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雑兵の雑草記

427以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/01(日) 04:01:35 ID:8XoKhjSA
雑兵「...」

オークジェネラル『そしてある日、ゴブリン族の一家が謂れのない罪を擦りつけられ、一家もろとも...そこから人間と我々は対立するようになった』

雑兵「そして戦争へ...か」

オークジェネラル『そうだ、戦局は我々に圧倒的有利で、敵対する人間を国外へ追いやった、しかし我等と共存を望む人間もいた、我々も同じだったが...次は我らが人間を迫害し始め...最後には皆国外へ出て行った』

雑兵「ふーん...」

オークジェネラル『我の立場ではなにも介入させる事が出来ない、また人間と暮らしたいものだが...』

雑兵「人間と...そう言えば...殿下まだプーだったよな...」

428以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/01(日) 22:14:39 ID:IsFVK7lA
雑兵「なぁ...物は相談なんだが...また人間と暮らしてみねぇか?」

オークジェネラル『人間と共存?いや...そちら側が認めぬだろう』

雑兵「いるんだよ、こっちの大陸で居場所が欲しい奴がよ、話だけでも聞いてみねえか?」

オークジェネラル『うーむ...そうだな、″オーク族としては″賛成しよう』

雑兵「ってぇことは他の族は...」

オークジェネラル『遺恨は根深いのだ、思っているよりもな』

雑兵「そうか...分かった、なんとかしてみるよ」

オークジェネラル『あぁ、次会うときは共に生きる者同士の話をしよう』

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429以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/03(火) 22:11:52 ID:vvZBbDb6
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国境警備隊陣地
勇者「誰もいない...」


エルフ「勇者様!死体です!」

勇者「あ...カルトの奴らじゃん、こんな人数誰がやったんだろ」

エルフ「我が軍の警備兵も見当たりませんね...全滅か或いは逃亡か...?」

勇者「さっきの伍長が言ってた、一人残ってるってのが気になるんだよね、恐らくこのカルトを殺した奴だと思うんだ」

430以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/03(火) 22:17:14 ID:vvZBbDb6
エルフ「物陰に死体...隠れて殺してたってことは、バレて逃亡した可能性もありますね」

勇者「オムエン側に逃げちゃったのかなぁ...ん?」


雑兵「つっかれたぁマジで...つーかよう考えりゃおれ殿下に会える機会もうねぇし、あーもうダメだダメ、二度とよらんあんな国...あ」

エルフ「うっそ、生きてた...」

勇者「ここにいたんだね」

雑兵「あ〜...何しに来たの?」

431以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/07(土) 22:51:22 ID:2KcF5zTE
勇者「殿下の次の安住の地をね、もうあっちには戻れないでしょ」

エルフ「それでオムエンへってこと...魔物なんか倒しちゃいいし」

雑兵「あーあいつのね...」

勇者「でも魔物がいるんでしょ?だから先に駆除しておいて...」

雑兵「魔物...あぁ、いや、倒さなくていいんじゃないか?うん」

エルフ「え?」

432以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/07(土) 23:28:33 ID:2KcF5zTE
雑兵「うん、いい奴もいたしなぁ魔物」

勇者「ど、どんな体験したのここで」

雑兵「敵対する魔物もそりゃいるが、全員がそうでは無いからなぁ、後からでもいいんじゃないかな、そういうの」

勇者「いや良いわけないでしょ...てかボロボロじゃん、大丈夫?」

雑兵「ん?あぁ、ちょっとカルトの連中に追われてな、オムエンへ逃げちまってさぁ、カルト連中は話のわかる魔物が倒してくれたんだ」

433以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/08(日) 23:39:55 ID:yrumHM82
雑兵「ところで伍長いなかったか?あいつが街へ増援求めたと思うんだが」

勇者「あぁ、伍長なら途中の木陰で休ませてるよ、倒れちゃってさ」

雑兵「そっか...良かった」

エルフ「これからどうするの?確実なのは国境警備隊壊滅状態だよ?まぁ脱走とかでいなくなってるのは知ってるけど」

雑兵「どうするってもなぁ、俺の立場じゃ与えられた場所に行くしかねぇんだよなぁ」

勇者「うーん...そうだなぁ、姉ちゃんに掛け合ってみるかぁ」

雑兵「来たがる奴いんのか?こんなところ」

勇者「連れてくるしかないでしょ」

434以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/08(日) 23:41:57 ID:yrumHM82
雑兵「まぁそうだけど」

勇者「しゃーない、一旦帰るね、オムエンについての報告は...」

エルフ「共存を求めてる魔族も居るから前向きな報告でいきましょうよ」

勇者「そうだね、じゃあね雑兵」

雑兵「俺一人かよ」

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435以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/08(日) 23:51:27 ID:yrumHM82
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女騎士「しかし国境警備隊にいたのかあいつ」

勇者「うん、まーた面倒ごと背負い込んでたよ」

女騎士「その件については報告書で確認した...まったく天賦の才だな...」

勇者「いつまでもカルトに付き纏われてちゃあ休まらないよねぇ...」

女騎士「国境警備隊については人員がいなくちゃ勤まらない、そうだなぁ...」
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436以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/08(日) 23:57:19 ID:yrumHM82
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ビギニング刑場

副団長「団長、こんなとこへ来てどうするんですか?」

女騎士「ちょっとイキの良い人間をね...いた」


軍曹「これはこれは騎士団長殿...いつ以来でしたかな...」

女騎士「やぁ、元気そうで何よりだ、看守を呼んでくれ」

副団長「はい」


軍曹「何しにきた、俺をこの手で殺しに来たのか」

女騎士「キミを檻に入れたのは私だからね、出すのも私だと思っただけだよ」

437以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 00:02:12 ID:Vk5VyAkE
女騎士「それに...私は間違っていない、君は休戦による顔色伺いの為だと思っているが...」

軍曹「うるせぇ偽善者、今もアマちゃんなんだなおめぇは...そうだなぁ檻に入れられた原因に思い当たる節、あとは...」

女騎士「...やめろ」

軍曹「おいおいそんなもう生娘でもねえだろ、おっと未遂だったからまだ生娘か、体はだけどな」

女騎士「...」
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438以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 00:07:41 ID:Vk5VyAkE
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数年前

「頼む...!降参するから!」

軍曹「降参?おーい聞いたかみんな、散々俺らのシマで好き勝手やって、降参だとよ」

「殺そうぜ兄貴!」

軍曹「まあ待て、おい、お前の仲間は今どこに居る」

「し、知らねぇ!ホントだ!みんな逃げちまった!」

軍曹「そうかぁ...連れてけ」

「了解!」

「待てっ!俺は何もしちゃいなぁ!ホントだ!!!」

439以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 00:32:44 ID:Vk5VyAkE
軍曹「さて...今回はどんな公開処刑を」

女騎士「おい、何をしているんだ?」

「ゲッ...騎士団長...」

軍曹「これは騎士団長、村を襲った賊を捕まえました、行った蛮行を鑑みるに処刑が妥当だと思いますので」

女騎士「そんなことお前が決めることじゃないだろう、然るべき裁判を経てやる事じゃないのか?少なくともウチの軍隊じゃそうしてるが」

軍曹「ッチ...おい、捕虜にしとけ」

「りょ、了解です兄貴...」

440以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 00:44:17 ID:Vk5VyAkE
軍曹「かわんねぇなお前」

女騎士「悪い物は悪い」

軍曹「ったく...なんて同期だ...」

軍曹、部隊は違うが、彼とは入隊時期が被っており、一度だけ行われた新隊員懇親会でウマが合い、よく話す間柄になった、入隊後はかなりの好成績を叩き出しいち早く軍曹へ承認したが今の階級が気に入っているのかこれ以上階級を上げるつもりは無いらしい。

女騎士「ダメだろ好き勝手したら、お前も今後が...」

軍曹「お、嬉しいねぇ、オレとの将来心配してくれてんの?」

女騎士「う、うるさい!」

開戦直前、彼に告白された、彼は遊び人でこなれた感じの告白だったが...私にははじめての告白であった。

441以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 23:17:47 ID:Vk5VyAkE
女騎士「まったく...大事になる前に誰が処理してると思っているんだか、そう言う事案は、普通騎士団長なんかにお伺いを立てずそのまま上に流すべきなのに...」

軍曹「そのお陰でオレが助かってんのね、苦労かけるな」

女騎士「ま、まぁ知ってくれたのなら次からは...」

昔の私はまだ甘かった、完全に惚れた訳ではない、ただ今の関係が心地良かったのだ。
幼少時代、その時は訳も分からず妹と森林に突っ立ていた、老人の誘いで街まで出たが、金など当然持ち合わせておらず、右も左も分からない状態だった、スラムに妹と暮らし始め、奴隷商に攫われる直前、前騎士団長に私達は拾われた。

442以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 23:23:25 ID:Vk5VyAkE
不幸中の幸いであった、勉学を受けさせて貰い、自由な道を歩めと言われた私と妹は、助けてくれた騎士団長に報いる為、並々ならぬ努力を続け、私は騎士団へ、妹は英雄の道へと進んでいった。

女騎士「しかし未だに信用できないなぁ、本当に同郷の人間なのか?」

軍曹「あぁ...お前も、妹さんも大規模な土砂災害で死んだんだよ、俺は警察でな、災害の後に被災地に立ち入った時に事故で死んじまったんだ、だから分かるんだ」

女騎士「そうか...まぁ今はお前だけしか信用出来ないから信じてやろうかな?」

軍曹「嬉しい事言ってくれるじゃねぇの」
とても心地が良い関係だった...終戦の間際までは。

443以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/09(月) 23:33:07 ID:Vk5VyAkE
「...」

「何もしてぇっつうの...」

「神様...」

軍曹「これで全員か?」

「へい、村を襲った奴らです、間違いありやせん」

軍曹「そうか...」チラッ...

軍曹(いや、誰を待ってんだ俺は...さっさとやっちまおう)

軍曹「さぁてと、村人の証言によると家々の金品を盗み...女子供に手ェかけたそうじゃねえか...」

「お、お前らだってやってんだろ!」

「先に戦争吹っかけたのはそっちじゃねえかよ!」

軍曹「俺の知ったことかタコ、俺様のシマで暴れてんのが気に入らねぇって事だよ」

444以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/14(土) 22:56:20 ID:84U0Eg2E
「閣下、こちらが襲われた村です」

「うむ...敵も酷い事をする...ん?」


軍曹「さぁておめぇで最後の一人だな」

「ヒィィィ...!」

「兄貴、さっさと殺しちまいやしょうや」

「きっ貴様ら!!閣下の前でなにを!!?」

「うえっ?や、ヤベェ!」

軍曹「あぁ、閣下殿...今更どうしたんですか??」

「お...おまえ...!捕虜の虐殺は...!!」

445以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/14(土) 23:01:41 ID:84U0Eg2E
軍曹「いいでしょう、こいつらも村を襲って...」

「て、てめぇなぁ!戦争ってのはルールがあるんだよ!!こっちが勝ってもルール違反したらな!!国民がついていかねぇんだよ!!」

「落ち着きたまえ、うーん...しかしなんて事を...」

軍曹「他の部隊もやってる事でしょう」

「...それは知っている、だがな、今回はタイミングが悪過ぎたな...」

「時間的にももう間に合いません...」

軍曹「え?」


女騎士「こちらが休戦調印会場です」

「うむ」

「しかし今回の戦...敵ながら天晴れな...」

446以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/14(土) 23:07:25 ID:84U0Eg2E
軍曹「お、女騎士...」

「...騎士団長!こちらへ!」

女騎士「え?...うわっ...」

「ん?あ、あの死体は我が軍の兵士...?」

「どういう事だ...」


女騎士「貴様...!なんで今...!」

軍曹「ちょ、ちょっと...」

「騎士団長、こいつ貴様の知り合いだったな?このタイミングでこの行いはどういう事なのか教えてく」

447以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/14(土) 23:17:44 ID:84U0Eg2E
女騎士「閣下...これは私に責任が...」

「...前騎士団長に恩義がある...君もよく頑張ってくれていた、よし責任は全てこいつらにとらせる、参謀長」

「はっ、軍曹については終身刑...部下については...まぁ処刑でいいでしょう」

「うむ、そうしよう...敵方にもそれで話をつけさせよう、兵卒の分際で面倒な事をしやがって...」

女騎士「ちょ、ちょっと」

軍曹「お、おい待てって!こいつは関係ねぇ!」

「しょ、処刑...」

「決まった事だこの腐れが、おいこいつを縛ってくれ、敵に見せつけて殺すからな」

「了解です、こっち来いカス」

「ま、待ってくれ!」

448以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/15(日) 00:39:17 ID:E4KkUhMg
「あ、兄貴助けてくれよ!」

軍曹「お、おい!止めてくれ!」

女騎士「...もう無理だ、お前だけでも...」

軍曹「え...」


「誠に申し訳ありませんでした、これで手打ちに...」

「いやはや驚いた...」
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449以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/15(日) 01:53:15 ID:E4KkUhMg
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軍曹(まぁ考えてみりゃあ逆恨みも甚だしい話だな)

軍曹「ところで騎士団長さんよ、俺ぁどこに連れてかれるんだ」

女騎士「国境だよ、国境警備隊の員数が不足しててね、君が現地で警備隊の長として現場を任せようと思ってるんだ」

軍曹「どういう風の吹き回しだてめぇ...今まで音沙汰無しで...前も刑場に来たと思ったらあの若いのを...」

女騎士「あの若いのもいるぞ、それに音沙汰無しなんてなんの立場で言っているんだ」

450以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/15(日) 01:54:07 ID:E4KkUhMg
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軍曹(まぁ考えてみりゃあ逆恨みも甚だしい話だな)

軍曹「ところで騎士団長さんよ、俺ぁどこに連れてかれるんだ」

女騎士「国境だよ、国境警備隊の員数が不足しててね、君が現地で警備隊の長として現場を任せようと思ってるんだ」

軍曹「どういう風の吹き回しだてめぇ...今まで音沙汰無しで...前も刑場に来たと思ったらあの若いのを...」

女騎士「あの若いのもいるぞ、それに音沙汰無しなんてなんの立場で言っているんだ」

451以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/15(日) 02:10:36 ID:E4KkUhMg
軍曹「なぁ昔の誼だ、そんなつっけんどんにならなくても....」

女騎士「それもそうだな...昔の話だものな」

軍曹「...ッチ」

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452以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/15(日) 21:40:56 ID:E4KkUhMg
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雑兵「おい、頼むからこのタイミングで面倒事はやめろ」

「頼む!見逃してくれ!三度も食い逃げしちまったら流石に殺されちまうよ!」

雑兵「見逃すもクソも勝手におめえが絡んできたんだろうが!!」

「だっだって勝手に越境したら!」

雑兵「つーかオムエン逃げるよか首都にでもいけよ、その方が逃げられるだろうが」

「...それもそうだった」

453以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/15(日) 23:53:00 ID:E4KkUhMg
雑兵「分かったんならさっさとうせろ」

「わあったよ、しかしいつにも増して静かだな、警備兵の連中どこに行ったんだ」

雑兵「俺が知るかよ、まぁ伍長は暫く休み貰ってる」

「休暇?珍しいねぇ」

雑兵「じゃあ分かったんならさっさと...ん?」

454以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/16(月) 00:15:58 ID:d1RiDFbg
勇者「おーい」

雑兵「あれ?どうしたんだ?首都に帰ったんじゃ...」

勇者「いんや、ずっと麓の村で村長さんと話ししてたんだ、今日帰ろうと思って

455以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/26(木) 02:42:48 ID:uPS1GuSo
雑兵「あ〜そうなのか...」

勇者「でね、明日増員来るから出迎えお願いね?」

雑兵「増員...」

この期に及んでの増員、やっぱ上の人間の考えは分からない、しかし軍隊とは
そういう組織なのかもしれない。

雑兵「そうか、また賑やかになるな、いつまで続くんだろな」

勇者「...雑兵は動く気はないの?」

456以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/26(木) 02:54:35 ID:uPS1GuSo
雑兵「動く?...っても居場所はないと思うけど」

勇者「居場所なんて...みんな雑兵が帰ってくるの待っている人も...」

雑兵「あぁ...今の俺には、それだけで十分だ、みんなが俺の事を知っていてくれるだけで」

勇者「なーに達観してんの...死ぬわけじゃ無いんだから」

雑兵「はは...確かに」
確かに死ぬわけでは無いが、ここへ飛ばされたと言う事はそう言うことだ、駐屯地にも分屯地にも居てはいけない、ここの軍隊
の流儀は知らないが、地の果てにあのタイミングで飛ばされたってことは、まぁ俺でも露骨にわかる。

勇者「何だったら...その...首都に来ても...」

雑兵「ありがとう、でもうちょっとここでやってみるよ」

457以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 04:18:22 ID:0S865AKo
勇者「こんなとこじゃ...」

雑兵「ここもここで楽しかったよ、伍長にも会えて、あいつ帰ってきて俺がいなかったら多分泣くだろうし」

勇者「伍長...あぁ、彼なら退職するって、お金も溜まって、故郷にある恋人と店出すんだって」

雑兵「おい待て初耳だぞ」

勇者「その程度の付き合いだったって事じゃない?」

雑兵「ここの守備隊へ来て過去一泣きそうなんだが...」

勇者(まぁ、雑兵の事心配して、退職伸ばして戻ろうか悩んでたけど...大切な約束があるんならそっちが優先だし)

勇者「だから雑兵も居場所なんか気にせず、ここに拘らなくて良いんだよ?分屯地だって...首都にだって雑兵の帰りを待ってる人がいるんだもん」

雑兵「...そうか、そうだな...伍長の奴をぶん殴らねぇと気が済まねぇが、もう無理そうだな」

458以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 04:23:43 ID:0S865AKo
雑兵「ありがとう勇者、でも無理に帰すなんて事はやめてくれよ、俺が惨めったらしいから」

勇者「知ってるよ、そんな一朝一夕で帰せる訳ないじゃん、だから...だからもう少しだけここにいてね...?」

雑兵「お、おう...?」

そんないきなり潤った目と、湿った声色で言わないで欲しい、ほぼこの守備隊で禁欲生活を強いられた俺にはとても効く。

雑兵「なぁ帰れたら、もし帰れたらたくさん金あると思うからさ、次は首都で...」

勇者「...うん、約束ね、破ったらサイテーだからね...?」

雑兵「もうサイテーな場所にいるから大丈夫だよ」

勇者「バカ...じゃあ行くね?明日になったらお願い」

雑兵「うん、じゃあな」

459以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 04:53:40 ID:0S865AKo
雑兵「...あいてぇなぁみんなに」
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460以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 06:32:04 ID:0S865AKo
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軍曹「ふぁぁぁ...なぁ、そろそろ着いても良い頃合だろ、まだか?」

女騎士「もう少しで守備隊の詰所と陣地に着く、お前が今のところ最高責任者になるんだから気を引き締めろ」

女騎士(雑兵のやつ、元気にしてるかな...勇者は陣地へ行ったから話はしただろうな...)

軍曹「なぁ、そこにいるのは俺一人って事は無いよなさすがに」

女騎士「あぁ、雑兵という隊員がいる、当初二人だが後からまた増員が来る」

軍曹「雑兵...なぁまさかそいつって、お前が刑場から...」

女騎士「そうだ、私が助けた」

軍曹「っ...な、何もんだそいつ」

461以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 06:35:50 ID:0S865AKo
女騎士「そうだな...ゲス...思いやりのかけら無し...体力も無し...」

軍曹「な、なーんだ...大した奴じゃ...」

女騎士「でも、思いやりは無いが、骨の髄まで人の為に動く奴だな、ほんと、脊髄反射で動いてるようなもんだなアレは」

軍曹「...」

女騎士「最初見た時、アイツはお前なんかとは比べ物にならな位くらい人間味に欠けてたと感じたが...私の目が節穴だったのかな」

軍曹「...そうかよ」

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462以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 06:45:24 ID:0S865AKo
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雑兵「...哨所の陣地はこんなもんだな...隠れるようなとこでもねぇし...」

雑兵「結構サマになったなぁ」

一週間、ほぼほぼ一人陣地に取り残された俺は損壊した陣地の修復に当てていた、と言っても哨所の補修、バリケードの有刺鉄線貼り直し、矢盾に木をくくり付け強度を強めたに過ぎないがまぁマシにはなったと思う。
次の連中が大切に扱うとは微塵も思わないが見栄えも大事だ。

463以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 07:08:28 ID:0S865AKo
ガラガラガラガラ...

雑兵「お、馬車の音...」


女騎士「っよ」

軍曹「ほんっとに一人じゃねぇか...」

雑兵「ん?なんで女騎士が送り迎えなんかしてんだ?」

軍曹「へぇ...随分と馴れ馴れし女騎士「あぁ、人員も不足してるし、騎士団や他部隊の皆になるべく早く休暇を与えたくてな」

雑兵「女騎士は休暇取らないのか?」

女騎士「いや、これが終われば休暇だよ」

雑兵「そっか、確かに最近忙しかったもんな」

464以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 07:11:41 ID:0S865AKo
女騎士「雑兵ほどじゃないよ...しかし、やはり聞いた通り員数が驚く程合ってないな」

雑兵「つーか、員数自体ナンボいる事になったんだ?」

女騎士「ざっと50人から60人いれば充足率90%ってとこかな?」

雑兵「ははっ、充足率もクソもねぇな」

軍曹「ちょちょちょ、ちょっと良いか?」

雑兵「ん?この人は?」

女騎士「新入りだよ、っても雑兵よりも階級は上だからな?」

465以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 17:08:02 ID:0S865AKo
軍曹「な、なんか仲が良すぎじゃね?」

雑兵「仲は良かねえよ、まぁ入隊のきっかけではあるが」

女騎士「少なくとも友の間柄ではないな」

軍曹「っそ、そうか...」

何だこいつ、刑場で会っただけだからあんま印象無かったが...結構ヤキモチ焼きなんだな。

雑兵「あっちが詰所だ、荷物は勝手に入れといてくれ」

軍曹「お、おう...」


雑兵「あいつお前の事...」

女騎士「何も言うな...」

466以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 17:55:41 ID:0S865AKo
雑兵「まぁ、お前に好意寄せてる人間見当たらねえなぁって不思議に思ってたが...っても俺の
周りの人間しか見てねえけど」

女騎士「まぁ最初はたくさんいたよ、それこそ騎士団に入りたての時期は...何にも興味が湧かなかったが...
まぁあいつは、なんかウマがあっただけだな...今思えば」

雑兵「ふーん、ってェ事は最初は女騎士もなぁ...ッププ」

女騎士「な、なにが言いたいんだ...」

雑兵「最初は女の子してたって...いやすみません何でもないです」

467以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/27(金) 18:06:46 ID:0S865AKo
女騎士「ふんっ...」

雑兵「...まぁお前もそろそろ身ぃ固めてもいい歳だろ」

女騎士「っはは、さすがにまだ早い気がするなぁ...まだ二十歳だぞ」

雑兵「二十歳で苦労背負い込みすぎだろ」

女騎士「お前が言うな、背負い込んでは無いが巻き込まれすぎだ」


軍曹「...ッチ」

468以下、名無しが深夜にお送りします:2019/12/28(土) 02:45:13 ID:TJycpoQs
雑兵「いつ帰るんだ?」

女騎士「そうだな、明日の朝には出よう」

雑兵「そっか、寝るとこは詰所ン中だ、外来はねえし...女性用のベッドはねえから...小奇麗なのを...」

女騎士「寝藁があれば十分だよ、ありがとう」


雑兵「...一人は疲れたなぁ」

軍曹「なぁ...ここいいか?」

雑兵「あぁ」

軍曹「いやなトコだなここは...何もありゃしねえ」

469以下、名無しが深夜にお送りします:2020/02/21(金) 23:38:50 ID:nzRQFspQ
おもしろい
一気読みした

続き待っとるよ

470以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/08(日) 23:58:17 ID:/Y65tpYg
雑兵「そう、ナーンにもねぇくせに次から次へ人が来る...あんたの方が先輩だから分かるでしょ」

軍曹「わ、わぁってる、最果てに来ちまったことはな...」

雑兵「...あんた女騎士好きだろ?」

軍曹「...昔は好きだったな、だがもうあいつの気持ちも分かっちまった...」

雑兵「ふーん、ほっといてたらありゃ婚期逃しそうだぞ」

軍曹「じゃあお前が貰えよ」

雑兵「いやそこまで知り合ってはねぇよ」
事実俺は、女騎士の事は騎士団長であり、勇者の姉であること以外は殆ど何も知らない。

471以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/09(月) 00:04:00 ID:RpgB10rE
雑兵「しかしあいつの気持ちって、なんだよ?」

軍曹「なんつーか...恋だの生涯添い遂げるとか...なんな感じの事情は興味が湧いてねぇだつう感じだな、今のあいつは」

雑兵「そうか、そりゃ難儀だな」

軍曹「それに、俺はあいつに頼り過ぎた...あいつの苦労にあぐらかいて好き勝手やってたからな...」

この軍曹という男、話を聞く限りは昔はかなりのやり手だったらしい...まぁ見る影もないが。

雑兵「ま、新しい恋でも見つければ良いんじゃねぇの?女騎士はもう言うなれば天上人みてぇな存在だ」

軍曹「そうだな...なんかお前と仲良い感じでいるの見て嫉妬した俺がバカみてぇだな」

雑兵「だから仲良くねえって」

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472以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/09(月) 23:38:51 ID:blTIc282
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雑兵「なーんて事言ってたけど、付き合ってはなかったんだな、ちょっと意外なんだけど」

女騎士「まぁ...昔は少なからずとも嫌ってはいなかった、それだけのことだな」

雑兵「そっかぁ、勿体ねぇな、再会したなら俺だったら運命感じるけど」

女騎士「再会というかだな...まぁもう夢ばかりも見ていられないんだ」

雑兵「そんなもんかぁ、そ言えば明日からここの人員増えるんだって?軍曹みてぇな札付きっぽい奴とか連れてきたらそれこそ前の隊との二の舞だと思うが」

女騎士「そう思うだろうが、ここに隊を置くのはもう国境警備だけじゃなくなったんだ、オムエンに赴き新たな政府を作る」

雑兵「...まさか殿下か?」

女騎士「あぁ、独り立ちという事だな」

473以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/14(土) 15:31:47 ID:f7iVAnpo
おつ

474以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/18(水) 22:14:33 ID:u1NoYCpg
雑兵「いつまでも置いとけないって感じか」

女騎士「あぁ、まかり間違っても一国の王子...プラニス皇国が例え滅んでいたとしても直系の血族が残っていれば、おいそれと無碍に出来ない」

雑兵「ストレートに言やぁ邪魔ってか」

女騎士「あぁ、王国の大臣共としてはって感じだな、私個人では子供1人をどうにも出来ない訳が無いと思うんだが...いかんせん頭が固いやら面倒ごとは押し付けるわで...」

雑兵「そうか...苦労してんだな」

女騎士「あぁ...今までに無い仕事だ、疲れたよ」

雑兵「そりゃ申し訳ない事したな...俺がそもそもの面倒ごと持って来ちまった」

475以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/18(水) 22:17:46 ID:u1NoYCpg
女騎士「あぁ、お前の責任だ、どうあがいても首都に帰らせ、迷惑をかけた人たちに奉公して貰うつもりだ」

雑兵「はは...そ、そんなんで帰りたくはねぇな...」

女騎士「冗談だ...しかしお前はここにいるには勿体ない位みんなから心配されてる、その点についてもお前の処遇を考慮しないとな」

雑兵「なんかするつもりかよ」

女騎士「ま、それは無事お前が帰ってこれた時のお楽しみってことだ」

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476以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/18(水) 22:44:21 ID:u1NoYCpg
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雑兵(そんなこんなで四日ほど経ちましたが)


「おーい、後方陣地にバリスタ設置しとけ!」

「ここの石弓隊の壕は浅すぎる、もう少し掘るんだ!」
「了解!」

雑兵「一気に増えたなんてレベルじゃねぇぞ」

軍曹「ここ数日でこの国境警備隊の戦力は一個大隊レベルまで増えたぜ、ったく、何考えてんだか...」

雑兵「そう言うあんたは歩兵小隊の指揮官かよ、刑場からえれぇ栄典もあったもんだな」

軍曹「そりゃあぶち込まれる前は小隊指揮官を命ぜられてたからな、しかし何の因果か...」

ここ数日で国境警備隊はフィッハー分屯地以上に増えた、何より驚いたのが各隊の統制が取れており、勝手に街に降りる者やオムエンに入り空き巣泥棒をする者がにいないと言うことだ、いや、それが軍隊にとって当たり前だし、驚くのはおかしい事はわかるが、相当驚いたのも事実だ。

477以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/21(土) 03:30:01 ID:hq/HtDYo
雑兵(しかし女騎士の言ってた処遇ってのは一体なんだろう)

首都へ帰る事になるのか、はたまた別の駐屯地かどこかへ飛ばされるのか、どちらにせよまた人事参謀の連中がごちゃごちゃ言うに決まってる、檻の中に収監されているときチラッと人事参謀の連中の事を看守が呟いていた。

雑兵「どっか行くならもうそこが最後の土地にして欲しいもんだな...」

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478以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/21(土) 03:45:41 ID:hq/HtDYo
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人事参謀「イヤもう勘弁してくださいよ、雑兵って兵卒の名前出す度にですよ、上の連中に嫌な顔されてですねぇ」

女騎士「勘弁も何も、雑兵の異動を企んだのは君達の方だろう、人事発令通知での異動や、騒動が起こった後に何故か独立大隊から警備隊への職種変換...それもこれも君たちが行った事だ、私にとって君達の感情なんて関係ない」

人事参謀「い、いや、だって各部隊長からの評価も新兵の時分からみそっかすでですよ?独立大隊の隊長や...まぁ騎士団長である貴方からの評価は高めでしたけど...それでもですよ」

女騎士「部隊長評価で新兵の異動を決めていたのか?それはそれで問題だぞ」

人事参謀「あ...いやそう言う訳では無くてですね...部隊長の評価もありますけど...各部隊の充足率を鑑みた結果でですね...」

女騎士「そうだな、確かにフィッハーの分遣隊は1人姿を晦ましたから完全な編成では無かったな」

人事参謀「そうなんですよ、全て理由があって...」

女騎士「では何故彼の職種変換を?」

479以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/21(土) 03:55:35 ID:hq/HtDYo
人事参謀「そ、それは...オムエン国境警備隊の数がですね...」

女騎士「首都に国境警備隊の予備隊員は沢山いるじゃないか、それも過剰なまでにだ、何故雑兵だったんだ?」

人事参謀「そ、それは...」

女騎士「別に正直に答えてても咎めはしないさ、お前の立場の苦しみは分かるつもりだ」

人事参謀「...まぁ...厄介払いっすかね...」

女騎士「はぁ...やはりな...厄介と思う気持ちは分かる、だがな、一度変えた職種は元に戻すことは軍法上出来ない、君のその指示は、勝手な私情で兵を1人を最悪無駄死にさせる可能性があった行いだ、あまり言いたくはないが、過去に例がないレベルで最悪の人事だ」

人事参謀「...ッ」

女騎士「まぁ別にいい、その仕事の仕方ではその座は長くは持たないぞ、考えておけ」

人事参謀「...っは、はい」

480以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/21(土) 04:04:33 ID:hq/HtDYo
人事参謀「...っクソが...」

「だ、大丈夫ですか...?」

人事参謀「大丈夫な訳あるかよ...今までで死ぬ程最悪な気分だ...どうすりゃいい...」

「騎士団長の話だと、雑兵って兵卒を首都の警備隊へ異動させて欲しいと...別に戻して丸く収まるなら...」

人事参謀「馬鹿野郎ちったぁ考えてみろ、俺ら人事の手で追い出した奴をだな、俺ら人事の手で戻せって言ってんだあのアマ...」

「...あぁそっか、騒動後の短期間で職種変換から異動...そしてまた異動...」

人事参謀「厄介だから異動させただけだ...普通の部隊長連中になら咎められることは無かったが...騎士団長直々に咎められた」

「...詰んでませんかこれ、異動させなければ騎士団長が上に報告するかもしれませんし...異動させれば上から短期間での異動はどう言う事かと問われますし...」

481以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/22(日) 22:51:47 ID:4MQgDR0E
人事参謀「騎士団長が上に報告か...わっかんねぇ、上の人間共が厄介払いで出した奴だぞ...それを上の人間が戻せって...」

「...戻しましょうや、もう騎士団長の胸借りるしかねぇっすよ」

人事参謀「はぁ...職変はもう出来ねぇ...そんで人を欲しがってる警備隊かぁ...」

「強襲警備団なんかどうです?騎士団直轄の部隊だから騎士団長の下におけるし、最近は定年退職や依願退職で充足率も減ってます」

人事参謀「なるほど、厄介者をすぐそこに置かせりゃあ、嫌でも目につくってか...そりゃ良いかもな」

「はい、それで騎士団長が辛抱たまらずこちらに異動の話を持ちかけてくれば...」

人事参謀「おめぇも存分食えねぇ奴だな、よし、おい学生、この書類を警備隊長に持ってってくれ」
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482以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/22(日) 23:20:36 ID:4MQgDR0E
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女騎士「雑兵が強襲警備団にですか?」

警備隊長「はい、先程人事部の方から書類が届きましてな、『本日付で一等兵 雑兵を国境警備隊オムエンから強襲警備団ビギニング へ異動を銘ずる』とありまして、強襲警備団はあなた方のお膝元ですから我々に書類を渡すのは畑違いでね」

女騎士「そうですか、人事の方には後で言っておきます」

警備隊長「いえ、ワシの方から言っておきます、まぁ今までの適当な仕事っぷりが招いたミスですな、然程重大なミスではありませんがね」

女騎士「っふふ、私だけじゃなく、警備隊長からもお灸を据えられる事態になるのは少々可哀想です」

警備隊長「はは、以前から目に余る仕事っぷりですじゃ、一言文句言ってもバチは当たりゃしますまい、では書類は渡しましたのでこれにて」

女騎士「ありがとうございます」

483以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/23(月) 00:38:01 ID:PbTQqQMI
女騎士(まぁ、お膝元に厄介者を配置させて、厄介事を大量に舞い込ませ、辛抱ならんと人事に泣き付かせる魂胆だったんだろうな...)

女騎士「っふ、お膝元に置かせると言う対応は正解だな」
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484以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/23(月) 00:48:41 ID:PbTQqQMI
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女騎士「強襲団長、次から隊員をよろしくお願いします」

団長「っへ、ようやく補充が来ると思いきや、フィッハーやオムエンで厄介事ばかり背負い込んでたあいつか、粗方騎士団長のお膝元においておきゃぁ疲れて人事に泣きつくって魂胆だったんだろうぜ」

女騎士「恐らくは、まぁ目に見える範囲に置く対応は正解だと思います」

強襲団長「次くる奴ぁ...名前見る限りだと、こりゃ同胞だな?いつの時代から来たか分かるんかい?」

女騎士「私と妹が死んで...多分少し経った未来からだと思いますが、あまりその手の話は聞いて無いので...」

強襲団長「そうかい、同胞は大事にしねぇとな、軍曹みてぇな輩を産みかねん、元警官の癖に外道に身を落としやがって」

女騎士「...」

強襲団長「ま、外道は俺も言えた事じゃねぇが...捕虜殺害はお前に軍曹が気を許し過ぎて起こった事件だ、今回は大丈夫だろうな」

女騎士「はい、線引きはちゃんとしました...それに雑兵はそんな事をする人間では無いと感じました」

強襲団長「そうか...会ったらゆっくり話をしてみよう」

485以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/23(月) 00:54:48 ID:PbTQqQMI
強襲団長...私がこの世界に来る十数年も前からら強襲警備団団長の職に着かれていた、私と妹は、この方から剣術や体術を教わり、今は姉妹共に団長を師匠と思っている。
私が生まれる何十年も前の戦争で命を落とし、気付いたらこの世界に来ていたそうだ。

強襲団長「ま、お前のお墨付きなら大丈夫だろうな、情報ありがとよ」

女騎士「はい、彼をよろしくお願いします」

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486以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/23(月) 01:02:37 ID:PbTQqQMI
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二週間後
雑兵「だからいきなりの異動はですね」

「知らねぇよ俺に文句言うな、お前を連れて来いって命令受けたから連れ去りに来ただけだ、さっさと馬車に乗れ」

雑兵「はぁ...やっと活気溢れてきたって思ったらもうお払い箱か」

オムエンの国境守備隊の増強により、麓の村では日用品や嗜好品の需要が増え、そろそろ新しい店がオープンするって噂を聞いた位に異動命令が下った。

雑兵(さらばオムエンよ、二度とこねぇぞくそったれ)

「早くしてくれよ」

雑兵「少しは感情に浸らせてくれよ」

軍曹「よう、異動するのか、どこの部隊だ?」

雑兵「軍曹、さぁて今回はどこ行くかてんで知らされて無いからなぁ、強襲警備団...ってとこらしいけど」

軍曹「強襲警備団といやぁ...騎士団直轄の部隊だぜ?首都に帰れるじゃねぇか」

雑兵「え??首都なの?」

487以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/24(火) 23:20:26 ID:ycHRcovs
軍曹「っへ、騎士団長がお前を引き抜いたんだろうよ、よかったな」

雑兵「首都かぁ...俺分屯地に帰りたかったんだけど...」

軍曹「クソ贅沢な野郎だな、さっさといっちまえ」

雑兵「わぁったよ、じゃあな」


軍曹「同じ世界から来たってのにこの違い、か...良心は最後まで捨てるもんじゃねぇんだな...」
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488以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/24(火) 23:38:16 ID:ycHRcovs
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雑兵「しかし強襲警備団ってなんなんすか?」

「あ〜、ハナッから説明するとだな、一口に警備隊って言っても、ウチの国にゃ種類があって、警備の心臓、つまりボスの部隊は国家警備隊、んでその直轄部隊には、駐屯地又は分屯地警備隊、まぁ憲兵みたいなもんだ、そしてお前のいた国境警備隊、歩兵の連中で成り立ってるが隊長は憲兵が多いな」

雑兵「隊長いなかったすけど」

「あそこは特殊過ぎたんだ例外だよ例外、んで強襲警備団ってのは、まぁカチコミしてくる憲兵って感じだな、だが普通の憲兵とは違って軍隊の規律を維持するのが仕事で無くて、国や国民に直接害を与える連中相手にカチコミをかますんだ」

雑兵「疑わしきは突っ込めってことすか」

「いやまぁ流石に裏どりや証拠を調べて打っ込むぜ」

雑兵「そっかぁ...なかなかエラいとこですね」

489以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/24(火) 23:44:47 ID:ycHRcovs
「で、強襲警備団の創設は国家警備隊だけども、部隊の編成替え等で、現在は騎士団直轄の部隊になっていますって感じだな」

雑兵「成る程...」

「隊員はそんな多くねぇけど、一人一人の剣術等々の練度は騎士団員と同等に高いぜ」

雑兵「うわぁ...嫌なとこいっちまうのかも」

「まぁ...がんばれってとこだな」
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490以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 13:57:59 ID:JsCjFC4Y
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1945年 北支那方面

「米谷陣地通信途絶えました!」

「釜谷砲兵陣地通信途絶!」

強襲団長「米谷も釜谷も死んだか...」

「丸石の機関砲陣地からの緊急電です、援軍を求めています」

強襲団長「司令部陣地にも人の余裕がない、引けるものは今すぐ司令部に引かせるよう各陣地に」

「はい!」

本土からの連絡も途絶えた、師団長もその参謀連中も逃げた、今残っているのは何も知らされず、列車も来ない駅と、指揮官など誰もいない司令部を守らされている将兵達だ。

強襲団長「しかし露助の連中もいい塩梅できやがったなぁ」

491以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 14:05:49 ID:JsCjFC4Y
「やはりロシアですか?」

強襲団長「モンゴルの向こう側から来る連中って言ったらロシアしかあるめぇ、よし、各陣地に伝達、只今から各陣地の指揮を石丸中尉が指揮する、戦局が芳しくないと判断すりゃ直ぐにでも我が陣地にも撤退するように」

「伝達します!」ッタッタッタ...

強襲団長「しかし列車も何も来ない駅に何の価値が...!」

ッポオォオオォ...


「列車...?援軍か?」

「いや...ありゃロシア方面からきてらぁ...」

強襲団長「双眼鏡かせ!」
「はい!」
強襲団長(ロシアの連中か?!それとも...)

492以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 14:15:48 ID:JsCjFC4Y
強襲団長「ありゃ...ロシアじゃねぇ」

「じゃあ味方ですか?!」

強襲団長「いや...民間人を乗せた列車だ、民間の列車だ」
「民間?この先にまだ民間人が...」

我々より先に陣を構えていた味方が撤退と言い訳し見捨てた民間人、我が陣に迎え入れる余裕もない。

「止めますか?」

強襲団長「いや...進ませろ、俺らが殿部隊だ」

ッポォーー!!! ガッシャン ガッシャン シュ-...

強襲団長「...車長はどちらに」

「俺だよ、兵隊さん、あんた達も乗りな!もうロシア直ぐそこまで来とる!」

強襲団長「気遣い感謝します、しかし我々はこの陣地を放棄する訳にはいきませんので急いで移動してください」

493以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 15:23:44 ID:JsCjFC4Y
「あんたら...もう戦争は負けてるのに気付かないのか!?無駄死にだ!」

強襲団長「無駄死ですか...私達はそうは思いませんがね」

「死に急いで...狂ってる...」

強襲団長「さぁ狂ってるでしょうな、でもね、あなた達民間人が一寸でも一尺でも日本に近付けられれば、それができれば我々の任務は完遂出来ます、それに見ればこの列車には子ども達も多く乗っている、この子たちが国に帰られれば...この果てに送られてきた甲斐があると言う物です」

「...」

「指揮官もこう仰っています、早く行きなさい」

「分かりました、ご武運を...」

494以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 15:35:51 ID:JsCjFC4Y
ガッシャン... ガッシャン ガッシャン

「帰りたかったなぁ日本に」

強襲団長「...俺もだよ」
ブォン... ブォン ...
「歩哨より緊急電!!敵の斥候と接敵!!」

「唐川陣地より入電!ロケット砲による攻撃です!」
ッドン!! ドン!! ドンッ!!
強襲団長「あぁ、こっちにも聞こえるよ」

「敵の戦車と歩兵が台頭してこちらに向かってます!!凄い数です!!」

強襲団長「よし...死ぬ気で戦え!!!」
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495以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 15:40:30 ID:JsCjFC4Y
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「ア...ア...」

強襲団長「カヒュ-...カヒュッ」

『ここのヤポンスキー共は手強かった』

『まさかこんな陣地で自走砲が5両も破壊されるとは...この将校生きてるぞ』

『殺せ、ヤポンスキーは皆殺しとの命令だ』

強襲団長「...っ」 カチッ

『こ、こいつ!爆薬を...


ドォォォン...
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496以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 15:57:01 ID:JsCjFC4Y
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「起きろ、首都についたぜ」

雑兵「んがっ...」

「強襲警備団は騎士団の修練場の中にある、強襲団長に挨拶でもしてこい」

雑兵「ああ...ありがとよ」

「いっとくが歴戦の古兵だからな団長は、あの騎士団長や勇者様を育て上げたお方だ、無礼のないようにな」

雑兵「了解ですっ...と」

497以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/28(土) 23:33:47 ID:JsCjFC4Y
ガチャ
雑兵「失礼します...」

強襲団長「おう来たか兄弟、まぁ座れや」

雑兵(うっわおっさんなのにゴツい)

強襲団長「女騎士から聞いたぜ、お前も日本からだろ?」

雑兵「はぁ...日本から来ました」

強襲団長「その人となりじゃ、俺よりも未来から来たってぇ感じだな、俺ん名前は石丸、石丸中尉と呼んでくれや」

雑兵「中尉ってのは今の階級なんすか?それとも...」

強襲団長「昔も今もって事だ、いつか教えてやるよ」

498以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/30(月) 15:12:53 ID:oN/QTdRk
強襲団長「ところでお前さん...この強襲警備団ってぇのは何をする所かちゃんと勉強してきたかな?」

雑兵「いえ全然、名前しか知らされずに連れてこられましたから

499以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/30(月) 15:23:24 ID:oN/QTdRk
強襲団長「ところでお前さん...この強襲警備団ってぇのは何をする所かちゃんと勉強してきたかな?」

雑兵「いえ全然、名前しか知らされずに連れてこられましたから、道中聞いた話だとカチコミ部隊としか」

強襲団長「そうかい、まぁ概ね間違ってはねぇさ、ただちゃんと分別をつけてぶっ込んでる、そこで、だ」

雑兵「?」

強襲団長「お前に人は殺せるか?」

雑兵「殺せるか否かって言ったら...まあ殺せはしますけど」

強襲団長「積極的にやりたいものではないって事だな」

雑兵「当たり前でしょう、狂人になった覚えは無いっすよ」

強襲団長「なった覚えはない...ねぇ、お前さんの書類に目を通すに...カルト教団を数人殺してるみてぇだが...ホントは何人殺した?」

雑兵「何人って...その書類に書いてある通り...」

強襲団長「あーすまん聞き方に言葉足らずがあったな、直接的だけじゃなくて...間接的に何人殺した?ってこと」

雑兵「間接的にって...」

雑兵(カルトのババアは直接殺した...間接的に...あ)

雑兵「オムエンの廃村漁ってた...奴らも...」

500以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/31(火) 00:47:10 ID:PSpGWtjY
強襲団長「例えそいつが屑だろうと、そいつを見殺しにして今何も思っていないのは立派な狂人だぜ」

雑兵「あ、あぁ...」

強襲団長「お前さんに足りてないのはそう言う所、味方の見殺しは立派な軍の規律違反だ、そいつ家族居たのに可哀想だなぁ」

雑兵「いや...盗賊紛いの事してたんで...」

強襲団長「あぁ俺なら間違いなくそいつは部隊から追い出す、だが愚連隊でも軍に籍がある以上は兵隊なんだわ、お前の立場で味方を見捨てるその考えが、我が団員に今後危険が及ぶ事になるのであれば...俺はお前を殺す、分かったな」

雑兵「は、はい...」

501以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/04(土) 21:36:11 ID:AulFFdcs
強襲団長「なぜ見殺しにした?魔物に抗う術ならあった筈だ」

雑兵「いや...強そうだったし...屑みたいな連中だったんで...」

強襲団長「そうか、お前の主観で我が隊員を見殺しにされては敵わんからな、その根性を叩き直すからな」

雑兵「は ッバキィ!!!
ガッシァャ-ン!!
雑兵「っづぁっ!」

強襲団長「痛いか?でも見殺しにされた隊員はもっと痛かった筈だぞ我慢しろ」
ッドゴォッ!!
雑兵「ゔぅっ...!」

死ぬ程痛い、なぜ俺がこんな目に、しかも味方から...味方から。

雑兵(味方に見捨てられるって...これ以上に辛いことなのか...?)

502以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/04(土) 23:40:17 ID:AulFFdcs
強襲団長「よく聞けよ、お前が生まれる前の戦争でな、俺は味方に見捨てられて、大事な部下を大勢殺してしまった」

雑兵「...知ったこっちゃねぇよハゲ」

強襲団長(お、きたきた)

雑兵「しちめんどくせぇなおめぇ...お前が味方に見捨てられたから何だってんだ...?」

強襲団長「ほう?」

雑兵「黙ってりゃ好き放題...先輩日本人だからって死に損ないが偉そうによ...」

強襲団長「...」

雑兵「見捨てられたからって部下大勢殺しておいて、俺様に狂人だ?戦争でお前が何してきたか知らねぇがな...何も考えずに指示待ちで部下殺しただけで偉そうにしやがって」

強襲団長「...」

503以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/08(水) 00:04:46 ID:ThBweReY
雑兵「ロートルがごちゃごちゃ...あぁ腹が立って仕方がねぇ、でもおめぇは俺の隊長だ、金さえ寄越してくれりゃ文句は言わねぇよ、せいぜいてめぇの大好きな部下を教育しとけや」

強襲団長「...っはっはっは!!、いいぞその怒り、その怒りが殺しに繋がるのか」

雑兵「あ?」

強襲団長「お前の殺しの根元を知りたくてな、いや簡単に出たのはちょっと驚いたが、強襲警備団にはいい人材だ」

雑兵「な、なにが...」

強襲団長「いや、任務をこなしていけばわかってくる、今日は帰って良いぞ」

雑兵「っち...意味分かんねぇ」
バタンッ!!

504以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/12(日) 00:22:14 ID:.NP4hgz.
プルルッ
強襲団長「はい強襲警備団...あぁ警備隊長、おう、分かった、直ぐに出る」

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505以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/12(日) 00:29:49 ID:.NP4hgz.
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女騎士「もう出動させるのですか?」

強襲団長「おうよ、あいつの殺意の根源...本当に怒りからくるのかが知りたくてな」

女騎士「あの警備隊員達を見殺しにした、それも怒りから来ている物なのかって話ですね」

強襲団長「今回の相手は殺しあげるのには不足ない相手だ、あいつを試す」

506以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 21:41:59 ID:yV8mmbi.
女騎士「お手柔らかにお願いします、彼も存外苦労していますから...」

強襲団長「まぁお前らよかぁ苦労はしてねぇさ、お前らが耐えれたんだからあの男も耐えてもらわにゃならん」
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507以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 21:52:31 ID:yV8mmbi.
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エヤッ!! トゥッ!!
雑兵(うっわ場違い感がハンパない...早く出よう...)


「なぁ、アイツって...」

「俺らがラング村で捕まえた...」

「新兵の総合野営でやらかした奴だろ、そんな奴がなんでここに居るんだ?」

「噂だと部隊をたらい回しにされてるらしいぜ?独立大隊からもハブられてるってよ」

「マジかよ?あの雑用隊にまで?」


雑兵(ちょっとはこうなるたぁ思ったけどもよ...)

508以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 21:58:35 ID:yV8mmbi.
騎士見習い「おい、お前」

雑兵「うおっ何でしょうか」

騎士見習い「っは、入隊同期に敬語とは...まぁお似合いだから良いか、単刀直入に聞くが、何故お前なんかがここに居る」

雑兵「お、俺も知らない、国境警備隊からここへ...」

騎士見習い「警備隊からここへ?バカ言うなお前の原隊は、え〜っと...どこだったかな?」

「えっと、雑用大隊じゃなかった、独立大隊だったな」

騎士見習い「あぁそうだった、なんの苦労もせずに、教育期間を終えてたから印象に残ってなかった、いや総合野営の時には目立とうとしていたな...まぁいいか」

509以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:05:26 ID:yV8mmbi.
雑兵「は、はぁ...満足したなら...」

騎士見習い「いや質問に答えてくれ、何故お前なんかが騎士団の修練場に足を付けている」

雑兵「いや知らねぇって、俺だって来たくは無かったけど」

騎士見習い「来たくは無かったのなら出て行ってくれないか?そして二度とツラを見せるな、入隊同期だけでも恥ずかしいんだよ、騎士団のみならず、どこの部隊に移動した同期でもそう思ってるよ」

雑兵「あ、あぁそうなんすね、じゃ、じゃあチャンバラ稽古頑張ってください...」

騎士見習い「チャ...チャンバラだと...?ここで行っている修練は我が王国を守る為の修練だ!」

雑兵「あっごめん...思った事が口に出ちゃって」

510以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:09:52 ID:yV8mmbi.
騎士見習い「貴様...立場というものを弁えていないようだな...」

雑兵「立場ったって入隊同期なら同じだろ、騎士団入れても変わるもんなのか?」

「こ、こいつ...」

騎士見習い「わ、分かった...お前が相当な世間知らずなのはわかったからそのツラを二度と見せないでくれるか...」

雑兵「あぁ?さっきから黙って聞いてりゃぁ調子乗りやがって...」

騎士見習い「な、なんだ...」

雑兵「

511以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:21:41 ID:yV8mmbi.
雑兵「それにんだてめぇそのふざけた胸パッドはオイ、肉襦袢にしてもデケェんだよ盛りすぎだろカスが!」

「???」

騎士見習い「え...?肉...なに?」

雑兵「外せよ、チキッてんのか?オイ!!」ガシッ!!

騎士見習い「ちょっ...!」

「お、おいやめろ!そいつは白薔薇騎士団に...!」

雑兵「白薔薇ぁ?!んなもん知らねぇよチンカスがぁ!!中居君の黒バラしか見てねぇわ!!!外せコラ!タイマンじゃ!!」

ブチィッッッ!!

騎士見習い「ひっ...!///」

雑兵「さっきから舐めた事ばっか言いやがって...なにが苦労してねぇだ...!!ばあちゃん助けたらカルトだったし...目の前でダルマんなっちまった女や子供助けられなかった...国境警備行けばよ!!クソカルト共の相手だ!!!魔物の方が理性あるわハゲ!!!」

騎士見習い「ちょっ...今ノーブラで...」

512以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:32:00 ID:yV8mmbi.
雑兵「この手で何人も殺したんだよ...!カルトのクソババアも!カルトも!!そしてクソみてぇな味方も見殺しにした!!!殺しは二度とごめんだ!!何の罪もない人が殺されるのも!!!なのになんでお前らクソ共のお膝元で働かにゃならん!!分屯地に帰らせろよ!!なぁあ?!!」

騎士見習い「し、知ったこと...
雑兵「知った事ねぇとは言わせねぇぞクソアマ!?言ってやるぞてめぇら騎士団がなってねぇからなぁ!!罪もねぇ村人もっ!!!罪もねぇエルフの村も!!!!罪もねぇエルフの姫も!!!子どもも!!!酷い目に遭わなかったんだ!!!何も知らねぇのに俺は見ちまったんだよ!!!」

騎士見習い「...っ」

雑兵「お前の苦労は何してきた...?新兵で配属されて教育が終わる迄の苦労で...この国の民になんの奉仕が出来たんだよ、あぁ...?殿下助けりゃ上の奴らは勝手な事するな...子どもなのに助けるなだぜ...可笑しいんだよこの国...」

騎士見習い「...」

513以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/20(月) 22:47:34 ID:yV8mmbi.
「お、おい...手放せよ...」

雑兵「いいかクソアマよく聞けよ...戦場で俺を見捨てるのは別にいいがな...今後騎士団の立場なのに...苦しむ国民を見捨てるようなら...俺がお前をこの手で殺すからな...」

騎士見習い「...は、はぃ...」

雑兵「失せろ...」

騎士見習い「っ...!」ダダッ

雑兵「あ?何見てんだ...いや、お前...」

「あ、ぞ、雑兵だっけ...あの、ごめんな?その、勘違いで捕まえちまって...」

「こいつも俺もあ、あんま顔覚えてなかったからよ!」

雑兵「...もう死ねやサンピン騎士団共が」ッタッタッタ...


「...やべぇな」

「う、うん、白薔薇騎士団の子、王族の親戚の子だし...しかも白薔薇騎士団出身の女騎士様も黙ってねえぞ多分...」
_
__

514以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/21(火) 23:18:32 ID:HE.vMP8Y
__
_
女騎士「...なるほど」

騎士見習い「ヒッグ...グスッ...」

勇者「雑兵...女の子泣かすとか最低」

エルフ「うーん、でもその子も言い過ぎですよ、部隊に優劣なんか無いはずです」

女騎士「そうなんだけど...」

勇者「泣かす事は無いっしょって感じかな」

エルフ「まぁー確かに」

女騎士「で?どうするんだ?」

雑兵「...謝んねぇぞ」

勇者「雑兵が大変な思いをしてるのは僕たちも分かってる、でもそれはこの子の苦労を否定する理由にはならないと思うなぁ」

雑兵「否定してきたのはそっちだ、俺は何も悪くない」

515以下、名無しが深夜にお送りします:2020/04/21(火) 23:24:25 ID:HE.vMP8Y
女騎士「全く...なんで戻って早々喧嘩なんかするからなぁ」

騎士見習い「ヒッグ...団長、申し訳ありません...」

女騎士「うん、君も雑兵に対して思う事はあるだろうが...彼は今の君達よりも辛い思いをしてるのも確かだからね...でも君の苦労を否定するのもいけないことだ」

勇者「雑兵には分かんないだろうけど剣の稽古も大変なんだからね、特に女の子はさぁ」

雑兵「わ、分かんねぇことは...」

女騎士「お前配属されて以来まともに剣術の稽古なんかしていないだろう、全部筒抜けだからな」

雑兵「...」

女騎士「剣術の稽古というのは、剣を保有する者にとってはすべき事なのだ、彼女は剣を持って以来ずっと剣術の稽古に励んでいる、今は入隊した隊員の中で1番の剣捌きだ」

516以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/01(金) 23:33:06 ID:O3d2OSbw
勇者「コレばっかりは雑兵にも非があるよ。素直に謝らないの、雑兵の悪いとこだよ」

雑兵「わ、わあったよ...ちとカッとなっちまて...申し訳ねぇ」

騎士見習い「...こちらこそすまない、騎士の見習いなのに騎士らしからぬ態度を取ってしまった...」

女騎士(最初の頃は私も騎士という立場を鼻にかけてたっけなぁ...)

勇者「じゃあ!仲直りという事で!」

雑兵「あ、あぁ...」

女騎士「で、この後はどうするんだ?」

雑兵「挨拶回りに行こうと思ってた所だ...独立大隊の人たちに会いたいからな」

517以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/02(土) 01:40:06 ID:HNzX2Isg
女騎士「挨拶回りか、殊勝な心がけだな」

勇者「んじゃぁ僕もついて行こーっと♪」

雑兵「え?何で?」

勇者「独立大隊ってあんま分かんないんだよねぇ、なんの職種になるんだろ、気になるから教えて貰うの」

雑兵「ま、まぁ別に良いけど」

女騎士「ふむ...では私も行ってみるか」

雑兵「うぇ?何でだよ」

女騎士「隊長に挨拶をと思ってな」

雑兵「そ、そうかい...」
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518以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/02(土) 03:39:45 ID:HNzX2Isg
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「団長、先月より調査を行なっていた盗賊団の最終情報が入りました」

強襲団長「どんな具合だ」

「は、やはり強襲団長の仰っていたように、定期的に砦を移しているようです、主として使っている砦から順々と回っています」

強襲団長「へぇ、して、次はどこの砦だ?」

「内通者からだと、次が主に使っている砦との事...盗賊団の妻子や略奪品、奴隷等はここに集められている様子で...本隊が不在の時も駐屯している者もいるようです」

強襲団長「ってぇこたぁ...駐屯部隊も含めたら大規模な盗賊団になるなぁ...まぁ数はどうでもいい、場所だ場所」

「は、ビギニング平原の果てにある...『転生の森』との事です」

強襲団長「...あの森か...」
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519以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/03(日) 23:16:42 ID:2BcoA6lU
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隊長「いやぁ、勇者様と騎士団長まで...」

雑兵「すみません、二人が勝手に...」

兵長「バカっそんな言い方...」

女騎士「いや、ホントの事だ、隊長にお話があってね」

兵長「...雑兵、天使に会ってやれよ、今や他部隊からも欲しがられる程の衛生技術だぞ」

雑兵「そうなんですね、俺とは大違いだ」

兵長「いや...そう言うわけじゃ...まあいいから行こうぜ!」
バタンッ!

隊長「...新兵の部隊配属は、俺ではどうしようもありませんでした、あっち行ってから死ぬ程辛い目に遭ってんですねアイツ」

女騎士「はい、ですが異動に関しては、人事参謀と...一部他部隊の隊長が異動を推薦してました、貴方への責任は何もありません」

隊長「そう言って下されば多少は心が救われますよ、でもアイツにハッパかけて変なやる気を出させたのは俺ですからね...そこからある意味狂っちまったのかも...」

520以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/03(日) 23:18:38 ID:2BcoA6lU
女騎士「...コレからは私と勇者で彼を保護します、ある意味では遠縁なので」

隊長「はい、アイツをよろしく頼みます...」

女騎士「では、失礼しました」
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521以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/06(水) 01:15:01 ID:wDnXqOnY
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勇者「首都で本腰据えれて良かったね」

雑兵「良くねぇよ強襲警備団だぞ、まだ何するかもあんま分かってねぇ」

勇者「う〜ん...強襲警備団かぁ...」

雑兵「そ、そこまでヤバイの?」

兵長「カチコミ部隊ってのは聞いてんだろ、国王に盾突く組織や盗賊...盾突くなら村も丸ごと襲う部隊だぜ」

雑兵「なんでそんな法外な...」

勇者「いや、ちゃんと裏どりしてカチコみしてるよ?そこは大丈夫」

雑兵「う〜ん...」

兵長「お、天使ちゃん、ちょうど良いとこに」

天使「あ、兵長さん...あれ...雑兵?」

雑兵「おう、久しぶり」

522以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/06(水) 01:29:13 ID:wDnXqOnY
天使「雑兵...もしかして帰って来れたの?」

雑兵「んー首都に戻れたっちゃ戻れたけど、別の部隊だ」

天使「あ...そうか、国境警備だから歩兵だよね...」

雑兵「本当は分屯地帰りたかったけど...ここも知り合い沢山いるから悪くはないよ、うん」

勇者「まーた分屯地帰りたがって!」

雑兵「し、仕方ないだろ、世話になったし愛着も...」

天使「ふーん、ここに愛着は無いんだ」

雑兵「んな!?やめろってそう言うのは!」

天使「ふふっ...嘘だよ雑兵、お帰り」

雑兵「まったく...ヒヤヒヤさないでくれ」

523以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/06(水) 22:27:10 ID:gorHnERE
天使「あ、ちょっと仕事あるからもう行かなきゃ、じゃあね」

雑兵「おう、またな」

勇者「さぁて、次は?」

雑兵「エルフか...殿下のとこに行きてぇな」

勇者「お、丁度よかった、エルフいま殿下のお世話役やってんだ」

雑兵「マジで?出世したなアイツも」

勇者「んじゃ行こうか!」

524以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/06(水) 22:30:04 ID:gorHnERE
そして
勇者「いま殿下は貴賓外来で寝泊まりしてるよ、独学で勉強もしてるんだって」

雑兵「流石だなぁ...ここか」トントン

「どうぞ」
ガチャ...

エルフ「あ、勇者様...え!?雑兵!?」

殿下「雑兵?来てるの?!」

雑兵「よう、久方ぶりだな二人とも」

525以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/22(金) 21:50:31 ID:vX3LzdQM
雑兵「結局殿下どうなんの?」

殿下「近いうちにオムエンってとこに行くんだ、ビギニングの統治下で国を作るよ」

雑兵「そっか、オムエンにいる魔物連中もいいヤツもいるからよろしくしてやってくれ、特にオークジェネラルはいい奴だったぜ」

エルフ「魔物とも交流を...」

雑兵「いや流れでだから、俺自身から行ったわけじゃ無いよ」

殿下「ねぇ、今回は雑兵はずっと首都にいるの?」

雑兵「あぁ、ずっといる予定だ、多分」

エルフ「...今回は騎士団長と勇者様の保護下みたいなものだ、もう大丈夫だと思うよ」

雑兵「だといいけど」

526以下、名無しが深夜にお送りします:2020/05/22(金) 21:59:51 ID:vX3LzdQM
エルフ「強襲警備団だって?また凄まじいとこに」

雑兵「なぁみんなそう言うよな?!なんなのあそこマジで!」

勇者「まあ〜...辛かったら助けてあげるから」

雑兵「えぇ〜...」
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