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みんなで文才晒そうぜ part2
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以下、名無しが深夜にお送りします
:2014/03/27(木) 02:44:32 ID:X2vecogw
冬が開けると、「春の陽気に誘われて」という文句を耳にする機会が増えた。
雪国の春を体感温度で探るのは非常に難しいもので、春一番が吹こうものなら
コートの襟を締めて歩いてしまう。路辺にツクシが生えていても季節を受け入れるのは厳しい。
肌が外気に慣れ始める頃には、暦上では夏の香りを感じ始める時期に入っていたりする。
「それはだって、不毛な我慢大会じゃなければ、半袖でいられるのは夏くらいなものでしょ」
窓越しに空を見上げながら姉が言った。確かにそうかもしれない。
なるほど。一理ある。首を縦に振って同意をする。
窓の端で大と小の一対の雲がのんびりと流れていた。
歩幅が違うのか小さい雲がなんとか大きい雲についていこうとしているようで、
無生物ながらもなんとも微笑ましい光景に思わず頬が緩む。
しばし二人で顔を寄せて別々の空を眺めていると、姉が飽きて窓辺から離脱をしてしまった。
膝を立てていたベッドにころりと仰向けになる。それで何をするかと思えば、
上方にぴんっと伸ばした右腕の人差し指を立てて、天井にむかって小さく動かしはじめた。
眼鏡を外している姉では木目は数えられないだろう。案の定、細い腕はすぐに布団へと落ちた。
「暇なのよ。悪い?」
悪いことはない。暇を持て余していたから揃って青空を気にしていた。
外への興味だけが時間の有効活用ならば、それこそ不毛な我慢比べである。
本棚から一冊を取り出して娯楽を提供する。姉は受け取ると感謝の言葉もなく表紙をめくった。
どこかに冬の気配が残る姉の性格はいつものこと。ここで礼を催促する方がおこがましい。
再び空に視線を送る。中央に並んでいた大小の雲の大きいものだけどこかへ流れてしまったようだった。
なんとなく。それを見てなんとなく寂しい気持ちになった。姉の隣にころりと横になって本を覗き込む。
脇から腕を抱かれても姉は何も言わなかった。ただ自分の速度でページを進めていくだけだった。
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