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みんなで文才晒そうぜ part2

1以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/18(土) 18:14:17 ID:mNOcI4dM
ここはお題に沿った地の文込みのSSを晒すスレッドです

・主に地の文の練習や批評・感想の場として使ってください
・次スレは>>990が(規制等の際には有志が)必ず『宣言』して立てる事
・気楽な雑談がしたい方は酒場や休憩所でどうぞ

【注意】台詞形式のSSは受け付けておりません

前スレ
みんなで文才晒そうぜ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1352992635/

お題>>2

243以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/21(月) 03:06:57 ID:QlPPsXUU
午後八時。最後のお客様が乗った車が駐車場から出ていくのを確認して、私はお店のシャッターを降ろした。
必要最小限の明りだけを残した店内は薄暗い。賑やかだった数時間前と比べると、温度差に肌寒さを感じてしまう。
誰もいない静かな店内。防犯を意識させるお飾りの監視カメラと見つめ合って数秒だけ息を止める。
それからレジスターを開いて、売り上げの成果をじっくりと眺めた。

この店に雇われてから数年。店長に次いで長い経歴という実績に安心されているのだろう。
そうでなければ、私一人だけを最後に残すシフトは組まないはずである。
それが信用を掴んだという揺るぎない証だと思える。

小銭と各種のお札が詰まっている中身を慎重に数える。
大きい買い物をした人が少なかったので、一万札は数枚だけ。
五千円札もお釣りとして渡すことはなかったが、入りも少ない。
千円札はそれらと大きく差をつけてかさばっている。
小銭は……見なくてもいいだろう。

こんな年齢にもなって変な遊びを覚えてしまったばかりに生活苦に陥ってしまった。
自分のことながらいい年をして本当に情けないと思っている。
店長とは年齢が近いだけに、金の絡む恥部の相談はしたくない。

良心につけこむ罪悪感はあるが、罪が露呈したときは同情を誘うしかない。
動機は、給料日までの繋ぎが欲しかった。言い訳をするならば魔が差した。
店長だって血の通った人間だ。必死にすがれば情状酌量はしてくれると信じている。

近くに人はいないが、それでも音を立てないようにレジスターの中から千円札を二枚だけ引き抜いた。
そして皺を作らないように丁寧に折りたたんで、ポケットに押し込んだ。

店の戸締りをきちんと確認して外に出る。外気の温度に耐えかねて手をポケットに入れると温かさを感じた。
これはあくまでも一時しのぎのために行った拝借行為である。次の給料日には返すつもりだ。

次の日、出勤をすると挨拶代りに店長が言った。「昨日の売り上げを計算すると、四千円ほど足りていない」と。

244以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/21(月) 03:17:29 ID:QlPPsXUU
自画自賛できるほど文章力があるわけじゃないけども
こんな感じに内容よりも文章に凝って書こうぜ、とは思う
オチ考察が必要なほど欠けてたりするのはレスが伸びるから別個でスレ立てちまえよ
ファッションショーにお飾り無しの全裸が飛びこんできたら俺は戸惑う

245以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/21(月) 11:09:41 ID:eamIYKgU
 ああ、またあのヒス女が新人に怒鳴り散らしている。泣きながら「すみません」と繰り返す少女に追い討ちをかけ、目を腫らせて出て行ったのを確認すると満足そうに口端を上げた。
 いつものように彼女の自慢話を聞かされるのか。小学校の時一番頭が良かっただの、コンクールで優勝しただの本当にどうでもいい。
 俺に出来ることはターゲットにならないように笑うこと。もう何人もの新人があの女にいびられ辞めさせられている。
 すぐ泣くのは努力が足りないなどと論点をずらし愚痴る。ミスをしたのは新人の少女ではなく、愚痴を零す目の前の女だ。新人にミスを指摘されただけで喚くお前は努力するつもりすらないんですね。わかります。
 出来損ないの上司は新人に八つ当たってなにがしたいのだろう。不良品の返却で忙しいのに不良品ばかり詰めて何がしたい

 足りないものはおかしい事をおかしいと言える勇気だった。

246以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/21(月) 20:58:34 ID:hjqeVHmg
>>244
最もだと思う
サンクス

247以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/22(火) 00:08:23 ID:udcgYjjo
>>245
最後の一行に脈絡が無さ過ぎるように思えた。もうちょっと段階を踏んでからその行につなげた方が読んでて違和感を覚えにくいと思う。

248 ◆u5n33kjMKs:2014/04/22(火) 22:40:52 ID:RcBD4C9.
鈍い痛みが顔に走って、僕は目を覚ました。
ゆっくりと見回すと、辺りは真っ暗闇で何も見えない。ここは何処だろう。
かすかに鼻に香る、つんとした臭いから察するに病院だろうか。

確かめるために恐る恐る手を動かして探る。気付いたが、僕は横になっていたようだ。
真横に動かしたところで、何か堅いものに当たる。
掴んで手に取る……おそらくだが、テレビのリモコンのようだ……。
記憶にあるリモコンをひっぱりだし、電源ボタンだと思われるボタンを押す。

『――はようございます。〝午前七時〟になりました、ニュースをお伝えします……』

明るい女性の声が流れ出したが、画面はつかない。配線が抜けているのかもしれない。
思わずうなり声が出る。こうも暗いと、灯りのスイッチを探すのは危険だ。
それにしても、……一向に目が闇に慣れないな。
どうしたんだろう。
どうして、光がないんだろう。

「何か……足りないなぁ……」

そう言えば、どうして病院にいるのだったか。
……そうだ、火事に巻き込まれて。
最後に見たのは、熱にひしゃげて砕け散る窓ガラスだったんだ。
飛び散るガラスが炎に照らされるのを見て。一瞬、場違いにも綺麗だなと思って。
そうして、目を閉じる間もなく……。

「……っ、た、足りないなぁ……おかしいなぁ……」

僕は目を擦ろうと、手を上げた。

指は何にも触れなかった。

249以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/25(金) 05:03:16 ID:2G30spYM
階段を降りると、リビングではすでにお兄ちゃんが朝の珈琲を楽しんでおりました。
無糖が好みのお兄ちゃんには珍しく、カップの隣には角砂糖が入っている瓶が置かれていました。

「おはようございます」

「ん、……おはよう」

私の挨拶に振り返って応えました。

「今日はまだ冷えますね」

「前線が悪さをしてるんだとさ。数日はこの温度らしいよ」

新聞の天気図に眼を落としながら言いました。
図に書かれたうねうねとした波紋のような線は、私には難くてまだ理解が出来ていません。
ちょこんとすぐ横に腰をかけます。そしてそっと寄り掛かりますと、
決まって私の頭のてっぺんにお兄ちゃんの頬がかぶさってくるのでした。

「今日は晴れるの?」

「天気図によるとそうらしい」

窓から遠くのお空を眺めます。なんだか曇っているようにも見えなくもありません。
雲の色は薄いですが、少し不安なので傘を持っていこうと思いました。

お兄ちゃんの顔が頭から離れたので、私も動いてカップに手を延ばしました。
興味深そうな視線が気になりますが、お砂糖が入っているなら安全です。
ゆっくりと口をつけて少しだけ啜ると、口の中にひどい苦みが広がりました。

騙された気分になったので、お兄ちゃんの腕をつねりますと、憎き笑顔が歪みました。

250以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/26(土) 17:54:48 ID:04LGFpwM
週一お題変更といこうか↓

251以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/26(土) 18:59:05 ID:T2MwUA5c
しき

252以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/26(土) 19:07:22 ID:04LGFpwM
平仮名?

253以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/26(土) 20:15:58 ID:rUOjK7kg
四季
指揮
士気
死期
〜式
いろいろとれるな

254以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/26(土) 21:04:35 ID:GcJBgtww
春夏秋冬のある国に生まれ、育ち、死に逝ける私は間違いなく幸せな部類に入るだろう。
春には、腕を動かす事の出来ない私に仄かな桃色の景色を見せてくれた。
夏には、足を動かす事の出来ない私に太陽の日差しが当たるも、風鈴の涼しい音色で癒してくれた。
秋には、頭を動かす事の出来ない私に橙色の紅葉が風に揺られる音を聞かせてくれた。
冬には、自然が生み出す白い結晶を気の済むまで見せてくれた。
足早に通り過ぎて行く、時間を感じさせない、退屈のしない一生を四季は恵んでくれた。

255以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/29(火) 01:56:04 ID:..32TmOM
楽器の調子も万全だった、由緒あるホールで観客も上々
そんな恵まれた中、我が名も知れぬ音楽隊の旗揚げとなったあの日を私たちは忘れる事はできないであろう

青ざめた顔で指揮棒を振るう指揮者と熱い視線をおくる観客の顔、震える手を抑えて演奏する私たちは教訓として笑い話として音楽隊のなかで今でも語りつげられている

メンバーが一人また一人と減っていくなか次は自分の番だろうかと苦しむこともありますがあのホールでまたみんなで演奏できる日を心待ちにしています

草々

256以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/30(水) 13:54:07 ID:tYNwPPAs
>>254
死にと逝くは同じ意味じゃね
季節追って体の自由が利かなくなるけども、
それが怖いとは思わせない文章好き
足→腕→首→目の順番で下から順に蝕んでほしかった
蝕んでほしいってのも変な言い方だけども蝕んでほしかった

>>255
句読点
語りつげられて→語り継がれて

257以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/30(水) 13:55:48 ID:tYNwPPAs
age

258以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/30(水) 18:44:10 ID:iYq359LA
    サトリ「文通する」

 ハウリング現象というものをご存じだろうか?

 マイクをスピーカーに近づけると、「キィィィン!」という嫌な音が流れる減少である。

 スピーカーからでた音をマイクが拾い、それをスピーカーが再生する、そしてその音をマイクが拾って……

 これを繰り返すことで大きな騒音が生み出される。


 さて、大人になると心を読める種族である「サトリ」。

 彼らが二人出会うとどうなるのだろうか?

259以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/30(水) 23:43:24 ID:puF6voZA
>>256
死に逝く
確かにおかしいな
成る程もう少し順を追ったら良かったな
ありがとう

260以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/01(木) 02:30:23 ID:iexyHa0I
>>258

今更ながら、誤爆だー

261以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/01(木) 09:39:59 ID:ONpfN0wI
昨夜、どう『しき』にかかってるのかめっちゃ解読しようとしたのに…

262以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/07(水) 08:54:52 ID:9Nsb39VI
>>260
どう誤爆したんだww

263以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/07(水) 12:13:28 ID:j4D/tTcA
age

264以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/18(日) 08:49:30 ID:4P9NWxas
>>255
とりあえず口調は一貫させろよ……

>熱い視線をおくる観客の顔
舞台に熱い視線をおくる観客、でおけ

>震える手を抑えて演奏する私たちは教訓として笑い話として音楽隊のなかで今でも語りつげられている
色々おかしいよな

せめて自分で何度か見直してから投稿しろよ……

265以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/18(日) 17:57:20 ID:SzmIy15k
何日前の相手にレスしてるの
お題くれ

266以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/20(火) 23:06:20 ID:IA5z5BRg
裏切り

267以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/20(火) 23:07:34 ID:IA5z5BRg
上げた方が良かったかな

268以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/21(水) 00:06:24 ID:RWf4y4Sg
三学年のフロアのどこを捜してもいなかったので、また仮病でも使っているのかと医務室を訪ねたのですが、そこにもいませんでした。

それならばきっと、先に駅のホームへ向かって私の事を待っているのかと思ったのですが、ちりちりと夕闇を削るような音を立てる蛍光灯のほかに立つ影はありませんでした。

ここ最近ののところは、家が同じ方角だと知ったので、毎日一緒に下校していたのです。そんな仲になった彼ならば、きっと委員会が少々長引いた程度なら待っていてくれて、昨日の様にクラスの悪口でも言いながら帰れると勝手に考えていたのです。

元来彼と私は淡泊が過ぎて出会ったようなものですのに、何故そこに気付かなかったのかと、彼がいない空虚を通して、彼になんだか心を弄ばれている様な不思議な気持ちになったのです。

269以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/21(水) 08:28:24 ID:5yLwBKH6
>>268
あまり文学なんぞ詳しくも無ければ文才もねーけど幾らか
医務室に~のくだり
・授業が終わっているのならたとえ仮病でなくても帰るのでは? という素朴な疑問

駅のホームで云々
・蛍光灯と言われると吊り下がっているものを連想してしまうので立っていると言う表現が微妙。
なんなら駅の前で~などにして街路灯とした方がいいのでは。(只ゆとりの自分の想像する蛍光灯が違うだけかも)
・委員会が多少長引いた割には暗すぎないか、という点。
暗くするにしても冬だから等理由をつけるためにマフラーや手袋などのものを出してはどうか。

委員会が云々
・委員会が長引くほどの議題がでてくる高校(?)の最寄りの駅が過疎地にある寂れた駅の様な描写はどうなのか。

最後のところは読解力ない俺には何も指摘できねーわ

270以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/21(水) 09:30:05 ID:tiTUlXsw
>>268
文章の平淡な雰囲気は好き
面白い表現があっていいなあと思った
特に最後の一行の言い回しが自分好み
一文が長いせいか、ちょっとテンポが悪いかもな
短くちぎって読みやすいリズムがほしかった

文才とは関係ないけども、『私』が彼に対して
淡泊でなくなりつつある心境の変化を表す描写が欲しかった

でもわりと好き

271以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/21(水) 23:37:16 ID:RWf4y4Sg
>>269
>>270
ありがとうございます
まさか反応あるとは思わなかったから嬉しい
読み返してからおかしかったなって思うとこに的確な指摘が入るから、指摘する方もある種の文才要りそう

楽しいなこれ
これから小説とかはじめようかな

272以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/22(木) 20:34:36 ID:yCHgPgsI
ショコラケーキを切り分ける手が止まる衝撃だった。
友人の話しを要約すると、つまり今日、
これからすぐに彼が部屋にやってくるらしい。

危険を察知して逃げる体勢に入った友人の首根っこを捕まえる。
なにゆえ事前に報せないかと訊ねると、
「冷静沈着が動揺する滑稽を拝みたかった」だそうだ。

部屋の隅に追い詰めて、たわけ小娘がと蹴り回す。
ひたすら小躯を突き回して楽しみ、終いに背中をぐりぐりと
踏んでいると、客人の到達を伝える愉快な音色が流れた。

しまった、来てしまった。早いではないか。
慌てて玄関に走って、のぞき穴から相手を確認する。

あなや本当に彼が来訪しているではないか。
扉越しに「時間がほしい」と伝える。
近くから聞こえる彼の声にどきりとしながらも、
猶予をくれる器の広さに感謝をして、部屋へととんぼ返りする。

走って戻る私の慌てぶりを横目で見ながら、
掛布団の柔らかさにため息をこぼしてくつろぐ友人が憎らしい。

最低限の整理だけを行い、彼を部屋に招き入れる。
友人は挨拶を挙手だけで済ませてしまい、ショコラケーキを頬張った。
こやつ、人が緊張と羞恥でうつむく姿に笑っておる。

祝いの言葉を二三ほど述べた彼は、プレゼントを差し出してきた。
私はなにも教えていない。なにも教えられていない。なにも知らない。
消え入りそうな声で謝辞を口にし、そのまましゅぽんと消えたくなった。

273以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 00:20:08 ID:aTzpy7WU
>>272
ステキ!

274以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 01:14:43 ID:DPd21ZMQ

「糞ったれ、よりにもよってまあ……」

僕は日差しに焼ける楕円形の鉄タンクに、へこみができない程度に力を加減してげんこつを入れた。
こぁん、と響く音がいかにもその中身の少なさを物語っている。

とはいえこの鋼鉄の彼女が拗ねている理由は空腹では無いはずだ。
念のためハンドルを握りその身体を揺すってみると、ちゃぷんと液体が跳ねる音が聞こえた。

(いっそガス欠くらい単純な理由でへそを曲げてるなら、その方が楽なのに)

彼女の心臓に送られるガソリンの霧、その濃さがどうしても整わないのは長く解決しない持病というべき症状。
ガレージを出る前に短く調子を利く時はいつも機嫌が良いくせに、暫くその背に跨って駆けてみると決まって四千回転から上に達さなくなる。

そして挙句の果てには「ぶすん」と悪態をついて鼓動を止め、それからは毎度この有様だ。

しかし今日の不貞腐れようは、いつにも増してたちが悪い。
何しろこの場所は、いくら見渡しても茶色の大地にキャベツと思われる丸い緑が規則的に列ぶだけの畑、畑、田んぼの向こうにまた畑という片田舎。

普通なら三十分も歩けばある程度の得物を借りられるガソリンスタンドが目に入るものだが、こうも明らかに期待がもてない景色の中にあっては二百キロ台半ばの大女を押す気になどなれるはずがない。

「悪かったよ、あの若い娘は近所の買い物用に買った原付なんだ。僕は今までもこれからも……」

キックスターターにかけた足に力を籠めながら、僕は言い訳を並べたてる。

「君ひと筋だって!」

ささやくというより、声を荒げて告げた殺し文句。それと同時に繰り出す、渾身のひと蹴り。

しかし彼女は「まだ許さない」と嘲笑うかのように、めっき色に輝く排気筒からくぐもった不発音を漏らすだけだった。

275以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 01:17:30 ID:00ghjwFI
>>272
どこか突っ込むところがないかと探したけど見つからなかったから褒める事にした

> しまった、来てしまった。早いではないか。
テンポが素敵。
>消え入りそうな声で謝辞を口にし、そのまましゅぽんと消えたくなった。
ここの言い回しも素敵。

人によってはくどいと感じる人もいるかもしれんが俺は好みだな。

276以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 03:11:12 ID:B/mpavTI
>>272
言い回しが軽妙だな
可愛くて可愛くてにやにやしてまう
こういうの好きだわ

>>274
気持ちわかるわー
声かけてまうよな

277以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 09:07:09 ID:Iwo9ynlo
>>274
焦りが伝わってきてにやにやした

278以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 09:32:35 ID:aCDsBIB2
>>272
ニヤニヤ要素満載だな、素晴らしい
1レスで当分補給できた

前半の主人公の気の強そうな様が、最後の弱さをひきたたせてる

ごく一部惜しい点を挙げれば、近接した箇所に「〜ではないか」が
二度使われているところくらいかな

279以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/23(金) 09:33:28 ID:aCDsBIB2
いかん

当分補給→糖分補給です

280以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/25(日) 01:32:01 ID:hvxWwit2
当たり前のことだけれど、僕と彼女には不平等が存在する。
その不平等はコミュニティが閉鎖的になったとき、
秩序の象徴となり必要悪としての役目も持つ。
分かりやすい形として現れるのが、わがままである。

彼女がわがままの矛先を日陰を好んで歩く男子に向けると、
とても残念なことに断れない雰囲気ができあがってしまう。
陽気で呑気な周囲の目には、お姫様が貧しき民に
花束を贈呈するような美しさで見えているのだろう。

しかし僕にとってはまったくの逆である。
ヘビに睨まれた蛙。鷹に出くわしたネズミ。
彼女はまさしく天敵であり、恐怖の対象に他ならない。

「ノート、貸してもらってもいい?」

返事を待たずして差し出される手。
催促しているのか、上に向けた手のひらが閉じて開いてを繰り返す。
男子は嫉妬と好奇心で、女子は純粋な興味だけで僕と彼女を交互に見つめた。

僕と彼女は不平等で立場が違う。立ち位置が違う。
待たせるのは非。断るのは罪。黙って速やかに従うのが法令。
鞄からノート出して手渡すと、彼女は簡素なお礼を残して離れていった。
昼休みが終わるまであと十分。数ページ分の宿題を書き写すには有り余る。

強張った体をほぐすため息をつくと、観衆からひょっこりと友人がこぼれた。
元気出せよと僕の肩をたたく。のと同時にわざと足を踏まれた。
羨ましいなら代わってあげるよ、と言いかけたところで友人が口を開いた。

「俺が写せなくなっただろ」

281以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/26(月) 10:12:39 ID:I6gMZN/w
賑わってたのなage

282以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/26(月) 20:26:55 ID:pXQUtaws
さびれたトタン張りの体育館の壁、涼しい風がふわりとふき、既に空は赤く染まっていた。
週に一度の掃除当番を終え、帰ろうかと立ち上がった。
見慣れた男が体育館裏へ向かっていった。
気になってこっそり後を追い、死角から聞き耳を立てる。
良く聞こえないけど、告白?
相手が誰かと気になって覗いてみたら、男の後ろ姿と、その向こうには見慣れた女が立っていた。
ふと、私の胸がズキンとした。

283以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/27(火) 11:22:24 ID:9mAM6viU
>>282
言いたいことがありすぎて一レスに纏まらんかった。
まず文章力がどうこうとかそう言うのは置いといて、もうちょっと書き方に統一性を持って書いて欲しい。
第一人称で書いて、四行目と五行目辺りは主人公の気持ち(ってか考え)が出てきてるのに、一行目と最終行には殆どそれが出て無い。
特に最終行なんて胸がズキンとしたって言ってる割に状況説明にしかなってない。
一行目もふわりと、とか言ってるのにありのままにしか書かれてない。
恐らくだけど感情豊かに書くか淡白に書くか悩んだ上で結局どっちつかずになった感じだと思う。
感情豊かに書くにしても淡白に書くにしてももうちょっとどっちかに寄って欲しい。

一レスに纏まらんから個別的なことは他の人に任せる。

284以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/27(火) 22:30:38 ID:2fsN7BQ.
>>280
面白い、とくにオチが秀逸
友が自ら発した励ましの言葉に対しては、足踏み攻撃も裏切りの内か
読み手に『ああ、結局友も彼女にお近づきになりたいから、主人公に裏切られたと考えたんだな』と錯覚させておいて実はノート写しを期待していただけ…と
最後一行で一番裏切られるのは読者というwww

惜しいと感じたのは(考えあってかもしれないが)『彼女が我儘の矛先を〜できあがってしまう』は『〜生まれてしまう』の方が自然な気がした点
それからお姫様は貧しい民にご丁寧に『贈呈』はしない、『恵んでいる』とか『与えている』が相応しい気がする事と、貧しい民に与えるなら花よりもパンかな…と
最後のはピント外れ感の演出かもしれないが

285以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/27(火) 22:44:16 ID:2fsN7BQ.
>>282
人の事を言えるほどの者じゃないが、文章はまだまだ勉強が必要だ
前半『〜いた』『〜った』『〜った』同じ表現が連続する時点で、狙っているのでない限りかなり減点されてしまう
『よく聞こえないけど、告白?』の一文だけが、妙に他の文章から浮いている
それから胸がズキンとする理由はかなり明らかなわけだから『ふと、』の表現は合わないと思う

ただ『見慣れた男』と『見慣れた女』という被った表し方が意図的なんだとしたら、この点はなかなかいい
同じ言葉を使っているから男女ともに主人公と等しく近い距離にいる友人達なんだろうと察せられる
その彼らの秘密の逢瀬を見た主人公が感じた『裏切られた』という想いは、読み手に切なく伝わった気がしたよ

286以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/27(火) 22:59:24 ID:g5FhGTSI
>>284
どうも
出してからなんか全体的に弱かったなあと反省してる
マリーアントワネットにすべきかどうかは迷ったんだけど、
その指摘が入っちゃうなら結果的にすべきだったな
何度も読み直して猛省してるわ

>>282
題材はいいのにボリューム不足でもったいないなと思った
文才絡みは前の二人がつついた内容丸被りだから省略
俺にもそんな甘酸っぱい青春あったらよかったわあ……

287以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/28(水) 11:24:33 ID:ulNMoP9U
>>283
>>285
指摘ありがとうございます。
言われてみれば確かに、と思いました。精進します。
>>286
ボリューム不足は語呂の無さの結果ですね。これも精進します。
ドラマチックには憧れますよね。

288 ◆u5n33kjMKs:2014/05/28(水) 17:15:16 ID:M75iS0pU
「裏切り者ぉっ」

僕に馬乗りになった彼女が涙声で叫んだ。
その小さな握りこぶしにはあらん限りの怒りが込められているようだ。
僕の顔面にそれが降り注がない様に、慌てて口を開く。

「待ってくれ、裏切るつもりは無かったんだ! ちょっと気になっただけな――ぐふぁっ!」

一発。
判断ミスだった、どうやらそもそも弁明の余地もなく彼女は怒っている。
彼女は殴った手を見て痛そうに顔をしかめながら、もう一度振りかぶる。

「気になったからってすぐに手を出すのっ!? 信じてたのに! 君はそんなことしないって信じてたのに!」

二発、三発。
そろそろ頬がしびれてきた。いくら彼女の細い腕だとは言え、顔への攻撃は堪える。
僕が殴られて当然な事をしたのは分かっているけれど、抵抗させてもらおう。
四発目のパンチを手で受け止め、彼女の腕を押さえる。

「っ、離してよ!」
「ごめん……もうしないから」
「……好きだったのに」

彼女は倒れ込んで僕の胸で泣く。


「私、あのプリン大好きだったのに! 楽しみにしてたのに!」


食べ物の恨みは恐ろしいな、と僕は思った。

289以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/06(金) 23:32:37 ID:Wbb9KLAw
>>288
それ裏切りじゃなくて泥棒じゃない
約束したとかそれっぽい描写入れたほうがオチもスッキリしたと思う。
私が言えた事じゃないけど。

次のお題行く?


290以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/06(金) 23:37:49 ID:VH8Twpss
じゃあ梅雨になったから【なめくじ】で
最近はこれが家の中に侵入してくるから困る、どこから沸いてくるんだか

291以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/06(金) 23:39:15 ID:VH8Twpss
あ、
ごめんなさい、Sageを消す途中で送信しました

292以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/07(土) 00:13:00 ID:BGJEhfVk

「あっ、かたつむりだ」

透き通った朝露が光を反射させ緑を彩る。

鮮やかなステージの上に小さな主役が佇んでいた。

「えっ、この子ナメクジじゃないの」

「だって、カラがついてるだろ」

首を傾げ、不思議そうな顔をする。

「じゃカラを取ったらナメクジなの?」


大きな影がかかる。

じりじりと身を焦がす光が遮られ、ふわりと体が浮いた。

「人間も、そうなのかな」

空気が震え、僕は僕ではなくなった。

293以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/07(土) 00:23:06 ID:BGJEhfVk
地の文も行間空けてしまってた
読みづらかったらごめんなさい

294以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/07(土) 01:24:29 ID:yOxpnZYQ
 ナメクジは薬になるらしい。
 乾燥蚯蚓や蝮焼酎なんてものがあるのだから。ナメクジもその中に入るのだろう。
 ただナメクジを生きたまま飲むというのは想像するにはとても恐ろしい。
 嘗て、浮気性の夫にエスカルゴと偽り蛭を喰わせたという逸話があるが、それとしって食べようなどとは到底思えない。
 そんなナメクジを料理する強者もいるらしいが、それを真似できるだけの度胸を持ち合わせいないのだから、結局真相はわからずじまいだ。

295以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/07(土) 02:39:56 ID:.wbTek4U
目と鼻の先にナメクジが飛んでいる。
一寸と満たない体?が、目下、肌色銃弾となり己の顔面へと飛翔中なのだった。言わば落下中とも言える。

「えっ」

──事の発端は「あー今日もバイト疲れたなーあ、星が綺麗じゃん」と夜空を仰いだ瞬間だった。
時給八百四十円。街角老舗古本屋。主な労働内容はもっぱら手癖悪し悪ガキ監視。
筆舌すべき疲労点は、長時間の着座に、赤子の夜泣きにも負ける腰の悲鳴程度。

「ちょっ」

勿論、本来この度合いでエネルギッシュかつ若さ溢れるマイボディが愚痴を零すわけがなく。
口から放り出たものは只の単なる世迷い言。塵にもみたない自己満足を得るためであり、故に怠慢たる行為は無作為に悲劇を巻き起こしてしまったのだ。

「まっ!?」

夜道のみっちり閉じた闇を、申し訳程度に緩和させる街頭。
頭上高々に聳え立つ一筋の光は、街中の虫という虫をワッシワッシとかき集めたかのような混沌たる惨状であり。
──そこから『四弾目』の肌色残光が迸ってきた。

「って?」

降り落ちる弾道は刃物の如く鋭い。
まずい、このままでは顔どころか口内へと侵入を許させてしまう。というかむしろ既に『一弾目』と『二弾目』は口内へと突入済みだった。

「もがっ! んんんんッ〜〜〜〜〜〜!!!!????」

事は既に始まりを告げて、終わりを迎えている。
思考速度は軒並みのもので、走馬灯のような奇蹟を起こしているわけじゃない。
無事に五弾の着弾を確認した己のフレキシブルな脳は、手遅れのまま現状を無事に把握した。

296以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/07(土) 02:41:21 ID:KghzbA4Q
>>292 ほのぼのした雰囲気から少し哲学的な文章に変わったように感じた。殻を取ったら人間も自分自身ではなくなるということを理解するのに少し時間がかかった。
夏の朝の表現が爽やかで良かったから最後まで保てていればさらにいいんじゃないかな。短い文だけど色々詰まってて良かった。

>>294 あるのだから〜入るのだろうで文章がつながっているから「。」ではなく「、」の方が自然な気がした。それか「ある。」で切るとか。文章が短いから何とも言えない。他に違和感を感じるところは特になかった。

297以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/10(火) 20:21:27 ID:M3UVhpR6
雷が幾度がぴかりずしんと雷鳴をとどろかせてからは、
いきなりの大粒の雨だった。
乾いた雷ばかりが続いていたので油断していると、
待つ時間もくれずに空気が冷えて強い雨が屋根を叩いた。

慌てて窓を閉めてもその音の勢いは弱まることがなかった。
ガラス越しの夜の曇り空を見上げた。
夜よりも重い色をした雲がどんよりと、体全体で空一面を覆っていた。

窓ガラスに触れてみる。温度はぬるいがひんやりとしていた。
夏には似つかわしくない冷め方をしていた。

なんとなく外気との温度差が気に入ってしまい、
まるで初めて鏡の不思議を見つけた子のように、
ペタペタと表面を触って冷たい温度を探した。

もしかしたら、ガラスよりも縁の鉄枠の方が具合がいいのかもしれない。
思い付いて窓枠を触る。案の定だった。ガラスよりも温度が低い。
縁は広くないので、人差し指でガラスと鉄の境目を沿って撫でる。

発見に対しての興味と執着は一致しない。
つまり全部を丁寧に味わい尽くすつもりはなかった。
足のつま先を延ばさずに手の届く範囲だけで縁をたどる。

側辺と底辺だけで満足できてしまうので、
わざわざ上辺にまで手を伸ばすことはしない。

指先でぬるい温度を楽しんでいると、
不意にふぬりとした感触が指の腹に当たった。
いつのまに入っていたナメクジが、迷惑そうに頭を持ち上げた。

298以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/10(火) 21:42:21 ID:HM6rNizQ
詩みたいで普通の文章より読みやすい

299以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/13(金) 09:22:15 ID:Qh9gFWOY
ナメクジと妖怪は似ている。

ナメクジは昔、その毒で蛇をドロドロに溶かして殺すと考えられていた。
それが間違いなのは明らかであるのに、人々はそれを信じて疑わなかったのだ。
しかし、科学の進歩とともにナメクジの毒は否定されていった。
現代でナメクジにそんな毒があると信じている人はいないだろう。

しかし、あなたはなめくじが何を食べているかを知っているだろうか?

ナメクジには、植物を食べるものもいれば、動物、ひいては同族すら食べるものもいる。
しかし、私たちにはそれが想像できない。
どうして「ヌメヌメしてノロノロと動くだけの生物」が、何かを食べると想像できるだろうか?
葉っぱを食べて体が緑になるナメクジを知っている人なんてほとんどいないに違いない。
ましてや、同族を食べるところなんて想像すらしないだろう。
私たちはナメクジを知らないのだ。ナメクジは、まさに身近にいる未確認生物である。

ナメクジと妖怪の話に戻そう。
ナメクジの名前を知らないものはいない。しかし、ナメクジがどう生きているのかは知らない。
身近な謎であるのにもかかわらず、誰も疑問に思わないのだ。
案外、謎なんてそんなものではないかと思う。
身近に妖怪がいたところで、誰も謎にすら思わないのだから。

300以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/22(日) 13:26:20 ID:LXXyrxXw
>>299
妖怪視点かな?
未確認じゃなくて未知じゃないかな。でも身近にいる未確認生物って表現は好きだな。

301以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/22(日) 18:22:29 ID:pZSr5zG.
ショートケーキとは世界有数の壊れやすい食べ物である。
今回父の買ってきたものに至ってはツバメの巣のような砂糖細工まて乗っかっている。くしゃみをしただけで崩れてしまいそうな程危うい代物だ。
まずそれを崩すことなく家まで持ち帰った父が偉大であり、また形を保ったまま切り分けた母も大したものである。
それらの仕事に比べればなんてことはない最後の仕事、お盆に乗せたケーキをテーブルに運ぶこと。
それを任せられた私の緊張は言葉に表せなかった。何を隠そう、私は不器用なのだ。

慎重にお盆を持ち上げ、体を右に向ける。出っ張った輪ゴムかけに注意を払いつつ狭いキッチンを抜けると廊下に出る。
目指すはリビングであり、そこに向かうにあたってはダイニングを抜けるのが最短となる。廊下を通るのは、多少回り道をしても障害物のない道を通るべき、との判断の基である。
短い廊下には曲がり角もないのだ。問題になるようなものは一つとして存在しない....その考えは、ハッキリ言って間違いだった。実際神経を張り詰め歩けば見えてくる、危険の数々。
まず床の滑りやすさ。謎だった。材質はキッチンと同じフローリングのはずなのに、ここだけ妙にツルツルと足をとられる気がする。
次に階段。三階に続く上り、一階に続く下り。白い壁紙のせいか、真横に立つまでそれらの存在に気付かないのだ。思いもよらぬ場所に突如として現れる巨大な穴は恐怖そのものである。
そしてなんと言ってもその廊下の暗さ。リビングからの光で十分、普段は廊下の電気はつけないのだ。スイッチをたった一度押せば足元が見えるはずなのだが、今の私にそれはあまりにも難しい動作である。助けを呼ぼうにも口が開かなかった。つくづく不器用なのだ。

ここまでの危機的状況、いかにして切り抜けるべきか?答えはたった一つ、気をつけて進むだけである。しかしそれのなんと難しいことか、冷たい緊張が背中を伝う。
すり足で先に進む。急いではいけない、お盆の水平を保つのだ。横目でチラリと階段を見やる。下りの階段は感覚を狂わせるようで、体は静かに傾き始める。
私がその事実に気づいたのはお盆に乗った皿の滑ったことによる。状況を理解、瞬間湧き上がる焦り。あなたならどうする?
私のとった対応はこうだ。まずお盆を水平に戻す。倒れていく体を支えるべく足を一歩横に踏み出し、体勢を安定させる。一度落ち着いたらお盆の上でずれた皿を整え、再び運び始めればよい。全て分かっていた。
当然ながら、そう上手くはいかなかった。なんせ私は不器用なのだ。

傾きを直そうとした盆はひっくり返り、踏み出した足がガクンと下がった。下りの一段目が見えないのだ。踏ん張るタイミングを思いっきり外した私は綺麗に横回転、階段を転げ落ちた。
背中を打ち、肩を打ち、頭を打ち。遅れて落ちてきたお盆までもスコーンと額を打った。今頃あのケーキはどうなったのだろうか?薄れる意識の中、ここまでの事を思い返して最後に浮かんだ疑問だった。

302以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/23(月) 03:41:58 ID:Ku8/O3Ms
お題全然関係ないの投稿してから気づいた
ごめんね

303以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/23(月) 14:40:25 ID:NIhgVlls
面白いしべつにいいんじゃね
お題が大事なら次のを↓

304以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/23(月) 18:45:01 ID:yhe4F9Zg


305以下、名無しが深夜にお送りします:2014/06/30(月) 22:07:13 ID:gZ6BK45E
お互いに批評しないから過疎ってんじゃね
自分のだけ評価して欲しいじゃなくて他の人のもみてやれよ

306以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/04(金) 22:49:48 ID:nibMRAW2
あげる

307以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/05(土) 19:51:13 ID:phKvVSP6
>>299
面白かった
>>300を見てから最後の行を読み直してそういうことかと気付いた
いきなりなにを語ってんだと思ってたらそっちだったか

>>301
お題なんて日が経てば無いに等しい
短文でテンポが良くて読みやすいな
見た目は圧倒される分量だけど主人公がかわいかった。


お題どうするよ
過疎に負けずに継続か?

308以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/10(木) 22:46:22 ID:90CHiihk
夏の暑さというのは何故こうも人を気怠げにさせるのか。
暑さで脳が働かない。とよく人は口々に言うが、まさしくその通りだ。
暑さで脳が働かないとはどういうことだと、冬の時点では誰しもが抱く感想だが、実際、夏を迎えるとその誰しもが頭を抱える問題だ。
クーラーが三種の神器の一つとはよく言ったものだと思う。
人々から崇拝され、時に助けを求められる神という存在が人に授けた鏡・玉・剣。
その三つに値する程価値のある物、という解釈で差異は無いだろう。
カラーテレビ、自動車に名を連ねるクーラー。
この世にクーラーが生まれなければ自分は生まれなかったかも知れない。
それは流石に無い。とは言い切れない物である。
バタフライエフェクトという仮説をご存知だろうか。
北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで竜巻が起こる。という信じがたい事ではあるが、あり得ないとも言い切れない仮説である。
クーラーが無ければ私の父に当たる人物は母に出会わなかったのかも知れない。
つまりクーラーは私の恩人、いや恩物と言っても過言では無いのかも知れない。
全ての物事に"かも"は付きものなのだろう。
つまり、結局の所ここまで自分が云々かんぬん述べた話をまとめると、クーラーを発明した人はノーベル賞でも受賞すべきであるという事だ。

309以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/11(金) 06:57:26 ID:UKvXm8LM
>>308
知ってる知識をいい具合に並べてみましたみたいな感じになって微妙
物語なら展開の移り変わりで強引に流れが作れるが、
評論っぽいものを狙ったなら、その内容の薄さは致命的
最後の〆かたを見るとバタフライ効果の部分はまったくいらないし

自分に合う文章の書き方を再確認するための習作ならまあまあじゃね?
文の長さは適度で読みやすいから、それを意識して維持すると良くなると思う
次に期待だわ

310以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/11(金) 20:55:50 ID:0P9Z95ZU
>>309
自分でも書いててこんがらがっちゃったのよね
知識不足を露見させただけだったわ
評価サンクス

311以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/12(土) 15:25:57 ID:jLQ8S4sY
でもクーラーつけたらつけたで体がだるくなるよな

312以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/16(水) 00:01:48 ID:CvjIZ8Ms
>>299
今更だけど、最後の一文、「誰も謎に思わない」じゃなくて「誰も疑問に思わない」だね。
いやはや、お恥ずかしい。

>>308
やりたいことはなんとなくわかるんだけど・・・って感じかな?
もっとクーラーをプッシュしてもいいかもしれない。
例えば、3行目と4行目の間に「そのにっくき人類の天敵への救世主こそがクーラー様である」

なんとなくラノベっぽいから、もっとラノベっぽくしてもいいかもしれない。
書き手の心情や皮肉をプッシュしてみるとか

313以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/16(水) 01:03:54 ID:ZMq1uK.I
額から生まれた汗が、のろのろと落ちていく。

眉を伝い、頬を這うそれはあまりにも粘性に満ちていて、溶けた脳が染み出しているんじゃないかとも思った。
なんだか頭もぼんやりとしているから、たぶんそうなんだろう。

ならば、このままほうっておけば。
太陽光に焼かれながら、脳を溶かし続ければ。

いろんな思い出を、アスファルトの染みにして。そのまま日で焼いて消せるのだろう。
あるいはシャツに染みこませて。洗濯してきれいさっぱり洗い流せるのだろう。

こんなことを言えば、あの子はどう応えるだろうか。
アイスをかじりながらけらけらと笑っていた、彼女の顔が浮かぶ。

ちょっぴり日焼けして赤くなった鼻先、真っ白な歯。口角を持ち上げる表情筋。
薄桃色の唇から感じる、甘くてさわやかな香り。僕の鼓膜と心を揺らす、笑い声。

まあ、溶かしたいのも、消したいのも、その笑顔なんだけど。
身体が動かなくなるまで脳みそ溶かしても浮かぶ、それなんだけど。

ああ、うまくいかないなあ。

314以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 09:44:31 ID:bYo5mVQ6
>>313
いいよ、俺は好きだな
いかにも平凡でメルヘンチックな恋煩いの表現と、脳が溶けて染み出すなんて少しグロいような表現の対比が効いてる

少し読点が不要な部分があるかな…とは思った
『いろんな思い出を』や『けらけらと笑っていた』の後ろの読点は要らない気がする

『〜おけば』に連続した『〜れば』
『〜だろう』×2連
『〜なんだけど』×2連

この辺は狙ってるんだと思う、俺は好き

315以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 11:14:20 ID:s1wU9Mnw
>>313
粘性の汗は不健康なイメージが付くからやめようぜ
新陳代謝が衰えたせいで老廃物が混ざってしまった汗だぞ

>口角を持ち上げる表情筋
>僕の鼓膜と心を揺らす、笑い声
可愛い彼女に似つかわしくない固い表現でもったいない
ここだけ浮いてる気がする

フラれたのかべつの男がいるところを発見したのか
彼女を見てきて上昇していった体の熱と体温調節のために排出される汗の組み合わせが面白い
汗に脳を混ぜようとする錯覚と願望で、細胞単位で彼女を忘れ去りたいという思いの強さを感じた
それでも上手に消しきれないところが青春らしい若さ故の執着なんだろうなと思えた

苦い失恋話は得意じゃないけど、これは嫌いじゃない

316以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 22:28:04 ID:2AeRHxRs
かなり時間経ったからお題変更する?

317以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/17(木) 23:21:31 ID:spZiNbDU
海の向こうは真っ暗で、波の音と潮の匂いが君を少し怯えさせている。
少し離れたところで、君の友達が花火で遊んで笑っているのに、君はこんなところで黒い海を眺めている。
君は多分、こういうのが苦手なのだろう。
一人の男の子が君に近づいてくる。彼は君のことが好きで、それは君も気付いているのだけれど、あまり嬉しく思ってはない。
わずらわしいとさえ思ってる。
「何、してるの?」
「海を見ているよ」
「真っ暗で、何も見えないように思うけど」
「そう?」
実際、君にだって海はよく見えていないのだ。ただ、見えないけれど、確かにそこにある、ものすごいエネルギーの水の満ち干きから君は目を離せなかった。
「怖くない?」
「何が」
「夜の海」
君は笑ってしまう。
「何で? 見えないから? 見えないけど、そこには確かにあるんだよ」
「……だから、怖いなって、俺は思うんだけど」
「怖くないよ。むしろ、ひきこまれるような感じがして、悪くない」
「……何かの例え話?」
「どうだろう。そうかも知れない」
「……皆のとこに戻ろうよ」
「もう少ししたらね」
君はいつまでも海を見ている。図々しくも隣に座って君と同じ方向を見ている男の子のことを、早くどこかに行ってくれないかなあと思いながら。

318以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 01:30:21 ID:hJQ3Jzl2
お題
怖い話

319以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 06:44:58 ID:hYEuosMc
人生は選択の連続であり、その選択によって無限の可能性に分岐する。
私は似たようなことを何度も聞いて来た。
しかし、私は断言する。
人生に無限の可能性なんてない。

私にとって、人生の選択はすべて不幸にするものだった。
人と話せば口げんかをし、黙っていれば気まずくなり、一人でいたらいたたまれなくなる。それが私である。
友人関係、進路、趣味。その中でどんな選択をしても、私は不幸になった。どの選択も「はずれ」だったのである。
だから、私はせめて「はずれ」を引かないようにし。
私はいつも選ばなかったのだ。
現状維持を続ければ、不幸にならないし無心のままでいられる。
それは、何かを選んで不幸になるよりもよっぽど楽なことであった。

しかし、しばらく自分の世界に引きこもり続けているうちに気づいてしまった。
こうやって無心であり続けても私に幸せなんて訪れないし、幸せはむこうからはやってこない。
今のままの私には幸せな未来なんてない。
しかし、自分の世界から飛び出したところで……待っているのは苦痛だけである。
私が私である限り、人生は不幸なのだ。

だからこそ、私は生まれ変わるのだ。
私が私でなくなれば、きっと人生はうまくいく。選択が幸運を招くようになる。

これから私がすることは、最悪の選択かもしれない。
だが、私はこれが最善の選択であると信じている。
少なくとも、不幸になる選択をしなくて済むようになるのだから。

320以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 06:45:44 ID:hYEuosMc
あれ、なんか怖い話をするつもりが変な方向に暴走したorz

321以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 09:10:25 ID:DzuFR2qw
>>319
ラストでえ?ってなって読み返して理解した。

「これから私の〜」のあたりもっと目立つようにしてよかったんじゃ?

322以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 09:36:30 ID:/w7XmazM
>>317
読み手自身が最初から海を見ている子なんだと捉えるのが自然なんだろうな
こういう書き方も面白いと思う

「もう少ししたらね」と言っておきながら、直後に『いつまでも海を見ている』と否定して
いかにもいい加減に返事をした感をもたせたりするのは上手い

気になったのは

『君を少し怯えさせている』
『彼は君のことが好きで、それは君も気付いているのだけれど、あまり嬉しく思ってはない』
『わずらわしいとさえ思って(い)る』
『君は目を離せなかった』
↑あたりは『君』の心情についてかなり断定的に語っているし

『早くどこかに行ってくれないかなあと思いながら』
↑に至っては脳内での台詞(?)さえ読み取っているようなのに

『君は多分、こういうのが苦手なのだろう』
↑なぜここだけが曖昧で予想に過ぎないのかってところが引っ掛かった

狙いがあったならすまん

323以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 17:05:32 ID:mY9SAwUU
>>322
そう、読み手が自分(女の子)っていうふうに考えて書きました。
「君は多分、こういうのが苦手なんだろう」っていうのは、本当は皆でわいわいしたいような気もするけど何となく中二病的な気分になって出来ない。
でもそれを認めるのってしんどいから、客観的に自分を表現してしまいがちな面倒くさい乙女心…みたいな感じです。
何を言っているのだ私は。

「怖い話」でちょい長めのものを書いてみましたので投下します。

324怖い話1:2014/07/18(金) 17:06:35 ID:mY9SAwUU
これはママがまだ中学生のときの話なんだけどね。そう、パパと結婚するよりも、もっともっと前の話。

ママのおじいちゃん、あなたのひいおじいちゃんね、ひいおじいちゃんの家に、ママ、一人で行ったことがあるの。あれは何でだったかしら。何か、親戚の集まりがあったんだと思う。で、暇だったママは、少しだけ前乗りして、ひいおじいちゃんの家に行ってたってわけ。

ひいおじいちゃんの家は、山の中にある小さな湖のほとりに建っていた。とても綺麗な場所で、湖の澄んだ水がきらきら空を映して、その上を可愛らしい鳥たちが行き交っていた。雲はまるで世界中の雲を神様が集めてぎゅっと固めたみたいに濃い白で、美味しそうに見えるくらい。

そんな素敵な場所だったけど、二日もすると、ママ、飽きちゃったの。そこにはお友達もいなかったし、喫茶店も本屋も映画館もなかった。そういうのが揃っている麓の街までは、なんとバスで40分もかかったの。今と違って携帯電話は発達してなかったから、インターネットで暇潰しってわけにもいかなかった。もちろんパソコンだってなかった。

さて、困ったなあってママは思った。親戚の皆が来るまで、あと何日かある。ひいおじいちゃんはその頃まだまだ元気で、昼間は働きに出ていたから、陽が出ているときは、ママは、本当に独りぼっちだったの。

だから、ママは、ひいおじいちゃんとの約束を破っちゃった。

325怖い話2:2014/07/18(金) 17:07:44 ID:mY9SAwUU
ひいおじいちゃんね、裏山に繋がる道を行っては絶対にいけない、行かないと約束しなさいって、しつこいくらいにママに言ってたの。

何でも、その道は大昔にあった落石で、塞がれてしまっていて、ある程度行ったところで行き止まりになっている。そして、そういう、どこにも繋がっていない、行き場のない道には、「どこにも繋がらない、行き場のない、何か良くないもの」が集まってきちゃうんだって。

そんなことママに言うなんて、「行きなさい」って言ってるのと同じじゃない? ふふ。それに、本当に退屈で死んじゃいそうだったしね。

だから、ママはその日、ひいおじいちゃんが仕事に出かけたのを見てから、こっそりその道に出かけることにしたの。お弁当も作ったのよ。玉子焼きを焼いて、ウインナーを炒めて、胡瓜のお新香を切って、お櫃に残ってたご飯にごま塩ふって。

日射病になるといけないから、ひいおばあちゃんがまだ生きてた頃に使ってただろう麦わら帽子を被って、水筒にたっぷりお茶を入れて出かけた。

すごく天気の良い日だった。夏だったしね、その裏道の入り口につく頃には汗びっしょりになってた。木の匂いがむっとしてた。蝉が鳴いていて、蜂がその辺を行ったり来たりしてて、ママはいきなり「もうやめようかな」って思ったの。街の子だったママには、そういう、人の手があまり入ってない山の道が何だかママを拒否してるみたいに思えて、少しだけその場に立ちすくんだの。

326怖い話3:2014/07/18(金) 17:08:23 ID:mY9SAwUU
でも、結局ママは歩き出した。ここまで来たんだしって気持ちがあったし、帰ったって何もすることがないからね。

その、行き止まりまではかなり長かった。どれくらいかな。1時間は歩いたような気がする。これはもしかして、持ってきたお弁当、腐っちゃうんじゃないかしらって思い始めたとき、それは急に目の前に現れた。

落石のあとなんてものじゃなかったなあ。あれは、もう、小さな山だった。それが道を塞いでて、脇は崖になっていて、確かにこれはどうやっても向こうに行けそうになかった。その、道を塞いでる山にはあちこちから草が生えていた。忘れられた道なんだなあ、ってママは改めて思った。

でも別に、そこに行くまでに怖いことなんか何もなかった。ひいおじいちゃんは大げさだなあなんて思ったわね。空を見上げると、太陽がほぼ真上に来ていた。お昼になっていたの。

もういいや、お弁当を食べて帰りましょうってママは思った。何ていうか、拍子抜けだったけど、山の中で自分で作ったお弁当を食べるなんて、やっぱりママにとっては楽しいことだったのよ。それは少しは退屈を紛らわせてくれそうだった。

何分か、もと来た道を下ったところに、大きな木があった。大人が何人もいないと抱えきれそうもない太い幹に、たくさんの枝とたくさんの葉っぱがついていて、涼しげな影を落としていた。ママはその下に入り込んで腰を落とした。水筒のお茶を一口飲んで、息をついた。結局、なんてことない、散歩みたいなものだったけど、たまにはこういうのもいいなって思った。

327怖い話3:2014/07/18(金) 17:08:57 ID:mY9SAwUU
そして、なんとなくぼんやりと、周りを眺めていたら、変なことに気付いたの。

箱みたいなものがね、こちらに近付いてくるの。

人一人くらいなら簡単に入れそうな箱。その下には車輪がついてるみたいで、だからその箱はするする動いていたんだけどね、ママはとっても不思議だった。

あれは、どうやって動いているんだろう?

山の道とはいえ、その一帯の道はほとんど平らになっていたの。なのに、その箱は、誰が押してるようでもないのに、こっちに近付いてくる。

もっと不思議だったのは、何であっちから来るんだろうってこと。

328怖い話5:2014/07/18(金) 17:09:31 ID:mY9SAwUU
あっちは、ママがちゃんと行ってこの目で見てきたんだよ。行き止まりになっていて、その途中、人はおろか、あんな箱なんてどこにもなかった。

なのに、急にあの箱が、道の向こうから現れた。しかも何でだか動いてる。

その箱はゆっくりゆっくり、道を進んでいた。ママが休んでる木は、道から少し離れていたから、その箱がママにぶつかったりするようなことはなさそうだった。

近付いてくるにつれて、その箱がどんなものか解りだした。その箱は、木箱のようだった。そして、蓋がしてあった。だから、中に何が入ってるのかママには解らなかった。解らなかったけど、ひいおじいちゃんの言葉を思い出して怖くなりはじめていた。どこにも繋がらない、行き場のない、何か良くないもの。

このまま通りすぎて! ってママは祈った。お願いだからこのまま、私に構わずに通りすぎてって。

でも、その願いは叶わなかった。

329怖い話6:2014/07/18(金) 17:10:17 ID:mY9SAwUU
箱は、ママのすぐ近くでぴたりと止まった。風がやんで、あんなにうるさかった蝉の音も急にしなくなった。ママはその箱から目が離せなかった。一分? 二分? 忘れちゃったけど、ずいぶん長い間、その箱を見ていたと思う。

ばこん、っていうすごい音がして、蓋がはねあがったときには心臓が止まりそうだった。中に何かがいたの。そして、その何かが中から蓋をはねあげた。ママは見たわ。細い腕だった。細い腕が空に向かってぴんと伸びていた。その腕の持ち主が、蓋をはねあげたの。

どすん、という音がママが寄りかかってる木の後ろから聞こえた。蓋がそんなところまで飛んだのね。でも、ママはとりあえずそんなことはどうでもよくって、とにかくその、小さな腕から目が離せなかった。

それはどう見ても、子供の腕だった。白くて透き通るような、幼児独特の細い腕だった。

やがて、その腕が箱の縁をつかんだ。立とうとしてる! ママは恐ろしさのあまり、過呼吸になりそうだった。その腕の持ち主は、箱の縁をつかんだまま、ゆっくりと立ち上がった。ママとは真逆の方向を向いていたから顔は見えなかったけれど。腰から上は全部見えた。やっぱり、それは間違いなく、小さな子供だった。

頭は髪の毛一本生えてなくて、服も着てない。そう、裸なの。そしてその子は、向こう側を見ながら、大きな声で泣き始めた。小さな子供が泣くのと同じ感じで、わあ、わあ、泣くの。ママはそれがなんだかとても悲しい光景に見えた。もちろん怖いっていうのもあったんだけど、何でかな、すごくすごく、悲しかった。

330怖い話7:2014/07/18(金) 17:11:13 ID:mY9SAwUU
でも、やっぱり、その子が泣きながら、ゆっくりとこちらを向こうとしてきたときには、「怖い」のが「悲しい」のを押しのけた。ママはその子がこちらを完全に振り向く前に、木の裏側に隠れた。

その子は相変わらず泣いていた。ママも泣きそうだった。怖くて怖くてどうにかなりそうだった。

でね、その子が、箱から降りたのが解ったの。何故なら、泣き声が聞こえる場所が、少しずつだけど、移動してるのね。ぺたぺたっていう足音も聞こえるような気がした。どうしよう、どうしようって思ってると、その子の泣き声の中に「おっかあ」っていう言葉があることに気付いたの。

おっかあっていうのは、、昔の言葉で「お母さん」ってこと。つまり、その子は、「お母さん、お母さん」って言いながら泣いていたの。

それを聞いたら、ママ、何だかまた、すごく悲しくなって……、申し訳なくも思ったの。あんな、悲しい声で泣く小さな子を怖がるなんて……。それで、ママ、その子をよく見ようと思って、木の裏から出ようとしたのね。木から出ようとして、でも、ふと、足元に転がってる蓋が目に入ったの。こんなところまで飛んだんだってママは思った。そして……足でその蓋をちょんと蹴ってみたの。

ものすごく重かった。ぴくりともしないの。それは、木で出来てるわけじゃなかった。何で出来てるかは解らないけど、鉄みたいな素材だったと思う。それに気付いた瞬間、ママはもう、木から出る気を完全になくした。

331怖い話8:2014/07/18(金) 17:12:18 ID:mY9SAwUU
だってね。こんなに重いものを、あんな小さな子が、腕一本でこんなところまで飛ばせるわけないじゃない。ママは確信した。あれは、どう考えても普通じゃない。絶対に、見てはいけないし、見られてもいけない。

足が震えて、木に寄っかかってないと、立つことも出来なかった。

その子は相変わらず、泣きながらうろうろと動いていた。ママは来ないで、来ないでって、それだけを思ってた。

で、ママはあることに気付いて、真っ青になった。木の向こう側。つまり、その子がいる側に、お弁当や水筒を入れたカバンを置きっぱなしにしていたの。このままじゃ、気付かれる……。ママは気が気じゃなかった。

どれくらい時間が経ったか解らない。どう考えてもその何かがママのカバンをごそごそと弄り、中にあったお弁当をあけて中身を食べてるような音が聞こえ始めたとき、ママはほとんど気を失いかけていた。あげるから! 全部あげるから、それを食べて早くどこかに行って! そう祈りながら、ママは本当に気を失ってしまった。

どれくらい気を失ったのかしらね。気付くともう、暗くなり始めていた。ママはしばらく、何で自分がこんなところで寝ていたのか思い出せなかった。思い出したとたん、耳をすませたわ。何か聞こえないかって。でも、もう、あの泣き声は聞こえなかった。足音も聞こえない。ひぐらしの音だけが聞こえていた。

332怖い話9(終):2014/07/18(金) 17:12:56 ID:mY9SAwUU
立ち上がって、背中についてる土を払って、思い切って木の裏から出て、あたりを見回してみたけど、やっぱり誰もいなかった。箱もなかった。

助かったんだ……! そう思った瞬間、何かに背中を叩かれた。

おっかあ、見つけた。見つけた。見つけた見つけた見つけたみつけた。



……ふふふ、こうして、ママは見つかったの。子宮に潜りこまれて、本当の命をあの子に分け与えた。パパに出会った。パパは私に何度も何度もあれを出したり入れたりした。ママは嬉しかった。やっとあなたに出会える、そう思ったから。ねえ、あなたもそう思うでしょう? ママに会えてよかったって……、あら、お父さん、ごきげんよう。……なに? やめて。その子を人形なんて言うなんて。いじわる。やめて。その子は私の子供なの、人形なんかじゃない、やめて、連れてかないで、やめて、やめて。

やめて。

333以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 21:03:13 ID:hYEuosMc
長いよ

334以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/18(金) 21:29:38 ID:wXGTfeuQ
でも面白いよ

335以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/19(土) 06:40:17 ID:J4gqNwwY
子供に問いかけてるって口調なのに、その子供が人形でしたってオチは変じゃないか?
それを深読みする人は「怖い」ってことになるんだろうけど、ちょっとチグハグすぎて置いてけぼり感が半端ない

語り口調はうまかったけど、でも語り口調そのものに意味は無いかなって感じた
語り口調であることによる親しみも不気味さも感じなかったから、ただ単に読みにくくなっただけに感じた

336以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/23(水) 03:59:30 ID:bAoZdlXg

ある晩の事だった。
何かが崩れたような轟音で目が覚めた。離れの倉庫の方からだ。
辺りも見えない夜更けだが、泥棒や強盗かもしれない。私は懐中電灯を片手に寝床を後にする。
妻は寝ていたので、起こさずにそのまま倉庫へ向かった。

懐中電灯と微かな月明かりで照らされた倉庫は、どこか不気味さを感じられる。
錆びた引き戸をこじ開ける。年々この作業が辛くなるのを感じる。もう歳なのだろうか。
ぎい、と床が軋み、心臓がひときわ大きく収縮する。
なんでもない、ただの床の音だ。
暗い倉庫の中を懐中電灯で照らす。地震か何かがあったのか。棚のものが散乱していた。何年か前に娘がよく遊んだ女の子の人形が床に横たわっていた。
懐かしさを覚え、拾い上げる。照らされた顔は時間が時間だけに不気味だった。直ぐに棚に戻してーーー。やわらかい。

不意に浮遊感。踏み出した右足が空を掴む。
慌てて棚にしがみつく。そのまま懐中電灯で照らすと、床が抜けて穴が空いていた。
元々床の下にも収納スペースはあったが、地震の影響か、底が見えない。
ふと、気づくと、人形がない。どうやらこの穴の中に落としてしまったようだ。
気が引けるが、明日にも穴を塞ごう。この倉庫はなぜか娘のお気に入りの場所だ。
万が一、娘が穴から落ちたら大変だ。

337以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/23(水) 07:42:31 ID:OreMXrhI
>>322
ここで書くには長すぎる
語り口調にしても細部まで徹底されてないから緊張と迫力がいまいち伝わらない
同じ表現の繰り返しがところどころにあってテンポ悪い
文才晒しだから中身には深く触れないが、重要なところが描写不足で締まりが悪い
ようするに別個でスレ立てて制限を気にせず書けばよかった

>>336
人形を取ろうとした娘が落ちる可能性があるってことか?
読みやすい文章ですらすらと目で追えた
ぞっとさせるようなものはないけど面白い

338336:2014/07/23(水) 11:25:26 ID:hnUcdev2
>>337 ありがとうございます。深夜に倉庫にいた娘が穴に落ちそうになり淵にしがみついていて、父が娘の「やわらかい」手を踏んでしまいということだったんですが、描写不足でした……。

339以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/27(日) 22:31:56 ID:7kuUqVcE
>>336 やわらかいはやっぱり踏んだとか入れた方が分かりやすかったと思うけど床塞いだら孫…
全体的に文章が淡々としすぎてね?
読みやすいけど味が足りない
人形は暗喩かな?

340以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/30(水) 03:53:18 ID:nfpRakB2
壁掛け時計がガシャンと落ちた。
つまり壊れたのだ。時計は精密機器だから。
動きの止まった時計という物はなんとももの悲しい。見た目には何が壊れたのか分からないのだ。
確かに認められるのは動かない、というただ一つの結果のみ。そこにあったはずの過程は後に残らない。

例えば時計の落ちた瞬間、中で歯車が外れていたとしよう。
歯車の欠けた時計は動かない。中で回転が伝えられなくなるからだ。
これもまた結果。歯車が外れたことは過程。言うなれば過程の結果までの過程。
この思考を繰り返していけば、最初の過程は段々と結果に染まっていく。

つまり、過程というものはよく見れば結果でもあるのだ。
いや、結果であったと言うべきものかもしれない。
人は先を先をと考えたがるが、全くに愚かな行為だ。
何故なら結果は既に出ている。その先の結果を求めれば、その瞬間過去の結果は過程に変わる。
未来を考えると、人は今ある結果を殺す。しかしそれで得られるのはただの結果。
無駄の極みだ。結果をつぶして結果を得る?それでは何も変わっていない。
重要なのは結果に到達すること。今まで誰もが、何もかもがそうしてきたのだ。
つまり、人生の最終目標について、私は生まれた時から達成していたのだ。

私は時計だ。どうせ残らないのなら過程なんて必要ないのだ。

341以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/30(水) 19:07:52 ID:0UiJBEvY
一週間経ってるし新しいお題
叙述トリック
男だと思ったら女だったみたいに読者を勘違いさせるやつ

342以下、名無しが深夜にお送りします:2014/07/31(木) 23:54:10 ID:lnFjYWdM
叙述トリックとか1レスで収めるとかどう頑張ってもうっすい内容にしかならん気がするがどうなのか


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