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雑兵の雑草記

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 17:48:02 ID:D57wSHgc
ジャラララララララwwww リ-チ!! ザンネン...

男(ッチ…)

男(二万の負けか…)

男(今月に入って当たりは四、五回…あと一回やろ…)ッス...

男「泣きの千円だな…」

思えば産まれてこのかた、頑張るだの努力だのは一切したことが無かった
と思う、小学校の最初は勉強も簡単すぎてやるだけ無駄と思ってやってこなかった
し、遊び仲間も沢山いた、楽しかった。
しかし、学年が上がるにつれて勉強は難しくなり、遊び仲間は皆んな勉強をし始めた、
いや、勉強は最初からしていたのだろう、何もして無かったのは俺だけだ。

320以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 01:22:08 ID:EL2a86Ik
ビギニング刑場
首都の北西に位置し、終身刑の判決を言い渡された罪人や死刑判決を受けた罪人が集められる刑場、所長の判断によって多い日には4〜5人の死刑が執行されることもある。

看守「ラング村での残忍な行為は賭け値なしで死刑確定だからな...まぁお前らは人殺していい思いして来たんだ、次はお前らの番って事だな」


「この異端者め...」

「教祖様が必ず助けに来て下さるからな、それまでの辛抱だ」


雑兵「だから俺は信者でもなんでも...」

看守「信者でないなら何故あの場にいたんだ、でなきゃあの行為はキチガイのやるド外道行為だぞ」

雑兵「俺だってこのキチガイ共に捕まったんだよ、フィッハー分屯地に独立大隊の雑兵っていやぁ分かるはずだ」

看守「あー分かった分かった、いいから檻ん中へ入れ」

ガチャ

雑兵「くっそ...どうすりゃ...」

321以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:49:04 ID:EL2a86Ik
「あ...?何だえらい若い奴だな...」

雑兵「クソ...年貢の納め時ってなこの事なのか」

「おい若造、何だってこんなトコに...」

雑兵「え?あぁ...ちょっとインチキ宗教団体の信者共とイザコザがあって...」

「インチキ宗教団体...あぁ、新顔共の噂話で聞いた事あるな、フィッハー地方にのさばり出したって...」

雑兵「あぁ...ちょっとした手違いなんだが...策士な奴に嵌められて信者に見られちゃって...信者を討伐して来た部隊に捕まったんだ」

322以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:55:56 ID:EL2a86Ik
「そうか、まぁこのビギニング刑場に来たからにゃもう何も考える必要はねぇよ、ここから出られる事はまずねぇからな」

雑兵「ビギニング刑場...?」

「なんだ、ここのことも知らないのか...まあいい、知ったところでだからな、先が短い同士仲良くやろうや」

雑兵「...」

「しかし若そうだな、お前今何歳だ?」

雑兵「そろそろ18になる」

「じゅ、18?おいおいそんな若いのに...この国はいよいよ可笑しい国だな」

雑兵「もうどうでもいいよ、また死ぬだけだ」

「何だえらいファンタジーな野郎だな...じゃあ俺も軽く自己紹介してやるよ」

323以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:59:00 ID:EL2a86Ik
「おれはバウナー軍曹、先の大陸戦争でやらかしてな...終身刑を言い渡されて早6年だ」

雑兵「何したんだ」

軍曹「ちょっとな...敵さんの捕虜を殺しちまって...敵だって俺らの捕虜沢山殺した筈なんだが...いかんせんあちら側が有利な状態で停戦しちまったから...まぁ元敵国の顔色伺いで俺ぁ戦犯になっちまったよ」

324以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/07(木) 23:59:48 ID:QVZdHQA.
雑兵「へぇ...大変じゃないの」

軍曹「いや...お前の置かれてる立場も結構大変だと思うが...見ろ、あの処刑台を」

雑兵「...」

軍曹「この刑場が出来て以来何千もの罪人の慟哭を聞いた処刑台だよ、今日も一人執行される」

雑兵「あいつは何をしたんだ」

軍曹「あぁ、聞いた話じゃ国境沿いの小さな町に手下の蛮族をけしかけて...後は分かるだろ」

雑兵「死んで当然の人間だな...首吊りとか首切るんじゃないんだな」

軍曹「ここからじゃ見えねぇけど執行台の向こう側はエライ崖になっててな、まあまあ見りゃ分かる」

325以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/09(土) 00:09:32 ID:iHryWjZ2
雑兵「...?」

グオオオ...

軍曹「来たぜ...」

雑兵「え?え?」

カタカタと檻が揺れ、地の底からハラワタにズーンとくるような揺れが始まった、揺れは鳴き声とともに次第に大きくなり、その声の主が姿を現した。

?「グウォオォオオオオオオ!!!!!」

雑兵「うっわ...」

軍曹「ふぅ、やっぱ何年も見てるが慣れるもんじゃねぇな、俺らは通称刑場の龍神と呼んでる...昔は由緒正しい龍神だったらしいが、今や人喰いの龍だ」

326以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/12(火) 00:48:04 ID:lqqq4T56
雑兵「由緒正しかったにしちゃあ随分と汚い身なりだな」

軍曹「龍使いがいねぇのさ、どんな龍にも使いの者が王国から派遣されるんだが...ここの龍だけにゃ使いがいねぇんだ、だから何らかの傷を負っても治してくれる奴がいないから治るまで待つか...酷い時にゃ膿んで悪臭が立ち込めるかだな」

雑兵「この龍が何したってんだ...」


「言い残すことはありますか?」

罪人「ねえな」

「では...彼の魂に永遠の安らぎのあらんことを...」

327以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/12(火) 00:51:51 ID:lqqq4T56
罪人「さぁ食っちまえ薄汚えトカゲ野郎!!」

人喰いの龍「グゥォオオオオ!!!!」

バクッ ガッツガッツッ!!



雑兵「うわ...マジで人食ってる」

軍曹「綺麗に食ってくれるときゃいいが、たまにこっちにまで肉片飛ばしてくるからそればっかは勘弁して欲しいな...」


「明日はカルト信者の処刑だ、

328以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/12(火) 00:56:34 ID:lqqq4T56
「所長がカルト信者はいち早く処分した方がいいとのことだからな、無いとは思うが変な宗教をこの刑場で広められたらかなわん」


雑兵「信者の処刑って...」


「誰からやるか?無論明日のうちに全員執行する、頭陀袋を準備しておけ」

329以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/14(木) 00:57:37 ID:RDVUw0kE
軍曹「まぁ、ご愁傷様ってことだな」

雑兵「クソ...ここまで来てこんな死に方かよ...」

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330以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/14(木) 01:02:29 ID:RDVUw0kE
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女騎士「...」

勇者「雑兵...じゃない」


「勇者様どうしたんだ、魂抜けてるって感じだな」

「知り合い探してるらしいが...えらい執着してんな」


女騎士「勇者、そろそろ行こうか」

勇者「...」

女騎士「大丈夫、雑兵はどこかにいるさ、
あいつならどんな逆境も乗り越えられる...というかうまくかわしていくさ」

勇者「うん...」

331以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 01:00:01 ID:WEGzaIRk
女騎士(雑兵の運の悪さも桁外れだな...会った時は多分リミッターが外れた状態で憎まれ口叩かれるのかな...的得てる時のあれ結構効くんだよなぁ...)


「ではお先に帰隊します、お疲れ様でした」

女騎士「あぁ、帰ったらゆっくりと休んでくれ」

勇者「...」

女騎士「大丈夫、雑兵なら案外ピンピンしてるだろう、先に帰って休んで...」

勇者「...ッ」プルプルッ... 

女騎士「...先に帰ってて、ね?」

勇者「...」コクッ

332以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 01:00:56 ID:WEGzaIRk
女騎士「さあて...人の妹を泣かせた罪は重いからな...雑兵」

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333以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 01:09:51 ID:WEGzaIRk
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雑兵「グ-...」

軍曹(こいつ...明日にゃ処刑だってのによく寝られるな...肝が座ってんのかどうなのか...)

軍曹(しかし...こんな若えのにこんなトコに連れて来られる兵隊がいるたぁなぁ...何をしでかしたのか...)

雑兵「んん...ラング...テメェ...グ-...」

軍曹「...ラング...?ちょっと待て...ラングってまさか...」

334以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 22:41:57 ID:RG.XuhIs
軍曹「おい、起きろ!」

雑兵「んあ?...んだよこれから死ぬんだから寝かせてくれよ」

軍曹「お前ラングって奴知ってるのか?」

雑兵「ラング?あぁ村長を名乗ってた」

軍曹「クソ...あいつやはり生きてたか...」

雑兵「知り合い?じゃあお前ロクなやつじゃねえな」

軍曹「うっ、いやまぁ...そいつとは入隊が同期でな、中々策士な奴だったよ...都合が良けりゃ俺らにつき、悪けりゃ上官側に付く...まぁ要領がいい奴だったな」

335以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 23:44:28 ID:RG.XuhIs
雑兵「なんで元軍人のそいつが今じゃ宗教団体に」

軍曹「多分だが...金目当てだろうな、金には相当がめつい奴だった、入信自体はしてないだろ」

336以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 00:50:35 ID:iq/FNwg2
雑兵「そっかぁ、そんな奴だったんだなぁ...まぁ俺にゃもう関係ねぇや、明日死ぬ身なんだ」

軍曹「お前えらく達観してんな...どうやって生きて来たんだ...」

雑兵「テキトーだよテキトー...童貞卒も出来ずに死ぬのは惜しいけど、まぁそれも人生だわなぁ、来世に期待だ...Zzz...」

軍曹「おかしな奴だ...こんな奴雇って王国は大丈夫なのか...?」
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337以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 00:55:58 ID:iq/FNwg2
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「すみません、この先で馬車同士が事故を起こして...肥料が撒き散らされて結構エグい事に...」

「本当か?どうしますか騎士団長?」

女騎士「うむ...下手に通って疲れている部下たちに肥やしの匂いを嗅がすのは忍びないからな...迂回してビギニング刑場の道を通ろう」

「了解です」

女騎士(勇者はもう帰ったかな...落ち込み過ぎて無いといいけど...)

338以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 01:02:29 ID:iq/FNwg2
「ビギニング刑場といやぁ昨日の信者達がもう送られた頃ですね、ラング村のは特段酷かった...」

「あぁ、ありゃぁ人のやれる事じゃねぇや...年端もいかねぇ女の子まで...」

「この先どう生きるんだろうな...被害者の人ら、ホントに生き長らえたかったのかと助けた今でも思うよ」


女騎士「...」

女騎士(助けられた女性達を見たが、皆何かを訴え掛けていた目つきをしていたな...一体何を...)


「しかしあの捕まえた中の一人...やっぱ見覚えあるんだよなぁ...」

「...まさか...いやそんなはずは無い...だって独立大隊だし...」

「え?なんか言った?」

「いや、なんでもないさ」

339以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 01:10:59 ID:iq/FNwg2
女騎士(この二人...やけに捕まえた一人の信者を気にしてるな、何があったのだろうか...)


「なぁ、やっぱ見覚えあったってあいつ!訓練所で喧嘩してた奴だ!」

「や、やめろって!縁起でもねえ!」

女騎士「...そいつの事、詳しく聞かせてくれ」

「き、騎士団長...大声出してすみま
女騎士「いいから聞かせろ」

「は、はぁ...あの地下牢から女性達を救出した時に...あの男もいたんです」

「はい...諜報員のオトコが言うにはあの男が女性達に酷い事をと...」

女騎士「諜報員...例の一人生き残ってた奴か、どこへ行ったかまだ情報は無いらしいな」

「はい...」

女騎士「...この隊列の中で一番速い馬を連れてこい!」

「は!自分の馬です!」

女騎士「すまない!少し借りる!」ガシャッ  

女騎士「生きていろ...!必ず!」
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340以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/19(火) 00:14:12 ID:FNB8Lv3M
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「罪状?人殺しておいてのうのうと生き長らえてる罪だろ」

「ちょっとは真面目に考えてくれ、根拠が必要なんだよ、このロクデナシ共を殺すのにも」

雑兵「早くしろクソ雑魚、トカゲちゃん谷底で待ってんだろうが」

「な、なんだテメェその態度は!」

「肝座り過ぎなんだよ!自分が処刑されるってのを自覚しろ!」

雑兵「あ?うるせぇよなんの調べもしねぇ癖に俺様を取っ捕まえやがって、この国ってホントガバガバなのな」

341以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/19(火) 23:22:12 ID:FNB8Lv3M
「クッソ...生意気な奴だな...いいだろう、望み通り最初に執行してやる!」

雑兵「それで良いんだよそれで」

「ちったあ感傷に浸れって...」

雑兵(まぁこの世界じゃ失敗しただけだし...次があらぁな)

雑兵(天使、上等兵、兵長に曹長、エルフや勇者...殿下や女騎士に会えねぇのは寂しいが...仕方ねぇさ、失敗したのは俺だ)

「そこに立て」

雑兵「あいよっと」

342以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 14:40:30 ID:k7O/axok
続きはよ

343以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/04(土) 21:28:49 ID:gB1j7POU
「何か言い残すことはありますか?」

雑兵「フィッハー分屯地の独立大隊分遣隊の曹長に、迷惑かけてスマンコって言っておいてくれ」

「で、では魂の安らぎのあらんことを...」

グオオオオオオ...

雑兵「...次はどこかなぁ」


「その処刑をやめろーーっ!!」


「うぇ?!誰だ!?」

344以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/04(土) 23:33:46 ID:gB1j7POU
女騎士「はぁっ...間に合った...」

「き、騎士団長?な、何故ここに...」

女騎士「良いから早くあの男の処刑を止めろ!」

「は、はい!し、しかし...」

「龍神は出て来たが最期...罪人を喰らわねば凶暴化してしまいます!」

345以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/05(日) 15:24:25 ID:I8tNDh3E
待ってたぜ乙

346以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/07(火) 23:44:44 ID:bVoDkEPY
雑兵「ンだよ死ぬ時くらい静かにって...なにしてんの?」

女騎士「お前を待ってる物好きな人達がいるのでな、迎えに来てやったぞ、雑兵」

雑兵「そ、そりゃありがたいけど...もう龍ちゃん来ちゃってっからさぁ...」

女騎士「ンなもの次の処刑人呼べば良い話だ、だろう?」

「ま、まぁ食えりゃ暴れませんからね...お、おい早めに連れて来い!」

「は、はっ!」タタタツ 


雑兵「お、お前ちょっとだけ残酷な奴だな、ちょっと恩人ながら思考にドン引きだわ...」

女騎士「猟奇殺人者に与えられる良心はまだ無くてな...さぁ戻ろう、話したい事や聞きたい事がいっぱいある」
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347以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/07(火) 23:51:06 ID:bVoDkEPY
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雑兵「ロバ吉は無事なの?」

女騎士「ロ、ロバ吉?あぁ、曹長殿が引き取ったよ、元気そうだった」

雑兵「そうか...で、ち、地下牢の人達は...?」

女騎士「あぁ...あの惨状で救出と言って良いのか分かないが、救出したよ」

雑兵「そうかぁ...そっかぁ...良かった、しかしビビったなぁアレは...久々に吐いたわあの光景は...」

女騎士「ずっとあそこに閉じ込められてたのか?」

雑兵「あぁ、あそこで俺イかれちゃぁもう助けられんなと思った何とか耐えたが...ッヒッグありゃあヒデェよ...」

348以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 00:09:01 ID:/SmOklWw
女騎士「...今は泣いてても良い、手綱は私が持とう」

雑兵「た、頼む...ウッ...アァッ...」

女騎士(こいつも泣くことがあるんだな...やはり私が思ってたほどに強いメンタルは...)

女騎士「お前に人間味があって安心したよ」

雑兵「あ″...?うるせぇ″っ..,!俺が来る前から貴様ら軍隊にやる気がありゃカルトものさばらなかったんだ!!俺に人間味?泣いて当然だあんなん見せられたら!一等冷酷なのはお前らだクソッタレ!」

女騎士「す、すまない...」

雑兵「何が考えさせられる事があっただ...!スラム街のジャリを救えて、地方のカルト教団の被害を受けてる人らは救えなくて何を考えてた今まで!答えろ!」

女騎士「...地方での有事は領主らの要請がないと動けない法があってな...要請もなくおいそれと動けなかったんだ...」

349以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 00:16:18 ID:/SmOklWw
雑兵「領主様の要請なんぞでもなけりゃ国民を救えられねぇのかこの国は...トンデモな国だな...」

女騎士「...私もこの法は正直変えたい、今回の件で上層部連中も動くだろう...騎士団としても救助に行きたかったんだ、諜報員の連絡が途絶えやっと行けたんだ...」

雑兵「...兵隊なり将校なりなんぞが捕まりゃやっと重いケツあげれるってか?成る程なぁ、アホらしすぎて涙も枯れたわ」

女騎士「すまない...」

雑兵「いや、お前が悪いんじゃねぇ、怒鳴って悪かった、悪いのはぜーーんぶ国だ、国王だ」

女騎士「お、お前...、国王に使える兵士としてその発言は頂けない...」

350以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 00:19:03 ID:/SmOklWw
雑兵「国民の命カルトに頂きますさせた癖して一丁前に俺の事を不敬罪ってか、良い度胸だな」

女騎士「いや良い度胸なのはお前の方だ、絶対みんなの前でそんな話するな、いいな?」

雑兵「だ、だって...」

女騎士「お前が本当に捕まってしまって...悲しむのは誰だと思うんだ?」

雑兵「...え?いるの?」

女騎士「え?」

雑兵「いねえだろそんな物好き」

351以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 22:25:03 ID:/SmOklWw
女騎士「お前...もう少し自分の立場っていうのを理解した方がいいぞ...全てにおいてな...」

雑兵「え?なんで今更?」

女騎士「まぁいい、帰ったら分かる」
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352以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 22:58:11 ID:/SmOklWw
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「しかしですな、あのカルトから五体満足で生還できた兵隊...本当に捕まってしまったのかという事ですよ、送り出した者達は皆...」

「ご子息を亡くされて心中お察ししますよ、シンパの可能性もありますからな」

「それであれば生還できたのも頷けるというものだ」


勇者「...ションベン蟻共がっ!」ガタッ!

女騎士「抑えて、貴様らが言う通り、たしかに我が軍で送り出した者達は皆無念な姿で発見された、この中にもご子息を送り出した者もいる、しかし彼は地下に閉じ込められた彼女達を、これ以上の惨状を避けるために身を呈した」

353以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 23:05:57 ID:/SmOklWw
女騎士「五体満足?そんな訳がないだろう、彼の脳裏には今もあの惨状が思い浮かぶと言ってた。彼は深く彼女達に詫びていた、この国の法の杜撰さを憎んでいた、貴重な戦力と行動力貴様らは無碍に何故できるのだ?」

「し、しかしですね...」

女騎士「まだ何か?」

「あの様な一兵卒が...」

女騎士「あの様な一兵卒だからこそ成し遂げてくれたんだ、私たちも見習わなければならない行動力だぞ」

「...」

勇者「まだ文句あんなら辞表出してよ、事務仕事できる幹部なんか幾らでもいるんだから」

「ゆ、勇者様まで...わ、分かりました、では件の兵に特別な配慮を...」


雑兵「いらねぇよ配慮なんかよ」

354以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 23:10:43 ID:/SmOklWw
勇者「でも...雑兵は頑張ったんだよ?」

雑兵「頑張った俺が今も何故か檻の中に入れられてんだぜ?逃げる訳ねぇってのに...可笑しいぜここの警備隊は、まぁいいけどさ」

勇者「もう取り調べは無いの?」

雑兵「うん、粗方...そいやぁ殿下はどうなった?」

勇者「姉が国王に掛け合って、暫くは主賓外来に泊めさせるって」

雑兵「良かった...」

勇者「会いたがってたよ?雑兵に」

355以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/13(月) 22:17:02 ID:rgxenKdk
雑兵「俺もみんなにあいてぇよ、てかエルフ元気してんの?」

勇者「うん、最初は落ち着いてなかったけど、今はみんなと仲良くやってる」

雑兵「そっか、なら安心だな...」

勇者「...地下牢にいた人達、みんな長くもたないかもって医師が言ってたら言ってた、切断されたとかの腐敗や...性病とかも患ったらしくて...」

雑兵「...っそ、そうか...やっぱあそこで死なせとくべきだったのかなぁ...」

勇者「...もし仮にだよ?仮に僕があの人達の立場になったら...多分死んだ方がマシだなって思ってくると思う...好きでもない人に...」

雑兵「お前そういうの疎かっただろ」

勇者「ぼ、僕だって勉強してるんだよ?」

雑兵「ごめん」

356以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/13(月) 22:32:01 ID:rgxenKdk
雑兵「俺もう辞めよっかなぁ兵隊、キツイわなんか」

勇者「や、辞めたいなら...僕の傭兵団に来ない?」

雑兵「人の話聞いてた?兵辞めてえってのに兵隊はいってどうすんだよ」

勇者「じゃあ今後の生活どうすんのさ、雑兵みたいな人雇ってくれるとかないよ」

雑兵「そ、そんなこたぁ」

勇者「みんな優しいから雑兵の破茶滅茶な行動を許してるだけで外の世界じゃそんな事許されないからね、上官に対する態度もそうだし、あと
雑兵「ご、ごめんって!もうやめて下さい、そろそろ泣きそうになる」

357以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:35:24 ID:LlLvqE2U
勇者「だから...もう辞めるとか言わないで...それにみんなを心配させないでね?」

雑兵「...あぁ、すまん」

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358以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:45:18 ID:LlLvqE2U
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「あの兵卒ぁ厄介もんだな」

「勇者様と騎士団長のお気に入りだから迂闊に文句も言えん」

「どうするよ、次の″左遷先″は」

「そうだな...もう二度と団長らの手の届かないトコがいいからなぁ」

「...国境守備隊って独立大隊の派遣要請してた?」

「してない、だが職種変換なら俺らでもできる」

359以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:48:50 ID:LlLvqE2U
「職種変換なぁ...国境守備隊の職種は...主に歩兵科か...」

「やっちまおうぜ、もう面倒はゴメンだ」

「だなぁ...あの兵卒自身も国境守備ならやり甲斐もあらぁ」

「決まりだな、おい学生、独立大隊の隊長に内線」

「はい」
プルルル... プルルル...
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360以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:55:31 ID:LlLvqE2U
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兵長「それほぼほぼ島流しじゃないっすか...」

隊長「うん、何回か掛け合ったが...やはり人事参謀の連中も...まぁ雑兵の悪評に辟易してるな」

上等兵「悪評って...あいつも巻き込まれてですよ」

隊長「まぁ、そうだろうが...独断をして周りを混乱させてるのもまた事実だ、殿下の件がいい例だ」

上等兵「そんな...それは周りがどうにかしろと言ったのも原因じゃないですか」

361以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 21:23:59 ID:LlLvqE2U
隊長「そうだとも、けしかけた奴も悪い...」

上等兵「なら...」

隊長「だが身の程というのを本人も弁えるべきだった...それだけ事なんだ」

兵長「...そうっすね」


天使「...」

362以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 22:08:40 ID:LlLvqE2U
上等兵「はぁ...どうしようもないなぁこればかりは...」

天使「雑兵が異動って本当ですか?」

上等兵「あぁ、しかも職種まで変えさせての異動だ...もう二度と独立大隊には帰れない」

天使「二度と...」

上等兵「お前ら二人で切磋琢磨してたのになぁ...あいつにもまぁ...問題はあったが、周りの人間にも問題がなぁ...」

天使「...なんで雑兵ばっかりこんな目に...」

上等兵「...」

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363以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 23:03:06 ID:LlLvqE2U
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天使「...知ってたんだね」

雑兵「あぁ、取り調べ受けてる時にな、人事参謀の木っ端将校がズケズケ来やがってよ、今日付けで第2国境警備隊、国境守備中隊に配属だってよ、歩兵に職変」

天使「第2国境警備隊ってどこなの?」

雑兵「分かんない、なんか北のほうって聞いたけど」

天使「北...トルティア地方の国境かな...?」

雑兵「ど、どんなトコなの」

天使「うーん...あまり話し聞かないトコ...辺境にあって、あんま交通の便は...」

雑兵「ガチ島流しやんけ」

364以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 23:59:48 ID:LlLvqE2U
天使「でも第2国境警備隊も聞かないなぁ...どこが指揮してるんだろう」

雑兵「なんか国境警備専門の偉いトコとかあるんじゃないか?まぁいいや、今日付けで異動だからな...檻から出た瞬間にゃもうそのトルティア地方に行かにゃならん」

天使「またすぐ行っちゃうんだね」

雑兵「申し訳ねぇがこればっかりはなぁ...」

天使「...もう二度と独立大隊に帰れないって言われてたけど...いつでも顔だしてね?」

雑兵「うん、帰れたらすぐに顔出すよ、元気でな」

「雑兵、トルティアへ移動だ、荷物は後で郵送させるからそのまま来い」

雑兵「はいよ...じゃあな...」

天使「...」
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365以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/20(月) 23:42:18 ID:vLLDIlFY
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トルティア地方
険しい山岳地帯が広がっており、最も低い地点でも首都と比べると海抜千mもある、
北の国境を抜けると亡国オムエン国の跡地が広がっている。

雑兵「そのオムエンにゃ人いないの?」

「あーまだ住んでる人は住んでっけど、俺らの国よりにいるねぇ、首都付近や地方の都市なんかはもう廃墟しかねぇよ、まぁその廃墟ん都市も魔物で溢れてて、もうお手上げって感じさね」

雑兵「ふーん」

オムエン国はかつては栄華を誇った王国であったが50年前、突如魔物の集団に攻め込まれ、あまりの奇襲であったため為すすべも無く国王は討ち死、敗残兵と化した王国軍も撃破され、現在は魔物の溜まりとなっている広いただの土地である。

366以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 00:37:09 ID:cP8WzBJk
「しかし兵隊さんも不運だね、あの国境にゃホント何もねぇぞ」

雑兵「何もないってのはいい事だ...人も死ぬことはねえ」

「そうか...そうなのかもな...着いたぜ」

雑兵「着いたって...山道の入り口じゃん」

「こっからは一人で行ってくれ、あの警備隊の空気はあんまり好きじゃねぇんだ」

雑兵「あそうなんすか...」

367以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 01:30:58 ID:cP8WzBJk
雑兵「...人も馬車も通ってない事はないんだな」

まだ新しい馬車の轍、オムエンから王国へ続く道へは幾たびも往復している跡があった、多分人通りがゼロなんて事は無いのだろう。

雑兵「行ってみるか」

轍にそって山道を歩く、辺りは薄暗く静かで、虫の音色しか聞こえない。


雑兵「もう夏にはいるんだなぁ」


「おい」

368以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 01:35:09 ID:cP8WzBJk
「お前、見かけねえ顔だな、どこの部隊だ」

雑兵「独立大隊、ってもクビになって国境警備隊に職種変換になったよ、あんた国境警備隊?」

「あぁ、まぁそんなトコだ...しかし雑用部隊から国境警備隊ってなぁどういう了見なんだ?」

雑兵「俺が知るかよ...」

「まぁいい、新顔って事だな、俺は警備隊伍長、元は会計隊に居たのをここは島流しって訳よ」

369以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 21:37:57 ID:hnvCh/3Y
雑兵「横領でもやったのか」

「あぁ横領だけならまだ重営倉で済んだが、ごちゃごちゃ言ってきた課長のツラぶん殴っちまって、ツラも二度と見たくねえってな、ここへ一昨年な」

雑兵「アホな事を」

「あぁ、それもこれも戦死した兄の弔意金をくすねやがった課長のせいだクソッタレ」

雑兵「いつかの大陸戦争かなんかの話か?」

「いつかの?5年しかたってねぇんだぜ?

370以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 21:56:42 ID:By/RiEek
雑兵「あ、そんな最近だったんだな、まぁいいや、警備隊って何人くらいいんの?」

「ん?警備隊...?ちょっと待てよ何人くらいだったかなぁ...10人...いや20...?」

雑兵「マジで?人のこと言えないけど人に興味無さすぎだろ」

「だってなぁ、みんな我関せず、個人の世界観にどっぷりハマってっからさぁ、気持ち悪いんだよなんか」

雑兵「あーそういうタイプの部隊か」

「最初は仲良くなろうとしたけどさぁ、みんな反応イマイチで」

雑兵「そうか、まぁいいんじゃないの」

「適当だな...ココだよ、第2国境警備隊、オムエン国境分遣隊」

371以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/26(日) 00:00:50 ID:sQTRseFk
雑兵「...国境警備隊?」

「あぁ、一応な」

オムエン国境警備隊、亡国オムエン全土をを見下ろす位置に配置されており、オムエン国は朝焼けに染まり美しく映った、だが肝心の国境警備隊の建物は無く。

雑兵「これっていわゆるアレじゃねぇの、塹壕じゃねぇの?」

「あぁ、その通りだよ、でも屋根は付いてるだろ?まぁ雨は凌げど流水は凌げねぇ、風通しの良い職場ってなぁまさにここのことだよ」

372以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/27(月) 21:46:20 ID:nIQyPA3Y
雑兵「人っ子一人見当たらねぇけど、どこいんの?」

会計伍長「さぁ、大方オムエンに入ってなんかやってんじゃねぇの?」

雑兵「なんかあんのか」

会計伍長「あぁ、麓の廃墟になった村や町から金になりそうなの漁ってるよ、それを持って帰って、勝手に町に降りて売り捌いてる」

雑兵「逞しいことこの上ないな」

会計伍長「俺も金欲しいが、オムエンに入ってまでは嫌だな、運悪けりゃ町に降りた守備隊の奴ら全員帰ってこねぇって事もあったぜ」

373以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:05:51 ID:/z5sbDZU
雑兵「帰ってこねぇってぇのはもしかして...」

会計伍長「あぁ、廃墟にゃ魔物の群れや、抜きん出て強い魔物がウロついてる事もある、あそこらはもう魔物にとっての獲物がないからそこまで多くはないが...それでも運が悪いとな」

雑兵「そうか、まぁここに魔物を連れて来なきゃ何でもいいさ」

会計伍長「ホントそれだな...お、帰ってきたぜ」


「ッチ、たったこれっぽっちかよ...」

「新顔二人を囮にして死なせてこんだけじゃあなぁ、まぁ補充は幾らでもくらぁ」

374以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:10:25 ID:/z5sbDZU
「お、会計の、また塹壕に篭ってやがったのか?」

会計伍長「あぁ、命あっての物種だ」

「ビビってんじゃねぇよ玉無し、魔物どもなんか来やしねぇって、そりゃそうと、明日の留守番頼むわ」

会計伍長「街におりんのか、そろそろ街の憲兵も嗅ぎまわってるぜ」

「っへ、上手くやるさ...ところでそこのは見ねえ顔だな?」

雑兵「うーっす、精が出るな」

「んだこいつ、新顔のくせに態度デケェやつだな」

「あんまナメてっとオメェも魔物の餌にしちまうぞ?あ?」

375以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:15:10 ID:/z5sbDZU
会計伍長「あーあー...血の気が多いやつばっかで」

雑兵「オメェこそ口の利き方に気をつけろ、こっちはこんなトコに連れて来られて、しかもオメェらみてぇなハゲタカが視界に入って気が立ってんだよ」

「て、てんめぇ...!」

雑兵「そいやあさ会計伍長、この二匹しか上がって来なかったけど他は?」

会計伍長「え?多分だが死んだんじゃねえか?前は結構な人数いた気がするけど、金欲しさに街に降りてそれっきりな気がするなぁ、興味なかったから確かな情報じゃないけど」

376以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:19:47 ID:/z5sbDZU
雑兵「やっぱ雑魚は淘汰されるのかなぁ」

会計伍長「さぁ、知らんけど」

「お、おい!話を書きやがれコラ!!」

雑兵「あ?ウルセェんだよサンピンが、フィッハーでオメェら以上に厄介な奴らに楯突いたからもう怖かねえぞ」

「んのクソ野郎!ぶっ殺してやる!!」

雑兵「うわぁ怒らんでや、仲ようやろ」

会計伍長「おめぇ変なやつだな」

377以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:22:47 ID:4B1ZrAFw
グルルル...

「お、おい...今の声って...」

雑兵「おい、まさかとは思うが魔物とやらを連れてきた訳じゃあるめぇよな」

「ぜ、前々回に下った時に殆どの警備兵を惨殺しやがった奴だ...」

雑兵「お前ら死ねよもう」

会計伍長「...やっぱ来るわなぁ、お前ら縄張り荒らすから...」


オークジェネラル「グゥウウウ....」

雑兵「うっわくっそ強そうやんけ...」

会計伍長「随分前にだがな...国境警備隊の陣地にオークジェネラル率いるオークウォリアーの軍団が攻めてきてな...」

雑兵「よく陣地持ったな」

会計伍長「いや、惨敗だった、陣地も荒らされ警備兵も殺されるだけ殺されて...目も当てられねぇ惨状だったよ」

378以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:27:34 ID:4B1ZrAFw
雑兵「お前よく生きてたな」

会計伍長「死んだフリで対処しただけだ」

雑兵「そ、そっか」

会計伍長「まぁ聞けよ、その時に殺られた奴らがな、縄張りを荒らした奴らだけだったんだよ、あいつらも知能があるって事だな」

雑兵「え?じゃあほっといたら勝手に殺して帰るってことか」

会計伍長「そういう事、まぁコーヒーでも飲もうや」

雑兵「だな」

「お、おい!!ほっといてねぇで助けてくれ!!!頼むよ!!」
「お、俺にゃ家族がいるんだよ!!」

会計伍長「じゃあ一家もろとも死んだ方が良いぜ」

「って、てめぇ!鬼かオイ!!」

379以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:30:20 ID:4B1ZrAFw
オークジェネラル「グゥウウウ...!!」ブゥン!!

「あ」グチャッ...
「ッヒィ!?」


雑兵「本当に狙わねぇな」

会計伍長「だろ?だからオムエンにゃ行かない方がいいんだ」

雑兵「あぁ、だな」


「う、うわぁぁぁあ!!!」タッタッタッタッタ...

380以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:34:06 ID:4B1ZrAFw
会計伍長「あんのバカ野郎、オムエンの方に逃げやがった」

雑兵「南無阿弥陀ってとこだな」

会計伍長「しかしお前はなんか達観してるよな、今まで来た奴らとは一線を画してるぜ」

雑兵「まぁいい事悪い事が交互に続いたらねぇ、リアクション薄くなるよね」

会計伍長「そ、そうなのか」

雑兵「周りはいい事って言っても上の人間らからしたらよろしくない事だった、それをし過ぎたんだな俺も」

381以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:14:29 ID:YSenMjf6
会計伍長「そうかい、ここじゃなんの事件も起きねえ、たまにゃゆっくりしようぜ」

雑兵「だな」

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382以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:56:09 ID:YSenMjf6
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オムエン国境の1日はとてものどかな物だった、朝は適当に起きて夜は適当に寝る、飯はトルティアに駐屯する糧食兵が運んで来てくれる、実に優雅な部隊だ、しかし彼等に他の兵はどこ言ったのかと聞かれるので口裏合わせに困る。

会計伍長「さぁて、そろそろ飽きてきたな?」

雑兵「死ぬほど飽きたわ」

会計伍長「やっぱりな、俺もそうだったよ...でもいつかその飽きたって感情も吹き飛ぶぜ」

雑兵「そうかぁ...人として死にそうだな」

会計伍長「実はな、面白い噂があってな、詳しい話は知らねえけどよ」

雑兵「え?」

会計伍長「勇者様とデートしてる兵卒がいるって話や...隣国の殿下を拉致った兵卒がいるとか」

雑兵「ら、拉致ってはねぇんじゃねえかな...」

会計伍長「...やっぱお前だったんだな、独立大隊の兵卒ってのは」

383以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:57:37 ID:YSenMjf6
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オムエン国境の1日はとてものどかな物だった、朝は適当に起きて夜は適当に寝る、飯はトルティアに駐屯する糧食兵が運んで来てくれる、実に優雅な部隊だ、しかし彼等に他の兵はどこ言ったのかと聞かれるので口裏合わせに困る。

会計伍長「さぁて、そろそろ飽きてきたな?」

雑兵「死ぬほど飽きたわ」

会計伍長「やっぱりな、俺もそうだったよ...でもいつかその飽きたって感情も吹き飛ぶぜ」

雑兵「そうかぁ...人として死にそうだな」

会計伍長「実はな、面白い噂があってな、詳しい話は知らねえけどよ」

雑兵「え?」

会計伍長「勇者様とデートしてる兵卒がいるって話や...隣国の殿下を拉致った兵卒がいるとか」

雑兵「ら、拉致ってはねぇんじゃねえかな...」

会計伍長「...やっぱお前だったんだな、独立大隊の兵卒ってのは」

384以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:58:30 ID:YSenMjf6
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オムエン国境の1日はとてものどかな物だった、朝は適当に起きて夜は適当に寝る、飯はトルティアに駐屯する糧食兵が運んで来てくれる、実に優雅な部隊だ、しかし彼等に他の兵はどこ言ったのかと聞かれるので口裏合わせに困る。

会計伍長「さぁて、そろそろ飽きてきたな?」

雑兵「死ぬほど飽きたわ」

会計伍長「やっぱりな、俺もそうだったよ...でもいつかその飽きたって感情も吹き飛ぶぜ」

雑兵「そうかぁ...人として死にそうだな」

会計伍長「実はな、面白い噂があってな、詳しい話は知らねえけどよ」

雑兵「え?」

会計伍長「勇者様とデートしてる兵卒がいるって話や...隣国の殿下を拉致った兵卒がいるとか」

雑兵「ら、拉致ってはねぇんじゃねえかな...」

会計伍長「...やっぱお前だったんだな、独立大隊の兵卒ってのは」

385以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 20:28:15 ID:QjDn6YBA
読んでるぞ

386以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/11(火) 22:23:03 ID:FOmD0xAE
雑兵「いや...まぁそうだけどさ」

会計伍長「はぁ、やっぱ兵卒にゃ特別な人間なんかいらねぇんだなぁ」

雑兵「特別なわけじゃねぇよ、ただ運が良い時と悪い時の差が人より激しいだけだ」

会計伍長「十二分に特別な人間だっつーの...ずっとこんな所にいるつもりか?」

雑兵「さぁ、上の命令によりけり」

会計伍長「お前...死んだ方がいい」

387以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/11(火) 22:32:38 ID:FOmD0xAE
雑兵「お前流石にストレート過ぎて泣きそうだわ」

会計伍長「ごめん、言い直すわ、死んだフリして旅でもしろよ、そしたら自由だせ?」

雑兵「死んだフリ?」

会計伍長「あぁ、こんな国だ、死んだフリしてもバレねぇぜ?国境守備隊の奴らも死んだフリしてバックれた奴らもいるしな」

雑兵「死んだフリってもなぁ...」

もう社会的に死んだようなトコに来た俺だが、人として死ぬ程の絶望感は今の所持ち合わせてない。

388以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/11(火) 22:39:17 ID:FOmD0xAE
雑兵「いや、まだ生きておくわ、金が入り続ける限りはな」

会計伍長「使い所なんかないぜ?」

雑兵「いいんだよ、ねえよりかはな」

会計伍長「お前、やっぱ変な奴だなぁ」

雑兵「二度目の人生だからな、まだ死なないでいいんなら生かしといて欲しい」

会計伍長「そうか...なんでもねぇ、忘れといてくれ」

389以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/12(水) 23:06:55 ID:zC6iGXzo
乙?

390以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/13(木) 22:06:56 ID:7xypLiWE
雑兵「なぁ、気になってたんだがこの国境って人の行き来あるの?」

会計伍長「あー俺が来るちょい前はあったらしいぜ、それこそ奴隷商の馬車とか...」

雑兵「奴隷?そんなもんがまだあったのか」

会計伍長「現在進行形だろ、でもオムエンにまだ働かせられる程の人間がいるのかな」

雑兵「ふぅん...」

会計伍長「ま、仮に馬車が来たとしても俺は放っておくけどな、変な事には巻き込まれたくねぇし」

雑兵「だな、俺も干渉せんようにしよう」
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391以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/16(日) 17:54:18 ID:YopklQQU
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勇者「雑兵がどこ異動したのか分からない?」

エルフ「はい、人事部に所属してる同族にも密かに聞いたのですか...人事参謀は公開する必要性なしと」

勇者「あーまぁただの兵卒だからねぇ...」

エルフ「仕方がないとは思います」

勇者「しょうがないか...それと、殿下の事なんだけど」

エルフ「はい、殿下を亡国オムエンが良いと思われます、領土の広さも我が国よりは広く無いので脅威になる事も無いでしょう、オムエンの調査に先立ち腕が立つ者を何名か連れて行きたいのですが」

392以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/16(日) 20:18:29 ID:YopklQQU
勇者「うん、僕も行こうか?」

エルフ「え?よろしいのですか?お忙しいかと思い...」

勇者「忙しく無いよ、むしろ暇なんだよねぇ」

エルフ「勇者様も一緒なら百人力ですね、では出発は後日知らせます」

勇者「うん、ありがとう」
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393以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/17(月) 00:24:50 ID:NbnMXM7w
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雑兵「なぁ、あっち側にゃまだ少数だが人が住んでるって聞いたんだが、本当に住んでるのか?」

会計伍長「あー俺もたまに聞くが見た事ねぇ、まぁおおかた国が滅んでからも息災に住めてるってこたぁ、多分魔物も寄り付かないぐらいの田舎なんじゃないかな」

雑兵「そっかぁ、なんか難民とか来そうな気がしてさぁ」

会計伍長「幾らかはきたみてぇだぜ、それこそ魔物に奇襲食らって3日4日くらいは難民でごった返したそうだ...しかしうちの国は冷酷でなぁ...みんな追い返しちまった、無理に入ろうとしたら女子供関係なくスパッとってなもんだ」

雑兵「...どこまでこの国は冷酷になれんのかなぁ」

会計伍長「冷酷は底なしだぜ、うちの国にゃ良い事でも個で見りゃあそりゃぁもう」

394以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/17(月) 00:27:59 ID:NbnMXM7w
雑兵「そんなもんかなぁ...っとお?」
ガラガラガラガラ...
「みんな、もう少しでビギニングだぞ」

「気をしっかり持て!」


雑兵「見たところパンピーだけど...」

会計伍長「馬車...しかも大人数を乗せてる...」

雑兵「話聞いてみっか?」

会計伍長「入国はさせない方向で頼むぜ」

395以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/17(月) 00:33:15 ID:NbnMXM7w
雑兵「聞くだけ聞いてみる、おーい、止まれ」

「あ、兵隊さん...」

「ビギニングは入れてくれないって...」

雑兵「何があったの」

「はぁ...自分達はオムエンの難民キャンプで暮らしている者なのですが...先日いきなり魔物の襲撃を受けてしまいまして...」

「いままでは襲ってくる気配すら無かったんです...しかしどこかの火事場泥棒でしょうか...あの連中が魔物達に攻撃を受けていたので救助をしたのです...」

雑兵「それでその火事場泥棒諸共キャンプを襲われたと...ちょっと待ってろ」トコトコ


雑兵「絶対うちの守備隊のせいだろこれ」ヒソヒソ

会計伍長「俺もそう思う...しかし俺らだけで対処なんか出来ないぜ...?」ヒソヒソ

396以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/17(月) 00:41:26 ID:NbnMXM7w
雑兵「出来ないけどさぁ...」

会計伍長「何とかして帰ってもらえ、面倒ごとは嫌いだ」

雑兵「俺だって嫌いだよ、でもなぁ...原因はうちだぜ?」

会計伍長「そうだけど...」

雑兵「隣の国が滅んのは俺らのせいじゃねえから難民追い返しても正直文句は言わねぇと思うが、難民キャンプが襲われたのはほぼほぼうちのせいだろ」

会計伍長「う〜ん」

雑兵「黙って通してさ、しらばっくれようぜ?女子供も載ってるんだし追い返しちまっ死にでもしたらクッソ後味悪いぞ」

397以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/17(月) 23:13:06 ID:NbnMXM7w
会計伍長「くっそ...今回だけだぞ」

雑兵「恩にきる、おい、そこの」

「は、はい...」

雑兵「黙って通れ、何も言わず、振り返らずに黙って通れ」

「は、はい...!」

「ありがとうございます...ありがとうございます...」

雑兵「早く行けこんちくしょうが」


会計伍長「しーらね」

雑兵「あとはあいつらがしらばっくれて何言われても俺らのことを口に出さにゃええがなぁ」

398以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/19(水) 23:19:24 ID:PqtQAMkU
会計伍長「我関せずの方かと思ったが、なかなか情に弱い男だな」

雑兵「いや、お前フィッハーの惨状見てみろよ、そりゃ情けも掛けたくなるわってレベルだぜ」

会計伍長「あぁ、噂でしか聞いたことないがな...って、オイ、オムエンの方見てみろよ」

雑兵「うわ、千客万来だなオイ」

オムエンからは呆れ返る程の馬車がビギニング王国へ向かっており、その車列は蛇のように伸び切っていた。

雑兵「一体亡国のどこからこんなに人間が来るんだよ」

会計伍長「ウッソだろ...」

399以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/20(木) 23:30:27 ID:CyR5Lzsw
雑兵「おーい止まれ、何事だ」

「へぇ、自分らは難民キャンプで生活をしていたんですが...今まで相手にしてこなかった魔物達がいきなり襲いかかってきて...周りのキャンプの人たちもかき集めて脱出したとこなんです...」

雑兵「キャンプ?そんなのあるのか?」

会計伍長「いや...聞いたことがないな...」

雑兵(しかし見るからに胡散臭い集団だな...)

雑兵「わかった、ここいらは安全だからちょっと待っててくれ、伍長ちょっと」

400以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/21(金) 23:43:06 ID:YuJn2mCw
雑兵「ここいらとは別に、ビギニングからオムエンに通ずる道ってどのくらいあるんだ」

会計伍長「え?えーっと...一番デカイので、フィッハーからオムエンに行ける切り通しの街道かな...山を崩して作った街道だ、あんま使われてないけどな」

雑兵「なるほどな...伍長、さっき通した馬車はまだ近くに居るはずだ、少し追いかけて...そうだな...教祖様はどちらに?って聞いてくれ」

会計伍長「え?なんでだよ」

雑兵「頼む」

401以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/22(土) 03:02:01 ID:ITLzDF9.
雑兵「あ、あと、相手がそれ言って変な様子だったら...一目散に逃げてくれ」

会計伍長「あたりめぇだ、おまえ上手くやれよ」

雑兵「あぁ...」


雑兵「待たせたな」

「おや、もう一人は...」

雑兵「あぁ、麓の街で受け入れが可能かどうか聞きに行ってる、もう少し待っててくれるか?」

「なんだ、そういう事ですか、分かりました、待ちましょう」

402以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/23(日) 00:06:56 ID:BdT3A7MA
雑兵「しかし魔物に襲われるとは大変だな、前に通した人らも難民キャンプから逃げて来たみたいだが...あと何個くらいキャンプがあるんだ?」

「そうですね...知ってる限りだと4、5個は...」

雑兵「そうか...」

会計伍長「お、おい」

雑兵「戻ったか、どうだった?」ヒソヒホ

会計伍長「なんか教祖様って単語出したらすんげぇキチガイみたいになった...」ヒソヒソ

雑兵「連れて来れそうか?」

会計伍長「あ、あぁ、その場に留めてるから多分...」

雑兵「連れてきてくれ...さてと、教祖様は元気ですか?」

403以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/24(月) 00:04:41 ID:D2GTkcEs
「...はい、しかしラング村が堕ちてしまい、新たな拠点を探している最中です」

雑兵「オムエンは国土はまあまあですが...いかんせん魔物が」

「はい、廃村などを巡ったのですが既に魔物の巣窟で...信者もオムエンで多数失いました」

雑兵「教祖様はまだビギニングにおられるのですか?」

「はい、しかし最高幹部のラング様が姿を消してしまい...非常に心を病んでおります」

雑兵「やはり...ラング様は右腕のようなものでしたからね...」

404以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/24(月) 00:08:25 ID:D2GTkcEs
雑兵(ラングの野郎はこのキャラバンにゃいねえってことか...まぁいい後はこいつらをどう始末するかだな)

会計伍長「連れてきたぞ...」ヒソヒソ

雑兵「ありがとう、先ほどの...」

「同志だったのですね...気付かず申し訳ありません」

雑兵「いえ、こちらこそ...麓の街は警備がとても厳しい場所ですから街に入ったら最後でした」

「それは有難い...しかし我々はどこへ行くべきなのか...」

雑兵「暫くここへいて下さい、すこ調整すれば良い具合に町をとおれますから」

405以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/24(月) 00:11:30 ID:D2GTkcEs
会計伍長「こいつら知ってんのか?」

雑兵「あぁ、フィッハーから逃れたカルトの敗残兵共だ」

会計伍長「どうすんだよここに引き止めて」

雑兵「しかし街にゃ入れられねぇだろ...ここで足止めして、明日くる糧食の奴に上手いこと伝えるんだよ」

会計伍長「それまでどうする」

雑兵「野となれ山となれだ、上手い具合に話つけてやる」

会計伍長「頼むぜ...」

406以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/30(日) 01:58:51 ID:SR4h7ID2
雑兵「先程通した女子供しか乗ってない馬車は一体?」

「あぁ、我々のキャラバンの家族です、先に通して大丈夫かどうかを...」

雑兵「あぁなるほど...」

雑兵(女子供盾にして安全かどうか確かめてたんだな...あの人らが本当に信者かどうか確かめねえとな...)

会計伍長「来たぜ、さっき通した馬車だ」

雑兵「なぁ、少しだけここにいてくれ、何も話さなくていいから」

会計伍長「マジかよ...なんか策あるんだろうな」

雑兵「ねぇよ、あったらとっくに逃げてるよ」

会計伍長「そうかい...言っとくが逃げられそうだったら俺逃げるからな?」

雑兵「あぁ、そうしてくれ」

407以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/06(土) 15:22:51 ID:iETZYnsk
おつ

408以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/14(日) 23:33:05 ID:sQ7AvG0w
雑兵「おい、お前...」

「は、はい...」

雑兵「率直に聞くぞ、貴様はあの教団の手先か?」

「冗談じゃない...!俺らはあの教団に家族を...!」

雑兵「お前のキャンプは本当に魔物におそわれたのか?」

「あいつらだよ...!あいつらがいきなり来やがって...変な講釈を垂れて来やがったから追い返したら...夜中に...」

雑兵「このキャラバンに手先はいるか?いいか、正直に答えねぇと殺すぞ」

「いねぇ、ここの人らはみんな家族を殺された人たちだ...」

雑兵「信じるぞ...もし嘘だったら分かってんだろうな...?」

「あたりめぇだ...!」

雑兵「さぁて...ここに残ってるのは世捨て人だけってか...」

409以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/14(日) 23:37:25 ID:sQ7AvG0w
会計伍長「...」


「教祖様がきっと見守っててくれるさ、ここの砦にいる者たちが信者なのもお導きだ」

「良かった、ここを拠点にまた活動を再開できる...」


会計伍長(んのキチガイども...教団が壊滅してもまだ足掻くのか...ゴキブリみてぇだな)

410以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/29(月) 23:34:38 ID:5ye6Iyrs
雑兵(おう、首尾はどうだ)

会計伍長(首尾もクソもあるかってんだ...やつらここを拠点にする腹でいやがる...あの先のキャラバンは?)

雑兵(被害者だ、問題ねえさ、ありゃあ殺してた)

会計伍長(そ、そうかい...んで、どうすんだよこれから)

雑兵(いいか、あと少しで糧食を運搬しにくる奴らがくる、お前はそいつらにここのことを報告しろ、いいか?)

会計伍長(い、いいけど、お前は?)

雑兵(こいつらを見張っておく、さぁ行け!)

会計伍長(あ、あぁ...) ソロリソロリ...

411以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/29(月) 23:41:19 ID:5ye6Iyrs
ただの落ちこぼれが、こんな目にあうとは、人生は分からんもんだ、だが多分、この麓の村の人たちが不幸になって良いはずが無い。
教団に壊滅させられた村も、家族を殺された人をこれ以上増やせば、多分俺がこの世界に送られた意味がなくなる気がする、ただの雑兵だが、ここの拠点で食いとどめくたばるだけの役目は果たせるだろう。

雑兵「どうせ俺はどちらの世界でも死に損ないだ、死後の世界が得ならあいつらもろとも案内してやらねえとな...」

412以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/29(月) 23:45:20 ID:5ye6Iyrs
「おお...朝日が...!」

「こんな綺麗な朝日をまたゆっくりと拝めるとは...」


雑兵「なぁ、ちょっとこっちへ来て手伝ってくれないか?」

「いいでしょう、この拠点へ導いてくれた同志の手を煩わせる訳にはいきませんから」

雑兵「おうよ...」



「で、私はなにをすれば...」

雑兵「お前さん、家族はいるか?」

「か、家族ですか...?その様な縛りはとうに断ち切りました、あなたも...」

雑兵「そうかい」ドスッ...

「う″っ...な、なに

雑兵「ッフ」 ザシュッ...

413以下、名無しが深夜にお送りします:2019/07/29(月) 23:52:59 ID:5ye6Iyrs
雑兵「一人で運ぶにゃ辛いな...あの守備隊の連中何人か生かしとくべきだったか」ズルズル...


雑兵「よし、次だ」

どれだけ援軍が来るか分からない、俺が死ぬまでに何人処分できるだろうか...そんな考えが浮かんでは消えている、人を殺める事なんて前の世界では考えた事も無かった...だがこの世界では簡単に、作業的に行なっている、この世界に染められたのか、元の世界でも同じ様な事があれば俺も出来たのか...

雑兵「なぁ、ちょっと来てくれよ...」

「どうしました?」


雑兵「お前、家族は?」

「家族?何を言っているんですか、家族なんて...はェ...

雑兵「...」ズルズル...

414以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/14(水) 22:48:04 ID:IFUAR.q6
その頃
「いやーまさか飯運ぶだけの道で、勇者様ご一行に会えるとは」

勇者「結構な量じゃん、そんなに人いるの?」

「はあ、書類の員数では、ですがね...ここだけの話、何人かは任務そっちのけでオムエンに入って、破壊された町で金品漁ってますよ、まだ魔物がいるってのに...」

勇者「そっか〜、敵対する魔物殺しちゃえばオムエンもまだ使い道あるかもね」

エルフ「そうですね、手始めに最初の村から...あれ?」

415以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/14(水) 22:48:42 ID:IFUAR.q6
会計伍長「ッハア...ッハア...」

「あ、ありゃあ国境守備隊の伍長です、どうしたんだ?ついに魔物に?」

会計伍長「ま、魔物のほうがまだ知能があらぁ...カルトがオムエンから来やがった...」

「カルトってェと...フィッハーで壊滅したはずじゃ」

勇者「幹部連中と幾らかは逃がしちゃったんだ、まさか残党がフィッハーにいるとは...」

エルフ「生き残ったのは君だけ?」

会計伍長「いや、一人が足止めしてる...一回奴らとやり合った奴らしい...俺は飯を運搬する連中に援軍を...」

「っど、どうしましょう」

勇者「町へ戻って体調に報告して、この馬車使っていいから」

「っは、はい」

416以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/31(土) 00:23:02 ID:7f2zZM1k
会計伍長「はやくアイツのとこに戻らねぇ...と...」バタンッ...

エルフ「ちょっ、大丈夫?!」

勇者「気絶してる、暫く起きないだろうから木陰に寝かせとこ」

エルフ「はい」
_
__

417以下、名無しが深夜にお送りします:2019/08/31(土) 00:28:06 ID:7f2zZM1k
__
_

雑兵「っはぁ...!っはぁ...!」

「逃すな!!アイツだ!アイツがフィッハーにいた奴だ!」

「同志達の仇だ!!」


すこぶるヤバい、六人目を殺す瞬間に悲鳴をあげやがったもんだからバレてしまった...何をトチ狂ったのかオムエンの方へ逃亡してしまった、まったく地理が分からない。

雑兵「あーもう疲れた、無理だ!どこかに隠れよう...!」

守備隊の奴らが漁っていたであろう村に入った頃にはもう体力の限界が来ていた、会計伍長のやつうまく逃げられてたらいいが...

418以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/09(月) 00:05:41 ID:7n0VtSN2
雑兵「クッソ...しちめんどくせぇ...!」

急いで入った建物は二階建ての厩舎だった、ずいぶん前に食い荒らされたであろう家畜の死骸、ボウフラが沸いている水桶、あまり長居したくない環境であった。

雑兵「二階に隠れよう...こんなとこ見て回っても一人か二人だ...」

二階は農機具や酪農に使う器具が所狭しと置いてあった、だが金属部品は全て取り払われており、おそらくうちの守備隊がかすめ取って金に換えたのだろう。

雑兵「はぁ...伍長は大丈夫かなぁ...」

階級は上だったがこういう事はあまり慣れてない様子だった、まぁ俺も最近慣れたくらいだから仕方がない。

雑兵「...勇者とかがいてくれりゃあなぁ」

ガタンッ!

419以下、名無しが深夜にお送りします:2019/09/09(月) 00:10:18 ID:7n0VtSN2
雑兵「うおっ!何もんだ!」

「プギ-...」

雑兵「...豚?いや...ありゃあ...オークってやつか?」

オーク「プギィ-...」

雑兵「まだ子どもっぽいな...どうした?親とはぐれたのか?なんか食いもん...干し肉しかねぇ」

オーク「プギャッ!」

雑兵「お、食えるのか?じゃあ食えよ」

オーク「♪」

雑兵「ちっこいなぁ、何があったんだ...」


「この厩舎を見てこい!!」


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