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勇者「今日より旅立ちか」勇者(……それにしても腹が減ったな)
251
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 19:56:10 ID:wwoyvbmM
大岩
僧侶「はあっはぁっ!」
魔法使い「そうか……大量の赤い魔石に複数のルート」
勇者「私一人での単独でしたら、もっと接近されて効果がありませんが、これだけ距離が取れれば」スッ
赤い魔石「」カッ
炎「」ボォォォン
炎の壁「」ゴオオォォ
吹き上げる炎「」シュゴオオオ
女勇者「しかし、この炎の地帯を越えられたら、すぐにこちらを見つけるのでは?」
勇者「ええ、なんでダメ押しでこうです。複合魔法・フランベ!」ゴォォ
火の海「」ゴアアァァァァ
252
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 19:58:14 ID:wwoyvbmM
魔法使い「全て初級程度の魔法とは言え、複合魔法まで……」
魔法使い「随分と才能があるんだな」
勇者「というより勤勉の賜物ですかね。中級魔法は扱えません」
僧侶「……辺り一面が炎の海で凄いと思ったんですけど、火力低いんですね」
勇者「複合魔法はそれだけで強力とされる中、全然強力にならないため、このフランベを習得する人は殆どいません」
女勇者「しかし、あの魔物には」
勇者「ええ、追走を妨げる効果は絶大。どちらの方角に敵がいったのかも分からないまま」
勇者「道標の高温の地帯を彷徨う事になります。とは言え、運よくこちら側に出てくる可能性もありますが」
253
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 19:59:30 ID:wwoyvbmM
勇者「しかし、よく逃げる判断をしましたね」
女勇者「……正直、仲間を見捨てるのは心苦しいよ」
女勇者「しかし、少し交戦すれば分かる。あんな化け物を倒して腹を掻っ捌くなんてね……」
僧侶「今こうして生きているだけでも不思議なほどです」
魔法使い「とは言え、これからどうしたら……このまま町に進んでいいものなのか?」
勇者「追跡が振り切れていないのなら、今晩中に追いつかれますよ」
勇者「町に連れ込んでしまう危険性で言えば、他にもいるであろうフレイムアナコンダに見つかる事です」
僧侶「ほ、他?」
勇者「流石にあの一匹だけが下りて来たとも思えませんしね」
女勇者「あたしもそう思うよ」
254
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:01:08 ID:wwoyvbmM
勇者「一度、ヴォルケイノ首都に戻りましょう。軍を派遣してもらったほうがいいです」
勇者「準備さえあれば、あと数名いれば討伐できなくもないでしょうが、如何せんあちらの数が分かりませんし」
魔法使い「転移魔法が使えるのか?」
勇者「ええ。その為にも、フレイムアナコンダから逃げ切らないといけなかった訳です」
女勇者「魔法使いは使えないんだよな? それでも初級魔法、なのか?」
勇者「うーん、そうですね。厳密に言えば中級魔法ですね」
魔法使い「手間がかかる魔法なんだよ。それで習得にも無駄に時間がかかる」
魔法使い「おまけに一日一回しか使えない」
魔法使い「だから利便性の割に使える人間が少ないんだ」
僧侶「ですよね……」
255
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:02:41 ID:wwoyvbmM
魔法使い「しかし、こちらも送ってもらえるのか? その、大丈夫なのか?」
勇者「術者と一緒に転移するのであれば、4,5人程度は難しくないんですよ」
勇者「ちょっと手間が増えるだけです」
魔法使い「あ、そういえばそうだったか」
僧侶「転移魔法……行うのを見るのは初めてですが、どのようにするのですか?」
勇者「まず魔方陣を描きます」
女勇者「魔方陣?! 随分と珍しいな」
勇者「これが中々普及しない一因ですね」
256
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:04:14 ID:wwoyvbmM
勇者「地域、環境、天気によって陣も変わります。多少間違っていても転移できますが」ガリガリ
勇者「魔力の消費量や、術後の体調などに大きく影響を与えます」ガリリリ
女勇者「め、面倒臭そうだな」
魔法使い「そう、じゃないんだよ」
勇者「更には転移する場所までの距離によっても変わります」
勇者「ここら辺はかなり大雑把でも問題ないですけどね」
魔法使い「ここで挫折した」
僧侶「複雑……」
勇者「更には道中の地形も影響します」
勇者「ここからなら距離は短いですし、大きな森などがある訳でもないので描くものは少なくて楽ですね」
女勇者「う、うへぇ……」
257
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:05:57 ID:wwoyvbmM
勇者「陣が描けたら外周の円にこの魔法水を垂らしていきます」ターー
勇者「北の方角に描いたこれに自らの血液を垂らし、南に他の動物、魔物でもいいので血や肉などを置きます」
勇者「数分待って、今度は内部の陣に魔法水を……」
20分経過
勇者「これで魔方陣は完成です」
女勇者「うわぁ……」
魔法使い「凄いスムーズでも20分か……」
僧侶「これ……慣れていないと魔方陣を描くだけでも……」
勇者「かなりかかりますよ」
女勇者「普及しない訳だ」
258
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:08:15 ID:wwoyvbmM
ヴォルケイノ首都
勇者「到着です」
女勇者「す、凄い。一瞬で……」
魔法使い「発動させるまでが長いからなぁ」
僧侶「とにかく役場へ行きましょう」
勇者「それでは自分はこれで」
女勇者「え? ま、待ってくれ、せめてお礼を」
勇者「いえ、自分一人でしたら、転移魔法を使う余裕も作れなかったでしょうし」
勇者「共闘と考えて頂いていいですよ」
259
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:09:32 ID:wwoyvbmM
女勇者「しかし……」
魔法使い「引き止めるのも悪いよ」
魔法使い「何はともあれ助かったよ。本当にありがとう」
魔法使い「君の考えはどうあれ、何時か礼を返すよ」
勇者「そうですか? では、その時まで死なないように気をつけます」
僧侶「……戦士さん」
勇者「あ、すみません……」
女勇者「落ち込むなとは言えないが、生き残れた奇跡を噛み締めるんだ」
魔法使い「仲間一人を盾に、ね」
260
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:11:16 ID:wwoyvbmM
女勇者「……あの、もしよろしければ」
勇者「はい?」
魔法使い「女勇者」
女勇者「……」
魔法使い「君をPTに誘うつもりなだけだよ。でも一人で旅をしているのには訳があるんだろう?」
勇者「……ええ、まあ」
魔法使い「ただでさえ、グリーンレイクの勇者がこんな所に一人でいるんだ」
魔法使い「誘うだけ野暮ってもんだよ」
勇者「お気遣いありがとうございます」
魔法使い「ああ、また何処かで」
261
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:12:42 ID:wwoyvbmM
勇者「それにしても随分と回り道をしたもんだ」
勇者「しかし、フレイムアナコンダか……。生還できたのは本当に運がよかった」
勇者「とは言え、フランベの有用性も実証できたし、悪くはなかったな」
勇者「問題は一部ルートが閉鎖された事か」
勇者「フレイムアナコンダは、大きな集団に対しては警戒をするから」
勇者「何もなしに町へは行かないだろうからいいものの」
勇者「うーん、あまりヴォルケイノ火山の付近で行動したくないな」
勇者「商業都市からソードフォレストに向かうか」
勇者「一先ず今日は宿屋に向かうか。もう疲れたなぁ」ファ
262
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:14:05 ID:wwoyvbmM
宿屋 食堂
勇者「ふう、疲れた」グデー
「お待たせしました、こちらが今晩の食事となっています」コトッ
勇者「お、きたきた」ムクリ
暴れ軍鶏のチリンドロンソース煮
赤いトマトのソースと鶏肉の料理。
たまねぎやピーマンなどがみじん切り・短冊切りにされて入っている。
勇者(二食連続で鶏肉か。まあ仕方もなしだな)
263
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:16:02 ID:wwoyvbmM
勇者(鶏肉はぶつ切りにしたものか)
勇者(野菜と一緒にトマトソースで煮たものなのかな)ゴクリ
勇者(うーん、いい香りだ)パク
勇者(うんうん、美味い美味い)モグモグ
勇者(チリンドロンソースか。なんか、へんてこりんな名前だなぁ)モグモグ
勇者(しかし美味いな。このソース、パンとの相性も抜群だぞ)パク
264
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:17:30 ID:wwoyvbmM
勇者(それにしても、彼女達は不憫だな。助かったとは言え仲間が一人犠牲になった)モグモグ
勇者(かなり冷静に対応していたけど、多分それは自身の命も危機に瀕していたから)パク
勇者(今頃、苛んでいる事だろう)モグモグ
勇者(やはり、身一つで身軽でいるほうが、抱え込む事が少なくていいな)パク
勇者(いかんいかん、もっと味わって食べねば勿体無いな)モグモグ
勇者(暴れ軍鶏もしばらくお別れだしな)パク
265
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 20:19:04 ID:wwoyvbmM
宿屋 部屋
勇者「ふう……美味かった」ドッカ
勇者「もっと……戦術も考えないとこの先……」ウトウト
勇者「とは言え、物資に頼った戦法も……」ウトウト
勇者「ふああ……今日はもう寝よう」
勇者(それに……この後は……魔王城? 自殺と変わら……なら、何処へ)
勇者(それも……後で……考え……)スゥ
266
:
雑談
:2016/05/05(木) 20:21:33 ID:wwoyvbmM
>>228
すまんね、フリーティケットシアターがサービス終了しちゃったから仕方ないんよ
基本的にURLとかは晒すつもりがないから、頑張ってぐぐってくれ
サイトの中身知っていれば苦もなく見つかると思うけど
267
:
明日役立たない雑学
:2016/05/05(木) 20:23:12 ID:wwoyvbmM
今更なことだけど
デミグラス
フランス語で正確にはドミグラスと言い、ブラウンソースを煮詰めたものの事。
ブラウンソースは、小麦粉とバターを茶色になるまで炒めたルーを、ブイヨンで溶かしのばしたソース。
ドミは半分、グラスは氷という意味。
但し料理に使う時は、煮こごりや煮詰める、単純に氷菓子等の意味になる。
亜人ちゃんは語りたいのデミってそういう事なんかね。
チリンドロン
スペイン・アラゴン地方の郷土料理でかなりポピュラーなソースらしい。
Wikiだと焼いた鶏肉からにじみ出る脂を使うらしいけども、
調べてみるとトマトやタマネギ、ピーマン。オリーブやニンニクにパプリカ等を炒め煮したソースっぽい。
トマト煮したもの・少し煮込んだただのトマトソースを、チリンドロンと称するものも見かけるけど、
流石にそれは簡略し過ぎで正しくないんだろう、と思う。
268
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/06(金) 02:04:23 ID:fba4v/y2
乙!!!
でもまとめサイトしか出てこなくて禿げそう
いつの間に閉鎖しとんねん
269
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/06(金) 09:29:43 ID:IhZxBN1U
おお、今までにない活躍
フランベってとこが、この勇者らしいw
乙
270
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:10:06 ID:HiLJ52LM
ソードフォレスト 辺境の町
勇者「うーん、いいところだ」
勇者「ここら辺はまだそこそこの森だから、森林浴にももってこいだな」
勇者「ここから先はより鬱蒼とするからな」
勇者「しかし、ソードフォレスト。あまり深くには行った事がないんだよな」
勇者「一体、どんなものがあるんだろう」ワクワク
勇者「ふふ、もう心はすっかり商人だ。勇者にさせられた時はげんなりしたが」
勇者「かなり良い機会だったな」
勇者(最も、肝心の魔王がなぁ)
271
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:14:19 ID:HiLJ52LM
勇者「何か面白そうな物はあるかな」
勇者「なんだこれ……へえ、シイタケ栽培キットか」
勇者「ちゃんと育つのかな、これ」
勇者「試してみたいけど、移動しながらは使えないしなぁ……」
勇者「一応、そういうものがあるってだけでも知っておけば、何時か役立つのかなぁ」
勇者「それにしても、結構色んなキノコの原木栽培ってあるんだな」
勇者「ふーん、結構難しそうなものもあるんだな。そこまでお手軽って訳じゃないんだ」
272
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:16:04 ID:HiLJ52LM
勇者「お、この弓、結構いいな」
勇者「やはり、ソードフォレストは木材を使った物も多くあるなぁ」
勇者「ここら辺にしておくかな」
勇者「腹も減ったし……キノコだな。キノコが食べたい」
勇者「キノコパスタもいいしキノコグラタンもいいな」
勇者「よし、お店を探すか」
勇者「しかし、あまり広くない町だし、そう何件もないんだろうなぁ」
273
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:18:23 ID:HiLJ52LM
勇者「うん? 見当たらないな……」
勇者「あの」
「はい?」
勇者「何処か、食事が出来るお店ってありますか?」
「ああ、それでしたらこの道を真っ直ぐ行って、突き当たりを右に曲がった所にありますよ」
普通の木造建物
勇者「ここ、かな?」
勇者「ううん、全くもって店にすら見えない」
勇者「でも、他にそれらしい建物もないし……」
勇者「しかしこうも様子が分からないと、中々入りづらいな……」
274
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:21:52 ID:HiLJ52LM
勇者「うーん……ん?」
兵士A「ふー食った食った」ガチャ
兵士B「ごちそーさん」
勇者「……」
勇者「町の兵士でも気軽に入れるお店、なのかな」
勇者「よし」
「いらっしゃい」
勇者(中は喫茶店っぽいんだな……ちょっと意外だ)
275
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:24:33 ID:HiLJ52LM
勇者(ほほう……やはりキノコ料理多し)
勇者(キノコ豚炒めミートパスタ。とてつもなく美味しそうだ)
勇者(キノコたっぷりクリームシチュー! 冬場だったら間違いなくこれだな)
勇者(へえ……各種キノコの網焼きか。これはこれでそそるなぁ)
勇者(よく見ると使われているキノコもちゃんと明記してあるんだな)
勇者(この吸い物はムキタケが使われているのか。食べた事がないな)
勇者(うん? ヤマブシタケの卵スープ?)
勇者(ヤマブシタケって凄い珍しいキノコじゃないのか? 栽培方法が確立されているのか)
勇者(食べる機会なんてないしな……)
276
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:27:42 ID:HiLJ52LM
森林豚のステーキ 110G
ソードフォレスト固有種の豚のステーキ。
大きなシイタケとポテトが一緒に焼かれている。
ヤマブシタケの卵スープ 40G
鶏がらを使ったスープで、小さくほぐしたヤマブシタケが浮いている。
希少の割りに安価。
勇者(これがヤマブシタケ……何ていうか、何だろう)
勇者(味はどうだろうか)スス
勇者(う……これはまたキノコ臭というか風味が凄いな)
勇者(ちょっと、キノコ好きの上級者じゃないと食べ辛いな、これ)
勇者(けど、これだけ細かくても弾力があるのは嬉しい。中々の食べ応えだ)
277
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:34:29 ID:HiLJ52LM
勇者(さて、ステーキも)キコキコ パク
勇者(うんうん、肉厚だし美味いし文句なしだ)モグモグ
勇者(付け合せのポテト、ちょっと量が少ないところは気になるが)
勇者(この大きなシイタケでカバーだ)キコキコ パク
勇者(しかし、このシイタケ肉厚でとっても美味いな)モグモグ
勇者(何だか、全体的に弾力のあるものばかりになってしまったな。思った以上に腹が膨れそうだ)
勇者(それに今更だけどこれ、ポテトよりシイタケの方が物量多いんじゃないか?)
278
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:43:54 ID:HiLJ52LM
勇者(しかしこのキノコ三昧、好きな人に堪らないだろう)パク
勇者(もしかしてキノコ料理のレシピとか、どっかでまとめられていないかな)モグモグ
勇者(キノコ豚炒めミートパスタ、売れるんじゃないか?)パク
勇者(うーん、転移魔法が使えるとは言え、取り扱いの幅が広がり続けて行くのは……)ススゥ
勇者(異次元収納魔法だっけ。魔法で存在しない空間を作り、そこに物を出し入れする魔法)モグモグ
勇者(使える人なんて、殆どいないらしい超上級魔法……使えたらいいのにな)
勇者(ふふ、それでするのが行商人だなんて、魔法使いの人でなくても卒倒する話だ)
279
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:45:15 ID:HiLJ52LM
勇者「ふう……中々だった」
勇者「しかし、これからはキノコ料理ばかりになるだろうからなぁ」
勇者「ソードフォレストの人達は、どうやって飽きもせずにいるんだろう」
勇者「うん、この旅でそれも知っておかないと」
勇者「後でどっかのお店で聞いてみようかな」
勇者「キノコを飽きずに食べ続ける方法を聞きながら食べるキノコ料理。はは、なんだか滑稽だな」
280
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:48:52 ID:HiLJ52LM
……
勇者「ふう……ふう……」
勇者「まだまだ奥地でないはずだけど……ここら辺は随分と鬱蒼としているな」
勇者「そういえば、ここら辺って……確かサキュバスがいるんだったっけ」
勇者「聞いた話だと、上手く共存関係になっているとか……どういう状況なんだろ」
勇者「まあ、元々人をとって食う存在じゃないし、逆に有り難がる人もいるだろうし」
勇者「言うほど大変じゃないんだろうな」
281
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:51:52 ID:HiLJ52LM
町
勇者「へえ……意外と広い。元々開けた場所じゃなかったんだろうな」
勇者「先人の開拓の功績か……こういうところ、好きだな」
勇者「それにしてもサキュバス、全く見かけないな」
勇者「会った事がなかったから期待していたんだけどなぁ」
勇者「まあ仕方なし、か」
勇者「いつも通りにやるとするか」
282
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:54:58 ID:HiLJ52LM
勇者「ここはあんまり土産物ってないんだな」
勇者「それに勇者情報もあんまりだな……」
勇者「森の北にいる巨大アナコンダ注意とかあるけど、地元の人間だし危機管理は十分なんだろう」
勇者「あまり悪い話がないもんだ」
勇者「ともすれば逆に、自分が引っかかりかねないのが怖いところだなぁ」
勇者「一先ずソードフォレストの首都まで目指すんだ。ちゃんと魔物の情報を集めていかないと」
283
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 21:58:38 ID:HiLJ52LM
勇者「とは言え、ここら辺じゃあまり情報が得られなかったな」
勇者「ソードフォレストの中でも、比較的移動が手間な位置らしいし、もっと行き来しやすい」
勇者「大きい町に出てから、だな」
勇者「そうと決まれば今日は早めに休もう。まずは腹ごしらえだ」
勇者「と言っても、さっきから探してはいるけども、全くそれらしい店がない」
勇者「一体何処だ? この間と同じパターンか?」キョロキョロ
勇者「お、あそこはお店っぽいな」
勇者「というか、これで殆ど一周したのか……とりあえず、入ってみるかな」
284
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:00:30 ID:HiLJ52LM
「いらっしゃい。おや? 見慣れない顔とは珍しい」
勇者「そうなんですか?」
「道中大変だったろう。滅多に外から人は来ないよ。商人とか、ここに来る明確な理由がある人でもない限りにね」
勇者「なるほど……うん?」
勇者「このメニュー……あの、ここって食事って出来ないんですか?」
「あー悪いね。食事は宿屋が料理屋を兼任しててさ。ここは食材販売がメインの喫茶店みたいなもんだ」
勇者「はあ……そうでしたか」
勇者(うーん、困ったな。今は腹が減っているから料理が食べたいんだが……)
勇者(何も買わない頼まないは気が引ける)
285
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:03:37 ID:HiLJ52LM
勇者(かといって食材と言ってもなぁ)
勇者(適当にお茶して、宿屋でがっつり食べるか)
勇者(先にデザートというのも変な話だなぁ)
勇者(ケーキ三種にプリンにゼリーがちょっと。圧倒的に種類が少ない……うん? サキュバスプリン?)
勇者(どういう事だろう? サキュバスが従業員? うーん、これは面白そうだ)
勇者(ちょっと冒険気味ではあるけど、敢えて聞かずに頼むのが道理だな)
コーヒー 10G
到って普通のコーヒー。しかし安い。
サキュバスプリン 70G
超巨大なおっぱい型のプリンで乳首もちゃんとある。納得の名称だけどトラップ。
巨大プリンの所為で小さく見える生クリームとさくらんぼが、脇に添えられている。
あまりの大きさに高いのか安いのかよく分からないけど、作る手間を考えると多分安い。
勇者「」
286
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:10:49 ID:HiLJ52LM
勇者「これは……何とも。酷いですね」
「まあなんだ、滅多に他所の人が来ない楽しみってもんよ」
「因みに頼まなかったら、強めにオススメしている」
「大抵の人は興味本位で頼んでくれるよ」
勇者「でしょうね」
勇者(しかしこの量、食事がいらないほどだ)
勇者(……よし、食べるか)プリュン パク
勇者(!)
勇者(なんだこれ! まったりとしたコクであり、しつこ過ぎない。凄い美味しいぞ)
287
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:12:32 ID:HiLJ52LM
勇者(しかも甘すぎないけどしっかりと甘い!)パクパク
勇者(これはとんでもない物だぞ)プリュパク
勇者(にしても、ソードフォレストってそこまで畜産が高い訳じゃないはず)パクモグ
勇者(一体何のお乳を使ったらこんな美味しいプリンができるんだろう)ススゥ
勇者(コーヒーは普通だな)
勇者(しかし、何とも手が止まらないプリンだ。堪らない、堪らないぞサキュバスプリン)
勇者(これは良いトラップだ。かかって得する。素晴らしい)
288
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:15:12 ID:HiLJ52LM
勇者「うう、げふ……」
「はは、まいど」
勇者「うーん、腹がぱんぱんだ」
勇者「せめて、もうちょっと中腹の町で、キノコ料理の口直しに食べたかったかもしれない」
勇者「まあ、不満はないけども」
勇者「しかしこれは……確実に太るな。恐ろしい食べ物だった」
289
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:18:42 ID:HiLJ52LM
女性「あら貴方、あのプリンを食べたの?」
勇者「え? ええ、そうですが……何故?」
女性「ふふ……」スゥ
サキュバス「あたしがサキュバスだからよ」
勇者「……」
サキュバス「……え、何その反応」
勇者「答えになっていないので、その点については不満ですが」
勇者「町人として共存している事に軽く感動を覚えています」
サキュバス「え、あ、はい……え、そこなの?」
290
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:21:49 ID:HiLJ52LM
勇者「それで、何故分かったんですか?」
サキュバス「貴方からあたし達サキュバスと同じ魔力を感じたからよ」
勇者「どういう事ですか?」
サキュバス「あれはあたし達の母乳よ。だから摂取すると一時的に、あたし達の魔力を帯びるの。僅かにだけどね」
勇者「母乳……出るのですか?」
サキュバス「そりゃあ勿論。少し魔力は消費するけども、子を産まずとも出るわよ」
勇者「へえ、知らなかった。ふーむ、サキュバスのお乳で作った巨乳プリン、面白い事考えるなぁ」
サキュバス「だから何で反応するのがそこなの?」
291
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:24:33 ID:HiLJ52LM
サキュバス「貴方、他所の人でしょ? ふふ、今夜は楽しまないかしら?」ヌラ
勇者「唇舐めながら言われましてもね。この腹具合ですと、正直のんびりしていたいですし」
サキュバス「何この人ブレない」
勇者「むしろ談笑等の方がいいですね。ああ、そうだ。サキュバスの方はどういう食生活を?」
勇者「精だけですか? 必要な道具や欲しい物ってありますか?」
勇者「転移魔法ありますので、各地の特産や材料を販売致しますよ」
サキュバス「何なのこの人」
292
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:27:45 ID:HiLJ52LM
二日後
サキュバス「はい、1000G」
勇者「どうも。しかし、これだけの魚油、どうするんですか?」
サキュバス「美容にいいのよ。ウォーターサーフェスでも、一部でしか作られていないから」
サキュバス「そこの町に行った事がある人で助かったわぁ」
勇者「サキュバスなら精さえしっかり取っていれば、美容を気にする必要がないのでは?」
サキュバス「まあね。でもケアを疎かにしていい理由にはならないわ」
勇者「なるほど」
293
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:32:32 ID:HiLJ52LM
勇者「ですがこの量は流石に」
サキュバス「仲間に売るのよ」
勇者「堂々と転売宣言ですか」
サキュバス「サキュバス相手に、一切抱く気が起きない変人が何言っているのよ。そっち趣味?」
勇者「そういう訳ではないです。そもそもサキュバスの方とは基本、一夜の恋というのも理解しています」
勇者「が、自分はそうした事はもっと真摯に向き合いたいですし、あまり抱える物を多くしたくないのです」
サキュバス「面白い矛盾を言うわね」
勇者「不器用なだけですよ」
294
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:33:36 ID:HiLJ52LM
勇者「ああ、そうだ。伝達魔法の魔石を持っていますので」
サキュバス「ふんふん」サッ
勇者「自前で持っているんですか……」
サキュバス「あたし達からしてみれば、こんなの簡単に作れるしねー」
勇者「へえ」
サキュバス「まあ、元の現物がないと、そっちの魔石の所持者と繋がる物は作れないけれどもね」
サキュバス「あ、あったあった。ま、何かあったらまた連絡するわー」
勇者「ええ、またのご利用お待ちしています」
295
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 22:37:45 ID:HiLJ52LM
勇者「うーん、思いがけず新しい顧客が出来た感」
勇者「出来ればまた話でもして、欲しそうな物を発掘したいものだ」
勇者「逆にこちらから魔法関連で頼む事もあるだろうし……」
勇者「……」
勇者「全ての魔族とこうして交流がなされれば、色々と発展していくのだろうけど」
勇者「まあ、難しいんだろうなぁ」
勇者「何時か、魔王の国の人とも接点を持ちたいものだなぁ」
296
:
明日役立たない雑学
:2016/05/22(日) 22:40:39 ID:HiLJ52LM
ヤマブシタケ
キノコの一種で白いボンボンみたいな形をしている。
クヌギ・クルミ・シイなどの広葉樹に生える。
広く北半球温帯以北に分布しているが、天然は珍しく中々お目にかかれない。
名前の由来は、子実体が山伏の装束にある梵天というのに似ているからだそうな。
ウサギタケ、ハリセンボン、ジョウコタケなんて呼び方も。
生薬としても利用されていて猴頭という名称。
認知症や更年期障害等への効果が期待されているが、臨床と成分・メカニズムの解明は不十分らしい。
中国では四大山海の一つで、特別な香りや味はないため、スープや吸い物に適している。
卵の中華スープにしてみたけど、めっちゃキノコの風味きつかったんですが。品質の問題?
尚、スーパーなんかでも気軽に買える。群馬だからか?
297
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/22(日) 23:49:33 ID:JnSluTmw
本当にブレないな勇者
乙
298
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/23(月) 00:38:48 ID:vpxUY6Hg
乙
299
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/23(月) 01:02:16 ID:x0Hdr60M
乙
行商で世界繋いじゃうんじゃなかろうか?この勇者
300
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/23(月) 01:20:53 ID:fzslHfe.
圧倒的に色気より食い気だなこの勇者はww
301
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 19:58:37 ID:6zJt5vLY
母乳プリンだというのに…www
302
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 21:43:24 ID:ghhqJ4C.
勇者「ふう、だいぶ道が楽になってきた。とすると、そろそろ町だろうか?」
勇者「それにしても、この辺りは薬草が豊富だなぁ」
勇者「少し調合しておこうかな」
勇者「流石にソードフォレストで売っても、大した額にはならないだろうから」
勇者「自分で使うか、他所で売ってしまおうか」
勇者「まあ、かさ張る物でもなし。時間の許す限り、集めておくか」
303
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 21:45:41 ID:ghhqJ4C.
勇者「これは……ヒール草! 凄いな、こんな珍しい薬草を見つけられるだなんて」
勇者「しかもよく見ればココの実もあるじゃないか」
勇者「もう少し熟すと美味しいんだよなぁ。うーん、タイミングがズレてしまった」
勇者「これは毒食み草か。ちょうど実もついている……」
勇者「潰すと恐ろしく臭いから取り扱い注意だけど、毒を持つ生物を返り討ちにできるんだよなぁ」
勇者「……」
勇者「えい、背に腹は代えられない、これも採集だっ」
304
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 21:49:10 ID:ghhqJ4C.
町
勇者「すっかり暗くなってしまったなぁ」
勇者「情報収集は明日にして、どっかで食事をしてから宿に向かってしまおう」
勇者「というか、明るい建物自体が少ないな」
勇者「ここの人達は夜はすぐに寝てしまうのだろうか?」
勇者「……そうか、この辺りから狩人が多くなるんだっけ。なら納得かもしれない」
勇者「ともすれば、まだ明かりがあるような所は、お店の可能性が高いんだな」
305
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 21:51:46 ID:ghhqJ4C.
勇者「ここはいい匂いだな。食べ物屋かな」スンスン
勇者「後は酒場っぽいところとあれは宿か? あそこは……道具屋か?」
勇者「流石に、この時間に酒場に入るのは勇気がいるし……」
勇者「ともすれば悩む間もなしっ」グッ
「おや、こんな時間に珍しい」
勇者「まだやっていますか?」
「ええ、やっていますよ、ご自由におかけ下さい」
306
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 21:54:31 ID:ghhqJ4C.
勇者(ほうほう、ここは肉とキノコに野草類か)
勇者(肉という事はやはり狩人が活躍しているのかな)
勇者(ほーキノコの肉詰めっ。これは美味そうだな)
勇者(うん? ラージフラットのステーキ? なんだこれ)
勇者(魔物? 部位? 聞いた事がないなぁ)
勇者(しかもステーキなのに70G。小さいのかな。ラージなのに)
勇者(しかし、気になるな。うーん)
勇者(よぉし、今日は肉とキノコ、これだな!)
307
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 21:57:37 ID:ghhqJ4C.
ラージフラットのステーキ 70G
巨大キノコのステーキ。大人の手ぐらいの大きさ。
シンプルにグリルで焼いたものにガーリックソースがかかっている。
マッシュルームのアヒージョ 25G
マッシュルームと野草が入ったアヒージョ。
可もなく不可もなく。
勇者(うーん、これは)
勇者(ラージフラット、想定外にキノコだった)
勇者(いかんな、キノコがダブってしまったぞ)
308
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 22:00:14 ID:ghhqJ4C.
勇者(しかしこれはなんとも、大きいキノコだ)
勇者(しかも、何というか、香りがいい)スンスン
勇者(食べてみるか)キコキコ
勇者(ナイフとフォークでキノコを食べる日が来るとは。分からないものだな)パク
勇者(ほほう、こんな感じか。悪くない)モグモグ
勇者(キノコにガーリックソースだなんて、ただのソース味かと思ったけども)キコキコ
勇者(主張し過ぎず、キノコの香りを引き立たせている。こんなキノコ料理、初めてだぞ)モグモグ
309
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 22:03:16 ID:ghhqJ4C.
勇者(アヒージョも)パク
勇者(うん、これは普通だな)モグモグ
勇者(けど、野草が入っていてこの味か。もっと苦味が強いかと思った)パク
勇者(安定した味、って感じか)モグモグ
勇者(しかしどっちを食べてもキノコ)キコキコ
勇者(何だか堂々巡りをしているようだ)モグモグ
勇者(とは言え、少しキノコを侮っていたかもしれない)キコキコ
310
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 22:06:23 ID:ghhqJ4C.
勇者「うん、美味しかった……」
勇者「あ……」
「どうしました?」
勇者「一つ、聞いてみたかったんですが、皆さんってキノコをよく食べるのですか?」
「まあ、ソードフォレストの人間は皆そうだと思うよ」
勇者「飽きたりしませんか?」
「んー、君、グリーンレイクの人だよね? パンって飽きるかい?」
勇者「……なるほど、育ち、ですか」
「まあ、そうだろうね。キノコなんて、それだけで種類も味もあるからね。飽きないもんだよ」
311
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/24(火) 22:10:02 ID:ghhqJ4C.
「まいどねー」
勇者「うーん、腹も膨れたし眠くなってきたな」
勇者「宿屋をとって、とっとと休むかな」
勇者「しかし、そもそも飽きない、か」
勇者「違う環境で育った自分は、一体いつ食べ飽きるのかなぁ」
勇者「せめて、この国を出るまではもってほしいものだなぁ」
312
:
明日役立たない雑学
:2016/05/24(火) 22:13:07 ID:ghhqJ4C.
マッシュルーム
和名でツクリタケ。言わずと知れた食用キノコ。
マッシュルームは成長具合で味が変化するキノコである。
イギリスにおいては大きさによって名称が変わる。出世茸。
マッシュルームそのものも種類がある中で、日本で親しまれているあのマッシュルームは、
ボタン・マッシュルーム、クローズドカップ・マッシュルーム、オープンカップ・マッシュルーム、
フラット・マッシュルームと名称が変わっていく。
ボタンをベイビー、フラットをラージフラットを呼ぶ事もあるそうな。
因みにオープンカップから、マッシュルームの傘は黒くなる。
また、大きくなるとあの歯ごたえがなくなるが、香りが増していくそうな。
アヒージョ
スペイン語でニンニク風味という言葉。
オリーブオイルとニンニクで煮込む代表的なスペイン料理。
料理名において、正確には「アル アヒージョ」と言い、エビを使用する場合は「ガンバス アル アヒージョ」となる。
313
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/25(水) 20:03:37 ID:c50YrK66
来てた!乙!
椎茸かと思いきやマッシュルームか、成長具合で味変わるとは知らんかった
茶色いのと白いのとあるよな
314
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:08:45 ID:xKqXpYms
翌朝
勇者(うーん、やはり勇者の情報は少ないか……)
勇者(首都南西の道を通って国外に出て行くのが主流か?)
勇者(しかし、そこを抜ければ元ヒューズヒルの現戦場だ。何か対策とか考えあっての事だろうか?)
勇者(魔物は……北部の奥地にヴェノムドラゴンがいるぐらいか)
勇者(お、そうか。鶏の体に尾が蛇のバジリスクがいるんだったか)
勇者(この先、鶏肉あたりは満足にありつけそうだな)
勇者(しかしバジリスクか。毒食み草では効果がない毒を持つ魔物だったはず)
勇者(遭遇しても出番はなしだな)
315
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:12:16 ID:xKqXpYms
……
勇者「これは……」
バジリスク「」ボロボロ
勇者「明らかな剣の傷。誰か、というよりどっかの勇者が通ったか?」
勇者「勿体無いな、これは。いや、そんな余裕がなかったという事か」
勇者「しかし、こんな所にいるという事は、気をつけないといきなり襲われる可能性もあるのか」
勇者「流石に不意打ちを食らって、バジリスクの毒を回避できるとも思えないし気をつけないとだなぁ」
勇者「確か足の爪……蹴爪に毒があるんだったか」ゴソゴソ
勇者「よし、取れた。貰っておこう」
勇者「ついでに良さそうな羽も……。矢の材料として売れるといいな。ここじゃ無理か。無理だよなぁ」
316
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:14:47 ID:xKqXpYms
勇者「それにしても、本当にあの町以外は歩きやすいもんだな」
勇者「そろそろもっときつくなってもいいような気がするが」
勇者「もしかしてソードフォレストの首都って、まだまだ先なのか?」
勇者「うーん……最悪、そこまで行かなくてもいいか?」
勇者「いや、今後のプランもないし進むだけ進むとするか」
勇者「本当にこの後どうしようかなぁ……」
317
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:17:10 ID:xKqXpYms
勇者「……」スラァ
勇者(ふー……ふー……はぁー……)スハァ
バジリスク「!」ガザザッ
勇者「くっ!」ガギィィン
バジリスク「ケーーーーー!」
勇者「よし、先制防いだぞ」ビリビリ
318
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:18:55 ID:xKqXpYms
バジリスク「コケーーーーー!!」ダダッ
勇者「よっ!」ガギィ
勇者(受け流して背後を取り……)
勇者「風塵魔法!」バァァァ
バジリスク「!!」ザァァッ
勇者「氷結魔法!」
バジリスク「コッコッ!」ビキビキ
勇者「足さえ封じれば」バッ
勇者「たあああ!」ザンッ
319
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:20:39 ID:xKqXpYms
……
バジリスク「」ドクドク
勇者「さて、そろそろ血抜きもいいか?」
勇者「うーん、いざ獲ってみると扱いに困るな」
勇者「あまり時間もかけてられないし、皮は諦めて中の肉だけ切り出すか」
勇者「流石にこの大きさの羽を一人で毟るのは容易じゃないしなぁ……」
勇者「うん、そうしよう」ザクザク
320
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:22:15 ID:xKqXpYms
勇者「出来れば、鶏サイズでツボ抜きした中に香草やら何やら詰め込んでローストしたいが……」
勇者「たっぷり鶏肉ローストで我慢するか……」
勇者「まあ、それでも贅沢と言えば贅沢かな」
勇者「しかしこの量、焼くとなるとちょっと木の枝の数が不安だな」
勇者「少し、取りに行って来るか」
鎧を着た男「ひゅー……ひゅー……」
勇者「わぉ……」
321
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:24:23 ID:xKqXpYms
勇者「兵士さん? しかしこんな鎧見た事がない」
勇者「うーん、なんだ? この紋章は? どっかのお偉い家の方?」
勇者「……」
勇者「え、うん? まさか魔王軍兵士?」
勇者「……」ゴソゴソ
勇者「うわ、見た事ない貨幣。間違いない、この人魔族だ」
勇者「うーん、困ったな。立場上、止めを刺すか見殺すべきなんだろうけど」
勇者「後味悪いよなぁ」
322
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:26:29 ID:xKqXpYms
勇者「武器と、魔法道具的なもの……」ゴソゴソ
勇者「剣と短剣と魔石が一個……魔王軍兵士の人もカツカツなのかなぁ」
勇者「とりあえずこれは没収。命に別状がないレベルまで軽ーく回復魔法」パァ
兵士「はぁ……はぁ……」
勇者「とりあえず連れて行くか」ズリズリ
勇者「……」シィン
勇者「複合魔法・リジェネレーション!」クワッ
兵士「はぁ……はぁ……」シゥシゥ
勇者「ううーん、相変わらず効き目が悪い……まあ、少しずーつでも傷が塞がっていっているみたいだし」
勇者「今のうちに焼き始めるか」
323
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:28:16 ID:xKqXpYms
……
兵士「……うぅ」パチ
勇者「……」ジャァァァァ
勇者「胡椒は少量でも発揮する味付け具合って」
勇者「旅人の味方って感じだな」パッパッ
兵士「おま、え……」ムク
勇者「あ、気がついた」
兵士「……助け、たのか? 人間、ではないのか」
勇者「いやまあそうなんですけどね。俺個人はそっちに恨みがないし。いや侵略者か……ううん」
324
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:31:00 ID:xKqXpYms
勇者「まあ、起き上がれるようになったのなら、とりあえずこれを」コト
バジリスクだけロースト
ゴロッゴロのバジリスクの鶏肉だけを焼いたもの。皮なしなのでパリパリ感なし。
胡椒を振りかけて味付け。
兵士「……」
勇者「……」
兵士「いいのか?」
勇者「獲って成仏、食べて供養。でも食べ手が少ないって事で」
325
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:32:28 ID:xKqXpYms
兵士「……」モグモグ
勇者「……」モグモグ
兵士「普通に鶏肉だな」
勇者「うん、普通に鶏肉」
兵士「……」パクパク
勇者「……」パクパク
兵士(飽きる)
勇者(飽きてきた)
326
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:34:35 ID:xKqXpYms
兵士「ふー……食った食った」
勇者「だいぶ、回復してきたようだな」
兵士「ああ……何と言えばいいか分からないが、その、感謝する」
勇者「いいよいいよ。俺も勇者だけど、正直戦いたい訳じゃないし」
兵士「そうか……人間にもそういう考えがあるんだな」
勇者「というと……お違い世知辛いですな」
兵士「ああ」
327
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:36:57 ID:xKqXpYms
勇者「あ、そうだ。ちょっとそちらの武器とか没収しているんで」
兵士「分かっているよ。助けてもらったんだ、このぐらいの措置、こちらから願い出るところだ」
勇者「しかし、何でまたこんな所に」
兵士「孤立してしまってな。最初は六名ぐらいいたのだが、追撃と魔物の襲撃で今や自分だけだ」
勇者「あー……ご愁傷様です」
兵士「まあ、生きていれば丸儲けの環境だからな」
兵士「不幸を嘆くより、生き延びている事に喜ぶとするよ」
兵士「今、どの辺の位置なんだ?」
勇者「ここがこうでこうでああで」
兵士「恐らく、俺のいた戦場はこの辺り……随分と奥に逃げてきたんだな」
勇者「出会った自分がびっくりですよ」
328
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:38:40 ID:xKqXpYms
兵士「何か礼がしたいのだが……生憎とこの身ではな」
勇者「あ、この魔石って何なんですか?」
兵士「ああそれはだな……お? へえ、魔法に心得があるのか。プロテクトをかけやがったな」
勇者「魔石の作動を阻害する行為をそう言うんですか。なるほどなるほど」
兵士「変わってるな、お前。そいつは伝達魔法を魔石化したものだ」
勇者「へえ!」
兵士「音等は送れないが文字を送るものでな。視覚に作用する魔法との複合したものだ」
勇者「文字、か」
329
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:40:05 ID:xKqXpYms
兵士「正直、これが生命線ではあるものの、常に現在地が把握できる環境じゃない以上」
兵士「助けも呼べないし、あまり意味はないな」
勇者「貰ってもいいですか?」
兵士「え? ……。よし、貸してくれ」
勇者「……」サッ
兵士「……言っておいてなんだが、本当に渡すんだな」
勇者「嘘をついている様子がないみたいなんで」
兵士「はは、ありがと」
兵士「……」スッスッ
魔石「」パァァ
勇者「はー……浮き出た文字に触って文章を作るんですね」
兵士「ああ、その通りだ。凄いだろ」
330
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:42:10 ID:xKqXpYms
勇者「へー……文字、同じなんだ」
兵士「まあ、大昔は人間とも交流があったと聞くしな。ある程度、文化も同じなんだろう」
兵士「よし、これで初期化完了だ」
兵士「悪いが、軍属の設定も消させてもらったから諜報とかできない」
兵士「これでも良ければ」スッ
勇者「おおお、ありがとうございます」
兵士「そ、そんなに喜ばれると気味が悪いな。持っていても、連絡を取れるのはこの魔石を持つ魔族だぞ」
勇者「それはそれで未知の可能性が開かれたと言いますか」
兵士「ふーん?」
331
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:44:21 ID:xKqXpYms
勇者「こうしてこうでこうっと。登録できた、かな」
兵士「どれ……ああ、問題ない。というかさっき勇者と言ったが、なんだこの紹介文」
兵士「商人の真似事もしているのか」
勇者「ええ、まあ」
兵士「変わっているな。ま、それで連絡とって、何れはこっちの国で商売でもしてくれ」
兵士「一部の魔族にとってしてみれば、人間達との交易というのは、興味がつきない話題でもあるんだ」
勇者「行けるルートがあれば、の話なんだよなぁ」
兵士「まあ、な」
332
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:46:25 ID:xKqXpYms
兵士「世話になったな」
勇者「こちらこそ」
勇者「あの、こんな事を言うのもどうかと思うけども」
兵士「?」
勇者「どうかご無事で」
兵士「……ああ、あんたもな。何時か酒を交わしたいものだ」
勇者「……下戸なんで」
兵士「そん時は酒の肴で飯でも食ってくれ。俺は飲むからよ」カラカラ
勇者「それは……いいですね」
兵士「じゃあお互い達者でな」
333
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/26(木) 23:48:30 ID:xKqXpYms
勇者「……」
勇者「ルート、か」
勇者「戦場を通らず魔王国へのルート」
勇者「でもばれたら……」
勇者「しかしこれは一攫千金のチャンスのようにも思えるし何より……」
勇者「よし、少しこの路線で考えてみるか」
334
:
雑談
:2016/05/26(木) 23:52:15 ID:xKqXpYms
>>313
茶色のはブラウンマッシュルームかな
イギリスではチェストナッツマッシュルーム。直訳すると栗キノコ
こちらは、ポータベリニ、チェストクローズドカップ、ブレックファスト、ポータベロって名前が変わる
因みに、イギリスでは新鮮な養殖マッシュルームを生食するそうで、そのままサラダにとか
主に小さいマッシュルーム(香りが少ないもの)が生食されるそうな
どんな感じかかなり気になる
335
:
明日役立たない雑学
:2016/05/26(木) 23:56:04 ID:xKqXpYms
バジリスク
古代の伝承ではヤマガカシに似ており、頭に鶏冠みたいなものがある
体を半分上げて移動し、彼らが鳴らす音は蛇を散らすとか何とか
中世においてはコカトリスと同一視されるようになったそうな
因みに石化の力はコカトリスの方で、バジリスクは毒
鶏と蛇っていうのは中世あたりで生まれたイメージらしい
336
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/27(金) 00:37:44 ID:hZEkBoTE
乙!
販路開拓ルートかな
>>334
ブラウンはまた違う名前なのか、白いのと同種だと思っ…生食…だと…?
337
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/27(金) 23:22:40 ID:V33hXn0w
最初から一気読みしてしまったんだが空腹がヤバい
乙!
338
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:33:08 ID:rTxqkbdU
町
文字伝達魔石「」キラキラ
勇者「それにしてもこの魔石、一切音が出ないんだな」
勇者「魔石の明かりさえ見られなければ、敵地でも使用可能という訳か」
勇者「差し詰め隠密向け、て事だろうか」
勇者「それに使用時における魔力の放出も、文章の送受信の時だけ」
勇者「一方、こちらのは通話中は常に魔力を放出しなくちゃいけない」
勇者「中々面白い違いだなぁ。短時間で多くの情報を得る為に、燃費と隠密性を捨てるか否か」
339
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:36:11 ID:rTxqkbdU
勇者「にしても、こちらの魔石は元が文字によるやり取りな分、常時見られる情報量も多い」
勇者「紹介文の文字制限もかなり緩いなぁ」
勇者「なんか、アイドルっぽい人とかいるし。眺めている分にはこちらの方が断然面白いな」
勇者「うーん、それに比べて自分の紹介文の事務的感半端ない」
勇者「まあ、受注がもらえるとも限らないし気長に考えるとするか」
勇者「そういえば、あちらとこちらに特産とかの違いってあるのかな」
勇者「魔物の種類によっては、収集物で稼げそうだ。問題は情報と道のりか……」
340
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:39:22 ID:rTxqkbdU
勇者「ま、今はやれる事をするか」
勇者「ここの町は随分とキノコの乾物が多いんだな」
勇者「キノコか……栽培地がある程度限定されてしまうからな」
勇者「あの旅館の板前さんはどうなんだろう。今度連絡があったら聞いてみるか」
勇者「しかし、ヴォルケイノ火山の周囲にも森はあったし、案外キノコそのものの供給はあるのかも」
勇者「うーん、特別な物は乾物ぐらいか」
勇者「この辺で切り上げるかな」
341
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:42:26 ID:rTxqkbdU
勇者「腹が減ってきたがお店がない……もしかして、ここも宿屋が料理屋を兼任しているのかな」キョロキョロ
勇者「仕方がない、とっとと宿をとってそこで食べてしまおう」
「食事? ああ、他に店はないよ。メニューはこちら」
勇者「どうも」
勇者(ソードフォレストは宿屋と料理屋を一体化させる文化があるようだけど)
勇者(一体何なのだろうか。やっぱ森を切り開く関係で、土地を狭く使いたいとかなのかなぁ)
342
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:45:45 ID:rTxqkbdU
勇者(ここもキノコと鶏、というかバジリスクかな)
勇者(キノコパスタ……そろそろいってみるのもいいな)
勇者(うん? バジリスクのガランティーヌ? 馬鹿な)
勇者(こんな場所でそんなオシャンティな料理があるなど……本当なのかな)
勇者(別にガランティーヌが特別好き、という訳ではないけども)
勇者(ソードフォレストの宿で提供されるガランティーヌ。怖い物見たさの好奇心が抑えられないぞ)
勇者(しかも一人前とか四人前とか分かれているけど、どういう事だろう)
勇者(普通に一人前じゃダメなのか? というか六人前って何でだ)
343
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:48:30 ID:rTxqkbdU
バジリスクのガランティーヌ 一人前 60G
予想を大きく覆して、ツボ抜きしたバジリスクに香草等を詰め込んだロースト。
動体部分を輪切りにしたものが、皿の上で山のようになっている。
勇者(こう来たか。恐るべしソードフォレスト)
勇者(最早も何もガランティーヌじゃない)
勇者(ただの香草詰めしたローストバジリスクじゃないか)
勇者(しかしこの値段でこの量、田舎ならではというか、とっても嬉しいじゃないか)
344
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:51:22 ID:rTxqkbdU
勇者(更にはこの小型の鉈のようなナイフ。肉の大きさ共に豪快さがとてつもないぞ)ガチャガチャ
勇者(こんなでかいフォークも、山賊や海賊のお話でしか登場しないもんだと思っていた)ザク
勇者(何とも粗野な食欲が溢れてくるものだ)バグゥ
勇者(ほほうっ! これはいいローストバジリスクだ)モグモグ
勇者(何気に色んなスパイスを使っているんだな。しかも外側は黒胡椒をかけてあるのか)ザクザク
勇者(中々大味だが、これは飽きないな)バグ
勇者(この間のバジリスクと被る、とか思ったけども、全然そんな事ないぞ)モグモグ
勇者(別、既に全く別の料理だ!)
345
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:54:27 ID:rTxqkbdU
勇者(それに何と言っても、やはり鶏肉といったらこの皮のパリパリ感。これがないと始まらないな)バクバク
勇者(そして噛み締めれば感じる、肉のジューシーさと言ったらない)モグモグ
勇者(これで一人前……となると六人前は丸々一匹のバジリスクか。それはそれで食いでがあるんだろう)ザク
勇者(しかし、こう出てくるのなら手羽先も食べたかったけど……流石にそうは上手くいかないか)バグゥ
勇者(だけど、大満足の量と味だ)モグモグ
勇者「げっぷ」
勇者(ふう、美味かった)
346
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 12:57:23 ID:rTxqkbdU
勇者「ふー」ゴロリ
勇者「このペースなら2,3週間ぐらいで首都に到着するな」
勇者「その後、どうしようかな」
勇者「大陸の端の方からあちら側にアプローチしようかな」
勇者「一旦、ソードフォレストを抜けてから北を目指さないと、ヴェノムドラゴンと遭遇する可能性があるし」
勇者「結構な長旅になりそうだな」
勇者「しかも完全に敵地か……そもそもあちらまで行ってどうしよう」
勇者「町に入ったら即殺される? 人間かどうかって見た目で分かるものなのかな」
勇者「うーん、難しいな」
347
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:00:24 ID:rTxqkbdU
一週間後 廃墟
勇者「な、んだ……これ」
勇者「一体何が……」モォッ
勇者「!」ズザァッ
勇者「この僅かな香りは……ヴェノムドラゴンの毒か?」
勇者「だいぶ日にちが経っているのか、毒性はもうないみたいだな」
勇者「確か外気に触れているダメなんだっけ。あれって何日ぐらいなんだろう」
勇者「しかしこれは……首都の方は大丈夫なんだろうか。生息地はもっと先のはずだよなぁ」
348
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:03:24 ID:rTxqkbdU
更に一週間後
勇者「……町が、ない」
勇者「そうか、さっきの町の次が首都だったか……」
勇者「早めに到着できないと、本格的にサバイバルしないといけなくなるなぁ」
勇者「出来れば食料確保が優先される前に、到着したいものだけど」
勇者「しかしなんだってこんなに拓けた道なんだろう」
勇者「首都の周りはある程度開拓されているのか?」
勇者「けど、割と首都周りは鬱蒼としているって聞いたいたのだが」
勇者「考えていても仕方がない。先に進まないと」
349
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:06:36 ID:rTxqkbdU
ソードフォレスト 首都
勇者「つ、疲れた……」フラフラ
勇者「もう食料もないし……とにかく腹いっぱい食べたい」ヨロヨロ
勇者「えい、もう、この店でいいや」
「いらっしゃいませー」
勇者「うう……もう考える余力もない」
勇者「あの、何かいっぱい食べられる料理とスープを下さい」
「は、はぁ……」
350
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:09:14 ID:rTxqkbdU
「お待たせしました、ごゆっくりどうぞー」
ベックオッファ 100G
大きな耐熱容器に入っている。
じゃがいもやたまねぎ、ニンニクや肉類が入っているようだ。
ソパ・デ・ケソ 35G
ニンニクスープにチーズとパンが入っている。
コンソメの香りが食欲を掻き立てる。
勇者「ほほぅ……」
勇者(何だかよく分からない料理が出てきたがとっても美味しそうだ)
351
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:12:30 ID:rTxqkbdU
勇者(この焼き物はなんだろう)バグ
勇者(ニンニクと肉は何だろう……鶏ではないな)モグモグ
勇者(あとはじゃがいもと玉ねぎ?)バグ
勇者(しかもこれ、層になっているんだ。変わっているな)モグモグ
勇者(味付けはなんだろう。多分、肉とか漬け込んでいるんだろうな)パク
勇者(塩胡椒とハーブっぽい感じがやや強めか。しかし美味しいな)モグモグ
352
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:15:13 ID:rTxqkbdU
勇者(スープは)ズズゥ
勇者(うーん、ニンニクが効いていて美味い!)ズズ
勇者(そこにパンにチーズか。ちょっとした軽食になるなぁ、このスープ)モグ
勇者(うんうん、滅多にしないが店員さんお任せメニュー、実にいいじゃないか)
勇者(それにしても流石首都なのかな。こんな料理があるもんなんだなぁ)
勇者(何時もなら相当な腹具合だろうけども、今日の腹にはすっぽり収まる丁度いいサイズだ)
353
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 13:18:08 ID:rTxqkbdU
「ありがとうございましたー」
勇者「ふう……それにしてもソードフォレスト首都」
勇者「とんでもなくでかいな」
勇者「何だか、無理に広くしている途中みたいだし……そうか、あの町の人達をこっちにとかか」
勇者「今日はもう休んで明日情報収集をしよう」
勇者「原因と経過によってはしばらくはここで、待機していた方がいいかもしれないなぁ」
勇者「さて、何が出てくるのやら……まあ大型爬虫類ぐらいだろうけども」
354
:
明日役立たない雑学
:2016/05/29(日) 13:19:23 ID:rTxqkbdU
ガランティーヌ
フランス料理で洗練されたという意味のgalantからきたとか。
主には延ばした鶏肉や魚肉で野菜やひき肉を包むように巻いた料理。
これを茹でたり蒸したりするが、提供する時は冷えた状態である。
他にはフランス版煮こごりで覆ったりするものも。
これの冷製のものをバロティーヌというが明確な決まりがなく、人によってまちまち。
元々冷製なんじゃないのか? ガランは冷まして、バロは冷やす? とよく分からない話。
ベックオッファ
フランスのアルザス地方の伝統料理。パン屋という意味。
かつては町のパン屋さんに主婦達が鍋を持ち寄り、釜の余熱を利用して作ったものだとか。
ワイン等で漬け込んだ肉類や玉ねぎ。それとじゃがいもを何層にも敷いて、最後に蓋のようにじゃがいもを乗せる。
ワインも入れたりして、オーブンで1時間半ぐらい煮込むというか蒸すというかして出来上がり。
だし汁をかけてオーブンって事もあるそうな。
ソパ・デ・ケソ
スペイン料理。ソパ(スープ)・デ・アホ(ニンニク)にケソ(チーズ)が入ったニンニクスープ。
調べ不足かもしれないけれど、スペインのスープには割りと直接パンを入れる事が多いような。
入れるパンは固いものでフランスパン等。
余談だけどバケットとはフランスパンの中の一種類で、
フランスパン自体が長さや太さ大きさや形で、何種類にも分かれている。
355
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/30(月) 12:24:55 ID:0Jo.FQnY
乙
356
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:25:37 ID:y19mWGGM
「あーあれか。もう一ヶ月も前の事だよ」
「いきなりヴェノムドラゴンが現われたそうでなー」
勇者(恐ろしい話だ)
「町の人も半数が亡くなったよ」
勇者「先日、その町を通ってきたのですが、香りは残っているものですね」
「あーそりゃ逆だ。ヴェノムドラゴンの毒は外気に触れると無毒になっていくってやつだが」
「それが大体2,3週間かかるんだが、無毒になると臭いを発するようになんだよ」
勇者「だとしても長いのでは……?」
「それだけ強力って事だよ」
357
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:27:17 ID:y19mWGGM
勇者「因みにそのドラゴンは?」
「逃げられたそうだ。未だに目撃情報がないところを見ると、外に出て行ったのかもしれないなぁ」
勇者「本当に恐ろしい話だなぁ」
勇者「これから先、ヴェノムドラゴンとエンカウントする可能性があるのか……死ぬ」
勇者「うーん、待っていても解決しなさそうだしなぁ」
勇者「けれども、これで森の西側にいたら最悪だ。いっその事、魔王軍の陣に突っ込んで行ってくれないかな」
勇者「とは言え、森の中の方が接近を許す訳だし、急いで国外に出たほうがいいのかな」
勇者「うーん、うーん……悩むなぁ。こんな状態で無理してあちらの国に?」
358
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:29:25 ID:y19mWGGM
勇者「うん?」
文字伝達魔石「」キラ
勇者「お、おお、連絡来てる」
勇者「ええ、と。……ふむふむ、急ぎではないけどバジリスクかヒクイドリの羽が大量に欲しい」
勇者「年内での納品は可能か、か……向こうにこの二種類の魔物って少ないのかな」
勇者「しかし、バジリスクなら何とでもなる」
勇者「年内か……そもそもどこら辺なんだろ」
勇者「魔王城の装飾師!? と、とんでもないところから依頼がきちゃったぞ」
359
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:31:50 ID:y19mWGGM
勇者「魔王城ってどの辺りなんだろう。それを聞くのは不味いよなぁ」
勇者「うーん、あの兵士さんに聞いておけばよかったなぁ」
勇者「年内ぐらいには到達できそうな気がするけども……」
勇者「というか見た目とかで人間ってバレるのかな。向こうまで単身で行ったら、気のせいって思われるかな」
勇者「しかしなぁ……ううん……こちらは遠方にいる為、年内での納品は厳しい可能性がございます」
勇者「納期につきまして、都合はつけられますでしょうか? うーん、完全にナメてる内容だな」
勇者「ええと、文章削除は……あ! 送っちゃった!!」
勇者「げぇぇ……」
360
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:33:49 ID:y19mWGGM
勇者「うわぁ……うわぁ……」
勇者「印象最悪だぁ、挽回できないぞ、これは」
文字伝達魔石「」キラ
勇者「うわぁ……返信きたぁ」
勇者「ええと、それでしたら下記の量と追加で別の素材もお持ち頂けないでしょうか?」
勇者「それでしたら来年の春まででも構いません……ふんふん」
勇者「バジリスクの蹴爪? 装飾師だよなぁ、何に使うんだろう……まあいいか」
勇者「この数なら時間をかけなくても揃えられるし、納期延長は確保できたな……」
勇者「問題は場所だよなぁ……何処なんだろう」
昔の地図「この辺りだよ!」
勇者(わぉ)
361
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:35:46 ID:y19mWGGM
「あ、勇者さん。欲しい情報は見つかりましたか?」
勇者「はい、ありがとうございます。資料室をお貸し頂きありがとうございます」
「いいのいいの。勇者の方の力になれたのならそれで十分ですって」
勇者「思いがけず知る事が出来た……役場、優秀だなぁ」
勇者「それにしても戦線からだいぶ離れているなぁ。当然か」
勇者「うーん、こうなるとルートはこうでこうで……圧倒的に食料が足りないなぁ」
勇者「これはかなり長丁場になるな」
勇者「携帯食料……栄養価の高い凄い不味いのをいくつも持っていかないと」
勇者「いざという時の生命線だからなぁ。栄養失調で動けなくなるのだけは避けないと」
勇者「腹具合は最悪、野草で凌ぐしかないな」
362
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:37:31 ID:y19mWGGM
次の町
勇者「ふう……何とか無事着けたか」
勇者「ソードフォレスト領の森の外まであと町が二つ」
勇者「このルートだと、平地であと一つってところか」
勇者「うーん、何とも心細い話だ。これで数ヶ月近い旅になるやもしれな、いと」
勇者「最悪、転移魔法で帰ってこれるとは言え、人がいる地帯まで行かないと転移魔法の標は得られないしなぁ」
勇者「そういえば魔王の国とかどうなんだろう、行ったら転移魔法でひとっ飛びなのかな」
363
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:39:36 ID:y19mWGGM
勇者「ここの町の特産品はあんまり他と変わりがないなぁ」
勇者「いや、最近は果実ジュースがよく並んでいるな? そういう季節なのかな」
勇者「よし、もう切り上げてちょっと食べたら宿で休もう」
勇者「とは言え、食事にするにはまだ早いな……」
勇者「軽く食べられるものか。屋台的なものはあるんだろうか?」
勇者「うーん、それっぽい建物はいくつかあるけども」
勇者「このお店……酒場っぽい雰囲気だけど、外に出ているメニューは喫茶店だ」
勇者「何か変わったお店だなぁ。しかし悪くなさそうだ。軽く甘いものでも食べるか」
364
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:41:12 ID:y19mWGGM
カランコロン
「……」チラ
勇者(寡黙な店主と言うべきか、接客向きじゃない店主と言うべきか)
勇者(しかし、目つきが悪い訳でもないし、下手にベタベタされるよりよっぽどいいな)
勇者(しかもこの店、お酒も並んでいる……夜は酒場として営業しているのか)
勇者(中々雰囲気もいいし、これは期待できるやもしれないな)
365
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:43:32 ID:y19mWGGM
勇者(思ったよりメニューが少ない。メインは酒か)
勇者(うん? サフト? そういえば、あの果実ジュースもそんな名前だったような)
勇者(ほうほう、試しに飲んでみるか)
勇者(あとは食べるものか……ケーキもいいが、たまにはパンケーキにしてみるかな)
パンヌカック 45G
四角いパンケーキに、クリームとベリーのジャムが乗っている。
パンケーキはやや大きめ。
リンゴンベリーのサフト 10G
やや透明の赤いジュース。
とっても爽やか。
366
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:45:20 ID:y19mWGGM
勇者(ほほう、こりゃ美味そうだ)
勇者(にしても四角いパンケーキ。不思議だ。フライパンが四角なのかな)
勇者(まずはこのサフトとやらを)クピ
勇者(くぅぅぅ、なんだこれ。目の覚めるような酸味っ)
勇者(仄かに甘みもあるけど、中々酸味が強いな。これはかなり好き嫌いが分かれそうだが)グビ
勇者(美味い! これは美味い酸味だ。病み付きになってしまうぞ)
367
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:47:20 ID:y19mWGGM
勇者(このパンケーキも)パク
勇者(ほう、ほう……味は普通だけど結構どっしりしているんだなぁ)モグモグ
勇者(見た目以上に腹に溜まるな、これ)パク
勇者(その上でこの大きさっていうのは、ちょっとしたトラップのような気がしなくもない)モグモグ
勇者(ここでサフトの援軍)クピ
勇者(うん、うん。これは素晴らしく美味しい口直しだ)
勇者(リンゴンベリーのサフトか。多分これは極端に砂糖を入れていないタイプなんだろうけども)
勇者(覚えておいて損はないな)
368
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 22:49:22 ID:y19mWGGM
勇者「ふう……美味しかった」
勇者「味も腹具合も大満足の花丸満点だ」
勇者「しかし、逆に夕食はあまり食べられなさそうだな」
勇者「とは言えこれから先、しばらくはこんな風に腹をさする事もめっきり減るし」
勇者「食える時にめいいっぱい食べておきたいものだ」
勇者「軽く散歩して夕食に備えておくかな」
勇者「食べる事もまた休息と思えばこそ、それも悪くないなぁ」
369
:
明日役立たない雑学
:2016/06/06(月) 22:51:12 ID:y19mWGGM
パンヌカック
フィンランドの四角いパンケーキで、パンナリという愛称で親しまれている。
四角い天板に生地を流し込んで、オーブンで焼き上げるから四角い形をしているんだとか。
溶かしバターと卵が多く、焼き上がりはどっしりもちもちの出来上がりになる。
食べ方は他のパンケーキと同じでアイスやクリーム、フルーツ添えたりジャムをかけたりして食べる。
サフト
スウェーデンの無添加フルーツジュース。
夏や秋の季節に採れた果実で作るシロップで、水や氷で薄めて飲んだり料理に使ったりする。
冷凍保存する事で、冬場の貴重なビタミン源にも。
人によって作り方は様々。
煮立たない程度に煮る、加水して煮る、こして砂糖を加えて煮て、とろみがついたらビンに。
逆に初めにこして作ったり、保存性は低くなるけど、砂糖の量をちょっぴりだったり。
因みにサフトで作るスープでバールソッパというものがある。
カシスで作ったサフトに、水、砂糖、シナモンスティックを加えて鍋で煮立たないように暖め、
ポテトスターチでとろみをつけて出来る甘いスープだとか。
冬場に飲んでみたくなる話だ。
リンゴンベリー
コケモモの事。
北欧では野生のコケモモが多く、スカンディナヴィア諸国では公有地から収穫することが許可されているんだとか。
酸味が強いため、砂糖を加えてジャムやコンポート等にする。
コケモモのコンポートは肉料理の供え物にする事もあるんだとか。
370
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 23:11:14 ID:IkONlQhE
乙
371
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 23:22:18 ID:2mvYrDys
ごちそうさま
372
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/06(月) 23:26:40 ID:4TslZLdU
乙
リンゴンベリーのジャムならイケヤで売ってたな
肉団子に添えられてたような記憶がうっすらと
373
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/07(火) 01:37:23 ID:v91HedmA
乙
旨そうだー
しかし交易やる勇者って珍しいな
374
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/08(水) 16:14:20 ID:LlOfKIHg
乙
375
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/09(木) 06:31:35 ID:3I8QEGfk
火を入れなければ酒にもなりそうだな
376
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/10(金) 09:58:47 ID:mGkQLWd2
美味そうだなあ
商業的なコネがどんどん増えていく!(いいぞ、もっとやれ)
乙
377
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 16:35:28 ID:UXOtkhAs
サフトって言葉、最近どっかでみたなと思ったら某キリンから最近出た世界のキッチンシリーズ
だった。あれは5種類のベリーだったな。サフトの作り方をヒントに云々とか書いてた。
ソルティライチと間違って買ってしまったんだけど、勇者ご飯がちょっと近くに感じられたよw
(酸味はあまり感じられなかったデスヨ、万人向けならまあいいのか)
378
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 20:48:27 ID:ogcOt1Sg
二週間後 森の外
勇者「ふう……何とか無事に出れたか」
勇者「ここからは一応、ヒューズヒル領か」
勇者「魔王軍の強襲を受けて、首都を含んだ広域を爆破させた国」
勇者「商業都市の西に小さな建物を建てて、そこを仮設の城代わりにさせているとは聞くが……」
勇者「かなり、厳しい状態だろうな……」
379
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 20:50:17 ID:ogcOt1Sg
勇者「しかし、これは見誤ったかもしれない」
勇者「随分と傾斜がきつめの丘が立ち並ぶな……。ちょっとした崖の合間を歩く巨人の気分だ」
勇者「これでは、意外と敵に近寄られるかもしれない……」
勇者「むしろ、ヴェノムドラゴンがいたらソードフォレストより危険やも」
勇者「とは言え、魔王軍の兵士が入り込んでいないとも限らない。そういう意味では、やり過ごす事もできる」
勇者「なんとも一長一短な話だなぁ……」
380
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 20:52:33 ID:ogcOt1Sg
勇者「丘の上なら……しかし、こちらから見えるという事は相手からも見える」
勇者「何より、ヴェノムドラゴンが相手であれば、この丘の間なんて飛び越えて隣に移れる」
勇者「見つかったら最後、逃げおおせるものじゃない」
勇者「うーん……中々困った土地だなぁ」
勇者「しばらくはひっそりと進むとするか」
勇者「数kmも行けば少し道が穏やかになるし、そこで考えるとしよう」
381
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 20:55:18 ID:ogcOt1Sg
……
勇者「と、思った傍から」
ヴェノムドラゴン「ガアアアアア!」ドドッ
鎧姿の男A「がぁっ!」ドッ
鎧姿の男B「ぐ!」ガッ
鎧姿の男C「くそ……なんて魔物だ」
勇者(あれはどう見ても、魔王軍の兵士の鎧……困ったなぁ)ソヨソヨ
勇者(ヴェノムドラゴンは自らの毒では死なないから、毒の息で殺した獲物をそのまま捕食する)
勇者(あれだけの人数がいれば、ヴェノムドラゴンも満腹だろうし、何とかやり過ごせそうだけど)ソヨソオ
勇者(見殺しにするのも……うん?)フア
382
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 20:58:02 ID:ogcOt1Sg
勇者(あれ、ここは風下? しまった、丘の間の道を通っていくのか)ゾォ
勇者(不味い、彼らがやられたら以前の問題だ。毒の息を吐かれたら最後、こっちも死ぬぞ)
勇者(何としてでも倒さないと!)ダッ
ヴェノムドラゴン「グォォ」スゥゥゥ
D「息を……」
E「炎……いや、このドラゴンは毒か!」
B「駄目だ……間に合わない」
石「」ヒュッ
ヴェノムドラゴン「グル」ガツッ
勇者「……」
383
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:00:20 ID:ogcOt1Sg
A「人、間……?」
B「何故……」
ヴェノムドラゴン「オォォ」スゥゥゥ
勇者(間に合っ……)ギリッ
勇者「たっ!」ビュンッ
ヴェノムドラゴン「グル!?」ゴクン
D「何を投げたんだ?」
C「袋……?」
384
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:02:01 ID:ogcOt1Sg
ヴェノムドラゴン「ルルル」スゥゥ
勇者「え、嘘ぉ」
勇者(毒食み草は爬虫類や両生類、ドラゴン種のある成分の毒に効くはずなのに)ジリ
勇者(ま、まさか量? 量が足りない? 駄目だ、今からじゃもう逃げられない)
ヴェノムドラゴン「ガアアアア!!」ボコボコボコ
A「ひぃ!」
B「首筋に瘤が……」
勇者(おぉ……だけど、即死じゃなさそうだ……うう、近づきたくないなぁ)
385
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:04:17 ID:ogcOt1Sg
ヴェノムドラゴン「アアアアア! ガアアアアアア!」ドズンドズン
C「随分と苦しがっているな」
D「瘤も増える一方だな」
E「隙を見て止めを刺すぞ」
ヴェノムドラゴン「ガヒューー……ガヒューー……」ボタ ボタタタ
勇者(凄い量の粘液を吐き出したな……多分、もう体内に毒素は殆ど)
A「今だ!」バッ
B「かかれぇ!」ザッ
386
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:06:58 ID:ogcOt1Sg
ヴェノムドラゴン「」
勇者「止めを刺して下さってありがとうございます」
A「何故、助けたんだ」
勇者「うーん、やはり人の姿をしている相手を見殺しにするのは心苦しい」
勇者「何より、あのまま毒の息を吐かれていたら、風下の自分は死んでいましたし」
B「ああ……だろうな」
勇者「こちらとしては、争う意思はありませんので、そう警戒しないで頂ければと思います」
E「そうか。いや、すまない、感謝する」
C「にしても、今の一体なんだ?」
勇者「毒食み草という植物の実です」
387
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:09:12 ID:ogcOt1Sg
勇者「実は潰すと恐ろしく臭いのですが、実と臭いの成分には」
勇者「爬虫類や両生類、ドラゴン種の持つ一部の毒に反応して、無毒の水分に変えてしまうそうです」
D「じゃああの首に出来た瘤は」
勇者「ヴェノムドラゴンは毒を首筋に溜めるそうなんで」
勇者「大抵は無毒化する際に膨張して毒腺などが破裂」
勇者「その勢いで血管や様々な器官に入り込んで、ショック死させたりするのですが」
E「体が大きい分、効きが足りなかったのか」
勇者「恐らくはそうなんでしょうね。いやあ、焦りました」
388
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:10:51 ID:ogcOt1Sg
勇者「それにしても、皆さんは何故ここに?」
A「戦場で孤立してな。逃げている内にここまで来てしまったんだ」
B「そうしたらあんなドラゴンに出くわすしな」
C「人間も随分と過酷な環境なんだな」
勇者「ヴェノムドラゴンの襲撃はそうそうあるもんではないですけどね……」
勇者「ただ、大戦の空気を感じてか、多くの魔物がピリピリしていると言いますか」
勇者「普段いないような所に出現したりしていますよ」
D「そいつは悪かったな。だが、俺らも好きでやっている訳じゃないからな?」
勇者「分かっていますよ」
389
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:12:50 ID:ogcOt1Sg
勇者「さて……」チラ
ヴェノムドラゴン「」
A「うん? どうした?」
勇者「これからあれを解体しようと思っていますが、皆さんどうでしょうか?」
B「え? なに? 売るのか?」
勇者「いえ、毒抜きではないですが、無毒化も済んでますし」
C「食うのか?!」
D「凄いな……人間は皆あんななのか?」
E「どうなんだろうな……」
390
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:15:11 ID:ogcOt1Sg
A「で、俺らはどうすればいい?」
勇者「ええ、と……解体に二人、もう三人は穴掘りと枝や葉っぱを集めてきてほしいです」
B「穴に枝……?」
D「俺とAで解体を手伝おう」
C「じゃあ俺は穴掘るわ」
E「俺も」
B「……薪拾いか」
391
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:19:59 ID:ogcOt1Sg
勇者「まずは首と小さい手を落としましょう」
A「この装備で出来るものなのか?」
勇者「こうやって」ゴリュ
勇者「骨を外してやれば、意外と簡単に切れますよ。ただ、急がないと硬直が始まるので」
D「そうなると厄介か」
勇者「ですね。そうしましたら次に……」
C「これが図面か」
E「一体、何に使うんだろうな」
392
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:22:18 ID:ogcOt1Sg
二時間後
A「何が意外と簡単だ……」ヒソ
D「滅茶苦茶重労働だ……」ヒソ
勇者「切り分けた肉の塊はこちらに」
B「穴の上に持ってきた枝を格子状にして置け、てこんな感じでいいのか?」
勇者「お、ありがとうございます」
C「こっちの穴の準備は出来たぞ」
E「こっちの被せ物も出来ている」
勇者「じゃあこっちの穴に火をつけちゃいましょう」
393
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:24:41 ID:ogcOt1Sg
肉に被せ物をしたところ「」モウモウ
A「はー……上手い事を煙を逃がす道を作ったのか」
D「これで燻せるって事か」
勇者「かなり古い方法ですけどね」
B「どうなっているんだ?」
E「俺もよく分かっていないが、穴の中に火を起こし、煙の逃げ道を肉のある方にってしたんだ」
E「燃すところの穴も別に空気穴がある」
勇者「さて、出来る上がるまでは普通に焼いて食べますか」
394
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:26:50 ID:ogcOt1Sg
A「ドラゴンステーキか……」ゴクリ
B「豪勢な」
C「仕方がない」ゴソゴソ
D「お、奮発するか」
勇者「と言いますと?」
C「これだ」コト
暗い色をした小ビン「」
勇者「調味料、ですか?」
C「これはグレープソースを濃縮し、冷凍保存しているものさ」
勇者「へえ!」
395
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:29:56 ID:ogcOt1Sg
勇者「しかし、冷凍保存?」
A「中に凍結魔法の魔石を入れているのさ」
勇者「それは……衛生的に問題ないのですか?」
B「食品用の魔石だから、入れておいても平気だぞ。人間側ではないのか」
勇者「そうですね……直接入れるって事はしないですね」
D「あんまし、人間側は魔法や魔力に関する技術って低そうだな。こっちは魔石の衛生問題なんて相当昔だぞ」
E「まあ、こんだけ濃縮させるのも、魔法学が使われているしな」
勇者(魔法学。完全に学問として浸透しているのか。差がある訳だ)
396
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:32:07 ID:ogcOt1Sg
C「ま、そんなのは後だ。こいつを軽く砕いて容器に出す」カララララ
C「湯をかけてゆっくり回してやると……」
濃い紫色のソース「」トロォリ
勇者「おお……芳醇な葡萄の香り。これは中々」ゴクリ
A「こっちは焼き始めるか」
B「だな」
397
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:34:01 ID:ogcOt1Sg
ヴェノムドラゴンステーキ ブドウソースがけ
大きなステーキに惜しまずブドウソースをかけてある。
骨付き肉もあって見た目のボリュームが凄い。
勇者(うーん、これは堪らないぞ。まさかこんなところでこんなご馳走にありつけるとは)
勇者(しかも野営時。はばかれる事なくかぶり付ける幸せっ)ガブゥ
A「おお、いった」
B「この人、結構ワイルドだな……」コソ
C「ああ、見た目や雰囲気や言動が何というか一致しないというか……」
勇者(美味っ! 美味い! このソース、とってもいけるぞ!)モギュモギュ
398
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:36:28 ID:ogcOt1Sg
D「うぐ……流石にこれは」
E「あの巨体だと専用の器具無しだと、川でもない限り血抜きは難しいからなぁ」
B「お、じゃあこいつを」ゴソソ
A「粒マスタードなんて持っていたのか」
B「好きなんだよ」
勇者「皆さん……随分と色々とお持ちですね」
A「そりゃあな。食の楽しみを失ったら疲弊するのはすぐだぞ」
勇者「……なるほど」
399
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:38:52 ID:ogcOt1Sg
勇者(こういう味も野営での食事の醍醐味だとは思うが……)
B「ほら、あんたも」サッ
勇者「頂きます」ヌラヌラ
勇者「はふっはふっ」ガブゥ
勇者「おほぉっ」
勇者(これはこれで中々! しかも臭みがこんなにも綺麗になるとは。これはいいマスタードだぞ)モギュモギュ
E「良い食いっぷりだな、この人」
D「俺、こんなに美味そうに食べる奴、初めて見たわ」
400
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:41:26 ID:ogcOt1Sg
勇者「ふう……大満足の大満腹だ」
A「ああ、食った食った」
B「力になるなぁ」
勇者「おっと、そろそろ良い頃か」カポ
ドラゴンの燻製肉
昔の燻製方法で作った。しっかりとしたチップを使った訳ではないので、本当に保存の為の加工。
中は生なので、食べる時には必ず焼くなりしないといけない。
401
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:43:42 ID:ogcOt1Sg
A「悪いな。こんなものまで」
勇者「いえいえ、お互い様ですよ」
B「にしてもあんた、一人で旅をしているのか」
B「これから何処に向かうつもりだ?」
C「……まさか、単身乗り込む気か」
勇者「ええ、まあ」
D「ほ、本気か」
E「……命の恩人とは言え、暗殺者を見過ごす訳にも」
勇者「あ、いえ、取引があるだけです」
ABCDE「は?」
402
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:44:07 ID:Ku7778Ew
やべぇ、また腹減ってきた
403
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:46:14 ID:ogcOt1Sg
勇者「魔王城にいらっしゃる装飾師の方に納品があるんです」
A「の、納品?」
B「どうやって連絡を」
勇者「少し前に、別の魔王軍の方を助けまして。その時にそちらで使われている魔石を譲っていただいたのです」
D「ほう……うーん、ちゃんと初期化しているからいいか」
C「本当にそれだけなんだな?」
勇者「それと……何かあちらの特産とか知っておきたいのと、あちらの料理を食べたいですかね」
D「お、おう……そうか」
404
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:47:56 ID:ogcOt1Sg
B「うーん、とりあえず知り合いの門番に連絡しておいとくわ」
B「そいつが非番でなけりゃ、話もスムーズだとは思うが……」
A「まあ、止めはしないが気をつけてくれ。人間と俺達は魔力の質が違う」
A「大抵の魔族なら、お前達に会えば人間かどうかは分かるものだ」
勇者「とすると、やはり全ての町は避けないといけないのですか……」
C「お前、楽観視し過ぎだろ……」
405
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:49:41 ID:ogcOt1Sg
A「俺達はこのまま南西に向かい戦線に戻る。そちらは北を行くのだろうし、ここでお別れだな」
B「何にせよ達者でやってくれ」
C「縁があったらまた会おうぜ」
D「だな。礼も返さないといけないしな」
E「あ、これプライベート用の文字伝達魔石だ。連絡先交換しておこう」
勇者「ええと」ゴソソ
E「ここをこうしてこう。こうする事で、このリストからすぐに相手を探して、連絡を取る事ができるんだ」
勇者「なるほど、ありがとうございます」
406
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/11(土) 21:52:14 ID:ogcOt1Sg
勇者「思いがけず大量の食料が得られてしまった……」
勇者「少しは楽になるかなぁ」
勇者「それにしても魔族の人、やっぱり話せるもんだなぁ」
勇者「とっとと和平組んで国交正常化してくれないかな」
勇者「その前に、ひと稼ぎしておきたいなぁ」
勇者「魔族の国、何があるのかなぁ」ワクワク
勇者「さ、まずは生きて着く事だ」
407
:
雑談
:2016/06/11(土) 21:54:36 ID:ogcOt1Sg
>>372
よくよく考えたらお惣菜のオードブル的な物にも、よくさくらんぼがついてくるし
そういうもんか
>>373
国が勇者の称号を与えているだけだから何ちゃって勇者が後を絶たない
側近「今時、旅をして生活している者がいる件について」
王「kwsk」
側近「ほぼソロ縛りプレイ中」
王「次の勇者そいつで」
側近「おk」
>>377
某キリンってまんまキリンっ
サフトはそれで知った口
個人的に世界のキッチンからはハズレがないイメージ
サフト自体が家庭で作られるものだから味(砂糖の量)や工程も千差万別で、決まりはなかったり
言ってしまえば、
スウェーデンで親しまれている伝統的なフルーツジュースの総称とかなんかそんな感じなのかなぁ
408
:
明日役立たない雑学
:2016/06/11(土) 21:58:07 ID:ogcOt1Sg
マスタード
カラシナやシロガラシの種子やその粉末に水や酢等を練り上げた調味料。洋がらしとも呼ぶ。
マスタードの歴史は古く、古代ローマ時代には既に使われていたとか。
ギリシアでは紀元前2000年頃の遺跡や、
同時代のエジプトの遺跡からもマスタードの種子が発見されている。
時代を考えると、スパイスは元より臭み消しとしても重宝されていたのは、想像に難くない話だなぁ。
409
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/12(日) 12:30:48 ID:c/kgfqk.
乙!
魔王軍にも認められる食いっぷり
あの五種ベリーのは適度に甘酸っぱくて好きだわ、昔飴もあったような
410
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/13(月) 10:00:02 ID:/cQwipO2
乙
これもしかしてホントに商売通して和平結べないか?この勇者
411
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/13(月) 10:15:07 ID:xjA79A1Q
魔族にもヒかれる&感心されるレベルの食欲ってw
しかし腹が減るわ
乙
412
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 19:47:37 ID:N3HQ9Uqk
しばらく後……
勇者「とっくに魔王の領土に入ったわけだけど」ザッザッ
勇者「魔王領土内のこの北の山……」
雪「」シンシン
勇者「参ったな……この山、こんなに早くに雪が降るなんて」
勇者「手前の山が平気そうだから入山したけども、一山超えたら既に積もっているじゃないか」
勇者「本格的な冬までには、魔王城へ南下するだけってところまで行きたかったけど」
勇者「完全にやらかしたなぁ」
413
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 19:50:00 ID:N3HQ9Uqk
勇者「見た事のない魔物いるけども、あまり強くないのが不幸中の幸いか」ザッザッ
勇者「とは言え、うかうかしていたら食料が尽きる……急がないと」ザッザッ
勇者「しかし完全に雪山。下手をすれば死ぬぞ、これ」ザッザッ
勇者「あの時の兵士の人達ともっと情報交換しておけばよかったなぁ」
勇者「まあ、今更言っても」ズボ
勇者「! しま」ボボッ
勇者(落ち……)
勇者「」
「……」
414
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 19:51:34 ID:N3HQ9Uqk
勇者「う……ん」
勇者「!」ガバッ
勇者「いつつつ……」
勇者(どうなった? 確か、雪に隠れていた崖か何かに落ちたはずだが)
勇者(どう見ても家の中だ……狐に化かされているのだろうか)
子供「……」ジー
勇者「おっと……」
子供「母ちゃん母ちゃん! 生き返った!」
女性「こら、死人じゃありません」メッ
415
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 19:53:34 ID:N3HQ9Uqk
男性「目が覚めたか」ノソ
勇者(人……魔族の……)
勇者「はい。貴方がここまで運んで下さったのですか?」
男性「ああ、そうだ。お前さんにとっては、色々と感謝の言葉を言いたいのだろうが」
男性「その前に、こちらの質問に答えてもらいたい」
男性「お前は人間だな?」
勇者「ええ、そうです」
子供「!」ビク
女性「こちらに来なさい」コソ
男性「即答、か」
416
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 19:55:39 ID:N3HQ9Uqk
男性「ここは魔王様の領土だ。何をしにこんなところまで、というのも野暮な事か」
勇者「私は勇者と言う立場の者です。勇者は各国の王が様々な者に任命するもので」
勇者「いくつかの特典と共に、魔王討伐を命じられた者達です」
男性「ほう……」
勇者「私は……気が合う者もなく、こうして一人で旅をしております」
勇者「無論、一人で魔王に叶う訳もなく、討伐の旅のふりをしながら行商をしています」
男性「そうか……うん? え?」
勇者「行商してます」
男性「そ、そう、か?」
417
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 19:57:34 ID:N3HQ9Uqk
勇者「魔物は倒していますが、魔王軍の兵士の方は……一応、六名を助けた事になりますね」
勇者「まあ、流石に国に見つかる事はないでしょうから、反逆罪で捕まる事もありませんが」
男性「……」
勇者「そんな訳でして、私個人は魔族の方と戦う意思はありませんので、どうか警戒を解いてください」
男性「ならば何故、単身こちら側へ? まさか迷子とでも言う訳でもあるまい」
勇者「魔王城にいる方に、商品を届けに行くところです」
男性「……。え? 何だって?」
勇者「こちらがその時のやり取りです」
文字伝達魔石「」ポゥ
男性「……本当だ」
418
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:00:20 ID:N3HQ9Uqk
男性「これは何処で?」
勇者「先ほど言いました魔王軍の兵士の方から譲って頂きました」
勇者「その後に別の方々を助けた際に、登録の方もしてもらいました。一名だけですが」
男性「……」チラ
女性「失礼ながら荷物の方、見させてもらいました」
勇者「ええ、どうぞどうぞ」
女性「……。この大量の羽と爪のような物は何でしょうか?」
勇者「両方ともバジリスクのものです。羽と蹴爪、そちらが今回納品する商品です」
男性「商売の為にこんなところまで……あんた、本当になんなんだ……」
419
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:02:53 ID:N3HQ9Uqk
男性「悪いが長居はさせてやれん。明朝には出て行ってもらうからな」
勇者「明朝まで居させて下さるのですか?!」
男性「あんたといると……調子が狂うな。人間は皆そんなものなのか?」
勇者「いえ、自分が変人なのは自覚の上なので」
男性「……はあ、まあいい。お前」
女性「ええ、もうすぐですよ」
勇者「……?」
女性「あれから一日眠ってらしたんですよ。お腹、空いているでしょう?」
勇者「あ」グゥゥ
勇者「これは、かたじけないです」
420
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:04:56 ID:N3HQ9Uqk
すいとん入りけんちん鍋
根野菜たっぷりの中に、ごろっとすいとんが入っている。
肉はないが豪勢に見える。
男性「ここらは貧しくてな。こんなものしかないが、これで我慢してくれ」
勇者「いえいえ、こんなご馳走、申し訳ないぐらいです」
女性「え、ご馳走?」
子供「何時もこれだけど……」
421
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:06:25 ID:N3HQ9Uqk
勇者(それにしてもこのけんちん、野菜量が半端ないな)パク
勇者(うん、美味い美味い。味噌仕立てか)モグモグ
勇者(これは白米が欲しくなる味だが……米は取れないのかな)パク
勇者(その代わりがすいとんって事なのだろう)モグモグ
勇者(しかしこの暖かは困るな。実に困る。箸が止まらなくなってしまうじゃないか)パク
勇者(こんなにも早くに雪が降る地方ならではなんだろうな)モグモグ
女性「いっぱいありますから、おかわりして下さいね」
勇者「ええ、ありがとうございます」
422
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:08:26 ID:N3HQ9Uqk
勇者(このゴボウ、噛み締める度に味が染み出てくるようだ)モグモグ
勇者(里芋の多さも頼もしい)パク
勇者(ああ、いかん。ついがっついてしまう)モグモグ
勇者(寒い中の熱い鍋、幸せだ。なんて幸せなんだろう)パク
女性「悪い人には、とても見えないわね」フフ
男性「……うるさい」
子供「母ちゃんおかわりっ」
女性「はいはい」
423
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:10:53 ID:N3HQ9Uqk
勇者「ご馳走様でした」
勇者「あの、もしご迷惑でなければ、何か食材等を仕入れてきてお譲りしたいのですが」
男性「裕福でないと……」
勇者「いえ、助けて頂いた事と二泊の恩です。とてもお代は頂けません」
女性「とは言っても……急に言われても中々思いつかないものねぇ」
子供「母ちゃん、俺肉食いたい!」
勇者「お肉、ですか」
男性「というか、一体どれだけ時間をかけるつもりなんだ?」
勇者「転移魔法が使えますので明日、戻ってきますね」
男性「転移魔法だと?」
424
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:12:55 ID:N3HQ9Uqk
男性「お前、分かっているのか?」
男性「それはつまり、一度訪れたところに大量の軍隊をけしかけられると言っているのだぞ」
勇者「そうでもないですよ? 定員ってそこまで多くないですし、基本的に魔方陣は魔法発動と共に消えてしまいます」
勇者「それこそ岩盤に彫ったものでもなければ、魔方陣はその都度書くのが普通」
男性「……人間側の転移魔法は違うのか」
勇者「え? ああ、なるほど。もっと発展したものなのですね。こちらのは」
425
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:14:27 ID:N3HQ9Uqk
勇者「人間側の転移魔法は、魔方陣をその都度描く必要があり、触媒も必要」
勇者「転移できるのは、人が建物を立てている場所。大雑把に言えば町等です」
勇者「これは、人間が建物を建てる事で、地中深くに何かしらを打ち込む」
勇者「これが地脈とでも言うのでしょうか。周囲のそれを支配する事で」
勇者「転移魔法における魔方陣がその地点を探す事ができる、というものです」
勇者「なので、ここから近くの森に兵士を送り続けて、数が揃ったら、という事も出来ません」
勇者「あと、転移魔法は一日一回までしか使えません」
男性「ほお、制約が多いのだな」
男性「だが、それなら……そうだな」
426
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:16:13 ID:N3HQ9Uqk
翌日
勇者「ではこちらが暴れ軍鶏の肉です」ドサッ
子供「おおお! 肉!」
女性「まあまあ、こんなに」
男性「ほ、本当にいいのか? まさかこんな量を持ってくるとは思っても」
勇者「ええ、構いませんよ」
男性「なんだか、すまないな」
勇者「こちらこそ、お世話になりました」
427
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:18:31 ID:N3HQ9Uqk
勇者「ふう……」ザッザッ
勇者「まさかこんな命拾いをするとは……」
勇者「絶対に死んだと思った……」
勇者「気を引き締めていかないと」
勇者「何より、町自体に近寄らないほうがいいんだし……良い人達でよかったぁ」
勇者「さ、まだ少しかかるんだ」
勇者「美味い物も食ったし、食料調達にも戻る事が出来た」
勇者「あと少し……年明けぐらいにはつけるだろうか」
428
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:20:23 ID:N3HQ9Uqk
しばらく後
勇者「……ようやく山を抜けられたか」
勇者「ここからだと……問題がなければあと一月程度かな」
勇者「うん、うん。終わりが見えてきたぞ」
勇者「魔王城、何とか辿り着けそうだ」
勇者「と言ったものの、食料が心細い」
勇者「どうにか得られないとギリギリだなぁ」
勇者「機会があれば、必ず獲る事を意識しないと」
429
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:22:01 ID:N3HQ9Uqk
勇者「しかし、この辺りは魔物も動物も見ないな……何でだろうか」
勇者「うん? あれは……」
勇者「何かの群れかな? 念の為に隠れてやり過ごすか」ガササ
勇者(結構速いな。一体なんだろうか)
グリーンドラゴンの群れ「……」ダガダガダガダガ
勇者(グリーンドラゴン!? 初めて見た……けど、これは不味いんじゃないか?)
430
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:24:27 ID:N3HQ9Uqk
勇者(特定の生息地域なし、常に群れで移動しながら獲物を捕食して生活するドラゴン)
勇者(確かに人間側の領土内での目撃情報は少ないけども……魔王領土内をメインに移動しているのか?)
勇者(生態については詳しく分かっていないんだよなぁ)
勇者(とは言え、10体ぐらいか? 仮に火も何も吹かないとしても、あの数に襲われたら一溜まりもない)
勇者(ここは手を出さずに穏便にやり過ごすしかないな)
緑竜の群れ「……」ザザァ
緑竜の群れ「……」キョロキョロ
勇者(何か探している?)
勇者(ああ、そうか。獲物でも探しているんだろうな……。うん? 何であそこで立ち止まって探しているんだろう)
431
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:26:07 ID:N3HQ9Uqk
緑竜の群れ「……」ジッ
勇者(……こっち、見てる? しまった……嗅覚とかが発達しているのか?!)
勇者(少しずつ……音を立てずに後退して……)ソロリ
緑竜の群れ「……」ソロリソロリ
勇者(! 気づかれている! 絶対にこっちにいる事を分かっていて近づいてきている!)バッ
432
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:28:37 ID:N3HQ9Uqk
勇者(くそっ! なんだ? 何の能力でこっちに気づいた!)ダダダ
緑竜の群れ「クエエエエエエ!!」ダガダガダガ
勇者(駄目だ! 逃げ切れない!)ゴソゴソ
勇者(爆発魔石!)バッ
黄色い魔石「」カラララ カッ
勇者(これで少しでも時間を……!)ッドドドォォォン
爆煙「」モウモウ
爆煙「」ボボフッ
緑竜の群れ「……」ボシュッボボッ
勇者(怯みも警戒もしていない……!?)
433
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:30:20 ID:N3HQ9Uqk
勇者「フランベ!!」カッ
火の海「」ゴォォォ
勇者「それと」バッ
赤い魔石「」ガララララ
火柱「」バァァァン
勇者「どうだ……」ダダダ
緑竜の群れ「……」ダガダガダガ
勇者(まだ来るか!)
勇者(駄目だ、彼らの探索能力を突き止めた所で、撒く為の準備をする時間がない!)
434
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:32:18 ID:N3HQ9Uqk
勇者(追いつかれる!)
緑竜A「ガアアア!」バッ
勇者「くぅ!」ガァァン
緑竜A「クゥゥゥン」バッ
緑竜B「シャアアア!」ザザッ
勇者「つっ!」ガギィン
緑竜B「シィッ!」バッ
勇者(ヒットアンドウェイ!? くそ、嫌な戦い方を!)
緑竜C「シャッ!」ビッ
勇者「くあ!」ザシュゥ
荷物「」ドサァッ
勇者(爪が荷物に当たったか!)
435
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:34:05 ID:N3HQ9Uqk
緑竜D「……」ピク
緑竜E「……」チロチロ
勇者(動きが変わった……? それに舌を出して……)
勇者(逃げられるか?)ササ
緑竜A「……」ソロリ
緑竜G「……」ソロリソロリ
勇者(荷物に集まっていく……嗅覚が発達しているのかも)
勇者(食料……命あってのものだねか)バッ
436
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:36:16 ID:N3HQ9Uqk
勇者「はー……はー……」
勇者(ここまで来るまでにいくつか臭いのトラップや対策をしたけども……)
勇者(これで追いつかれたらもうどうにもならないなぁ)
勇者「……」ゴソゴソ
勇者「納品の品は無事、か。落としたのは食料バックだけ」
勇者「手痛いがよしとするか……」
勇者「問題は食料もそうだけど、持ち運べる量がかなり減ったって事だよなぁ」
437
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:38:19 ID:N3HQ9Uqk
二週間後
勇者「……」フラ フラ
勇者「……」ドザァ
勇者(こっちのバッグにも……もっと水筒になるものを入れておくべきだった)
勇者(空腹より……これは枯死するなぁ)
勇者(何とか凌いできたけど、もう限界だ。池すら、見当たらない……)
勇者(……)
438
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:40:14 ID:N3HQ9Uqk
……
勇者「……」
勇者「……」ムク
勇者「なん、で……生きているんだ」
獣人「あら、気がついたようね」
勇者(獣のような耳と尻尾……魔王の領土にいるという獣人か)
勇者「貴女が助けてくれたんですか?」
獣人「ええ、そうよ。文無しで損したわ」
439
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:42:12 ID:N3HQ9Uqk
獣人「とは言っても、まだ動き回るほど回復していないはずよ」
獣人「食べる物を持ってくるから大人しくしてなさいな」
勇者「ありがとうございます」
獣人「礼はいいわよ。後でしっかりと返してもらうから」
勇者「働けって事ですか」
獣人「物でもいいのよ。貴方、人間でしょ」
獣人「こっちじゃ珍しいものとか、色々と候補はあるんじゃないかしら?」
勇者「まあ、そうですね……」
440
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:44:09 ID:N3HQ9Uqk
けの汁
根菜類を中心に細かく刻んだ具が、鍋から溢れんばかりの汁。
汁物だけど、完全に食べる料理。
勇者「ほほう……」
勇者(これは美味そうだ)
獣人「見たところ、飢餓よりも脱水症状が強かったみたいだから、普通の食べる物だけど大丈夫そうか?」
勇者「ええ、量は少なかったですけど、直前まで食べる事はしていました」
獣人「そりゃ良かった。さ、召し上がれ」
勇者「いただきます」パク
勇者(ほうほう、味噌仕立てか。ここらは寒い地域なんかな。やたらと汁物に味噌を入れたがる)モグモグ
勇者(しかし美味いぞ、この鍋。この小さくさいの目に切った野菜達、思った以上に量があるし)パク
勇者(これはかなり大当たりな郷土料理なんじゃないだろうか)モグモグ
獣人「……」
441
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:46:29 ID:N3HQ9Uqk
獣人「口に合うようで何よりだよ。さて、あたしも食べるかな」
勇者(肉は一切入っていないのか。獣人ってもっと肉を食べるもんだと思っていた)モグモグ
勇者(それにしても不思議な味だ。味噌以外にも出汁は取っているんだろうけど……何だろう)
勇者(うーん、何にしても美味しいし、かなり腹が膨れるぞ。そしてヘルシー。いくらでも食べたくなるぞ)
獣人「……」モグモグ ゴクン
獣人「で、あんたはなんでまた一人でこんな所まで来たんだ?」
獣人「とても魔王様を暗殺できるようにも見えないが」
442
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:48:35 ID:N3HQ9Uqk
勇者「一応、魔王討伐を命じられている者の一人ですが、監視がある訳でもないので」
勇者「色々とありまして行商の真似事をしています。それで、魔王城にいる方から注文がありまして」
獣人「それでここまで一人で? あんた……ただの商人、いやここまで来たんだからただの商人でもないか」
獣人「あんた、強いのか?」
勇者「うーん、そこそこ戦える程度ですよ。上手く立ち回って逃げ回っているだけです」
獣人「ふーん、まあそれでもここまで来たんだ。それなりのもん持っているんだろうな」
443
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:50:18 ID:N3HQ9Uqk
獣人「あんたらはどうか知らないけども、あたし達はさ、別に戦争なんてしたい訳じゃないんだ」
獣人「ま、あたしらが徴兵されている訳じゃないけども、やっぱり気分がいいもんじゃないし」
獣人「どうにか上手くやってよ。魔王城に行くんでしょ?」
勇者「流石にそれは無茶振りですよ」
獣人「そこをどうにかしてよって話」
獣人「あ、じゃあこの礼はそれで返してよ」
勇者「転移魔法使えるので、人間側の方から何か買い付けてお譲りしますね。何か欲しい物はありますか?」
獣人「完全スルーかよ」
444
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:52:16 ID:N3HQ9Uqk
獣人「まあ、本気で一人でどうにかなるなんて思っていないわよ」
獣人「ただ、もしも機会があったらお願いって事」
勇者「はあ……」
勇者「あー……その、そもそも何で魔王は侵略を?」
獣人「単純に土地問題ね」
獣人「東の果てには瘴気が溢れる土地があるのよ。その所為でこっち側の土地って」
獣人「面積の割りに使えないところが多いのよ」
勇者「住む場所ですか? それとも食糧問題?」
獣人「差し迫っては食糧問題じゃない? 力のある種族が東に移るとかすれば、居住地は余裕ができるだろうし」
445
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:54:19 ID:N3HQ9Uqk
獣人「野菜だけでいいなら、ここら辺は豊かなんだけどねー」
勇者「獣人の方は肉などは食べないんですか?」
獣人「食べるよー。ただ、ここら辺はよくグリーンドラゴンが通るからね。中々いないのさ」
勇者「食い尽くされる、と」
獣人「お陰で野菜や山菜なんかは多く自生しているんだけどね」
獣人「ぶっちゃけ、ここら辺で肉を得る機会ってそのグリーンドラゴンそのものよ」
勇者「倒すんですか……あれ」
446
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:56:16 ID:N3HQ9Uqk
……
勇者「はー……美味しかった。ご馳走様です」
獣人「はい、どうも」
勇者「しかし、野菜だけなのに力が湧いてくるなぁ」
獣人「肉はないけど豆も多く入っているからね」
勇者「え? 豆?」
獣人「すりつぶした物を溶かしてあんのさ」
勇者(あの不思議な味は豆の味だったか)
447
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 20:58:32 ID:N3HQ9Uqk
獣人「さっきのお礼の話だけど、気にしなくていいからね」
勇者「え?」
獣人「あたしが好きでやった事だからさ」
獣人「何なら、たまにはここに立ち寄っていきなよ。転移魔法あんでしょ?」
獣人「その時に色々と物持ってきて、ここで交換なり販売していってくれればいいよ」
獣人「重要な土地じゃないから、割と魔王様からは見放されているのよ」
獣人「お陰で自国の商人もあんまり来ない。グリーンドラゴンが原因ってのもあるんだけどね」
勇者「ああ、なるほど」
448
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 21:00:41 ID:N3HQ9Uqk
獣人「ま、少しゆっくりしていきなよ」
勇者「……」
勇者「それではご好意に甘えさせてもらいます」
数日後
勇者「お世話になりました」
獣人「こっちこそ、色々手伝ってくれてありがとうね」
獣人「ま、またいらっしゃいな」
勇者「ええ、そうします」
獣人「魔王城はこのまま南下していけば着くだろうけど、歩きだと結構かかるかなぁ」
獣人「ま、気をつけてね」
449
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 21:02:37 ID:N3HQ9Uqk
勇者「また命を拾った……」
勇者「なんか魔族の人に拾われるなぁ」
勇者「それにしても、何だかんだであんまり警戒さていないな」
勇者「まあ、単身でこんな荷物なら争いに来たとは思われない、か」
勇者「意外と話せるもんなのかもしれないなぁ」
勇者「和解ってそう難しくないような……いや、国が関わる事だし、そうでもないか」
勇者「まあ、自分のやるべき事だけしていればいいか」
450
:
明日役立たない雑学
:2016/06/19(日) 21:05:13 ID:N3HQ9Uqk
けの汁
東北の郷土料理で、津軽から秋田にかけて作られる。
きゃの汁やきゃのことも呼ばれ、細かく刻んだ根菜に、ワラビ等の山菜。
更には高野豆腐に油揚げ、こんにゃくにずんだと具だくさんの汁物である。
野菜の味が染みる事もあって、日が経つ程に美味いという。
名前は粥の汁という意味で、"かゆ"が訛って"け"となったんだとか。
昔は米が貴重だった為、刻んだ野菜を代わりにして食べたのが起因しているそうな。
451
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 21:07:33 ID:yEptkmtk
乙乙
腹減るなぁ
452
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 23:21:58 ID:7zyqeizU
乙、うまそう
453
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/19(日) 23:59:57 ID:.yJiQnGc
乙
魔王領は味噌味がお好きかw
けの汁もいいけど、すいとん食べたくなってきた
454
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/20(月) 01:54:01 ID:f5arv6uk
乙
出会いに恵まれているあたり、名ばかりの勇者というわけでもなさそうだ
455
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/20(月) 10:55:29 ID:ceBJY.Ps
いい人(魔族)たちだなあ、どうにか戦争回避したいもの
寒い地方の温かい汁物って美味しいよね……
乙
456
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:26:03 ID:WzYnEYBs
一ヵ月後
勇者「おお……あれが魔王城」
勇者「かなり立派なもんじゃないか」
勇者「それに城下町も栄えているようだ」
勇者「しかし……」
勇者「この姿で街に入るのは勇気がいるなぁ」プゥーン
勇者「近くに水辺はないし、あったとしてもこの季節に水浴びは自殺行為だしなぁ」
勇者「何より、こっち側の貨幣を持っていない」
457
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:28:21 ID:WzYnEYBs
魔王軍野営地
E「うん?」
B「どうした?」
E「あの人間から連絡が来た」
A「へえ、まだ生きているんだな」
E「……」
C「ど、どうした?」
E「……」スッ
件名『助けてほしい』
458
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:30:29 ID:WzYnEYBs
勇者「お」
勇者「ふむふむ……南東に大きな池か」
勇者「……寒いがそこで体とか洗ってから行こう」
勇者「うー寒い寒い……」
勇者「早く魔王城に行って温まりたいなぁ」
勇者「あれ? また連絡が来てる」
伝達魔石『今日の門番、知り合い誰も勤務していないから力になれない。頑張れ』
勇者「うーん、出たとこ勝負か。まあ仕方がない」
459
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:32:11 ID:WzYnEYBs
勇者「ここの小道を行けば、比較的誰にも会わずに魔王城に……」
勇者「お、門が見えてきた」
門番A「何者だ」
門番B「……ちょっと待て。お前、人間か?」
勇者「はい、勇者と申します」
門番A「人、間……」
門番B「……」ザワッ
460
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:34:27 ID:WzYnEYBs
勇者「本日は」
門番A「……」ゴクリ
門番B「……」ジリ
勇者「こちらにいらっしゃいます、装飾師様へ商品の納品に伺いました」
門番AB「えっ」
勇者「こちらがその時のやり取りです」スッ
門番AB「えっ」
461
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:36:15 ID:WzYnEYBs
門番A「……本物っぽいぞ」
門番B「確認をしてくる。ここで待機してもらうぞ」
勇者「……分かりました」
勇者(寒いから中に入れてほしいんだけどなぁ)
門番A「お前……魔王様を暗殺とか企んでいないだろうな」
勇者「考えておりませんよ。むしろ今は……」
勇者「早く暖をとりたいです……」ガタガタ
門番A「……すまないが、もうしばらく待っていてくれ」
462
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:38:26 ID:WzYnEYBs
門番B「確認は取れたが」
兵士「監視として同行させてもらうぞ」
勇者「はい、どうぞ。というか早く中に入れてください」ブルブル
門番B「……この人間、なんでこんなに震えているんだ?」コソ
門番A「……寒いらしいが、そこまでじゃないんだけどな。人間側の領土は温暖な土地なのかもな」
勇者(若干濡れているからです)フルフル
463
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:40:45 ID:WzYnEYBs
魔王城内部
勇者(へえ……随分と装飾が)
勇者(やっぱり種族が違うとは言え、魔族も"ヒト"なんだな)
兵士「あまりきょろきょろとするな」
兵士「一挙手一投足を見張られていると思え」
勇者「はあ、そうですか」
勇者(言われても城内なんて今日の商談以外は観光気分だし)
勇者(和平……和平……うん、無理だな)
464
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:42:35 ID:WzYnEYBs
装飾師「ほ、本当に人間でしたか」
勇者「すみませんね、騙すような形で。ですが、商品は確かに」
装飾師「ふんふん、ええ、物は申し分なしです。本当にありがとうございます」
装飾師「御代はこちらの2000Gです」
勇者(こちら側はギルで、向こうはゴールド。材質はあまり違いはないみたいだけど、流石に絵柄は違うか)ジャラジャラ
勇者(こういうところ、昔は普通に交流があった感があるなぁ)ジャラ
勇者「はい、2000G、確かに受け取りました」
465
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:44:28 ID:WzYnEYBs
装飾師「それにしても、よくこんな所まで来る気になりましたね……」
勇者「稼ぎ時だと思いまして」
勇者「転移魔法が使えますので、今後はこちら側へも用意に来れます」
勇者「あちら側の物等、ご相談頂ければすぐに対応致しますよ」
装飾師「それはありがたいですが……て、転移魔法か」
勇者「人間側の転移魔法は定員が数人程度、基本的に魔方陣はその都度描く」
勇者「また、一日一回でこういった町など建物がないところへは転移できません」
装飾師「制約が多いのですか……まあ、安心しました」
勇者「ええ、要らぬ誤解で争いなんて、私も望んでいません」
466
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:46:36 ID:WzYnEYBs
装飾師「うん? もしかして、こちら側の転移魔法をご存知なのですか?」
勇者「かなり便利なものだとは。何度か命の危機に、こちらの方々に助けて頂いた時に聞きました」
装飾師「それはそれでどうなんでしょうか……まあ、私は軍属ではないし、貴方も似たようなものですし……」
装飾師「まあ、また何かありましたらよろしくお願いしますよ」
勇者「ええ、こちらこそ」
勇者「あ……」
装飾師「どうしました?」
勇者「城内で食事を出来るところってありますか?」
装飾師「ええ、食堂がありますよ」
兵士「……案内しよう」
勇者「よろしくお願いします」
467
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:49:16 ID:WzYnEYBs
食堂
「あれ……? 人間?」ザワザワ
「え? うそ」ザワ
「まさか、いやいやまさか……」ザワザワ
兵士「ここが食堂だ。こちらにある札を持って、あそこでお会計すればそのまま注文となる」
勇者「へえ、そういう仕組みですか」
勇者(しかし、結構メニューは変わらないもんだなぁ)
勇者(ミートサンド……魔王の国の肉って何を使っているんだろう)
勇者(豚肉野菜炒め定食もそそるなぁ)
勇者(カツ丼もあるのか。魔王の国ってパンと米が両方普及しているのかな。珍しいなぁ)
勇者(ふーん、アジの開き定食、魚料理もか。幅広いメニュー、流石は王城)
468
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:50:39 ID:WzYnEYBs
勇者(それにしても迷うなぁ。ご飯ものはあっちじゃそう多くはないし、ここは定食物でもいってみるか)
勇者(ほうほう、ラーメンにうどんにそばと麺類も豊富か、これは侮れない)
勇者(うん? ちゃんぽん? なんだこれ、初めて見るな)
勇者(うーん、列的には麺類か。ちょっと気になるな)
勇者(へえ、鶏の唐揚げ。単品もあるのか)
勇者(豚の角煮か。これもそそるなぁ)
勇者(困ったぞ……まるで袋小路だ)
兵士(凄い悩んでる……)
469
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:52:28 ID:WzYnEYBs
勇者(うーん、米……捨てがたいが)
勇者(ちゃんぽん。ここで聞くのは野暮な気もする)
勇者(ご飯物ってだけなら、これから先こっちを旅していればいくらでも食べられそうか……)
勇者(折角の魔王城での食事だ、ここは一つ冒険してみるか)カタ
ちゃんぽん 50G
野菜とエビやイカ等がたっぷりのった麺物。
白めの濁ったスープだが、味はあっさり。
豚の角煮 35G
ぶ厚めに切られた3切れの豚の角煮。
付け合せなのか、ほうれん草が添えられている。
カツカレー 60G
兵士の人が頼んだ料理。
かなり恐ろしくぶ厚いカツがのったカレーで、ニンジンはジャガイモもごろっと入っている。
グリーンドラゴンの肉らしい。
470
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:55:01 ID:WzYnEYBs
勇者「いただきます」
兵士「いただきます」
勇者(カツカレー、予想以上の大きさだ。早くも青い芝生に見えるぞ)
勇者(とは言え、このちゃんぽんも中々なものだぞ)
勇者(この野菜の量に負けないエビにイカ。これはアサリか。それに豚肉まで)
勇者(やっぱりごちゃ混ぜって意味合いのちゃんぽんなのかな)フーフー
勇者(! なんだ、この味。予想以上にさっぱりだ)ズゾゾゾ
勇者(もっと大味かと思ったけども。しかし、これは中々、いやとっても美味いぞ)モグモグ
471
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:56:36 ID:WzYnEYBs
勇者(何ていうか、野菜にもよく合う味だ。いい、これとってもいいぞ)パクパク
勇者(シーフードかと言えば、そうでもないし、本当に不思議な美味しさだ)モグモグ
勇者(ちゃんぽん、かなりやるじゃないか)
勇者(おっと、角煮を疎かにはできないな)パク
勇者(ほほう、うんうん、とっても柔らかくて美味しい)モグモグ
勇者(しっかり味が染み渡っている。これはいい角煮だ)
勇者(となると、このほうれん草も期待しちゃうぞ)パク
勇者(ほうほう、そう来ましたか。豚と一緒に煮込んでいるんだな)モグモグ
勇者(豚の旨みをすっかり吸ってらっしゃる。このほうれん草も強敵だ)パク
472
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 20:58:12 ID:WzYnEYBs
勇者(これはどれも箸が止まらないぞ。なんならほうれん草だけでもいいぐらいだ)パク
勇者(魔王国、侮れないぞ)モグモグ
勇者(ああ、美味しいな。ここが魔王城で本来敵国だなんて、どうでもよくなってしまう)パク
勇者(ふふ、食事中にそんな野暮な事考えちゃ、料理に失礼だな)モグモグ
兵士「……」モグモグ
兵士(この人、敵地のど真ん中だってのに、すっげえ美味しそうに食べるなぁ)
兵士(うーん、今日はちゃんぽんにしておけば良かったなぁ)
473
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 21:00:32 ID:WzYnEYBs
勇者「ふう……美味しかった」
兵士「この後はどうするつもりだ?」
勇者「そうですね……こちらの貨幣も得られましたし、少し城下町で面白い物がないか見て行こうかと思います」
兵士「あ、いや、そんな直近の話でなく……」
勇者「地図が手に入れば、少し近隣を観光していこうかと」
兵士(観光って言い切っちゃったよ、この人)
勇者「面白い土産物や特産が売っている町とか知りませんかね?」
474
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 21:02:15 ID:WzYnEYBs
……
勇者「お世話になりました」
兵士「あ、ああ……」
勇者「また機会がありましたらよろしくお願いしますね」
門番A「行った、か」
門番B「様子はどうだったんだ?」
兵士「商人、かな……」
門番A「え……マジか」
門番B「何だったんだ、本当に」
475
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 21:04:16 ID:WzYnEYBs
勇者「それにしても2000G……予想以上の高値で取引されたな」
勇者「うん、やっていけそうだな。魔王の国」
勇者「それにしても魔王の国の物かぁ。出来るだけ、バレないものを探さないとなぁ」
勇者「まあ、何とでもなるだろう」
勇者「それよりも、少しこちらの国の料理について学んでおきたいな」
勇者「ふふ、食った傍からもう次の料理が楽しみになってきている」
勇者「魔王の国、満喫できそうだ」
476
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 21:08:30 ID:WzYnEYBs
戦乱の世を一人旅する勇者がいたという。
その者は戦乱を止める役を与えられていたものの、終ぞ直接的に貢献する事はなかったという。
ただ、分け隔てる事無く敵国の者にも接し、更には自らその地に赴いては自らの目的を果たす。
利する事もなければ、害する事もなく。
恐れはすれど臆することはなく。
闘争こそはないものの、別の形の勇気ある者として、永く永く語り継がれたという。
勇者「へえ、このパン屋、外からも見えるようにPOPを書いているのか」
勇者「『当店オススメ、カヌレ・ド・ボルドー』……このカップケーキ、みたいのかな」
勇者「……」
勇者「うん、食後の甘い物はまだだし、食べてみるか」カランコロン
477
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 21:13:13 ID:WzYnEYBs
ちゃんぽん
ちゃんぽんと言えば長崎ちゃんぽん。
語源は色々と諸説があり、中国の福建語の挨拶やそこの言語での混ぜるという意味合い。
はたまた、沖縄のチャンプルーやマレー語・インドネシア語のチャンプルとか。
福建省の料理をベースにしているらしく、明治時代中期に清国人留学生向けに考案されたらしいが、
異説として明治初年に支那饂飩をちゃんぽんの名で売り出していたともいう。
カヌレ・ド・ボルドー
フランスのボルドー女子修道院で古くから作られているお菓子で、カヌレという名で親しまれている。
蜜蝋を入れる事とカヌレ型と呼ばれる小さな型で焼く事が特徴。
カヌレは溝のついたという意味で、底の形は違うけどプリンの容器が円柱状になっていると思えばイメージし易い。
ボルドーではワインの澱を取り除くのに、鶏卵の卵白を使うため卵黄が大量に余る。
その利用法がこれという話だとか。
卵白卵黄使い道繋がりで。
日本のOTC医薬品でよく使う抗炎症や去痰の効果のある塩化リゾチーム。
これは卵白から作られていて、マヨネーズ工場で余る卵白を利用しているとか。
カヌレの逆バージョン。
478
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/26(日) 22:58:47 ID:tt55uHoo
乙
479
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/27(月) 01:34:30 ID:/ITKdSGI
完結?
まだまだ勇者の食べ歩きを見ていたいんだが…
480
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/28(火) 05:00:24 ID:hmWKXTLU
魔王城の日本感w
この勇者にあるのは勇気というか食い気と商売っ気だな
続き期待
481
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/28(火) 11:10:03 ID:Vkp2.qnY
完結した感あるけどもしかして終わり?
482
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/06/28(火) 20:44:30 ID:s6cY3DPE
保存技術が進歩してるからシーフードもあるのか
483
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/01(金) 17:53:10 ID:py4zIGVM
魔王城行ったから終わりなのかな
もうちょっと見たかった
484
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:40:03 ID:TVrLzWiw
二年後 魔王城下町
勇者「60万ゴールドに23万ギル……随分と稼いだもんだなぁ」
勇者「しばらくのんびりしてもいいぐらいだけど、動ける内に稼ぎたいしなぁ」
勇者「さて、納品を済ませてどっかで食事でも取るか」
勇者「それにしても」
勇者「随分と賑やかだな。お祭りでもあるのかな」
485
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:41:36 ID:TVrLzWiw
装飾師「おお、これが一角兎の皮……まるで宝石のような輝きですね」
勇者「いやぁ、中々大変でしたよ」
勇者「でもまあ、二ヶ月で獲れたのは運がいい方でしょうね」
装飾師「そんなにですか……」
勇者「あ、いえ、自分の能力での話です。狩人の方とかでしたら1,2週間も篭れば大抵は済むらしいですよ」
装飾師「なるほど。しかし何にせよ貴重な物、本当にありがとうございます」
装飾師「こちらが御代の5000Gです」
486
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:42:55 ID:TVrLzWiw
勇者「それにしても、今日は何かあるんですか?」
装飾師「え? ご存知ではないのですか?」
装飾師「今日は、こちらと人間側との和平が結ばれる日ですよ」
勇者「えっ!」
勇者「全然知らなかった……」
装飾師「人間側では話題になっていないのですか?」
勇者「ここ最近は一角兎の情報集めたりだったんですよ。基本的に辺境の町や村ばかりなので」
装飾師「あーそうでしたか」
487
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:44:40 ID:TVrLzWiw
装飾師「ここ魔王城で人間側の国々の王が集まるんですよ」
勇者「へー」
勇者「……」
勇者「あ、あの、それって聞いたりする事はできますか?」
装飾師「まあ、秘匿する内容ではないですので、ある程度の権限を持つ者なら傍聴できますが」
勇者「出来れば王達に気づかれないところで」
装飾師「あー……」
装飾師「うーん、それでしたら」
488
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:45:56 ID:TVrLzWiw
会場隣の部屋
魔王軍騎士「装飾師さん? どうなさったんですか?」
装飾師「ええ、彼が聞きたいそうなので」
勇者「どうも」
騎士「特に面白い話題はないと思いますよ?」
勇者「……いえ、ちょっと気がかりがありまして」
装飾師「というのは?」
勇者「え、ええと、立場的に、とか?」
装飾師「?」
489
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:47:34 ID:TVrLzWiw
魔王「では、これらの条件の下に和平を結ぶという事で相違はないだろうか」
剣「問題ない」
丘「ああ」
火「相違ない」
商「ええ」
魔王「ではこれにて、人間側七ヶ国並びに魔王国の和平を取り結ぶとする」
魔王「……」
剣丘火商「……」
魔剣丘火商(ふー……)
490
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:48:35 ID:TVrLzWiw
魔王「しかし、お前達も解せんものだな」
魔王「斥候なのか何なのか知らんが、送り込むだけ送り込んでアクションなし」
魔王「こっちはずっと警戒をしっ放しだったぞ」
丘「なに?」
剣「は?」
火「ほほう、うん?」
勇者「」ゾォッ
装飾師「あ、そういう……」
491
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:49:57 ID:TVrLzWiw
商「それは一体どういう事でしょうか?」
魔王「勇者という職位の者を送り込んでいるのだろう」
火「ええ、確かに。だが、誰一人として魔王城はおろか、魔王の領土を越えたという話は聞いていないぞ」
魔王「なに? ああ、飽くまで代表としてだからか。この場に出席できなかった三ヶ国の人間という事か」
火「いや、多少なりとも勇者についての情報は交換し合っている」
火「それだけの事を成した者がいるのならば、周知されているはずだ」
魔王「……どういう事だ?」
剣「こちらが聞きたい」
492
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:51:38 ID:TVrLzWiw
丘「捕らえたりはしていないのですか?」
魔王「現状の法では、その者を捕らえる事が出来ん」
魔王「ごく普通に違法性のない物を取引していくだけだからな」
商「……? 勇者? 商人の間違いでは?」
魔王「いや、勇者であると報告を受けている。此処でそのような嘘を言うメリットはなかろう」
剣「確かに……では一体何者が? しかも何の報告もなしに……商売をしていただけだと?」
商「微妙なラインですね。今こそ和平を結んだとは言え、当時は敵国へのルートを得た訳ですから」
火「それを隠していたとなると、最悪は反逆罪となってもおかしくないな」
493
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:53:15 ID:TVrLzWiw
勇者「……」
装飾師「……」
勇者「ここから遥か西の土地についてお伺いしてもいいでしょうか?」
勇者「出来れば、長期的な滞在、あるいは移住を受け入れている町とか」
装飾師「ええと……はい。すぐに調べさせます」
勇者「うーん、人間側で商売出来るのは何年後かなぁ」
装飾師「え? そこなんですか?」
勇者「元々孤児なんで、故郷らしい故郷もないんですよ」
494
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:54:36 ID:TVrLzWiw
装飾師「1,2時間ぐらい時間を頂く事になるかと思います」
勇者「分かりました」
勇者「その間、城下町にいますね」
装飾師「大丈夫でしょうか?」
勇者「まだ人相は割れていませんからね」
装飾師「なるほど、分かりました。ごゆっくりしてきて下さい」
勇者「はい、よろしくお願いします」
495
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:55:59 ID:TVrLzWiw
城下町
勇者「しかし本格的に和平が結ばれるとなると、これから先、競争相手も出てくるだろうなぁ」
勇者「少し考えなくちゃいけないな」
勇者「まあ今は生活の基盤が先になるのかな」
勇者「何にせよ情報待ちか……」
勇者「さあて、何を食べようか」
496
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:57:23 ID:TVrLzWiw
勇者「うん?」
看板「本日、海産物仕入れ!」
勇者「普通の料理屋に見えるが……海産物か」
勇者「ここまで大々的にするって事は普通の魚とかじゃないのかな」
勇者「どんな料理なんだろう」
勇者「ここ最近はずっと山だったし……よし、ここにしてみるか」
497
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/02(土) 23:58:55 ID:TVrLzWiw
「いらっしゃい」カランカラン
勇者「あの、外の看板って」
「入荷したのはタカベ、きびなご、あとタコだね」
勇者「へえ、タコってあのデビルフィッシュですか?」
「ああ、そうだよ。そんな事を聞くなんて……あんたまさか人間か?」
「人間側はタコを食わないって聞いた事があるが、本当なんだな」
勇者「ええ、まあ……あの、タカベも聞いた事がないんですが、どういったメニューなんですか?」
498
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:01:21 ID:6bSLoIw2
「タカベは小さめの魚でな。塩焼きで出している」
「きびなごは天ぷらだな。海よりの地域なら刺身で食うのも中々イケるんだがな」
「タコは刺身と水軍鍋だな」
勇者「……それじゃあ」
水軍鍋 90G
白身魚にしいたけ、白菜や水菜と里芋にエビ。
何と言っても丸々と入っているデビルフィッシュが凄い。
勇者「ほほう……これがデビルフィッシュ。何という存在感だ」
499
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:02:56 ID:6bSLoIw2
勇者(まずは汁から……)ススゥ
勇者(うん、美味いっ。思いの外、味はあっさり目なんだな)
勇者(魔王の国の鍋物って味噌が多いイメージだけど、これはしょうゆか)パク
勇者(うんうん、いいぞ。この白菜、実にいい)モグモグ
勇者(それにこの抜かりないしいたけの量)パク
勇者(やっぱり鍋と言ったら欠かせないな)モグモグ
勇者(この魚は何だろう?)パク
勇者(うーん、何の魚かは分からないが上等上等)モグモグ
500
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:04:29 ID:6bSLoIw2
勇者(しかし、勢いで頼んだとは言え)
勇者(このデビルフィッシュの量は想定外だった)ツンツン
勇者(あ、足が一本ずつ切ってあるのか……それにしてもでかい)
勇者(ええい、ままよっ)ガブ
勇者(……)モギュモギュモギュモギュ
勇者(ほう、ほう……デビルフィッシュ、面白い食材だ)モギュモギュモギュ
勇者(デビルフィッシュの味は分からないけど、これは多分食感を楽しむ食材なのかも)モギュモギュ
勇者(しかし、足一本。食べ辛いな)モギュモギュ
501
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:06:01 ID:6bSLoIw2
勇者(うん、でも悪くないな、デビルフィッシュ)ゴクン
勇者(魔王の国の海辺の町ならもっと、デビルフィッシュを使った料理があるんだろうか?)
勇者(少し興味が湧いてきたぞ)パク
勇者(新たな発見だ。凄いぞ水軍鍋)モグモグ
勇者(しかしあと七本の足か。一人だと中々腹にくるなぁ)
勇者(けど残すのなんて勿体ないな。ここは勇者の見せ所だな)グッ
502
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:07:17 ID:6bSLoIw2
……
勇者「うう……腹がはち切れそうだ」
勇者「しかし、中々だったな。恐るべし水軍」
勇者「さて……宿屋を取っておくか。食休みしたら魔王城に行って」
勇者「大まかでもこれからの事、考えないとだなぁ」
しかし、彼の事が風の噂でなく、実在した者として広く伝わったのは、
和平が結ばれてから数年たった後であったという。
勇者「今日より旅立ちか」勇者(……それにしても腹が減ったな) 終
503
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:08:41 ID:XNR/DBJI
ああ……終わった……終わってしまった
乙乙
504
:
明日役立たない雑学
:2016/07/03(日) 00:10:57 ID:6bSLoIw2
きびなご
西日本でよく食べられる魚。
小魚で痛みやすく、遠方への流通は少なめ。
薩摩料理において、きびなごの刺身を酢味噌で食べるのが有名。
タカベ
ベントウやベットウとも呼ばれる魚。
名前の由来は、漁師用語で岩礁を意味するたかに、魚を意味する接頭辞のべを付けたと考えられている。
背部の中心から尾鰭全体にかけて特徴的な黄色をしており、中々目立つ魚で岩礁に近くに群生する。
日本固有種の夏の魚で、茨城あたりから西の太平洋に生息。
市場では高値がつく為、高級魚の扱いを受けている。関東圏内に卸される物は大抵伊豆産。
脂が多く塩焼きが絶品らしい。
観光激戦区、伊豆の中木でもよく見る。
スキンダイビング中に見かけては、よく喉を鳴らしている。
食べてみたい。今年の目標である。
海軍鍋
広島の郷土料理の一つ。
室町から戦国にかけて因島を拠点とした村上水軍が、必勝祈願に食べたと言われる。
瀬戸内海の魚介類と海草をふんだんにいれ、八方の敵を食らうという意味でタコを丸々入れるのが特徴。
昆布で出汁をとり、醤油などで味を調える。
505
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 00:28:18 ID:cgfDZ9QU
蛸料理といい勇者がデビルフィッシュ呼びすることといい…魔王は第六天魔王的な人なんかい?
そして完結おめでとう&お疲れ様でした!楽しかった
506
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 01:35:11 ID:6bSLoIw2
あああああああ!
ああああああああああ!!
タコ!
普通にタコって知ってるじゃん!マルミタコォォォ!
しかもタコを普通に食材として認識してるじゃんんうううう!!
507
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 01:40:14 ID:yezu6Z0c
最後まで抜かりなく旨そうだった
また新しい地へ旅立つんだ勇者
508
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 08:48:53 ID:vQb6cams
乙といいたいけど
ここから勇者が世界を代表する商人になるまでの話は?
509
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 10:43:35 ID:mQPn6ApM
鱗のない魚が聖書で罵られてるから、デビルフィッシュなんだっけか
この勇者のブレなさ、ほんと好き
タコ初見でも普通に食材と思いそうだしw
毎度のメシテロありがとう、面白かったよ乙!
510
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 11:11:42 ID:68wAbImY
URL教えてくれよぉ…消えたサイトにたどり着けねぇよぉ…(号泣
511
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/03(日) 21:43:00 ID:If28.oUk
終わってしまったか面白かった
乙
512
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/06(水) 10:19:47 ID:liYyOQn.
乙
513
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/06(水) 20:28:14 ID:bTFfVqZo
>>510
すまんね、前に晒したら色々と面倒があったから、直接的にはちょっとね
あと、調べたら何故か検索に引っかからなかった。ほんとすまん
今はちゃんとロボット検索に拾われるけど
ってだけだと、申し訳ないから
使ってた鯖の公式はまだ存在していて、最後の方に更新された情報の中に
ちゃっかりサイトの名前が入っている
移転先も同じ名前だからそれで見つけてくれ
514
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/07/06(水) 22:20:25 ID:8Vpm2fcw
>>513
上から順番にググって見つけました
砂漠の砂の中から一粒だけ違う砂を見つけるくらい大変だった…(号泣
515
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/14(水) 15:58:31 ID:NKxp1ZmI
>>513
乙
自分のブクマ漁ったらdから始まる方のが残ってて驚いたわー
516
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:06:07 ID:HyVW2UOQ
二ヶ月程前 魔王領北部 山岳地帯
勇者「ふー寒い寒い……」ハー
勇者「この町を越えたらしばらくは山篭りか」
勇者「一角兎、捕まえられるといいなぁ」
勇者「出発は明日にするとして……今日はもう必要な物だけ買って休んでしまうか」
勇者「うひゃあ」ビャァァァ
勇者「うーこの風、堪えるなぁ」
517
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:08:03 ID:HyVW2UOQ
道具屋
勇者「これとこれと……あとこれも買っておこうかな」
「お客さん、山にでも入るんかい?」
勇者「ええ、一角兎を捕まえに来ました」
「普通に卸されるんじゃダメかい?」
勇者「中々、毛皮までしっかりしているのは珍しいですからねぇ」
「あーそうだな。どっちかつーと角の方がメインだからな」
「しっかしあんたに捕まえられるんかね」
勇者「まあ、生態などは調べてきましたので」
「ほー。まあ遭難や凍死しない程度に頑張んなさいな」
518
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:10:34 ID:HyVW2UOQ
勇者「ふー……凍死か。本当に気をつけないとだなぁ」ビュウウウ
勇者「うーきついなぁ」
勇者「どっかで食べて休んでしまわないと。明日からは長丁場だ」
勇者「何処か食べられるお店はないかなぁ」ザッザッ
勇者「うん? なんだろう、このお店」
勇者「酒場って雰囲気でもないけど、普通の食事できる店とも違う……」
勇者「魔王領にある居酒屋ってやつかなぁ」
勇者「うーん、ちょっと入るのは躊躇うが……良い匂いだ」ゴクリ
勇者「うん、きっと美味しい料理もあるはずだ。勇気を出してみるか」ガララ
519
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:12:41 ID:HyVW2UOQ
「いらっしゃい」
勇者「ここ、食事出来ますか?」
「旅人さんかい。暖かいおでんがあるよ。食べてきな」
勇者「おでん?」
「なんだ、おでんを知らんのか。鍋物料理だよ」
勇者「へえ……それじゃあそれを」
「はいよ。うちのは新鮮じゃない大根を使ってんだ。よーく味わいな」
勇者「えっ?」
520
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:14:41 ID:HyVW2UOQ
おでん 60G
暖か〜いおでんで、種はお任せで注文。
入っていたのは大根、ゆで卵、ちくわ、昆布、巾着、じゃがいも、がんもどき。
味は昆布を出汁にした薄い醤油味。大根の色が茶色い。
勇者(ほほう、これがおでんか)
勇者(随分とそそる匂いじゃないか)
勇者(それにこの大根の色の濃さ。なるほど、確かに新鮮じゃない。
勇者(新鮮じゃないがとっても美味しそうじゃないか)
521
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:18:03 ID:HyVW2UOQ
勇者(それにしてもこの油揚げっぽい袋はなんだろう……始めてみる食べ物だ)
勇者(よし、まずはこいつだな)パク
勇者(うん? おお)ミョーン
勇者(中にお餅が入っているのか。面白いなぁこれ)モグモグ
勇者(うんうん、このおでんの汁、結構好きな味だ)ススゥ
勇者(ますます大根が楽しみになるが、これはメインディッシュだな)
522
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:20:32 ID:HyVW2UOQ
勇者(こういう風に昆布を食材として使うのって結構珍しいなぁ)パク
勇者(うん、美味しいけど普通に昆布だな)モグモグ
勇者(しかし、この量で丸々一個のゆで卵はちょっとくどい気がするが)パク
勇者(この値段でこの量は文句なんて言っちゃあいけないな)モグモグ
勇者(これは……がんもどきって言うんだっけか。食べるのは初めてだな)パク
勇者(ほほう、これもおでんの汁を吸っていっていい感じじゃないか)モグモグ
523
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:22:27 ID:HyVW2UOQ
勇者(ちくわも)パク
勇者(うんうん。それにしてもおでん、変わっているな)モグモグ
勇者(汁を吸う種ばかりじゃないし、何ていうか、このお任せ種の種類が原因かもしれないけど)パク
勇者(重たい物が多いんだな)モグモグ
勇者(じゃがいもも大き目のが半分か。中々腹に来るなぁ)パク
勇者(んん? ほうほう、このじゃがいも甘いぞ)モグモグ
勇者(これはおでんの汁と馴染んでいていいじゃないか)
勇者(そういう品種なのかな。とんでもないダークホースだ)
524
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:24:21 ID:HyVW2UOQ
勇者(さて、最後に大根だ)パク
勇者(ほほぉ、これは。うん、美味い美味い。噛む度に染み渡った汁が口の中に広がる)モグモグ
勇者(これだけ味の染みた大根って中々食べられないぞ)パク
勇者(ただのおでん味と思わせておいて、奥深い味だ。きっと他の具の味も染みているんだろうな)モグモグ
勇者(うーん、これは大根だけでも何切れか欲しくなるが、流石に追加するにはきついな)サスサス
勇者(一角兎を獲った帰りにまた寄るかなぁ)
勇者(おでんか。ふふ、いい料理を知ったぞ)
525
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:26:32 ID:HyVW2UOQ
「まいど。また来いよ」
勇者「ああ、満腹だ」カララ
勇者「体もぽっかぽか。本当に魔王領も美味しい物が多くて良い所だなぁ」
勇者「魔王領も色んなところを回ってみたいな」
勇者「だいぶお金も貯まったし、しばらくのんびり旅をするのもいいなぁ」
勇者「兎にも角にもまずは一角兎だ」
勇者「よーし、明日から頑張るとするかなぁ」
526
:
明日役立たない雑学
:2016/09/16(金) 22:28:56 ID:HyVW2UOQ
おでん
漢字で書くと御田で、煮物・鍋料理に分類され、様々な種を長時間煮込む。
おでんは元々、田楽を意味する女房言葉で、室町時代では串刺しにして焼いた焼き田楽、種を茹でた煮込み田楽とがあった。
江戸時代になってからはおでんは煮込み田楽を指すようになったそうな。
種や味付けは地域によって差があり、特に静岡おでんなんかは有名どころ。
色んな変り種があるけども、ご当地おでんが出てくるようになって、色々と出てきた感じなのかなぁ。
昔はじゃがいもも変り種の扱いだったそうな。
思いついたらまたなんか書くー
527
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/16(金) 22:31:17 ID:QC2BUZuA
ッヒョー再開とは嬉しい
乙
528
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/17(土) 01:48:18 ID:GCl64l1E
え?完結したと思ったら時期に合わせた料理で再開だって!?
最高かよ!!
529
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/17(土) 20:00:06 ID:g6pOnD7w
なんで上がってるんだと思ったら再開か!
530
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/09/20(火) 18:11:08 ID:NlaQtd6U
つ、続いた!?
やった!!
しかし早速のメシテロリズムが空腹に辛い生唾やばい……なんかあったけ
531
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:07:43 ID:QHunbiOs
和平後しばらく後 ソードフォレスト
勇者(うーん、この辺りはまだ情報が出回っていないみたいだな)
サキュバス「や、久しぶり」
勇者「ああ、どうも」
勇者「あのー出来れば今後しばらくは呼び出しとかは……」
サキュバス「あーその件で連絡したのよ」
勇者「と、言いますと?」
サキュバス「まあ、立ち話もなんだし」
532
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:10:19 ID:QHunbiOs
喫茶店
勇者「ここも久しぶりだなぁ……」
サキュバス「ソードフォレストの南側でね、ちょっとした作物作っていて」
サキュバス「最近、供給されるようになったのよ」
サキュバス「おじさん、例のアレを二つとコーヒーもね」
「あいよ」
勇者「えーと、とりあえず話のほうを」
サキュバス「ああ、うん。とりあえずあんたの情報をね、各国が調べまわってんのよ」
勇者「」
533
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:13:21 ID:QHunbiOs
勇者「……」ダラダラダラ
サキュバス「だから売っといた」
勇者「はいぃっ!?」
サキュバス「そー驚かないの。ちゃんと偽の情報よ」
サキュバス「聞けば結構手広く商売していたみたいじゃない」
サキュバス「あたし達はサキュバスだからねー、夢を通じて色々と動いたのよ」
サキュバス「かなり偽情報が出回っていて、各国混乱しているみたいよ」
勇者「あ、ありがとうございます」
サキュバス「こちらとしては、今後も利用したいからね」
サキュバス「あんたも助かる。あたしも助かる。他のお客も助かる。ついでにその人から精液貰える。ウィンウィンね」
勇者「あぁ……なんか納得したというか」
534
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:17:09 ID:QHunbiOs
勇者「それでも、あまり足繁く戻ってくるのは控えた方がいいんでしょうね」
サキュバス「まあねぇ……真実流す人もいるし、どうやっても偽情報で隠蔽し切るのは無理があるわね」
サキュバス「もしかしたら一部じゃ、気づいているかもだし」
勇者(超怖い)
サキュバス「まあ、色々と融通してくれるって事なら、行き先の状況を調べてあげるわよ」
勇者「融通、とは?」
サキュバス「割引とかサンプルとか何か色々欲しいわねー」チラッチラッ
勇者「まあ、その程度ならご期待に沿えるかは分かりませんが、勉強させてもらいますよ」
535
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:19:24 ID:QHunbiOs
「はい、お待たせ」
サキュバス「お、きたきた」
コーヒー 10G
相変わらず普通のコーヒー。
紫芋のタルト 35G
タルトにモンブランのような紫芋のクリームと栗。
中にはカスタードと生クリーム、更に小さく切られた栗が入っている。
勇者「紫芋……聞いた事はあるが、見るのは初めてだなぁ」
サキュバス「もっと熱い地域の作物らしいしねぇ」
536
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:21:06 ID:QHunbiOs
勇者(……どれどれ)パク
勇者(ほうほう……何と言うか、独特の甘みだ。しかしそれでいてくどくない)モグモグ
勇者(中にも栗が入っているのか。中々贅沢じゃないか)パク
勇者(うんうん、クリームとカスタード……油分の甘みが加わってより一層、紫芋の甘みが引き立っているぞ)モグモグ
勇者(これは中々クセになる甘みだ。油断ならないな、紫芋)パク
サキュバス「〜〜でね〜〜〜なのよって聞いてんの?」
勇者(熱い地域か……ヴォルケイノ領に産地があったはず。これは是非とも広めたい味だな)モグモグ
サキュバス「こ、この男は……」
537
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:23:08 ID:QHunbiOs
……
「まいどー」
勇者「ああ、美味しかった。今日は美味しい物を紹介して下さってありがとうございます」
サキュバス「目的が挿げ替えられてるっ」
サキュバス「まー……あんたがそれでいいんなら、こっちも構わないけども」
サキュバス「何にせよ、協力はするけど気をつけなさいな」
サキュバス「と言っても聞く感じ、あんまり心配する必要なさそうだけどもね」
勇者「いえいえ、そんなそんな」
サキュバス「ま、一応は元気でね」
勇者「ええ、そちらこそ」
538
:
明日役立たない無駄知識
:2016/10/19(水) 23:26:27 ID:QHunbiOs
紫芋
文字通り紫色をした芋。紫色のアントシアニンを多く含む。
サツマイモ属の紫芋の一種でアヤムラサキが、一般的に流通している紫芋と言える、と思う。
他にもヤマノイモ属のダイジョと呼ばれる種類の芋がある。
これは品種によって白いものもあり、紫色をしたものをベニヤマイモ(紅山芋)やベニイモ(紅芋)と呼ぶ。
当然ながらサツマイモとは近縁ではない。
熱帯地域で栽培され、沖縄で広く栽培されていて、九州なんかでも栽培しているところがあるとか。
沖縄の御菓子御殿の紅いもタルトなんかは特に有名。
539
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/19(水) 23:28:48 ID:QHunbiOs
訴訟される事も辞さない覚悟
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8718.jpg
540
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/20(木) 00:09:32 ID:tbhygaz2
夜中になんつー飯テロだ訴訟
乙
541
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/20(木) 04:52:37 ID:zyPJpkgw
栗と芋の美味い季節よなぁ
しかし相変わらず花より団子な勇者だね
542
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/10/21(金) 13:28:28 ID:rU/8/A/k
勇者さん安定の食い気w
……画像は、画像は卑怯だろうがぁ!?
乙
543
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:12:29 ID:S6NtbNc2
魔王領の町
「ではこちらがご契約の物件となります」
勇者「ありがとうございます」
「ご契約は一年。以降は更新という形となりますので、契約終了は契約日一ヶ月前までにお知らせ下さい」
勇者「分かりました」
「それでは失礼致します。貴方が良き暮らしをお送りできるよう祈っております」
勇者「中々いい家じゃないか。凄くいい物件だぞ、これは」
勇者「さて……色々と片してしまおうか」
544
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:13:49 ID:S6NtbNc2
勇者「大金叩いたこの魔石」
勇者「一定の空間を生成し、そこへ通じる穴を開けていない間は時間が止まっているという」
勇者「幅600、奥行き450、高さ1100で40万ゴールド……開ける為にも魔石が必要で10回分で5万ゴールド」
勇者「うーん、高いな。家も含めて、残金は10万ゴールドに7万ギルか」
勇者「まあ、これからまた貯めていけばいいか」
勇者「とりあえず、初回だけ使用者の登録でタダで空けられるっていうし」
勇者「鮮度のある商品は全部しまってしまおうかな」
545
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:14:51 ID:S6NtbNc2
……
勇者「後は荷物をちょちょいと整理して……」ドサドサ
勇者「こんなものか。しかし、普段は外にいる事を考えると」
勇者「貸し倉庫でもよかったかもしれないな。賃貸住宅、失敗だったかな」
勇者「まあ、たまにはちゃんと帰る場所を作っておくのもいいか」
勇者「ん〜〜〜」ググー
勇者「一仕事終わったし、昼食がてら町を見て回るか」
勇者「思いがけず大きめの町な訳だし、しっかりと満喫しなくちゃ勿体ないな」
546
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:15:52 ID:S6NtbNc2
勇者「道具屋、結構充実しているなぁ」
勇者「しかし道具屋か。中々、こちらから卸せる物がないな」
勇者「ちょっとした個人商店は充実しているし、関連のある物をピックアップしておこうかな」
勇者「おや……」スン
勇者「カレーかな。良い香りだ」グー
勇者「どうやら腹将軍様も仕事始めのようだし、今日はこれに決まりだな」
547
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:17:02 ID:S6NtbNc2
カレー専門店
勇者「へえ……カレー専門店。人間側の領土じゃ結構珍しいよなぁ」
勇者「さてさて、どんなものだろうか」キィ
「いらっしゃ……あんた、人間か」
「そういえば、今日やってくるって役場で言っていたな」
勇者「噂されてましたか」
「そりゃ珍しいからな」
勇者「……意外と敵視されないものですね」
「まあ、このあたりは魔王城から見たら地方だからなぁ」
「戦争していたって言っても、遠い土地での話みたいなもんよ」
548
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:18:55 ID:S6NtbNc2
「うちは種族差別をしないんでね。思う存分食ってってくれ」
勇者「ええ、そうさせて頂きます」
勇者(どれどれ……ほほう、結構種類あるんだな)
勇者(へえ、ライスかナンか選べるのか。こりゃ見た目以上に本格的だな)
勇者(ランチはサラダや飲み物セットか。飲み物にラッシーまであるのか。いいじゃないか、この店)
勇者(となると、俄然辛い物が食べたくなるな)
勇者(辛さも指数がついていて親切だ。細かい配慮、嬉しいじゃない)
勇者(牛か豚か鶏か、はたまた野菜か。お、スパイシーチキンカレー?)
勇者(このスパイシーってだけで、美味しそうな感じは卑怯だな。全くもってけしからん)
549
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:19:56 ID:S6NtbNc2
スパイシーチキンカレー 55G
野菜のないカレールーに大きな骨付きの鶏肉が二つ。
ライスを選択。
サラダ
ごくごく普通のサラダ。ドレッシングが甘め。
ラッシー
ヨーグルトとミルクを混ぜた飲み物。
魔法道具のミキサーで混ぜてあるのか少し泡立っている。
勇者(これは予想外だ)
勇者(スパイシーチキン、まさかの骨付き。しかも大きい。どうやって食べればいいんだろう)
勇者(しかもあるのはスプーンとフォーク。ますます食べ方が分からないぞ)
550
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:21:57 ID:S6NtbNc2
勇者(とは言え、この香りは食欲をそそる)パク
勇者(うんうん、美味いぞ。辛さも程よい。ご飯がすすむ)モグモグ
勇者(サラダは……ほうほう、こうきたか。意外と甘め。全体的に辛いカレーが多いからか?)パク
勇者(更にカレーを一口)パック
勇者(からのラッシー)グビ
勇者(このラッシーもいい甘さだ。しかもさらさらタイプ。飲みやすくいい)
勇者(さて……)
勇者(チキンをどうするか)
551
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:24:24 ID:S6NtbNc2
勇者(ルーがついているのに手掴みというのも気が引ける。本場のカレーは手ですくって食べるとは聞くが)チラ
勇者(誰もしていない中、やるのは勇気がいるな)サスッ
勇者(とりあえずフォークで刺して持ち上げてみたが……やはり齧りつくしかないのか)バク
勇者(うん、チキンもいい感じだ。カレーの辛さに押されてスパイシーさがあまり感じられないけども)モグモグ
勇者(しかしこれは、骨の置き方も悩むな)カブ
勇者(スパイシーチキンカレー。美味しいが中々向け玄人向けだな)モグモグ
552
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:26:05 ID:S6NtbNc2
勇者「ふう……」
勇者(結構、量があったな……)
勇者(しかしまだ入るな)ペラ
勇者(デザートは……オーソドックスにアイスか)
勇者(うん? キール? なんだろう、カクテル……な訳ないよな)
勇者(ミルク粥……へえ、面白そうじゃないか)
勇者「すみませーん。このキールを一つ」
553
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:27:55 ID:S6NtbNc2
キール 30G
お米をミルクで甘く煮たお粥。
かなり粒が粗めでどろりとしている。干したココナッツを細かくしたものも入っている。
勇者(これまた予想を超えてきたな)
勇者(ちょっと抵抗があるけども……)パク
勇者(焚いたお米って訳じゃないしこれはなんとも)モグモグ
勇者(ちょっと粒々しているのが、人によってはダメそうだけど)パク
勇者(これはいいデザートだ。どろりともったりしているが、ガンガンいけちゃうぞ)パクパクパク
勇者(ちょっと粒が大きいけどもなんだろう。ナタデココとも違うし……うーん、面白美味しいな)パクパク
554
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:29:20 ID:S6NtbNc2
「まいど。また何時でもきなよ」
勇者「ふー食べた食べた」
勇者「今度は豚あたりを攻めてみるか」
勇者「ここでの暮らし、先は長いんだ。のんびりやっていこう」
勇者「それにしても……」
パン屋「」
ステーキ屋「」
喫茶店兼バー「」
勇者「充実しているなぁ……これはますます、帰るのが楽しみになってくるな」
勇者「さて、しっかり稼いで美味しい物を食べないといけないな」
555
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:30:32 ID:S6NtbNc2
魔王城
魔術師「へえ、これが例のか」
勇者「と言っても、大きさ的には品質は中の下ほどですが」
魔術師「いやいや、十分に魔法の触媒になるよ。いやあ良い物だ」
魔術師「因みに、これって入手し易いものなのかい?」
勇者「そうですね、大量に買い付ける人がいない限り、常時入手できるかと思いますよ」
魔術師「そうかそうか。やはり、他国の物の取引ができるのは強いな」
魔術師「こちらではこの大きさともなると、早々手に入らないよ」
魔術師「装飾師に君の事を聞いて正解だったな」
勇者「はは、ありがとうございます」
556
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:31:45 ID:S6NtbNc2
魔術師「それじゃあ……2万ギルでいいかな?」
勇者「はい、では2千ギルのお返しに」ゴソゴソ
魔術師「取っておいてくれ。今度は大量に購入したりするだろうし」
魔術師「結構色んな注文もするだろうし、まあ、その時はその時で色を、ね」パチッ
勇者「そういう事でしたら有り難く頂戴しておきます」
勇者「早急でなくても、ご要望がありましたら、各地を回る際に探しておきますがどうでしょうか?」
魔術師「今のところはないかな。ま、何かあったらその時によろしく頼むよ」
勇者「ええ、分かりました」
557
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:33:24 ID:S6NtbNc2
勇者「いやはや、中々の儲けだった。おまけに大口のお客さんになりそうだし」
勇者「よし、少し奮発でもしてみるか」
勇者「城下町は店が多いからなぁ。何度来てもその度に、新しいお店が見つかるから全く飽きないな」
勇者「お、ここにもカレー屋があるのか」
勇者「とは言え、この間食べたばかりだし、今日は……おや?」
『ごつ盛り! ミノタウロスカレー!」
『大人気! スジ肉ビーフシチュー!』
『女性に人気! ヘルシーカレー!』
勇者「スジ肉……そういえば昔食べたスジ肉の煮込みは美味しかったな」
勇者「ビーフシチューだしカレーとは被らないが……」
勇者「いかんなぁ、煮込みを思い出したら涎が出てきたぞ。……えい、ここにしよう」
558
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:34:30 ID:S6NtbNc2
店内
勇者(ちょっと遅かったかな。ほぼ満席だ)
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
勇者「はい、ちょっと待ちますかね?」
「カウンター席でよろしければ、すぐにご案内いただけますが」
勇者「ではそちらで」
「かしこまりました」
559
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:36:43 ID:S6NtbNc2
勇者(うーん、ゆっくり落ち着いて食べたいが、仕方がないか)
勇者(目的の物を食べたらさっと出てしまおう)
勇者「あ、注文いいですか」
「はい、どうぞ」
スジ肉のビーフシチュー 700G
野菜のないスジ肉たっぷりのビーフシチュー。
スジ肉はごろごろと塊で入っていて、ご飯も大目。
勇者(ほーこれは)
勇者(ちょっと割高かな、なんて思ったけどこの肉の量)
勇者(いいじゃないか)
560
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:38:31 ID:S6NtbNc2
勇者(さて、どんな具合だろうか)パク
勇者(うんうん、いいぞ。これはいいスジ肉料理だ)モグモグ
勇者(この噛むと解れるような赤身! おまけにぷるっぷるのゼラチン)パク
勇者(下手なスジ肉だと、ゼラチンが餅っぽくなってくどいけど、これは花丸二重丸だ)モグモグ
勇者(美味しい、美味しいんだが……ちょっと単調だな)パク
勇者(ランチもやっていない、サラダもつかないなら、もうちょっとこう何か欲しいな)モグモグ
勇者(ちょっと惜しいなぁこの店)パク
561
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:40:21 ID:S6NtbNc2
勇者(ふう……美味しかったが、ちょっと物足りなかったな)
勇者(うーん、デザートもアイスとか普通なものばかりだ)
勇者(ここは思い切って切り上げるとするか)
「ありがとうございましたー」バタン
勇者「んん〜〜〜」
勇者「この後はどうしようかなぁ」
勇者「城下町南の市場でも見てから帰るとするか」
勇者「そういえば獣人の人に、そろそろ食料を持ってこいって言われていたなぁ」
勇者「少し、見繕っておこうかなぁ」
562
:
明日役立たない雑学
:2017/01/08(日) 00:41:27 ID:S6NtbNc2
ラッシー
インドの飲み物でダヒー(ヨーグルト)をベースにする。飲むヨーグルト。
そのまま水を加えたものや、砂糖で味付け。
ミルクをいれたものや、薄塩味の他、フルーツやハーブを入れたものと様々。
これらはそれぞれに○○・ラッシーと名前がつけられている。
キール
カクテル、ではなくインドのデザートで、ミルクで煮るお粥。
お釈迦様が断食の苦行中に、少女がキールを捧げた事でお釈迦様が悟りを開かれたって話があるとか。
砂糖を加えたミルクとお米を煮るだけだが、カシューナッツやアーモンド、
レーズンにドライフルーツやドライココナッツにハーブ等も入れたりする。
インディカ米を使った方が合うらしい。
牛スジ肉
牛のアキレス腱や腱のついた肉をスジ肉という。
独特な臭みで固い肉質。「棄てられる部位なんだろ? めっちゃ安いんだろ?」とか意外とそうでもない。
解体した牛をまるっと持ってくるような精肉の市場とかならもしかしたら。あるのかすら知らないけども。
赤身とゼラチン質のお肉で、大量のコラーゲンを含んでいる。
563
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:42:54 ID:S6NtbNc2
牛スジを下ごしらえしようの会 ―クリスマス―
まずはお肉を準備。せめて交雑和牛と思ったけども、輸入牛しかなかった。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8774.jpg
お鍋に水を入れて沸騰させる。水が多いほうが早く熱が伝わるのでお好みで。
スジ肉をそのまま投下し、15分ほど茹でる。
灰汁が出まくるので小まめに取り除く。臭みなど飛ばす工程なので、蓋などしない事。
ある程度、灰汁取りが終わったら茹で汁は捨て、冷水を流して粗熱をとる。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8781.jpg
そしたら一口大ほどにカット。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8782.jpg
脂肪っぽいのは全部ゼラチン。この時はまだまだ弾力のある筋という感じ。
564
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:44:32 ID:S6NtbNc2
再度、水を張って沸騰させたら切ったスジ肉投下。
一時間程は煮込むので水は多めに。これでも少なかったぐらい。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8777.jpg
スジ肉を投下したら弱火にして、じっくりコトコト。
初めは少し灰汁が出たりもするんでそれを取り除く。
浮いてこなくなったら蓋をして、後はひたすら煮込む。
時間がかかるので何かをする。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8778.jpg
コラーゲンたっぷりのお肉だし、いっぱいプチ肉食べて気分を盛り上げるもよし。
565
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 00:45:31 ID:S6NtbNc2
一時間後。と言ってもお肉が固ければ更に。
逆に一時間未満で柔らかくなればその時点で、火を止めても問題なし。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8779.jpg
めっちゃ白いけど、この茹で汁にもゼラチンが大量に含まれてるわけで、小分けに冷凍して使うのも手。
後はお好みで料理するだけ。
自分はここで更に細かく切ったのだけども、ゼラチンが包丁に張り付いて、お湯でないと落とせない惨事に。
あれあれこうしてクリスマス料理完成。
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8780.jpg
※ 残りのお肉はスタッフが美味しくハヤシライスでいただきました
566
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 01:41:55 ID:sghGMYrI
乙
ついに家借りちゃったのかよ勇者…
567
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 01:45:50 ID:2jcH7hJ2
飯テロ乙
568
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 02:08:29 ID:KecPv7Mk
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
今回も良い飯テロ乙乙
569
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/08(日) 10:25:29 ID:sk8kx3FI
拠点できたから、商売も食べ歩きもより充実しそうだなw
恒例テロリズム乙!
570
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/11(水) 11:48:57 ID:7l2iRVcs
>>1
はお兄ちゃんでもあったのか…
571
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/12(木) 15:05:02 ID:Vl/6E/kc
なんで上がったんだろうと思ったら新作来てたのかww
572
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/01/22(日) 22:04:50 ID:Dne0Ryj.
>>562
個人のアジア旅行記みたいな本にバング・ラッシーってあったけど確か大麻入りで気持ちよくなるそうだなw
573
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 11:49:31 ID:QE08UcEE
ウォーターサーフェス
勇者「へえ、こりゃ良さそうな魚だ」
勇者「しかしあの魔法倉庫、入れて出すだけで1万Gか……」
勇者「そう考えると普段の取引程度じゃ活用するには、よほど高価な物でないといけないなぁ」
勇者「うーん、中々思いつかないなぁ」
勇者「それこそ大型の生き物の肉とかだろうか……」
勇者「それだって小出しで売ったら意味がないし」
勇者「ちょっと無計画だったかな」
574
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 11:51:52 ID:QE08UcEE
勇者「宝石類の保管という意味ではいいか?」
勇者「でも石や金属の目利きが出来るわけじゃないからなぁ」
勇者「本当に運用を考えないと宝の持ち腐れだな」
勇者「うーん……考えても仕方がないか」
勇者「一先ず仕入れる物も仕入れたし、納品しに行くとしようかな」
ヴォルケイノ領 老舗旅館
板前「達者そうだな」
勇者「ええ、色々とありますが何とか」
板前「正直に聞くが……各国のお触れ、君だろ?」
勇者「」
575
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 11:54:11 ID:QE08UcEE
勇者「各国ですかー……」
板前「まあ、やっていた事がやっていた事だからな。でもまさか、本当に魔王国まで行って商売していたとは」
勇者「やっぱり自分だって分かっちゃいます?」
板前「俺の知る限り、単身で旅をして魔王国まで行ってしまいそうなのは君だけだからな」
板前「ただ、出回っている情報を見る限り、皆デマばかり流しているようだけどな」
勇者「え……?」
板前「心当たりがある人間は皆、君がいなくなると困る人ばかりというわけだ」
板前「無論、私もね」
勇者(取引しながら旅して本当によかったなぁ……いやそれを主軸にした為の、現状な訳だけど)
576
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 11:57:18 ID:QE08UcEE
勇者「で、こちらがご注文の品と」
勇者「良い魚が入ったんで仕入れてみたんですが、こちらはどうでしょうか?」
板前「ほう、あまり見ない魚だな」
勇者「割と足が早いそうで、少し内陸に持っていくだけでも、酢漬けにしたりしてしまうそうです」
板前「ふうむ……うーん、流石に使い辛いかな。因みにいくらだろうか」
勇者「1尾60Gですね」
板前「2尾貰おうか。今晩のおかずと賄いにしてみようかな」
勇者(残りは1尾か。自分で食べてしまおうかなぁ)
577
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 11:58:52 ID:QE08UcEE
板前「そうだ、この後は空いているだろうか?」
勇者「大丈夫ですが、どうかされましたか?」
板前「昼は?」
勇者「まだですね」
板前「なら、午後にちょっと頼まれごとをしてくれないだろうか。その代わり、昼はご馳走しよう」
勇者(買うのか作るのか……むしろ作る方がありがたいなぁ。何させられるか分からないけども)
勇者(この人なら信頼できる美味しい話でしかないよなぁ)
勇者「はは、それでしたら遠慮なく頂かせてもらいます」
板前「おお、良かった良かった。食べる者もどうしようかと思っててな」
勇者「へ?」
578
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:03:14 ID:QE08UcEE
板前「ちょっとした肉をお裾分けしてもらったんだが、家内は嫌がってな」
勇者「特殊なものなんですか?」
板前「ジビエ肉」
勇者「あーなるほど」
勇者「因みにどんなのですか?」
板前「レッドボアだ。フレイムアナコンダの所為で、奴らもだいぶ降りてきているみたいでな」
勇者「まだ落ち着かないんですか……」
板前「アナコンダの方はだいぶ上に行ったみたいだが、猪はまだうろついている、といったところだ」
579
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:05:07 ID:QE08UcEE
勇者「けれども猪肉なら、そこまで抵抗のあるものでもないと思うのですが」
板前「まあ、家内は商業都市の出だからな。ちょっと特殊な肉は中々抵抗があるみたいだ」
勇者「そうだったんですか。確かに、あそこでジビエ肉と言うと、物好きしか寄らない雰囲気ではありますもんね」
板前「何でも揃うとは言え、何でも受け入れられるという訳ではないからなぁ」
板前「おっと無駄話が過ぎたな。ちょっと早いが昼の準備をしてしまってもいいだろうか?」
勇者「はい、よろしくお願いします」
580
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:07:12 ID:QE08UcEE
豪華? 猪尽くしセット
猪カツ
かなりボコボコとしたカツ。薄切りの肉を重ねて揚げた物。
カラっと輝く小麦色のカツは職人ならでは。
猪の生姜焼き
生姜多目。これだけで見ると豚肉に見えなくもない。
ミニぼたん鍋
根菜やキノコ、里芋がたっぷり入ったぼたん鍋。
飽くまで二人前なので鍋は小振り。
勇者(ほほう、これは中々豪勢だ)
勇者(しかもこの人が作ったとあれば外れなんかないだろうし)
勇者(うんうん、もう口の中が涎でいっぱいだぞ)
581
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:08:05 ID:QE08UcEE
勇者「いただきます」
板前「いただきます」
勇者(さて、ここは生姜焼きから……)ガブ
勇者(へえ、意外と臭くない。これは臭みが消えているのか、元からそんなでもないのか?)モッギュモッギュ
勇者(それにしても、肉の厚みの割に中々の硬さだ)
板前「……」モグモグ
板前「随分と硬い肉だな」
勇者「ですね。しかし脂は良い感じですし美味しいですね」
板前「そこは間違いないな」
582
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:11:05 ID:QE08UcEE
勇者(さて、次はこの見た目が凄いカツからだ。このボリューム、中々お目にかかれないぞ)ザクリュ
勇者(うん? これは)モッギュモッギュ
勇者(薄い肉? 重ねた物を揚げているのか)モッギュモッギュ
勇者(しかしこれは……)モッギュモッギュ
板前「……」モグモグモグ
板前「カツは失敗だったな」
勇者「……」モッギュモッギュ ゴックン
勇者「硬さが際立ちますね。薄切りの肉なのに」
板前「切られた物を貰った訳だが、これは塊で渡されなくて正解だったかもしれないな」
583
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:13:28 ID:QE08UcEE
板前「熱すれば熱するほど柔らかくなると聞いたのだがな」
勇者「ではぼたん鍋は期待できますね」
板前「だといいが」パク
勇者「……」パク
板前「……」モギュモギュ
勇者「……」モギュモギュ
板勇(硬い)
584
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:15:56 ID:QE08UcEE
勇者(美味しいんだけど、これはちょっと顎にくる肉だなぁ)
勇者(しかし食べ応えは抜群だ)
勇者(割といい肉なんじゃないか?)
板前「家畜ではないから個体差が激しいのかもしれないな」
板前「昔食べたぼたん鍋はもっと、柔らかかったと記憶しているが……難しいものだな」
勇者(とは言え、カツは美味しいのだけども何個も食べるには体力がいるなぁ)
板前「ふむ……残りのカツは君が食べるか?」
勇者「えっ」
585
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:16:40 ID:QE08UcEE
午後
板前「個人的な事でな。他の者に任すのも忍びないし、午後から忙しい事もあってな」ポン
勇者「木箱……でしょうか。しかし穴があったり不思議な作りですね」
勇者「運べばいいんでしょうか?」
板前「いや、これは燻製器でな。燻すから番をしていてほしい」
勇者「へえ。旅館で出されるんですか?」
板前「満足のいく出来が難しくてな。まだまだ個人的な使用の範囲だ」
板前「お陰で家内からはあまり良い目をされんよ」ハハハ
586
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:18:51 ID:QE08UcEE
板前「そうは燃える事などないが、万が一火災を起こそうものなら洒落にならんからな」
勇者「ですよね」
板前「そんな訳だから、一時間ほど見ていてくれないか?」
板前「今回燻すのはベーコン。一ブロック分けるから頼む」
勇者「そんなそんな。こちらは既にご馳走になっていますし、お安い御用ですよ」
板前「いやあ助かるよ。すぐに準備するから待っていてくれ」
587
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:21:05 ID:QE08UcEE
勇者「とはいったものの」
木箱「」モォ
勇者「隙間から昇る煙を見るだけって言うのも苦痛だなぁ」
勇者「魔王領で何かないかな」
文字伝達魔石「」ポゥ
勇者「これ、意外といい暇つぶしだなぁ」スッスッ
588
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:23:28 ID:QE08UcEE
しばらく後
勇者「うん……?」
勇者「煙が止まった? もうチップが燃えきったのかな」
勇者「これ、どうするのかな。伝えに行ったほうがいいのかな」
板前「調子はどうだ?」
勇者「あ、丁度いいところに。煙が出ていないのですが」
板前「頃合だろうと思ってきてみたが、正解だったな」
板前「どれどれ」ガチャガチャ
板前「うむ、見た目は良い感じだな」
589
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:25:11 ID:QE08UcEE
板前「どうだ? 試食していかないか?」
勇者「いいんですか? では遠慮なく」
ベーコンステーキ
自家製ベーコンを惜しみなく豪快に焼いたもの。
特に味付けはなし。
勇者(この香り……)ゴクリ
勇者(なんてこった、さっき昼食をとったばかりなのに、どんどん腹が減っていくぞ)
勇者(しかもこの大きさ、多分1ブロックを断ったから、焼いてくれたんだろうな)
590
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:27:22 ID:QE08UcEE
勇者(いざ……)モグ
勇者「おぉぅっ」
勇者(美味い! そこらの高級なベーコンと、引けをとらないぐらい美味い!)モグモグ
勇者(これで旅館に出さないって、どんなレベルを求めているのか)パク
勇者(やっぱりある程度、ちゃんと準備ができるだけでここまで本格的な燻製が作れるんだな)モグモグ
勇者(ヴェノムドラゴンの時の燻製とは大違いだっ! 豚、竜に勝ってるぞっ)パク
板前「……」モグモグ
板前「これは……随分と上出来だ。正直驚きだな」
板前「これが安定して、作れるようになればいいんだがなぁ」
591
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:29:50 ID:QE08UcEE
勇者「ご馳走様でした」
勇者(ああ、美味しかった。こんなに美味しいベーコン、そうは食えないぞ)
板前「今日はつき合わせてしまってすまなかったな」
勇者「いえいえ、むしろ役得ですよ」
板前「そう言ってもらえると助かるよ。また頼むよ」
勇者「火の番ですか?」
板前「はは、発注の方だよ。だが、上手くできる様になったら、良い豚肉なんかも注文するかもしれないな」
勇者「その時の為に、今からリストアップしておきますね」
板前「ああ、よろしく頼むよ」
592
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:34:30 ID:QE08UcEE
勇者「ふう……今日はなんて充実した一日なんだろう」
勇者「燻製かぁ……」
勇者「ちょっと自分もやってみようかな」
勇者「せっかく家も借りているんだし、挑戦してみるのも楽しそうだな」
勇者「よし、次に家に帰る時はちょっと考えてみようかな」
勇者「それにしても良いベーコンだった。豚肉調査、早めにしておこうかな」
593
:
雑談
:2017/02/13(月) 12:38:06 ID:QE08UcEE
一日早いメリーメリーバレンタイン(チョコの話題があるとは言っていない)
あと谷口ジローさんの追悼も兼ねて
言う割にゴロー成分薄めの話なってしまったけども
>>570
1.安定版→カオスシェイプで始めるも操作になれずゴミ箱
2.ゴミ箱から出して同データで再開するも、配達護衛+雷雨+初エーテルの風のコンボでゴミ箱
3.安定版DLし直して、再度カオスシェイプ、農場始めて妖精さんと旅し始めたらなんか満足して終了
4.3データで遺伝子残してOOプレイ、ペットに本腰入れ始め+信仰リレー中になんか満足して止まっている
なお兄ちゃんでおじゃる
でも妹はまだペットにした事がないでおじゃる
>>572
バング・ラッシー、マジかよ、と思って調べたらマジだった
バングはガンジャの事で乾燥大麻(マリファナ)なんだとか
インドじゃ宗教と密接にかかわりがあって、瞑想に使われたりもするそうな
インドの州によっては合法なところもあるんだとか
すげえなと思ったけど、薬の捉え方は人や国によって様々だしね
日本だって弱体覚せい剤みたいな成分が、誰でもドラッグストアで買える訳だし
594
:
明日役立たない雑学
:2017/02/13(月) 12:41:37 ID:QE08UcEE
ジビエ
最近よく聞くジビエ。狩猟によって得られた野生動物の肉を指し、猪等に限らず鳥類なんかも含まれる。
語源はフランス語で、狩猟できるような領地をもった上流階級の貴族しか味わえないものだったとか。
その為、フランス料理界隈では今でも高級食材として扱われている。
イノシシ
もとはアジアやヨーロッパに生息し、家畜化したものが豚。
で、この豚を輸入し再度野生化したものがアメリカやオーストラリアにいるイノシシなんだとか。
縄文時代からシカと共に大切なタンパク源として重宝。
山梨県の遺跡からは幼いイノシシの骨が大量に出土しており、飼育されていたと考えられているんだとか。
多産でもある事から豊穣の象徴とされていたそうな。
獣肉食を避けた名残もあり、肉の硬さから山鯨という別称もある。
ぼたん鍋
日本の猪料理の代表例。
牡丹の花のように猪肉を盛り付けるのが特徴的な鍋。
野菜や根菜、きのこ、芋にコンニャクや豆腐などを入れるのが一般的で、昆布や鰹節の出汁に、味噌や醤油っていうのがスタンダード。
十年ほど前に郷土料理百選にも選定されたり、観光資源化が進んでいる。
ベーコン
豚肉を塩漬けにして燻製にしたもので、ゲルマン語とかからきた英語なんだとか。
本来のベーコンは背中やわき腹の肉で、ヨーロッパはその傾向。反面、北アメリカではばら肉で、日本もその影響を受けている。
自家製ベーコンは難しくないものの、一週間の漬け込みや半日ずつ塩抜き水抜きしたり、燻製で1,2時間と時間の手間が大きい。
595
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:42:29 ID:QE08UcEE
と、言うわけで、自家製ベーコンを作ってみよう(だいぶ昔)の会
材料
豚のばら肉
各種調味料
今回は塩、ローズマリー、オレガノ
お好みでなんか野菜も
今回は薄切りにした玉ねぎを適量
予めフォークで何回か刺しておくと、味がしっかり染み渡るとか何とか
よおくまぶしたらジップロックとかに入れて冷蔵庫へ
ハーブ類なんか使った事なかったからドバドバかけた真性のバカです
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8793.jpg
596
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:44:26 ID:QE08UcEE
燻製するタイミングもあって、5日ぐらい漬けて塩抜き
始めの塩の量と、この水抜きの時間で塩加減を調整
不安なら途中でちょこっと切って焼いて食べてみてもいい
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8794.jpg
やり方は忘れたけどネットで調べた結び方を見てベーコンをタコ糸で縛る
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8795.jpg
これを適当に吊るしてしばらく乾燥させる
自分は時間がなくて、ある程度表面が乾いてきたら燻製し始めた
597
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 12:46:21 ID:QE08UcEE
でダンボール燻製器へ
ほどよいダンボールに、フックがかけられるように施工
針金を巻きつけた割り箸を、設置位置の割り箸両端付近の天井に穴
穴から針金の端を出して、適当な木の枝に巻きつけて、割り箸が落ちないように固定
箸に巻いてある針金にS字フックをかけて、ベーコンをセット
下には石材を置いてチップを燃す場所を確保
チップだと跳ねて、ダンボールに火が移る可能性があるので、スモークウッドというブロック型の木を購入
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8796.jpg
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8797.jpg
チップ類はベーコンの直下に置くと脂が落ちて、非常に不味い煙となるので注意
598
:
キョウハココマデ
:2017/02/13(月) 12:47:55 ID:QE08UcEE
あとは時間つぶし
のんびり荒川作品を読んで腹を減らすもよし
筋トレして腹を減らすもよし
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8798.jpg
量が多かったのか、スモークウッドが燃え尽きるまで約3時間してこんな感じ
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8799.jpg
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up8800.jpg
燻製室とかでやっている訳でもないので中は生
食べる時は加熱絶対
と、この程度でお高いベーコンを彷彿とさせる味
味とのコスパで手間と思うかどうかといったところ
599
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 14:04:05 ID:ScEAXGV2
乙乙
昼食べてなければ即死だった……ベーコン食いてぇ
600
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 14:49:38 ID:SFQzxvU2
相変わらずの勇者節とメシテロ乙
って銀の匙w
あー昔、親戚が作ってた燻製もらったの思い出した
自家製って美味いよなぁ
ジローさん訃報びっくりした
孤独のグルメはやっぱりあの画があってこそだったなあ……合掌
601
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/13(月) 16:10:02 ID:peHGdpHA
乙
手作りベーコン旨そう!
602
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/14(火) 00:23:20 ID:rng1LPg.
ちきしょー!夜に読んでしまった
今度燻製チャレンジしてみようかな
603
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/02/15(水) 14:34:01 ID:VOF.Va5o
前助けた兵士とかとの絡みをまた見たいな
604
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/03/22(水) 19:29:38 ID:lMd9F1NE
サキュバスさん直飲m…何でもない支援
605
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/04/25(火) 12:45:47 ID:Rf4w0r3Y
勇者はまだか…
606
:
人妻
:2017/04/26(水) 10:11:22 ID:9k8sAJ72
エッチに興味深々な女性達と欲望のままにセックスできます。
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607
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/05/26(金) 09:23:28 ID:mJrH.cVM
終わってしまったのか…
608
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/05/26(金) 19:07:28 ID:.Rj2hqiI
忘れた頃に更新来るから大丈夫大丈夫
609
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:41:56 ID:QXY/WUk.
服屋「これはいい生地ですね。やはり、貴方にお願いしてよかった」
勇者「こちらこそ、ご満足頂けたようで何よりです」
服屋「装飾師君の紹介だから間違いはないだろうと思ったが、いやはや人間の見る目を侮っていたよ」
服屋「ではこれが代金の1万ギルだ。必要な物があったらまたお願いするよ」
勇者「分かりました。こちらが連絡先となっていますので」
服屋「うん、ありがとう」
610
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:44:09 ID:QXY/WUk.
服屋「そういえば君は色んな商売を手がけているって話だね」
勇者「殆ど仕入れて売るだけですが、種類で言えば一般的な商人とは違いますかね」
服屋「ここの土地は無数の川が流れているのは知っているだろう?」
勇者「ええ、見ました。中々凄いですね。迷ったら海まで出ないと分からなさそうですよ」
服屋「地元の者でも隅々まで知っている人はいないぐらいだからね」
服屋「あのあたりは薬草も多く生えている。土地の所有者もいませんから、乱獲でなければ採っていって大丈夫だよ」
服屋「話じゃ薬も調合しているのだろう?」
勇者「まあ、そこそこに程度ですがね」
服屋「ボートは貸し出しをしているんで気が向いたらどうぞ」
611
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:46:14 ID:QXY/WUk.
勇者「流石、魔王城勤め。あの人、ほんと人脈多いなぁ」
勇者「思いがけず大きなおこぼれだ。うーん、魔王国目指したの、やっぱり間違いじゃなかった」
勇者「それにしても薬草か」
勇者「うん、試しに行ってみるか」
「ボート? ああ、一時間100ギルですよ」
勇者「それじゃあ……」
「ああ、戻って来た時に払っていただきますので。こちらに貸し出し書を書いて下さい」
612
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:48:34 ID:QXY/WUk.
一時間後
勇者「ふう……だいぶ来たな」
勇者「それにしても随分と流れがゆっくりだ。これは楽でいいなぁ」
勇者「だけど、あまりいい薬草は見つからないな」キョロキョロ
勇者「もう少し登って……お、あれはヒールリーフ。まあ、悪くないか」
勇者「ええとこうやって繋いで留めれば……うん、これでいいか」
勇者「お、よく見たらハイヒールリーフも自生しているじゃないか。これは当たりだぞ」
勇者「うん? あれ? これって確か……」
勇者「間違いない! 竜治草だ! 竜による傷を瞬く間に治すとも、瀕死の竜を瞬く間に回復させるとも言われる……」
勇者「凄い、初めて見た! 採るとどんどん薬効が消えていく、超高価な薬草……これは異次元収納魔法で収めないと」
勇者「う、うーん、根も欲しいけどそれはそれで惜しいな」
勇者「ここは葉だけにしておこう」
613
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:50:35 ID:QXY/WUk.
勇者「ここまでの地図を記しておいてよかった……しかも、これぐらいの距離なら見失わずに来れる、はず」
勇者「それにしても竜治草がこんなところに生えているなんてなぁ。知られたら乱獲間違いない」
勇者「こりゃあ絶対に知られないようにしないと」
勇者「お、毒食み草……ここは本当に豊かだなぁ」
勇者「あまりここでばかり採る訳にはいかないか」
勇者「よし、少し移動してみるか」
614
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:52:06 ID:QXY/WUk.
……夕暮れ
勇者「うーん、とっぷり暮れてしまった」
勇者「このまま帰ろうとしても迷子ちゃんだな」
勇者「仕方がない。今日はここで野宿するか」
勇者「ご飯持ってこなかったのは痛かったなぁ」
勇者「早く寝ちゃって、早朝に帰ってご飯を食べよう……」
615
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:54:11 ID:QXY/WUk.
翌朝
勇者「やっと帰ってこれた……にしても、あのまま帰ろうとしなくて本当に正解だ」
勇者「日の出前から動いてみたけど、かなり危なかったぞ……」グー
勇者「あー帰ってきたのいいけども、食べるところなんてないよなぁ」
勇者「空腹は最高の調味料とは言うけども、それで食べるのが携帯食料ってのも味気ないな」
「おや、今お帰りですか」
勇者「ええ、日が傾いてしまったので、無理せず野宿してきたんです」
「それはお疲れ様です。おまけして1200ギルでいいですよ」
勇者「う……いえ、ありがとうございます」グー
「ははは、あそこにある喫茶店、朝からやっているんで行ってみるといいですよ」
616
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:56:58 ID:QXY/WUk.
喫茶店
勇者「ここかぁ。本当にやっているんだ」グー
勇者「うん、もう腹の虫が大暴れ。悩み必要なし、ここにしようっ」カランコロン
「いらっしゃい、今コーヒーを淹れますね」
勇者「え?」
『朝食サービス。コーヒー一杯目は無料!!』
勇者「へえ、ありがとうございます」
617
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 20:59:07 ID:QXY/WUk.
勇者(朝食メニュー、トーストとサンドイッチか)
勇者(トースト、よく分からないものが多いな)
勇者(カヤ? マスコバド?)
勇者(うーん、特に説明もない。けど朝食メニューって事は、この辺りじゃ普通のメニューなのかも)
勇者(とは言え物が分からないし、保険もかけようかな)
カヤトースト 15G
カヤジャムという緑色のジャムが塗られている。
ジャムではあるけども、イチゴジャムのような物に比べて随分と水気が少ない。
マスコバドトースト 15G
黒蜜がかけられたトースト。完全にスイーツ系トースト。
三角柱の立てるタイプのメニュー案内に、マスコバドブラックハニートーストと書かれているのに後で気づく。
ハムチーズトースト 20G
炙った大きいハムとチーズの乗ったトースト。
かなりのボリュームでいい香り。シンプルながら食欲をそそる。
勇者(うーん、これは予想外だ)
618
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:00:42 ID:QXY/WUk.
勇者(このカヤジャムってなんだろう。淡い緑色だ、初めて見る)
勇者(なんかちょっと舌触りが白餡子っぽい感じもするなぁ)サクッ
勇者(ほほう、甘い)モグモグ
勇者(なんだろう、ミルクと蜂蜜かな)サクッ
勇者(これは新しいな。素朴な甘みだ。素朴だけど、中々飽きないぞ)モグモグ
勇者(にしても、マスコバドブラックハニー、まさかの黒蜜とは)
勇者(マスコバドっていう何かで作った黒蜜? 砂糖の種類なのかな、マスコバド)サクッ
勇者(うん、美味しい。美味しいけど、普通に黒蜜だな、これは)モグモグ
勇者(流石にこの甘さ、朝から食べる物でもないような。ここらじゃ珍しくないのかな)サクッ
619
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:02:51 ID:QXY/WUk.
勇者(この甘さ、最後に食べたら相当残っていたな)
勇者(順番はおかしいけども、悪くない判断だ)
勇者(さてさて、このハムとチーズの香りが堪らない方を)サクッ
勇者(うん! いいぞ! シンプルでこんなに美味しいトースト、久々だ)モグモグ
勇者(これはいいハムだ。噛む度に肉の旨みが溢れるのに、全くくどくない)サクッ
勇者(このチーズもハムに負けない味だ。実に完成度が高いぞ)モグモグ
勇者(最高の調味料に最高のトースト。頑張った甲斐があったなぁ)サクッ
620
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:06:25 ID:QXY/WUk.
……
勇者「ああ、美味しかった。他のトースト、今度試してみようかな」
勇者「けどカヤジャム。何処かで売れなくもないな。メモしておこう」
勇者「それはいいけども……」
勇者(竜治草。どうしようかな)
勇者(タイミングが合えば、あれだけで3,40万はするぞ)
勇者(問題はそのタイミングかぁ、何よりやんごとなきお方でないと早々……)
勇者(まあなるようになるか。竜治草の使い方、調べておこうかな)
621
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:09:16 ID:QXY/WUk.
田園風景
勇者「はー……こりゃあ長閑でいいや」
勇者「板前さんに美味い米を見つけたら欲しいって言われていたから寄ってみたけど、中々いいところじゃないか」
勇者「水も綺麗でちょっとした山も多い。息抜きで来るには贅沢な土地だぞ、ここ」
勇者「急ぎの注文もないし、久々に仕事とか忘れて骨休めでもするかなぁ」
勇者「釣竿とか作ってみようかなぁ。ふふ、なんだか少年時代を思い出してきて、わくわくしてきちゃうな」
622
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:10:55 ID:QXY/WUk.
勇者「この水田、色んな生き物がいるな。無農薬農法かな」
勇者「無農薬を神格化するつもりはないけども、それはそれで美味しいからなぁ。食事が楽しみだなぁ」
勇者「山とか入っていいのかなぁ。山菜とかいっぱいありそうだなぁ。山菜鍋、いいなぁ」
勇者「あけびとかもありそうだ。久々に食べたいなぁ。秋になったら来てみようかな」
勇者「あれは……米蔵かな? ちょっと見にいってみようかな」
623
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:12:30 ID:QXY/WUk.
勇者「これまた立派だなぁ」
「うん? あんた、他所もんかい。珍しいなぁ、こんなとこまで」
勇者「どうも。ここは米蔵ですか?」
「おうよ。こいつは去年の米入れてんのさ。なんだ兄ちゃん、興味があるのか?」
勇者「行商の真似事をしてまして。ある板前の方より、美味しいお米を見つけて欲しいと言われているんですよ」
「そりゃあいい。後でそこらで飯食ってけよ。村の米はうめえぞ!」
勇者「はは、そうさせてもらいます」
624
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:14:23 ID:QXY/WUk.
勇者「いやあ、あの様子だと二つ返事で卸してくれそうだなぁ」
勇者「他所への出荷ってあんまりしていないのかな」
勇者「まあ何にせよ、食べてみてからだな」
勇者「小腹が空いた程度だけど、少し食べてみようかなぁ」
勇者「そこらって言っていたけど、何軒もあるのだろうか」
勇者「うーん、規模からして二軒はないか……」
625
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:16:25 ID:QXY/WUk.
勇者「ここ、かな」ガララ
「いらっしゃい、適当に座って」
勇者(うーん、村と同じく静かで落ち着いたところだ。きっと料理も期待できるぞ)
勇者(メニューは……やはりご飯物が多いな)
勇者(お? ドジョウ鍋? あの水田にもいそうだし、飼育もしているのかも)
勇者(聞いた事はあるけども食べた事ないんだよなぁ)
勇者(うん、ご飯もついてくるみたいだし、頼んでみようかな)
626
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:18:30 ID:QXY/WUk.
ドジョウ鍋 50G
開いておらずドジョウが丸々入った鍋。ご飯と漬物がセット。
ニラと卵、ネギが入っており、醤油ベースの割り下で煮込まれている。
視覚的にかなりの破壊力を持つ。
勇者(これは……中々衝撃的だ)
勇者(開いたものだと聞いていたけど、それは別の料理なのかな)
勇者(う、ううん……これはちょっとやらかしたぞ)
627
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:20:26 ID:QXY/WUk.
勇者(しかしここで食わねば罰当たり。食って供養だ、全力で味わうほかない)パク
勇者(う、ん、凄いヌルヌルだ……味はあまり……小魚感だなぁ)モグ モグ
勇者(ちょっと苦味があるのは内臓かな……何ていうか、別にそんなに美味しいとも……)パク
勇者(昔の貴重なタンパク源としての、歴史ある郷土料理って感じかなぁ)モグ モグ
勇者(豊かになって色んな食材が手に入る今となっては、好んで食べる人は相当稀だろうなぁ)パク
628
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:22:15 ID:QXY/WUk.
勇者(ご飯は……)パク
勇者(うん、美味しい!)モグモグ
勇者(これ、新米なのかな? うんうん、焚き方も絶妙だ)パク
勇者(これどうなのかな。試供って事でちょっと買って板前さんに見てもらうか)モグモグ
勇者(さてさて、この漬物は……)パリ
勇者(うんうん、これもいい漬かり具合だ。これとご飯だけで十分じゃないか)モグモグ
ドジョウ鍋「」ゴゴゴ
勇者(……思いがけないラスボスを頼んでしまったなぁ)
629
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:24:10 ID:QXY/WUk.
……
勇者「ふう……腹がはち切れそうだ……」
勇者「……ドジョウ鍋はともかく、ここのお米は逸品だったなぁ」
勇者「うん、板前さんのお土産にしよう」
勇者「しかし……」
勇者「ドジョウ鍋はもう、食べる事はないかなぁ……」
630
:
雑談
:2017/06/05(月) 21:27:33 ID:QXY/WUk.
正直に白状しよう
前回の話を投下した後にぼたん鍋を食べてみたけど、驚くほどに柔らかかった
煮れば煮るほどで柔らかくなるとは聞いたけども、ああも違うものなのかぁ
柔らかいのに確かな弾力で恐ろしく美味なりぼたん鍋
カツと生姜焼きは固かった
弾力のある美味い固さだったけど顎が疲れた
尚、ドジョウ鍋はダーウィンが来た、でドジョウ特集の後に機会があって頼んだけど、激しく後悔した模様
にしてもなろうであれこれやってる内に、深夜の過疎化が凄い加速している感じ?
結構驚いた
631
:
明日役立たない雑学
:2017/06/05(月) 21:29:58 ID:QXY/WUk.
マスコバド
フィリピンなどで栽培されている。
黒砂糖。
カヤジャム
単にカヤと呼ばれる事もある、ペースト状で淡い緑色のスプレット。
ココナッツミルクや卵、更に甘くする為に砂糖や蜂蜜なんかも入れる場合がある。
マレーシアやシンガポール等、ココナッツミルクの産地でよく食べられる。
カヤトーストは朝食の定番なんだとか。
ドジョウ
日本などの東アジアに分布し、食用魚として養殖もされている。
雑食性でユスリカなどの幼虫を食べる。
体を覆う粘膜は粘膜自体に空気を取り込み、皮膚呼吸の助けをしている。
水田時期以外の田んぼの土の中では、大量のドジョウが玉となり粘液の塊の中で(ドジョウにとっての)乾季を凌ぐ。凄い生態だ。
老舗的だとどぜう鍋、とか言うけれども、 旧かなづかいでは「どじよう」「どじやう」と呼ばれるが、
四文字は縁起が悪いとどぜうになったそうな。
ドジョウ鍋
ドジョウを使った鍋の総称。
生きたドジョウを使い、甘辛い割下で煮込み大量のネギや山椒などで頂く丸鍋。
背開きしたドジョウとゴボウと一緒に煮込むぬき鍋。
開いたドジョウをゴボウと一緒に卵とじした柳川鍋。
等があるらしいけども、柳川鍋しか知らなかった。
632
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 21:46:25 ID:2fwbH.72
乙!
今回も勇者が勇者してない飯テロでした。
確かに昔に比べたら過疎化進んだねー。
それでも書いてる人いるし楽しみに読むけど
633
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/05(月) 22:36:02 ID:qKb.AJWo
乙乙待ってた!!……腹減った…
634
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/06(火) 01:28:34 ID:rYFDs7pg
乙
勇者の商売が順調でなによりw
635
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/06(火) 03:54:24 ID:aSmeTlj.
乙
ずっと来ないもんだからてっきりアジアのどこかでバング・ラッシー探しの旅に出てたと思ったぞww
636
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/06(火) 12:52:10 ID:emkiwS4g
待ってた
637
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/06/06(火) 13:18:32 ID:HRkKiqJ6
うあああ……また空腹のときに読んでしまった……
相変わらずの勇者節w
やっぱ人がいるとこに流れるよね
でもSS形式は掲示板ならではだと思うし、少なくても続いて欲しいもんだ
乙
638
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:47:03 ID:JoL8RVXg
ヴォルケイノ領
勇者「ふー、あっついなぁ」
勇者「けども……うんうん、今日も野菜がいい感じだな」
勇者「ここの夏野菜って結構イイと思うんだけど、他所だと飽くまで暴れ軍鶏のイメージ強いからなぁ」
勇者「まあ、野菜の種類自体は珍しいわけじゃないし、仕方がないのか」
勇者「さて、板前さんの納品も終わったしどうしようかなぁ」
勇者「何か面白い商品とか開拓できないかな」
639
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:48:04 ID:JoL8RVXg
勇者「うん? なんだろう、これ」
勇者「湯の花か……ううん、なんで今まで忘れていたんだろう」
勇者「しかし、金属とか腐食するんだよなぁ。ちょっと使い道が難しそう……」
勇者「でもここの温泉を味わえるとなると、中々良さそうに思えてくる」
勇者「卸し先……卸し先かぁ。装飾師さんの伝手でも当てにしてみようかなぁ」
勇者「城内でも美容を気にする人っているだろうし、かと言って忙しくて満足にスキンケア出来ない人もいるだろうし」
勇者「試供って事でちょっと買っていってみるか」
640
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:50:51 ID:JoL8RVXg
勇者「そうか……各地の温泉の湯の花買って、詰め合わせってていう手もあるのか」
勇者「お風呂が好きだけど、中々温泉に入れない人もいるだろうし……」
勇者「なんだか面白くなってきたぞ。魔王城での反応を見て試してみようかな」
勇者「そうとなったら早めに寄ろう」グゥゥ
勇者「おっと、お腹が減ってきたな」
勇者「このぐらいにして、何か食べようかな」
641
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:52:16 ID:JoL8RVXg
勇者「どこか、まだ行った事ない店がいいなぁ」
勇者「……この香り、カレーかな」スンスン
勇者「ヴォルケイノ領でのカレーかぁ。きっと夏野菜たっぷりなんだろうな」
勇者「うんうん、夏野菜カレー。決まりだな」
勇者「そうと決まれば、お店は何処にあるのかな」
勇者「近いところにあるんだけども……」キョロキョロ
勇者「お、あそこかな。近づくとより一層いい香りだ」
勇者「これは期待しちゃうなぁ」
642
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:54:17 ID:JoL8RVXg
「いらっしゃい」
勇者(なんていうか、喫茶店っぽい雰囲気だ。香り以外)
勇者(お、やっぱり夏野菜カレーがあるな。よーし、今日はもう迷わずいっちゃうぞ)
勇者「すみませーん」
夏野菜カレー 55G
チキンカレーに夏野菜を盛り込んだ感じのカレー。
一般的な具にトマトやナス、かぼちゃが具沢山。
643
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:56:12 ID:JoL8RVXg
勇者(よっ、待ってました)
勇者(流石は全て地元産。この量でこの価格はお目にかかれないぞ)パク
勇者「おっふっ!」ホフホフ
勇者(熱っ、旨っ、辛っ、辛旨っ!)モグモグ
勇者(思った以上に辛い! けど旨い!)パク
勇者(それでいて、何処か甘いっ! トマトとかぼちゃのハーモニーかな?)モグモグ
勇者(止まらない。これはスプーンが止まらないぞっ)パク
644
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 20:58:11 ID:JoL8RVXg
勇者(うひゃー汗が吹き出てくるぞぉ)モグモグ
勇者(しかしこれは凄いぞ。こんなの食べてしまったら)パク
勇者(そんじょそこらの夏野菜カレーが食べられなくなってしまう!)モグモグ
勇者(ひー、水がいくらあっても足りないんじゃないか)グビグビ
勇者「っぷはぁ」
勇者(けどもスプーンが止められない、魔性のカレーだ!)パク
645
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:00:19 ID:JoL8RVXg
勇者「ふぅ……」
勇者(美味しかったなぁ。ここのお店、大正解だ)
勇者(今度は他のメニューも頼んでみようかな)
勇者(うん? マンゴーゼリー? へえ、美味しそうなデザートがあるじゃないの)
勇者(頭がカレーでいっぱいで、危うく見落とすところだった。これは是非とも食べないと)
マンゴーゼリー 35G
完熟マンゴーを使った大きなゼリー。
惜しみなく入れられてる果肉を果汁入りゼリーで包んでいる。
646
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:02:20 ID:JoL8RVXg
勇者(ふんふん)パク
勇者(普通にマンゴーだ。普通にマンゴーだけど旨い)モグモグ
勇者(そういえば、マンゴーってまだあんまり流通しているイメージないなぁ)パク
勇者(収穫量低いのかな。まだ栽培が軌道にのっていないのかな)モグモグ
勇者(とは言え、マンゴーとなると自分が流通させるには、乾物とかにしないとかな。二日で一往復だし)パク
勇者(むしろ情報を売って、行商とか商人ギルドに流通させた方がいいかも)モグモグ
勇者(この手の物だと、数日とか毎日仕入れたいとかあるからなぁ……自分じゃ手が回らないや)
647
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:04:13 ID:JoL8RVXg
勇者「ああ、美味しかった」サスサス
勇者「思いがけず面白い物も見つかったし、いいタイミングで注文があったなぁ」
勇者「とりあえず、今のところ急ぎの依頼もないし」
勇者「よし、次は魔王城だな」
勇者「これで新規顧客が出来たら嬉しいな」
勇者「商品開拓にも繋がるし、他にも何か掘り下げられそうだ」
勇者「はは、流石にこれは取らぬ狸の皮算用かな」
648
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:06:05 ID:JoL8RVXg
魔王城
装飾師「あー……」
勇者「え、何ですかその反応……」
装飾師「湯の花ですかぁ」
勇者「イケると思ったんですけど……」
装飾師「というよりも、警備の仕事ってそれなりに入れ替わりがあるんですよ」
勇者「へえ?」
装飾師「やっぱり地元に帰りたいとか、都会で暮らしたいとかありますんで」
勇者「なるほど。しかしそれとこれとの関係は……?」
649
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:08:23 ID:JoL8RVXg
装飾師「結構、温泉地が多い……いえ、人間側の領土はどうか分かりませんが、あるんですよ」
装飾師「まあそんな所なんで、警備任務地としては人気でして。基本的にそこの生まれでもなければ」
装飾師「結構な頻度で交代があるんですよ。仕事兼休暇みたいな扱いでして」
勇者「……まさか」
装飾師「その度に湯の花を持って帰ってくるもんで、温泉好きの王城勤めの人でも大満足な環境がですね……」
勇者「ああぁぁぁ……」
装飾師「ただ、温泉の種類という意味ではまだまだ開拓の余地があると思いますよ?」
勇者「問題はその人達が温泉に何を求めているかですよね……ただ温泉がいいだけならあんまり余地が……」
装飾師「そ、それは私も分かりませんねぇ」
650
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:10:10 ID:JoL8RVXg
装飾師「まあ、ちょっと知人に聞いてはみておきますよ」
勇者「お願いします。助かります」
装飾師「その分、今度の仕入れはちょっと多めに見てもらいたいですねー?」ニコニコ
勇者「いやいやそんなそんな。だいぶ助けて頂いておりますので、それはもう期待して下さい」
装飾師「……君は本当にサービス精神旺盛だね。ここまで良心的な価格なのに」
勇者「富を築き上げたいわけではないですからね。これでも十分な利益なんですよ」
装飾師「ふふ、それならこれからもご贔屓しようじゃないか」
勇者「ええ、これからもご贔屓致します」
装飾師「御主も悪よのぅ」ニヤニヤ
勇者「いやいやお代官様もぉ」ニタニタ
651
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:12:59 ID:JoL8RVXg
装飾師「まあ、何にせよまた連絡しますね。湯の花の件もありますし」
勇者「分かりました。それでは私はこれで」
勇者「うーん、あまり当たりが期待できそうにないなぁ」
勇者「まあ、そんな事もあるかな」
勇者「今日のところは飯を食べたら休んでしまおうかな」
勇者「魔王城城下町、まだまだ知らないお店がいっぱいだし、今から腹の音が止まらなくなりそうだなぁ」
652
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:14:48 ID:JoL8RVXg
小道
勇者「うーん、ここら辺は料理屋はないのかな……」
勇者「しかしどこもしっかりしていて、町を歩くだけでも気持ちがいい」
勇者「建物の作りにしてもこの小道にしてもいい雰囲気だ……おや、良い香りもしてきたなぁ」スン
勇者「しかし商店すらもない小道……これはもしや穴場かもしれない」
勇者「さあてどこかな」ワクワク
653
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:16:07 ID:JoL8RVXg
勇者「ここかな。なんか普通に家っぽい。看板や香りがなければ絶対にスルーしてるぞ」
勇者「しかし何の店だろう。ちょっと勇気がいるなぁ」
勇者「……」
勇者「えい、物の試しだ。入ってしまえ」ガチャ
カランコラン
魔王軍兵士達「」ワイワイ
勇者(うーん、兵士の人が多い。ちょっと気まずいというか肩身が狭いなぁ)
A「うん? おっ! お前、生きてたか!」
B「よー久しぶりじゃないか!」
C「相変わらずな食道楽って聞くが本当か? まあヴェノムドラゴンを食うぐらいだし変わらないか」カラカラ
D「お前、ちょっとした時の人だからな」
E「噂凄いぜ、聞いた事ないのか?」
勇者「お久しぶりです。噂ってどんなですか?」
E「まあ、とんでもない行商って話だ。鎧も着てるし人間だし、まあバリバリ目立つよな」
654
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:18:10 ID:JoL8RVXg
勇者「そういえば、まだ人間との商売って始まっていないんですかね? 全く見かけないんで不思議なんですよ」
A「自国の事でもあるだろ……」
B「相当荒れてるらしいぞ。国家間や商人達で意見が割れてるって話だ」
勇者「へえ?」
C「どの国が何を輸出するのかとか、あとそっちの商人の協会かなんかだっけか?」
D「そもそも魔王国との取引なんてって話もなぁ」
勇者「あーなるほど」
E「向こうには行っていないの?」
勇者「行ってるんですけども、そういう話を聞いて回ってるわけでもないので」
A「おい商人、それでいいのか」
勇者「勇者なんです、これでも」
B「自国の事に無関心な英雄……」
C「それはそれでアウトだな」
勇者「あ、こちらだと勇者ってそういう英雄扱いなんですね。実際は粗末にされてましたけど」
655
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:20:09 ID:JoL8RVXg
A「何にせよ、そっちも変わりなさそうで何よりだ」
B「だなぁ」
勇者「お陰様で好調ですよ」
C「そりゃあいい」
D「おっと。ほれ、メニューだ」
勇者「ありがとうございます」
E(そういや、城内での食いっぷりも噂の的だったな)
A(それは言うのは野暮だろ?)
B(しかし、城内でも俺らと食った時と変わらずって凄い度胸だよな。敵地のど真ん中だぞ)
656
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:21:41 ID:JoL8RVXg
勇者(肉やらスープやら、結構普通めのお店だなぁ)
勇者(ここは一つ人気メニューで様子を見るか)
勇者「すみません」
「はい、お決まりですか?」
勇者「このカルトッフェル・ズッペとソーセージとパンのセット、それから……」
A「待て、一先ずそこまでにしておくんだ」
B「だなぁ」
勇者「え?」
E「まあまあ、足りなければまた追加すればいいじゃないか」
勇者「は、はあ……」
657
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:23:04 ID:JoL8RVXg
カルトッフェル・ズッペ 40G
ジャガイモのポタージュで、ニンジンや玉ねぎなども入っている。
物凄くドロリとしていて、一見シチューをも思わせる。
ソーセージとパンのセット 35G
長いソーセージ二本とパンのセット。パンは斜めに輪切りカット。
ソーセージは焼きで僅かに皮が弾けている。脂の匂いが食欲をそそる。
勇者(ほほう、カルトッフェル・ズッペ。かなり重たいスープだ)
勇者(なるほど、確かに他の料理を注文しなくて正解だったかも)
勇者(まずは一口)スス
勇者(うんうんいけるいける。これにパンを浸せば)パク
勇者(いいぞぉ、カルトッフェル・ズッペパン。これだけで十分満足できる)モグモグ
勇者(なんならカルトッフェル・ズッペとパンのセットメニューがほしいぐらいだ)
658
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:25:10 ID:JoL8RVXg
勇者(とは言え、このソーセージも馬鹿にはできないはずだ)ガブッ
勇者(うーんっ吹き出る脂が旨い! やはり、ソーセージはこうでないと!)モグモグ
勇者(こうなってくるとパンをスープで食べるか、ソーセージで食べるか迷ってくるな)
勇者(よーし、ここはスープに浸してソーセージを乗っけて)ガブリ
勇者(ほほう、これは、うん美味しいぞ。むしろ、なんでソーセージをスープに入れなかったんだろ)モグモグ
勇者(けど困ったな。明らかにパン不足。単体でも美味しいけども、どれもパンと合わせる事で二役も三役もこなすポテンシャルなのに)パク
勇者(パン単体は……ちょっと割高だな。これは巧妙な罠だっ恐るべし城下町)
659
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:26:30 ID:JoL8RVXg
パン 45G
セットに比べれば随分と多いパン。そして高い。
A(いった)
B(いきやがった)
C(こいつ躊躇なく単品のパン追加した)
D(美味いんだけど単品だと高いんだよなぁここのパン)
E(こいつ、やっぱやるなぁ)
660
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:28:09 ID:JoL8RVXg
勇者「ああ、美味しかった……」
A「本当に相変わらずそうで何よりだ」
E「暇な時は連絡してくれよ。今度は飲もうぜ」
勇者「そうですね……次、城下町に来る時は予め連絡しておきます」
B「暇でなくても連絡してこいよ」
C「まあ、そのうち俺らも何か注文するかもしれないしなぁ」
勇者「はは、その時は遠慮なくご相談下さい」
D「はは、営業スマイル」
E「やっぱ商人だわお前」
661
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 21:32:23 ID:JoL8RVXg
>>632
やっぱそうなのかぁそうだよなぁ
スレの下がる勢いのなさとか世紀末近そうで恐怖
>>635
凄い言われ様だ!
でも日本人の旅行記的なものだと、飲んでもあんまり変わりなかったって話もあるし量とかはマチマチなんだろうね
というか、瞑想として大麻を使っている事考えたら、言うほどラリラリするほどの量じゃない、と予想
>>637
なろうでも書き始めた身としては耳が痛い
いやそれでもSSも書くからっ
遅筆だけど書き溜めたら投下するからっ
662
:
明日役立たない無駄知識
:2017/07/12(水) 21:35:23 ID:JoL8RVXg
マンゴー
言わずと知れたフルーツ。日本で流通するマンゴーの殆どはアップルマンゴーという品種。
国内産だと沖縄や宮崎鹿児島と南に集中している。が生産量5位は北海道だとか。カオス。
とか思ったけども、北海道はコンピューター制御の特殊なハウスで栽培されてるそうな。北海道産マンゴーテラハイテク。
あんら、あんまらとも言い、仏教では聖なる樹、ヒンドゥー教では万物を支配する神「プラジャーパティ」の化身とされている。
そういう事もあって、非常に価値ある供物としても扱われてきたそうな。
アステカのカカオみたいな。あそこまで高価ではないだろうけども。
フリゲの『夜明けの口笛吹き』では回復アイテムとして登場。中々考えさせられる。
カルトッフェル・ズッペ
ジャイガモのスープ。めっちゃドロっとしたポタージュだったり、澄んでいたり様々らしい。
あんまり語源とか調べていないけども、カルトッフェルがジャガイモでズッペがスープという意味、だと思う。
塩茹でジャガイモをザルツ・カルトッフェル、皮付き茹でジャガイモはペル・カルトッフェルと言うんだとか。
ドイツと言ったらソーセージとかよくあるけども、土地柄食糧難を抱えていて保存の効く食品が発達してきた。
その一つがソーセージであり、マリネやザワークラフトなんかも主戦力らしい。
で、南米からもたらされたジャガイモは、その辺りに大きな貢献をしたそうな。
ジャガイモは痩せた土地で育つから相当重宝されたに違いない。主食がジャガイモって事ではないけども。
とは言え、ジャガイモのフルコース料理が出来るまではお嫁にいけない、なんて言葉もあるらしい。それ程根付いた作物なんだろう。
Wiki調べだから本当かは分からないが、ジャガイモ料理が得意な嫁が欲しければドイツ人女性というわけかぁ。
663
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/12(水) 23:26:50 ID:rD5GmrJY
なぜか暑いときって熱いものか辛いもの食いたくなるよね
664
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/13(木) 00:34:31 ID:Lv2Akr/Q
乙
腹減った
665
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/13(木) 07:17:58 ID:OhkAI0YM
だから、なんで毎回腹ペコなタイミングでテロるんだよぉ!(逆ギレ)
ソーセージとジャガイモの組み合わせって至高だよね
666
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/16(日) 16:53:56 ID:cPPOwVOY
ブラジャーパンティーの化身マンコーとか卑猥すぎるだろう
667
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/16(日) 20:16:47 ID:Vmu46l4g
>>666
言ってみろ、どこへ誤爆した?
668
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/17(月) 01:38:53 ID:rde4fEwU
マンゴーの説明見て書きたくなったんだろうw
夜中に読むもんじゃ無いね…お腹すいた
おつー!
669
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/07/17(月) 02:09:25 ID:Uok65f3U
https://is.gd/DR5blP
670
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/09/08(金) 22:13:18 ID:45GLqi7I
和平のとこで終わりと思ってたけど続きがあって凄く嬉しい!
こういう食べ物系の話ってホント好き
671
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/09/08(金) 23:47:25 ID:Rel5FDQ2
サキュバスさんのおっぱいプリンください…乙
672
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/10/13(金) 21:53:18 ID:HQKSJ4/o
まだかな
673
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/12/09(土) 19:02:13 ID:yT5UoeUs
まだかな
674
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2017/12/27(水) 23:29:12 ID:wnl380VQ
まだかな?
675
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/02/18(日) 07:58:15 ID:.At5r98M
まだかな!
676
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/04/30(月) 22:57:19 ID:Yy00L0WU
まだ?
677
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/05/07(月) 23:39:39 ID:nKkspI0k
保守age
678
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:30:39 ID:mIKzqKX6
魔王領南部 山地
勇者「ほー……ヴォルケイノ火山も見事なものだがこっちも中々だなぁ」
勇者「都会の華やかさなんてないけども、これはこれでいいものだ」
勇者「お、市場があるな」
勇者「この辺り、酪農しているのか? 野菜や乳製品の種類が豊富だな」
勇者「しかし、特別な品種のものは見当たらないとなると、商売にはあまり使えないなぁ」
679
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:32:34 ID:mIKzqKX6
勇者「お? 色んな燻製を扱ってる……工房があるのかな」
勇者「ベーコンに……ペッパーにガーリック? へえ、面白いものを作ってるなぁ」
勇者「ハーブ入りソーセージ! つい食べたくなってしまう魔力を持ったソーセージだ」
勇者「スモークチキン? 鶏肉の燻製? これもペッパーにガーリックの味付けしたものがあるのか」
勇者「これはよさそうだけど……」
勇者「ベーコンはkgで300Gかあ。中々微妙な金額設定だ。安い部類だろうけども卸しで扱うには……」
勇者「そもそもこれ利益出てるのかな? 飼育から加工まで持ってるからこその強み? ちょっと割ってはいるのは
難しそうだ」
勇者「スモークチキンも買う分にはいいけども、商品としてはきつそうだ」
680
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:34:19 ID:mIKzqKX6
勇者「うーん……今回はとりあえず見送るかなぁ」
勇者「一番買いそうなのは板前さんのところだけども、あの人もう自分でベーコン作りしているしなぁ」
勇者「多分、自分で作るほうが早い安いってなりそう」
勇者「まあ帰りにでも買って食べるか」
勇者「さあて。ここの特産も見たことだし、そろそろ昼食とするか」
勇者「このあたり、美味しい麺類があると聞いたし楽しみだ」
681
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:36:55 ID:mIKzqKX6
勇者「……」キョロキョロ
勇者「……?」キョロキョロ
勇者「うーん? なんかこじゃれた……バーのような店があるだけだ」
勇者「あ、そうか……この辺りってあまり行商のルートじゃないんだっけ」
勇者「飽くまでここでの販売と周辺へ直接出荷、みたいな形って話か」
勇者「だとしたら他所向けの店ってそんなに充実してなくて」
勇者「ある程度、近隣を生業とする商人向けの一風変わったもの、あたり?」
勇者「このこじゃれ具合、ちょっと不安だが他に選択肢もなし、か」
682
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:40:38 ID:mIKzqKX6
カララン
勇者「ほう」
勇者(内装は綺麗だ。実にいい。が、ある意味不安度はアップだ)
勇者(メニューを開くのも緊張してくる……)パラ
勇者(この辺りはほうとうが有名と聞くが……)
勇者(ぐわー。ゴールデンほうとう! やっぱり妙なこだわりを持ってる店だ)
勇者(しかもほうとうだけで150G! これはお高い)
勇者(しかしそれでも店で一番安いのか。これは覚悟を決めるしかない)
683
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:42:23 ID:mIKzqKX6
ゴールデンほうとう 150G
量は普通のほうとう。
幅広の麺に大根や白菜、カボチャやシメジなどが入っている。
汁は少し濁っている程度。あわびの肝が入っているらしい。
勇者(うーん……ほうとう。初めてだがそこまで特別製に見えない)
勇者(汁はしょっぱめ。あまり好きな味ではないな)スス
勇者(麺は……すごいもちもち、て聞いていた分よく分からないな)チュル
勇者(芯が残っているわけじゃないけども妙な歯ごたえ)モグモグ
勇者(先入観が邪魔してあまり美味しいとは思えない)チュル
勇者(あわび効果。よく分からず。舌が肥えていたら分かるのかなぁ)モグモグ
684
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:45:27 ID:mIKzqKX6
勇者(む、このカボチャ)パク
勇者(甘くて美味しい! ちょっと煮た物を入れているのかな?)モグモグ
勇者(このほうとうの中でアイドルのような存在だ。このカボチャの味、大好きだ)パク
勇者(しかし、やはり高級感はよく分からないな)モグモグ
勇者(他の具もちゃんとしているんだけど……しているんだけどなぁ)パク
勇者(完全に判断を誤ったなぁ)モグモグ
勇者(初ほうとう)チュル
勇者(もっと素朴で普通のを食べたかったのに。どうしてこうなってしまったんだ)モグモグ
685
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:46:57 ID:mIKzqKX6
勇者「ふう……腹には貯まったがなんだろう」
勇者「ぽっかり腹に穴が開いてしまったような気分だ」
勇者「……」
勇者「牧場プリンでも買って宿に行くか」
勇者「今回は色々と噛み合わなかったなぁ……」
勇者「まあ、そんな時もあるか」
686
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:50:53 ID:mIKzqKX6
魔王領 勇者宅
勇者「ふう……雑貨品の片付けはこんなものか」
勇者「借家とは言え初めての家。もっと華やかかな、なんて思ったけども殆ど倉庫状態だ」
勇者「うーん、拠点あるのはいいけども、ここまで行くともう倉庫にベッドを置いた方がいいかもしれない」
勇者「さあて、一息入れるとしますか」
勇者「お腹もぐーの介だ。ここはガッツリといくとするか」ガチャ
勇者「あれ? 随分と明かりのない家が多いな」
勇者「しまった……もうこんな夜更けだったか。完全にやらかしたぞ……」
687
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:52:30 ID:mIKzqKX6
勇者「ここまでくるとやっているのは酒場ぐらいなものか」
勇者「こんな時間の酒場、入るのは度胸がいるな。とてもじゃないが無理だ」
勇者「買出し、明るい内にやっておいて正解だ。あやうく腹と背中がくっつくところじゃないか」
勇者「……それほど買い込んだわけじゃないけども。なにがあるんだったかな」
勇者「買ってきたのは野菜と牛乳か。あとはあの町で買ったベーコンにチーズ、スモークチキンか」
勇者「なにか備蓄はないかな。あったとしても乾物ぐらいか?」
勇者「お、パスタがある……これはまだいけそうだ」
勇者「よし。簡単に作ってしまうか」
688
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:54:06 ID:mIKzqKX6
勇者「ピーマンと玉ネギを小鍋で軽く炒めて」ジュー
勇者「細かく切ったベーコンを投入」ジュアァァ
勇者「いい感じになったら水を入れて半分に折ったパスタとコンソメを投入」グツグツ
勇者「水が少なくなったら牛乳を入れて軽く煮詰めて」クツクツ
勇者「本来チーズを入れるらしいが、皿に盛る事を考えるともったいないな」
勇者「麺を少し皿に移してチーズを乗せて更に麺と熱々スープをかけて黒胡椒を振れば」
スープパスタ
高めのチーズとちゃんとした燻製ベーコンを使った無駄に豪華なスープパスタ。
でも他の具は適当。
689
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:56:15 ID:mIKzqKX6
勇者「いただきます」
勇者「……」パク
勇者「はふはふ」
勇者「うんうん、このチーズのコクが絡むと途端に本格的なスープパスタになる感じ」ゴクン
勇者「とってもいい。ミルクスープパスタ、八割はチーズでできているんじゃないか?」パク
勇者「このベーコンも……スープパスタに入れるとあまり味が分からないな」モグモグ
勇者「折角の燻製の感じもあまり味わえない」パク
勇者「ちょっと軽率だったかな?」モグモグ
勇者「けど厚切りベーコン入りスープパスタ。攻撃力高し」パク
勇者「会心の一撃間違いなしだ」モグモグ
690
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/06(月) 22:58:21 ID:mIKzqKX6
勇者「もっと具の種類も多くした方が食べ応えがあるんだろうけども」パク
勇者「自分にはこれだけでもご馳走だ」モグモグ
勇者「ふう……麺を半分にしていると、食べやすいけれどもちょっと物足りなく感じるなぁ」
勇者「だけどもちゃんと食べるには食べたんだ」
勇者「少し休んだら片付けの続きを始めるかな」
勇者「しばらくしたらまた長期間空けるんだ」
勇者「今のうちにやっておかないと注文かかった時に絶対に後悔する」
691
:
雑談
:2018/08/06(月) 23:01:53 ID:mIKzqKX6
気づけば前回から一年経ってた!驚き!
ネタがあったらちょこちょこ書く、程度なのでもしかしたら続くかも
ぐらいに考えていてもらえたらと思います
ドラゴン料理で一つネタがあるので最低もう一回はやるつもりですが
さてどう話を持っていこうものか
692
:
明日役立たない無駄知識
:2018/08/06(月) 23:05:00 ID:mIKzqKX6
ほうとう
山梨県を中心とした地域で作られる郷土料理。
山間部で米作りが難しい地域は小麦を作る為、よく食べられていたらしい。
季節の野菜と一緒にもちもちの幅広の麺を味噌で煮込む事で有名だが、厳密な決まりはないとか。
麺ではなくすいとんであったり、細い麺であったりする地域もあるそうな。
語源に関してはそれらしいものが奈良時代にはあったようで、武田信玄の宝刀由来は後付けだとかなんだとか
。
スープパスタ
コッヘル一つでできるなら小鍋でも簡単にできるやろ?
て事で某キャン方式(を超手抜きした)スープパスタ。
ベーコンの脂、黒胡椒、チーズ。
これがミルクスープパスタの味の九割を占めると言っても過言ではない。(感じ方には個人差が云々)
693
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/07(火) 01:14:34 ID:c2RDGpww
乙!
この勇者なら蕎麦鵜丼までたどり着けるに違いない
694
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/07(火) 01:33:51 ID:Sp18URoY
うまそー!
695
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/07(火) 23:16:43 ID:ffVO1Rp6
1年待ってた甲斐があったよ
696
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/08(水) 00:10:47 ID:oznKaw26
きてた
乙
697
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/11(土) 04:58:02 ID:sSdk9.IA
更新乙乙
698
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/11(土) 20:11:18 ID:WVITdRjw
きたか
699
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/20(月) 01:42:12 ID:ldItKQU6
おお更新乙!
このss何回読んだかわからないくらい好き
700
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/08/24(金) 14:31:41 ID:smHqL8Fc
自分はベーコンを先に投入して脂搾り出してそれで野菜炒めて食うな
701
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/11/27(火) 11:04:26 ID:FzfTJ4/w
読むだけで腹減るわ
702
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:38:05 ID:oCqhwEHc
勇者「魔王領に来る時は死にかけたけども……」
勇者「真冬の前ならと思って来てみたけども。この山、既に一面雪景色じゃないか」
勇者「確かこの奥にも町があったはずだけど……」
勇者「お、あれかな」
勇者「しかし今がこれだと、この辺りって完全に雪に閉ざされるんだろうなぁ、きっと」
勇者「生活するのも一苦労だ」
703
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:38:58 ID:oCqhwEHc
勇者「思ったとおりというか、小さな町、いや村に近いか」
勇者「あまり物産とか期待はできないんだろうな」
勇者「まあ、行った先で仕入れだけのわけもなし」
勇者「なにか売れそうな物のリサーチを中心にしていくかな」
町人「おや、旅人さんかい? こんな時期に珍しい。北に行くのかい?」
勇者「いえ、特にそういうわけでは」
町人「竜探しでもないのにこんなところへ? 物好きだねぇ」
勇者「竜?」
704
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:40:03 ID:oCqhwEHc
町人「この先の、っていっても山脈自体別なんだけど、険しい山があってね」
町人「そこで言葉を理解する竜がいるって伝説さ」
町人「その血が不老不死ってもんだから時折、それを目当てにやってくる人達がいるんだよ」
勇者「へえ……実際にいるんですかね?」
町人「さあてね。そんな話は聞かないし、その山まで行って帰りに立ち寄る人も少ないからなぁ」
勇者「それって……」
町人「まあそんな場所だし、強靭な魔物も多く生息しているだろうからそういう事だと思うよ」
勇者「恐ろしい話ですね」
705
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:41:02 ID:oCqhwEHc
勇者「あ、私は商いもしているのですが、この町で卸されたら嬉しい物とかありますか?」
町人「へえ、あんた商人かい。でもこれといってなぁ」
町人「やっぱ一番は火系の魔石とかかな。この雪もまだまだ序の口だからね」
町人「兎角暖の確保が最優先される町さ」
勇者「魔石ですか……中々難しいですね」
町人「だろうね。やってきた商人の人達皆そう言うよ」
町人「ま、普通に美味しい食べ物とかあれば皆買うと思うから、次来る事があったらよろしく頼むよ」
勇者「ええ、分かりました」
706
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:42:02 ID:oCqhwEHc
勇者「竜……竜? ドラゴンじゃないのか……」
勇者「しかしそういう伝説、というか伝承ってあるもんなんだな。物語の中だけだと思ってた」
勇者「とは言え強い魔物が多い地域。とてもじゃないが行く気にはなれないな」
勇者「卸す商品もこれといってめぼしい当てもないしなぁ。今回はあまり収穫がなさそうだな」
勇者「うーん、昼食は我慢してここで取ればよかったかなぁ」
勇者「中途半端な時間に腹が空いてきてしまったぞ」
707
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:43:03 ID:oCqhwEHc
勇者「軽くなんか食べられる……喫茶店、なんてないよなぁ」
勇者「料理屋……よく分からない店があるが今は休業中か。昼と夜だけかな」
勇者「お、パン屋もあるのか。町の大きさの割りに充実しているじゃないか」
勇者「暖かい物を腹に入れたいが贅沢は言えないな。よし、ここらで小腹に詰めておこう」カランコロン
勇者(へえ、ケーキなんかも扱っているのか。パンと洋菓子店って感じか。この寒い中よくやるもんだ)
勇者(しかしこうなってくると迷うな)
勇者(惣菜パン、と思っていたけども菓子パンやケーキが魅力的に見えてくる)
708
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:44:08 ID:oCqhwEHc
勇者(とは言え流石に小さな町の普通のお店。メニューは定番どころって感じだな)
勇者(うん? なんだこれ? シュトレン? フルーツのパウンドケーキかなにかか?)
勇者(この辺りではそう呼ぶのかな)
勇者(うーん、ちょっと気になるな)
勇者(よし、物の試しにシュトレンなるものに挑戦してみようかな)
シュトレン(二切れ) 65G
カマボコ状のパンで様々なフルーツが入っている。
中央にはまん丸の黄色系の具が見える。
表面は砂糖で真っ白にコーティングされていて、見るからに甘そうだ。
ココア 5G
パンなどを購入した人には5Gというありがたいサービス。
普通のココアとビターココアがあり、ビターを選択。
勇者(勢いで買ってしまったけども、二切れで65Gは高いな)
709
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:45:01 ID:oCqhwEHc
勇者(真ん中の丸いのはなんだろう。栗かな? 珍しい)パク
勇者「むぐうっ」
勇者(なんだこれ、めちゃくちゃ甘いぞ)モグモグ
勇者(表面の白いの、粉砂糖をまぶしているのかと思ったけども)ゴクン
勇者(まぶすなんてとんでもない。砂糖のメッキじゃないか)パク
勇者(甘い。恐ろしく甘い)モグモグ
勇者(今、雪深くなる山で自分の血糖値はマグマのように滾っているぞ!)ゴクン
710
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:46:01 ID:oCqhwEHc
勇者(しかしビターココアの選択は、天下分け目の戦いを収めた軍師の名采配だ)ズズ
勇者(甘い物にとってもよく合うしこの暖かさ、身に沁みるなぁ)
勇者(それにしても栗かと思ったけどもなんか餡っぽいな)パク
勇者(まあ栗でなくても珍しいか)モグモグ
勇者(一体なにで出来ているんだろう)ゴクン
勇者(しかし、これはついつい食べ続けてしまう美味しさだ)パク
勇者(間違いなく、食べすぎはダイレクトに体にきそうだけども)モグモグ
711
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:47:02 ID:oCqhwEHc
勇者「ふう、中々の満足感だ」
勇者「シュトレン……侮っていた」
勇者「むしろ都市部辺りなら女性に人気が出そうだな」
勇者「思いがけない収穫だ」
勇者「遠くの伝承より身近な食べ物だな」
勇者「少し調べておくか。これ、城下町で企画できたら美味しそうだ」
712
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:48:01 ID:oCqhwEHc
魔王領城下町
勇者「ふう……すっかりクリスマスシーズンだ」
勇者「卸しも上々。シュトレンも町で大人気。まさかこんなに懐が暖かくなるだなんて」
勇者「装飾師さんへの納品も終わったし、今日はもうゆっくりしていこうかな」
勇者「しかし、この辺りはあまり通らなかったとは言え、だいぶ店が変わっている気がする」
勇者「意外と世知辛い時代なのかなぁ」
713
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:49:01 ID:oCqhwEHc
勇者「お、ここは大々的に開店を謳っているな。料理屋っぽいけど、どんなメニューなんだろ」
勇者「あれ、こっちは裏か。表、表……」
勇者「うわぁ、すごい行列だ」
勇者「うーんそれだけ注目の高い店なんだろうけども、この寒空の下これに並ぶのはなぁ」
勇者「どんな店かも分からないし、もうちょっと手堅く入れる店がいいけども……」
A「うん? お、久しぶりだな。早速聞きつけてきたのか?」
B「よう、久しぶりだな! って毎回言っている気がするな」
C「相変わらず息災なようでなによりだ」
勇者「どうも、お久しぶりです」
714
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:50:02 ID:oCqhwEHc
勇者「あれ? 今日は三人なんですか?」
A「二人は別の仕事でしばらくここを離れているんだよ」
勇者「なんだかいつも五人で行動していたので、ちょっと不思議な感じですね」
B「いや、配置とかは結構変わっているんだよ。ただ時間が合えば一緒に飯食ったりしてるのさ」
C「これから並ぶのか? 良かったら一緒にどうだ?」
勇者「え……それは流石に他の人達に悪い気が」
A「おーい皆! こいつ、噂の人間商人だけど入れてやってもいいかー?」
「え? その人が?」
「あ、だから魔力が違うのか」
「へええ、その人が。案外普通だな」
「おー初めて見た。いいよいいよ」
B「な?」
勇者「有り難いですが、ここまで噂されているとは……」
715
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:51:02 ID:oCqhwEHc
勇者「そういえばここ、何の店なんですか?」
A「知らずに来たのか……」
勇者「通りがかったら行列があったのでどうしようかと」
B「まあ、お前あたりは喜びそうなところだから安心しろよ」カランコロン
勇者(へえ、中は随分とオシャレだなぁ。けどこの人達がいるって事はそれなりの量も出るのだろうし)
勇者(これは僥倖かもしれないな)
C「スペシャルランチ四つで」
勇者「えっ」
A「まあまあ、絶対に気に入るから今日のところはまずそれを食べてみろって」
716
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:52:00 ID:oCqhwEHc
勇者(うーん、メニューすら開けなかった……こういうのはちょっと、あれだなぁ)
B「そういえばシュトレン、だっけ。あんな菓子、一体どこから見つけてきたんだ?」
勇者「北の山のほうですね」
C「あんなところにも足を運んでいるのか。なんだ? 探し物でもあるのか?」
勇者「え?」
A「なんだ、ドラゴン伝説の話は関係ないのか。それであそこまで足を運ぶなんて相変わらず物好きだな」
勇者「それ、どちらも町の人にも言われましたね。不死の竜ですよね」
B「不死? この辺りじゃ北の山に棲むドラゴンは人の言葉を理解し、全てを知るモノという云われがあるんだ」
C「探し物や未来予知、そうした願いを叶えてくれるって伝説だな」
勇者「へえ、町では血が不老不死の力を持つって話でしたが、別の形で伝わっているんですね」
717
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:53:01 ID:oCqhwEHc
勇者「実際にいるんですか?」
A「さあなぁ。遥か過去に何度か魔王様の命で捜索隊が編成されたそうだが、一度も成功しなかったって話だ」
C「強い魔物もいるらしいしな」
B「お、来たな。話もそのくらいにして食おうじゃねえか」
クリームシチュー 90G
真っ白なシチュー。
ごろごろとしたジャガイモやニンジン、ブロッコリーが見え中々ボリューミー。
大きな鶏肉が入っているのもポイントが高い。
パンとサラダがついていて、パンはおかわり自由。
勇者(ほほう……これは中々)
718
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:54:02 ID:oCqhwEHc
勇者(この大きな具の頼もしさ。贅沢じゃないか)パク
勇者(うんうん、このまろやかな甘さ。実にシチューって感じだ)モグモグ
勇者(パンも香ばしくって実によく合う。非常にいいぞ)パク
勇者(これ、パンじゃなくて白米とかで食べられないのかな。絶対にご飯でも美味しいはずだ)モグモグ
勇者(鶏肉のこの大きさにしてこの柔らかさ。結構いい肉使っているんじゃないか?)パク
勇者(ふー、体が暖まってきた。この時期にこのシチューは反則的美味さだ)モグモグ
719
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:55:06 ID:oCqhwEHc
勇者(サラダも)ムシャ
勇者(うん、シャキシャキしててとっても新鮮だ)モグモグ
勇者(少し控え目の味のドレッシングも丁度いい)ムシャ
勇者(勝手に注文された時はどうかと思ったが、この店を知るメニューとしては素晴らしい)モグモグ
勇者(いやはや、止められない美味しさだ)パク
勇者(シチュー専門店なのかな。だとしてもこのレベルは中々お目にかかれない)モグモグ
勇者(是非とも繁盛してほしいものだ)パク
A(相変わらずもくもくと食うなこいつ)
B(あ、やっぱりパンをおかわりしたな)
C(おかわり二回に100G)
720
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:56:01 ID:oCqhwEHc
勇者「ふうー満腹だ」
A「パン三回おかわりにシチューもおかわり……」
B「久々に化け物っぷりを見た気がする」
C「まあお気に召したようでなによりだ」
勇者「こちらこそありがとうございました」
A「じゃあ俺らは午後の仕事があるからな」
721
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:57:00 ID:oCqhwEHc
春先 山の中
勇者「……」
勇者「参ったなぁ。少し軽率だったなこりゃ」
勇者「完全に遭難だ。しかもとても危険地帯……」
勇者「うーん、この辺りはどうなんだろ。転移魔法を準備する余裕はあるかな」
茂み「」ガサ
勇者(逃げよう!)ダッ
勇者(それにしても困ったぞ、これ助からないんじゃないか?)ダダダ
722
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 20:58:10 ID:oCqhwEHc
数時間前
勇者「多分、あの山が例のドラゴンがいる場所かな」
勇者「流石に深くまでは行けないけども、周辺の地図だけでも作っておけば」
勇者「目指す人の拠点作りに役立つかもしれない」
勇者「過去の捜索隊も昔なんだし、変わっている部分も多いだろうし」
勇者「情報に価値はあるはずだ」
勇者「まあ、この辺りの生息する薬草類の調査も兼ねてだし、小遣いになればいいかな」
723
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:00:01 ID:oCqhwEHc
勇者「意外と開けたところが多い。この辺りはまだまだ安全なのかな」
勇者「山も緩やかでどちらかといえば林って感じだ」
勇者「しかしその分、見通しがいいからちょっと怖いな」
勇者「んー……それらしい大きさの魔物の足跡も痕跡もない」
勇者「もうちょっと奥までいけそうだな」
勇者「? ここら辺は折れた枝が多いな。嵐でもあったのかな」
724
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:01:00 ID:oCqhwEHc
勇者「……へえ、結構薬草が豊富だな。これは珍しいのもあるかもしれないな」
「ルルル」
勇者「!」バッガササ
勇者(何の声だ。どこにいる? 見つかった?)
「ルルルルル」
勇者(木の上?!)
ホッピングドラゴン「ルルルルルル!」
勇者「ま、まずい!」ダッ
725
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:02:31 ID:oCqhwEHc
勇者(は、初めて見た! 木から木へと飛び移り移動するホッピングドラゴン!)
勇者(ここらの落ちてる枝は彼らが当たって折れたものだったのか!)
ザシッ ザシッ ザシッ
勇者(せ、迫ってくる音が後頭部の方から聞こえる恐怖!)
勇者(背に腹は……火炎の魔石!)ゴァァァァ
ホッピングドラゴン「ロロロオオオ!!」
勇者(よし、今のうちにって斜面がっ!)
726
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:03:17 ID:oCqhwEHc
……
勇者「うーん、上に戻ろうにもどんどん離れていくぞ……」
勇者「とにかく帰還する事だけを考えなくちゃ」
勇者「うん……? この香り……」
勇者「無毒化したヴェノムドラゴンの毒か……あんなのまでいるとは」
勇者「流れ毒で死にそうだ」グニ
横たわったヴェノムドラゴン「」
勇者「うわあ踏んだぁ!」
勇者「って死んでるか……」ハアア
727
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:04:16 ID:oCqhwEHc
勇者「? すごい損傷だな。なにと争っていたんだろ」
勇者「よく見たら他に死体があるな……」
勇者「しかしヴェノムドラゴンの毒も効かない魔物……遭遇したら終わりだ」
勇者「うーん、風もあるし不確かだけども、残り香のない方へ進むしかないかな」
勇者「……」
勇者(あそこ洞窟がありそうだな)
勇者(怖いが、もしも争っていたものがいないのなら、今この辺りは比較的安全地帯)
勇者(転移魔法の準備をしようかな)
728
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:05:07 ID:oCqhwEHc
巨大な金色のドラゴン「……」
勇者「」
勇者(終わった……多分、これがヴェノムドラゴンをなぎ払った奴だ)
金ドラ「……人間とは珍しい」
勇者「喋っ!?」
金ドラ「ほう? 私を目当てに来たのではないのか。更に珍しき事よ」
勇者「え? あ、あー……」
勇者(割と絶体絶命の状態だったからすっかり存在を忘れていたなぁ)
729
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:06:00 ID:oCqhwEHc
金ドラ「なにをしにここまで来た」
勇者「えっと、薬草採取と地図作り、ですかね」
金ドラ「ふん、我が身を欲した者達の為、か」
勇者「ええまあ、地図は稼ぎになればいいな、と」
金ドラ「カカカ、正直な奴だ」
金ドラ「だが、止めておけ。仮に成功したとて逆恨みを受けよう」
勇者「自分も生きているのが不思議なぐらいですからね」
金ドラ「いや、もうじきこの命も終わる」
勇者「えっ」
730
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:07:02 ID:oCqhwEHc
金ドラ「見たであろう。毒竜の死体の山を」
金ドラ「あれだけの毒、我が身を以ってしても耐えれるものではない」
勇者「……不老不死の血を持つのに、ですか?」
金ドラ「そんなもの世迷い事よ。確かに人の身ならば永き命も得られようが、永久などありはせん」
金ドラ「それに私も年だ。元より老いたる血にどれほどの効果があるか……」
勇者(うーん、毒食み草はあるけども、解毒には向かないしなぁ)
勇者(ヴェノムドラゴンの毒に効くものって他にないよなぁ。そもそも人間だとほぼ即死だし)
731
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:07:59 ID:oCqhwEHc
金ドラ「……この洞窟は山の南西に通じている。ここを抜ければ生きても帰れよう」
金ドラ「次はその強運、望めはせんぞ」
勇者「あ、はい……」
勇者「……」
勇者「あ、そうだ。どうせだし、とある薬草を食べてみる気はありませんか?」
金ドラ「既に全身を侵された今、効きなどせんだろう……」
金ドラ「しかし折角だ。戯れに道案内の礼として受け取ろう」
732
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:09:01 ID:oCqhwEHc
……
金ドラ「……これほど力が漲るとは。己の身で解毒もできた」
金ドラ「心から礼を言うぞ、人間よ」
勇者「いえ、助かってなによりです」
金ドラ「しかし……竜治草など本当によかったのか? 千年以上生きてきた私とて二度しか目にした事がないぞ」
勇者「どの道取り扱いが難しいですからね」
金ドラ「このような老いぼれ如きに、かたじけない」
金ドラ「私からも礼がしたい。可能なものならば血でもなんでも望みを叶えよう」
733
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:10:02 ID:oCqhwEHc
勇者(血……確かに話を聞く限り、竜治草クラスの薬にもなりそうだけども)
勇者(これも周囲の目って意味の取り扱いが大変そうだしなぁ)
勇者(かといって知りたい事も別にないし)
勇者(うーん、困ったな。メニューが決められない時よりも困ったぞ)
勇者(……)
勇者(……そういえば、腹が減ったな)
734
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:11:03 ID:oCqhwEHc
勇者「あの、尾とか再生するものなんですか?」
金ドラ「おお、今のこの身ならば長さにもよるが一月とかかるまい」
金ドラ「竜鱗か? 尾のものなどとは随分と謙虚な事を言う」
勇者「あ、いえ、尾の先のほうの肉を頂けないかと思いまして」
金ドラ「む?」
735
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:12:19 ID:oCqhwEHc
勇者(流石に血抜き不十分はきついけども、時間的に仕方がない)
勇者(水でしっかりと洗い軽く茹でる)
勇者(お湯を捨て肉を洗い、臭みとりの薬草と共にもう一度煮込む)
勇者(これも捨てて、調味料の薬草と一緒に煮込む)
勇者(プレッシャーポット、とか言う超高温化できるらしい鍋を買ってみたけども)
勇者(本来長時間煮込むところを短縮できるこの鍋、いい買い物をした)
勇者(煮込んだら氷魔法の魔石で冷まし、脂を取り除いて再び火にかけて暖め、塩コショウで味を調えたら)
ドラゴンのテールスープ
尾の先とは言え尾肉を贅沢に使った一品。
ただし下拵え不十分で、その真価は発揮されないだろう。
736
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:13:03 ID:oCqhwEHc
勇者(うんうん、香りはよし)パク
勇者(肉、硬し。流石に時間が足らなさ過ぎたか)モグモグ
勇者(少し血生臭いけども、食べられない事はないな)ズズ
勇者(スープもちょっと血生臭いけども、それなりに美味しいな)パク
勇者(これ、ちゃんと料理するだけで絶品だろうなぁ)モグモグ
勇者(まあ、余ったお肉は魔法倉庫に入れてあるし、家でチャレンジするのも悪くない)パク
金ドラ「よもや我が肉を食べたいと言われようとは夢にも思わなかったぞ……」
737
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:14:03 ID:oCqhwEHc
勇者「ご馳走様でした」
金ドラ「少々複雑な気持ちではあるが、喜んでもらえたのならば結構だ」
金ドラ「それにこの程度の事ならばいつでも引き受けようぞ」
勇者「え? また頂いてもいいんですか?」
金ドラ「あの薬草のお陰だ。数百年は若返ったようなものよ。この程度、安いものだ」
金ドラ「しかし……謙虚かと思ったが遠慮を知らぬな」
738
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 21:15:01 ID:oCqhwEHc
金ドラ「道中、気をつけるのだぞ」
勇者「いえ、出た先で魔物がいても困りますので、ここから転移魔法で帰ります」
金ドラ「ほう、使えるのか。優秀ではないか」
勇者「能力的に誇れるのはこれぐらいなんですけどもね」
金ドラ「面白い人間だ。またいつでも来るがいい」
勇者「ちょっと大変な場所ですがいずれまた」
勇者(場所的においそれと来れないし、町がないから転移魔法の標も作れないからなぁ)
739
:
明日役立たない雑学1
:2018/12/22(土) 21:17:51 ID:oCqhwEHc
シュトレン
ドイツの菓子パンでオランダでも食べられる。シュトレンはドイツ語で坑道を意味し、オランダではストルという。
最古の記録では14世紀のナウムブルクにて、当時の市況へのクリスマスの贈り物であるそうな。
トンネルのようなカマボコ状の形をしている。
レーズンやレモンピールやナッツが練りこまれており、焼いた後に表面を大量の粉砂糖でまぶす。
ドイツではクリスマスを待つ四週間のアドヴェント(待降節)という期間の間、少しずつスライスして食べる習慣がある。
日ごとにフルーツの風味がパンへ移り、美味しくなるシュトレンにクリスマスを待ち遠しくなるそうな。
ナッツを中心に練りこんだり、チーズを練りこんだりとバリエーションは幅広いらしい。
本編中の餡のようなのはマルチパンで、オランダではマルジパンシュトレンと呼ばれるこれが殆どらしい。
マルチパン
マジパンとも。でもシュトレンだとマルジパン。まあどっちでもいいか。
スペインのトレドやドイツのリューベック。シチリアなんかでも名物とされる洋菓子。
アーモンドと砂糖を挽いて練り合わせて作られる。
中世にアーモンドと砂糖が入手しやすくなった中東で開発されたり、飢饉の時に編み出されたりしたらしい。
詰め物の具に使ったり、フルーツ状や人形にかたどって売られたりしている。
祝い事で食べたり、特定の形のものを食べる、贈るなど様々な文化を持つ。
740
:
明日役立たない雑学2
:2018/12/22(土) 21:18:56 ID:oCqhwEHc
クリームシチュー
ホワイトシチューとも呼ばれる。
牛乳や生クリームをベースにカレー系材料で煮込むのがスタンダードか。
個人的にマッシュルームやブロッコリーカリフラワーが入っていると、ぐっと本格感が増す気がする。
牛乳を使ったシチューは世界中でもあるが、小麦粉などでとろみをつけたものを珍しいらしい。
外国だとシチュースープって感じだろうか。
名前自体日本での造語なので、クリームシチューは和製洋食として海外では紹介されるんだとか。
テールスープ
日本におけるテールスープは仙台牛タンと深い繋がりがあるそうで。
考案された牛タン焼きと共にテールスープが開発。
その後、牛タン定食として食べられるようになったりなんだり。
そういえば向こうで食べると必ずつくね、テールスープ。
741
:
キョウハココマデ
:2018/12/22(土) 21:20:36 ID:oCqhwEHc
ちょっと早いがメリーシングルベル
雑学が長くなって二つに分けることになるとは
まあいいかとココア項捨てたのに
742
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/22(土) 22:16:29 ID:p9ThzrJs
おかえりー
テールは、ストーブの上で時間かけて作るな
743
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/23(日) 02:16:33 ID:xXG2/A8Q
あなたの肉をくださいって言って、目の前で調理して食べるとか怖いw
勇者軽くサイコパスよな
744
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/26(水) 02:09:13 ID:Lde4bJKM
いつの間に再開してたのか
また常駐スレが増えた
745
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/12/28(金) 15:09:51 ID:joRimDMM
なんでいつも腹減ってるときにかぎって読んでしまうのか……
魔物に化け物と呼ばれ、竜を呆れさせる、相変わらずの勇者っぷりw
乙乙
746
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/01/12(土) 02:31:52 ID:uIl3zmOs
おおおお、更新乙
目の前で食べたのかwww
747
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2019/02/02(土) 20:31:18 ID:T8uURAsk
更新乙です
てか、血抜き不十分で食ったって事は無自覚に竜の血を肉ごと食ってるから寿命が伸びたり肉体強化されてね……?
748
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/07/25(土) 18:14:16 ID:tvXyt0Ls
更新じゃねえのかよ、と言われそうだけど
ねんがんの タカベをてにいれたぞ!
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up9056.jpg
ていうかもう少し小さい魚だと思ってた
しかも予約がいっぱいで三枚に卸してもらえなかった
749
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/07/25(土) 18:19:30 ID:tvXyt0Ls
三枚に卸して
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up9057.jpg
普通に塩焼き
http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up10/source/up9058.jpg
味そのものは淡白だが、やはりというべきか皮近くの脂が非常に美味
中落部分は……どうなんだろう
いっそムニエルとか、塩焼き以外のほうがよかった気がしなくもない
750
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/07/26(日) 02:19:30 ID:Xmp/XV6.
飯テロパワーは健在か…
751
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/07/31(金) 08:26:23 ID:NKZFaiBw
美味そうね
752
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2020/08/01(土) 16:09:20 ID:K.9XuzuA
生きてたのか
>>1
753
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2022/11/27(日) 09:15:13 ID:kylNF/Sc
>>1
おかえり!前作?続き?のSS好きでご飯食べながらよく読んでたよ!w
754
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2024/09/18(水) 14:49:05 ID:f83WKUCo
まだ来ることを祈って
755
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2024/11/07(木) 06:48:16 ID:0X6IcL0g
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196
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