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ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」

1Mii:2018/08/04(土) 23:26:40 ID:Mx6gHZLQ
マリオ「隠しキャラ、もとい隠しゲストとして任天堂から依頼が来てる。
    ギャラクシーと連動して、ミステリアスな女性ドライバーとして
    ブレイクしてほしいとのことだが…どうする?」テガミポイー

ロゼッタ「…ふむふむ。
     レースごとに観客の皆さんの投票で参戦するか否かが決まって、
     その時点で少なくない給料が発生。
     上位に入ったり総合成績が良ければ更に追加給金。
     至ってシンプルな給料体系ですね」

マリオ「…………」

409Mii:2018/11/15(木) 22:21:39 ID:ziBygO06
と、そのとき。


ふたたびピリッとした空間のざわめきを感じ取り、慌ててそちらを見やります。
何事か、と不思議がっていたピーチ姫たちも、私に釣られて。



――分かりきってはいましたが、倒し切ったというわけでは…さらさらなさそうですね。
中空にクルクルッ…と空間を割って、ディメーンが現れました。


今度はしっかり防御壁を引っ提げて現れる徹底ぶり…流石に警戒したのでしょう。
苦悶の表情…というよりは、憤怒、激怒の感情がありありと伺えます。
目に入ったもの全て、焼き払って灰にしてしまいたい、といわんばかり。

410Mii:2018/11/15(木) 22:26:11 ID:ziBygO06
ディメーン「ふざけるな…ふざけるなっ!今のボクは最強、無敵なんだ!お前らごときに負けるはずがない!
       …もういい、出し惜しみなどしないでフルパワーを出してやる!後悔しても、遅いからな!」

マリオ(いつものニヤケ節はどこへやら、か。すっかり逆上して隙を作ってくれてるのはいいが…『スーパージャンプ(RPGver.)』!)

ルイージ(かといって、無茶苦茶に暴れられるってのも困るんだよね!『スーパージャンプ(スペマリver.)』だっ!)

マリオとルイージが、それぞれ別々の死角方向からジャンプ攻撃を仕掛けます。
しかし、マリオの強烈な踏みつけも、ルイージの大砲のような叩き上げも、空間転移によって難なく避けられてしまいました。

あの2人ですら、スピードで追いつかないなんて。

あわやぶつかる、というタイミングで、2人はひらりと体をそらし、そのまま見事着地。
拍手喝采の動きですが、警戒しながら戻ってきた本人たちは不満そうです。

マリオ「…やばいな、今ので速度不足だと、もう転移後のまぐれ当たりに賭けるくらいしかないぞ。
    そもそも当たったところで、防御壁を壊せるかもよくわからん。あれがなけりゃ、一撃なんだが」

ピーチ「…こうなったら、ロゼッタ。貴方にも戦ってもらうわよ。いいわね?…デイジー、杖を返してあげて」

デイジー「わかった!はいっ!」

ロゼッタ「…は、はい。出る幕、ありましたか…」

気力的に、かなり限界なのですが……。傷こそ完治していますが体中血だらけで、いざ戦ってやろう…という気概も中々見せられません。
…しかし、緊急事態は未だ続いているので仕方がないでしょう。久しぶりに、杖をしっかりと手にします。
キラリ、と杖が輝きました。よろしくお願いしますね。

411Mii:2018/11/15(木) 22:29:09 ID:ziBygO06
ピーチ「手短にロゼッタの攻撃魔法の威力、効果範囲を教えて。作戦を立てるわ。
     私よりも魔法Lvが高いんだもの、期待しているわよ!」

ロゼッタ「…ええっ!?きゅ、急にそんなこと言われて、も…!」



――ま、まずいです。なんだか、ハードルをかなり高く設定されている気がします。
そんなに大したことはできません。幻滅されそうなのですが…!

ロゼッタ「…………すいません、そういうことなら、ご期待には沿えません。
     ――――実は私、『回復魔法』と『空間魔法』以外は一切使えないんです。
     そもそも、敵と対峙するなんで経験がまるでなかった、もので」

私の声は、尻すぼみ。
耳にしたピーチやマリオは驚天動地。魔法使いとして有り得ない、という顔を思い切り向けてきます。

ピーチ「……はああああああっ!?何よそれ!?」

ロゼッタ「それに加えて…ピーチ姫も薄々気付かれていると思いますが。
      私は最大FPが貧弱なせいで、まるで魔法Lvの高さを活かせない体たらく…本当にすいません」シュン




空間魔法は、FP燃費が唯でさえ凄まじく悪いのに。
行使すること自体は 『簡単』 なのですが…。

412Mii:2018/11/15(木) 22:34:09 ID:ziBygO06
ピーチ「…私も悪かったわ、いきなり実践投入は難しいもんね。気を落とさないでちょうだい。
     …じゃあ、回復はお願いできるかしら?」


…それが、それすらも容易ではないのです、私の場合。


ロゼッタ「……えっと、私の回復魔法はFPを最大値近く消費するので、
      杖が戻ったとはいえ今はちょっと…だいぶ体の枯渇領域に還元してしまいましたし…」ビクビク

ピーチ「どうしてよっ!?回復魔法ってそんなにFP使わないでしょ!?本当に魔法Lv高いの、ロゼッタ!?」

ロゼッタ「す、すいません、全然お役に立てず…」グズッ


――やはり、魔法使いとして未熟者もいいところです、よね。


デイジー「ま、まあまあ落ち着いてよピーチ。ロゼッタ、じゃあどういうことならできる?
      きっと役に立てる場面もあるはずだよ!」

ロゼッタ「…………ディメーンの攻撃を食らいそうなとき、私の空間転移で緊急避難させる、くらいなら」

ピーチ「…よし。じゃあそれだけは頼むわよ。
    でもね、この件が片付いたら、ロゼッタはちょっと魔法の覚え直しね」

ロゼッタ「…はい!そのときはぜひ、ご教授願います!」

――よかった、少しは役に立てて。
でも、ピーチ姫に失望されないよう、精進しなくては。

413Mii:2018/11/15(木) 22:37:02 ID:ziBygO06
ピーチ姫は、私を戦力に考えるのは難しいと捉えたのか、私およびサヤカのことをデイジー姫に任せて戦闘態勢に入りました。
私は私で、サヤカをしっかり庇いつつ、付近の様子を伺い続けます。


デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。ちょっと聞いていい?」


と、そこに。デイジー姫が耳打ちしてきました。


ロゼッタ「はい、なんでしょう?」

デイジー「ロゼッタって、ほうき星を管理する中で、星の表面をいろいろ開拓していったんだよね。
      自分よりずっと大きくて重い物だって沢山あったでしょうに、どうやって動かしたの?
      今の話聞いてると、ロゼッタ1人じゃ何百年もの時間があったとしても無理そうなんだけど…」

ロゼッタ「チコたちのおかげです。私の魔法の杖は少し特殊でして、周囲の星々やチコから少しずつ魔力をおすそ分けしてもらい
      集積することができ、私にそれを還元してくれるのですが…。

      大勢のチコたちが集い、住み着くほうき星は、それ自体が魔力の聖域。
      チコやほうき星から魔力を供給される限り、最大値こそ定まれど、私は繰り返しFPを使用することができます」

デイジー「へえ、でもやっぱり一度に行使できるFPは限られるんだ…」

ロゼッタ「…いえ。本当の本当に一大事、という場合では、何千ものチコたちに集まってもらい、
      直接FPを転送してもらって問題に立ち向かう、ということができなくもありません。
      その場合、限界値を大幅に超えた出力で魔法を繰り出すことができます」

414Mii:2018/11/15(木) 22:40:00 ID:ziBygO06
デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。仮に…仮にだよ?
      FPが使い切れないくらい潤沢にあったとしたら、どのくらいのことができるの?」


ロゼッタ「そうですね…昔話になってしまいますが。
      ほうき星を管理しているとき、何千ものチコたちにFPを借り受けて、一致団結して――。






      このままでは衝突を免れないような直径数百キロの巨大隕石をやり過ごしたことなら、
      三百年くらい前にありますよ。一週間ほど目を覚まさない副作用付ですが」



デイジー姫は、何故かあんぐりと口を開けていましたが…今はどのみち関係がないことでしょう。
ここにはチコたちもいないのですから。

さあ…集中しなければ。
なけなしの勇気を、もう一度振り絞ってみます。

415Mii:2018/11/15(木) 22:44:36 ID:ziBygO06
――ディメーンが、現れました。

右に。左に。上に。前に。後ろに。

肩車をしながら。
高笑いしながら。
リズミカルに踊りながら。
フヨフヨと漂いながら。
木々の陰に隠れながら。
屋根の上に腰掛けながら。



「「「「「さぁ〜て、ボクがどこにいるか、わかるかな〜?」」」」」

推定、百体以上。頭がおかしくなりそうです。




そんな中でもマリオ、そしてクッパは不敵に笑って、腕をポキポキと鳴らせてみせます。

マリオ「ここから本物を探し当てるのはしんどそうだが…とりあえず片づけるか。
    時間稼ぎに付き合う気はない、全体攻撃を駆使して一気に行くぞ」

クッパ「…だな。ディメーンの魔力を削ぎつつ、撃墜数勝負でも洒落こむとするのだ!」

さすが、我らがヒーロー、そしてそのライバル。心強い限りです。

416Mii:2018/11/15(木) 22:47:51 ID:ziBygO06
ピーチ「油断しないでよ、どうせ本体はどこかから不意打ち仕掛けてくるんだから!」

司令塔のピーチ姫が警戒を呼びかける中、マリオとクッパが主体となって薙ぎ払い始めます。

マリオ「ツギツギジャンプ!」バキッ

クッパ「ファイアブレス!」ゴォォォ

マリオ「ウルトラジシーン!」グラグラッ

クッパ「衝撃波なのだっ!」ビシャーン!

ルイージ「た、高い所から手あたり次第ファイアボール撃っておこうっと…」

クッパ「ルイージ、真面目にやれ!スマブラ初心者か!」



それでも分身体は減った傍から増え続け、中々数を減らしてくれません。



マリオ「めんどくさいから『ヤッツケーレ』で体当たりしまくるか」ポコッ ポコッ

クッパ「ううむ、それは真面目…なのか?」

ルイージ「兄さんだけバッジ効果ずるいよー…」

417Mii:2018/11/15(木) 22:49:42 ID:ziBygO06
そのとき、炎が私に目がけて迫ります。

とっさにサヤカを庇いつつ後ろへ…身をそらす必要もなく、横から伸びてきた長い舌に絡めとられました。

ロゼッタ「ありがとうございます! 助かりました!」

ヨッシー「まあ、お安い御用ってことで。デイジーに護衛を任せられたからには守り切って見せますよー。
      後でお菓子の一つでも下さいね」

ロゼッタ「はい、そんなことでいいなら喜んで!……え、デイジー姫に頼まれた?」



どうしたことかと振り返ると、何やらデイジー姫が身振り手振りも交えながらピーチ姫に嘆願中。
策でも浮かんだのでしょうか…?ここからではよく聞き取れません。

418Mii:2018/11/15(木) 22:54:55 ID:ziBygO06
ピーチ「…へえ。大して有効策もないし、それが本当なら、試してみる価値はありそうね。
     わかった、デイジーは別行動を許す。その間はカバーするから」

デイジー「うん!」

ピーチ姫が、おもむろにポケットから電話を取り出し――。

ピーチ「ああ、カメック。急ぎ、クッパ城にて待機中のクッパシップを、残りの積荷そのままで全速力でキノコ王国の外れの公園まで誘導して。
     …え、理由?いいから急いでっ!

     30分以内に着いたら、ケーキの材料費全額こっちで負担してあげる。
     1時間超えたらクッパ城焼き払う!オーケー!?分かったらとっとと動きなさいっ!」

ロゼッタ「い、一体どうしたというので……」



大声の命令にたまらず驚き、口を挟もうとしたところ、これまた突然に待ったが掛かりました。
声の主のナスタシアは、妙に差し迫った様子です。

ナスタシア「ちょっと、待ってください!何をするのか知りませんが、大変なことになりました!
       速やかに場所を移してくださいっ!」

――今度は一体、何が。

419Mii:2018/11/15(木) 22:57:53 ID:ziBygO06
ピーチ姫が、咄嗟に電話を保留しナスタシアに注目します。

ピーチ「ナスタシア、何か感付いたのっ!?」

ナスタシア「本体はどこかに潜んで分身体を作り続けていると勘違いしていましたが、どうも違います!

       分身生成間際のディメーンをマリオが殴り倒してみれば同じく分身体であった、というケースが見られます!
       私が知り得ていた過去の情報からすれば信じられませんが、
       そのくらいの芸当は分身体にもできるようになっている!

       だったら…本体がここにいる必要、ないでしょう!?」

ピーチ「…まさかっ!」


ピーチ姫が、顔を真っ青にします。


ルイージ「どういうこと、兄さんっ!」

マリオ「そうか…こいつらおそらく、全員が分身体だ!本体はとっくに離脱してる!
     そんでもって、アドを取るために、おそらく新たな人質確保に躍起になってるぞ!」

クッパ「お、おい…じゃあ、まさか向かった先は…!?」




――まだまだ往来盛んな、キノコ城、城下っ!

420Mii:2018/11/15(木) 23:02:06 ID:ziBygO06
ピーチ「助かったわナスタシア、全員、城下に向かうわよっ!悪いけどこっちは放置!」

分身体はワラワラ居続けますが、幸い人気はない。
後ろ髪を引かれつつも、全員、ピーチ姫に釣られて駆け出します。
…私はピーチ姫に、サヤカはデイジー姫に速やかに担がれて。

…いやまあ、サヤカをこんなところに取り残すのは論外なのですが、
なんとも恥ずかしい絵ですね。




しかし、ナスタシアの機転もむなしく。
判断の遅れは如何ともし難かったようで。


すこしばかり…遅かったようでした。

421Mii:2018/11/15(木) 23:03:44 ID:ziBygO06
ピーチ「なんて…こと」



既にキノコ城前の広場には、ディメーンの魔法に囚われの身となっている人々が集められ、
ひしめいていたのです。

無傷というわけでもなく、抵抗したのか負傷者、重傷者も多数出てしまっている…なんということでしょう。


その数は、軽く三桁にのぼります。


ディメーン「んっふっふ!これでまた、形勢逆転だねっ!
       いやいや、こーんなお祭りを呑気に開いてくれているなんて、大助かりだよ!」



「姫様!お助け下さい!」

「うわーん、死にたくないよー!」

「このままじゃ、うちの子が死んじゃう!」

「痛い…痛いよう…!」



聞こえてくる悲鳴、鳴き声。慟哭。
ぎりっ、とピーチ姫が唇を噛み、血が滴り落ちました。

422Mii:2018/11/15(木) 23:06:33 ID:ziBygO06
ディメーン「さ〜てと、今度はしくじらないよ、マドモアゼル ピーチ。
       少しでも抵抗すれば、1人ずつ、1人ずつ、あの世に送っていくからね。

       どうあがいても、1人や2人ならともかく、全員を同時に助けることなんて夢のまた夢だしね!
       …いやあ、最初からこうしておけばよかったかな」


ナスタシア「まったく、どうしてそう、無駄に実力を付けているのですか!
       ここまで同時並行で術式展開することなど、とてもできなかったはず!」



ああ、どうしたらよいのでしょう。事態が好転した、などと考えていた過去の私を叱りたい。
思う存分魔法を発揮するディメーンを、ただ呆然と眺めるばかり。





ただ……同じ、空間魔法の使い手として。



ロゼッタ「羨ましい、なあ」


そんな言葉が、口から出てしまいました。

423Mii:2018/11/15(木) 23:09:42 ID:ziBygO06
ピーチ「ロゼッタ、羨ましいってどういうこと?不謹慎よ」

ロゼッタ「…あ、大変申し訳ございません!ですが…
      私も、あれだけ自由に空間魔法を使い倒せたら少しはお役に立てたのに、と思いまして。

      何百年もの間――空間魔法について色々と研究・考察し、頭の中や紙の上ではそれなりの数の空間魔法を
      仕立て上げてきたのですが、FPが少ないばかりにどれもこれも使えずじまいで…
      
      たとえば、ディメーンが今行使している空間魔法も、FPがありさえすれば私にもおそらくできる程度のものです」



私の渇望が耳に入ったのか、ディメーンはケラケラと笑い出しました。

ディメーン「はははっ!頭が狂ったのかな?
       こんな高等な魔法が凡人にできるわけないだろう、マドモアゼル ロゼッタ!」

ピーチ「何よ!どうせ、さっき自慢してた『参考書』とやらの賜物でしょ!
     自分じゃ編み出せもしなかったくせに偉そうに!」



ディメーンが、囚われた1人のキノピオに爆撃を仕掛け、内壁に叩きつけました。
完全に意識が無くなり、流血も。一刻を争う状況です。
たちまちピーチ姫も口をつぐみ、涙を堪えて怒りに震えるしかありませんでした。

424Mii:2018/11/15(木) 23:13:05 ID:ziBygO06
ディメーン「確かに参考書のおかげ…しかし、それを活かせるのは、ボクの実力あってこそ!
       さっき言わなかったっけ?

       というより、常人じゃその凄さ、真意、存在意義にすら絶対に気付けないんだよね!相当に狂気ものの書物だし!」



そう言って、ポン、と古ぼけた一冊の本を異空間から取り出します。



マリオ「狂気もの…?どういうことだ?」

ディメーン「執筆者は相当な切れ者のようでね…まあ、既にそいつを超えているだろうけど。
       どうにも『選ばれた者のみに空間魔法の極意を伝えたい』という想いから、
       カモフラージュを散りばめている。ページが引き千切られていたり、所々黒く塗り潰されていたりね。

       中でも初見で面食らったのが、一見して魔術書とはまるで無縁な…
       フィクション小説の体裁をとっているところさ」

ピーチ「フィクション、小説…!?意味が分からないわ」

ピーチ姫が話を促しつつ、隙を必死に伺います。
それを知ってか知らずか、ディメーンは大層得意そうに続けます。

425Mii:2018/11/15(木) 23:21:27 ID:ziBygO06
ディメーン「そう…表の顔は内気な少女、しかし裏では平和な世界を脅かす悪意に魔法を駆使して人知れず立ち向かう暗躍者。
       時には意中の男性に正体がバレかけたりしてあたふたする、板挟みに遭う複雑な恋愛事情。
       ここまで言うと興味が湧くかもしれないが、傑作なのが文才なんて一切なくて…
       
       いや、わざとか、流石にマジ書きでこれはない。
       そんなこと、ボクが許したとしても宇宙が許してくれないな。
       大昔に、あまりの黒歴史創造に血反吐を吐きながら改悪に改悪を重ねて執筆したに違いない。

       全てが稚拙で素人の書き殴りっぷり。ワンパターンで先が読め過ぎる勧善懲悪ものの展開。
       ボクもうわぁ、とドン引きしながら読み進めたけどね。
       合間合間に超重要な術式のヒントが、数式が散りばめられているのだもの。
       どんなに馬鹿丸出しな書物でも、ボクにとっては聖書だよ」

ピーチ「まるであなたみたいな趣味の悪さね…」







ロゼッタ「……………………ん?」

426Mii:2018/11/15(木) 23:22:57 ID:ziBygO06
ディメーン「そして、これがその代物…
       『星に願いし亜空の魔女 〜おたすけウィッチ、三日月に舞う〜』だね。
       いやあ、タイトルもふざけ過ぎて逆に天才と思わせないかい!?」

ピーチ「星に願いし亜空の魔女……なんて厨二設定なの…!」





ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「……は?」

マリオ「…………ロゼッタ?どしたの?」ユサユサ

427Mii:2018/11/15(木) 23:26:50 ID:ziBygO06
ディメーン「それに、一緒についてたメモ用紙があったんだけどさー。


       『シリーズ累計150万部突破の超大作!書店にて全10巻、好評発売中!
        ① おたすけ☆ウィッチ、その名はロゼりん!
        ② 古の遺跡と風を司りし巫女
        ③ おたすけ☆ウィッチ、三日月に舞う
        ④ 激闘!紅蓮の使者現る
        ⑤ 内気な魔女の恋愛事情
        ⑥ 挫折と涙と、シューティング☆スター!
        ⑦ 星降る夜の舞踏会
        ⑧ スターダスト・ラブソディ
        ⑨ 響け!疾風の協奏曲
        ⑩ おたすけ☆ウィッチと空中庭園!            』


       だってさ。第3巻執筆時点で第10巻までのタイトル付けの皮算用までするなんて、
       素面だとしたら頭のネジが緩んでいないか気になる思考回路だね」

ロゼッタ「えっちょっ待って」ガクガク

ピーチ「…本当にそれ、参考書たりえるの?」

ルイージ「……………………」

428Mii:2018/11/15(木) 23:31:01 ID:ziBygO06
ディメーン「性的知識もないのに官能めいたことを無理やり書こうとしてさ。
       こそあど言葉で誤魔化すわ、ますます稚拙さが露わになるわ、急に場面が飛んで逃げるわ、
       いつの間にか距離が縮まってるわ、そのくせ強引に三角関係とか描写しようと空回りするわ…

       知的なボクですら…いやボクだからこそ顔が強張る展開が目白押しだったよ、うんうん」

ロゼッタ「ゴフッ(吐血)」

ピーチ「うわあ、それはないわー…」

クッパ「…………………………………………」

429Mii:2018/11/15(木) 23:35:31 ID:ziBygO06
ディメーン「極めつけにさ、隕石が落ちてきたときに、フィクションにありがちなご都合展開で回避するんだけど、
       その時の主人公が

        『この顛末がまぐれではないかって?違うわ、私は真に驚くべき魔法を編纂して見せた。
        でも、ここで語ることはできないわ。だって、私の人生という限られた日記に記すには、
        余白が狭すぎるんだもの(キリッ)』

         って独り言で締めくくるんだよ。もう大うけで大うけで。――あー、語れてすっきりした。
         少しは誰かに共感して貰いたかったんでね。

         こんな内容のくせして、空間魔法の極意を散りばめた一冊なんだからamazing!」

ロゼッタ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ピーチ「さっきからうるさいわよロゼッタ!?ってか、なんで吐血してるの!?」

マリオ「うわあ」

ルイージ「うわあ」

クッパ「うわあ」

430Mii:2018/11/15(木) 23:37:31 ID:ziBygO06
マリオ「…なあディメーン、その本、どうやって入手した?」

ディメーン「宇宙空間に漂っていたところを偶然拾ったよ?」

マリオ「…ロゼッタ、負の遺産であることに気付いてちゃんと焼却処分した?」

ロゼッタ「ちゃんと原本除いてブラックホールに放り込みましたよっ!!」グズッ

マリオ「きっと奇跡的にホワイトホールから無傷で出てきちゃったんだな……
     ってか原本は現存する上に複製までしたのかよ」

ピーチ「…え?」

ルイージ「」

クッパ「」

ロゼッタ「……すいません、今のなしで」

ディメーン「???」

ピーチ「ロゼッタ……………………あなた、まさか」


ロゼッタ「そんな目で私を見ないでくださいぃーーーーーーっ!!」

431Mii:2018/11/15(木) 23:41:06 ID:ziBygO06
ロゼッタ「死にたいです…いっそ殺してください…」orz

サヤカ「私はママに生きていてほしいよ!?死にたいなんて言わないで!」

茶化す気持ちなど全くないサヤカだけが、唯一の救い……っ!




サヤカ「だから、頑張って!ロゼりん!」




ドグシャァアアアア!!
立ち上がろうとして言葉の刃に切り裂かれ、地に倒れ伏しました。

マリオ「大変だ!ロゼりんがまた血を吐いてるっ!」

ルイージ「頑張れロゼりん!負けるなロゼりん!」

ピーチ「わ、私は信じてるからね!ろ、ロゼりんは強い子だって……!」

クッパ「ロゼりんロゼりんしつこいぞ!いい加減にしてやれ!全く酷い奴らだ、なあロゼりん」

ロゼッタ「」

ナスタシア「…が、頑張って、ください?」アセ

ロゼッタは めのまえが まっくらに なった▼

432以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/16(金) 04:54:20 ID:gNkIg74s
ロゼりんかわいそう

433以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/18(日) 06:08:59 ID:xpY81W4Q
やっぱロゼ作だったか…と思ったら中身がひどかった

434Mii:2018/11/21(水) 06:03:56 ID:Jyf9E9g2
公開処刑されたところで…黒い影が広場を覆います。
虚ろな目で上空を見やると…プロペラが轟音を立てて高速で向かってくる塊ひとつ。



カメック「ピーチ姫―!…クッパ様!?一体どういう!
     ええい、とりあえず急遽の行き先変更もこなして、クッパシップ持ってきましたよー!」

ピーチ「来た…っ!話に興味がある振りをして時間稼ぎした甲斐があったわ!」

ロゼッタ「なんだ、時間稼ぎだったのですか…って絶対違いますよねっ!
     でも怖いのでそういうことにしておいてくださいオネガイシマス!」

ピーチ「デイジー、さっさと降りてきなさいっ!!」

デイジー「もう飛び降りてまーす!!」シュバッ



いつの間に、飛行船と合流していたのでしょうか。
デイジー姫を見かけないと思っていたら、飛行船に用事があったみたいです。

435Mii:2018/11/21(水) 06:06:09 ID:Jyf9E9g2
数十メートルの高さを、フラワーパラソルを使いながらほどよい速度で降下してきた、デイジー姫。
そのまま、なんと私に抱き着いて来ました。え?え?え?

というより、なんでしょう。すごく、甘ったるい匂いがします。
見れば…デイジー姫の服が、あちこち…べっとり薄茶色の液体でべた付いています。

ロゼッタ「一体、何をしてきたのですか?凄まじく甘い香りがするのですが…」

デイジー「ロゼッタ、話は後!背中、向けて!!ちょっと…気張りなさいよっ!」

な、なんだかよく分からないうちに、体を反転させられます。
私の視線の先には、いまいちよくわからず、手を下しかねているディメーンの姿。




と、その時です。
私の背中の中央が、ポッと熱くなりました。





デイジー「おっちょこちょいで突っ走りすぎることもある、迷惑かけてばっかり、
      だけど………………だけどっ!」

背中に手を置かれているのですか――そう、思った矢先――!

436Mii:2018/11/21(水) 06:08:27 ID:Jyf9E9g2
次の、瞬間。



デイジー「――――サラサランドの花の紋章を、舐めるなぁーっ!!
      

       『花々の祝福《フラワーギフト》』、発動っ!!」ゴオオォォォ!



ロゼッタ「……っ!」

背中から感じる、強烈な光、光、光――!!そして、燃え盛るような激しい熱。



何が、起こっているのか。
ただただ、背中が、熱い。熱い。突然のことに目を見開く。
ドレスの背中の部分が焼け焦げ、手のひら分の円形に背中が露出する感触。



しかし、最高に……心地よい。
ぽかぽかとした春の日差しの真っただ中にいるような感覚。
自然と目を瞑り、身を委ねていく――。

437Mii:2018/11/21(水) 06:10:06 ID:Jyf9E9g2
ピーチ「どう、デイジー!?作戦の方は上々!?」

FP 9999/9999
デイジー「うぷっ…ハニーシロップ!メイプルシロップ!!ローヤルゼリーっ!!
      吐きかける直前まで、材料余りを腹に収めたっての!
      確実にFP満タンになってるわ!細工は流々!仕上げを御覧じろってね!

      
      ――――持ってけ、ドロボーっ!!!」ピカァァーーーーーッ!



FP 64/128
ロゼッタ「……………!」パアア



FP 【1000】 / 128  デンッ!
ロゼッタ「……力が………」パアアアア



FP【3000】 / 128 デデンッ!
ロゼッタ「ああ――」




FP【6000】 / 128
ロゼッタ「……力が、湧いて、きます――!」ゴゴゴゴゴゴ・・・!

438Mii:2018/11/21(水) 06:12:06 ID:Jyf9E9g2
薄目を開けてみれば、ディメーンは、あっけに取られているよう。
…いえ、ようやく我に返って、人質を攻撃する素振りで牽制を掛けてきました。

しかし、相当動転しているのが幸い。
どのみちデイジー姫の大魔法は中断できないようなので、ディメーンの提示したルールに従うならば
人質の命を奪われてもおかしくなかったのですが。

あくまで『泣き叫ばせるような負傷を与えられる』に留まり、ぎりぎり犠牲者を出さずに済みました。
…もちろん、負傷者当人からしてみればどちらにせよたまったものではないでしょうが。





デイジー姫が魔法の行使を終えたらしく、背中の感触が弱まっていき…そして、無くなります。
そのまま、ぺたんと座り込んでしまったデイジー姫。



ロゼッタ「………………………」



私は…俯いたまま、微動だにしません。

439Mii:2018/11/21(水) 06:13:35 ID:Jyf9E9g2
デイジー「…………ハァ、ハァ……………………ロゼッタ!?」


おそらく、FPを注ぎ過ぎて、異常をきたしているのではないかという心配があるようですが――
その心配には、及びません。



穏やかに、ゆっくりと――顔を上げていき…

ロゼッタ「…………デイジー、姫」

FP 0 /9999
デイジー「……う、うん。ロゼッタ、なに?」





FP 【10063】 / 128
ロゼッタ「―――――感謝、致しますっ!貴方に最大級の称賛と祝福を!」ゴオオオオオオォォォッ!!




魔力開放。

私の体は、実体化して溢れだす青色の魔力に幾重にも包まれ、勝利を確信させたのです。

440Mii:2018/11/21(水) 06:15:35 ID:Jyf9E9g2
マリオ「……なんだ、一体」ポカーン



マリオですら、この超常現象に唖然としています。
私も、あまり詳しいことは理解できていないのですが。この魔力の衣を纏った状態の私…
自称「おたすけウィッチ」状態は、体質が最高に「空間魔法向き」になっているようなのです。
ちょっとやそっとでは負けません!



ディメーン「…ほう、これは。なるほど、キミがこの戦局のジョーカー足り得たということだね〜」

敵は、好敵手を見つけたとばかりに微笑んでいますが…
あいにく、交戦は既に始まっているのです。

まずは、万が一にも犠牲者を出さないためにも…っ!
空間魔法より先んじて――回復魔法をっ!



ロゼッタ「Starlit Wish《星に願いを》――!」


杖を一振り。優雅に華麗に、されど控えめに美しく。

441Mii:2018/11/21(水) 06:18:51 ID:Jyf9E9g2
FP 【9943】/128 ガクンッ
ロゼッタ「これで、どうしょうか…!」

ディメーン「あっはは、なんだか猛烈にFPを消費してない?腕が悪いんじゃないの?
       回復魔法ってせいぜいFPを10消費する程度だろ?」



パアアアアアァァァ!!
ロゼッタの 願いが 叶った!


ロゼッタ(EX)のHPが 50 %回復した!
サヤカのHPが50%回復した!
マリオのHPが50 %回復した!
ルイージのHPが50%回復した!
ピーチのHPが50%回復した!
クッパのHPが50%回復した!
デイジーのHPが50%回復した!
ヨッシーのHPが50%回復した!
ナスタシアのHPが50%回復した!

マリオ「おお、ダメージがすっかりなくなったぞ!」ブンブン!

ピーチ「ほ、ほんとだわ!」

442Mii:2018/11/21(水) 06:20:50 ID:Jyf9E9g2
ディメーン「……ぐっ、な、中々に厄介な回復力じゃないか。
       まあ、消費FPに見合う強さはあるといったところかな」


キノピオ1「ロゼッタ姫―!そんな奴に負けないでください!私はまだまだ大丈夫であります!」

障壁貫通!キノピオ1のHPが50%回復した!



ディメーン「……ん?」




障壁貫通!キノピオ42人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!商売人197人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!観光客2961人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!通行人1105人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!警備員360人のHPがそれぞれ50%回復した!
回復領域はまだまだ広がっていく!

ディメーン「えっ」

ピーチ「えっ」

デイジー「えっ」

443Mii:2018/11/21(水) 06:22:29 ID:Jyf9E9g2
キノコ王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
クッパ帝国の戦闘員全員のHPがそれぞれ50%回復した!
サラサ・ランドの住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
マシュマロ王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
マメーリア王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ワッフル王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ヨースター島の島民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ドルピック島の島民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
草原の国と砂漠の国と海の国と巨大の国と空の国と氷の国と土管の国の
住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!

ディメーン「」

ピーチ「ファッ!?」

デイジー「ファッ!?…おっそろしいログが頭の中に流れ込んできたんだけど!?」

444Mii:2018/11/21(水) 06:24:28 ID:Jyf9E9g2
マリオ「…………!」ボウゼン

マリオ「お、おいクッパ。あれ、見えるか?」

クッパ「あ、ああ……なんじゃ、こりゃ」

ピーチ「な、なに2人して上を見上げてるのよっ!?」

マリオ「ああ…さすがのピーチも、『説明画面』を見るには実力が足りないかー」

ピーチ「なんのことよ!」

マリオ「あー…今、ちょっと効果説明が浮かんでるんだけどな?


      『星に願いを』 回復系  スキルランク:S++  基本消費FP:120
      自分が明確に『敵』と認識した対象を除き、効果範囲内全員のHPを50%回復させる。

      効果範囲:   自分を中心とした “半 球 全 体(星表面の50%)”



                     ってあるんだが」

ピーチ「はああああぁぁ!!!!!??」

ロゼッタ「そのかわり消費FPがやたら大きいのが問題になるのですが…」

ピーチ「そういう次元じゃないわよ!?」

445Mii:2018/11/21(水) 06:26:55 ID:Jyf9E9g2
ロゼッタ「…さて。憂いが無くなったところで…第二楽章で一気に畳みかけます。
     さあ、華麗に踊りましょう……」


ディメーンが仕掛ける前に、こちらから仕掛けますっ!

目を閉じ、深く息を吸い、両手を大きく広げて…さあ!



ロゼッタ「我、この空間を制する者なり――



          空中庭園《スカイガーデン》っ――――!!  」



刹那。
辺りの風がたちまち止み、世界は静寂に包まれる。
制空権は、まさに私の手の中に…転がり込んできました。

446Mii:2018/11/21(水) 06:29:53 ID:Jyf9E9g2
ディメーンは、防御壁を何重にも張ったままあたりを慎重に慎重に伺った後…
どうしたことか、たちまち大笑い。

ディメーン「くくく、ま、まさか風を止めるだけっていうのが渾身の大技だって?
       心配して損したよ、これがなんになるというんd」

別に、今の私が完全無敵、というわけではありません。
仮にマリオやクッパと対峙すれば、あっさり負けることでしょう。

…しかし。非常に運のいいことに。
ディメーンに関してだけは…私は、無敵になれるのです。

大笑いを遮って、パチン、と手を1回叩きます。
ええ、それだけ。




キノコ王国に スカイガーデンが 展開されている!▼  シィーン・・・!

下位の空間魔法は 全て無効化され 再展開もできない!▼
ディメーンの 隔離壁と 防御壁は きれいさっぱり なくなった!▼ シュウウウウウ・・・
ディメーンが 所有している 異空間は 存在を 許されなくなった!▼ パリーン!

ディメーン「…は?…は?………はあああああ!?」

FP【7943】/ 128 ガクーン!
ロゼッタ「…さあ、これにてチェックメイト、です」

そう宣告しながら、いまだ体を包み込む青い衣越しにディメーンに杖を向ける…!

447Mii:2018/11/21(水) 06:32:51 ID:Jyf9E9g2
回復で体力を持ち直したうえに、隔離壁から開放された人々が、喜びの声を上げてこちらに駆け込んできます。
ええ、もう心配はありませんっ!

さらに。ドンガラガッシャン、と音を立てて。
あちこちの空間が割れ、ポタポタ落ちてくる影。

ロゼッタ「なるほど、そういうことでしたか…ディメーン」

ディメーン「なん…だと…!」ワナワナ

ルイージ「え?え?どうしてディメーンが何体も降ってくるのさ!?分身体!?」

ロゼッタ「いえ。…これが、前回の復活の絡繰りですよ。

      ディメーンはそもそも、『人数制限がありながらも本体が複数いる、ストックしておける』存在のようですね。
      分身体を繰り出す場面を見せることで、あたかも本体は1体、と思わせていた。

      もし本体が倒された場合は、記憶を引き継ぎつつ次の本体が稼働し始める、という具合でしょうか。
      ――まあ、みんなまとめて倒してしまえば、一件落着ということですね」

448Mii:2018/11/21(水) 06:35:22 ID:Jyf9E9g2
ディメーン「おのれぇーっ!!」バッ

ディメーンが、怒りに我を忘れて攻撃を仕掛けようとしますが…。


Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!

ディメーン「…っ!」

Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!
Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!
Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!


スカイガーデンのおかげで存在をばらされた本体たちまで、悪あがき。
しかし、一切意味など、ないのです!


ロゼッタ「そんなに空間魔法を使いたいなら……
      代わりに使って差し上げます!」

一辺50 メートルはあろうかという立方体状に、隔離壁をお返しっ!
一網打尽にして閉じ込めてしまいます。
こんな大きさですが、基礎の基礎なので、杖はやはりひと振りで大丈夫。

449Mii:2018/11/21(水) 06:37:34 ID:Jyf9E9g2
マリオ「おおおおっ!!もう一息じゃないか!頑張れ!」

クッパ「…ちょっと待て、空間魔法を使えないディメーンなど、唯のゴミだろ。
    壁をどかせて普通に攻撃するだけでフィナーレではないのか?」

ロゼッタ「いえ。この者たちは滅しても構わないのでしょう?
      ならば、私が引導を渡してやるのが筋という物」ジッ

ピーチ(あ、何気に黒歴史暴露に対して相当キレてる)

デイジー「で、でもロゼッタって攻撃魔法、使えないんでしょう?」

ロゼッタ「………………………………」

ピーチ「…ロゼッタ?」



すうぅ、ととつぜん深呼吸。胸に手を添え、息を整えて。

ロゼッタ「……ちょっと、お話をさせてください。
     恥ずかしいですが、聞いてもらいたいことなのです。




          ――転章、『空間』――」

450Mii:2018/11/21(水) 06:39:29 ID:Jyf9E9g2
――女の子が「ずっとチコたちのそばにいよう、ママになってあげよう」と決意してから、
しばらくたったある日のこと。

日課の星うらないで「たいへんなことが起こる」という結果が出てしまい、
女の子は不安でしかたがありませんでした。


「何が起こってしまうのかしら。」


ゆううつそうに夜空をながめていると、とつぜん、空間に裂け目ができ、
そこから4メートルは超すかという、四つ足の大きな体が姿を現しました。
自分ではとても敵いそうにないくらい、強そうです。

でも、現れたそばから、体が大きくふらついています。

451Mii:2018/11/21(水) 06:41:01 ID:Jyf9E9g2
「もしかして、ケガをしているのかしら。ちょっとこわいけれど、回復してあげなくっちゃ!」



しかし、その生き物は、近づいた女の子を敵と判断し、すかさず切り裂いたのです。



弱っていても、力の差は歴然。
女の子は、たちまち倒れてしまいました。
それでも、相手のケガを治してあげたくて。

必死に止めるチコたちの言うことも聞かず、ゆっくりと、また、その生き物に近づきます。

「だ、だいじょうぶ。あなたのケガを、治せるなら治したいだけ、だから」

チコたちにチカラを分けてもらいながら、女の子は傷付いたまま回復を続けます。
今度は、切り裂かれたり、突き飛ばされたりすることは、ありませんでした。

452Mii:2018/11/21(水) 06:43:27 ID:Jyf9E9g2
いつ、眠ってしまったのでしょうか。
目を覚ますと、さっき回復させた生き物が、じぃっと女の子を見つめていました。

「ようやく、目覚めたのか。」

女の子は、驚いて立ち上がりました。

「あなた、会話ができるのね。それともテレパシーかしら。」

「なぜ、余計なことをした。お前がやったことは、ほとんど意味がないことだ。
 放っておいて、勝手に回復した分の方が、はるかに多いぞ。」

「じゃあ、ほんのちょっとは意味があったってことね。それなら、ちっとも後悔はないわ。
それに、あなた本当は二足で動けるのね。さっきは四つ足だったのに。
きっと、相当弱っていたんじゃない?

それと、あなたが私を回復してくれたのかしら。だったら…ありがとう。」

そう、小さく笑うと、生き物は一瞬固まった後、バツの悪そうな顔をしました。
かんちがいで攻撃してしまった、申し訳のなさもあるみたい。

453Mii:2018/11/21(水) 06:45:25 ID:Jyf9E9g2
と、そこに。
1人のチコが、あわてた様子でやってきました。



「ママ!たいへんだよ!おっきな隕石が、近づいて来てる!このままだと、ぶつかっちゃうよ!」

「それは、たいへん!」



てっきり、この生き物との遭遇が「たいへんなこと」とばかり思っていたのに。
顔を真っ青にして、女の子は言われた方向を見やります。

大きい、大きすぎる球体が、確かにせまってきています。
昨日までは、全然見当たらなかったのに。ものすごい速さです。

ほうき星にぶつかってしまったら、一体どうなるのでしょう。



どうしようもなく、立ちすくんでいたところに、先ほどの生き物が一歩前に歩み寄りました。

「助けてもらった借りもある。ここは、私に任せなさい。」

「駄目よ。どうするのか知らないけれど、あんなに大きい物、たとえ強いチカラで砕いたとしても、
数えきれない破片が降り注ぐだけだわ!」

454Mii:2018/11/21(水) 06:47:07 ID:Jyf9E9g2
しかし、その生き物は余裕しゃくしゃくで隕石に立ち向かったと思うと…
腕を、たったのひと振り。

紫色の鋭い衝撃波が、ものすごい速さで飛んで行き…隕石に当たってみれば…

まばゆい光とともに、隕石をどこかへと消し去ってしまったのです。



「すごい!すごいわ!何をやったの!?」

「ふん。空間ごと、隕石を切り裂いてやっただけだ。私にとっては朝飯前である」

「……!きっとあなたは、神さまか何かなのね!
 お願いします、今の魔法、教えてください!
 また、いつ隕石が落っこちてくるかわからないんだもの。」

455Mii:2018/11/21(水) 06:48:32 ID:Jyf9E9g2
神さまは、軽く鼻で笑いました。

「お前には、1000年掛かっても使いこなせまい。
 空間をつかさどる、想像を絶する難しさの魔法だからな。」

「だったら、私なら100年あれば、きっとできるわ。
 だって、私、空間魔法は得意なんだもの。」

「そんなに言うなら、駄目もとで、使う所を存分に見せてやろう。100年後が楽しみだ。」



神さまは、全然期待していなさそうでしたが、丸1日女の子に付き合って、
魔法をあちこちの空間に向けて使って見せた後、どこかへと去っていきました。

456Mii:2018/11/21(水) 06:49:45 ID:Jyf9E9g2
5年後。
神さまは、暇だったのか、ほうき星に様子を伺いにきてみました。


女の子はすこし成長していましたが、『その魔法』は失敗してばかり。
いえ、形になる予兆すらみられません。
当然だ、とため息をつきました。



10年後。
再び、神さまはやってきました。

女の子は、あいかわらず特訓を欠かさないようでしたが、
得られるものは特になかったようでした。

「もう、やめたらどうだ。力の差がありすぎる。同じように真似しようとしても、
できるわけがないのである」

多少冷たい言い方になってしまいましたが、神さまはそう諭しました。



「…そうよね。そんなこと、できっこないのよ」

女の子は、力なく肩を落としました。

457Mii:2018/11/21(水) 06:51:24 ID:Jyf9E9g2
100年後。

みたび、神さまはやってきました。
今度は、特訓のほどを見に来たわけではありません。
なんと、隕石がまたもや降ってくることを察知して、助けてやろうとしたのです。
…それだけのはずでした。



ところが、神さまは驚きました。



必死の形相をした女の子のまわりに、数えきれないチコが群がり、
同じく必死に女の子に力を送っています。

そして、女の子が杖をひと振り。

すると、ほうき星全体が、はるか上空含めて、女の子の制する空間となったのです。


女の子は、杖をふた振り。


前回ほどではないとはいえ、ほうき星よりはるかに大きい隕石は、
さらにおおきい『空間』に包まれました。

458Mii:2018/11/21(水) 06:52:53 ID:Jyf9E9g2
女の子が…杖をみ振り。



女の子の頭上に、バチバチと、目がつぶれそうなほど輝く光の剣が作られていきます。
その大きさは、2メートル…5メートル…10メートルを超えました。



そして、最後に。




女の子は、杖を持っていない方の手で剣を握り、杖に見立てて、えいやっと振り下ろしました。
魔法で動かしているらしく、剣は滑らかに振り下ろされました。



剣の先から出た衝撃波は、かつて神さまが女の子に見せたものにそっくりでした。
その衝撃波は、隕石を包む空間ごと、隕石を消し去ってのけたのです。



チコたちが大喜びする中、女の子は力を使いすぎて、バタリと倒れてしまいました。

459Mii:2018/11/21(水) 06:54:52 ID:Jyf9E9g2
女の子が目を覚ましたのは、七晩過ぎたときでした。

女の子は神さまに気付くなり、興奮冷めやらんようすで話しました。

「私には、神さまみたいに一瞬で隕石を消すことはできなかったわ。
どうやっても、力がなさすぎるもの。

でも、いったん自分の制御する空間で切り取ってから、その空間ごと崩壊させるっていう手順を踏めば、
なんとかなることがわかったの!」


神さまは、なんともいえない気持ちになりました。

460Mii:2018/11/21(水) 06:56:18 ID:Jyf9E9g2
去り際に、神さまは言いました。

「大したものだ。手間は違っても、お前のやったことは私と同じ。
…そのチカラ、弱きを助け、悪を挫くために使う限り、
私の魔法と同じ魔法名を使うことを許そう」



魔法使いにとって、上級の者から魔法名を借り受けられることはとてつもない名誉です。

女の子は、飛び上がらんばかりに喜びました。

そして、より一層、空間魔法を極めていこうと、心に誓ったのです。

461Mii:2018/11/21(水) 06:58:16 ID:Jyf9E9g2
私は、『絵本』の物語を語り終わる。

そしてその頃には。
物語と同じく、光り輝く巨大な剣が、左手にしっかり、握り締められている――!



ディメーンたちに、私の物語が聴こえたかどうかは定かではありませんが。
私の作った空間から逃げられない彼らは、今度こそ本当に危険であることを理解し、
叫びながら遮二無二暴れようとしています。


剣を天空に向けたまま、すこし、後ろを、振り向く。


マリオもピーチも、固唾をのんで見守ってくれているよう。

ルイージはただひたすら、あわわわわ、と驚いています。

ヨッシーは、勝ちを確信できたのかガッツポーズ。

クッパは、むすっと腕組みをした状態で…静かに、頷く。

そして、微笑んだデイジー姫とナスタシアに促されて――
サヤカが、満面の笑顔で叫びました。

サヤカ「ママ、いっけー!!」

462Mii:2018/11/21(水) 07:00:17 ID:Jyf9E9g2
――「では、私の魔法の、魔法名を伝えようか。その名は…」
――「……っ、その名は…!」




ロゼッタ(一気に、空間に、振り下ろすッ!!!!)






ロゼッタ「    Spacial Rend《亜 空 切 断》っ!!    」






衝撃波が、ディメーンたちを閉じ込めた檻に、当たる。
空間は、一気に、ディメーンを逃がすことなく、轟音とともに収縮崩壊し始めます。

ディメーン「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ディメーンの断末魔が、聞こえた気がしました。
そして……空間が、砂粒よりも小さくなった後。
パァン、と小さくはじけて、光の粒とともに消えていきました。

同じく消えゆく光の剣を満足そうに眺めて…私は、意識を落としたのです。

463以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/22(木) 00:23:58 ID:6BzF9llQ
まさかのクロスオーバー

464以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/24(土) 21:38:11 ID:qvTWrikU
神様ってティアルガかな?

465以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/25(日) 08:52:21 ID:.AnKWnx6
「デ」ィアルガじゃなくてパルキアでは

466以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/27(火) 17:32:35 ID:3KAW6mBc
スマブラとかいう異世界の英傑勢揃いの超人レスリングの新作に参戦決まったからなぁロゼッタ…

467Mii:2018/11/30(金) 06:14:51 ID:ccoR/GVA
――――ぽたり。ぽたり。



閉じていた目を、すっと、開く。
何もない空間、何も見えない空間に、かすかに水滴の落ちるような音が聞こえる。

…ここは、夢の中でしょうか。きっとそうに違いありません。
杖はどこかに行ってしまいましたが、フヨフヨと浮遊感があるのですから。
ドレスに付いていたはずの赤色も、見る影もありませんし。


…あ、ちなみに。
おたすけウィッチ状態はとっくに解除されています。
まあ、あの超大技にはFPを 5000 くらい消費するので
これだけでは夢の中かどうかは判断できないんですがね。
自分が締めたばっかりにFPの無駄極まりない?き、聞こえません聞こえません。

キョロキョロと周りを見やっても、暗い空間がただただ広がるばかり。
夢なら、もう少し明るくて楽しいものが好みなのですが。

468Mii:2018/11/30(金) 06:16:10 ID:ccoR/GVA
そう思っていたら、急に、周りの景色が様変わりして、色鮮やかになりました。


ロゼッタ(あ……とても澄んだ空がどこまでも…)



遠くに見える、いくつもの浮遊島。
風そよぎ、思わず背伸びしたくなるような秘境の地。
いい演出ではないですか!


ところが。
体の自由が、急に利かなくなりました。夢だからでしょうか?
意思に反して、勝手に視線を足元に向けてしまいます。

そして、どこからともなく、誰かがすすり泣く声が聞こえてきます。
こんな最高の気分を味わえないなんて、一体どなたなのでしょう?

469Mii:2018/11/30(金) 06:17:30 ID:ccoR/GVA
ぽたり。ぽたり。



ロゼッタ(…………ん?何か、滴が足元に?)



そういえば…目元に違和感があるような…。



ロゼッタ「……ひぐっ、ひぐっ!死にたくない、死にたくありません…っ!誰か、助けてぇ……!!」

ロゼッタ(……………………私ですか!?)



これは驚きました。自分が泣いている夢など、見たくもなんともないですが。

状況を理解すると、たしかに「私」が泣いていることが知覚できます。
理由はさっぱりわかりません。…まあ、夢の出来事に因果を求めるのはナンセンスかもしれませんが。
あと、当然ながら私はちっとも悲しくありません。ややこしいですね。

470Mii:2018/11/30(金) 06:20:45 ID:ccoR/GVA
夢は、醒めることなく、まだまだ途切れず続きます。



ロゼッタ「マリオが私を助けに来る、助けに来ない、来る、来ない…」



死んだ目になっているのでしょうか、抑揚のない、蚊の鳴くような声で呟きながら、花占いを始めました。
助けとかなんとか、よくわかりませんが、「来ない」で決着するたびに絶望度が上がったような顔の強張り方をして、
嗚咽を漏らしつつ、次の花に移ります。次の花へ、また次の花へ…。

ロゼッタ(いやいや、ちょっと待ってくださいよ私!ここに咲き誇ってる花、同じ花ばっかりのせいで
      どれもこれも花びらが偶数枚しかないんですけど!気付きなさいよ!)



自分の体の中にいて、自分の周りを冷静に観察できるのに。
行動だけが自分の思うようにいかない。もどかしいったらありません。



ロゼッタ「…………はは、駄目、ですかあ」ポロポロ



ロゼッタ(なんと、結局何時間もかけて、確認できる限り全ての花びらをちぎってしまいました。
     暇人ですね!というより見ている私の身にもなってくださいよ、クタクタなんですけどっ!
     ほら、ちぎられた花びらも、風でどこかに飛んで行って…………)

471Mii:2018/11/30(金) 06:23:22 ID:ccoR/GVA
視線が、「足場」の外へ、下へと向けられます。

ロゼッタ(……!?ひっ!な、なんですか、ここ!?)



奈落の、底。いえ、景色的には青い青い空間が広がっているのですが、とにかく地表が見えません。


これは、落ちたら一巻の終わりでしょう。なるほど、どうあがいても生き延びる手立てが探し当てられずに、
絶望していたということですか。

「ロゼッタ」は、何分間くらい涙を流して放心していたでしょうか…おもむろにゴシゴシと涙をぬぐいました。
涙の跡は、きっとくっきり残ったまま。

そのまま空元気全開で、明るい声で叫び始めます。



ロゼッタ「……なーんて、ね。大丈夫です、早々に絶望して飛び降り自殺するなんてことをせず、
      何日でも何週間でも足場にへばり付いて、齧りついて…待って、待って、待ち続ければ!
     絶対に、マリオやピーチ姫が助けにきてくれるはずですっ!

      あと数日もすれば、マリオたちがほうき星に到着して事情を把握します!
      きっと即座に、このコースのスタート地点へのスターリングに飛び込み、
      『待たせたな』と声をかけてくれるに…そうに違いありません!

      他力本願ですが…彼らを信じて待ち続けましょう!そうすれば、私は100%助かるのですからっ!」

472Mii:2018/11/30(金) 06:25:18 ID:ccoR/GVA
間違いなく、自分に言い聞かせている。
確かに、彼らならこんな私をいつまでも放置はしないでしょう。
じきに助けに駆けつけてくれるはず。

最後の最後で、頭を冷やすことができたようで…最悪の決断をしなかったようで何よりです。



ロゼッタ(よかった。いくら夢だからといって、
      流石に自分が死ぬところは見たくありませんよ、絶対に。ふふ)



――――しかし、この状況。どこかで、マリオやピーチ姫に聞かせてもらったことが、
あるようなないような…。


「私」は空元気のまま、すっくとおもむろに立ちあがって、



ロゼッタ「エイエイ、オーッ!」



と拳を突き上げる。柄にない振る舞いをしてのけます。

ロゼッタ(私らしくないですが…中々カッコいいじゃ、ないですか)

473Mii:2018/11/30(金) 06:26:55 ID:ccoR/GVA
…ええ。本当に、本当に私にとって、柄にない振る舞いでした。



その結果。



ロゼッタ「あっ、急に立って立ち眩み」フラッ

ビュゥウウウウウ!!

ロゼッタ「あ、しまっ…」ヨロッ ツルッ

風にも煽られ、足場から足を滑らせました、まる。



ロゼッタ()

ロゼッタ()

ロゼッタ(ええええええええええええええ!?超絶にカッコ悪いですよぉ!?
      超低体力の癖にこんな足場の端で急に立ち上がらないでくださいよ馬鹿ぁっ!?
      
      落ちてる、落ちてるんですけどーっ!?)

474Mii:2018/11/30(金) 06:28:36 ID:ccoR/GVA
落ちる。

落ちる。

ひたすら、頭を斜め下にして、落ちる――っ!



ロゼッタ(あ、れ)

加速する風圧で、呼吸が、できない。どんどん、体が、苦しくなる。



ロゼッタ(夢じゃ、ない?)



え、もしかして、このまま、死ぬ?



ロゼッタ「ああああああああああああああああああ!!!!!!」ボロボロ

ロゼッタ(風圧と涙で酷い顔になりながら泣き叫ぶあなたは本当にうるさいので黙っておいてくださいっ!?
      いや私ですけどっ!?どこまで落ちていくんですか、これぇーーーっ!?)

475Mii:2018/11/30(金) 06:32:27 ID:ccoR/GVA
1分くらい、落ち続けたでしょうか。

きらり、と。
視界一面、はるか下が、光った気がします。

ハッと目を見開くと、相変わらずの無限の奈落。
……気のせい、と思いかけました。


きらり、と。また光り輝く。
その光景に…私は目を疑い――知識の棚を引っ掻き回し…状況を把握します。

――ああ、空間の果てにある「特異面」、というものですね。知っていますよ。
存在を理解していただけで、実物を見るのは初めてですが。

――当たると粉々になって消えてなくなります。
生命体なら当然死にます。いやあ単純明快ですね。

ロゼッタ(……………………)ヒュウウウウウ

ロゼッタ「じーにーだーぐーなーいーでーすぅーーーーー!!」ポロポロ

ロゼッタ(死にたくなーーーーいっ!?)



グシャッ…………………

476Mii:2018/11/30(金) 06:34:04 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「」ガバッ!



ピーチ「あ」

マリオ「おっ」

デイジー「ロゼッタが起きたわ!!そろそろ起きる頃合いと集まってて大正解だったわね!」

ルイージ「よかったよかった!心配したよ!」

クッパ「ふん、ワガハイに心配を掛けさせるとはいい度胸なのだ!」



ロゼッタ「………………………」

ロゼッタ「………………………」ウプッ

ピーチ「はい、袋。男性陣、回れ右ぃ!!」

477Mii:2018/11/30(金) 06:35:55 ID:ccoR/GVA
マリオ(それもそうだ)クルッ

クッパ(紳士だからな)クルッ

ヨッシー(まあ男性陣ってことで)クルッ

ルイージ「え、なんd」

デイジー「回せ右ぃ!」バチコーン

ルイージ「」チーン





〜しばらくお待ちください〜






ロゼッタ「……もう、大丈夫、です。お水、いただけますか」ゲッソリ

ピーチ「はい」サッ

ロゼッタ(ゴクゴク)

ロゼッタ(……なんとか、戻って、来られた、みたい、です)

478Mii:2018/11/30(金) 06:37:40 ID:ccoR/GVA
ピーチ「吐けるもの全部吐いたわね…お疲れさま。気は確か?4+8は?」

ロゼッタ「…12」

デイジー「64÷4は?」

ロゼッタ「……16です」

マリオ「マリオカート参戦時、最初に選んだコースは?」

ロゼッタ「ルイージサーキットです……………ハッ?」

マリオ「……よしっ!!記憶、戻ってるな!!」ハイタッチ

ルイージ「やったね、兄さん!」ハイタッチ

デイジー「やったぁぁああああああ!おめでとぉーーー!!」ガバッ

マリオとルイージがハイタッチの後ガッツポーズをし、デイジー姫が泣きながら抱き着く現状。
もちろん、誠に嬉しいのですが、どうして…!?
なんというか、こう、大事な、大事な場面が飛んでいる気がするのですが!

ロゼッタ「え、どうしてですか!?私、あの超難関コースを一人でいつクリアしたというのですか?
      その記憶が全くないのですが!?…まさか、これも副作用の一環…!?」

ピーチ「あ、あはははは…」

マリオ「実は、だなー…」

479Mii:2018/11/30(金) 06:39:30 ID:ccoR/GVA

・・
・・・
ロゼッタ「すぴぃ」スヤァ



デイジー「ディメーンを完全消滅させて万事解決っと!!
      …ロゼッタの過去語りが本当なら、一週間ばかり目を覚まさないのよね?」

ピーチ「そのようね…とりあえず、キノコ城で寝かせておきましょうか」



マリオ「あ、いや。今のうちに、とっとと242枚目のスターを取って貰いに行こう」



ピーチ「…………は?」

マリオ「サヤカちゃん、だっけ。世界平和に大変貢献してくれたお礼に、特別に一週間後のパーティにご招待しよう。
    それまでの滞在費、およびパーティ後予定より遅れての帰り旅のお金も全て出そうじゃないか(出すのはピーチだけど)。

    その代わりと言っては何だが、一週間ばかりママと離れ離れになってしまうことを許してくれないかな?」ニコッ

480Mii:2018/11/30(金) 06:42:21 ID:ccoR/GVA
サヤカ「あ!そういえばうっかりしてたけど、もしかして、マリオ!?すっごい!マリオに会えるなんて!!
     …わかった!一週間ね!きっと大事な用事がママにはあるんだよね!パパに伝えてくるよ!
     あんまりよくわかってないけど…パーティ楽しみだぁ!」

マリオ「ははは、追って連絡するよ!じゃあ…行くぞー!ロゼッタ運搬役はピーチかデイジーに任せた!」ダダダッ

ヨッシー「はーい!」ダダダッ

クッパ「仕方がないのだ!」ダダダッ

ピーチ「説明、してくれるんでしょうね!?(ロゼッタ背負いつつ)」ダダダッ

デイジー「ちょ、どういうことよー!付いていくけどさーっ!」

ロゼッタ「」スヤァ

481Mii:2018/11/30(金) 06:44:50 ID:ccoR/GVA
ブロタロウ「…あれ?言ってませんでしたっけ。
       何人もコースに入ったり、下手にアイテム持ち込んだりってのはイレギュラー扱いになって
       記憶奪還とやらの支障になるでしょうが…

       ステージ仕様として、チャレンジャー1人に加えて ヨッシーの手助け までなら
       確実に正規挑戦・正規クリア扱いになりますよ?」

マリオ「な?」

ピーチ「」

マリオ「241枚目のスターゲット時におっかしーなー、怪しいなーってと思ったんだよ。
     241枚目および242枚目のスターってヨッシー前提じゃないと『普通は』クリア不可コースじゃね?って」

ピーチ「…ロゼッタとヨッシーのペアでクリアすれば、ロゼッタの記憶回復条件を満たせるってこと!?」

マリオ「そゆこと」コクコク

482Mii:2018/11/30(金) 06:47:16 ID:ccoR/GVA
ピーチ「…ヨッシー、クッパの誕生会のケーキの取り分、10倍にしてあげるから…
    簀巻きにしたロゼッタ背負って、ゴールまで無限踏ん張りジャンプで駆け抜けなさい。
    最後に、スターをロゼッタに触らせてクリアすることを絶対に忘れちゃ駄目よ?」

ヨッシー「その使命、確実にこなして見せましょう」キリッ

ロゼッタ「くー…」グルグルマキー
・・・
・・




マリオ「という訳なのさあ。あ、行き帰りの時間は十分にあったから、ここはまたキノコ城だけどな」



ロゼッタ「色々と台無しじゃないですかーーーーーっ!!!感謝はしますけどっ!しますけどっ!!
      なんだか色々と思い出してきましたけどっ!!」

というより、筋トレしても効果が実感できなかったのって、
力不足を魔法で補おうとする私の特異体質のせいってことですよね!?
むしろ1年近く逆効果なことをやってしまっていたのですか!?頭を抱えたくなります!

483Mii:2018/11/30(金) 06:50:07 ID:ccoR/GVA
ピーチ「ま、まあまあ。全てが無事に済んで万々歳なのだから、喜びましょう。ね?
     さ、さあ!ロゼッタも起きたことだし、明日はいよいよクッパの誕生日を祝うわよ!
     メインゲストとして、精一杯おめかししてもらうからね!」アセアセ

ロゼッタ「はぁ、もうそれでいいですよぉ…
      あれ?私が寝入ってしまったおかげで、一週間も過ぎてしまったはずなのですが。
      まだ開催されていないのですか?」

デイジー「うふふ。クッパがね。
    
      『ワガハイのせいで参加できるはずの者が参加できなくなるというのは頂けないのだ。
       涙を飲んで日程を先送りにしてやるから、精一杯ワガハイを崇め奉るがよい』

      って、ロゼッタが目を覚ますのを待っててくれたのよ。クッパ城にも帰らずにね」コソコソ

クッパ「何か言ったか?」

マリオ「ツンデレめ」ニヤニヤ

ピーチ「ツンデレね」ニヤニヤ

クッパ「……ピーチ姫はともかく、殴るぞマリオ」

ロゼッタ「それは、ありがとうございます!クッパ、心より感謝申し上げますね」

クッパ「う、うむ」

デイジー(まー、そのせいで結局『巨大ケーキ』の存在をまだ知らないんだけどねー。
      明日、どんな顔をするのやら。ご愁傷さま……)

484Mii:2018/11/30(金) 06:52:23 ID:ccoR/GVA
〜キノコ城、城下〜

ロゼッタ「う、うーん…」

ドタバタ騒ぎもひと段落…なのでしょうか。

一応、空間をちょっと探って、ディメーンの気配を念のため確認。
…どうやら、完全に征伐できた模様。めでたしですね。

あと、道行く人々の中には、びしっと改まって深々と頭を下げる方がちらほら。
すごく…心がくすぐったいです。

ほっと一息ついた私に、絶賛降りかかっている難題が、こちら。



デイジー「さあさあ、選びましょう!ピーチも太鼓判を押す、最高級のドレスたちよ!」



超高級ブティックに連れて行かされて、デイジー姫に急かされて、あれやこれやと服を選び試着し始めたはいいのですが。
恥ずかしながら雰囲気に飲まれてというか、服に着られてというか、全然落ち着くことができません。


…この値札、桁を一つか二つか、間違えていませんか…?
あとで試着代とか請求されないでしょうか?
そして、こんなものを購入してしまったら、汚すのを怖がり過ぎて逆に着られなくなってしまいそう。

ピーチ姫やデイジー姫には理解してもらえないでしょうが、心の中はいつもいつでも庶民なのです。

485Mii:2018/11/30(金) 06:54:53 ID:ccoR/GVA
デイジー「これとか、どうかな。ロゼッタのイメージカラーの青色を基調にした、
      とてもいいカラーとデザインだと思うんだけど!」

ロゼッタ「こ、こんなに背中が露出したドレス、私には着られませんよ!」

デイジー「このくらいどうってことないじゃない。背の高いロゼッタ向きだと思うよ。
      …言っておくけど、いつものドレスとは違ったドレスを最低一着用意するまで、開放してあげないからね。
      早めに音を上げた方が身のためだよー!」



頼みます。どうか、指先でヒラヒラさせている、その未記入の小切手をしまってください。



デイジー「さあさあ、次はどれを着てもら――」キョロキョロ

ロゼッタ「…あ、これにしますっ!まだ他より安いですから!これにてノルマ達成です!
      さあさあ買って帰りましょう!」サッ

デイジー「子供かっ!?音を上げろとは言ったけど、そんな決め方やめてよぉ!?」

486Mii:2018/11/30(金) 06:56:20 ID:ccoR/GVA
デイジー「信じられない…ドレスに対する冒涜よ…」ズーン

ロゼッタ「信じられません…このドレス一着買うお金で、何千年分の紅茶が買えるのでしょうか…勿体ない…」ズーン

デイジー「時間がないから仕方がないけど…本当はオーダーメイドで一から作ってもらうべきなんだよ。
      そのドレス含めて、最高級とはいえど出来合いがゆえに格安なの、わかってる?」

ロゼッタ「わかりたくありません」

デイジー「頭が痛いわ…ところで、試着もせずに買っちゃったけど、ちゃんと着られるの?
      私もあんまり確認できなかったよ?」

ロゼッタ「ふふっ、私の空間把握能力を信じていませんね?」

デイジー「あー、それもそうかぁ」

487Mii:2018/11/30(金) 06:58:54 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「…………」

まずい、です。

キノコ城に宛がわれた個室に戻ってきましたが…
ドレスの背丈が全く足りません。

なんだかもう、誤魔化しようのない大きさのズレです。
展示状態の地形で段差一つ、見過ごしたという感じでしょうか。

ロゼッタ「なるほど、本当にどうでもいいや状態で、全然能力が発揮されていなかったのですね、てへ☆」

ロゼッタ「………………………」ダラダラ

即刻店に舞い戻ればよいのですが――。

ロゼッタ(お店の注意書きに

      『当店は、最高級の品質をお客様に提供し続けます。
      そのため、お客様のご都合による商品の返品・交換には一切応じられませんのでご了承ください』

      ってあったような…)



ピーチ姫かデイジー姫に頭を下げ、ドレス一着分のコインを無駄にして次のドレスを買えと?
…お二人なら大笑いして許してくれそうですが、できませんよそんなこと!!?
自分自身を許せません!

488Mii:2018/11/30(金) 07:00:21 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「ええと、ええと。とにかく、明日までにドレスを調達しないと。
      この際、ピーチ姫にお借りして…って、サイズの問題が解決しないじゃないですか!」アワアワ



ロゼッタ「いっそ、いつもの私のドレスを着こなして…でも、お二人ともガッカリしてしまいそうですし…」アタフタ



考え、考え、考え抜いて。



その晩、私は、キノコ城を抜け出して、『ある場所』へ向かったのでした。
ピーチ姫の衣装棚から拝借した…血濡れのドレスを、抱きしめながら。

489Mii:2018/11/30(金) 07:01:46 ID:ccoR/GVA
〜クッパ様誕生パーティ、クッパ城〜

ワーワー!
クッパサマ―!
タイヘン オメデタイコトデ ゴザイマスー!

クッパ「」

ピーチ「ふふふ、クッパったら。皆に祝ってもらって、感無量と言ったところね!」

マリオ「ケーキ、でけぇー!!城の中に入れることもできないなんて、何十メートルあるんだ一体!?」

ルイージ「すっごーい!!もう見ただけで美味しそうだけど、全く持って食べ切れる気がしないよ!?」

ピーチ「フフン♪」ドヤァ





デイジー「最善を尽くした結果がこれだよ!」

ナスタシア「もう意味不明の領域ではないですか!?」

ロゼッタ「ほ…本当に、大きなケーキですね…ふわぁ……!感激です!」

ヨッシー「ゴクリッ(大量の涎)」

490Mii:2018/11/30(金) 07:05:04 ID:ccoR/GVA
クッパ「…………ピーチサン、ナニコレ?」

ピーチ「ご所望のスーパーサイズのケーキに決まってるじゃない!!
    私の実力じゃ、この程度の大きさが限界だったけど…許してね。
    美味しくできたと思うから、ぜひとも味わって食べてほしいの!
    …というか、残しちゃダメヨ?私が死に物狂いで作ったケーキなんだからウフフ。
    全体の0.01%を大多数のみんなが、5%をヨッシーが。残る94.99%をあなたが食べるって感じかしら」

クッパ「」

ヨッシー「ちょっと待ってください!私の取り分は10倍になるはずです!」フンス

ピーチ「あ、ごめんなさい。じゃあ、50%をヨッシーが、残る49.99%をあなたが食べる、が正しいわね。
    残念ね、ヨッシーより少ない量で」

クッパ「」



ロゼッタ(そうして始まった誕生パーティ。
      開会スピーチも人任せにして、涙を流しながら黙々とケーキを頬張り始めるクッパの姿がありました。
      『美味しいぞ、ほっぺたが落ちる位…美味しい、けどさあ…涙が止まらないのだ…』とつぶやきながら。
      その傍らで、触れたもの全て消し飛ばす勢いで、いヨッシーがケーキを平らげていきます。舌の動きが見えません…!
      まるで幸せ一杯で無敵になっているかのようです。

      なお、クッパのお触れで、基本量の3倍以上のケーキを食べて経費削減…いえケーキ削減に貢献したクッパ軍団員は、
      臨時ボーナスが出るそうです。良かったですね、頑張ってください!
      私は、間違っても白羽の矢が立たないように隠れてこそこそ食べていきます!)

491Mii:2018/11/30(金) 07:07:30 ID:ccoR/GVA
ピーチ「ロゼッタ、楽しんでるかしら!…でも、結局いつものドレスを着てきたのは大減点ね…
     ドレスを買いに行かせたのは無駄になったのかしら」

ロゼッタ「す、すいません…ちょっと間に合わなかったもので…」

ピーチ「…間に合わない?どういうこと?」

あまりつつかれても答えようがないので、しどろもどろに笑って誤魔化します。



ピーチ姫はため息を付いて、ようやく許してくれました。

ピーチ「それにしても、大きさはともかく、立派なケーキね。自画自賛しちゃうわ。
    …私もいつか、あんなケーキで祝われてみたいわね」ボソッ

ロゼッタ「……ほほう。それは」キラーン

おもむろに耳元に近づき。

ロゼッタ「マリオとの結婚式で、ということですか?」コソッ

ピーチ「ごふっ!?ち、違うわよ!……そ、そうよ。誕生日にって意味だから!」カアァ

ロゼッタ「…………」キラキラ

ピーチ「……ロゼッタの癖に生意気よ、何よその目は!」ヒソヒソ

492Mii:2018/11/30(金) 07:09:25 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「あ、マリオ、ちょうどいい所に!ちょっと来ていただけますか!」ヒラヒラ

ピーチ「ちょっ!?」

マリオ「おー、ロゼッタ。俺ですらビシッと決めてきたって言うのに、
    相変わらずの服装だが楽しんでるかー?俺は絶賛楽しんでるぞ。
    で、何をニヤニヤしているんだ?ロゼッタにしちゃあ珍しい(ワイン片手)」

ロゼッタ「いえいえ。実はですね、ピーチ姫がさきほど『こんなケーキで結婚式を祝われたい』と零していたので。
      マリオとしては気になる情報じゃないかなぁと」ニヤニヤ

ピーチ「そ、そんな事言ってないわよ!そ、それにマリオは関係ないでしょ!?」



――なんだか、ピーチ姫に対して押せ押せモードになるのは初めてかもしれません!
すごく新鮮です!頭の中を、イケイケトラックが鳴り響きます!
……はて、イケイケトラックってなんでしょう?

493Mii:2018/11/30(金) 07:12:20 ID:ccoR/GVA
マリオ「おいおい、マジかよ。流石に、ピーチが祝われる立場だったら、
    ピーチに作らせるわけにいかないしな…その時は、俺がキャシーさんやナンシーさんを雇うとするか」

ピーチ「か、彼女たちなら安心できるわよね。任せて、適正な対価を用意させてもらうわ」

マリオ「いやいや、だから祝われる立場のピーチが負担するなって。
     いくら無尽蔵にお金が湧き出るとはいえ。俺に任せとけって」

ロゼッタ「ふふ、その理屈なら、新郎のマリオが負担するのもおかしい話じゃないですか?」

ピーチ「ちょ、ちょっとロゼッタ!?いや、え、ちょっと!」カアァ



おとめな ロゼッタは ちょうしに のってしまった!▼
ロゼッタの かいしんの いちげき!▼

494Mii:2018/11/30(金) 07:13:27 ID:ccoR/GVA
マリオ「…へ?なんで俺がピーチと結婚することになってんの?
    全然そんな気ないんだけど、ひょっとして厨二病期間延長中か?
    ピーチにも失礼だぞ、あはは」



ロゼッタは いきおいあまって じらいげんを ふみぬいた!▼



クッパ「えっ」

キノじい「えっ」

キノピオ達「「「「「えっ」」」」」

クッパJr.「えっ」

デイジー「えっ」









ピーチ「……えっ」ガッシャーン

495Mii:2018/11/30(金) 07:14:52 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「…………」ダラダラダラダラ

マリオ「で、結婚相手って誰?……まさかクッパ?
    全否定する気はないが、あんまり趣味がいいとは言えないなあ。
    流石に違うよな?」

ロゼッタ「い、いやいやいや!ちょっと待ってください!」

マリオ「どうどう、なんだかよくわからんが落ち着け」

ロゼッタ「この上なく落ち着いていますよ!誰もが認める相思相愛、
     救い救われ続けた仲なのでしょう!?
     公式でもベストカップルズってよばれているじゃないですか!」

ルイージ(メタいよロゼッタ…)

マリオ「なんだ突然。うーん…。
    そりゃ、初めてクッパから救い出した頃は満更じゃなかったよ?
    ピーチ姫といえば、容姿端麗で頭脳明晰、キノコ王国の住民だれもが
    頭を垂れるような立派なお方…って俺だって思っていたし。
    『うわ、一国の姫、憧れのピーチ姫を救い出しちゃったよ。
    結婚して自分が次期の王になるフラグ立ったな!』ってさ。
    
    …でも、実際は『これ』だぞ?
    やんちゃはするし、遊びのために仕事をするスタイルだし、
    案外我儘な所はあるし、しっかりしているようで程よく手を抜くし」

ピーチ「」

496Mii:2018/11/30(金) 07:16:27 ID:ccoR/GVA
キノピオ「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!結婚する気、ないんですか!?
     今更、それは酷いんじゃないですか!?」

マリオ「いや、お前らが言うなよ…自分たちがやってきたこと、忘れたん?」


・・
・・・
ルイージ「へえ、8-4まで進んで、とうとうクッパを倒して、ピーチ姫を救い出したんだね!
      凄いや兄さん!きっと、ものすごい褒賞が貰えるよ!生活も楽になるかな!」

マリオ「ああ、そうだな。そしてお前は、たまには外に出ろよ」

ルイージ「…だって、出歩くたびに言われるんだもん。『兄と違って出来損ないの弟』って。
      配管工としてコソコソ生きていけるなら、ボクはそれでいいや」

マリオ「そんなことを言う奴は俺がぶっ飛ばしてやるからさ」



ガサッ



マリオ「ん?誰かが手紙を入れていったか?」

ルイージ「きっと、褒賞を与えるから城まで来たれしってことだよ!行ってきなよ!」

マリオ「どれどれ…ほう、本当に城に来いと書いてあるな!よし、行ってくる!」

497Mii:2018/11/30(金) 07:17:50 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオブラザーズ2〜
キノピオ「ピーチ姫がまた攫われました!すぐに助けに行ってくださいマリオさん!」

マリオ「」



キノピオ「どうしたのです、早く、早く!」

マリオ「…ちょっと待ってくれ。俺にも時間をくれ。一旦家に帰って落ち着いて考えてから回答する」

キノピオ「何を悠長なことを!」

マリオ「…じゃあ、せめて前回の冒険の褒賞を先にくれよ。
    こちとら、『土管に詳しい、ちょっと強い男』ってだけで招集されて、
    そのおかげで配管工として殆ど働けなかったんだぞ。
    貯金を切り崩して持ちこたえている現状…生活が崩壊しかけてるんだけど」

キノピオ「姫様を救える役目を担えるというだけで大層名誉なことではないですか。
      これ以上何を望むのです?」

マリオ「」イラッ

498Mii:2018/11/30(金) 07:19:25 ID:ccoR/GVA
キノピオ「だいたい、コインなら前回の冒険の道中で散々拾ったはずでしょう?
     冒険の終わりに王国に渡すものだから、お金には困っていないとばかり思っていました」

マリオ「…へ?あれ、王国に返さなくていいの?不労所得になるかなーって思って律儀に返したんだけど。

    …ふーん、へぇー。よし了解、そういうことなら助けに行くよ」

キノピオ「そうでしょう、そうしてください」

マリオ(そういやピーチ姫にも、キスしていただいたくらいでその後一切ご無沙汰無しだな。
    普通、感謝の手紙とか謁見許されるとか…いや、王国の危機を救ったんだから位を貰ってもいいくらいじゃね?
    なーんか軽く見られてるなー…それならこっちも、コイン稼ぎのついでに助けるか。
    自分の食い扶持は自分で稼ごう。それがいいそれがいい)アッケラカーン

499Mii:2018/11/30(金) 07:21:08 ID:ccoR/GVA
マリオ「99コイン貯まったか。あと1コインでなぜか残機に変換されちゃうから、一旦家に戻ろう。
    どうせ残機はピーチ姫に管理していただいているし。
    なにより、敵を踏み続ける方法で残機増やせるからな。…なんでだろう」ダッ

マリオ「99コイン貯まったか。あと1コインでなぜか残機に変換されちゃうから(ry」ダッ

マリオ「99コイン貯まったか。あと(ry」ダッ





ピーチ「マリオさん、遅いですね…」グズッ




ピーチ「また助けてくれてありがとうございます!」

マリオ「いえいえ、お気になさらず。光栄でございます。そして、ありがとうございます」ホクホク

ピーチ「…???」クビカシゲ

500Mii:2018/11/30(金) 07:22:23 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオブラザーズ3〜
マリオ(自国じゃないとはいえ、友好国のピンチにアイテム出し惜しみするなよ…。
    せめて、宝箱のアイテム全部くれよ、どうせお前たちアイテム使えないだろ…。
    自分でどうにかしろってか、酷い扱いだなあ)

キノピオ「どうかしましたか?」

マリオ「なんでもないっす。出張ご苦労様っす。それと、今回はピーチ姫を誘拐されないよう気を付けてる?」

キノピオ「あったりまえです!三度目の正直ですよ!失礼ですねえ」

マリオ「ほーん」





――二度あることは三度ある。ピーチ姫は暗黒の国に攫われました。

501Mii:2018/11/30(金) 07:23:44 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオワールド〜
マリオ「むむむ………ほいっ!!」ザンッ



Mario ×99 → 5
Luigi ×5 → 99



マリオ「よし、大成功!」

ルイージ「な、何をやったの、兄さん!?」

マリオ「お前の残機を増やした。これでまず安全だ。
    さあ、しっかり鍛えるから覚悟しとけよ!」

ルイージ「う、うん!兄さんがここまでやってくれたのなら…頑張ってみるよ!」

マリオ「まずはこの甲羅を頭上100 メートルの高さまで放り投げます」ブオォォ!

ルイージ「えええええ……」





ピーチ「マリオ、おーそーいー」ジタバタ

クッパ(ヨースター島で1か月もうろちょろして…何やっとるんだろうなぁ)

502Mii:2018/11/30(金) 07:25:16 ID:ccoR/GVA
〜クッパ城〜
ピーチ姫「これで四度目…あなたに助けられてばかりですね。
      何か、望みの物はありませんか?可能な限り叶えて差し上げたいと思います」

マリオ「…では一言。クッパから聞いたんですが、猫かぶりやめてください。いや、やめろ。
    こっちもピーチって呼び捨てにして、ため口で話すんで」



ピーチ「えっ…はい、構いません。じゃなくて、構わないわ」

マリオ「うんうん」



ピーチ(私と馴れ馴れしくしたいだなんて…も、もしかして)ドキドキ

マリオ(お偉いさんを助けるんじゃなくて、『友人を助ける』って建前なら納得もしやすいよな、気持ちが楽だわ。
    あと、やっぱり攫われても楽しそうじゃん。今度はもうちょっと助け遅らせても大丈夫そうだなあ)

503Mii:2018/11/30(金) 07:26:34 ID:ccoR/GVA
〜スーパーマリオRPG〜
大臣「マリオどの、ピーチ姫を救って頂いてありがとうございます!
    それでは、この後もスターピース集めに勤しんで下され!」

キノピオ「応援します!」

キノピオ「応援します!」

キノピオ「応援だけしておきます!」

ピーチ「お願い致しますね。それでは私は部屋に戻ります」ニコッ

マリオ「…………」



ガシッ



ピーチ「!?」

マリオ「いつもいつも頼りっぱなし…たまには自分で動いてみないか。
    マグマに落ちたりして、ちょっとは体力あるだろ!さあ、冒険に出発だお姫様!」

ピーチ「きゃああああああああ!?」ズルズルズルッ

大臣「」

キノピオ「」

504Mii:2018/11/30(金) 07:28:22 ID:ccoR/GVA
数か月後――
ピーチ「…フライパン片手に、なんとかなったわ」パンパカパーン!

大臣「えええ!?」

ピーチ「冒険も、案外悪くないわね!」

・・・
・・


キノピオ「…………」ダラダラダラダラ

マリオ「お前ら、事あるごとに尻拭いだけ押し付けて、その対価を貰おうとしたらしたで
    『姫様に取り入ろうとしている、けしからん』ってスタンスで動いたじゃん?

    その結果、『じゃあ絶対に取り入らねえよ、こっちは勝手に稼ぐから』ってスタンスをとることになるじゃん?
    まあ、最近はちょっとは落ち着いてきたみたいだけど」

キノピオ「…ええ、と。あの頃はまだどのキノピオも若かったもので…」

マリオ「いや、別にそれが悪いとは言ってない。
    おかげでwin-winの関係に落ちつけたわけだし」シレッ

505Mii:2018/11/30(金) 07:29:36 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「は、初恋は大事にしましょうよ!」

マリオ「その理屈だとポリーンと付き合うべきじゃないか?」

ロゼッタ(誰ですかそれ!?)

ロゼッタ「ほ、ほら!救い救われたというのも評価点!」

マリオ「…だとすると、デイジーやロゼッタまで対象になっちゃうんですが」

ロゼッタ「よ、世継ぎ!どうせいつかはピーチ姫も結婚して子を残す以上、
      ヒーローのマリオが伴侶となるのが至極当然かつ妥当かと!」

マリオ「ロゼッタ、今のキノコ王国の政治状況知らないな?
    ピーチの王国運営力舐めんなよ、8〜9割を動かしてるんだぞ。
    そのせいでキノピオ達の手腕が一向に育たんというデメリット効果付きだ。

    いま、ピーチが出産や育児で数年鈍ってみろ。この王国潰れるぞ?
    幸い、俺たちって老化を止めておけるからな。このまま何百年と頑張ってくれ。
    もちろん俺も協力させてもらう」

デイジー「これはひどい」

506Mii:2018/11/30(金) 07:31:42 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「き、キスされたって相当なことでしょう!?社交辞令だなんて酷いでしょう!
     キスされた回数は断トツで」

マリオ「『応援キッス』のクリスチーヌ、次点で『お姉さんのキス』のネールだぞ。
     1シリーズで1回こっきりのピーチ姫なんか3位に入れたらいい方だぞ。

     おまけに、彼女たちの場合は魔法効果を込めるために頑張れって想いも伝わってくるし、
     そういった情熱面でも負けてるんじゃないかな」

ロゼッタ「」

ピーチ「」

マリオ「あ、言っとくがピーチが酷いやつだ、と言いたいんじゃない。むしろ逆だ。
     友人として、腐れ縁として付き合うと、ピーチは凄くいい奴なんだ。
     金銭面だなんて下世話な話だけじゃなく、統率力は高いし人を飽きさせないし、
     戦闘力としても背中を預けるに値する女性なんだ。…なんか恥ずかしいな。

     ま、ともかくこれからもずっと親友でいような、ピーチ!
     …じゃ、俺はあっちの料理を堪能してくるよ」トンッ

ロゼッタ「……………………」

デイジー「……………………」

ピーチ「ふえぇ…」グズッ

クッパ「ワガハイはケーキを片づける人形、人形っと」ソソクサ

ルイージ「…あれ、もしかしてみんな、知らなかったとか?」

507以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/30(金) 13:29:51 ID:Oa3UCVPc
かなしいなあ

508Mii:2018/12/02(日) 16:50:14 ID:IZCffDa2
ロゼッタ「……ちょっとお花を摘みに参ります」フッ

デイジー「元凶が逃げるなあ!」ガシッ

ロゼッタ「ごめんなさいごめんなさいっ!それでも逃げますー!」タタタッ

デイジー「くぉらぁあああ!!」ガオー!



デイジー姫も、全くもって本気で怒っているわけではないようで。簡単に撒くことができました。
…私にとっては全力疾走で、呼吸困難に陥っておりますが。

巨大ケーキの置かれた敷地から、建物の中へ…ではなく、
出口にあたるクッパ城の正門まで、一目散に駆けてきてしまいました。

ハァハァゼェゼェと息を乱しながら、パンドラの箱を空けてしまったことを後悔。
さあ、どうしたらよいのでしょう…!この空気!







会場の空気を一変させる、起爆剤なんて、どこかに転がっていないですか――


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