイドルたちもいるが」
モバP「公共の場ではさすがに分別をつけるから、まさか男湯に侵入してくるはずもなく、安心だ」
ガラッ
モバP「!」
近所の爺さん「……おう兄ちゃん、また来とるんかあ」
モバP「どうも」
モバP「と、フラグも立て放題だ」
――
モバP「上がりましたよっと」
雪美「P……温かくなった……ね」ホカホカ
ちひろ「まあ、一緒に来てはいるんですけどね」ホカホカ
-
今日はここまで
今日から俺はマ王
-
一緒に銭湯に来るちっひ何だかんだ仲良いな……
乙
-
121
モバP「最近は雪美に触発されてか膝に乗ってきたがる子が増えてきた気がする」
雪美「……大変……?」
モバP「体のことなら大丈夫だ」
モバP「撫でるオプションとかを付けると仕事はやや滞るが大したことではない」
雪美「……ご苦労を……かける……」キリッ
モバP「ハハハ、良いってこと」
モバP「……それより雪美は、他人を乗せることで嫉妬したりはしないのか?」
雪美「……しない。……それより……良さを……知ってほしい」
モバP「ならばその良さに惹かれてお客さんが増えているのは本望か」
雪美「でも……Pと……一番深く……繋がっているのは……私」
雪美「……良さを……一番、分かっているのも……私」ギュッ
ちひろ「雪美ちゃんはクールだなぁ(白目)」
-
122
モバP「アイドルには様々なお仕事があるし、企画によっては様々な衣装が用意される」
雪美「……にゃー」キラキラ
モバP「こうして雪美が幼稚園児のようなチャイルドスモックを試着しているのもその一つだ」
雪美「……にゃー」ワキワキ
モバP「ネコミミと、襟元に鈴も付いていますし」
雪美「……にゃー?」
モバP「意図せずまじまじと観察してしまう。良いぞ良いぞ」デレデレ
モバP「雪美はこういうぶかっとしたものもフィットするなあ」
雪美「ンギャア」
モバP「……俺もしかして幻覚を見ていて、ペロに話しかけたりしていないよな?」
雪美「……ふふ……ごめんなさい……大丈夫……私……だから」
ちひろ「あら、尻尾まで付いているんですね。……何か今動いた気がしますけど」
-
123
モバP「久々の何もしない休日も良いものだ」
モバP「どこにも行かず、家でのんびりと過ごす」
加蓮「そうだね」
雪美「一理ある……」
モバP「本来そこに”誰とも会わず”も付け加えられるはずなんだがな」
モバP「お聞きの通り、今日はどこにも連れて行かないぞ」
加蓮「良いよ。ただPさんと、ダラダラ過ごしたいだけだもん。ねっ?」
雪美「……」コクン
モバP「なら構わん。ただプロデューサーの男の家に女子アイドルが居て大丈夫か?」
加蓮「あまりにいろんなアイドルが頻繁に出入りしているから、お咎めなしだね」
モバP「謎理論。社宅に格安で住まわせてもらっているから贅沢は言えないが」
モバP「みんなが近くに寄った時の休憩所になっているのは確かだな」
雪美「……便利」
-
モバP「まあ俺は家に居ないことの方が多いし、物置になるよりは、節度を守って利用してもらうのも良いさ」
加蓮「……お父さ――じゃなくてっ、Pさん」
モバP「おやおや、リラックスし過ぎて間違えたか? あるあるだな」
加蓮「違うの! もうっ! そんなに歳離れてないのに!」
雪美「……P……休み……邪魔して……迷惑じゃ……ない……?」
モバP「いんや? 誰か居る方が楽しいからな。共にぐうたらしようじゃないか」
モバP「加蓮や雪美とは充分打ち解けていると思っているから、気疲れもしないよ」
雪美「……良かった」
モバP「ところで、小腹空いたろう。実家の実家から送られてきたポテトを今フライにした」コト
加蓮「わーい! Pさん分かってる〜♪」
雪美「……いいの?」
モバP「俺が好きでサービスしているんだから気にしない!」
モバP「さ、箸もディップ皿もレタスサラダも出したし、手を合わせて」
「「「いただきます」」」
-
124
モバP「はぁ」
莉嘉「どうしたのPくん」
モバP「以前は平気だった虫を触るのが苦手になって歳を取ったなと実感して」
莉嘉「そういうのいけないんだよー? 心の老化は体の老化! これお母さんの格言!」
莉嘉「Pくんは若いじゃん! 何ならアタシがそれを実感させてあげよーか?」ガバッ
莉嘉「わはははー☆」グルングルン
モバP「目が回るわ〜……パッショナブルな励ましありがとうございます」
モバP「莉嘉は虫さん平気なんだよね」
莉嘉「平気だよ☆ 大したもんでしょー?」
モバP「ああ。だがこの先もそのままでいられるかな? 若さゆえの蛮勇・無敵感といったものは誰にもあるものだ」
莉嘉「それまで平気だったことが大人になってダメになるのってさ」
莉嘉「それ、ただキョーミ無くしただけなんじゃないかな?」
モバP「そこに気づくとは大した奴だ……」ナデナデ エヘヘー
-
モバP「しかし、カブトムシなんかはまあ良いとして、どんな虫でもって訳にはいかないだろう」
莉嘉「まーそこはねー。触ると危ないのはいるし、キライな虫だっているけど」
モバP「直接触る訳ではなくても、害虫にも臆さない男勝り婆ちゃんや肝っ玉母ちゃんみたいなのは凄いよなあ」
莉嘉「それはちょーすごいってゆーか、迫力ある!」
雪美「……」テクテク
モバP「おう雪美さん。雪美さんは昆虫とか触ったりできるかい?」
雪美「……」ニコッ
雪美「……できない」
ズコー
モバP「余裕の表情と見せかけてフェイントか」
モバP「しかし、成長してから抵抗が無くなるような人もいるだろうし分からんな」
雪美「Pが……怖がってたら……私も……怖い……」
莉嘉「じゃあ、苦手は克服しないとねっ☆ Pくん?」 ウッス
-
125
モバP「街は早くもバレンタイン商戦といった風でチョコレートが嫌でも目につくな」
雪美「限定品……おいしそう」
晴「実際うまいんだろうぜ。テレビで北欧の専門店を特集していたけど、すげー気合い入ってた」
モバP「海外デザインのチョコレートって我々の感覚からすると結構ファンシーだ」
晴「町並みからして何かカラフルだったりするよなー」
雪美「……マーブルチョコレート……みたいに……鮮やか……」
モバP「最近食べてないなあ。あれを見ると碁石を思い出すよ」
晴「形は似てるけどさあ……」
モバP「マーブルチョコレートと言えば、お皿に並べてお湯をかけてカラーアートを作る動画があるな」
晴「えっ何だそれ」
モバP「色が溶け出して面白いグラデーションになるんだ。本家はチューイングキャンディーだが」
晴「へー……まあやってみたいとは思わねーや」
雪美「食べないの……もったいない……」
-
モバP「とにかくビビッドカラーは日本にはあまり馴染みきらないところがあって新鮮ではあるな」
モバP「レインボーケーキやギャラクシーケーキなんて食べ物なのか一瞬疑ってしまうよ」
晴「それはこの前のロケで見たな。確かに体に悪そうな色してたぜ」
雪美「晴は……チョコレートや……ケーキより……ガムの……イメージ……」
晴「昔から好きだからな。でもPにアイドルに誘われてから、何て言うのかな」
晴「もうガムで変にボーイッシュ? 気取らなくても良いやって思うようにはなってきたな」
モバP「晴にとってはガムは嗜好品であると同時に、自分をアピールする物でもあったんだな」
晴「かもな。まずいろんな人と交流するのにガム噛んでたらちゃんと喋れねーからな」
モバP「ハハッ、ちげえねえ」
雪美「晴……プロ意識……かっこいい」
晴「よせやい、照れるぜ」ヘヘッ
雪美「言葉選びが……Pっぽくは……なってる……」
晴「責任取れP」
-
モバP「それはそうと、ガムも最近食べないねえ。俺は口寂しい時は飴派だし」
晴「オレの好感度が2ポイント減って杏の方に行ったぞオイ」
モバP「ガムは味なくなるとペッしないといけないのがなあ。チョコと一緒に食べると溶けてくれるが」
雪美「……初耳」
晴「どっからそういう知識を仕入れてくるんだアンタは」
モバP「大人の雑学だよ。尚、口の中はあまり愉快なことにはならない」
晴「だろーな」
晴「……Pは、バレンタインはチョコレート以外でも貰えたら嬉しいもんか?」
モバP「うれしいよ! 晴がくれるものは何でもうれしい!」
晴「あげるとは言ってねーだろ。……そっかー良いこと聞いたぜ」
モバP「世間では贈るお菓子によってそれぞれ意味があるらしいが、細かいことを気にし過ぎてもな」
モバP「後でフォローが要るならそれはそれでお互いをよく知り合うきっかけになるってもんさ」
雪美「……ポジティブ……すてき」
モバP「よせやい、照れる」 オイマネスンナ
-
126
薫「おにはーそとー!」
仁奈「ふくはーうちー!」
モバP「マッチ一本火事の元ー!」
ちひろ「それは違うやろ」
雪美「鬼は……どこ……?」
モバP「鬼とはな、我々人間の心の中に潜むものだ」
雪美「私の中にも……いるの……?」
モバP「ああ。そして心が弱った隙に雪美を乗っ取って悪さをするかもしれない」
薫「大変だー!」
仁奈「一体どうしたら良いんでやがりましょーか?」
モバP「節分豆は体の中に投げる、つまり食べて鬼を追っ払えば良いのだ」
ちひろ「何か慣習を曲解しているように見えますけど」
-
モバP「という訳で小袋入りの炒り豆どうぞ」
ちひろ「……いただきます」
雪美「……」ポリポリ
モバP「よし、これでこの二人は救われた。次行くか小鬼一号二号」
薫・仁奈「世直しじゃー!」
ちひろ「想像を遥か超えてフリースタイルだった……あなたたち鬼側だったんですか」
モバP「鬼に身を窶して鬼気迫る感をですね……うっ!」ガクッ
薫「せんせぇ!」
仁奈「隊長!」
モバP「二人ともすまない。ここまで頑張ってきたが……オラもう力が出ねぇ……」
薫「死なないでせんせぇ!」
仁奈「あなたが死んだら一体誰がこの星を守りやがるんですかリーダー!」
雪美「薫、仁奈……これを……食べさせて」
薫「分かった!」
-
仁奈「はい、あ〜んしやがりください」
カリッ モグモグ ゴクン
モバP「……」
モバP「……ふ」
モバP「ふっかあああああつ!」
薫「せんせぇ!」ガバッ
仁奈「ボス!」ガバッ
雪美「……」ポリポリ
ちひろ「茶番グダグダですけど。あと呼称統一しましょう仁奈ちゃん」
モバP「仙豆食べてる気持ちになるでごぜーますよ」
ちひろ「やかましい」
薫「はいはーい! 次はかおるに食べさせてー♪」
仁奈「その次は仁奈にもおねげーします!」
雪美(……仙豆?)ポリポリ
-
127
ナターリア「P! エホウマキという訳でもナイ、ノリマキ食べヨ!」
雪美「一緒に……作ってきた」
モバP「お、ありがとう。どれどれ……?」
モバP「……すごく……太くて長いです……」
ナターリア「男の子はタクサン食べテ、大きくならないとネ! ムフフ」
モバP「最後の笑いが意味深だな。では早速いただこうか」
モグモグ
モバP「美味い。この具は、納豆、アボカド、玉子に穴子? か」
モバP「ちょっと変わった取り合わせではあるが、即効で元気が出るようだよ」
雪美「……ふふ」モクモク
ナターリア「Pに元気になってもらいたいからナ!」ニコニコ
ちひろ「地味に精の付く物を詰め込んでますね……あ、おいしい」
-
今日はここまで
まだふみも見ず天橋立
-
乙
虫が苦手じゃないデレマスアイドルといえばコハルチャーン
-
128
モバP「……」(-_-)
雪美「……」(-_-)
ちひろ「ちょっと、額と額くっつけて何してるんですか!」
モバP「静かに……」
雪美「…………」
モバP「…………」
雪美「……ん……同期……完了……」パチッ
モバP「良し。これで例えどちらかが斃れたとしても、心は共にある」
雪美「……P……行ってくる」
タタタ
モバP「ちょっとしたSFごっこです」
ちひろ「真顔で言わないでください」
-
129
モバP「雪美」
雪美「何……?」
ツン
雪美「……?」
モバP「雪美の頬、柔らかいな」
雪美「……P」
グニグニ
モバP「あっあっ、ほっぺた引っ張らないで」
雪美「Pのも……やわらかい……楽しい」グニグニ
モバP「止めないのならこっちからももう一度だ」
雪美「……だめ。……大人しく……して……」グニグニ
ちひろ「雪美ちゃん、意外とやり返しますよね」
-
130
雪美「……P」
モバP「おっ、どうした雪美」
雪美「……あげる」
モバP「チョコレートかぁ! 嬉しいな、ありがとう……って」
タタタタッ
モバP「何も恥ずかしがることはないと思うが、行っちゃったよ」
ちひろ「受け取り方が普通過ぎてつまらない-346点」
モバP「どうしろと」
ちひろ「捕まえてハグしてキスの一つでもすれば良いじゃないですか?」
モバP「して良いんですか?」
ちひろ「勿論早苗さんには通報しますけどね」
モバP「まあ、また後で会うでしょうからそこでしっぽりと」
ちひろ「置き早苗さんしておきましょうか?」
-
ちひろ「しかし、見れば可愛らしい手作りですねえ」
モバP「本当ですよ。俺はつくづく幸せ者です」
ちひろ「大人はあまり相手に渡す為に手作りを、とはなりませんからね」
ちひろ「市販の高給なやつや珍しい物をチョイスして、それをどうぞと渡す感じです」
モバP「例えは変ですが自由課題みたいなもので、センスが試されますね」
ちひろ「作るにしても買うにしても、か」
ちひろ「……で、食べないんですか?」
モバP「雪美に貰った手作りチョコレートですよ? あまりに尊くてどう手を付けたものか」
ちひろ「勿体無くて食べずにいつまでも持っておく……ベタですね」
モバP「……ちょっとだけ」
――
モバP「……食べちゃったぁ」スッカラカン
ちひろ「自制心そんなに無かったですね」
-
131
モバP「雪美さんや」
雪美「……どうした……の?」
モバP「宮本フレデリカ直伝のビズをしても良いかい」
雪美「……? ビズ……知らない……」
モバP「ヒントは挨拶の一種だ。何をやるかはお楽しみ。やるかい?」
雪美「…………」コク
スッ
チュッ チュッ
モバP「ビズはフランス語、英語ならチークキスとも言うかな」
モバP「正面から相手の左頬に右頬を、右頬に左頬をそれぞれ合わせる。That's it!」
雪美「……///」ポー
ちひろ「明らかにキスまでしていましたよね?」
-
132
巴「強くなったのう、雪美」
雪美「……ありがとう……巴」
モバP「おっ、将棋教えていたのか」
巴「おう、Pか。見ての通りじゃ」
モバP「若いもんは上達が早いけぇの」
巴「何言っとるん、うちもまだ若いわ」
モバP「しかし教える側ってのも良いもんだろ? 自分にもフィードバックされるというか」ポン
巴「人の髪を気安くさ・わ・る・な・や」バシッ
モバP「まあ教えるのも良いけど後輩として可愛がられる経験も良いよなー」ワシャワシャ
巴「やめろ言うとるんに……雪美、こいつ取り押さえてイタズラするか」
雪美「する……!」
ちひろ「若いっていいものですね。参加はしませんけど」 チョマッ ドコサワッテンデイ!
-
133
モバP「ただいま戻りましたー」
モバP「あれ? 電気消してあるし誰もいない? でも戸締りしていないとは不用心だな」
ガサガサ ガサガサ
モバP「ん、何の音だ? まさか泥棒じゃないよな?」 カチッ
カチッ
モバP「蛍光灯が切れているじゃないか。参ったな」
ガサガサ
モバP「俺の机の方から聞こえるな」
モバP「――そこにいるのは誰だっ」
クルッ
ペストマスクの怪人「……ミタナ」
モバP「ひっ!?」
-
モバP「! お、おい……そこに倒れているのは、雪美……か?」
怪人「……」
モバP「お前がやったのか? 畜生、何てことだ。そこをどけっ!」
ダッ
モバP「あっ、おい!」
ガシャーン!
モバP「待て! ここは五階だぞ!」ダッ
モバP「……!」
モバP「いない……窓の外には、誰も……一体どこに……」
モバP「いや、とりあえず雪美だ。……雪美!」
モバP「――う、う、う、う、嘘だろ……血だらけ……体っ……冷たい……」
モバP「雪美いいいっ!!」
-
――
モバP「うわあっ!」ガバッ
チク タク チク タク
モバP「……ここは……俺の家か」
モバP「生々しい夢だったなあ。ここ何年かあんな類のは見ていなかった」
トットットッ
カラス「カー」
モバP「うへっ!?」
ビクッ
モバP「あっ、驚かせてすまん」
モバP「……おいおいおい、どうして家の中にカラスが入り込んでいるんだ。どっから入ってきた?」
モバP「アイドルの誰かが手引きしたとも思い難いし……」
pipipi
-
モバP「ん? 朋からのメールか」
身近な異性の友人が大切な人の死に目に会うかもしれない
今朝の占いだよ。
こんなのが出てきたの初めてで、あたし嫌な予感がしたから一応Pに教えておくね。
モバP「……ゾッとするな」
カラス「……カー」
モバP「おっと待ってろ、今外に出してやるから」
ジッ
モバP「空きっ腹か? しかし野生のカラスに餌付けなんてして良いものか」
ジーッ
モバP「……みんなには内緒で、一回きりだぞ?」
カラスくんはリンゴを食わせてからベランダに出すと何事も無かったように飛び立っていった。
妙な胸騒ぎがしていた俺は、その後すぐに身支度をして家を出た。
冬ながら春さながらの陽気に恵まれた、そんな朝だった。
-
モバP「おはようございます」
ちひろ「プロデューサーさん、おはようございます」
モバP「ちひろさん、何かおかしなことはありませんでした?」
ちひろ「いえ。どうかしたんですか?」
モバP「無かったなら良いんです。今朝からちょっと奇妙な目に遭っていまして」
ちひろ「あなたは年がら年中奇妙ですからね。さあ、仕事しましょう」
それから、プロデューサーとしての仕事に追われながら何事も無い一日が過ぎていった。
何か引っかかる感覚がありながらも時間が経つごとにそれも薄れていく。
夕方になり、雪美が事務所に顔を出す。
雪美「……P」
モバP「どうした? 雪美」
雪美「……」プイッ
スタスタ パタン
モバP「おっ、おい雪美っ!」
-
ちひろ「どうしたんですか? 構い過ぎて遂に嫌われました?」
モバP「……」ダッ バタン
モバP「雪美! 待ってくれ!」
モバP「はぁ、はぁ……一体、どうしたんだ?」
雪美「……」
雪美「……P……怖い……来ないで」
モバP「なっ……!?」
初めて見る冷たい目だったかもしれない。
俺の足は一歩踏み出そうとしたままで動けず、彼女が視界から去るのを見送る以外に出来ることは無かった。
事務所に戻るとちひろさんが備品が足りないが手が離せないと言う。
俺は外までひとっ走り買いに行くこととなった。
モバP「……考えても分からん」
カーカーカー
モバP「まだ冬やのにカラスが仰山飛んではるわ」
-
バサバサバサッ!
モバP「わっ、何だ一斉にこっちに!? 鳥葬か? 鳥葬なのか!?」
カーカーカー
『……オモイダセ』
モバP「う、うわあああああっ!」
――
ハッ
モバP「……あれ? カラス……」
気づくと俺は、店の中で買い物かごを持って立っていた。
白昼夢を見るとはいよいよどこかおかしくなったのだろうか。
とりあえず買うものを買って戻る。
モバP「ただいま戻りましたー」
モバP「あれ? 電気消してあるし誰もいない? でも戸締りしていないとは不用心だな」
-
ガサガサ ガサガサ
モバP「ん、何の音だ? まさか泥棒じゃ……待て、……俺は知っている」
モバP「夢だ。あれと同じことが……雪美!?」ダッ
ガサガサ
モバP「――おいっ!」
クルッ
雪美「……どうして」
モバP「えっ……!?」
雪美「どうして……ペロを……殺したの……」
モバP「! お、おい……そこに倒れているのは、ペロ……か?」
雪美「……」
モバP「違う! 俺がペロを殺したりなんかするものか!」
雪美「……」ツー
モバP「雪美、口から血が……あっ」 ドサッ
-
「な、何かの間違いだ。こんなの……俺は……俺は……!」
「……!?」
俺は窓ガラスを見た。
反射して自分の姿が映っていた。
黒づくめの、ペストマスクをした怪人だった。
「俺は……Pでは……無かっタ……?」
「俺は……ダレダ……?」
「オレ……? ワタシ……?」
「コレハ……ナニ……? アアアア」
「――そこにいるのは誰だっ」
クルッ
「……ミタナ」
「ひっ!?」
-
「! お、おい……そこに倒れているのは、雪美……か?」
「……」
「お前がやったのか? 畜生、何てことだ。そこをどけっ!」
ダッ
「あっ、おい!」
ガシャーン!
「待て! ここは五階だぞ!」ダッ
「……!」
「いない……窓の外には、誰も……一体どこに……」
「いや、とりあえず雪美だ。……雪美!」
「――う、う、う、う、嘘だろ……血だらけ……体っ……冷たい……」
「雪美いいいっ!!」
-
私はどこかの草むらの上にいた。
目の前にある澄んだ湖が、私の姿を映し出す。
黒づくめでペストマスク、そして黒い翼を持った、小さな体。
「……」
煩わしくなり、マスクを外す。
宵闇の帳が下りる前の僅かな光が、私の貌を見せてくれる。
……そうだ……私は……佐城雪美だった……。
「……ふふ……ふふふ……」
――
モバP「こうして哀れなPは夢と現実の境を見失い、佐城雪美に変貌してしまったのでした。続く」
雪美「怖く……ない、よ……? まかふしぎ……ただ……それだけ……」
紗南「プレイグナイト風の雪美ちゃんかあ……そのイベントどうすれば発生するの?」
光「Pは闇堕ち怪人マスクだったか! 安心しろ、アタシがきっと救い出してみせる!」
飛鳥「迷宮に囚われたヒトはやがて自我崩壊する……山月記の様だね」
ちひろ「中学生たちにもいいかげんな話をするな」
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134
裕子「むむむ……む〜ん……きえええぇいっ!」
シーン
モバP・雪美「……」サクサク モグモグ
裕子「……」
裕子「サイキック・ツッコミ!」ピシッ
モバP「あたっ! 何だよー」
裕子「お菓子食べながら見ていないでプロデューサー、何か助言をください!」
モバP「そうだな……音楽をかけながら作業をすると仕事の効率が良くなることがある」
モバP「こいつでリズムに乗りながらパワーを高めてみたまえ」カチッ
エッビバリダンスナーウ!
裕子「おっ? おっ? 何だかノッてきたかも? しれません!」
裕子「行きますよー、ムムムムーン……サイキック・Everybody Dance Now!」
早苗「何? ポールダンスでもしてるの?」
【さなえがしょうかんされた!】
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135
モバP「雪美さんマジ天使」
雪美「……」キラキラ
モバP「比喩ではなく本当に天使のような衣装なんだよな」
モバP「白で統一されたドレスにふわふわの翼、足は白タイツ、頭にはご丁寧に輪っかまで」
雪美「……天使って……何をすれば……良い……?」
モバP「人の側にいて加護を与えるのはどうですかね」
雪美「……かご……分かった……」
ポスン
雪美「これで……私は、どこへも……行けない……」
雪美「あなたを……守る……」
モバP「ははは、頼もしい奴じゃ……おふっ」
雪美「……?」
ちひろ「輪っかがプロデューサーさんの顔に当たってますね」
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今日はここまで
明日になればきっと言える
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136
モバP「世のお菓子には割とアルコールが含まれている物が多い」
雪美「……」クンクン
モバP「例えばこの美味しいラムレーズンサンドとかもな」
雪美「……」プイッ
モバP「幸い雪美さんはアルコールに敏感でこういうものには口を付けない」
モバP「児童が興味本位で食べて体調を崩すようなこともあるから、自分の判断で忌避してくれるのは助かる」
雪美「……」
モバP「でも一度酔った雪美さんを見てみたいと思ったこともない訳ではない」
雪美「……えっ」
モバP「……十年後な」
雪美「……うん……。それまで……一緒にいて……ね?」
ちひろ「志希ちゃんなら疑似的に酔う薬とか作れそうですけど、そこは言わぬが花ですね」
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137
モバP「志希は最近失踪しないよな」
志希「正直キミから逃げ切れる気がしないんだよねー。すぐ捕まる」
モバP「またまたご謙遜を」
志希「確かにヒントは残すし遠くには行かないし本気で逃げてる訳じゃないけどさ〜」
モバP「完璧に逃げようと思えばいつでも可能だが、それじゃつまんない! だろ」
志希「そーゆーこと。縛りの中で導き出すから楽しいのだ。……それ、どう?」
雪美「イチゴの……フレグランス……いい」
志希「それは良かった♪ にゃはは」ナデナデ
志希「こうして雪美ちゃんとキミをのんびり観察してるだけで、満足な最近のあたし。焼きが回ったねー」
モバP「じゃあ、発想を変えて新しいことにチャレンジしようぜ。筋トレとかさ」
モバP「志希がそういうこと言い出すのは、退屈になってきて現状打破したい時だろ? 知ってるぞ」
志希「そういうとこ分かってるからキミはズルいんだよねー。でも、よりによって筋トレ推すー?」
ちひろ「インテリ脳筋に目覚めた志希ちゃんは見たくないですねえ……」
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138
モバP「雪美さんはトレンチコートも似合うんですね。実にオシャレさんです」
雪美「……」キラキラ
モバP「帽子と合わせるとアンニュイな表情が実によく決まるな」
モバP「しかしおてては」
雪美「……猫の手」
モバP「ここにきて肉球手袋がカジュアルな方向に突き抜けているな」
雪美「これ……あったかい……」
モバP「触ってみても?」
雪美「うん……」
モフモフ
モバP「やだ柔らかい……」
-
モバP「でも指が使えないのが不便だな。どうやって抜くんだ?」
雪美「…………がんばる」
モバP「まあ押さえて抜くしかないか。手伝おうか?」
雪美「まだ……このままで、いい……」
モバP「そっか。……それにしてもトレンチコートはベルトで腰をきゅっと見せるのも良いが」
モバP「こうやって前を開いて、ミニスカートとコートの裾の長さの対比に耽るのも――」
ちひろ「思春期かお前は」
雪美「……そんなPは……こうする……」バッ
モバP「うおっ、肉球手袋で対面目隠しとは! ありがとうございます!」
ちひろ「Mの素質ありかお前は」
雪美「……ふふ……これで私は……見えない……」
モバP「肉球がプニプニして面白いっすねこれ」
雪美「……じゃあ……もっと……してあげる……」グイグイ
ちひろ「日常エンジョイ勢かお前は」
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139
ちひろ「あら、チョコレートを食べているんですね」
モバP「バレンタインにアイドルから貰ったりイベントで配られたりで山とありますよ」
モバP「チョコレートなどは幸い日持ちしますから、ゆっくり消費しています」
ちひろ「大人の方たちとかは配慮してチョコレート以外を渡されたりもしたようですね?」
モバP「違うお菓子であったり、日本酒、ワイン、焼酎。食べ物以外をくれた方もいました」
ちひろ「責任持って、平らげる訳ですか?」
モバP「勿論。男モバP、出されたものは残さず食べる!」
ちひろ「モテる男はお辛いですねぇ」
モバP「自分もアイドルだったならそれこそトラックいっぱい貰えたりするんでしょうか?」
ちひろ「まあチェック入ってそれらが口に入るかは知りませんけどね」
まゆ「プロデューサーさぁん。チョコレートが減らないようなら、加勢しましょうか?」
モバP「やぁ、まゆ。イベントで配られた奴なら良いが、アイドルから貰った物は俺が食べきるよ。ごめんな」
まゆ「いえ。貴方に渡したチョコレートなのに、食べてもらえない立場はまゆも嫌ですからね」
-
ちひろ「それにしても、プロデューサーさんがアイドルから貰う分にも、どうなんでしょう?」
モバP「どうと言いますと?」
ちひろ「疑うつもりはないんですけど、例えば媚薬とか毒とか入れられていたりしませんか?」
まゆ「割とはっきり言いますねぇ」
モバP「毒……効かない体質なんだよね、俺」
ちひろ「キルアじゃないんですからそんなところで特異体質を発揮しないでください」
モバP「まゆ。これはA社からのだけど……はい、あーん」
まゆ「あーん……ん……おいひい」
ちひろ「話の合間にイチャつくのも止めてもらえませんかねえ……」
モバP「さて、俺はこれを……」パク
モバP「……ふむ。――うまい。だが毎年調合を変えて精力剤を入れてくるのはやめようね? と」カキカキ
まゆ「誰ですかぁ?」
モバP「志希」
ちひろ「バレンタインに託けて人体実験されていませんかね?」
-
ちひろ「しかし、手紙に一枚一枚、貰ったチョコレートの感想を書くんですね」
モバP「そして怪盗のようにアイドルの枕元にこっそり置いてきます」
ちひろ「アイドルの寝床に忍び込んでいるんですか!?」
まゆ「ロマンチックじゃないですか」ウットリ
モバP「まゆには気づかれましたけどね」
ちひろ「本当に警察呼ばれてもおかしくない事案ですよ」
まゆ「そんなことしませんよぉ。プロデューサーさんは紳士ですから……うふふ」
ちひろ「含みがありますねえ」
雪美「P……アナトール……みたい」
モバP「やぁ雪美。……ネズミがチーズの味を鑑定してくれる話か。あれ良いよなあ」
モバP「まあ基本は感謝と、どこが良かったかを素直な気持ちで書き綴ります」
ちひろ「本当、マメですね。暇な奴とも言いますけど」
モバP「お酒なら一緒に宅飲みして直接感想を言いますので無駄がありませんが」
-
ちひろ「二人とも、手紙貰えるのは嬉しい?」
まゆ「はい♪ 褒めてもらえれば張り合いが出ます」
雪美「次はもっと……おいしいのを……作ろうって……思える」
モバP「( ;∀;)イイハナシダナー」
ちひろ「ソウナノカナー?」
まゆ「まゆも最初は、惚れ薬とか入れていました。今は味にこだわるようになりましたけど」
雪美「ほれ薬……Pには……効かない」
ちひろ「雪美ちゃんは既に知っているのか……」
ちひろ「あ。ちょっと疑問なんですけど、惚れ薬と媚薬ってどう違うんですかね?」
まゆ「惚れ薬は惚れるだけ、媚薬は……ちょっぴり如何わしい意味も含む、という理解ですね……」
モバP「まゆの口から如何わしいなんて言葉が……変な気分だ。チョコレートのせいかな?」
まゆ「あっ……貴方に意識してもらえた……」
雪美「私も……意識して……」
ちひろ「よく考えたら何でドリンクは効くんだろうこの人」
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140
りあむ「うう……」
モバP「新人は最初はなかなか上手く行かないよなあ」
りあむ「ぼくはクソザコナメクジのスローロリスだよ! もうダメぽ」
モバP「少しは開き直れそうかい?」
りあむ「りあむちゃんのガラスハートはクラック。10代終わりかけでこれだよう。やむ!」
モバP「なに、年齢幅広いアイドルの子たちと接していれば自然と強心臓になれるよ」
りあむ「ここのPサマが言うとめっちゃ不安だけど大丈夫かな? かな?」
モバP「困ったら助けになるよ」
モバP「ただ油断しているといつの間にか常識人枠に入れられているかもしれないから気を付けて」
りあむ「えっなにそれこわい。ぼくが冷静にツッコミに回るとか、草も生えない! よ!」
雪美「こんにちは、りあむ……。私を……すこれ」
りあむ「早速やみ感染者がいる!? ぼくみたいになっちゃいけないよ! でも真似されたい!」
ちひろ「……また一人アイドルが変な方向に捻じ曲がった音がした気がする」
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141
あかり「あきらちゃん! りんごをあげるんご!」ハイ
あきら「自分に? ありがとう」クイッ
ガブガブガブ シャクシャクシャク
あかり「丸かじりとはワイルドですね! だがそれがいい!」
あきら「ごちそうさまデス」フキフキ クイッ
あかり「マスク戻しちゃうなんてそんなぁ、みんな大好き顔出しタイムが」
あきら「持ち芸みたいに言うなし」
ンゴ! デス
雪美「……仲、良さそう……。……あきらは……クール?」
モバP「ああ。……ギザ歯をマスクやマフラーで隠してるのって立派な属性だよねえ」
モバP「兄ぃくんと会ったことあるんだが彼いわく、懐くと指とかガジガジしてくるらしいぞ?」
雪美「あまがみ……愛情表現……」
あきら「こらPサン! それはガセ、いいね?」
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