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提督「終戦、か…」木曾「…」

60以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/16(木) 22:56:31 ID:BoHEjPU2
今日はここまで おやすみなさい

61以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/16(木) 22:56:40 ID:hDpCWikM

おやすみ

62以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/17(金) 01:36:04 ID:pltp0p1o
追い付いた乙

63以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/17(金) 12:00:02 ID:m67O2m9.
ドキドキ

64以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/18(土) 12:48:43 ID:fafXpp36
続きはまだかい?

651:2015/04/18(土) 13:22:11 ID:DxOxrf2M
ごめんなさい昨夜寝落ちしてしまったので今夜投下します

66:2015/04/19(日) 01:44:15 ID:p9wQ1xvw
日付変わってしまいましたが投下

67:2015/04/19(日) 01:44:56 ID:p9wQ1xvw

同日

呉・YAMATOミュージアム 1階


ワイワイ ザワザワ

元提督「…」

カッ…カッ…

スッ

???「ようこそお越しくださいました。YAMATOミュージアムへようこそ」

???「…さっきからずっと大和の模型を見つめていらっしゃいますね?」

元提督「…ええ。大和はやっぱり魅力的だなと思って」

68以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:45:53 ID:p9wQ1xvw

???「差支えなければ、お客様がそう感じられた理由をお聞かせ願えませんか?」

元提督「…大日本帝國海軍の超弩級戦艦・大和。かつての日本が威信をかけて建造しただけのことはあると思うんです」

元提督「当時としても規格外の大口径砲を搭載…欧米でさえ出来なかった武装が、大和では実現しました」

元提督「…しかしそれでいて、流れるような美さを大和は備えています」

元提督「大艦巨砲主義の残滓と切り捨てるにしては、あまりにもこの艦は美しすぎると思うんです」

???「…」

???「日米開戦前、日立造船の工員たちが大和の設計技師に講義を受けたことがあるそうです」

元提督「ほお?」

???「ある工員が聞きました。『なぜこの艦は今までの他の軍艦よりも美しいんですか』と」

???「技師は言いました。『この艦は日本を象徴する使命を背負っている。ならばただ強いだけではなく、まるでこの国の四季のような繊細な美しさをも与えてやりたいと思った』」

???「『だから自分はこの艦の最大の艦上構造物である艦橋・アンテナマスト・大煙突の位置と角度を何度も何度も綿密に計算しなおした』」

???「『それこそ、敵がこの艦を照準器に捉えても、思わず引き金を引くのをためらわせてしまうほどの美しさを表現するために…』」

元提督「…」

69以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:46:35 ID:p9wQ1xvw

???「パナマを渡れる船体でありながら、備えるは世界最大の46センチ三連装砲。武骨な直角を覆い隠した、流れるようなフォルム」

???「剛にして柔、大胆にして繊細…この一見相反するもののハーモニーこそが、大和を美しく見せるゆえんだと思います」

???「大和型戦艦の魅力は、先ほどお客様がおっしゃったように、その武装だけではなく、鋼鉄の身体に繊細さを備え持つ意外性にあるのです」

元提督「…そうだったんですね。だから大和は美しいんですね」

元提督「まるであなたのように」

???「まぁ…お上手ですね。とても懐かしいです」クスッ

元提督「…」フッ

大和「…お久しぶりです……提督!来てくださったんですね…!」

70以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:47:15 ID:p9wQ1xvw

元提督「バレてたか」スッ

大和「いくら色眼鏡とマスクで隠しても、その姿形と声色は隠せませんから」フフ

元提督「まずは元気そうで何よりだよ」

大和「提督こそ!」

元提督「資料を見たときは驚いたよ。まさかここで働いてたとはな。うってつけじゃないか!」

大和「ええ。同僚の皆さまにも、とても良くしてもらっています」

元提督「ここは去年あたりから展示の説明の詳細化や誤りの修正がされて内容が充実したって話は聞いてたけど、展示の内容そのものが学芸員として入ってきたんなら何の不思議もないな」

元提督「よかったよ…うん、うまくやっていけてるようでよかった…」シミジミ

71以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:47:45 ID:p9wQ1xvw

大和「提督もご息災のようで何よりです」

大和「今日は私に会いに来てくださったんですか?」

元提督「ああ、そうだ」

元提督「…実は、話を聞いてもらいたいことがあってな」

大和「…?」

大和「…何か、お悩みなんですね?」

元提督「…ああ。聞いてくれるか?」

大和「分かりました。とりあえず、上の展望テラスに行きましょうか…」

72以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:49:23 ID:p9wQ1xvw

その頃

カァー カァー 

天龍「今日はいい日だったな…」テクテク

天龍「まさか提督に会えるなんて…想像もしなかったぜ」

天龍「もう完全に俺のことなんか忘れて過ごしてるのかと思ったのにさ」

天龍「…」

天龍「嬉しい…」ギュッ

天龍「…」

天龍「…歩き疲れたな」テクテク

天龍「晩飯の買い物も済んだし、ちょっと休んでくか」ガチャ

イラッシャイマセー オスキナオセキニドウゾー

天龍「…あ」

天龍「このファミレス、こないだ木曾と入ったとこだったな…」

73以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:50:09 ID:p9wQ1xvw

天龍「も、もしかたら!」キョロキョロ

木曾「…」ポツン 

天龍(やっぱり!)

木曾「!」

天龍「!」

木曾「て、天龍…」ガタッ

天龍「木曾…」

木曾「…こないだは、ごめん」

木曾「俺、お前のことすんげぇ傷つけちまった」

木曾「…お前は俺なんかにはもう会いたくなかっただろうけどさ、せめて一言謝りたくて…」

天龍「木曾、…」

天龍「もういいよ、もういいって…」

74以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:50:57 ID:p9wQ1xvw

木曾「悪かったよ…ごめん…ごめん…なさい…」ウルッ

天龍「お、おい…泣くなよ…俺だって悪かったし、もう気にしちゃいねえし…」

木曾「…」クスン

天龍「ぁあもう!」

天龍「と、とにかくここから出るぞ!」

天龍「ちょっと俺んちに来い!」ギュッ スタスタ

木曾「あ、ああ…」ヨロ

75以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:51:30 ID:p9wQ1xvw

元提督「ここから見える夕陽の海も綺麗だな」

大和「ええ…かつて私達の栄華を映していたこの海の夕陽も、ここの自慢です」

元提督「…鎮守府の解散から、もう一年が経ったんだよな」

大和「…そうですね。もう一年ですか…」

元提督「これで、足枷はなくなったんだ。なくなったんだが…」

大和「足枷?」

元提督「…提督だった者は、艦娘だった者と、鎮守府解散以降一年間は接触してはならない」

元提督「そんな規則があったんだ」

大和「なるほど…艦娘には、過去を断ち切って自立する時間がなくてはならない、ということだったんですね」

元提督「その通りだ…大和は勘がいいな」

元提督「そして、その規則はつい先日失効した」

76以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:52:12 ID:p9wQ1xvw

大和「それで私に会いに来てくださったんですか?」

元提督「…大和に話を聞いてもらいたくて、来たんだ」

大和「…」

大和「…もしかして、木曾さんのことですか?」

元提督「!?」

大和「…やはり、そういうことだったんですね」

大和「やっと歯車が噛み合いだした…そんな気がします」フフフ

元提督「…」

77以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:52:47 ID:p9wQ1xvw

天龍アパート

天龍「ここが俺の部屋だ。まあ入れよ」

天龍「…落ち着いたか?」

木曾「ああ…ほんと悪ぃな…」

天龍「んなことねえから、ほらほら」ガチャ

木曾「…お邪魔、するぜ」

天龍「おう。遠慮すんな」バタン

木曾「…なんだ。俺んちからそんなに離れてる訳でもなかったんだな」

天龍「まあ警察寮もあるんだけど俺はこっちのがいいんだ」

78以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:53:34 ID:p9wQ1xvw

木曾「…すげぇセンスを感じる部屋だな」

天龍「んん?」

木曾「家具とかクロスとかがピンク系に統一されてて、なんか可愛くていい感じだ」

天龍「そ、そっか?」テレテレ

木曾「…それに比べたら俺の部屋は殺風景だよな」

天龍「そうなのか?こんど行ってみたいな」

木曾「そりゃいいな、遊びに来てくれよ」

木曾「にしても、食器とか小物とかも選び抜いてそうな感じだな」

天龍「おお、分かるか?高くはねえけど気に入ったものを選んだんだぜ」

木曾「…」

木曾(…こいつ、生活様式がもう完全にオンナノコとして生活してるっぽいな…)

木曾(なんか、羨ましいな)

79以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:54:21 ID:p9wQ1xvw

木曾「へえ、サボテン育ててんだ」

天龍「かわいいだろ。こないだ龍田が遊びに来たときくれたんだ」

木曾「かわいいな…ん、これは」

木曾「…天龍(鋼鉄)のプラモか」

天龍「や、やっぱ昔の自分も大切にしなきゃなって思ってさ。今は人間だけど、船だった自分の原点として…さ」

木曾「ふぅん…」ジッ

木曾「これ、お前が自分で作った?」

天龍「お、ぉぅ…」

木曾「ずいぶん大雑把な作りだな…何だよこれ、砲塔がズレてんじゃん」

木曾「昔のお前ってこんなアンシンメトリーだったっけか?しかも色塗ったとこに思いっきり指紋残してるし」

天龍「うるせー細けえことは苦手なんだよ!」

木曾「何が昔の自分を大切にするだよ…」ツンツン

80以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:55:15 ID:p9wQ1xvw

天龍「お前も自分の作ってみたらどうだ?」

木曾「ん〜…」

木曾「俺さ、実はあのそろばん型の煙突、あれそんなに好きじゃなかったんだよな…」

天龍「どうしてよ」

木曾「なんか…うん、女ぽっく見えなくね?」

天龍「そっか???」

木曾「あ…だから今の俺の外見も可愛げがねえのかな…」シュン

天龍「あー!もう!いちいち勝手に落ち込んでんじゃねえよ!」ナデナデ

木曾「ん…」

天龍(こいつ、前はこんなにすぐしょげる奴じゃなかったはずなんだけどな…)

天龍(…ま、でもある意味これが普通の娘として生まれ変わったってことなのかもな…)

木曾「…ありがとな、天龍」

天龍「うん…荷物はその辺に適当に置いといてくれよ」

木曾「ああ」ドサ

81以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:55:45 ID:p9wQ1xvw

木曾「…ふわふわなカーペットだな」

天龍「うん、もふもふなの選んだ」

木曾「もふもふ」モフモフ

天龍「だろ」

木曾「色がホワイトって結構勇気いるよな」

天龍「なんかこぼしたら泣くからな」

木曾「気を付ける」

天龍「まあ座れよ」

木曾「うん」ストン

天龍「なんか飲むか?」

木曾「いいのか?あったかいのがいいな」

天龍「じゃあ紅茶な」

木曾「すまん」

天龍「リプ●ンだけどな」コポポ

82以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:56:40 ID:p9wQ1xvw

木曾「構わねえよ」

天龍「金剛さんのには敵わねえだろうけどよ」

木曾「本場のと比べちゃいけねえよ」

天龍「できたぜ」コトン

木曾「おう…いただきます」クピ

木曾「あ〜…染みる」フゥ

天龍「おいまさかさっそくこぼしたのかよ」

木曾「ちげえって…なんつーか…その、俺の心に染みたんだよ」フゥ

天龍「…さりげなく恥ずかしいこと言うなお前」

木曾「自覚はある。…でも他の艦娘と一緒にいるの久しぶりだからなんか落ち着いてさ」

天龍「…そっか。遠慮しねえでゆっくりしていけよ」クピ

木曾「ありがとな」カチャ

天龍「…」

木曾「…」

83以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:57:39 ID:p9wQ1xvw

木曾「…こないだは本当にごめんな」

天龍「またかよ、もういいんだよ」

木曾「うん…その、本当は色々話したいこともあったのにさ」

天龍「…それは俺もあったな」

木曾「そっか」

天龍「ああ」

木曾「…」

天龍「…」

木曾「そういやさ」

天龍「うん」

木曾「…なんで警官になったんだ?」

天龍「おお」

84以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:58:49 ID:p9wQ1xvw

天龍「最初は龍田といっしょに保育士目指そうかと思ったんだけどさ」

天龍「妹と同じ仕事ってのもなんか安直すぎるかなっていう気もしたからな」

天龍「だから悪と対峙する警官になったって感じかな」

木曾「分かる。俺も姉貴達といっしょに何かするのは安直って気がしたんだ」

天龍「それだよそれ」

天龍「それに、龍田が子どもたちを育む仕事してえんなら、俺はそいつらを守る仕事してえなってのもあったしな」

木曾「立派だな…駆逐艦をまとめてただけはあるな」

天龍「そ、そうか?」テレテレ

木曾「で、結局警官には向いてた感じか?」

天龍「まあうまくやってるぜ。ただ、武装が警棒と拳銃だけってのはいまだに心もとねえな」

天龍「実際に使ったことはねえからまあいいんだろうけど」

木曾「いくらなんでも人を相手に艦砲やら魚雷やらはねえだろ」

天龍「まあそれもそうだな」

85以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 01:59:29 ID:p9wQ1xvw

天龍「で、お前は大学で何を勉強してんだよ」

木曾「勉強っつってもいろいろ本読んでるくらいかな…哲学とかの」

天龍「なんでまた」

木曾「…人間って何なんだろうなって考えたらさ、やっぱ答えは本とか文学にしかないだろうなって思ったんだよ」

天龍「深いな」

木曾「艦娘の俺らが、この世界でどう生きてけばいいのか…」

木曾「答えはまだ見つけられちゃいねえけどさ」

天龍「…」

86以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:00:05 ID:p9wQ1xvw

天龍「あのな、木曾。もう俺らは艦娘じゃない。普通の人間の娘だ」

天龍「もう深海棲艦との戦役は終わった。俺たちはやりたいように生きていいんだ」

木曾「…やりたいように、か」

木曾「………………………俺、何がしたいんだろうな」

天龍「木曾…」

木曾「…鎮守府にいたときは、艦隊の仲間がいた」

木曾「立ち向かう敵もはっきりしてた。そりゃこっちもいつ沈められるかわからない不安もあったけどさ…」

木曾「けど、艦隊のみんなで一緒に頑張って、支え合って敵を沈めてきた」

木曾「そして、頼りになる提督もいた」

天龍「!!!」

木曾「俺は提督の指揮命令に全てを捧げて、戦場の硝煙の中を駆け巡ってきたんだ」

天龍「っ…」

木曾「戦いの中に、俺の居場所があったんだ。そして、帰るべき鎮守府も」

木曾「そこには、必ず待っててくれる人がいたんだ」

87以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:01:43 ID:p9wQ1xvw

天龍「木曾っ…!」

天龍「気持ちは分かる。だがもう戦役は終わったんだ。兵器としての俺らの役割も終わったんだ」

天龍「だから、今は兵器じゃなく、普通の娘として…」

木曾「俺らの本質は兵器だよ!他の何物でも有りえねえっ!」

天龍「…!」

木曾「俺は大日本帝國海軍・球磨型軽巡洋艦五番艦の木曾だっ!」

木曾「お前だって、俺と同じ帝海の軽巡だったじゃねえか…!忘れたとは言わせねえぜ…」

天龍「…」

木曾「…南方のマニラで、俺は一度死んだ」

木曾「情けない話だよ。空襲で大破着底…米軍がマニラ市街に来るや、守備隊も俺のことを完全に放棄していった。艦籍も剥奪された」

木曾「…そして、骸はただ波に洗われて朽ちていくだけの日々が積もった」

天龍「…」

木曾「…艦娘として生まれ変われたときは本当にうれしかったよ」

88以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:02:34 ID:p9wQ1xvw

木曾「今度こそはかつて守れなかった本土を守り、姉妹たちや他の艦たちと一緒に戦い抜いて、勝利を掴もうって頑張った」

木曾「いや、今度こそは戦いの最後まで必要とされる自分でありたいって思ってた」

木曾「そしてさ、はじめて誰かに対して愛情ってようなもんを持つことも出来たさ」

天龍「…」

木曾「だけど…その勝利を掴んで戦いが終わっちまった今…兵器として生まれてきた俺の存在意義は、いったいどこにいっちまったんだろう…」

木曾「そして生身のままこの社会に放り出されて」

木曾「どうしていいのか分かんなくなっちまって…」

天龍「…」

89以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:04:04 ID:p9wQ1xvw

木曾「普通の女の子の真似事もしてはいるさ…」

木曾「でも滑稽じゃねえか…出自が鋼鉄の兵器だった俺が、今さら何を一人前に人間の娘みてえに振るまえるってんだよ!」

木曾「どうあがこうが俺らは兵器だ!艦娘だ!ただの娘になんかなれっこない!!」

木曾「俺は…捨てられたんだよ…一度はマニラで…もう一度は…あの解散式の後で…」

木曾「艦娘じゃなくなった俺は、提督に捨てられたんだっ!!!」

木曾「こんな…こんな切ない思いするぐらいだったら…」

木曾「やっぱり俺なんか、あの南海の浅瀬でずっと眠っていた方が良かったんだっ!!!」

天龍「…甘えたこと言ってんじゃねえよ!!バカ野郎っ!!」バン!

90以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:05:25 ID:p9wQ1xvw

木曾「…」グスッ

天龍「………なぁ、木曾」

天龍「…ただの兵器が、そんな風に心を痛めると思うか?」

木曾「…!」

天龍「兵器が、愛してくれって叫ぶか?」

天龍「兵器が、涙を流すか?」

天龍「…兵器が、こんなに暖かいか?」ギュウ

木曾「〜!」フルフル

91以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:06:11 ID:p9wQ1xvw

天龍「…」ヨシヨシ

木曾「…」

天龍「…お前、意外に甘えん坊なんだな」

木曾「…うるせー…」

木曾「…甘えたいのに、甘えやすい姉貴がいなかったからな」スン

天龍「なるほどな…」

92以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:07:31 ID:p9wQ1xvw

天龍「…俺もさ、」

天龍「お前ほど思いつめてたわけじゃないけど、やっぱ秘書艦として提督に認められたかったって思いはずっとあったんだ」

天龍「それが、解体されて普通の娘になった今でも、もっとずっと強く俺の中にくすぶってたんだ」

天龍「…まさかって思ったけどさ、でも確かにそうだったんだ」

天龍「…お前が気づかせてくれたのかも。俺の中にあった本当の想いってやつを」

木曾「!!…」

天龍「………俺も、やっぱり提督のそばにいたい」

天龍「軍人としてはそこそこだったけどさ、やっぱり人としてまっすぐ俺と向かい合ってくれた大切な奴なんだ」

天龍「なあ、木曾」

天龍「……一緒に、提督を取り戻そうぜ」

93以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/19(日) 02:12:57 ID:p9wQ1xvw
今日はここまで

間違えて鋼材と弾薬をずっと逆にしていたことに気づいた くやしす
続きは明後日夜 おやすみなさい

94以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/20(月) 03:39:18 ID:nht9r3qI
いいね

95以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/20(月) 22:51:13 ID:EcZaMyWg
おお続き来てた

96以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 19:17:48 ID:g/3icJQc
待ってる

971:2015/04/21(火) 23:23:10 ID:Rm2nw3As
お待たせしました

981:2015/04/21(火) 23:25:32 ID:Rm2nw3As

大和「はたから見ても、提督と秘書艦の木曾さんは本当に強い絆に結ばれていた戦友同志だったと思います」

大和「いいえ、その絆は戦友以上の意味を持っていたんでしょう」

大和「…発足当時から共に鎮守府を盛り立ててきたお二人ですからね」

大和「それがケッコンしたというのは何の不思議もなかったと思いますよ。それでいて、戦役中はお二人ともよく自重されていたと思います」

大和「ですから、この一年と言う時間は木曾さんにとってどんな時間だったのか…」

元提督「…」

大和「…提督にとって、ケッコンとはどんな意味があったんですか?」

元提督「…」

大和「…能力の限界解放、だけでは説明になりませんよね?」

元提督「…大和。お前は正直、どう感じてた?」

元提督「戦艦連中を…いや、超弩級戦艦のお前と武蔵を差し置いて、軽巡を最後まで秘書艦に据え置いてたんだからな」

元提督「旧海軍の象徴だった戦艦大和からすれば、内心面白くないところはあったんじゃないかなって…思うんだが」

99以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:26:14 ID:Rm2nw3As

大和「…提督」

大和「私たちがいたあの艦隊は、紛れもなく提督、貴方の艦隊だったのです」

大和「提督はその艦隊の秘書艦として、木曾さんを選ばれ、最後までその任に留め置かれました」

大和「それだけで十分だったのです。私達艦娘にとっては、それだけで十分なメッセージだったのです」

大和「提督が最も思い入れをしておられるのは、早くから提督にお仕えしていた、球磨型軽巡の五番艦だと」

大和「もちろん、私に限らず、艦娘たちの提督に対する想いは、ただの上官というだけでは計り知れないものがありました」

大和「それだけに提督は私達艦娘に良くしてくださった方なのですから…」

提督「大和…」

大和「…ですが、少なくとも私は、再び体を与えられ、国防のために戦えることだけで十分に幸福でした」

大和「おそらく他の艦娘たちも同じ思いだったでしょう」

元提督「…ありがとう」

大和「艦娘は強く…そして弱い存在です」

大和「兵器としての強さと、少女の脆さを併せ持つ存在、それが私達でした」

大和「私たちは過去と現在に愛されているからこそ、今ここにこうして乙女の肉体に魂を得て、存在することができているのです」

100以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:26:49 ID:Rm2nw3As

大和「愛されているからこそ、兵器としての存在を超えて今もここに在るのです」

大和「だから、愛されなければ私達の心は簡単に冷え切ってしまう。深海の底のように…」

大和「提督」

元提督「…?」

大和「あなたの秘書艦だった娘への思いを、ここで聞かせてください」

元提督「…」

元提督「…俺は…木曾が好きだ」

元提督「強く気高く、そして心優しいあの娘が…今も、好きだ」

大和「…」

大和「えっ?」

元提督「えっ?」

大和「最初が聞こえませんでした。もう一度お願いします」シレッ

元提督「…」

101以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:27:57 ID:Rm2nw3As

元提督「…俺は、木曾が好きだ」

大和「…ぁ?」

元提督「俺は木曾が好きだ」

大和「Pardon me?」

元提督「俺は木曾が好きだっ」

大和「ワンモアセッ!!!!」

元提督「俺は!木曾がっ!好きだっ!」

ザワザワ ヒソヒソ

元提督「…///」

大和「だったらっ!!!」クワッ

元提督「」ビクッ

大和「…だったら何にも構うことはないでしょう。今すぐ駆けつけてそれを木曾さんにお伝えすべきです」

102以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:29:09 ID:Rm2nw3As

大和「木曾さんは提督と一緒にいるときこそ本当に輝いてましたし、その逆もまた然りではなかったですか?」

元提督「大和にはそう見えてたのか?」

大和「私だけじゃなく、みんなにそう見えてたと思いますよ。そしてそれを受けて入れてました」

元提督「そうか…」

大和「…艦娘だった娘達は」

大和「乙女の身体に戸惑いと不安を感じながら戦い、傷つき、そして兵器として必要とされなくなった戦後を必死に生きています」

大和「…ケッコンしていた艦娘なら尚更でしょうね」

大和「そんな自分を本当に愛してくれる人が近くにいたら、秘書艦だった元艦娘として、それ以上の幸福はないでしょう」

大和「ケッコンとは、その本質以上に大きな意味を持つものだったのですから…」

大和「…私は、戦後であろうと提督はケッコンを継続すべきだと思います」ニコ

大和「決して、戦役が終わったからポイということは許されません」

大和「木曾さんの戦いは、恐らくまだ終わっていないんですから」

元提督「っ…!」

大和「…貴方は、それを知りながら知らんぷりできる方でもないでしょう?」クス

元提督「……………………!」

103以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:29:43 ID:Rm2nw3As

天龍アパート

天龍「今度こそ落ち着いたか?」ナデ

木曾「…落ち着いた」モフ

木曾「なんか俺本当にお前に迷惑かけっぱなしだよ。ごめんな」

天龍「んなことねえよ。一人より二人のが嬉しいに決まってんだろ」

天龍「まあお前は末っ子で俺は姉だからな。こんなのはどんとこいだよ」ギュッ

木曾「…」ギュウ

天龍「…」

木曾「…」

天龍「…ところでさ、腹減らね?時間的に」

木曾「…俺も今それを言おうとしてた」

天龍「よし、今夜は天龍様が腕によりをかけて晩飯を作ってやるよ!」

木曾「…へぇ、作れんのかよ」

天龍「何だよ…お前の中で俺は料理下手な存在なのかよ」

木曾「ち、違ぇよ。自分で料理できるんだなーってさ」

104以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:30:24 ID:Rm2nw3As

木曾「…尊敬したんだよ」

天龍「…そっか」

天龍「ん?じゃお前普段飯はどうしてんの?」

木曾「ファミレスかバイト先のコンビニ弁当で済ませてる」

天龍「…」

天龍「あのな、木曾」

天龍「昔の俺らみたいに重油ばっか食ってたらいいって訳じゃないんだからさ」

木曾「お、おう」

天龍「もっと食にはこだわろうぜ。せめて自炊できるくらいにはさ」

木曾「俺カレーしか作れないもん」

天龍「もんじゃねーだろ」ツン

木曾「にゅ」フニ

天龍「ならこれから少しづつレパートリーを増やしてけよ」

木曾「おう…頑張る…」

天龍「もっと気合い入れろよな。女子力上げると思ってさ」

105以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:31:10 ID:Rm2nw3As

木曾「そ、そうだよな…!」

天龍「てなわけで今夜はステーキ丼でも作るぜ」

木曾「豪勢だな」

天龍「そりゃ久々の来客だからよ。それも戦友のな」

木曾「ありがてーな」

天龍「まあキッチンに来いよ。少し手伝ってくれ」スッ

木曾「ああ…調理道具が揃ってるキッチンなんて新鮮だな」

天龍「おいおい…まあいっか。まずはエプロンつけてと」シュルッ

天龍「ステーキ丼つってもそんな難しいメニューじゃねえよ。極めてシンプルだ」

天龍「まずは下準備だ」

天龍「レタス洗って、千切ってくれ」

木曾「おお」パリパリ

天龍「終わったらボウルに入れて、水道の水を細ーく出す」チョロロ…

木曾「水につけるのか」

天龍「こうすればシャキシャキ感が増すんだ」

106以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:32:31 ID:Rm2nw3As

木曾「なるほどな」

天龍「次はステーキ肉の登場だ」

木曾「おおおおお」

天龍「しかもサーロインだぞ」

木曾「おいなんか悪いな」

天龍「月給もらってるし、報奨金もほとんど手ぇつけてないからな」

木曾「まあ俺も報奨金はほぼ手つかずだけどさ」

天龍「とにかく遠慮すんな。多目に買っといて良かった」

天龍「俺肉焼いとくから、どんぶりにポットのお湯入れて温めといてくれ」

木曾「そこまでしてんのか、すげぇな…これが女子力ってやつか…」

天龍「がさつな自分にサヨナラするのが女子力アップの秘訣だってさ」

木曾「誰の名言だよ」

天龍「龍田」ジュー

木曾「いいこと言うな」

天龍「そろそろいいな。この下にワインあるから出してくれね?」

107以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:33:09 ID:Rm2nw3As

木曾「これか?」

天龍「おう。んで、これを肉にかけて…」ジュワアアアアアア

木曾「うわっ!フライパンが被弾したぞおい!」

天龍「何テンパってんだよ。別に危なくないから大丈夫だって」

天龍「ちなみにこれフランベっていうんだ」ジュウウウ

木曾「…あ、消えたな」

天龍「よし、焼きは終わり。すこし肉を寝かす」パチン

天龍「丼にジャーのご飯よそってくれ」

木曾「ああ」ヨソヨソ

天龍「もういいかな、肉を切ろう」スッス

木曾「…包丁の扱い上手いな」

天龍「何事も訓練だぜ」

木曾「おう…」

木曾(…こいつ、解体後も自分を磨いてたんだな)

木曾(…尊敬するぜ)

108以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:33:39 ID:Rm2nw3As

天龍「んで、肉とさっきのレタスをご飯に乗せて」ホイ

天龍「肉にはタレ、レタスにはドレッシングかけたら完成だ」トポポ

木曾「呆気ないな」

天龍「早いだろ」

木曾「けどめっちゃ美味そう」

天龍「ふふーん」

天龍「この多いのお前のな」スッ

木曾「え、お前そんだけでいいのかよ」

天龍「これが俺の普通だけど」

木曾「えっ」

天龍「えっ」

木曾「お前そんだけしか食わねえのかよ」

天龍「お、おう」

木曾「…」

天龍「…」

109以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:34:43 ID:Rm2nw3As

木曾「燃費いいなお前」

天龍「お前こそ燃費悪すぎだろ」

天龍「それでどうしてそんなスタイルを維持できてんのか気になるな」

木曾「お前だって十分スレンダーじゃん」

天龍「まあデブで艦娘なんてやってらなかったからな」

木曾「それもそうだよな」

天龍「ま、とにかくあったかいうちに食べようぜ。ほれ箸」

木曾「サンキュ」

木曾天「「いただきます」」

木曾天「「…」」モキュモキュ

木曾「すごく美味ぇ…」

天龍「ああ、美味えな」

木曾「…俺も頑張って女子力上げるわ」

天龍「おう、協力するぜ」

110以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:36:01 ID:Rm2nw3As

木曾「…」モキュモキュ

天龍「…」モキュモキュ

天龍「デザートにアイスがあるぜ」

木曾「あ、俺取ってくる」ガタ

天龍「すまん。俺M●Wがいいな、お前も好きなの取ってくれ」

木曾「なら俺このスー●ーカップのチョコミントもらうぜ」

天龍「助かる。俺それ一つ食ったけどどうも合わなくてさ」

木曾「そっか?これ美味いのに」

天龍「…なんか、歯磨き粉食ってるみたいじゃね?」

木曾「面白ぇ例えだな…」

木曾「あ〜美味かった…ごちそうさん…」

天龍「お粗末さん」

111以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:36:38 ID:Rm2nw3As

木曾「ところでさ」

天龍「うん」

木曾「そっちの提督ってどんな感じの人だった?」

天龍「…学徒動員で招集された提督だよ」

天龍「来たばかりの頃は巡洋艦と駆逐艦の違いとか、もっと酷えと面舵と取り舵の違いとかも知らなかったな」

木曾「…海軍はそんな右も左も分からねえ学生まで動員してたのかよ」

天龍「先の大戦の時に比べりゃまだいいほうだろ」

天龍「今度の戦役は、大戦末期みてえに国民に竹槍と火縄銃持たせて突撃させるような事態にならなくてよかったぜ」

木曾「…それマジ話?」

天龍「本土決戦はその予定だったらしい」

木曾「有りえねえ…百姓一揆かよ…」

天龍「まあとにかく俺らの提督は○○大に通ってたんだけど、卒業間際に学徒兵として招集されて配属になったんだ」

木曾「○○大なら俺の先輩じゃねえか」

天龍「お前○○大だったのかよ」

木曾「うん」

112以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:38:32 ID:Rm2nw3As

天龍「まあ、不器用だけど優しい提督だったよ」

天龍「あんま自分からはあれこれ言わなかったけど、特に幼い駆逐艦連中のことを何だかんだで気にしてたな」

天龍「遠征・哨戒のシフトも、まず艦娘の希望を聞いてから組んでくれてたし」

天龍「それとか、利根さんが過去の悪夢でうなされて泣いてたときは添い寝してあげてたな」

木曾「…そりゃ優しいな」

木曾「考えてみりゃ、俺らがバリバリ出撃できてたのも、お前らんとこの艦隊が足元を固めててくれたからだもんな」

木曾「…甲斐性なし野郎だなんて言って悪かったよ。すごく反省してる」

天龍「おうおう」

天龍「んで、お前の提督はどんな人なんだよ」

木曾「俺の提督は海大出だから戦闘指揮は洗練されてたよ」

木曾「ただまあそうはいっても場数はまだまだだったから、俺もサポートできることはどんどんしてやってた」

天龍「まあ俺ら大正生まれだもんな」

木曾「そういやそうだよな」ハハハ

木曾「まぁそうやって一緒に艦隊を拡充させていったんだ」

113以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:39:26 ID:Rm2nw3As

木曾「俺は最初期からいた軽巡だったし、すぐに秘書艦に任命されてさ」

木曾「…だけど、重巡や戦艦、空母が配属されてくると、ああ、そろそろ俺も秘書艦の座を明け渡さなきゃいけなくなるのかなって不安だったんだ」

木曾「そうなると、提督のそばに居れなくなっちゃうしさ」

木曾「不安っていやぁ…提督は他の艦娘たちにも分け隔てなく優しくてさ。当然いいことなんだけどちょっとこっちも淋しいなって思うこともあるくらいでさ」

木曾「…俺、悪い艦娘だったな。秘書艦だったくせにさ」

天龍「そんなの大したことじゃねえよ。俺だってそうだった。けどそれは自然な感情だと思うぜ」

木曾「そっか…」

木曾「…でも提督は重要な作戦には必ず俺を出してくれた。軽巡の俺に戦艦や空母を率いさせてくれたんだ」

木曾「秘書艦もずっと続けさせてくれた」

木曾「…そして、俺は指輪をもらうことができたんだ」

天龍「…」

天龍「お前ももう自分で分かってんだろ」

木曾「?」

天龍「お前の提督が本気でお前のことを兵器としか思ってなかったら、重巡以上が充実してきた時点でお前はもう秘書艦としては用済みだったはずだ」

114以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:40:02 ID:Rm2nw3As

天龍「それが、秘書艦っつう大事な座にお前をずっと据え置かせてくれたっていうのは、どう考えてもお前っつう存在がお前の提督にとって特別なものだったって以外に有りえねえ」

木曾「…」

天龍「それが分かってるから、お前苦しいんだろ?そこに未練…っつったら言葉は悪いか、なんつーか思いが残ってさ」

木曾「…」コクン

天龍「……………いいこと教えてやるよ」

天龍「今日、提督が俺に教えてくれたんだけどさ」

木曾「…??」

天龍「なんつーか…うん、俺らと提督は織姫と彦星だったわけさ」

木曾「…?????」

木曾「悪ぃ、お前の例えが無駄に詩的なのは分かるがその内容が全然分からねえ」

天龍「おぅふ」

天龍「要するに終戦後1年間は元提督は元艦娘に会っちゃいけないっていう決まりがあったそうなんだよ」

木曾「え…」

天龍「艦娘の自立促進のためにな」

木曾「…じゃ、じゃあ…」

115以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:40:53 ID:Rm2nw3As

天龍「だからお前は指輪を回収されたのさ」

天龍「つ、ま、り」

天龍「それが決まりである以上、一度はお前の提督はお前を突き放さざるを得なかったってこと!」

木曾「そ…そうだったのか…」

木曾「…そうだったのか!」パァア

木曾「…ってか」

木曾「お前知ってたんならどうしてもっと早く教えてくれなかったんだよ!」ユサユサユサユサ

天龍「じ、実は俺も今日提督と再会したばっかりなんだよ!そこでオフレコだったけどって教えてもらったんだ!」ガックンガックン

木曾「そ、そうなのか…」

木曾「…でも、俺の提督は今日会いに来てくれなかった…」シュン

天龍「そりゃ忙しいんだろうよ。俺の提督は無職だから来れたんだろうけどさ」

木曾「…」

天龍「…」

木曾「…なんかごめん」

天龍「…気にすんな」

116以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:42:17 ID:Rm2nw3As

木曾「でも嬉しいな…そんな決まりがあったんなら、あの時の提督の態度も理解できるしよ…」

天龍「だろ?俺も今日それを聞いたとき、お前らのことが真っ先に頭に浮かんだんだ」

木曾「…」

木曾「でもなぁ…もし今の提督が、普通の娘を彼女にしてよろしくやってたら…どうしよう…」イジイジ

天龍「あぁもう…今からそんなマイナス思考すんじゃねえよ」

天龍「お前の提督は着任前から彼女はいたのかよ」

木曾「いや、その方面は不器用だから彼女出来たことないって言ってた」

天龍「ならそんなこと分かんないじゃんか」

木曾「そっか…?」

天龍「…あ」

天龍「そういや、提督が、『海軍省が木曾の居場所を探してる』って言ってたな」

木曾「え?俺の居場所を?」

天龍「これひょっとすると…お前の提督がお前を探してるってことじゃねえの?」

木曾「!!」パァア

天龍(なにこいつかわいい)

117以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:42:52 ID:Rm2nw3As

天龍「まあ、ともあれこれからお前とお前の提督は再会できる可能性があるってことだよ」

木曾「うん…そうだよな。もう絶望しなくていいんだよな…」

天龍「…辛かったよな。よく一人で頑張ったよな」ナデナデ

木曾「うん…」

天龍「さ、そうと決まれば再会の日の為に女を磨くぞ。いいな?」

木曾「お、おう!!」

118以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:43:33 ID:Rm2nw3As

ピリリッ ピリリッ

元提督「…っとすまん。電源を切ら…」

元提督「……仕事の電話だ。大和…」

大和「どうぞ、お構いなく」スッ

元提督「…どうした?」

元提督「…!?」

元提督「何だと!?それで?」

大和「!?」ビクッ

元提督「…ああ…見失ったのか」

元提督「…そうか。分かった、すぐ戻る」ピッ

大和「…」

元提督「…大和。俺は」

元提督「木曾を、守っていくことにするよ。背中を押してくれて、ありがとう…!」

大和「ええ…ぜひそうなさってください!」

119以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:44:10 ID:Rm2nw3As

元提督「…」

元提督「…済まないな、大和」

大和「…」

大和「…それは、お話に付きあったことに対してですか?それとも…………?」

元提督「…」

大和「…周りを、見てください」

ガヤガヤ 

ヤマトッテスゴイネー オオキカッタンダナー デモヒゲキダッタンダヨナー ソレデモウツクシクテカッコイイヨ 

ザワザワ

元提督「…」

大和「…今もこうしてたくさんの人たちが、過去の鋼鉄だった私のことを知り、思いだし、また想いを馳せ、愛おしんでくれています」

大和「過去の兵器のことを記憶に留めようとするだけでも稀有なことなのに」

大和「こうしてミュージアムまで作られ、顕彰して頂いている…とても幸せなことです」

120以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:44:52 ID:Rm2nw3As

大和「だから私も、かつて私と運命を共にした司令長官や艦長、そして数多の乗組員の方々を忘れず、悲劇を伝え続けていきます」

大和「……私は、この国の艦に生まれてきて、本当によかったと思います」

大和「自国の軍艦におよそ戦いの勇敢さを表す意味とは程遠い美しい名前を付け…」

大和「その艦各々の個性を見出し、愛するという稀有な精神を持つ、この四季の国に…!」

元提督「…ありがとう、大和」

大和「ええ。…お急ぎの要件なんでしょう?また、おいで下さいね?」

元提督「ああ、また来るよ!」

元提督「じゃあ、元気でな!今は忙しいんだろうけど、武蔵にもよろしくな!」ダッ

大和「ええ、ありがとうございます!」ブンブン

大和「…」

ザパーン…チャプ…ザパーン… 

ザワザワ ワイワイ 

大和「私たちが本当に守りたかったのは、おそらくこんな平和だったんでしょうね…」フゥ…

121以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:45:41 ID:Rm2nw3As

天龍「飯も済んだし…風呂、入らねえ?」

木曾「風呂か…久しぶりだな」

天龍「えっ?お前もしかして普段風呂入ってねえの?」

木曾「ちっ、ちげえよ!いつもはシャワーで済ませてるって意味だよ!」

天龍「ああ、なるほどな」

天龍「…そんなに広い風呂じゃねえけどさ」

木曾「…なら、邪魔するぜ」

122以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:46:13 ID:Rm2nw3As

カポーン…チャプ…

木曾「…」

天龍「…」

天龍「…お前、スタイルいいな」

木曾「…お前こそ、胸でかいな」

天龍「そっか?」

木曾「十分羨ましいぜ」

天龍「…」

天龍「…!」キュピーン

天龍「なら揉んでやろうか?」ニヤニヤ

木曾「はぁあ!?」

天龍「揉んだら大きくなるって聞くぜ?」

木曾「誰情報だよ…」

天龍「龍田」

木曾「マジかよ」

123以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:46:54 ID:Rm2nw3As

木曾「…」

木曾「分かった。…なら、頼む」クルッ

天龍「ちょ、本気かよ」タジ

木曾「…やっぱ、俺とスキンシップすんの嫌?」

天龍「そ、そうじゃねえよ。そういやお前お触り歓迎派だったっけな…」

天龍「よ、よし、なら揉むぞ」ドキドキ

木曾「そ、そうこなくっちゃな。た、頼む」ドキドキ

天龍「…」モミ

木曾「んっ…」

天龍(ちょうど手に収まりそうな位の大きさ…やわらけえ…)モミモミ

木曾「…っ」

木曾「ふ…」

木曾「…ぅ」

木曾「…ぁ」パシャ…

124以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:47:27 ID:Rm2nw3As

天龍(…こいつ、いい香りすんな)スンスン モミモミ

木曾「…うっ…はぁ…」チャプ

天龍「…」

天龍「やべぇ…こっちまで変な気分になってきちまった…」パッ

木曾「ぇ…もう終わり…?」トロン

天龍「これ以上やったらこっちまで変になりそうだよ!今日はもう終わりだ!」

木曾「う、うん…」

木曾(天龍の手…気持ち良かったな…)

天龍(…これ、またせがまれるパターンかもな…)

天龍(ま、いいか…)

125以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:48:04 ID:Rm2nw3As

天龍「ふぅ」ツヤツヤ

木曾「風呂ありがとさん。さっぱりしたぜ」ツヤツヤ

天龍「おう。今日は泊まってくだろ?」

木曾「…いいのか?」

天龍「むしろ泊まってってくれよ。せっかく来てくれたのに寂しいし」

木曾「嬉しいな。じゃあお言葉に甘えるよ」

天龍「ベッドはシングルだから狭ぇけどまあ我慢してくれよ」

木曾「全然構わねえよ。なんなら俺ソファで寝ようか?」

天龍「客をソファなんかに寝かせられるかよ。そしたら俺がソファ行くぜ」

木曾「いいって…なら、一緒に寝ようぜ」

天龍「おう」

126以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:48:42 ID:Rm2nw3As

天龍の寝床

天龍「じゃ電気消すぞ」

木曾「おう」

パチン

木曾「…」

天龍「…」

天龍「お前明日は学校か?」

木曾「午前中だけな。バイトはない」

天龍「そっか」

天龍「…ところで、お前化粧してる?道具あんの?」

木曾「特にしてない。つーかやり方すら知らねえし持ってない…」

天龍「…まあ分からなくもねえな。お前何もしなくても肌綺麗だし、まつ毛も長いし。素材がいいんだよ」

木曾「お前だってそうじゃん」

天龍「お前は食生活を変えたらもっと綺麗になるよ」

127以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:49:29 ID:Rm2nw3As

木曾「…そっか?」

天龍「とはいえ女子がメイク道具の一つも持ってねえのはいただけねえな」

木曾「お、おう…」

天龍「バイト先とかで言われないか?」

木曾「いや特に」

天龍「いちお解体後研修のときにナチュラルメイクの仕方の時間あっただろ?」

木曾「…あった気もするけど覚えてねえな」

天龍「おいおい」

天龍「自分の外見に自信は持ちつつも、きちんと気を配って魅力的に振る舞うこともレディの嗜みだぜ」

木曾「…どっかで聞いたようなフレーズだな」

天龍「龍田だよ」

木曾「…?…まあいいや」

木曾「魅力的…か」

天龍「そういやお前この一年で男から言い寄られたりはなかったのかよ」

128以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:50:05 ID:Rm2nw3As

木曾「…あるにはあった。何度かな」

天龍「ほう」

木曾「…男からもだけど…同じくらいの数の女子からも告白されちまってさ」

木曾「悪い気はしねえがすんげぇ複雑な気分なんだけど」

天龍「まあもちろん全部お断りなんだよな」

木曾「もちろんだ」

天龍「だよなぁ」

木曾「お前のほうはどうなんだよ」

天龍「あー…まあ忙しい職場だから、本気の恋愛に発展するようなことはねえよ」

天龍「だけどどうしてかな…バレンタインじゃ俺が一番たくさんチョコもらった」

木曾「あ、俺ももらった」

天龍「…」

木曾「…」

天龍「まあ美味かったからいいや」

木曾「それな」

129以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:50:58 ID:Rm2nw3As

天龍「ま、そういうことで化粧の仕方とか教えてやるよ」

木曾「ふふっ」

天龍「なんだよ」

木曾「いや…昔はカキ殻やら苔やらが体中にくっついても、自分じゃどうすることも出来なかったのに」

木曾「今の俺らは自分で自分の身だしなみも整えられるんだよなって思ってさ」

天龍「ははっ、その意気だぜ」

天龍「なら明日夕方から買い物行こうぜ。お前の最低限のメイク道具を揃えるんだ」

木曾「…ほんとに済まねえな。助かるよ」

130以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:51:33 ID:Rm2nw3As

天龍「いいってことさ。まあデートの演習みたいなもんでもあるし」

木曾「デート…俺と…?」

天龍「…」

木曾「…///」

天龍「…///」

天龍「さ、もう寝るぞ」アセッ

木曾「お、おう。今日は本当にありがとな。俺、やっと希望が持てたよ。おやすみ、天龍」

天龍「こっちこそ。おやすみ、木曾」

木曾「…」スヤスヤ

天龍「…」スヤスヤ

131以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:52:28 ID:Rm2nw3As

その頃

工作員1「木曾の、居場所は、わかった、か?」

元提督’「…………」

元提督’「…分からなかった」

工作員1「わから、なかった?」

元提督’「…ああ。期待に沿えなくて悪かったな」

元提督’「あとは自分らで調べてみてくれよ」

工作員1「………我々も、日本の警察に、マークされている」

工作員1「だから、お前に、頼んだんだ」

元提督’「…」

工作員1「約束、したじゃないか。西武管区で、最強だった、呉鎮の、秘書艦だった、木曾の居場所を、調べるって」

工作員1「…我々のことを、知った以上、ただでは、すまさない、ぞ」

工作員1「手ぶらで、しかも、何もせず、本国に、帰るわけには、いかないからな!」

132以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:53:31 ID:Rm2nw3As
>>131訂正
西武管区⇒西部管区

133以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:54:06 ID:Rm2nw3As

元提督’「そりゃ分かるさ。…だから俺が替わりに行ってやるよ」

工作員1「え…?お前、が?」キョトン

元提督’「俺が北へ行くよ。俺だって中佐どまりとはいえ、元提督だ。艦娘の運用とかについての情報源として、ちっとばかしは価値があると思うぜ」

元提督’「それなら本国への言い訳にもなるだろ?」

工作員1「…」フッ

工作員1「…本国に、諮ってみる。逃げずに、待っていろよ」

工作員1「…」フフフ ニコッ

元提督’「…?」

134以下、名無しが深夜にお送りします:2015/04/21(火) 23:54:59 ID:Rm2nw3As
今日はここまで 次は日曜位になります おやすみなさい

1351:2015/05/02(土) 15:53:18 ID:ChzzIyQA
前回から10日以上も経ってしまってごめんなさい

1361:2015/05/02(土) 15:54:07 ID:ChzzIyQA

次の日夕方 街角 

天龍「よう、待ったか?」タッタッタ

木曾「おれも今来たところだ」

天龍「それりゃよかった。じゃあ買い物行こうか」

木曾「ああ」

木曾「…今、腹減ってる?」

天龍「ん、まあな。夕方だし」

木曾「これ食うか?さっき買ったんだけどさ」スッ

天龍「チュロスじゃん、おいいいのかよ」

木曾「世話になってんだからこれぐらい奢らせろよ」

天龍「そうか、悪いな。じゃ遠慮なくいただくぜ」

木曾「おう」

天龍「…」マグマグ

木曾「…」マグマグ

木曾「で、これからどこに行くんだ?」

1371:2015/05/02(土) 15:54:39 ID:ChzzIyQA

天龍「それだよ。せっかくだからデパ地下の化粧品売り場行こうぜ」

木曾「お、おう」

天龍「身構えるこたぁねえだろ」

木曾「いや、ああいうとこ行くの初めてだしさ」

天龍「とって食われるわけじゃねえんだから…俺も一緒だし」

木曾「そ、そっか。よし、行くか」

天龍「おうおう」

天龍「じゃあ取りあえず道路渡って…」

ブオオオオオオン キキッ

木曾天「!?」

木曾「あ、危ねぇ車だなっ」

天龍「おうコラ!道交法違反だぞ!出てこい、このリムジン野郎!」

138以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:55:14 ID:ChzzIyQA

ガチャ

黒服「…」スッ

木曾「で、出てきたぞおい…」

天龍「ま、マジで出てきやがった…ガタイ良さげだし…ヤバそうな見てくれだぜ」

黒服「…木曾と天龍だな?」

木曾「!!」

天龍「お、おいてめぇ、どうして俺たちのことを…」

黒服「…」

黒服「今からお前たちには我々と行動を共にしてもらう。車に乗ってくれ」

天龍「嫌だと言ったら?力づくでもか?」

黒服「…我々も手荒なことはしたくない」スッ

天龍「俺は現役の警官だぞ。法的根拠もなく、見ず知らずの怪しげな野郎にのこのこ付いていくわけが…」

木曾「なぁ…まさかこの男、海軍の人間じゃ…??」

天龍「な、何だと?」

黒服「…」

139以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:55:49 ID:ChzzIyQA

黒服「…それは中にいる方に確かめてみてくれ」ガチャ

元帥「おう、久しぶりじゃのう。驚かせてすまなんだな」ヒョコ

木曾天「!!!!!!」

天龍「あ…ああ…」

木曾「げ、元帥閣下…!」ビシッ

元帥「よ、よせ!敬礼なぞいらん!」

元帥「そ、それより早う乗ってくれ!このままじゃお前たちの安全にもかかわる!」

木曾天「??」

140以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:56:21 ID:ChzzIyQA

ブオオオオオオオ…

元帥「いやぁ、二人が一緒におってくれてよかった…」ホッ

黒服「しかし探す手間が省けるのは奴らも同じことでしたよ」

元帥「分かっとる。先にワシらが保護できてよかったわい」

天龍「…奴ら?保護…?」

木曾「一体何の話ですか…?穏やかじゃなさそうですけど…」

元帥「うむ…」コホン

元帥「早速じゃ。言いにくいことじゃが…」

141以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:56:51 ID:ChzzIyQA

翌日夜 とある廃屋

ジャリッ

元提督「…」

元提督’「…」

元提督「よう、久しぶりだな」

元提督’「ええ…解散以来ですね」

元提督「今はどうしてるんだ?」

元提督’「特に何も。ただのプー太郎っすよ」

元提督「…そうか」

元提督’「それで、何の脈絡もなくいきなり俺をここに呼び出した理由は?まさか職探しを手伝ってくれるって冗談は…」

元提督「その理由は自分で分かってるんじゃないのか?」

元提督’「…」

元提督「単刀直入に聞く。貴様、北の工作員と接触を持ってるんじゃないのか?」

元提督’「…」

142以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:57:38 ID:ChzzIyQA

元提督’「何のことか分かりませんね」

元提督「とぼけるなっ!!」

元提督「お前がかつての自分の秘書艦だった天龍と接触し、俺の秘書艦だった木曾を北に売ろうとしているのは分かってるんだ!!」

元提督’「…」

元提督「…今日の日中、貴様は天龍と接触し、木曾の居場所を聞き出してたな?」

元提督’「…まさか、天龍に何かして口を割らせたんすか!?」

元提督「そんなことはしない!!…最近の指向性マイクは優秀だってだけの話だ」

元提督’「…盗み聞きしてたんっすね」

元提督「貴様が北の工作員と接触を持っていることは分かってるんだ。こちらの尾行が煙にまかれることは予想してなかったけどな。北の潜入工作員に仕込まれた技量ってやつか?」

元提督’「…」

元提督「奴らの目的は、艦娘の拉致だろう?」

元提督’「…」

元提督「貴様っ…仮にも元日本海軍将官の貴様ともあろうやつが、一体どうしてそんなことをしようとしたんだ…!?」

元提督’「…あんたは」

元提督’「再就職ができたようでよかったですね」

143以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:58:24 ID:ChzzIyQA

元提督「!?」

元提督「いきなり何の話だ…」

元提督’「それも警察か、憲兵か…いずれにしろ俺みてえな不定分子を嗅ぎまわる仕事でしょうけど」

元提督’「俺がプー太郎だってことは最初に言わなくても分かっていたことでしょう?」

元提督「…金欲しさにやった事だと認めるのか?」

元提督’「…」

元提督「…いずれにしろ貴様は艦娘とその情報を北に売り渡そうとしてるんだろ!?」

元提督「全部話してもらうぞ…!」チャキ

元提督’「っ…チャカまで向けますか…」

元提督「…」グッ

元提督’「…あんたには分からないっすよ」

元提督’「海軍を栄誉除隊して、職まで斡旋してもらえたあんたなんかには!」

元提督「な、何を…」

144以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:58:54 ID:ChzzIyQA

元提督’「俺はね、そもそも軍人なんかにはなりたくなかったんすよ。ただ普通に大学に行って勉強して卒業したかった」

元提督’「それがあの戦役のせいで、卒業間際に根こそぎ動員にあってにわか提督だ!」

元提督’「そんな俺に何が出来ました?立派な戦績が残せますか?あんたら海大出の連中よりうまい指揮が執れるとでも!?」

元提督’「…何が提督だ。あんたらはともかく、俺ら学徒動員の急造提督はしょせんは佐官レベルの地方基地司令に過ぎなかった」

元提督’「…俺の鎮守府は目立った戦績も出せなかった。そんな鎮守府にできることっつったら、近海警備と資源集め以外に何かあったとでも?」

元提督「…」

元提督’「俺は俺なりに自分のできることをして、あんたの鎮守府の援護をしたつもりだったんです」

元提督「…!」

元提督’「…けど戦役が終わって用済みになれば、俺はさっさとクビだ。雀の涙ほどの報奨っつう手切れ金を握らされてね…」

元提督’「軍需景気ももう過去の風っすよ。深海棲艦を倒したところで経済に刺激があるわけでもなければ、他に仕事が増えるわけでもねえ…」

元提督’「…日銭を稼いで暮らすみじめさが、あんたに分かりますか?」

元提督「…なっ…何と言おうと、貴様は俺の秘書艦だった木曾をカネ目的で北に引き渡そうとしたことに変わりはないんだろう…!?」

元提督’「…最初はね」

145以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 15:59:51 ID:ChzzIyQA

元提督’「でも、その件ならもう断りましたよ」

元提督「…何だと?」

元提督’「木曾は、西部管区最強だったあんたの鎮守府の秘書艦だった。戦闘と軍務に長けた艦娘ってわけです」

元提督’「そりゃ目をつけられるってもんでしょうよ。俺なんかの秘書艦だった天龍なんて箸にも棒にも掛からねぇくらいだ」

元提督’「…だから、木曾の居場所を連中に教えてやれば、相当額の報酬が約束されてたってわけです」

元提督「…やっぱりか。貴様…」

元提督’「けど、ね。それでも俺にはそれが出来なかった」

元提督「…?」

元提督’「…天龍のやつ、寂しそうだったんすよ。今日、街中で声かける前からね」

元提督「…寂しそうだった…?」

元提督’「あいつ、最近木曾とつまんねぇ喧嘩しちまったんですよ」

元提督「…」

元提督’「あんたも知ってるでしょう?天龍も木曾も、鎮守府こそ違え、あんだけ仲が良かったのに……………ほんとつまんねぇ理由で喧嘩なんかしてさ」

元提督’「戦役のころみてえに、艦娘たちも同じ時間を一緒に過ごしてるわけじゃねえ。俺の感じたところ、どうもみんなそれぞれ孤独に耐えてるみたいなんすよ」

元提督「っ…」

146以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:00:35 ID:ChzzIyQA

元提督’「それなのに…仲よかったダチと仲たがいして寂しそうにしてるあいつを目の前にしてるのが、こっちまでたまらなくなっちまって」

元提督’「だから俺は、最後に『木曾と仲良くやれよ』って言っちまったんす。盗み聞きしてたんなら分かるでしょ?」

元提督「…」

元提督’「…せっかく平和を手に入れたあいつらの平穏を壊すことなんて、やっぱり俺には出来なかった」

元提督’「…どこまでも中途半端な野郎だって思われちゃ、まぁそれまでっすけどね」

元提督’「でも、好きな娘の笑顔を奪いたいなんて、あんたも思わないでしょう?」

元提督「っ!!」

元提督’「…」

147以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:01:05 ID:ChzzIyQA

元提督’「…これでいいでしょう?俺にはもう木曾を北に売り渡す意思はありません。だから俺の行為は外患罪には抵触しn」

元提督「…北はそれで納得したのか?」

元提督’「!!」

元提督「北がそれではいそうですかと引き下がるとは思えない。代わりに何か条件を出してきたはずだ」

元提督「今日貴様が俺たちの尾行を撒いたあと、北と接触したんだろう?奴らは何と言ってきたんだ!?」

元提督’「…もう俺に関わらねえほうがいいっす。そうすれば木曾も国益も守れられるってもんです」

元提督’「それがあんたの為でもあるでしょう?」

元提督「なんだと…?それはどういう…」


ジャリッ

148以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:01:35 ID:ChzzIyQA

元提督「誰だ!?」チャキッ

???「…」カッ…カッ…

元提督「女か…?」

元提督’「お、お前…!!」

元提督「…!?」

元提督「ま、まさかこいつが北の…!?」

工作員1「…」スッ

工作員1「ここで、なにを、してた?」

元提督’「お、お前こそどうしてここに…まさか…尾けてたのか!?」

工作員1「その男と、何を、話していた?」

元提督’「こ、この男は俺と同じ、ただの元提督で、たまたま会って…」

工作員1「…うらぎったな」

元提督’「!!」

工作員1「その男が、日本の、公安の、所属なのは、知っている」

149以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:02:21 ID:ChzzIyQA

元提督「くっ!」

元提督「動くな!手を頭の後ろに組んでひざまずけ!」チャッ!

工作員1「…平和ボケ、した、お前に、銃が、うてるものか」スッ

元提督「と、止まれ!」チャ

工作員1「フッ!」ブン

ドスッ

元提督「」ドサッ

元提督’「こ、殺したのか…!?」ガタガタ

150以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:02:54 ID:ChzzIyQA


工作員1「殺しは、しない」

工作員1「お前、もな」ヒュッ

トン

元提督’「」ドサッ

工作員1「…」

工作員1「…ふ」

工作員1「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

151以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:03:43 ID:ChzzIyQA

元帥「お前たちの提督…だった二人が、北の工作員に拉致された」

木曾「な、何だって!?拉致!?北に!?」

天龍「嘘だろっ!?どうして提督が!?」

元帥「…」

元帥「元海軍軍人だということで、目を付けられていたらしい。残念ながら今のところ失探しておるが、恐らく北は、早ければ今夜半にも工作船で二人を本国に移送するじゃろう…」

木曾「そ、そんな…」

天龍(…昨日の提督の様子がなんか変だったのって、このことと関係が…!?)

元帥「くよくよしても始まらん。お前たちを呼んだのは他でもない。あの二人を奪還するのに力を貸してほしいんじゃ」

天龍「あ、当たり前っすよ!やります!」

木曾「俺も、やらせてください…!」

元帥「本当に…いいんじゃな?お前たちはもう艦娘ではないし、あの二人ももはや提督ではない。つまり、お前たち自身がその身を危険にさらす義理はないんじゃぞ?」

天龍「お言葉ですけど元帥、俺らにとっちゃ提督は今でも提督っすよ」

木曾「俺も同じ思いです。あの人が危険な目に遭ってんなら絶対に助けたいです」

元帥「…すまんな。一度は海軍から離れた身である以上、お前たちにこんな頼みをするのは心苦しいんじゃが…」

152以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:04:26 ID:ChzzIyQA

元帥「もちろん、警察も海軍(通常艦艇部)も動いてはおる」

元帥「じゃが、彼らに任せておいては、ややもすれば二人が犠牲になる可能性もある」

元帥「…国防機密の保持の為、という名目でな」

木曾「…!」

天龍「…」

天龍「…なんか、虚しいな…」

天龍「俺ら、鋼鉄だった頃は、大東亜共栄圏の実現のために戦ってたのに…」

天龍「それが、70年以上たっても今だに同じアジア人同士で争い合ってるなんてさ…」

元帥「…」

木曾「言うなよ、天龍。俺らが気にすることじゃねえよ」

木曾「俺らは、ただ戦うだけさ…」

元帥「いや、いいんじゃ木曾」

元帥「天龍の言う通りじゃ。人間の業はとてつもなく深いようじゃ…」

天龍「…こっちこそつまんねぇ事言ってすんません」

木曾「それで、俺たちはどうすればいいんですか?」

153以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:05:07 ID:ChzzIyQA

元帥「…それは」

木曾「…もう一度艤装して、艦娘として戦えばいいんですね?」

元帥「…その通りじゃ。今の海軍には満足に動かせる通常艦艇がまだ少ない。たまたま訓練で外洋に待機しとる艦艇はあるにはあるが、これに出されとるのは工作船の拿捕ではなく、あくまで撃沈命令らしいのでな…」

天龍「そ、そんな…」

元帥「海上保安庁も頼りないとなれば、窓際に回されたワシが頼れるのは、艦娘だったお前たちしか…」

天龍「…要するに、敵が提督たちを乗せて外洋に逃げる前に、俺たちが二人を助け出せばいいんですね?」

元帥「うむ、そうじゃ…」

木曾「もう、やるしかねえな。なぁ天龍?」

天龍「…そうだな。何せ提督を助けるためだもんな!」

元帥「せっかく市井に出て暮らしとったのに、こちらの都合で振り回して本当に悪いとは思っとる」

元帥「じゃが、これはただの軍事作戦ではないぞ。お前たちは兵器として戦うんじゃない」

154以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:06:13 ID:ChzzIyQA

元帥「…それは」

木曾「…もう一度艤装して、艦娘として戦えばいいんですね?」

元帥「…その通りじゃ。今の海軍には満足に動かせる通常艦艇がまだ少ない。たまたま訓練で外洋に待機しとる艦艇はあるにはあるが、これに出されとるのは工作船の拿捕ではなく、あくまで撃沈命令らしいのでな…」

天龍「そ、そんな…」

元帥「海上保安庁も頼りないとなれば、窓際に回されたワシが頼れるのは、艦娘だったお前たちしか…」

天龍「…要するに、敵が提督たちを乗せて外洋に逃げる前に、俺たちが二人を助け出せばいいんですね?」

元帥「うむ、そうじゃ…」

木曾「もう、やるしかねえな。なぁ天龍?」

天龍「…そうだな。何せ提督を助けるためだもんな!」

元帥「せっかく市井に出て暮らしとったのに、こちらの都合で振り回して本当に悪いとは思っとる」

元帥「じゃが、これはただの軍事作戦ではないぞ。お前たちは兵器として戦うんじゃない」

155以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:07:02 ID:ChzzIyQA

元帥「お前たち自身の愛のために、戦うんじゃ!!!」ドヤッ

木曾天「!!」

木曾「…///」

天龍「…///」

元帥「…木曾。ずっと提督に会えんで辛かったろうが、あの男は必ずお前が来るのを待っとる。不器用な奴じゃが、助けてやってくれ」

元帥「…今後とも、な」

木曾「……!!!」

木曾「は、はいっ!」

元帥「…天龍」

天龍「はい」

元帥「…あの戦役がお前の提督の人生を狂わせてしまったかも知れん。それはワシとしても無念に思う」

天龍「元帥………………俺の提督は、何かとんでもねえ事に足突っ込んでたんじゃn」

元帥「天龍っ」

天龍「っ!」

156以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:07:34 ID:ChzzIyQA

元帥「…ワシは、呉のような攻撃型鎮守府のみならず、お前たちのいた警備型鎮守府と…その提督の活躍も誇りに思っとる」

元帥「…………もっと、同じように顕彰してやるべきだったのう…」

天龍「…だったら」

天龍「元帥が直に提督にそう言ってやって下さい。そしたら提督、どんだけ喜ぶか…」

元帥「…ああ」

天龍「そのためにも、まずは俺が提督を連れ戻して来てみせますから…!」

元帥「…!!」

元帥「よし…ならば二人とも、覚悟はいいな!?」

木曾天「はい!」

元帥「まずは工廠まで飛ばせ!急げ!」

黒服「はっ!」

ブオオオオオオン!!!

157以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 16:08:27 ID:ChzzIyQA
とりあえず今日はここまで おやすみなさい

158以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/02(土) 22:09:12 ID:ChzzIyQA
訂正
>>141 翌日夜⇒前日夜

159以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/19(火) 17:38:48 ID:s6hmob2Y
がんばれ


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