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雑兵の雑草記

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 17:48:02 ID:D57wSHgc
ジャラララララララwwww リ-チ!! ザンネン...

男(ッチ…)

男(二万の負けか…)

男(今月に入って当たりは四、五回…あと一回やろ…)ッス...

男「泣きの千円だな…」

思えば産まれてこのかた、頑張るだの努力だのは一切したことが無かった
と思う、小学校の最初は勉強も簡単すぎてやるだけ無駄と思ってやってこなかった
し、遊び仲間も沢山いた、楽しかった。
しかし、学年が上がるにつれて勉強は難しくなり、遊び仲間は皆んな勉強をし始めた、
いや、勉強は最初からしていたのだろう、何もして無かったのは俺だけだ。

288以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:11:28 ID:hiyxoSP2
女性「今は私に構っている暇はないのよ、早く脱出しないと...」

腐臭の原因が分かった、医療行為で行われる適切な切断なんて物ではなく、ただ目的の為に切り落とした手足の切断面が壊死していたのだ。

雑兵「ま、待ってろいま鎖を...っうぷ...」

女性「近づかないで!!!お願いだから...私達のことはほっといて...早く脱出して...」

雑兵「た、達?」

女性「周りを見渡しなさい...」

雑兵「え...」 チラ...


「ウ...ウ...」

「...」

「カヒュ-...カヒュ...」

そこにいたのは喉を切られた女性達だった...皆身籠っているのか腹部が膨らんでおり...やはり手足を切断され自由を奪われていた。

雑兵「な、なんなんだよ...!なんでこんなことされて...」

289以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:16:22 ID:hiyxoSP2
女性「そんなの私達が聞きたいよ...いきなり勧誘され...しつこいから強い口調で断ったら...」

雑兵「フィッハーにのさばってる宗教団体か...?」

女性「そうねその宗教団体にね、フィッハーの村々がこんな状態になっているにも関わらず貴方達王国軍は何一つ助けてくれることも無く、今に至るわ」

雑兵「...」

女性「そこの小さい女の子...知ってる子なんだけどね...本当に歌が上手だったわ...今じゃ声帯を切られて...もう二度と...そこのエルフの女の子はエルフの王国の一人娘なのよ...?姫さまなのよ?なのに何故...」

雑兵「...し、知らなかったんだ、なんか変な事してるってのは聞いてたが...」

290以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:23:36 ID:hiyxoSP2
女性「そう、なら貴方の無知を恨みなさい...そして地上にもし出られたらこの事を国王に伝えて頂戴」

雑兵「...ッ」

「ウ...ウ...」

雑兵「...」

女性「鎖が食い込んで痛むのね...可哀想に...緩めてあげて...」

雑兵「...」ジャラ...

「ウ-...ウ-...」

雑兵「...んでなんだよ、グズッ...」

女性「どうしたの?」

雑兵「んでこんな...みんな罪もねぇし年端もいかねぇ子達が...」

女性「あなたがそんなこと言ってもしょうがないでしょ?もうみんなこんな姿にされて...今更兵隊さんにそんな泣かれても困るわよ」

291以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:35:18 ID:hiyxoSP2
ドンドン!

雑兵「?!」

女性「食事の時間ね...あなたがここは運び込まれた時にラングのやつが餌はこいつにやらせるって言ってたわね...」

雑兵「え、餌って...」

女性「取りに行ってくれないかしら?」

雑兵「あ、あぁ」

ガチャ

292以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:41:06 ID:hiyxoSP2
老婆「っひひ...これは臭いのう」

雑兵「...んんのクソババァゴラ!!!」 ガッシャァァン!!!

老婆「うあ!?ほ、吠えるでない若造が...さ、さっさと餌を運びな」

雑兵「てんめ"ぇ"!!何してんだオイ!!?あの子らに何したんだオイゴラァ!!!」ッガシャン!!ガッシャン!!!

老婆「う、うるさいのう...は、早く餌を運ぶんじゃぞ...」ガチャ... バタン

雑兵「お"い"!!聞いてんのかゴラァ!!」

293以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:48:48 ID:hiyxoSP2
女性「ちょっと」

雑兵「んの外道...ぶっ殺す...ぶっ殺す...」

女性「ちょっと、ご飯早くしてくれないかしら?」

雑兵「め、飯...?これ残飯...」

女性「残飯でもね...命を永らえさせられてる以上はご飯なのよ」

雑兵「...っクソ!クソクソ!!クソが!!!」

「ウ...」

294以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:52:17 ID:hiyxoSP2
女性「ちょっと、怖がってるじゃないの...」

雑兵「...あ」

女の子「ウッ...ウ-...」

雑兵「ご、ごめんな、ほら...残飯の中じゃマシな...!」

女性「その子歯全部抜かれちゃったから噛めないわよ...あなたが噛んで食べさせてあげて」

女の子「...」

雑兵「...ッ」パク

雑兵(クソクソクソクソクソ...あの村の外道共...)

雑兵「くひ あーんしへ」

女の子「...」ア-ン

雑兵「っん...食えるか?」

女の子「...」コクコク

295以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:53:30 ID:hiyxoSP2
雑兵「...」ジャララ...

女の子「ウ...?」

雑兵「鎖、痛いだろ、みんな下ろしてやっからな...」

女の子「ウ-...ウ-...」

雑兵「君も...」

エルフの姫「...ッ!」ブンブンッ

女性「あの子達に無闇に近寄らないであげて、男がトラウマなのよ...初めてが...最悪なんだから」

雑兵「ご、ごめん...近寄らないから」

296以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:54:57 ID:hiyxoSP2
雑兵「...」

女性「鎖なんか持ってどうしたのよ」

雑兵「いや、ちょっとな...」

ドンドン!!

「あけな!桶の回収だよ!!」

雑兵「...」

女性「ちょっと...」

297以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/03(日) 23:58:30 ID:hiyxoSP2
老婆「おーおー柵がへしゃげてしもうとるわい...」

雑兵「...」ポイ

老婆「ったく、ちょっと取れないじゃないか...最近の若もんは礼儀ってものが...」ブツブツ...

雑兵「っ!」ジャラッ!

老婆「カヒュッ!? グ、グゲェ!?」

雑兵「...っ」ギリッ...

老婆「ッカ!ア°ァッ!?」

298以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:00:22 ID:dnLJxD16
雑兵「っ!!!」 ポキッ

老婆「」ガクッ...

雑兵「鍵...あった」ガチャン...

299以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:04:30 ID:dnLJxD16
女性「ちょっと、何して...!」

老婆「」

雑兵「安心してくれ、死んでるから」

女の子「?!?!」

女性「あ、あんたなんて事を...!」

雑兵「そこのダストシュートどれだけ深いんだろうな...まぁいいや」ポイ

ガダン!ダダダタン!!

ド-ン...

300以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:08:31 ID:dnLJxD16
女性「なんてことを...」

雑兵「ごめん、気が済まなくてさ...次も上手い具合に処理するよ」

女性「あ、あなた...リミット外れちゃった顔してるわよ...」

雑兵「...ごめんな、怖い思いさせて...すぐ出させてやるから...」

女の子「ウ-...ウ-...」

雑兵「...」

女性「出すなら...その子だけにしてちょうだい...」

301以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:10:08 ID:dnLJxD16
雑兵「なんで...」

女性「こんな姿で白日のもとに晒されるなんてごめんよ...みんなそう思ってるわ、出るときはここを焼き払って...お願い...」

雑兵「...」
_
__

302以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:13:26 ID:dnLJxD16
__
_
「あれがラング村です、村はもう信者に制圧されています...従わなかった者は信者に...」

女騎士「ふむ...ここには2名送り込んだな...各部隊から20名を選出し村への突入隊を編成する、急いでくれ」

「はっ!」

303以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:19:18 ID:dnLJxD16
槍兵隊長「エルフ、あなたは後ろで詠唱に集中しててね?」

エルフ「分かってますよ、あのクソ共を木っ端微塵にすれば...」

重装歩兵隊長「口が過ぎるわよエルフ、まだ相手全員殺したら意味ないから軽めよ軽め」

エルフ「はぁい」

エルフ(雑兵...元気かなぁ、フィッハーの話全く聞かないから何もわからない...)

「魔砲撃隊!攻撃始め!」

エルフ「よし...スゥ...」
_
__

304以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:21:46 ID:dnLJxD16
__
_
「異端者共が村へ!!」

「あいつらいきなり攻撃を!!」

ラング「うーん、来るとは思ったが早いなぁ...よし、ある程度信者を残して君たちは逃げなさい、私はやることがある」

「ラング様!」

ラング「大丈夫、上手くやるさ」


チュド-ン... チュド-ン...

305以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:24:32 ID:dnLJxD16
「第1救世主分隊は左翼を!第2は右翼を固めろ!異端者どもを足止めし時間を稼げ!!教祖様も期待されているぞ!!」

「教祖様の仰せのままに!!」



勇者「それじゃあ警務隊さんと混成騎士団さん達...信者を何人か残す程度でお願いしまーす」

「了解です」

306以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:32:02 ID:dnLJxD16
雑兵「じゃあ...行くか、裸は恥ずかしいからこれ着な?」

女の子「ウ-...」

女性「男ならそうでなくちゃね...」

エルフの姫「...」

雑兵「...本当に良いのか、お天道様見たって別にお前らに辛く当たることは...」

女性「い、良いのよ、もう、みんなの気分が変らないうちに早く...ね?」プルプル...

雑兵「っ...あぁ...」


雑兵「...行こうか」

女の子「ウ-...ウ-...」フルフル

雑兵「...だよなぁ、みんなと行きたいよなぁ」

ラング「そうはいかないんだよねぇ」ッブウン!! バキィ!!

雑兵「っがぁ!??」

307以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:35:02 ID:dnLJxD16
雑兵「っがぁぁぁぁ!!?!」

ラング「戻れって」ッドス!!

ッダン!!ダダタン!!
雑兵「っぎぃ!」
ドスン!!

女性「え?!」

ラング「お久しぶりですね、信者達の子は孕んでそうですか?」

女性「ラ、ラング!あんた!!」

ラング「この子も...」ポイッ
ドサッ
女の子「っ...!」

雑兵「て、てんめぇ!」

308以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:41:58 ID:dnLJxD16
ラング「君には...ちょっとやってもらいたい事があってね、ちょっとズボン脱いで貰うよ」 プチッ プチッ

雑兵「お、おい!!やめろって!」

女性「...!まさかラング!あなた!」

ラング「そうなんだよ、もう村に軍が入ってきてねぇ...信者達もいい金ヅル達だったんだが...もう僕には必要ないくらい儲けさせてもらったから、そろそろ潮時かなと思ってね...お、なかなか良いモノだね...うーん勃っては無いか...まぁいいや...っと!!」 ッバキィ!

雑兵「え?な、何してんだ!?」

ラング「あ、忘れてた」ッシュ

女性「あなた!早く逃げ...?!」

ラング「喋られちゃ困るからね、みんなと同じで声はもう...悲しいね、あいたた...」

女性「っ?!っ!?」


「地下室だぞ!!!」

「物音だ!突入しろ!!」

309以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:49:55 ID:dnLJxD16
ラング「っぐあ!」ガッシャン!

「うわっ!な、なんだ!?」

ラング「た、隊長?!!た、助けて下さい!!この信者が!」

雑兵「は?!は?!」

「お、お前その格好...どこの部隊に...ラング「諜報員です!!あそこで倒れている男に暴力を振るわれ!周りも見て下さい!」

「え?...っうわ!」

「なんて酷いことを...!!その倒れてる男を捕まえろ!」

雑兵「ま、待てって!俺も兵隊で...」

「どこに証拠がある!」

雑兵「そこの女の子にくるんでる服...ラング「この男、私が突入した時にこの女の子に乱暴をしてました!!なので私の使ってない軍服を...」

「そ、そうか、お手柄だな、その男を連れてけ!」

「はっ!来いオラァ!」

雑兵「違うんだっ!!俺もっ!モゴゴ」

「黙ってろ、おい、頭陀袋も被せろ、どうせ処刑だからな」

310以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:57:31 ID:dnLJxD16
そして

女騎士「信者は何名捕まえたんだ?」

「はっ、10名です」

女騎士「そうか、この村の惨状を見た...奴らには相応の罰を受けてもらわないとな、連れて行け」

「はっ!」


勇者「諜報員、2名とも死んでたよ、遺体も見つけた」

女騎士「...そう、2名ともダメだったか」

「え、一人諜報員を救出したと報告が...」

311以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 00:58:21 ID:dnLJxD16
勇者「うそ?その人どこに?」

「た、確かまだ捕まってる人がと言いながら何処かへ...」

女騎士「...早急に探し出せ!!」

「は、はい!!!」


「な、なぁ...俺らが頭陀袋被せた奴って...なんか見覚えある奴じゃ...」

「知らねぇよ、それにもう連れてかれちまったから確認しようがねぇし」

「そ、そうだな...しかし可哀想に...もう大丈夫だからな...」

女の子「ウ-!ウ-!」
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312以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 01:03:39 ID:dnLJxD16
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『フィッハー補給処』

曹長「よぉ、やっぱ来てたんだな」

兵長「あ、先日ぶりっすね、フィッハー港の方はどうなんですか?」

曹長「うん、今は南のウルムガルド駐屯地から来た竜騎兵隊が警備してるから安心だ」

上等兵「安心して雑務に励めますね」

曹長「あぁ、あの飛んでとコンビと可愛子ちゃんの新兵は?」

兵長「治療班のとこへ行ってます、あのコンビは作戦中に酒で急造火炎瓶作りやがって...それ投げつけて軽く火傷したんすよ、天使ちゃんは治療班の手伝いっす」

曹長「そうか、アホだなあいつら...それはそうと...雑兵のやつ見なかったか?」

313以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 01:10:09 ID:dnLJxD16
兵長「いや、見てないっすねぇどうかしたんすか?」

曹長「いやなぁ、三日前にここフィッハー補給処に荷物届けさせる仕事任せたんだが...」


女騎士「すみません、あなたが曹長ですか?」

曹長「っと、はい、フィッハー分屯地 独立大隊分遣隊の曹長です」

女騎士「ありがとう、早速だがフィッハーに雑兵と言う兵隊がいるはずだが...」

曹長「はい、いますよ...ただ三日前から姿を眩ませやがって...まさか今回の件でなにか...」

女騎士「はい、ラング村に補給処へ届けるはずの物資があって...馬車の管理番号を見たら、分遣隊の管理になってて」

曹長「ま、まさかロバの馬車ですか!?そしたらそりゃうちの馬車です!」

314以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 01:14:55 ID:dnLJxD16
女騎士「ラング村の怪しい所を全て回ったんですが、雑兵の姿は無くて...遺体も確認したが、認識票が無くてですね」

曹長「に、認識票が無い?兵長、認識票が無いってどういう事だ、着けさせていたんじゃ無かったのか?」

兵長「す、すみません...認識票を着けさせる教育は...行ってませんでした」

曹長「それじゃあ...」

女騎士「遺体は焼け焦げたものから傷みの激しい遺体まであります...性別の確認も出来ないので...」

曹長「ぞ、雑兵...」

315以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 23:37:13 ID:dnLJxD16
ラング村

勇者「...違う、絶対雑兵じゃない...」


エルフ「...ホント残忍な事を...」

重装歩兵隊長「エルフちゃん、そろそろフィッハー補給処に行きましょ」

エルフ「はい、ドワーフさん、なんで人間同士がこんな酷いこと出来るんですかね」

重装歩兵隊長「さぁね...同じ人間でもお互いに譲れないものがあるのよ、きっと」

エルフ「...」

重装歩兵隊長「それにしても勇者様...誰を探してるのかしら」

エルフ「聞いてみたんですが知り合いがいるかも知れないって...」


勇者「...雑兵じゃない...」

316以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 23:43:53 ID:dnLJxD16
勇者「雑兵...僕と遊ぶんだから早く帰って来てよ...」
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317以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 23:48:00 ID:dnLJxD16
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ガラガラガラ...

早く帰って来てよ...

雑兵「...っうお...夢か...?」


「教祖様がきっと助けに来て下さる、怯える事はないさ」

「そうだ、我々は教祖様の為に戦ったんだ、助けに来ないわけが無い」


雑兵「...なぁキチガイ、この馬車ってどこ行ってんの」

「な、なんだ君は...」

「い、異端者か??なぜこんな奴が...」

318以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/04(月) 23:59:38 ID:dnLJxD16
雑兵「質問に答えろオ"イ"ッ!!」 ッバキィッ!!!

馬主「っうわぁ!騎士さん!信者が暴れてる!」

「貴様、黙らんとここで切り捨てるぞ!」ドスッ!

雑兵「っぐ!...」バタッ...

「あぁ教祖様...お助けください...」  
「ったっく...しかしなんだろう...なんかこいつ見覚えあるな...」

319以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 01:13:32 ID:EL2a86Ik
馬主「騎士さん、ビギニング刑場です」

「うん、ご苦労だった、報酬は会計課から受け取ってくれ、さぁ降りろ!!」


「きょ、教祖様ならきっと...」

「必ず来るさ、教祖様なら...」


雑兵「こ、ここは...?」

看守「罪人ども、そこへ並べ、この首輪にある番号が今日から貴様らの名前だ」

雑兵「おい、ここはどこだ」

看守「どこって...ビギニング刑場に決まってるだろ、死刑囚なんだから」

雑兵「は...?」

320以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 01:22:08 ID:EL2a86Ik
ビギニング刑場
首都の北西に位置し、終身刑の判決を言い渡された罪人や死刑判決を受けた罪人が集められる刑場、所長の判断によって多い日には4〜5人の死刑が執行されることもある。

看守「ラング村での残忍な行為は賭け値なしで死刑確定だからな...まぁお前らは人殺していい思いして来たんだ、次はお前らの番って事だな」


「この異端者め...」

「教祖様が必ず助けに来て下さるからな、それまでの辛抱だ」


雑兵「だから俺は信者でもなんでも...」

看守「信者でないなら何故あの場にいたんだ、でなきゃあの行為はキチガイのやるド外道行為だぞ」

雑兵「俺だってこのキチガイ共に捕まったんだよ、フィッハー分屯地に独立大隊の雑兵っていやぁ分かるはずだ」

看守「あー分かった分かった、いいから檻ん中へ入れ」

ガチャ

雑兵「くっそ...どうすりゃ...」

321以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:49:04 ID:EL2a86Ik
「あ...?何だえらい若い奴だな...」

雑兵「クソ...年貢の納め時ってなこの事なのか」

「おい若造、何だってこんなトコに...」

雑兵「え?あぁ...ちょっとインチキ宗教団体の信者共とイザコザがあって...」

「インチキ宗教団体...あぁ、新顔共の噂話で聞いた事あるな、フィッハー地方にのさばり出したって...」

雑兵「あぁ...ちょっとした手違いなんだが...策士な奴に嵌められて信者に見られちゃって...信者を討伐して来た部隊に捕まったんだ」

322以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:55:56 ID:EL2a86Ik
「そうか、まぁこのビギニング刑場に来たからにゃもう何も考える必要はねぇよ、ここから出られる事はまずねぇからな」

雑兵「ビギニング刑場...?」

「なんだ、ここのことも知らないのか...まあいい、知ったところでだからな、先が短い同士仲良くやろうや」

雑兵「...」

「しかし若そうだな、お前今何歳だ?」

雑兵「そろそろ18になる」

「じゅ、18?おいおいそんな若いのに...この国はいよいよ可笑しい国だな」

雑兵「もうどうでもいいよ、また死ぬだけだ」

「何だえらいファンタジーな野郎だな...じゃあ俺も軽く自己紹介してやるよ」

323以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/05(火) 23:59:00 ID:EL2a86Ik
「おれはバウナー軍曹、先の大陸戦争でやらかしてな...終身刑を言い渡されて早6年だ」

雑兵「何したんだ」

軍曹「ちょっとな...敵さんの捕虜を殺しちまって...敵だって俺らの捕虜沢山殺した筈なんだが...いかんせんあちら側が有利な状態で停戦しちまったから...まぁ元敵国の顔色伺いで俺ぁ戦犯になっちまったよ」

324以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/07(木) 23:59:48 ID:QVZdHQA.
雑兵「へぇ...大変じゃないの」

軍曹「いや...お前の置かれてる立場も結構大変だと思うが...見ろ、あの処刑台を」

雑兵「...」

軍曹「この刑場が出来て以来何千もの罪人の慟哭を聞いた処刑台だよ、今日も一人執行される」

雑兵「あいつは何をしたんだ」

軍曹「あぁ、聞いた話じゃ国境沿いの小さな町に手下の蛮族をけしかけて...後は分かるだろ」

雑兵「死んで当然の人間だな...首吊りとか首切るんじゃないんだな」

軍曹「ここからじゃ見えねぇけど執行台の向こう側はエライ崖になっててな、まあまあ見りゃ分かる」

325以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/09(土) 00:09:32 ID:iHryWjZ2
雑兵「...?」

グオオオ...

軍曹「来たぜ...」

雑兵「え?え?」

カタカタと檻が揺れ、地の底からハラワタにズーンとくるような揺れが始まった、揺れは鳴き声とともに次第に大きくなり、その声の主が姿を現した。

?「グウォオォオオオオオオ!!!!!」

雑兵「うっわ...」

軍曹「ふぅ、やっぱ何年も見てるが慣れるもんじゃねぇな、俺らは通称刑場の龍神と呼んでる...昔は由緒正しい龍神だったらしいが、今や人喰いの龍だ」

326以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/12(火) 00:48:04 ID:lqqq4T56
雑兵「由緒正しかったにしちゃあ随分と汚い身なりだな」

軍曹「龍使いがいねぇのさ、どんな龍にも使いの者が王国から派遣されるんだが...ここの龍だけにゃ使いがいねぇんだ、だから何らかの傷を負っても治してくれる奴がいないから治るまで待つか...酷い時にゃ膿んで悪臭が立ち込めるかだな」

雑兵「この龍が何したってんだ...」


「言い残すことはありますか?」

罪人「ねえな」

「では...彼の魂に永遠の安らぎのあらんことを...」

327以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/12(火) 00:51:51 ID:lqqq4T56
罪人「さぁ食っちまえ薄汚えトカゲ野郎!!」

人喰いの龍「グゥォオオオオ!!!!」

バクッ ガッツガッツッ!!



雑兵「うわ...マジで人食ってる」

軍曹「綺麗に食ってくれるときゃいいが、たまにこっちにまで肉片飛ばしてくるからそればっかは勘弁して欲しいな...」


「明日はカルト信者の処刑だ、

328以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/12(火) 00:56:34 ID:lqqq4T56
「所長がカルト信者はいち早く処分した方がいいとのことだからな、無いとは思うが変な宗教をこの刑場で広められたらかなわん」


雑兵「信者の処刑って...」


「誰からやるか?無論明日のうちに全員執行する、頭陀袋を準備しておけ」

329以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/14(木) 00:57:37 ID:RDVUw0kE
軍曹「まぁ、ご愁傷様ってことだな」

雑兵「クソ...ここまで来てこんな死に方かよ...」

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330以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/14(木) 01:02:29 ID:RDVUw0kE
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女騎士「...」

勇者「雑兵...じゃない」


「勇者様どうしたんだ、魂抜けてるって感じだな」

「知り合い探してるらしいが...えらい執着してんな」


女騎士「勇者、そろそろ行こうか」

勇者「...」

女騎士「大丈夫、雑兵はどこかにいるさ、
あいつならどんな逆境も乗り越えられる...というかうまくかわしていくさ」

勇者「うん...」

331以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 01:00:01 ID:WEGzaIRk
女騎士(雑兵の運の悪さも桁外れだな...会った時は多分リミッターが外れた状態で憎まれ口叩かれるのかな...的得てる時のあれ結構効くんだよなぁ...)


「ではお先に帰隊します、お疲れ様でした」

女騎士「あぁ、帰ったらゆっくりと休んでくれ」

勇者「...」

女騎士「大丈夫、雑兵なら案外ピンピンしてるだろう、先に帰って休んで...」

勇者「...ッ」プルプルッ... 

女騎士「...先に帰ってて、ね?」

勇者「...」コクッ

332以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 01:00:56 ID:WEGzaIRk
女騎士「さあて...人の妹を泣かせた罪は重いからな...雑兵」

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333以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 01:09:51 ID:WEGzaIRk
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雑兵「グ-...」

軍曹(こいつ...明日にゃ処刑だってのによく寝られるな...肝が座ってんのかどうなのか...)

軍曹(しかし...こんな若えのにこんなトコに連れて来られる兵隊がいるたぁなぁ...何をしでかしたのか...)

雑兵「んん...ラング...テメェ...グ-...」

軍曹「...ラング...?ちょっと待て...ラングってまさか...」

334以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 22:41:57 ID:RG.XuhIs
軍曹「おい、起きろ!」

雑兵「んあ?...んだよこれから死ぬんだから寝かせてくれよ」

軍曹「お前ラングって奴知ってるのか?」

雑兵「ラング?あぁ村長を名乗ってた」

軍曹「クソ...あいつやはり生きてたか...」

雑兵「知り合い?じゃあお前ロクなやつじゃねえな」

軍曹「うっ、いやまぁ...そいつとは入隊が同期でな、中々策士な奴だったよ...都合が良けりゃ俺らにつき、悪けりゃ上官側に付く...まぁ要領がいい奴だったな」

335以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/17(日) 23:44:28 ID:RG.XuhIs
雑兵「なんで元軍人のそいつが今じゃ宗教団体に」

軍曹「多分だが...金目当てだろうな、金には相当がめつい奴だった、入信自体はしてないだろ」

336以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 00:50:35 ID:iq/FNwg2
雑兵「そっかぁ、そんな奴だったんだなぁ...まぁ俺にゃもう関係ねぇや、明日死ぬ身なんだ」

軍曹「お前えらく達観してんな...どうやって生きて来たんだ...」

雑兵「テキトーだよテキトー...童貞卒も出来ずに死ぬのは惜しいけど、まぁそれも人生だわなぁ、来世に期待だ...Zzz...」

軍曹「おかしな奴だ...こんな奴雇って王国は大丈夫なのか...?」
_
__

337以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 00:55:58 ID:iq/FNwg2
__
_
「すみません、この先で馬車同士が事故を起こして...肥料が撒き散らされて結構エグい事に...」

「本当か?どうしますか騎士団長?」

女騎士「うむ...下手に通って疲れている部下たちに肥やしの匂いを嗅がすのは忍びないからな...迂回してビギニング刑場の道を通ろう」

「了解です」

女騎士(勇者はもう帰ったかな...落ち込み過ぎて無いといいけど...)

338以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 01:02:29 ID:iq/FNwg2
「ビギニング刑場といやぁ昨日の信者達がもう送られた頃ですね、ラング村のは特段酷かった...」

「あぁ、ありゃぁ人のやれる事じゃねぇや...年端もいかねぇ女の子まで...」

「この先どう生きるんだろうな...被害者の人ら、ホントに生き長らえたかったのかと助けた今でも思うよ」


女騎士「...」

女騎士(助けられた女性達を見たが、皆何かを訴え掛けていた目つきをしていたな...一体何を...)


「しかしあの捕まえた中の一人...やっぱ見覚えあるんだよなぁ...」

「...まさか...いやそんなはずは無い...だって独立大隊だし...」

「え?なんか言った?」

「いや、なんでもないさ」

339以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/18(月) 01:10:59 ID:iq/FNwg2
女騎士(この二人...やけに捕まえた一人の信者を気にしてるな、何があったのだろうか...)


「なぁ、やっぱ見覚えあったってあいつ!訓練所で喧嘩してた奴だ!」

「や、やめろって!縁起でもねえ!」

女騎士「...そいつの事、詳しく聞かせてくれ」

「き、騎士団長...大声出してすみま
女騎士「いいから聞かせろ」

「は、はぁ...あの地下牢から女性達を救出した時に...あの男もいたんです」

「はい...諜報員のオトコが言うにはあの男が女性達に酷い事をと...」

女騎士「諜報員...例の一人生き残ってた奴か、どこへ行ったかまだ情報は無いらしいな」

「はい...」

女騎士「...この隊列の中で一番速い馬を連れてこい!」

「は!自分の馬です!」

女騎士「すまない!少し借りる!」ガシャッ  

女騎士「生きていろ...!必ず!」
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340以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/19(火) 00:14:12 ID:FNB8Lv3M
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「罪状?人殺しておいてのうのうと生き長らえてる罪だろ」

「ちょっとは真面目に考えてくれ、根拠が必要なんだよ、このロクデナシ共を殺すのにも」

雑兵「早くしろクソ雑魚、トカゲちゃん谷底で待ってんだろうが」

「な、なんだテメェその態度は!」

「肝座り過ぎなんだよ!自分が処刑されるってのを自覚しろ!」

雑兵「あ?うるせぇよなんの調べもしねぇ癖に俺様を取っ捕まえやがって、この国ってホントガバガバなのな」

341以下、名無しが深夜にお送りします:2019/02/19(火) 23:22:12 ID:FNB8Lv3M
「クッソ...生意気な奴だな...いいだろう、望み通り最初に執行してやる!」

雑兵「それで良いんだよそれで」

「ちったあ感傷に浸れって...」

雑兵(まぁこの世界じゃ失敗しただけだし...次があらぁな)

雑兵(天使、上等兵、兵長に曹長、エルフや勇者...殿下や女騎士に会えねぇのは寂しいが...仕方ねぇさ、失敗したのは俺だ)

「そこに立て」

雑兵「あいよっと」

342以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/02(火) 14:40:30 ID:k7O/axok
続きはよ

343以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/04(土) 21:28:49 ID:gB1j7POU
「何か言い残すことはありますか?」

雑兵「フィッハー分屯地の独立大隊分遣隊の曹長に、迷惑かけてスマンコって言っておいてくれ」

「で、では魂の安らぎのあらんことを...」

グオオオオオオ...

雑兵「...次はどこかなぁ」


「その処刑をやめろーーっ!!」


「うぇ?!誰だ!?」

344以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/04(土) 23:33:46 ID:gB1j7POU
女騎士「はぁっ...間に合った...」

「き、騎士団長?な、何故ここに...」

女騎士「良いから早くあの男の処刑を止めろ!」

「は、はい!し、しかし...」

「龍神は出て来たが最期...罪人を喰らわねば凶暴化してしまいます!」

345以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/05(日) 15:24:25 ID:I8tNDh3E
待ってたぜ乙

346以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/07(火) 23:44:44 ID:bVoDkEPY
雑兵「ンだよ死ぬ時くらい静かにって...なにしてんの?」

女騎士「お前を待ってる物好きな人達がいるのでな、迎えに来てやったぞ、雑兵」

雑兵「そ、そりゃありがたいけど...もう龍ちゃん来ちゃってっからさぁ...」

女騎士「ンなもの次の処刑人呼べば良い話だ、だろう?」

「ま、まぁ食えりゃ暴れませんからね...お、おい早めに連れて来い!」

「は、はっ!」タタタツ 


雑兵「お、お前ちょっとだけ残酷な奴だな、ちょっと恩人ながら思考にドン引きだわ...」

女騎士「猟奇殺人者に与えられる良心はまだ無くてな...さぁ戻ろう、話したい事や聞きたい事がいっぱいある」
_
__

347以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/07(火) 23:51:06 ID:bVoDkEPY
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雑兵「ロバ吉は無事なの?」

女騎士「ロ、ロバ吉?あぁ、曹長殿が引き取ったよ、元気そうだった」

雑兵「そうか...で、ち、地下牢の人達は...?」

女騎士「あぁ...あの惨状で救出と言って良いのか分かないが、救出したよ」

雑兵「そうかぁ...そっかぁ...良かった、しかしビビったなぁアレは...久々に吐いたわあの光景は...」

女騎士「ずっとあそこに閉じ込められてたのか?」

雑兵「あぁ、あそこで俺イかれちゃぁもう助けられんなと思った何とか耐えたが...ッヒッグありゃあヒデェよ...」

348以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 00:09:01 ID:/SmOklWw
女騎士「...今は泣いてても良い、手綱は私が持とう」

雑兵「た、頼む...ウッ...アァッ...」

女騎士(こいつも泣くことがあるんだな...やはり私が思ってたほどに強いメンタルは...)

女騎士「お前に人間味があって安心したよ」

雑兵「あ″...?うるせぇ″っ..,!俺が来る前から貴様ら軍隊にやる気がありゃカルトものさばらなかったんだ!!俺に人間味?泣いて当然だあんなん見せられたら!一等冷酷なのはお前らだクソッタレ!」

女騎士「す、すまない...」

雑兵「何が考えさせられる事があっただ...!スラム街のジャリを救えて、地方のカルト教団の被害を受けてる人らは救えなくて何を考えてた今まで!答えろ!」

女騎士「...地方での有事は領主らの要請がないと動けない法があってな...要請もなくおいそれと動けなかったんだ...」

349以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 00:16:18 ID:/SmOklWw
雑兵「領主様の要請なんぞでもなけりゃ国民を救えられねぇのかこの国は...トンデモな国だな...」

女騎士「...私もこの法は正直変えたい、今回の件で上層部連中も動くだろう...騎士団としても救助に行きたかったんだ、諜報員の連絡が途絶えやっと行けたんだ...」

雑兵「...兵隊なり将校なりなんぞが捕まりゃやっと重いケツあげれるってか?成る程なぁ、アホらしすぎて涙も枯れたわ」

女騎士「すまない...」

雑兵「いや、お前が悪いんじゃねぇ、怒鳴って悪かった、悪いのはぜーーんぶ国だ、国王だ」

女騎士「お、お前...、国王に使える兵士としてその発言は頂けない...」

350以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 00:19:03 ID:/SmOklWw
雑兵「国民の命カルトに頂きますさせた癖して一丁前に俺の事を不敬罪ってか、良い度胸だな」

女騎士「いや良い度胸なのはお前の方だ、絶対みんなの前でそんな話するな、いいな?」

雑兵「だ、だって...」

女騎士「お前が本当に捕まってしまって...悲しむのは誰だと思うんだ?」

雑兵「...え?いるの?」

女騎士「え?」

雑兵「いねえだろそんな物好き」

351以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 22:25:03 ID:/SmOklWw
女騎士「お前...もう少し自分の立場っていうのを理解した方がいいぞ...全てにおいてな...」

雑兵「え?なんで今更?」

女騎士「まぁいい、帰ったら分かる」
_
__

352以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 22:58:11 ID:/SmOklWw
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「しかしですな、あのカルトから五体満足で生還できた兵隊...本当に捕まってしまったのかという事ですよ、送り出した者達は皆...」

「ご子息を亡くされて心中お察ししますよ、シンパの可能性もありますからな」

「それであれば生還できたのも頷けるというものだ」


勇者「...ションベン蟻共がっ!」ガタッ!

女騎士「抑えて、貴様らが言う通り、たしかに我が軍で送り出した者達は皆無念な姿で発見された、この中にもご子息を送り出した者もいる、しかし彼は地下に閉じ込められた彼女達を、これ以上の惨状を避けるために身を呈した」

353以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 23:05:57 ID:/SmOklWw
女騎士「五体満足?そんな訳がないだろう、彼の脳裏には今もあの惨状が思い浮かぶと言ってた。彼は深く彼女達に詫びていた、この国の法の杜撰さを憎んでいた、貴重な戦力と行動力貴様らは無碍に何故できるのだ?」

「し、しかしですね...」

女騎士「まだ何か?」

「あの様な一兵卒が...」

女騎士「あの様な一兵卒だからこそ成し遂げてくれたんだ、私たちも見習わなければならない行動力だぞ」

「...」

勇者「まだ文句あんなら辞表出してよ、事務仕事できる幹部なんか幾らでもいるんだから」

「ゆ、勇者様まで...わ、分かりました、では件の兵に特別な配慮を...」


雑兵「いらねぇよ配慮なんかよ」

354以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/08(水) 23:10:43 ID:/SmOklWw
勇者「でも...雑兵は頑張ったんだよ?」

雑兵「頑張った俺が今も何故か檻の中に入れられてんだぜ?逃げる訳ねぇってのに...可笑しいぜここの警備隊は、まぁいいけどさ」

勇者「もう取り調べは無いの?」

雑兵「うん、粗方...そいやぁ殿下はどうなった?」

勇者「姉が国王に掛け合って、暫くは主賓外来に泊めさせるって」

雑兵「良かった...」

勇者「会いたがってたよ?雑兵に」

355以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/13(月) 22:17:02 ID:rgxenKdk
雑兵「俺もみんなにあいてぇよ、てかエルフ元気してんの?」

勇者「うん、最初は落ち着いてなかったけど、今はみんなと仲良くやってる」

雑兵「そっか、なら安心だな...」

勇者「...地下牢にいた人達、みんな長くもたないかもって医師が言ってたら言ってた、切断されたとかの腐敗や...性病とかも患ったらしくて...」

雑兵「...っそ、そうか...やっぱあそこで死なせとくべきだったのかなぁ...」

勇者「...もし仮にだよ?仮に僕があの人達の立場になったら...多分死んだ方がマシだなって思ってくると思う...好きでもない人に...」

雑兵「お前そういうの疎かっただろ」

勇者「ぼ、僕だって勉強してるんだよ?」

雑兵「ごめん」

356以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/13(月) 22:32:01 ID:rgxenKdk
雑兵「俺もう辞めよっかなぁ兵隊、キツイわなんか」

勇者「や、辞めたいなら...僕の傭兵団に来ない?」

雑兵「人の話聞いてた?兵辞めてえってのに兵隊はいってどうすんだよ」

勇者「じゃあ今後の生活どうすんのさ、雑兵みたいな人雇ってくれるとかないよ」

雑兵「そ、そんなこたぁ」

勇者「みんな優しいから雑兵の破茶滅茶な行動を許してるだけで外の世界じゃそんな事許されないからね、上官に対する態度もそうだし、あと
雑兵「ご、ごめんって!もうやめて下さい、そろそろ泣きそうになる」

357以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:35:24 ID:LlLvqE2U
勇者「だから...もう辞めるとか言わないで...それにみんなを心配させないでね?」

雑兵「...あぁ、すまん」

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358以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:45:18 ID:LlLvqE2U
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「あの兵卒ぁ厄介もんだな」

「勇者様と騎士団長のお気に入りだから迂闊に文句も言えん」

「どうするよ、次の″左遷先″は」

「そうだな...もう二度と団長らの手の届かないトコがいいからなぁ」

「...国境守備隊って独立大隊の派遣要請してた?」

「してない、だが職種変換なら俺らでもできる」

359以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:48:50 ID:LlLvqE2U
「職種変換なぁ...国境守備隊の職種は...主に歩兵科か...」

「やっちまおうぜ、もう面倒はゴメンだ」

「だなぁ...あの兵卒自身も国境守備ならやり甲斐もあらぁ」

「決まりだな、おい学生、独立大隊の隊長に内線」

「はい」
プルルル... プルルル...
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360以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 20:55:31 ID:LlLvqE2U
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兵長「それほぼほぼ島流しじゃないっすか...」

隊長「うん、何回か掛け合ったが...やはり人事参謀の連中も...まぁ雑兵の悪評に辟易してるな」

上等兵「悪評って...あいつも巻き込まれてですよ」

隊長「まぁ、そうだろうが...独断をして周りを混乱させてるのもまた事実だ、殿下の件がいい例だ」

上等兵「そんな...それは周りがどうにかしろと言ったのも原因じゃないですか」

361以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 21:23:59 ID:LlLvqE2U
隊長「そうだとも、けしかけた奴も悪い...」

上等兵「なら...」

隊長「だが身の程というのを本人も弁えるべきだった...それだけ事なんだ」

兵長「...そうっすね」


天使「...」

362以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 22:08:40 ID:LlLvqE2U
上等兵「はぁ...どうしようもないなぁこればかりは...」

天使「雑兵が異動って本当ですか?」

上等兵「あぁ、しかも職種まで変えさせての異動だ...もう二度と独立大隊には帰れない」

天使「二度と...」

上等兵「お前ら二人で切磋琢磨してたのになぁ...あいつにもまぁ...問題はあったが、周りの人間にも問題がなぁ...」

天使「...なんで雑兵ばっかりこんな目に...」

上等兵「...」

_
__

363以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 23:03:06 ID:LlLvqE2U
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天使「...知ってたんだね」

雑兵「あぁ、取り調べ受けてる時にな、人事参謀の木っ端将校がズケズケ来やがってよ、今日付けで第2国境警備隊、国境守備中隊に配属だってよ、歩兵に職変」

天使「第2国境警備隊ってどこなの?」

雑兵「分かんない、なんか北のほうって聞いたけど」

天使「北...トルティア地方の国境かな...?」

雑兵「ど、どんなトコなの」

天使「うーん...あまり話し聞かないトコ...辺境にあって、あんま交通の便は...」

雑兵「ガチ島流しやんけ」

364以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/19(日) 23:59:48 ID:LlLvqE2U
天使「でも第2国境警備隊も聞かないなぁ...どこが指揮してるんだろう」

雑兵「なんか国境警備専門の偉いトコとかあるんじゃないか?まぁいいや、今日付けで異動だからな...檻から出た瞬間にゃもうそのトルティア地方に行かにゃならん」

天使「またすぐ行っちゃうんだね」

雑兵「申し訳ねぇがこればっかりはなぁ...」

天使「...もう二度と独立大隊に帰れないって言われてたけど...いつでも顔だしてね?」

雑兵「うん、帰れたらすぐに顔出すよ、元気でな」

「雑兵、トルティアへ移動だ、荷物は後で郵送させるからそのまま来い」

雑兵「はいよ...じゃあな...」

天使「...」
_
__

365以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/20(月) 23:42:18 ID:vLLDIlFY
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トルティア地方
険しい山岳地帯が広がっており、最も低い地点でも首都と比べると海抜千mもある、
北の国境を抜けると亡国オムエン国の跡地が広がっている。

雑兵「そのオムエンにゃ人いないの?」

「あーまだ住んでる人は住んでっけど、俺らの国よりにいるねぇ、首都付近や地方の都市なんかはもう廃墟しかねぇよ、まぁその廃墟ん都市も魔物で溢れてて、もうお手上げって感じさね」

雑兵「ふーん」

オムエン国はかつては栄華を誇った王国であったが50年前、突如魔物の集団に攻め込まれ、あまりの奇襲であったため為すすべも無く国王は討ち死、敗残兵と化した王国軍も撃破され、現在は魔物の溜まりとなっている広いただの土地である。

366以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 00:37:09 ID:cP8WzBJk
「しかし兵隊さんも不運だね、あの国境にゃホント何もねぇぞ」

雑兵「何もないってのはいい事だ...人も死ぬことはねえ」

「そうか...そうなのかもな...着いたぜ」

雑兵「着いたって...山道の入り口じゃん」

「こっからは一人で行ってくれ、あの警備隊の空気はあんまり好きじゃねぇんだ」

雑兵「あそうなんすか...」

367以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 01:30:58 ID:cP8WzBJk
雑兵「...人も馬車も通ってない事はないんだな」

まだ新しい馬車の轍、オムエンから王国へ続く道へは幾たびも往復している跡があった、多分人通りがゼロなんて事は無いのだろう。

雑兵「行ってみるか」

轍にそって山道を歩く、辺りは薄暗く静かで、虫の音色しか聞こえない。


雑兵「もう夏にはいるんだなぁ」


「おい」

368以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 01:35:09 ID:cP8WzBJk
「お前、見かけねえ顔だな、どこの部隊だ」

雑兵「独立大隊、ってもクビになって国境警備隊に職種変換になったよ、あんた国境警備隊?」

「あぁ、まぁそんなトコだ...しかし雑用部隊から国境警備隊ってなぁどういう了見なんだ?」

雑兵「俺が知るかよ...」

「まぁいい、新顔って事だな、俺は警備隊伍長、元は会計隊に居たのをここは島流しって訳よ」

369以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 21:37:57 ID:hnvCh/3Y
雑兵「横領でもやったのか」

「あぁ横領だけならまだ重営倉で済んだが、ごちゃごちゃ言ってきた課長のツラぶん殴っちまって、ツラも二度と見たくねえってな、ここへ一昨年な」

雑兵「アホな事を」

「あぁ、それもこれも戦死した兄の弔意金をくすねやがった課長のせいだクソッタレ」

雑兵「いつかの大陸戦争かなんかの話か?」

「いつかの?5年しかたってねぇんだぜ?

370以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/25(土) 21:56:42 ID:By/RiEek
雑兵「あ、そんな最近だったんだな、まぁいいや、警備隊って何人くらいいんの?」

「ん?警備隊...?ちょっと待てよ何人くらいだったかなぁ...10人...いや20...?」

雑兵「マジで?人のこと言えないけど人に興味無さすぎだろ」

「だってなぁ、みんな我関せず、個人の世界観にどっぷりハマってっからさぁ、気持ち悪いんだよなんか」

雑兵「あーそういうタイプの部隊か」

「最初は仲良くなろうとしたけどさぁ、みんな反応イマイチで」

雑兵「そうか、まぁいいんじゃないの」

「適当だな...ココだよ、第2国境警備隊、オムエン国境分遣隊」

371以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/26(日) 00:00:50 ID:sQTRseFk
雑兵「...国境警備隊?」

「あぁ、一応な」

オムエン国境警備隊、亡国オムエン全土をを見下ろす位置に配置されており、オムエン国は朝焼けに染まり美しく映った、だが肝心の国境警備隊の建物は無く。

雑兵「これっていわゆるアレじゃねぇの、塹壕じゃねぇの?」

「あぁ、その通りだよ、でも屋根は付いてるだろ?まぁ雨は凌げど流水は凌げねぇ、風通しの良い職場ってなぁまさにここのことだよ」

372以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/27(月) 21:46:20 ID:nIQyPA3Y
雑兵「人っ子一人見当たらねぇけど、どこいんの?」

会計伍長「さぁ、大方オムエンに入ってなんかやってんじゃねぇの?」

雑兵「なんかあんのか」

会計伍長「あぁ、麓の廃墟になった村や町から金になりそうなの漁ってるよ、それを持って帰って、勝手に町に降りて売り捌いてる」

雑兵「逞しいことこの上ないな」

会計伍長「俺も金欲しいが、オムエンに入ってまでは嫌だな、運悪けりゃ町に降りた守備隊の奴ら全員帰ってこねぇって事もあったぜ」

373以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:05:51 ID:/z5sbDZU
雑兵「帰ってこねぇってぇのはもしかして...」

会計伍長「あぁ、廃墟にゃ魔物の群れや、抜きん出て強い魔物がウロついてる事もある、あそこらはもう魔物にとっての獲物がないからそこまで多くはないが...それでも運が悪いとな」

雑兵「そうか、まぁここに魔物を連れて来なきゃ何でもいいさ」

会計伍長「ホントそれだな...お、帰ってきたぜ」


「ッチ、たったこれっぽっちかよ...」

「新顔二人を囮にして死なせてこんだけじゃあなぁ、まぁ補充は幾らでもくらぁ」

374以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:10:25 ID:/z5sbDZU
「お、会計の、また塹壕に篭ってやがったのか?」

会計伍長「あぁ、命あっての物種だ」

「ビビってんじゃねぇよ玉無し、魔物どもなんか来やしねぇって、そりゃそうと、明日の留守番頼むわ」

会計伍長「街におりんのか、そろそろ街の憲兵も嗅ぎまわってるぜ」

「っへ、上手くやるさ...ところでそこのは見ねえ顔だな?」

雑兵「うーっす、精が出るな」

「んだこいつ、新顔のくせに態度デケェやつだな」

「あんまナメてっとオメェも魔物の餌にしちまうぞ?あ?」

375以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:15:10 ID:/z5sbDZU
会計伍長「あーあー...血の気が多いやつばっかで」

雑兵「オメェこそ口の利き方に気をつけろ、こっちはこんなトコに連れて来られて、しかもオメェらみてぇなハゲタカが視界に入って気が立ってんだよ」

「て、てんめぇ...!」

雑兵「そいやあさ会計伍長、この二匹しか上がって来なかったけど他は?」

会計伍長「え?多分だが死んだんじゃねえか?前は結構な人数いた気がするけど、金欲しさに街に降りてそれっきりな気がするなぁ、興味なかったから確かな情報じゃないけど」

376以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/28(火) 00:19:47 ID:/z5sbDZU
雑兵「やっぱ雑魚は淘汰されるのかなぁ」

会計伍長「さぁ、知らんけど」

「お、おい!話を書きやがれコラ!!」

雑兵「あ?ウルセェんだよサンピンが、フィッハーでオメェら以上に厄介な奴らに楯突いたからもう怖かねえぞ」

「んのクソ野郎!ぶっ殺してやる!!」

雑兵「うわぁ怒らんでや、仲ようやろ」

会計伍長「おめぇ変なやつだな」

377以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:22:47 ID:4B1ZrAFw
グルルル...

「お、おい...今の声って...」

雑兵「おい、まさかとは思うが魔物とやらを連れてきた訳じゃあるめぇよな」

「ぜ、前々回に下った時に殆どの警備兵を惨殺しやがった奴だ...」

雑兵「お前ら死ねよもう」

会計伍長「...やっぱ来るわなぁ、お前ら縄張り荒らすから...」


オークジェネラル「グゥウウウ....」

雑兵「うっわくっそ強そうやんけ...」

会計伍長「随分前にだがな...国境警備隊の陣地にオークジェネラル率いるオークウォリアーの軍団が攻めてきてな...」

雑兵「よく陣地持ったな」

会計伍長「いや、惨敗だった、陣地も荒らされ警備兵も殺されるだけ殺されて...目も当てられねぇ惨状だったよ」

378以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:27:34 ID:4B1ZrAFw
雑兵「お前よく生きてたな」

会計伍長「死んだフリで対処しただけだ」

雑兵「そ、そっか」

会計伍長「まぁ聞けよ、その時に殺られた奴らがな、縄張りを荒らした奴らだけだったんだよ、あいつらも知能があるって事だな」

雑兵「え?じゃあほっといたら勝手に殺して帰るってことか」

会計伍長「そういう事、まぁコーヒーでも飲もうや」

雑兵「だな」

「お、おい!!ほっといてねぇで助けてくれ!!!頼むよ!!」
「お、俺にゃ家族がいるんだよ!!」

会計伍長「じゃあ一家もろとも死んだ方が良いぜ」

「って、てめぇ!鬼かオイ!!」

379以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:30:20 ID:4B1ZrAFw
オークジェネラル「グゥウウウ...!!」ブゥン!!

「あ」グチャッ...
「ッヒィ!?」


雑兵「本当に狙わねぇな」

会計伍長「だろ?だからオムエンにゃ行かない方がいいんだ」

雑兵「あぁ、だな」


「う、うわぁぁぁあ!!!」タッタッタッタッタ...

380以下、名無しが深夜にお送りします:2019/05/29(水) 00:34:06 ID:4B1ZrAFw
会計伍長「あんのバカ野郎、オムエンの方に逃げやがった」

雑兵「南無阿弥陀ってとこだな」

会計伍長「しかしお前はなんか達観してるよな、今まで来た奴らとは一線を画してるぜ」

雑兵「まぁいい事悪い事が交互に続いたらねぇ、リアクション薄くなるよね」

会計伍長「そ、そうなのか」

雑兵「周りはいい事って言っても上の人間らからしたらよろしくない事だった、それをし過ぎたんだな俺も」

381以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:14:29 ID:YSenMjf6
会計伍長「そうかい、ここじゃなんの事件も起きねえ、たまにゃゆっくりしようぜ」

雑兵「だな」

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382以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:56:09 ID:YSenMjf6
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オムエン国境の1日はとてものどかな物だった、朝は適当に起きて夜は適当に寝る、飯はトルティアに駐屯する糧食兵が運んで来てくれる、実に優雅な部隊だ、しかし彼等に他の兵はどこ言ったのかと聞かれるので口裏合わせに困る。

会計伍長「さぁて、そろそろ飽きてきたな?」

雑兵「死ぬほど飽きたわ」

会計伍長「やっぱりな、俺もそうだったよ...でもいつかその飽きたって感情も吹き飛ぶぜ」

雑兵「そうかぁ...人として死にそうだな」

会計伍長「実はな、面白い噂があってな、詳しい話は知らねえけどよ」

雑兵「え?」

会計伍長「勇者様とデートしてる兵卒がいるって話や...隣国の殿下を拉致った兵卒がいるとか」

雑兵「ら、拉致ってはねぇんじゃねえかな...」

会計伍長「...やっぱお前だったんだな、独立大隊の兵卒ってのは」

383以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:57:37 ID:YSenMjf6
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オムエン国境の1日はとてものどかな物だった、朝は適当に起きて夜は適当に寝る、飯はトルティアに駐屯する糧食兵が運んで来てくれる、実に優雅な部隊だ、しかし彼等に他の兵はどこ言ったのかと聞かれるので口裏合わせに困る。

会計伍長「さぁて、そろそろ飽きてきたな?」

雑兵「死ぬほど飽きたわ」

会計伍長「やっぱりな、俺もそうだったよ...でもいつかその飽きたって感情も吹き飛ぶぜ」

雑兵「そうかぁ...人として死にそうだな」

会計伍長「実はな、面白い噂があってな、詳しい話は知らねえけどよ」

雑兵「え?」

会計伍長「勇者様とデートしてる兵卒がいるって話や...隣国の殿下を拉致った兵卒がいるとか」

雑兵「ら、拉致ってはねぇんじゃねえかな...」

会計伍長「...やっぱお前だったんだな、独立大隊の兵卒ってのは」

384以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/09(日) 22:58:30 ID:YSenMjf6
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オムエン国境の1日はとてものどかな物だった、朝は適当に起きて夜は適当に寝る、飯はトルティアに駐屯する糧食兵が運んで来てくれる、実に優雅な部隊だ、しかし彼等に他の兵はどこ言ったのかと聞かれるので口裏合わせに困る。

会計伍長「さぁて、そろそろ飽きてきたな?」

雑兵「死ぬほど飽きたわ」

会計伍長「やっぱりな、俺もそうだったよ...でもいつかその飽きたって感情も吹き飛ぶぜ」

雑兵「そうかぁ...人として死にそうだな」

会計伍長「実はな、面白い噂があってな、詳しい話は知らねえけどよ」

雑兵「え?」

会計伍長「勇者様とデートしてる兵卒がいるって話や...隣国の殿下を拉致った兵卒がいるとか」

雑兵「ら、拉致ってはねぇんじゃねえかな...」

会計伍長「...やっぱお前だったんだな、独立大隊の兵卒ってのは」

385以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/10(月) 20:28:15 ID:QjDn6YBA
読んでるぞ

386以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/11(火) 22:23:03 ID:FOmD0xAE
雑兵「いや...まぁそうだけどさ」

会計伍長「はぁ、やっぱ兵卒にゃ特別な人間なんかいらねぇんだなぁ」

雑兵「特別なわけじゃねぇよ、ただ運が良い時と悪い時の差が人より激しいだけだ」

会計伍長「十二分に特別な人間だっつーの...ずっとこんな所にいるつもりか?」

雑兵「さぁ、上の命令によりけり」

会計伍長「お前...死んだ方がいい」

387以下、名無しが深夜にお送りします:2019/06/11(火) 22:32:38 ID:FOmD0xAE
雑兵「お前流石にストレート過ぎて泣きそうだわ」

会計伍長「ごめん、言い直すわ、死んだフリして旅でもしろよ、そしたら自由だせ?」

雑兵「死んだフリ?」

会計伍長「あぁ、こんな国だ、死んだフリしてもバレねぇぜ?国境守備隊の奴らも死んだフリしてバックれた奴らもいるしな」

雑兵「死んだフリってもなぁ...」

もう社会的に死んだようなトコに来た俺だが、人として死ぬ程の絶望感は今の所持ち合わせてない。


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