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善子「夜桜と白の堕天使」梨子「リトルデーモンの答え」
208
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/06(火) 23:58:07 ID:Ps9dcmFg
梨子「……この世界での怪我は、瞑想で治るんだね」
善子「騎士が言うには、治るイメージを続ければ回復していくとか」
梨子「治る想像をする、ってことかな」
梨子「本当に、この世界では想像で何でも出来ちゃうんだね」
善子「……不思議」
梨子「うん、不思議」
209
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/06(火) 23:58:45 ID:Ps9dcmFg
善子「なんかさ、ゲームだと思えないくらいリアルよね」
梨子「うん、凄く分かるよ」
梨子「浦の星に居た時と、どっちが現実なのか分からなくなってしまいそう」
善子「ね、ほんと」
梨子「うん」
しーん……
善子 ( ま、まずい……会話が続かない!! )
善子 ( どどどどうしよ、えっと、何か話題を )
善子「良い天気ね」
善子 ( ああああああああああああぎこちなさすぎる!! )
210
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/06(火) 23:59:38 ID:Ps9dcmFg
梨子「うん、綺麗な夜空だよね」
梨子「月も綺麗」
善子「!? 」
善子 ( これ、あれ、もしかして月が綺麗ですね的なあれ!? )カァ〜
梨子「ご、ごめん!決して告白とかじゃなくて……その……」
梨子「本当に綺麗な月だな、って思って……」
善子「だだ、大丈夫よ、梨子には前に振られたでしょ? 」
善子「あの時にもう気持ちの整理はついてるからさ、気にしないで」
211
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:00:42 ID:KOgdN/O.
善子「それにしても、月、綺麗ね」
善子「沼津では最近くもりが多かったから、満月を見るのは久しぶりかも」
善子「これくらい綺麗だと、お月見がしたいわね」
梨子「そうだね、二人でお団子食べて、お話して」
善子「やっちゃう? 」
梨子「えっ」
善子「想像で何でも出来るんだもの、団子作ってお月見しましょ」
梨子「そっか、想像で何でも……」
212
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:01:26 ID:KOgdN/O.
梨子「じゃあ、あのね、私お花見もしたい」
善子「お花見とお月見を一緒に? 」
梨子「あっ、ううん、そこまでは考えてなかったんだけど」
梨子「でもいいかも、お花見とお月見を一緒にやるなんて現実じゃ難しいし」
善子「団子は創造出来るけど、桜の木は今の私たちじゃ創れないわね」
梨子「騎士が言ってた夫婦にお願いするのはどう? 」
善子「それいい! 」
213
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:02:18 ID:KOgdN/O.
善子「うんと星が綺麗に見える場所に、桜の木を創ってもらってさ、二人で時間を過ごしたい! 」
梨子「うん! 」
善子「じゃあ、夫婦を探しにいこっか」
梨子「わかった! 」
善子 ( 夫婦を探しながら、色んなお店に行って、デートして…… )
梨子「あ、でも待って」
梨子「少し現状の整理がしたいな」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
214
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:03:10 ID:KOgdN/O.
夫婦を探す前に、路地裏で私たち二人は現状の整理を始めた。
色んなことが頭の中でゴチャゴチャしていて難しかったから。
善子「私たちギルキスの三人で、曲作りのアイデアを得るために、このゲーム世界に入った」
梨子「あれ、そういえば鞠莉ちゃんをまだ見かけないけど、どうしたのかな」
善子「あっ」
善子 ( 実は私と梨子二人しかゲーム世界に来ていない )
善子 ( 鞠莉の粋な計らいで、ギクシャクしていた私と梨子が二人きりになれる機会をくれた )
善子 ( 私は昔、梨子に振られて……うぅ、あんまり思い出したくないわ )
善子「あ、言い忘れてた……鞠莉は急用を思い出したから、先に帰るって」
善子「一番最初の白い空間で、先に出口から帰っちゃった」
梨子「なんだ、そうだったんだね」
もちろん、鞠莉が帰ったなんて嘘。
そもそも鞠莉はゲームに参加すらしていないもの。
215
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:04:00 ID:KOgdN/O.
善子「まず、このゲームの目的はお姫様を救うこと」
善子「そして、このゲームでは想像したものが創造出来る」
善子「想像力の強さに応じて、創れるものも変わってくる」
善子「想像力が高ければ、創造力も高い」
善子「私たちのこの世界での姿は、無意識のうちに想像していた姿」
善子「つまり、なりたい理想像」
善子「私が堕天使ってのは分かるんだけど……」
梨子「私は普通の制服」
善子「理想像とかないの? 」
梨子「うーん、考えたことないかも」
216
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:04:30 ID:KOgdN/O.
善子「次に、今までの振り返りね」
善子「私が目覚めると、真っ白い空間にいて、大きな穴と黒い扉があった」
梨子「善子ちゃんは一番最初にそこで、運良くお姫様と出会ったんだよね」
善子「うん、姫とはそこで出会った」
善子「だけど、姫は私と一緒に外の世界へ出ることを拒んだ」
善子「"穴の中から自分を呼ぶ声がする"と」
善子「"声の主を姫の元へ連れてこれば、一緒に出る"と姫は言った」
善子「それで私は穴の中に飛び込んだってわけ」
217
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:05:20 ID:KOgdN/O.
梨子「目覚めたら見知らぬ森で、すぐに騎士さんと会ったんだっけ? 」
善子「そうね、すぐに騎士とは仲良くなって色んなことを教えて貰ったわ」
善子「騎士は姫を探していたわ、それで騎士が"声の主"であることが分かったの」
善子「それから梨子と出会って、姫の居る空間を探し始めた」
梨子「ここは夜の世界なのに、姫がいたところは真っ白な世界……」
善子「私が目覚めた森の近くにその空間はあるんじゃないか、と思って探しに行ったけど、そこには無かった」
218
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:05:58 ID:KOgdN/O.
善子「私の推測だけど、ワープホールのようなものを創造出来る人がこの世界にいるんじゃないかと思ってる」
善子「真っ白い空間を創れるほどの想像力があれば、ワープホールくらい容易く創れるはず」
善子「私はそのワープホールに落ちてしまって、世界のどこかにランダムで飛ばされてしまった」
梨子「たまたま飛ばされた先が森だった、ってことか……」
梨子「ワープホールを創れるほどの想像力を持つ人、その人を探す方が早いのかもね」
梨子「白い空間を探すより」
善子「そうかもしれない」
善子「となると、この世界で一番想像力があるのは……」
梨子「あっ」
よしりこ「例の夫婦!! 」
梨子「偶然だけど、色んなことが重なった気がするね」
219
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:07:11 ID:KOgdN/O.
善子「まだ整理が付けられないことも話しましょうか」
梨子「うん」
善子「まず、仮姫」
梨子「私が崖下で会った、強い人だね」
善子「騎士が言うには、剣道っぽい動きをしてたから、姫の可能性があるとか」
善子「でも私は仮姫は姫じゃないと思う」
善子「なんか、なんとなく違うと思う」
220
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:08:47 ID:KOgdN/O.
梨子「整理が付けられないと言えば、ひとつ分からないことがあるのだけど」
善子「なに? 」
梨子「テント村で、善子ちゃんが急に豹変したこと」
-----------------------------
村人A「俺を殺すのが可愛そうなんじゃなくて、人を殺すのが怖いだけだろ? 」
善子「こ、怖い? 」ドクン
善子「こ、怖くなんて……怖くなんて……!! 」ドクンドクン
ヨハネ「怖くなんてないわよ、大事な人を守る為なら、どんな罪でも背負うわ」
-----------------------------
221
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:09:19 ID:KOgdN/O.
善子「それ、私もよく覚えてないのよね……」
善子「一瞬クラッとして、その間の記憶が無くてさ」
梨子「うーん、そっか……善子ちゃんにも分からないことだし、整理するのは難しいね」
梨子「もしかして"怖い"と思ったら人格が変わっちゃうとか? 」
善子「まさか、ね……」
善子「だって私、別に多重人格とかじゃないしさ」
梨子「だよね」
善子「でもやっぱり怖い、これからクラっと来たら気をつけないと」
222
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:10:21 ID:KOgdN/O.
善子「で、これからやることも整理しましょ」
善子「まず騎士が回復している間、私たちは夫婦に会いに行く」
梨子「夫婦は白い空間について何か知ってるかもしれないよね」
善子「ついでに夫婦にお願いして、桜の木を創ってもらって」
善子「二人でお花見とお月見を同時にやる」
梨子「うん」
善子「騎士が回復したら、また白い空間を目指して歩く」
梨子「夫婦が白い空間のことを知ってたら、ゲームの終わりは近いね」
善子「もし夫婦が何も知らなかったら、今度は仮姫を探して捕まえる」
善子「夫婦も仮姫も白い空間のことを知らないなら、ゲームは振り出し」
223
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:11:02 ID:KOgdN/O.
善子「どう、整理出来た? 」
梨子「うん、さっきよりは! 」
善子「よっ、と」スッ
善子「じゃあ、夫婦を探しましょうか! 」
梨子「うん! 」
私は梨子に手を差し伸べた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
224
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/07(水) 00:11:43 ID:KOgdN/O.
今回はここまでです
225
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/11/07(水) 07:10:37 ID:cDrVbW8A
乙
前回の更新見逃してた
226
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/11/07(水) 08:53:15 ID:meYZB1dQ
乙
227
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:14:57 ID:uDqJU1Hs
【セントラル】
夫婦を探すとはいっても、私にとっては梨子との最後のデート。
本当は夫婦なんて探さずに、ずっとずっと二人で歩いていたい。
善子「梨子、こっちこっち! 」
善子「見てこのアイスクリーム、夜空みたい」
梨子「綺麗……!! 」
店員「おや、このアイスが食べたいのかい? 」
善子「」コクッ
店員「嬉しいなぁ、このアイスはおじちゃんの夢なんだ」
228
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:16:28 ID:uDqJU1Hs
店員「子供の頃から色んなアイスを考えてたんだけど、実現出来なくてね」
店員「でもここなら願いが叶う、本当に夢のような世界だよ」
善子「凄く綺麗、私はこのアイス好きよ」
梨子「うん、私も好きかな……」
店員「いい子達だなぁホントに」ウルウル
店員「はい、特別にちょっと増量! 」スッ
善子「えっ、あ、ありがと……! 」
梨子「ありがとうございます! 」
善子「」ペロッ
アイスクリームじゃお腹は満たされないけれど、少しだけ心が満たされるような気がした。
229
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:17:00 ID:uDqJU1Hs
善子「あっ、その、次はどこに行く? 」
梨子「えっ、夫婦を探すん……」
善子「アクセサリー屋さん、いや、それとも綺麗な景色の見える場所……」ブツブツ
梨子「……」
梨子 ( ふふっ、今は夫婦を探そうなんてこと言うのは野暮だよね ) ニコッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
230
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:18:01 ID:uDqJU1Hs
【 アクセサリーショップ 】
善子「こ、これ梨子に絶対似合う! 」
桜の花びらを模した髪留め、散ることのないその花びらは、永遠に綺麗なままで梨子を飾ってくれると思う。
梨子「う、うん……ありがとう……! 」
この世界の商品は大体そうなんだけど、店員さんにしか創れないようなものが多い。
到底、私なんかじゃ想像もつかないようなものばっかり。
231
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:18:45 ID:uDqJU1Hs
善子「あのさ、えっと、ネックレスとか好きだったりする? 」
梨子「え、まぁ……うん、好きかな」
善子「良かった、じゃああの、ドクロのやつとかどうかな」
梨子「うーん、骸骨はちょっと怖いかも……」
梨子「……」
善子 ( 梨子が苦い顔になった……!! )
善子 ( どうしよう、どうしよう、せっかく最後のデートなのに、私じゃ梨子を楽しませられない )
善子 ( このまま余計に仲が悪くなってしまったら、どうしよう )
善子 ( Aqoursの活動もある、一緒に曲作らなちゃ、梨子を諦めなくちゃ、梨子に迷惑かけちゃダメだ、梨子に…… )
ドクン、ドクン─────
鼓動が大きくなって、心臓の音しか聞こえない……!!
足の震えも止まらない……!! ダメだ、こんな様子じゃ梨子が近寄りにくいじゃない……!!
232
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:20:17 ID:uDqJU1Hs
善子「っ……」
梨子 ( 善子ちゃん……? )
善子 ( 意識が遠のく……クラっとしないように…… )
酷く頭が痛い……!!
善子「はぁっ……はぁっ……」
善子「はぁ……私が……」
善子「耐えないと……はぁっ……」
善子「はぁ……」
電源が落ちたように、フラリと倒れ込む善子。
梨子「善子ちゃん、まさか……!! 」
梨子「大丈夫、大丈夫だから! しっかりして!! 」タッタッ
梨子は、善子のことを強く強く抱き締めた。
233
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:21:39 ID:uDqJU1Hs
善子「はぁっ……はぁっ……」ガチガチガチ
梨子「怖くない、怖くないよ!! 」
梨子「大丈夫だから……ね? 」
善子「ふぅ……はぁ……はぁ……」
梨子 ( やっぱり……何かを怖がってるように見える )
234
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:22:35 ID:uDqJU1Hs
善子「梨子……梨子……? 」
善子「リリー……」
せっかく我慢していたのに、涙が出てしまう。
善子「……」ポロポロ
梨子「っ……!! 」ギュウッ
善子「うぅっ……ごめん、ありがと、ありがとね……!! 」
梨子「ううん……!! 」
悲しくほほ笑む梨子の目尻は、少し輝いていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
235
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:25:16 ID:uDqJU1Hs
店内では流石に迷惑になってしまうので、梨子に連れられ外に出た。
人通りの少ない大通り、涙を風で乾かす。
善子「ありがとう、もう大丈夫よ」
梨子「うん、落ち着いたみたいで良かった」
梨子 ( 善子ちゃんの異変について、しっかり向き合わなきゃ )
梨子 ( もう一度、思い出そう…… )
-----------------------------
善子「こ、怖くなんて……怖くなんて……!! 」ドクンドクン
ヨハネ「怖くなんてないわよ、大事な人を守る為なら、どんな罪でも背負うわ」
-----------------------------
梨子 ( 普段の善子ちゃんじゃなかった、あれは多分…… )
梨子 ( 堕天使ヨハネ )
236
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:27:12 ID:uDqJU1Hs
梨子 ( 善子ちゃんが厨二病魂を発揮している時と似ている……よね )
梨子 ( 善子ちゃんが堕天使を自称していることと、何か関係があるのかな? )
梨子「ねぇ、善子ちゃん」
善子「どうしたの? 」
梨子「善子ちゃんは、どうして堕天使なの? 」
善子「えっ」
梨子「善子ちゃんの様子が急変することと、何か関連があるんじゃないか……と思って」
善子「あ、うん、唐突でビックリした」
善子「えっと……私の人生ってさ、結構辛いことばっかりでさ」
237
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:28:33 ID:uDqJU1Hs
善子「思い込みだと思うんだけど、運が悪いっていうか不幸っていうか……辛いことが本当に多くて」
善子「傘を持って出かけたら晴れるし、よくものを無くすし、ジャンケン弱いし」
善子「本当はさ、凄く辛いの、強がってるだけで……詳しくは言いたくないんだけど……」
善子「"辛いのは、神様からのバツなんだ"って思わないと、やっていけないよ……」
善子「とーっても美人だから、天界から追放されたんだ」
善子「って、自分に言い聞かせてる」
善子「本音を言えば、別に自分が美人だなんて思ってないわよ」
善子「でも"自分は堕天使だ"って、冗談でも言っておかないと、辛いの」
238
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:29:27 ID:uDqJU1Hs
善子「……」
-----------------------------
善子パパ「よっちゃんは可愛いなぁ、天使みたいに可愛いよ」
善子(4歳)「えへへ、 パパだいすき! 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
善子パパ「……」
善子「や゙だぁ゙ぁ゙ぁぁ゙ぁ!! 」ポロポロ
善子「しな゙っ、じな゙ないでよ゙!! パパァァ゙ァ゙ァァァ゙!! 」
善子「ゔわ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁ゙ぁ゙ぁぁぁ゙ん゙!! 」
-----------------------------
善子「何だろうね、自分でも分かんないけど……」
善子「"堕天使"って設定に頼りっきりだよ」
梨子 ( ……? )
239
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:30:15 ID:uDqJU1Hs
梨子「何かあったの……? 」
善子「ううん、何でもない! 」ニコッ
善子「堕天使はまぁ、設定よ、設定」
善子「さ、行きましょ! 」
善子「私はもう大丈夫だからさ」
善子 ( パニックにならないように、焦らないようにしなきゃ )
善子 ( 今後のことは考えないで、今この瞬間を楽しむことに集中しよう )
善子 ( 梨子への想いを忘れるための、最後のデートなんだから )
梨子 ( ……何か隠してる気がする )
夫婦を探して、再び歩みを進めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
240
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 01:42:03 ID:uDqJU1Hs
今回はここまでです。
すみません、まだまだ物語の2/5くらいしか進められてないです……
絶対にエタらないので気長に付き合って下さると嬉しいです。
早めに完結出来るように頑張ります!
241
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/11/12(月) 19:21:38 ID:pq1RINSE
いつも楽しく読ませてもらってるよ
長編嬉しいわ
242
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/12(月) 22:24:53 ID:uDqJU1Hs
ありがとうございます!
243
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:11:03 ID:YAHNZS5Q
【アパレルショップ】
セントラルの中でも、ひときわオーラを放つ店を見つけたので寄ってみた。
店は二階建てで、屋根には社交ダンスをする男女の大きな銅像が建っている。
しばらく物色をしてから、梨子に色々な服を試着してもらってるのだけど、やっぱりどれも似合う。
梨子「着替えたよ」
試着室のカーテンから顔を少しだけ覗かせる梨子、少しだけ頬が赤い。
梨子「どうかな? 」
善子「うっ……似合いすぎてるわ…!! 」
梨子「はい! 」
善子「ぎゃーっ! 美しいーー!! 」
梨子「えへへ」
善子「冬服もまた似合う……っ!! 」
244
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:11:58 ID:YAHNZS5Q
梨子「ホントにいいの? 」
善子「うん、梨子の浴衣姿を見たかったから」
梨子「じゃあ……」スッ
善子「……!! 」
善子「浴衣……」
浴衣には想い出がある。
私が梨子に振られたあの日、夏祭りの日のこと。
『よっちゃんとリリー』から『善子と梨子』に変わったあの日……
245
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:12:49 ID:YAHNZS5Q
-----------------------------
-----------------------------
今から約半年前……
【浦の星女学院 部室】
千歌「なんとなんと、市長から夏祭りライブの依頼が!! 」
鞠莉「私達の努力を見込んで "ライブで夏祭りを盛り上げて欲しい" って」
曜「浴衣を着られる! 」
果南「夏祭りかぁ、昔は三人でよく行ったよね」
ダイヤ「昔から変わらず、街をあげて盛り上がる一大イベントでしたね」
梨子「こっちの夏祭りはどんな感じなの? 」
千歌「屋台とか沢山並んで、夜には花火がババーンって打ち上がるよ」
ルビィ「綺麗だよね、花火」
花丸「夜空にパッと咲いてはすぐに散る花……儚いずら」
246
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:13:34 ID:YAHNZS5Q
梨子「いつやるの? 」
千歌「8月13日だよ」
善子「13日!? 」
千歌「夏休みだから学校は無いよー」
善子「いや、それで驚いているんじゃなくて」
善子「13日は、ペルセウス座流星群が観測される日なの」
ルビィ「流星群!? 」
曜「凄い偶然! 」
梨子「奇跡みたい……!! 」
千歌「流れ星の下でライブするんだ、良い! 良いよそれ! 」
鞠莉「私達も、夜空の星に負けないように輝かないとね! 」
果南「当日は晴れるといいね」
ダイヤ「晴れますよ、きっと」
247
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:14:30 ID:YAHNZS5Q
花丸「何の曲を披露するの? 」
千歌「それなら千歌が考えてきた案があんだけど」
千歌「"あん"だけに、なんつって! 」コンッ
しーん
鞠莉「oh…it's so cold……」
千歌「あははー……」
善子「で、どんな曲なの? 」
千歌「えっとね、盆踊りみたいな、音頭みたいな感じ」
千歌「皆で浴衣着て踊りたい」
曜「さんせーーい、浴衣賛成でありまーす」
248
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:15:28 ID:YAHNZS5Q
善子「……」コソコソ
善子「リリー、今日も夜にお話出来る? 」ヒソヒソ
梨子「うん、夜10時くらいからでもいい? 」
善子「うん、分かった」
六月くらいから、私達二人は互いに距離を縮めていた。
東京からの転校生であるリリーと、長らく不登校だった私が意気投合するのは、必然というか何というか。
周りから浮いている、周りに馴染めない二人だったから、惹かれあったんだと思う。
初めはただの友達だったけれど、それは段々と恋心に変わっていった。
今は夜に長電話する仲なのだけど、恋人同士ってわけじゃない。
告白する勇気が出ないからね、仕方ないわよ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
249
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:16:44 ID:YAHNZS5Q
夜……
【善子の家】
善子「でさー、今日はカクカクシカジカ……」
梨子『……』
善子「どうかしたの? 」
梨子『あっ、ううん』
梨子 ( どうしよう、話がよく分からない )
梨子 ( ハルマゲドンとか、ソドムとゴモラとか、多分神話のお話なんだろうけど…… )
梨子 ( リアクション薄いままだと、よっちゃんに嫌われちゃうかもしれないもんなぁ…… )
善子「聞いてる? 」
梨子『あ、ごめん! ボーッとしてた』
250
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:17:35 ID:YAHNZS5Q
善子 ( うーん……堕天使とかはよく分かんないわよね )
善子 ( やっぱり私の趣味を押し付けるのはダメね、リリーが知ってる話題に変えなくちゃ )
善子 ( リリーが知ってる話題……なんだろう )
善子 ( 音楽、ピアノ、かな? )
善子「リリー、そういえばさ……」
梨子『ん? 』
善子「……」
梨子『? 』
善子 ( 音楽分かんないーーーーっ!! )
善子 ( ピアノの知識も無いわ……どうしよ )
梨子『……? 』
善子 ( あああああああああダメだ、しーんってなっちゃう! )
善子 ( えーっと、えっと )
251
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:19:08 ID:YAHNZS5Q
善子「あ、あのさ、アレよ、アレ」
梨子『アレって? 』
善子「きょ、今日は学校どうだった? 」
梨子『楽しかったよ! 』
善子「そ、そう……良かった〜」
梨子 ( よっちゃん、多分緊張してるよね…… )
梨子 ( 二人きりになるといつも焦ってて、何だか申し訳ないなぁ…… )
梨子 ( 私が頑張らなくちゃだね……!! )
252
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:20:01 ID:YAHNZS5Q
梨子『よっちゃんは学校どうだった? 』
善子「えっ、私? 」
善子「今日は休み時間に皆を占ってあげた」
梨子『へぇ、占いやったんだね! 』
善子「えぇ、本格的なものじゃないんだけど」
梨子『今度私も占って欲しいなぁ』
善子「うん、分かったわ」
253
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:20:49 ID:YAHNZS5Q
善子 ( 変ね……リリーがこんなに積極的に話題を振ってくるなんて )
善子 ( もしかして私の話題が面白くないから? )
善子 ( それとも、私がテンパってるのを心配して……? )
善子 ( 分かんないけど、どっちにしろ私がもっとしっかりしなきゃいけないわね )
善子 ( リリーが好きそうな話題を、勉強してこよう! )
梨子 ( よっちゃんが好きそうな話題を、勉強してこなくちゃ! )
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
254
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:21:31 ID:YAHNZS5Q
梨子「七つの大罪、強欲、色欲、嫉妬、怠惰……」
梨子「審判、ルシファー、黙示録、ゼウス、金獅子、ヘルメス、ミノタウルス……」
梨子「いっぱい単語が出てくるね……暗記苦手だけど、頑張らなくちゃ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
255
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:22:11 ID:YAHNZS5Q
善子「んん、ヘ音記号? ハ長調? 」
善子「クレッシェンド、これは知ってる! 教科書で見た」
善子「コード進行……うーん、よく分かんないわね」
善子「ああああああ難しい!! でもこのままじゃリリーを楽しませられない!! 」
ふと、机の上の占いグッズに気づく。
善子「……占いとかで話題広げようかしら」
自分でもよく分からないままに、なんとなく私とリリーの今後を占いたくなった。
善子「リリーとの恋は上手くいきますか」サッサッ
256
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:22:47 ID:YAHNZS5Q
善子「……」
善子「恋愛関係にはなれない……か」
善子「いや、もっかい占いすればワンチャンあるかも! 」
善子「……」
善子「うぅ……さっきと一緒かぁ……」
善子「リリーに占い頼まれたとしても、この結果は見せたくないわね……」
善子「上手くいかないなんて、嘘よ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
257
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:23:50 ID:YAHNZS5Q
夏祭りに行く前に、二人きりで映画を見に行くことになった。
その映画は、いわゆる感動系の恋愛モノ。
流れ星の日に愛を誓い合った夫婦の物語で、結婚生活の途中ですれ違い、二人は別れてしまう。
それから二人は別々の人生を歩むけれど、30年後、二人は運命的な出会いをする。
その日はたまたま流れ星が観測される日で、二人は再び愛を誓い合う……という映画。
ありきたりな展開だけど、映像が凄く綺麗って話題なのと、近々私達も流れ星を見ることになるだろうから、一度見ておきたかった。
258
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:24:30 ID:YAHNZS5Q
【 映画館:入口 】
善子 ( ストーリーは大体ネタバレくらっちゃったから、正直楽しみが薄いのよね…… )
善子 ( はぁぁぁぁぁ……この映画みたいに、流れ星の日にリリーと結ばれて……あああああああああああ照れる……/// ) ジタバタ
梨子「待たせちゃってごめんね!」タッタッタッ
梨子「バスが渋滞に引っかかっちゃって……」
善子「全然大丈夫よ、上映時間までまだまだあるし」
善子「そこで座って開始まで待ちましょうか」スタスタ
梨子「うん」スタスタ
二人同時に腰を下ろす。
259
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:25:56 ID:YAHNZS5Q
梨子 ( よし、沢山勉強してきた成果を見せる時! )
梨子 ( でもいきなり天使とか悪魔の話すると、唐突すぎて変よね )
梨子 ( よっちゃんがそういう話をしてきた時に、良い感じに返せばいいかな )
梨子 ( じゃあまずは、そういうの以外から……えーっと )
梨子「あ、占い! 」
善子「!! 」
梨子「この前に二人で話した時に、よっちゃん私のこと占ってくれるって言ってたよね」
善子「え、えぇそうね」
善子 ( ヤバい……二人の今後とか聞かないでねマジで頼むわよ神様仏様ヨハネ様〜〜! )
梨子 ( これから恋愛モノ見に行くんだし、そういうムードにした方がいいよね )
梨子 ( よっちゃんとは、恋人になりたいから……そういう雰囲気にするのは大事!! )
260
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:26:49 ID:YAHNZS5Q
梨子「その……よっちゃんと私って、相性どうかな」
善子 ( ウソでしょ、マジ!? )
梨子「あ、別にその、えっと」
梨子「これからそういう映画見に行くじゃない? もし私たちが登場人物だったら、どうなるのかなぁって」
善子「それは、えーっとつまり、二人の今後みたいな? 」
梨子「え、えぇ、まぁその、もしもね、もしも! 」
手遊びするリリー、多分結果を期待してるけど不安なんだ。
善子「それなら、もう占ってあるわよ」
善子「二人の未来は青空! 太陽のように眩しい結末が待ってるわ」
善子「私の占いは外れないわよ、安心しなさい! 」ドヤァ
梨子「良かった……!! 」
261
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:27:32 ID:YAHNZS5Q
嘘をついた。
.
262
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:28:21 ID:YAHNZS5Q
善子「あ、ごめん……急なんだけど、ちょっとトイレしてくるね」スッ
梨子「うん、ここで待ってるね」
善子「すぐ戻ってくる」
個室の中で、沢山泣いた。
涙が、止まらない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
263
:
◆32r/eU7DO2
:2018/11/15(木) 01:28:52 ID:YAHNZS5Q
今回はここまでです
264
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/11/17(土) 03:53:13 ID:WODAqF/k
lcll ;.- ;ll 切ないですわ
265
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/12(水) 00:12:11 ID:poWg5mIk
『上映中』
俳優「あぁ、綺麗な夜空だね」
女優「ひとつ、ふたつ、流れ星が沢山見える」
俳優「僕達も、あの星々のように輝かない? 」
俳優「二人で」
女優「素敵……!! 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俳優「俺は毎日仕事で忙しいんだよ、帰ったら早く寝たいんだ! 」
女優「私だって疲れてるわ! 」
俳優「じゃあ早く寝ればいいだろ!? 」
女優「そういう言い方無いでしょ!! 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
266
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/12(水) 00:13:40 ID:poWg5mIk
俳優「別れてからもう五年か……」
俳優「どうして素直になれなかったんだ……」
女優「あの時もっと優しく声をかけていたなら……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから25年が経った。
俳優「1人で花見に来るのも、悪くは無いかな」
俳優「今夜は満月かぁ、散っていく桜との画が綺麗だな」
俳優「……あれ、もしかしてアイツじゃないか? 」
俳優「はぁ……はぁ……」タッタッタッ
女優「なんでここに……!! 」
俳優「ごめん! 」
俳優「ずっと謝りたかった、ごめん!! 」
女優「ううん、あたしの方こそごめん」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
267
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/12(水) 00:14:30 ID:poWg5mIk
女優「綺麗な夜桜……!! 」
俳優「あっ、あれ見て! 流れ星! 」
女優「流れ星……!! 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
映画は流れ星と夜桜、そして満月をバックに、二人のキスシーンで幕を閉じた。
……
268
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/12(水) 00:15:23 ID:poWg5mIk
映画を観終えた。また涙が溢れ出てくる。
映画の影響で泣いたのか、梨子との将来が不安で泣いたのか、よく分からない。
でも今は映画のせいで泣いたってことにしよう。
善子「綺麗だったわね、流れ星」
梨子「うん、月も桜も綺麗だった」
善子「……」
梨子「……」
269
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/12(水) 00:16:58 ID:poWg5mIk
梨子「次はどこ行こっか」
善子「あ、えっと……」
善子 ( ……あれ、行くところ事前に考えたはずなのに、どこだったっけ? )
善子 ( ダメだ……早く思い出さないと…… )
梨子 ( よっちゃん…… )
その日のデートは、あまり話が弾まなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
270
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:26:21 ID:wB6FVKSU
翌日、練習帰りのバス車内
曜「今日も練習疲れたねー」
善子「うん、そうね」
曜「そういえばさ、最近テレビでやってた……」
善子「……」
曜「大丈夫? 」
善子「……えっ」
善子「あーごめん!ちょっと魔界の眷属達と通信してた」
曜「そっか……」
曜「私で良ければ話聞くからさ、無理しないでね」
善子「うん」
善子 ( 曜にだったら、話しても良いかもしれない、リリーとの事 )
善子 ( 梨子と学年同じだし、千歌はリリーと近すぎるからリリーに相談内容バレるかもしれないし…… )
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
271
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:27:36 ID:wB6FVKSU
また別の日、練習が終わってから、私は曜を呼んだ。
【教室】
曜「二人きりだね」
曜「もしかして告白!? 」
善子「違うわよ」
曜「あははー、だよね、分かってたよ」
善子「あのさ、相談があるんだけど」
善子「ほら、前にバスで言ってくれたでしょ? 」
曜「うん」
272
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:31:11 ID:wB6FVKSU
善子「その……梨子の最近の様子ってどんな感じ? 」
曜「あー……」
曜「最近はあんまり喋らないかも」
曜「悩んでるのかなと思ったんだけど、何も言ってくれなくて……」
曜「だから理由はよく分かんないんだ」
善子「そう……」
曜「もしかして梨子ちゃんと何かあったの? 」
善子「んー、まぁちょっとね」
273
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:33:02 ID:wB6FVKSU
善子「その……梨子の最近の様子ってどんな感じ? 」
曜「あー……」
曜「最近はあんまり喋らないかも」
曜「悩んでるのかなと思ったんだけど、何も言ってくれなくて……」
曜「だから理由はよく分かんないんだ」
善子「そう……」
曜「もしかして梨子ちゃんと何かあったの? 」
善子「んー、まぁちょっとね」
274
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:35:29 ID:wB6FVKSU
曜「梨子ちゃんへの愛があれば大丈夫、大丈夫だよ」
曜「梨子ちゃんのことが好きなら、真っ直ぐ好きって伝えれば良いと思う! 」
善子「……そうね」
善子「って、今なんて言った!? 」
曜「あっ」
275
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:37:21 ID:wB6FVKSU
善子「もしかして、私が梨子のこと好きなの知ってた!? 」
曜「……」
曜「うん」
曜「他のみんなも知ってるよ」
善子「え、マジ? 」
曜「マジ」
善子「……/// 」
曜「私も含めて皆、影ながら二人を応援してたんだよ」
善子「は、恥ずかしい!! 」
276
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:39:59 ID:wB6FVKSU
その頃、教室の外では
梨子 ( あ……善子ちゃんと、曜ちゃん……? )
梨子 ( 二人で何を話しているんだろう )
梨子 ( 練習後に二人きりって、余程特別なお話なんだよね、多分 )
梨子 ( 善子ちゃんが顔を赤らめて……曜ちゃんは笑顔…… )
梨子 ( もしかして、もしかするのかな )
277
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:41:05 ID:wB6FVKSU
梨子 ( 前のデート、私、ダメダメだったもんね )
梨子 ( もしかして善子ちゃん、私より曜ちゃんのことが好きだったりして )
梨子 ( 最近、善子ちゃんから軽く無視されてる気がするし )
梨子 ( やっぱり私じゃダメなのかな……善子ちゃんを、幸せに、出来ないのかな…… )
梨子 ( 泣いちゃダメだよ、二人にバレちゃう……うぅ…… )
梨子 ( もし善子ちゃんが、曜ちゃんのこと好きなら、じゃ……邪魔しちゃいけないよね )
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
278
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:42:55 ID:wB6FVKSU
【梨子の家】
梨子「転校する前に、音ノ木坂の友達が話してた気がする」
梨子「恋心を諦める時は、新しい恋を始めた方が良いって」
梨子「私も、新しい恋を始めた方が良いのかな」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
279
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/22(土) 23:45:57 ID:wB6FVKSU
今回はここまでです
280
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/23(日) 03:20:30 ID:DrrkzLdY
待ってました🐺
281
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:07:29 ID:05AK/eUE
それから数ヶ月後、夏祭り当日
千歌「みんな金魚すくいやったー? 」
花丸「マルは9匹取ったよ」
曜「えっ、すごい!! 」
ルビィ「花丸ちゃんにそんな特技があったなんて、ルビィびっくりだよ! 」
花丸「えへへ」
千歌「私は1匹も取れなかった……」
千歌「あれ、でも花丸ちゃん取った金魚は? 」
花丸「返したずら」
282
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:08:37 ID:05AK/eUE
曜「ねぇ、ちょっといい? 三年生は? 」
千歌「それならあそこに……」
千歌「あれ、いない!? 」
ルビィ「お姉ちゃん達なら、善子ちゃん達と一緒に射的しに行ったよ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
283
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:09:41 ID:05AK/eUE
果南「……」
パァン!
鞠莉「果南、また腕上げたんじゃない? 」
ダイヤ「幼い頃から上手かったですけど、何か練習とかしてましたの? 」
果南「お父さんが射的上手くてさ、一緒に練習してたんだ」
果南「射的、カッコよくて憧れてたから」
鞠莉「なるほどねぇ〜」
284
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:10:38 ID:05AK/eUE
鞠莉「今は何を狙ってるの? 」
果南「ぬいぐるみ」
鞠莉「……」ニヤッ
ダイヤ「ふふ」
果南「ん、どうかした? 」
ダイヤ「なんていいますか、その」
鞠莉「果南のそういうとこ可愛いなぁって、ね? 」
ダイヤ「ふふ、えぇ」
果南「……/// 」
果南「それ、どういう意味!! 」
285
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:11:33 ID:05AK/eUE
善子「三年生、盛り上がってるわね」
梨子「あ、うん……」
鞠莉「盛り上がってるわよ〜! 」ガバッ
善子「わあっ!! 」ビクッ
鞠莉「私たち、もうちょっとだけ射的やってたいから、二人は先に戻ってて! 」
善子「えぇ、分かったわ」
善子「行こ」
梨子「うん」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
286
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:12:40 ID:05AK/eUE
二人は人混みに揉まれ、川沿いへと迷い込んでしまう。
そこでは、夜空の星々とホタルが風景を彩っていた。
善子「うぅ、まさか迷ってしまうとは」
梨子「道、混んでたもんね、迷っちゃうのも無理ないよ」
梨子「早く皆のところに戻らないと、もう打ち上げ花火始まっちゃうよ」
梨子「善子ちゃん、戻ろ」
善子「待って」ガシッ
善子 ( こ、告白するなら今がチャンス、よね…… )ゴクリ
287
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:13:50 ID:05AK/eUE
梨子「……なに? 」
善子「えっと」
鼓動が大きくなる。
頭が真っ白になる。
善子「その……!! 」
息が詰まる。
.
288
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:14:56 ID:05AK/eUE
好き。
善子「私と、恋人になってください!! 」
静寂に、花火の音だけが響く。
.
289
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:16:07 ID:05AK/eUE
梨子「え」
善子 ( ダメだ、怖い )
善子「リリー、私のリトルデーモンにならない? 」
梨子「待って、リトルデーモンって言われても、分かんない……」
290
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:17:13 ID:05AK/eUE
善子「貴方の喉から奏でる旋律は、私の魂への鎮魂歌」
善子「貴方なら、まだ見ぬシャングリラへ連れて行ってくれると、冥界から御告があったのです!! 」
梨子「待って」
善子「リトルデーモンの中でも、リリーは特別」
善子「そう、俗に言う恋人……!! 」
梨子「待って!! 」
善子「!! 」
291
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:18:30 ID:05AK/eUE
梨子「わたし、そういうのはちょっと……今は違うっていうか……その……」
梨子「ごめんなさい!! 」
善子「えっ」
走り去る梨子の背中を追いかける気にはなれなかった。
この手は、きっと届かないと思ったから。
涙が乾くまでは、みんなの所には戻れないや。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
292
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:20:36 ID:05AK/eUE
梨子は一人、泣いていた。
梨子「どうして……どうして今になって……!! 」
梨子「善子ちゃんは曜ちゃんのことが好きなんじゃ無かったの!? 」
梨子「今の私は! 千歌ちゃんが好き! 善子ちゃんよりも! 」
梨子「いまさら告白されても、善子ちゃんを本気で愛せないよ……!! 」
梨子「私の方からもっと早く告白してれば、こんな事には……」
梨子「なんで!! なんで今!! 」
梨子「うぅ……」
293
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:21:53 ID:05AK/eUE
梨子「ごめんなさい、善子ちゃん……」
梨子「ごめんなさい……!! 」
梨子「……あれって、流れ星……だよね」
梨子「こんな私の願いでも、叶えてくれるかな」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
294
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:23:18 ID:05AK/eUE
善子「グスッ……」
善子「あ、流れ星……」
善子「神様、堕天使のわがまま、叶えてよ」
『 どうか、私のことを嫌いになってくれますように 』
.
295
:
◆32r/eU7DO2
:2018/12/26(水) 23:24:52 ID:05AK/eUE
今回はここまでです
296
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:12:16 ID:iYRv3IEo
-----------------------------
-----------------------------
【アパレルショップ】
嫌いになって欲しい、口ではそう願っていても、梨子のことはどこか諦めきれていない。
だけど
善子「梨子、あのさ」
梨子「……」
善子「あの時は変なこと言ってごめんっていうか、なんていうか、その……」
梨子「え、いや、私の方こそ……」
善子「わがまま言ってもいい? 」
梨子「うん」
善子「あのことは、もう気にしないで欲しい! 」
297
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:13:29 ID:iYRv3IEo
善子「梨子、私と居るとあんまり笑えてないっていうか」
善子「もしかしたら夏祭りのこと、気にしてるのかなって思ってさ」
梨子「……気になるよ」
善子「やっぱりむずか」
梨子「だって、善子ちゃんの事が好きだった!! 」
善子「……! 」
298
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:15:10 ID:iYRv3IEo
善子「じゃあどうしてあの時」
梨子「曜ちゃんと善子ちゃんがずっと仲良くしてたから、私が勝手に勘違いしてしまって」
梨子「事実を確認せずに憶測だけで善子ちゃんは曜ちゃんが好きなんだと決めつけてしまった」
梨子「善子ちゃんの事は諦めようって」
梨子「他の人のことを好きになれば、この恋は忘れられると、そう思ったの」
善子「そう……そういうことだったの」
299
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:16:55 ID:iYRv3IEo
梨子「夏祭りの時には、もう他の人が好きになっていたから……だから」
梨子「善子ちゃんに嘘をつきたくはなかったの……!! 」
梨子「……ごめんなさい」
善子「謝らないで」
善子「私がもっと早く告白していたら良かった」
善子「ただそれだけの事だし、勇気が足りなかった故の結果よ」
善子「もう一度告白して、梨子とお付き合いしたいだとか、今はそういう事はいいの」
梨子「……」
300
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:18:03 ID:iYRv3IEo
善子「このゲームに入ったのだって、作詞作曲だけが目的じゃない」
善子「梨子と二人きりで話がしたかった」
善子「……」
善子「ほら、私達がギクシャクしたままだったら、Aqoursの活動にも支障でるでしょ……? 」
梨子「……うん」
善子「だから、仲直りしたくて」
善子「私も梨子のこと、しっかり諦めたいからさ」
善子「このゲームの中で、最後のデートをして、それでもう諦めるつもりだった」
301
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:18:51 ID:iYRv3IEo
善子「騙すような形になっちゃって、ごめんね」
梨子「謝ることじゃないよ」
善子「……ごめん」
善子「あ」
梨子「制服に着替えてくるね」
善子「うん」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
302
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:19:51 ID:iYRv3IEo
善子「梨子? 」
おかしい、10分くらい待っているけれど梨子が出てこない。
呼びかけても返事が無いし、だからって更衣室を勝手に開けてもいいのかな……
善子 ( えぇい焦れったい! ) シャーッ
善子 ( 誰もいない……!? )
善子 ( スンスン……何、この匂い )
善子 ( 梨子の残り香……!! )
善子 ( いやいや、ふざけてる場合じゃないわ )
善子 ( 頭がクラクラする……催眠ガス……? )フラッ
善子 ( はっ、寝ちゃダメ! ) ザッ
303
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:21:02 ID:iYRv3IEo
善子 ( 梨子はログアウトしたのかしら )
善子 ( いやいや、簡単にゲームから出られないから私たちは困ってるんだわ )
善子 ( じゃあ、考えられることは…… )
善子 ( 更衣室になんかある!! )
ポンッ!
ハンカチを創った。
304
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:22:53 ID:iYRv3IEo
善子 ( 更衣室の中には全身を写す鏡と、洋服を置く台だけ…… )
善子 ( 全身を写す鏡…… )
善子 ( そっか、この世界で私は堕天使なんだった )
改めて、折れた翼が生えてるのを見ると、なんかこう、テンションが上がる。
善子 ( ん、なんか……私の翼が風になびいてる気がする )
善子 ( 床? )
善子 ( 微妙にだけど、床に隙間がある )
305
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:23:40 ID:iYRv3IEo
善子 ( じゃあ可能性があるなら、こう )
善子 ( 梨子が着替えている時に催眠ガスが放出、梨子は眠ってしまう )
善子 ( 床が何らかのキッカケで開き、梨子は下へと落とされた )
善子 ( 流石に妄想が過ぎるかしら…… )
善子 ( いや、可能性があるなら確かめる! )
ポンッ!
バールが現れた。
306
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:24:28 ID:iYRv3IEo
ガンッ!
善子「テコの原理ィィィィィィィ!! 」ググググ
少し床が開く。ひんやりとした風が、下から吹いてくる。
善子「やっぱり開いた! 」
善子「ぬぬぬぬぬぬぬ!! 」ググググ
善子「開けェェェェェェェェェ!! 」ググググ
ガコッ!!
苦戦の末、何とか床を開けることが出来た。
307
:
◆32r/eU7DO2
:2019/01/23(水) 20:25:20 ID:iYRv3IEo
善子 ( 待っててね、梨子 )
善子「ヨハネ……」
善子「堕天!! 」ピョンッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
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