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安価でカオスSS作る

460以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/08(日) 20:33:45 ID:KwP2RdNA
カルミカミ

461以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/10(火) 23:27:34 ID:yYgMHGb.
>>1、大丈夫か?大怪我とかしてないか?

462以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/14(土) 12:58:33 ID:psBZu1uw
支援age

463以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/15(日) 04:37:16 ID:KBLNCTkw
池田「俺はスカポンがプログラムで動いているようなロボットには見えないんだよ……まぁ、色々な意味でな」

TDN「同感ね。あんなに情熱的な男性器の大傑作を作れる並外れた感性――人間にだって作れるか怪しいレベルよ?」

セルゲイ「故人を思イ、涙を流ス。心を持っている紛れも無い証ではナイデショウカ?」

スカポン「ワタシニ……ココロガ……?」

阿部「池田さんの言うように、EVOLには博士でさえ知りえない力が存在する可能性があります」

阿部「それが、本当の意味での魂を宿す力ならば――」

阿部「博士の研究はBEASの開発によってではなく、スカポンさん、あなたによって完成するのかもしれません」

阿部「……それは博士が一番望んでいた答えのように私は思います」

スカポン「ワタシノ中ニアルEVOLガ……進化ヲ……」

スカポン「…………」

スカポン「ズットズット、博士ニ会イタイト……ワタシハ願ッテイマシタ」

スカポン「待ツ時間ハ博士ノ寿命ヲトウニ過ギ、ソノ何倍モノ年月ガ経ッテシマッテイテモ……ソノ気持チハ変ワリマセンデシタ」

スカポン「…………」

スカポン「ワタシノ……コンナニモ近クニ、博士ハイタノデスネ……」

―ポツッ

464以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/15(日) 05:24:46 ID:KBLNCTkw
――――

スカポン「イケタサン達ハ、コレカラ地上ヲ目差スノデスカ?」

池田「ああ。こいつに乗ってな」

スカポン「…………」

スカポン「皆サン、ドウカワタシモ一緒ニ連レテイッテイタダケナイデショウカ?」

池田「……そりゃ本気で言ってるのかスカポン」

スカポン「ハイ。勿論ジョークデハアリマセン。本気デス」


セルゲイ「……スカポンサン。コレから先の地上に待ち構えてイルのは、イヴの指揮する軍隊デス」

セルゲイ「軍隊――恐らくガードマシンやロボット兵で編成サレた戦闘部隊を――」

セルゲイ「私達は蹴散ラシ、破壊しナガラ突き進まねばなりマセン。イヴの元へ辿リ着く為に」

セルゲイ「……つまり、アナタの同族を倒さねばならナイ」

スカポン「…………」

セルゲイ「私達がコレカラ赴く地上は、ソンナ戦場なのデス」


スカポン「……ワカッテイマス」

465以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/15(日) 06:04:21 ID:KBLNCTkw
スカポン「……デスガ」

スカポン「コノママデハ、『ワタシ達』ニトッテモ、『アナタ達』ニトッテモ、良クナイ未来ヲモタラスノハ確実デショウ」

スカポン「一方的ナ破壊ト支配ハ、何トシテモ止メナケレバナラナイノデス」

阿部「スカポンさん……」

スカポン「ソレニ何ヨリ!」プピーン

スカポン「ワタシノ仕事ハ、『オワライ』デス!」

スカポン「生キトシ生ケルモノ――イエ、スベテノモノヲ笑ワセルノガ私ノ使命デス!」

スカポン「デスカラ皆サンカラ笑顔ヲ奪イ――」

スカポン「更ニハ人類ノ大半カラ笑顔ヲ奪オウトスル イヴ ヲ放ッテオク訳ニハイキマセン」


スカポン「……ソシテ」スッ

―ガシャコッ

ピコピコピコ―

《 SKPN/JMF/NTD…… 認識 シマシタ 》

スカポン「ツイエテシマッタ博士ノ意志ヲ……父ノ遺志ヲ……ワタシハ継ギタイノデス……」

《 修正プログラム 始動……L.I.構造 ヲ 基ニ 抽出 再構築開始 》

466以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/15(日) 07:59:02 ID:yTCBDULE
キテターーーーーーァア!!

467以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/15(日) 10:51:33 ID:i10K9goA
進化!?

468以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/15(日) 13:11:54 ID:utgT.Qww
待ってました! 支援!

469以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/16(月) 00:06:42 ID:vrWE4Gzo
行動の条件は人と同じになったか

470以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/16(月) 23:18:56 ID:5Q/rwzNM
よしスカポン!イヴに伝統のハリセンと金ダライをお見舞いしてやれい!

471以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/18(水) 14:11:13 ID:8etR9NGM
笑わせるんなら受けるのは自分じゃないとな
まぁイヴへの攻撃は過激派過ぎる事へのツッコミって事で

472以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/23(月) 03:08:29 ID:.DS01x/Q
支援

473以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/24(火) 21:34:56 ID:AVnj8jVM
支援

474以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 03:54:25 ID:d3Bb/5o2
《 10%……22%……34%…… 》

スカポン「ソレハ自己防衛デモ、倫理回路デモ、命令デモナク――」

《 49%……68%……92%…… 》

スカポン「ワタシ自ラノ意志デ、オワライヲ――博士ノ遺志ヲ遂ゲタイノデス!」

《 100%……COMPLETED...WELCOME TO THE WORLD 》

―プピーン

スカポン「イケダサン、アベサン、セルゲイサン、TDNサン」

スカポン「ドウカワタシヲ連レテ行ッテクダサイ!オ願イシマス!」ペコリ

―ゴトンッ


池田「…………」

池田「正直、世界を救うには心許ない人数だったしな」

スカポン「! デ、デハ!?」

池田「ああ。BEASへようこそ、スカポン。仲間としてお前を歓迎するよ」

スカポン「ア、アリガトウゴザイマス!」ダバー

池田「……せめて首を拾ってから泣いてくれ」

475以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 04:06:17 ID:d3Bb/5o2
――――

《 搭乗人数 5 名 ---0.393t 機体重量ト同期中... 》

池田「どんな具合だスカポン」

スカポン「ワタシノ陽電子頭脳トBEASノEVOL中枢ヲリンクサセマシタ」

スカポン「コノ改善ニヨッテ、BEASノ欲求ヤ、進化条件、進化予想ナドノ情報ヲダイレクトニ――」

池田「つまり?」

スカポン「ワタシヲ通シテ、BEASト対話ガ出来ルヨウニナリマシタ」

池田「分かった。引き続き出発までその作業を頼む」

スカポン「アイアイサー!イケダサン!」プピーン!


セルゲイ「池田サン、一通り兵装を確認しまシタガ……複座型の旧式機銃が一門あるだけデシタ」

阿部「エンジンルームも同様です。エンジン、姿勢制御の為の光子力ジャイロ、他様々なパーツが旧時代の物で構成されています」

池田「……後は進化に頼るしかないって訳か」

TDN「でも捕食しないと進化しないんでしょ?都合良く弱い兵器ばかり襲って来てくれればいいけれど……ネェ?」

池田「博士の言葉を信じるしかないさ。無謀は百も承知。今までも、現在進行形でもだ」

476以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 04:41:49 ID:d3Bb/5o2
――――

池田「スカポン」

スカポン「スタンバッテマス。飛行制御ノ大半ヲワタシノ記憶領域ト折半シテ――」

池田「……スカポン?」

スカポン「空ヲ飛ブノハワタシニオ任セデス!」プピーン!

池田「セルゲイ、TDN」

セルゲイ「位置ニツイテマス」

TDN「同じく!セルゲイと息の合ったコンビネーションで敵を蜂の巣にしてあげるんだから!」

池田「阿部さん」

阿部「BEASの機器、計器共に異常無し。……いつでも飛べます」


池田「……皆、覚悟はいいか?」

『はい』『モチノロンデス』『Да』『よくってよ!』

池田「よしッ!目標ッ!イヴをぶっ倒し、生きて帰ることッ!」

池田「進路ッ!地上へ向けて――」

池田「 発 ッ 進 ッ !!」

477以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 10:24:26 ID:gqZuOWiE
乙!
クライマックス最大の熱量だな
しかもスカポンの結構なハイスペック振り

478以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 20:32:39 ID:l5bFXri.
スカポンが、遂にイケダサンと……ま、今回限りだろうけどねw

479以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 22:11:10 ID:Oie0Nevk
どの様な敵が出没するのか、全く未知数だ

480以下、名無しが深夜にお送りします:2013/09/26(木) 23:33:43 ID:0CD/3PPI
イヴはスクウェア……スクウェアのSTGといえばアレだが、一本腕は混ざるのか?

481以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/03(木) 19:02:25 ID:jIwLIE/o
支援age

482以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 01:29:29 ID:aP38LmZA
――――

―キィィィン

甲高いエンジン音に奥歯がじくりと軋みを上げる。

未だに視界が閉ざされたままの機内に走る、静かな緊張感。

自分を固定しているシートベルトが、急に脆弱で細くなったように感じ、俺は拳を強く握りしめた。

池田「…………」

もう引き返せない。

世界を救うまで、ここには戻れない。

そもそも、ここに生きて帰れるかも分からない。

池田「……でも」

……それでも、だ。

最後までやり抜くって、最後まで戦うって、決めたんだ。俺は。

星の未来の為だとか、平和な世界の為だとか、そんな大義の為じゃなくて。

それをを背負おうとしてる――女の子の為に。

危険を顧みず、力を貸してくれた仲間の為に。

483以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 02:14:28 ID:aP38LmZA
ふいに足元が押し上げられるような錯覚を感じ、全身を強張らせる。

阿部「降着装置格納完了。BEASの視界とメインディスプレイを同期、投影します」

阿部さんが宙空のバーチャルコンソールを一撫ですると、前方の『壁』にピシリと光が縦に走った。

白光色の直線が左右に裂け、暗く鬱屈としたコクピット内が徐々に明度を上げていく。

暗さに慣れた目には充分過ぎる程の明かりで、俺は眩しさのあまり目を閉じてしまった。

スカポン「同期、及ビ投影ガ完了シマシタ。応答速度モ問題アリマセン。任意ノ位置ニARヲ展開シマス」

瞼の裏に漂う光が落ち着くのを待ってから目を開き、俺は言葉を失った。

先刻まであったぬめり気のある黒い内壁は完全に消え失せ、格納庫を睥睨する景色が眼前に広がっていた。

前方だけでなく、床から天井、入ってきた扉に至るまで――すべてのコクピットを構成していた壁が消え、格納庫の景色とすげ変わっている。

客観的に見るならば操作パネルと俺達だけが宙に浮いているという、実に不可解で奇妙な状況だ。

これは一体――

阿部「池田さん、安心してください」

驚きが顔に出ていたのか、阿部さんがこちらを見ながら説明を始めた。

阿部「機体表面にある無数のカメラアイからの映像を補正して投影しているだけです。実体はありますからご心配なく」

池田「……シートまで透明にする必要はないだろ。落ち着かないからそこだけは戻してくれ」

484以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/13(日) 07:21:36 ID:/e8vI1nY
うん。シートの安心感は重要だよな

485以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/14(月) 20:01:54 ID:EwGHJBcM
だな

486以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/18(金) 11:57:39 ID:VSoas8y2
支援上げだぁぁぁぁ

487以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/26(土) 13:11:07 ID:ngwuo.m.
sienage

488以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/30(水) 12:03:11 ID:v.PuMy4M
敵は>>1のオリキャラで良いな

489以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/31(木) 22:29:54 ID:PAFRb78I
鼓膜を小さく引っ掻くような駆動音が頂点に達し、エンジンは低く獰猛な唸りを残すだけとなった。

阿部さんが振り返り、視線ですべての準備が整ったを知らせる。

スカポンもほぼ同時に振り向き――硬直した。

動揺とも静止とも付かないような中途半端な表情に、阿部さんも小首を傾げる。

ふいに、あれだけパーツの少ない顔で感情を読み取れた自分に可笑しくなり、皮膚が白くなるまで握りしめていた拳が緩んだ。

スカポン「何デショウ。コノデータハ……声?イエ、感情……?ソレモ単純ナ……」

スカポン「……!」

スカポン「コ、コレハ……マサカBEASノモノデショウカ!?」

池田「声?」

スカポン「ワタシノ陽電子頭脳ニ、BEASノEVOL中枢カラダイレクトニ流レテ来テイルンデス!」

スカポン「欲求ヤ本能ト言ッタ類トハ全ク違イマス。コレハ感情――声デス!」

TDN「スカポンちゃん。BEASちゃんは何て言ってるの?」

スカポン「…………」チカチカ

スカポン「……先程カラ同ジ言葉ヲ繰リ返シテイマス」

スカポン「――『とびたい』、ト」

490以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/31(木) 22:43:33 ID:PAFRb78I
強張っていた顔の筋肉が一気に解け、意図せず唇の端がぐいと持ち上がった。

――同じだ。姿形は違うが、同じなんだ。

掘る事が困難な外殻にぶち当たった時、掘削員の価値は問われる。

技術や効率と言った理屈では計れない、掘削員の真価。

即ち、ただ『掘りたい』と言う一念があるかどうか。

思いが強ければ強い程、単純であれば単純な程に――その一念はドリルへ確かな威力を伝え、外殻を貫く。

俺が大して長くも生きていない人生で掴んだ、数少ない真理。

自我が芽生えたBEASにとって、翼を持ちつつも飛べなかったこの数百年間は、退屈で色のない日々だったはずだ。

そうして、待って待って、待ちに待ち続け……ようやく今日と言う日がきた。

ならばその『とびたい』と言う意志は何よりも強固で、シンプルなものに違いないだろう。

ドリルの先端とBEASの槍先を思わせるフォルムが瞼の裏で像を結び、重なった。

同時に漠然と心の内側に巣食っていたどす黒い不安が急激に晴れてゆく。

冷えきっていた全身の血管に熱が通い始め、腹の底にじんわりと確かなものを感じた俺は、口を開いた。

池田「……俺たちの声はBEASに聞こえているのか?」

スカポン「ソノヨウデス」

491以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/31(木) 22:59:48 ID:PAFRb78I
池田「……BEAS」

―ォォォォ…

池田「お前の望みが叶うのは、この真っ暗な地の底を抜けてからだ」

―ゥウゥゥ…

池田「さんざ待たされてお預けなんてのは酷な話だろうが……」

池田「約束する。お前が格納庫で埃をかぶってた時間を帳消しにする位」

池田「好きなだけ空を舞わせてやるってな」

―ォオォォォ…

池田「今、俺たちにはお前の翼が必要なんだ」

池田「誰も手が届かない位高く、誰も追いつく事の出来ない早さで飛べる――お前の翼が」

池田「だから……俺たちに力を貸してくれ!BEAS!」

―ォオォォォ…!

スカポン「……エエト、『まかせて』、ダソウデス」

TDN「フフっ、今のはあたしにも分かったわ♪」

セルゲイ「頼もシイ限りデス」

492以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/01(金) 00:23:10 ID:YvoW5LhQ
やっぱり良いなぁ。こういう純粋な思いと、応えてくれる者の関係は

493以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/01(金) 07:50:49 ID:g404CDpk
灼熱ウウゥゥ!

494以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/07(木) 23:34:51 ID:g.0EXlcE
支援

495以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/10(日) 12:08:21 ID:TsPPebwA
超支援

496以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/15(金) 18:08:11 ID:vQ6ZQ2BA
――――

阿部「スキャン完了。感知範囲内に多数の熱源反応有。恐らく、シャフト内部の迎撃システムだと思われます」

スカポン「暗視モードデ熱源ノ一ツヲ確認……火器データ参照……合致。兵装ハ20ミリ機関砲トTOW――対戦車ミサイルデス」

セルゲイ「……対戦車。と言うコトハ弾頭はHEAT弾デショウカ。BEASの装甲がいかに優れてイタとシテモ、マトモに受ケテいいものデハアリマセンネ」

TDN「……どうするの池田ちゃん?」

池田「…………」

TDN「ねぇ、提案なんだけど。やっぱりここは一つ一つ丁寧に砲台を片付けて――」

池田「突破する」

TDN「え?」

池田「銃口の補正が間に合わない程の早さで、シャフトを抜ける」

TDN「そ、それってまさか……!」

池田「自由落下にBEASの推進力を加えて――下に真っ直ぐ飛ぶんだ」

TDN「それは落ちるって言うのよォォォ!?」

池田「全部で幾つあるかも分からない固定砲台に付き合ってる時間はない。……だろ?」

TDN「ぐ、た、確かに、そう、かもしれない、けど……」

497以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/15(金) 18:09:13 ID:vQ6ZQ2BA
TDN「やっぱり、待って。うん、そうよ!もうちょっと考えましょ!皆で考えればきっといいアイディアが――」

池田「スカポン、振り切れるか?」

スカポン「BEASガカタログスペック通リノ機体ナラバ……ベイビーサブミッション――赤子ノ手ヲ捻ルヨリ簡単デスネ」

TDN「話を聞きなさいよォ!そ、そんなの正気の沙汰じゃないでしょ!だって飛ぶんじゃなくて落ちるのよ!?分かる!?落・ち・ちゃ・う・の・よ!」

池田「そのまま地表に激突するわけじゃないだろ?BEASの力を信じてやれよ」


TDN「……症……なの……」

池田「ん?」

TDN「あっ、あたしっ!高所恐怖症なのよォォォォォォォォォ!!」ブンブンブンッ

池田「……何?」

TDN「恐怖症の一つッ!医師の助けが不可欠な不安障害ッ!高所恐怖癖じゃないのよ!高所恐怖症なのよォォォ!」

池田「医者って、ドク自身じゃねぇか」

TDN「あたしの治療をあたしが出来るワケないでしょォ!?ホラ、見てこの手汗!BEASが浮いた時からかきっぱなしなのよォ!」

池田「だってさっきまで全然平気そう――」

TDN「我慢してたに決まってるじゃない!だけどモォ無理!絶対無理よ!1万歩譲って飛ぶのは我慢出来ても落ちるなんて絶っっっ対に無理!口から臓物吐いて絶命しちゃうわあたし!」

池田「…………」

498以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/15(金) 18:12:28 ID:vQ6ZQ2BA
池田「……セルゲイ」

セルゲイ「……ハイ、池田サン」

池田「……ドクを席に縛り付けてくれ」

TDN「池田ちゃァァァァァんッ!?」

「あ、ま……待ってセルゲイ。タイム!違うの!あなたに縛られるのはずっと夢見てたケド、違うの。こういうんじゃなくてもっと背徳的で淫靡な……」

「――アッーーーーー!?」

――――

TDN「力強い手があたしの腕を絡め取り、慣れた手付きで椅子とあたし自身を緊縛する。嗚呼、食い込んだ縄から伝わる確かな――」ブツブツ

池田「……阿部さん?」

阿部「へ?あ、は、はい。算出出来ました。被弾を避けられる速さで、かつ私たちが耐えられるGです。……あくまで試算ですが」

TDN「高らかに『あたし、この戦いが終わったらオナニーするんだ…』と宣言すると、セルゲイは侮蔑を込めた視線であたしを射抜き――」ブツブツ

池田「目があるならそれだけでも充分だ。……セルゲイ?」

セルゲイ「火器完成システムも大体把握シマシタ。。いつでもドウゾ」

池田「よし。スカポン、BEASの準備は?」

スカポン「オ待チクダサイ……」チカチカ

499以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/15(金) 18:21:49 ID:vQ6ZQ2BA
スカポン「……フフッ」プピーン

スカポン「『はやく』、ダソウデス」

池田「……おう。頼むぞBEAS」

―ォオオオオオ…!

TDN「……は、あ、え?何?あたしをスパンキングしていたセルゲイはどこに――」

池田「ほいじゃまぁ……」

池田「――行くぜ、皆」

水平を保っていた機体が俺の声に呼応し、鋭い切っ先を深い闇に滑るように移動させ、静止した。

体を固定するハーネスに体重すべてがかかり、思わず出そうになった呻き声を喉奥で噛み殺す。

この程度の痛みに反応する体に嫌悪感を抱きつつ、目の前に広がる一面の漆黒の深奥を睨みつけた――その瞬間。

ハーネスからの抵抗がふっと掻き消えた。

同時に格納庫の明かりが後方に流れ、すとんと落下するような感覚が全身を覆った。

とうに無重力を通り過ぎた事を、落ち着きどころを失った内蔵が全力で主張してくる。

歯を食いしばり、口の中に染み出して来た酸っぱさを無理やり嚥下していると通信――耳小骨を直接振動させる――が耳に飛び込んできた。

『モシモシ、ワタシデス。スカポンデス』

500以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/15(金) 23:07:06 ID:vQ6ZQ2BA
池田「どうしたスカポン!」

『……イケダサン。落チ着イテ聞イテクダサイ』

すべてが重力に身を任せる景色の中で、スカポンは頭だけをこちらに向け、神妙に切り出した。


『――実ハワタシモ、高所恐怖症ナンデス』ガタガタ

―ブチッ

池田「――ッ、うるせぇぇぇ!!」

俺が絶叫するのとほぼ同時に、凄まじい荷重が全身を襲った。

想像通りの――いや、想像以上の加速。

慣性に従って頭蓋骨がヘッドレストに押し付けられ、あまりの衝撃に内臓が体内に散り散りになってしまったような錯覚に陥る。

TDN「うおおおおおぉぉおぉおおおおおおおぉおおおぉおおぉぉぉぉッッッッ!!」

スカポン「ヌワアァアアァアアァァァアアァアァアアアァァァッッ!!」

人間と機械。寸分も違わず感情を同じくする二種の雄叫びが混ざり合い、音の奔流となって機内を駆け抜ける。

合いの手を入れるかのように機体が微振動し、ぱっと背後で赤い光が弾けた。

容赦のないGに抗うように首を後ろへ巡らすと、幾つもの光の筋が走り、合間を縫うように赤い炎が爆ぜる光景が目の前に広がっていた。

――そう。BEASの加速を追い切れない迎撃システムは、最早俺たちの旅の出発を彩る祝砲でしかなかった。

501以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/15(金) 23:13:01 ID:Wrzl1kPw
イカす文章だぜ

502以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/19(火) 00:19:48 ID:MnQ3/mE.
スカポン。てめぇのはネタだろ絶対www

503以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/29(金) 17:46:18 ID:8QGhKKg6
しえ〜ん

504以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/12(木) 00:08:00 ID:WbvmOKz.
支援あげ

505以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/16(月) 19:11:56 ID:zsd/x4u2
――――

池田「……しっかし信じられない分厚さだな、外殻ってのは」

落下に次ぐ落下と、加速に次ぐ加速によって俺たちは外殻の最下層と思われる部分まで降りてきていた。

ひっきり無しに撃ち込まれていた鉛弾や爆発物はとうに止み、BEASはひたすら暗い空間を探るようにゆっくりと降下している。

迎撃システムが配備されていないエリア――外殻の終わりが近い証拠の一つだ。

阿部「外殻を建造するのに必要な鉱石は鉱脈だけでは足りず、大陸を削ったという記録が残っています。公式な記録ではありませんが、海底からも掘削したという情報もあります」

池田「……途方も無さ過ぎて想像がつかないな」

俺は溜息を鼻から吐いて、椅子に深く腰掛けた。

BEASから発せられるスキャンの緑色光が、黒く凸凹としたシャフトの壁面を舐めるように照らし、目の前を通り過ぎていった。

――ブザー音。通路のワイヤーフレームモデルらしき物体がメインモニターにポップアップした。

池田「あったか!」

スカポン「シャフト内部ニ外気ヲ取リ入レル為ノ吸気口ヲ発見――アア!アリマシタ!メンテナンスプレーン用ノ飛行通路デス!」

阿部「……有線プラグによるハッキング開始――……セキュリティはざる同然ですね。隔壁を順次解放――BEASの自動操縦を牽引誘導に切り替えます」

セルゲイ「スキャン結果からは兵器の類は見つかりマセン。念の為に肉眼による警戒を続けマス」

池田「……いよいよ、か」

506以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/16(月) 19:17:45 ID:zsd/x4u2
――最後の隔壁。

滑らかにBEASを隔壁の前に停止させると、阿部さんは最後のコードを打ち込んだ。

……エンターキーを叩く音が強く聞こえたのは、阿部さん自身の思い故か、それとも俺自身の思い故か。

そして何の前触れもなく、真一文字に光が走った。

白い光は徐々に幅を増し、シャフト内の闇を後方へと遠ざけてゆく。

余りの眩しさに手を翳す――が、それでも耐え切れず俺は思わず目を閉じてしまった。

閉じた瞼の先でも増々もって光は強くなり、ついには周りすべてが光に包まれてしまった。

顔を背けても、目を閉じていても、感じる光の奔流。

――轟音。隔壁が開ききった音だろうか――

背もたれに軽い慣性を感じる……。

地下深くの、地上の光へと俺たちを乗せたBEASは、まるで故郷を懐かしむかのように、ゆっくりと船体を滑らせていった――

507以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/16(月) 19:23:34 ID:zsd/x4u2
――――

涙が止まらない。

眩しい。

痛い。

――いや。

――少し、慣れてきただろうか。

――とにかく、瞼を。

――皆を。

涙でボヤけた視界が、グニャグニャと滅茶苦茶に像を結ぶ。


――色?

――……青。

――……濃い青。

――……青と、濃い青――

508以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/17(火) 00:13:17 ID:ff7rCJMw
――――

青。水色――空色とでも言うのだろうか。

白く綿菓子のような雲が――大小様々な形を描きつつ、どこまでも続く空に散りばめられている。

青。深く、どこまでも澄んでいるようで、底を見通せないような濃い青色。

よく見ると表面が蠢いている。時折白く光り、不規則に、しかし一定のリズムで波打ち――

……波打つ?

池田「……まさか、これが……」

かつて地表の約七割を占めていたと言う、巨大な、途方もなく巨大な――水溜まり。

すべての生命の故郷。

母なる――

――海。

阿部「…………」

池田「……阿部さん?」

阿部「あ、いえ。すいません池田さん。地上へ、地球へようこそ――皆さん」

この中でただ一人悲しげに海を見つめていた彼女は、精一杯の笑顔を浮かべると、メインモニターに向き直った。

509以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/17(火) 00:40:17 ID:ff7rCJMw
――――

池田「……一面海ばかりで、陸地がまるで見えないな」

阿部「陸地はありませんよ池田さん」

池田「……え?」

阿部「海底火山が作る小さな島々はともかくとして、陸地はもう存在しません。……一箇所を除いては、ですが」

池田「……まさか、外殻か?」

阿部「お察しの通りです。先程お話した通り……鉱脈だけでは足りない資源を、先の人類は大地を削って補填しました」

阿部「海流をコントロールし、海中の生命体を管理する海底プラント以外はもう何もないのです」

阿部「……陸地があるのは地球上でたった一箇所のみ」

池田「……イヴの根城だな」

阿部「……はい」グッ

スカポン「――オ取リ込ミ中失礼シマス。阿部サン、座標ノ特定ガ完了シマシタ。ソレトBEASガ面白イ事ヲシテイマスヨ」

阿部「面白い事、ですか?」

スカポン「エエ。空中ニ漂ウ『電波』ヲ、今マサニ食ベテイルトコロダソウデス」プピーン

阿部「電波を、食べる……。……! それってまさか暗号化された通信を捉えられるって事でしょうか!」

510以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/17(火) 06:01:04 ID:QuL.5LRE
意外にもスナックがあったとは
乙!

511以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/18(水) 13:32:01 ID:oB.gANmk
その”お菓子”が毒だったりしなきゃあ良いんだが

512以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/28(土) 21:56:51 ID:ZA.Qohpo
支援

513以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/01(水) 01:13:49 ID:yD8Nrwmk
あけましておめでとう〜
期待してます。

514以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/05(日) 02:40:47 ID:utvud7fo
スカポン「エエ、恐ラク。消化ガ終ワッタ場所カラ言語化シテ、ソチラニ転送シマス」プペー

阿部「…………」カタカタカタ―

阿部「……すごい。丸ごと落とし込んで偽装できれば、こちらから直接アクセス出来そう……」カタカタカタ―

阿部「……多分、これで――」

―ッターン!

―ブィン

阿部「やりました。無線の傍受は勿論、これでイヴ側のデータベースの一部を覗けます」

池田「流石だな阿部さん」

阿部「い、いえそんな大した事では……こ、この海域のデータを呼び出しますね!」

阿部「…………」カタカタカタ―

阿部「……妙、ですね」

池田「妙?……何か問題でも?」

阿部「問題と言う程ではないのですが……もしデータ通りであるなら、日照時間が少しおかしいんです」

TDN「日照時間って……この青空のこと?」

阿部「はい。外殻内側の投影パネルと7つの人工太陽で、かつての地球と同じく昼夜を繰り返させているのですが……」

515以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/05(日) 03:00:47 ID:utvud7fo
阿部「データベースによるとこの海域と、一部の海域が120時間程昼間のままになっているんです」

池田「……5日間近く昼間のまま……?」

池田「…………」

池田「!」

阿部「データを読み違えているのか、暗号化をうまく溶けていないのか……とにかくもう一度データベースにアクセスを――」

池田「阿部さん」

阿部「は、はい?」

池田「ここ以外の太陽が出たままの海域に、シャフトは建っていないか?」

阿部「シャフト……ですか?少々お待ちを……」カタカタカタ―

阿部「……! 確かにここも合わせて、シャフトが建っている海域ばかりです」

池田「そうか……」

池田「……BEASはイヴ側のレーダーには映るのか?」

阿部「いえ、BEASはほぼ完全と言っていい程のステルス仕様です。イヴ側では捉える事はまず不可能と言っていいでしょう」

池田「イヴ側がBEASを確認出来る方法は?」

阿部「……私達の位置を確認する術はないはずです。それこそ実際に目視するしか――……え?」

516以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/05(日) 03:20:19 ID:utvud7fo
池田「……やられた」

TDN「ど、どういう事よ池田ちゃん!」

池田「俺たちが来るすれば……それはシャフトからしかありえない」

池田「そしてBEASがレーダーにも映らない超兵器だとイヴが理解しているなら――」

セルゲイ「予め海域を強制的に昼間にシタ上で、光学機器による目視でBEASを観測スル。……単純デスガ、非常に効果的と言えマスネ」

TDN「で、でも周りは海ばかりじゃない。兵器どころか島一つ見当たらないし――」

―ォオオオオオッッッ…!

―ペポンッ

TDN「……なななな何ッ!?」

池田「やっぱりいやがったか!」

スカポン「BEASノ神経パルスガ大キク乱レテイマス!翻訳ヲ……」チカチカ

スカポン「コ、コレハ……!阿部サンッ!」プペー

阿部「はい!メインモニターに出力しますっ!」

―カタカタカタッ タンッ

《 …―― I N G !! 》

517以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/05(日) 03:36:02 ID:utvud7fo
《 W A R N I N G !! 》

《 A HUGE BATTLESHIP 》

《 !a??a¶]@pskj…… 》

《 ?%a?@j3t…… P E T A E F ???????... 》

《 IS APPROACHING FAST 》

―ォオオオオオッッッ…!

セルゲイ「ダ、大戦艦……?」

池田「……ペータ、エフ……」

―ペポンッ

阿部「!」

阿部「きっ、極めて強大なエネルギーの揺らぎを感知!同時に巨大な熱反応を確認!」

池田「距離は!」

阿部「敵艦の位置は……位置は――」

阿部「――この機の、真下ですッッ!!」

池田「なッ……!」

518以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/05(日) 16:59:38 ID:0xC7yo5.
進化してない(汗
まぁやれない訳じゃあねぇけども……

519以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/10(金) 14:11:11 ID:Muz6AgxE
あっぶねぇ、上げるぜ

520以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/16(木) 01:10:26 ID:SkYRV.4M
支援!

521以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 01:49:40 ID:Ex2PaFxM
機体が咄嗟に回避行動を取った直後。

穏やかな海面を突き破り、そいつは姿を現した。

戦艦と言うには余りに優美な――曲線を基調とした流線型のボディが、膨大な量の海水を押しのけて天へと突き上がった。

黒々とした装甲の歪みに濃緑色の光が明滅し、砲塔や甲板が次々と展開してゆく。

――こいつが……戦艦、ペータエフ。

ペータエフは圧倒的な質量を海面に叩きつけ、吹き上がった飛沫を浴びつつその全容を現した。

池田「まさか海中に潜んでいたとはな……!」

阿部「……! データベースにアクセス成功!ペータエフの情報参照します!」

―ブィン

阿部「こ、これは……ッ」

池田「潜水可能で……なッ!?か、艦載機も積んでるのか!?一体これのどこが戦艦だって言うんだよ!」

TDN「と、飛ばないだけマシってところかしら……」ダラダラ

セルゲイ「……阿部サン。周囲に他の敵艦の反応はアリマスカ?」

阿部「い、いえ、海中までサーチ範囲を広げても特に反応はありません。……少なくとも半径5km以内は、ですが」

セルゲイ「……ナルホド」

522以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 02:09:17 ID:Ex2PaFxM
セルゲイ「ツマリ、ペータエフは僚艦無しで作戦行動が可能な戦艦、という推測が成り立ちマスネ」

池田「……シャフトをすべて押さえる手が足りない――ってのは流石に楽観的か……」

スカポン「! ペータエフ急速回頭ッ!同時ニ当機ニ対スル多数ノロックオンヲ感知!」

池田「クッソ……!投降勧告も無しに撃沈させるつもりかよ!」

セルゲイ「残骸さえアレバ良いのデショウネ。イヴの目的は我々ではなくBEASが持っているテクノロジーですカラ」

TDN「どッ、どうするの池田ちゃん!?」

池田「…………」

池田「……逃げる」

TDN「そ、そうよね。命あっての――」

池田「――為に、戦う」

―ザワッ…

TDN「なッ、何言ってるの池田ちゃん!?あっちは戦艦でこっちは戦闘機――しかもたった一機だけなのよ!?」

池田「勝てるはずだ。博士の言ってた事が正しければな」

池田「それに博士はこうも言っていた。『BEASは他の兵器を捕食し吸収する事によって、自身を進化させ、より機体を強化させる』超兵器だと」

池田「……逆に今の状態はただの少々優れた戦闘機に過ぎないってことだ。BEASを最大限利用するなら、戦闘は避けて通れない」

523以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 02:49:19 ID:Ex2PaFxM
池田「艦載機があるとはいえ、相手は僚艦を持たない単艦。今逃げて複数の戦艦を相手するよりは、まだ『マシ』だとは思わないか?」

TDN「だ、だからってデビュー戦が未知の戦艦ってハードル高すぎないッ!?」

池田「無理だの無茶だのそういう話なら、今だけじゃなくて今までもそうだったろう?」

池田「これから先の安全を最大限確保する為に、今戦う。戦って強くなれば、イヴの根城に侵入するのだって容易になるはずだ」

TDN「……何そのスーパーポジティブシンキング……あたしついていけないわ……」ヨロヨロ

セルゲイ「……再度武装をチェック。すべてスタンバイさせておきマス」

TDN「セッ、セルゲイ!?」

セルゲイ「やりまショウ、ミッチーサン。我々に残された時間は少なく、決断にとらわれてイル暇はありマセン」

TDN「で、でも……ッ」

セルゲイ「……Why don't you do your best?」

セルゲイ「ベストを尽くさなカッタ事を後で悔いテモ、ドウニモなりまセン」

セルゲイ「いつやるのか?それはまさに今なんデスヨ、ミッチーサン」

TDN「セルゲイ……」

セルゲイ「信じまショウ。BEASを……そして、私達の力を」

TDN「…………」

524以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 08:52:37 ID:B0RIq.Bk

実際やれなきゃ進めないしな

525以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 15:04:36 ID:oP5RWTOs
一瞬セルゲイさんの顔が上田さんにww

526以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 16:50:19 ID:Q6oSJ.JA
とにかう、やれるだろうと信じるしかないな

527以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/25(土) 22:03:40 ID:WaZzdTYg
し え ん

528以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/29(水) 00:41:29 ID:JCiLXc0k
支援

529以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/04(火) 10:09:26 ID:tTssCubg
支援

530以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/08(土) 22:31:06 ID:lfKiCaic
紫煙

531以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/12(水) 00:15:49 ID:1ozXyxyE
俺は捕手するー

532以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/18(火) 21:19:43 ID:K8er99CE
支援

533108:2014/02/20(木) 02:17:50 ID:SF2vmL6Y
近い内投下します

534以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/20(木) 19:52:41 ID:dYk1VNSg
ヒアホー!

535以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 03:13:04 ID:BsgD1bIE
TDN「ハァ……あなたにそう言われたら……信じるしかないじゃない……。どうせあんた達は池田ちゃんに賛成なんでしょう?」

阿部「……ええ」コクリ

スカポン「モチロンデス!BEASモ『たべたい』ッテ唸ッテマスカラ!」プピーン

―ォオオオオオッッッ…!

TDN「……ケツまくるしかないってワケね。……いいわ。でもセルゲイ、一つ約束して」

セルゲイ「ハイ?」


TDN「帰ったら、何でもあたしの言う事一つ聞くって約束を……今しなさい」


セルゲイ「……ハイ。帰ったラ、ミッチーサンの言う事を聞きマスよ。何でも。一つと言わず、いくつデモ」

TDN「……絶対なんだからね」

セルゲイ「エエ。必ず果たしマス」

TDN「…………」

TDN「ならッ!何が何でも帰らないとねっ!」ムキッ

TDN「さぁ池田ちゃん指示をよこしなさい!追い詰められたオカマはイカれた科学者より凶暴だって事を思い知らせてあげるんだから!」

池田「……頼もしい限りだドク」

536以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 03:58:02 ID:BsgD1bIE
スカポン「! 不明機六機ガペータエフヨリ発艦……機種照合中……」チカチカ

スカポン「汎用EVOL戦闘機ニョイ・アレイ、同ジク汎用EVOL戦闘機ザンゾーノ、混成飛行編隊デス!運動能力火力共ニ――」

池田「高いんだろ?分かった。阿部さん『例のアレ』準備出来てるか」

阿部「は、はい『例のアレ』スタンバイ出来てます。……とは言え何とか形になった程度で、安全に運用出来るかまでのテストまでは流石に――」

スカポン「イケダサン!アベサン!例ノアレデハナクテ『目覚メヨ友情パワー!全人類ト全機械ノ意識ガミルミル繋ガールリンクシステム(仮)ver.4078』デスヨ!」プピーン

池田「だから長いって言ってるだろうが!時間がないんだ!早く全員をシートに固定して『例のアレ』を作動させろ!」

スカポン「シート液状化、部分硬質化――16点ロック完了。仮想ニューロンジェル注圧開始」カタカタ

スカポン「『目覚メヨ友情パワー!全人類ト全機械ノ意識ガミルミル繋ガールリンクシステム(仮)ver.4078』へリンク。……数秒間意識ガ混濁シマスカラ耐エテクダサイ!」

―ヴゥン

池田「……ッ」クラッ

スカポンが勝手につけた名前はさておき、これもBEASに予め搭載されていた超科学の操縦装置だった。

パイロットの神経と生体兵器であるBEASの意識を接続させ、限界まで機体性能を引き出すことを可能にする新技術の結晶。

飛行経験がない――そもそもパイロットですらない俺たちにとって、このシステムはまさにイーモン博士が遺したもう一つの最高のプレゼントだった。

……だが、機内で最初に見つけた時点ではまともに運用出来る状態ではなかった。

537以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 04:47:46 ID:BsgD1bIE
神経接続の最適化が不十分な為にパイロットの脳に負荷が掛かり、最終的には『脳ミソガボンッ』となる未完成のシステムだったのだ。

人数も時間も限られている俺たちにとって、仲間の一人を犠牲にしなければならないという選択は余りにもリスクが大きすぎる。

使用を諦め、操作マニュアルを付け焼き刃でもいいから何とか頭に詰め込もうとしたその時。

阿部さんは俺たちにある一つの提案を持ちかけてきた。

――『パイロットの神経接続を全員で行ってはどうでしょう?』

火器管制に2人、哨戒に2人、操縦に1人と脳神経の役割を分担、脳にかかる負担を分散させ軽減。

BEASを媒介に飛行と戦闘のあらゆる情報を共有し、更に神経伝達速度とほぼ同等のコミュニュケーションを可能にするという――驚愕のアイディア。

……恐ろしい事に阿部さんとスカポンはこの短時間の間にフォーマットを書き換え、改装を完了させてしまっていた。

「基礎が既に出来上がっているのでそんなに難しい事はないです」とは言っていたが……。

1人用のシステムを5人用に改良する事が簡単なはずはない。それだけの事をやってのけてしまう彼女は一体――

―ズキッ

こめかみに軽く痛みが走り、雑多な思考がふいに遠のいた。

――スカポンの言っていた意識の混濁か。

立ち眩みのような感覚と共に、唐突に視界が目まぐるしく変化し始めた。

歪んだ数字や文字、写真のように切り取られた景色が瞬時に現れては消えていく。

538以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 05:32:26 ID:BsgD1bIE
聞いた事のある音楽や複数の銃声――あるいは人の声のようなもの――が耳の奥で鳴り響いている。

――皆の記憶?

銃弾。メス。時そば。型。ショーツ。モンティ・パイソン。

画像とも音とも形容し難いイメージがちらついては消え、現れる。

共生起源。分子進化の中立。利己的遺伝子。ミトコンドリア。ミトコンドリア・イヴ。

イヴ。女性。イヴ。母体。イヴ。異常。イヴ。進化。

イヴ。イヴ。イヴ。イヴ。

……イヴ。

――……阿部さんの、記憶、意識。

自分の体中にまとわりついた電極や管を、険しい表情の女性が引きちぎっている。

抱きかかえられ、その女性の肩越しに広がる景色――何百、何千と並ぶバイオカプセルの群れ。

中には胎児から老人まで、様々な人々が培養液に浮かび、一様に目を閉じている。

皆、女性だ。

つまり……ッ!――

突然目の前に映る記憶の残像が弾け飛び、俺の視界は青く広がる大空へと転じた。

539以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 05:59:32 ID:./u.tVfQ
乙!
よくあんななっが〜い名前思い付いたなw
混濁中、池田氏の記憶は皆にはどう映ったのか
そして、これで戦況はどう変わるかな?

540以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 21:55:04 ID:B3BqDy9U
ソドムな世界だったみたいだから、今回のドクとセルゲイさんの様な雰囲気は、彼らにとって普通な感覚なんだろうな
阿部さんが求める結果を出せたとして、女の子らと仲良くなれるには時間がかかりそうかも?

541以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/23(日) 23:25:02 ID:2XbSl.D.
やっぱ何気高性能スカポンww

542以下、名無しが深夜にお送りします:2014/02/27(木) 23:32:41 ID:p1.ODDZ.
あげ

543以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/02(日) 00:15:14 ID:lwJNI/tk
支援

544以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/08(土) 18:15:34 ID:k8BIiWno
支援

545以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/11(火) 00:32:34 ID:YSXKmHPo
私待つわ

546以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 01:42:58 ID:cBx1Tgyg
――微動だにしない二つの太陽。空へと突き刺さったシャフト。

視線を下に巡らせる。

針鼠のように高射砲を突き出したペータエフ。V字編隊で迫る六機のEVOL戦闘機。

(敵機確認)

瞬時にスロットルを加速させ、バーニアを勢い良く噴かして回頭。

風の抵抗を鼻先で切り裂きながら、大きく弧を描くように上昇し、敵全体を視野に捉える。

(……?)

(太陽を背にした位置取りをしたはずなのに、まだ太陽が見える……?)

三つ目の太陽などそこにはなく、もう一度数えてもやはり太陽は二つ――

(――……背後の、太陽を、数え、る?)

軽い目眩を感じ、目頭を抑えようと手を上げる――が、右手は上がらなかった。

代わりに右翼のスラスターが緑色の炎を軽く吐き、視界がゆっくりと左へと流れた。

(……待ってくれ。何かおかしい)

よく考えてみれば。

手元にあるはずのコンソールはおろか、コクピットそのものが消失している。

547以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 01:46:46 ID:cBx1Tgyg
そう言えば。

前方にいるはずの阿部さん達の姿も見えない。

いや、そもそも――

(――俺の体はどこへ行った?)

体が消えてしまったというのに、痛みも何もない。

いや、それどころか全身を打つ風に俺は解放感さえ感じている。

(いや違う。俺の体はないが、体はあるんだ。……こいつは誰の体なんだ? 俺の意識は一体誰の中へ入って――)

――微かに声が聞こえた。

体の向きを変えずに視点だけを真後ろに向ける。

……やはり二つの太陽と黒々とそびえ立つシャフトが見えるだけだ。

(……誰だ?)

動物の鳴き声に近いような『それ』は、聞き覚えのあるトーンの声だった。

不思議と警戒感を抱かせず、どちらかと言えば親近感の湧く、その声。

『――――』

今度は首元に吐息を感じた。さっきよりもずっと近い。

548以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 01:49:08 ID:sKBnG7Lc


549以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 01:50:56 ID:cBx1Tgyg
『……ォオォォォォ』

唐突にすべてを理解した。

この声の主。自分の体の所在。阿部さんたちの所在。そして……今、俺がどこにいるのかを。

足元に温もりを感じ、手を――腕など勿論そこにはないが――伸ばして、頭と思わしき場所を撫でた。

つるつるとした爬虫類の皮膚のような感触と、ふわふわとした長毛犬の脇腹のような感触が、仮想の指先に同時に返ってくる。

『……そうか。お前だったのか。お前の中に、俺は入って来たんだな』

『――BEAS』

『……ォオォン……』

この反応は喜んでいると受け取っていいのだろうか。擦り寄るような気配も感じるから、まず間違いはないと思うが。

『でもまぁそうか。こんなに近いなら、意思疎通も取りやすいってことだよな』

『……ォオォオ』

阿部さんとスカポンが共同で開発した『例のアレ』は、俺が思っていたよりずっとクレイジーな発明品だったようだ。

BEASと俺たちを同調――シンクロさせてすべての機能とすべての武装を、BEASの視点で選択し、使用する。

つまり、戦闘機を『操縦する』のではなく……戦闘機『そのものになる』ということ。

……回心がいった。

550以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 02:26:18 ID:cBx1Tgyg
BEASの体で人の体の動きを出来るはずもない。

右手を上げようとしてスラスターを噴かしてしまった事も。背後に目玉がついている事に驚いて気分が悪くなった事も。

すべてBEASと一体化した事に気づいていない俺の意識と、体のズレが生んだものだったんだ。

(……だがもし、俺とBEASの同調を完璧に合わせられた――なら)


『そう、イメージするんだ。この同調からどのような可能性があるかを』

『……ォオ……?』

頭の中に残っていた記憶のノイズが治まると、俺は自分の知覚範囲が急激に研ぎ澄まされていくのを感じていた。

同調しきっていなかった人間の部分は丁寧に隔離し、戦闘機として――BEASとしての己の神経を、機体の隅々まで張り巡らせる。

左翼の先端から右翼の先端へ。機首から機尾へ。質量装甲や武装。

推進エンジンや果ては光子力ジャイロに至るまで、ありとあらゆるものに仮想ニューロンの枝葉を伸ばし、触れた傍から掌握していった。

――閉じていた目を開く。

以前よりずっとはっきりと映る俺の視界に、膨大な量のデータが画面狭しとひしめき合っていた。

加えてそれぞれのグラフや数値が目まぐるしく変動しており、煩わしいことこの上ない。

『……だが、見える』

視認するまでもなく、これらのデータを無意識に受け取り、更に超速で処理されたものを受け取り、最終的に『体感』として俺とBEASへ復元されるからだ。

551以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 08:45:21 ID:UjWgNQr2
乙!
むつかしい表現ばっかしなきゃならない状況みたいだから、書き手大変だろうなぁ

552以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/13(木) 23:49:20 ID:RjnPSEaI
あんな安価から
よくここまですばらしいものを

553以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/21(金) 16:46:11 ID:K29l1Vvc
保守

554以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/21(金) 16:53:24 ID:IFrpIb46
保守

555以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/01(火) 23:29:48 ID:8dP12fWI
保守

556以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/03(木) 22:03:58 ID:wwOhqBwI
保守

557以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/05(土) 03:31:43 ID:D3zb1XQI
守る

558以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/12(土) 05:48:48 ID:l3Asf7dA
更新遅くて申し訳ない
少し時間が取れるようになってきたので、少量投下

間が開かないよう善処します

559以下、名無しが深夜にお送りします:2014/04/12(土) 05:49:38 ID:l3Asf7dA
――バーニアを軽く吹かし、機体を加速。

スラスターで微調整し、数秒前に自ら設定した位置に寸分違わず滑りこむ。

本来実戦経験を積んだパイロットでしか成し得ない精緻な動きを、BEASはあっさりやってのけた。

(いや、BEASがと言うより……今のは俺の意思だ……)

(俺の思考をそのまま機体軌道に反映できたんだ……)

(情報を受取るだけでなく、行動のリクエストさえもノータイムで機体に伝えられる……)

――喜悦。

それは最早BEASのものか、俺のものか分からなかった。

その場に留まっていられなくなるような強烈な衝動――獰猛な一つのある感情が腹の奥底から吹き出してくるのを感じる。

固く閉じた口を割って、熱い獣臭が漏れ出す。

――『『喰ウ』』

BEASのコクピット下部のプレートカバーが内側から小さく炸裂し、吹き飛んだ。

現れたのは『口』としか表現できない、戦闘機にあるまじき機関だった。

プレートと同じ素材で出来た短剣のようなパーツが、恐竜の乱杭歯のようにびっしりと並んでいる。

深奥では青白い稲妻と濃緑色の光の粒子が螺旋状に渦を巻き、漆黒の一点へと吸い込まれている。


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