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雑兵の雑草記

1以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 17:48:02 ID:D57wSHgc
ジャラララララララwwww リ-チ!! ザンネン...

男(ッチ…)

男(二万の負けか…)

男(今月に入って当たりは四、五回…あと一回やろ…)ッス...

男「泣きの千円だな…」

思えば産まれてこのかた、頑張るだの努力だのは一切したことが無かった
と思う、小学校の最初は勉強も簡単すぎてやるだけ無駄と思ってやってこなかった
し、遊び仲間も沢山いた、楽しかった。
しかし、学年が上がるにつれて勉強は難しくなり、遊び仲間は皆んな勉強をし始めた、
いや、勉強は最初からしていたのだろう、何もして無かったのは俺だけだ。

2以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 18:00:28 ID:D57wSHgc
中学は行かなくても学年は上がれたし、まだ少しの遊び仲間はいた、小学生の時に比べ
かなり減ったけど。
そんなこんなで日々を自堕落に過ごし、周りは高校入学、今は高3位だろうか。
こんな過ごし方をしているのに、親は何も言わなかった、父も母も、怒りもせず、笑いもせず
ただ父は黙って家に帰って来て、母の飯を食って、寝ていた。
今思えば、多分信じてくれてたのだろう。

男「...4ぱちじゃ千円なんて紙切れだな」

男「かねがね金がねぇっとくらぁ...」

男「帰ろ...」

3以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 18:05:34 ID:D57wSHgc
ミ-ンミンミンミ- ミ-ンミンミンミ-

男「あっちぃ...」

季節は夏、受験生にとっては追い込みの夏だろうか、俺には関係ないが。

男「ジュース買う金もねぇ...アホみたいに喉乾いたなぁ...」

男(ちょっとこの喉の渇きはヤベェ...唾も出やしねぇ...)フラフラ

男「...ぅ」バタッ
キャ- 人が倒れたぞ!
___
_____

4以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 22:39:56 ID:D57wSHgc
___
__
『脱水症状ですね、店を出てすぐ倒れたという事は自覚症状が著しく欠如していたでしょうね』
あ...?白衣...?
『はい...ご迷惑をおかけして...』
医者か?って事は病院...?
『いや...息子さんを亡くされたのですから、お母様のお気持ちは心中お察しします...
まだ若いのに』
亡くなった...?なんで?
『最期の最期まで何も考えなかったのね...』
死んだ...?のか?
『俺らの育て方が悪かったんだ、こいつは悪くない...』
何言ってんだよ、おい
『でも...』
『生まれ変わったら頑張るんだぞ』
あっさりしすぎじゃねぇか...?なぁ...
『ご臨終です』
うわぁ...

キュィィイン

5以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 22:45:18 ID:D57wSHgc
「ん...んん?」
サァァァァァ...
「...森?」

(え?俺の仏さん山に捨てられた?墓にも入れられずにか?)

「うわぁ...ガチの森じゃねぇか...」

「アホみてぇに苔むしてんな、青木ヶ原に捨てられたのか?」

ガサッ...ガサガサッ!

「?!」

(自殺者か?いや、っても俺死んでるかもしれねぇから驚いても意味ねえか)

6以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 22:50:21 ID:D57wSHgc
?「おや?」

(うっわ、ガチの人間だ)

?「...あぁ、また流れ着いたか」

「え?流れ着いた?てか...誰っすか?」

?「ワシのことはどうでもええ、ついて来なさい」

(んだよ、ドラクエの神父ミテェなコスプレして...青木ヶ原ヤベェ)

神父?「この森は...よくこの世の者ではないのが流れ着いてくる」

「この世の...者?」

(痴呆入ってんのかな、まぁコスプレして青木ヶ原いるくらいだからマトモじゃねぇか)

7以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 23:10:15 ID:D57wSHgc
「そのこの世の者じゃねぇってのはどういうことだ?」

神父?「別の次元...そうさな、君の世界とは別の世界と言ったら分かりやすいかの?」

「そりゃあ...あんたの格好とか見てたらあんたの世界の人間とは違うと思うが」

神父?「何とでも言えばいい、そろそろ森を出る」

「あ...街...?」

鬱蒼とした森を抜けた先には、広い平原があった、地名とかよく分からないが北海道的な感じ
の平原が広がってた、ちょうど平原の真ん中に、とても栄えているであろう街が見えた、
だが何かが違う。

8以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 23:12:42 ID:D57wSHgc
神父?「ここはビギニング平原、ビギニング王国の領土で、あの街はビギニング国王が直接統治しとる街、ビギニングじゃ」

「ビギニングビギニングうるせぇな、俺をそのニキビ王国につれて来てどうするんだ」

神父?「それは君次第じゃ、ワシは知らん」

「はぁ?」

神父?「街へ行き、手に職をつけるか、また森へ引き返し野垂れ死ぬか、選ぶのは君次第という
ことじゃ、まぁ最も、大体の人間は街へ行くがな」

「手に職って...」

神父?「ワシの知っとる者では...」ッス

「?あのシンデレラ城がどうかしたか?」

神父?「騎士団長や、勇者もおったな」

9以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/22(日) 23:34:53 ID:D57wSHgc
「勇者...ってことはよ?アレか?魔物的なのも?」

神父?「魔物?あぁ、うじゃうじゃおるよ」

「...」

父さん、母さん、親不孝な息子はただいま異世界へ流れ着きました。

「異世界流れ着いたらよ...アレしかねぇじゃねえか!!!」
エルフ!女騎士!ケモミミ娘!ハーレム!!
「そして...この世界にはない知識...」
新技術!発展!莫大な富!!!
「そして何よりも俺自身が...!!!」
チート!チート!!チート!!!
あぁ父さん母さん!生まれ変わったら頑張る必要なくなりました!!
プロローグ『なんてことは無く』

10以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/23(月) 11:19:40 ID:XNHd9EgU
いいね、続きに期待

11以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 22:32:56 ID:62Osp3Fo
数ヶ月後...

「...」


町人「あの乞食ずっとあそこにいるな、よく生きながらえてるよ」

町人「まだ若いのになぁ、働く気力もねぇのかな」


(ひそひそウッセェな...噂料取るぞマヌケ...)
この異世界()にきて早数ヶ月、最初の5日くらいは何かすげぇ能力が俺にはあると思い、必死に探ってみた、棒切れを剣みたく振ってみたがいかんせんタダの悪ガキにしか見えなくて、炎を出せそうな魔法も何を言えばいいか全くわからず、有り体に言えば飽きた。

12以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 22:41:36 ID:62Osp3Fo
チートなんて能力は勿論備わっておらず、無学な俺に豊富な知識なんてトイレ砂の一粒ほどもなく、俺が思いつく程度のことはこの世界ではもう昔からあった。

(この世界ある程度発展してる感あるしなぁ)

一番の望みと言って良いハーレム展開なぞ、この世界の女はアニメやネット小説よりもちょろくは無く、寧ろ俺らも遥かにしっかりしているわけで。

(そりゃこんな乞食に何が群がるってんだよ、ハエくらいしかこねぇよ)

この世界でも俺は頑張る気力も出ず、どこの誰からしらねぇが、俺に与えられた二度目の人生は前世と同じく自堕落に過ごすしかやらなかった、簡単に言えば詰んだ。

(さぁてゴミでも漁ってくるか...)

初夏、街の路地裏はまだ涼しい。

13以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 22:49:48 ID:62Osp3Fo
「...」

孤児「...」ガサゴソ

「...おい」

孤児「ッヒ...」

「そこは俺の狩場だぞ、なに勝手に漁ってんだクソジャリ」

孤児「す、すいません...2日も食べてなくて...」

「親はどうした、きったねぇ身なりでもその歳じゃ親はいんだろ」

孤児「あ、その...戦争で...死にました...」

「...両方もか?」

孤児「は、はい、父は兵隊に行って...母と僕は...住んでた村を襲われて...」

「あっそうなの、運が悪かったな」ガサゴソ...

孤児「...大人は助けてくれないんですね」

「当たり前だろ、むしろなんで助ける義理があると思ったんだ?俺は明日食う飯もママならねぇんだぞ?知らない孤児をなんで気にかけられる?」

14以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 22:57:04 ID:62Osp3Fo
孤児「...」

「恨むなら死んだ親を恨め、それが嫌なら誰も恨まずなにも考えず生きろ、身勝手に人恨んで迷惑かけんじゃねぇぞマジで」


?「...腐っているな、貴様は」

「あぁ?んだと?」

女騎士「腐っている、と言ったんだ、聴覚まで腐っているのかこのウジ虫が」

「んなっ、てめぇいきなりしゃしゃり出て...」

女騎士「罪もない小さな子供に、自堕落な自分を差し置いてよくもまぁ高説を垂れれた物だな?」ヒョイ

孤児「あ...」

女騎士「安心しろ、私と一緒に城へ行こう」

孤児「でも...」

女騎士「大丈夫だ、辛かっただろうな、親も殺されて、優しさも受けられず...」

15以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 23:06:49 ID:62Osp3Fo
「...ッチ」ガサゴソ...

女騎士「...何も言い返さないのか?」

「どうでもいい、明日にゃ忘れてるから」

女騎士「貴様...」

「てかさぁ、お前よくわからねぇけど、軍人かなんかだろ?その格好、お前らが戦争しといてよく、親も殺されてなんて言えるな」ガサゴソ...

女騎士「どういう意味だ...」

「そのまんまだろ、そのクソジャリの両親を殺した張本人らが、なんでそのジャリに同情出来るんだ?そいつの父を徴兵したのはお前らで、こいつの村を襲わせるほどお前らクソ弱かった訳じゃん?」

女騎士「なっ...」

「いや、まぁこの国がどことどんな戦争したとか興味ねぇけどよ、流石の俺もそんないけしゃあしゃあとは喋れねぇや、この同情買いの虫けらが」

女騎士「きっ、貴様は!」

「そんな無責任な行動しといて、よく俺に高説を垂れれたな?正義のねぇ軍隊なんか
ただの人殺しだろマジで、しかも同情勝手に買い漁って乞食かよおめぇ」

16以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 23:14:08 ID:62Osp3Fo
孤児「?」

女騎士「...確かに...私はこの子に同情した、戦争を行うための行動も私たちは取ったし、徴兵もした...」

「ふーんそうなの」ガサゴソ

女騎士「ただ償いなんてことはしない、これは私の自己満足からくる行動だ、私たちが一端を作ったのなら私たちで収集をつけねばいけないんだ」

「...」

女騎士「こんな子はこのビギニングのスラム街にはたくさんいるだろう、この子はほんの氷山の一角に過ぎないのも分かっている、しかし原因を作った私が見たのなら...助けたいと思ったんだ...そこは分かってくれ」

「ん?勝手にすりゃいいじゃん、俺はお前が何しようと興味ねぇし、助けてぇなら助ければいいじゃん」

女騎士「お前...不思議なやつだな」

「もういい?腹減ってんだけど」

女騎士「...お前、軍隊に入らないか?」

17以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/24(火) 23:17:11 ID:62Osp3Fo
「話聞いてねぇのかよ、俺はハラヘッタって言ってんの」

女騎士「軍隊にはいれば衣食住はタダだぞ?飯だってたらふく食える」

「はいはい考えときます」ガサゴソ

女騎士「...考えておけ、今の生活を続けるか...行こうか?」

孤児「うん」


「...この生活、かぁ」
___
_____

18以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/26(木) 22:14:51 ID:Cl8gekl6
___
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この話を聞いてから、なぜか俺はこの生活を変えたいという欲が湧いてきた、生きてる時は軍隊なんて俺には程遠い話だったし、寧ろネット小説で得たクソみたいな知識しか無かった。
この世界の軍隊って言うのは何度かみかけたことがある、みんな甲冑的なのを身に付けていて、腰には剣、ホント昔の外国の軍隊みたいだった、みんな凛々しくて下の人間でさえ、えも言えぬ輝きがあった。
そんな一員に俺はなれるのか?
あのクソジャリなんかをも守れる人間になれるのか?
気付けば俺は街で配られてた志願用紙に記入をしていた。
第1章『人生初の試み』完
__
____

19以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/26(木) 22:28:19 ID:Cl8gekl6
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第2章『だってやってらんないじゃん』
ビギニング王国 広場

「今日、我がビギニング王国には、勇気ある諸君らは晴れて我がビギニング王国軍の
一員となる!志願をしてくれた忠勇なる君達に、国王は感謝の念を込め、諸君らの武運長久を
願っている!!そもそも...


(うっわ、なげぇよカス...)

この場に何故俺は立てたのか自分でも理解できない、名前の記入欄に名前を書いたら
やっぱりこの国は漢字なんてものはなく、そしてこの国の国語なんてこれっぽっちも知らない
俺はまたも早々に諦めるモードに入っていたが、何故か漢字でも志願用紙は通り、その日のうちに
兵舎に入営、まぁ当たり前たがすぐ風呂に入れられ、数ヶ月分の垢とヒゲが綺麗さっぱり流れ落ちた。

(右端に溜まってる奴ら、なんかタダならねぇオーラがあるなぁ、ぜってぇチート的なのあるだろ)

予感は後で的中した、右端の連中はやはり優れた奴らばかりで魔法も使えたり、剣術も槍術もなんでも
ござれの連中が固まっていた、あいつらは大体騎士団とか呪術を得意とする部隊に編入されるらしい。

(対しておれらは...)

芋芋芋、じゃがいもかおめえらってくらい煮っころがしたくなるような連中ばかりだった
チラホラなんか優秀賞取れそうな奴らがいるが、右端の連中には勝てなさそうだ。

20以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/26(木) 22:43:37 ID:Cl8gekl6
(まぁ周りから見りゃ俺も芋か、あんま悪く言うのやめよ)

「では最後に、ビギニング王国騎士団長直々に訓示を賜ります!」

(え?じゃあお前誰なんだよ、なんで長々と喋ってたの?)

?「はい」


「あ」


女騎士「諸君、大体の者はお初にお目にかかる、ビギニング王国騎士団長の女騎士だ、
諸君らはこれから兵隊になる為の基本的な教育を一月半受け、部隊に配属されて行く。」

(あの女...思った以上に偉い奴だったんだな)

女騎士「私はこの先、諸君らに大切にしてほしいことが1つある、それは同じ教育小隊の
同期を大切にして欲しいと言うことだ、苦楽、寝食をこれから共にする仲だ、同期と共に切磋琢磨し
自分の能力を高めて、どの部隊もこいつは欲しいと言ってくれるような人材を沢山作ってくれ、以上だ」

パチパチパチパチ...

(うわぁガチのやつじゃん、怖)


女騎士「最後に、私は考えさせられる事が最近あった、この場を借りて話したいと思う、
みんなも知ってると思うが、この国にはスラム街が存在する、貧民や戦災孤児が流れ着く
そんな街で、一人逞しい男がいた、長い月日風呂に入っていなかったのだろう身なり、戦災孤児
に対する横暴な態度、私は人生で一番最悪な出会いをした。」

21以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/26(木) 22:58:04 ID:Cl8gekl6
(ヤベェ)

女騎士「最悪な男であったが、私にとても考えさせられる疑問を投げかけてきた、
虐げられていた戦災孤児を保護し、その男は私の放った言葉に反応した、「お前らが戦争しといてよく、
親も殺されてなんて言えるな」...と、一瞬私は自分の言葉に疑問は持たなかったが、後々からその言葉の意味が
分かり、とても恥ずかしい、私は矮小な人間だと自覚した、その戦災孤児は父は兵隊で、先の戦争で戦死
母は村を襲われ、殺害された、その原因を作った張本人でもある私に何故そんな言葉が出てくる、当然の疑問を投げかけられた」

女騎士「それから私は思った、自分の戦争に対する考えの甘さを...人が死んだ後というものに対する認識の甘さを...

(俺全く考えなく言ってたが、そんな事言ってたんだな、恥ずっ!)

女騎士「君達は平和の為に戦って欲しい、私も君達と共に歩もう、この国の為に、自分自身の為に、
この国を国民と共に作っていこう、以上で終わる」

ワ-!!!!!

(うっわ迫力ある歓声、大地が震えてらぁ)

俺はあの騎士団長とやらに会わないか震えていた、会おうものなら多分すぐにバレ取り巻きに
フルボッコにされる事だろう。

(頭低くして生きよ)

22以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/28(土) 21:49:43 ID:phNUtkAk
「では!これより各人の教育部隊を通知する!!保有認番順に前へ!!」

_
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23以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/28(土) 22:46:42 ID:phNUtkAk
__
_
雑兵「独立大隊...新兵教育隊...?」

独立大隊、何がなんだかさっぱりだが...

「うわぁ...もう昇任は無しだぁ...」

「父さんになんて説明すれば...」


「可哀想にねえ、新兵の時分から吹き溜まり部隊...独立雑兵大隊って...」

「何人残るのかね、今年は...」

「例年どうりゼロだろ」

24以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/28(土) 22:48:36 ID:phNUtkAk
吹き溜まり大隊...確かに落ち込んでる連中は見た目からして役に立ちそうにない
ってこたぁ、俺も役立たずってことだ

雑兵「まぁ...楽はできるかな」

「よいしょっよ...ふぅ...あ、すいません...!」

雑兵「ん?俺か?」

「はい...!独立大隊って...」

雑兵「あぁ、ここであってるらしいよ」

この身のこなし...線の細さ...まさか...

雑兵「お前...お

「あ、こんな見た目だけど...男なんだ、僕」

雑兵「でしょうね」

「え...?すごい、初めてだよ...僕の事を最初から男ってわかるなんて」

アブねえ、女って聞くとこだった...

「あ、ごめん、何か聞きたいことが...?」

雑兵「ん?(裏声)なにも?」

25以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/28(土) 23:06:55 ID:phNUtkAk
兵長「はいはいはい、落ち込んでる暇があんなら家にでも帰りな赤ちゃん!受付はあっちだぜ、マジで」

「くっそ!」ダダダッ!

「雑兵なんかやってられるか!」


兵長「え?マジで?入隊の時点でゼロ?」

上等兵「へーちょー何やッてんです?大尉にどやされます...おっとぉ?」


「この本分厚いね、新兵に配られる本なんだって」

雑兵「おれ字読めないんだよね」

「え?そうなの?」

26以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/28(土) 23:17:03 ID:phNUtkAk
兵長「君達二人は...」

雑兵「あ、その...」

「新兵です」

兵長「新兵...」

上等兵「残られたら残られたで...どう教育すんでしょうね、隊長」

兵長「うわぁ...」

_
__

27以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/29(日) 02:13:03 ID:2WUC.G0M
__
_

上等兵「ココが居室だ、教育期間、たしか一ヶ月と半分だったか?ココで寝泊りしてくれ」

雑兵「結局、俺ともう一人だけなんですか?」

上等兵「あーまぁ...そういう事だ」

「ありがとうございます、事後の指示は...」

上等兵「追って伝えるから、今は身の回りの整頓でもしていてくれ、では」


雑兵「吹き溜まり...ねぇ」

「本格的な訓練は明日からかな...緊張するね...」

雑兵「そうか?なんか楽できそうでいい部隊だと思うが」

28以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/29(日) 02:25:56 ID:2WUC.G0M
「もう、教育期間中は楽なんか出来ないんだよ?軍隊ってそういうもんなの」

雑兵「まぁ気張らずいこうや、なんて呼ぼうかなしかし、入隊前は何してたんだ?」

「お父さんの診療所の手伝い、こう見えても看護士見習いだったんだ」

雑兵「看護士...じゃあなんだ?アレ、軍隊の医者集めた感じの部隊...」

「衛生部隊?」

雑兵「そう、それそれ」

「あー...一応希望は出したけど...適正がなかったのかなぁ」

雑兵「...まぁ、軍隊に入ったんだ、幾らでもチャンスはあると思うぜ」

俺みたく、何の計画もなく入隊した奴もいれば、夢があって入隊した奴もいるみたいだ。
そんな俺がこいつに高説なんか垂れるなんて出来るはずが無い、そう思ってこれ以上
の慰めはやめにした、その後上等兵殿は現れず、明日のことも分からないまま床についた。

29以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/30(月) 20:40:34 ID:y4jgMG9o
チュン... チュンチュン...

点呼〜!!
並べ!遅い!!!


雑兵「あららら...」

上等兵「並みの教育隊じゃ点呼やるが...ウチはもう暫くやってねぇから習慣付いてねぇんだよなぁ...」

「アレはどこの...」

上等兵「初っ端から飛ばしまくりのあの部隊は...多分近衛混成連隊の教育隊だろ、なにぶん国王に一番近い部隊だからな、厳しかろうぜ」

雑兵「上等兵さん、自分たちは何をする部隊なんですか?独立大隊じゃよく分からないっすよ」

上等兵「あー...まぁまわりから言われての通り、雑務?」

30以下、名無しが深夜にお送りします:2018/04/30(月) 20:54:31 ID:y4jgMG9o
兵長「ほんと雑務、戦場でも...ココでも、俺らが教えられることなんて...軍隊の基本中の基本以外にねぇ」

上等兵「仕事が多過ぎると言えば聞こえはいいですよ」

雑兵「仕事多いんですか?」

兵長「つっても雑務だからな、たかが知れてる、荷物運びやお掃除...教育期間終わって、お前らここに来るが...なーんにもやることねぇから、マジで」

「...」

兵長「お、楽しくなさそうだな天使ちゃん」

「て、天使ちゃん??」

兵長「ウチの隊長が君を見て一言、天使ちゃんだなってさ、他に呼びかたねぇし」

天使「...そ、そうですか」

雑兵「うわぁ駆け足まだ始めてらぁ」

31以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/04(金) 14:24:26 ID:6sph1TiU
天使「何か...もっとこうないんですか?」

上等兵「え?ニックネーム?」

天使「いや...なんか訓練とか...」

兵長「あー...なに教える?」

上等兵「あんた兵長でしょ...そうだな...基本教練...剣術...くらいだなぁ」

兵長「えー?どうせ配属されてもやらなくね?」

上等兵「この部隊はどうでもいいんですがね、恥をかくのはこの子らですよ、
それは流石にかわいそうですよ」

兵長「まぁそうねぇ」

上等兵「じゃぁ、今日は剣術の教育といきますが〜、自分は何分剣術は得意という訳では
ないから、基本的なことしか教えられません、勘弁してくれや」

雑兵「本物の剣持てるんすか?」

上等兵「当たり前よ」」

天使「...」
_
__

32以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/04(金) 15:21:10 ID:6sph1TiU
__
_
『錬兵場』

いちっ!! にっ!! いちっ!!


上等兵「おーおーやってる、おっちゃん、武器庫開けて」

管理人「独立大隊の坊主じゃねえか、珍しいなこんな所にいるなんてよ...ん?
新兵さんか?」

雑兵「ど、どうも」

天使「よ、よろしくおねがいします!」

管理人「いやぁ、気張らなくてもいいんだよ、俺ぁ非常勤だしな」

上等兵「このひとはウチの元大隊長で、一昨年退官したんだ、再就職で武器庫の管理人
やってる」

管理人「まぁそういうことだ、気落ちせず気楽にやろうや、な?」

天使「え...?僕ですか?」

管理人「おめえ、町はずれにある診療所の倅だろ?父さんとは旧知の仲でな、そうかぁ独立大隊にかぁ、いいところ
だぞ、まぁやる気ある奴にゃちょいと楽すぎるが」

33以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/05(土) 20:16:16 ID:RIORd65s
天使「はは...頑張ります」

雑兵「...」

上等兵「では、まずは基本の剣を使ってた斬りつけ方を説明しまーす」
_
__

34以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/05(土) 21:24:37 ID:RIORd65s
__
_
雑兵「っはぁ...っはぁ...」

上等兵「おいおい大丈夫か?まだ十分も経って無いぞ」

兵長「まぁ最初だからねぇ、慣れない事だから、気長にやろうや」

天使「っふ...っふ...」

兵長「お、いいねぇ...この身のこなし...ちょっと...エロい...」

上等兵「あんたねぇ」


天使「大丈夫?」

雑兵「はぁ...腕あがンねえ...お前よくできるなぁ...いい軍人いなるよ」

天使「まあ...ちょっと鍛えてたからね、筋トレしないと駄目だよ?」

雑兵「はい...」

天使「ふぅ...」

35以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/05(土) 21:52:42 ID:RIORd65s
雑兵「...おまえさ、最近あからさまに元気に無いけど、どうかしたのか?」

天使「え...そんな事...」

雑兵「...まぁ喋りたくねえなら良いけど」

天使「...実はさ...憧れてたモノが...」

雑兵「全部吹っ飛んだ?」

天使「...うん」

雑兵「そっかぁ、大変だなぁ」

天使「...?」

雑兵「はぁー疲れた...」

天使「え?」

雑兵「ん?」

36以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/05(土) 22:11:35 ID:RIORd65s
天使「...何か...他に無いの?」

雑兵「え?ねえよ?」

天使「...は?」

雑兵「だって他人の理想なんて知らないし、理想が違ったとて
それでもやり遂げるかどうかは結局自分の気持ち次第だろ?俺がどうこう言えるの?」

天使「...いや...それでもなんかあるじゃん」

雑兵「ねえよ」

天使「...っはぁ?!」


「なんだ?」

「お、もう新隊員同士の喧嘩か?」


天使「っあぁ!!!もう!!」

雑兵「んだよお前、女が腐ったみてえなこと言いやがって...俺のアドバイスが欲しかったのか?」天使「君が聞いてきたんじゃん!?それで僕は話したんだよ!?」

雑兵「お、おう、聞いたな、それが何に繋がるんだ?」

天使「なんか...!アドバイスとかさぁ!!」

雑兵「ねえよ」

37以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/05(土) 23:44:09 ID:RIORd65s
天使「なんでぇ?!」

雑兵「だって...ねぇ?おれあんまよく分からずに入ったし」

天使「っそ、それでも...うーん!!」

雑兵「うっせぇなぁ、嫌なの?軍隊」

天使「そういう訳じゃ...」

雑兵「お前の理想って何だ?なんなら聞いてみるかお前の理想を、あそこで剣ぶん回している奴らに、
一人一人に聞けばいいじゃねえかよ」

天使「...」

雑兵「あのさぁ、衛生隊に入れなかったからかどうかは興味ねえがよ、その事で
萎えてんのなら辞めたら?マジで、自分に何が出来るかも考えずにグチグチッグチグチ言いやがって!」

天使「っそ、そこまでいってないだろ!」

38以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 00:01:49 ID:5ejuu39I
雑兵「あー!!なんか腹立ってきたぞてめぇ!!」


「おい...とめろって...どこの部隊だ」

「独立大隊だよ、あそこの新隊員だ」


雑兵「ごちゃごちゃ言いやがって!!そのケツ引っ叩いてやる!!」ッペチーン

天使「いったぁ?!やったな?!」

上等兵「ちょいちょい!兵長!?」

兵長「うわぁ...」

39以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:09:51 ID:p0F9efSM
雑兵「言いそびれてたけど入隊した時お前のこと女って思ってたからぁ!!」

天使「はぁ?!嘘ついたの?!最っ低!!!この変態!!!」

雑兵「優しさだろうが!!!」

天使「知らないよ!!!」

兵長「はいはいやめんか!!このボンクラども!」ガシッ

上等兵「なに天使ちゃんの方抑えてんすか」ガシッ

雑兵「だってこいつが!!」

天使「離してください!!」

兵長「他の部隊の目もあるだろうが、言いたいこと言い合うのは良いが、場所を弁えろ場所を」

上等兵「今日は戻るぞボンクラども」

管理人「はっは!元気があって良いなぁ今回のは!」

40以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:18:42 ID:p0F9efSM
上等兵「すいませんでした、よく指導しときます」

管理人「いや、元気があって素晴らしいぜ、教育期間が始まってすぐこんな腹割って喧嘩できるなんてなぁ、いいコンビになるぜ」


「っへ、独立大隊の連中かよ」

「新隊員にあんなの見せたら悪影響だぜ…」


上等兵「…」

管理人「大丈夫だ、あんま気にするなよ」

上等兵「はい、大丈夫です」

_
__

41以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:23:59 ID:p0F9efSM
__
_
兵長「さぁてと?先ずはあの公衆の面前で大喧嘩を始めた経緯を教えて貰おうか」

雑兵「いやこいつがね?元気ねぇから何があったのかなぁって思って聞いたんですよ」

天使「聞いただけじゃん!聞くだけ聞いただけじゃん!」

雑兵「はぁ?!」

兵長「うるせぇ!!!今は雑兵に聞いてるんだ!!黙ってねぇとしばくぞ!!」

天使「…っ」

兵長「雑兵、聞くだけ聞いただけってのはどういう事だ?」

雑兵「はぁ、天使のやつが軍隊が理想と違ったって…」

兵長「それで?」

雑兵「はい、それで…そうなのと」

兵長「…え?」

42以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:30:00 ID:p0F9efSM
兵長「…それ聞いた後に…アドバイスとかなんか…」

雑兵「え?無いっす」

兵長「…それで天使がその態度にキレた…?」チラッ

天使「…」コクッ

兵長「…これはだなぁ…雑兵が…ちょっと思いやりが…」

雑兵「えぇ?!自分ですか?」

兵長「雑兵なりになんか心配になったんだろ?それで聞いたんだから…なんか言ってやれよ」

雑兵「いや、心配にはなって無いですよ」

兵長「はぁ〜…??」

雑兵「元気なさそうだったからどうしたのかなって思っただけで」

兵長「よし、お前は後でもう一度話を聞くと…天使、お前の理想と違ったってなんだ?正直に言えよ?」

43以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:35:36 ID:p0F9efSM
天使「あ…その…別の教育隊と…違うじゃ無いですか、やり方が」

兵長「あー…大体わかった、他は…まぁ近衛混成連隊は除くとしても厳しそうだから…って事だな?」

天使「はい…」

兵長「そうきたかぁ…それは…こちらに完全に落ち度があったなぁ…」

天使「教育期間は厳しくて…その厳しい期間を仲間と乗り越えて一人前の兵士になりたくて…その乗り越える憧れもあって…入隊したので…」

兵長「だよなぁ…そういう奴もいるよなあ…」

天使「…」

兵長「…わかった、天使は戻っていい、雑兵はちょっと残れ」

天使「はい…」ガタッ

雑兵「…」

44以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:41:45 ID:p0F9efSM
兵長「で、だ…雑兵、お前は本当に心配してなくて、その気持ちだけで天使に聞いたのか?」

雑兵「はい、その後のことは全く考えてません」

兵長「…もしかしてだけど、それが心配してる奴じゃないのか?天使が元気ないの気づいてたんだろ?」

雑兵「はい、どうしたんだろとは思いました」

兵長「……いいか雑兵、それは心配してるってことだわ」

雑兵「えぇ?」

兵長「お前は早いうちに天使の異変に気付いて、聞いたんだんだろ?それは…えーっとなんて言えばいいかなぁ…多分、無意識のうちに心配してたんだと思うんだわ、お前は」

雑兵「そんなまさか」

兵長「まぁ心配の度合いもピンキリあるけどな?お前のそれは、間違いなく心配からでた質問だから…まぁ後のことは考えてなくてもな、お前は人の異変をいち早く気づけて、心配してたんだよ」

雑兵「はぁ…?」

兵長(こいつ…著しく自覚心ってもんが欠如してる…)

45以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/06(日) 23:44:28 ID:p0F9efSM
兵長「よし、追々養っていこう、お前は著しく自覚心ってもんが…そのちょっとないえら…」

雑兵「そうなんですか…」

兵長「いや、人を心配する気持ちがある分にゃマシだからな!大丈夫!」

雑兵「はい…」

兵長「よし、雑兵は戻っていいぞ、俺もお前らと話ができてよかった」

雑兵「失礼しました…」ガチャ


兵長「はぁ…中々すごいのが来たなぁ…」

46以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/12(土) 16:20:45 ID:GDibUiT.
ガチャ

隊長「今回の粋のいい新隊員はどうだ?」

兵長「はぁ、磨けば光る奴らですよ…この部隊にいるのがもったいねぇ」

隊長「そうだな、新隊員然り、この部隊にいるのが勿体無い人間なんか沢山いるさ、上等兵の奴もお前も…いつまで昼行灯やってる気か知らないが…」

兵長「昼行灯なんてそんな…」

隊長「厳しくやる必要なんかねぇさ、この部隊はとうにどこからも見捨てられているしな、ただお前らのやり方が…あいつら二人の今後を決めるんだからな」

兵長「はい、わかってます」

隊長「大切にしねぇとな…」ガチャ バタン...

兵長「…仕方ねぇな…まぁやってらんねぇ仕事だけどよ…」

第2章『だってやってらんないじゃん』 完

47以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/12(土) 16:34:29 ID:GDibUiT.
第3章 『ウィシャル オーバーカム』

雑兵「…まぁ悪いとは思ってるよ、多少はな」

天使「…」

雑兵「いや…俺実質小卒だからさ、中学なんてマトモに行ったことねぇし…」

天使「…」

雑兵「あー中学って分かるか?アレだ…なんか…大人気取ったガキが集まる場所…」

天使「…」

雑兵「それでまぁ…大人気取りもできず…なんかよく分からずにここまで来たってわけでして…」

天使「…中学って何?」

雑兵「そこ?あー…そこの下りは忘れてくれ、大したこたぁねぇから…」

48以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/12(土) 23:18:03 ID:DecwQXRM
あんたか
今回のは完結させてくれよな

49以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/14(月) 22:55:10 ID:97Cv99nA
雑兵「まぁ…ぼちぼちやろうやってことだな…」

天使「…っふふ、何それ?」

雑兵「あーアレだ、あんま気ィ張らずにやろうやってことで…」

天使「まぁいいけど?て言うか、まず雑兵さぁ国語の勉強しないとダメだよ?文字読めないのはヤバすぎだもん」

雑兵「うっ…まぁそうだけどよ…」

天使「こう見えても僕国語も得意だから教えてあげるよ、徐々に雑兵を仕上げて行ってあげる」

雑兵「仕上げるってオメェ…手柔らかに頼むぜ」

50以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/20(日) 02:25:15 ID:qICyqVXw
期待

51以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/21(月) 23:30:21 ID:Zzt2ETPY
天使「明日からやる気出す?そしたら許してあげる」

雑兵「あぁ出す出す、吹き出しまくってやるよ」

天使「なーんか適当だなぁ…」
カチャ
上等兵「おらポンコツ野郎共、明日からの予定表だ、天使ちゃんたってのお願いだからな、明日からは倒れねえ程度にビシビシ行くぞ」

雑兵「ありがとうございます…うーん?野営?」

上等兵「他の教育隊と合同で管理野営するのさ、兵隊としての基本的な野営中の行動や、戦闘訓練がある、今のまま野営にぶち込んだらお前ら多分死ぬからな、体力つけるぞ」

52以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/21(月) 23:33:34 ID:Zzt2ETPY
上等兵「午前は剣術、格闘訓練で、午後からは体力錬成、夜は…まぁ雑兵の勉強の時間だな…天使、付き合ってやれるか?」

天使「みっちり仕込みます」

上等兵「上等、やるぞ雑兵」

雑兵「あ、はい…」

__
____

53以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/21(月) 23:39:48 ID:Zzt2ETPY
___
__
それからというものはほぼ毎日体育の授業みたいなもので、腕立て、腹筋、ランニング…ちょっとした移動時も駆け足になったわけで…

上等兵「連続歩調〜!ちょーちょーちょー数え!!」

天使「いち!」雑兵「いぃちぃ」
そーれ!
天使「にぃ!」雑兵「にやぁ…」
そーれ!
天使「さん!」雑兵「あぁん…」
そーれ!
天使「しぃ!」雑兵「死ぬ」
そーれ!
天使「いち!に!さん!し!いちにさんし!いちにさんしぃ!」

雑兵「オロロロロロロ」

上等兵「朝飯吐くなオラァ!剣術と格闘訓練の時間に死ぬぞ!!」

天使「はぁい!」

雑兵「はあオロロロロロ」

上等兵「はぁ…」

54以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/21(月) 23:45:36 ID:Zzt2ETPY
剣術も今まで以上に厳しくなったわけで

管理人「しかしあいつら元気になったなオイ…」

上等兵「叩くのではなく、引いて斬りつけろ、叩き斬ると刃が食い込むので俊敏な行動が出来なくなる、なるべく急所を引いて切りつけろ、そこのダミーで各人実施」

天使「はい!」

雑兵「あい」プルプル

上等兵「たったの2.8kgだぞ?片手で持て片手で」

雑兵「お、思いっす…」

上等兵「野営じゃこれよりも重いものをたくさん待つぞ、今のうちに慣れてろ」

55以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/23(水) 22:54:37 ID:Gz.TLCJI
「情けねぇなぁ独立大隊のやつ」

「野営で他部隊に迷惑かけなきゃいいがな、まぁ野営前にへばって辞めるだろうぜ」


上等兵「だってよ、さてどうする?辞めるか?」

雑兵「はぁ…はぁ…」

辞める、か…まだ入隊して二週間、紆余曲折あってやる気的なものもあったが、もうそろそろ潮時じゃね?と思い始めてきた、せっかくの転生だし、まだなんか知らないだけで能力あるかも知れないし

雑兵「そ、そうっすね…や、やめm


「気をつけぇ!」

56以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/23(水) 23:03:41 ID:Gz.TLCJI
「王国騎士団長だ…」

「騎士団長直々に練兵場へ来てくださるとは…」

「今日はついてるな」

女騎士「ほら、サボってないで続きをやらないか」

「はっ!よし!では素振り開始ぃ!」


上等兵「あいつら休憩してんじゃなかったのか」

兵長「ダリィ…省けちまうか?」

上等兵「なに言ってんですか…」


雑兵(やべぇ…いやでもさすがに俺とはわからねぇか、髭も剃ったし)コソコソ

天使「どうしたの?」

雑兵「ちょ、ちょっとトイレに…」

57以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/28(月) 13:50:38 ID:1RfS2.JQ
女騎士「ほう、独立大隊の新隊員も剣術か、うんうん良いことだ」

兵長「はっ…今回の新隊員がなかなかどうして変な奴らで…」

上等兵「あんたが言いますか…まぁ同感ですが」

女騎士「独立大隊は…確か2名が残ったんだったな、他の新隊員が辞めたのは残念だが大切にしているようで安心したよ、2名はどこにいるんだ?」

上等兵「はい、あそこで一名が伸びてますから、休憩しておりました」


雑兵(バカこっちに振るんじゃねぇ!)

天使「わっ…こんな近くで見たの初めて…綺麗だね」

雑兵「そ、そうっすね」


女騎士「…っふ、やっと見つけたぞロクデナシめ…」ボソッ

上等兵「え?」

女騎士「いや、こちらの話だ、今後も精進しろよ、野営訓練、独立大隊の活躍を期待しているぞ?」

兵長「はっ、努力します」

58以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/28(月) 13:57:15 ID:1RfS2.JQ
女騎士「今回の野営は前回よりも大規模にいくからな、評価支援大隊も要請したからとんでもないことになるぞ」

兵長「評支って…あの傭兵団を呼んだんですか?」

女騎士「昨年は小規模で新隊員に可哀想だったからな、団長も快く承諾してくれた」

上等兵「うへぇ…自分らも大変ですよそれ…」

女騎士「ははっ、励め励め」


雑兵「よかった…」

天使「?」

59以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/28(月) 16:22:19 ID:1RfS2.JQ
上等兵「この後に及んで評価支援大隊まで繰り出してきたかぁ…」

兵長「いつかの野営訓練では、竜騎兵大隊の教育隊が助教陣諸共壊滅まで行ったからなぁ…今年は…もしかしたから我々かも知れんなぁ…」

上等兵「騎士団長直々に声かけられましたからね、あり得ますよ」

兵長「独立大隊壊滅なんていつものことだろ…なんで今回に限って」

上等兵「さぁ、知りませんけど」

雑兵「野営訓練えげつない事になるんですか?」

上等兵「うーん…お前が可哀想で仕方がない…」

天使「評価支援大隊ってなんですか?」

上等兵「あぁ、非公認の部隊でな、いつもは傭兵稼業をやってる連中が集められて野営訓練の仮想敵として支援してくれるんだ」

兵長「それがまた強いのなんの…傭兵団長によっちゃ今季の全部隊の新隊員教育隊は壊滅になるぜ…」

60以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/29(火) 23:20:15 ID:eTCl5BI2
雑兵「マジッすか…」

兵長「ウチは人数が少ねぇから、多分他の部隊と混成になるだろうが…まぁあんま期待しねぇ方が良いかもな」

上等兵「どこ行っても鼻摘まみですからね」

天使「そ、そんな…」

雑兵「…」

61以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/29(火) 23:31:53 ID:eTCl5BI2
評価支援大隊の話は新隊員連中の間でも瞬く間に広まった。

「すげぇ強いらしいぜ…」

「あの魔術使う部隊も1回の戦闘で壊滅まで追いやられたらしいぜ…」

「いや俺が聞いたのは竜騎兵が…」

評価支援大隊は傭兵団の混成部隊で成り立っているらしく、強いと言ってもやはりピンキリまであるらしい、しかも噂によると…
「勇者様が傭兵団のリーダーやってるらしいぜ」
との事だ、前森の中で聞いた転生した件の勇者なのかも知れない。

雑兵「勇者ってどんな奴なのかな」

天使「勇者様?とっても強い人らしいよ?別の大陸であった話なんだけど、突然勇者様が現れたらしくて、その大陸を支配していた悪い魔王をやっつけたんだ」

雑兵「いつの話だ?」

天使「僕が産まれてすぐの事らしいよ?」

雑兵「ふーん…なるほどねぇ…」

天使「はい、勉強再開だよ」

雑兵「クゥ-ン...」

62以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/29(火) 23:42:46 ID:eTCl5BI2
雑兵「…そう言えば」

あの森であった神父、騎士団長と勇者って言ってたな、てことは…あの女騎士も転生したってのか?あいつが転生したってんなら…

雑兵「あいつはどっから来たんだろ…」

天使「もー聞いてる?」

雑兵「へいっへいっ聞いておりやす!」
_
__

63以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/29(火) 23:51:19 ID:eTCl5BI2
__
_
それから俺はあの騎士団長に興味が湧いた、年は若そうに見えるし、外人みたいな髪色と眼の色してるから恐らく同胞ではないだろう、しかし転生者だとしたら、あの地位までどうやって登ったのか気になる所もあった。勇者ならチート能力が有ればバカでもなれると思うが、騎士団長でしかも女となると、多分並外れた努力をしないと昇り詰めれないだろう。

雑兵「騎士団長ってフッ どんな人なんです?フッ 」

上等兵「腕立てフッ 中に聞くそれ余裕が出来たのか…嬉しいやらフッ 複雑やら…」

兵長「良家のフッ 産まれだぜ、昔から文武両道で頭も良けりゃフッ 運動も出来て、剣術馬術フッ 槍術はお手の物だ」

雑兵「突然出て来たとかフッ じゃないんですか?」

上等兵「突然?フッ ンなわけないだろ?ぽっと出をフッ 騎士団長にする程バカじゃねぇと思うぜウチの国は」

兵長「はい50回終了」

上等兵「雑兵お前もやるようになったなぁ」

雑兵「ありがとうございます…」

兵長「まだ腕プルプルしてっが、最初よりゃ上々だ」

64以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/29(火) 23:55:48 ID:eTCl5BI2
上等兵「しかしなんでいきなり?」

雑兵「いや…気になって…」

兵長「お!恋か?」

雑兵「違いますって…ただ…まぁ上の人間だし」

兵長「そうかぁ?」

あの騎士団長は昔から有名だったらしい、では森で神父が言ってた騎士団長は別のやつなのか?それとも…

雑兵「小さい頃に…とか?」

天使「雑兵?どうしたの?最近なんか元気ないけど…」

雑兵「あ、いや、何でもない」

天使「…騎士団長のこと?」

雑兵「いや…」

天使「うそ、上等兵さんがなんか話してた」

65以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/30(水) 00:03:26 ID:nAk7ux1M
雑兵「あー…まぁ」

天使「なんで騎士団長の事を?」

雑兵「いや…ちょっと気になったことがあってな…話すと複雑になるからどう話せばいいかわからねぇ…」

天使「雑兵が心配だもん、なんかあったら話してよ」

雑兵「天使だな」

天使「変態」

雑兵「うるせぇ…その、さぁ…悩みじゃないんだ、ただ….俺一回死んでるって話したら…笑う?」

天使「し、死んでる??」

雑兵「あー…俺死んだんだ、前住んでた世界って言うの?そこの世界で…」

天使「嘘、生きてるじゃん」

雑兵「いや、そりゃ今を生きてるけどさ、なんか記憶が鮮明でさ、逆にここの国で産まれた記憶なんかないし親いねぇから…確実におれ生まれ変わりなんだと思うんだ…」

天使「…」

雑兵「なんか放り込まれた感じ?知らないトコに、天国か地獄か分からないけどさ…」

天使「それが…騎士団長とどう繋がるの?」

雑兵「その目覚めた時にさ、森で目覚めたんだけど、変なおじさんが居たんだよ、神父みてぇな?そいつが騎士団長や勇者も転生したーみたいなこと…」

66以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/30(水) 00:15:28 ID:nAk7ux1M
天使「そんな訳ないじゃん、騎士団長は昔から有名だし、まぁ勇者様はよく分からないけど…魔法とかも使えるらしいから珍しくないよ」

雑兵「いや、なんか生まれ変わったら魔法とかも使えるらしい、システム的なのはよくしらねぇし俺は使えねぇけど…まぁ…そう言うことだ」

天使「…ごめん、よく分からないや」

雑兵「まぁそうだよな…」

天使「…今の生活いや?」

雑兵「え?まぁ嫌じゃねぇけど」

天使「なら良しだよ、ホントに2回目の人生で、今の生活嫌だったら雑兵可哀想だもん」

雑兵「…」

天使「いきなりここへ来て…何にも分からないのに軍隊に入ったんだから雑兵はすごいよ…前の人生がダメだったのなら、今の人生大切にしなきゃ、ね?僕も雑兵の事をずっと大切にするから…」ナデナデ

雑兵「マ…」

天使「?」

雑兵「ママぁ!」ガシッ!!

天使「へぇ?!」

67以下、名無しが深夜にお送りします:2018/05/30(水) 00:21:12 ID:nAk7ux1M
雑兵「んだてめぇ!母性がエグいんじゃ!」

天使「は、はぁ?!」

雑兵「ナデナデしやがって!!ママかお前は!!甘えさせろオラァ!?」

天使「ちょ!勉強は?!」

雑兵「今日はいい!!お前を抱く!!長年の欲求をお前を抱いて晴らす!!」

天使「バ、バカ!///お母さんにそんなことしないでしょ!!」

雑兵「し、しない…?!なぁ…確かに…」

天使「も、もう!///次の小テストで良い点取らないと許さないからね?!///」

雑兵「す、すいません…気が動転して…」

天使「もう…一緒に頑張ろ?」

雑兵「うん」
_
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68以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 12:34:53 ID:IGfMFRa6
__
_
女騎士「今回の訓練は盛大に頼むよ、勇者様」

勇者「その言い方はやめてよ、なんかむず痒いんだ」

女騎士「勇者なのは本当のことだろう?それに今の立場じゃ前みたいにはもう出来ないんだ」

勇者「だとしても...まあいいや、何人くらい連れてこようか?」

女騎士「そうだね...今回の新隊員が...597人だったから...2千人くらいがいいんじゃないか?」

勇者「マジでいってる?お金大丈夫なの?」

女騎士「あぁ、新隊員を育てられるなら痛くも痒くもないさ、国王もその方針だ」

勇者「変な国だね本当に」

女騎士「その国に私たちは救われたんだ、恩返しはしないと」

勇者「そうだね、おkなら盛大にやるよ、ではそろそろかき集めてくる」

女騎士「気を付けていけよ」

勇者「わかってるよ、姉さん」

69以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 12:39:34 ID:IGfMFRa6
バタン

女騎士「お姉さん...か、久々に聞いたな」

女騎士「あんなに泣き虫だった妹が...」


『おねえちゃん!死んじゃダメだよ!』

『もう救助隊が来る!君も避難を...ん?』

『土砂崩れだ!!逃げろ!!!!』

『もうダメだ!!山全体が...
ゴゴゴゴゴゴゴ...

70以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 12:54:47 ID:IGfMFRa6
『速報です、先ほど○○町一帯が大規模な土砂災害に見舞われました、県は自衛隊に派遣の要請をしました、
消防庁及び警視庁の情報によると、町の消防署並びに警察署への連絡は依然取れず、土砂災害の被害にあっている
可能性が高いと発表しました』

『最初は小規模だったんですよ、家一軒飲まれましたが...その後に山全体が崩れたんですよ』

『あの山は林業が盛んだったんですが、いかんせん植樹をしない企業が多くて...それに付随して頂上に大規模な気象観測所も出来たから耐えられん
かったんだと思いますよ』


女騎士「...っうわ、寝てた...」

女騎士「...小さい頃の...はぁ...」

女騎士「...まだ寝れる」
_
__

71以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/02(土) 13:29:54 ID:IGfMFRa6
__
_
雑兵「野営ってどこでやるんすか?」

上等兵「山ン中とかが定石だが、今回は違うっぽいな」

兵長「平原の演習場だとよ、どうしようもねえよもう」

雑兵「平原って、ここの城の周りマジの平原で隠れるとこまったくないじゃないですか」

上等兵「そうなんだよなぁ...」

兵長「俺らは近衛混成連隊の隣か...嫌味ばっか言われるんだろうなーバンダレイんとこ広くしようぜ」

上等兵「無理でしょ」

72以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/03(日) 20:03:15 ID:vjHkOHwQ
天使「自分たちはどんな動きをすれば…」

上等兵「あー…まぁ…焚き火囲んでる時に襲われれば良いんじゃないですか?」

天使「えぇ…」

兵長「いや、マジで野営ってもそれしかやることねぇんだ俺らの部隊って、初っ端の戦闘で撃破されなきゃいけない部隊の一員」

上等兵「悲しいけどな、確かに俺らが切り込みやっても意味ねぇし…」

雑兵「やられなきゃいけない…って事はやられなくても良いんすか?」

兵長「え?」

雑兵「やられなきゃいけないんですよね?って事は逆を言えばやられなくても良いって事でしょ?」

上等兵「え…お前何言ってんの」

雑兵「なんか命令でやられろって言われてんすか?」

兵長「それは無いけど…いてもあんま俺ら意味ねぇし」

73以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/03(日) 20:07:05 ID:vjHkOHwQ
上等兵「いいか、雑兵?俺らはな?野営で勲功をあげたら結構萎えられるタイプの部隊なんだわ、アレだ、テンション上がってる時に空気読めない奴が変な事言った感じの空気になる」

兵長「それにお前が優秀賞を取るのは無理だと思うぜ、こんなこと言ったらアレだが

74以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/03(日) 20:11:23 ID:vjHkOHwQ
上等兵「確かにお前らは頑張ってきて、慣れてきたけど、他部隊の新隊員達は最初から頑張ってきてな、基本中の基本の動きも出来る、コレらは俺らの教育の問題だが…」

兵長「何が狙いなんだ?まさかとは思うが…」

雑兵「騎士団長とやらに聞きたいことがあるので」

兵長「はぁ〜…やっぱり」

上等兵「何聞くんだよ、騎士団長相手によ」

天使「…」

兵長「頼むから面倒な気は起こさないでくれ…やる気出してくれるのはありがたいし、応援したいが…」

上等兵「身分差がヤバイんだよ」

75以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/03(日) 20:24:04 ID:vjHkOHwQ
天使「…それはおかしいです!」

上等兵「うおっ…」

天使「先程から黙って聞いていれば…何なんですか?!」

兵長「え?俺ら?」

天使「確かに雑兵はバカだし!空気読めないとこもあります!!」

雑兵「ンヴッ(即死)」

天使「でも!何もわからない所で一から始めて!!初めて挑みたい事が産まれたんです!!頑張りたいって思えた事が生まれたんです!!それをなんで!!」

上等兵「ご、ごめんって…でも俺らは…」

天使「独立雑兵大隊だからなんなんですか!!みんなと同じ兵隊でしょ!?雑用しかしないからなんなんですか?!剣を貰って軍服を貰ったんなら兵隊でしょ!」

兵長「…」

上等兵「た、確かに俺も最初はこの部隊を変えたいって思ったこともあったが…やっぱ一度ついたイメージはな…」

天使「何で応援できないんですか!?一度諦めて、挑戦したい後輩がいるのに何で!!」

76以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/03(日) 23:19:08 ID:vjHkOHwQ
上等兵「…」

兵長「…天使、そこまでにしろ」

天使「でもっ…!」

兵長「そこまでにしろって言ってんだ」

天使「っ…」

兵長「すまんな、天使、辛い気持ちにさせて、俺らも卑屈になってたんだ、努力したって所詮は雑用部隊…戦争に出ても後方支援のこの字にもいられなかったからな…だが今回のお前らを見て、俺ら独立大隊もちょっと挑戦してみようと思った、これは本当だから」

雑兵「…」

天使「…」

兵長「雑兵、騎士団長に会いたい理由はもう聞かねぇ、会いたきゃ勝手にしろ、ただ優秀隊員をとらねぇとまず会えねぇってことを分かってんなら…やるこたぁわかるな?」

77以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/05(火) 13:32:34 ID:qpvte2h2
雑兵「評支大隊をギャフンと言わせることっすか?」

兵長「えらくざっくりしてるが…まぁそんなところだ」

上等兵「お前一人で出来ることとは思ってないが、お前の頑張り次第では協力してくれる隊員もいるかも知れん、まぁ俺からも掛け合ってはみるが」

雑兵「死んでもやります」

兵長「いや死ぬなよ…まぁそんくらいの覚悟がありゃもう何も言わねぇさ、野営中は好きにやりな」

雑兵「はい、大将首勝ち取ってきます」

上等兵「それは…流石に無理だと思うが」

天使「傭兵団長誰だか分かってる?」

雑兵「じゃあ…ぼちぼちやります[

兵長「うーん…」

上等兵「諦めが早いというか…」

78以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/05(火) 13:34:37 ID:qpvte2h2
兵長「隊長にも言ってくるわ、多分好きにやらせてくれると思うが」

雑兵「ありがとうございます」
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79以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/05(火) 13:38:52 ID:qpvte2h2
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隊長「骨ありすぎじゃね?」

兵長「そうなんです、どこでスイッチが入るか分からんで…中々困った奴ですよ、雑兵のやつ」

隊長「まぁ評支をぶち倒すのは面白そうだからいいけどさぁ…あいつ一人じゃ無理だろ」

兵長「はい…なので隊員にも軽く協力してもらおうかと…」

隊長「ウチの隊員たちになぁ…協力かぁ…うーん…」

兵長「まぁ難しいっすよね…協調のきの字もないっすから…」

隊長「ちょっと…雑兵と天使連れてきてくれねぇか?まだあんま話してなかったからこの機会に話してみてぇんだ、野営で何するかも」

兵長「はい、連れてきます」

80以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 17:39:05 ID:7iqUfXjI
そして…

隊長「さぁて、教育期間も来週の野営で終わりだ、改めて挨拶をする、俺が独立大隊の大隊長だ、顔だしてやれんですまんな」

天使「い、いえ!大隊長とお話しできて嬉しいです!」

隊長「この前の救護の学習、いい成績だったな、衛生隊の新隊員よりもいい成績だったぞ」

天使「と、取り柄はそれしか無いもので…」

隊長「いや、素晴らしい隊員だ、ウチには勿体無いくらいにな…して雑兵」

雑兵「はい」

隊長「お前、今度の野営でブチかますらしいな?」

雑兵「その予定です」

隊長「結構、大いにやれ…たがな、途中で投げ出すんじゃねえぞ?どんな手を使って勝ち取ってもいいが…中途半端に投げ出されちゃお前の今後どんな事を言われるか分かったものじゃ無い…勝つか負けるかしか無いからな」

雑兵「分かってます、死ぬ覚悟でいく予定です」

隊長「うん、お前ら野営では俺らに構わず思う存分暴れてこい、これが俺の命令だ」

天使「はい」

雑兵「はい」

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81以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 17:45:40 ID:7iqUfXjI
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天使「野営ドキドキするね…雑兵本当にやる気なの?」

雑兵「うん、なんか今までに無いくらい昂ぶってるからやろうかなと」

天使「なにそれ…でもこんなにやる気がある雑兵見たの初めて」

雑兵「そう俺も戸惑ってるんだよ、実は」

天使「ップ…何か手伝って欲しかったら幾らでも言ってね?」

雑兵「そうしたいが天使には天使の立場があるからな、なんとか頑張ってみるよ」

天使「ふーん?僕じゃ頼りない?」

雑兵「いやっそういうわけじゃ無いんですが」

天使「ふふっ冗談だよ、でも雑兵が困ってたら助けるから、これだけは譲れない」

雑兵「…あぁ、俺もお前の為に頑張るよ」

天使「じゃあ、おやすみ」

雑兵「あぁ」

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82以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 18:05:20 ID:7iqUfXjI
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野営は三泊四日で行われる、初日から次の日の半日は各部隊は有事の際の基本的行動を学び、それが終了次第兵士としての基本的行動…まぁ大規模なチャンバラが始まる。独立大隊の有事の際の基本的行動は主に…本当に雑務ばっかりで各部隊に三名の隊員が配置され、それぞれの雑務を行う。トイレ掃除 厩の設置 馬に干し草をあげたりフンの処理…ただ部隊と一緒に死ねというわけでは無いらしく、戦闘が始まれば折を見てげんたいに帰るらしい。意味がわからない。

雑兵(俺と他2名は騎士団の新隊員と行動を共にする…隊長に感謝しないと)
伍長「なぁ坊主…おめぇなんかブチかますって本当か?」ヒソヒソ

雑兵「はい…まだ時期じゃ無いっすけど」

一等兵「いいねぇいいねぇ、おらそう言うの大好き、で、なにやんの?」

雑兵「騎士団の新教のチャンバラが始まったら自分たちは逃げてもいいじゃ無いですか」

一等兵「ん、そうだなや?」

雑兵「多分騎士団を狙うのは評支のお偉方部隊だと思うんですよ」

伍長「かもなぁ」

雑兵「そこで、逃げるふりして状況外になった傭兵の服を剥ぎ取って傭兵に化けるんです」

伍長「マジぃ?大丈夫かそれ?」

83以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 18:08:28 ID:7iqUfXjI
雑兵「傭兵の格好はバラバラらしいんで、俺が傭兵に扮装してもバレんと思うんですよ」

一等兵「確かにそうだけんども…見つかったら大目玉だでや」

伍長「最悪営倉入りだな」

雑兵「俺はそれでいいんです、ただ騎士団長に聞きたいことがあるので」

伍長「はぁ〜おめぇ肝座ってるなぁ9…よっしゃ気に入った!俺らも手伝ったるわ!」

一等兵「んだすな!独立大隊にきて久々に楽しそうなことがあんだもんな!新隊員がやるなら俺らも立ち上がらにゃ!」

雑兵「ありがとうございます…」

伍長「…しかし傭兵になってどうするんだ?」

雑兵「そこなんです…」

一等兵「あたーそこだなや…」

84以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 18:12:38 ID:7iqUfXjI
伍長「おいいたずら小僧、なんかないか?」

一等兵「そうだすなぁ…定石にいきゃあ傭兵の格好して、本陣までいって傭兵団長をブスリと…」

雑兵「それでいきましょう!」

伍長「はや!」


「おい!雑兵大隊!厩を綺麗にしとけ!」

一等兵「へいへいただいま!雑兵話しは後で固めるだ、行くど」

雑兵「はい…!」

雑兵(みんな俺のために…俺も頑張らねぇとな)
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85以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 22:53:57 ID:7iqUfXjI
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「おい…聞いたか?傭兵団長ってあの勇者様らしいぜ…」

「嘘だろ?なんで勇者様が傭兵団なんかに…」

「んな事はどうだっていい…勇者様が指揮してるんだ…エライ精強な傭兵団だぜ…」


天使「…」

兵長「…雑兵が心配か?」

天使「はい…何をしでかすか判らないので」

上等兵「そっちか…しかし騎士団付きの雑務隊に行くとはなぁ…隊長のお陰だぜあのやろう」

天使「騎士団付きの雑務隊が良いって、どうしてなんですか?」

兵長「直接勲功を見てくれるしな働きようによっちゃあ優秀隊員…」

上等兵「しかし雑務隊は会敵したら帰隊するのが定石ですからね…伍長さんと一等兵が乗ってくれるか…」

86以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/10(日) 23:10:11 ID:7iqUfXjI
兵長「伍長さんと一等兵コンビなら多分のってくれると思うぜ…あのいたずらコンビなら楽しむかもな」

上等兵「一等兵のやつはこといたずらに関しては頭が軍師並みに切れますしねぇ、雑兵の作戦が何かは知らないが…」

兵長「大丈夫だろ…まぁ無理でも今は新隊員だし…」

天使「…」

上等兵「祈るしかないっすね」

「天使さーん、ちょっと救急キットの使い方を教えてあげて欲しいんだけど」

天使「は、はい!」


兵長「まぁ今は自分の心配だな」

上等兵「衛生部隊にはこんでしょう」

兵長「だといいが…?ん?」

上等兵「どうしました?」

兵長「あの丘…木茂ってたっけ」

上等兵「…て、敵襲!!!!」
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87以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/12(火) 23:29:50 ID:VPjdSs2s
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「衛生の新隊員教育隊の展開地が奇襲されたそうだ…」

「衛生って事は…俺ら展開地の近くじゃん」


騎士団長「いいなぁいいなぁあの狼狽っぷり」

副団長「趣味が悪いですよ騎士団長…まぁ楽しいですが…」

騎士団長「我々が新隊員の時を思い出すな、副団長?」

副団長「はい、自分もあの時は、あの子らみたく右も左も分からないまま展開地に入れられましたからね」

騎士団長「覚えてるか?当時の騎士団長が奇襲攻撃のため敵が集結してるのを気付いて無くて、我々も行軍してたら…」

副団長「あぁ、鉢合わせで傭兵団長も騎士団長も腰抜かして…あん時はほんと笑いを堪えましたねぇ」

88以下、名無しが深夜にお送りします:2018/06/12(火) 23:32:26 ID:VPjdSs2s
騎士団長「…ではそろそろ仕掛けてもらうかな…」

副団長「傭兵団長の所に打ち合わせに行くんですか?」

騎士団長「あぁ、盛大にやるぞ」



一等兵「だとよ…付いて行ってみるか?」

雑兵「しかしまだ会敵もしてないのに離れたら…」


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