[
板情報
|
R18ランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
元勇者「本物の勇者が現れてから一年経った」
1
:
◆RvUAp8KrlM
:2014/12/09(火) 06:10:49 ID:IyhGY/1M
巨竜は 咆哮を あげた! ▼
勇者「皆いったん退くぞ! おい、聞いてるのか!?」
勇者(くそっ、雷雨で声が――)
巨竜の こうげき!! ▼
勇者「うわああああぁぁ!! うぅ……」
勇者「!? 武道家!? おい、大丈夫か! おい!!」
勇者「僧侶、武道家を頼む! 手当てを急げ!!」
勇者「魔法使いも俺の近くに! ルーラの詠唱を――」
巨竜の こうげき!! ▼
勇者「ぐああああッ!!」
勇者(くそっ、どうすれば!)
勇者(このままじゃ全員……――)
213
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:03:18 ID:/c/whufc
門下生A「さっさと選べ。俺なら文字通りすぐに門前払いにしてやる」
門下生B「お前はまだ門下ではないから、持ってる武器を使っても構わんぞ」
門下生C「道士様、あなたが望むなら、この輩を付き人扱いで中に通せますが」
剣士「待て。分かった。決めた」
剣士「まず、あんたら3人まとめて相手するのは前提として……」 ザッ ザッ
門下生A「何ィ?」
門下生B「おい、逃げるのか?」
門下生C「……ん? 剣を抜いて何をするつもりだ?」
剣士「よっ」 ヒュヒュッ スパパッ
剣士は 近くの木のえだを 切りとった! ▼
剣士「賢者」ザッ ザッ
賢者「何」
剣士「こいつの両端を、メラで軽くあぶってくれ」
門下生「??」
見張り「??」
214
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:04:59 ID:/c/whufc
剣士「――うん、上等だ」
剣士は ひのきのぼうを そうびした! ▼
剣士「見ての通り、俺は剣士だ。武道も多少かじってるが、得意ではない」
剣士「だからこうしよう。俺はこの『剣』を使わせてもらう代わりに」
剣士「もしこの『剣』が折られたら、即座に負けを認めて帰ろう」
剣士「もちろんあんたら3人同時に相手して、だ。これでどうだ?」
門下生「「「……」」」
見張り「……はぁ」
見張り「おい、門下生A。この調子に乗ったお上りさんを帰らせてやれ」
門下生A「押忍」 ザッ
剣士「おっ、一人か? お前、でかくていい身体してるな」
門下生A「俺たちはふざけて修行に励んでるんじゃねえ」
門下生A「魔王軍に対抗すべく、命を賭して身体を鍛えている」
剣士「ああ。いい事だ。本当にな」
賢者「 」フアァ…
215
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:06:09 ID:/c/whufc
門下生A「だからお前みたいな半端な男を見ると――」
門下生Aは せいけんづきを はなった! ▼
門下生A「無性に腹が立ってくる!」 ブオォッ
剣士「半端か」
剣士は ひらりと みをかわした! ▼
剣士「そうかもな」
門下生A「ぜええぇい!!」
門下生Aは せいけんづきを はなった! ▼
剣士は 上体を そらした ▼
門下生Aの ばくれつけんを はなった!! ▼
剣士は ひらりと みをかわした!
剣士は ひらりと みをかわした!
剣士は ひらりと みをかわした!
剣士は ひらりと みをかわした! ▼
門下生A「な……ニィ?」
剣士「おいおい、仮にも入門希望者に出す技じゃないだろ、それ」
216
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:07:12 ID:/c/whufc
剣士「ほら。俺の『剣』はここだぞ」フワフワ
門下生A「うおおおっ!」
門下生Aは しっぷうづきを はなった! ▼
剣士は 胸もとを そらした ▼
剣士「ほりゃ」
剣士は 門下生Aの わきばらを かるく突いた ▼
門下生Aは バランスを くずし たおれこんだ! ▼
門下生A「がはぁ!」 ドシャッ
見張り「ど、どうなっている……?」
門下生B「あ、あいつタダモンじゃないぞ!」
門下生C「そりゃそうだ……思い出した」
門下生C「どこかで見たことがあると思ったらあいつ、ニセ勇者だ! 1年前の!」
剣士「おっ、憶えてる奴がいたか」
賢者「いつ聞いても不名誉な称号ね」
剣士「否定も拒絶もしないさ」
217
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:07:57 ID:/c/whufc
見張り「お前たち、全員でかかれ! そやつは我らが流派の敵だ!」
見張り「『痛恨流』にかかれば、紛い物の勇者など大したことはない!」
剣士「『痛恨流』……?」
門下生B「確かに、あの出来損ないと通じていたなら、我々の敵だな」
門下生C「ニセ勇者か……道場での噂通りの軟弱者か、確かめてやろう」
門下生A「こいつ、ぶっ潰してやる!!」
剣士(武道家は『会心流』だったはず……)
門下生A・B・Cは 同時に とびかかった!
門下生Aは せいけんづきを はなった!
門下生Bは あしばらいを はなった!
門下生Cは ともえなげを しかけた! ▼
剣士(この1年で何があったんだ?)
剣士は ひらりと みをかわし ひのきのぼうを くりだした!
剣士は ひらりと とびあがり ひのきのぼうを くりだした!
剣士は ひらりと 身体をひねり ひのきのぼうを くりだした! ▼
門下生「ぐわあああ!」「ぎょえーっ!」「ぬわーっ!!」ザザザーッ
剣士「ま、いいか。よーしどんどん来い!」 ヒュホッ!
218
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:09:00 ID:/c/whufc
――――
門下生A「ハァ……ハァ……」
門下生B「ぜぇ……ぜぇ……」
門下生C「ひゅー……ひゅー……」
見張り「そ……そんな……」
剣士「もう全員立てないみたいだな」
剣士「なら俺の勝ちだ。1本取ったらいいんだろ? もう100本は取ったぞ」
見張り「くっ……」
剣士「早く開けてくれ。開けないなら勝手に入るぞ」
見張り「馬鹿な……ニセ勇者は魔王討伐に敗走した小物ではなかったのか」
剣士「ニセ勇者ってのは、騙ってた訳じゃない。勘違いしてたんだ」 トンッ トンッ
剣士は 一気に見張り台まで とびあがった! ▼
見張り「!? は、速――」
剣士は きゅうしょづきを はなった!
見張りは きをうしなった! ▼
剣士「偽物だから弱いとでも思ったか? 高いところから見下ろしてんなよ」 コンッ
219
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:10:31 ID:/c/whufc
賢者「終わったの」
剣士「ああ。待ってくれ、すぐ内側から開ける」
賢者「必要ないわ」
賢者は アバカムを となえた!
とびらは 低い音を たてはじめた! ▼
剣士「おっ、そんな呪文もあったか」
ズズズズズズズズズズズズズ
ズゥーンン……
賢者「茶番を無視して始めからこうしても良かったのだけれど」 スタスタ
剣士「ややこしくなりそうだからやめてくれ」 ヒュー スタッ
賢者「なんですぐ終わらせなかったの。自分の力を誇示したいの」
剣士「あいつらがどの程度の実力かを知ろうと思ってさ。あと肩慣らし」
賢者「何か収穫はあったの」
剣士「即席ひのきのぼう」
賢者「暇人ね」
220
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:12:12 ID:/c/whufc
【一撃の山・道場・境内】
剣士「懐かしいな、この雰囲気」スタスタ
賢者「私も嫌いじゃないわ」スタスタ
剣士「……道場内から気合いが響くな。あの中に武道家もいるんだろうか」
賢者「あの子、新しい流派とやらに改めたのかしら」
剣士「さあな。まずは中に入って――」
剣士「!」
トタタタタタタ…
賢者「! ねえ。あそこで雑巾がけしてる子って」
剣士「おい、武道家!」
武道家「!!」ピタッ
武道家「あ! 勇者さん! 魔法使いさん!」
武道家「お、お久しぶりです!! どうしてまた、こちらに?」
剣士「武道家。お前。1年経ったのに」
剣士「片目片腕のままなのか」
221
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/10(金) 13:13:11 ID:/c/whufc
ここまで
222
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 13:25:53 ID:HF1JV3R2
乙
223
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 14:00:32 ID:YSxM6/ig
乙
224
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 21:10:45 ID:s.uSFaIs
乙
乙
225
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 21:31:49 ID:.KydA0OI
乙!
226
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 22:58:34 ID:QyiG4qBo
ここの住民はスルー力を鍛えるべき
227
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 22:59:16 ID:QyiG4qBo
誤爆でした
228
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/10(金) 23:47:44 ID:s.uSFaIs
特定した
229
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/11(土) 11:07:06 ID:Kt5Gr8Xc
片目片腕って武闘家ボロボロじゃねえか
230
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/11(土) 15:03:52 ID:mUvhQETM
せな報われてほしい乙
231
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/11(土) 17:46:49 ID:sRKJZj0M
修行で封印してるとかそういうのかと思った
232
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:49:23 ID:MEUD3F.g
投下します
作中の固有名詞は、基本的に原作準拠の方針ですが
「武闘家」に関しては、筆者の小さいこだわりで「武道家」表記にしてます
233
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:50:29 ID:MEUD3F.g
武道家「はい! 大丈夫です、自分はもう慣れました!」
剣士「慣れたって……簡単な義肢も用意してもらえなかったのか?」
剣士「目だって、すぐに教会に通い続ければ……」
賢者「ちょっと。その眼帯、取ってもらえる?」
武道家「え? ええっと……は、はい」
武道家は 眼帯を はずした ▼
武道家の 左のひとみは 白くにごっている…… ▼
賢者「……」
剣士「こいつは、回復呪文もマスターしたらしいんだ」
武道家「えっ!? そ、そうなんですか! すごいです!」
賢者「じっとしてて」
武道家「は、はい、すみません」
賢者「……」
剣士「……どうなんだ?」
賢者「ちょっと黙ってて」 剣士「へい」
234
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:51:20 ID:MEUD3F.g
賢者「……難しいわね」
賢者「視力を失った状態が、完全に定着してしまっているわ」
賢者「無闇に回復呪文を集中させたら、かえって悪化するかもしれない」
剣士「なんとかならないのか」
賢者「分からない。なるかもしれないけれど、恐らく分の悪い賭けになるわ」
剣士「そうか……」
剣士「武道家、改めてすまない。俺があの時、至らなかったばかりに――」
武道家「いえいえそんな、とんでもないです! いいんです!」
武道家「自分はこうしてまた、この道場に戻れただけで満足なんです!」
剣士「でもお前。かつては『武姫』と謳われた会心流筆頭だぞ」
剣士「なんだって小間使いみたいなことさせられてるんだ」
武道家「そ、それは……」
ダンダンダン ダ ン ! 門下生「おい!」
武道家「!」
門下生「いつまでダラダラ廊下やってるんだ! こっちも手伝え!」
235
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:52:30 ID:MEUD3F.g
武道家「は、はい! 申し訳ありません、ただ今!!」スッ
賢者「ちょっと」
門下生「ん? なんだ客人か?」
賢者「この子、左腕が無いのよ」
賢者「なんでこんな無茶なことをさせるの」
門下生「はあ?」
剣士「よせ」
武道家「あ、あの、魔法使いさん」
賢者「あなただったらどうなの。片腕がなくなっても、廊下がけなんてできるの」
武道家「いいんですッ!!」
賢者「!」
武道家「あ、あの、自分のことは本当に、大丈夫ですから」
武道家「あの、申し訳ありません! いとまの分は、必ず埋め合わせますので!」ペコッ
門下生「……ちっ。さっさと来いよ」 ダン ダン ダン…
武道家「そ、そういう訳なので、お二人とも、また!」 トタタタタタ…
236
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:53:48 ID:MEUD3F.g
剣士「……」
賢者「ねえ。さっきはなんで止めたの」
剣士「ん? 俺か?」
賢者「『よせ』って言ったわ。あの子はあのままでいいということなの」
剣士「俺だって気持ちは同じだ。だが、あそこは出しゃばるべきじゃない」
剣士「俺たちは事情を知らないが、武道家はすでにあの立場が長いようだ」
剣士「面倒事を起こせば、不利になるのは当人だろう。まずは様子見だ」
賢者「悠長ね。あなたはあの子をみて何とも思わないの」
剣士「もちろん、一刻も早く引き取るつもりさ」
剣士「だがその前に、会って話をすべき人物がいる」
賢者「誰」
剣士「そこの木陰のご老人だ」
賢者「!」
老師「……ほほっ。流石は勇者殿と呼ばせてもらってもよろしいかな」
剣士「ええ。お久しぶりです、師範」スッ
237
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:55:15 ID:MEUD3F.g
老師「『勇者』が変わったと聞き気がかりじゃったが、達者であったか」
賢者「ご無沙汰です師範様。ごきげんよう」 スッ
老師「ほほっ、よいよい。今のわしは、ただの厄介者の隠居じじいじゃ」
老師「わしを師範と呼ぶものは、この道場にはもう一人もおらんよ」
剣士「そのようで。流派改新の件、先刻耳にしたばかりです」
老師「ふむ……左様か」
賢者「師範様。以前我々と旅を共にした、あの武道家についてですが」
老師「うむ、分かっておる。おぬしらは、あの子を引き取りに来たんじゃろう」
剣士「それは可能で?」
老師「……その前に」
老師「おぬしらは、あの子の生い立ちをどこまで知っておる?」
剣士「……孤児だとしか。細かいことは」
賢者「ただあの子は、義理の兄がいると言ってたわね」
老師「……もう夕暮れ時じゃ」
老師「積もる話は、わしの庵で語ろう――」
238
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:57:06 ID:MEUD3F.g
【一撃の山・老師の庵】
パチパチパチパチ…
賢者「前から思ってたけど、不思議な暖炉。部屋の中央で火を焚くのね」
剣士「確かイロリって言うんだ。このカギに鍋を吊るして、汁物を煮込んだりできる」
老師「大したもてなしも出来んで済まんな」スタスタ
剣士「おお、鍋だ!」
老師「どっこいしょっと」 ガコン ジュウゥゥゥ…
賢者「師範様、お炊事でしたら手伝いましたのに」
老師「構わんよ、さほど凝ったもんでもない」
老師「とはいえ、多少は客人向けに贅沢はしとるがの。ふぉっふぉっ」
剣士「かたじけない」
賢者「お気遣い、痛み入ります」
老師「ほほ。おぬしらからは、根っこから謙虚さが伝わってくる」
老師「まるであの子と語らっとる気分じゃ」
239
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 12:58:34 ID:MEUD3F.g
賢者「あの子……武道家のことですか?」
老師「うむ。何から話そうかの」
剣士「では、先刻おっしゃっていた生い立ちから」
老師「ああ、そうじゃの」
老師「まぁ、別に珍しい話じゃありゃせんよ」
老師「ある時期から魔物が活発になって以降、日々の生活に苦しむ村が出始めての」
老師「主に遠くの村から、ここまで連れて来られる子が増えてきたんじゃ」
老師「それである時、二人の子供が届けられた。6つの女子と8つの坊主じゃ」
賢者「その女の子が、武道家なのですね」
老師「うむ。二人に血縁は無かったが、同郷出身ということもあり、まるで兄妹のように仲が良かった」
剣士「その義理の兄は、今?」
老師「そこの道場で、『痛恨流』の師範代をやっておる」
剣士「! 新流派の師範代……」
賢者「それなら、なんであの子が雑用なんかさせられているの」
老師「ふむ……順を追って話そう」
240
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 13:00:08 ID:MEUD3F.g
老師「連れて来られた二人に、並外れたような武術の才は無かった」
老師「ただ女子の方は、当時わしが師範を務めていた流派、『会心流』の理解が早かった」
老師「積極進取を信条に道場内を奔走し、一刻千金とばかりに時を修行に費やした」
老師「素直でひたむきなこともあいまって、その技量は天井知らずに上達した」
老師「ひいては、王都の勅命であった魔王討伐召集に推薦できるほどにな」
剣士「……『ゲキザンの武姫』」
老師「その二つ名は、元々その義理の兄がつけたものじゃ」
賢者「どうしてそんな」
剣士「多分、開き直ったんだろう。もう追いつけないと知って」
賢者「えっ」
剣士「兄の方は、妹の上達についていけなかった。違いますか?」
老師「……そも、『会心流』は他と優劣を競う流派ではない」
老師「兄はそれを理解できず、目先で膨らんでいく妹の影に焦る一方じゃった」
老師「しかし後に、流派に関わる一大事が起きた。同時に、それは兄の転機でもあった」
剣士「……『ニセ勇者発覚』、か」
241
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/04/14(火) 13:02:48 ID:MEUD3F.g
ここまで
242
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/14(火) 13:09:34 ID:H2gQxlvY
乙!
243
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/14(火) 14:18:59 ID:8uF/hlC.
乙
244
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/14(火) 16:58:46 ID:GJp5K2aQ
けっこう楽しみにしてる!
245
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/14(火) 17:25:21 ID:kbReIwq2
読み返したら、2014年中終わらせるつもりと書いてあるぞwww
楽しく読ませてもらってます。
乙。
246
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/04/22(水) 23:15:31 ID:UWmn3Jys
まだかなーー
247
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/05/02(土) 10:10:02 ID:1Gk6gJmk
保守
248
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/05/24(日) 23:10:41 ID:Ivp9ihZY
保守あげ
249
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/05/26(火) 09:35:08 ID:/vKe/miY
1か月以上続き無しか…
大丈夫か?
250
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:25:05 ID:1Flk/wVA
かなり遅れて申し訳ない
>>240
〜 から続き投下
251
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:26:10 ID:1Flk/wVA
老師「そう――魔王討伐に赴いたおぬしらは、とある戦いで敗れた」
老師「代わって現れた者が、のちに正式な勇者と定められた」
老師「よってぬしらは国をたばかった贋物とされ、余儀なく旅を断ち、各地へ散った」
剣士「……」
老師「じゃがのう。話を聞くに、ぬしらは何ひとつ誤ってはいない」
老師「非力な人々に代わり、世の危難に立ち向かい、命を賭して戦った」
老師「どこにそしり咎めを受ける謂れがある。かけられるべきは、感謝と労いではないのか」
剣士「……師範は」
剣士「俺たちが命を賭けて戦ったなんてこと、信じますかぃ?」
剣士「旅をするふりをしながら、あちこちで勇者を騙って盗みをはたらいた、なんて話もありますがね」
賢者「それはある意味間違っていないけれど」
老師「ぬしらを信じる由縁……それはのう。ここに帰ってきたあの子の眼じゃ」
剣士「武道家の?」
老師「うむ。隻眼にこそなれど、そのまなこは純真を保ち、なお前を向いていた」
老師「未だ、嘘をつくことも知らぬ眼のままじゃった」
252
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:27:36 ID:1Flk/wVA
老師「旅からこの地へ帰ったとき、あの子は創痍の体で何度も訴えておったよ」
老師「勇者たちは戦ったと。自分がこのような身になったのは、ひとえに自分が未熟だったためと」
剣士「……」
賢者「……」
老師「じゃが当時の多くの弟子たちは、腕と眼を失った『武姫』の姿を見て、迷った」
老師「自分達が最強と信じて疑わなかった拳士が、深い傷を負って戻ってきたのだ」
老師「このまま『会心流』の場にいて、果たして将来大成なれるのか、と」
賢者「俗ね。何が起きたかも知らないくせに」
剣士「しかしお言葉ですが、仮にも御師の弟子達です。そう簡単に疑心を抱くとも思えませんが」
老師「ふむ……」
老師「それはの……」
老師「……ここから先は、我ながら情けない話になるが」
老師「あの子が傷つきここに帰ってから半月も経たないうち――とある男もまた、帰ってきたのじゃ」
剣士「とある男」
老師「うむ。わしの一番弟子――義理の一人息子じゃ」
253
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:28:50 ID:1Flk/wVA
剣士「師範の……義理の息子」
老師「その男は、幼少より常に『最強』を志しておった」
老師「成長するにつれ、しばしばわしのやり方に異を唱え、衝突するようになった」
老師「わしとあの男はついに和解できず、ある日を以てわしが破門とした」
老師「そのまま道場を去って10年になるが――」
賢者「このタイミングで帰ってきたという訳ですね」
剣士「なるほど。ということは、流派改宗を立ち上げたのは」
老師「いかにも。その愚息じゃ」
賢者「『会心流』の武道家がボロボロになった頃合いを計るなんて、浅ましい性分ね」
剣士「しかし……『会心流』も長く続いた流派だ。門下生全員を納得させる手段となると……」
老師「ふっ、察しよし。言うたじゃろう、情けない話になると」
老師「この山で拳を極めた者同士が、門下総出で立ち会う中、全霊を懸けて仕合う『一撃仕合』」
賢者「いちげきじあい……?」
剣士「……」
老師「わしは道場を懸けてあの男と闘うことになり、その『一撃仕合』に――敗れた」
254
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:29:32 ID:1Flk/wVA
――――――――――――――――
――
師範は 道場の端に 吹き飛ばされた! ▼
師範「が……がふっ……」
武道家「師父!!」
タタタタタ
武道家「! 師父、血の色が……まさか病が……」
拳士「『会心』の門下たちよ、しかと目に焼き付けておけ! これが現実だ!!」
拳士「勝たば強し、敗らば弱し、まことの強さは常に二者択一」
拳士「約束通り、この道場は俺が預かる。そしてこれをもって」
拳士「新流派の立ち上げを宣言する!!」
門下生『『『!?』』』
拳士「はっきり言ってやろう。今のままではお前たちに真の強さは得られん!!」
255
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:31:53 ID:1Flk/wVA
拳士「お前たちのやってる会心流は、自己満足の流派だ!!」
拳士「真の強さとは、幾多の『勝利』の先にある!」
拳士「己が殻にこもった末に手に入れた、証なき力など、児戯に等しい!」
拳士「打ち負かしてこそ、踏みつけてこそ、敵を喰らい糧にしてこそ、高みは目指せるのだ!」
拳士「強さには、正誤も善悪も貴賎もない! そんなもの知ったことではない!!」
拳士「全ては修行の果てに得た、『勝利』で築いた山の大きさだ!」
拳士「そして――最も高い山を積み上げた者が」
拳士「『最強』の座を得られるのだ」
門下生『『『……………………』』』
義兄「……」ゴク
拳士「俺は『最強』を目指している。心底からだ。誰よりも強くなるために闘っている」
拳士「新流派立ち上げは……俺なりのけじめだ。だがやる以上は、本腰は入れよう」
拳士「ついてくる者は、我が元に座せ。その瞬間から入門を認めてやる」
拳士「来ない者は、一生あの爺の元で戯れているがいい。俺の流派には無用だ」
拳士「ただ、あの爺はたったいま俺が下した。その現実を改めた上で決めることだな」
256
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:32:36 ID:1Flk/wVA
武道家「師父! 大丈夫ですか! 師父!!」
師範「フゥ……フゥ……」ボタボタ
武道家「口から血が……は、早く薬草を……」
武道家「だ、誰か、師父を庵へ! 義兄上!!」バッ
拳士「ほう。いの一番に馳せるとは見所があるな」
義兄「はっ。私は師範の弁に感銘いたしました」
義兄「是非ともわたくしめも、師範と共に『最強』を志したく存じまする」
拳士「ふっ、師範か。良かろう、見込み次第では、お前を師範代にすることも考えてやる」
義兄「はっ、ありがたきお言葉!!」
武道家「あ……義兄……上……?」
門下生『『『…………』』』 ゾロゾロ ゾロ ゾロ
武道家「!? み、皆……なぜ……」
武道家「師父が……師父の血が止まらないというのに……」
257
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:33:22 ID:1Flk/wVA
師範「うっ……ぐぶっ……武道家よ……」
武道家「師父!」
師範「行け……お前も行くのだ」
武道家「師父!? どうして……」
師範「わしなら大事ない。いいから行け」
武道家「し……しかし……血が……」
師範「大事ないと言っておる。真にわしを慮るならば行け」
師範「会心流は、必ずしも流派という型に収められるものではない」
師範「流派を乗り変えたとて、会心流を捨てたことにはならぬ。――行け」
武道家「……」
武道家「……押忍……」 スッ…
スタスタスタスタ
スッ
拳士「お前が最後の一人か。誰かと思えば、ニセ勇者についていった負け犬か」
拳士「どの道来るのが遅かった者は、まず性根から改めねばならん。覚悟しておけ――」
258
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:35:21 ID:1Flk/wVA
――――――――――――――――
――
賢者「……そんなことが……」
剣士「それであいつは、新流派では下っ端扱いされているのか」
老師「……新しく立ち上げられた『痛恨流』とは、勝つための流派」
老師「いかに痛みを与え、急所を狙い、心から折り……勝ちを得るか」
老師「力に振り回されやすく、視野の狭い体系からなる、危険な流派だ」
賢者「下らないわね。それこそ児戯だわ」
剣士「……考え方は戦いにおける理の一つではあるが、それが全てでは話にならないな」
賢者「そんな野卑な流派に、あの子がついていく訳ない。すぐに引き取りましょう」
老師「それが実は難しいのじゃ」
賢者「えっ?」
老師「道場のしきたりでな。破門と免許皆伝の際には、山を降りる前に」
老師「必ず『一撃仕合』をもって、実力を示さねばならん」
老師「そしてわしの知る限り――あの子は新流派において、一度も本組み手で勝ったことがない」
259
:
◆RvUAp8KrlM
:2015/06/04(木) 12:35:57 ID:1Flk/wVA
ここまで。これからちょくちょく更新していきます
260
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/04(木) 12:54:55 ID:94oBymyU
乙!待ってる!
261
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/04(木) 18:33:03 ID:ajlfWZBs
乙乙
262
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/04(木) 19:16:38 ID:dBAM0/PA
破門で血から試すって残るためのものでつれてくにはかんけーなくないか
263
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/05(金) 09:02:57 ID:FpyhVwag
更新きてた!
わくてか
264
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/07(日) 13:55:09 ID:dn9S0IkY
週1のペースでいいから更新きてくれると嬉しい
265
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/06/24(水) 16:04:01 ID:6CH///2.
待ってる
266
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/04(土) 02:41:28 ID:7FuSlESA
あげ
267
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/04(土) 04:12:31 ID:a3FpeSbs
一気見してしまった
続きが楽しみ
268
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/04(土) 06:40:37 ID:pYDGnZwI
こりゃ2015年中にも終わらないな
269
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/15(水) 21:57:42 ID:2bzil37o
続きが気になる
270
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/17(金) 22:40:43 ID:Hzpj9k1k
待ってる
271
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/22(水) 12:18:47 ID:mYgXkZjQ
この文体、まさか…いやまさか…
……冒険の書が完結しない、の作者さんですか?
272
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/07/31(金) 23:14:18 ID:clRMAYek
ほしゅ
273
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/04(火) 18:45:14 ID:/gXknnF6
期待
274
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/06(木) 07:37:57 ID:j7DebIUM
>>271
むしろひのきのぼうの奴に雰囲気が似てると思った
275
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/09(日) 08:29:31 ID:vrEvphzo
待ってるんだけどなあ
もう2ヶ月か…
276
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/16(日) 08:35:48 ID:tD/ZdatE
>>1
さんの過去作品が知りたい
277
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/08/30(日) 00:41:26 ID:vICKMEFQ
もうだめかな…
278
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/03(木) 13:24:47 ID:jDFvuhVk
待ってる
279
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/06(日) 09:15:25 ID:awY2oW0s
やっと追い付いた
そして今気付いたんだが…武道家が女の子ってことは、偽勇者パーティーって剣士のハーレム状態じゃね?
280
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/20(日) 13:05:01 ID:.XHexFFc
待っとるで
281
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/22(火) 05:57:38 ID:GP/jUXy2
最近このss見つけて今追い付いたけど、
お願いだからえたらないで欲しい。
このssは
>>1
にしか書けないから。
待ってます。
282
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/23(水) 21:22:09 ID:OsCTJ3yY
ほ
283
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/24(木) 07:06:52 ID:85yTM0Os
これからちょくちょく更新するって発言をしておいて消えるときはもうどうでもよくなってエタるパターンだよ
284
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/09/30(水) 20:00:08 ID:YHFTpMzw
は
285
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/06(火) 01:28:37 ID:mM9gzD5Q
こんな気になるところで終わらせるつもりなら処刑
286
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/12(月) 09:24:57 ID:dUEVpAZg
ほ
287
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/21(水) 01:34:03 ID:5L0KBFKo
星ュ
288
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/22(木) 00:05:15 ID:FxKQKh4A
干し芋
289
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/10/30(金) 04:11:20 ID:g/Ma/v9g
こないの? 泣きたい
290
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/08(日) 19:43:10 ID:ExNdSL3k
せめて生存確認だけでもしたいところ
気長に待ってます
291
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/11/17(火) 18:57:10 ID:FDagDgZM
もう5ヶ月か
駄目みたいですね…
292
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/05(土) 00:15:41 ID:hgj8QY1A
あ
293
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/10(木) 21:28:28 ID:9emA0Tj6
はよー
294
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/17(木) 20:12:45 ID:AyHqXXDk
マダー?
295
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/19(土) 16:20:55 ID:QR4qARsM
更新ないまま年を越しそして終わっていく
296
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2015/12/28(月) 19:57:44 ID:vRS7Lg8U
まだかなぁ
297
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/13(水) 13:46:27 ID:q2DIUY3Q
ほ
298
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/01/25(月) 07:44:46 ID:PEqoxBTI
ほしゅ
299
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/01(月) 04:07:18 ID:E4TzL1PA
一体いつになったら落ちるのか
300
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/11(木) 00:15:20 ID:ZzFFk8mY
ほ
301
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/13(土) 22:49:12 ID:Bi1dMP.g
こんなに続きが読みたいのも久々だ
302
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/02/29(月) 02:19:47 ID:VzY.gcKs
何ヵ月経ってるんだこれ
保守
303
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/13(日) 11:15:41 ID:H0Gfcvz.
ほ
304
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/03/20(日) 18:31:01 ID:UITU0q0k
戻ってこいこい
305
:
1
:2016/04/01(金) 12:26:23 ID:NmU8o8Zo
更新再開します!
とかいう4月1日感
306
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/04/01(金) 17:46:53 ID:fkuof8E.
あくしろよ
307
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/04/11(月) 05:24:45 ID:5L7J2kVQ
保守
308
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/04/24(日) 07:19:43 ID:y.p0kCLU
ほし
309
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/05(木) 12:12:34 ID:oolezfuQ
まだか
310
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/10(火) 18:04:01 ID:o3FCC.7g
ほほほ
311
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/17(火) 14:31:20 ID:s.OCnSSk
ししし
312
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2016/05/29(日) 08:32:19 ID:GuqeNDEA
もうすぐ1年経つってマジ?
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板