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雑兵の雑草記

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 17:48:02 ID:D57wSHgc
ジャラララララララwwww リ-チ!! ザンネン...

男(ッチ…)

男(二万の負けか…)

男(今月に入って当たりは四、五回…あと一回やろ…)ッス...

男「泣きの千円だな…」

思えば産まれてこのかた、頑張るだの努力だのは一切したことが無かった
と思う、小学校の最初は勉強も簡単すぎてやるだけ無駄と思ってやってこなかった
し、遊び仲間も沢山いた、楽しかった。
しかし、学年が上がるにつれて勉強は難しくなり、遊び仲間は皆んな勉強をし始めた、
いや、勉強は最初からしていたのだろう、何もして無かったのは俺だけだ。

142以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 01:05:44 ID:Ti5BjGho
__
_
雑兵「港町の地図の受領に参りました〜」

事務員「あらぁ?!新しい子?んまぁ〜なん年ぶりかしらね!」

雑兵「はぁ…?」

事務員「おばちゃんね、この分屯地ができてからずうっとここで働いてるのよ!駐屯地の時は若い子たくさんいたんだけどねぇ、分屯地になってからは、おじさんしか来なかったのよぉ!」

雑兵「そ、そうなんすね」

事務員「あ!ごめんね!?地図よね!はいどうぞ!」

雑兵「ありがとうございます」

143以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 22:26:43 ID:f5FT3jQo
ヤスイヨ-!!

雑兵(やっぱヨーロッパの港町って感じだな、ご丁寧にフォークリフトまでありやがるからファンタジーの世界観ねえけど)

雑兵「ここがメイン通りで…漁港の横が旅客ターミナルって感じか?」

「おう!?アンちゃん兵隊さんかい!?」

雑兵「うおっ…は、はい、昨日に移動して来ました」

「若い兵隊さんなんか久々だねぇ!ほれ!祝いに魚でも持ってけ!」

雑兵「うえっ!?こんなに!?いいんすか?!」

「いいってことよ!出世払いな!」

雑兵「あざっす!」

雑兵(大らかすぎんだろ…先に持って帰ろ…)

144以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 22:29:21 ID:f5FT3jQo
雑兵「ってことなんすけど…」

「んまぁ!こんなに沢山?!」

「やるわねぇあんた!」

糧食班長「いやぁありがたいなぁ!晩飯は魚の煮付けだな!」

雑兵「じゃ、じゃあ見回りに戻ります…」


雑兵(アットホームっちゃあアットホームなのか…)

_
__

145以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 22:40:56 ID:f5FT3jQo
__
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雑兵「で…ここが噂の風俗街ですか」


『手コキのみ!30分一万G!』

雑兵(手コキだけで一万!?)

『異種族の子集まってます!』
雑兵「あっ…///ん?」
『(すごい小さい字)ドワーフ、オーク♀含む』

雑兵「なーるへそ…いつか世話になろっと」

「兵隊さん、見ない顔っすね?どうです?」

雑兵「うーん」チラッ
『ハズレなし!90分5000G!』

雑兵(この安さが逆に怖い…)

雑兵「今回は手持ちないんでいいっす…」

146以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 23:18:40 ID:f5FT3jQo
雑兵(しかし生臭せぇところだな、魚の匂いがヤベェわ…ん?)

「離してって!!」
「貴様!命の恩人に楯突く気か?!」
「襲われた村にハイエナしに来ただけじゃない!!」
「ストリッパーならタッチショーの1つや2つはできるだろう!!」
「好きでやってんじゃないわよ!」


雑兵「うへぇ…やっぱあるんだねぇそういうの…くわばらくわばら…」

「ッチィ!使えん女だ!!貴様はもう奴隷商に売りに出してやる!!外のカルトにでも売り払ってやるわ!」
「っ…!!あのカルトだけは…!!」
「両親を殺したカルトにケツでも振っておくんだな!この売女めが!!」

147以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 23:23:19 ID:f5FT3jQo
雑兵「…」

『恨むなら死んだ親を恨め、それが嫌なら誰も恨まずなにも考えず生きろ、身勝手に人恨んで迷惑かけんじゃねぇぞマジで』

『腐っているな、貴様は…』

『これだから独立大隊は…』


雑兵「…」

『ただ償いなんてことはしない、これは私の自己満足からくる行動だ、私たちが一端を作ったのなら私たちで収集をつけねばいけないんだ』

雑兵「カルトの蔓延も…俺らが発端なのかな…」

148以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 23:27:47 ID:f5FT3jQo
「こい!!オラァ!」

雑兵「うーっす、喧嘩っすか?」

「?!…なーんだ兵隊さんかい…いやねぇ?ちょーっと仕事のことで揉めてただけでして…な!」

「っ…」

雑兵「へぇー大変っすねぇオーナー側も色々あるっすもんねぇ」

「そ、そうなんでさぁ…へへっ…」

雑兵「で?その仕事の話の流れで…カルトに売り飛ばすってなぁどういう了見で言ったんだ?」

「いっ!いや!言葉の綾ってやつで…」

雑兵「話を聞くにゃぁ…カルトってぇのは国様に楯突いてる団体だよなぁ?そのカルトどもにこの娘っ子売り飛ばすってことは…お前国様に楯突いてんのか?」

149以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 23:38:30 ID:f5FT3jQo
「っいやぁ!そんな!!兵隊さんたちゃあいい客でさぁ!!」

雑兵「知らんわ初耳じゃ、てめぇがこの街にどれだけ居座ってたか知らんがよ、次その面ァ見せてみろ、守る体面もねぇ人間が何するか…おめーが一番よぉく知ってんだろぉ…」

「…っ!き、貴様!!」

雑兵「い、いや、殺しゃしねぇよ?流石に」

「今更日和っても遅いわ!!!こんの…!!」

雑兵「うひぃ!怖い!」バッ

「คลื่นกระแทก!!!」ッシュパァン!!

「っがぁ!!?!」ズゥン...

雑兵「うへぇ…?や、やるぅ…」

「あんた…この街から逃がしてくれるの…?」

雑兵「いや…逃げるか逃げないかはお前の自由だけど…」

150以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 23:42:25 ID:f5FT3jQo
「はぁ?助けてくれた訳じゃないの?」

雑兵「いや…おれ煽っただけだし…カルトがこの国に楯突いてるのもしらねぇ…し?」

「な、なによ…」ピョコ

雑兵「お前…俗にいうエルフってやつ…?」

エルフ「じゅ、純粋なエルフではないけど…人間とのハーフで、寿命は人間より」

雑兵「へぇ受け継いだのは耳と魔法だけか、まぁいいや、治安悪そうだしさっさと家に帰れよ」

151以下、名無しが深夜にお送りします:2018/08/28(火) 23:50:02 ID:f5FT3jQo
エルフ「んあんた…話聞いてなかったの…?」

雑兵「あ、あんま」

エルフ「ほんっっと人間の男ってサイッテー…」

雑兵「いやそんなこと言われてもなぁ」

エルフ「は?なんか文句言える訳?」

雑兵「いや、だってさあ、なんらかの原因で帰る家が無くなったのとここに連れてこられた理由ってあんま関係なくないって思って…」

152以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 19:09:32 ID:ASoDJwkM
エルフ「…は?」

雑兵「は?」

エルフ「どう言う意味よ…それ!!」

「な、なんだ…?」

「痴話喧嘩か?」


雑兵「なんでここ来たかしらねぇけど、家が無くなったからここに連れてこられた訳じゃねぇんだろ?自分の意思で来たんなら最終的にゃ自分でなんとかしろよ、俺はお前に逃げるきっかけを与えただけだ。残るも逃げるもお前次第で、お前が今できるのはそれだけで、それ以外は何もないぞ」

153以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 19:11:14 ID:ASoDJwkM
雑兵「人のせいにするにゃ今は随分楽な身分だとは思うがよ、今はそれどころじゃないだろ?どうすんだ?」

エルフ「…げるわよ」

雑兵「ん?」

エルフ「逃げるに決まってるじゃないの…」

雑兵「よし、ついてこい」

_
__

154以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 19:21:17 ID:ASoDJwkM
__
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エルフ「…あんた、兵隊なの?」

雑兵「あぁ、今年入隊したばっかだ」9

エルフ「兵隊、ね…人間の兵隊は嫌いだわ…小さい時からいい話を聞かないしね…侵略した村の略奪…女たちをレイプ…そればっかよ…」

雑兵「いや俺知らんし、モンスターの兵隊たちだって略奪もレイプもすっだろ、脳みそがある生き物はみんなそうなんじゃねぇかな、知らんけど」

エルフ「そう…なのかな」

雑兵「さぁ?ついたぞ、分屯地だ」

エルフ「ちょちょちょ…私は入っていいの?」

雑兵「いや、分からんす…」

155以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 22:50:13 ID:ASoDJwkM
事務員「あらぁおかえりなさい!街はどうだった?」

雑兵「あの〜すいません…」

事務員「ん?…あらま…」

エルフ「…」

事務員「その格好…ううん、言わなくてもいいわ、こっちへ来なさいな、お着替えしましょ、ね?」

エルフ「え、でも…」チラ...

雑兵「その格好でうろつきたくないだろ」

エルフ「あ、あぁ…」

事務員「ささっ、奥の部屋へ…後で分屯地司令に報告しておくわ、明日くらいに呼び出しがあると思うから綺麗な服をね?」

雑兵「はい、ありがとうございます」

156以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 22:50:56 ID:ASoDJwkM
事務員「あらぁおかえりなさい!街はどうだった?」

雑兵「あの〜すいません…」

事務員「ん?…あらま…」

エルフ「…」

事務員「その格好…ううん、言わなくてもいいわ、こっちへ来なさいな、お着替えしましょ、ね?」

エルフ「え、でも…」チラ...

雑兵「その格好でうろつきたくないだろ」

エルフ「あ、あぁ…」

事務員「ささっ、奥の部屋へ…後で分屯地司令に報告しておくわ、明日くらいに呼び出しがあると思うから綺麗な服をね?」

雑兵「はい、ありがとうございます」

157以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 22:56:20 ID:ASoDJwkM
雑兵「いやぁ…カルトってのも考えものだな…」
ガチャ
雑兵「戻りましたー…」

曹長「うーっす、聞いたぞ坊主、ハーフエルフの嬢ちゃんを助けたんだってなぁ」

雑兵「え、あぁ…助けたと言うか…」

曹長「あーあー細かぁことはいいんだ、お陰でストリップ劇場は暫く閉鎖だよ」

雑兵「す、すいません…」

曹長「いやいや、人助けて責めるバカなんかこの分屯地にゃいやしねぇよ、よくやったな」

雑兵「あ、ありがとうございます!」

158以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 22:58:37 ID:ASoDJwkM
曹長「お陰でビギニングの隊に話す内容が出来たぜ、新隊員のくせに体はりやがって」

雑兵「ははっ…まぁ…」

曹長「明日は町の軍施設を案内するからな、よく使うから場所は覚えとけ」

雑兵「はい」
_
__

159以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 23:03:36 ID:ASoDJwkM
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隊長「はぁ、はぁそんなことが…いや私としても嬉しい話ですよ、はい、はいそれでは…」チン

兵長「どうかしたんですか?」

隊長「雑兵の奴が風俗街で絡まれてたエルフの娘さんを助けたそうだ」

兵長「マジっす?風俗街ってトコが気になりますが…やりますね」

隊長「分屯地司令直々に電話して来たからな、ここのお偉方にも話は行くだろうぜ」

兵長「まぁ…話が行ったところで、ですがね…」

隊長「いいんだよ、あいつが元気ならそれで」


天使「雑兵…すごいなあ…」

160以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 23:12:13 ID:ASoDJwkM
一等兵「雑兵が行く前にまーた喧嘩したんだってな?」

天使「は、はぁ…」

一等兵「あいつも不器用だからなぁ

161以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/02(日) 23:14:00 ID:ASoDJwkM
一等兵「雑兵が行く前にまーた喧嘩したんだってな?」

天使「は、はぁ…」

一等兵「あいつ不器用だからなぁ、あっちでも変なことに首突っ込まなきゃいいが…今度こそは助けられんからなぁ…」

天使「はい…」

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162以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/17(月) 00:02:06 ID:tI04yI9U
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曹長「ここが港湾詰所、デケェ船の出入港時に割り当てられた人員でここの出入を監視するんだ、まぁあまり使わねぇな」

雑兵「この街デカいっすけど…この分屯地の人数で守ってるんすか?」

曹長「いんや、この港のすぐ下に南フィッハー地方との境界線があってな、その境界線の街にある駐屯地が有事の時は来てくれるんだ」

雑兵「へぇ」

曹長「ってもここ何年も来てねぇからな、実質俺らが治安維持してる感じだ」

雑兵「正直いっていいすか…」

曹長「言うな何も、俺も思ってはいるが治安がいいのが救いだ」

163以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 16:54:39 ID:wn7pC86s
乙?

164以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 23:45:50 ID:hUPnnA5M
雑兵(そんな治安良い訳じゃねぇと思うけどなぁ…)

曹長「あのエルフの娘っ子さんの件で治安なんてどう見たって悪く見えるが…まだマシな方なんだよ」

雑兵「まぁマシってレベルが一番安定してるんすかね…」

曹長「そうさな、あんなエルフの娘っ子さんみたいな境遇の人間はこの町にゃ沢山いらぁ、正直ビギニングの貧民街よりも闇は深いぜ」

雑兵「まぁみんながそれで良いなら自分は特になにも…それよりもあのエルフは?」

曹長「いま面接を受けてるよ、もしかしたら昨今のカルトのパトロンかも知れねぇからな」

雑兵「ふーん…」

165以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:10:18 ID:0ITO2Olo
曹長「気になるか?」

雑兵「あー、あの若さで両親亡くしてこの先どうするんかなぁと思って…」

曹長「まぁ大体だったらエルフの国の団体さんが身柄を引き取りに来てくれるが…なんせハーフだとなぁ」

雑兵「魔法は使えてましたよ」

曹長「じゃあ…もしかしたらだがビギニング駐屯地にいる部隊に引き取られるかもな、混成騎士団とかに」

雑兵「そんなんあるんすか?」

曹長「まぁ異種族の集まりだわな、エルフは勿論…ドワーフや獣人やらなんやら…」

雑兵「うっへぇ、ごちゃ混ぜっすね」

曹長「知能がある種族が集められた騎士団だわ、王国騎士団と同じくらいの立場だぜ*

166以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:10:08 ID:D6ufMqDM
おつ

167以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 23:26:34 ID:5Ejd.6w6
雑兵「まぁ安泰ならそれで良しっすね、自分は駐屯地の方には戻りたくないっすけど」

曹長「お?なんかやらかしたのかい?」

雑兵「やらかしたと言うか自爆したと言うか…とにかく自分は分屯地の規模が性に合ってるっすね」

曹長「若い兵隊が珍しいなぁ…まぁお前がそれでいいなら別にいいけど…そいじゃあ明日から早速仕事だ、これを港の事務所に届ける仕事な」

雑兵「

168以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 23:29:54 ID:5Ejd.6w6
雑兵「さっきから気になってたリヤカーって荷物なんすね」

曹長「あぁ、港湾施設の小さい事務所でも軍人は軍人だってことで武器が入って来たんだ、それを明日届けに行く」

雑兵「港湾施設の人めっちゃ定年間際的な感じでしたけど」

曹長「籍がある以上は軍人だぜ、明日はこの仕事だけだ、ちゃっちゃと終わらせようや?」

雑兵「了解です」
_
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169以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/08(月) 12:32:41 ID:.9xa6myQ
__
_
「はぁ、定年間際なんで持つことはないと思ってたんだがなぁ」

曹長「フィッハーものっぴきならん事態ですからな、ただの弱小宗教で終わってくれりゃ事も無し
なんですが、どうもそうしてくれんみたいで...」

「あぁいいんだよ、この組織に入ったからにゃぁな、それはそうと情報が入ったぜ」

曹長「情報?」

「あぁ、隣の大陸にある諸国連合のお偉方連中が、今月にもここに寄港する...ってのは建前で...
亡命してくるらしい」

曹長「亡命?また何で...」

「隣の大陸で国民が決起したらしい、理由は...まぁ連合をあげての賄賂や...」

曹長「はぁ〜...それで関係ないウチまで巻き込まれたんですか?」

170以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 22:59:46 ID:9RstfeqY
「まぁ仕方ねぇさ、確かに荷物は受け取った、ありがとよ」

曹長「うっす、情報提供感謝します、雑兵行くか」

雑兵「はい」

「頑張れよ若いの、分屯地は良いところだぜ」

雑兵「はぁ、ありがとうございます」
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171以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:18:49 ID:9RstfeqY
__
_
曹長「本日の業務は終了ですっと、じゃあ俺ぁ家戻るわ」

雑兵「あ、家持ってるんすね、分屯地で寝泊まりしてるのかと…」

曹長「お前が配属されてきたからな、官舎暮らしの妻一人子一人…良い物件だ」

雑兵「ん?て事は自分あの部屋で一人なんす?」

曹長「独立大隊の営内者は一人だぜ?やったな」

雑兵「マジすかぁ、荷物妙に少ないと思ってたけど」

曹長「明日は分屯地の草刈り、開始時刻は0900、集合場所は隊舎の下以上解散」


雑兵「…何しよう」

172以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:25:50 ID:9RstfeqY
雑兵「…あいつどうなってんだろ」

事務員「あら?今日はお仕事終わり?」

雑兵「はい、荷物届けるだけだったんで…あの、エルフの子は…」

事務員「あぁ、あの子?明日付でビギニングの混成騎士団に入隊するらしいわ…魔法使えるみたいだから苦労しなさそうね」

雑兵「そっすか」

事務員「でも寂しくなるわぁ…生きてたら娘くらいの年だもの、心配で心配で…」

雑兵「ん?事務員さん…ご家族は…」

事務員「…死んじゃったのよ、30年くらい前かしら、夫は行方不明…そのショックのせいか…流産しちゃって…双子だったんだけどね…」

雑兵「あ…そうなんすか…すみません…」

事務員「いや良いのよ、こうして若い子達に触れ合えて楽しいもの!」

173以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:27:08 ID:9RstfeqY
事務員「あ、そうだ!会ってあげたら?今なら外来の隊舎にいると思うわ、入ってすぐ右に部屋があるから」

雑兵「は、はい、行ってみます」

_
__

174以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:32:55 ID:9RstfeqY
__
_
エルフ「…」

『人のせいにするにゃ今は随分楽な身分だとは思うがよ、今はそれどころじゃないだろ?』

エルフ「人の…せいか」

コンコン

エルフ「…っ!ど、どうぞ」
ガチャ...
雑兵「う、うーっす…」

エルフ「あ…あなただったのね…」

雑兵「混成騎士団に入るんだって?良かったな」

エルフ「混成騎士団って良いところなの?」

雑兵「あ、ごめん知らないっす…」

エルフ「っはぁ〜…適当な事ばっか言っちゃって…」

雑兵「まぁ…独りよかマシだと思うぜ?同族もいるみたいだしな」

エルフ「知ってる、私の知り合いも何人かいるわ、あ、でも口利きで入ったわけじゃないからね?」

雑兵「

175以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:38:36 ID:9RstfeqY
雑兵「いや…別にお前がいいならどんな入り方でもいいと思うけど」

エルフ「…あなたって…思った事すぐ口に出すのね?」

雑兵「あ、ごめん…それで何回か同期怒らせたんだ」

エルフ「ほんとバカ…まぁいいわ…」

雑兵「…お前の家族ってみんな殺されたのか…?」

エルフ「…そうね、カルトの信者達に…みんな家に閉じ込められて…異端な民族は浄化とかって火を放った…直接は見てないけど生き残ってた子がそんなこと言ってたわ」

雑兵「そ、そうなのか、よく生きてたな…」

エルフ「丁度薪を山に取りに行ってたのよ、山から麓に村が見えるんだけど…そこで村が燃えてるのを見たわ」

176以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:43:58 ID:9RstfeqY
エルフ「あいつら意味わかんない、村には普通の人間も暮らしてたのよ、私達異種族と呼ばれてる者たちが殺されるのはまぁ稀にあるけど、あいつら村ごとよ…ほんと意味わかんない…」

雑兵「…あのストリップのオーナーに拾われたのは…」

エルフ「…最初は良い人に見えたの、難民保護がどうこうと言ってたけど…女しか取らないのを早く気付くべきだった」

雑兵「そうか…まぁここいらじゃ嫌な思い出が多いと思うが…ホントに気にせず生きろ、気兼ねなくな…」

エルフ「気にせずに?気兼ねなく?あんた正気?そんな言葉よく出てくるわね…!」

雑兵「いや…辛いのは分かるがよ…その辛さに押し潰されちまったら…アレじゃねぇか、やるせねぇじゃん?」

177以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:48:17 ID:9RstfeqY
エルフ「あ、あんた…はぁ、なんだかあんたと話してると落ち込むのもバカバカしくなってきた…」

雑兵「う、上手く言えねえけど…まぁ第二の人生もっと女の子らしく生きろ…いやなんか違うな…」

エルフ「なーに言葉取り繕おうとしてんのよバカ…あなたが心から心配してくれてることは分かったわ…ありがと…ホントに…」

雑兵「あ、あぁ、あっちでも元気でな、独立大隊をよろしく頼むよ」

エルフ「独立大隊?」

雑兵「雑用しかしない部隊だけどさ、いい人たちたくさんいっから、俺の同期もいるぜ?めっちゃ治療とかがうまいらしい」

178以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:51:11 ID:9RstfeqY
エルフ「うん…あっち行ったら挨拶するわよ、あんたの事も話す」

雑兵「い、いや俺のことはいいよ…」

エルフ「あら何照れてるの?恩人だもの、上司の株上げたいでしょ?」

雑兵「ほ、ホントにいいから…褒められるのとかあんま慣れてねぇんだ…チャランポランに生きてきたから…」

エルフ「…」

エルフ「!」💡

179以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:52:28 ID:9RstfeqY
エルフ「雑兵、こっち座って」

雑兵「?」スポン

エルフ「褒められるときにお母さんによくやって貰った

180以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/14(日) 23:57:03 ID:9RstfeqY
エルフ「雑兵、こっち座って」

雑兵「?」スポン

エルフ「はーい体の力を抜いて〜」
ッス...

雑兵「!ひ、膝枕?」

エルフ「いい事したときに、よくお母さんにやって貰ったの…私の一番好きな褒められ方」ナデナデ

雑兵「…」

エルフ「あなた、多分私と歳近いのになんで兵隊に…?」ナデナデ

雑兵「…お、俺…入隊前は浮浪者でさ…いつの間にかこの国に来ちまって…こんな事言って信じてもらえるか分かんねぇけどよ…俺転生したんだ、別の世界から…」

エルフ「別の世界?」

181以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 00:01:34 ID:WDOLW7SI
雑兵「あぁ…暑い中でぶっ倒れてそのまま死んだと思ったら…ビギニングの王国の近くにある森で目覚めて…」

エルフ「…それが本当なら…あなたは何もわからない状態でここまで頑張ったのね…偉いね…」ナデナデ 

雑兵「ちょちょちょ、ナデナデはやめてくれ…なんか変な気分になっちまう…」

エルフ「…んふっ…変態」

雑兵「くっそ…からかうな…」

エルフ「じゃあおしまーい」

雑兵「ったっく…///なんて奴だ…」

エルフ「雑兵、また会おうね…」

雑兵「え?今日出るのか?」

エルフ「早めに出ようかと思って準備してたんだけど…事務員の人に雑兵が来るまでは待ちなさいって…でも待ってて正解だったかも…なんかスッキリした」9

182以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 00:04:48 ID:WDOLW7SI
雑兵「そ、そうか…待たせちまってすまねぇ…」

エルフ「いいのよ…付き合い短かったけどホントに楽しかったわ」

雑兵「あぁ、俺も」

エルフ「…次会うときは綺麗な鎧着て来るから、見惚れないでよ?」

雑兵「ワカンねぇ、四方八方に目ぇいくから」

エルフ「この節操なし…じゃ、また…」

雑兵「あぁ」
_
__

183以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 00:08:27 ID:WDOLW7SI
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_

事務員「行っちゃったのね…」

雑兵「はい…」

事務員「仕方ないわね…あの子とても苦労したみたいだから、騎士団にはいれば将来安泰だから良かったのよ」

雑兵「俺もそう思います、独りよかナンぼかいい…ん?」


「おい、例の

184以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 00:22:43 ID:WDOLW7SI
__
_

事務員「行っちゃったのね…」

雑兵「はい…」

事務員「仕方ないわね…あの子とても苦労したみたいだから、騎士団にはいれば将来安泰だから良かったのよ」

雑兵「俺もそう思います、独りよかナンぼかいい…ん?」


「おい、例の亡命船、今週末に来るってよ」

「マジ?やべなんの準備もしてねぇや」

「王国からも直々に儀仗隊やらなんやらが来るらしい、天幕貼る部隊や風呂焚きに来る部隊まで…分屯地じゃまかなえんぞ」

185以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 22:04:53 ID:WDOLW7SI
雑兵「船が来るってぇことは…自分も出る感じですね」

事務員「あらー船が来るなんて久しぶりねえ、外来足りるかしら…じゃあちょっと情報収集行って来るからまたね」

雑兵「あ、はい」

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186以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 22:12:09 ID:WDOLW7SI
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雑兵「ヒッマだな営内ってのはよ…」

雑兵「テレビもねぇしゲームもねぇし…この世界来て初めて後悔してんぞ…」

雑兵「…そいえば俺今幾らぐらい貯金あるんだ…?」

雑兵「ずっと駐屯地の中にいたから分かんなかった…ヤベェ、ATMとかあんのかこの世界…」

雑兵「き、聞いてみりゅぅ?」

187以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/15(月) 22:24:22 ID:WDOLW7SI
厚生館
小さいながら売店や体育館がある場所だ、中には軍が経営してる銀行的なのもあって金利もかなりいいと専らの噂だ

雑兵「自分の給料って…」

「ちょっと待っててねぇ…でもダメだよ君、金銭関係のことはちゃんと自分で掌握しとかないと、教育隊の人言ってくんなかった?」

雑兵「あー…あんま聞いてなかったかも…」

「全く…雑兵…っと…うっわ、手付かず過ぎて教えるの憚られるわぁ」

雑兵「お、教えて下さいよぉ…駐屯地じゃほぼ缶詰だったんすから…」

「仕方ないなぁ…一月半だけど、実質二ヶ月分の給金で…知らないだろうけど入隊俸給もあるから…84万Gだね」

雑兵「84万…?」

「んでぇ…明日は何日だ」

雑兵「えーっと…18日?」

「そう、給料日で手取り16万…」

雑兵「リ、リアルっすか?」

「一般の新隊員にしちゃ持ってる方じゃないの?」

188以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/19(金) 12:24:33 ID:FAliUmn.
「使いすぎんなよ」

雑兵「あざっす」

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189以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/19(金) 18:44:39 ID:FAliUmn.
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雑兵「つっても美味い飯屋とかしらんなぁ...お、分屯地掲示板になんかはってある」


『今週遂に来航!プラニス皇国の御召艦『砲艦ニクルス』
来航にあたり我が国とプラニス皇国軍の市中パレードを行います
ぜひご覧下さい!』

雑兵「へえ、大変じゃないの」


「おかしいな、昨年来航したから2年後に来るもんかと思ってたが」

「なんでも皇国内で決起が起きたってよ、殿下と御付はなんとか亡命したらしいが...
皇帝は自決したってよ」

「亡命ねぇ...しかし決起で大変だってのになんて時期に来航すんのかね」

「さあね」


雑兵(ふ〜ん...この世界ってなかなか血気盛んなんだな)
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190以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/19(金) 19:02:30 ID:FAliUmn.
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「しかしいきなりのパレードですからね、課業外も練習をしないと無理ですよ、
新隊員もいますし」

勇者「しかしなーんでこんな早くに来航しちゃったのかなぁ面倒くさい」

女騎士「あっちも大変なんだよ、きっと」

「では明後日フィッハーに出発で調整します、失礼しました」
バタン

女騎士「...たぶんだが...」

勇者「殿下来るね」

女騎士「あちらの国に恩はない、匿う必要もないだろう」

勇者「そうだね、まだ小さい子だけど...」

女騎士「...」

191以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/19(金) 19:57:37 ID:v3jI9Nb.
勇者「…割り切れないのは分かるけどさ」

女騎士「いや…雑兵の奴、こんな時はどうするんだろうなとふと思ってな…」

勇者「ぞ、雑兵?なんで今?」

女騎士「分からん…本当にふと思ってな、深くは考えてないんだ」

勇者「雑兵ねぇ…どうするんだろうね、雑兵も見捨てるんじゃない?縁起もへったくれも無さそうだし」

女騎士「そうか、そう思うか…」
コンコン「騎士団長殿、今よろしいですか?」

女騎士「いいぞ」

「失礼します、実は昨日混成騎士団に入隊したエルフの娘が…」

女騎士「ああ、彼女か、どうしたんだ?」

「フィッハー分屯地に異動したいと…」

女騎士「フ、フィッハー??何でだ?」

「何でも恩人がいるとか…」

192以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/19(金) 23:01:21 ID:s1Eeu7cw
女騎士「しかしそれは幾ら何でもな…騎士団は都にいなければ…」

「騎士団長殿から説得していただけませんか…?」

勇者「恩人ねぇ〜、話聞くだけなら聞いても良いんじゃない?」

女騎士「そうだね…その恩人とやらも気になる、よし、連れてきてくれ」

「ありがとうございます…」

193以下、名無しが深夜にお送りします:2018/11/16(金) 08:44:12 ID:O4LmN1P.


194以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 02:14:01 ID:elqldSYY
エルフ「失礼します」

女騎士「あぁ、君がフィッハーから来たエルフ君か」

エルフ「はい、初めまして騎士団長」

女騎士「積もる話もない...率直に聞こうか、なぜフィッハーに?」

エルフ「恩人に会いたいし、助けになりたいからです」

女騎士「助け...とは?」

エルフ「はい、彼はこの世界にきてまだ間もない...と言っていました、普通だったら意味が分からない話なんですが、
彼の日常にたいする不安が手に取るようにわかり、助けになれるのは私以外にいないと思いました」

女騎士「...はあ、やっぱり雑兵か」

エルフ「...っ、なぜ騎士団長が...?」

195以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 02:19:25 ID:elqldSYY
女騎士「そんなことはどうでもいい、君は立場というものを理解すべきだな、栄えある混成騎士団の団員とはいえ、訓練も
受けていない君ははっきり言って新兵以下だ、わかるね?」

エルフ「...」

女騎士「厳しいことを言うが...ここは軍隊だ、君の思い通りにはいかないこともある、特に初めのころはね...今はこらえてくれるか?」

エルフ「...はい、失礼しました」

女騎士「うん、先輩たちに謝っておくようにね、いきなり異動したいって言ってとても心配していたぞ」

エルフ「はい...」
バタン

勇者「こっわ〜」

女騎士「言わないで...はあ...雑兵ってホント不思議な奴...」

196以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 03:08:01 ID:elqldSYY
勇者「エルフの心情把握の結果見てみたけど、ストリッパーだったんだね」

女騎士「そんなこと関係ないさ、彼女も彼女なりに頑張って生きていたんだから」

勇者「いや、そうじゃなくて、雑兵ってそういう街に行ったってことだよね?」

女騎士「...彼のプライベートも尊重するべきだよ」

勇者「はぁい...」

勇者(フィッハーについたら弄り倒そっと♪)

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197以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 03:27:22 ID:0iFx66CQ
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雑兵「曹長、プラニスの船が来たら自分は何をするんですか?」

曹長「いつも通りの業務だよ、寄港日は週末なので週末の業務」

雑兵「つまり軍の事務所に荷物届けて、街の見回りっすね...詰所とかには行かなくていいんですか?」

曹長「あぁ、今回のはちょいとイレギュラーだな、ビギニングの大層な連中がくるだろ?そいつらについてくる木っ端部隊らが見てくれるってさ」

雑兵「分屯地は特になんもないんすねぇ」

曹長「そうでもないぜ?騎士団の連中がくるってんで分屯地の偉い奴らはりきってら」

雑兵「でもそうなったら今週末の休みが潰れそうで怖いっすよ」

曹長「我慢しろい、兵隊だろ」

198以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 14:04:53 ID:RIbmRdKg
「曹長、分屯地指令がお呼びです、今週末の件で...」

曹長「え?まさか俺らも出んの?」

「いやぁそういうことじゃなさそうっすよ、独立大隊が何人か来るってんで...」

曹長「あぁ、喫食と外出の件か行く行く」

「あざっす、そいやぁ雑兵君はなんかあんの?」

雑兵「自分はいつも通りの業務です、週末が潰れないか心配っすよ」

「はっは、地区警備隊は休み潰れそうだよ、代休付くけど」

雑兵「殿下とかくるんですよね?どんな人なんすかね」

「あぁ、子供だってよ、小さいながらに波乱な人生だよ、国が国民によって滅ぼされるって」

199以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 14:08:45 ID:RIbmRdKg
雑兵「へぇ、大事ないといいっすね」

「いや...もう結構な大事だと思うけど...」
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200以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 16:35:48 ID:nj3DY9eA
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「殿下、お気をつけて...」

「この港は我々で抑えます、事態の収拾が着くまでどうか息災で...」

殿下「...みんな、危なくなったら迷わずに逃げてくれ、僕との約束だ」

「大丈夫ですよ殿下、皇国騎士団が指揮をとって下さるんですよ、港湾守備隊は安泰でさぁ」

殿下「...」

「船が出ます、危険が及ばない内に...」

殿下「...」

事態が収拾するというは、この兵隊達はみな...
もうこの国の皇帝は、お父様はいない、お母様も...
大切な人たちは、みな民衆に殺された、お父様が愛していた民衆に...

殿下「...ッ」ギリッ

殿下「殺してやる...あの家畜ども...」

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201以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 16:41:39 ID:nj3DY9eA
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曹長「おお、来やがったか」

兵長「久しぶりです班長、俺が入隊した時に教育して下さった班長だ」

天使「は、初めまして!」

曹長「...なぁ」

上等兵「男っすよ」

曹長「し、知ってらぁ、伍長と一等兵はどうした?」

兵長「次の馬車できますよ、曹長がいるんすから、あいつらが来ないわけが無いっすよ」

曹長「っへ、問題児共が来るのか、外禁だな」

202以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 16:58:58 ID:nj3DY9eA
兵長「そう言えば...雑兵は?」

曹長「あぁ、あいつなら港の事務所にいるぜ、荷物届けに行ってると思うが...多分端末地の人とだべってるんじゃねかな」

上等兵「ぶ、分屯地に染まってますねぇ」

曹長「いいことだぜ、じゃぁ、お待ちかね...これがお前らの外出証な」

伍長「いっただきまーっす!」

一等兵「ごちっす!!」

曹長「うわあ!ビビったぁ!!」

兵長「おいおい...そういえば曹長、自分ら呼ばれたんすけど何すりゃいいんすか?」

曹長「騎士団の雑務だろ、詳しくは団長に聞いてくれ」

兵長「あ、あぁ...あの人っすか...」

203以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 17:43:54 ID:UcNk5UhU
曹長「まぁ言いたいこたぁわかるけども」

上等兵「雑兵の件で結構騎士団から目ぇ付けられましたからねぇ」

曹長「っはは、雑兵が帰ってきたら弄り倒してやれ」
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204以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 23:04:54 ID:DgH7KJvU
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雑兵「人多いっすよ外」

「そりゃぁねぇ、一国の殿下が来るんだよ?出店や観光客であふれるさ」

雑兵「見回り行きたくないっすよ」

「仕事しなさい仕事を」

雑兵「はーい...」
バタンッ

205以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/05(土) 23:24:32 ID:DgH7KJvU
雑兵「出店出てんなぁ...寄港前日だってのに」

「お!独立の兵隊さんじゃないの!今日も暇そうだね」

雑兵「うっす、魚屋のおっちゃん、儲かってる?」

「ぜーんぜん、出店とウチじゃぜんぜん違うからねぇ、そういえば首都の兵隊さん達みんな来てたよ、騎士団もね」

雑兵「き、騎士団もっすか...」

「綺麗さん揃いだねぇ騎士団って、おっと客だ、じゃあな」

雑兵「はい、お疲れっす」

雑兵(やっぱ騎士団くんのね...)

雑兵「まぁ相手にされないか、大丈夫だな」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 15:21:07 ID:fQaps30U
雑兵「えーと...街を見回って事務所の火気点検...今回は港の見回りか、今日は遅くなりそうだな」

街の見回り、独立大隊分遣隊の恒常業務の一つで、毎日行っている、しかし週末は特別で港湾施設にある事務所の課業終了後の火気点検も
含まれている、しかし暗黙のルールで荷物を届けに行く際にこっそり印鑑を押している。
しかし独立大隊の火気点検簿を見る人は全くおらず、記入用紙がいっぱいになったら焼却処分している、こればかりは必要性が感じられない。

雑兵「やだなぁ、今日は何もないといいな...」


「てめぇからぶつかってきたんだろうが!!」

「だから謝ってんだろうがよ!!」


雑兵「はぁ、やれやれ」ソソクサ
「あ!独立の兄ちゃんじゃん!助けてよぉウチの店の前でやられちゃ困るんだ!」

雑兵「うへぇマジっすか...しゃあないっすね」

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207以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 15:37:14 ID:fQaps30U
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雑兵「うっわぁもう12時やんけ...観光客喧嘩起こしすぎやが...」

ガラの悪い街に祭り事があるといつもこうで、似た者同士しか集まらないのがこの町の欠点だ、国の大事な祭事なら何とかしてでも治安を
良くして欲しいものだ、いや待て、その仕事今の俺らに振られそうだから言うのやめよ。

雑兵「戸締りよし...ん?」

「ウィック...」

雑兵「雑貨屋のおじちゃん...どうしたのこんな所で」

「あ〜?お、いつものアンちゃんじゃないの...いやぁ...家内に逃げられてねぇ...」

雑兵「なんでです、仲良かったじゃぁないですか」

208以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 15:54:52 ID:fQaps30U
「いやぁ...近頃さぁ周りの村々に変な宗教出来たっていうじゃん、ずっとねぇ首都に移ろうって家内に言われたんだけど...
金なんかないしさぁ...無理なわけじゃんン?」

雑兵「...」

「それで俺っち喧嘩しちゃって...まあ見限られたわけよ、酒癖も悪かったのもあってかなぁ」

雑兵「あぁ...」

「それで...まぁ死のうかなって...水漬かって」

雑兵「何を言いよるんですか!死んじまったら元も子もないでしょうが!」

「そうだけどさぁ...」

雑兵「死ぬ言うてもおじちゃん、まだ仲直りもしてないのに死んじまったら奥さん悲しむよきっと」

「そんなこと...?なぁアンちゃん、寄港って...明日の予定だよな?」

雑兵「えぇ...明日の予定なんですけど...」


ッボーッッ!!!

雑兵「う、うるせぇ...!じいちゃん、ちょっともう帰ってくんない?」

「あ、あぁ、そうするわ...」
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209以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 16:05:34 ID:fQaps30U
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「殿下、小型艇の用意が出来ました」

殿下「ありがとう、君は...」

「ボイラーの機関が冷えるまで上陸は控えます...正直この船員はまだ信用なりません...」

殿下「...分かった」

「お気をつけて...」

210以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 16:23:55 ID:fQaps30U
殿下「...」
ッポンッポンッポン...

「いやぁ殿下もお大変でしたなぁ、ささっエンジンは温まっていますから...」

殿下「ありがとう」

(ッチ、イケすかねえガキだ...本船の奴らも上手くやってくれると良いが...)

「皇帝も皇后も亡くなられちまってどうなるんですかねぇあの国は、まぁ尤も俺ら水夫にゃ国なんて関係ない話ですがね」

殿下「そう...」

「...」

(ッチ、顔だけはいっちょ前に皇后に似てらぁ、売り飛ばしゃいい値段するだろうになぁ勿体ねえ...まぁいい、桟橋に着いたら後ろからグサリだ
、そうすりゃあの皇国は完ぺきに滅亡だぜ)

211以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 16:24:28 ID:fQaps30U
「着きましたよ、ビギニング王国です...殿下」

殿下「...ありがとう、この純金のブレスレットしかないけど...売れば高くなる、受け取ってください
ここにはいないと思うけど、反乱軍のスパイに見つかればただじゃすみません...あなたも早く逃げてください」

「...あ、ど、どうも...」

(ん、んだよ...まぁいい、さっさと上陸してくれや...)

殿下「ここが...」

「殿下、すみませんが...!?」

雑兵「あ、あんたら何しとるんだ」

212以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 17:06:35 ID:fQaps30U
殿下「っき、君は何者だ...!」

雑兵「こっちのセリフだクソガキがぁ、おめえがだれか知らんが...寄港届けだしてんだろうな?おい水夫、どういうことだ
つーかそのナイフ仕舞えおい、怖いです」

「...ッ!」

雑兵「明日...ても日付跨いだから今日だな、隣の国さんの船が来る予定なんだよ、殿下かなんかを乗せてな、
で、ここに来る船はなんもこねえはずだ...じゃぁお前らはなんだ?」

殿下「ぼ、僕は...」

213以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 17:07:20 ID:fQaps30U
「ええい!クソッタレ!」

雑兵「うおっ!ナイフ仕舞えって言ったじゃん!!」シャキンッ

「お、お前何なんだよ!殿下の家臣か?!」

雑兵「あぁ?!殿下だか家電だか知らんがなぁ!こっちゃぁ遅くまで仕事してんだよ!それに付随してお前らの狼藉!許せんぞ!!」

殿下「...」

雑兵「こい坊主...坊主だよね?」

殿下「んな?!っこ、この無礼者!!」

「てめぇ!そのガキを俺に渡せ!」

雑兵「え?な、なんで?」

「い、いや...お、お守り...する義務的な...」

214以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 17:15:36 ID:fQaps30U
雑兵「...そのナイフただ事じゃなさそうだな、この子は渡せねえ、今すぐその面を...」

ッチュッドーーーン!!!!!!

雑兵「うっわ、沖の船が...」

殿下「っあ...あぁ...!」


『お気をつけて...』

『事態の収拾が着くまでどうかご息災に...』


殿下「み、みんな...そんな...」

「な、なんで爆発が...家臣殺しゃいい話だったんじゃ...?!」

雑兵「...」ッドスッ!!

「ウッ...」

215以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 17:27:58 ID:fQaps30U
雑兵(やべぇ、この子供殿下説が)

殿下「ッウ...ヒッグ...」

雑兵「...い、いきましゅかなぁ...ッ」ガシッ

殿下「...僕を...匿ってくれ」

雑兵「離してくれ、面倒事は嫌だ...見回りは異状なく終わったって言いたいんだ」

殿下「もう無理だよ...それともさっきまでの発言...」

雑兵「お宿はどちらにしますか?」

殿下「見たところ君は...この国の兵隊だね?」

雑兵「ん、んだよ...」

殿下「この町に駐屯地か何かがあるはず、そこへ連れてって」

雑兵「はぁ...分かったよ、今は騎士団なりなんなりが来てる、話しゃ分かるはずだ」

殿下「ありがとう」

216以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 17:47:53 ID:fQaps30U
雑兵(どうしよ...子供だしなぁ...うーん放っておいたらあれだしなぁ)

殿下「...」

雑兵「ちょっとこの事務所に入っててくれ、もうじき人が来始める」

殿下「ありがとう...」

雑兵「会えるか分らんが...騎士団長に話してみる、電気はつけないでくれ、温かいもんしかねえがなんか飲みたかったらそこの
薪をくべて...ねぇ、沸かし方...」

殿下「...え、えーと」

雑兵「ちょ、ちょっと沸かしちゃおっかなぁ...俺もコーヒー飲みたいし...はは...」

殿下「...ごめん...」

雑兵「いいんだよ、俺だって最初は分かんなかった、火つけるなんてコンロでしかなかったしな...」

殿下「コンロ...?」

雑兵「いや、こっちの話...いいか、薪はこう井の字に組んでだな...」

殿下「井の字...?」

217以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 18:03:23 ID:fQaps30U
雑兵「あ、こういう感じに組んだら火が上手く着くんだ、空気の流れができるからな、どこでも使えるテクだよ」

殿下「す、すごい...」

雑兵「で、木屑と多少の薪を置いて、この火打石で...」

ガチャ

「あれ、鍵が...あれ?雑兵君?」

雑兵「あ、どうも...ちょっと...個々の事務所の人だ、大丈夫」

殿下「...ッ」コソッ

「...なるほど、港の件の...雑兵、君はどうしたい?」

雑兵「じ、自分はっすか...?いやどうしたいっても自分ができることなんて無いっす...」

「そうかな...その子が今一番信用できる人間は今の時点じゃ君しかいない、そうですね?ニプラス皇国殿下」

殿下「...」

218以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 18:34:17 ID:fQaps30U
「わかるだろう、そのお方は殿下...君が動かないとどうしようもないんだ」

雑兵「...分かりましたよ...出来るこたぁやりますよ...でも」

「わかっている、初年兵に多くは求めないよ、これでも俺は中尉だ、何かあれば頼ってくれ」

雑兵「うっす、やってみますよ...殿下、見つかっちまった、もう分屯地に行こう」

殿下「う、うん...」

「い、一応敬語はつかってな?」

雑兵「あ、すいません」
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219以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 19:34:37 ID:vemigt26
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曹長「はい、はい...分かりました、ありがとうございます」

兵長「雑兵は...」

曹長「うーん、いねえなぁ、風俗街は粗方電話したんだが...」

上等兵「風俗街にゃいねえでしょ...」

曹長「...沖合で起きた爆発事故と関係は...いやまさか...」

兵長「...」


雑兵「う、うっす〜...」

曹長「おうコラ?!連絡もなしに風俗通いたぁ...ってわけでも無さそうだな」

殿下「...」

上等兵「よう、久しぶりだな」

220以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 20:52:39 ID:vemigt26
雑兵「うおっ、上等兵さん」

殿下「ぞ、雑兵、この人達は...」

雑兵「大丈夫っすよ殿下、自分の上司っす」

兵長「でででで、殿下ぁ?」

雑兵「あ」

上等兵「ほんっとこいつだきゃあ次から次へと...」

雑兵「さぁて...どうしましょうかね」

曹長「っははは...どうしよ」

雑兵「なんかアイデアある?」

殿下「え...うーん...」

221以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 21:11:57 ID:vemigt26
雑兵「...騎士団に売り渡しちまうか」

殿下「う、売り?!」

曹長「アホ...でもまぁ...なんとかしてくれる気がするな」

雑兵「じゃ、じゃぁ騎士団へは願います...」

殿下「え...ぞ、雑兵は...」

兵長「お前が行くんだよ、殿下直々に雑兵雑兵言われてんだぜ?一番信頼されてるお前がついて行ってやれなくてどうすんだ」

雑兵「クーン...」

殿下「だ、大丈夫だよ雑兵...ここはいい国だし...それに...」

雑兵「...わあったよ、行くぞ...乗りかかった船だ、とことんまで行くぞ」

222以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 21:19:40 ID:vemigt26
殿下「雑兵...!」

雑兵「騎士団はどこです?」

兵長「あぁ、分屯地の外来で寝てる、騎士団長は外来の貴賓宿だ」

雑兵「あぁあのデカいとこっすか?了解っす、行くか」

殿下「うん」


曹長「あいつ...変なところでリミッター外れるな」

兵長「そういう奴なんすよ」
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223以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 22:15:30 ID:vemigt26
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女騎士「先ほどの爆発は?」

「は、はぁ...先ほど使いを出したのですが...」

勇者「もう、今日の昼にはニプラス皇国の船が来るのになぁ」

女騎士「そういえば、殿下と知った仲だったな」

勇者「深くまでは知らないけどね...でも元気にしてっかな〜殿下」

「き、騎士団長...ちょっと...」

224以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 22:16:16 ID:vemigt26
女騎士「?」

「えー...ちょ、入ってくるな!まだアポは...」

雑兵「うるせえぞ、このお方をどなたと心得るかこの無礼者め、うし、行くぞ、もう大丈夫だ」

殿下「う、うん...」

「お、お前も相当無礼だぞ...」

女騎士「ぞ、雑兵?」

雑兵「おう、わざわざ儀仗にご苦労さん...殿下」

殿下「初めまして、ニプラス皇国の殿下です...久しぶりです、勇者様」

勇者「殿下?!うそ?マジで?!」

225以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 22:52:38 ID:vemigt26
女騎士「...雑兵、そこに座れ」

雑兵「ははぁ...(マジメ君)」

女騎士「す わ れ」

雑兵「...」

勇者「皇帝は...」

殿下「父も母も亡くなりました...宮廷になだれ込んだ民衆によって...」

勇者「うっそ...なんで...?」

女騎士「殿下、遠路はるばるお疲れ様です...しかし殿下の国内の情勢は...」

殿下「はい...」

226以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 23:08:05 ID:vemigt26
雑兵「...」

雑兵(へぇこの子、結構苦労したんだな)

女騎士「で...雑兵、殿下とどういった関係で?」

雑兵「え?いや〜港で...そのー...」

女騎士「今回ばかりは冗談では済まされんぞ...国家間の重大な事態に関与している自覚はあるのか?」

雑兵「勘弁して下さいよ、自分だって関与したくてした訳じゃ...」

殿下「ご、ごめん...」

雑兵「い、いや、いいんだよ、そっちの話はすんだのか?」

殿下「いや...まだ...」

227以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 23:17:18 ID:vemigt26
雑兵「自分の考え言えばいいんだからな、大丈夫だ」

女騎士「...」 ッバン!!

雑兵「...ッ」

女騎士「冗談で済まされないといっただろう?それに君の殿下に対する態度...どういうつもりだ?もう一度聞くぞ...
貴様はなぜ殿下と一緒にいる?」

雑兵「...港の見回りをしててな、したら桟橋にこいつと水夫がいてな...水夫については知らねえ、こいつに聞けや」

女騎士「...殿下、本当ですか?」

殿下「はい、恐らく...あの水夫に自分は殺されそうになっていたのを彼に助けられました」

勇者「あんた...やるじゃない」

雑兵「...」

228以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 23:39:43 ID:vemigt26
女騎士「...そうか、ご苦労だった。もう戻ってもいいぞ」

雑兵「はぁ、了解です」

殿下「ぞ、雑兵...?」

雑兵「もとから自分とあんたは...まぁ月と鼈の存在っすからね、この先の話をするんなら似た者階級の方ががいいだろう」

殿下「でも...まだお礼も」

雑兵「んなこたあどうでもいい、今は自分の置かれる立場ってのを確立させろ、いつまでも宙ぶらりんな立場だと困るのは
自分だ...俺も半年前まではそうだったからな」

女騎士「...はぁ、雑兵、もう少しここにいてくれ...殿下もその方が安心でしょう?」

雑兵「はぁ?何でです、もういいでヒデブ

女騎士「こ こ に い ろ」

勇者「こう見えて結構お姉ちゃん切れてるからね?」

雑兵「いや手に取るように分かるっす」

229以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/06(日) 23:50:25 ID:vemigt26
殿下「こんなことを言うのも烏滸がましい話ですが...国の事態が収拾するまで僕を匿って欲しいのです」

女騎士「か、匿って欲しい...ですか?」

殿下「はい」

勇者「そういう事は国王にだねぇ...そう思うだろ?」

雑兵「そ、そうっすねぇ」

勇者「なんで分かってて連れてきたの」

雑兵「いや、面倒にならないかなあって思って」

230以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 00:30:11 ID:X6OfLJDU
勇者「あんたねぇ...」

女騎士「...殿下、殿下は我々と共に首都に来てもらいます、出発は明後日、それまではどうぞ休息なさって下さい」

殿下「ありがとうございます」

女騎士「君、殿下をご案内してくれ」

「っは、かしこまりました、殿下、こちらへどうぞ」

殿下「...」チラッ

雑兵「後で顔だすから安心しろ」

女騎士「...はぁ、困るな、ホント...」

雑兵「すいません...なんか見捨てておけなくて...」

女騎士「エルフの子の時もそんな感じだったんだろう?」

231以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 13:45:24 ID:Gntq/5l.
雑兵「知ってるんすか?」

女騎士「何回か話したことがある、いい子だったよ」

雑兵「へぇ」

勇者「出発明後日って言ってたけどあたしたちはどうすんの?」

女騎士「っふ、休息だ」
_
__

232以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 14:15:22 ID:Gntq/5l.
__
_
「いきなし休みって言われてもなぁ...」

「寄港がいきなり取り消しって何だよなぁ、首都くんだりまで来た意味がないぜ」


雑兵「...」

天使「ひ、久しぶり...」

雑兵「お、おう...来てたんだな」

天使「うん...話聞いたよ、あんま大きな声でいっちゃいけない話だから言わないけど」

雑兵「偶然だから別に...」

天使「...あの、異動前の件...」

雑兵「あ、あぁ、どうしたの」

天使「その...いきなり怒ってごめん...」

233以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 14:42:12 ID:Gntq/5l.
雑兵「あぁ、別に...誰も悪いわけじゃねえし...気にしなくて良いんじゃね?」

天使「う、うん」

雑兵「今日どうすんの?風俗?」

天使「い、行かないよ!伍長さんたちは行っちゃったけど...」

雑兵「勿体ねぇ、一度は行ったほうがいいぜ?」

天使「雑兵は行ったの?」

雑兵「実は行ったことはない、看板とかは見るけど、なんか怖いんだよ」

天使「行ってないんじゃん...」

雑兵「でもストリップは良いぜ?綺麗な姉ちゃんが踊ってんだけどなかなかどうして...」

勇者「へ ん た い ♡」

雑兵「うっわぁ!!!耳くすぐった?!」

234以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 15:05:47 ID:Gntq/5l.
勇者「なーに話してんのよ公衆の面前で」

雑兵「公衆の面前でいきなし耳元で話しかけんなマジで、ちょ、ちょっとヤバかったぞ」

天使「ゆ、勇者様!お疲れ様です!」

勇者「おっす〜、ねぇ雑兵?ストリップって何?」

雑兵「え?知ってて俺に変態って言ったんじゃないのかよ」

勇者「いや、あんたはどうあがいても変態でしょじゃなきゃここに飛ばされないわよ」

雑兵「ンヌウ(即死)」

勇者「ねぇ連れてってよ?ストリップ」

雑兵「お、お前まだ子供だろ...いや、待て...」

勇者「?」

天使「ど、どうしたの?」

雑兵「おれ...そういやぁまだ未成年だった」

勇者「え?」

雑兵「俺まだギリ17歳やった...うわすっごビビったわなんか...」

235以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/07(月) 15:16:09 ID:Gntq/5l.
天使「え...ちょっと待ってよ、僕18なんだけど」

雑兵「あ、お、お疲れ様です」

勇者「あんたって...」
_
__

236以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/08(火) 23:53:20 ID:1w2FVOwQ
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_
雑兵「俺のプライベート干渉して楽しいのか…」

勇者「あら、いいじゃない?一度こういうトコ行って見たかったんだよねぇ」

雑兵「旅してりゃ嫌でも目につくだろ、パーティーの仲間はそういうトコいかねぇのか?」

勇者「な、仲間がどうこうなんて別にどうでもいいじゃないそんなコト...」

雑兵「...なぁ、もしかしてだけど」

勇者「は?」

雑兵「何でもない」

雑兵(まさかのボッチ旅だったのか...)

237以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/08(火) 23:59:00 ID:1w2FVOwQ
雑兵(辛くなかったのかな、いや、でもこの反応から察するに...)

雑兵「まぁDQ1の勇者もボッチ旅だったからな」

勇者「は、はぁ...?な、なんですって...?」プルプル...
 
雑兵「しかしよく考えるとお前凄いな、一人で旅して魔王倒したんだろ?ぼっちとか辛くなかったの?」

勇者「ぼっちぼっちいうなぁ!!僕だって...っ!仲間とか欲しかったんだよ!!」


「ストリップ劇場の前で喧嘩してるぞ!」

「兄妹か?」

238以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/09(水) 00:03:56 ID:m8WBCeLQ
雑兵「そ、そんな大声出すなって...ごめんって早く劇場入ろ?ね?ね?」

勇者「うるさい!この変態!!」


「け、警備隊呼ぶか?」

「やめとけやめとけ...この街が使いづらくなるだけだ」


雑兵「へ、変態じゃねぇよこの野郎!俺のプライベートここまで干渉しやがって!!意地でも入れてやるからな!オラッ!」

勇者「は、離してよ!」


伍長「お、お前それは洒落にならん!!」

一等兵「雑兵!流石にその子の手ば離すだ!!犯罪はいかん!」

239以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/09(水) 00:10:43 ID:m8WBCeLQ
雑兵「あーもう!演習の時といいおめぇといるとロクなことにならねぇ!!第一お前は自分勝手なんだよ!」

勇者「う、うるさい!つーか兵卒の癖になんだよ!!」

雑兵「うるせぇ!ぶらりぼっち旅!!俺ぁ厄災から解放されたなんて恩恵これっぽっちも受けてねぇんだよ!!お前の活躍なんて知るか!!」

勇者「う...うゥ...グズッ...な、何なんだよぉ...あ、相手してくれてもいいじゃん...なのにそこまで言わなくたって...ズズッ...」

雑兵「えあっ、な、泣くなよぉ!」

勇者「ぼ、僕だって...ズズッ...一人は嫌だったんだ...友だちも欲しかったし...」

240以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/09(水) 00:19:44 ID:m8WBCeLQ
勇者「でも...お姉ちゃん頑張ってるから...僕も頑張らないとって...僕だって
普通の女の子として生きたかったんだよ...!でも...退魔の剣抜いちゃったから...」

雑兵(ヤバ、退魔の剣の下りちょっと面白い)

勇者「でも...魔王倒す旅なんて誰が付いて行くんだよ...痛いの治したくても
薬草苦かったし...辛い所でも一人だったし...」

雑兵「...」

勇者「魔王倒したかと思えば英雄扱いで...街に出てもろくに買い物も出来ない...
可愛い小物も欲しいのに...友だちなんてそんな状況でどうやって作るんだよ...」

雑兵「で、でも傭兵団はお前の方慕ってたじゃねぇか...」

勇者「もう慕われるだけじゃ嫌だ...」

241以下、名無しが深夜にお送りします:2019/01/09(水) 00:28:24 ID:m8WBCeLQ
雑兵「...」

女の子を泣かしたとかの後悔はなく、俺なんかよりもずっと努力している普通の女の子
がどうしてこんなに辛い思いをしているのか、いやまぁ泣いたのは俺が発端だけど、
少なくとも年頃の女の子に対する世間の扱いに対して疑問を抱いた、退魔の剣を抜いた
からと死ぬ気で努力させ、ロクな仲間も付けずぼっち旅を押し付け魔王討伐に赴かせた
世間は今のこの子を見てどう思うのか、そんな疑念が頭の中をぐるぐる駆け巡った。

雑兵「...」

勇者「もうお前なんか...嫌い...?!」ガシッ


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