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少女「私を忘れないで」

1 ◆WRZsdTgWUI:2018/02/17(土) 23:13:03 ID:SLrOQBwc
(プロローグ)
〜体育館裏・少女さん〜
男子「少女さん、わざわざ来てくれてありがとう!」

少女「……」

男子「えっと、その……明日から冬休みだね」

少女「そうですね」

男子「それでその……クリスマスの日は予定が開いてますか」

少女「クリスマスの予定?」

男子「は、はいっ!」

少女「ひとつ聞きたいのですけど、あなたと私は今日はじめて会いましたよねえ。それなのに、どうして教えないといけないんですか」

男子「それは少女さんのことが好きだからっ!」

少女「……?!」

男子「文化祭のときに笑っている少女さんを見て可愛いなって思って、それで一緒に話が出来たらいいなってずっと思っていたんです。だから、僕と付き合ってくれませんか!」

2以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:18:18 ID:tJ8TVtFs
少女「えっと、私を好きになってくれてありがとうございます」

少女「でも……ごめんなさい。あなたとは付き合えません」

男子「ど、どうして……」

少女「私は今、好きな人がいるんです。だから、気持ちだけ受け取っておきますね」

男子「……」

少女「それでは、さようなら」ペコリ

男子「少女さん、待ってよっ!」

少女「えっ?! あ……あのっ、手を離してくれませんか!」

男子「どうして、僕の気持ちに応えてくれないだよおっ! こんなに少女さんのことが好きなのに!!」

少女「も……もう一度言いますけど、私には好きな人がいるんです」

男子「うあ゛あ゛あ゛あああぁぁっっ! な゛んでっ、何でなんだよおっ!!」

少女「ご、ごめんなさい。さよならっ!」タタタタッ・・・

3以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:20:46 ID:tJ8TVtFs
少女「……はあはあ」

友香「少女、用事って何だったの?」

少女「えっと、な……なんて言うか告白されちゃった」

友香「こ、告白?! 相手は誰よ!」

少女「それがその、全然知らない人で……」

友香「手紙にも名前はなかったの?」

少女「うん。それでね、断ったら腕を掴んで怒鳴ってきて、すごく怖かった」

友香「うっわあ、何もされなくて良かったね」

少女「う……うん、そうだよね。もう思い出したくないし、何か温かいものでも食べに行かない?」

友香「じゃあ、いつもの喫茶店に行こっか」

少女「うん、行こいこっ!」


友達の友香ちゃんと過ごす冬休み。
クリスマスやお正月といった楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。
そして、三学期が始まった。

4以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:25:19 ID:SLrOQBwc
(2月15日)mon
〜学校・お昼休み〜
友「ようっ、男。昨日はどうだった?」


お弁当を食べ終えて漫画を読んでいると、友が話しかけてきた。
昨日は柔道部の交流試合があり、朝から北倉高校に遠征していたのだ。
試合結果を言うのを忘れていたので、恐らくそのことだろう。


男「何とか俺たちの勝ちだった。夏に試合をしたときは圧勝だったんだけど、向こうも相当稽古をしているみたいだな」

友「お前、何の話をしてるんだよ」

男「何の話って、昨日の交流試合の話だけど」

友「そうじゃなくて、チョコは貰えたのかって聞いてるんだ」

男「試合じゃなくて、そっちのほうか」

友「それで、どうなんだよ」

男「もちろん貰ったぞ。双妹からだけど!」

5以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:29:12 ID:tJ8TVtFs
友「なんだそりゃ。そんなもん、ノーカウントだっつうの」

男「彼女がいない俺たちには、まったく関係ないイベントだな」

友「はあ、確かに……」

友「そういえばさあ、中学生のとき隣のクラスの女子に告白していただろ。その子は今、どこで何をしているんだろうな」

男「……さあな。学校でお弁当でも食べているんじゃないのか」

友「いやいや、そういうことじゃなくてだなあ」

男「もう3年も前のことなんだから、考えても仕方ないだろ」


俺が少女さんに告白したのは、中学1年生のときだ。
その後3年生のときに同じクラスになったけれど、失恋した相手に告白する勇気を出せなくて、結局何も起こらないまま少女さんは北倉高校に進学した。
卒業してから一度も顔を見ていないし、もう二度と会うことはないだろう。


友「それはそうかもしれないけど、今のお前なら彼女なんて楽勝で出来ると思うぞ。あのときみたいに突貫してみろよ。来月のホワイトデーにっ!」

男「それを言いたかっただけだろ。いい加減忘れてくれよ」

友「はははっ。あんな面白いこと、絶対に忘れてやるものか!」

6以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:31:23 ID:tJ8TVtFs
双妹「ねえねえ。二人とも、今は大丈夫?」


友と雑談していると、双子の妹が話しかけてきた。
そういえば、今日は友にチョコを渡すとか言ってたな。


男「大丈夫だよ」

双妹「なら、ちょうど良かった。友くんに渡したい物があるんだけど」

友「俺に?」

双妹「昨日はバレンタインデーだったでしょ」

友「うおおぉぉっ! 双妹ちゃん、ありがとう!!」

双妹「いえいえ、どういたしまして」

7以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:33:25 ID:tJ8TVtFs
友「男っ! 見ろよ、双妹ちゃんからチョコをもらえたぞ!」

男「大げさだなあ」

友「これって、本命チョコだよな」

男「それは絶対にない。俺が受け狙いで選んだチョコレートだし」

友「……」

友「……またまたあ、そんなご冗談を」

男「俺からの気持ちをぜひ受け取ってくれ」

友「お前の気持ちだけ選り分けて食べてやるよ!」

8以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/17(土) 23:35:19 ID:zMDr2mn6
〜放課後〜
顧問「今日の稽古はここまでだ」

男「お疲れさまでした!」

部員「お疲れさまでした!」

男「それじゃあ、帰るとするか」


俺は更衣室で制服に着替えて、外に出た。
空はすでに暗くなっていて、雪がドカドカと降り続いている。
昨日の激しい雨がまるで嘘だったかのように、今では真冬の装いだ。

この調子だと、明日の朝は大変なことになっているかもしれないな。
そう思いつつ足早に歩いていると、校門脇で女子生徒に声をかけられた。

9以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 00:08:26 ID:NNrVydJo
女子「部活、お疲れさまでした」

男「えっ? ああ、お疲れさま」


俺は彼女に返事をしつつ、彼女の制服に目を向けた。
どうやら彼女はうちの学校の生徒ではないらしく、北倉高校が指定している冬用コートを着用している。
雪が降っているというのに傘も差さず、こんな所で何をしているのだろうか。


男「寒くないの?」

女子「大丈夫です。私、寒さには強いんです」

男「ふうん、そうなんだ。誰を待っているのか知らないけど、風邪を引かないように気をつけてね」


俺はそう言って、彼女から視線を外した。
部活仲間に見られて勘違いされると面倒だし、さっさと帰ることにしよう。

10以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 00:12:53 ID:xFYKTtmE
女子「わわっ、待ってくださいよ。男くんですよねえ」

男「そうだけど」

女子「私のこと、覚えていませんか」マジマジ

男「あっ! もしかして、少女さん?」

少女「えへへ♪ 久しぶりだね」

男「ああ、久しぶり! 中学生のときと雰囲気が違っていて、まったく気付かなかったよ」


お昼休みに少女さんのことを思い出して、まさかその日のうちに会うとは思わなかった。
もしかして友のやつ、知っててネタ振りしてきたんじゃないだろうなあ。
しかし、俺が告白した相手を知っているのは双妹だけだ。
双妹が友に話したとは考えられないし、きっとただの偶然だろう。
そうなると、少女さんがここにいる理由はひとつしか考えられない。

11以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 00:16:57 ID:NNrVydJo
男「それで、今日はどうしてこんなところに?」


昨日はバレンタインデー。
しかも少女さんは学校帰りに来て、ずっと俺のことを待ってくれていたようだ。
もしかすると、これはかなり期待しても良いのではないだろうか。


少女「男くんに会いたくて、ここまで来たんです」

男「そ、そうなんだ!」

少女「えっと、実は渡したいものがあって――」

少女「あれっ!? あっ、ああ、そっか……」

男「どうかした?」

少女「あはは、家に置いて来ちゃったみたいです」テヘッ

男「じゃあ、取りに帰ればいいんじゃないかな。傘に入れてあげるよ」

少女「それは……出来ないんです」

12以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 00:19:23 ID:NNrVydJo
男「出来ないって、どういうこと?」

少女「家に帰りたくないというか、帰ってはいけないというか――。何となく、近付いてはいけないような気がするんです」

男「もしかして、お母さんがそういうことに厳しいとか?」

少女「……いえ。私、死んでしまったみたいなんです」

男「死んだ?!」

少女「はい――」


久しぶりに会えてうれしいと思っていたけど、とんでもない言葉が彼女の口から出てきた。
こうして話をしているのに、死んだとか訳が分からない。
そして、さらに彼女が言葉を続ける。


少女「私自身、どうしてこんなことになってしまったのか分かりません。記憶がすごく曖昧で、気が付くと病院のベッドで横たわる自分の姿を見下ろしていました」

男「ふ……ふうん、大変だったね」

13以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 00:25:03 ID:fegUyZeA
少女「とりあえず、男くんの家に行ってもいいですか?」

男「えっ、俺の家に?! ドカ雪が降っているし、今日は早く帰ったほうがいいんじゃないかな」

少女「だから、帰りたくないんですよね……」


俺が知っている少女さんは、こんなことを言うような人ではなかった。
しばらく会わないうちに、性格が変わってしまったのかもしれない。
家に帰りたくないと言ってはいるけど、俺が帰れば少女さんも家に帰ってくれるだろう。


男「それじゃあ、俺は部活で疲れているから。少女さん、またね」

少女「……」


俺は少女さんに手を振って、駅に向けて歩き始めた。
そして校門を出てすぐ、少女さんがどうやって帰るのかが気になった。
彼女は同じ中学校に通っていたのだから、今から俺と同じ電車に乗ることになるはずだ。
もしそこで出会ってしまうと、絶対に気まずい。

少女さん――か。
久しぶりに会えてうれしかったし、バレンタインチョコを渡しに来てくれてすごくうれしかった。
やっぱり、どうしてあんなことを言ったのか最後まで聞いてみよう。
俺はそう思い、足を止めて振り返った。
しかし、少女さんはすでにいなくなっていた。

14以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 00:36:10 ID:fegUyZeA
今日はここまでにします。
ジャンル的には、
女幽霊/双妹(いもうと)SSです。

15以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 10:50:29 ID:J0dyUVSA
〜自宅・部屋〜
少女「ふうん、ここが男くんの部屋なんだ〜」

男「……ええっ?!」


背後から声が聞こえて振り返ると、なぜか少女さんが立っていた。
校門で別れたはずなのに、どうして俺の家にいるのだろう。
というか、付いてきている事にまったく気が付かなかったぞ。


少女「お邪魔してます♪」

男「お邪魔してますって、どうやってここに?!」

少女「それはだって、私は幽霊だもん」

男「幽霊?」

少女「はい。だから、姿を消して付いていくことも出来ちゃうんです」ドヤァ

16以下、名無しが深夜にお送りします:2018/02/18(日) 10:54:03 ID:J0dyUVSA
男「それ、本気で言ってるの?」

少女「もちのろんです」

男「じゃあ、証拠を見せてほしいかな」

少女「証拠ですか?」

男「俺には霊感なんてないし、少女さんが死んでいるとか信じられる訳がないだろ」

少女「それもそうですね。それじゃあ、私に触ってみてください」


少女さんは得意げに言うと、手を差し出してきた。
それを見て、俺は彼女の手を握ろうとした。
しかし握手をしようとした瞬間、手がすり抜けてしまった。


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