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みんなで文才晒そうぜ part2
652
:
以下、名無しが深夜にお送りします
:2018/03/10(土) 02:29:59 ID:QeyNLqCw
「おはようございます。今日の具合はどうですか?」
「特に問題はないよ」
問い掛けに鷹揚に頷く。幾度となく繰り返された問答。もはや新鮮さなど何一つなかった。
返事をしなくとも良いだろうが、習慣でつい応えてしまう。
「暖かくなってきましたよ。どうです散歩でも」
私は答えなかった。答える意味も必要もなかったのだ。
散歩をするとしてどこへ行けば良いのか。外を歩く事など全くの無意味だと言うのに。
「私は貴方とずっと一緒に――」
「黙っててくれ」
なおも喋り続けようとするのを遮り、私は感情の赴くままに叩き付ける。たやすく弾き飛ばされて
床に転がる。手足があらぬ方向に曲がっていた。
何という事だろう。やってしまった……
軽い自責の念が襲う。面倒な事が増えてしまっただけじゃないか。
嘆息しつつ転がった女の姿をしたそれを抱えてベッドに寝かしつける。こうして一日放置して
おけばまた動き出すだろう。
「ふぅ。それにしても厄介な物だ」
人類が、世界が崩壊した現状話し合える存在は有り難い、本来ならば。
だがこれは人形なのだ。気紛れに周辺の荒野を出歩いた時に奇跡的に残されていた建物の中で
遺棄されていた。
初めは人間だと思ったがそうではなかった。ロボットと思ったがどうにも仕組みが全く異なる。
驚いた事に素材は人形そのもの。目はグラスアイ、身体は大きさは異なるがよくある球体関節だ。
だが自律して会話でき、どういう仕組みなのか傷なども放置していれば修復される。
会話が出来て喜んでいたのは最初の内だけだ。会話の中身がとにかく少ない。同じ事しか言わない上に
学習機能もない。
ただ動き続けるだけの人形。生き続ける人形――イキ人形というわけだ。
どこかへ捨ててもいつの間にか戻ってくる。どうにも厄介な代物である。
世界にたった一人ぼっちになっても煩わしい事があるなんて、物事はうまくいかないものだ。
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